JP2000139860A - 生体循環系のコンピュータ診断方法、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び診断装置 - Google Patents

生体循環系のコンピュータ診断方法、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及び診断装置

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JP2000139860A
JP2000139860A JP10323096A JP32309698A JP2000139860A JP 2000139860 A JP2000139860 A JP 2000139860A JP 10323096 A JP10323096 A JP 10323096A JP 32309698 A JP32309698 A JP 32309698A JP 2000139860 A JP2000139860 A JP 2000139860A
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通倫 長田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来から測定されていた血圧測定値に基づい
て得られる指標であって、生体の循環系の内部状態を反
映し、血圧測定値の変動に惑わされることのない、より
信頼性や信憑性のある新規の指標を提供する。 【解決手段】 種々の関数形を精査した結果、以下のよ
うな3つの関数群において、それぞれ上記測定データが
ほぼ一定の値に収束することがわかった。 Fα={(A×B)/C}β={(A+B)/C}γ={(A×B)/(A+B)/C} ここで、最高血圧y、最低血圧x及び脈拍数zに対し
て、A=(y+z)1/ 、B=(x+z)1/2であ
り、i,j,k,l,p,q,r,Cはいずれも実数で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生体循環系のコンピ
ュータ診断方法及び診断装置に係り、特に、血圧測定に
より得られた数値に基づいて生体循環系の状態を把握す
る場合に好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、生体の循環系の状況を知るために
最も一般的な診断方法は血圧値の測定であり、医療機関
ばかりではなく、一般家庭においても簡単な血圧測定装
置によって最高血圧、最低血圧及び脈拍が測定できる。
特に、手軽な血圧測定装置として、非侵襲的な方法、例
えばカフを腕や手首、指などに巻き付け、或いは、本体
を指や手首などに密着させるなどの方法によって血管の
圧力変動を容易に検出でき、この圧力変動のデータから
所定の算定式に従って上記の三つの値を瞬時に算出する
ことができるものが多く市販されている。
【0003】上記のようにして測定された最高血圧、最
低血圧及び脈拍の三つの値は、通常、医療機関において
は医者がこれを見て患者の状況と照らし合わせながら解
釈することになる。上記三つの値は、心臓の拍出特性や
血管の硬化状態と直接的かつ密接な関係があり、また、
心臓や血管以外の各部の症状などに対しても間接的に種
々の関係が存在する。
【0004】上記最高血圧と最低血圧は、高血圧症の指
標となるものであり、例えば、WHO(世界保健機構)
によって勧告されているように、最高血圧と最低血圧と
の組み合わせによって、標準状態、境界状態、高血圧症
の三つに区分される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
に血圧測定を行って医者が患者の状況を診断する場合や
血圧測定によって患者自身が高血圧症の程度を知ろうと
する場合に、血圧測定の結果が状況により、或いは、測
定の時間帯により大きく変動するために、測定値自体の
信頼性や信憑性が不十分であって血圧測定のみでは確た
る診断や判定がくだせないとともに、常に測定結果を或
る程度割り引いて考えなければならないという問題点が
ある。すなわち、一般に血圧測定は安静時に行うことと
なっているが、安静時に行った場合でも、血圧値そのも
のは朝、昼、夜と一日における測定時間帯によって大き
く変動するとともに、患者の心理的な状況によっても大
きく変動するため、例えば、家庭で測定する場合にはい
つも低いが、医療機関に行って測定するとそれだけで測
定値が大幅に高くなってしまう人々もいる。
【0006】一方、通常の血圧測定装置においては、最
高血圧及び最低血圧とともに脈拍数も測定できるものが
ほとんどであるが、一般的な患者は脈拍数を見てもどの
ように解釈してよいかわからず、単に脈拍がいつもより
早いとか遅いとか感ずる程度であり、生体の状態を把握
するための指標になっていないという問題点がある。
【0007】そこで本発明は上記問題点を解決するもの
