JP2000126181A - 腫瘍抽出処理方法 - Google Patents

腫瘍抽出処理方法

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JP2000126181A
JP2000126181A JP10305418A JP30541898A JP2000126181A JP 2000126181 A JP2000126181 A JP 2000126181A JP 10305418 A JP10305418 A JP 10305418A JP 30541898 A JP30541898 A JP 30541898A JP 2000126181 A JP2000126181 A JP 2000126181A
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tumor
voxel
luminance
boundary
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JP10305418A
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Soyu Tei
相勇 程
Iwaki Akiyama
いわき 秋山
Koichi Ito
紘一 伊東
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MITANI SANGYO KK
Mitani Sangyo Co Ltd
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MITANI SANGYO KK
Mitani Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超音波3次元画像から乳腺腫瘍領域を高い精
度で発見・抽出すること。 【解決手段】 3次元のボクセルの各々に対して、超音
波画像上における腫瘍の領域と周囲正常組織及び両者の
境界をファジイ推論に利用するメンバシップ関数として
表現する特徴量演算工程と、ファジイ推論過程に基づい
て腫瘍の領域を自動抽出する工程を含むメンバシップ関
数自動生成工程と、ファジイ推論過程に基づいて、各ボ
クセルを、所定数のタイプの領域にクラス分けするファ
ジイ推論工程と、弛緩法に基づいた非ファジイ化過程を
各ボクセルに対して行う工程と、前工程に続いて、各ボ
クセルを、”腫瘍”,”正常組織”または”境界”のい
ずれかに分類して腫瘍領域の最終決定を行う工程とを含
むデファジイ工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2次元画像あるい
は3次元画像で表された組織間の境界を抽出して正常組
織の中から癌組織(特に、乳癌組織)を発見する病理診
断支援システムに適応可能な腫瘍抽出処理方法に関し、
特に、生体のMRI画像や超音波画像等の2次元断層画
像から3次元画像で表された組織間の境界を抽出して正
常組織の中から癌組織(特に、乳癌組織)を発見する腫
瘍抽出処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、超音波診断装置や医用MRI(M
agnetic ResonanceImaging、
磁気共鳴画像)を用いて生体の3次元画像データを作成
し、病理診断処理を行う技術がさかんに利用されるよう
になってきている。
【0003】心臓やけい動脈を対象とする循環系疾患診
断では、血管内外壁の時間変化に伴う3次元的運動と同
部位の3次元的分布を高速に取得し、両者の空間的な因
果関係を定量的に把握できることが、診断精度を向上さ
せるうえで強く望まれている。
【0004】ところで、近年40代女性の死亡の主な原
因の1つになっている乳癌を発見するための乳腺(被測
定物体)腫瘍の病理診断には、X線Mammograp
hyや超音波エコー法などが用いられている。
【0005】悪性腫瘍の特徴は、良性と比較すると凹凸
を伴う複雑な輪郭を有していることである。乳腺の画像
診断では、このような幾何学的特徴がX線Mammog
raphyや超音波エコー画像による乳腺腫瘍の診断に
おいてよく利用される。
【0006】X線Mammographyは、乳腺に対
するX線の透過像であり、比較的高い空間分解能が得ら
れることから、画像処理による腫瘍の抽出並びに評価の
ための方法がいくつか提案されている。
【0007】一方、超音波エコー画像による乳腺腫瘍の
診断では、Mammographyと比較して有利な点
がいくつかある。
【0008】すなわち、 1. 超音波像は透過像ではなく超音波断層画像として
得られること、 2. 超音波プローブを体表面(乳腺表面)に接触させ
るだけで、容易に実時間で乳腺内部を観察できること、 3. 被検者に対する苦痛が少ないこと などである。
【0009】従って、検者が、超音波断層画像を画面上
で観察しながら、乳腺内部をくまなく走査することによ
って、高い精度での腫瘍の発見、並びに悪性腫瘍の判別
ができるようになることが期待でき、日常の診断に不可
欠なものになっている。
【0010】また従来の乳腺の超音波検査は、検者(例
えば、医師)が超音波プローブを用いて乳腺内部をくま
なく走査して断層画像を観察することによって、腫瘍の
発見、悪性腫瘍(癌)の鑑別を行っている。超音波断層
像で表示される乳腺腫瘍の特徴は、良性及び悪性ともに
正常組織と比較して、そのエコー・レベル(すなわち、
画像の輝度)が低いことである。このことは、画像の輝
度レベルの差を利用して両者を判別することが難しいこ
とを意味する。
【0011】そこで、断層画像における腫瘍輪郭線の幾
何学的形状の不整が利用されるが、断層画像だけでは悪
性腫瘍の幾何学的特徴を把握しにくい場合がある。この
ような場合では、腫瘍の表面形状を3次元的に表示すれ
ば、幾何学的な表面形状を容易に観察することができる
ため、より精度の高い診断が可能となると予想される。
【0012】従来この種の画像取得装置としては、例え
ば、特願平4−110305号(第1従来技術)に示す
ようなものがある(第1従来技術、図19)。
【0013】すなわち、第1従来技術の画像処理装置
は、MRIや超音波診断装置などから得られる2次元あ
るいは3次元の画像データの処理を行うのに適し、特
に、診断に有用な特徴情報を高速にかつ効率的に抽出す
ることが可能な画像処理装置であって、処理対象の2次
元画像空間の画素にそれぞれ1つずつのファジィ素子を
対応づけたファジィ素子のアレイ6A,…,6Aを用
い、個々の画素の値をファジィ推論によって決定するよ
うにしたもので、3次元画像データを処理する場合に
は、ピクセル単位のファジィ素子を、断層面数と、あら
かじめ規定された断層面内のピクセル数とを乗じた数だ
け少なくとも設け、各ファジィ素子を並列に動作させる
ことによって課題の解決を図るものである。
【0014】すなわち、第1従来技術の画像処理装置
は、2次元画像空間の各画素と対応づけた多数のファジ
イ素子のアレイ6A,…,6Aからなる画像処理部を備
え、ファジィ素子の各々が、入力された2次元画像デー
タについてあらかじめ規定されたルールおよびメンバシ
ップ関数に基づいてファジィ推論を同時並行的に実行
し、各々のファジィ素子が、対応づけられている画素の
値を決定している。
【0015】また、複数の断層面データを入力として3
次元画像処理を行う場合、第1従来技術の画像処理装置
は、少なくともあらかじめ規定された断層面数に各断層
面内のピクセル数を乗じた数のファジィ素子を有する画
像処理部を備え、画像処理部の各ファジィ素子が、あら
かじめ規定された、すべてのピクセルについて独立なル
ールとメンバシップ関数とを有し、3次元空間上の与え
られた点について境界抽出等の特徴抽出処理を並列に実
行している。ここで画像処理部のファジィ素子の数を、
更に同時に抽出したい特徴の数を乗じて決定している。
また、各断層面データが順次的に入力されかつその入力
速度が、ファジィ素子の処理速度に比べて遅い場合、1
つの断層面を処理するファジィ素子のブロック6A,
…,6Aを単位として、1つあるいは複数のブロック6
A,…,6Aで画像処理部を構成し、1つの特徴につい
て1つのブロック6A,…,6Aを使用して順次入力さ
れる断層面データを処理している。
【0016】ところで、超音波診断装置や医用MRIを
用いて生体の3次元画像データを作成し、診断処理を行
う場合、一般に、生体への超音波の送受波により取り込
まれたエコーデータに基づき形成される。例えば二次元
断層画像を形成する場合、二次元エコーデータ取り込み
領域内で取り込まれたエコーデータのレベルが画素値に
変換される。また、三次元超音波画像を形成する場合、
三次元エコーデータ取り込み領域内で取り込まれたエコ
ーデータを利用して、まず特定組織の輪郭抽出が三次元
的に行われ、その後、例えば組織表面が濃淡処理され、
これにより立体的な組織像が形成される。
【0017】二次元超音波画像内で特定組織の断面積を
演算する場合、あるいは三次元超音波画像の形成や特定
組織の体積を演算する場合等においては、組織の輪郭
(組織間の境界)を抽出する必要がある。
【0018】組織画像についての複数の特徴量を基礎と
して、組織境界の抽出を精度良く行う画像取得装置とし
ては、例えば、特願平5−333617号(第2従来技
術、図20)に示すようなものがある。
【0019】第2従来技術の超音波画像処理装置は、超
音波画像を形成するためのエコーデータを処理する装置
であって、注目エコーデータを中心とする参照領域に含
まれる複数のエコーデータの平均値μを演算する平均値
演算部12Bと、参照領域に含まれる複数のエコーデー
タの分散値σを演算する分散値演算部14Bと、平均値
μ及び分散値σに基づいて組織差強調演算を行い、注目
エコーデータの新たな値を出力する組織差強調演算部
(不図示)と、組織差強調後の画像に対して境界抽出を
行う境界抽出部とを含んで構成され、注目エコーデータ
毎に組織差強調演算を行って超音波画像に対する組織差
強調処理を実行し、注目エコーデータを中心とする参照
領域内でエコーデータの平均値μ及び分散値σを求め、
それらの平均値μ及び分散値σに基づいて組織差強調演
算を求めていた。これにより、境界抽出精度を向上さ
せ、画像の平均値μ及び分散値σを総合勘案することに
より組織差を認識できる組織差強調処理を行い、また、
組織差強調演算部をファジー推論部28Bで構成して組
織差強調演算をファジー推論により実行し、組織差強調
演算のための繁雑なテーブルの作成を不要とし、かつ膨
大な規模のテーブルの作成を不要としていた。
【0020】また第2従来技術の超音波画像処理装置
は、ファジー推論部28Bの出力から組織分離度を演算
する分離度演算部52Bと、ファジー推論部28Bが有
するメンバーシップ関数を決定するためのパラメータを
設定する手段であって、パラメータを順次変更して得ら
れる複数の組織分離度に基づき、メンバーシップ関数を
最適化するパラメータ設定部54Bと、組織差強調後の
画像に対して境界抽出を行う境界抽出部とを設け、メン
バーシップ関数の最適化をフィードバックループにより
実行していた。また、ファジー推論部28Bに設けられ
るメンバーシップ関数の最適化をフィードバックループ
により達成し、メンバーシップ関数を決定するパラメー
タを順次変更しつつ組織分離度を演算し、その組織分離
度に基づき最適なパラメータを設定し、メンバーシップ
関数の最適化を実際の画像処理の前段階に行っておくこ
とにより、各種の組織に対応した最も適切な条件下で組
織差強調処理(微分処理の一種)を実行していた。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】腫瘍(特に、乳癌)の
表面形状を3次元的に表示及び評価するためには、取得
した超音波ボクセル画像データから腫瘍の領域を抽出す
ることが重要となる。しかも、乳腺の超音波画像には、
スペックル・ノイズや音響陰影などのアーチファクト、
境界部の欠落、筋層など腫瘍以外の低輝度の領域が存在
するといった超音波画像特有の難しさもある。
【0022】しかしながら、乳腺の超音波画像の前処理
として単純な閾値による2値化を実行する2値化や微分
オペレータなどの画像処理法を実行する第1従来技術や
第2従来技術では、乳腺の超音波画像に対する画像処理
2値化や微分オペレータなどの従来の画像処理法を用い
ているため、後段で各種のファジー推論を行っても、根
元的に、期待するような抽出精度を実現することが難し
いと考えられる。
【0023】また、このような画像処理技術を用いて、
高い精度での腫瘍の発見、並びに悪性腫瘍の判断を実現
するためには、複雑な計算アルゴリズムや大規模なコン
ピュータリソースを必要としてしまうという問題点があ
った。
【0024】本発明は、このような従来の問題点を解決
することを課題としており、特に、3次元LoG(La
place of Gaussian)フィルタを用い
たメンバシップ関数を自動作成し、ファジイ推論並びに
弛緩法を用いて、各ボクセルを”腫瘍”、”正常組織”
及び両者の”境界”という3つのクラスに分類し、その
結果に基づいて、腫瘍の3次元領域の決定することによ
り、パーソナルコンピュータ(PC)程度の計算能力を
もった小規模なコンピュータリソースで短時間(高速)
に計算(画像処理)できるような簡便なファジイ推論ア
ルゴリズムを提供し、その結果、超音波3次元画像から
腫瘍(特に、乳腺腫瘍)の領域を高い精度で発見でき、
悪性腫瘍の判断を再現性良く自動抽出できる腫瘍抽出処
理方法を実現することを目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
成された請求項1に記載の発明は、3次元のボクセルの
各々に対して、超音波画像上における腫瘍の領域と周囲
正常組織及び両者の境界に関する所定の統計量の分布を
ファジイ推論に利用するメンバシップ関数の[0,1]
区分の確率分布として表現する特徴量演算工程と、当該
メンバシップ関数を備えたファジイ推論過程に基づいて
当該統計量の分布をまとめることによって腫瘍の領域を
自動抽出する工程を含むメンバシップ関数自動生成工程
と、当該生成されたメンバシップ関数及びファジイ・ル
ールを含んで構成される前記ファジイ推論過程に基づい
て、各ボクセルを、所定数のタイプの領域にクラス分け
するファジイ推論工程と、弛緩法に基づいた非ファジイ
化過程を各ボクセルに対して行う工程と、前工程に続い
て、各ボクセルを、”腫瘍”,”正常組織”または”境
界”のいずれかに分類して腫瘍領域の最終決定を行う工
程とを含むデファジイ工程とを有する腫瘍抽出処理方法
である。
【0026】請求項1に記載の発明によれば、特徴量演
算工程が、3次元のボクセルの各々に対して、2次元超
音波画像または3次元超音波画像上における腫瘍の領域
と周囲正常組織及び両者の境界に関する所定の統計量の
分布を、ファジイ推論に利用するメンバシップ関数の
[0,1]区分の確率分布として表現する工程を実行す
る。またメンバシップ関数自動生成工程が、メンバシッ
プ関数を備えたファジイ推論過程に基づいて、特徴量演
算工程で求めた統計量の分布をまとめて腫瘍の領域を自
動抽出する工程を実行する。これにより、ボクセル・デ
ータに対して3次元LoGフィルタをかけ、その出力の
正負及びゼロ・クロッシング点から3つのクラスに分類
し、特徴量について、3つのクラスに属する”らしさ”
を示すメンバシップ関数を求めることができるようにな
る。1種の2次微分フィルタ、またはバンドパス・フィ
ルタであり、画像処理では対象の境界抽出においてよく
使われている簡便な3次元LoG(Laplace o
f Gaussian)フィルタを用いる結果、ボクセ
ル・データの境界の位置で2次微分がゼロとなり、また
はフィルタの出力が正負の変化、すなわちゼロ交差(Z
ero crossing)が現れる。これらの出力の
ゼロ・クロッシング点を連結すると境界となる。従っ
て、3次元LoGフィルタ出力のゼロ・クロッシング点
を結ぶと、それが抽出しようとする対象領域の境界面と
なる。そこで、ゼロ・クロッシングによる”境界”抽出
に加えて、出力の正値が輝度の低い”腫瘍”、負値が輝
度の高い”正常組織”となることを利用して、ボクセル
を3つのクラスに分類できるようになる。このような簡
便なクラス分類を実行することにより、PC程度の計算
能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時間
(高速)に計算(画像処理)できるようなメンバシップ
関数の自動作成が可能となる。またファジイ推論工程
が、メンバシップ関数自動生成工程で求めたメンバシッ
プ関数自動生成工程を実行した際に生成されたメンバシ
ップ関数、及びファジイ・ルールを含んで構成されるフ
ァジイ推論過程に基づいて、各ボクセルを、所定数のタ
イプの領域にクラス分けする工程を実行する。デファジ
イ(Defuzzify)工程は、弛緩法に基づいた非
ファジイ化過程を各ボクセルに対して実行し、この工程
(非ファジイ化過程の工程)に続いて、各ボクセル
を、”腫瘍”,”正常組織”または”境界”のいずれか
に分類して腫瘍領域の最終決定を行う工程を実行する。
このようなファジイ推論工程とデファジイ工程を設ける
ことにより、パーソナルコンピュータ(PC)程度の計
算能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時間
(高速)に計算(画像処理)できるような簡便なファジ
イ推論と弛緩法を用いて、各ボクセルを”腫瘍”、”正
常組織”及び両者の”境界”という3つのクラスに分類
できるようになる。その結果、PC程度の計算能力をも
った小規模なコンピュータリソースで短時間(高速)に
計算(画像処理)できるような、簡便な超音波3次元画
像から、スペックル・ノイズや音響陰影などのアーチフ
ァクト、境界部の欠落、筋層など腫瘍以外の低輝度の領
域を除去した腫瘍(特に、乳腺腫瘍)の領域を高い精度
で発見でき、悪性腫瘍の判断を再現性良く自動抽出でき
るようになる。
【0027】また請求項2に記載の発明は、請求項1に
記載の腫瘍抽出処理方法において、前記ファジイ推論工
程は、前記各ボクセルが、”腫瘍”,”正常組織”また
は”境界”である”らしさ”の度合いを求めると共に、
当該求めた”らしさ”の度合いに応じた前記クラス分け
を実行する腫瘍抽出処理方法である。
【0028】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の効果に加えて、前述のファジイ推論工程は、各
ボクセルが、”腫瘍”である”らしさ”の度合い,”正
常組織”である”らしさ”の度合い、または”境界”で
ある”らしさ”の度合いを求め、求めた”らしさ”の度
合いに応じたクラス分けを各ボクセルに対して実行する
工程である。3次元LoGフィルタをかけ、その出力の
正負及びゼロ・クロッシング点から3つのクラスに分類
されたボクセルには、誤って分類されたボクセルが含ま
れる可能性がある。そこで、このようなファジイ推論工
程を設けることにより、”腫瘍”と分類されたボクセル
に対して、膨張・収縮処理を行って、正常組織内部に孤
立的に存在する”腫瘍”ボクセルや”境界”ボクセルを
除去し、また、”腫瘍”と他の輝度の低い閉領域が連結
するような場合に両者を分断する。これにより、3次元
空間上の矛盾を徐々に解決しながら、最終的に腫瘍の領
域を決定する工程を実行できるようになる。
【0029】また請求項3に記載の発明は、請求項1に
記載の腫瘍抽出処理方法において、前記特徴量演算工程
で用いられる前記所定の統計量は、前記各ボクセルに対
する輝度平均値を含み、当該輝度平均値は、 輝度平均値={ΣΣΣf(i,j,k)}/N3 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1(N:自
然数)であり、f(i,j,k)はボクセル(i,j,
k)における輝度値を表し、Nは参照ボクセル・ボリュ
ームの大きさで与えられる腫瘍抽出処理方法である。
【0030】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
に記載の効果に加えて、輝度平均値が”腫瘍”領域では
小さく、”正常組織”の領域では大きく、また、”境
界”領域ではその中間の値をとると考えられることか
ら、前述の特徴量演算工程で用いられる所定の統計量
を、各ボクセルに対する輝度平均値{ΣΣΣf(i,
j,k)}/N3(ただし、i,j,k=0,1,2,
…,N−1(N:自然数),f(i,j,k)=ボクセ
ル(i,j,k)における輝度値、Nは参照ボクセル・
ボリュームの大きさ、Σ=総和演算)としている。その
結果、2値化や微分オペレータなどの従来の画像処理上
では腫瘍領域の自動抽出を行うのは難しいような、輝度
の低い”腫瘍”(tumor)、輝度の高い”正常組
織”(normal tissue)、そして両者の”
境界”(boundary)を識別できるようになる。
【0031】また請求項4に記載の発明は、請求項1に
記載の腫瘍抽出処理方法において、前記特徴量演算工程
に用いられる前記所定の統計量は、前記各ボクセルに対
する輝度の重心と幾何学的な中心の距離を含み、当該各
ボクセルに対する輝度の重心(gx,gy,gz)は、 gx={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(i+1)}}/
{ΣΣΣf(i,j,k)}, gy={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(j+1)}}/
{ΣΣΣf(i,j,k)}, gZ={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(k+1)}}/
{ΣΣΣf(i,j,k)} で与えられ、当該各ボクセルに対する輝度の重心と幾何
学的な中心の距離は、輝度の重心と幾何学的な中心の距
離={(gx−cx2+(gy−cy2+(gz
z21/2ただし、i,j,k=0,1,2,…,N
−1であり、f(i,j,k)はボクセル(i,j,
k)における輝度値を表し、N(自然数)は参照ボクセ
ル・ボリュームの大きさ、(gx,gy,gz)は、それ
ぞれ参照ボクセル・ボリュームにおける輝度の重心の座
標、(cx,cy,cz)は幾何学的な中心の座標で与え
られる腫瘍抽出処理方法である。
【0032】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
に記載の効果に加えて、輝度の重心と幾何学的な中心の
輝度の重心と幾何学的な中心の距離の値が、”正常組
織”の領域では輝度の重心と参照ボリュームの幾何学的
な中心がほぼ一致するため小さくなると考えられ、”境
界”の領域では境界面を境に輝度が一方に偏っているこ
とにより大きな値になると考えられ、注目画素は”境
界”であれば距離が大きく、逆に”正常組織”であれば
距離が小さい値となることから、前述の特徴量演算工程
に用いられる所定の統計量を、少なくとも、各ボクセル
に対する輝度の重心と幾何学的な中心の距離とに基づい
て決定している。
