JP2000137007A - 状態構成方法及びその装置、並びにこれを用いた通信方法及びその装置 - Google Patents

状態構成方法及びその装置、並びにこれを用いた通信方法及びその装置

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JP2000137007A
JP2000137007A JP10303939A JP30393998A JP2000137007A JP 2000137007 A JP2000137007 A JP 2000137007A JP 10303939 A JP10303939 A JP 10303939A JP 30393998 A JP30393998 A JP 30393998A JP 2000137007 A JP2000137007 A JP 2000137007A
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広夫 吾妻
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F3/00Optical logic elements; Optical bistable devices

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の量子力学的な状態を構成する。 【解決手段】 複数個の二準位系(X1 ,X2 ,…X
2p+1)から成る量子力学状態で、各二準位系が基底状態
または励起状態となる正規直交基底の重ね合わせで表現
した場合、各基底の係数が全て実数となる部分的にもつ
れ合った所望の量子力学的な状態を、選択的位相回転操
作(selective rotation)と、逆平
均操作Dとを組み合わせた量子ゲートのネットワークに
よる操作を行うことで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、量子情報処理、量
子通信、量子精密測定の際に必要な量子力学的な状態の
構成方法及びその装置、並びにこれを用いた通信方法及
びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、量子計算(文献、R.P.Fey
nman,’Feynman Lectures o
n Computation’,Addison−We
sley(1996)、を参照)、および、量子情報理
論の分野で、急激な進展が起こっている。これらの分野
では、量子力学の基本的な性質である、重ね合わせの性
質、干渉の性質、および、もつれ合った状態(enta
ngled state)の性質が巧みに利用されてい
る。
【0003】量子計算の分野では、因数分解に関するS
horのアルゴリズム(P.W.Shor,’Poly
nomial−Time Algorithms fo
rPrime Factorization and
Discrete Logarithms on a
Quantum Computer′,LANLqua
ntum physics archive quan
t−ph/9508027.参照、同様の内容が、SI
AM J.Computing 26(1997)14
84にある。また、最初の文献は、P.W.Sho
r,’Algorithms for quantum
computation:Discrete log
arithms and factoring’,in
Proceedings of the 35th
Annual Symposium on Found
ations of Computer Scienc
e(ed.S.Goldwasser)124−134
(IEEE Computer Society,Lo
s Alamitos,CA,1994)である。詳細
な解説として、Artur Ekert and Ri
chard Jozsa,’Quantum comp
utation and Shor′s factor
ing algorithm’,Rev.Mod.Ph
ys.68.733(1996)がある)、検索問題に
関するGroverのアルゴリズム(L.K.Grov
er,’A fast quantum mechan
ical algorithm for databa
se search’,LANL quantum p
hysics archive quant−ph/9
605043.参照。これと、ほぼ同じ内容が、次の文
献にある,L.K.Grover,’Quantum
Mechanics Helps in Search
ing for a Needle in a Hay
stack’,Phys.Rev.Lett.79,3
25(1997).)が発表されて以来、多くの研究者
が、量子計算の実現方法の提案や、新しい量子アルゴリ
ズムの開発を続けている。
【0004】一方、量子情報理論の分野では、デコヒー
レンス(decoherence)の影響を受けにくい
という点で、もつれ合った状態が重要な役割を果たすこ
とが認識されている(文献、C.H.Bennett,
C.A.Fuchs andJ.A.Smolin,’
Entanglement−Enhanced Cla
ssical Communication on a
Noisy Quantum Channel’,Q
uantum Communication,Comp
uting,and Measurement,edi
ted byHirota et al.Plenum
Press,New York,p.79(199
7)を参照)。
【0005】更に、これらの結果の応用として、ラムゼ
ー(Ramsey)分光法の実験で、n個の二準位系の
もつれ合った状態を利用することによって、量子標準測
定限界(quantum shot noise li
mit)を克服する方法が考えられている(文献、D.
J.Wineland,J.J.Bollinger,
W.M.Itano,F.L.Moore and
D.J.Heinzen,’Spin squeezi
ng and reduced quantumnoi
se in spectroscopy’,Phys.
Rev.A46},R6797(1992)や、D.
J.Wineland,J.J.Bollinger,
W.M.Itano and D.J.Heinze
n,’Squeezed atomic states
and projection noise in
spectroscopy’,Phys.Rev.A5
0,67(1994)を参照)、また、論議されている
系が二準位系のラムゼー(Ramsey)分光法ではな
いが、同様の考え方が文献、M.Kitagawa a
nd M.Ueda,’Nonlinear−Inte
rferometricGeneration of
Number−Phase−Correlated F
ermion States’,Phys.Rev.L
ett.67,1852(1991)にも見られる)。
【0006】環境からの影響による、系のデコヒーレン
スが無視できる場合、最大限にもつれ合った状態(ma
ximally entangled state)
は、エネルギースペクトルの周波数測定の精度を改善し
てくれる。
【0007】この場合、周波数の揺らぎは
【0008】
【外1】 だけ減少する。しかし、系のデコヒーレンスを考慮した
場合、最大限にもつれ合った状態は、相関のない系(u
ncorrelated system)と同程度の分
解能しか与えてくれない。
【0009】また、文献(S.F.Huelga,C.
Macchiavello,T.Pellizzar
i,A.K.Ekert,M.B.Plenio,J.
I.Cirac,’Improvement of F
requency Standards with Q
uantum Entanglement’,Phy
s.Rev.Lett.79,3865(199
7).)では、高度な対称性を持った部分的にもつれ合
った状態を利用する方法が提案されている。
【0010】この方法によれば、あらかじめ、最適なパ
ラメータ(基底ベクトルの係数)を選ぶことができれ
ば、最大限にもつれ合った状態や、相関のない状態に比
べて、高い分解能を得ることができる。
【0011】上述の高度な対称性を持つ部分的にもつれ
合った状態は次の形で与えられる。
【0012】
【外2】 ただし、nは、状態を構成する二準位系の粒子であるq
ubitの個数を表しており、
【0013】
【外3】 は、n/2を超えない最大の整数を表すものとする。
{ak }は実数で、例えば、ラムゼー分光法において高
分解能が得られるように、最適な値の組み合わせが、あ
らかじめ与えられているとする。今の場合、定数と考え
てよい。
【0014】|k〉s は、k個、または、(n−k)個
のqubitが励起した状態を、等しい重みで重ね合わ
せたものとする。例えば|ψ 4〉は次のように与えられ
る。 |ψ 4〉=a0 |0〉+a1 |1〉+a2 |2〉 =a0 (|0000〉+|1111〉) +a1 (|0001〉+|0010〉+|0100〉+|1000〉+|111 0〉+|1101〉+|1011〉+|0111〉) +a2 (|0011〉+|0101〉+|0110〉+|1001〉+|101 0〉+|1100〉) これらの状態は、以下のような対称性を持つ。 ・任意の二つのqubitの置換に対して不変 ・各qubitに対して、同時に{|0〉、|1〉}を
反転させても不変
【0015】
【発明が解決しようとする課題】高度な対称性を持つ部
分的にもつれ合った状態を使ってラムゼー分光法の実験
を行う場合、デコヒーレンスが起こる前に、系の初期状
態として、目的のもつれ合った状態をできるだけ早く用
意しなくてはならない。このように、現実の物理系では
必ずデコヒーレンス時間というものが存在し、この時間
内に量子力学的な操作を行わなくてはならない。これ
は、量子精密測定だけでなく、量子通信や、一般の量子
計算でも共通の問題である。
【0016】また、ある定まった状態から、目的のもつ
れ合った状態を構成するには、基本的な量子ゲートによ
る操作を何回も連続して行わなくてはならず、この回数
をなるべく低く抑えることが、目的のもつれ合った状態
を準備するのに必要な時間を短縮することにつながると
考えられる。
【0017】また、目的のもつれ合った状態を得るため
の量子ゲートネットワークを構成するためには、基本的
な量子ゲートをどのqubitに対して、どのような順
序で作用させるか、更に、ユニタリー回転の回転パラメ
ータなどを、あらかじめ古典計算機等によって決定して
おかなくてはならない。そして、これらの計算量も、現
実的に実行可能な程度に低く抑えられることが望まし
い。
【0018】そこで、本発明は、現実の物理系のデコヒ
ーレンス時間内に目的のもつれ合った状態を構成するた
め、基本的な量子ゲートの総数で計算時間を評価した場
合に、できるだけ少ないステップ数で所望の状態を構成
する方法を提供することを目的とする。
【0019】また、本発明は、基本的な量子ゲートから
成るネットワークを構成する際、基本的な量子ゲート
を、どのqubitに対して、どのような順序で作用さ
せるか、更に、ユニタリー回転パラメータ等をあらかじ
め古典計算機によって決定するための効果的な手続きを
提供することを目的とする。
【0020】また、本発明は、高度な対称性を持った部
分的にもつれ合った状態だけでなく、偶数の衝突(co
llision)を持つ関数によって定義される部分的
にもつれ合った状態を、基本的な量子ゲートの総数で計
算時間を評価した場合に、できるだけ少ないステップ数
で構成する方法及びその装置を提供することを目的とす
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、本発明の状態構成方法によれば、複数個の二準
位系から成る量子力学的状態で、各二準位系が基底状態
または励起状態となる正規直交基底の重ね合わせで表現
した場合、各基底の係数が全て実数となる部分的にもつ
れ合った所望の量子力学的な状態を、選択的位相回転操
作と、逆平均操作とを組み合わせた操作を行うことで構
成する。
【0022】また、本発明の他の態様によれば、状態構
成装置に、複数個の二準位系に対する選択的位相回転操
作手段と、前記複数個の二準位系に対する逆平均操作手
順とを備え、前記複数個の二準位系から成る量子力学的
状態で、各二準位系が基底状態または励起状態となる正
規直交基底の重ね合わせで表現した場合、各基底の係数
が全て実数となる部分的にもつれ合った所望の量子力学
的な状態を、前記選択的位相回転操作手段による操作
と、逆平均操作手段による操作とを組み合わせた操作を
行うことで構成する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
形態を詳細に説明する。 (各実施形態に共通する基本的な考え方)本実施形態で
は、次の順で、説明がなされる。 1.単純な方法(first trial法) 2.(first trial法)の具体例 3.第二レジスターを使用しない場合の(first
trial法)のゲートネットワーク構成方法 4.(R′{η}DR{η}縮約法が成功するための条
件 5.(R(π)D)繰り返し法 6.(R(π)D)繰り返し法の簡単な例 7.偶数の衝突(collision)を持つ関数で与
えられる部分的にもつれ合った状態を構成する場合 8.具体的な量子ゲートネットワークの構成例と計算時
間の評価 (第一の実施形態)偶数の衝突(collision)
を持つ関数の量子ゲートネットワーク (第二の実施形態)選択的位相回転の量子ゲートネット
ワーク (第三の実施形態)逆平均操作の量子ゲートネットワー
ク (第四の実施形態)全過程の計算量の評価 (第五の実施形態)∧n (Rz (α))ゲートの構成方
法 (第六の実施形態)Cold Trapped Ion
法によって実現する方法 (第七の実施形態)量子通信に応用する例 以下、順次説明を行う。
【0024】〔単純な方法(first trial
法)〕高度な対称性を持つ部分的にもつれ合った状態を
構成する方法として、最初に、以下のものを考えること
にする。この方法を、本実施形態では、便宜上、(fi
rst trial法)と呼ぶことにする。なお、後で
示されるが、この方法は、n=2,3の場合、任意の実
係数の組{ak }で指定される|ψ n〉を構成すること
が出来るが、n≧4の場合については、特別な場合しか
構成できない。
【0025】しかし、この(first trial
法)は、全ての実施形態を通して、基本的な考え方とな
っており、他の実施形態は、(first trial
法)を改良した方法として提案される。
【0026】(first trial法) 1.n−qubitのレジスターに以下のような、初期
状態を準備する。|s 1〉=|0・・・0〉. 2.レジスターの各qubitに、Hadamard変
換を作用させる。ただし、Hadamard変換は、次
のように与えられるとする。
【0027】
【外4】 (2)式の表現では、|0〉=(1,0)、|1〉=
(0,1)としている。この操作により、レジスター
に、均一な重ね合わせ状態(a flat super
position)
【0028】
【外5】 が得られる。
【0029】3.s(k)を、|k〉での、励起状態に
あるqubitの総数とする。
【0030】
【外6】 として、{0,1,…,p}から、p個の要素を選び、
適当に並べ変えることによって、順列{η0 ,η1
…,ηp-1 }が得られたとする(従って、ηi は、0≦
i≦pで、0≦ηi ≦pをみたす整数で、また、i≠j
のとき、ηi ≠ηjとなる)。以下の三つの操作
(a)、(b)、(c)を、i=0,1,…,p−1に
ついて順に行う。
【0031】(a)適当な0≦φi <2πを選ぶ。s
(k)がηi に等しい場合、|k〉の位相をφi だけ回
転させる選択的位相回転(selective rot
ation)を行う。s(k)が(n−ηi )に等しい
場合、|k〉の位相を(−φi)だけ回転させる。
【0032】(b)Groverの逆平均操作(inv
ersion about average oper
ation)Dをレジスタ一に対して行う(文献、L.
