JP2000206007A - 材料識別方法 - Google Patents

材料識別方法

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JP2000206007A
JP2000206007A JP11002020A JP202099A JP2000206007A JP 2000206007 A JP2000206007 A JP 2000206007A JP 11002020 A JP11002020 A JP 11002020A JP 202099 A JP202099 A JP 202099A JP 2000206007 A JP2000206007 A JP 2000206007A
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marking substance
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Taku Kasuga
卓 春日
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種の材料に対して、それらの材料の特性を
影響を及ぼさず、効率的にマーキングでき、その原材料
が混合、合成、加工された後でも、容易かつ正確に識別
可能な材料識別方法を提供する。 【解決手段】 識別の対象とするホスト材料に該ホスト
材料を識別する情報として1または複数のマーキング物
質と、該マーキング物質の混入状態を定量化する基準マ
ーキング物質とを混入し(ステップ2)、上記ホスト材
料が使用された後(ステップ3)、上記マーキング物質
および上記基準マーキング物質が混入された上記ホスト
材料または該ホスト材料を含有する物質を分析して、上
記マーキング物質を検出し(ステップ4)、検出された
マーキング物質の混入結果から上記ホスト材料を同定す
る(ステップ5)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は材料(または物質)
としての気体、液体、固体などが、他の材料(または物
質)と混合、加工などされた後でも、その材料を識別可
能な材料識別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種合成材料、各種化学物質、各種薬
品、その他の人工的に混合・合成された前の材料を特定
することが要望されている。最近とみに、有害物質の追
跡、検出などの環境問題への社会的な要請も強い。
【0003】合成材料物質の組成および原材料の構成を
識別する方法は、基本的には、非破壊方法が好ましく、
これまでも、各種のクロマトグラフィ技法など、種々の
方法が試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これまで行われている
各種の分析方法は、分析結果が粗く、分析時間が長いと
いう問題がある。特に、未知の合成材料物質の分析で
は、可能性ある全ての材料(または物質)についての分
析を行うので、分析時間が極端に長くなる。その結果、
分析費用が高くなる。また各種の合成材料物質の分析を
効率よく行うには適さない場合がある。
【0005】合成材料物質などの原材料を追跡する方法
としては、その原材料を混合、合成、加工させた場合で
も変化しない物質、手法、たとえば、放射性同位元素を
用いて原材料を放射化してその原材料を識別するための
マーキングを施し、その原材料を混合、合成、加工さ
せ、その後、放射化されている原材料を検出してその原
材料を識別する方法が知られている。しかしながら、全
ての原材料に放射性同位元素でマーキングできるわけで
はないし、放射性同位元素でマーキングすることが好ま
しくない場合も多い。
【0006】合成材料物質などの原材料を識別するため
のマーキングとしては、基本的に、その原材料の特性に
影響を及ぼしてはならない。しかしながら、これまで、
各種の原材料に対して、有効なマーキングの方法が提案
されていない。
【0007】したがって、本発明の目的は、各種の原材
料に対して、それらの原材料の特性に影響を及ぼさず、
効率的にマーキングでき、その原材料が混合、合成、加
工された後でも、容易かつ正確に識別可能な材料識別方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の観点によ
れば、識別の対象とするホスト材料に該ホスト材料を識
別する情報として、上記ホスト材料およびそのホスト材
料と合成などする他の材料の特性を変化させず、混入し
