JP2000097401A - 高速炉用蒸気発生器 - Google Patents

高速炉用蒸気発生器

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JP2000097401A
JP2000097401A JP10265949A JP26594998A JP2000097401A JP 2000097401 A JP2000097401 A JP 2000097401A JP 10265949 A JP10265949 A JP 10265949A JP 26594998 A JP26594998 A JP 26594998A JP 2000097401 A JP2000097401 A JP 2000097401A
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tube
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Yoshinori Saito
義則 齋藤
Kazuo Takahashi
和雄 高橋
Shigehiro Shimoyashiki
重広 下屋敷
Hiromi Tokoi
博見 床井
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Hitachi Ltd
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    • F28F13/00Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing
    • F28F13/18Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing by applying coatings, e.g. radiation-absorbing, radiation-reflecting; by surface treatment, e.g. polishing

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Abstract

(57)【要約】 【課題】液体金属冷却方式の高速炉で使用される蒸気発
生器において、蒸気発生器の熱交換性能を低下させるこ
となく伝熱管の自己破損と、健全構造物への破損伝播の
各事故発生を防止する。 【解決手段】高速炉で使用される蒸気発生器の伝熱管1
の管壁2外側面には保護構造3が被覆されている。その
保護構造3が液体金属としてのナトリウムである第1冷
却材12と接し、伝熱管1内の水である第2冷却材14
に熱を保護構造3と管壁2を介して伝達する。保護構造
3は、クロム金属,クロム炭化物,クロム酸化物,遷移
金属または共有結合性の窒化物の、いずれかのコーティ
ング材料で構成される。この材料は、冷却材との共存性
や伝熱性能が良く、伝熱管の自己破損を防止でき、万一
伝熱管が破損して冷却材との化学反応に伴う高温と生成
物による侵食・腐食に晒されることがあっても、侵食破
壊や高温破壊を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伝熱管の破損伝播
を防止する構成を採用した高速炉用蒸気発生器に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】炉心に装荷された核燃料により発生した
熱を、炉心を冷却する様に通過する液体金属を介して水
に伝達し、この水を加熱・蒸発させ、発生した蒸気でタ
ービンを回転させることにより発電機を駆動し、発電を
行うプラントが公知である。
【0003】前記液体金属としては、(1)炉心の核燃
料から発生する中性子の捕獲・減速性能が低い、(2)
炉心における除熱性能と水への伝熱性能が高い、という