K.Grover,’A fast quantum
mechanical algorithm for
database search’,LANL qua
ntum physics archive quan
t−ph/9605043、および、L.K.Grov
er,’Quantum MechanicsHelp
s in Searching for a Need
le ina Haystack’,Phys.Re
v.Lett.79,325(1997).参照)。
【0033】(c)s(k)がηiに等しい場合、|
k〉の位相をθi だけ回転させる。s(k)が(n−η
i )に等しい場合、|k〉の位相を(−θi )だけ回転
させる選択的位相回転を行う。位相回転パラメータθi
は、基底ベクトルの位相を相殺して係数を実数とするよ
うに選ぶ。
【0034】上記において、順列{η0 ,η1 ,…,η
p-1 }、および位相回転パラメータ{θ0 ,θ1 ,…,
θp-1 }は、式(1)における係数の組{ak }に依存
する。
【0035】nが偶数で、η=n−η=n/2の場合、
s(k)=ηが成立する基底のベクトルの個数は偶数で
ある。従って、上記ステップ3(a)では、s(k)=
ηが成立する基底ベクトルの全体の半分に対して位相を
θだけ回転させ、残りの基底ベクトルの半分に対して位
相を(−θ)だけ回転させる。ステップ3(c)につい
ても、同様の操作を行う。
【0036】選択的位相回転を効率良く行うために、二
つのレジスターを用意する。第一レジスターはn個のq
ubitから成り、第二レジスターは、
【0037】
【外7】 このqubitから成るとする。但し、
【0038】
【外8】 は、log2 (n+1)以上の最小の整数を表わす。第
一レジスターの各qubitに対してHadamard
変換を作用させ、均一な重ね合わせ状態を得た後、s
(k)の値を第二レジスターに書き込むことにする。
【0039】
【外9】
【0040】選択的位相回転を行う際、量子ゲートのコ
ントロール部を第二レジスターに設定することにより、
量子ゲートの使用数を節約することができる。例えば、
n=4、s(k)=1の場合を考えてみる。第二レジス
ターが|1〉の状態の位相を回転させることは、第一レ
ジスターの8個の基底ベクトルの位相を回転させること
に等しい。なお、逆平均操作Dを行う直前、および、終
状態を得る直前には、第二レジスターは|0…0〉に初
期化されていなくてはならない。
【0041】これまで説明してきた方法の動作を確認す
るために、ステップ3(a)(i=0)後の状態|s
3 〉を以下のように表すことにする。
【0042】
【外10】 但し、s(k)がηに等しい基底ベクトルの個数をhと
している。
【0043】R{η}は、ステップ3(a)で作用させ
る選択的位相回転を表わしている。ここでは、添え字で
あるi=0は、省略されている。式(5)では、{|
k〉|k∈{0,1}n }が正規直交基底として取られ
ている。式(5)の表現のように、本願実施形態では、
しばしば、縦ベクトルを横ベクトルとして記述する。ま
た、ここでは、s(k)がηに等しい基底ベクトルの個
数をhとしている。従って、|s3 〉には、成分exp
(iφ)、および、exp(−iφ)が、それぞれh個
ずつ存在することになる。
【0044】なお、(5)の表現では、基底ベクトルの
順番{|0…00〉,|0…01〉,…,|1…1
1〉}が変更されていて、成分exp(iφ)、および
exp(−iφ)が、|s3 〉の左端に集まるようにし
ている。このように、基底ベクトルの順番を変更して
も、逆平均操作Dの行列表現は変化しない。Dの2n ×
n行列表現は次のように与えられる。
【0045】
【外11】
【0046】Dを|s3 〉に作用させると次の状態が得
られる。 |s4 〉=D|s3 〉=〔α,…α* ,…β…〕, (7) 但し、α,βは以下を満たすものとする。
【0047】
【外12】 位相を相殺するために、θを次のように定義する。
【0048】
【外13】
【0049】次に、選択的位相回転R′{η}を|s
4 〉に作用させる。
【0050】
【外14】 但し、成分|α|の個数は2hとする。2h個の基底ベ
クトルの係数を負にしたい場合は、これら、2h個の基
底ベクトルに対して、選択的に位相をπだけ回転させれ
ばよい。
【0051】例えば、n=2の場合、|ψ2 〉は次のよ
うに与えられる。
【0052】 |ψ2 〉=a0 (|00〉+|11〉)+a1 (|01〉+|10〉), (11) 但し、
【0053】
【外15】
【0054】2−qubitの均一な重ね合わせ状態の
|00〉、および、|11〉に対して、(±φ)だけ位
相を回転させる操作を使って、これまで説明してきた方
法を実行すると、|ψ2 〉が次の形で得られる。
【0055】
【外16】 これは、(12)(i)の範囲に含まれている。φは、
量子的な操作を実行する前に、あらかじめ、(13)か
ら古典的計算によって決定されていなくてはならない。
【0056】(first trial法)を使えば、
任意の実係数によって与えられる|ψ2 〉、および、|
ψ3 〉は、構成可能である。しかし、n≧4の場合、係
数の組{ak }によっては、この方法では構成できない
|ψn 〉が存在する。例えば、以下のような状態は、こ
の方法では構成できない。
【0057】
【外17】
【0058】実は、(first trial法)は、
後述する(R′{η}DR{η})縮約法を連続的に行
うことに対応する。この(R′{η}DR{η})縮約
法は、常に成功するとは限らないが、成功するための十
分条件があり、それについても後述する。
【0059】また、式(13)につき説明したように、
(first trial法)では、ユニタリーゲート
を作用させる前に、位相回転パラメータ
【0060】
【外18】 を古典計算によって決定しておかなくてはならない。こ
のように、量子ゲートネットワークを組む前に、古典計
算が必要なのは、全ての実施形態に共通している。
【0061】この(first trial法)で、選
択的位相回転を行うことのできる基底ベクトルは、
【0062】
【外19】 として、(p+1)個存在する。従って、(R′{η}
DR{η})を作用させる順列は、全部で(p+1)!
