JP2000146820A - 棒状物品の通気検査方法及びその装置 - Google Patents

棒状物品の通気検査方法及びその装置

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JP2000146820A JP10320757A JP32075798A JP2000146820A JP 2000146820 A JP2000146820 A JP 2000146820A JP 10320757 A JP10320757 A JP 10320757A JP 32075798 A JP32075798 A JP 32075798A JP 2000146820 A JP2000146820 A JP 2000146820A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検査用の空圧や大気圧の変動に影響されるこ
となく、正確な通気検査を行うことができる棒状物品の
通気検査方法及びその装置を提供する。 【解決手段】 インスペクションドラム1において、空
圧源から供給されるテスト圧をダブルフィルタシガレッ
トCの一端に入力する。このとき、テスト圧は空圧経路
46にも分配して入力されており、この空圧経路46か
らは、所定の基準圧が出力される。通気検査は、この基
準圧とダブルフィルタシガレットCの他端から出力され
た空圧とを大小比較して行うことができ、判定回路48
では、差圧センサ32からの差圧信号ΔPに基づいてダ
ブルフィルタシガレットCの通気度の良否を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、棒状物品として
例えば、シガレットの通気度を検査するのに好適した棒
状物品の通気検査方法及びその装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】例えば、シガレット製品等の棒状
物品にあっては、その製造過程において通気検査が行わ
れ、この検査の結果、巻紙の破れや糊付け不良等による
通気漏れのある不良品は排除される。このような通気検
査を行うための方法としては例えば、検査用の空圧をシ
ガレットの一端に入力し、その他端から出力される空圧
を検出して、この検出圧の絶対的な大きさに基づいて通
気度を検査する方法が挙げられる。この公知の方法で
は、シガレット製品に固有の通気特性に基づいて決定さ
れる出力圧の基準値、つまり、基準圧を予め設定してお
き、そして、得られた検出圧がこの基準圧を超える場合
は巻紙に通気漏れがなく、これに対し、検出圧が基準圧
に達しない場合は巻紙に通気漏れがあるものとして扱わ
れる。
【0003】その他の方法として、シガレットの一端に
空圧を入力する際、その他端を閉塞しておき、そして、
入力圧を検出して同様に通気検査を行う方法や、シガレ
ットの両端から検査用の空圧を入力し、この入力圧を検
出して通気検査を行う方法もまた知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した公知の検査方
法は、シガレットに入力する検査用の空圧や、検査を行
う場所における大気圧(雰囲気圧)が常に一定に保持さ
れている場合には有効であると考えられる。しかしなが
ら、通常、これら検査用の空圧や大気圧は不測に高低変
動しており、このため、得られる検出圧の絶対的な大き
さもまた不測に変動してしまう。このような状況にあっ
ては、多数のシガレットについて全て同一条件で通気検
査を行うことは困難であるし、検査結果の正確性を常に
確保することはできない。
【0005】この発明は上述の事情に基づいてなされた
もので、その目的とするところは、検査用の空圧や大気
圧の高低変動による影響を排除して、常に同等の条件で
正確な検査結果を得ることができる棒状物品の通気検査
方法及びその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的はこの発明に
より達成され、請求項1の棒状物品の通気検査方法は、
空圧源から供給される空圧を棒状物品の一端に入力する
とともに、その空圧を、棒状物品の所定の基準品と等価
な流通抵抗を有した空圧経路の一端にも分配して入力す
る。そして、これら棒状物品及び空圧経路の他端からそ
