JP2000129270A - 廃プラスチックの油化装置及び油化方法 - Google Patents

廃プラスチックの油化装置及び油化方法

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JP2000129270A JP30874098A JP30874098A JP2000129270A JP 2000129270 A JP2000129270 A JP 2000129270A JP 30874098 A JP30874098 A JP 30874098A JP 30874098 A JP30874098 A JP 30874098A JP 2000129270 A JP2000129270 A JP 2000129270A
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waste plastic
pyrolysis
recovery tank
tube
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃プラスチックから安全に使用することので
きる油を得るとともに、安全に残滓を取り出すことがで
きるような廃プラスチックの油化装置及び油化方法を提
供すること。 【解決手段】 本発明の廃プラスチック油化装置40
は、加熱手段13を有し、投入される廃プラスチック1
2を加熱して油蒸気と残滓とに熱分解する熱分解装置1
1を備えている。熱分解装置11には、熱分解装置11
において発生した油蒸気を凝縮させる凝縮管15が接続
されている。凝縮管15には、油蒸気の凝縮によって生
成される油を回収する油回収タンク16が接続されてい
る。油回収タンク16には、連通する熱分解装置11
内、凝縮管15内及び油回収タンク16内を1気圧未満
に減圧する真空ポンプ18が接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃プラスチックの
油化装置及び油化方法に係り、とりわけ、引火点が比較
的高い油を回収することができる廃プラスチックの油化
装置及び油化方法に関している。
【0002】
【従来の技術】家庭ゴミに含まれるプラスチックゴミ
は、焼却や埋め立てにより処分されることが多い。しか
し、プラスチックゴミには、プラスチックの原料となっ
た石油分と同等のエネルギーが含まれており、そのよう
な処理方法は資源の浪費である。
【0003】そこで近年、そのようなプラスチックゴミ
を熱分解し、油分を回収して再利用する方法が注目され
ており、多くの発明がなされている。これらの発明は、
例えば特公昭60−15674号公報や、特公昭60−
14067号公報に記載されている。実際にも、いくつ
かの廃プラスチックの油化プラントが建設され、すでに
運用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
油化プラントにおいて廃プラスチックを処理して油の製
造(回収)を行う場合、製造した油の引火点が非常に低
いために油化プラントで火災が起きたり、あるいは製造
した油の特に軽質分が危険で使えない、という問題が発
生している。
【0005】従来の油化プラントで実際に製造された油
は、引火点が氷点下数十℃であり、その約30%が軽質
分である。このような油は、貯蔵するにも燃焼させるに
も特殊な設備が必要であり、一般用途に使うことはでき
ない。
【0006】さらに、実際に市町村等が各家庭から分別
収集したプラスチックゴミを油化すると、重量比で約1
0%から20%もの残滓が出来る。この残滓の主成分
は、カーボンやプラスチック中に含まれる金属などの添
加剤であるが、この残滓は、油化プラントでの油化を継
続していくと、油化を行う炉の中にたまってしまう。さ
らに油化プラントの運転を継続するためには、油化プラ
ントの炉から残滓を排出する手段が必要であるが、残滓
自体も非常な高温であり、空気中に取出すと容易に発火
して燃えてしまう等、残滓の取り扱いが非常に難しいと
いう問題がある。
【0007】本発明は、このような点を考慮してなされ
たものであり、廃プラスチックから安全に使用すること
のできる油を得るとともに、安全に残滓を取り出すこと