通り存在する。しかし、与えられた|ψn }が構成でき
る場合は、全体の一部でしかない。更に、ある|ψn
については、すでに説明したように、そもそも、この方
法では構成できない。
【0063】また、上記の位相回転パラメータを決定す
るには、古典計算による試行錯誤を(p+1)!回行う
必要がある。よって、nが増加するにつれて、計算量の
負担が大きくなることがある。
【0064】そこで、本願実施形態では、このような場
合に対処する方法として、(R′{η}DR{η})縮
約法が成功するための十分条件と、(R(π)D)繰り
返し法を使う方法を、後の項目で説明する。
【0065】〔(first trial法)の具体
例〕(R′{η}DR{η})縮約法が成功するための
十分条件、および、(R(π)D)繰り返し法の説明に
入る前に、ここで、n=2,3,4の場合の(firs
t trial法)のqubitの変化の様子と、特
に、第二レジスターを使用しない場合の量子ゲートのネ
ットワーク構成を説明する。
【0066】あらかじめ、n、{a0 ,a1 ,…,a
p }が与えられているとする。ここで、
【0067】
【外20】 である。これらの定数で指定され、式(1)で表わされ
る、高度な対象性を持つ部分的にもつれ合った状態|ψ
n 〉を構成するための量子ゲートのネットワークについ
て考える。
【0068】qubitの状態の変化を具体的に見るた
めに、最初の簡単な例として、n=2の場合について考
えてみる。ここで、しばらくの間、式(11)におい
て、
【0069】
【外21】 とする。
【0070】まず、初期状態として、第一、第二qub
itに|00〉を用意し、各qubitに、それぞれ独
立にH(Hadamard変換)を作用させる。これに
より、qubitは以下の状態に変換される。
【0071】
【外22】 |00〉、|11〉に、それぞれ選択的に位相因子ex
p(iφ)、exp(−iφ)を掛け合わせる選択的位
相回転(selective rotation)を行
う。このようにして得られた、第一、第二qubitの
状態を|ψ〉とする。
【0072】
【外23】
【0073】次に、逆平均操作(inversion
about average operation)を
施す。今、n=2なので、式(6)から、Dは4×4の
行列表示で、次のように与えられる。
【0074】
【外24】 |ψ〉にDを作用させると、以下のように変換される。
【0075】
【外25】
【0076】次に、再度、|00〉、|11〉に位相因
子exp(iθ)、exp(−iθ)を掛け合わせる。
但し、θは、次の関係をみたすとする。
【0077】
【外26】 このような、選択的位相回転の結果、二つのqubit
は、次のような状態になる。
【0078】
【外27】 そこで、あらかじめ、
【0079】
【外28】 をみたすφを選んでおけば、目的の部分的にもつれ合っ
た状態|ψ2 〉が得られる。
【0080】ここで、次の点に注意する。|ψ2 〉全体
の位相を回転させても物理量は変化しないことから、a
0 、a1 のとる値の範囲は、次の二通りに分けられる。
【0081】
【外29】 先の具体例は、(i)の条件をみたす|ψ2 〉を構成す
る方法になっている。(ii)の条件を満たす|ψ2
を構成するには、選択的位相回転を|00〉、|11〉
ではなく、|01〉、|10〉について行えばよい。よ
って、n=2の場合、(first trial法)
で、任意の|ψ2 〉を構成することができる。
【0082】次に、n=3の場合について考える。 |ψ3 〉=a0 (|000〉+|111〉) +a1 (|001〉+|010〉+|100〉+|110〉+|101〉+|0 11〉) (14) 但し、a0 2 +3a1 2 =1/2とする。ここで、しば
らくの間、
【0083】
【外30】 とする。
【0084】まず、初期状態とて、第一、第二、第三q
ubitに|000〉を用意し、各qubitに、それ
ぞれ独立にH(Hadamard変換)を作用させる。
【0085】
【外31】 |000〉、|111〉に、それぞれ選択的に位相因子
exp(iφ)、exp(−iφ)を掛け合わせる選択
的位相回転(selective rotation)
を行えば、次の状態|ψ〉が得られる。
【0086】
【外32】
【0087】次に、逆平均操作Dを作用させる。Dは、
式(6)でn=3とすることで、行列表現が次のように
与えられる。
【0088】
【外33】 |ψ〉にDを作用させると、以下のように変換される。
【0089】
【外34】
【0090】次に、再度、|000〉、|111〉に位
相因子exp(iθ)、exp(−iθ)を掛け合わせ
る。但し、θは、
【0091】
【外35】 を満たすとする。このような、選択的位相回転の結果、
二つのqubitは、次のような状態になる。
【0092】
【外36】 そこで、あらかじめ、
【0093】
【外37】 を満たすφを選んでおけば、目的とする部分的にもつれ
合った状態|ψ3 〉が得られる。
【0094】ここで、次の点に注意する。式(15)か
ら、式(14)においてa0 、a1のとる値は、
【0095】
【外38】 の4通りとなる。先の具体例は、(i)の条件をみたす
|ψ3 〉を構成する方法となっている。(ii)の条件
をみたす|ψ3 〉を構成するには、二回目のselec
tive rotationで、|000〉、|11
1〉に、それぞれ−exp(iθ)、−exp(−i
θ)を掛け合わせればよい。
【0096】また、|001〉、|010〉、|10
0〉、および、|110〉、|101〉、|011〉
に、選択的に位相回転を行って、
【0097】
【外39】 逆平均操作Dを行って、
【0098】
【外40】 再度、選択的に位相回転を行えば、
【0099】
【外41】 を得る。この場合、初等的な計算により、cosζ=1
/3として、0≦φ≦ζの範囲で、(iii)の条件を
みたす|ψ3 〉を構成したことが分かる。(iv)の条
件をみたす|ψ3 〉も、同様にして構成できる。よっ
て、(firsttrial法)で任意の|ψ3 〉を構
成することができる。
【0100】次に、n=4の場合について考える。 |ψ4 〉=a0 (|0000〉+|1111〉)+a1
(|0001〉+|0010〉+|0100〉+|10
00〉+|1110〉+|1101〉+|1011〉+
|0111〉)+a2 (|0011〉+|0101〉+
|0110〉+|1001〉+|1010〉+|110
0〉) 但し、a0 2 +4a1 2+3a2 2=1/2とする。
【0101】まず、初期状態として、第一、第二、第
三、第四qubitに|0000〉を用意し、各qub
itに、それぞれ独立にH(Hadamard変換)を
作用させる。
【0102】
【外42】 ここで、はiの2進表現とする。|0000〉、|1
111〉に、それぞれ選択的に位相因子exp(i
φ)、exp(−iφ)を掛け合わせれば、次の状態|
ψ〉が得られる。
【0103】
【外43】
【0104】次に、逆平均操作Dを作用させる。Dは、
式(6)でn=4とすることで、行列表現で次のように
書ける。
【0105】
【外44】 Dを作用させると、qubitの状態は、以下のように
なる。
【0106】
【外45】
【0107】次に、再度、|0000〉、|1111〉
に位相因子exp(iθ)、exp(−iθ)を掛け合
わせる。但し、θは、
【0108】
【外46】 を満たすとする。このような、選択的位相回転の結果、
二つのqubitは、次のような状態になる。
【0109】
【外47】 である。
【0110】更に、|0011〉、|0101〉、|0
110〉にexp(iδ)を、|1001〉、|101
0〉、|1100〉にexp(−iδ)を、それぞれ選
択的に位相因子として掛け合わせる。この後、再度、D
を作用させると、qubitの状態は、以下のようにな
る。
【0111】
【外48】 |0011〉、|0101〉、|0110〉にexp
(iκ)を、|1001〉、|1010〉、|110
0〉にexp(−iκ)を、それぞれ選択的に位相因子
として掛け合わせる。但し、κは、
【0112】
【外49】 を満たすとする。
【0113】このような、選択的位相回転の結果、qu
bitは次のような状態になる。
【0114】
【外50】 但し、 S1 (φ,δ)=−6r1 (φ)+2r2 (φ)(4+
3cosδ) S2 (φ,δ)=2r1 (φ)+6r2 (φ)cosδ S3 (φ,δ)=|2r1 (φ)+r2 (φ)(8−5
exp(iδ)+3exp(−iδ))| としている。
【0115】あらかじめ、φ、δとして、適切なパラメ
ータを選んでおけば、特定の部分的にもつれ合った状態
|ψ4 〉が得られる。また、位相回転を行う項をどのよ
うに選ぶかを工夫すれば、係数{a0 ,a1 ,a2 }の
取り得る値の様々な組み合わせに対応できる。しかし、
すでに説明したように、(first trial法)
では、n≧4の場合の、任意の|ψn 〉を構成できると
は限らない。
【0116】〔第二レジスターを使用しない場合の(f
irst trial法)のゲートネットワーク構成方
法〕次に、(first trial法)で、第二レジ
スターを使用しない量子ゲートのネットワーク構成を、
n=2,3,4の場合について、それぞれ図1、2、3
〜5に示す。
【0117】ここで、nが増大するにつれて、(fir
st trial法)で第二レジスターを使用しない場
合の、量子ゲートのネットワークに必要な基本量子ゲー
トの総数がどう変化するかを調べる。問題を簡単化する
ために、nが奇数で、n=2p+1と表せる場合につい
て考えてみる。この時、式(1)は次のように表わされ
る。
【0118】
【外51】 但し、|k〉は、(2p+1)個のqubitのうち、
|1〉がk個含まれる項と、(2p+1−k)含まれる
項の、合計22p+1k 個の状態を等しい重みで、重ね合
わせたものである。また、選択的位相回転も、|k〉、
但し、k=1,…,pという特定の順序で行われるとす
る。
【0119】処理全体の流れを図6に示す。X1 ,…,
2p+1は第一レジスターの(2p+1)個のqubit
を表している。selective rotatio
n、逆平均操作、selective rotatio
nの三つで一組の操作がp回連続して行われる。φk
selective rotationの際、2p+1k
個の|1〉がk個含まれる項に対して、位相因子exp
(iφk )が掛け合わされ、残りの、2p+1k 個の|
1〉が(2p+1−k)個含まれる項に対して、位相因
子exp(−iφk )が掛け合わされている。
【0120】特定のある一つの状態に対して、sele
ctive rotationを行う量子ゲートは、図
7で与えられる。但し、X1 ,…,Xn は第一レジスタ
ーのn個のqubitを表している。また、図中、斜線
で塗られた四角形には、NOT−ゲートσx 、または、
恒等変換Iが入る。NOT−ゲートと恒等変換の入れ方
は、kによって異なる。これを見ると明らかなように、
selectiverotationは、最小でも一個
のΛn (Rz (2φk ))を必要とする。
【0121】Λn (Rz (2φk ))の定義は、この後
の、〔具体的な量子ゲートネットワークの構成例と計算
時間の評価〕の(第二の実施形態)で行う。また、この
後の、〔具体的な量子ゲートネットワークの構成例と計
算時間の評価〕の(第五の実施例)で示されることだ
が、n≧7のとき、Λn (Rz (2φk ))を構成する