【0033】ここで、各ボクセルに対する輝度の重心
(gx,gy,gz)は、以下の式で与えられる。
【0034】gx={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(i
+1)}}/{ΣΣΣf(i,j,k)}, gy={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(j+1)}}/
{ΣΣΣf(i,j,k)}, gZ={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(k+1)}}/
{ΣΣΣf(i,j,k)}
【0035】また各ボクセルに対する輝度の重心と幾何
学的な中心の距離は、以下の式で与えられる。
【0036】輝度の重心と幾何学的な中心の距離=
{(gx−cx2+(gy−cy2+(g z−cz21/2 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1、f
(i,j,k)=ボクセル(i,j,k)における輝度
値、N(自然数)=参照ボクセル・ボリュームの大き
さ、(gx,gy,gz)=それぞれ参照ボクセル・ボリ
ュームにおける輝度の重心の座標、(cx,cy,c
z)=幾何学的な中心の座標
【0037】また請求項5に記載の発明は、請求項3に
記載の腫瘍抽出処理方法において、前記特徴量演算工程
に用いられる前記所定の統計量は、前記各ボクセルに対
する輝度分散を含み、当該各ボクセルに対する輝度分散
は、 輝度分散={ΣΣΣ{f(i,j,k)−u}2}/N3 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1であり、
f(i,j,k)はボクセル(i,j,k)における輝
度値を表し、N(自然数)は参照ボクセル・ボリューム
の大きさ、uは輝度平均値で与えられる請求項3に記載
の腫瘍抽出処理方法である。
【0038】請求項5に記載の発明によれば、請求項3
に記載の効果に加えて、輝度の分布が、”腫瘍”の領域
では小さく、”正常組織”と”境界”では大きな値にな
ることを考慮して、前述の特徴量演算工程に用いられる
所定の統計量を、各ボクセルに対する輝度分散を含んで
決定している。
【0039】ここで、各ボクセルに対する輝度分散は、
以下の式で与えられる。
【0040】各ボクセルに対する輝度分散={ΣΣΣ
{f(i,j,k)−u}2}/N3 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1,f
(i,j,k)=ボクセル(i,j,k)における輝度
値、N(自然数)=参照ボクセル・ボリュームの大き
さ、uは輝度平均値
【0041】また請求項6に記載の発明は、請求項1乃
至5のいずれか一項に記載の腫瘍抽出処理方法におい
て、前記メンバシップ関数自動生成工程は、被検者の皮
下脂肪の厚さや周囲乳腺組織の状態に起因して、乳腺超
音波像上における輝度分布を含む統計量に変化がある場
合、前記ファジイ推論に利用する当該メンバシップ関数
を前記ボクセル毎に3次元ガウシアン・ラプラスフィル
タの出力に基づいて自動作成する工程である腫瘍抽出処
理方法である。
【0042】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
乃至5のいずれか一項に記載の効果に加えて、被検者の
皮下脂肪の厚さや周囲乳腺組織の状態に起因して、乳腺
超音波像上における輝度分布を含む統計量に変化がある
場合、前述のメンバシップ関数自動生成工程は、3次元
ガウシアン・ラプラスフィルタの出力に基づいて、ファ
ジイ推論に利用するメンバシップ関数をボクセル毎に自
動作成する。すなわち、1種の2次微分フィルタ、また
はバンドパス・フィルタであり、画像処理では対象の境
界抽出においてよく使われている簡便な3次元ガウシア
ン・ラプラスフィルタを用いる結果、ボクセル・データ
の境界の位置で2次微分がゼロとなり、またはフィルタ
の出力が正負の変化、すなわちゼロ交差(Zero c
rossing)が現れる。これらの出力のゼロ・クロ
ッシング点を連結すると境界となる。従って、3次元ガ
ウシアン・ラプラスフィルタ出力のゼロ・クロッシング
点を結ぶと、それが抽出しようとする対象領域の境界面
となる。そこで、ゼロ・クロッシングによる”境界”抽
出に加えて、出力の正値が輝度の低い”腫瘍”、負値が
輝度の高い”正常組織”となることを利用して、ボクセ
ルを3つのクラスに分類できるようになる。このような
簡便なクラス分類を実行することにより、PC程度の計
算能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時間
(高速)に計算(画像処理)できるようなメンバシップ
関数の自動作成が可能となる。
【0043】また請求項7に記載の発明は、請求項6に
記載の腫瘍抽出処理方法において、前記メンバシップ関
数自動生成工程は、前記メンバシップ関数の作成に用い
るボクセルを、前記3次元ガウシアン・ラプラスフィル
タg(r) g(r)=(R2−3σ2)/{(2π31/2・σ7}・
exp{−r2/2σ2} rは原点からの距離、σはガウシアンの標準偏差で表さ
れる3次元LoGフィルタ出力から求める3次元LoG
フィルタ工程と、前記3次元LoGフィルタ出力のゼロ
・クロッシング点を結んで、抽出しようとする対象領域
の”境界”を抽出する境界抽出工程と、当該3次元Lo
Gフィルタ出力が正値を示すボクセルを輝度の低い”腫
瘍”に分類する腫瘍抽出工程と、当該3次元LoGフィ
ルタ出力が負値を示すボクセルを輝度の高い”正常組
織”に分類する正常組織抽出工程と、前記腫瘍抽出工程
において”腫瘍”と分類されたボクセルに対して、膨張
・収縮処理を行って、正常組織内部に孤立的に存在す
る”腫瘍”に分類されたボクセルや”境界”に分類され
たボクセルを除去し、前記”腫瘍”に分類されたボクセ
ルと他の輝度の低い閉領域が連結するような場合に両者
を分断する膨張・収縮処理工程と、前記膨張・収縮処理
工程の前後で共に”境界”に対して前記クラス分けが行
われたボクセルのみに対して前記特徴量演算工程を実行
して前記輝度平均値、前記輝度の重心と幾何学的な中心
の距離及び前記輝度分散の3つの特徴量を計算するボク
セル選別・特徴量計算工程と、前記ボクセル選別・特徴
量計算工程で求めた3つの特徴量の各々に対して、各々
の確率密度関数に応じた前記メンバシップ関数を求める
メンバシップ関数決定工程とを有する腫瘍抽出処理方法
である。
【0044】請求項7に記載の発明によれば、請求項6
に記載の効果に加えて、3次元LoGフィルタ工程は、
メンバシップ関数の作成に用いるボクセルを、以下の式
で表される3次元LoGフィルタ出力から求める。
【0045】 3次元ガウシアン・ラプラスフィルタg(r)= (R2−3σ2)/{(2π31/2・σ7}・exp{−r2/2σ2} ただし、r=原点からの距離、σ=ガウシアンの標準偏
差 境界抽出工程は、3次元LoGフィルタ工程で求めた3
次元LoGフィルタ出力のゼロ・クロッシング点を結ん
で、抽出しようとする対象領域の”境界”を抽出する。
【0046】腫瘍抽出工程は、3次元LoGフィルタ工
程で求めた3次元LoGフィルタ出力が正値を示すボク
セルを輝度の低い”腫瘍”に分類する。
【0047】正常組織抽出工程は、3次元LoGフィル
タ工程で求めた3次元LoGフィルタ出力が負値を示す
ボクセルを輝度の高い”正常組織”に分類する。
【0048】膨張・収縮処理工程は、腫瘍抽出工程にお
いて”腫瘍”と分類されたボクセルに対して、膨張・収
縮処理を行って、正常組織内部に孤立的に存在する”腫
瘍”に分類されたボクセルや”境界”に分類されたボク
セルを除去し、”腫瘍”に分類されたボクセルと他の輝
度の低い閉領域が連結するような場合に、両者を分断す
る。このような処理を設けることにより、クラス分けさ
れた”腫瘍”ボクセル、”正常組織”ボクセルすべてに
対して3つの特徴量を計算できるようになる。また、膨
張・収縮処理前後で共に”境界”とクラス分けされたボ
クセルのみに対して3つの特徴量を計算することで、”
境界”についての特徴量は他のクラスに比べてボクセル
数が少ない場合であっても、誤った”境界”ボクセルを
できる限り除外できるようになる。
【0049】ボクセル選別・特徴量計算工程は、膨張・
収縮処理工程の前後で共に”境界”に対してクラス分け
が行われたボクセルのみに対して特徴量演算工程を実行
して輝度平均値(第1の特徴量)、輝度の重心と幾何学
的な中心の距離(第2の特徴量)、輝度分散(第3の特
徴量)の3つの特徴量を計算する。
【0050】メンバシップ関数決定工程は、ボクセル選
別・特徴量計算工程で求めた3つの特徴量(第1乃至第
3の特徴量)の各々に対して、各々の確率密度関数に応
じたメンバシップ関数を求める。
【0051】また請求項8に記載の発明は、請求項7に
記載の腫瘍抽出処理方法において、前記メンバシップ関
数決定工程において、前記3つの特徴量の各々に対する
確率密度係数を、PA(x)=x/σ2・exp{(−x
2+σ2)/σ2}・I0(xs/σ2)、ここで、I0(x)
は第1種第0次の変形ベッセル関数、で表現する腫瘍抽
出処理方法である。
【0052】請求項8に記載の発明によれば、請求項7
に記載の効果に加えて、メンバシップ関数決定工程は、
ボクセル選別・特徴量計算工程で求めた3つの特徴量
(第1乃至第3の特徴量)の各々に対して、各々の確率
密度関数に応じたメンバシップ関数を求める場合、3つ
の特徴量(第1乃至第3の特徴量)の各々に対する確率
密度係数を、以下の式で定義している。
【0053】PA(x)=x/σ2・exp{(−x2
σ2)/σ2}・I0(xs/σ2) ここで、I0(x)=第1種第0次の変形ベッセル関数 このようなPA(x)は、Rician関数とよばれて
いる。Rician関数は、s=0のとき、Rayle
igh分布となり、s/σが大きくなるとGaussi
anに近づく。
【0054】超音波の反射源である散乱体が波長に比べ
て小さく、散乱体がランダムに分布している場合ではい
わゆる画像にはスペックル・パターンが現れ、輝度変動
はRayleigh分布となる。一方、波長に比べて大
きな反射源や小さい反射源が混在する場合、Ricia
nはそのピーク位置が原点から徐々に離れ、Rayle
igh分布からGaussianへと近づいていくこと
が示されている。一方、特徴量における輝度平均値につ
いての確率密度関数は、超音波の確率密度関数と近似さ
れるので、比較的輝度の低い”腫瘍”領域ではRayl
eigh分布となり、”境界”や”正常組織”ではサイ
ズの大きな反射源の混在するGaussianとなるこ
とが予想できる。そこで、3つの特徴量(第1乃至第3
の特徴量)の各々に対する確率密度係数としてRici
an関数を用いることにより、輝度平均値のメンバシッ
プ関数については”腫瘍”をRayleigh分布で近
似し、その他の”正常組織”と”境界”をGaussi
anで近似できるようになる。
【0055】また特徴量における輝度の重心と幾何学的
な中心の距離については、”正常組織”及び”腫瘍”領
域では小さく、”境界”領域では大きくなる傾向がある
ので、確率密度係数としてRician関数を用いるこ
とにより、輝度の重心と幾何学的な中心の距離のメンバ
シップ関数はRayleigh分布で近似できるように
なる。
【0056】同様の主旨で、特徴量における輝度分散に
ついては、確率密度係数としてRician関数を用い
ることにより、輝度分散vのメンバシップ関数はRay
leigh分布で近似できるようになる。
【0057】また請求項9に記載の発明は、請求項8に
記載の腫瘍抽出処理方法において、前記メンバシップ関
数決定工程において、前記輝度平均値に対するメンバシ
ップ関数を、”腫瘍”についてはレイリー分布で表現さ
れた確率密度関数で近似すると共に、”正常組織”と”
境界”についてはガウス分布で表現された確率密度関数
で近似する腫瘍抽出処理方法である。
【0058】請求項9に記載の発明によれば、請求項8
に記載の効果に加えて、確率密度係数は、Rician
関数とよばれている。Rician関数は、s=0のと
き、Rayleigh分布となり、s/σが大きくなる
とGaussianに近づく。また超音波の反射源であ
る散乱体が波長に比べて小さく、散乱体がランダムに分
布している場合ではいわゆる画像にはスペックル・パタ
ーンが現れ、輝度変動はRayleigh分布となる。
一方、波長に比べて大きな反射源や小さい反射源が混在
する場合、Ricianはそのピーク位置が原点から徐
々に離れ、Rayleigh分布からGaussian
へと近づいていくことが示されている。一方、特徴量に
おける輝度平均値についての確率密度関数は、超音波の
確率密度関数と近似されるので、比較的輝度の低い”腫
瘍”領域ではRayleigh分布となり、”境界”
や”正常組織”ではサイズの大きな反射源の混在するG
aussianとなることが予想できる。このため、メ
ンバシップ関数決定工程は、ボクセル選別・特徴量計算
工程で求めた3つの特徴量(第1乃至第3の特徴量)の
各々に対して、各々の確率密度関数に応じたメンバシッ
プ関数を求める場合、輝度平均値に対するメンバシップ
関数を、”腫瘍”についてはレイリー分布で表現された
確率密度関数で近似し、”正常組織”と”境界”につい
てはガウス分布で表現された確率密度関数で近似してい
る。すなわち、第1特徴量に対する確率密度係数として
Rician関数を用いることにより、輝度平均値のメ
ンバシップ関数については”腫瘍”をRayleigh
分布で近似し、その他の”正常組織”と”境界”をGa
ussianで近似できるようになる。
【0059】また請求項10に記載の発明は、請求項8
に記載の腫瘍抽出処理方法において、前記メンバシップ
関数決定工程において、前記輝度の重心と幾何学的な中
心の距離に対するメンバシップ関数をレイリー分布で表
現された確率密度関数で近似する腫瘍抽出処理方法であ
る。
【0060】請求項10に記載の発明によれば、請求項
8に記載の効果に加えて、確率密度係数は、Ricia
n関数とよばれている。Rician関数は、s=0の
とき、Rayleigh分布となり、s/σが大きくな
るとGaussianに近づく。また超音波の反射源で
ある散乱体が波長に比べて小さく、散乱体がランダムに
分布している場合ではいわゆる画像にはスペックル・パ
ターンが現れ、輝度変動はRayleigh分布とな
る。一方、波長に比べて大きな反射源や小さい反射源が
混在する場合、Ricianはそのピーク位置が原点か
ら徐々に離れ、Rayleigh分布からGaussi
anへと近づいていくことが示されている。一方、特徴
量における輝度平均値についての確率密度関数は、超音
波の確率密度関数と近似されるので、比較的輝度の低
い”腫瘍”領域ではRayleigh分布となり、”境
界”や”正常組織”ではサイズの大きな反射源の混在す
るGaussianとなることが予想できる。このた
め、メンバシップ関数決定工程は、ボクセル選別・特徴
量計算工程で求めた3つの特徴量(第1乃至第3の特徴
量)の各々に対して、各々の確率密度関数に応じたメン
バシップ関数を求める場合、輝度の重心と幾何学的な中
心の距離に対するメンバシップ関数をレイリー分布で表
現された確率密度関数で近似している。すなわち、特徴
量における輝度の重心と幾何学的な中心の距離について
は、”正常組織”及び”腫瘍”領域では小さく、”境
界”領域では大きくなる傾向があるので、第2特徴量に
対する確率密度係数としてRician関数を用いるこ
とにより、輝度の重心と幾何学的な中心の距離のメンバ
シップ関数はRayleigh分布で近似できるように
なる。
【0061】また請求項11に記載の発明は、請求項8
に記載の腫瘍抽出処理方法において、前記メンバシップ
関数決定工程において、前記輝度分散に対するメンバシ
ップ関数をレイリー分布で表現された確率密度関数で近
似する腫瘍抽出処理方法である。
【0062】請求項11に記載の発明によれば、請求項
8に記載の効果に加えて、確率密度係数は、Ricia
n関数とよばれている。Rician関数は、s=0の
とき、Rayleigh分布となり、s/σが大きくな
るとGaussianに近づく。また超音波の反射源で
ある散乱体が波長に比べて小さく、散乱体がランダムに
分布している場合ではいわゆる画像にはスペックル・パ
ターンが現れ、輝度変動はRayleigh分布とな
る。一方、波長に比べて大きな反射源や小さい反射源が
混在する場合、Ricianはそのピーク位置が原点か
ら徐々に離れ、Rayleigh分布からGaussi
anへと近づいていくことが示されている。一方、特徴
量における輝度平均値についての確率密度関数は、超音
波の確率密度関数と近似されるので、比較的輝度の低
い”腫瘍”領域ではRayleigh分布となり、”境
界”や”正常組織”ではサイズの大きな反射源の混在す
るGaussianとなることが予想できる。このた
め、メンバシップ関数決定工程は、ボクセル選別・特徴
量計算工程で求めた3つの特徴量(第1乃至第3の特徴
量)の各々に対して、各々の確率密度関数に応じたメン
バシップ関数を求める場合、輝度分散に対するメンバシ
ップ関数を、レイリー分布で表現された確率密度関数で
近似している。すなわち、第3特徴量に対する確率密度
係数としてRician関数を用いることにより、特徴
量における輝度分散については、輝度分散vのメンバシ
ップ関数はRayleigh分布で近似できるようにな
る。
【0063】また請求項12に記載の発明は、請求項1
1に記載の腫瘍抽出処理方法において、前記ファジイ推
論工程は、前記メンバシップ関数決定工程において生成
した前記輝度平均値に対するメンバシップ関数、前記輝
度の重心と幾何学的な中心の距離に対するメンバシップ
関数及び前記輝度分散に対するメンバシップ関数と前記
ファジイ・ルールを含んで構成される前記ファジイ推論
過程に基づいて、前記各ボクセルを、”腫瘍”のクラス
に属するグレード,”正常組織”のクラスに属するグレ
ード、”境界”のクラスに属するグレードの3つのグレ
ードを用いて前記クラス分けを実行する工程を含み、当
該ファジイ・ルールは、前記輝度平均値をu、前記輝度
の重心と幾何学的な中心の距離をd、前記輝度分散をv
としたとき、if then else条件文形式で表
されたルール; R1: if (u is small) and
(d is medium) and (v is s
mall)then the voxel is ”t
umor”, R2: if (u is large) and
(d is medium) and (v is l
arge)then the voxel is ”n
ormal tissue”, R3: if (u is medium) and
(d is large) and (v is me
dium)then the voxel is ”b
oundary” で表現される腫瘍抽出処理方法である。
【0064】請求項12に記載の発明によれば、請求項
11に記載の効果に加えて、ファジイ推論工程は、メン
バシップ関数決定工程において生成した3つのメンバシ
ップ関数とファジイ・ルールを含んで構成されるファジ
イ推論過程に基づいて、各ボクセルを、”腫瘍”のクラ
スに属するグレード,”正常組織”のクラスに属するグ
レード、”境界”のクラスに属するグレードの3つのグ
レードを用いてクラス分けを実行する工程を含んでい
る。
【0065】ここで用いるファジイ・ルールは、輝度平
均値をu、輝度の重心と幾何学的な中心の距離をd、輝
度分散をvとしたとき、if then else条件
文形式で表された以下のルールとして定義されている。
【0066】R1: if (u is small)
and (d is medium) and (v
is small)then the voxel
is ”tumor”, R2: if (u is large) and
(d is medium) and (v is l
arge)then the voxel is ”n
ormal tissue”, R3: if (u is medium) and
(d is large) and (v is me
dium)then the voxel is ”b
oundary” また、ファジイ推論工程で用いられるメンバシップ関数
は、メンバシップ関数決定工程において生成した輝度平
均値に対するメンバシップ関数、輝度の重心と幾何学的
な中心の距離に対するメンバシップ関数、輝度分散に対
するメンバシップ関数の3つを少なくとも含んでいる。
【0067】また請求項13に記載の発明は、請求項1
1に記載の腫瘍抽出処理方法において、前記ファジイ推
論工程は、前記輝度平均値をu、前記輝度の重心と幾何
学的な中心の距離をd、前記輝度分散をvとしたとき、
前記メンバシップ関数決定工程において生成した前記輝
度平均値に対するメンバシップ関数、前記輝度の重心と
幾何学的な中心の距離に対するメンバシップ関数及び前
記輝度分散に対するメンバシップ関数に基づいて前記各
ボクセルにおける前記特徴量の各々に対する3つのクラ
スに属するグレードμt|u,μt|d,μt|v,μn
u,μn|d,μn|v,μb|u,μb|d,μb|vの
各々を求める第1論理工程と、当該グレードμt|u,
μt|d,μt|v,μn|u,μn|d,μn|v,μb
u,μb|d,μb|vの各々の値に基づいて、前記ファ
ジイ推論の機構に入力して前記各ボクセルの”腫瘍”ら
しさを規定するアナログ値μt,”正常組織”らしさを
規定するアナログ値μnまたは”境界”らしさを規定す
るアナログ値μbを求める第2論理工程とを含み、当該
ファジイ推論機構は、 R1:μt=min(μt|u,μt|d,μt|v), R2:μn=min(μn|u,μn|d,μn|v), R3:μb=min(μb|u,μb|d,μb|v) ただし、min(a1,a2,a3)はa1,a2,a3の中
から最小値を選択する演算で表現される腫瘍抽出処理方
法である。
【0068】請求項13に記載の発明によれば、請求項
11に記載の効果に加えて、第1論理工程は、メンバシ
ップ関数決定工程で求めたメンバシップ関数に基づいて
各ボクセルにおける特徴量の各々に対応する3つのクラ
スに属するグレードμt|u,μt|d,μt|v,μn
u,μn|d,μn|v,μb|u,μb|d,μb|vの
各々を求める(輝度平均値=u、輝度の重心と幾何学的
な中心の距離=d、輝度分散=v)。
【0069】ここで、グレードμt|u,μt|d,μt
|v,μn|u,μn|d,μn|v,μb|u,μb
d,μb|vの各々は、メンバシップ関数決定工程にお
いて生成した輝度平均値に対するメンバシップ関数、輝
度の重心と幾何学的な中心の距離に対するメンバシップ
関数及び輝度分散に対するメンバシップ関数に基づいて
求められる。
【0070】第2論理工程は、グレードμt|u,μt
d,μt|v,μn|u,μn|d,μn|v,μb|u,
μb|d,μb|vの各々の値に基づいて、ファジイ推論
の機構に入力して各ボクセルの”腫瘍”らしさを規定す
るアナログ値μt,”正常組織”らしさを規定するアナ