ができるような廃プラスチックの油化装置及び油化方法
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、加熱手段を有
し、投入される廃プラスチックを加熱して油蒸気と残滓
とに熱分解する熱分解装置と、熱分解装置内に連通し、
熱分解装置において発生した油蒸気を凝縮させる凝縮管
と、凝縮管に接続され、油蒸気の凝縮によって生成され
る油を回収する油回収タンクと、油回収タンクに接続さ
れ、連通する熱分解装置内、凝縮管内及び油回収タンク
内を1気圧未満に減圧する真空ポンプと、を備えたこと
を特徴とする廃プラスチックの油化装置である。
【0009】本発明によれば、減圧環境で熱分解及び凝
縮を行わせることにより、引火点が比較的高い油、すな
わち安全に使用することのできる油を回収することがで
き、油蒸発後の残滓も安全となる。
【0010】また本発明は、特許請求の範囲の請求項1
に記載の廃プラスチックの油化装置を用いて廃プラスチ
ックを油化する方法であって、真空ポンプにより、連通
する熱分解装置内、凝縮管内及び油回収タンク内を減圧
する工程と、熱分解装置の加熱手段により、熱分解装置
に投入された廃プラスチックを加熱して油蒸気と残滓と
に熱分解する工程と、凝縮管により、熱分解装置におい
て発生した油蒸気を凝縮させる工程と、油回収タンクに
より、油蒸気の凝縮によって生成される油を回収する工
程と、を備えたことを特徴とする廃プラスチックの油化
方法である。
【0011】本発明によれば、減圧環境で熱分解及び凝
縮を行わせることにより、引火点が比較的高い油、すな
わち安全に使用することのできる油を回収することがで
き、油蒸発後の残滓も安全となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。
【0013】図1は本発明の第1の実施の形態による廃
プラスチックの油化装置を示す構成概略図である。図1
に示すように、本発明の第1の実施の形態の廃プラスチ
ックの油化装置10は、加熱手段としてバーナー13を
有し、投入された廃プラスチック12を加熱して油蒸気
と残滓とに熱分解する熱分解装置としての分解タンクを
11を備えている。
【0014】図1に示すように、分解タンク11の上部
には、分解タンク11において発生した油蒸気を凝縮さ
せる凝縮管15が連通している。凝縮管15は、分解タ
ンク11側から下方に傾斜するように配置されており、
凝縮管15の下方側端部には、油蒸気の凝縮によって生
成される油を回収する油回収タンク16が接続されてい
る。油回収タンク16は、その略中間部分で凝縮管15
と接続されている。
【0015】油回収タンク16の上部壁は、排気管18
aを介して、連通する分解タンク11内、凝縮管15内
及び油回収タンク16内を1気圧未満に減圧する真空ポ
ンプ18と接続されている。真空ポンプ18は、更に廃
ガス処理装置19に接続されている。
【0016】油回収タンク16の下部はテーパ状に形成
され、最下部に排出バルブ17が配置されている。この
ため、排出バルブ17の開閉を制御することにより、油
回収タンク16内に溜まる油を排出する(回収する)こ
とが可能となっている。
【0017】次に、このような構成よりなる本実施の形
態の作用について説明する。
【0018】家庭等からの廃プラスチックは、図示しな
い脱塩素処理装置(例えば特願平10−141390に
記載されている)にて、まず脱塩素処理される。脱塩素
処理された廃プラスチック12は、分解タンク11の中
に図1に示すように詰められて、廃プラスチック油化装
置10内に組み込まれる。
【0019】次に、真空ポンプ18が作動して、分解タ
ンク11内、凝縮管15内及び油回収タンク16を、真
空ポンプ8で1気圧未満、好ましくは0.5気圧以下、
更に好ましくは0.2気圧以下にまで減圧する。
【0020】減圧状態が形成された後、バーナー13を
作動して分解タンク11を加熱する。分解タンク11の
温度が400℃を越えたあたりから、廃プラスチック1
2の熱分解が始まる。分解タンク11の温度は、400
℃から600℃程度に維持される。
【0021】廃プラスチック12は非常に長い分子の鎖
を持っている。その重合度は数千以上である。温度が上
がるにつれて廃プラスチック12の分子運動が激しくな