れぞれ出力される空圧を相対的に比較して、棒状物品の
通気度を検査するものとしている。
【0007】請求項1の通気検査方法によれば、棒状物
品及び空圧経路の一端に、同じ空圧源から同時に空圧が
入力される。このとき、空圧経路の他端から出力される
空圧は、棒状物品の所定の基準品について得られるべき
圧力、つまり、基準圧となる。従って、この基準圧と棒
状物品の他端から出力される空圧とを相対的に比較した
結果、基準圧の方が小さければ、棒状物品の通気度は良
好であると考えられ、これに対し、基準圧の方が大きい
場合は、通気度が不良であると考えられる。このような
検査において、空圧源における出力変動や大気圧変動が
あっても、その変動による影響は棒状物品の出力空圧及
び基準圧の両方に同様に現れるので、これら出力空圧と
基準圧とを相対的に比較する段階で、その変動による影
響は排除される。
【0008】この発明の請求項2の棒状物品の通気検査
装置は、空圧源及び入出力手段を備えており、この入出
力手段により、空圧源から供給される空圧を棒状物品の
一端に入力して、その他端から出力される空圧を取り出
すことができる。また、空圧源には空圧経路の一端が接
続されており、この空圧経路は一端から他端の間にて棒
状物品の所定の基準品と等価な流通抵抗を有している。
そして、請求項2の通気検査装置は、棒状物品及び空圧
経路の他端からそれぞれ出力される空圧を相対的に比較
して棒状物品における通気度を検査する検査手段を備え
たものとなっている。
【0009】請求項2の棒状物品の通気検査装置によれ
ば、入出力手段により検査対象の棒状物品に空圧が入力
されたときは、同時に空圧管路にも同じ空圧が入力され
ている。検査手段では、このときの棒状物品の出力空圧
の方が空圧管路の出力空圧よりも大きい場合、棒状物品
の通気度が良好であるものと判定され、これに対し、空
圧管路の出力空圧の方が大きい場合は、棒状物品の通気
度が不良であるものと判定される。
【0010】請求項3の通気検査装置における空圧経路
は、空圧の流通方向に延びる流通管路と、この流通管路
に介挿された第1の通気抵抗体と、流通管路に接続され
てこの管路内を大気に連通させる分岐管路と、この分岐
管路に介挿された第2の通気抵抗体とを含んでいる。こ
の場合、棒状物品の軸線方向に空圧を入出力するときの
空圧モデルにおいて、その軸線方向への通気抵抗は第1
通気抵抗体により、また、大気開放方向の通気抵抗は第
2通気抵抗体によりそれぞれ近似される。
【0011】また、請求項4の棒状物品の通気検査装置
は、空圧経路において第1及び第2通気抵抗体の少なく
とも一方の通気抵抗が変更可能となっている。この場
合、これらの抵抗比を変更することで、検査対象とする
棒状物品の通気特性に応じて空圧経路全体としての流通
抵抗を適宜調整することができる。請求項5の通気検査
装置は更に、棒状物品を吸引面に吸着保持した状態で、
所定の搬送経路に沿って搬送する搬送手段を備えてお
り、そして、搬送経路の途中には、棒状物品に対する空
圧の入力及び取り出しを可能とする検査位置が設けられ
ており、請求項5の装置は、この検査位置にて上述のよ
うに棒状物品の通気度を検査する。搬送手段により搬送
経路を搬送される棒状物品は、その吸引面による吸着力
を受けているが、搬送手段は上述の検査位置で吸引面に
よる吸着を解除する。
【0012】上述した請求項5の通気検査装置によれ
ば、棒状物品を搬送する過程でその通気検査を行うこと
ができるので、多量の棒状物品を連続的に検査するのに
適する。また、搬送過程における棒状物品の保持には吸
引面への吸着力が利用されており、棒状物品の取り扱い
性に優れる。通常、このような吸着力は棒状物品の内部
に空圧的な影響を及ぼすと考えられるが、その吸着を解
除される検査位置では何ら影響することはない。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の棒状物品の通気
検査方法を好適に実施するための装置について説明す
る。図1を参照すると、フィルタシガレット製造機に適
用された通気検査装置の概略的な構成が示されている。
なお、この実施例の通気検査装置は、フィルタシガレッ
ト製造機のフィルタアタッチメントにおける公知のイン
スペクションドラムに適用されるものである。
