JP2000206213A - 回転電機の絶縁監視方法 - Google Patents

回転電機の絶縁監視方法

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JP2000206213A
JP2000206213A JP11009706A JP970699A JP2000206213A JP 2000206213 A JP2000206213 A JP 2000206213A JP 11009706 A JP11009706 A JP 11009706A JP 970699 A JP970699 A JP 970699A JP 2000206213 A JP2000206213 A JP 2000206213A
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partial discharge
insulation
monitoring
electric machine
rotating electric
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JP11009706A
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English (en)
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Kichiji Kaneda
▲吉▼治 兼田
Shigeo Kitamura
重雄 北村
Satoru Kuroki
悟 黒木
Teruya Osawa
輝也 大澤
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Kansai Electric Power Co Inc
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Kansai Electric Power Co Inc
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転電機の運転中に部分放電を計測し、回転
電機の停止中の試験結果をもとに回転電機が運転される
条件を考慮して異常監視レベルを導出して、回転電機を
精度良く運転中に監視する。 【解決手段】 回転電機の運転中に部分放電を計測して
絶縁診断を行う方法において、停止中の大気1気圧中で
計測した部分放電強度をもとに、運転時に固定子巻線に
印加される電圧傾斜の影響を考慮して異常監視レベルを
導出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転電機の絶縁
監視方法に関するもので、特に、高圧回転機の運転中に
発生する部分放電を監視して絶縁診断を行う方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、一般産業のプラント規模は大形化
の一途をたどっており、これに伴って回転電機も大形化
するとともにその設置数も増大している。従って、この
ような電気機器においては高い信頼性が要求されるの
で、保守管理を確実に行い、絶縁破壊などの突発事故を
未然に防止する必要がある。
【0003】また、高度経済成長期に製造された多くの
電気機器は、既に25年以上経過したものが過半数を占
めており、これらの長期稼働した電気機器では、突発事
故の未然防止を目的として、運転中に連続監視する要求
が非常に強くなって来ている。
【0004】さらに、平成8年度に電気事業法が改正さ
れ、規制緩和により自主保安への取り組みの強化ととも
に経営効率化を目指して、従来行っていた定期検査の間
隔を1.5倍程度延ばす取り組みが行われている。
【0005】このことから、従来以上に運転中の絶縁状
態監視が重要になって来ており、その監視項目として絶
縁性状を現す部分放電の連続監視技術が重要視されて来
ている。
【0006】回転電機では、固定子巻線の絶縁層に運転
ストレスによって亀裂や剥離などの劣化が生じると、運
転中の電圧により劣化部で部分放電が発生する。この部
分放電を計測することにより絶縁の劣化状態を把握して