のに必要な基本ゲートは、8(2n−7)個であること
が確かめられている。よって、selective r
otation全体で必要な基本ゲートは、最低でも8
(2n−7)個と分かる。
【0122】位相因子exp(iφk )、exp(−i
φk )のために選択される状態の種類は、22p+1k
ある。位相因子exp(iθk )、exp(−iθk
についても、同様の操作を行う。selective
rotationは、k=1から、k=pまで行われる
ので、全体として、少なくとも、
【0123】
【外52】 程度の計算量が必要と分かる。
【0124】このように、(first trial
法)で第二レジスターを使用しない場合、計算量がnの
増大と共に、O(2n )のオーダーで増大してしまう。
実は、後述するように、第二レジスターを用意すること
で、基本ゲートの総数をO(2n/2 )のオーダーで抑え
られることが示される。
【0125】〔R′{η}DR{η})縮約法が成功す
るための条件〕位相回転パラメータは、古典的な計算に
よって、以下のように決定するとよい。(first
trial法)は、選択的位相回転と、逆平均操作の組
合わせで行われる。これらは、ユニタリー変換なので、
|ψn 〉を均一な重ね合せ状態である
【0126】
【外53】 へ変換する操作の逆の操作として考えることができる。
幸い、選択的位相回転の逆変換は選択的位相回転であ
り、また、逆平均操作Dの逆変換も逆平均操作Dであ
る。
【0127】これにより、係数がai 、aj である基底
ベクトルについて、(R′DR)という変換を作用させ
ることによって、変換後の新たな係数を同じにする操作
を、(R′DR)縮約操作と呼ぶことにする。次に説明
する補題が、(R′DR)縮約操作のための十分条件を
与えるくれる。ここで、
【0128】
【外54】 とし、しばらくの間、k=0,1,…,pについてak
≧0を仮定する。
【0129】補題0.1〔縮約操作のための十分条件〕
|Ψ〉が次のように与えられているとする。
【0130】
【外55】 但し、N=2n −1、0≦a0 <a1 とする。成分a0
が2h個、成分a1 が2m個と仮定する。h≧1、m≧
1、更に、h+m≦2n-1 とする。|Ψ〉の全ての係数
を和をSと表すことにする。
【0131】
【外56】 もし、次の条件、 S−Sn-2 (a0 +a1 )≧0 が成立すれば、係数がa0 、または、a1 だった、2
(h+m)個の基底ベクトルの係数を、2m個の基底ベ
クトルの選択的位相回転を含む(R′DR)縮約法によ
って、同じ係数にすることが、常に可能である。
【0132】(証明)回転角θ(0≦θ<2π)の選択
的位相回転を、係数がa1 である2m個の基底ベクトル
に作用させると、次の状態が得られる。
【0133】
【外57】 ただし、N=2n-1 、従って、R′(θ)DR(θ)|
Ψ>は次のように書ける。
【0134】
【外58】 ただし、
【0135】
【外59】 とし、また、
【0136】
【外60】 とする。A0 2をA1 2に等しくするために、次の関数f
(θ)を定義する。 f(θ)=2n-2 (A0 2−A1 2) =(2ha0 +2ma1 cosθ+C)(a1 cosθ−a0 )−2n-2 (a1 2 −a0 2). (17) もし、f(θ)=0がみたされれば、A0 2はA1 2に等し
くなる。ここで、f(θ)、および、f(π/2)を、
次のように評価しておく。
【0137】
【外61】 よって、S−2n-2 (a0 +a1 )≧0ばみたされれ
ば、A0 2=A1 2をみたす0≦θ<(π/2)が存在す
る。A0 ,A1 の符号が異なる場合は、選択的π回転を
行えばよい。
【0138】位相回転パラメータを決めるために、次の
ような手続きをとることにする。与えられた状態|Ψn
>を、(1)で表わすことにする。ただし、0≦k≦p
について、ak ≧0とする。
【0139】amin を、{ak }の中で最小の係数と
し、amin+1 を二番目に小さい係数とする。従って、0
≦amin <amin+1 <aj 、ただし、aj は、|Ψn
の係数で、amin およびamin+1 以外の任意の係数とす
る。
【0140】{ak }のうち異なる係数の個数は、(p
+1)なので、amin 、amin+1 を見付けだすのに必要
な時間は、O(n)ステップ程度である。Sは、|Ψn
>の全ての係数の和としている。
【0141】1.もし、S<2n-2 (amin +a
min+1 )が成立するなら、全てのi,jについて、S<
n-2 (ai +aj )が成立する。このような場合、
(R′DR)縮約法を実行するのは、不可能である。よ
って、後述する(R(π)D)繰り返し法を行わなくて
はならない。
【0142】2.もし、S>2n-2 (amin +a
min+1 )が成立するなら、(R′DR)縮約法を実行し
て、Amin 2=Amin+1 2という関係を得ることができる。
式(17)は、cosθの二次方程式なので、θを効率
良く得ることができる。
【0143】この場合、縮約可能な係数の対が他にも存
在する可能性はあるが、これらは無視する。(R′D
R)縮約法を実行後、負の係数を持つ基底ベクトルに対
して、選択的にπだけ位相回転することによって、全て
の係数が、正、または、0の状態を得ることができ、補
題0.1の条件が満たされているかどうか、再び調べる
ことができる。
【0144】もし、(R′DR)縮約法が、|Ψn >に
対して、p回だけ実行できれば、均一な重ね合わせ状態
(a flat superposition)を得る
ことができる。逆に考えると、量子ゲートネットワーク
は可逆な過程なので、均一な重ね合わせ状態から、量子
ゲートネットワークによって、|Ψn >を構成すること
ができる。式(16)を使えば、{Ai }を古典計算機
によってO(n)ステップ程度で計算できる。これは、
{Ai }のうち異なる係数の個数が(p+1)個だから
である。
【0145】〔(R(π)D)繰り返し法〕補題0.1
の条件、S≧2n-2 (amin +amin+1 )が満たされな
い場合、どのようにして係数を縮約するかについて考え
る。例えば、以下のような状態を考える。
【0146】
【外62】
【0147】ただし、0≦a0 <a1 とする。成分a0
の個数を(2n −t)、成分a1 の個数をtと仮定す
る。ただし、2≦t≦2n −2、かつ、tは偶数とす
る。次のような条件、0<t<2n-2 、かつ、〔(3・
n-2 −t)/(2n-2 −t)〕a0 <a1 が成立する
場合、|Ψ>はS<2n-2 (a0 +a1 )を満たす。
【0148】この場合、逆平均操作D、次に、負の係数
を持つ基底ベクトルに対して選択的に位相をπ回転させ
る操作を行い、係数A0 とA1 の差を小さくすることが
できる。図8に、この様子を分かりやすく示す。図8で
は、(i)|Ψ>、(ii)D|Ψ>、(iii)R
(π)D|Ψ>の基底ベクトルの係数が示されている。
|Ψ>に(R(π)D)が作用された後、係数の差が小
さくなっていることが分かる。従って、(R(π)D)
を連続して作用させることによって、〔S−2n- 2 (a
min +amin+1 )〕を大きくできることが期待される。
次の補題により、そのことを明らかにする。
【0149】(補題0.2)次のように与えられる状態
|Ψ>を考える。
【0150】
【外63】
【0151】ただし、N=2n −1であり、j=2(h
+m),…,Nについて、0≦a0<a1 <aj とす
る。また、成分a0 の個数を2h、成分a1 の個数を2
mとし、h≧1、m≧1、かつ、h+m≦2n-1 と仮定
する。|Ψ>の全ての係数の和であるSは、以下の条件
をみたしているとする。
【0152】 S−2n-2 (a0 +a1 )<0. (20) |Ψ>に対して、逆平均操作Dを作用させ、次に、負の
係数を持つ基底ベクトルに対して選択的π位相回転を作
用させ、次の状態が得られたとする。
【0153】R(π)D|Ψ>=〔B0 ,…,B1
…,B2(h+m),…,BN 〕、S′をR(π)D|Ψ>の
全ての係数の和として定義する。
【0154】1.次の関係が成立する。j=2(h+
m),…,N(=2n −1)について 0<B0 <B1 <Bj 、かつ、〔S′−2n-2 (B0 +B1 )〕−〔S−2n-2 (a0 +a1 )〕 >(2h−2n-1 )a0 +(2n −2h)a >0. (21) 2.以下の量を定義すると、
【0155】
【外64】 次の関係が成立する。 ε(1) >ε(0) >0. (証明)D|Ψ>は次のように求められる。 D|Ψ>=〔a′0,…,a′1,…,a′2(h+m)
…,a′N〕,ただし、N=2n −1、
【0156】
【外65】 S−2n-10 >0となるには明らかである。S−2
n-2 (a0 +a1 )<0という条件を使えば、
【0157】
【外66】 について、S−2n-1k <0という関係が得られる。
したがって、R(π)D|Ψ>は次のように得られる。
【0158】
【外67】
【0159】B1 とB0 の差は以下のように求められ
る。
【0160】 2n-1 (B1 −B0 )=−2〔S−2n-2 (a0 +a1 )〕>0.(25) ここで、式(20)の仮定を使った。また、j=2(h
+m),…,2n −1についてB1 <Bj は明らかであ
る。これより、j=2(h+m),…,2n −1につい
て0<B0 <B1 <Bj が得られる。
【0161】次の関係
【0162】
【外68】 より、(R(π)D)操作によって引き起こされる〔S
−2n-2 (a0 +a1 )〕の変化であるΔが、以下のよ
うに書き表せられる。
【0163】
【外69】
【0164】Δを精密に評価するために、いくつかの便
利な不等式を用意する。Sの定義より、次の関係が得ら
れる。
【0165】
【外70】 仮定(20)、および、(27)を使えば、次の関係が
導かれる。 0>S−2n-2 (a0 +a1 ) ≧2ha0 +(2n −2h)a1 −2n-2 (a0 +a1 ) =(2h−2n-2 )a0 +(3・2n-2 −2h)a1 . (28) ここで、(28)を変形して、もっと粗い不等式を得る
ことができる。
【0166】 0>2ha0 −2n-21 +(3・2n-2 −2h)a1 =2ha0 +(2n-1 −2h)a1 . (29) 0≦a0 <a1 であることから、次が得られる。
【0167】 2h−2n-1 >0. (30) この関係式(30)と(28)を再度よく見ると、次が
得られる。
【0168】 2h>3・2n-2 . (31) これで、Δを厳密に評価する用意が整えられた。関係式
(31)より、(27)を式(26)に代入することが
できる。
【0169】
【外71】 式(31)を見ると、3・2n-2 <2h<2n であるこ
とが分かる。従って、0<(4h−3・2n-1 )<2
n-1 という関係が導ける。
【0170】式(28)より、Δを次のように評価する
ことができる。
【0171】 Δ>〔(2h−2n-2 )a0 +(3・2n-2 −2h)a1 〕+2n-2 (a1 − a0 ) =(2h−2n-1 )a0 +(2n −2h)a1 >0. (33) よって、最初の結果が導かれた。
【0172】定義(22)、および、(24)、(2
7)、(28)より、ε(0) とε(1)の差を見積もるこ
とができる。
【0173】
【外72】
【0174】以上により、二番目の結果が導かれた。
【0175】補題0.2により、(R(π)D)変換を
連続して作用させることで、〔S−2n-2 (a0 +a
