JP2000131363A - 電子装置の寿命診断方法及び装置 - Google Patents

電子装置の寿命診断方法及び装置

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JP2000131363A JP10298660A JP29866098A JP2000131363A JP 2000131363 A JP2000131363 A JP 2000131363A JP 10298660 A JP10298660 A JP 10298660A JP 29866098 A JP29866098 A JP 29866098A JP 2000131363 A JP2000131363 A JP 2000131363A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、電子装置の機能を維持したまま非
破壊で、その余寿命を容易に定量評価することを目的と
する。 【解決手段】 診断対象である電子装置を構成する電子
化制御基板の全数を略均等枚数になるように複数のグル
ープに分割し、この中から任意のグループを抽出して基
板材料性能測定を行い、各グループにおける基板材料性
能測定値の分布の極値統計をとることで診断対象内の全
基板母数の基板材料性能値の極値を推定し、この推定値
の時系列変化と基板材料性能値の限界値から電子化制御
基板の余寿命を定量的に評価することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保守員等が、診断
対象電子装置が納入されている現地において、診断対象
電子装置の機能を損なうことなく非破壊で、経年使用電
子装置の余寿命を定量的に評価することが可能な電子装
置の寿命診断方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電力プラントや産業プラント等に納めら
れている計器や制御装置を含む電子装置の異常診断分野
においては、各種電子装置毎にその入出力特性を時系列
に測定・監視し、定格値又は初期値と比較することによ
り、オンラインで電子装置の異常を検知する手法が一般
的に用いられている。
【0003】一方、電子装置の劣化傾向を検出し、その
寿命期を判断する寿命診断の分野では、上記のような電
子装置の入出力特性をチェックするオンライン技術では
容易に劣化を検知することが難しいため、電子装置を構
成する電子化制御基板や電子部品の発熱や腐食などの物
理的・物性的劣化シグナルを高感度にとらえることが必
要である。そこで、劣化を高感度にとらえる手法とし
て、赤外線センサで診断対象電子装置を構成する電子化
制御基板の表面温度を測定したり、電子装置に実装され
ている電子部品を取り外してその電気的特性(入出力特
性、マージナルボルテージ、内部雑音等)をチェックし
たり、樹脂封止ICを取り外してそのAl配線腐食量を
評価したりして、それらの時系列変化曲線から余寿命を
定量的に推定することが、これまで行われてきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の電子装置の寿命
診断技術では、電子装置の劣化傾向を検出するために、
電子装置を構成する電子化制御基板から実装部品を取り
外す、即ち電子装置を破壊した上で、取り外した電子部
品を現地から工場や研究所などの調査部門に引取り、そ
の電子部品の性能劣化や腐食などを調べていた。
【0005】実際、樹脂封止ICのAl配線腐食を劣化
指標とした寿命診断法などでは、Al配線腐食を定量的
に評価するのに樹脂を薬液で開封してICチップの表面
写真を撮影し、これを画像診断しなければならない。そ
のため、現地で且つ、非破壊で診断を実施することは不
可能である。しかし、電子装置のユーザ側としては、診
断対象とする電子装置の機能を損なうことなく寿命診断
を行い、余寿命が十分あるとわかった場合には、その電
子装置を使い続けたいという要望がある。
【0006】本発明は、このような実情を考慮してなさ
れたもので、第1に電子装置の機能を維持したまま、非
破壊で電子装置の余寿命を容易且つ、的確に定量評価す
ることができ、第2に定期点検時などのオフライン時
に、保守員等が容易に診断パラメータの測定をすること
ができ、現地において余寿命の判定が可能な電子装置の
寿命診断方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の電子装置の寿命診断方法は、計器や
制御装置を含む電子装置の寿命診断をする際に、診断対
象である前記電子装置を構成する電子化制御基板の全数
を各グループの枚数が略均等になるように複数のグルー
プに分割し、分割した中から幾つかのグループを任意に
抽出して基板材料性能測定を行い、各グループにおける
基板材料性能測定値の分布の極値統計をとることで前記
診断対象内における全基板母数の基板材料性能値の最小
もしくは最大値を推定し、この推定値の時系列変化と前
記基板材料性能値の所定の規格で定義される限界値とか
ら電子化制御基板の余寿命を定量的に評価することを要
旨とする。この構成により、電子装置の寿命を診断する
診断パラメータとして電子化制御基板の基板材料性能測
定値が採用され、全電子化制御基板から任意に抽出した
幾つかのグループについて基板材料性能測定が行われ
る。各グループにおけるこの基板材料性能測定値につき
極値統計法を用いて診断対象を構成する基板母数全体に
おける基板材料性能値の極値が推定される。そして、こ
の推定された極値の時系列変化曲線がJIS規格等の所
定の規格で定義される限界値を超える点が寿命点として
定量的に評価される。
【0008】請求項2記載の電子装置の寿命診断方法
は、計器や制御装置を含む電子装置の寿命診断をする際
に、診断対象である前記電子装置を構成する電子化制御
基板の基板材料性能値と電子化制御基板上に実装されて
いるICの腐食量の相関曲線を基に基板材料性能測定値
から非破壊で実装ICの腐食量を求め、この実装IC腐
食量の時系列変化及び腐食量とIC故障の相関から前記
実装ICの余寿命を定量的に推定して電子化制御基板の
余寿命を評価することを要旨とする。この構成により、
電子化制御基板の種類と実装ICの種類を知ることで、
予め求めた基板材料性能値とICの腐食量の相関曲線を
用いて、基板材料性能測定値から実装ICの腐食量が求
められる。次いで、IC故障に至る腐食量から実装IC
の余寿命が定量的に推定されて電子化制御基板の余寿命
が評価される。
【0009】請求項3記載の電子装置の寿命診断方法
は、計器や制御装置を含む電子装置の寿命診断をする際
に、診断対象である前記電子装置を構成する電子化制御
基板の基板材料性能値と電子化制御基板上に実装されて
いるコンデンサの性能値の相関曲線を基に基板材料性能
測定値から非破壊で実装コンデンサの性能値を求め、こ
の実装コンデンサ性能値の時系列変化とコンデンサの故