であり、その課題は、従来から測定されていた血圧測定
値に基づいて得られる指標であって、生体の循環系の内
部状態を反映し、血圧測定値の変動に惑わされることの
ない、より信頼性や信憑性のある新規の指標を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が講じた手段は、生体の血圧変動の所定状態に
おける血圧値に相当する血圧指標と、脈拍に相当し、前
記血圧変動の周期に対応する圧変動速度指標とを共に変
数とし、通常の生体活動において安定性を有する1又は
複数の関数を用いて、前記血圧指標及び前記圧変動速度
指標に相当する測定値から前記関数の算出値を導出し、
当該算出値を生体循環系の状態を診断する際の診断指標
とすることを特徴とするコンピュータ診断方法である。
この手段によれば、血圧指標と圧変動速度指標とを共に
変数とする関数であって、通常の生体活動において安定
性を有する関数を用い、当該関数の算出値を診断指標と
することにより、血圧値や脈拍数の個別の変動状況に惑
わされることが少なく、生体循環系の内部状態をより正
確かつ明確に反映した診断指標として用いることができ
るので、従来よりも血圧測定の結果を信頼性をもって評
価することができ、病気の発症予防や治療状態の確認を
効果的に行うことが可能になる。
【0009】なお、上記血圧指標とは、例えば最高血圧
値に代表される高圧側血圧値と、最低血圧値に代表され
る低圧側血圧値の少なくとも一方、或いは、最高血圧と
最低血圧との間の血圧変動における所定状態の血圧値
(例えば平均血圧)などであり、上記圧変動速度指標と
は、例えば脈拍数(単位時間当たりの脈拍数を言う。)
や脈拍の周期などである。
【0010】請求項1において、前記算出値の変動動向
を生体循環系の状態を診断する診断指標とすることが好
ましい。上記算出値は、特に通常の生体活動における一
時的な環境変化には影響されにくいため、算出値の変動
動向をもって生体循環系の内部状態の本質的変化を検知
するデータとして有効である。
【0011】請求項1又は請求項2において、前記関数
の少なくとも一つは、前記血圧指標としての最高血圧値
をy、最低血圧値をx、前記圧変動速度指標として脈拍
数をzとし、さらにsを任意の実数として、A=(y+
z)、B=(x+z)とした場合、A及び/又はB
を変数として含む関数であることが好ましい。上記A,
Bは共に血圧指標と圧変動速度指標の双方を変数として
含むとともに、双方の影響をほぼ均等に表す関数である
ので、血圧値と脈拍数との個別の変動を吸収して総合的
な指標として用いることができる。ここで、関数の安定
性を高めるために上記sとしては1/2であることが好
ましい。
【0012】請求項3において、前記関数の少なくとも
一つは、n,mを任意の実数として(A×B)若しく
はその定数倍、或いは、(A+B)若しくはその定数
倍で表されることが好ましい。AとBの和若しくは積を
基礎として関数が成り立っているため、血圧指標と圧変
動速度指標による影響をほぼ均等に表す関数として構成
することができる。
【0013】請求項3において、前記関数の少なくとも
一つは、n,mを任意の実数として(A×B)/(A
+B)若しくはその定数倍で表されることが好まし
い。統計的手法により、上記関数は、同一の生体におけ
る血圧測定データのばらつきにきわめて影響されにくい
算出値を示すものであり、生体循環系の内部状態をより
精密に表す診断指標として用いることができる。
【0014】また、請求項1から請求項5までのいずれ
か1項に記載されたコンピュータ診断方法を実行するプ
ログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み
取り可能な記録媒体である。このプログラムは、上記血
圧指標と圧変動速度指標とから演算処理により上記関数
の値を提供するものである。この場合に、上記血圧指標
と圧変動速度指標とをサンプリングした特定の生体若し
くは複数の生体について、過去の関数値を読み出した
り、参照したり、或いは、複数の関数値に対して統計的
な処理を行い、関数値の評価基準を提供することが好ま
しい。
【0015】さらに、上記のコンピュータ診断方法を実
現する診断装置の構成としては、生体の血圧変動の所定
状態における血圧値に相当する血圧指標と、前記血圧変
動の周期に対応する圧変動速度指標とを共に変数とし、
通常の生体活動において安定性を有する1又は複数の関
数を用いて、前記基礎データ決定手段により決定された
前記血圧指標及び圧変動速度指標の測定値から前記関数
の算出値を導出する関数値算出手段と、当該算出値の表
示を行う表示手段とを有する。この装置においては、生
体の血圧変動を検出する血圧検出手段と、該血圧検出手
段により前記血圧変動の所定状態における血圧値に相当
する血圧指標と、前記血圧変動の周期に対応する圧変動
速度指標とを求める基礎データ決定手段を備えているこ