たマーキング物質が混入状態で分析可能な物質である1
または複数のマーキング物質と、該マーキング物質の混
入状態を定量化する基準マーキング物質とを混入する材
料識別方法が提供される。
【0009】本発明の第2の観点によれば、識別の対象
とするホスト材料に該ホスト材料を識別する情報として
1または複数のマーキング物質と、該マーキング物質の
混入状態を定量化する基準マーキング物質とを混入し、
上記ホスト材料が使用された後、上記マーキング物質お
よび上記基準マーキング物質が混入された上記ホスト材
料または該ホスト材料を含有する物質を分析して、上記
マーキング物質を検出し、検出されたマーキング物質の
混入結果から上記ホスト材料を同定する材料識別方法が
提供される。
【0010】好適には、上記マーキング物質は、上記ホ
スト材料およびそのホスト材料と合成などする他の材料
の特性を変化させず、混入したマーキング物質が混入状
態で分析可能な物質である。
【0011】また好適には、上記マーキング物質は、上
記ホスト材料およびそのホスト材料と合成などする他の
材料の特性とは異なる物質、および/または、ホスト材
料およびそのホスト材料と合成などする他の材料の特性
に影響を及ぼさない程度の微量だけ上記ホスト材料に混
入する。
【0012】特定的には、上記マーキング物質は、立体
異性体、光学異性体、幾何異性体、同位体、ホスト材料
との類似物質などの任意のものを選択して使用する。
【0013】好適には、上記マーキング物質として、複
数のマーキング物質を識別情報を表すように、所定の混
合比でごく微量だけ上記ホスト材料に混入する、あるい
は、上記マーキング物質として、1種のマーキング物質
を識別情報を表すように、異なる濃度で所定の混合比で
ごく微量だけ上記ホスト材料に混入する。
【0014】好適には、上記分析は、波長の吸収スペク
トル解析法、元素同位体比率同定法、光学活性物質の鏡
像体比率同定法、各種クロマトグラフィ技術、核磁気共
鳴スペクトル解析法、複数の物質の混合比率の特定方法
などのいずれかを用いる。
【0015】本発明の第1の観点において、識別の対象
とするホスト材料に、上記ホスト材料およびそのホスト
材料と合成などする他の材料の特性を変化させず、混入
したマーキング物質が混入状態で分析可能な物質である
1または複数のマーキング物質と、該マーキング物質の
混入状態を定量化する基準マーキング物質とを混入する
ことにより、ホスト材料に識別情報を付与する。
【0016】本発明の第2の観点において、上記のよう
にホスト材料に識別情報を付与したホスト材料を分析し
て上記マーキング物質を検出してホスト材料を同定す
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の材料識別方法の実施の形
態を添付図面を参照して述べる。図1は本発明の材料識
別方法の実施の形態の処理を図解したフローチャートで
ある。図1に図解した材料識別方法は、大別すると、
(1)ホスト材料へのマーキング物質の付与(マーキン
グ)段階と、(2)ホスト材料の使用段階と、(2)ホ
スト材料の識別段階になる。本明細書において、分析の
対象となる合成材料物質などの原材料をホスト材料(ま
たはホスト物質)と呼び、ホスト材料を識別するために
ホスト材料に混入する物質をマーキング物質(またはマ
ーキング材料)と呼ぶ。マーキング物質の混入条件など
については後述する。
【0018】図1に図解したフローチャートの処理を述
べる。まず、ホスト材料へのマーキング物質の付与段階
の工程を述べる。
【0019】ステップ1:ホスト材料の準備 ホスト材料を準備する。この準備工程において、ホスト
材料の種別に応じてその準備内容は異なる。たとえば、
ホスト材料が液体、粉末体などの合成材料物質の場合
は、この準備工程において、複数の物質を用いた合成材
料物質を合成する。ホスト材料としては、2種以上の物
質、材料を混合、合成したものに限らず、元素物質など
の単体の材料であってもよい。元素物質は公知のクロマ
トグラフィ技法などで識別可能であるが、後述するホス
ト材料の識別段階において識別する技法を適用すること
により、クロマトグラフィ技法を適用するような効率的
になることがあるからである。ホスト材料として単体の
材料を識別の対象とする場合は、この準備工程におい
て、単体の材料を準備するだけとなる。
【0020】ステップ2:マーキング処理 ホスト材料に対してマーキング物質を付加して(混入し
て)マーキング処理を行う。
【0021】マーキング物質としては下記の条件を持つ