2つの特性を有するナトリウムやカリウム等のアルカリ
金属を利用する。
【0004】ただし、アルカリ金属は化学的活性が非常
に大きいために、アルカリ金属と水との接触は、大きな
発熱と、反応生成物の水素の発生に起因する高圧との発
生を伴う激しい化学反応となる。
【0005】液体金属の熱を水に伝達する手段として高
速炉用の蒸気発生器が用いられる。高速炉用蒸気発生器
は、肉厚数mmの管壁を有する複数の伝熱管を介して、管
外の液体金属から管内の水へ熱伝達及び水の加熱・蒸発
を行うための機器である。なお、伝熱管の管内の水は、
熱伝達による加熱・蒸発により高温化・高圧化されてお
り、液体の単相,気体の単相、及び液体と気体の混合す
る気液二相の、いずれの相の形態もなり得る。
【0006】万一、何らかの原因により伝熱管が破損し
た場合、伝熱管内部の高温・高圧の水は、伝熱管周囲の
液体金属の中へ流出(漏洩)して、この水は噴流(ジェ
ット)を形成する。
【0007】前記ジェットと周囲の液体金属との接触界
面で、前記の大きな発熱と高圧を伴う化学反応が発生す
る。このことから、前記ジェットは反応ジェットと呼ば
れる。
【0008】前記反応ジェットは、機械的損傷としての
侵食と化学的損傷としての腐食との作用を有する反応生
成物を伴って、前記の破損伝熱管に隣接する構造物を侵
食し、破損に至らせる可能性がある。なお、前記破損
を、侵食破損と呼ぶ。
【0009】また、前記反応ジェットは、反応発熱に起
因する高温領域を伴って、前記の構造物を高温に至ら
せ、この高温化した構造物の機械的強度を低下させて、
破損に至らせる可能性もある。なお、前記破損を、高温
破損と呼ぶ。
【0010】ここで、前記の構造物とは、破損していな
い健全な伝熱管,蒸気発生器内部において伝熱管を支持
する支持部,伝熱管や支持部および液体金属と水を内部
に保持するための胴など、蒸気発生器を構成する部材を
指す。
【0011】従来の高速炉では、万一の前記水漏洩およ
び反応ジェットが発生した事象を想定して、前記漏洩を
早期に検出してプラントを停止するための設備と、反応
ジェットに伴う圧力上昇を低圧化するための設備と、反
応ジェットに伴う反応生成物を蒸気発生器の外部へ回収
するための設備等の水漏洩対策設備を具備している。万
一前記水漏洩と反応ジェットが発生した場合に、次に示
す事象終息の対応が取られる。
【0012】反応ジェット発生事象は、前記漏洩検出設
備により検出されると、蒸気発生器の冷却水圧力を低下
させて前記漏洩を緩和し、同時に、高速炉プラント全体
を停止させるように対応される。
【0013】この対応を終了するまでの期間、反応ジェ
ットに伴う圧力上昇は前記低圧化設備により緩和され、
同時に反応生成物は前記回収設備により回収される。
【0014】これにより、前記事象が発生した場合に
も、反応ジェット事象を緩和しながら事象を終息させ
て、安全に高速炉プラントを維持することが可能であ
る。
【0015】一方、前記対策設備に加えて、蒸気発生器
の伝熱管を保護する技術が公知である。この技術は、破
損の潜在的な発生確率が当該部位以外の他の部位に比べ
て相対的に高い伝熱管部位に、破損防止のための保護構
造を有することで、前記水漏洩や反応ジェットの発生を
防止するものである。
【0016】この伝熱管の保護構造に関する公知技術と
しては、例えば以下のものがある。 公知技術(1)特開昭54−67106 号公報 ナトリウム加熱蒸気発生器の伝熱管の溶接部に、その外
周に空間を形成する保護管を設け、前記空間内部に漏洩
検出器を設けることを特徴とする。前記保護管により、
溶接部欠陥による材料損傷と伝熱管破損を防止し、前記
検出器により水漏洩を早期に発見して、ナトリウム−水
反応生成物を前記空間内部に保持することで、前記反応
生成物によるセルフプラグ効果を行う。