り、廃プラスチック12の非常に長い鎖は、その分子運
動に耐え切れず切れていく。このような分解過程におい
て、分子量の大きい長い鎖の分子は切れ易く、短い鎖の
分子は切れにくい。また、各分子において結合エネルギ
ーの小さい分子部分も切れ易い。このような分解が進む
につれて、プラスチックの分子量は全体に次第に小さく
なって油に近づいていく。
【0022】分子量が小さくなったプラスチック分子
は、相対的に蒸気圧も低くなり、減圧状態である分解タ
ンク11内ですぐに蒸発してしまう。このため、ある一
定のレベルを超えて分解が進む、すなわち分子量がある
レベル以上に低い分子が発生することが防がれる。
【0023】蒸発した分子は、凝縮管15にて凝縮し、
油回収タンク16にて油として回収される。分解タンク
11が減圧されており一定のレベルを超えて分解が進ま
ないことにより、回収される油の分子量は比較的大き
い。このため、回収油の引火点が比較的高くなり、軽質
分の割合も低くなり、回収油の貯蔵や輸送等の取扱いが
容易になる。
【0024】また、分解タンク11が減圧されていて、
熱分解が一定の分子量レベルまでにとどまることは、油
として回収されない低分子量成分の発生量が抑制される
ことを意味する。このことは、回収油の収量を結果的に
向上させる。
【0025】更に、分解タンク11における熱分解にお
いて、結合エネルギーの関係等により、メタン、プロパ
ン、ブタン等、分子量が極めて小さい分子が発生した場
合、これらの低分子量成分が回収油に混入すると、回収
油の引火点が下がり回収油の取扱いが困難になる。しか
し、本実施の形態では、凝縮管15内及び油回収タンク
16内が減圧されているため、これらの低分子量成分が
凝縮管15内及び油回収タンク16内で凝縮することが
抑制され、蒸発した状態のまま真空ポンプ18から廃ガ
ス処理装置19に送られて排出される。従って、たとえ
分子量成分が熱分解により発生したとしても、回収され
る油の引火点を比較的高くすることができる。
【0026】本実施の形態を用いた具体的な実験結果と
して、大気圧条件、0.1気圧の減圧条件及び0.01
気圧の減圧条件の各々において、ポリプロピレンを油化
した場合の熱分解実験結果を以下に示す。
【0027】大気圧条件では、引火点が−20℃以下の
油が88%の回収率で得られた。回収油の軽質分は30
%を占め、たとえ蒸留しても安全な重質分はあまり得ら
れなかった。
【0028】0.1気圧では、引火点が11.5℃の油
が83%の回収率で得られた。回収油の重質分も多く、
常温ではワックスのように固形化した。
【0029】0.01気圧では、引火点が21.0℃の
油が80%の回収率で得られた。回収油の重質分も更に
多くなり、より安全性の高い油が得られた。
【0030】実際の廃プラスチックの成分では、0.5
気圧程度の減圧により回収される油の引火点を±0℃程
度とすることが可能で、0.2気圧程度の減圧により引
火点を10℃程度(アルコールの引火点と略同等)に高
めることが可能である。
【0031】なお、本実施の形態により得られる回収油
の炭素数分布範囲は、8〜44付近の広い範囲に分布し
ており、ガソリン、軽油、重油のいずれにも相当しない
が、精油所で使われる流動接触分解(FCC)装置など
に少量ずつ原料として混入することで、ガソリンや灯油
に転換して利用することが可能である。
【0032】一方、油化の残滓は、例えば一般家庭から
の廃プラスチック12を油化した場合、重量比で20%
前後出来る。その残滓は、分解タンク11の下部にたま
るので、廃プラスチック12の油化が収量する度毎に、
分解タンク11を分解して残滓を削り取る。本実施の形
態においては、低分子量成分が減圧環境のため直ちに蒸
発し残滓内に残存する割合が著しく減少しているため、
残滓を空気中に取り出しても容易には発火しない。
【0033】残滓の主成分は、炭素と炭酸カルシウムで
あるが、その他、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩
化アルミなどの塩化物も含まれる。すなわち、本実施の
形態の油化装置では、脱塩素装置での脱塩素が十分でな
い廃プラスチックを処理した場合でも、塩素濃度の低い
回収油を得ることができる。
【0034】なお、プラスチックに添加されていた金属