ことが好ましい。 (1)ホスト材料およびそのホスト材料と合成などする
他の材料の特性を変化させないこと。そのためには、下
記の要件が必要である。ホスト材料およびそのホスト材
料と合成などする他の材料の特性とは異なる物質、およ
び/または、ホスト材料およびそのホスト材料と合成な
どする他の材料の特性に影響を及ぼさない程度の微量の
マーキング物質を混入する。 (2)混入したマーキング物質が、混入状態で、既知ま
たは慣用技術によって、短時間で、容易に分析可能な物
質であること。 (3)ホスト材料に混入したマーキング物質が、ホスト
材料のその後の合成などの工程において変質して分析が
困難にならないこと。 (4)マーキング物質は、容易に入手でき、低価格であ
り、しかも、環境などに悪影響を与えない物質であるこ
と。 (5)非破壊分析に適したもの。
【0022】本実施の形態においては、さらに、下記の
ようにマーキング処理を行う。 (a)分析可能な特性の異なる、複数のマーキング物質
を、識別の対象となるホスト材料に、意図的に設定した
混合比で、ごく微量だけ混入する。たとえば、図1に図
解のように、導入情報として、2進数ビット(バイナリ
ビット(b))表記で“11001001“(10進数
で201)を設定し、1種のマーキング物質の濃度を変
えた4種の混合比=a:b:c:dを決定しておく。マ
ーキング物質はそれぞれ、上述した条件を満足するもの
とする。または、1種のマーキング物質の濃度を変える
ことに変えて、4種の異なるマーキング物質を用いもよ
い。さらに4種のマーキング物質の濃度をそれぞれ変化
させてその混合比を変化させてもよい。上記の例示のよ
うに、混合比を変化させることにより、1物質当たりの
情報を多値にすることができ、多数の識別を可能にする
ことができる。もちろん、多数のホスト材料の識別を行
わない場合は、多値化を目的とするつ混合比の変化は必
要ない。以下の例は、複数のホスト材料を識別するため
に混合比を変化させて多値化を図った場合を主体に述べ
る。マーキング物質の条件としては、分子構造がホスト
材料に類似しており、ホスト材料に対する混合特性が近
似していて、かつ、ホスト材料と若干の構造の違いを有
し、その構造の違いが高感度に分析、検出可能なもので
あるものが望ましい。そのようなマーキング物質として
は、たとえば、立体異性体、光学異性体、幾何異性体、
同位体、ホスト材料との類似物質などを選択することが
できる。
【0023】(a)上述したマーキング物質をホスト材
料に混入するとき、基準となるマーキング物質をも混入
することが望ましい。基準マーキング物質は、上述した
マーキング物質の混入比を定量化するのに使用するもの
であり、上述したマーキング物質とは異なる、マーキン
グ物質と同様、上述した条件を満たすものを用いる。
【0024】ステップ3:ホスト材料の使用 以上のようにマーキング物質が混入されたホスト材料を
使用する。ホスト材料としては、液体(流体)、気体、
固体などの種々の形態のものが対称となるから、ホスト
材料の使用としては種々の形態がある。たとえば、ホス
ト材料と他の材料を混合して(合成して)新たな材料を
製造する場合がある。また、ホスト材料を物体の表面に
塗布する場合もある。さらに、ホスト材料を加熱溶融し
て、加工する場合もある。ホスト材料を単に輸送する場
合もある。これらのホスト材料の使用において、マーキ
ング物質が変容しないことは上述したとおりである。
【0025】ステップ4:ホスト材料の分析 ホスト材料の分析も種々の形態がある。たとえば、化学
製品の製造ラインの途中でホスト材料を用いた合成材料
物質を抽出して(サンプリングして)ホスト材料の分析
を行う場合がある。あるいは、ホスト材料を用いた製品
が廃棄されたとき、その廃棄物からホスト材料を特定す
るために廃棄物の組成を分析する場合がある。または、
液体のホスト材料が、たとえば、輸送管内を輸送されて
いるときそのホスト材料を識別する場合がある。ホスト
材料の種々の分析において、共通する事項は、分析の対
称となるホスト材料を含む物質、破片などを試料として
分析装置にかけることである。以下、分析装置を用いて
上記マーキング物質を分析する方法について述べる。
【0026】マーキングの識別分析方法として、公知の
各種波長の吸収スペクトル解析法、元素同位体比率同定
法、光学活性物質の鏡像体比率同定法、各種クロマトグ
ラフィ技術、核磁気共鳴スペクトル解析法、複数の物質
の混合比率の特定方法などが好適であり、非破壊的に行
うことが好ましい。
【0027】以下、具体的な例として、図2を参照し
て、ホスト材料として液体の物質を用い、光吸収スペク