【0017】公知技術(2)特開昭54−96602 号公報 高不純物のナトリウム領域である、蒸気発生器内部のナ
トリウム液面の近傍部位に耐腐食性の優れた被覆材で伝
熱管を被覆することにより、伝熱管の腐食破損を防止す
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(1)お
よび(2)の公知技術は、前記水漏洩や反応ジェットの
発生を防止することは可能であるが、防止構造を有する
当該部位、即ち公知技術(1)では伝熱管溶接部、公知
技術(2)ではナトリウム液面近傍、の以外の部位での
自己破損防止対策が施されていない。
【0019】また、上記(1)および(2)の公知技術
は、万一、前記反応ジェットが発生した場合、発生元伝
熱管以外の健全な前記伝熱管を含む蒸気発生器内の健全
構造物への侵食破損や高温破損、いわゆる健全構造物へ
の破損伝播を防止することについては配慮されていな
い。
【0020】つまり、上記公知技術(1),(2)は、伝
熱管の自己破損を防止する目的は達成可能であるが、こ
の目的に併せて前記健全構造物への破損伝播という目的
については考慮されておらず、蒸気発生器自身の健全性
維持と財産保護について配慮されていない。
【0021】更には、上記公知技術(1),(2)は、予
め想定した自己破損における潜在可能性の高い部位に破
損防止構造を施すことから、前記想定部位以外の伝熱管
破損の保護に対して配慮されていない。
【0022】更に、上記公知技術(1),(2)は、伝熱
管破損を防止するための保護構造において、前記伝熱管
の本来の機能である管内外の各流体間の伝熱性能をでき
る限り損なわない技術として、配慮されていない。即
ち、一般的には、伝熱管に保護構造を施すことで、伝熱
管の伝熱性能が損なわれる傾向にある。
【0023】さらに、上記公知技術(1),(2)は、伝
熱管破損を防止するための保護構造において、当該保護
構造を成すための作業工程をできるだけ簡単化する、す
なわちできるだけ安価にするための技術として、配慮さ
れていない。
【0024】つまり、上記に代表される伝熱管の保護構
造に関する従来技術は、健全な構造物への破損伝播と、
破損防止構造を成した場合の伝熱管の伝熱性能の低下
と、保護構造を成すための簡単な製造方法に関して配慮
されていない。
【0025】本発明の目的は、伝熱管の管内外の流体間
の伝熱性能を極力損なわないようにしながらも、伝熱管
の破損時における健全構造物への破損伝播の防止を行っ
て高速炉用蒸気発生器の信頼性を向上する事にある。
【0026】
【課題を解決するための手段】第1手段は、伝熱管の管
壁を挟んで一方側に水が、他方側に液体金属が流される
高速炉用蒸気発生器において、前記液体金属側の前記管
壁面に、前記伝熱管の熱通過率以上の熱通過率を示す保
護構造で被覆してあることを特徴とする高速炉用蒸気発
生器であり、伝熱管は保護構造によって周囲から伝播し
て来る侵食破損や高温破損の原因を受け難く且つ保護構
造の熱通過率が伝熱管の熱通過率以上であるから、伝熱
管の伝熱性能の低下を抑制しながらも伝熱管の破損の伝
播を抑制することが出来るという作用で、高速炉用蒸気
発生器の信頼性が向上する効果が得られる。
【0027】第2手段は、第1手段において、管壁面を
複数の被覆材料で被覆して保護構造とし、前記複数の被
覆材料の一つは比較的熱伝達性能と柔軟性が他の被覆材
料よりも良く、前記他の材料は耐熱衝撃性能が前記一つ
の材料よりも良い材料であることを特徴とする高速炉用
蒸気発生器であり、第1手段による作用効果に加えて、
前記一つの材料の特性によって伝熱管の熱変形に優れた
追従作用を呈し、前記他の材料による良好な耐熱衝撃性
能が発揮されるので、伝熱管に対する保護構造の熱変形
追従性能と耐熱衝撃性能とを同時に得られるという作用
によって高速炉用蒸気発生器の信頼性が一層向上する効
果が得られる。