とが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る実施形態につ
いて詳細に説明する。本願発明者は、長年血圧測定を行
ってきた経験から、血圧値と脈拍との間に何らかの関係
があるのではないかとの推定に基づき、同一人について
血圧測定を繰り返し行い、血圧値と脈拍との間に一定の
相関が存在することを発見した。また、その後、この知
見に基づいて種々の実験を繰り返し行った結果、血圧値
と脈拍とから得られる所定の関数値が同一人において通
常の生体環境においてきわめて狭い数値範囲に収束する
ことをつきとめた。
【0017】まず、或る患者(軽い高血圧症と診断され
ている。)について、非侵襲的測定方法にて一時に連続
5回以上測定する方法で、朝、昼、晩と時間と場所を変
えて安静時に血圧測定を行い、最高血圧、最低血圧及び
脈拍の42組の測定データを得て、これを検証した。こ
の測定データにおいて、最高血圧に関しては、平均値に
対して最高で10%上昇し、最低で13%低下したデー
タが含まれている。また、最低血圧に関しては、平均値
に対して最高で14%上昇し、最低で13%低下したデ
ータが含まれている。脈拍(1分間の脈拍数)に関して
は、最高で39%増加し、最低で17%低下したデータ
が含まれている。
【0018】上記測定データを最高血圧と最低血圧との
関係を示すグラフ上において、WHOの勧告の基準に沿
って分類した。その結果を図1に示す。上述のように、
最高血圧yと最低血圧xによって示されるグラフ中にお
いてWHOの勧告によって3つの正常領域S、境界領域
T及び高血圧領域Uが設定されている。ここで、図1に
おいては、境界領域TをT1,T2,T3に分割し、高
血圧領域UをU1,U2,U3,U4,U5に分割し
て、上記測定の結果がどの領域に分布するかを示した。
各領域中に記載した数字は当該領域に属する測定データ
の数を示すものである。この患者の場合には、測定結果
のほとんどは境界領域T1に属し、その他は、正常領域
S、高血圧領域U1、境界領域T2の順に数が多く分布
している。
【0019】次に、上記データを元にして、最高血圧
y、最低血圧x及び脈拍数zから、各測定データ毎にA
=(y+z)1/2、B=(x+z)1/2を求め、A
とBの単純演算値を上記各領域に属するデータ毎に平均
してどのような値になるかを調べた。その結果を以下の
表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1に示すように、演算式A+B及びA×
Bにおいては、全体として最高血圧y及び最低血圧xが
増加する程大きな値を示すようになっており、WHOの
勧告と相関のある指標になっていることがわかる。演算
式A−B及びA÷Bについては、やや血圧値の上昇との
相関度合いが低い。
【0022】次に、上記の測定データ群を処理して全て
のデータについてほぼ正規化される(1になる)関数を
求めた。 fα=(0.45y+0.55x+1.00z)/(A
×B) fβ=(A×B)1/2/(A+B) fγ=(fα−1.000)×x/y+fβ
【0023】上記関数fα及びfβは1に対して誤差1
%以内に全ての測定データが含まれ、関数fγは1に対
して誤差0.1%以内に全ての測定データが含まれてい
る。このように、x,y,zの関数であって、安静時に
おいて測定された同一人の測定データに対して常にほぼ
一定の値を取る関数の存在が確かめられた。
【0024】そして、上記関数fα、fβ、fγなどの
種々の関数形を精査した結果、基本的には以下のような
3つの関数群において、それぞれ上記測定データがほぼ
一定の値に収束することがわかった。 Fα={(A×B)/C}β={(A+B)/C}γ={(A×B)/(A+B)/C}
【0025】ここで、i,j,k,l,p,q,r,C
はいずれも実数である。i=0.5、C=12.93
6、p=1の場合には関数Fαはほぼ1になり、j=
1、C=25.974、p=1の場合には関数Fβはほ
ぼ1になり、k=1、l=1、C=6.442、P=1
の場合には関数Fγはほぼ1になる。このような場合の
関数をFα 、Fβ 、Fγ とする。
【0026】次に、上記の関数Fα 、Fβ 、Fγ
を用いて種々の事例について調査を行った。以下の表2
には、脈拍変動時において繰り返し測定した5つのデー
タに対する上記関数の変化を調べたものである。このデ
ータに対する脈拍の変動量の比は約10%程度である
が、上記A,Bはいずれも約6%変動し、上記各関数は
約5.5%の変動となっている。血圧値はそれぞれ10
%以上変動しているが、全体としては変動を反映してい
るものの、A,B及び上記各関数値は比較的安定した値
を示す。なお、この場合には生体循環系の状態そのもの
が不安定である可能性が高く、これのみでは関数の有効
性はわからない。
【0027】
【表2】
【0028】一方、以下の表3には、脈拍数が安定して
いる場合の連続測定による血圧測定データに基づいて