障判定基準とから前記実装コンデンサの余寿命を定量的
に推定して電子化制御基板の余寿命を評価することを要
旨とする。この構成により、電子化制御基板の種類と実
装コンデンサの種類を知ることで、予め求めた基板材料
性能値と静電容量、誘電正接又は絶縁抵抗等のコンデン
サ性能値の相関曲線を用いて、基板材料性能測定値から
実装コンデンサの性能値が求められる。次いで、その実
装コンデンサの性能値の時系列変化とコンデンサの故障
判定基準から実装コンデンサの余寿命が定量的に推定さ
れて電子化制御基板の余寿命が評価される。
【0010】請求項4記載の電子装置の寿命診断装置
は、診断対象である電子装置を構成する電子化制御基板
の基板材料性能値を測定する基板材料性能測定手段と、
基板材料性能測定時の構造、前処理を含む測定条件が基
板材料性能の限界値を定義する規格と異なる場合に前記
基板材料性能測定手段による測定値を補正する測定値補
正手段と、この測定値補正手段による補正後の基板材料
性能値について極値統計処理を実行する極値統計処理手
段と、この極値統計処理手段で求めた基板材料性能値の
最小・最大値の時系列変化と前記基板材料性能の限界値
から余寿命を判定する寿命判定手段と、前記補正を行う
ための補正データ、寿命判定のための前記限界値、前記
極値統計処理結果及び前記判定結果を保持するデータベ
ースと、一連の診断結果を表示する出力手段とを有する
ことを要旨とする。この構成により、基板材料性能測定
手段による基板材料性能値の測定時に基板材料性能の限
界値を定義する規格と異なる形態で基板材料性能測定を
行った場合でも、測定値補正手段により基板材料性能値
が規格下で測定した値に補正される。極値統計処理手段
でこの基板材料性能値について極値統計処理を行うの
で、全基板の基板材料性能値を測定しなくても診断対象
内の基板材料性能値の最小・最大値が推定される。そし
て、寿命判定手段により、推定された極値の時系列変化
と所定の規格で定義される限界値から余寿命が判定され
る。また、診断事例をデータベースに保存するので、診
断辞書として応用することが可能となる。
【0011】請求項5記載の電子装置の寿命診断装置
は、診断対象である電子装置を構成する電子化制御基板
の基板材料性能値を測定する基板材料性能測定手段と、
この基板材料性能測定手段で測定した基板材料性能値を
IC種毎の基板材料性能値−腐食量相関曲線を基に前記
電子化制御基板上に実装されているICの腐食量に変換
する腐食量変換手段と、この腐食量変換手段による腐食
量の変換結果及び各IC種毎の腐食量の時系列変化曲線
を基に実装ICの余寿命を定量的に評価する寿命判定手
段と、各種基板材料性能値、前記IC種毎の基板材料性
能値−腐食量相関曲線及び前記各IC種毎の腐食量の時
系列変化曲線を蓄積するデータベースとを有することを
要旨とする。この構成により、電子化制御基板の種類と
実装ICの種類がわかれば、腐食量変換手段により、基
板材料性能測定値から実装ICの腐食進行状況が推定さ
れる。次いで、寿命判定手段により、IC故障に至る腐
食量から実装ICの余寿命が定量的に評価される。腐食
量変換手段で基板材料性能測定値から実装ICの腐食進
行状況を推定するための基板材料性能値−腐食量相関曲
線等は、データベースから得られる。
【0012】請求項6記載の電子装置の寿命診断装置
は、診断対象である電子装置を構成する電子化制御基板
の基板材料性能値を測定する基板材料性能測定手段と、
この基板材料性能測定手段で測定した基板材料性能値を
コンデンサ種毎の基板材料性能値−コンデンサ性能相関
曲線を基に前記電子化制御基板上に実装されているコン
デンサの性能値に変換するコンデンサ性能変換手段と、
このコンデンサ性能変換手段によるコンデンサ性能値の
変換結果及び各コンデンサ種毎の性能値の時系列変化曲
線を基に実装コンデンサの余寿命を定量的に評価する寿
命判定手段と、各種基板材料性能値、前記コンデンサ種
毎の基板材料性能値−コンデンサ性能相関曲線及び前記
各コンデンサ種毎の性能値の時系列変化曲線を蓄積する
データベースとを有することを要旨とする。この構成に
より、電子化制御基板の種類と実装コンデンサの種類が
わかれば、コンデンサ性能変換手段により、基板材料性
能測定値から実装コンデンサの性能劣化進行状況が推定
される。次いで、寿命判定手段により、コンデンサ故障
に至る性能劣化から実装コンデンサの余寿命が定量的に
評価される。コンデンサ性能変換手段で基板材料性能測
定値から実装コンデンサの性能劣化進行状況を推定する
ための基板材料性能値−コンデンサ性能相関曲線等は、
データベースから得られる。
【0013】請求項7記載の電子装置の寿命診断装置
は、上記請求項4,5又は6記載の電子装置の寿命診断
装置において、前記基板材料性能測定手段は、絶縁抵抗
測定装置からなり、前記電子化制御基板の一部分の体積
抵抗率又は表面抵抗を測定することを要旨とする。この
構成により、基板材料性能は、実装部以外の余りスペー
スの小さい電子化制御基板においても容易に測定可能な
体積抵抗率又は表面抵抗とされ、これを測定する基板材
料性能測定手段は絶縁抵抗測定装置とされる。絶縁抵抗
測定装置とすることで、定期点検時等において現地の保
守員が容易に持ち運び、測定することが可能となる。
【0014】請求項8記載の電子装置の寿命診断装置
は、上記請求項4,5又は6記載の電子装置の寿命診断
装置において、前記基板材料性能測定手段は、静電容量
測定装置からなり、前記電子化制御基板の一部分を電極
で挟むことにより当該電子化制御基板を誘電体としたコ
ンデンサを形成し、その静電容量を測定して前記電子化
制御基板の誘電率を算出することを要旨とする。この構
成により、基板材料性能は、実装部以外の余りスペース
の小さい電子化制御基板でも、その一部分で容易に測定
可能な静電容量とされ、これを測定する基板材料性能測
定手段は静電容量測定装置とされる。静電容量測定装置
とすることで、定期点検時等において現地の保守員が容
易に持ち運び、測定することが可能となる。
【0015】請求項9記載の電子装置の寿命診断装置
は、上記請求項4,5又は6記載の電子装置の寿命診断
装置において、前記基板材料性能測定手段は、色彩測定
システムからなり、前記電子化制御基板上のはんだ付け
部位のはんだの強度をはんだの色として評価することを
要旨とする。この構成により、基板材料性能は、はんだ
の強度を評価するはんだの色とされ、このはんだの色が
色彩測定システムにより、非接触かつ非破壊で測定され
る。
【0016】請求項10記載の電子装置の寿命診断装置
は、上記請求項4乃至9の何れかに記載の電子装置の寿
命診断装置において、前記基板材料性能測定手段による
電気的性能及び機械的性能を含む基板材料性能の測定が
可能なように、所要の規格に従った基板材料性能測定用
試験片を前記電子化制御基板の一部に予め組み込んでな
ることを要旨とする。この構成により、定期点検時等に
