JP2000179011A - 遮断弁設置水槽 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は地震時の振動変位等に起因する受水槽
または高置水槽の壁面や給水配管の破損を防止し、水槽
内の貯留水流出を効果的に防止し得る遮断弁設置水槽に
関するものである。 【解決手段】水槽の給水配管に遮断弁を取り付けてなる
遮断弁設置水槽において、可とう性配管を接続した遮断
弁を水槽の壁面に取り付けたことを特徴とする遮断弁設
置水槽。１・遮断弁、２・水槽、３・配管部材、４・制
御装置、５・給水配管、６・可とう性配管、７・遮断弁
固定部。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は地震時の振動変位等
に起因する受水槽または高置水槽の壁面や給水配管の破
損を防止し、水槽内の貯留水流出を効果的に防止し得る
遮断弁設置水槽に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】飲料水の供給や非常用水確保のための給
水設備として、従来から受水槽や高置水槽が設置されて
いる。これらの給水設備においては一般的に地震時の給
水配管破損による貯留水の流出を防止するために感震器
により地震を検知し、この感震器から出る信号をもとに
遮断弁を自動的に閉鎖するようにした緊急遮断弁が設置
されている。このような緊急遮断弁を水槽に設置する場
合、水槽の給水取り出し口に接続される給水配管の途中
に設置するか、または水槽の給水取り出し口外側に直接
設置する水槽外設置の方法と、水槽の給水取り出し口内
側に直接または配管部材を介して設置する水槽内設置の
方法とがある。そして、緊急遮断弁と水槽の設置に関
し、基本的に水槽と緊急遮断弁およびその配管部材や供
給配管は地震時に一体となって同じ動きをするという考
え方が支配的であったため、配管部材等には何ら地震対
策が施されていないのが現状である。

【０００３】また、緊急遮断弁は大口径ともなると重量
物になるため固定部を要するが、固定部を給水取り出し
口となっている水槽の壁面１箇所とするとその重量によ
り壁面に多大な負荷をかけることになり、水槽の壁面破
損による貯留水流出の原因ともなる。さらに、緊急遮断
弁に一般の電動弁等を採用した場合、壁面１箇所固定で
はその構造から設置方法が複雑となり設置に困難を極め
ることとなる。そこで、水槽の形状に合わせた特殊な遮
断弁が必要となるが、このような特殊弁は一般の電動弁
等に比較して機構が複雑なものとなり、緊急遮断弁とし
ての基本性能や操作性に優れたものとすることは困難で
ある。

【０００４】一方、緊急遮断弁に２箇所以上の固定部を
設けた遮断弁設置水槽が知られている。しかしながら、
この場合にあっても地震の際に水槽と緊急遮断弁および
配管部材が一体となって同じ動きをしなければ、地震時
の変動水圧や供給配管の振動、変位によって発生する外
圧が直接水槽に作用してしまい、その結果水槽との固定
部や給水取り出し口に多大な負荷がかかり、最終的には
水槽壁面が破壊されて貯留水が流出するという致命的な
損害が発生する可能性がある。

【０００５】また、緊急遮断弁に２箇所以上の固定部を
設けた場合、水槽側の加工寸法と緊急遮断弁側の加工寸
法が狂うことによる貯留水の漏洩が懸念される。したが
って、水槽側への厳密な加工精度が要求され、工事現場
での加工に困難を要することになる。さらに、緊急遮断
弁や配管部材側の固定部にも厳密な加工精度が要求さ
れ、従来の配管部材とは異なる追加の加工工程や追加の
検査工程が必要となって経済的に問題のあるものとな
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来の遮断弁設置水槽を改良したものであって、地震が発
生しても遮断弁の設置時に起因する水槽壁面を破損を防
止することができ、貯留水を流出させることがなく、設
置方法が単純で設置が容易な遮断弁設置水槽の提供を目
的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は以上の課題を解
決するためになされたものであって、その主旨は、水槽
の給水配管に遮断弁を取り付けてなる遮断弁設置水槽に
おいて、可とう性配管を接続した遮断弁を水槽の壁面に
取り付けたものであり、好ましくは遮断弁を水槽の内部
に取り付けたものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明において遮断弁は水槽壁面
に設けられた給水取り出し口に接続される。給水取り出
し口は一般に水槽の側壁下部に設けられるが、水槽の設
置状況や建物側との位置関係によっては水槽の底壁とす
ることもできる。遮断弁は供給の必要に応じて開閉され
るものであるが、特に地震等の際に供給配管が破損して
貯留水が流出する事態を防止するために、水槽近辺に設
けられた感震器からの指令を受けて自動的に遮断弁を閉
じるようにした緊急遮断弁が使用される。遮断弁は水槽
の外部と内部のどちらにも接続することができるが、水
槽の内部に接続すれば水槽設置スペ−スを狭くすること
ができて有利である。また、遮断弁を水槽壁面の給水取
り出し口に直接接続することも可能であるが、一般的に
は配管部材を介して接続される。

【０００９】また、極めて小口径の遮断弁の場合は、遮
断弁自体が軽量であるため配管部材を介したとしても給
水取り出し口にフランジ接続するだけで水槽の側壁強度
に影響を及ぼすことはないが、大口径のものともなると
重量物になるため他に固定部を要する。固定部は、水槽
の外部に遮断弁を設置した場合には水槽の基盤部材の延
長上に、内部に設置した場合には水槽の底壁になるが、
いずれにしろこのままでは地震時に水槽の側壁や底壁を
破損する可能性があることは避けられない。