トル解析法を用いた例を述べる。ステップ1のマーキン
グ段階において、吸収波長の異なる4種のマーキング物
質と、1種の基準マーキング物質を用意する。4種のマ
ーキング物質について、分析によて測定可能な3つの濃
度を設定する。マーキング物質が存在しないことも考慮
すると、この例において、1種のマーキング物質当たり
4つの情報(2進数で2ビット分の情報)を表すことが
できる。各マーキング物質の吸収強度は、マーキング物
質をホスト材料に導入(混入)した比率を変化させない
基準マーキング物質の吸収強度を基準して予め求めてお
いた検量値(検量線)を用いて定量化しておく。
【0028】光吸収スペクトル解析装置を用いて、ホス
ト材料を分析した結果としてのスペクトル分布を図2に
例示する。図2において、横軸は吸収波長を示し、縦軸
は吸収強度を示す。波長λ0 をピークに持つ曲線は基準
マーキング物質Sのスペクトル強度を示す。波長λ1
λ2 ,λ3 ,λ3 をピークに持つ曲線はそれぞれ、混合
比=a:b:c:dの4つのマーキング物質のスペクト
ル強度を示す。波長λ1 をピークに持つ混合比aのマー
キング物質について、4本の曲線を示しているが、濃度
を変化させて識別情報を多値化した場合について例示し
ている。最も吸収強度が低い曲線で表される識別値0
(2進数で“00“)は、そのマーキング物質が混入さ
れていない時のスペクトルであり、濃度が高くなるにつ
れて、識別値1(2進数で“01“),2(2進数で
“10“),3(2進数で“11“)で示される曲線の
ピークも高くなる。波長λ2 ,λ3 ,λ3 をピークに持
つ曲線についても、波長λ1 をピークに持つ混合比aの
マーキング物質と同様である。
【0029】ただし、識別情報の値0〜3は、マーキン
グ物質の吸収強度の絶対値では識別していないことに留
意されたい。マーキング物質の最大吸収強度はそれぞれ
の波長で異なる。たとえば、波長λ3 において最大ピー
クとなるマーキング物質cの識別情報=3は最大ピーク
のときで、この最大ピークは、波長λ4 において最大ピ
ークが存在するマーキング物質dの識別情報=2の吸収
強度より低いが、波長λ3 において最大ピークとなるマ
ーキング物質cの識別情報は、他の波長とは関係なく、
波長λ3 におけるピークの相対値によって識別情報を0
〜3に規定している。それぞれのマーキング物質のそれ
ぞれのピークと、基準マーキング物質のピークとの比率
が事前に定量値として規定されて、そのマーキング物質
の識別状態を同定するのに使用される。
【0030】吸収強度のピークの最大値を示す波長から
物質の種別が同定できる。基準マーキング物質のスペク
トル強度は最大であり、一定である。その結果、基準マ
ーキング物質のスペクトル強度を基準に他のマーキング
物質の吸収強度を定量化することができ、そのマーキン
グ物質の濃度を識別できる。
【0031】このように、高感度に物質および濃度が分
析でき、複数の濃度を安定に区別できれば、一つのマー
キング物質当たり、複数(多値)の識別情報を付与する
ことができる。この例示においては、4種のマーキング
物質を用い、それぞれ4値の情報を付与しているので
(識別できるので)、これらの全ての組み合わせを考慮
すると、下記表のように、合計256通りの識別情報と
なる。
【0032】
【表1】 表1 マーキング物質 a b c d 合計 識別情報数 4種 4種 4種 4種 256 (11)b (11)b (11)b (11)b
【0033】ステップ5:マーキング物質の混入比率の
算出 図3は図1のステップ2において、導入情報として、2
進数ビット(バイナリビット(b))表記で“1100
1001“(10進数で201)を設定してマーキング
物質をホスト材料に混入した分析結果を示すグラフであ
る。光吸収スペクトル解析装置は、最大ピークを示す波
長からその波長を吸収波長とするマーキング物質を識別
する。
【0034】次いで、光吸収スペクトル解析装置は、基
準マーキング物質との吸収強度の比率を計算する。それ
ぞれのマーキング物質の吸収強度と基準マーキング物質
の吸収強度との比率は、上述したように、定量化された
値として光吸収スペクトル解析装置に記憶されている。
したがって、光吸収スペクトル解析装置は、その定量化
された値を参照して、それぞれの波長におけるマーキン
グ物質の識別値を決定する。たとえば、図3に図解した
マーキング物質aの吸収強度は、図2に図解したグラフ
を参照すると明瞭なように、識別情報=3(11)に相
当する。
【0035】光吸収スペクトル解析装置は、波長λ1