【0028】第3手段は、第1手段において、伝熱管は
複数本存在し、一本おきごとの前記伝熱管を保護構造で
被覆してあることを特徴とする高速炉用蒸気発生器であ
り、第1手段による作用効果に加えて、保護構造の施さ
れていない伝熱管が破損してもその影響は隣接する伝熱
管には保護構造に閉ざされて到達しにくく、破損の伝播
が抑制できる作用が得られ、少ない保護構造の採用で経
済的に高速炉用蒸気発生器の信頼性を向上出来る効果が
得られる。又、保護構造の採用伝熱管本数が少ないの
で、高速炉用蒸気発生器の熱交換性能が良い。
【0029】第4手段は、第1手段において、伝熱管は
複数本存在し、前記伝熱管は管軸方向に互い違いに保護
構造による被覆領域と非被覆領域とが配備され、且つ隣
接しあう前記伝熱管同士間では前記各領域が千鳥配置に
位置するように前記伝熱管が配置されていることを特徴
とする高速炉用蒸気発生器であり、第1手段による作用
効果に加えて、伝熱管の長さ方向においては隣接しあう
伝熱管同士で保護構造で被覆されている部分と被覆され
ていない部分とが対面しあって、被覆されていない部分
で破損が生じても、その破損個所に隣接する伝熱管の部
分は保護構造で被覆されてその破損の影響到達が保護構
造で抑制され、その破損による隣接伝熱管への破損伝播
が防止される作用が得られ、少ない保護構造の採用で経
済的に高速炉用蒸気発生器の信頼性を向上出来る効果が
得られる。又、伝熱管一本一本においても、交互に被覆
領域と非被覆領域とが存在するので、伝熱管一本一本の
保護構造の採用領域長さが短い上に非被覆領域での熱交
換性能は保護構造の影響を受けないから高速炉用蒸気発
生器の熱交換性能が良い。
【0030】第5手段は、第1手段において、液体金属
の液面が接する管壁部位及び伝熱管支持部に対面する管
壁部位並びに伝熱管の下部固定板への接続部真近の管壁
部位の各部位の内の少なくとも一つの部位が保護構造で
被覆されていることを特徴とする高速炉用蒸気発生器で
あり、第1手段による作用効果に加えて、伝熱管の部位
であって、破損の潜在的な発生確率が他の部位よりも相
対的に高い部位に限定して保護構造を採用して、伝熱管
の自己の破損や破損の影響の到達を受けにくくして、破
損の潜在的な発生確率が他の部位よりも相対的に高い部
位での破損の発生を抑制し、全体としての破損の確率を
低下させ、少ない保護構造の採用で効率良く経済的に高
速炉用蒸気発生器の信頼性を向上出来る効果が得られ
る。
【0031】第6手段は、第2手段において、複数の被
覆材料のうち比較的熱伝達性能と柔軟性に優れた材料を
基材とし、前記基材中に前記基材よりも耐熱衝撃性能の
良い被覆材料を、前記基材の厚み方向で、液体金属との
接触面側で濃くなるように変化させてあることを特徴と
する高速炉用蒸気発生器であり、第2手段による作用効
果に加えて、耐熱衝撃性能良い被覆材料に関して液体金
属との接触面側で濃くなるように変化させて、保護構造
に保護構造厚み方向の伝熱性能および機械的強度の変化
(すなわち温度依存性を有する機械的強度の厚み方向の
変化)を持たせる作用が得られ、その作用で耐熱衝撃性
を向上させることが可能となるという効果が得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明の実施例は、伝熱管の破損
と健全構造物への破損伝播とを防止するための保護構造
を、液体金属冷却方式の高速炉プラントで使用される高
速炉用蒸気発生器の伝熱管表面に成すことによって達成
される。
【0033】これにより、伝熱管の自己破損を防止する
と共に、万一伝熱管が破損して水漏洩と反応ジェットが
発生した場合にも健全構造物への破損の伝播を防止で
き、前記蒸気発生器や高速炉プラントの健全性を維持で
きる。
【0034】以下、本発明の各実施例をより具体的に説
明する。
【0035】第1実施例は次の通りである。