のほとんども残滓として残る。例えば、チタン、ニッケ
ル、微量の鉛なども、残滓に含まれる。
【0035】残滓は、路盤材などに用いるセメント焼成
のための燃料として使うと良い。あるいは、単純に焼却
し、灰をガラス化溶融して処理することでも処理が可能
である。
【0036】以上のように、本実施の形態によれば、引
火点が比較的高く軽質分が少ない油、すなわち安全に使
用することのできる油を、高い収率で回収することがで
きる。一方、熱分解による残滓も安全に処理することが
できる。
【0037】次に、本発明の第2の実施の形態の廃プラ
スチック油化装置の構成概略図を図2示す。図2に示す
ように、本実施の形態の廃プラスチック油化装置40
は、熱分解装置が熱分解管30によって形成され、熱分
解管30と凝縮管15との間に残滓回収容器21が設け
られ、油回収タンク16がスクリュー装置26を有して
おり、排出バルブ17の下方に油貯蔵タンク27が設け
られており、廃ガス処理装置19の代わりに廃ガス貯蔵
装置26が設けられている。
【0038】その他の構成は、図1に示す第1の実施の
形態と同様の構成である。第2の実施の形態において、
図1に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符
号を付して詳細な説明は省略する。
【0039】熱分解装置である熱分解管30は、溶融状
態の廃プラスチックが連続的あるいは断続的に投入され
る供給口31と、加熱手段33と、熱分解によって発生
する残滓を移動させるスクリューコンベヤ32と、油蒸
気及び残滓を排出する排出口35とを有している。
【0040】熱分解管30は、略水平に配置されてお
り、供給口31は熱分解管30の端部の略鉛直上方側に
設けられ、排出口35は熱分解管30の他端部に設けら
れるとともに残滓回収容器21の上部に接続されてい
る。また、熱分解管30の内部は、適当な間隔で堰34
が設けられて複数の部屋に仕切られている。加熱手段3
3は、例えば熱分解管の下方側全長に亘って設けられて
いる。
【0041】スクリューコンベヤ32は、スクリュー羽
根32bと、スクリュー羽根32bを駆動させる駆動装
置32aとから構成されており、熱分解管30内の廃プ
ラスチックを供給口31から排出口35に向けて移動さ
せるようになっている。
【0042】排出口35に接続された残滓回収容器21
は、排出口35に略対向する位置で凝縮管15と接続さ
れている。凝縮管15は、残滓回収容器21側から下方
に緩やかに傾斜するように配置されている。
【0043】油回収タンク16の上部壁は、排気管18
aを介して真空ポンプ18と接続され、真空ポンプ18
は更に、廃ガス貯蔵装置29に接続されている。
【0044】油回収タンク16は、スクリュー装置26
を有している。スクリュー装置26は、スクリュー羽根
26bと、スクリュー羽根26bを駆動させる駆動装置
26aとから構成されており、油回収タンク16内で凝
縮した油を排出バルブ17側へ移動させるようになって
いる。
【0045】排出バルブ17の下方には、油貯蔵タンク
27が設けられている。油貯蔵タンク27は予め真空引
きされており、排出バルブ17の開閉によって、油回収
タンク16の下方に貯まった油を吸引、貯蔵することが
可能となっている。
【0046】一方、残滓回収容器21の下方はテーパ状
に形成され、最下部に排出二重バルブ24a、24bが
配置されている。このため、排出二重バルブ24a、2
4bの開閉を制御することにより、残滓回収容器21の
下方に残留する残滓を排出することが可能となってい
る。排出二重バルブ24a、24bの下方には、残滓回
収タンク25が配置されている。残滓回収タンク25
は、排出二重バルブ24a,24bを閉じた状態で、取
り外し可能である。
【0047】残滓回収容器21には、残滓の排出を促進
するために、スクリュー装置22が設けられている。ス
クリュー装置22は、スクリュー羽根26bと、スクリ
ュー羽根26bを駆動させる駆動装置22aとから構成
されており、残滓回収容器21内に送り込まれた残滓
を、残滓回収容器21の内部壁との間で破砕させなが
ら、排出二重バルブ24a、24b側へ移動させるよう
になっている。更に、残滓回収容器21の周囲には、残