λ2 ,λ3 ,λ3 のマーキング物質a,b,c,dのそ
れぞれの識別情報を、“3“,“0“,“2“,“1
“と同定した後、これらを下記のごとく、上位のマーキ
ング物質aから2進数の2ビットごと、桁をずらした状
態で加算して、総合識別情報を合成する。
【0036】
【表2】 表2 マーキング物質 識別情報 2進数値 a 3 11 00 00 00 b 0 00 00 00 00 c 2 00 00 10 00 d 1 00 00 00 01 11 00 10 01
【0037】上記のように光吸収スペクトル解析装置
は、2進数=11001001(10進数=201)で
同定されるマーキング物質a,b,c,dを識別する。
光吸収スペクトル解析装置はその識別結果を利用者に認
識可能な形態で出力する。その結果、利用者はホスト材
料の種別を理解することができる。
【0038】以上のように、本発明の実施の形態によれ
ば、ホスト材料を識別できる。特に、本実施の形態にお
いては、複数のマーキング物質と基準となるマーキング
物質を用いることにより、正確にマーキング物質を検出
し、最終的にホスト材料を識別できる。また本実施の形
態においては、既存の光吸収スペクトル解析装置を用い
ることにより,容易にホスト材料の識別が可能となる。
【0039】本発明の実施に際しては、ホスト材料とし
ては、気体、液体、流体、流動体、固体、固溶体など種
々の物質を適用できる。もちろん、マーキング物質は、
これらのホスト材料としての物質の特性とその後の利用
形態、たとえば、そのホスト材料を他の材料と合成する
とか、そのまま使用するとかに応じて適宜決定する。そ
れゆえ、マーキング物質としては、上記例示した立体異
性体、光学異性体、幾何異性体、同位体、ホスト材料と
の類似物質などには限定されない。同様に、その分析方
法としては、上記例示した波長の吸収スペクトル解析
法、元素同位体比率同定法、光学活性物質の鏡像体比率
同定法、各種クロマトグラフィ技術、核磁気共鳴スペク
トル解析法、複数の物質の混合比率の特定方法などには
限定されない。
【0040】
【実施例】以下、本発明の上述した実施の形態に基づく
実施例を述べる。
【0041】
【第1の実施例】図4は第1の実施例として、メチル基
を有する有機物(ホスト材料)に、フェニルメチルケト
ン誘導体をマーキング物質として使用した実施例を示
す。基準マーキング物質として、4−1のフェニルメチ
ルケトンを使用する。この実施例においては、3種のマ
ーキング物質を用いた。すなわち、ホスト材料としての
メチル基に、塩素(4−2マーキング物質a)、ニトロ
基(4−3マーキング物質b)、スルフォニル基(4−
4マーキング物質c)のマーキング物質を混入させた。
これらマーキング物質の混入の度合いと識別情報との関
係を下記に示す。
【0042】
【表3】 表3 マーキング物質 識別情報 2進数ビット表記 塩素(4−2マーキング物質a) 3 11 00 00 ニトロ基(4−3マーキング物質b) 1 00 10 00 スルフォニル基(4−4マーキング物質c) 2 00 00 10 総合識別情報 11 10 10 (10進数表記 54)
【0043】図5は水素核磁気共鳴スペクトル分析装置
(H−NMR装置)を用いて上記マーキング物質が混入
されたホスト材料を分析した結果を示すグラフである。
横軸は濃度(ppm)を示し縦軸はH(水素)数を示
す。図4に図解したように、メチル基に付加している水
素は立体的に等価であり、H−NMR装置による分析結
果によれば、2.55ppmに鋭いH数のピークを持つ
結果が観測できた。この分裂していないピーク(シング
レット・ピーク)を持つ曲線は基準マーキング物質であ
る、4−1のフェニルメチルケトンに相当している。そ
の両側に、4−2,4−3および4−4のフェニルメチ
ルケトン誘導体のH数のピークが検出された。
【0044】メチル基に、塩素(4−2マーキング物質
a)、ニトロ基(4−3マーキング物質b)、スルフォ
ニル基(4−4マーキング物質c)などの電子吸引また
は電子供与基を導入することにより、メチル基の検出ピ
ークが図5に図解したように、シフトし、これらのマー
キング物質を定量的かつ離散的に検出できた。H−NM
R装置を用いて、濃度からそれぞれのマーキング物質を
同定し、それらのピーク値から識別値を検出し、その結
果を合成すると、表3に示した総合識別情報=54(1
0進数)が得られた。
【0045】
【第2の実施例】図6は第2の実施例として、マーキン
グ物質として脂肪酸誘導体であるカルボン酸誘導体の異
性体を用いた例を示す図である。マーキング物質は、O