A,B及び上記各関数値を算出した結果を示す。表3に
よれば、脈拍数の変動が3%未満と非常に安定した状態
で測定しても、血圧値自体は10%以上変動しており、
これに対してA,Bの値は5%程度、上記各関数値は3
%未満ときわめて安定した値が得られている。このよう
に、本来ほぼ等しい測定値が得られるはずのものであっ
ても血圧値は上下に変動するが、上記関数値は安定した
値を示し、生体循環系の内部状態を充分に反映している
ものと思われる。
【0029】
【表3】
【0030】以下の表4に記載されている7つのデータ
〜は、測定データの変動による上記関数の変動幅を
確認するために、最高血圧yについて40mmHgずつ
の変化、最低血圧xについて20mmHgずつの変化、
脈拍zについて10回/minずつの変化をそれぞれ同
時に同じ増減方向について発生させたときの各値と上記
関数との最大値/最小値の比を調べたシュミレーション
結果である。
【0031】
【表4】
【0032】この表4によれば、最高血圧yについて9
倍、最低血圧xについて5倍、脈拍について2.5倍の
変動比を発生させた場合、A,Bの値はほぼ2倍の変動
を示し、上記関数はいずれも2倍の変動を示した。した
がって、A,Bと上記関数はいずれも、血圧に関係する
生体状況の変化に対しては充分に変化することとなり、
生体状況の指標として用いることが可能であることが確
認できた。
【0033】次に、年齢に対する血圧の影響を調査した
データ (Kennel et. al., J. Am. Med. Assoc., 245,
p.1225, 1981、「中年すぎの血圧」蔵本築、他 東京化
学同人発行にも記載) のうちの男性に対するものを用い
て、上記A,Bの値及び上記関数Fα 、Fβ 、Fγ
の値を算出し、年齢に対する影響を調べた。その結果
を表5に示す。なお、被験者の脈拍の平均値は全ての年
齢において平均65と仮定した。
【0034】
【表5】
【0035】この表5の結果によれば、最高血圧yに関
しては、最小値が1歳の101mmHg、最大値が70
歳の163mmHgになり、60%以上変動し、最低血
圧xに関しては、最小値が1歳の73mmHg、最大値
が60歳の85mmHgになり、10%以上変動してい
るにも拘わらず、上記関数Fα 、Fβ 、Fγ の値
は順に8%、9%、9%の変動にとどまり、年齢の影響
を比較的受けにくいことがわかる。
【0036】次に、入浴前と入浴後において測定したデ
ータに基づいて上記と同様に計算を行った。この結果を
表4に示す。入浴前と入浴後それぞれ5つのデータは連
続して繰り返し計測した結果である。
【0037】
【表6】
【0038】表6によれば、それぞれ入浴前に比べて入
浴後には、最高血圧yは約40mmHg近く低下し、最
低血圧xも約15mmHg低下しているのに対し、脈拍
は逆に約8程度増加している。このように入浴前後にお
いて測定データは1〜3割近くも変化し、特に血圧値の
変化は大きいのに対して、A,Bの値及び関数Fα
β 、Fγ の値は全て約6%程度の変化にとどまっ
ている。したがって、入浴による影響は上記関数値に反
映されにくいことがわかる。
【0039】次に、咳き込みによって血圧がどのように
変化するかを見たデータに基づいて上記と同様に計算を
行った。ここで、咳き込み前の安静時において連続3回
測定し、咳き込み後に続けて5回の計測を行った。その
結果を表7に示す。
【0040】
【表7】
【0041】表7によれば、咳き込み前後において血圧
値は7〜8%変化し、脈拍は10%近く変化しているの
に対し、上記A,Bの値と関数Fα 、Fβ 、Fγ
の値は全て5%以下の変化にとどまっている。したがっ
て、咳き込みによる影響は少ないものと思われる。
【0042】次に、長時間の飲酒が血圧にどのように影
響するかを調べたデータに対して、上記の計算を行っ
た。ここで、飲酒前と、アルコールに比較的弱い被験者
が飲酒開始後約2時間経過した時点でビール大瓶3本を
飲んだ後とについてそれぞれ連続して5回ずつの測定を
行った。その結果を表6に示す。
【0043】
【表8】
【0044】表8によれば、飲酒によって最高血圧と最
低血圧は共に大きく低下し、逆に脈拍は大きく増加して
いる。しかし、上記A,Bの値と関数Fα 、Fβ
γ の値は全て約1%程度の変化にとどまっている。
したがって、これらの値はいずれも飲酒による影響はほ
とんど受けないと考えられる。
【0045】次に、投薬による影響を調べるために、血
圧降下剤の使用の前後における測定を行った。ここで、
投薬前後の変化をはっきりと示すために、上記関数Fα
、Fβ 、Fγ においてp=1の代わりにp=4と
した関数Fα 、Fβ 、F γ を計算した。したがっ
て、関数値の変動は強調されているが、その変動傾向は
より詳細に理解することができる。この結果を図2に示
す。なお、投薬開始以前には薬物の摂取は2年程度な
く、また、投薬内容は、投薬開始後4ヶ月と20日まで