基板材料性能測定用試験片を取り出し、基板材料性能の
測定を所望の規格に準拠して行うことが可能となる。こ
れにより、電子装置の機能を損なわずに測定することが
可能となる。
【0017】請求項11記載の電子装置の寿命診断方法
は、計器や制御装置を含む電子装置の寿命診断をする際
に、診断対象である前記電子装置を構成する電子化制御
基板上に、製造時に予め診断用のセラミックス湿度セン
サを実装しておき、このセラミックス湿度センサの抵抗
値変化を測定し、セラミックス湿度センサの抵抗値と前
記電子化制御基板上に実装される実装部品の特性値との
対応関係から前記電子化制御基板上に実装されている実
装部品の劣化度を推定し、電子化制御基板の余寿命を評
価することを要旨とする。この構成により、セラミック
ス湿度センサの抵抗値変化から実装部品の劣化度が推定
されて電子化制御基板の余寿命が評価される。
【0018】請求項12記載の電子装置の寿命診断方法
は、計器や制御装置を含む電子装置の寿命診断をする際
に、診断対象である電子装置を構成する電子化制御基板
上に、製造時に予め診断用のセラミックス湿度センサを
実装しておき、このセラミックス湿度センサの抵抗値変
化を測定し、セラミックス湿度センサの抵抗値と前記電
子化制御基板上に実装されるICの腐食量との対応関係
から前記電子化制御基板上に実装されている実装ICの
腐食量を推定し、電子化制御基板の余寿命を評価するこ
とを要旨とする。この構成により、セラミックス湿度セ
ンサの抵抗値変化から実装ICの腐食量が推定されて電
子化制御基板の余寿命が評価される。
【0019】請求項13記載の電子装置の寿命診断方法
は、計器や制御装置を含む電子装置の寿命診断をする際
に、診断対象である電子装置を構成する電子化制御基板
上に、製造時に予め診断用のセラミックス湿度センサを
実装しておき、このセラミックス湿度センサの抵抗値変
化を測定し、セラミックス湿度センサの抵抗値と前記電
子化制御基板上に実装されるコンデンサの性能値との対
応関係から前記電子化制御基板上に実装されている実装
コンデンサの性能値を推定し、電子化制御基板の余寿命
を評価することを要旨とする。この構成により、セラミ
ックス湿度センサの抵抗値変化から実装コンデンサの静
電容量、誘電正接又は絶縁抵抗等の性能値が推定されて
電子化制御基板の余寿命が評価される。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の骨子は、電子装置の寿命
診断において、電子装置を構成する電子化制御基板(プ
リント配線基板)の基板材料性能や実装部品の特性を、
電子装置の機能を損なわずに非破壊で測定又は推定する
こと、また診断パラメータとする基板材料性能極値の導
出に極値統計法を用いてサンプリング数を極力小さく
し、診断における測定作業の軽減を図ることにより、現
地寿命診断を可能にするものである。
【0021】以下、上記のような考え方に基づく本発明
の各実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0022】図1及び図2は、本発明に係る電子装置の
寿命診断方法の第1の実施の形態を説明するためのフロ
ーチャート及び具体的な手順を示す図である。これらの
図を用いて本実施の形態を説明する。基板材料性能測定
を行う前に、まず診断対象を構成する電子化制御基板の
全枚数を把握し、それを各グループの枚数が略均等にな
るように複数のグループに分割する(ステップ10
1)。分割した中から幾つかのグループを任意に抽出し
(ステップ102)、抽出したグループについて基板材
料性能測定を行う(ステップ103)。測定する基板材
料性能の例としては、プリント配線基板の表面抵抗、体
積抵抗率、誘電率、はんだ接合部強度等が挙げられる。
これらの基板材料性能はオンラインで監視してもよい
が、急激に変化するものではなく経年劣化に伴って起こ
ると考えられるので、定期点検時などのオフライン時に
対象基板を抜き取り、現地において非破壊で測定する。
測定の結果、特に劣化が認められなければ、定期点検後
は製品内に戻して通常使用する形態が現実的である。こ
こで、基板材料性能の測定の際、その測定方法及び条件
が、後述する余寿命評価の際の基板材料性能の限界値を
定義する規格に適合しているか否かが判断される(ステ
ップ104)。この規格には、基板材料性能の測定方法
や前処理条件などが規定されているので、採用する規格
に従った測定方法及び条件で測定を行わなければならな
い。定期点検時に現地で基板材料性能の測定を実施する
際に、この規定条件を満たすことができない場合には、
測定値の補正が行われる(ステップ105)。補正は、
予め測定方法の違いによる測定値のずれや前処理の有無
による基板材料性能値の違いなどを対象材料及び規定毎
にデータベースに蓄積しておき、必要時にデータベース
から補正データを呼び出して行う。測定した基板材料性
能値又は補正した基板材料性能値については極値統計処
理を実施し、診断対象を構成する基板全数における材料
性能値の極値(最大又は最小値)を推定する(ステップ
106)。具体的には、図2に示すような手順となる。
抽出した各グループ毎にデータをまとめ、各グループ内
における測定値の極値を求める。得られた各グループの
極値が最大値なら昇順、最小値ならば降順に並べ替え、
これをガンベル確率紙にプロットする。プロットした点
の回帰近似直線と再帰期間との交点から診断対象内の基
板全数における基板材料性能の極値を推定し、この値が
規格から外れていれば、診断対象を構成する電子化制御
基板の集合全体を不適合とする。余寿命の推定は、全基
板の極値の時系列変化を調べ、この時系列変化曲線が、
データベースから読み込んだ所望の規格で定義される限
界値(閾値)(ステップ107)を超える点を寿命点と
定義することにより、定量的に行うことができる(ステ
ップ108)。即ち、電子化制御基板の表面抵抗や体積
抵抗率、はんだ接合部強度等は劣化とともに減少する
が、ある下限値以上をキープしなければならない。そこ
で、極値統計法により全対象基板内における最小値を推
定し、これが閾値を下回る点を寿命とする。一方、誘電
率は劣化に伴う上昇に対して、ある上限値以下をキープ
しなければならない。そこで、極値統計法により全対象
基板内における最大値を推定し、これが閾値を上回る点
を寿命とする。余寿命の評価結果等はモニタやプリン
タ、記憶装置などに出力する(ステップ109)。
【0023】図3乃至図6は、本発明に係る電子装置の
寿命診断装置の第1の実施の形態を示す図である。本実
施の形態の電子装置の寿命診断装置は、上記電子装置の
寿命診断方法の第1の実施の形態を実行するための装置
に相当する。まず、図3のブロック図を用いて全体構成
を説明する。電子装置の寿命診断装置1は、電子化制御
基板上の空きスペースで基板材料性能を非破壊で測定す
る基板材料性能測定手段2と、基板材料性能測定条件が
所望の規格に従えない場合に測定データを補正する測定