ログ値μn、または”境界”らしさを規定するアナログ
値μbを求める。
【0071】ここで、第2論理工程で用いられるファジ
イ推論機構を、次式で定義している。
【0072】 R1:μt=min(μt|u,μt|d,μt|v), R2:μn=min(μn|u,μn|d,μn|v), R3:μb=min(μb|u,μb|d,μb|v) (ただし、min(a1,a2,a3)=a1,a2,a3
中から最小値を選択する演算)。
【0073】これにより、前述のif then el
se条件文形式で表されたルールにおける”if〜th
en”の条件文中の”and”論理演算は「ある事実の
起こりうる確率が、それぞれの条件のうちの最小の確率
となる」ことを意味する条件式をファジイ論理式で表現
できるようになる。
【0074】また請求項14に記載の発明は、請求項1
2または13に記載の腫瘍抽出処理方法において、前記
デファジイ工程における、前記弛緩法(Relaxat
ion Method)に基づいた前記非ファジイ化過
程を前記各ボクセルに対して行う工程は、前記前記各ボ
クセルにおける前記特徴量の各々に対する3つのクラス
に属するグレードの画像{μt,μn,μb}から弛緩法
に基づく前記非ファジイ化過程処理を行って全ボクセル
・データを3つの領域に前記クラス分けを実行する際
に、(1)注目するボクセルが”腫瘍”であれば、”正
常組織”に分類されたボクセルとは接しない、(2)注
目するボクセルが”境界”であれば、必ず”腫瘍”と”
正常組織”のボクセルに接する、(3)注目するボクセ
ルが”正常組織”であれば、”腫瘍”に分類されたボク
セルとは接しないといった規則に基づいて、”腫瘍”と
接する”正常組織”を”境界”と定義する工程を含む腫
瘍抽出処理方法である。
【0075】請求項14に記載の発明によれば、請求項
12または13に記載の効果に加えて、前述のデファジ
イ工程における、弛緩法に基づいた非ファジイ化過程を
各ボクセルに対して行う工程は、各ボクセルにおける特
徴量(輝度平均値、輝度の重心と幾何学的な中心の距
離、輝度分散)の各々に対する3つのクラスに属するグ
レードの画像{μt,μn,μb}から弛緩法に基づく非
ファジイ化過程処理を行って全ボクセル・データを3つ
の領域にクラス分けを実行する際に、以下の規則に基づ
いて、”腫瘍”と接する”正常組織”を”境界”と定義
する。
【0076】規則(1)注目するボクセルが”腫瘍”で
あれば、”正常組織”に分類されたボクセルとは接しな
いと定義する。
【0077】規則(2)注目するボクセルが”境界”で
あれば、必ず”腫瘍”と”正常組織”のボクセルに接す
ると定義する。
【0078】規則(3)注目するボクセルが”正常組
織”であれば、”腫瘍”に分類されたボクセルとは接し
ないこれにより、3つの属性に関するグレードの画像
{μt,μn,μb}から弛緩法に基づくデファジイ(非
ファジイ化過程)処理によって全ボクセル・データを3
つの領域にクラス分けできるようになる。
【0079】また請求項15に記載の発明は、請求項1
2乃至14のいずれか一項に記載の腫瘍抽出処理方法に
おいて、前記デファジイ工程における、前記”腫
瘍”,”正常組織”または”境界”のいずれかに分類し
て腫瘍領域の最終決定を行う工程は、すべてのボクセル
を、”腫瘍”のグレードを示す画像μt、”正常組織”
のグレードを示す画像μn、または”境界”のグレード
を示す画像μbの中で最大値をとるクラスに基づいてラ
ベル付けするラベル付け工程と、前工程に続いて、注目
ボクセルに連結する3×3×3の領域内における”腫
瘍”の領域のラベルの数N t、”正常組織”の領域のラ
ベルの数Nn、及び”境界”の領域のラベルの数Nbをそ
れぞれに計算するラベル数計算工程と、当該ラベルの数
(Nt,Nn,Nb)の各々を局所的な制約ルールに入力
する処理を並列的に反復する並列反復工程とを含む腫瘍
抽出処理方法である。
【0080】請求項15に記載の発明によれば、請求項
12乃至14のいずれか一項に記載の効果に加えて、”
腫瘍”,”正常組織”または”境界”のいずれかに分類
して腫瘍領域の最終決定を行う工程として、ラベル付け
工程、ラベル数計算工程、並列反復工程が前述のデファ
ジイ工程において実行される。
【0081】ここでラベル付け工程は、”腫瘍”のグレ
ードを示す画像μt、”正常組織”のグレードを示す画
像μn、または”境界”のグレードを示す画像μbの中で
最大値をとるクラスに基づいて、すべてのボクセルに対
するラベル付けを行う工程である。
【0082】またラベル数計算工程は、前述のラベル付
け工程に続いて、注目しているボクセル(注目ボクセ
ル)に連結する(連続して連なる)3×3×3(ボクセ
ル)の領域(3次元領域)内に存在する”腫瘍”の領域
のラベルの数Nt、”正常組織”の領域のラベルの数
n、及び”境界”の領域のラベルの数Nbをそれぞれ計
算する工程である。
【0083】また並列反復工程は、ラベル数計算工程で
算出したラベルの数(Nt,Nn,N b)の各々を局所的
な制約ルールに入力する処理を、3次元画像を構成する
ボクセルに対して並列的に反復する工程である。
【0084】これにより、すべてのボクセルは、”腫
瘍”、”正常組織”及び”境界”のグレードを示す3つ
の画像{μt,μn,μb}の中で最大値をとるクラスに
よってラベル付けされる。次に、注目ボクセルに連結す
る3×3×3の領域内における”腫瘍”、”正常組織”
及び”境界”の3つの領域のラベルの数{Nt,Nn,N
b}をそれぞれに計算し、局所的な制約ルールに入力す
る。更に、局所的な制約条件によって生じる矛盾が生じ
た場合は、条件を満たすようにμt,μn,μbの値を徐
々に更新していく。この処理を並列的に反復することに
よって、最終的にボクセルを”腫瘍”、”正常組織”、
または”境界”に分類する。
【0085】また請求項16に記載の発明は、請求項1
5に記載の腫瘍抽出処理方法において、前記局所的な制
約ルールは、if then else条件文形式で表
されたルール; R1:if Nt>1 and Nb≧2 and Nn=1 then μt↓,μn↓,μb↑, R2:else if Nn>0 and Nb≧1 and Nt=1 then μt↑,μn↓,μb↓, R3:else if Nt=0 and Nb≧1 and Nn≧1 then μt↓,μn↑,μb↓, R4:else if Nt>Nn+12 then μt↑,μn↓,μb↓, R5:else if Nn>Nt+12 then μt↓,μn↑,μb↓, R6:else then μt↓,μn↓,μb↑, ただし、記号↑はその値にある定数Cを加えること、記
号↓はその値から定数Cを減することを意味しているで
表現される腫瘍抽出処理方法である。
【0086】請求項16に記載の発明によれば、請求項
15に記載の効果に加えて、並列反復工程で用いられる
局所的な制約ルールを、if then else条件
文形式で表された以下のルールで規定している。
【0087】 R1:if Nt>1 and Nb≧2 and Nn=1 then μt↓,μn↓,μb↑, R2:else if Nn>0 and Nb≧1 and Nt=1 then μt↑,μn↓,μb↓, R3:else if Nt=0 and Nb≧1 and Nn≧1 then μt↓,μn↑,μb↓, R4:else if Nt>Nn+12 then μt↑,μn↓,μb↓, R5:else if Nn>Nt+12 then μt↓,μn↑,μb↓, R6:else then μt↓,μn↓,μb↑, (ただし、A↑はAの値にある定数Cを加えること(A
+C)を意味する演算子、A↓はAの値から定数Cを減
すること(A−C)を意味する演算子) 具体的には、各ボクセルについてR1〜R6は順番に処
理され、どれかが成立した場合には後のルールは無視さ
れる。また、このデファジイ処理は並列的に繰り返し行
われ、全ボクセル・データに対するμt,μn,μbの変
化量の合計がある閾値以下となったときに終了する。こ
の時点で、各ボクセルに対してμt,μn,μbの中で最
大の値をとる要素がそのボクセルの属性として決定され
る結果、最終的に各ボクセルに”腫瘍”、”正常組
織”、または”境界”のいずれかの要素を割り当てるこ
とになる。また、周囲ボクセルの持つ”腫瘍”、”正常
組織”及び”境界”のいずれかの要素を割り当ててい
る。従って、例えば、あるボクセルの”境界”に属する
グレードμbが初めは大きかったとしても、周囲に”腫
瘍”(あるいは”正常組織”)に属するグレードの大き
いボクセルだけが存在する場合、そのボクセルの”腫
瘍”(あるいは”正常組織”)であるグレードμt(あ
るいはμn)は反復処理によって大きく、”境界”と”
正常組織”(あるいは”腫瘍”)に属するグレードμb
とμn(あるいはμt)はより小さく変更されていく(R
3,R5参照)。逆に、あるボクセルの”境界”らしさ
のグレードμbが初めは小さかったとしても周囲に2つ
以上の”境界”、1つ以上の”腫瘍”と”正常組織”ら
しさのグレードの大きいボクセルがあれば、そのボクセ
ルの”境界”らしさのグレードはより大きな値に、”腫
瘍”と”正常組織”らしさのグレードはより小さな値に
更新されていく(R1参照)。
【0088】また請求項17に記載の発明は、請求項1
5または16に記載の腫瘍抽出処理方法において、前記
ラベル付け工程は、前記局所的な制約条件によって生じ
る矛盾が生じた場合、”腫瘍”のグレードを示す画
像、”正常組織”のグレードを示す画像、または”境
界”のグレードを示す画像の値を条件を満たすように徐
々に更新する更新工程を含む腫瘍抽出処理方法である。
【0089】請求項17に記載の発明によれば、請求項
15または16に記載の効果に加えて、更新工程が前述
のラベル付け工程において実行される。
【0090】ここで更新工程は、並列反復工程実行時に
用いられる局所的な制約条件によって矛盾が生じた場
合、”腫瘍”のグレードを指示する画像、”正常組織”
のグレードを指示する画像、または”境界”のグレード
を指示する画像の値を、条件を満たすように徐々に更新
する工程である。
【0091】本発明におけるメンバシップ関数は、乳腺
超音波像のボクセル・データに対する3次元LoGフィ
ルタの出力、すなわち正・負値及びゼロ・クロッシング
の3つの領域について、本発明で用いた各特徴量、そし
て輝度の重心のずれのそれぞれのヒストグラムをRay
leigh分布とGaussianで近似することによ
って自動生成されている。そして、作成されたメンバシ
ップ関数とファジイ・ルールからなるファジイ推論機構
を用いて、ボクセル・データに関する3つのクラスに属
するグレードを表す画像を求め、そこから弛緩法の考え
方を利用したデファジイ処理によって腫瘍の領域を徐々
に修正しながら最終的に確定する。
【0092】ここで、すべてのボクセルは、”腫
瘍”、”正常組織”及び”境界”のグレードを示す3つ
の画像{μt,μn,μb}の中で最大値をとるクラスに
よってラベル付けされる。次に、注目ボクセルに連結す
る3×3×3の領域内における”腫瘍”、”正常組織”
及び”境界”の3つの領域のラベルの数{Nt,Nn,N
b}をそれぞれに計算し、局所的な制約ルールに入力す
る。更に、局所的な制約条件によって生じる矛盾が生じ
た場合は、条件を満たすようにμt,μn,μbの値を徐
々に更新していく。この処理を並列的に反復することに
よって、最終的にボクセルを”腫瘍”、”正常組織”、
または”境界”に分類する。
【0093】
【発明の実施の形態】初めに、図面に基づき、本発明の
腫瘍抽出処理方法を実行する乳癌検診システムの前処理
である3次元画像取得過程、及びこれを実行する装置
(PC10)の一実施形態を説明する。図1は、PC1
0の基本構成を示すブロック図ある。
【0094】以下の実施形態では、3次元位置センサ
(交流磁界位置センサ131)を取り付けたプローブ1
2(超音波式プローブ121)を用いて取得された超音
波エコー(=探針データ12a)から乳腺301(被測
定物体30)を抽出して、その3次元的な表面形状から
腫瘍の良性、悪性の識別を行う乳癌診断を行う超音波画
像を用いた乳癌検診システムにおける立体超音波画像を
生成するシステムに最適なPC10及び3次元画像取得
処理について説明を行うことにする。
【0095】乳癌検診システムは、PC10から受け取
った乳腺腫瘍の3次元領域(3次元イメージ)の形状に
おける幾何学的な凹凸を評価することによって乳癌の判
別診断を行うものである。このような乳腺腫瘍の抽出を
行う乳癌検診システムに必要とされる3次元処理では、
腫瘍部位に関するボクセル・データ16aが不可欠であ
る。
【0096】PC10は、乳腺腫瘍の3次元領域(3次
元イメージ)をプログラム(後述する3次元画像取得処
理のプログラムコードを含む)によって自動抽出し、そ
して腫瘍表面を3次元表示(立体イメージとして表示)
して乳癌の判別診断(乳癌検診システム)を支援する3
次元超音波画像データ収集システムである。
【0097】図1に示すPC10は、超音波式プローブ
121、交流磁界位置センサ131、PC10を中心と
するハードウェア構成となっている。
【0098】超音波式プローブ121は、被測定物体3
0の表面をスキャニングしながら被測定物体30を探針
して内部構造や表面構造に関する探針データ12aを生
成する。
【0099】本実施形態では、乳腺301の表面を超音
波を用いてスキャニングしながら乳腺301からの超音
波エコーに基づくを探針を行って取得された内部構造や
表面構造に関する超音波断層画像データ121aを生成
する超音波式プローブ121を超音波式プローブ121
として用いている。
【0100】交流磁界位置センサ131は、超音波式プ
ローブ121に取り付けられた状態で、スキャニング中
の超音波式プローブ121の空間的な位置や姿勢を測定
して超音波式プローブ121の座標データを被測定物体
30の探針動作に同期させて生成する。
【0101】交流磁界位置センサ131は、自己の空間
的な位置や姿勢に関する3次元座標(x0,y0,z0
及び自己の傾斜方向を角度(方位角ψ、仰角θ、横転角
Ф)で表した位置データ(x0,y0,z0,ψ,θ,
Ф)を実時間で測定してプローブ座標データ13aとし
て出力する位置センサである。
【0102】交流磁界位置センサ131は、超音波式プ
ローブ121に取り付けられた状態で、乳腺301の表
面のスキャニング中の超音波式プローブ121の空間的
な位置や姿勢を測定して超音波式プローブ121の座標
データ(x0,y0,z0)を乳腺301の探針動作に同
期させて生成する。
【0103】これにより、PC10が、超音波断層画像
データ121aの収集を行う際に、超音波断層画像デー
タ121aの収集と同期してプローブ座標データ13a
を収集し、超音波断層画像データ121a及び超音波断
層画像データ121aと同期したプローブ座標データ1
3aを用いて、3次元超音波画像データ15bを生成
し、3次元超音波画像データ15bに線形画像補間を行
って、等方的なボクセル・データ16aに変換するた
め、同一のボクセルについて2つ以上の異なる値が対応
する場合はこれらの平均値をもってボクセルのボクセル
・データ16aとすることができる。
【0104】すなわち、超音波式プローブ121の位置
や姿勢を実時間でトラッキングする必要がある従来のマ
ニュアル走査やメカニカル走査作業に代えて、超音波断
層画像(超音波断層画像データ121a)と同時に超音
波式プローブ121の位置データ(プローブ座標データ
13a=位置データ(x0,y0,z0,ψ,θ,Ф))
を超音波式プローブ121の位置の補正データとして用
いることで、超音波式プローブ121に取り付けた交流
磁界による交流磁界位置センサ131によって取得され
た超音波断層画像(超音波断層画像データ121a)
を、従来のマニュアル走査と同様にアーチファクトの少
なくかつ再現性の高い3次元のボクセル・データ16a
に変換することができる。その結果、メカニカルに超音
波式プローブ121で乳腺301を走査すると、組織を
圧迫して再現性の高い腫瘍の形状が得られない恐れがあ
る非常に柔軟でデリケートな組織である乳腺301のよ
うな被測定物体30に対しても高精度の超音波断層画像
データ121aを生成できるようになる。
【0105】また、同一のボクセルについて2つ以上の
異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもってボク
セルのボクセル・データ16aとすることにより、取得
した超音波断層画像(探針データ12a)を3次元座標
変換した後に、線形補間された等方的なボクセルの画像
データ(ボクセル・データ16a)が生成できるように
なる。
【0106】PC10は、探針データ12aの収集を行
う際に、探針データ12aの収集と同期してプローブ座
標データ13aを収集する。
【0107】またPC10は、探針データ12a及び探
針データ12aと同期したプローブ座標データ13aを
用いて、3次元画像データ15aを生成する。
【0108】またPC10は、3次元画像データ15a
に線形画像補間を行って、等方的なボクセル・データ1
6aに変換するため、同一のボクセルについて2つ以上
の異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもってボ
クセルのボクセル・データ16aとする。
【0109】PC10は、探針データ12aと同期した
プローブ座標データ13aとして、交流磁界位置センサ
131の超音波式プローブ121に相対する方位角ψ、
仰角θ及び横転角Фに基づく変換行列T[aij],
(i,j=1,2,3)を用い、探針データ12aの座
標(x,y,0)に対して変換行列T[aij]を掛け合
わせて3次元画像データ15aの座標(x’,y’,
z’)を生成する。
【0110】すなわち、超音波式プローブ121には交
流磁界位置センサ131が取り付けられており、この交
流磁界位置センサ131は、自己(すなわち、交流磁界
位置センサ131)の空間的な位置データ(位置や姿勢
に関する3次元座標のデータ13a=位置データ
(x0,y0,z0,ψ,θ,Ф))を実時間で測定して
プローブ座標データ13aとして出力する。このためP
C10は、探針データ12a(超音波断層画像データ1
21a)の収集と同期したプローブ座標データ13aの
収集ができる。これに応じてPC10が、探針データ1
2a(超音波断層画像データ121a)及び探針データ
12a(超音波断層画像データ121a)と同期したプ
ローブ座標データ13aを用いて3次元画像データ15
aを生成するために、探針データ12a(超音波断層画
像データ121a)の座標(x,y,0)に対して、変
換行列T[aij]を掛け合わせて3次元画像データ15
aの座標(x’,y’,z’)を生成する。すなわち、
超音波式プローブ121の位置(x0,y0,z0)や姿
勢(ψ,θ,Ф)を実時間でトラッキングする必要があ
る従来のマニュアル走査やメカニカル走査作業に代え
て、超音波断層画像データ121aの座標(x,y,
0)と同時に超音波式プローブ121のプローブ座標デ
ータ13aとしての変換行列T[aij]を超音波式プロ
ーブ121の位置の補正データとして用いることで、超
音波式プローブ121に取り付けた交流磁界による交流
磁界位置センサ131によって取得された超音波断層画
像データ121aの座標(x,y,0)を、従来のマニ
ュアル走査と同様にアーチファクトの少なくかつ再現性
の高い3次元のボクセル・データ16aの座標(x’,
y’,z’)に変換することができる。その結果、メカ
ニカルに超音波式プローブ121で乳腺301を走査す
ると、組織を圧迫して再現性の高い腫瘍の形状が得られ
ない恐れがある非常に柔軟でデリケートな組織である乳
腺301のような被測定物体30に対しても高精度の超
音波断層画像データ121aの座標(x,y,0)を生
成できるようになる。
【0111】また、同一のボクセルについて2つ以上の
異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもってボク
セルのボクセル・データ16aの座標(x’,y’,
z’)とすることにより、取得した超音波断層画像(探
針データ12a)を3次元座標変換した後に、線形補間
された等方的なボクセルの画像データの座標(x’,
y’,z’)が生成できるようになる。
【0112】ここで、前述の変換行列T[aij]におけ
る各々の行列要素aijは、 a11=cos(ψ)・cos(θ), a12=cos(ψ)・sin(θ)・sin(Ф)−sin(ψ)・cos( Ф), a13=cos(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)+sin(ψ)・sin( Ф), a21=sin(ψ)・cos(θ), a22=cos(ψ)・cos(Ф)+sin(ψ)・sin(θ)・sin( Ф), a23=sin(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)−cos(ψ)・sin( Ф), a31=−sin(θ), a32=cos(θ)・sin(Ф), a33=cos(θ)・cos(Ф) ……式(1−1)〜式(1−9) で定義されている。
【0113】すなわち、超音波式プローブ121の位置
や姿勢を実時間でトラッキングする必要がある従来のマ
ニュアル走査やメカニカル走査作業に代えて、簡単な一
次線形関数で表現された変換行列T[aij]を超音波式
プローブ121の位置の補正データとして用いること
で、超音波式プローブ121に取り付けた交流磁界によ
る交流磁界位置センサ131によって取得された超音波
断層画像データ121aの座標(x,y,0)を、それ
ほど高い計算能力を持ち合わせていないパーソナルコン
ピュータ(PC10)のような小規模のハードウェアを
用いても、従来のマニュアル走査と同様にアーチファク
トの少なくかつ再現性の高い3次元のボクセル・データ
16aの座標(x’,y’,z’)に変換することがで
きる。その結果、メカニカルに超音波式プローブ121
で乳腺301を走査すると、組織を圧迫して再現性の高
い腫瘍の形状が得られない恐れがある非常に柔軟でデリ
ケートな組織である乳腺301のような被測定物体30
に対しても高精度の超音波断層画像データ121aの座
標(x,y,0)を小規模のハードウェアでも高速・低
コストで生成できるようになる。
【0114】更に具体的に、図1のPC10のハードウ
ェア基本構成を説明する。
【0115】本実施形態では、超音波式プローブ121
に交流磁界位置センサ131を取り付けて、超音波式プ
ローブ121をトラッキングしながら、超音波診断装置
20からのビデオ信号をA/D変換した後、PCI B
us(PeripheralComponent In
terconnect bus)を経由して、同時にそ
のときの超音波式プローブ121の3次元位置(x0
0,z0)と向きのデータ(方位角ψ、仰角θ、横転角
Ф)を、RS232Cを経由して出力し、PC10のメ
モリに直接に転送するようなシステムを構築した。
【0116】ここで、小型(外形寸法=約2.8×2.