【0036】本発明の第1実施例である保護構造を成し
た伝熱管を、図1および図2を用いて説明する。
【0037】図1は本発明の第1実施例による保護構造
を成した伝熱管を有する蒸気発生器の縦断面構造図、図
2は本発明の第1実施例による保護構造を成した伝熱管
の縦断面図である。
【0038】蒸気発生器10における、加熱されて液体
金属状態のナトリウムを第1冷却材12とし、蒸気とな
る水を第2冷却材14とする熱交換は次のように行われ
る。第2冷却材14は、入口部24より下部ヘッダ20
に流入後、前記ヘッダ20に下部で連通するように接続
された複数の伝熱管1内部を通過して、前記伝熱管に上
部で連通するように接続された上部ヘッダ18を経由し
て出口部22より流出する。
【0039】一方、第1冷却材12は、胴16に接続さ
れた入口部26より流入し、前記伝熱管1の外部、すな
わち複数存在する前記伝熱管1の隙間を通過して、出口
部28より流出する。
【0040】なお、前記伝熱管1は、その上部を上部固
定板30で固定され、その下部を下部固定板32で固定
されていることで、前記の隙間が変化しないように維持
される。
【0041】さらに、伝熱管1は、伝熱管支持部34に
おいても前記の隙間が変化しないように維持される。
【0042】これら固定板30と32は、第1冷却材1
2と第2冷却材14とが混合しないようにお互いを隔離
する仕切板としての役割も担う。
【0043】第1冷却材12と第2冷却材14との熱交
換は、前記複数の伝熱管1を介して行われることにな
る。
【0044】本実施例における伝熱管1の管壁2の外側
には、第1冷却材12にその表面を接するように伝熱管
保護構造3を成している。
【0045】前記保護構造3は、保護構造3を成した伝
熱管1の自己破損と、万一周囲で伝熱管が破損した場合
に反応ジェットが発生して高温による過熱と反応生成物
による侵食・腐食に晒されることがあっても侵食破壊や
高温破壊を防止できる、次に示すいずれかのコーティン
グ材料で構成されている。
【0046】(A)クロム炭化物およびクロム酸化物 クロム化合物であるクロム炭化物およびクロム酸化物
(A)は、第1冷却材12であるアルカリ金属、特にナ
トリウムとの共存性(アルカリ金属と接触した際の侵食
耐久性)が良い。
【0047】また、上記クロム化合物は、伝熱管の材料
である鋼との親和性が良いクロムを含んでいることか
ら、伝熱管との接合強度(保護構造としての接合性能)
を良好に保てる。
【0048】クロム炭化物は、例えばCr32が知られ
ており、クロム酸化物は、例えばCr23が知られてい
る。
【0049】クロム炭化物およびクロム酸化物(A)に
代表されるクロム系物質は、酸素を含有した液体化した
アルカリ金属中に浸漬すると、前記物質の表面で化学反
応して、化学的に安定かつ表面保護作用を有するアルカ
リ金属−酸素−クロム化合物(アルカリ金属−クロマイ
ト)を形成する。
【0050】例えば、ナトリウムを冷却材とする高速炉
では、ナトリウム中にごく微量の酸素を含んでいること
から、この場合ナトリウムクロマイト(NaCrO2
を形成する環境は整っている。
【0051】また、クロム炭化物および酸化物は、万
一、前記のように、反応ジェットが発生して高温による
加熱と反応生成物による侵食・腐食に晒されることがあ
っても、耐熱性や侵食・腐食耐久性があることから、前
記侵食破壊や高温破壊を防止でき、耐久性が良い。
【0052】さらに、クロム炭化物およびクロム酸化物
(A)は、後述の(C)(D)のコーティング材料に比較
して比較的柔らかいために伝熱管1の熱変形に対する追
従性は良好であり、伝熱管の熱膨張による保護構造3の
剥離などによる欠損を防止することも容易である。
【0053】(B)クロム金属 クロム金属は、伝熱性能やアルカリ金属との共存性が良
く、伝熱管の保護材料として有効な特徴を持つ。