値補正手段3と、測定もしくは補正した基板材料性能値
から診断対象を構成する電子化制御基板全数に対する基
板材料性能値の極値を推定する極値統計処理手段4と、
基板材料性能測定値を補正するための補正データ、診断
対象種及び診断パラメータ(測定基板材料性能種)毎に
寿命診断アルゴリズムを蓄積するデータベース5と、デ
ータベース5から寿命診断アルゴリズムを読み込み、余
寿命を定量的に評価する寿命判定手段6と、診断結果等
を出力する出力手段7とから構成されている。
【0024】次に、図4、図5及び図6を用いて、上記
基板材料性能測定手段2の具体例である絶縁抵抗測定装
置、静電容量測定装置及び色彩測定システムを順に説明
する。
【0025】図4は、基板材料性能測定手段2として、
絶縁抵抗測定装置12を使用した例を示している。基板
材料性能として電子化制御基板11の表面抵抗や体積抵
抗率を測定する場合は、絶縁抵抗測定装置12を用い
る。測定時の電子化制御基板11上の非実装部(空きス
ペース)11aに導電性シルバーペイントや接着銅箔で
円形の電極を作成し、体積抵抗測定では上部電極の内円
13aと下部電極13cに、表面抵抗測定では上部電極
の内円13aと外円13bの間に電圧を印加する。そし
て、回路図に示すような標準抵抗器Rs に対する比較法
等で体積抵抗及び表面抵抗を測定する。体積抵抗率ρv
は次式にしたがって計算で与えられる。 ρv =(πd2 /4t)・Rv …(1) d:上部電極の内円の外径 t:基板の厚さ Rv :体積抵抗
【0026】図5は、基板材料性能測定手段2として、
静電容量測定装置14を使用した例を示している。基板
材料性能として電子化制御基板11の誘電率や誘電正接
を測定する場合は、静電容量測定装置14を用いる。絶
縁抵抗測定と同様に、測定時に電子化制御基板11上の
非実装部(空きスペース)11aに導電性シルバーペイ
ントや接着銅箔で円形の電極15a,15bを作成し、
電子化制御基板11を誘電体としたコンデンサCx を形
成する。これを、静電容量測定装置14である変圧器ブ
リッジ法測定回路のCx の位置に接続し、測定用可変コ
ンデンサCs とコンダクタンスシフタgを調節すること
によって、ブリッジを平衡させたときのCs の値、コン
ダクタンスシフタgのm−d間のコンダクタンスS、l
−m間の抵抗値及びm−r間の抵抗値を測定する。そし
て、以下の式によって誘電率ε及び誘電正接tan δを算
出する。
【0027】
【数1】 ε=Cx /C0 …(2) Cx :ブリッジが平衡になったときの測定用コンデンサ
s の容量 C0 :主電極の面積及び絶縁基板の厚さから算出したε
=1の静電容量 C0 =r2 /3.6t r:主電極の半径、t:基板の厚さ tan δ=Gx /(2πf・Cx ) …(3) Gx :絶縁基板のコンダクタンス Gx =G・(S/100) S:コンダクタンスシフタgのm−d間のコンダクタン
ス S/100:コンダクタンスシフタの平衡点の抵抗比 f:測定周波数
【0028】図6は、基板材料性能測定手段2として、
はんだ付け部位のはんだの強度をはんだの色として評価
する色彩測定システムを使用した例を示している。基板
材料性能として、はんだ付け部位のはんだの強度を評価
する場合は、色彩測定システム16を用いる。取込み用
光学系16aにより電子化制御基板11上のあるはんだ
付け部位に光を入・反射させ、CCDカメラ等の測定系
16bで反射光を測定し、処理系16cではんだの色彩
値を分析する。XYステージ16dと取込み用光学系1
6aで所望の部位を観測できるよう光路を調節する。処
理系16cでは測定した光学信号から、図6(b)のグ
ラフに示すような、はんだ強度とはんだ色彩値の相関に
基づいてはんだ強度を導出する。
【0029】また、上記の基板材料性能特性を測定する
ための試験片を電子装置の回路とは独立した形で、予め
電子化制御基板上に組み込んでおけば、所望の規格に準
拠した測定が実施でき、電子装置の機能を損なわずに測
定することも可能である。例えば、予め電子化制御基板
上の一部に絶縁抵抗測定用の端子や誘電率及び誘電正接
測定用の電極をつけておくとか、はんだ強度測定の引っ
張り試験用に引っ張りピンをはんだ付けした構造の試験
片を電子化制御基板の傍らに幾つか付けておき、定期点
検毎に試験片を切り取って試験を行うとか、もしくは、
試験片のみで構成された電子化制御基板を他の電子化制
御基板と一緒に装置内に差し込んでおく等の措置も考え
られる。
【0030】このようにして測定した基板材料性能値
は、測定方法及び条件が、余寿命評価する際に材料性能
の限界値を定義する規格に従っている場合は、極値統計
処理手段4に送られ、従っていない場合は測定値補正手
段3に送られる。測定値補正手段3では、実際の測定条
件と所望の規格の規定に従った測定条件との間で発生す
るデータのずれを埋め合わせる。具体的には、加速試験
等で基板の劣化を進行させて、実際の測定方法と規格で
規定する測定方法の双方で基板材料性能を測定したデー
タをデータベース5に蓄積しておき、それぞれのデータ
の回帰近似関数を基にして測定値を補正する。極値統計
処理手段4は、前記図2で説明した処理を行い、推定し
た極値を寿命判定手段6に出力する。データベース5
は、診断対象種、規格種、基板材料性能種などをキーと
して、それぞれに適合する測定値補正データや寿命判定
用閾値を保存している。また、寿命診断結果が保存可能
で、診断辞書として参照できる。寿命判定手段6は、極
値統計処理手段4からは基板材料性能の推定極値を、デ
ータベース5からは所望の規格に定義されている基板材
料性能の限界値(閾値)を読み込み、推定極値の時系列
変化(回帰近似曲線)と基板材料性能の限界値(閾値)
によって定まる診断アルゴリズムによって、余寿命や劣
化度を定量的に評価し、評価結果を出力手段7に送る。
出力手段7は、寿命判定手段6の出力として診断対象の
余寿命や劣化度をモニタやプリンタ、記憶装置などに出
力する。
【0031】このようにして、電子装置の寿命診断装置
の第1の実施の形態では、電子化制御基板上の空きスペ
ースを利用したり、診断用試験片などを組み込むので、
対象電子装置の機能を損なうことなく、非破壊で基板材
料性能を測定することができる。また、極値統計処理を
行うので、測定対象を対象内の一部に抑えることがで
き、診断に要する時間や手間を縮小することができる。
【0032】図7、図8には、本発明に係る電子装置の
寿命診断装置の第2の実施の形態を示す。なお、図7に
おいて前記図3におけるブロックと同一ないし均等のも
のは、前記と同一符号を以って示し、重複した説明を省
略する。図7に示すように、本実施の形態の電子装置の
寿命診断装置10は、極値統計処理手段4と寿命判定手
段6との間に、測定した基板材料性能値と実装部品の状
態量の相関曲線に基づき極値統計処理手段4で求めた極
値に対応する実装部品の状態量を算出する実装部品の状