滓回収容器21を加熱する加熱手段23が設けられてい
る。
【0048】次に、このような構成よりなる本実施の形
態の作用について説明する。
【0049】一般家庭等から市町村等が分別収集した廃
プラスチックは、図示しない脱塩素処理装置(例えば特
願平10−141390など)にて、まず脱塩素処理さ
れる。脱塩素処理は300℃〜350℃の温度で行われ
るので、処理直後の廃プラスチックは高温の溶融状態で
ある。この溶融状態の脱塩素された廃プラスチックが、
供給口31から一定量ずつ熱分解管30に供給される。
【0050】一方、真空ポンプ18が作動して、熱分解
管30内、残滓回収容器21内、凝縮管15内及び油回
収タンク16内を、1気圧未満、好ましくは0.5気圧
以下、更に好ましくは0.2気圧以下にまで減圧する。
【0051】減圧状態が形成された後、熱分解管30の
加熱手段33を作動して、熱分解管30を450℃から
600℃程度に加熱する。
【0052】廃プラスチックは、450℃から600℃
程度の温度では粘性が非常に低くなるため、熱分解管3
0の内部の堰34を超える液量となると堰34を乗越え
て(オーバーフローして)排出口35側の部屋に順次移
動していく。この過程で廃プラスチックが熱分解して油
蒸気が発生する。
【0053】油蒸気は、凝縮管15に至る前に低温部が
あると、そこで凝縮して液化してしまうので、排出口3
5と凝縮管15との間に配置された残滓回収容器21を
加熱手段23によって加熱しておく。
【0054】従って大部分の油蒸気は、蒸気のまま残滓
回収容器21を経て凝縮管20に至り、凝縮管20と油
回収タンク16で凝縮され、凝縮タンク16の下部に溜
まる。また油成分は、油回収タンク16の壁面にも付着
する。そこで、スクリュー装置26を作動させ、排出バ
ルブ17を開け、これらの油成分を予め真空排気した油
貯蔵タンク27の中に落とし込む。
【0055】油成分以外の排ガス(メタンやプロパンな
どの低分子量ガス)は、真空ポンプ18を経て廃ガス貯
蔵装置29に送られて貯蔵され、各装置の加熱手段の加
熱媒体として用いられる。
【0056】なお、油回収タンク16にも加熱手段を設
けて、例えば60℃程度にタンク内を保温して油に流動
性を持たせることが好ましい。この場合にも、大気パー
ジを利用した排出が有効である。
【0057】一方、油ガスを発生させ炭素分の割合が増
えて粘性が増大した廃プラスチックの固形分(残滓)
は、熱分解管30に設けたスクリューコンベヤ32を作
動させることによって、供給口31から排出口35に向
けて移動する。これにより、残滓は、排出口35から残
滓回収容器21内に順次送り出される。
【0058】前述のように、油ガスの残滓回収容器21
における凝縮を避けるべく、残滓回収容器21は加熱手
段23によって加熱されている。その加熱の温度を10
0℃程度にした場合、残滓の中には高沸点成分が多少混
入してしまい、常温でワックス状の物質として回収され
る。加熱温度を300℃程度に設定すると、残滓は完全
に乾いた粉として回収される。
【0059】これらの残滓は、排出二重バルブ24a,
24bの開閉を制御することによって、予め真空排気し
ておいた残滓回収タンク25に回収される。
【0060】具体的に、一般家庭からの廃プラスチック
を本実施の形態による油化装置40で油化した場合、石
や砂、ガラス、缶などを除いた後の廃プラスチックに対
して、油:6割(重量比)、残滓:2割(重量比)、排
出ガス:2割(重量比)が実現可能である。更に、各装
置の加熱媒体は、排出ガス成分だけで賄うことができ、
省エネルギーが図れる。
【0061】以上のように、本実施の形態によれば、連
続的に廃プラスチックを油化処理することができると共
に、バッチ処理と同等の高い油の収率が得られ、省力及
び省エネルギーを図ることができる。
【0062】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、引火点
が比較的高い油、すなわち安全に使用することのできる
油を回収することができ、残滓も安全に処理することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による廃プラスチックの油化装置の第1
の実施の形態を示す構成概略図。