【0014】通気検査装置は回転可能なインスペクショ
ンドラム1を備えており、このインスペクションドラム
1の外周面には、軸線方向に延びる多数の保持溝2が形
成されている。個々の保持溝2には、図示しないフィル
タアタッチメントにてフィルタが装着された状態のシガ
レットCが巻きサポート部4を介して吸着保持されてお
り、この巻きサポート部4を通ってインスペクションド
ラム1内に形成されたサクション通路6には、図示しな
いサクション源からサクション圧が供給されている。そ
れ故、巻きサポート部4のシガレットCとの接触面は、
サクション圧による吸引面となっている。
【0015】なお、図1からも明らかなように、このシ
ガレットCは、個々のシングルフィルタシガレットとし
て切断される前のダブルフィルタシガレットである。ま
た、図示のダブルフィルタシガレットCにおいて、その
チップペーパには多数の微細孔が形成されている。個々
の保持溝2内で、ダブルフィルタシガレットCは、その
一端面がインスペクションドラム1のエンドプレート8
に当接している。また、インスペクションドラム1に
は、個々の保持溝2内にマウスピース10が配設されて
おり、このマウスピース10は、図示の回転位置でダブ
ルフィルタシガレットCの他端面に押し付けられてい
る。従って、ダブルフィルタシガレットCは、その両端
にてこれらエンドプレート8及びマウスピース10の間
に挟持された状態となっている。なお、マウスピース1
0はインスペクションドラム1の回転に伴い、図示しな
いカムフォロワ機構を介してリフトされるようになって
おり、それ故、フェースカム12にはカム面14が形成
されている。
【0016】インスペクションドラム1の両側には、入
力ターミナル16、出力ターミナル18を介してそれぞ
れ入力パイプ20、出力パイプ22が接続されている。
一方、エンドプレート8には、個々の保持溝2に対応し
て入力ポート24が形成されており、この入力ポート2
4は、エンドプレート8の外周面に開口している。ま
た、マウスピース10は、ホルダ26に形成された出力
ポート28に接続されている。
【0017】図示の状態で、入力パイプ20と出力パイ
プ22とは、ダブルフィルタシガレットCを介して相互
に連通した状態にある。すなわち、インスペクションド
ラム1において図示の位置にあるダブルフィルタシガレ
ットCは、一端が入力ポート24に接続され、また、他
端がマウスピース10を介して出力ポート28に接続さ
れている。また、入力ポート24と入力ターミナル1
6、及び、出力ポート28と出力ターミナル18とは相
互に連通している。入力パイプ20は、図示しない空圧
源に接続されており、それ故、インスペクションドラム
1が図示の回転位置にあるときは、空圧源から供給され
る空圧(テスト圧)は、入力パイプ20を通じてダブル
フィルタシガレットCの一端に入力され、そして、ダブ
ルフィルタシガレットCの他端から出力された空圧は、
出力パイプ22を通じて取り出される。
【0018】出力パイプ22は、エアチューブ30を介
して差圧センサ32の一方の入力ポートに接続されてお
り、それ故、差圧センサ32には、ダブルフィルタシガ
レットCの他端から出力された空圧を入力可能となって
いる。また、空圧源から供給されるテスト圧は、上述の
入力パイプ20を通じてダブルフィルタシガレットCに
入力される一方で、別の入力パイプ34にも分配されて
いる。この入力パイプ34は、エアチューブ36を介し
て差圧センサ32の他方の入力ポートに接続されてお
り、そして、エアチューブ36には、ニードルバルブ3
8が介挿されている。エアチューブ36において、ニー
ドルバルブ38よりも下流位置には、ティー40を介し
て分岐チューブ42が接続されており、この分岐チュー
ブ42の先端開口は大気に開放されている。また、分岐
チューブ42にもニードルバルブ44が介挿されてい
る。このような構成により、入力パイプ34から差圧セ
ンサ32までの間には、全体として所定の流通抵抗を有
した空圧経路46が形成される。従って、空圧源から供
給されるテスト圧は、入力パイプ34を通じてこの空圧
経路46の一端にも分配して入力されており、その他端
から出力される空圧は、差圧センサ32の他方の入力ポ
ートに入力可能となっている。
【0019】差圧センサ32は、ダブルフィルタシガレ