態量算出手段(状態量変換手段)8が接続されている。
またデータベース5には、診断対象種毎の寿命診断アル
ゴリズム等の他に、基板材料性能と実装部品の状態量の
相関曲線が蓄積されている。
【0033】上記のように構成された電子装置の寿命診
断装置において、実装部品の状態量算出手段8は、図8
に示すように、測定する基板材料性能をその基板上の実
装部品の状態量に変換する。例えば、基板材料性能とし
て絶縁抵抗値を考えると、経年劣化に伴い、絶縁抵抗値
が減少する。この絶縁抵抗値の減少が顕著で所望の規格
で定義されている限界値に至るほどであれば、余寿命の
推定は容易であり、寿命診断方法は第1の実施の形態に
従えばよいが、経年劣化が進行しているにも関わらず、
基板材料性能値の変化が微少な場合には、経年劣化を感
度よくとらえることができる指標を寿命診断パラメータ
にしなければいけない。このようなパラメータとして、
ICのAl配線腐食量や電解コンデンサの静電容量など
があるが、これらの値はICや電解コンデンサを電子化
制御基板上から取り外さなければ測定できない。そこ
で、非破壊でICのAl配線腐食量やコンデンサ静電容
量等といった実装部品の状態量を推定できるように、予
め、これらの状態量と非破壊で測定できる基板材料性能
値との相関を加速試験等で調べ、これをデータベース5
上に蓄積しておく。そして、極値統計処理手段4で得ら
れた診断対象内の基板材料性能の最大値もしくは最小値
を、前記相関に基づいてICのAl配線腐食量(図8
(a))や、コンデンサ静電容量(図8(c))等に変
換する。
【0034】寿命判定手段6では、変換した値がデータ
ベース5に蓄積されるその状態量の時系列曲線のどの位
置に相当するかを調べ、余寿命や劣化度を推定する(図
8(b),(d))。推定した結果は、出力手段7にて
モニタやプリンタ、記憶装置などに出力する。
【0035】このようにして、電子装置の寿命診断装置
の第2の実施の形態では、基板材料性能値からICのA
l配線腐食量やコンデンサ静電容量などの実装部品の状
態量を推定することができ、電子装置の機能を損なうこ
となく、非破壊で余寿命や劣化度を定量的に評価するこ
とができる。また、基板材料性能値が規格外に至らない
場合においても、基板材料性能値を、より変化量が大き
く寿命点を定義できるような状態に変換してやれば、余
寿命推定が可能となる。
【0036】次に、図9には、本発明に係る電子装置の
寿命診断方法の第2の実施の形態を示す。本実施の形態
の電子装置の寿命診断方法は、診断対象の電子装置を構
成する電子化制御基板上に、製造時に予め診断用のセラ
ミックス湿度センサを実装しておき、このセラミックス
湿度センサの抵抗変化を測定し、セラミックス湿度セン
サの抵抗値と実装部品の状態量との対応関係から電子化
制御基板の余寿命を評価するものである。診断用セラミ
ックス湿度センサは、多項質セラミックからなってお
り、この気孔内に水蒸気が入ると、微結晶粒子の表面に
水分子が吸着する。一般的にセラミックス湿度センサ
は、水の吸脱着が容易な物理吸着を利用して湿度を検知
する。そのため、センサの劣化や経年変化に伴う化学吸
着を除くために、セラミックスを定期的に加熱すること
により化学吸着した水やガスを離脱させるが、本実施の
形態においては化学吸着の方に着目し、センサの劣化や
経年変化と実装部品の状態量の相関を予め加速試験など
で調べておき、データベースに保存しておく。セラミッ
クス湿度センサが環境からの水分やガスを化学吸着して
劣化すると、図9(c)に示すようにその抵抗値は時系
列的に減少する。一方、セラミックス湿度センサが化学
吸着により劣化するのと同様に、吸湿により実装ICの
Al配線腐食量が増大することがわかっている。したが
って、セラミックス湿度センサの抵抗値の変化と実装I
CのAl配線腐食量との相関を事前に調べ、IC種毎に
データベースに診断用データとして蓄積しておけば、実
装ICを基板から外すことなく、セラミックス湿度セン
サの抵抗値をモニタするだけで実装ICのAl配線腐食
量を推定することができる(図9(b))。そして、各
IC種毎に高加速試験などで故障に至る腐食量を求め、
この腐食量に到達するときのセラミックス湿度センサの
抵抗値を寿命点と定義して、余寿命を定量的に評価する
ことができる。同様に、経年劣化による実装コンデンサ
の静電容量の低下とセラミックス湿度センサの抵抗値の
相関を事前に調べ、コンデンサ種毎にデータベースに診
断用データとして蓄積しておけば、実装コンデンサを基
板から外すことなく、セラミックス湿度センサの抵抗値
をモニタするだけで実装コンデンサの静電容量を推定す
ることができ、コンデンサの故障判定基準に基づく静電
容量閾値を寿命点と定義して、余寿命を定量的に評価す
ることができる。具体的には、加速試験で調べたセラミ
ックス湿度センサの抵抗値の時系列変化曲線において、
セラミックス湿度センサの抵抗初期値、診断時における
セラミックス湿度センサ抵抗値、実装部品の状態量で定
義される寿命点のセラミックス湿度センサ抵抗値の3点
について比例配分計算を行い、余寿命を計算する。例え
ば、図9(c)に示すように、フィールドで10年使用
した電子装置から取り出した電子化制御基板上のセラミ
ックス湿度センサ抵抗値がb点で、その初期値がa点、
寿命点抵抗値がc点であったとすれば、 余寿命=10年×(bc/ac) …(4) と求められる。セラミックス湿度センサの抵抗値測定
は、オンラインでモニタすることもできるが、実用的に
は第1の実施の形態と同様、定期点検時にオフラインで
測定して極値統計処理を行い、診断対象を構成する電子
化制御基板全数におけるセラミックス湿度センサ抵抗最
小値を推定して、寿命点抵抗値の関係から余寿命を見積
もる。
【0037】このようにして、電子装置の寿命診断方法
の第2の実施の形態では、診断対象を構成する電子化制
御基板上に、製造時に予め実装しておくセラミックス湿
度センサの抵抗値を測定することにより、ICのAl配
線腐食量やコンデンサの静電容量などの実装部品の状態
量を推定することができ、装置の機能を損なうことな
く、非破壊で余寿命や劣化度を定量的に評価することが
できる。また、電子化制御基板上にセラミックス湿度セ
ンサの抵抗値をオンラインで測定する回路を組み込んで
おけば、電子装置のオンライン寿命診断が可能となる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の電
子装置の寿命診断方法によれば、計器や制御装置を含む
電子装置の寿命診断をする際に、診断対象である前記電
子装置を構成する電子化制御基板の全数を各グループの
枚数が略均等になるように複数のグループに分割し、分
割した中から幾つかのグループを任意に抽出して基板材
料性能測定を行い、各グループにおける基板材料性能測
定値の分布の極値統計をとることで前記診断対象内にお
ける全基板母数の基板材料性能値の最小もしくは最大値
を推定し、この推定値の時系列変化と前記基板材料性能