【0054】また、クロム金属は、前記(A)のコーテ
ィング材料以上に伝熱管の材料である鋼との親和性も良
いことから、接合性能をより良好に保てる。
【0055】さらに、万一、伝熱管が破損して前記冷却
材中に反応ジェットが発生した場合、噴出する水から分
解した酸素および冷却材と水との反応物(冷却材である
アルカリ金属の酸化物等)が冷却材に混入してクロム金
属を酸化させ、クロム金属で構成された保護構造と冷却
材との接触表面近傍の保護構造内部にクロム酸化物を形
成することになる。
【0056】上述の過程により形成されたクロム酸化物
は、前記(A)のコーティング材料に記載の特徴を有す
る。
【0057】上記(A)および(B)のコーティング材
料の特徴は、発明者らの実験において確認されている。
【0058】(C)遷移金属の窒化物(例えばTiN,
AlNなど) セラミックスの一種である遷移金属の窒化物(C)は、
前記反応ジェットに伴う過熱に晒された場合の耐熱衝撃
性能は良好であるが、一方で硬くて脆い性質を有する。
【0059】このことから、伝熱管の保護構造3を成す
にあたっては、金属材料を基材にした混合材料を用いた
方が、伝熱管の表面により安定化させることが可能で、
保護構造としての性能は高いという特徴もある。
【0060】(D)共有結合性の窒化物(例えばSi
N,BNなど) 上記(C)とは別のセラミックスの一種である共有結合
性の窒化物は、前記反応ジェットに伴う過熱に晒された
場合の耐熱衝撃性能と、伝熱性能は良好であり、さらに
(C)と比較して比較的柔らかく加工性に富むという特
徴を有する。
【0061】このことから、伝熱管の保護構造3を成す
にあたっては、高圧を付加して伝熱管1の外側表面へ、
前記窒化物を圧力接合をする方法、前記窒化物を気体化
して伝熱管1の外側表面に蒸着させる方法等、いろいろ
な加工方法を選択することが可能である。
【0062】伝熱管の保護構造の条件について、次に説
明する。
【0063】伝熱管を介する第1冷却材と第2冷却材と
の間の熱移動量(単位W)は、数式1で評価される。
【0064】数式1で使用される伝熱管全体の熱通過率
Ko(単位W/(m2・K))は、数式2で表される。
【0065】 伝熱管全体の熱伝達量=Ko×第1冷却材と第2冷却材との温度差 ×伝熱管全体の表面積(単位m2) …数式1 1/Ko=1/(第1冷却材と伝熱管との熱伝達率H1) +1/(第2冷却材と伝熱管との熱伝達率H2) +1/(管壁の熱通過率K1)+1/(保護構造の熱通過率K2) …数式2 ここで、「熱伝達率」および「熱通過率」の各用語を説
明する。
【0066】「熱伝達率」は、次のように定義される。
伝熱管に接する第1または第2冷却材と伝熱管との間に
温度差があるとき、「熱伝達率」は、第1または第2冷
却材と伝熱管との間の温度差(K)当たり、かつ伝熱管
全体における面積(m2)当たりに通過する、単位時間当
たりの熱移動量(W)を表す。
【0067】上記定義より、「熱伝達率」は、W/(m2
・K)の単位を持ち、異なる物質の組み合わせや物質の
流動状態(物質の流速など)に依存して変化する値であ
る。「熱通過率」は、第1冷却材と第2冷却材との間の
温度差(K)当たり、かつ伝熱管全体における面積
(m2)当たりに通過する、単位時間当たりの熱移動量
(W)を表す。
【0068】「熱通過率」は、W/(m2・K)の単位を
持ち、「熱伝達率」および「熱伝導率÷伝熱管厚さ」の
両者の意味を含んでおり、伝熱管の面積当たりにおける
熱通過のし易さを表す尺度である。
【0069】なお、前記伝熱管や保護構造の熱通過率
は、伝熱管や保護構造の熱伝導率÷厚さの大きさであ
る。
【0070】ここで「熱伝導率」は、次のように定義さ
れる。伝熱管のような均質物質内部の熱移動において、
熱の移動方向に直交する面積(単位m2 :この場合の面
積は伝熱管の表面積に相当する)当たり、および単位時