1 )〕を必ず正または0にすることができる。係数
【0176】
【外73】 で指定される状態|Ψ(0) >を考え、|Ψ(0) >がS−
n-2 (a0 +a1 )<0をみたすとする。|Ψ(0)
に(R(π)D)を作用させ、係数
【0177】
【外74】 で指定される状態|Ψ(1) >が得られたとする。補題
0.2.1より、以下の関係が得られる。 〔S′−2n-2 (B0 +B1 )〕−〔S−2n-2 (a0 +a1 )〕>ε(0) >0 , (35) ただし、ε(0) は(22)で定義された量である。
【0178】次に、|Ψ(1) >は、S′−2n-2 (B0
+B1 )<0を満たすとする。|Ψ(1) >に(R(π)
D)を作用させた後、{B0 (2),B1 (2),B
2(h+m) (2) ,B2(h+m)+1 (2) ,…,BN (2)}で指定され
る|Ψ(2) >が得られたとする。補題0.2.2より次
の関係を得る。 〔S′(2) −2n-2 (B0 (2)+B1 (2))〕−〔S′−2n-2 (B0 +B1 )〕> ε(1) ε(0) >0. (36)
【0179】従って、もし〔S′(j) −2n-2 (B0 (j)
+B1 (j))〕<0がみたされれば、〔S′(j+1) −2
n-2 (B0 (j+1)+B1 (j+1))〕は少なくともε(0) (>
0)だけ増加する。jは(R(π)D)を作用させた回
数を表わしている。ε(0) は{a0 ,a1 }、および、
hで定義されている。
【0180】従って、ε(0) は確定した有限な正の値で
ある。(R(π)D)を繰り返し作用させると、〔S′
−2n-2 (B0 +B1 )〕を確実に正または0にでき
る。
【0181】もし〔S′(j) −2n-2 (B0 (j)
1 (j))〕が正または0になったら、(R′DR)縮約
法を再び開始する。(R′DR)縮約法と(R(π)
D)繰り返し操作を用いれば、|Ψn >を、常に、均一
な重ね合わせ状態(a flat superposi
tion)に変換できる。
【0182】そこで、S′(j) −2n-2 (B0 (j)+B1
(j) )≧0にするのに、|Ψ>に対して、何回程度(R
(π)D)を作用させる必要があるかについて考える。
これを評価するために次の状態を考える。
【0183】
【外75】 ただし、
【0184】
【外76】
【0185】また、k=2,…,Mについて0≦a0
1 <ak 、更に、S−2n-2 (a0+a1 )<0とす
る。ここで、次のようにa0 ,a1 ,…,aMを表す。
【0186】
【外77】 ε(0) 、および、〔S−2n-2 (a0 +a1 )〕のオー
ダーを次のように評価できる。 ε(0) =(2n-1 −t)a0 +a1 >2n-10 >O(2(n/2)-1 ),(37) S−2n-2 (a0 +a1 )>2n0 −2n-2 (a0 +a1 )=3・2n-20 −2n-21 >O(2n-2 ). (38)
【0187】従って、(R(π)D)を作用させる回数
Tは、次のように与えられる。
【0188】
【外78】
【0189】式(24)を使えば、{Bi }を古典計算
機によってO(n)ステップ程度で計算できる。これ
は、{Bi }のうち異なる係数の個数が
【0190】
【外79】 個だからである。次に、式(19)で表わされる。(R
(π)D)繰り返し操作の最も簡単な例を、正確に調べ
ることにする。
【0191】〔R(π)D)繰り返し法の簡単な例〕こ
こでは、式(19)で表わされる(R(π)D)繰り返
し操作の簡単な例について考え、〔S′−2n-2 (A0
+A1 )〕を正または0にするには、(R(π)D)を
何回作用させなくてはならないかを評価する。
【0192】式(19)によって与えられる|Ψ>に対
して、(R(π)D)を作用させ、(R(π)D|Ψ>
=〔B0 ,…,B1 ,…〕を得る。ただし、
【0193】
【外80】 とする。tを次のように表わすことにする。
【0194】
【外81】 ただし、0<θ<(π/2)とする。また、{a0 ,a
1 }を、
【0195】
【外82】 ただし、0≦α<(π/2)と表すことにする(このモ
デルを扱う際、次の文献を参考にしている。M.Boy
er,G.Brassard,P.Hoyerand
A.Tapp,‘Tight bounds on q
uantumsearching’,LANL qua
ntum physics archive quan
t−ph/9605034)。
【0196】式(39)、(40)、(41)を使うこ
とによって、{B0 ,B1 }を次のように表わすことが
できる。
【0197】
【外83】 (R(π)D)をj回作用された状態の係数を、B0
(j) 、B1 (j)で表わすことにする。これらは、以下のよ
うに書き表せられる。
【0198】
【外84】 ただし、B0 (0) =a0 ,B1 (0)=a1 とする。S(j)
=(2n −t)B0 (j) +tB1 (j)を定義すると、次の
ことが導き出される。 S(j) −2n-2 (B0 (j) +B1 (j)) =(3・2n-2 −t)B0 (j) +(t−2n-2 )B1 (j)
【0199】
【外85】 ただし、 F(j) =cos〔α+(2j+3)θ〕 とする。0<θ<(π/2)、sin2θ>0であるこ
とから、〔S(j) −2n-2 (B0 (j) +B1 (j))〕が
正、0、負のどれであるかは、F(j) の符号に依存する
と分かる。
【0200】0≦α<(π/2)より、もし(2j+
3)θ=(π/2)であるなら、常に、F(j) ≦0、つ
まり、S(j) −2n-2 (B0 (j) +B1 (j))≧0である
ことが分かる。以下のようにjMAX を定めると、(R
(π)D)の繰り返し回数は、jMAX を超えることはな
い。
【0201】
【外86】 一方、式(40)より、θを
【0202】
【外87】 と書くことができる。tの最小値は2である。もし、t
〜O(1)、かつ、nが十分に大きいなら、次の関係が
得られる。
【0203】
【外88】 このような極限をとると、次が得られる。
【0204】
【外89】 (R(π)D)操作を、多くてもO(2n/2 )回程度繰
り返せば、〔S(j) −2n-2 (B0 (j) +B1 (j))〕
を、正または0にできることが分かる。
【0205】〔偶数の衝突(collision)を持
つ関数で与えられる、部分的にもつれ合った状態を構成
する場合〕これまでは、高度な対称性を持った部分的に
もつれ合った状態について考えてきた。しかし、本明細
書で説明されている方法は、もっと一般化された部分的
にもつれ合った状態に対しても適用できる。
【0206】しばらくの間、次のような関数を考える。 f:A={0,1}n →B={0,1}m , ただし、0≦m≦n−1とする。
【0207】
【外90】 について、f(x)=yをみたすx∈{0,1}n の個
数は、0を含む偶数個とする。図9は、fによって引き
起こされる写像の様子を表わしている。fの全ての衝突
は、偶であると言える。
【0208】fによって{0,1}n から引き起こされ
る像の要素を、{β0 ,β1 ,β2,…,βM }と書く
ことにする。ただし、0≦M≦2m −1とする。これよ
り、
【0209】
【外91】 を仮定する。これは、第二レジスターのqubit数を
節約するためである。
【0210】また、fによって、βk 、ただし、(0≦
k≦M)に写像されるA={0,1}n の要素を{α
(k,1),α(k,2),…,α(k,hk )}と書
くことにする。hk は偶数である。hk は、βk ∈Bで
衝突を起こすAの要素の個数である。そこで、次のよう
な状態を考えることにする。
【0211】
【外92】 ここで、{ak }は実数とする。f(x)を計算する量
子ゲートUf を用意して、これまで説明してきた方法を
使えば、このような|Ψn >を構成することができる。
特に、高度な対称性を持った部分的にもつれ合った状態
の場合、関数fは次のように書かれる。
【0212】f(i)=(iの二進表現での‘1’bi
tの個数)、ただし、(n−f(i))は、f(i)と
同一と見なされ、かつ、
【0213】
【外93】 として、 A={0,1}n ,B={0,1}m . とする。
【0214】ここで、以上で論議してきた方法をまとめ
ることにする。|Ψn >から均一な重ね合わせ状態(a
flat superposition)に変換する
方法を考える方が、均一な重ね合わせ状態から|Ψn
へ変換する方法を考えるよりも、より容易と考えられる
ので、前者の方法をまとめることにする。実際に量子ゲ
ートを作用させる場合は、以下の方法の逆変換を作用さ
せれば良く、これは、ネットワークのファインマン・ダ
イアグラムの時間の向きを逆に取ることに対応する。
【0215】1.負の係数を持つ基底ベクトル全てに対
して、選択的π位相回転を行う。もし、レジスターの状
態が均一な重ね合わせ状態(a flat super
position)に等しければ、操作を終了する。も
し、状態が均一な重ね合わせ状態に等しくなければ、ス
テップ2に進む。
【0216】2.amin を基底ベクトルの係数の最小
値、amin+1 を二番目に小さな係数とする。amin とa
min+1 が、(R′DR)縮約法の十分状態をみたすかど
うか確認する。もし十分条件がみたされれば、(R′D
R)縮約法を実行して、ステップ1へ進む。もし十分条
件がみたされなければ、ステップ3へ進む。
【0217】3.(R(π)D)変換を施して、ステッ
プ1へ進む。
【0218】〔具体的な量子ゲートネットワークの構成
例と計算時間の評価〕式(47)で定義される|Ψn
を構成するための量子ゲートのネトワークを考える。二
つのレジスターと、式(46)で与えられる関数fを用
意する。
【0219】
【外94】 ただし、第一レジスターはn個のqubitから構成さ
れ、第二レジスターはm個のqubitから構成されて
いるとする。第二レジスターは、選択的位相回転のコン
トロール部に使用される。
【0220】均一な重ね合わせ状態(a flat s
uperposition)から|Ψn >を構成するた
めに、(R′DR)縮約操作はM回行われなくてはなら
ない。従って、(DR(π))変換は、多い場合、M×
O(2n/2 )回行われる。もし、Mがnの多項式オーダ
ーでなければ、本明細書で説明される方法が有効である
と言えない。これより、関数f、選択的位相回転、Dの
ネットワークについて、具体的に考えることにする。
【0221】(第一の実施形態)関数fの量子ゲートネ
ットワークについて考える。図10は、関数fのFey
nmanダイアグラムを示している。fは、第一レジス
ターの値によって第二レジスターにユニタリー変換を引
き起こす、量子コントロール・ゲートとして表現されて
いる。
【0222】fのコントロール・ゲートがpoly
(n)オーダー(nの多項式オーダー)の基本量子ゲー
トで構成可能ならば、本実施形態で説明される方法は効
率良く動作することができる。特に、f(i)=s
(i)で与えられる関数の場合、fのコントロール・ゲ
ートはpoly(n)ステップで構成可能である。
【0223】以下に、f(i)=s(i)のコントロー
ルゲートの、具体的な量子ネットワークのデザインを示
す。第一、第二レジスターを以下のように書く。
【0224】
【外95】
【0225】量子ゲートのネットワークは、以下のプロ
グラムとして表現できる(このようなプログラムの書き
方については、文献(R.Cleve and D.