値の所定の規格で定義される限界値とから電子化制御基
板の余寿命を定量的に評価するようにしたため、寿命診
断のパラメータとして電子化制御基板の基板材料性能測
定値を採用しているので電子化制御基板から部品を取り
外したりする必要がなく、非破壊で測定することができ
る。極値統計法を用いて診断対象を構成する基板母数全
体における基板材料性能値の極値を推定するので、基板
母数全数の性能値測定を行う必要がなく、診断に要する
手間と時間を縮小することができる。また、寿命点を判
定する限界値をJIS規格等の所定の規格で定義してい
るので、予備実験でいちいち限界値を求めなくてもよ
く、その分診断を簡略化することができる。したがっ
て、定期点検時等において現地の保守員が容易に電子装
置の寿命診断を行うことができる。
【0039】請求項2記載の電子装置の寿命診断方法に
よれば、計器や制御装置を含む電子装置の寿命診断をす
る際に、診断対象である前記電子装置を構成する電子化
制御基板の基板材料性能値と電子化制御基板上に実装さ
れているICの腐食量の相関曲線を基に基板材料性能測
定値から非破壊で実装ICの腐食量を求め、この実装I
C腐食量の時系列変化及び腐食量とIC故障の相関から
前記実装ICの余寿命を定量的に推定して電子化制御基
板の余寿命を評価するようにしたため、電子化制御基板
の種類と実装ICの種類がわかれば、実装ICを取り外
すことなく、基板材料性能を非破壊で測定するだけで実
装ICの腐食進行状況を推定することができ、それより
実装ICの余寿命を定量的に推定して電子化制御基板の
余寿命を評価することができる。
【0040】請求項3記載の電子装置の寿命診断方法に
よれば、計器や制御装置を含む電子装置の寿命診断をす
る際に、診断対象である前記電子装置を構成する電子化
制御基板の基板材料性能値と電子化制御基板上に実装さ
れているコンデンサの性能値の相関曲線を基に基板材料
性能測定値から非破壊で実装コンデンサの性能値を求
め、この実装コンデンサ性能値の時系列変化とコンデン
サの故障判定基準とから前記実装コンデンサの余寿命を
定量的に推定して電子化制御基板の余寿命を評価するよ
うにしたため、電子化制御基板の種類と実装コンデンサ
の種類がわかれば、実装コンデンサを取り外すことな
く、基板材料性能を非破壊で測定するだけで実装コンデ
ンサの性能劣化進行状況を推定することができ、それよ
り実装コンデンサの余寿命を定量的に推定して電子化制
御基板の余寿命を評価することができる。
【0041】請求項4記載の電子装置の寿命診断装置に
よれば、診断対象である電子装置を構成する電子化制御
基板の基板材料性能値を測定する基板材料性能測定手段
と、基板材料性能測定時の構造、前処理を含む測定条件
が基板材料性能の限界値を定義する規格と異なる場合に
前記基板材料性能測定手段による測定値を補正する測定
値補正手段と、この測定値補正手段による補正後の基板
材料性能値について極値統計処理を実行する極値統計処
理手段と、この極値統計処理手段で求めた基板材料性能
値の最小・最大値の時系列変化と前記基板材料性能の限
界値から余寿命を判定する寿命判定手段と、前記補正を
行うための補正データ、寿命判定のための前記限界値、
前記極値統計処理結果及び前記判定結果を保持するデー
タベースと、一連の診断結果を表示する出力手段とを具
備させたため、基板材料性能測定時に基板材料性能の限
界値を定義する規格と異なる形態で測定を行った場合で
も、基板材料性能値を規格下で測定した値に補正できる
ので、所定の規格で定義される限界値を用いて余寿命を
的確に判定することができる。また、極値統計処理を行
うので、全基板の基板材料性能値を測定しなくても診断
対象内の基板材料性能値の極値が推定されて、診断に要
する手間と時間を縮小することができる。したがって、
定期点検時等において現地の保守員が容易且つ、的確に
電子装置の寿命診断を行うことができる。
【0042】請求項5記載の電子装置の寿命診断装置に
よれば、診断対象である電子装置を構成する電子化制御
基板の基板材料性能値を測定する基板材料性能測定手段
と、この基板材料性能測定手段で測定した基板材料性能
値をIC種毎の基板材料性能値−腐食量相関曲線を基に
前記電子化制御基板上に実装されているICの腐食量に
変換する腐食量変換手段と、この腐食量変換手段による
腐食量の変換結果及び各IC種毎の腐食量の時系列変化
曲線を基に実装ICの余寿命を定量的に評価する寿命判
定手段と、各種基板材料性能値、前記IC種毎の基板材
料性能値−腐食量相関曲線及び前記各IC種毎の腐食量
の時系列変化曲線を蓄積するデータベースとを具備させ
たため、電子化制御基板の種類と実装ICの種類がわか
れば、実装ICを取り外すことなく、基板材料性能を非
破壊で測定するだけで、データベースから得た基板材料
性能値−腐食量相関曲線を用いて実装ICの腐食進行状
況を推定することができ、IC故障に至る腐食量から実
装ICの余寿命を定量的に評価することができる。
【0043】請求項6記載の電子装置の寿命診断装置に
よれば、診断対象である電子装置を構成する電子化制御
基板の基板材料性能値を測定する基板材料性能測定手段
と、この基板材料性能測定手段で測定した基板材料性能
値をコンデンサ種毎の基板材料性能値−コンデンサ性能
相関曲線を基に前記電子化制御基板上に実装されている
コンデンサの性能値に変換するコンデンサ性能変換手段
と、このコンデンサ性能変換手段によるコンデンサ性能
値の変換結果及び各コンデンサ種毎の性能値の時系列変
化曲線を基に実装コンデンサの余寿命を定量的に評価す
る寿命判定手段と、各種基板材料性能値、前記コンデン
サ種毎の基板材料性能値−コンデンサ性能相関曲線及び
前記各コンデンサ種毎の性能値の時系列変化曲線を蓄積
するデータベースとを具備させたため、電子化制御基板
の種類と実装コンデンサの種類がわかれば、実装コンデ
ンサを取り外すことなく、基板材料性能を非破壊で測定
するだけで、データベースから得た基板材料性能値−コ
ンデンサ性能相関曲線を用いて実装コンデンサの性能劣
化進行状況を推定することができ、コンデンサ故障に至
る性能劣化から実装コンデンサの余寿命を定量的に評価
することができる。
【0044】請求項7記載の電子装置の寿命診断装置に
よれば、前記基板材料性能測定手段は、絶縁抵抗測定装
置からなり、前記電子化制御基板の一部分の体積抵抗率
又は表面抵抗を測定するようにしたため、基板材料性能
測定手段を絶縁抵抗測定装置としたことで、定期点検時
等において現地の保守員が容易に持ち運び、測定するこ
とができる。また、基板材料性能を電子化制御基板の一
部分の体積抵抗率又は表面抵抗としたことで、実装部以
外の余りスペースの小さい電子化制御基板でも容易に測
定することができ、さらには測定装置の電極形状を臨機
応変に変えることで対象基板の範囲を広げることができ
る。
【0045】請求項8記載の電子装置の寿命診断装置に