2×1.5cm3)・軽量(17.0Kg)の交流磁界
位置センサ131を超音波式プローブ121に取り付け
ることにより、熟練した検者が日常診断のときと同じよ
うに乳房表面をマニュアル走査で走査することができ
る。また、超音波画像(探針データ12a=超音波断層
画像データ121a)がPCIバスを経由して直接にP
C10でアクセスできるメモリ(不図示)に転送される
ため、画像データ(超音波断層画像データ121a)の
収集の高速化を図ることができる。
【0117】以下に、PC10のシステムの具体的な構
成を説明する。
【0118】超音波診断装置20としては、例えば、ア
ロカ(Aloka)社製のSSD−2000を流用する
ことができる。超音波式プローブ121は、周波数7.
5MHzの凹型電子走査方式を用いている。また超音波
式プローブ121には、交流磁界位置センサ131(例
えば、Polhemus社製 Fastrak tra
cking system)が取り付けてあり、プロー
ブの位置と向き(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф)をトラ
ッキングしながら検者が任意に幹部の超音波断層画像
(探針データ12a)を取得できるようになっている。
【0119】すなわち、交流磁界位置センサ131で超
音波式プローブ121の位置(x0,y0,z0)及び角
度(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф)を計測しながら、超
音波診断装置20で観測している超音波断層画像(探針
データ)データをPC10(DEC社製Pentium
166MHz、RAM 192MB)のメモリ(不図
示)に直接取り込む。
【0120】本実施形態では、画像の取り込みを、PC
I Bus Frame Grabber(Data
Translation社製、DT3155)を用い
て、転送速度15フレーム/秒で実行している。
【0121】これによりPC10では、超音波式プロー
ブ121の位置(x0,y0,z0)と姿勢(方位角ψ、
仰角θ、横転角Ф)をトラッキングしながら検者が任意
に患部の断層画像を取得できるようになっている。
【0122】前述のFastrack トラッキング・
システムは、隔地にある物体の位置と向きとを交流磁界
を利用して計測するために用いられるものである。Fa
strack トラッキング・システムは、まずトラン
スミッタ(Transmitter)に設置される3つ
の定置コイルから磁界を発生させ、これらの磁界を3つ
のリモート・センシング用の受信コイルからなるセンサ
によって受信し、所定の計算アルゴリズムによりセンサ
のトランスミッタに相対する3次元的な位置(x0
0,z0)と姿勢(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф)を算
出する。
【0123】従って、超音波式プローブ121に取り付
けた交流磁界位置センサ131は、超音波式プローブ1
21のカレント位置(スキャニング位置)の3次元座標
(x 0,y0,z0)及びその向きを角度(方位角ψ、仰
角θ、横転角Ф)で表した位置データ(x,y,z,
ψ,θ,φ)を実時間で測定して、RS232Cを用い
てPC10に出力することができる。
【0124】ここで、計測される座標は、交流磁界のト
ランスミッタ(不図示)を配置する向きによって決ま
る。超音波式プローブ121におけるトランスミッタの
参照座標系は、天地方向をZ方向、患部から検者に向か
う方向をX方向としている。
【0125】なお、超音波式プローブ121のトランス
ミッタは、患部のほぼ直下に配置されていることが望ま
しい。Fastrackトラッキング・システムの3次
元空間座標系については、図2を参照されたい。
【0126】交流磁界位置センサ131で超音波式プロ
ーブ121位置及び向きの角度を計測しながら、超音波
診断装置20で観測している断層画像データをPC10
(DEC社製Pentium 166MHz、192M
B)のメモリに直接取り込む。画像の取り込みはPCI
Bus Frame Grabber(DataTr
anslation社製 DT3155)を用いて、超
音波式プローブ121の位置(x0,y0,z0)と向き
のデータ(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф)とともに実測
転送速度15フレーム/秒を実現した。
【0127】次に、ボクセル・データ16aの作成プロ
セスを説明する。
【0128】図3は、図1のPCで実行される3次元画
像取得処理の一実施形態を説明するフローチャートであ
る。
【0129】ボクセル・データ16aの作成プロセス
は、探針工程(ステップS1)、3次元位置探知工程
(ステップS2)、3次元座標変換工程(ステップS
3)、3次元ボクセル・データ発生工程(ステップS
4)で構成されている。
【0130】本PC10において、乳腺腫瘍の領域の抽
出は3次元的な処理によって行われるため、腫瘍部位に
関する等法的なボクセル・データ16aの画像データが
必要とされる。そのため、まず取得した断層画像群に対
して3次元座標変換を行い、そして線形補間によってボ
クセル・データ16aに変換する。
【0131】今、交流磁界位置センサ131のトランス
ミッタ(超音波式プローブ121)に相対する位置(X
軸方向、Y軸方向並びにZ軸方向)、交流磁界を利用し
た交流磁界位置センサ131のトランスミッタ(前記プ
ローブ)に相対する向き(方位角(Azimuth)
ψ、仰角(Elevation)θ、横転角(Rol
l)Ф)とする。(ステップS1、ステップS2)取得
された超音波断層画像(超音波断層画像データ121a
(探針データ12a))の座標(x,y,0)を行列
P、3次元変換後の座標(x’,y’,z’)を行列
Q、超音波式プローブ121のカレント座標位置と向き
を示すプローブ座標データ13aの座標(x0,y0,
z0,ψ,θ,Ф)における(x0,y0,z0)を行列
Rとしたとき、変換行列T[aij]を用いた行列演算
(行列の積演算)を行って、取得された超音波断層画像
(超音波断層画像データ121a(探針データ12
a))の座標(x,y,0)から3次元変換後の座標
(x’,y’,z’)を求めている(ステップS3)。
【0132】すなわち、 Qt=TPt+Rt で与えられる。ここで、行列Qt,Pt,Rtの各々は、
行列Q,P,Rの各々に対する転置行列を意味してい
る。
【0133】ここで、変換行列T[aij]は、 a11=cos(ψ)・cos(θ), a12=cos(ψ)・sin(θ)・sin(Ф)−sin(ψ)・cos( Ф), a13=cos(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)+sin(ψ)・sin( Ф), a21=sin(ψ)・cos(θ), a22=cos(ψ)・cos(Ф)+sin(ψ)・sin(θ)・sin( Ф), a23=sin(ψ)・sin(θ)・cos(Ф)−cos(ψ)・sin( Ф), a31=−sin(θ), a32=cos(θ)・sin(Ф), a33=cos(θ)・cos(Ф) ……式(1−10)〜式(1−18) で与えられる。このようにして取得された超音波画像に
ついて、超音波式プローブ121の位置(x0,y0,z
0)と向きのデータ(方位角ψ、仰角θ、横転角Ф)を
利用した3次元座標変換を行うことによって、ボクセル
・データ16aを取得している(ステップS4)。
【0134】ところで、超音波式プローブ121の走査
方法によっては、取得されたボクセル・データ16aの
中にその輝度値が与えられていないボクセル・データ1
6aが存在したり、また同一のボクセル・データ16a
について2つ以上の異なる輝度値が対応する場合があ
る。
【0135】そこで本実施形態では、特に、輝度値が与
えられていないボクセル・データ16aが存在した場
合、画像の輝度補間(Image Brightnes
s Interpolation)を用いてそのボクセ
ル・データ16aの輝度値を求めることにしている。
【0136】また同一のボクセル・データ16aについ
て2つ以上の異なる輝度値が対応する場合には、これら
の輝度値の平均輝度値をもって、そのボクセル・データ
16aを代表する輝度値としている。
【0137】次に、画像補間の一実施形態を説明する。
【0138】本実施形態では、線形補間法(線形内挿法
LIの一形態)を3次元空間処理に拡張してボクセル・
データ16aの補間を行っている。
【0139】すなわち、本PC10においては、等方的
なボクセル・データ16aの画像データが必要となるた
め、取得した超音波断層画像(探針データ)を3次元座
標変換後に線形補間によってボクセル・データ16aに
変換している。
【0140】具体的には、まず、内挿したいボクセル・
データ16aを中心に、X軸方向、Y軸方向並びにZ軸
方向の3つの方向において、それぞれ最近傍とする輝度
値をもつ6つのボクセル・データ16aを求めて線形補
間処理を行っている。この線形補間処理は、処理速度が
高速であるとともに、腫瘍画像のグレイ・スケールの滑
らか性が保てるといった利点がある。
【0141】図4に、ボクセル・データ16aの作成プ
ロセスの作成結果の1例を示す。同図(a)は乳腺腫瘍
の超音波断層画像である。同図(b)は本作成プロセス
によって構築されたボクセル・データ16a中のZX平
面に沿った1断面を示している。ここで、断面の中央に
見られる輝度値の低い領域が腫瘍の領域である。またそ
の周囲には脂肪層や正常な乳腺組織が示される。
【0142】以上説明したように、乳癌検診システムの
前処理である3次元画像取得過程によれば、超音波式プ
ローブ121には3次元位置センサ13が取り付けられ
ているので、スキャニング中の超音波式プローブ121
の空間的な位置や姿勢を測定すれば、被測定物体30の
探針動作に同期させたプローブ座標データ13aを生成
できる。また、超音波式プローブ121を用いて被測定
物体30の表面をスキャニングしながら被測定物体30
を探針して探針データ12aを生成する際に、PC10
は、この探針データ12aの収集と同期してプローブ座
標データ13aを収集する。続いてPC10が、探針デ
ータ12a及び探針データ12aと同期したプローブ座
標データ13aを用いて3次元画像データ15aを生成
する。続いてPC10が、3次元画像データ15aに線
形画像補間を行って、等方的なボクセル・データ16a
に変換する一方で、同一のボクセルについて2つ以上の
異なる値が対応する場合はこれらの平均値をもってボク
セルのボクセル・データ16aとしている。すなわち、
超音波式プローブ121に取り付けた交流磁界位置セン
サ131によって計測された位置データ(超音波式プロ
ーブ121の座標データ)を用いて、超音波式プローブ
121を任意に走査して得られた一連の探針データ12
aをボクセル・データ16aに変換できるようになる。
【0143】このようなPC10は、非常に柔軟でデリ
ケートな組織構造を有する乳腺301のような被測定物
体30を探針してボクセル・データ16aを作成するよ
うなアプリケーションに適している。すなわち、従来の
熟練した検者が乳腺301の表面を手動で走査して超音
波式プローブ121の位置や向きを微妙に調節して探針
データ12aを収集していたマニュアル走査(スキャニ
ング)作業や、超音波式プローブ121をメカニカルに
走査するメカニカル走査(スキャニング)作業に代え
て、超音波式プローブ121に取り付けられた交流磁界
位置センサ131がスキャニング中の超音波式プローブ
121の空間的な位置や姿勢を測定し、乳腺301(被
測定物体30)の探針動作に同期させたプローブ座標デ
ータ13aを生成し、PC10が、この探針データ12
aの収集(スキャニング)と同期してプローブ座標デー
タ13aを収集することで、探針データ12aと同時に
超音波式プローブ121の位置データ(超音波式プロー
ブ121の座標データ)を取得し、取得された探針デー
タ12aを、位置データとして利用して、従来のマニュ
アル走査やメカニカル走査と同様にアーチファクトの少
なくかつ再現性の高い3次元のボクセル・データ16a
に変換できるようになる。
【0144】次に、図面に基づき、乳癌検診システムの
後処理である腫瘍抽出処理方法(乳腺腫瘍の自動抽出ア
ルゴリズム)の一実施形態を説明する。
【0145】以下の説明では、ファジイ推論を用いた3
次元ボクセル・データ16aからの腫瘍(特に、乳腺腫
瘍)の自動抽出アルゴリズムについて述べる。まず、良
好な乳腺腫瘍の領域を安定に自動抽出するために、3次
元LoG(Laplaceof Gaussian)フ
ィルタを用いたメンバシップ関数の自動作成方法につい
て述べる。次に、ファジイ推論並びに弛緩法を用いた、
各ボクセルを”腫瘍”,”正常組織”及び両者の”境
界”という3つのクラスへの分類、腫瘍の3次元領域の
決定について述べる。
【0146】乳癌の診断には、視・触診や穿刺吸引細胞
診などの他に、X線Mammographyや超音波検
査などの画像診断がよく利用されている。悪性腫瘍の特
徴は、良性と比較すると凹凸を伴う複雑な輪郭を有して
いることである。画像診断ではこのような幾何学的特徴
がよく利用される。X線MammographyはX線
の乳腺に対する透過像であり、比較的高い分解能が得ら
れることから、画像処理による腫瘍の抽出並びに評価方
法がいくつか提案されている。
【0147】一方、超音波検査による乳腺腫瘍の診断
は、超音波プローブを乳房表面に接触させるだけで、容
易に実時間で乳腺内部を観察できること、被検者に対す
る苦痛が少ないこと、そして、被曝の心配がなく安全で
あること、dense breastの場合でも腫瘍の
抽出が可能であることなどから、日常の診断に不可欠な
ものになっている。乳腺の超音波検査は、検者が乳腺内
部をくまなく走査して断層画像を観察することによっ
て、腫瘍の発見、悪性腫瘍(癌)の鑑別を行っている。
超音波断層像で表示される乳腺腫瘍の特徴は、良性及び
悪性ともに正常組織と比較して、そのエコー・レベル、
すなわち画像の輝度の輝度が低いことである。このこと
は、画像の輝度レベルの差を利用して両者を判別するこ
とが難しいことを意味する。そこで、断層画像における
腫瘍輪郭線の幾何学的形状の不整が利用されるが、断層
画像だけでは悪性腫瘍の幾何学的特徴を把握しにくい場
合がある。このような場合では、腫瘍の表面形状を3次
元的に表示すれば、幾何学的な表面形状を容易に観察す
ることができるため、より精度の高い診断が可能となる
と予想される。
【0148】腫瘍の表面形状を3次元的に表示並びに評
価するためには、取得した複数枚の超音波断層画像群か
ら腫瘍の領域を抽出することが重要である。ところが、
乳腺の超音波像では、スペックル・ノイズや音響陰影な
どのアーチファクト、境界部の欠落、筋層など腫瘍以外
の低輝度の領域が存在するため、2値化や微分オペレー
タなどの従来の画像処理法では実現できない。
【0149】このような背景のもとで、本実施形態の腫
瘍抽出処理方法における腫瘍の抽出処理方法はすべて3
次元空間上で行われており、注目ボクセル近傍の参照ボ
クセル領域から求めた画像の輝度平均値などの統計量が
2次元の参照領域からのものより信頼性が高いため、よ
り良好な腫瘍の抽出が期待できる。
【0150】本実施形態の腫瘍抽出処理方法では、乳腺
腫瘍に対する有効性を確認するために、周波数7.5M
Hzの凹型電子スキャン方式の超音波診断装置を用いて
乳腺腫瘍の抽出を行った。悪性腫瘍と良性腫瘍の症例に
対して適用した結果は、医師がトレースした輪郭と一致
しており、本実施形態の腫瘍抽出処理方法の有効性を示
唆するものであった。また、抽出された腫瘍をサーフェ
ス・レンダリングによって3次元表示したところ、表面
形状の違いを観察することができた。
【0151】超音波画像における乳腺腫瘍の領域は、正
常組織と比較して輝度が低いため、輝度値の高低によっ
て腫瘍の抽出を行う。しかし、超音波像については、音
響陰影などの顕著なアーチファクト、筋層などの比較的
低輝度の領域などが存在するため、単純な2値化では腫
瘍の抽出を行うことは難しい。
【0152】本実施形態の腫瘍抽出処理方法は、ファジ
イ推論(Fuzzy Reasoning)の考え方を
用いて、3次元ボクセル・データ16a、すなわちすべ
てのボクセル・データに対して、まず”腫瘍”,”正常
組織”、及びそれらの”境界”という3つのクラスに属
する”らしさ”を求め、そしてそこから、3次元空間上
の矛盾を徐々に解決しながら、最終的に腫瘍の領域を決
定するというものである。
【0153】このアルゴリズムは、図5のように大きく
分けて2段階の処理(第1段階と第2段階)よりなる。
まず、第1段階は、特徴量演算工程、メンバシップ関数
自動生成工程を中心とする論理構成になっており、3次
元LoG(Laplaceof Gaussian)フ
ィルタの出力からファジイ推論に利用するメンバシップ
関数{μt,μn,μb}(Membership Fu
nction)の自動作成を行う。第1段階に続く第2
段階は、ファジイ推論工程、デファジイ工程を中心とす
る論理構成になっており、求められたメンバシップ関数
{μt,μn,μb}を用いてファジイ・ルール(Fuz
zy Rule)並びに弛緩法(Relaxation
Method)に基づくデファジイ(Defuzzi
fy)処理による腫瘍領域の決定を行う。
【0154】これらの工程は、PC10で実行可能なプ
ログラムコードで記述されている。本実施形態では、超
音波画像として3次元のボクセル・データ16aを用い
ている。
【0155】次に、本実施形態で用いる特徴量の定義を
述べる。
【0156】乳腺の腫瘍抽出処理方法を簡素化するため
に、乳腺腫瘍の超音波画像を3つのタイプの領域にクラ
ス分けする。すなわち、輝度の低い”腫瘍”(tumo
r)、輝度の高い”正常組織”(normal tis
sue)、そして両者の”境界”(boundary)
である。乳腺腫瘍は良悪性ともに正常組織と比較して輝
度が低い、またその周囲の正常組織によって囲まれてい
る。
【0157】日常の診断において、まずこのような特徴
を利用して”腫瘍”の領域を抽出し、そして良性の平滑
・整である輪郭に対して悪性の凹凸・不整であるような
形状的な特徴を用いて良悪性の鑑別を行っている。
【0158】しかし、乳腺の超音波像は、超音波像固有
のスペックル・ノイズ境界部の欠落や画質劣化の問題点
の他に、画像の輝度平均などの統計量が被検者の皮下脂
肪の厚さや周囲の組織の状態などによって変化するた
め、2値化や微分オペレータなどの従来の画像処理上で
は腫瘍領域の自動抽出を行うのは難しい。医師による腫
瘍の境界の判断では、腫瘍内部エコー分布の均一性や境
界エコーの強さなどが考慮されている。
【0159】腫瘍の超音波像について、”腫瘍”は”正
常組織”より輝度が低い、またその輝度の分布も小さ
い。”境界”における輝度の重心が”境界”を境に”正
常組織”の方に大きく偏っており、また、”正常組織”
の輝度重心がほぼ参照領域の幾何学的な中心と一致す
る。本実施形態では、これらの表現を、次の3つの統計
量{u,d,v}によって定量化する。いずれも同一の
大きさの参照ボクセル・ボリューム(gx,gy,gz)
について求める。
【0160】以下に、本実施形態の腫瘍抽出処理方法の
各工程を詳述する。
【0161】第1段階における特徴量演算工程は、3次
元のボクセルの各々に対して、3次元ボクセル・データ
16a上における腫瘍の領域と周囲正常組織及び両者の
境界に関する所定の統計量の分布をファジイ推論に利用
するメンバシップ関数{μt,μn,μb}の[0,1]
区分の確率分布として表現する工程である。
【0162】ここで、特徴量演算工程で用いられる所定
の統計量は、各ボクセルに対する輝度平均値u、各ボク
セルに対する輝度の重心(gx,gy,gz)、幾何学的
な中心の距離d、各ボクセルに対する輝度分散vの4つ
のパラメータを含んでいる。
【0163】輝度平均値uは、 輝度平均値u={ΣΣΣf(i,j,k)}/N3 ……式(2−1) で定義されている。
【0164】ただし、i,j,k=0,1,2,…,N
−1(N:自然数)であり、f(i,j,k)はボクセ
ル(i,j,k)における輝度値を表し、Nは参照ボク
セル・ボリューム(gx,gy,gz)の大きさ、Σは総
和演算を意味する。
【0165】すなわち、輝度平均値uが”腫瘍”領域で
は小さく、”正常組織”の領域では大きく、また、”境
界”領域ではその中間の値をとると考えられることか
ら、第1段階における特徴量演算工程で用いられる所定
の統計量を、各ボクセルに対する輝度平均値uを式(2
−1)で定義している。その結果、2値化や微分オペレ
ータなどの従来の画像処理上では腫瘍領域の自動抽出を
行うのは難しいような、輝度の低い”腫瘍”(tumo
r、以下添字はt)、輝度の高い”正常組織”(nor
mal tissue、以下添字はn)、そして両者
の”境界”(boundary、以下添字はb)を識別
できるようになる。
【0166】各ボクセルに対する輝度の重心(gx