P.DiVincenzo,‘SchumacheR′
s quantum datacompression
as a quantum computatio
n’,Phys.Rev.A 54,2636(199
6)を参考にしている。 Program QUBIT−ADDER1 for k=1 to n do S←(S+Xk )mod 2m
【0226】上記において、Xi は第一レジスターのi
番目のqubitを意味している。また、Sは第二レジ
スターの値を表す。mは第二レジスターのqubitの
個数を表しており、
【0227】
【外96】 である。
【0228】ここで、補助qubit{C1 ,…,C
m-1 }を導入する。図11に示されるように、Cj
(j−1)番目のビットの加算によるくり上がりを表し
ているとする。第二レジスターのqubitを{S0
1 ,…,Sm-1 }と表す。これにより、プログラムQ
UBIT−ADDER1のXk の加算についてのプログ
ラムは、次のように書くことができる。
【0229】
【外97】
【0230】図12は、このプログラムのm=6の場合
についてのFeynmanダイアグラムを示している。
図12に示されるネットワークを、各Xi 、ただし、
(i=1,…,n)について、図13のように繰り返せ
ば、プログラムQUBIT−ADDER1を構成するこ
とができる。
【0231】次に、QUBIT−ADDER1を構成す
るのに、どれくらいの基本量子ゲートが必要かを評価す
る。図12において、QUBIT−ADDER2を構成
するために、2(m−1)個のToffoliゲート、
m個のcontrolled−NOTゲートを使用して
いる。
【0232】QUBIT−ADDER1に必要な全ステ
ップ数は、QUBIT−ADDER2をn回繰り返すの
で、n(3m−2)となる。なお、本願実施形態では、
Toffoliゲート、controlled−NOT
ゲート、1−qubitに対する任意のユニタリー変換
【0233】
【外98】 を全て一単位として見なしている。
【0234】(第二の実施形態)本願実施形態で説明さ
れる方法において使用される、もう一つの重要な量子ネ
ットワークは、選択的位相回転である。例えば、(R′
DR)縮約法を行う際、第二レジスターの二つの状態に
ついて、位相を(±θ)だけ回転させる。
【0235】図14は、第二レジスターでの選択的位相
回転の量子ゲートネットワークを示している。ここで
は、二つのcontrolledm −Rz (α)ゲート
を使用している。m−qubitのコントロール部と、
one−qubitのターゲット部を持つcontro
lledm −Uゲートを、Λm (U)と書くことにす
る。ただし、
【0236】
【外99】 とする。
【0237】Λm (U)は、以下のように動作する。も
し、コントロール部のm個全てのqubitが|1>に
等しいなら、Λm (U)は、U変換をターゲットqub
itに作用させる。もし、m−qubitコントロール
部が|1…1>状態になければ、Λm (U)はターゲッ
トqubitに対して何もしない。例えば、Toffo
liゲートはΛ2 (σx )で、controlled−
NOTゲートはΛ1 (σx )で表される。Λ0 は任意の
U(2)ゲートを表すとする。RZ (α)は、U(2)
変換の一つで、次の形で与えられる。
【0238】
【外100】
【0239】もし、補助qubitを|0>に設定すれ
ば、Λm (Rz (α))は、第二レジスターが|1…1
>状態にあるときだけ、固有値exp(iα/2)を吐
き出す。このような手法は、“kicked bac
k”(蹴り返し)と呼ばれている(R.Cleve,
A.Ekert,C.Macchiavello an
dM.Mosca,‘Quantum Algorit
hms Revisited’,LANL quant
um physics archive quant−
ph/9708016参照)。
【0240】図14において、斜線の箱は、NOT−ゲ
ート、または、恒等変換を表している。NOT−ゲート
はσx で与えられる。斜線の箱が、NOT−ゲート、ま
たは、恒等変換のどちらであるかを決めることによっ
て、位相回転させる基底ベクトルを決定することができ
る。
【0241】(m≧6)の場合、Λm (Rz (α))
は、16(m−4)個のΛ2 (σx )ゲートと、4個の
Λl (σx )ゲートと、4個のΛ0 ゲートとから構成可
能である。このことについては、後で示す(参考文献.
Barenco,C.H.Bennett,R. Cl
eve,D.P.DiVincenzo,N.Marg
olus,P.Shor,T.Sleator,J.S
molin and H.Weinfurter,‘E
lementary gates for quant
umcomputation’,Phys.Rev.A
52,3457(1995))。
【0242】よって、(m≧6)の場合、Λm (Rz
(α))は、多くても8(2m−7)個の量子基本ゲー
トで構成される。図14を見ると、第二レジスターの選
択的位相回転は、多くても次のステップ数で構成される
ことが分かる。
【0243】3m+2・8(2m−7)=7(5m−1
6)〜O(m).
【0244】更に、nが偶数で、かつ、η=n−η=n
/2の場合、第一レジスターの第一qubitであるX
1 を使うと、s(k)=ηである基底ベクトルの半分に
対して位相をθだけ回転させ、残りの半分の基底ベクト
ルに対して位相を(−θ)回転させることが可能であ
る。図15は、この操作のネットワークを示している。
|ψn >を構成する際、第二レジスターの選択的位相回
転はO(log2 n)ステップ程度で実行できる。
【0245】(第三の実施形態)最後に、Dのネットワ
ークについて考える。Dを第一レジスターに作用させる
前に、第二レジスターを|0…0>に初期化しておかな
くてはならない。したがって、(R′DR)縮約法を実
行する際は、式(48)で定義された関数fのユニタリ
ー変換をUf とすると、常に、(R′Uf DUf -1R)
をレジスターに作用させなくてはならない。同様に、
(R(π)D)を実行するときは、(R(π)Uf DU
f -1)を作用させる。
【0246】Dは、次のように分解可能なことが知られ
ている(文献、L.K.Grover,‘A fast
quantum mechanical algor
ithm for database searc
h’,LANL quantumphysics ar
chive quant−ph/9605043.およ
び、L.K.Grover,‘Quantum Mec
hanics Helps in Searching
for a Needle in a Haysta
ck’,Phys.Rev.Lett.79,325
(1997).参照)。
【0247】D=H(n) RH(n) ただし、
【0248】
【外101】 は、n−qubitに対するHadamard変換を意
味し、Rは、第一レジスターの|0…0>に対する選択
的π位相回転を表している。
【0249】図16はDのネットワークを表している。
ネットワークは、4n個のΛ0 ゲートと、一個のΛm
(Rz (2π))ゲートから成っているので、4(5n
−14)個の基本操作が必要である。DはO(n)ステ
ップで構成される。
【0250】(第四の実施形態)ここでは、均一な重ね
合わせ状態(a flat superpositio
n)から|ψn > を構成するのに必要な基本操作の回
数を評価することにする。もし、M(式(46)で定義
される写像fの像の成分の個数)がpoly(n)程度
であって、かつ、式(48)で定義される関数Uf が、
poly(n)個程度の基本ゲートで構成可能ならば、
(R(π)D)の繰り返し操作が全ステップ数の主要な
部分を占めることは明らかである。
【0251】サブルーチン(R(π)D)のネットワー
クは、図17で与えられる。関数Uf を構成するのに必
要なステップ数はfに依るのだが、例えば|ψn >を構
成する際は、O(nlog2 n)程度であることが、
(第一の実施形態)ですでに示されている。また、Dが
4(5n−14)ステップ必要であることは、(第三の
実施形態)で、すでに示されている。
【0252】図18は、(R(π)D)操作における、
選択的π位相回転のファインマン・ダイアグラムを表し
ている。この場合、R(π)は、基底ベクトルの係数が
負のものについて符号を反転させる操作なので、多くて
【0253】
【外102】 個の第二レジスターの基底ベクトルの位相が回転され
る。従って、選択的位相回転は、
【0254】
【外103】 とすると、(P+1)・Q個のΛ0 ゲートと、P個のΛ
Q (Rz (2π))ゲートによって構成される。R
(π)はO(Mlog2 M)ステップで実行可能であ
る。
【0255】|ψn >を構成する際、(R(π)D)変
換はO(nlog2 n)ステップ必要と評価できる。
(R′{η}DR{η})縮約操作の合間に、(R
(π)D))を繰り返す回数は、多くてO(2n/2 )回
程度である。もし、(R′{η}DR{η})縮約操作
の後で、毎回(R(π)D)繰り返し操作を行うとする
と、(R(π)D)繰り返し操作は
【0256】
【外104】 回行われることになる。よって、全部でO(n2hlog
2 n)×2n/2 )ステップが必要となる。
【0257】一般に、任意のユニタリー変換U(∈U
(2n ))は、多くてもO(n32n)程度の基本ゲー
トで構成可能なことが知られている(文献、A.Bar
enco,C.H.Bennett,R.Cleve,
D.P.DiVincenzo,N.Margolu
s,P.Shor,T.Sleator,J.Smol
in and H.Weinfurter,‘Elem
entary gatesfor quantum c
omputation’,Phys.Rev.A52,
3457(1995)参照)。従って、本実施形態で説
明した方法は、一般的な場合に比べて、基本量子ゲート
の個数が軽減されていると考えられる。
【0258】また、|ψn >を構成する際、{an }の
値によっては、一度も(R(π)D)繰り返し操作を行
わずに、(R′{η}DR{η})の縮約法のみで量子
ゲートネットワークを構成できる場合がある。このよう
な場合のネットワークは、図19で与えられる。
【0259】まず初めに、Hadamard変換Hを、
第一レジスターのn個のqubitに、独立に作用させ
る。次に、第一レジスターの‘1’の立ったビットの総
数を計算するブロック、Uadd を作用させる。この後、
selective rotation、逆平均操作U
add DUadd -1 、selective rotatio
nと、三つで一組の操作をp回繰り返す。
【0260】最後に、第二レジスターのqubitを、
全て初期状態|0>に戻すために、Uadd -1を作用させ
る。ただし、Uadd -1 は、Uadd の逆変換を実現するネ
ットワークのブロックで、図12、図13のFeynm
anダイアグラムを、右から左へ、時間の逆方向に作用
させたものである。よって、全計算量は、
【0261】
【外105】 となる。
【0262】更に、本明細書で説明される方法では、量
子ゲートのネットワークを組む前に、あらかじめ、位相
回転パラメータ、選択的に位相回転させる基底ベクトル
の順序などを、古典計算機によって決定しておかなくて
はならない。この際の、古典計算に必要なステップ数も
O(n2log2 n)×2n/2 )程度で抑えられる。
【0263】(第五の実施形態)ここでは、Λn (Rz
(α))ゲートをどのようにして、基本量子ゲートから
構成するかについて考える。文献(A.Barenc
o,C.H.Bennett,R.Cleve,D.
P.DiVincenzo,N.Margolus,
P.Shor,T.Sleator,J.Smoli
n,H.Weinfurter,‘Elementar
y gates for quantum compu
tation’,Phys.Rev.A 52},34
57(1995))には、
【0264】
【外106】 について、Λn (U)を基本的な量子ゲートから構成す
る、様々な手法が示されている。
【0265】最初に、次の関係に着目する。 Rz (α/2)σxz (−α/2)σx =Rz (α) Rz (α/2)Rz (−α/2)=I これにより、図20に示されるように、Λn (Rz
(α))を、Λ1 (Rz (α/2)とΛ1 (Rz (−α
/2))、および、二つのΛn-1 (σx )に分解でき
る。更に、図21を見ると分かるように、Λ1 (Rz
(β))は、Rz (β/2)、Rz (−β/2)、およ
び、二つのcontrolled−NOTゲートに分解
できる。
【0266】そこで、しばらくの間、(n+1)−qu
bitネットワーク上で、どのようにしてΛn-1 (σ
x )ゲートを構成するかについて考えることにする。こ
こで、特に、ネットワーク上で、Λn-1 (σx )に使用
されていないqubitが一つ残っていることに注意す
る。
【0267】n=4の場合、Λ3 (σx )は、四つのT
offoliゲートに分解可能である。n=5の場合、
Λ4 (σx )は、二つのToffoliゲートと、二つ
のΛ3 (σx )ゲートに分解可能であり、よって、Λ4
(σx )は、10個のToffoliゲートに分解可能
となる。n=6の場合、図22を見ると明らかなよう
に、Λ5 (σx )は四つのΛ3 (σx )ゲートに分解可
能である。これは、Λ5(σx )を16個のToffo
liゲートに分解可能であることを意味する。
【0268】n≧7の場合、次のように考えることにす
る。Λn-1 (σx )ゲートは、二つのΛm1 (σx )ゲ
ートと、二つのΛm2 (σx )ゲートに分解可能であ
る。ただし、
【0269】
【外107】 2 =n−m1 とする。図23に、n=8、m1 −5、
2 =3の場合を示す。
【0270】このような分解を行えば、Λm1 (σx
にとってm2 個の使用されていないqubitが、Λm
1 (σx )にとってm1 個の使用されていないqubi
tが存在することになる。Λm1 (σx )、および、Λ
2 (σx )のどちらについても、次の関係が得られ
る。
【0271】 (コントロール部のqubit数)−(使用されていないqubit数)≦2. (49)
【0272】ここで、文献(A.Barenco,C.