いる。
【0007】運転中の回転電機の絶縁監視方法としては
いくつかの方法が提案されている。例えば、特開平3−
99286号公報には、図8に示すように回転電機の通
電電流が大きくなるときの回転電機の最大放電電荷量の
経時変化と、前記通電電流が大きくなるときの前記最大
放電電荷量から前記通電電流が小さくなるときの最大放
電電荷量を減じた値の経時変化とから、回転電機の巻線
の絶縁劣化の進展と態様を測定する絶縁劣化測定方法が
開示されている。
【0008】更に、特許公報第2590175号には運
転中に測定した負荷電流および高周波電流の相関関係か
ら回転電機の巻線異常および絶縁劣化を監視する方法
が、特開平3−73875号公報や特開平1−2729
83号公報には回転電機の停止中試験での絶縁監視方法
や絶縁劣化判定方法が開示されている。
【0009】また、電気学会技術報告II部第402号
にはその他の種々の電力設備の運転中の絶縁監視方法や
部分放電計測方法および装置が報告されている。
【0010】このような従来技術の代表例として図8、
図9に特開平3−99286号公報の例を示し、図に基
づいてこの従来技術を説明する。図8の部分放電PDa
は定常時の2倍以上の大なる始動電流が流れているとき
の部分放電パルスの分布であり、部分放電PDbは小な
る定常運転電流になってから測定した部分放電パルスの
分布である。部分放電PDdは部分放電PDaから部分
放電PDbを差し引いて求めた部分放電パルスの分布で
ある。
【0011】大きな電流が流れたときの回転電機の部分
放電電荷量と小さな電流が流れたときの回転電機の部分
放電電荷量との差は、外部からのノイズが含まれない電
磁力によるコイルの振動に基づく部分放電電荷量だけと
なり、一方、小さな電流が流れたときの部分放電電荷量
は、絶縁材料の部分放電劣化に起因する部分放電電荷量
となる。
【0012】図9は横軸が部分放電PDb(図8)から
求めた最大放電電荷量Qmbで、縦軸は差分パルス分布
部分放電PDdから求めた最大放電電荷量Qmdで、そ
の間を絶縁劣化の進度を表わす領域A,B,C,Dに区
分している。
【0013】計測した最大放電電荷量Qmb,Qmdを
図9のようにプロットすることで、その点の推移が横軸
より線L2寄りに推移するのであれば、放電劣化、冷熱
サイクル劣化等で回転電気の絶縁材料が進展しているこ
とを意味し、L1のように縦軸寄りに推移するときに
は、コイルの固定力が落ちて電磁力でコイルの振動が大
きくなっていると判断できるとしている。
【0014】更に、もうひとつの代表例として、特開平
4−74974号公報に開示された、試料に印加される
電圧の1サイクル分毎に検出放電パルスの電荷量を合算
して行き、その合算値に基づいて絶縁特性の解析を行う
監視方法の従来技術を説明する。
【0015】図10は回転電機の停止中絶縁診断装置の
構成図である。図において、1は試料、2は試料1にA
C電圧を印加する変圧器、3は試料1に排泄された部分
放電の検出部、4は検出された部分放電パルスを計測す
る公知同調式部分放電測定部、5はAC電圧の波形を記
憶する位相検出用の第1の記憶装置、6は部分放電パル
スの波形を記憶する位相検出用の第2の記憶装置、7は
各データを保持・演算・解析するコンピュータである。
【0016】このコンピュータ7には、キーボード7
1,CRT72,プリンタ73,X−Yプロッタ74、
フロッピデスク75が接続されてれいる。この装置は試
料に印加される電圧の1サイクル分毎に検出放電パルス
の電荷量をコンピュータ7で合算して行き、その合算値
に基づいて絶縁特性の解析を行う。
【0017】図11、図12は図10に示す絶縁診断装
置による試料1の監視方法の有効性を述べたもので、図
11は正および負極性の最大放電電荷Qmaxの変化を
示す図で、Qmaxは性極性及び負極性の双方とも課電
開始後20〜375時間の間、大きな変化はなく、明確
な劣化進展の兆候が現われないまま突然に384時間目
で絶縁破壊に至った。
【0018】図12は正および負極性の放電電荷合算値
Σqの変化を示す図で、ACの1サイクル当たりに発生
した放電パルスの放電電荷量合算値Σqは、架電開始後
100時間まで増加したのちは350時間まで徐々に増