y,gz)は、 gx={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(i+1)}}/ {ΣΣΣf(i,j,k)}, gy={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(j+1)}}/ {ΣΣΣf(i,j,k)}, gz={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(k+1)}}/ {ΣΣΣf(i,j,k)} ……式(2−2)〜式(2−4) で与えられる。
【0167】各ボクセルに対する輝度の重心と幾何学的
な中心の距離dは、 d={(gx−cx2+(gy−cy2+(gz−cz21/2 ……式(2−5) で与えられる。
【0168】ただし、i,j,k=0,1,2,…,N
−1であり、f(i,j,k)はボクセル(i,j,
k)における輝度値を表し、N(自然数)は参照ボクセ
ル・ボリュームの大きさを意味する。
【0169】すなわち、輝度の重心と幾何学的な中心の
輝度の重心と幾何学的な中心の距離dの値が、”正常組
織”の領域では輝度の重心と参照ボリュームの幾何学的
な中心がほぼ一致するため小さくなると考えられ、”境
界”の領域では境界面を境に輝度が一方に偏っているこ
とにより大きな値になると考えられ、注目画素は”境
界”であれば距離が大きく、逆に”正常組織”であれば
距離が小さい値となることから、式(2−2)〜式(2
−4)、及び式(2−5)を適用し、第1段階における
特徴量演算工程に用いられる所定の統計量を、少なくと
も、各ボクセルに対する輝度の重心と幾何学的な中心の
距離dとに基づいて決定している。
【0170】各ボクセルに対する輝度分散vは、 v={ΣΣΣ{f(i,j,k)−u}2}/N3 ……式(2−6) ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1であり、
f(i,j,k)はボクセル(i,j,k)における輝
度値を表し、N(自然数)は参照ボクセル・ボリューム
(gx,gy,gz)の大きさで与えられる。
【0171】ここで、輝度の分布が、”腫瘍”の領域で
は小さく、”正常組織”と”境界”では大きな値になる
ことを考慮して、第1段階における特徴量演算工程に用
いられる所定の統計量には、各ボクセルに対する輝度分
散vが含まれていることに注目して式(2−6)を適用
している。
【0172】輝度平均uは、”腫瘍”領域では小さ
く、”正常組織”の領域では大きいと考えられる。ま
た、”境界”領域ではその中間の値をとると考えられ
る。
【0173】一方、輝度の重心と幾何学的な中心の輝度
の重心と幾何学的な中心の距離dの値は、”正常組織”
の領域では輝度の重心と参照ボリュームの幾何学的な中
心がほぼ一致するため小さくなると思われるが、”境
界”の領域では境界面を境に輝度が一方に偏っているこ
とにより大きな値になると考えられる。なお、”腫瘍”
の領域では輝度の低い部分と輝度のやや高い雑音的な部
分が混在することがあるので、dの値は”正常組織”の
d値とオーバーラップする部分があるが、”境界”のd
値より小さい傾向がある。
【0174】一方、輝度の分布vは、”腫瘍”の領域で
は小さく、”正常組織”と”境界”では大きな値になる
と考えられる。図6は輝度の重心と幾何学的な中心の輝
度の重心と幾何学的な中心の距離dの概念図を2次元的
に示すものである。すなわち、注目画素は”境界”であ
ればdが大きく、逆に”正常組織”であればdが小さい
値となる。
【0175】本実施形態の腫瘍抽出処理方法の第1段階
では、メンバシップ関数{μt,μn,μb}の自動作成
を行う。メンバシップ関数{μt,μn,μb}を取得し
た3次元ボクセル・データ16a毎に作成することによ
り、システム環境に依存せず腫瘍の領域を安定に抽出で
きることが期待される。メンバシップ関数{μt,μn
μb}は、ボクセル・データに対する3次元LoG(L
aplace of Gaussian)フィルタの出
力、すなわち0より大きい。ゼロ・クロッシング点及び
0より小さい3つの領域における各特徴量分布のヒスト
グラムから計算される。図7にメンバシップ関数
{μt,μn,μb}の作成の手順(フロー)を示す。
【0176】図7に示すように、第1段階におけるメン
バシップ関数自動生成工程は、3次元ガウシアン・ラプ
ラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)によるメンバシ
ップ関数{μt,μn,μb}の自動作成工程であって、
特徴量演算工程に続いて、メンバシップ関数{μt
μn,μb}を備えたファジイ推論工程に基づいて統計量
の分布をまとめることによって腫瘍の領域を自動抽出す
る工程である。
【0177】メンバシップ関数{μt,μn,μb}の作
成に用いるボクセルは、次式で表される3次元ガウシア
ン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)g
(r)(後述する式(2−9))の出力から求める。
【0178】LoGフィルタは1種の2次微分フィル
タ、またはバンドパス・フィルタであり、画像処理では
対象の境界抽出においてよく使われている。このフィル
タを用いると、境界の位置で2次微分がゼロとなり、ま
たはフィルタの出力が正負の変化、すなわちゼロ交差
(Zero crossing)が現れる。これらの出
力のゼロ・クロッシング点を連結すると境界となる。従
って、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元L
oGフィルタ)の出力のゼロ・クロッシング点を結ぶ
と、それが抽出しようとする対象領域の境界面となる。
本実施形態の腫瘍抽出処理方法では、ゼロ・クロッシン
グによる”境界”抽出に加えて、出力の正値が輝度の低
い”腫瘍”、負値が輝度の高い”正常組織”となること
を利用して、ボクセルを3つのクラスに分類する。
【0179】各ボクセルの”腫瘍”,”正常組織”、及
び”境界”の3つのクラスに属するグレードμt,μn
μbは第1段階で計算されたメンバシップ関数{μt,μ
n,μb}と後述する式(2−7)のようなファジイ・ル
ールから計算される。
【0180】そこでファジイ推論工程は、ファジイ推論
によるグレードの計算を実行し、メンバシップ関数決定
工程において生成した輝度平均値uに対するメンバシッ
プ関数{μt,μn,μb}|u、輝度の重心と幾何学的な
中心の距離dに対するメンバシップ関数{μt,μn,μ
b}|d及び輝度分散vに対するメンバシップ関数
{μ t,μn,μb}|vとファジイ・ルールを含んで構成
されるファジイ推論過程に基づいて、各ボクセルを、”
腫瘍”のクラスR1に属するグレードt,”正常組織”
のクラスR2に属するグレードn、”境界”のクラスR
3に属するグレードbの3つのグレード{t,n,b}
を用いてクラス分けを実行する工程である。
【0181】ここでファジイ・ルールは、if the
n else条件文形式で表されたルールで記述されて
いる。ファジイ・ルール(式(2−7))を以下に示
す。
【0182】 R1: if (u is small) and (d is medi um) and (v is small) then the voxel is ”tumor”, R2: if (u is large) and (d is medi um) and (v is large) then the voxel is ”normal tiss ue”, R3: if (u is medium) and (d is lar ge) and (v is medium) then the voxel is ”boundary” ……式(2−7) また、ファジイ推論工程で用いられるメンバシップ関数
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μ
t,μn,μb}|v)は、メンバシップ関数決定工程にお
いて生成した輝度平均値uに対するメンバシップ関数
{μt,μn,μ b}|u、輝度の重心と幾何学的な中心の
距離dに対するメンバシップ関数{μt,μn,μb}|
d、輝度分散vに対するメンバシップ関数{μt,μn
μb}|vの3つを少なくとも含んでいる。
【0183】またファジイ推論工程では、第1論理工程
と第2論理工程とを実行する。第1論理工程は、メンバ
シップ関数決定工程において生成した輝度平均値uに対
するメンバシップ関数({μt,μn,μb}|u、輝度の
重心と幾何学的な中心の距離dに対するメンバシップ関
数{μt,μn,μb}|d及び輝度分散vに対するメンバ
シップ関数{μt,μn,μb}|v)に基づいて各ボクセ
ルにおける特徴量の各々{u,d,v}に対する3つの
クラスに属するグレードμt|u,μt|d,μt|v,
μn|u,μn|d,μn|v,μb|u,μb|d,μb
vの各々を求める工程である。
【0184】第2論理工程は、グレードμt|u,μt
d,μt|v,μn|u,μn|d,μn|v,μb|u,
μb|d,μb|vの各々の値に基づいて、ファジイ推論
の機構に入力して各ボクセルの”腫瘍”らしさを規定す
るアナログ値μt,”正常組織”らしさを規定するアナ
ログ値μnまたは”境界”らしさを規定するアナログ値
μbを求める工程である。
【0185】ファジイ推論機構は、式(2−8)で表さ
れる。
【0186】 R1:μt=min(μt|u,μt|d,μt|v), R2:μn=min(μn|u,μn|d,μn|v), R3:μb=min(μb|u,μb|d,μb|v) ……式(2−8) ただし、min(a1,a2,a3)はa1,a2,a3の中
から最小値を選択する演算で表現される。
【0187】図16(a),(b),(c)は、図9
(a)に示された悪性腫瘍(画像サイズ:128×12
8×128ボクセル)のボクセル・データに対して本フ
ァジイ推論機構を適用して得られた”腫瘍”,”正常組
織”,”境界”という3つのクラスに対するグレードを
表す画像{μt,μn,μb}である。輝度の高い領域が
それぞれのグレードの高いことを示している。
【0188】これにより、式(2−7)に示したif
then else条件文形式で表されたルールにおけ
る”if〜then”の条件文中の”and”論理演算
は「ある事実の起こりうる確率が、それぞれの条件のう
ちの最小の確率となる」ことを意味する条件式をファジ
イ論理式で表現できるようになる。
【0189】メンバシップ関数自動生成工程は、被検者
の皮下脂肪の厚さや周囲乳腺組織の状態に起因して、乳
腺超音波像上における輝度分布を含む統計量に変化があ
る場合、ファジイ推論に利用するメンバシップ関数
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μ
t,μn,μb}|v)をボクセル毎に3次元ガウシアン・
ラプラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)の出力に基
づいて自動作成する工程である。
【0190】すなわち、1種の2次微分フィルタ、また
はバンドパス・フィルタであり、画像処理では対象の境
界抽出においてよく使われている簡便な3次元ガウシア
ン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)を用い
る結果、ボクセル・データの境界の位置で2次微分がゼ
ロとなり、またはフィルタの出力が正負の変化、すなわ
ちゼロ交差(Zero crossing)が現れる。
これらの出力のゼロ・クロッシング点を連結すると境界
となる。従って、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ
(3次元LoGフィルタ)出力のゼロ・クロッシング点
を結ぶと、それが抽出しようとする対象領域の境界面と
なる。そこで、ゼロ・クロッシングによる”境界”抽出
に加えて、出力の正値が輝度の低い”腫瘍”、負値が輝
度の高い”正常組織”となることを利用して、ボクセル
を3つのクラスに分類できるようになる。このような簡
便なクラス分類を実行することにより、PC10程度の
計算能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時
間(高速)に計算(画像処理)できるようなメンバシッ
プ関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|
d,{μt,μn,μb}|v)の自動作成が可能となる。
【0191】またメンバシップ関数自動生成工程は、メ
ンバシップ関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn
μb}|d,{μt,μn,μb}|v)の作成に用いるボク
セルを、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元
LoGフィルタ)g(r)で表される3次元ガウシアン
・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)出力から
求める3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元L
oGフィルタ)工程と、3次元ガウシアン・ラプラスフ
ィルタ(3次元LoGフィルタ)出力のゼロ・クロッシ
ング点を結んで、抽出しようとする対象領域の”境界”
を抽出する境界抽出工程と、3次元ガウシアン・ラプラ
スフィルタ(3次元LoGフィルタ)出力が正値を示す
ボクセルを輝度の低い”腫瘍”に分類する腫瘍抽出工程
と、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元Lo
Gフィルタ)出力が負値を示すボクセルを輝度の高い”
正常組織”に分類する正常組織抽出工程と、腫瘍抽出工
程において”腫瘍”と分類されたボクセルに対して、膨
張・収縮処理を行って、正常組織内部に孤立的に存在す
る”腫瘍”に分類されたボクセルや”境界”に分類され
たボクセルを除去し、”腫瘍”に分類されたボクセルと
他の輝度の低い閉領域が連結するような場合に両者を分
断する膨張・収縮処理工程と、膨張・収縮処理工程の前
後で共に”境界”に対してクラス分けが行われたボクセ
ルのみに対して特徴量演算工程を実行して輝度平均値
u、輝度の重心と幾何学的な中心の距離d及び輝度分散
vの3つの特徴量{u,d,v}を計算するボクセル選
別・特徴量計算工程と、ボクセル選別・特徴量計算工程
で求めた3つの特徴量{u,d,v}の各々に対して、
各々の確率密度関数に応じたメンバシップ関数
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μ
t,μn,μb}|v)を求めるメンバシップ関数決定工程
とを実行する。
【0192】ここで3次元ガウシアン・ラプラスフィル
タ(3次元LoGフィルタ)g(r)は、式(2−9)
で表される。
【0193】 g(r)=(R2−3σ2)/{(2π31/2・σ7}・exp{−r2/2σ2 } ……式(2−9) ただし、rは原点からの距離、σはガウシアンの標準偏
差で定義されている。
【0194】図8は、球によって腫瘍をモデル化したシ
ミュレーション・ファントムに3次元ガウシアン・ラプ
ラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)をかけた出力の
中心を通るプロファイルを示したものである。輝度の低
い球の内部は正値、輝度の高い球の外部は負値となって
いることが分かる。なお、この場合の標準偏差はσ=5
である。
【0195】3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3
次元LoGフィルタ)によるクラス分けでは、式(2−
9)における分散σ2によって抽出される領域が変化す
る。分散が小さければ、細かい変動に敏感になるが、雑
音の影響を受けやすい。分散が大きければ、細かい変動
に影響されないが、抽出される領域は大雑把なものとな
る。自動抽出するためには、適正なσ2を検討する必要
がある。
【0196】3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3
次元LoGフィルタ)処理を実空間でのコンボリューシ
ョンで行うと、処理時間が膨大になってしまうという実
用的な問題がある。そこで、本実施形態の腫瘍抽出処理
方法では、FETを用いることで処理の高速化を図る。
【0197】このような3次元ガウシアン・ラプラスフ
ィルタ(3次元LoGフィルタ)処理を設けることによ
り、クラス分けされた”腫瘍”ボクセル、”正常組織”
ボクセルすべてに対して3つの特徴量{u,d,v}を
計算できるようになる。また、膨張・収縮処理前後で共
に”境界”とクラス分けされたボクセルのみに対して3
つの特徴量{u,d,v}を計算することで、”境界”
についての特徴量は他のクラスに比べてボクセル数が少
ない場合であっても、誤った”境界”ボクセルをできる
限り除外できるようになる。
【0198】ボクセル選別・特徴量計算工程は、膨張・
収縮処理工程の前後で共に”境界”に対してクラス分け
が行われたボクセルのみに対して特徴量演算工程を実行
して輝度平均値u(第1の特徴量)、輝度の重心と幾何
学的な中心の距離d(第2の特徴量)、輝度分散v(第
3の特徴量)の3つの特徴量{u,d,v}を計算す
る。
【0199】メンバシップ関数決定工程は、ボクセル選
別・特徴量計算工程で求めた3つの特徴量{u,d,
v}の各々に対して、各々の確率密度関数に応じたメン
バシップ関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μ
b}|d,{μt,μn,μb}|v)を求める。
【0200】本実施形態の腫瘍抽出処理方法で定義され
る特徴量輝度平均値、輝度の重心と幾何学的な中心の距
離及び輝度分散について、”腫瘍”,”正常組織”及
び”境界”の3つのクラスに属する”らしさ”を示すメ
ンバシップ関数{μt,μn,μ b}を求める必要があ
る。そこで、前述したように、ボクセル・データに対し
て3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元LoG
フィルタ)をかけ、その出力の正負及びゼロ・クロッシ
ング点から3つの領域に分類する。
【0201】しかし、ここで得られたボクセルの領域に
は誤って分類されたボクセルが含まれるため、”腫瘍”
と分類されたボクセルに対して、膨張・収縮(Dila
tion & Erosion)処理を行って、正常組
織内部に孤立的に存在する”腫瘍”ボクセルや”境界”
ボクセルを除去し、また、”腫瘍”と他の輝度の低い閉
領域が連結するような場合に両者を分断する。このため
に、本実施形態では、Rician関数PA(x)によ
るメンバシップ関数{μt,μn,μb}の近似を実行し
ている。
【0202】図9(a)は悪性腫瘍(画像サイズ:12
8×128×128ボクセル)のボクセル・データにお
けるzx平面の1断面を示している。中心に見られる輝
度の低い領域が腫瘍(癌)、周囲の輝度の高い部分が正
常組織である。図9(b)はそれに対するσ=5の3次
元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元LoGフィル
タ)の出力を示している。図9(b)の中の黒い領域
が”腫瘍”領域であり、グレイの領域が”正常組織”、
また、白い線がゼロ・クロッシング点である”境界”で
ある。図9(b)に示されるように3次元ガウシアン・
ラプラスフィルタ(3次元LoGフィルタ)によって出
力された”腫瘍”の領域の内部に腫瘍ではないが輝度の
低い領域がはいっており、”腫瘍”領域自身も”正常組
織”に浸食して分類されていることが分かる。図9
(c)は、”腫瘍”の領域のすべてに対して膨張・収縮
処理工程を行った後の画像である。図9(b)と図9
(c)を比較すると、ボリュームの小さい領域や正常組
織への浸食が除去されていることが分かる。
【0203】このような処理によってクラス分けされ
た”腫瘍”ボクセル、”正常組織”ボクセルのすべてに
対して3つの特徴量を計算する。”境界”についての特
徴量は他のクラスに比べてボクセル数が少ないので、誤
った”境界”ボクセルはできる限り除外する必要があ
る。そこで膨張・収縮処理工程前後で共に”境界”とク
ラス分けされたボクセルのみに対して3つの特徴量を計
算する。
【0204】メンバシップ関数{μt,μn,μb}とし
ては、クラス分けされたボクセルから計算された特徴量
の確率密度係数を利用するというのがひとつの考え方で
あるが、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元
LoGフィルタ)によるクラス分けは不十分であり、誤
ってクラス分けされたボクセルが含まれていることを考
慮する必要がある。
【0205】超音波像の輝度の確率密度係数は、次式で
表されるRician関数PA(x)で表されることが
知られている。
【0206】そこで本実施形態では、メンバシップ関数
決定工程における3つの特徴量{u,d,v}の諸量に