はタナトール錠(商標)5mgを一日一錠服用し、その
後はレニベース錠(商標)5mgを一日一錠服用した。
これらはともに血管拡張剤である。
【0046】図2に示すように、投薬開始とともに上記
関数値は急激に低下し、日にちが経過するに従ってやや
増加する傾向はあるものの、ほぼ一定の値が得られてい
る。なお、図2に示すデータは、1ヶ月間隔で1日に1
0〜50回程度測定した結果であり、矩形領域はデータ
のばらつき範囲を示し、丸印は最頻値を示し、破線は平
均値の変動を示すものである。投薬開始日は図2の横軸
に1と示してある日であり、当該日は投薬前に測定して
ある。図2に示したのは投薬後4ヶ月経過時点までであ
るが、その後も、上記関数値は平均1.25程度の値で
安定的に推移している。
【0047】以上説明したように、本実施形態では、血
圧値と脈拍数の双方を勘案した新たな生体の循環系の指
標として上記A,B及び各関数値を用いることができる
か否かを検証してきた。その結果、基本的には、上記A
或いはBを血圧値の新たな指標として用いることが可能
であり、AとBの双方を含む関数によって血圧値の全体
的な様相を示す指標が得られる。この場合に、AとBの
和或いは積の形で含む関数、或いは、AとBの和と積の
双方を含む関数とすることが好ましい。
【0048】上記A及びB並びに上記関数は、年齢、入
浴、咳き込み、飲酒の影響を比較的受けにくい反面、投
薬による影響を充分に反映することができる。これは、
血圧や脈拍などの測定データが総合的に示している生体
の循環系の状態は、上記指標によって或る程度判定する
ことができるという証拠になる。すなわち、上記指標
は、基本的に年齢によって変わることがなく、また、入
浴、咳き込み、飲酒などの通常生活における一時的な環
境変化にも影響されにくい反面、投薬などの生体の循環
系の内部状態に直接作用するものに対しては確実に反応
する。したがって、生体の循環系の内部状態が変化する
ことを判定する充分な指標として用いることができる。
【0049】これらの指標と循環系の内部状態の具体的
な症状との間の関係については現時点では不明である
が、生体の内部状態を一定に保とうとするホメオスタシ
ス作用(体内調整作用)によって保持されている状態と
何らかの関係があるものと思われる。したがって、通常
の生活環境にて起こりうる一時的な環境変化に対しては
上記指標はあまり反応しないが、薬剤などの内部状態を
直接に変化させようとする異物が取り込まれることによ
って上記指標が変動するものと思われる。
【0050】上記の指標は、基本的に患者の内部状態、
特に循環系の内部状態を示すものと思われるが、その数
値の大きさと内部状態との関係は、いわゆる高血圧と呼
ばれる状態になる程数値が大きくなる点を除いて、必ず
しも明らかでない。しかし、同一の患者について長期間
上記指標を観測していくことによって、患者の循環系の
内部状態の変化を看取することはできるため、上記指標
の継続的な観測により判明し得る指標の変動により、特
に、循環系の病気の発症を予知したり、投薬の効果を確
認したりする有力な方法となるものと思われる。
【0051】上記のA,B,Fα,F β,Fγの各関数
は、予め定められた演算機能を有する論理回路などのハ
ード構造によって求めることもでき、或いは、マイクロ
コンピュータユニットなどの演算処理手段によって所定
のプログラムに沿って演算処理することによって求める
こともできる。したがって、演算装置としては、上記の
ハード構成を有するものでも、プログラムに従って処理
する情報処理装置でもよい。上述のコンピュータ診断方
法を実現するためには、予め最高血圧や最低血圧などの
血圧値と、脈拍数とを測定し、この測定データをキーボ
ードや所定の信号を入力するための入力回路などを介し
て上記の演算装置に入力し、その演算装置から得た出力
を所定の表示装置などに表示させることが必要である。
【0052】また、上記の診断装置の構成としては、血
圧値と脈拍数を求めることができる血圧測定装置に上記
の演算装置を接続したものでもよく、或いは、演算装置
によって血圧値、脈拍数とともに上記関数の演算結果を
表示するように構成したものでもよい。さらに、血圧値
や脈拍数を直接に表示することなく、上記関数の演算結
果のみを表示するように構成されていてもよい。また、
コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されたプロ
グラムとして、血圧値と脈拍数とから上記関数値を求め
るように構成してもよい。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、血
圧指標と圧変動速度指標とを共に変数とする関数であっ
て、通常の生体活動において安定性を有する関数を用
い、当該関数の算出値を診断指標とすることにより、血
圧値や脈拍数の個別の変動状況に惑わされることが少な
く、生体循環系の内部状態をより正確かつ明確に反映し