ットCの他端から出力された空圧P 1と、上述した空圧
経路46の他端から出力された空圧P2との差圧(P1
2)を電気信号に変換し、その差圧信号ΔPを判定回
路48に向けて出力する。次に、上述の通気検査装置を
使用して実施される通気検査方法について説明する。
【0020】インスペクションドラム1の回転に伴っ
て、検査対象のダブルフィルタシガレットCが図1の位
置(検査位置)に位置付けられると、空圧源から供給さ
れるテスト圧を、上述のように入力パイプ20及び入力
ポート24を通じてダブルフィルタシガレットCの一端
に入力することができる。このとき、同時に同じテスト
圧を、入力パイプ34を通じて空圧経路46の一端にも
分配して入力することができる。
【0021】そして、ダブルフィルタシガレットC及び
空圧経路46の他端からそれぞれ出力される空圧をエア
チューブ30,36にて取り出し、これらを差圧センサ
32にて相対的に比較する。図2を参照すると、実施例
の通気検査装置を用いた通気検査方法の原理を説明する
ためのモデル図が示されている。なお、このモデル図で
は、説明を容易にするために、空圧源及び空圧経路46
についての空圧モデルを電気的な等価モデルに置き換え
て示しており、それ故、空圧源は電源として、また、各
ニードルバルブ38,42における通気抵抗は、それぞ
れ電気抵抗RA,RBとして表されている。
【0022】図2のモデルにおいて、空圧源から供給さ
れるテスト圧をP0とし、ダブルフィルタシガレットC
の他端から出力される空圧をP1として、また、空圧経
路46の他端から出力される空圧をP2とする。このと
き、空圧経路46の出力空圧P2は、ダブルフィルタシ
ガレットCの所定の基準品から得られる出力空圧、つま
り、基準圧に設定されていることが必要である。ここ
で、所定の基準品とは、通気度に関してダブルフィルタ
シガレットの良品と不良品との間の閾値を決定するもの
であり、また、基準圧とは、図2のモデルにおいて、こ
のようなダブルフィルタシガレットの基準品に供給空圧
0を入力したときに出力されるべき空圧に等しい。従
って、各ニードルバルブ38,44の通気抵抗(RA
B)は、空圧経路46の出力空圧P2が、上述の基準圧
に等しくなるように適切に設定されていなければならな
い。
【0023】なお、図2のモデル中、ダブルフィルタシ
ガレットC全体としての流通抵抗は、空圧経路46にお
いて2つのニードルバルブ38,44の設定により近似
されている。すなわち、ダブルフィルタシガレットCの
一端とエンドプレート8との間の漏れ抵抗をRL1、その
他端とマウスピース10との間の漏れ抵抗をRL2、ダブ
ルフィルタシガレットCの巻き部抵抗をRT、フィルタ
部抵抗をRF、そして、微細孔Sの通気抵抗をRDとすれ
ば、このうち巻き部抵抗RT及びフィルタ部抵抗RFは、
流通方向に配置されたニードルバルブ38の通気抵抗R
Aにて近似され、また、漏れ抵抗RL1,RL2及び通気抵
抗RDは大気開放の方向に配置されたニードルバルブ4
4の通気抵抗RBにて近似されている。
【0024】従って、ダブルフィルタシガレットC及び
空圧経路46の両端からそれぞれ出力された空圧を相対
的に比較した結果、ダブルフィルタシガレットCからの
出力空圧P1の方が大きければ、そのダブルフィルタシ
ガレットCを良品として判定することができ、空圧経路
46からの出力空圧P2の方が大きければ、そのダブル
フィルタシガレットCを不良品として判定することがで
きる。
【0025】通気検査装置では、判定回路48は差圧セ
ンサ32からの検出信号に基づいて、その差圧が正(P
1−P2>0)のときは、検査対象のダブルフィルタシガ
レットCを良品として判定し、これに対し、差圧が負
(P1−P2<0)のときは、検査対象のダブルフィルタ
シガレットCを不良品として判定する。図3を参照する
と、上述の通気検査装置を用いた検査方法から得られる
テスト圧P0と差圧信号ΔPとの関係を表すグラフが示
されている。同図中、実線で示される直線Cgは、通気
度に関してダブルフィルタシガレットの平均的な良品の
特性を表しており、その特性はテスト圧P0が大きくな
るほど差圧信号ΔPの出力が正側に大きくなり、軸線方
向への通気度が高いことを示している。なお、平均的な
良品よりも更に通気度の良好なダブルフィルタシガレッ