対する確率密度係数をRician関数PA(x)で定
義している。ここでRician関数PA(x)は、式
(2−10)で与えられる。
【0207】 PA(x)=x/σ2・exp{(−x2+σ2)/σ2}・I0(xs/σ2) ……式(2−10) ここで、I0(x)は第1種第0次の変形ベッセル関数
である。
【0208】Rician関数PA(x)は、s=0の
とき、Rayleigh分布関数(図10)となり、s
/σが大きくなるとGaussian関数に近づく(図
10参照)。超音波の反射源である散乱体が波長に比べ
て小さく、散乱体がランダムに分布している場合ではい
わゆる画像にはスペックル・パターンが現れ、輝度変動
はRayleigh分布関数となる。一方、波長に比べ
て大きな反射源や小さい反射源が混在する場合、Ric
ianはそのピーク位置が原点から徐々に離れ、Ray
leigh分布関数からGaussian関数へと近づ
いていくことが示されている。
【0209】一方、特徴量{u,d,v}における輝度
平均値uについての確率密度関数は、超音波の確率密度
関数と近似されるので、比較的輝度の低い”腫瘍”領域
ではRayleigh分布関数となり、”境界”や”正
常組織”ではサイズの大きな反射源の混在するGaus
sian関数(ガウス分布関数)となることが予想でき
る。
【0210】そこで、3つの特徴量{u,d,v}の諸
量に対する確率密度係数としてRician関数P
A(x)を用いることにより、輝度平均値uのメンバシ
ップ関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb
|d,{μt,μn,μb}|v)については”腫瘍”をR
ayleigh分布関数で近似し、その他の”正常組
織”と”境界”をGaussian関数で近似できるよ
うになる。
【0211】図11は”腫瘍”,”正常組織”,”境
界”に属するボクセルについての輝度平均値のヒストグ
ラム及び近似されたメンバシップ関数{μt,μn
μb}を示す。同図より、両者はよく一致していること
が分かる。
【0212】また特徴量{u,d,v}における輝度の
重心と幾何学的な中心の距離dについては、”正常組
織”及び”腫瘍”領域では小さく、”境界”領域では大
きくなる傾向がある。図12に示した輝度の重心と幾何
学的な中心の距離dのヒストグラムから分かるようにい
ずれについてもGaussianよりもRayleig
h分布の方が近似はよい。そこで、特徴量d(輝度の重
心と幾何学的な中心の距離)のメンバシップ関数
{μt,μn,μb}はRayleigh分布で近似する
(図14参照)。
【0213】特徴量{u,d,v}における輝度分散v
については、図13にそのヒストグラムを示す。同図の
ようにRayleigh分布の方が近似はよい。そこ
で、輝度分散vのメンバシップ関数{μt,μn,μb
はRayleigh分布で近似する。
【0214】3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3
次元LoGフィルタ)の出力によってクラス分けされた
ボクセルからヒストグラムを計算すると、誤って分類さ
れたボクセルの影響で、それぞれで仮定したRayle
igh分布やGaussianと異なった分布をとるよ
うになる。その一例として、特徴量d(輝度の重心と幾
何学的な中心の距離)の”境界”について求められたヒ
ストグラムと近似された。
【0215】このように、確率密度係数としてRici
an関数PA(x)を用いることにより、輝度の重心と
幾何学的な中心の距離dのメンバシップ関数({μt
μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μt,μn
μb}|v)はRayleigh分布関数で近似できるよ
うになる。
【0216】同様の主旨で、特徴量{u,d,v}にお
ける輝度分散vについては、確率密度係数としてRic
ian関数PA(x)を用いることにより、輝度分散v
のメンバシップ関数({μt,μn,μb}|u,{μt
μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)はRayle
igh分布関数で近似できるようになる。
【0217】そこで本実施形態では、輝度平均値uに対
するメンバシップ関数({μt,μn,μb}|u,
{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)を、”
腫瘍”についてはRayleigh分布関数で表現され
た確率密度関数で近似する。
【0218】これにより、Rician関数PA(x)
は、s=0のとき、Rayleigh分布関数となり、
s/σが大きくなるとGaussian関数に近づく。
また超音波の反射源である散乱体が波長に比べて小さ
く、散乱体がランダムに分布している場合ではいわゆる
画像にはスペックル・パターンが現れ、輝度変動はRa
yleigh分布関数となる。一方、波長に比べて大き
な反射源や小さい反射源が混在する場合、Rician
はそのピーク位置が原点から徐々に離れ、Raylei
gh分布関数からGaussian関数へと近づいてい
くことが示されている。一方、特徴量{u,d,v}に
おける輝度平均値uについての確率密度関数は、超音波
の確率密度関数と近似されるので、比較的輝度の低い”
腫瘍”領域ではRayleigh分布関数となり、”境
界”や”正常組織”ではサイズの大きな反射源の混在す
るGaussian関数となることが予想できる。この
ため、メンバシップ関数決定工程は、ボクセル選別・特
徴量計算工程で求めた3つの特徴量{u,d,v}の各
々に対して、各々の確率密度関数に応じたメンバシップ
関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,
{μt,μn,μb}|v)を求める場合、輝度平均値uに
対するメンバシップ関数({μt,μn,μb}|u,{μ
t,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)を、”腫
瘍”についてはRayleigh分布関数で表現された
確率密度関数で近似し、”正常組織”と”境界”につい
てはガウス分布で表現された確率密度関数で近似してい
る。
【0219】すなわち、第1特徴量に対する確率密度係
数としてRician関数PA(x)を用いることによ
り、輝度平均値uのメンバシップ関数({μt,μn,μ
b}|u,{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|
v)については”腫瘍”をRayleigh分布関数で
近似し、その他の”正常組織”と”境界”をGauss
ian関数で近似できるようになる。このようにRay
leigh分布あるいはGaussianでメンバシッ
プ関数{μt,μn,μb}を近似することによって、誤
って分類されているボクセルの影響を軽減できると考え
られる。
【0220】また、輝度の重心と幾何学的な中心の距離
dに対するメンバシップ関数({μ t,μn,μb}|u,
{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)をRa
yleigh分布関数で表現された確率密度関数で近似
することにしている。
【0221】これにより、Rician関数PA(x)
は、s=0のとき、Rayleigh分布関数となり、
s/σが大きくなるとGaussian関数に近づく。
また超音波の反射源である散乱体が波長に比べて小さ
く、散乱体がランダムに分布している場合ではいわゆる
画像にはスペックル・パターンが現れ、輝度変動はRa
yleigh分布関数となる。一方、波長に比べて大き
な反射源や小さい反射源が混在する場合、Rician
はそのピーク位置が原点から徐々に離れ、Raylei
gh分布関数からGaussian関数へと近づいてい
くことが示されている。一方、特徴量{u,d,v}に
おける輝度平均値uについての確率密度関数は、超音波
の確率密度関数と近似されるので、比較的輝度の低い”
腫瘍”領域ではRayleigh分布関数となり、”境
界”や”正常組織”ではサイズの大きな反射源の混在す
るGaussian関数となることが予想できる。この
ため、メンバシップ関数決定工程は、ボクセル選別・特
徴量計算工程で求めた3つの特徴量{u,d,v}の各
々に対して、各々の確率密度関数に応じたメンバシップ
関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,
{μt,μn,μb}|v)を求める場合、輝度の重心と幾
何学的な中心の距離dに対するメンバシップ関数({μ
t,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μt
μn,μb}|v)をRayleigh分布関数で表現さ
れた確率密度関数で近似している。
【0222】すなわち、特徴量{u,d,v}における
輝度の重心と幾何学的な中心の距離dについては、”正
常組織”及び”腫瘍”領域では小さく、”境界”領域で
は大きくなる傾向があるので、第2特徴量に対する確率
密度係数としてRician関数PA(x)を用いるこ
とにより、輝度の重心と幾何学的な中心の距離dのメン
バシップ関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μ
b}|d,{μt,μn,μb}|v)はRayleigh分
布関数で近似できるようになる。
【0223】また輝度分散vに対するメンバシップ関数
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μ
t,μn,μb}|v)をRayleigh分布関数で表現
された確率密度関数で近似することにしている。
【0224】これにより、Rician関数PA(x)
は、s=0のとき、Rayleigh分布関数となり、
s/σが大きくなるとGaussian関数に近づく。
また超音波の反射源である散乱体が波長に比べて小さ
く、散乱体がランダムに分布している場合ではいわゆる
画像にはスペックル・パターンが現れ、輝度変動はRa
yleigh分布関数となる。一方、波長に比べて大き
な反射源や小さい反射源が混在する場合、Rician
はそのピーク位置が原点から徐々に離れ、Raylei
gh分布関数からGaussian関数へと近づいてい
くことが示されている。一方、特徴量{u,d,v}に
おける輝度平均値uについての確率密度関数は、超音波
の確率密度関数と近似されるので、比較的輝度の低い”
腫瘍”領域ではRayleigh分布関数となり、”境
界”や”正常組織”ではサイズの大きな反射源の混在す
るGaussian関数となることが予想できる。この
ため、メンバシップ関数決定工程は、ボクセル選別・特
徴量計算工程で求めた3つの特徴量{u,d,v}の各
々に対して、各々の確率密度関数に応じたメンバシップ
関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,
{μt,μn,μb}|v)を求める場合、輝度分散vに対
するメンバシップ関数({μt,μn,μb}|u,
{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)を、R
ayleigh分布関数で表現された確率密度関数で近
似している。
【0225】すなわち、第3特徴量に対する確率密度係
数としてRician関数PA(x)を用いることによ
り、特徴量{u,d,v}における輝度分散vについて
は、輝度分散vのメンバシップ関数({μt,μn
μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb
|v)はRayleigh分布関数で近似できるように
なる。
【0226】次に、本実施形態の腫瘍抽出処理方法の第
2段階の各工程を詳述する。
【0227】第2段階では前節で求めたメンバシップ関
数{μt,μn,μb}を利用して、ファジイ推論による
腫瘍領域の抽出を行う。図15は処理の流れを示したも
のである。
【0228】まず、ファジイ推論によって3つのクラス
のグレードを表す画像を作成する。すなわち、輝度の低
い”腫瘍”(tumor)、輝度の高い周辺の”正常組
織”(normal tissue)、そして、両者
の”境界”(boundary)である。次に、弛緩法
によってデファジイを行い、すべてのボクセルを3つの
クラスに分ける。以下に、各工程における処理を説明す
る。
【0229】第2段階におけるファジイ推論工程は、自
動抽出する工程に続いて、生成されたメンバシップ関数
({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μ
t,μn,μb}|v)及びファジイ・ルールを含んで構成
されるファジイ推論過程に基づいて、各ボクセルを、所
定数のタイプの領域にクラス分けする工程である。
【0230】ここで、ファジイ推論工程は、各ボクセル
が、”腫瘍”,”正常組織”または”境界”である”ら
しさ”の度合いを求め、この求めた”らしさ”の度合い
に応じたクラス分けを実行する。
【0231】すなわち、3次元ガウシアン・ラプラスフ
ィルタ(3次元LoGフィルタ)をかけ、その出力の正
負及びゼロ・クロッシング点から3つのクラスに分類さ
れたボクセルには、誤って分類されたボクセルが含まれ
る可能性がある。そこで、このようなファジイ推論工程
を設けることにより、”腫瘍”と分類されたボクセルに
対して、膨張・収縮処理を行って、正常組織内部に孤立
的に存在する”腫瘍”ボクセルや”境界”ボクセルを除
去し、また、”腫瘍”と他の輝度の低い閉領域が連結す
るような場合に両者を分断する。これにより、3次元空
間上の矛盾を徐々に解決しながら、最終的に腫瘍の領域
を決定する工程を実行できるようになる。
【0232】次に、これらの3つの属性に関するグレー
ドの画像{μt,μn,μb}から弛緩法に基づくデファ
ジイ(非ファジイ化)処理によって全ボクセル・データ
を3つの領域にクラス分けする。本発明では、腫瘍と接
する”正常組織”を”境界”と定義する。
【0233】そのため、第2段階において、ファジイ推
論工程に続くデファジイ工程は、ファジイ推論工程に続
いて、弛緩法によるクラス分類する工程であって、弛緩
法に基づいた非ファジイ化過程を各ボクセルに対して行
う工程と、前工程に続いて、各ボクセルを、”腫
瘍”,”正常組織”または”境界”のいずれかに分類し
て腫瘍領域の最終決定を行う工程とを含んで構成されて
いる。
【0234】ここでデファジイ工程における、弛緩法
(Relaxation Method)に基づいた非
ファジイ化過程を各ボクセルに対して行う工程は、各ボ
クセルにおける特徴量の各々{u,d,v}に対する3
つのクラスに属するグレードの画像{μt,μn,μb
から弛緩法に基づく非ファジイ化過程処理を行って全ボ
クセル・データを3つの領域にクラス分けを実行する際
に、以下の規則に基づいて、”腫瘍”と接する”正常組
織”を”境界”と定義する。
【0235】規則(1)注目するボクセルが”腫瘍”で
あれば、”正常組織”に分類されたボクセルとは接しな
いと定義する。
【0236】規則(2)注目するボクセルが”境界”で
あれば、必ず”腫瘍”と”正常組織”のボクセルに接す
ると定義する。
【0237】規則(3)注目するボクセルが”正常組
織”であれば、”腫瘍”に分類されたボクセルとは接し
ない。
【0238】これにより、3つの属性に関するグレード
の画像{μt,μn,μb}から弛緩法に基づくデファジ
イ(非ファジイ化過程)処理によって全ボクセル・デー
タを3つの領域にクラス分けできるようになる。
【0239】更に詳しく、デファジイ工程を説明する。
【0240】図17にデファジイ工程のフローを示す。
デファジイ工程における、”腫瘍”,”正常組織”また
は”境界”のいずれかに分類して腫瘍領域の最終決定を
行う工程は、ラベル付け工程(ステップS1,S2,S
7)、ラベル数計算工程(ステップS3,S4,S
5)、並列反復工程(ステップS6→S7→S8→S9
→S2→…)を含んでいる。
【0241】ここでラベル付け工程(ステップS1,S
2,S7)は、”腫瘍”のグレード tを示す画像μt、”
正常組織”のグレードnを示す画像μn、または”境界”
のグレードbを示す画像μbの中で最大値をとるクラスに
基づいて、すべてのボクセルに対するラベル付けを行う
工程である。
【0242】またラベル付け工程(ステップS1,S
2,S7)は、局所的な制約条件(ステップS6)によ
って生じる矛盾が生じた場合、”腫瘍”のグレードt
示す画像、”正常組織”のグレードnを示す画像、また
は”境界”のグレードbを示す画像の値を条件を満たす
ように徐々に更新する更新工程(ステップS7)を含ん
でいる。
【0243】ここで更新工程(ステップS7)は、並列
反復工程(ステップS6→S7→S8→S9→S2→
…)実行時に用いられる局所的な制約条件(ステップS
6)によって矛盾が生じた場合、”腫瘍”のグレードt
を指示する画像、”正常組織”のグレードnを指示する
画像、または”境界”のグレードbを指示する画像の値
を、条件を満たすように徐々に更新する工程である。
【0244】本実施形態の腫瘍抽出処理方法におけるメ
ンバシップ関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn
μb}|d,{μt,μn,μb}|v)は、乳腺超音波像の
ボクセル・データに対する3次元ガウシアン・ラプラス
フィルタ(3次元LoGフィルタ)の出力、すなわち正
・負値及びゼロ・クロッシングの3つの領域について、
本実施形態の腫瘍抽出処理方法で用いた各特徴量、そし
て輝度の重心のずれのそれぞれのヒストグラムをRay
leigh分布関数とGaussian関数で近似する
ことによって自動生成されている(ステップS1)。そ
して、作成されたメンバシップ関数({μt,μn
μb}|u,{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb
|v)とファジイ・ルールからなるファジイ推論機構を
用いて、ボクセル・データに関する3つのクラスに属す
るグレードを表す画像を求め、そこから弛緩法の考え方
を利用したデファジイ処理によって腫瘍の領域を徐々に
修正しながら最終的に確定する。
【0245】ここで、すべてのボクセルは、”腫
瘍”,”正常組織”及び”境界”のグレードを示す3つ
の画像{μt,μn,μb}の中で最大値をとるクラスに
よってラベル付けされる(ステップS2)。次に、注目
ボクセルに連結する3×3×3の領域内における”腫
瘍”,”正常組織”及び”境界”の3つの領域のラベル
の数{Nt,Nn,Nb}をそれぞれに計算し(ステップ
S4)、局所的な制約ルールに入力する(ステップS
6)。
【0246】更に、局所的な制約条件(ステップS6)
によって生じる矛盾が生じた場合は、条件を満たすよう
にμt,μn,μbの値を徐々に更新していく。この処理
を並列的(ステップS2→…S9→S2…)に反復する
ことによって、最終的にボクセルを”腫瘍”,”正常組
織”、または”境界”に分類する(ステップS11)。
【0247】またラベル数計算工程(ステップS3,S
4,S5)は、前述のラベル付け工程(ステップS1,
S2,S7)に続いて、注目しているボクセル(注目ボ
クセル)に連結する(連続して連なる)3×3×3(ボ
クセル)の領域(3次元領域)内に存在する”腫瘍”の
領域のラベルの数Nt、”正常組織”の領域のラベルの
数Nn、及び”境界”の領域のラベルの数Nbをそれぞれ
計算する工程である。
【0248】また並列反復工程(ステップS6→S7→
S8→S9→S2→…)は、ラベル数計算工程(ステッ
プS3,S4,S5)で算出したラベルの数(Nt
n,N b)の各々を局所的な制約ルールに入力する処理
(ステップS5→S6)を、3次元画像を構成するボク
セルに対して並列的に反復する工程である。
【0249】これにより、すべてのボクセルは、”腫
瘍”,”正常組織”及び”境界”のグレードを示す3つ
の画像{μt,μn,μb}の中で最大値をとるクラスに
よってラベル付けされる(ステップS10,S11)。
【0250】次に、注目ボクセルに連結する3×3×3
の領域内における”腫瘍”,”正常組織”及び”境界”
の3つの領域のラベルの数{Nt,Nn,Nb}をそれぞ
れに計算し(ステップS5)、局所的な制約ルールに入
力する。更に、局所的な制約条件(ステップS6)によ
って生じる矛盾が生じた場合は、条件を満たすようにμ
t,μn,μbの値を徐々に更新していく。この処理を並
列的に反復することによって、最終的にボクセルを”腫
瘍”,”正常組織”、または”境界”に分類する。
【0251】また並列反復工程(ステップS6→S7→
S8→S9→S2→…)で用いられる局所的な制約ルー
ルを、if then else条件文形式で表された
以下のルール(式(2−11))で規定している。