【００１０】しかしながら、本発明における遮断弁には
可とう性配管が接続されている。可とう性配管の接続位
置は、遮断弁を水槽内に設置した場合には配管部材と遮
断弁との間または給水取り出し口と配管部材との間と
し、遮断弁を水槽外に設置した場合には遮断弁と給水配
管との間とすればよい。可とう性配管の接続により、緊
急遮断弁を水槽内に設置した場合に地震による変動水圧
や静水圧の影響によって側壁と底壁とが異なるモ−ドで
振動しても、可とう静配管が各種外力の吸収材として作
用するため水槽の給水取り出し口や緊急遮断弁の固定部
に負荷をかけることがなく水槽壁面の破損を防止でき
る。また、可とう性配管が設置時の寸法誤差を吸収する
ようにも作用するため厳密な各種加工精度を必要とする
ことがなく、水槽側の固定部の加工は現地で容易に行な
うことができ、工場での加工においても寸法公差は従来
と同等以下でよい。さらに、緊急遮断弁や配管部材側の
固定部の寸法公差も一般の配管部材と同等以下で良く、
これにより新たな経済的負担の発生も避けることができ
る。

【００１１】また、緊急遮断弁を水槽外に設置した場
合、緊急遮断弁を水槽の給水取り出し口に取り付け、緊
急遮断弁と給水配管との間に可とう性配管を組み込むこ
とによって地震の際にも水槽と緊急遮断弁とが一体の動
きを取ることとなり、給水配管の振動、変位による負荷
は可とう性配管に吸収されることとなる。これにより水
槽の給水取り出し口の破損を防止することができ、万一
給水配管が破損しても緊急遮断弁が自動閉動作すること
で水槽内の貯留水の確保ができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の好ましい形態を図面により説
明する。図１は緊急遮断弁を水槽内に設置した本発明の
遮断弁設置水槽を示す側面図、図２はその一部を切り欠
いた正面図である。本実施例において遮断弁は自動開閉
機構付きの緊急遮断弁１であり、水槽２の側壁下部に設
けられた給水取り出し口の内側に配管部材３および可と
う性配管６を介して接続される。ここで、配管部材３と
可とう性配管６とは相互に入れ替えてもよい。また、緊
急遮断弁１は図示しない感震器が地震を検知すると制御
装置４からの指令によって自動的に閉じるようになって
おり、たとえ給水配管５に破損が生じても貯留水の流出
を防止できるようになっている。

【００１３】また、緊急遮断弁１は水槽２の底壁に固定
部７で固定されている。底壁への固定は緊急遮断弁１の
重量を支持する上で有利であるが、水槽２の側壁とする
こともできる。給水取り出し口についても水槽設置状況
や建物側との位置関係により水槽底壁とすることができ
る。なお、配管部材３は必ずしも必要なものではなく、
可とう性配管６のみを接続しても地震時の外力、振動や
変位による負荷を水槽の給水取り出し口等に伝えること
なく可とう性配管６で吸収することが可能となる。ま
た、可とう性配管を水槽外部の配管部材３と給水配管５
との間に追加することもできる。

【００１４】図３は緊急遮断弁を水槽外に設置した本発
明の遮断弁設置水槽を示す側面図、図４はその正面図で
ある。本実施例において緊急遮断弁１は水槽２の側壁下
部に設けられた給水取り出し口の外側に配管部材３を介
して接続され、水槽の基盤部材の延長上に固定部７で固
定されている。そして、緊急遮断弁１と給水配管５との
間に可とう性配管６が接続され地震時の外力等を吸収す
るようになっている。なお、配管部材３と可とう性配管
６とは相互に入れ替えて接続することができ、この場合
緊急遮断弁は地面のコンクリ−ト基盤上に固定すればよ
い。また、配管部材３は必ずしも必要なものではない。

【００１５】

【発明の効果】本発明は可とう性配管を接続した遮断弁
を水槽の壁面に取り付けたので、地震時でも可とう性配
管が振動変位を吸収するため、給水取り出し口が設けら
れた水槽壁面や遮断弁を取り付けた壁面に外力が作用せ
ず負荷をかけることがない。また、遮断弁の可動部が設
置時の寸法誤差の吸収役としても作用するので厳密な各
種加工精度が必要とされず、遮断弁取り付け部の加工を
現地で容易に行うことができ、工場加工においても寸法
公差は従来と同等以下でよい。さらに、遮断弁とその配
管部材の水槽接続部の寸法公差も一般の配管部材と同等
以下でよく、これにより製品またはシステムの新たな経
済的負担を避けることができ、遮断弁固定部を複数設け
て汎用の電動弁を利用することができる。また、遮断弁
を水槽の内部に取り付ければ、水槽設置スペ−スを狭く
することができて有利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は遮断弁を水槽内に設置した場合の本発明
の遮断弁設置水槽を示す側面図である。

【図２】図２は図１の実施例における遮断弁設置水槽の
一部切り欠き正面図である。

【図３】図３は遮断弁を水槽外に設置した場合の本発明
の遮断弁設置水槽を示す側面図である。

【図４】図４は図３の実施例における遮断弁設置水槽の
正面図である。

【符号の説明】

１‥遮断弁、 ２‥水槽、 ３‥配管部材、 ４‥制御装置、 ５‥給水配管、 ６‥可とう性配管、 ７‥遮断弁固定部。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水槽の給水配管に遮断弁を取り付けてな
   る遮断弁設置水槽において、可とう性配管を接続した遮
   断弁を水槽の壁面に取り付けたことを特徴とする遮断弁
   設置水槽。
2. 【請求項２】 遮断弁を水槽の内部に取り付けたことを
   特徴とする請求項１に記載の遮断弁設置水槽。