トの特性は、破線で示した直線Cg1で表されており、
また、平均的な良品には僅かに達しないダブルフィルタ
シガレットの特性は、1点鎖線で示した直線Cg2で表
されている。
【0026】これに対し、孔巻(巻紙破れ品)等の不良
品については、その平均的な特性は実線で示される直線
Cbで表され、この場合、テスト圧P0が大きいほど差
圧信号ΔPの出力は負側に大きく表れており、その通気
度が不良であることを示している。なお、平均的な不良
品ではないが、僅かに通気度が不良なダブルフィルタシ
ガレットの特性は、負側の領域に破線で示した直線Cb
1で表されており、また、平均よりも更に不良品である
ダブルフィルタシガレットの特性は、1点鎖線で示した
直線Cb2で表される。
【0027】ここで注目すべきは、差圧信号ΔPの出力
は、テスト圧P0の大きさに関わらず良品については常
に正の値を示し、不良品については常に負の値を示す点
である。このような差圧信号ΔPの出力特性から、ΔP
=0を閾値として正の出力があれば、検査対象のダブル
フィルタシガレットCが良品であり、これに対し負の出
力があれば、そのダブルフィルタシガレットCが不良品
であると判定可能であることが理解される。
【0028】なお、発明者等は、従来のように検出圧の
絶対的な大きさに基づいて通気検査を行う方法について
も、テスト圧と検出圧との関係について観測を行い、テ
スト圧に対する検出圧の出力特性の違いから、本発明の
優位性について確認した。図4を参照すると、公知の通
気検査方法を使用して得られたテスト圧と検出圧との関
係が示されている。公知の通気検査方法では、ダブルフ
ィルタシガレットCの一端にテスト圧を入力し、その他
端から出力される空圧を圧力センサにて検出するものと
している。この場合、ダブルフィルタシガレットの良品
(直線Cg,Cg1,Cg2)及び不良品(直線Cb,C
1,Cb2)に関わらず、テスト圧が大きくなれば、そ
の分、検出圧信号もまた大きくなると認められる。そし
て、通気度の良否の判定は、得られた検出圧信号が所定
の閾値Vrを超えているか否かを判別することで行われ
る。
【0029】図4の特性図において、テスト圧を所定値
Pr1より大きく設定していれば、ダブルフィルタシガ
レットCの平均的な良品についての検出圧信号は閾値V
rを超えるレベルにあり、この場合、正しく良品判定が
行われるものと考えられる。しかしながら、直線Cg2
で示されるように、このテスト圧Pr1では、良品には
僅かに及ばない通気度レベルのダブルフィルタシガレッ
トCについては、閾値Vrを超える検出圧信号が得られ
ていない。このため、直線Cg2についても閾値Vrを
超える領域に含ませるには、テスト圧の設定を所定値P
2より大きくする必要がある。
【0030】一方、空圧源から供給されるテスト圧は、
上述のように不測に高低変動することがあり、テスト圧
が所定値Pr4を超える場合、直線Cbに示されるよう
に不良品について得られる検出圧信号が閾値Vrを超え
てしまう。従って、テスト圧の設定をあまり大きくする
ことはできず、直線Cb1についても閾値Vrを超える
領域に含ませないためには、テスト圧の変動による上限
を所定値Pr3以下に制限しなければならない。
【0031】しかも、検査雰囲気中の大気圧が変動した
場合、その変動による影響は、図4中、各直線の傾きに
対して現れるので、たとえテスト圧を一定に保持するこ
とができたとしても、更に大気圧変動分の補償を考慮し
なければならない。以上を纏めると、この実施例の通気
検査方法によれば、テスト圧P0の大きさに関わらず、
得られた差圧信号ΔPの正負符号から通気度の良否を直
ちに判定することができる。しかも、従来の通気検査方
法のように、テスト圧の高低変動による検出信号への影
響は、ダブルフィルタシガレットC及び空圧経路64の
両方に同時に現れるので、最終的に差圧センサ32にて
取り除かれる。このことは、検査雰囲気中の大気圧変動
による影響ついても同様である。
【0032】また、実施例の通気検査装置は、公知のシ
ガレット製造機を大きく改作することなく容易に適用可
能であり、既存のシガレット検査システムを有効に活用
できる。なお、実際のフィルタシガレット製造機では、
上述の通気検査の結果、ダブルフィルタシガレットCの