加し、その後375時間まで急激な増加を示して絶縁破
壊に至る。このように停止中の放電電荷合算値Σqの変
化を断続的に追跡して行くと絶縁劣化の進展状況や絶縁
破壊直前の兆候が把握でき、絶縁劣化の度合を評価でき
るとしている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ここで、前述した2つ
の従来技術を比較すると、前者は最大放電電荷で診断で
きるとし、後者は最大放電電荷では診断できなくて放電
電荷合算値の変化が絶縁劣化の状態を的確に表現できる
としており、両者の主張は相反している。また、詳細は
割愛したが、従来の多くは特開平3−73875号公報
や特開平1−272983号公報に開示されている様
に、回転電機の運転を停止して試験を行う絶縁監視方法
が一般的であり、運転中には適用出来ない問題点があっ
た。
【0020】このように、従来は診断パラメータが明確
になっていなかった。これは従来、部分放電特性と絶縁
性状との関係を、試験電圧印加による部分放電試験(停
止中試験)データから得てきたことに起因している。近
年、運転中診断が注目されて来たが、運転中と停止中試
験での部分放電特性の差異に基づく検討がなされていな
い。
【0021】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、回転電機の運転中に部分放電を
計測し、回転電機の停止中の試験結果をもとに回転電機
が運転される条件を考慮して異常監視レベルを導出し
て、回転電機を運転中に監視する回転電機の絶縁監視方
法を提供することを目的とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る回転電機の絶縁監視方法は、停止中の大気1気圧中で
計測した部分放電強度をもとに、運転時に固定子巻線に
印加される電圧傾斜の影響を考慮して、空気冷却回転電
機の異常監視レベルを同定するものである。
【0023】この発明の請求項2に係る回転電機の絶縁
監視方法は、回転電機冷却ガス種の効果と、回転電機冷
却ガス圧の効果と、運転時に固定子巻線に印加される電
圧傾斜の影響をもとに運転時に固定子巻線に印加される
電圧傾斜の影響を考慮して異常監視レベルを導出する。
【0024】この発明の請求項3に係る回転電機の絶縁
監視方法は、停止中の部分放電特性が健全な状態では電
気的特性が初期電気特性量より1桁大きく変化したとき
を絶縁異常と判定するものである。
【0025】この発明の請求項4に係る回転電機の絶縁
監視方法は、停止中の部分放電特性が健全な状態では電
気的特性が初期電気特性量より1桁大きく変化したとき
を絶縁異常と判定し、停止中部分放電特性が要注意と判
断される回転電機では一定期間内の電気特性変化率から
絶縁異常を判定するものである。
【0026】この発明の請求項5に係る回転電機の絶縁
監視方法における上記部分放電特性は、最大放電電荷
(Qmax)、総合電荷量(ΣNQ)、平均放電電流
(I)、放電発生位相−電荷量−発生頻度(φ−Q−
N)特性のいずれか1つ以上であるとするものである。
【0027】この発明の請求項6に係る回転電機の絶縁
監視方法における一定期間内の電気特性変化率は、6ケ
月以内に部分放電強度が定常運転レベルに比して5倍以
上に増加した時点を絶縁異常と判定するものである。
【0028】この発明の請求項7に係る回転電機の絶縁
監視方法は、運転中に計測した部分放電パルスの、正極
性パルスと負極性パルスを比較して固定子巻線の異常の
部位を特定するものである。
【0029】この発明の請求項8に係る回転電機の絶縁
監視方法における正極性パルスと負極性パルスの比較
は、運転中に計測した部分放電パルスが、正極性パルス
が負極性パルスよりも優勢である場合は固定子巻線のス
ロット挿入部の外部半導電層または巻線端の電界制御部
の異常であり、負極性パルスが正極性パルスよりも優勢
である場合は固定子巻線の導体部または導体部と絶縁体
との結合部の異常である、と判定するものである。
【0030】この発明の請求項9に係る回転電機の絶縁
監視方法における正極性パルスと負極性パルスの比較
は、運転中に計測した部分放電が異常監視レベルに達し