よれば、前記基板材料性能測定手段は、静電容量測定装
置からなり、前記電子化制御基板の一部分を電極で挟む
ことにより当該電子化制御基板を誘電体としたコンデン
サを形成し、その静電容量を測定して前記電子化制御基
板の誘電率を算出するようにしたため、基板材料性能測
定手段を静電容量測定装置としたことで、定期点検時等
において現地の保守員が容易に持ち運び、測定すること
ができる。また、基板材料性能を電子化制御基板の一部
分を電極で挟んだ静電容量としたことで、実装部以外の
余りスペースの小さい電子化制御基板でも容易に測定す
ることができ、さらには測定装置の電極形状を臨機応変
に変えることで対象基板の範囲を広げることができる。
【0046】請求項9記載の電子装置の寿命診断装置に
よれば、前記基板材料性能測定手段は、色彩測定システ
ムからなり、前記電子化制御基板上のはんだ付け部位の
はんだの強度をはんだの色として評価するようにしたた
め、診断対象電子装置の機能を損なうことなく、基板材
料性能値を非接触かつ非破壊で測定することができる。
【0047】請求項10記載の電子装置の寿命診断装置
によれば、前記基板材料性能測定手段による電気的性能
及び機械的性能を含む基板材料性能の測定が可能なよう
に、所要の規格に従った基板材料性能測定用試験片を前
記電子化制御基板の一部に予め組み込んだため、現地で
の定期点検時等に基板材料性能測定用試験片を取り出
し、基板材料性能の測定を所望の規格に準拠して行うこ
とができる。これにより、電子装置の機能を損なわずに
基板材料性能値を測定することができる。
【0048】請求項11記載の電子装置の寿命診断方法
によれば、計器や制御装置を含む電子装置の寿命診断を
する際に、診断対象である前記電子装置を構成する電子
化制御基板上に、製造時に予め診断用のセラミックス湿
度センサを実装しておき、このセラミックス湿度センサ
の抵抗値変化を測定し、セラミックス湿度センサの抵抗
値と前記電子化制御基板上に実装される実装部品の特性
値との対応関係から前記電子化制御基板上に実装されて
いる実装部品の劣化度を推定し、電子化制御基板の余寿
命を評価するようにしたため、実装部品を取り外すこと
なく、その特性劣化度をセラミックス湿度センサの抵抗
値変化として非破壊で検出することができ、この実装部
品の特性劣化度から電子化制御基板の余寿命を評価する
ことができる。また、セラミックス湿度センサの抵抗値
変化はオンラインでモニタリングすることができるの
で、オンライン診断を行うことができる。
【0049】請求項12記載の電子装置の寿命診断方法
によれば、計器や制御装置を含む電子装置の寿命診断を
する際に、診断対象である電子装置を構成する電子化制
御基板上に、製造時に予め診断用のセラミックス湿度セ
ンサを実装しておき、このセラミックス湿度センサの抵
抗値変化を測定し、セラミックス湿度センサの抵抗値と
前記電子化制御基板上に実装されるICの腐食量との対
応関係から前記電子化制御基板上に実装されている実装
ICの腐食量を推定し、電子化制御基板の余寿命を評価
するようにしたため、実装ICを取り外すことなく、そ
の腐食量をセラミックス湿度センサの抵抗値変化として
非破壊で検出することができ、この実装ICの腐食量か
ら電子化制御基板の余寿命を評価することができる。
【0050】請求項13記載の電子装置の寿命診断方法
によれば、計器や制御装置を含む電子装置の寿命診断を
する際に、診断対象である電子装置を構成する電子化制
御基板上に、製造時に予め診断用のセラミックス湿度セ
ンサを実装しておき、このセラミックス湿度センサの抵
抗値変化を測定し、セラミックス湿度センサの抵抗値と
前記電子化制御基板上に実装されるコンデンサの性能値
との対応関係から前記電子化制御基板上に実装されてい
る実装コンデンサの性能値を推定し、電子化制御基板の
余寿命を評価するようにしたため、実装コンデンサを取
り外すことなく、その性能値をセラミックス湿度センサ
の抵抗値変化として非破壊で検出することができ、この
実装コンデンサの性能劣化度から電子化制御基板の余寿
命を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子装置の寿命診断方法の第1の
実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図2】上記電子装置の寿命診断方法の第1の実施の形
態における極値統計処理の具体的な手順を示す図であ
る。
【図3】本発明に係る電子装置の寿命診断装置の第1の
実施の形態を示すブロック図である。
【図4】上記電子装置の寿命診断装置の第1の実施の形
態における基板材料性能測定手段の具体例である絶縁抵
抗測定装置を示す構成図である。
【図5】上記電子装置の寿命診断装置の第1の実施の形
態における基板材料性能測定手段の具体例である静電容
量測定装置を示す構成図である。
【図6】上記電子装置の寿命診断装置の第1の実施の形
態における基板材料性能測定手段の具体例である色彩測
定システムを示す構成図である。
【図7】本発明に係る電子装置の寿命診断装置の第2の
実施の形態を示すブロック図である。
【図8】上記電子装置の寿命診断装置の第2の実施の形
態における実装部品の状態量算出手段の状態量算出の手
順を説明するための図である。
【図9】本発明に係る電子装置の寿命診断方法の第2の
実施の形態における実装部品の状態量算出の手順を説明
するための図である。
【符号の説明】
1,10 電子装置の寿命診断装置 2 基板材料性能測定手段 3 測定値補正手段 4 極値統計処理手段 5 データベース 6 寿命判定手段 7 出力手段 8 実装部品の状態量算出手段 11 電子化制御基板 12 絶縁抵抗測定装置 14 静電容量測定装置 16 色彩測定システム

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 計器や制御装置を含む電子装置の寿命診
    断をする際に、診断対象である前記電子装置を構成する
    電子化制御基板の全数を各グループの枚数が略均等にな
    るように複数のグループに分割し、分割した中から幾つ
    かのグループを任意に抽出して基板材料性能測定を行
    い、各グループにおける基板材料性能測定値の分布の極
    値統計をとることで前記診断対象内における全基板母数
    の基板材料性能値の最小もしくは最大値を推定し、この
    推定値の時系列変化と前記基板材料性能値の所定の規格
    で定義される限界値とから電子化制御基板の余寿命を定
    量的に評価することを特徴とする電子装置の寿命診断方
    法。
  2. 【請求項2】 計器や制御装置を含む電子装置の寿命診
    断をする際に、診断対象である前記電子装置を構成する
    電子化制御基板の基板材料性能値と電子化制御基板上に
    実装されているICの腐食量の相関曲線を基に基板材料
    性能測定値から非破壊で実装ICの腐食量を求め、この