間当たりの熱移動量(単位W/m2)は、前記物体内の温
度勾配(単位K/m)に比例するフーリエの法則が成り
立つ。上記の関係における比例定数を、「熱伝導率」と
呼ぶ。
【0071】上記定義より、「熱伝導率」は、W/(m
・K)の単位を持ち、物質固有の値(物性値)である。
【0072】高速炉用蒸気発生器の伝熱管は鋼(ステン
レス鋼)製であることから、伝熱管の熱伝導率は10〜
30W/(m・K)である。また、伝熱管の管壁厚さは
数mmである。
【0073】このことから伝熱管の熱通過率K1は、1
千〜1万程度の大きさである。
【0074】一方、数式2の熱伝達率H1およびH2
は、1万以上である。
【0075】第1および第2冷却材の流速を高めること
で、蒸気発生器におけるH1およびH2の値を上記のご
とく高い数値になるよう設計される。
【0076】よって、K1の値は、H1およびH2より
も小さい。
【0077】数式2において、H1,H2,K1、およ
びK2が小さいほど、伝熱管全体の熱通過率Koも小さ
くなる。
【0078】そして、K1とK2が小さくなると、熱伝
達量は小さく、伝熱管の伝熱性能は低下することにな
る。
【0079】したがって、伝熱管の管壁材料を変更しな
いという条件において、伝熱管全体の伝熱性能を低下さ
せないためには、保護構造の熱通過率K2は、伝熱管の
熱通過率K1以上に大きくする必要がある。
【0080】この条件を数式で表せば数式3のように表
せる。また、数式3を書き換えて数式4のように表せ
る。
【0081】前述の伝熱管および保護構造の熱伝導率や
伝熱管の厚さによれば、数式4を満たす保護構造の厚さ
は、伝熱管の厚さの数分の1以下である。
【0082】 (保護構造の熱伝導率)÷(保護構造の厚さ) >(伝熱管の熱伝導率)÷(伝熱管の厚さ) …数式3 (保護構造の厚さ)< (伝熱管の厚さ)×(保護構造の熱伝導率)÷(伝熱管の熱伝導率) …数式4 本発明の実施例では、保護構造の材料として上記(A)
〜(D)のコーティング材料を選択しており、かつ前記
数式3または数式3を満たすように保護構造の厚さを成
している。
【0083】よって、本発明の実施例は、保護を成さな
い従来例と比較して、伝熱管の伝熱性能をほとんど低下
させない。
【0084】前記(A)〜(D)のコーティング材を保
護構造3として伝熱管1の表面に直接成すには、次のよ
うな方法がある。
【0085】コーティング材を鍍金(めっき)する方法
は、前記(B)のコーティングを用いた場合に利用でき
る。
【0086】コーティング材料を、高温にして液体化し
て物理的に溶解し塗布または溶剤と化学的に溶解・混合
した液体を塗布する方法は、前記(A)および(B)の
コーティング材料を用いた場合に利用できる。
【0087】コーティング材料を、高温にして気体化ま
たは電離(プラズマ)化して、蒸着または溶射等の高温
物理的処理により管表面に付着させる方法は、前記
(A)〜(D)のコーティング材料を用いた場合に利用
できる。
【0088】前記(A)〜(D)のコーティング材料を
保護構造3として成した伝熱管1は、伝熱管の自己破損
および健全構造物への破損伝播と、保護構造による伝熱
性能の低下、またはこの性能低下を補うために必要な伝
熱管面積と蒸気発生器の大きさの増大(すなわち蒸気発
生器の製造コストの増大)の、従来技術では達成できな
かった前記第1目的を達成できる。
【0089】図3に、本発明の第2実施例を示す。その
第2実施例において、以下に述べる変更内容以外は、第
1実施例と同じである。
【0090】図1では、伝熱管保護構造3は、前記
(A)〜(D)のコーティング材料のいずれかによる単
一物質、つまり単一相で構成されている。
【0091】本実施例の図3における伝熱管保護構造3
aは、前記(A)〜(D)のいずれかによる一つ以上の
材料組成の物質、つまり複数相で構成されたコーティン