たとき、正極性パルスと負極性パルスを比較し、正負パ
ルスの強度が同等レベルの場合は絶縁体内部に欠陥が生
じる異常である、と判定するものである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて添付図面を参照して説明する。 実施の形態1.図1は回転電機固定子巻線に試験電源に
より電圧を印加して、巻線の雰囲気を変えて計測した時
の部分放電強度−印加電圧特性を示す図である。図にお
いて、Bが停止中試験として一般によく実施されている
空気大気圧中の部分放電強度−印加電圧特性である。C
は回転電機の冷却ガスとして使用されている水素4気圧
下での部分放電強度−印加電圧特性で、大型タービン発
電機の運転条件雰囲気下での部分放電現象を模擬した特
性である。Aは水素ガス1気圧中での部分放電強度−印
加電圧特性である。
【0032】水素は分子量が小さいことから風損が小さ
いので発電機内に封入して冷却ガスとして使われてい
る。しかし、水素ガスは火花発生電圧が小さいと言う欠
点がある。放電ハンドブックに示された各種ガスの火花
電圧を図4に示す。発電機では冷却効率を上げるため
に、通常3〜4気圧まで水素ガス圧力を高めて運転して
いる。
【0033】このガス圧力によって、部分放電特性は図
1のCの特性となる。図から明らかなように、運転状態
を模擬したCでは部分放電が抑制されている。また、図
1の試験は試験電源により巻線に電圧を印加しているの
で全巻線に同じ電圧が印加される。これに対し運転中で
は巻線に係る電圧は運転電圧が印加されるため全巻線一
様ではない。したがって、運転運中と停止中では巻線の
部分放電発生状態が異なる。
【0034】図2に発電機を例にとって、運転中の固定
子巻線の発生電圧と放電発生領域の関係を示す。運転に
よる発電電圧は中性点が零電位でライン側が100%と
なる電位傾斜をもつ。この発電電圧が固定子巻線の絶縁
体に印加される。
【0035】巻線の絶縁体に劣化が生じると、図2に示
すようにこの発電電圧によって部分放電が生じるが、部
分放電が発生する放電開始電圧以上の電圧が印加される
領域は前巻線の1/数である。この結果、発生する部分
放電の大きさは、図3に示すように運転中の方が小さく
なる。部分放電は絶縁体に劣化が生じた時に、その劣化
による欠陥を反映して発生する。
【0036】絶縁体の欠陥発生はベースロードやDSS
(daily start andstop)運転など
の運転形態や運転温度や負荷状態と大きく関係してい
る。以上のような理由から、大気1気圧中試験で得られ
る特性Bのみを用いて運転中の監視放電レベルを決める
ことは出来ない。
【0037】以上のことから、回転電機の運転中に部分
放電を計測して絶縁診断を行う方法においては、停止中
の大気1気圧中で計測した部分放電強度をもとに、図4
に示すように回転電機冷却ガスの種類による火花発生電
圧の影響と、冷却ガス圧力の効果と、運転時に固定子巻
線に印加される電圧傾斜の影響を基にして異常監視レベ
ルを導出することによって異常の検出が可能となる。
【0038】実施の形態2.また、回転電機によっては
冷却ガスとして空気を使用しているものもある。例え
ば、ほとんどの水車発電機がそうであり、高圧誘導電動
機などもそうである。水車発電機や高圧誘導電動機も運
転中診断のニーズが高い回転電機である。
【0039】これらの空気冷却型回転電機の運転中部分
放電特性は、前述した冷却ガス種による部分放電発生の
差異は無いので、停止中の大気1気圧中で計測した部分
放電強度をもとに、運転時に固定子巻線に印加される電
圧傾斜の影響を考慮して、異常監視レベルを導出する。
【0040】実施の形態3.図5は34台の回転電機を
用いて、停止中に計測した常規対地電圧での最大放電電
荷量と破壊電圧の関係を示したものである。回転電機は
対地絶縁にマイカ/エポキシ絶縁を使用しているため、
定格運転状態で若干の部分放電の発生を許容している。
【0041】これは、第1には無機物でアスペクト比の
大きいマイカを層状に積層したマイカ/エポキシ複合体
では無欠陥の絶縁体を形成することが困難であり微小欠
陥を内在するためである。第2には固定子コイルが複雑
な形状をしておりコイル形状に完全にフィットした絶縁