H.Bennett,R.Cleve,D.P.DiV
incenzo,N.Margolus,P,Sho
r,T.Sleator,J.Smolin,H.We
infurter,‘Elementary gate
s for quantum computatio
n’,Phys.Rev.A 52,3457(199
5)によれば、次の事実が知られている。
【0273】n≧4の場合、(n+1)−qubitネ
ットワーク上において、
【0274】
【外108】 とすると(つまり、式(49)の関係が成立するという
こと)、Λm (σx )ゲートは4(m−2)個のTof
foliゲートに分解可能である。図24に、n=8、
m=5の場合を示す。
【0275】従って、n≧7の場合、(n+1)−qu
bitネットワーク上で、Λn-1 (σx )は、 2・4(m1 −2)+2・4(m2 −2)=8(n−
4). より、8(n−4)個のToffoliゲートに分解可
能である。図25、図26に、Λn-1 (σx )、Λn
(Rz (α))を構成する際に、必要な基本量ゲートの
個数を示す。
【0276】(第六の実施形態)これまでに説明してき
た、もつれ合った状態の構成方法、および、構成装置
は、1−qubitの任意のユニタリー変換と、2−q
ubits間のcontrolled−NOTゲートを
用意できれば、実現可能である。
【0277】文献(J.I.Cirac and P.
Zoller,‘QuantumComputatio
ns with Cold Trapped Ion
s’,Phys.Rev.Lett.74,4091
(1995))には、ColdTrapped Ion
sと呼ばれる方法で、controlled−NOTゲ
ートを実行する方法が議論されている。この場合、n個
のイオンを直線状に捕獲し、各イオンの基底状態と第一
励起状態をqubitの{|0>,|1>}と見なす。
また、量子ゲートの操作は、外部から各イオンへレーザ
ー照射することによって実現される。
【0278】直線状に捕獲されたイオンは、クーロン相
互作用し、各イオンは平衡点を中心に振動する。この振
動モードが量子化されると、phononとなって、補
助qubitとして利用できる。上記文献では、このp
hononモードを巧みに利用して、controll
ed−NOTゲートを実行する方法が提案されている。
このような系を利用すれば、これまでの実施形態で説明
されている、もつれ合った状態の構成方法、および、構
成装置は実現可能である。
【0279】n個の捕獲されたイオンで|ψn >を構成
し、文献(S.F.Huelga,C.Macchia
vello,T.Pellizzari,A.K.Ek
ert,M.B.Plenio and J.I.Ci
rac,‘Improvement of Frequ
ency Standards with Quant
um Entanglement’,Phys.Re
v.Lett.79,3865(1997).)に示さ
れている要領で、ラムゼー分光法を行えば、イオンの基
底状態と第一励起状態のエネルギー準位の差について、
shot noise 1imitを越える精密測定を
行うことが可能となる。
【0280】これまでの実施形態で説明されている、も
つれ合った状態の構成方法、および、構成装置では、必
要な基本量子ゲートの総数、すなわち、操作に必要な時
間が、一般のユニタリー変換を構成する場合よりも、比
較的、軽減されており、直線状に捕獲されたイオンがデ
コヒーレンスする時間スケールより短時間で、求める状
態|ψn >を構成することが可能となる。
【0281】(第七の実施形態)文献(C.H.Ben
nett,C.A.Fuchs and J.A.Sm
olin,‘Entanglement−Enhanc
ed Classical Communicatio
n on a Noisy Quantum Chan
nel’,Quantum Communicatio
n,Computing,and Measureme
nt,edited by Hirotaet a
l.,Plenum Press,New York,
p.79(1997))では、‘0’,‘1’の二値の
古典情報を、量子雑音チャンネルで移送する方法が論議
されている。
【0282】この文献では、two−Pauli ch
annelと呼ばれる量子雑音のある二本の回線を使う
場合、古典情報を送るのに最適な状態は、two−qu
bitの部分的にもつれ合った状態であることが示され
ている。
【0283】従って、上述した実施形態で示されている
部分的にもつれ合った状態を構成する方法、および、構
成装置は、このような量子通信の分野に応用可能であ
る。
【0284】例えば、図27のように、送信者Aが、本
願実施形態で説明された方法に基づく量子ゲートネット
ワークによって、目的のもつれ合った状態を構成し、こ
れを二本の雑音のある回線で送る。受信者Bは、これを
検出することに依り、二値の古典情報を受け取ることが
できる。
【0285】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
複数個の二準位系から成る量子力学的状態で、各二準位
系が基底状態または励起状態となる正規直交基底の重ね
合せで表現した場合、各基底の係数が全て実数となる部
分的にもつれ合った所望の量子力学的な状態を、簡単な
操作で構成することができるという効果がある。
【0286】その際に、所望の量子力学的な状態を少な
いステップ数で構成することができるという効果があ
る。
【0287】また、上記操作のための順序やパラメータ
を決定するための計算量も少なくて済むという効果があ
る。
【0288】また、Cold Trapped Ion
s法を用いて、前記二準位系としてイオンを用意するこ
とで、ラムゼー分光法によるイオンの基底状態と第一励
起状態のエネルギー差の精密測定の実現に効果がある。
【0289】また、上記により構成される量子力学的な
状態として、送信すべき情報を符号化し、当該量子力学
的な状態を量子通信回線の信号として通信を行うことが
できるという効果がある。その際、雑音に対して耐性を
持つ状態に符号化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】n=2のときの、(first trial
法)で第二レジスターを使用しない場合の、量子ゲート
ネットワークのFeynmanダイアグラムである。
【図2】n=3のときの(first trial法)
で第二レジスターを使用しない場合の、量子ゲートネッ
トワークのFeynmanダイアグラムである。
【図3】n=4のときの、(first trial
法)で第二レジスターを使用しない場合の、量子ゲート
ネットワークのFeynmanダイアグラムである。
【図4】n=4のときの、(first trial
法)で第二レジスターを使用しない場合の、量子ゲート
ネットワークのFeynmanダイアグラムである。
【図5】n=4のときの、(first trial
法)で第二レジスターを使用しない場合の、量子ゲート
ネットワークのFeynmanダイアグラムである。
【図6】一般のnに対する(first trial
法)の処理の全体的な流れを示した図である。
【図7】第一レジスターの特定のある一つの状態に対し
て、selective rotationを行う量子
ゲートのFeynmanダイアグラムである。
【図8】逆平均操作D、選択的に位相をπ回転させる操
作を量子力学的な状態に対して行った際の、基底ベクト
ルの係数の変化を示した図である。
【図9】偶数の衝突(collision)を持つ関数
fによって引き起こされる写像の様子を表わした図であ
る。
【図10】関数fの量子ゲートネットワークのFeyn
manダイアグラムである。
【図11】補助qubitの働きを説明する図である。
【図12】プログラムQUBIT−ADDER2のFe
ynmanダイアグラムである。
【図13】QUBIT−ADDER2を繰り返し作用さ
せて、QUBIT−ADDER1を構成した様子を示す
Feynmanダイアグラムである。
【図14】第二レジスターでの選択的位相回転の量子ゲ
ートネットワークを表すFeynmanダイアグラムで
ある。
【図15】η=n−η=n/2の場合、第二レジスター
での選択的位相回転を行う量子ゲートのネットワークを
表すFeynmanダイアグラムである。
【図16】Dのネットワークを表すFeynmanダイ
アグラムである。
【図17】サブルーチン(R(π)D)のネットワーク
を表すFeynmanダイアグラムである。
【図18】第二レジスターの選択的π位相回転を表すF
eynmanダイアグラムである。
【図19】|ψn >を構成する際に、(R(π)D)繰
り返し操作を行わずに、(R′{η}DR{η})縮約
法のみで構成できる場合の量子ゲートのFeynman
ダイアグラムである。
【図20】Λn (Rz (α))を、より簡単な量子ゲー
トに分解する方法を示したFeynmanダイアグラム
である。
【図21】n=2の場合における従来の処理を表すFe
ynmanダイアグラムである。
【図22】7−qubitネットワーク上で、Λ5 (σ
x )を、より簡単な量子ゲートに分解する方法を示した
Feynmanダイアグラムである。
【図23】n≧7のとき、(n+1)−qubitネッ
トワーク上で、Λn-1 (σx )を、より簡単な量子ゲー
トに分解する方法を示したFeynmanダイアグラム
である。
【図24】n≧7のとき、(n+1)−qubitネッ
トワーク上で、Λm (σx )を、より簡単な量子ゲート
に分解する方法を示したFeynmanダイアグラムで
ある。
【図25】(n+1)−qubitネットワーク上で、
Λn-1 (σx )が、いくつの基本ゲートに分解可能かを
示した表である。
【図26】(n+1)−qubitネットワーク上で、
Λn (RZ (α))が、いくつの基本ゲートに分解可能
かを示した表である。
【図27】本発明のもつれ合った状態の構成方法、およ
び、構成装置を利用した量子通信装置の一例を示した図
である。

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個の二準位系から成る量子力学的状
    態で、各二準位系が基底状態または励起状態となる正規
    直交基底の重ね合せで表現した場合、各基底の係数が全
    て実数となる部分的にもつれ合った所望の量子力学的な
    状態を、選択的位相回転操作と、逆平均操作とを組み合
    わせた操作を行うことで構成することを特徴とする状態
    構成方法。
  2. 【請求項2】 前記所望の量子力学的な状態が、0を含
    む偶数個の衝突を起こす関数によって定義されることを
    特徴とする請求項1に記載の状態構成方法。
  3. 【請求項3】 量子力学的な状態を構成するための第1
    のレジスターと、第2レジスターとを用意し、 位相回転のパラメータを設定し、 前記第1レジスターの値を入力した場合の前記所定の関
    数の出力値を前記第2レジスターに書き込み、該第2レ
    ジスターの値に応じて、前記第1レジスターにおける前
    記重ね合わせのうちの特定の状態に対する前記パラメー
    タに基づいて選択的に位相を回転させ、その後、前記第
    2レジスターの値を初期値に戻す選択的位相回転操作
    と、第1レジスターの値に応じた逆平均操作と、前記特
    定の状態に対して再度選択的に位相を回転する選択的位
    相回転操作との連続する三つの操作を一つの単位とし
    て、 前記単位の操作を所定回数繰り返すことによって、所望
    の量子力学的な状態を構成することを特徴とする請求項
    2に記載の状態構成方法。
  4. 【請求項4】 前記選択的位相回転操作と、逆平均操作