H基とCH3 基との立体構造により、25 個の物理的性
質が若干異なる立体異性体が存在する。そこで、図6に
図解したように、マーキング物質の混合比率を変化させ
て、基準マーキング物質の強度を基準にしてマーキング
物質を識別してホスト材料を同定することを意図した。
図6に図解した実施例は、水素原子の配置に応じて、識
別情報を下記のごとく規定した。
【0046】
【表4】表4 5−1基準マーキング物質 11 11 11 5−2マーキング物質a 01 00 01 5−3マーキング物質b 11 10 01 5−4マーキング物質c 11 10 11
【0047】図7は図6に図解した実施例のホスト材料
を液相クロマトグラフィ分析装置を用いて分析した結果
を示す。横軸は濃度(ppm)を示す。液相クロマトグ
ラフィ分析装置は、上述した水素核磁気共鳴スペクトル
分析装置(H−NMR装置)と同様、5−1基準マーキ
ング物質、5−2〜5−3マーキング物質をそのピーク
値が位置する濃度から算出し、基準マーキング物質の値
に対するそれらのマーキング物質のピーク値の比率を算
出して、それぞれの識別値を算出し、それらを総合して
ホスト材料を同定した。
【0048】本発明は上述した実施の形態および上述し
た実施例に限らず、種々のホスト材料の識別に適用でき
る。たとえば、輸送管を介して遠隔地まで輸送される流
体または液体を識別するため、輸送元において、流体ま
たは液体をホスト材料として、マーキング物質を微量混
入させることにより、識別情報を付与して流体または液
体を輸送させ、需給端において分析装置を用いて分析す
ることにより、どこの輸送元から輸送された流体または
液体かを識別することができる。
【0049】また、有害物質、危険物体に上述した方法
で識別情報を付与した状態で加工、合成などして使用し
た場合、環境に流出した有害物質、危険物体を識別する
ことができる。
【0050】さらに、たとえば、ホスト材料としての溶
融状態の鉄に、溶融鉄に混入しても蒸発しないマーキン
グ物質を上記方法で識別情報を付与するように、混入し
て、冷却した固体になった鉄を分析してマーキング物質
の混入程度からその鉄の状態を識別することができる。
【0051】
【発明の効果】本発明の第1の観点によれば、識別の対
象とするホスト材料に該ホスト材料を識別する情報とし
て上記ホスト材料およびそのホスト材料と合成などする
他の材料の特性を変化させず、混入したマーキング物質
が混入状態で分析可能な物質である1または複数のマー
キング物質と、該マーキング物質の混入状態を定量化す
る基準マーキング物質とを混入して、ホスト材料を識別
可能にすることができる。特に、本発明によれば、ホス
ト材料の特性を変化させないのでマーキング物質を混入
することに起因する問題が少ない。
【0052】また本発明の第2の観点によれば、識別の
対象とするホスト材料に該ホスト材料を識別する情報と
して1または複数のマーキング物質と、該マーキング物
質の混入状態を定量化する基準マーキング物質とを混入
した後、そのホスト材料が使用された後、上記マーキン
グ物質および上記基準マーキング物質が混入された上記
ホスト材料または該ホスト材料を含有する物質を分析し
て上記マーキング物質を検出して検出されたマーキング
物質の混入結果から上記ホスト材料を同定することがで
きる。すなわち、本発明によれば、複数のマーキング物
質と基準となるマーキング物質を用いることにより、正
確にマーキング物質を検出し、最終的にホスト材料を識
別できる。
【0053】特に、本発明においては、上記ホスト材料
およびそのホスト材料と合成などする他の材料の特性を
変化させず、混入したマーキング物質が混入状態で分析
可能なマーキング物質を用いるので、ホスト材料および
ホスト材料を合成した合成材料物質に対する影響が少な
い。同様に、上記ホスト材料およびそのホスト材料と合
成などする他の材料の特性とは異なる物質、および/ま
たは、ホスト材料およびそのホスト材料と合成などする
他の材料の特性に影響を及ぼさない程度の微量だけマー
キング物質を上記ホスト材料に混入するので、ホスト材
料およびホスト材料を合成した合成材料物質に対する影
響が少ない。
【0054】さらに本発明においては、既存の分析技術
を用いることができるので、正確かつ容易にホスト材料
を分析して識別できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の材料識別方法の実施の形態の処
理を図解したフローチャートである。
【図2】図2は本発明の実施の形態として、光吸収スペ
クトル解析装置を用いて、ホスト材料を分析した結果と