体を形成することが困難なためである。
【0042】この定格運転状態での部分放電の発生の許
容は、マイカが高い耐部分放電特性を有するために可能
となっている。絶縁体が健全な状態では、運転電圧で発
生する部分放電最大放電電荷量Qmaxは1000〜5
000pC程度以下である。前述したマイカ/エポキシ
絶縁は長期稼働による熱的、電気的、機械的ストレスに
よって絶縁破壊が進行し、絶縁破壊電圧が低下する。そ
の絶縁破壊電圧の低下はQmaxの増大と相関がある。
回転電機の場合その相関は図5に示す通りである。
【0043】つまり、電気取扱法での耐電圧基準値であ
る定格電圧×2+3000Vを安全運転下限値とする
と、安全運転下限値のQmaxは50000pC程度と
なり、健全な絶縁状態のQmaxより1桁大きい。した
がって、停止中の部分放電特性が健全と判断される回転
電機では運転中の部分放電特性が初期部分放電特性より
1桁大きく変化したときを絶縁異常と判定することがで
きる。
【0044】さらに長期稼働によって絶縁体の劣化が進
行している場合は、健全な絶縁体に比較して劣化の進展
が早くなる。したがって、停止中部分放電特性が100
00pC程度の要注意と判断される絶縁体では、その後
の部分放電特性の変化が1桁未満であっても、5倍のQ
max増加が見られればそれは破壊電圧の低下を意味す
る。
【0045】このように部分放電特性は、絶縁劣化が進
行し絶縁破壊が低下する指標として有用である。ここ
で、絶縁劣化の進行は熱的、電気的、機械的などの負荷
ストレスによって異なる。我々の研究の結果、前述した
ストレスの中で絶縁破壊電圧の低下に最も影響を及ぼす
のは機械的劣化であることが判明している。
【0046】機械的ストレスは起動停止に伴う電磁振動
とヒートサイクルによって生じる。これらは前述したD
SS運転によってより顕著に絶縁に作用する。以上のこ
とから、一定期間内の電気特性の増加率から異常を判定
する場合の基準としては、6ケ月で5倍。3ケ月で3倍
程度変化した場合を考えることができる。
【0047】実施の形態4.ここで、前記した異常監視
に用いる部分放電特性の内容について説明する。部分放
電は欠陥部分で発生し、放電の大きさは、欠陥の大き
さ、形状、欠陥を形成する材料、電界から見た位置、欠
陥の数、等などによって異なる。一般に1秒間に数個か
ら数十万個の放電が発生する。
【0048】これらの部分放電の中から絶縁破壊電圧の
低下に大きく影響するパラメータを明確にして、連続監
視し絶縁異常を検出する。現在までの研究から、これら
のパラメータとしては最大放電電荷(Qmax)、総合
電荷量(ΣNQ)、平均放電電流(I)、放電発生位相
−電荷量−発生頻度(φ−Q−N)特性がある。これら
のいずれか1つ以上を監視することで絶縁異常を検知す
る。
【0049】実施の形態5.回転電機の絶縁異常におい
て、固定子巻線のスロット挿入部の外部半導電層または
巻線端の電界制御部に異常が生じた場合には正極性パル
スが負極性パルスよりも優勢な非対称性放電となる。こ
の場合の代表例を図6に示す。
【0050】また、固定子巻線の導体部または導体部と
絶縁体との界面に異常が生じた場合には負極性パルスが
正極性パルスよりも優勢となる非対称性放電特性を示
す。更に、絶縁体内部に欠陥が生じてボイド(空隙)が
大きくなる欠陥の場合は図7に示すように正負パルスの
強度が同等レベルの放電特性を示す。
【0051】これらの結果から、運転中に計測した部分
放電パルスが、正極性パルスが負極性パルスよりも優勢
である場合は固定子巻線のスロット挿入部の外部半導電
層または巻線端の電界制御部の異常であり、負極性パル
スが正極性パルスよりも優勢である場合は固定子巻線の
導体部または導体部と絶縁体との結合部の異常である、
と判定する。
【0052】また、運転中に計測した部分放電が異常監
視レベルに達したとき、正極性パルスと負極性パルスを
比較し、正負パルスの強度が同等レベルの場合は絶縁体
内部に欠陥が生じる異常である、と判定することができ
る。
【0053】
【発明の効果】以上のように、この発明の回転電機の絶
縁監視方法によれば、停止中の大気1気圧中で計測した
部分放電強度をもとに、運転時に固定子巻線に印加され