    とを組み合わせた操作を、均一な重ね合わせ状態に対し
    て行うことで、前記所望の量子力学的な状態を構成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の状態構成方法。
  5. 【請求項5】 初期状態に対してHadamard変換
    を施すことで、前記均一な重ね合わせ状態を得ることを
    特徴とする請求項4に記載の状態構成方法。
  6. 【請求項6】 前記選択的位相回転操作と、逆平均操作
    とを組み合わせた操作は、選択的位相回転、逆平均操
    作、選択的位相回転とを順次行う一連の操作、および選
    択的π位相回転と、逆平均操作とを繰り返す操作を組み
    合わせた操作であることを特徴とする請求項1に記載の
    状態構成方法。
  7. 【請求項7】 前記均一な重ね合わせ状態から前記所望
    の量子力学的な状態への変換のための前記選択的位相回
    転操作において、位相回転パラメータと位相回転させる
    基底の順序とを、当該変換の逆変換の手順から決定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の状態構成方法。
  8. 【請求項8】 選択的位相回転操作と、逆平均操作と、
    選択的位相回転操作とにより二つの異なる係数を同一に
    する操作を順次行うことで、前記逆変換の手順を決定す
    ることを特徴とする請求項7に記載の状態構成方法。
  9. 【請求項9】 選択的に負の係数の基底の位相をπ回転
    することにより符号を反転させ、全ての基底の係数を正
    または0とし、最小の係数を持つ基底と、二番目に小さ
    い係数を持つ基底とに対して、前記二つの異なる係数を
    同一にする操作を順次行うことを特徴とする請求項8に
    記載の状態構成方法。
  10. 【請求項10】 前記最小の係数を持つ基底と、二番目
    に小さい係数を持つ基底とに対して、前記二つの異なる
    係数を同一にする一組の操作が成功するための十分条件
    が満たされるか否かを判別し、 十分条件が満たされない場合は、逆平均操作、選択的π
    位相回転を繰り返すことによって、十分条件が満たされ
    る状態に変換し、 十分条件が満たされた状態において、前記一組の操作を
    順次行うことを特徴とする請求項9に記載の状態構成方
    法。
  11. 【請求項11】 前記所望の量子力学的な状態が、任意
    の2組の二準位系の置換に対して不変であり、かつ全て
    の二準位系の基底状態と励起状態との反転に対して不変
    な対称性を持つことを特徴とする請求項1に記載の状態
    構成方法。
  12. 【請求項12】 前記所望の量子力学的な状態が、前記
    基底の励起状態にある二準位系の個数を出力する関数に
    よって定義されることを特徴とする請求項11に記載の
    状態構成方法。
  13. 【請求項13】 位相回転のパラメータを設定し、 前記重ね合わせのうちの特定の状態に対して前記パラメ
    ータに基づいて選択的に位相を回転する選択的位相回転
    操作と、逆平均操作と、前記特定の状態に対して再度選
    択的に位相を回転する選択的位相回転操作との連続する
    三つの操作を一つの単位として、 前記単位の操作を所定回数繰り返すことによって、前記
    所望の量子力学的な状態を構成することを特徴とする請
    求項11に記載の状態構成方法。
  14. 【請求項14】 Cold Trapped Ions
    法を用いて前記二準位系としてイオンを用意し、各イオ
    ンのクーロン相互作用から生じる量子化されたフォノン
    ・モードを利用して、外部からのレーザー照射によって
    量子ゲートにより前記操作をそれぞれ実行して前記所望
    の量子力学的状態を構成することを特徴とする請求項1
    に記載の状態構成方法。
  15. 【請求項15】 前記所望の量子力学的状態として、不
    変な対称性を持つ部分的にもつれ合った状態を構成し、
    ラムゼー分光法によってイオンの基底状態と第一励起状
    態のエネルギー差の精密測定を行うことを特徴とする請
    求項14に記載の状態構成方法。
  16. 【請求項16】 請求項1に記載の状態構成方法により
    構成される量子力学的な状態として、送信すべき情報を
    符号化し、当該量子力学的な状態を量子通信回線の信号
    として通信を行う通信方法。
  17. 【請求項17】 前記状態構成方法により、前記量子通
    信回線における雑音に対して耐性を持つ特定の部分的に
    もつれ合った状態として、送信すべき情報を符号化する
    ことを特徴とする請求項16に記載の通信方法。
  18. 【請求項18】 複数個の二準位系に対する選択的位相
    回転操作手段と、 前記複数個の二準位系に対する逆平均操作手段とを備
    え、 前記複数個の二準位系から成る量子力学的状態で、各二
    準位系が基底状態または励起状態となる正規直交基底の
    重ね合わせで表現した場合、各基底の係数が全て実数と
    なる部分的にもつれ合った所望の量子力学的な状態を、
    前記選択的位相回転操作手段による操作と、逆平均操作
    手段による操作とを組み合わせた操作を行うことで構成
    することを特徴とする状態構成装置。
  19. 【請求項19】 前記所望の量子力学的な状態が、0を
    含む偶数個の衝突を起こす関数によって定義されること
    を特徴とする請求項18に記載の状態構成装置。
  20. 【請求項20】 量子力学的な状態を構成するための第
    1のレジスターと、第2レジスターとを備え、 前記第1レジスターの値を入力した場合の前記所定の関
    数の出力値を前記第2レジスターに書き込み、該第2レ
    ジスターの値に応じて、前記第1レジスターにおける前
    記重ね合わせのうちの特定の状態に対して設定された位
    相回転のパラメータに基づいて選択的に位相を回転さ
    せ、その後、前記第2レジスターの値を初期値に戻す選
    択的位相回転操作と、第1レジスターの値に応じた逆平
    均操作と、前記特定の状態に対して再度選択的に位相を
    回転する選択的位相回転操作との連続する三つの操作を
    一つの単位として、 前記選択的位相回転操作手段と前記逆平均操作手段とに
    より、前記単位の操作を所定回数繰り返すことによっ
    て、所望の量子力学的な状態を構成することを特徴とす
    る請求項19に記載の状態構成装置。
  21. 【請求項21】 前記選択的位相回転操作と、逆平均操
    作とを組み合わせた操作を、均一な重ね合わせ状態に対
    して行うことで、前記所望の量子力学的な状態を構成す
    ることを特徴とする請求項18に記載の状態構成装置。
  22. 【請求項22】 初期状態に対してHadamard変
    換を施すことで、前記均一な重ね合わせ状態を得る変換
    手段を備えることを特徴とする請求項21に記載の状態
    構成装置。
  23. 【請求項23】 前記選択的位相回転操作と、逆平均操
    作とを組み合わせた操作は、選択的位相回転、逆平均操
    作、選択的位相回転とを順次行う一連の操作、および選
    択的π位相回転と、逆平均操作とを繰り返す操作を組み
    合わせた操作であることを特徴とする請求項18に記載
    の状態構成装置。
  24. 【請求項24】 前記均一な重ね合わせ状態から前記所
    望の量子力学的な状態への変換のための前記選択的位相
    回転操作において、位相回転パラメータと位相回転させ
    る基底の順序とを、当該変換の逆変換の手順から決定す
    ることを特徴とする請求項21に記載の状態構成装置。
  25. 【請求項25】 選択的位相回転操作と、逆平均操作
    と、選択的位相回転操作とにより二つの異なる係数を同
    一にする操作を順次行うことで、前記逆変換の手順を決
    定することを特徴とする請求項24に記載の状態構成装
    置。
  26. 【請求項26】 選択的に負の係数の基底の位相をπ回
    転することにより符号を反転させ、全ての基底の係数を
    正または0とし、 最小の係数を持つ基底と、二番目に小さい係数を持つ基
    底とに対して、前記二つの異なる係数を同一にする操作
    を順次行うことを特徴とする請求項25に記載の状態構
    成装置。
  27. 【請求項27】 前記最小の係数を持つ基底と、二番目
    に小さい係数を持つ基底とに対して、前記二つの異なる
    係数を同一にする一組の操作が成功するための十分条件
    が満たされるか否かを判別し、 十分条件が満たされない場合は、逆平均操作、選択的π
    位相回転を繰り返すことによって、十分条件が満たされ
    る状態に変換し、 十分条件が満たされた状態において、前記一組の操作を
    順次行うことを特徴とする請求項26に記載の状態構成
    装置。
  28. 【請求項28】 前記所望の量子力学的な状態が、任意
    の2組の二準位系の置換に対して不変であり、かつ全て
    の二準位系の基底状態と励起状態との反転に対して不変
    な対称性を持つことを特徴とする請求項18に記載の状
    態構成装置。
  29. 【請求項29】 前記所望の量子力学的な状態が、前記
    基底の励起状態にある二準位系の個数を出力する関数に
    よって定義されることを特徴とする請求項28に記載の
    状態構成方法。
  30. 【請求項30】 前記重ね合わせのうちの特定の状態に
    対して設定された位相回転のパラメータに基づいて選択
    的に位相を回転する選択的位相回転操作と、逆平均操作
    と、前記特定の状態に対して再度選択的に位相を回転す
    る選択的位相回転操作との連続する三つの操作を一つの
    単位として、 前記選択的位相回転手段と前記逆平均操作手段とによ
    り、前記単位の操作を所定回数繰り返すことによって、
    前記所望の量子力学的な状態を構成することを特徴とす
    る請求項28に記載の状態構成装置。
  31. 【請求項31】 Cold Trapped Ions
    法を用いて前記二準位系としてイオンを用意し、各イオ
    ンのクーロン相互作用から生じる量子化されたフォノン
    ・モードを利用して、外部からのレーザー照射によって
    量子ゲートにより前記操作をそれぞれ実行して前記所望
    の量子力学的状態を構成することを特徴とする請求項1
    8に記載の状態構成装置。
  32. 【請求項32】 前記所望の量子力学的状態として、不
    変な対称性を持つ部分的にもつれ合った状態を構成し、
    ラムゼー分光法によってイオンの基底状態と第一励起状
    態のエネルギー差の精密測定を行うことを特徴とする請
    求項31に記載の状態構成装置。
  33. 【請求項33】 請求項18に記載の状態構成装置によ
    り構成される量子力学的な状態として、送信すべき情報
    を符号化する符号化手段と、当該量子力学的な状態を量
    子通信回線の信号として通信を行う通信手段とを備えた
    ことを特徴とする通信装置。
  34. 【請求項34】 前記符号化手段が、前記量子通信回線
    における雑音に対して耐性を持つ特定の部分的にもつれ
    合った状態として、送信すべき情報を符号化することを
    特徴とする請求項33に記載の通信装置。
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