【0252】 R1:if Nt>1 and Nb≧2 and Nn=1 then μt↓,μn↓,μb↑, R2:else if Nn>0 and Nb≧1 and Nt=1 then μt↑,μn↓,μb↓, R3:else if Nt=0 and Nb≧1 and Nn≧1 then μt↓,μn↑,μb↓, R4:else if Nt>Nn+12 then μt↑,μn↓,μb↓, R5:else if Nn>Nt+12 then μt↓,μn↑,μb↓, R6:else then μt↓,μn↓,μb↑, ……式(2−11) (ただし、A↑はAの値にある定数Cを加えること(A
+C)を意味する演算子、A↓はAの値から定数Cを減
すること(A−C)を意味する演算子) また、R4及びR5中の定数12は、注目ボクセルに連
結する3×3×3の領域においてNnとNtの差がかなり
大きいことを意味する数値であり、この値そのものはデ
ファジイ結果を人間が見て最適となるよう、試行錯誤的
に求めたものである。本実施形態の腫瘍抽出処理方法の
適用処理では、(2−11)式における記号↑↓の増減
定数C=0.25としており、値が1.0を超えたとき
には1.0に、また0.0より小さくなったときには
0.0にしている。
【0253】具体的には、各ボクセルについてR1〜R
6は順番に処理され、どれかが成立した場合には後のル
ールは無視される。また、このデファジイ処理は並列的
に繰り返し行われ、全ボクセル・データに対するμt
μn,μbの変化量の合計がある閾値以下となったときに
終了する。この時点で、各ボクセルに対してμt,μn
μbの中で最大の値をとる要素がそのボクセルの属性と
して決定される結果、最終的に各ボクセルに”腫
瘍”,”正常組織”、または”境界”のいずれかの要素
を割り当てることになる。
【0254】また、周囲ボクセルの持つ”腫瘍”,”正
常組織”及び”境界”のいずれかの要素を割り当ててい
る。従って、例えば、あるボクセルの”境界”に属する
グレードμbが初めは大きかったとしても、周囲に”腫
瘍”(あるいは”正常組織”)に属するグレードの大き
いボクセルだけが存在する場合、そのボクセルの”腫
瘍”(あるいは”正常組織”)であるグレードμt(あ
るいはμn)は反復処理によって大きく、”境界”と”
正常組織”(あるいは”腫瘍”)に属するグレードμb
とμn(あるいはμt)はより小さく変更されていく(R
3,R5参照)。
【0255】逆に、あるボクセルの”境界”らしさのグ
レードμbが初めは小さかったとしても周囲に2つ以上
の”境界”、1つ以上の”腫瘍”らしさのグレードμt
と”境界”らしさのグレードμbと”正常組織”らしさ
のグレードμnの大きいボクセルがあれば、そのボクセ
ルの”境界”らしさのグレードμbはより大きな値
に、”腫瘍”らしさのグレードμtと”境界”らしさの
グレードμbと”正常組織”らしさのグレードμnはより
小さな値に更新されていく(R1参照)。
【0256】3つのクラスに分類されたボクセル・デー
タに対して、ボクセルの連結性によって腫瘍領域のみを
抽出する。本実施形態の腫瘍抽出処理方法で処理するボ
クセル・データのROI(Region of int
erest)に存在する腫瘍領域が”正常組織”によっ
て囲まれている閉領域であり、また、その領域の中に誤
ったクラスに分類されている”正常組織”を含む場合が
ある。そこで、対象となるROIにおける腫瘍の領域が
次のようなルールで決定される。
【0257】すなわち、処理(1)ボクセル・データの
全体が”正常組織”によって囲まれると仮定して、その
外回りの”正常組織”の任意の1つのボクセルから出発
し、ある1つの”腫瘍”のボクセルを探索する。
【0258】処理(2)探索された1つの”腫瘍”のボ
クセルに連結している”腫瘍”ボクセルをすべて探索し
て、それらのボクセルを”腫瘍1”とラベル付けする。
【0259】処理(3)処理を処理(1)に戻して、”
腫瘍1”,”腫瘍2”…,”腫瘍n”のように腫瘍の領
域をラベリングする。この処理を終了すれば、次の処理
に移る。
【0260】処理(4)ラベリングされた”腫瘍k”
(k=1,2,3…,n)について、ボリュームの大き
さが大から小までの順にならべて、球と仮定する場合そ
の直径が2mm以下のものをノイズとして切り捨て、残
された”腫瘍”の中で重心がROIの中央に一番近いも
のを最終的に”腫瘍”として決定する。
【0261】図18(a)は、図16(a),(b),
(c)に示された3つの属性に関するグレードの画像
{μt,μn,μb}をデファジイすること(デファジイ
工程を実行すること)によってクラス分けされた画像で
ある。輝度の最も高い領域が”境界”、暗い領域が”腫
瘍”、そして中間の輝度の領域が”正常組織”である。
図18(b)はボクセル連結性によって最終的に決定さ
れた腫瘍の領域の境界とボクセル・データの断面とを重
ねた画像である。また、図18(c)は本実施形態の腫
瘍抽出処理方法により抽出した腫瘍の表面形状の3次元
像である。腫瘍表面の3次元表示像は、抽出した境界の
各ボクセルを中心とする近傍の5×5×5のボクセルを
用いて、最小2乗法によって近似された平面にランバー
ト・シェーディングなる陰影手法を適用したものであ
る。同図を観察すると、悪性腫瘍表面の不整の様子が良
好に表示されていることが分かる。
【0262】以上、本実施形態の腫瘍抽出処理方法を要
約すると、特徴量演算工程が、3次元のボクセルの各々
に対して、3次元ボクセル・データ16a上における腫
瘍の領域と周囲正常組織及び両者の境界に関する所定の
統計量の分布を、ファジイ推論に利用するメンバシップ
関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|d,
{μt,μn,μb}|v)の[0,1]区分の確率分布と
して表現する工程を実行する。またメンバシップ関数自
動生成工程が、メンバシップ関数({μt,μn,μb
|u,{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)
を備えたファジイ推論過程に基づいて、特徴量演算工程
で求めた統計量の分布をまとめて腫瘍の領域を自動抽出
する工程を実行する。これにより、ボクセル・データに
対して3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3次元L
oGフィルタ)をかけ、その出力の正負及びゼロ・クロ
ッシング点から3つのクラスに分類し、特徴量につい
て、3つのクラスに属する”らしさ”を示すメンバシッ
プ関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μb}|
d,{μt,μn,μb}|v)を求めることができるよう
になる。1種の2次微分フィルタ、またはバンドパス・
フィルタであり、画像処理では対象の境界抽出において
よく使われている簡便な3次元LoG(Laplace
of Gaussian関数)フィルタを用いる結
果、ボクセル・データの境界の位置で2次微分がゼロと
なり、またはフィルタの出力が正負の変化、すなわちゼ
ロ交差(Zero crossing)が現れる。これ
らの出力のゼロ・クロッシング点を連結すると境界とな
る。従って、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3
次元LoGフィルタ)出力のゼロ・クロッシング点を結
ぶと、それが抽出しようとする対象領域の境界面とな
る。そこで、ゼロ・クロッシングによる”境界”抽出に
加えて、出力の正値が輝度の低い”腫瘍”、負値が輝度
の高い”正常組織”となることを利用して、ボクセルを
3つのクラスに分類できるようになる。このような簡便
なクラス分類を実行することにより、PC10程度の計
算能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時間
(高速)に計算(画像処理)できるようなメンバシップ
関数({μt,μn,μb}|u,{μt,μn,μ b}|d,
{μt,μn,μb}|v)の自動作成が可能となる。また
ファジイ推論工程が、メンバシップ関数自動生成工程で
求めたメンバシップ関数自動生成工程を実行した際に生
成されたメンバシップ関数({μt,μn,μb}|u,
{μt,μn,μb}|d,{μt,μn,μb}|v)、及び
ファジイ・ルールを含んで構成されるファジイ推論過程
に基づいて、各ボクセルを、所定数のタイプの領域にク
ラス分けする工程を実行する。デファジイ(Defuz
zify)工程は、弛緩法に基づいた非ファジイ化過程
を各ボクセルに対して実行し、この工程(非ファジイ化
過程の工程)に続いて、各ボクセルを、”腫瘍”,”正
常組織”または”境界”のいずれかに分類して腫瘍領域
の最終決定を行う工程を実行する。このようなファジイ
推論工程とデファジイ工程を設けることにより、パーソ
ナルコンピュータ(PC10)程度の計算能力をもった
小規模なコンピュータリソースで短時間(高速)に計算
(画像処理)できるような簡便なファジイ推論と弛緩法
を用いて、各ボクセルを”腫瘍”,”正常組織”及び両
者の”境界”という3つのクラスに分類できるようにな
る。その結果、PC10程度の計算能力をもった小規模
なコンピュータリソースで短時間(高速)に計算(画像
処理)できるような、簡便な超音波3次元画像から、ス
ペックル・ノイズや音響陰影などのアーチファクト、境
界部の欠落、筋層など腫瘍以外の低輝度の領域を除去し
た腫瘍(特に、乳腺腫瘍)の領域(文中の”腫瘍”)を
高い精度で発見でき、悪性腫瘍の判断を再現性良く自動
抽出できるようになる。
【0263】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、ボクセ
ル・データに対して3次元LoGフィルタをかけ、その
出力の正負及びゼロ・クロッシング点から3つのクラス
に分類し、特徴量について、3つのクラスに属する”ら
しさ”を示すメンバシップ関数を求めることができるよ
うになる。1種の2次微分フィルタ、またはバンドパス
・フィルタであり、画像処理では対象の境界抽出におい
てよく使われている簡便な3次元LoG(Laplac
e of Gaussian)フィルタを用いる結果、
ボクセル・データの境界の位置で2次微分がゼロとな
り、またはフィルタの出力が正負の変化、すなわちゼロ
交差(Zero crossing)が現れる。これら
の出力のゼロ・クロッシング点を連結すると境界とな
る。従って、3次元LoGフィルタ出力のゼロ・クロッ
シング点を結ぶと、それが抽出しようとする対象領域の
境界面となる。そこで、ゼロ・クロッシングによる”境
界”抽出に加えて、出力の正値が輝度の低い”腫瘍”、
負値が輝度の高い”正常組織”となることを利用して、
ボクセルを3つのクラスに分類できるようになる。この
ような簡便なクラス分類を実行することにより、PC程
度の計算能力をもった小規模なコンピュータリソースで
短時間(高速)に計算(画像処理)できるようなメンバ
シップ関数の自動作成が可能となる。またファジイ推論
工程が、メンバシップ関数自動生成工程で求めたメンバ
シップ関数自動生成工程を実行した際に生成されたメン
バシップ関数、及びファジイ・ルールを含んで構成され
るファジイ推論過程に基づいて、各ボクセルを、所定数
のタイプの領域にクラス分けする工程を実行する。デフ
ァジイ(Defuzzify)工程は、弛緩法に基づい
た非ファジイ化過程を各ボクセルに対して実行し、この
工程(非ファジイ化過程の工程)に続いて、各ボクセル
を、”腫瘍”,”正常組織”または”境界”のいずれか
に分類して腫瘍領域の最終決定を行う工程を実行する。
このようなファジイ推論工程とデファジイ工程を設ける
ことにより、パーソナルコンピュータ(PC)程度の計
算能力をもった小規模なコンピュータリソースで短時間
(高速)に計算(画像処理)できるような簡便なファジ
イ推論と弛緩法を用いて、各ボクセルを”腫瘍”、”正
常組織”及び両者の”境界”という3つのクラスに分類
できるようになる。その結果、PC程度の計算能力をも
った小規模なコンピュータリソースで短時間(高速)に
計算(画像処理)できるような、簡便な超音波3次元画
像から、スペックル・ノイズや音響陰影などのアーチフ
ァクト、境界部の欠落、筋層など腫瘍以外の低輝度の領
域を除去した腫瘍(特に、乳腺腫瘍)の領域を高い精度
で発見でき、悪性腫瘍の判断を再現性良く自動抽出でき
るようになる。
【0264】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の効果に加えて、3次元空間上の矛盾を徐々に解
決しながら、最終的に腫瘍の領域を決定する工程を実行
できるようになる。
【0265】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
に記載の効果に加えて、輝度平均値が”腫瘍”領域では
小さく、”正常組織”の領域では大きく、また、”境
界”領域ではその中間の値をとると考えられることか
ら、前述の特徴量演算工程で用いられる所定の統計量
を、各ボクセルに対する輝度平均値{ΣΣΣf(i,
j,k)}/N3(ただし、i,j,k=0,1,2,
…,N−1(N:自然数),f(i,j,k)=ボクセ
ル(i,j,k)における輝度値、Nは参照ボクセル・
ボリュームの大きさ、Σ=総和演算)としている。その
結果、2値化や微分オペレータなどの従来の画像処理上
では腫瘍領域の自動抽出を行うのは難しいような、輝度
の低い”腫瘍”(tumor)、輝度の高い”正常組
織”(normaltissue)、そして両者の”境
界”(boundary)を識別できるようになる。
【0266】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
に記載の効果に加えて、輝度の重心と幾何学的な中心の
輝度の重心と幾何学的な中心の距離の値が、”正常組
織”の領域では輝度の重心と参照ボリュームの幾何学的
な中心がほぼ一致するため小さくなると考えられ、”境
界”の領域では境界面を境に輝度が一方に偏っているこ
とにより大きな値になると考えられ、注目画素は”境
界”であれば距離が大きく、逆に”正常組織”であれば
距離が小さい値となることから、前述の特徴量演算工程
に用いられる所定の統計量を、少なくとも、各ボクセル
に対する輝度の重心と幾何学的な中心の距離とに基づい
て決定できるようになる。
【0267】請求項5に記載の発明によれば、請求項3
に記載の効果に加えて、輝度の分布が、”腫瘍”の領域
では小さく、”正常組織”と”境界”では大きな値にな
ることを考慮して、前述の特徴量演算工程に用いられる
所定の統計量を、各ボクセルに対する輝度分散を含んで
決定できるようになる。
【0268】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
乃至5のいずれか一項に記載の効果に加えて、1種の2
次微分フィルタ、またはバンドパス・フィルタであり、
画像処理では対象の境界抽出においてよく使われている
簡便な3次元ガウシアン・ラプラスフィルタを用いる結
果、ボクセル・データの境界の位置で2次微分がゼロと
なり、またはフィルタの出力が正負の変化、すなわちゼ
ロ交差(Zero crossing)が現れる。これ
らの出力のゼロ・クロッシング点を連結すると境界とな
る。従って、3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ出力
のゼロ・クロッシング点を結ぶと、それが抽出しようと
する対象領域の境界面となる。そこで、ゼロ・クロッシ
ングによる”境界”抽出に加えて、出力の正値が輝度の
低い”腫瘍”、負値が輝度の高い”正常組織”となるこ
とを利用して、ボクセルを3つのクラスに分類できるよ
うになる。このような簡便なクラス分類を実行すること
により、PC程度の計算能力をもった小規模なコンピュ
ータリソースで短時間(高速)に計算(画像処理)でき
るようなメンバシップ関数の自動作成が可能となる。
【0269】請求項7に記載の発明によれば、請求項6
に記載の効果に加えて、クラス分けされた”腫瘍”ボク
セル、”正常組織”ボクセルすべてに対して3つの特徴
量を計算できるようになる。また、膨張・収縮処理前後
で共に”境界”とクラス分けされたボクセルのみに対し
て3つの特徴量を計算することで、”境界”についての
特徴量は他のクラスに比べてボクセル数が少ない場合で
あっても、誤った”境界”ボクセルをできる限り除外で
きるようになる。
【0270】請求項8に記載の発明によれば、請求項7
に記載の効果に加えて、特徴量における輝度平均値につ
いての確率密度関数は、超音波の確率密度関数と近似さ
れるので、比較的輝度の低い”腫瘍”領域ではRayl
eigh分布となり、”境界”や”正常組織”ではサイ
ズの大きな反射源の混在するGaussianとなるこ
とが予想できる。そこで、3つの特徴量(第1乃至第3
の特徴量)の各々に対する確率密度係数としてRici
an関数を用いることにより、輝度平均値のメンバシッ
プ関数については”腫瘍”をRayleigh分布で近
似し、その他の”正常組織”と”境界”をGaussi
anで近似できるようになる。
【0271】また特徴量における輝度の重心と幾何学的
な中心の距離については、”正常組織”及び”腫瘍”領
域では小さく、”境界”領域では大きくなる傾向がある
ので、確率密度係数としてRician関数を用いるこ
とにより、輝度の重心と幾何学的な中心の距離のメンバ
シップ関数はRayleigh分布で近似できるように
なる。
【0272】同様の主旨で、特徴量における輝度分散に
ついては、確率密度係数としてRician関数を用い
ることにより、輝度分散vのメンバシップ関数はRay
leigh分布で近似できるようになる。
【0273】請求項9に記載の発明によれば、請求項8
に記載の効果に加えて、輝度平均値のメンバシップ関数
については”腫瘍”をRayleigh分布で近似し、
その他の”正常組織”と”境界”をGaussianで
近似できるようになる。
【0274】請求項10に記載の発明によれば、請求項
8に記載の効果に加えて、特徴量における輝度の重心と
幾何学的な中心の距離については、”正常組織”及び”
腫瘍”領域では小さく、”境界”領域では大きくなる傾
向があるので、確率密度係数としてRician関数を
用いることにより、輝度の重心と幾何学的な中心の距離
のメンバシップ関数はRayleigh分布で近似でき
るようになる。
【0275】請求項11に記載の発明によれば、請求項
8に記載の効果に加えて、特徴量における輝度分散につ
いては、確率密度係数としてRician関数を用いる
ことにより、輝度分散vのメンバシップ関数はRayl
eigh分布で近似できるようになる。
【0276】請求項12に記載の発明によれば、請求項
11に記載に記載の効果と同様の効果を奏する。
【0277】請求項13に記載の発明によれば、請求項
11に記載の効果に加えて、前述のif then e
lse条件文形式で表されたルールにおける”if〜t
hen”の条件文中の”and”論理演算は「ある事実
の起こりうる確率が、それぞれの条件のうちの最小の確
率となる」ことを意味する条件式をファジイ論理式で表
現できるようになる。
【0278】請求項14に記載の発明によれば、請求項
12または13に記載の効果に加えて、3つの属性に関
するグレードの画像{μt,μn,μb}から弛緩法に基
づくデファジイ(非ファジイ化過程)処理によって全ボ
クセル・データを3つの領域にクラス分けできるように
なる。
【0279】請求項15に記載の発明によれば、請求項
12乃至14のいずれか一項に記載の効果に加えて、す
べてのボクセルは、”腫瘍”、”正常組織”及び”境
界”のグレードを示す3つの画像{μt,μn,μb}の
中で最大値をとるクラスによってラベル付けされる。次
に、注目ボクセルに連結する3×3×3の領域内におけ
る”腫瘍”、”正常組織”及び”境界”の3つの領域の
ラベルの数{Nt,Nn,Nb}をそれぞれに計算し、局
所的な制約ルールに入力する。更に、局所的な制約条件
によって生じる矛盾が生じた場合は、条件を満たすよう
にμt,μn,μbの値を徐々に更新していく。この処理
を並列的に反復することによって、最終的にボクセル
を”腫瘍”、”正常組織”、または”境界”に分類す
る。
【0280】請求項16に記載の発明によれば、請求項
15に記載の効果に加えて、各ボクセルについてR1〜
R6は順番に処理され、どれかが成立した場合には後の
ルールは無視される。また、このデファジイ処理は並列
的に繰り返し行われ、全ボクセル・データに対する
μt,μn,μbの変化量の合計がある閾値以下となった
ときに終了する。この時点で、各ボクセルに対して
μt,μn,μbの中で最大の値をとる要素がそのボクセ
ルの属性として決定される結果、最終的に各ボクセル
に”腫瘍”、”正常組織”、または”境界”のいずれか
の要素を割り当てることになる。また、周囲ボクセルの
持つ”腫瘍”、”正常組織”及び”境界”のいずれかの
要素を割り当てている。従って、例えば、あるボクセル
の”境界”に属するグレードμbが初めは大きかったと
しても、周囲に”腫瘍”(あるいは”正常組織”)に属
するグレードの大きいボクセルだけが存在する場合、そ
のボクセルの”腫瘍”(あるいは”正常組織”)である