る電圧傾斜の影響を考慮して異常監視レベルを決めるの
で、回転電機の絶縁状態を運転中に精度良く監視するこ
とができるという効果がある。
【0054】また、この発明の回転電機の絶縁監視方法
によれば、停止中の大気1気圧中で計測した部分放電強
度をもとに、回転電機冷却ガス種の効果と、前記冷却ガ
ス圧力の効果と、運転時に固定子巻線に印加される電圧
傾斜の影響を基にして、異常監視レベルを導出するよう
にしたので、回転電機絶縁状態を運転中に精度良く監視
することができるという効果がある。
【0055】また、上記監視レベルを、停止中の部分放
電特性が健全な時には電気的特性が初期電気特性量より
1桁大きく変化したときを絶縁異常と判定するようにし
たので、回転電機絶縁状態を運転中に確実に診断するこ
とができるという効果がある。
【0056】また、上記監視レベルを、停止中の部分放
電特性が健全な時には電気的特性が初期電気特性量より
1桁大きく変化したときを絶縁異常と判定し、停止中部
分放電特性が要注意と判断される回転電機では、その後
運転中の一定期間内の電気特性増加率から絶縁異常を判
定するようにしたので、回転電機絶縁状態を運転中に確
実に診断することができるという効果がある。
【0057】また、異常監視を行う上記部分放電特性
を、6ケ月以内に部分放電強度が定常運転レベルに比し
て5倍以上に増加した時点を絶縁異常と判定するように
したので、回転電機絶縁状態を運転中に確実に診断する
ことができるという効果がある。
【0058】また、異常監視を行う上記部分放電特性
を、最大放電電荷(Qmax)、総合電荷量(ΣN
Q)、平均放電電流(I)、放電発生位相−電荷量−発
生頻度(φ−Q−N)特性のいずれか1つ以上であると
したので、回転電機絶縁状態を運転中に確実に診断する
ことができるという効果がある。
【0059】また、他の発明の回転電機の絶縁監視方法
によれば、運転中に計測した部分放電パルスの、正極性
パルスと負極性パルスを比較して固定子巻線の異常の部
位を特定するようにしたので、回転電機絶縁状態を運転
中に確実に診断することができるという効果がある。
【0060】また、運転中に計測した部分放電パルスの
上記正極性パルスと負極性パルスとの比較において、正
極性パルスが負極性パルスよりも優勢である場合は固定
子巻線のスロット挿入部の外部半導電層または巻線端の
電界制御部の異常であり、負極性パルスが正極性パルス
よりも優勢である場合は固定子巻線の導体部または導体
部と絶縁体との結合部の異常であるとしたので、回転電
機絶縁状態を運転中に確実に診断することができるとい
う効果がある。
【0061】また、上記正極性パルスと負極性パルスと
の比較において、運転中に計測した部分放電が異常監視
レベルに達したとき、正極性パルスと負極性パルスを比
較し、正負パルスの強度が同等レベルの場合は絶縁体内
部に欠陥が生じる異常であるとしたので、回転電機絶縁
状態を運転中に確実に診断することができるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を説明する部分放電
強度−印加電圧特性を示す特性図である。
【図2】 この発明の実施の形態1を説明する運転中の
固定子巻線の発生電圧と放電発生領域の関係を示す図で
ある。
【図3】 この発明の実施の形態1を説明する運転中と
停止中の部分放電累積発生頻度分布を示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態1を説明する各種ガス
の火花電圧の特性図である。
【図5】 この発明の実施の形態3を説明する最大放電
電荷と破壊電圧値の関係を示す特性図である。
【図6】 この発明の実施の形態5を説明する巻線端の
電界緩和制御部に異常がある場合の部分放電特性図であ
る。
【図7】 この発明の実施の形態5を説明する絶縁体内
部に欠陥がある場合の部分放電特性図である。
【図8】 従来の回転電機の運転中絶縁監視方法を説明
する特性図である。
【図9】 従来の回転電機の運転中絶縁監視方法を説明
する特性図である。
【図10】 従来の回転電機の停止中絶縁診断装置の構
成図である。
【図11】 従来の回転電機の停止中絶縁監視方法を説