た診断指標として用いることができるので、従来よりも
血圧測定の結果を信頼性をもって評価することができ、
病気の発症予防や治療状態の確認を効果的に行うことが
可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】最高血圧yと最低血圧xとの関係を示す平面内
に設けられた領域別に、患者の血圧測定データの分布を
示すグラフである。
【図2】投薬の開始前後における関数値の変動状況を示
すグラフである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体の血圧変動の所定状態における血圧
    値に相当する血圧指標と、前記血圧変動の周期に対応す
    る圧変動速度指標とを共に変数とし、通常の生体活動に
    おいて安定性を有する1又は複数の関数を用いて、前記
    血圧指標及び前記圧変動速度指標に相当する測定値から
    前記関数の算出値を導出し、当該算出値を生体循環系の
    状態を診断する際の診断指標とすることを特徴とするコ
    ンピュータ診断方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記算出値の変動動
    向を生体循環系の状態を診断する診断指標とすることを
    特徴とするコンピュータ診断方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記関
    数の少なくとも一つは、前記血圧指標としての最高血圧
    値をy、最低血圧値をx、前記圧変動速度指標として脈
    拍数をzとし、さらにsを任意の実数として、A=(y
    +z)、B=(x+z)とした場合、A及び/又は
    Bを変数として含む関数であることを特徴とするコンピ
    ュータ診断方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記関数の少なくと
    も一つは、n,mを任意の実数として(A×B)若し
    くはその定数倍、或いは、(A+B)若しくはその定
    数倍で表されることを特徴とするコンピュータ診断方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項3において、前記関数の少なくと
    も一つは、n,mを任意の実数として(A×B)
    (A+B)若しくはその定数倍で表されることを特徴
    とするコンピュータ診断方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5までのいずれか1
    項に記載されたコンピュータ診断方法を実行するプログ
    ラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り
    可能な記録媒体。
  7. 【請求項7】 生体の血圧変動の所定状態における血圧
    値に相当する血圧指標と、前記血圧変動の周期に対応す
    る圧変動速度指標とを共に変数とし、通常の生体活動に
    おいて安定性を有する1又は複数の関数を用いて、前記
    基礎データ決定手段により決定された前記血圧指標及び
    前記圧変動速度指標の測定値から前記関数の算出値を導
    出する関数値算出手段と、当該算出値の表示を行う表示
    手段とを有することを特徴とする生体循環系の診断装
    置。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記表示手段は、前
    記算出値の変動動向を表示するように構成されているこ
    とを特徴とする生体循環系の診断装置。
  9. 【請求項9】 請求項7又は請求項8において、前記関
    数の少なくとも一つは、前記血圧指標としての最高血圧
    値をx、最低血圧値をy、前記圧変動速度指標として脈
    拍数をzとし、さらにsを任意の実数として、A=(y
    +z)、B=(x+z)とした場合、A及び/又は
    Bを変数として含む関数であることを特徴とする生体循
    環系の診断装置。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記関数の少なく
    とも一つは、n,mを任意の実数として(A×B)
    しくはその定数倍、或いは、(A+B)若しくはその
    定数倍で表されることを特徴とする生体循環系の診断装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項10において、前記関数の少な
    くとも一つは、n,mを任意の実数として(A×B)
    /(A+B)若しくはその定数倍で表されることを特
    徴とする生体循環系の診断装置。
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