してのスペクトル分布を図解したグラフである。
【図3】図3は図1のステップ2において、導入情報と
して、2進数ビット表記で“11001001“を設定
してマーキング物質をホスト材料に混入した分析結果を
示すグラフである。
【図4】図4は第1の実施例として、メチル基を有する
ホスト材料に、フェニルメチルケトン誘導体をマーキン
グ物質として使用した実施例を示す図である。
【図5】図5は本発明の第1実施例として、水素核磁気
共鳴スペクトル分析装置(H−NMR装置)を用いてマ
ーキング物質が混入されたホスト材料を分析した結果を
示すグラフである。
【図6】図6は本発明の第2の実施例として、マーキン
グ物質として脂肪酸誘導体であるカルボン酸誘導体の異
性体を用いた例を示す図である。
【図7】図7は図6に図解した第2の実施例について液
層クロマトグラフィ分析装置を用いて分析した結果を示
すグラフである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】識別の対象とするホスト材料または物質に
    該ホスト材料を識別する情報として、上記ホスト材料お
    よびそのホスト材料と合成などする他の材料の特性を変
    化させず、混入したマーキング物質が混入状態で分析可
    能な物質である1または複数のマーキング物質と、該マ
    ーキング物質の混入状態を定量化する基準マーキング物
    質とを混入する材料識別方法。
  2. 【請求項2】識別の対象とするホスト材料または物質に
    該ホスト材料を識別する情報として1または複数のマー
    キング物質と、該マーキング物質の混入状態を定量化す
    る基準マーキング物質とを混入し、 上記ホスト材料が使用された後、上記マーキング物質お
    よび上記基準マーキング物質が混入された上記ホスト材
    料または該ホスト材料を含有する物質を分析して、上記
    マーキング物質を検出し、 検出されたマーキング物質の混入結果から上記ホスト材
    料を同定する材料識別方法。
  3. 【請求項3】上記マーキング物質は、上記ホスト材料お
    よびそのホスト材料と合成などする他の材料の特性を変
    化させず、混入したマーキング物質が混入状態で分析可
    能な物質である、請求項2記載の材料識別方法。
  4. 【請求項4】上記マーキング物質は、上記ホスト材料お
    よびそのホスト材料と合成などする他の材料の特性とは
    異なる物質、および/または、ホスト材料およびそのホ
    スト材料と合成などする他の材料の特性に影響を及ぼさ
    ない程度の微量だけ上記ホスト材料に混入する、請求項
    3記載の材料識別方法。
  5. 【請求項5】上記マーキング物質は、立体異性体、光学
    異性体、幾何異性体、同位体、ホスト材料との類似物質
    などの任意のものを選択して使用する、請求項4記載の
    材料識別方法。
  6. 【請求項6】上記マーキング物質として、複数のマーキ
    ング物質を識別情報を表すように、所定の混合比でごく
    微量だけ上記ホスト材料に混入する、請求項5記載の材
    料識別方法。
  7. 【請求項7】上記マーキング物質として、1種のマーキ
    ング物質を識別情報を表すように、異なる濃度で所定の
    混合比でごく微量だけ上記ホスト材料に混入する、請求
    項5記載の材料識別方法。
  8. 【請求項8】上記分析は、波長の吸収スペクトル解析
    法、元素同位体比率同定法、光学活性物質の鏡像体比率
    同定法、各種クロマトグラフィ技術、核磁気共鳴スペク
    トル解析法、複数の物質の混合比率の特定方法などのい
    ずれかを用いる、請求項5記載の材料識別方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014206548A (ja) * 2008-12-17 2014-10-30 ザ ルブリゾル コーポレイションThe Lubrizol Corporation 機能性流体用光学活性マーカー

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014206548A (ja) * 2008-12-17 2014-10-30 ザ ルブリゾル コーポレイションThe Lubrizol Corporation 機能性流体用光学活性マーカー

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