明する最大放電電荷量の特性図である。
【図12】 従来の回転電機の停止中絶縁監視方法を説
明する最大電荷合算値の特性図である。
【符号の説明】
1 資料、2 変圧器、3 検出部、4 部分放電測定
器、5 第1の記憶装置、6 第2の記憶装置、7 コ
ンピュータ、71 キーボード、72 CRT、73
プリンタ、74 C−Yプロッタ、75 フロッピディ
スク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 重雄 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 黒木 悟 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 大澤 輝也 大阪府大阪市北区中之島3丁目3番22号 関西電力株式会社内 Fターム(参考) 2G014 AA15 AB06 AC19 2G016 BA00 BB09 BC02 BD07 BD11 5H611 AA01 PP02 QQ00 TT06 UA02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転電機の運転中に部分放電を計測して
    絶縁診断を行う方法において、停止中の大気1気圧中で
    計測した部分放電強度をもとに、運転時に固定子巻線に
    印加される電圧傾斜の影響を考慮して、異常監視レベル
    を導出することを特徴とする回転電機の絶縁監視方法。
  2. 【請求項2】回転電機冷却ガス種の効果と、前記回転電
    機冷却ガスの圧力の効果とを考慮して、異常監視レベル
    を導出することを特徴とする請求項1に記載の回転電機
    の絶縁監視方法。
  3. 【請求項3】 停止中の部分放電特性が健全な時には電
    気的特性が初期電気特性量より1桁大きく変化したとき
    を絶縁異常と判定することを特徴とする請求項1または
    2に記載の回転電機の絶縁監視方法。
  4. 【請求項4】 停止中の部分放電特性が健全な時には電
    気的特性が初期電気特性量より1桁大きく変化したとき
    を絶縁異常と判定し、停止中部分放電特性が要注意と判
    断される回転電機では、その後運転中の一定期間内の電
    気特性増加率から絶縁異常を判定する請求項3に記載の
    回転電機の絶縁監視方法。
  5. 【請求項5】 6ケ月以内に部分放電強度が定常運転レ
    ベルに比して5倍以上に増加した時点を絶縁異常と判定
    することを特徴とする請求項4に記載の回転電機の絶縁
    監視方法。
  6. 【請求項6】 部分放電特性は、最大放電電荷(Qma
    x)、総合電荷量(ΣNQ)、平均放電電流(I)、放
    電発生位相−電荷量−発生頻度(φ−Q−N)特性のい
    ずれか1つ以上であることを特徴とする請求項3または
    4に記載の回転電機の絶縁監視方法。
  7. 【請求項7】 回転電機の運転中に部分放電を計測して
    絶縁診断を行う方法において、運転中に計測した部分放
    電パルスの、正極性パルスと負極性パルスを比較して固
    定子巻線の異常の部位を特定することを特徴とする回転
    電機の絶縁監視方法。
  8. 【請求項8】 運転中に計測した部分放電パルスが、正
    極性パルスが負極性パルスよりも優勢である場合は固定
    子巻線のスロット挿入部の外部半導電層または巻線端の
    電界制御部の異常であり、負極性パルスが正極性パルス
    よりも優勢である場合は固定子巻線の導体部または導体
    部と絶縁体との結合部の異常である、と判定することを
    特徴とする請求項7に記載の回転電機の絶縁監視方法。
  9. 【請求項9】 運転中に計測した部分放電が異常監視レ
    ベルに達したとき、正極性パルスと負極性パルスを比較
    し、正負パルスの強度が同等レベルの場合は絶縁体内部
    に欠陥が生じる異常である、と判定することを特徴とす
    る請求項7に記載の回転電機の絶縁監視方法。
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