不良品については、インスペクションドラム1から次の
キャリヤドラム(図示されていない)に乗り移って搬送
されるまでの過程にて、その搬送経路外へ排除される。
そこで、発明者等は、実際のシガレット製造機におい
て、実施例の通気検査装置を適用した場合と、従来の通
気検査装置を適用した場合について、それぞれ統計的な
排除効率を求め、その比較において本発明の優位性を確
認することとした。
【0033】図5を参照すると、シガレット製造機にお
いて製造された全てのダブルフィルタシガレットのう
ち、実際に排除された不良品の割合と良品の割合との関
係を表す曲線が示されている。同図中、実線で示される
曲線は、実施例の通気検査装置を使用した方法で得られ
た特性を表しており、破線で示される曲線は、従来の通
気検査方法で得られた特性を表している。図5からも明
らかなように、実施例の通気検査装置を使用した場合の
方が不良品排除率に優れており、且つ、良品排除率、つ
まり、良品を誤って排除してしまう確率が低いことが理
解される。
【0034】更に、空圧経路46においてニードルバル
ブ38,44の開度を調整すれば、これらの間の通気抵
抗比が変更されるので、図2のモデル中、基準圧として
の空圧経路46からの出力空圧P2を容易に調整するこ
とができる。この場合、製造されるシガレット銘柄に固
有の通気特性や、フィルタ部のダイリューションに応じ
て基準圧の設定を容易に行うことができる。
【0035】また、上述のように出力空圧P2を適宜に
調整すれば、図3の閾値を所望に変更することができ、
これにより、シガレット製造機における不良品排除率を
調整することができる。すなわち、図3の閾値を高くす
れば、不良品の判定領域が拡大されて、その分だけ不良
品排除効率が上がる。これに対し、閾値を低くすれば、
不良品の判定領域が縮小されるので、その分、不良品排
除効率は下げられる。この点、公知の通気検査方法で
は、閾値を一定とする一方、テスト圧の設定を変更する
ことで不良品排除効率を調整しているが、この場合、テ
スト圧の設定を極端に大きくすると、その入力空圧によ
り巻紙が破裂してしまったり、チップペーパがフィルタ
から剥離してしまったりする虞がある。
【0036】次に、図6を参照すると、フィルタアタッ
チメントにおけるダブルフィルタシガレットCの搬送経
路が部分的に示されている。公知のように、この搬送経
路はインスペクションドラム1を含む複数の回転ドラム
列からなり、始端のキャッチャドラムから終端のキャリ
アドラム(いずれも図示されていない)までの間にて規
定されている。
【0037】インスペクションドラム1では、図示のサ
クション領域S1において上述したサクション通路6に
サクション圧が供給されており、隣接するキャリアドラ
ム50により搬送されてきたダブルフィルタシガレット
Cは、このサクション領域S 1にてキャリアドラム50
からインスペクションドラム1の保持溝2内に吸引され
て乗り移る。
【0038】ここで、ダブルフィルタシガレットCの巻
きサポート部4への吸着は、巻紙やチップペーパ等を通
じてその内部にサクション圧を供給すると認められる。
このようなダブルフィルタシガレットC内部へのサクシ
ョン圧の供給は、通気検査時に出力圧P1の絶対的な低
下を招く。この場合、図3でみて差圧信号ΔPの出力特
性が全体的に負の方向へシフトされる結果、テスト圧P
0が比較的低い領域では良品の特性を表す各直線Cg,
Cg1,Cg2が既定の閾値(=0)を下回ることもあ
る。そこで、発明者等は、このようなサクション圧の供
給が通気検査において出力圧P1の値に与える影響に着
目し、通気検査時にはダブルフィルタシガレットCの吸
着を一時的に解除することとした。
【0039】具体的には、インスペクションドラム1に
おいて通気検査が行われる位置、つまり、入出力ポート
24,28に対してそれぞれ入出力パイプ20,22が
連通される検査位置では、サクション通路6へのサクシ
ョン圧の供給が停止される。すなわち、図6に示される
ように、インスペクションドラム1の回転方向でみて、
上述の検査位置を含む前後の領域Nでは、ダブルフィル
タシガレットCの吸着が解除されている。従って、イン
スペクションドラム1の回転に伴ってダブルフィルタシ
ガレットCが領域Nを通過するとき、その内部にサクシ