【図2】本発明による廃プラスチックの油化装置の第2
の実施の形態を示す構成概略図。
【符号の説明】
10 廃プラスチック油化装置 11 分解タンク 12 廃プラスチック 13 バーナー 15 凝縮管 16 油回収タンク 17 排出バルブ 18 真空ポンプ 19 廃ガス処理装置 21 残滓回収容器 22 スクリュー装置 22a 駆動装置 22b スクリュー羽根 23 加熱手段 24a、24b 排出二重バルブ 25 残滓回収タンク 26 スクリュー装置 26a 駆動装置 26b スクリュー羽根 27 油貯蔵タンク 29 廃ガス貯蔵装置 30 熱分解管 31 供給口 32 スクリューコンベヤ 32a 駆動装置 32b スクリュー羽根 33 加熱手段 34 堰 35 排出口 40 廃プラスチック油化装置

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱手段を有し、投入される廃プラスチッ
    クを加熱して油蒸気と残滓とに熱分解する熱分解装置
    と、 熱分解装置内に連通し、熱分解装置において発生した油
    蒸気を凝縮させる凝縮管と、 凝縮管に接続され、油蒸気の凝縮によって生成される油
    を回収する油回収タンクと、 油回収タンクに接続され、連通する熱分解装置内、凝縮
    管内及び油回収タンク内を1気圧未満に減圧する真空ポ
    ンプと、を備えたことを特徴とする廃プラスチックの油
    化装置。
  2. 【請求項2】真空ポンプは、連通する熱分解装置内、凝
    縮管内及び油回収タンク内を0.5気圧以下に減圧する
    ようになっていることを特徴とする請求項1に記載の廃
    プラスチックの油化装置。
  3. 【請求項3】真空ポンプは、連通する熱分解装置内、凝
    縮管内及び油回収タンク内を0.2気圧以下に減圧する
    ようになっていることを特徴とする請求項1に記載の廃
    プラスチックの油化装置。
  4. 【請求項4】熱分解装置は、 溶融状態の廃プラスチックが投入される供給口と、 発生する残滓を移動させるスクリューコンベヤと、 油蒸気及び残滓を排出する排出口と、を有する熱分解管
    によって構成され、 熱分解管と凝縮管との間に、加熱手段を有する残滓回収
    容器が設けられたことを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載の廃プラスチックの油化装置。
  5. 【請求項5】熱分解管は、内部に堰が形成されているこ
    とを特徴とする請求項4に記載の廃プラスチックの油化
    装置。
  6. 【請求項6】真空ポンプには、真空ポンプによる排出ガ
    スを貯蔵する貯蔵装置が設けられたことを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれかに記載の廃プラスチックの油化
    装置。
  7. 【請求項7】熱分解装置は、投入される廃プラスチック
    を400℃から600℃に加熱するようになっているこ
    とを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の廃プ
    ラスチックの油化装置。
  8. 【請求項8】請求項1に記載の廃プラスチックの油化装
    置を用いて廃プラスチックを油化する方法であって、 真空ポンプにより、連通する熱分解装置内、凝縮管内及
    び油回収タンク内を減圧する工程と、 熱分解装置の加熱手段により、熱分解装置に投入された
    廃プラスチックを加熱して油蒸気と残滓とに熱分解する
    工程と、 凝縮管により、熱分解装置において発生した油蒸気を凝
    縮させる工程と、 油回収タンクにより、油蒸気の凝縮によって生成される
    油を回収する工程と、を備えたことを特徴とする廃プラ
    スチックの油化方法。
  9. 【請求項9】投入された廃プラスチックを熱分解する工
    程は、投入された廃プラスチックを400℃から600
    ℃に加熱する工程を有することを特徴とする請求項8に
    記載の廃プラスチックの油化方法。
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