グレードμt(あるいはμn)は反復処理によって大き
く、”境界”と”正常組織”(あるいは”腫瘍”)に属
するグレードμbとμn(あるいはμt)はより小さく変
更されていく(R3,R5参照)。逆に、あるボクセル
の”境界”らしさのグレードμbが初めは小さかったと
しても周囲に2つ以上の”境界”、1つ以上の”腫瘍”
と”正常組織”らしさのグレードの大きいボクセルがあ
れば、そのボクセルの”境界”らしさのグレードはより
大きな値に、”腫瘍”と”正常組織”らしさのグレード
はより小さな値に更新されていく(R1参照)。
【0281】請求項17に記載の発明によれば、請求項
15または16に記載の効果に加えて、メンバシップ関
数は、乳腺超音波像のボクセル・データに対する3次元
LoGフィルタの出力、すなわち正・負値及びゼロ・ク
ロッシングの3つの領域について、本発明で用いた各特
徴量、そして輝度の重心のずれのそれぞれのヒストグラ
ムをRayleigh分布とGaussianで近似す
ることによって自動生成されている。そして、作成され
たメンバシップ関数とファジイ・ルールからなるファジ
イ推論機構を用いて、ボクセル・データに関する3つの
クラスに属するグレードを表す画像を求め、そこから弛
緩法の考え方を利用したデファジイ処理によって腫瘍の
領域を徐々に修正しながら最終的に確定する。
【0282】ここで、すべてのボクセルは、”腫
瘍”、”正常組織”及び”境界”のグレードを示す3つ
の画像{μt,μn,μb}の中で最大値をとるクラスに
よってラベル付けされる。次に、注目ボクセルに連結す
る3×3×3の領域内における”腫瘍”、”正常組織”
及び”境界”の3つの領域のラベルの数{Nt,Nn,N
b}をそれぞれに計算し、局所的な制約ルールに入力す
る。更に、局所的な制約条件によって生じる矛盾が生じ
た場合は、条件を満たすようにμt,μn,μbの値を徐
々に更新していく。この処理を並列的に反復することに
よって、最終的にボクセルを”腫瘍”、”正常組織”、
または”境界”に分類する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPCの基本構成を示すブロック図あ
る。
【図2】Fastrack トラッキング・システムの
3次元空間座標系である。
【図3】図1のPCで実行される3次元画像取得処理の
一実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】図1のPCで取得されるボクセル・データの作
成結果の1例であり、同図(a)は、乳腺腫瘍の超音波
断層画像であり、同図(b)は、ボクセル・データ中の
zx平面の1断面図である。
【図5】図1のPCで実行される腫瘍抽出処理方法のア
ルゴリズムを説明するためのブロック図である。
【図6】輝度の重心と幾何学的な中心の輝度の重心と幾
何学的な中心の距離の概念図である。
【図7】メンバシップ関数の作成の手順を示すフローで
ある。
【図8】球によって腫瘍をモデル化したシミュレーショ
ン・ファントムに3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ
(3次元LoGフィルタ)をかけた出力の中心を通るプ
ロファイルである。
【図9】同図(a)は悪性腫瘍(画像サイズ:128×
128×128ボクセル)のボクセル・データにおける
zx平面の1断面を示しており、同図(b)はそれに対
するσ=5の3次元ガウシアン・ラプラスフィルタ(3
次元LoGフィルタ)の出力を示しており、同図(c)
は、”腫瘍”の領域のすべてに対して膨張・収縮処理工
程を行った後の画像である。
【図10】Rician関数のグラフである。
【図11】”腫瘍”、”正常組織”、”境界”に属する
ボクセルについての輝度平均値のヒストグラム及び近似
されたメンバシップ関数を示している。
【図12】特徴量における輝度の重心と幾何学的な中心
の距離のヒストグラム及び近似されたメンバシップ関数
を示している。
【図13】特徴量における輝度分散のヒストグラム及び
近似されたメンバシップ関数を示している。
【図14】Rayleigh分布関数のグラフである。
【図15】メンバシップ関数を利用してファジイ推論に
よる腫瘍領域の抽出を行う第2段階の処理フローであ
る。
【図16】同図(a),(b),(c)は、図9(a)
に示された悪性腫瘍(画像サイズ:128×128×1
28ボクセル)のボクセル・データに対して本ファジイ
推論機構を適用して得られた”腫瘍”,”正常組
織”,”境界”という3つのクラスに対するグレードを
表す画像である。
【図17】デファジイ工程のフローである。
【図18】同図(a)は、図16(a),(b),
(c)に示された3つの属性に関するグレードの画像を
デファジイすることによってクラス分けされた画像であ
り、同図(b)はボクセル連結性によって最終的に決定
された腫瘍の領域の境界とボクセル・データの断面とを
重ねた画像であり、同図(c)は本実施形態の腫瘍抽出
処理方法により抽出した腫瘍の表面形状の3次元像であ
る。
【図19】第1従来技術の基本構成を示すブロック図あ
る。
【図20】第2従来技術の基本構成を示すブロック図あ
る。
【符号の説明】
10…パーソナルコンピュータ(PC) 12…プローブ 121…超音波式プローブ 12a…探針データ 121a…超音波断層画像データ 13…3次元位置センサ 131…交流磁界位置センサ 13a…プローブ座標データ 14…トラッキング手段 15…3次元座標変換手段 15a…3次元画像データ 15b…3次元超音波画像データ 16…3次元ボクセル・データ発生手段 16a…ボクセル・データ 30…被測定物体 301…乳腺 ψ…3次元位置センサのプローブに相対する方位角 θ…3次元位置センサのプローブに相対する仰角 Ф…3次元位置センサのプローブに相対する横転角 T[aij]…変換行列 aij…行列要素 (x,y,0)…探針データまたは超音波断層画像デー
タの座標 (x’,y’,z’)…3次元画像データまたは3次元
超音波画像データの座標
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊東 紘一 栃木県河内郡南河内町薬師寺3311−1 自 治医科大学内 Fターム(参考) 4C096 AB50 AC03 AC04 DC20 DC21 DC28 DC40 4C301 BB13 DD07 DD24 EE11 JB50 KK26 KK30

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3次元のボクセルの各々に対して、超音
    波画像上における腫瘍の領域と周囲正常組織及び両者の
    境界に関する所定の統計量の分布をファジイ推論に利用
    するメンバシップ関数の[0,1]区分の確率分布とし
    て表現する特徴量演算工程と、 当該メンバシップ関数を備えたファジイ推論過程に基づ
    いて当該統計量の分布をまとめることによって腫瘍の領
    域を自動抽出する工程を含むメンバシップ関数自動生成
    工程と、 当該生成されたメンバシップ関数及びファジイ・ルール
    を含んで構成される前記ファジイ推論過程に基づいて、
    各ボクセルを、所定数のタイプの領域にクラス分けする
    ファジイ推論工程と、 弛緩法に基づいた非ファジイ化過程を各ボクセルに対し
    て行う工程と、前工程に続いて、各ボクセルを、”腫
    瘍”,”正常組織”または”境界”のいずれかに分類し
    て腫瘍領域の最終決定を行う工程とを含むデファジイ工
    程とを有することを特徴とする腫瘍抽出処理方法。
  2. 【請求項2】 前記ファジイ推論工程は、前記各ボクセ
    ルが、”腫瘍”,”正常組織”または”境界”である”
    らしさ”の度合いを求めると共に、当該求めた”らし
    さ”の度合いに応じた前記クラス分けを実行する過程を
    含むことを特徴とする請求項1に記載の腫瘍抽出処理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記特徴量演算工程で用いられる前記所
    定の統計量は、前記各ボクセルに対する輝度平均値を含
    み、 当該輝度平均値は、 輝度平均値={ΣΣΣf(i,j,k)}/N3 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1(N:自
    然数)であり、f(i,j,k)はボクセル(i,j,
    k)における輝度値を表し、Nは参照ボクセル・ボリュ
    ームの大きさ、Σは総和記号で与えられることを特徴と
    する請求項1に記載の腫瘍抽出処理方法。
  4. 【請求項4】 前記特徴量演算工程に用いられる前記所
    定の統計量は、前記各ボクセルに対する輝度の重心と幾
    何学的な中心の距離を含み、 当該各ボクセルに対する輝度の重心(gx,gy,gz
    は、 gx={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(i+1)}}/
    {ΣΣΣf(i,j,k)}, gy={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(j+1)}}/
    {ΣΣΣf(i,j,k)}, gZ={ΣΣΣ{f(i,j,k)・(k+1)}}/
    {ΣΣΣf(i,j,k)} で与えられ、 当該各ボクセルに対する輝度の重心と幾何学的な中心の
    距離は、 輝度の重心と幾何学的な中心の距離={(gx−cx2
    +(gy−cy2+(g z−cz21/2 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1であり、
    f(i,j,k)はボクセル(i,j,k)における輝
    度値を表し、N(自然数)は参照ボクセル・ボリューム
    の大きさ、(gx,gy,gz)は、それぞれ参照ボク
    セル・ボリュームにおける輝度の重心の座標、(cx,
    cy,cz)は幾何学的な中心の座標で与えられること
    を特徴とする請求項1に記載の腫瘍抽出処理方法。
  5. 【請求項5】 前記特徴量演算工程に用いられる前記所
    定の統計量は、前記各ボクセルに対する輝度分散を含
    み、 当該各ボクセルに対する輝度分散は、 輝度分散={ΣΣΣ{f(i,j,k)−u}2}/N3 ただし、i,j,k=0,1,2,…,N−1であり、
    f(i,j,k)はボクセル(i,j,k)における輝
    度値を表し、N(自然数)は参照ボクセル・ボリューム
    の大きさ、uは輝度平均値で与えられることを特徴とす
    る請求項3に記載の腫瘍抽出処理方法。
  6. 【請求項6】 前記メンバシップ関数自動生成工程は、
    被検者の皮下脂肪の厚さや周囲乳腺組織の状態に起因し
    て、乳腺超音波像上における輝度分布を含む統計量に変
    化がある場合、前記ファジイ推論に利用する当該メンバ
    シップ関数を前記ボクセル毎に3次元ガウシアン・ラプ
    ラスフィルタの出力に基づいて自動作成する工程であ
    る、 ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載
    の腫瘍抽出処理方法。
  7. 【請求項7】 前記メンバシップ関数自動生成工程は、 前記メンバシップ関数の作成に用いるボクセルを、 前記3次元ガウシアン・ラプラスフィルタg(r) g(r)=(R2−3σ2)/{(2π31/2・σ7}・
    exp{−r2/2σ2} rは原点からの距離、σはガウシアンの標準偏差で表さ
    れる3次元LoGフィルタ出力から求める3次元LoG
    フィルタ工程と、 前記3次元LoGフィルタ出力のゼロ・クロッシング点
    を結んで、抽出しようとする対象領域の”境界”を抽出
    する境界抽出工程と、 当該3次元LoGフィルタ出力が正値を示すボクセルを
    輝度の低い”腫瘍”に分類する腫瘍抽出工程と、 当該3次元LoGフィルタ出力が負値を示すボクセルを
    輝度の高い”正常組織”に分類する正常組織抽出工程
    と、 前記腫瘍抽出工程において”腫瘍”と分類されたボクセ
    ルに対して、膨張・収縮処理を行って、正常組織内部に
    孤立的に存在する”腫瘍”に分類されたボクセルや”境
    界”に分類されたボクセルを除去し、前記”腫瘍”に分
    類されたボクセルと他の輝度の低い閉領域が連結するよ
    うな場合に両者を分断する膨張・収縮処理工程と、 前記膨張・収縮処理工程の前後で共に”境界”に対して
    前記クラス分けが行われたボクセルのみに対して前記特
    徴量演算工程を実行して前記輝度平均値、前記輝度の重
    心と幾何学的な中心の距離及び前記輝度分散の3つの特
    徴量を計算するボクセル選別・特徴量計算工程と、 前記ボクセル選別・特徴量計算工程で求めた3つの特徴
    量の各々に対して、各々の確率密度関数に応じた前記メ
    ンバシップ関数を求めるメンバシップ関数決定工程とを
    有することを特徴とする請求項6に記載の腫瘍抽出処理
    方法。
  8. 【請求項8】 前記メンバシップ関数決定工程におい
    て、前記3つの特徴量の各々に対する確率密度係数を、 PA(x)=x/σ2・exp{(−x2+σ2)/σ2
    ・I0(xs/σ2)、 ここで、I0(x)は第1種第0次の変形ベッセル関
    数、 で表現することを特徴とする請求項7に記載の腫瘍抽出
    処理方法。
  9. 【請求項9】 前記メンバシップ関数決定工程におい
    て、前記輝度平均値に対するメンバシップ関数を、”腫
    瘍”についてはレイリー分布で表現された確率密度関数
    で近似すると共に、”正常組織”と”境界”については
    ガウス分布で表現された確率密度関数で近似することを
    特徴とする請求項8に記載の腫瘍抽出処理方法。
  10. 【請求項10】 前記メンバシップ関数決定工程におい
    て、前記輝度の重心と幾何学的な中心の距離に対するメ
    ンバシップ関数をレイリー分布で表現された確率密度関
    数で近似することを特徴とする請求項8に記載の腫瘍抽
    出処理方法。
  11. 【請求項11】 前記メンバシップ関数決定工程におい
    て、前記輝度分散に対するメンバシップ関数をレイリー
    分布で表現された確率密度関数で近似することを特徴と
    する請求項8に記載の腫瘍抽出処理方法。
  12. 【請求項12】 前記ファジイ推論工程は、前記メンバ
    シップ関数決定工程において生成した前記輝度平均値に
    対するメンバシップ関数、前記輝度の重心と幾何学的な
    中心の距離に対するメンバシップ関数及び前記輝度分散
    に対するメンバシップ関数と前記ファジイ・ルールを含
    んで構成される前記ファジイ推論過程に基づいて、前記
    各ボクセルを、”腫瘍”のクラスに属するグレード,”
    正常組織”のクラスに属するグレード、”境界”のクラ
    スに属するグレードの3つのグレードを用いて前記クラ
    ス分けを実行する工程を含み、 当該ファジイ・ルールは、前記輝度平均値をu、前記輝
    度の重心と幾何学的な中心の距離をd、前記輝度分散を
    vとしたとき、if then else条件文形式で
    表されたルール; R1: if (u is small) and
    (d is medium) and (v is s
    mall)then the voxel is ”t
    umor”, R2: if (u is large) and
    (d is medium) and (v is l
    arge)then the voxel is ”n
    ormal tissue”, R3: if (u is medium) and
    (d is large) and (v is me
    dium)then the voxel is ”b
    oundary” で表現されることを特徴とする請求項11に記載の腫瘍
    抽出処理方法。
  13. 【請求項13】 前記ファジイ推論工程は、前記輝度平
    均値をu、前記輝度の重心と幾何学的な中心の距離を
    d、前記輝度分散をvとしたとき、 前記メンバシップ関数決定工程において生成した前記輝
    度平均値に対するメンバシップ関数、前記輝度の重心と
    幾何学的な中心の距離に対するメンバシップ関数及び前
    記輝度分散に対するメンバシップ関数に基づいて前記各
    ボクセルにおける前記特徴量の各々に対する3つのクラ
    スに属するグレードμt|u,μt|d,μt|v,μn
    u,μn|d,μn|v,μb|u,μb|d,μb|vの
    各々を求める第1論理工程と、 当該グレードμt|u,μt|d,μt|v,μn|u,μ
    n|d,μn|v,μb|u,μb|d,μb|vの各々の
    値を、前記ファジイ推論の機構に入力して前記各ボクセ
    ルの”腫瘍”らしさを規定するアナログ値μt,”正常
    組織”らしさを規定するアナログ値μnまたは”境界”
    らしさを規定するアナログ値μbを求める第2論理工程
    とを含み、 当該ファジイ推論機構は、 R1:μt=min(μt|u,μt|d,μt|v), R2:μn=min(μn|u,μn|d,μn|v), R3:μb=min(μb|u,μb|d,μb|v) ただし、min(a1,a2,a3)はa1,a2,a3の中
    から最小値を選択する演算で表現されることを特徴とす
    る請求項11に記載の腫瘍抽出処理方法。
  14. 【請求項14】 前記デファジイ工程における、前記弛
    緩法に基づいた前記非ファジイ化過程を前記各ボクセル
    に対して行う工程は、 前記前記各ボクセルにおける前記特徴量の各々に対する
    3つのクラスに属するグレードの画像{μt,μn
    μb}から弛緩法に基づく前記非ファジイ化過程処理を
    行って全ボクセル・データを3つの領域に前記クラス分
    けを実行する際に、 (1)注目するボクセルが”腫瘍”であれば、”正常組
    織”に分類されたボクセルとは接しない、 (2)注目するボクセルが”境界”であれば、必ず”腫
    瘍”と”正常組織”のボクセルに接する、 (3)注目するボクセルが”正常組織”であれば、”腫
    瘍”に分類されたボクセルとは接しない といった規則に基づいて、”腫瘍”と接する”正常組
    織”を”境界”と定義する工程を含むことを特徴とする
    請求項12または13に記載の腫瘍抽出処理方法。
  15. 【請求項15】 前記デファジイ工程における、前記”
    腫瘍”,”正常組織”または”境界”のいずれかに分類
    して腫瘍領域の最終決定を行う工程は、 すべてのボクセルを、”腫瘍”のグレードを示す画像μ
    t、”正常組織”のグレードを示す画像μn、または”境
    界”のグレードを示す画像μbの中で最大値をとるクラ
    スに基づいてラベル付けするラベル付け工程と、 前工程に続いて、注目ボクセルに連結する3×3×3の
    領域内における”腫瘍”の領域のラベルの数Nt、”正
    常組織”の領域のラベルの数Nn、及び”境界”の領域
    のラベルの数Nbをそれぞれに計算するラベル数計算工
    程と、 当該ラベルの数(Nt,Nn,Nb)の各々を局所的な制
    約ルールに入力する処理を並列的に反復する並列反復工
    程とを含むことを特徴とする請求項12乃至14のいず
    れか一項に記載の腫瘍抽出処理方法。
  16. 【請求項16】 前記局所的な制約ルールは、if t
    hen else条件文形式で表されたルール; R1:if Nt>1 and Nb≧2 and Nn=1 then μt↓,μn↓,μb↑, R2:else if Nn>0 and Nb≧1 and Nt=1 then μt↑,μn↓,μb↓, R3:else if Nt=0 and Nb≧1 and Nn≧1 then μt↓,μn↑,μb↓, R4:else if Nt>Nn+12 then μt↑,μn↓,μb↓, R5:else if Nn>Nt+12 then μt↓,μn↑,μb↓, R6:else then μt↓,μn↓,μb↑, ただし、記号↑はその値にある定数Cを加えること、記
    号↓はその値から定数Cを減することを意味しているで
    表現されることを特徴とする請求項15に記載の腫瘍抽
    出処理方法。
  17. 【請求項17】 前記ラベル付け工程は、 前記局所的な制約条件によって生じる矛盾が生じた場
    合、”腫瘍”のグレードを示す画像、”正常組織”のグ
    レードを示す画像、または”境界”のグレードを示す画
    像の値を条件を満たすように徐々に更新する更新工程を
    含むことを特徴とする請求項15または16に記載の腫
    瘍抽出処理方法。
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