ョン圧が供給されることはない。なお、領域Nの後のサ
クション領域S2では、サクション通路6へのサクショ
ン圧の供給が行われているので、ダブルフィルタシガレ
ットCは再び巻きサポート部4に吸着保持された状態で
搬送される。なお、インスペクションドラム1に、この
ようなサクションを解除する領域Nを設けることは、図
示しないコントロールディスクの改作により容易に実現
可能である。
【0040】次に発明者等は、上述のように検査位置で
ダブルフィルタシガレットCの吸着を解除した場合、図
5の排除率にどのような変化が生じるのかを観測し、そ
の有効性について確認した。その観測結果を再度図5を
参照して説明すると、この場合に得られた曲線は図5
中、1点鎖線で示されている。この曲線から明らかなよ
うに、検査位置でダブルフィルタシガレットCの吸着を
解除した場合、実線の曲線よりも更に良品排除率が低減
される一方、その不良品排除率は更に向上されており、
通気検査の精度がより高まることが理解される。
【0041】なお、発明者等による別の観測によれば、
検査位置で吸着を解除することによる排除率改善の効果
は、従来の絶対圧による通気検査方法においても見られ
ることが確認されている。具体的には、従来方法による
排除率曲線は本来、上述のように図5中破線で示される
が、その検査位置で吸着を解除した場合、排除率曲線は
実線で示される曲線と略同一の特性を示しており、本発
明の実施例による通気検査方法と遜色ないレベルにまで
改善されることが確認されている。
【0042】以上の結果から、検査位置でダブルフィル
タシガレットCの吸着を解除すれば、実施例の通気検査
方法による検査精度を更に向上することができる。これ
は、吸着の解除が、ダブルフィルタシガレットCの内圧
を雰囲気圧と略同一の状態に保持することで、出力圧P
1の値を適正に得ることができるという利点に基づいて
おり、その効果は、従来の通気検査方法においても同様
に現れるものと認められる。
【0043】この発明は上述した実施例だけでなく種々
に変形して実施することができる。例えば、通気検査装
置において差圧センサ32を用いずに、出力空圧P1
2をそれぞれ別個に検出する圧力センサを使用して、
そして、判定回路48にてこれらの検出圧を相対的に比
較することもできる。但し、この場合は電気ノイズの影
響がセンサ2つ分になる。一方、上述の実施例のよう
に、使用するセンサの数を差圧センサ32の1個だけと
していれば、センサにおける電気的ノイズの影響を少な
くすることができる。
【0044】上述の実施例における通気検査では、判定
回路48において通気度の良否のみを判定しているが、
差圧信号ΔPの大きさに基づいて通気度を段階的にラン
ク分けするようにしてもよい。また、実施例では検査対
象としてダブルフィルタシガレットを適用したが、その
切断後におけるシングルフィルタシガレットであっても
よい。
【0045】また、この発明は棒状物品としてフィルタ
シガレットに適用したが、これ以外にも通気検査を必要
とする各種の棒状物品にも適用可能であることはいうま
でもない。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1,2の棒
状物品の通気検査方法及び通気検査装置によれば、検査
用に供給される空圧や大気圧の変動を考慮することな
く、正確な通気検査を安定して行うことができ、長時間
に亘って多数の棒状物品を連続して検査するための方法
又は装置として非常に好適している。
【0047】請求項3の棒状物品の通気検査装置によれ
ば、実際の棒状物品に対する空圧の入出力形態に応じ
て、空圧経路における軸線方向及び大気開放方向につい
ての通気抵抗をそれぞれ適切に設定することができるの
で、通気検査の正確性が確保される。しかも、簡易な構
成により装置の大型化をも防止しているので、例えば既
存のシガレット製造機に適用する通気検査装置として非
常に好適している。
【0048】請求項4の通気検査装置によれば、棒状物
品の製品特性に応じて通気度の良否判定の閾値を容易に
調整することができ、1つの装置で多種の棒状物品の通
気検査にも応用できる。また、請求項5の通気検査装置
によれば、吸着力を利用した搬送過程で棒状物品の通気
検査を行うことができるので、例えばフィルタシガレッ
トのように高速で連続的に製造される棒状物品の通気検