    実装IC腐食量の時系列変化及び腐食量とIC故障の相
    関から前記実装ICの余寿命を定量的に推定して電子化
    制御基板の余寿命を評価することを特徴とする電子装置
    の寿命診断方法。
  3. 【請求項3】 計器や制御装置を含む電子装置の寿命診
    断をする際に、診断対象である前記電子装置を構成する
    電子化制御基板の基板材料性能値と電子化制御基板上に
    実装されているコンデンサの性能値の相関曲線を基に基
    板材料性能測定値から非破壊で実装コンデンサの性能値
    を求め、この実装コンデンサ性能値の時系列変化とコン
    デンサの故障判定基準とから前記実装コンデンサの余寿
    命を定量的に推定して電子化制御基板の余寿命を評価す
    ることを特徴とする電子装置の寿命診断方法。
  4. 【請求項4】 診断対象である電子装置を構成する電子
    化制御基板の基板材料性能値を測定する基板材料性能測
    定手段と、基板材料性能測定時の構造、前処理を含む測
    定条件が基板材料性能の限界値を定義する規格と異なる
    場合に前記基板材料性能測定手段による測定値を補正す
    る測定値補正手段と、この測定値補正手段による補正後
    の基板材料性能値について極値統計処理を実行する極値
    統計処理手段と、この極値統計処理手段で求めた基板材
    料性能値の最小・最大値の時系列変化と前記基板材料性
    能の限界値から余寿命を判定する寿命判定手段と、前記
    補正を行うための補正データ、寿命判定のための前記限
    界値、前記極値統計処理結果及び前記判定結果を保持す
    るデータベースと、一連の診断結果を表示する出力手段
    とを有することを特徴とする電子装置の寿命診断装置。
  5. 【請求項5】 診断対象である電子装置を構成する電子
    化制御基板の基板材料性能値を測定する基板材料性能測
    定手段と、この基板材料性能測定手段で測定した基板材
    料性能値をIC種毎の基板材料性能値−腐食量相関曲線
    を基に前記電子化制御基板上に実装されているICの腐
    食量に変換する腐食量変換手段と、この腐食量変換手段
    による腐食量の変換結果及び各IC種毎の腐食量の時系
    列変化曲線を基に実装ICの余寿命を定量的に評価する
    寿命判定手段と、各種基板材料性能値、前記IC種毎の
    基板材料性能値−腐食量相関曲線及び前記各IC種毎の
    腐食量の時系列変化曲線を蓄積するデータベースとを有
    することを特徴とする電子装置の寿命診断装置。
  6. 【請求項6】 診断対象である電子装置を構成する電子
    化制御基板の基板材料性能値を測定する基板材料性能測
    定手段と、この基板材料性能測定手段で測定した基板材
    料性能値をコンデンサ種毎の基板材料性能値−コンデン
    サ性能相関曲線を基に前記電子化制御基板上に実装され
    ているコンデンサの性能値に変換するコンデンサ性能変
    換手段と、このコンデンサ性能変換手段によるコンデン
    サ性能値の変換結果及び各コンデンサ種毎の性能値の時
    系列変化曲線を基に実装コンデンサの余寿命を定量的に
    評価する寿命判定手段と、各種基板材料性能値、前記コ
    ンデンサ種毎の基板材料性能値−コンデンサ性能相関曲
    線及び前記各コンデンサ種毎の性能値の時系列変化曲線
    を蓄積するデータベースとを有することを特徴とする電
    子装置の寿命診断装置。
  7. 【請求項7】 前記基板材料性能測定手段は、絶縁抵抗
    測定装置からなり、前記電子化制御基板の一部分の体積
    抵抗率又は表面抵抗を測定することを特徴とする請求項
    4,5又は6記載の電子装置の寿命診断装置。
  8. 【請求項8】 前記基板材料性能測定手段は、静電容量
    測定装置からなり、前記電子化制御基板の一部分を電極
    で挟むことにより当該電子化制御基板を誘電体としたコ
    ンデンサを形成し、その静電容量を測定して前記電子化
    制御基板の誘電率を算出することを特徴とする請求項
    4,5又は6記載の電子装置の寿命診断装置。
  9. 【請求項9】 前記基板材料性能測定手段は、色彩測定
    システムからなり、前記電子化制御基板上のはんだ付け
    部位のはんだの強度をはんだの色として評価することを
    特徴とする請求項4,5又は6記載の電子装置の寿命診
    断装置。
  10. 【請求項10】 前記基板材料性能測定手段による電気
    的性能及び機械的性能を含む基板材料性能の測定が可能
    なように、所要の規格に従った基板材料性能測定用試験
    片を前記電子化制御基板の一部に予め組み込んでなるこ
    とを特徴とする請求項4乃至9の何れかに記載の電子装
    置の寿命診断装置。
  11. 【請求項11】 計器や制御装置を含む電子装置の寿命
    診断をする際に、診断対象である前記電子装置を構成す
    る電子化制御基板上に、製造時に予め診断用のセラミッ
    クス湿度センサを実装しておき、このセラミックス湿度
    センサの抵抗値変化を測定し、セラミックス湿度センサ
    の抵抗値と前記電子化制御基板上に実装される実装部品
    の特性値との対応関係から前記電子化制御基板上に実装
    されている実装部品の劣化度を推定し、電子化制御基板
    の余寿命を評価することを特徴とする電子装置の寿命診
    断方法。
  12. 【請求項12】 計器や制御装置を含む電子装置の寿命
    診断をする際に、診断対象である電子装置を構成する電
    子化制御基板上に、製造時に予め診断用のセラミックス
    湿度センサを実装しておき、このセラミックス湿度セン
    サの抵抗値変化を測定し、セラミックス湿度センサの抵
    抗値と前記電子化制御基板上に実装されるICの腐食量
    との対応関係から前記電子化制御基板上に実装されてい
    る実装ICの腐食量を推定し、電子化制御基板の余寿命
    を評価することを特徴とする電子装置の寿命診断方法。
  13. 【請求項13】 計器や制御装置を含む電子装置の寿命
    診断をする際に、診断対象である電子装置を構成する電
    子化制御基板上に、製造時に予め診断用のセラミックス
    湿度センサを実装しておき、このセラミックス湿度セン
    サの抵抗値変化を測定し、セラミックス湿度センサの抵
    抗値と前記電子化制御基板上に実装されるコンデンサの
    性能値との対応関係から前記電子化制御基板上に実装さ
    れている実装コンデンサの性能値を推定し、電子化制御
    基板の余寿命を評価することを特徴とする電子装置の寿
    命診断方法。
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