査に好適している。しかも、吸着力を利用することによ
る通気検査への影響が取り除かれ、より高精度に通気検
査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シガレット製造機に適用された、通気検査装置
の概略的な構成を示した図である。
【図2】通気検査の原理を説明するためのモデル図であ
る。
【図3】テスト圧と差圧信号との関係を示したグラフで
ある。
【図4】公知の通気検査で得られたテスト圧と検出圧信
号との関係を説明するためのグラフである。
【図5】実施例の通気検査装置により排除効率が改善さ
れることを説明するためのグラフである。
【図6】ダブルフィルタシガレットの搬送経路及び検査
位置を示した概略図である。
【符号の説明】
1 インスペクションドラム(搬送手段) 2 保持溝 4 巻きサポート部(吸引面) 20 入力パイプ 22 出力パイプ 24 入力ポート 28 出力ポート 32 差圧センサ 36 エアチューブ 38,44 ニードルバルブ(第1,第2通気抵抗体) 46 空圧経路 48 判定回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 狩野 孝史 栃木県宇都宮市清原工業団地10 日本たば こ産業株式会社北関東工場内 (72)発明者 唐来 博之 栃木県宇都宮市清原工業団地10 日本たば こ産業株式会社北関東工場内 (72)発明者 和田 修二 東京都北区堀船2丁目20番46号 日本たば こ産業株式会社機械事業部内 Fターム(参考) 4B044 CF03Y CL05 CM04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線方向に空気を流通可能な棒状物品の
    通気度を検査するための方法において、 空圧源から供給される空圧を棒状物品の一端に入力する
    とともに、前記空圧を棒状物品の所定の基準品と等価な
    流通抵抗を有した空圧経路の一端に分配して入力し、 前記棒状物品及び前記空圧経路の他端から出力される空
    圧を相対的に比較して前記通気度を検査することを特徴
    とする棒状物品の通気検査方法。
  2. 【請求項2】 軸線方向に空気を流通可能な棒状物品の
    通気度を検査するための装置において、 空圧を供給する空圧源と、 前記空圧を棒状物品の一端に入力するとともに、その他
    端から出力される空圧を取り出し可能とする入出力手段
    と、 前記空圧源に一端が接続され、この一端から他端の間に
    て棒状物品の所定の基準品と等価な流通抵抗を有した空
    圧経路と、 前記棒状物品及び前記空圧経路の他端からそれぞれ出力
    される空圧を相対的に比較して前記通気度を検査する検
    査手段とを具備したことを特徴とする棒状物品の通気検
    査装置。
  3. 【請求項3】 前記空圧経路は、前記空圧の流通方向に
    延びる流通管路と、この流通管路に介挿された第1の通
    気抵抗体と、前記流通管路に接続されて前記流通管路内
    を大気に連通させる分岐管路と、この分岐管路に介挿さ
    れた第2の通気抵抗体とを含むことを特徴とする請求項
    2に記載の棒状物品の通気検査装置。
  4. 【請求項4】 前記第1及び第2通気抵抗体の少なくと
    も一方は、その通気抵抗が変更可能であることを特徴と
    する請求項3に記載の棒状物品の通気検査装置。
  5. 【請求項5】 前記棒状物品を吸着保持する吸引面を有
    し、この吸引面を走行させることで前記棒状物品を所定
    の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、 前記搬送経路の途中に設けられ、前記入出力手段による
    前記棒状物品に対する前記空圧の入力及び取り出しをそ
    れぞれ可能とする検査位置とを更に備え、 前記搬送手段は、前記棒状物品が前記検査位置に位置付
    けられたとき、前記吸引面による前記棒状物品の吸着を
    解除することを特徴とする請求項2から4の何れかに記
    載の棒状物品の通気検査装置。
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