グ材料5aおよび5bと、5aおよび5bとは別の材料
による基材6で構成されている。
【0092】コーティング材料としてセラミックスの
(C)または(D)のコーティング材料を選択した場
合、基材6として金属の(A)のコーティング材料また
は金属化合物の(B)のコーティング材料を選択するこ
とは、次の理由で適切である。
【0093】第1の理由は、基材6の持つ伝熱管との良
好な親和性により、コーティング材料5aおよび5bと
伝熱管2aとの良好な接合強度の性能が得られることで
ある。
【0094】第2の理由は、金属または金属化合物の基
材が持つ特性である高い延性とねばり強さにより、保護
構造全体に高い柔軟性を保つことができ、かつ高温に晒
された場合に発生する伝熱管全体の熱膨張に対して保護
構造全体の高い熱変形追従性能が得られることである。
【0095】第3の理由は、第1の理由および第2の理
由により、保護構造を安定に保つことである。
【0096】第4の理由は、(A)または(B)のコー
ティング材料の熱伝導率は(C)または(D)のコーテ
ィング材に比べて高いことから、(C)または(D)の
コーティング材のみで保護構造を成した場合と比較して
本実施例の伝熱性能はより良好に保てることである。
【0097】以上の理由から、第1実施例において前記
(C)または(D)をコーティング材として選択した場
合と比較して、伝熱性能と熱変形追従性能を、より良好
にすることが可能である。
【0098】図4に、本発明の第3実施例を示す。第3
実施例において、以下に述べる変更内容以外は、第1実
施例と同じである。
【0099】図1では、伝熱管保護構造3は、第1冷却
材12に接触する伝熱管1の外側表面全体に施されてい
る。
【0100】本実施例の図4における伝熱管保護構造3
bは、複数の伝熱管の縦方向に一本おきの間隔にある伝
熱管2bの外側表面に成しており、伝熱管2bと保護構
造3bで保護構造を成した伝熱管1bが構成されてい
る。
【0101】一方、1bの間には保護構造を成さない伝
熱管8があることで、保護構造を成す伝熱管1bを、縦
方向(鉛直方向)に隣接しないように隔てている。
【0102】万一、伝熱管が破損して反応ジェットが発
生した場合、このジェットは、流出した高温・高圧水が
減圧沸騰して出来た水蒸気や水−アルカリ金属反応に伴
う水素ガスのために、ジェット周囲の冷却材に比べて小
さい密度となり、上方へ浮上する傾向がある。
【0103】このことから、前述の事象終息対応の期間
中に伝熱管の破損伝播を最低限防止するには、複数の伝
熱管の上下方向に破損伝播が防止できれば良く、そのた
めには(1)保護構造の有る伝熱管の自己破損を防止で
き、(2)保護構造の無い伝熱管で破損した場合にその
上下方向にある保護構造の有る伝熱管への破損伝播が防
止できる、本実施例で十分である。
【0104】本実施例のように、保護構造を成す領域を
複数伝熱管のある部分に限定することで、保護構造を成
すための工数(作業工程)を簡略化・低減化することが
可能である。
【0105】上記の保護構造3bは、第1実施例と同様
のコーティング材と保護構造の厚さを有することで、前
述のように保護構造を成した場合における伝熱管全体の
伝熱性能を低下を防止できる。
【0106】このことから、本実施例は、前述第2目的
を達成できる。
【0107】ただし、伝熱管1bは、保護構造を成さな
い伝熱管の領域を有することから、この領域の伝熱管保
護効果すなわち伝熱管の自己破損防止効果は無く、万
一、伝熱管が破損して反応ジェットが発生した場合、こ
の発生領域に隣接する健全構造物の保護と破損伝播の防
止のみの効果を有する。
【0108】図5に、本発明の第4実施例を示す。第4
実施例において、以下に述べる変更内容以外は、第3実
施例と同じである。
【0109】図4に示した伝熱管保護構造3bは、前述
の反応ジェット事象終息対応の期間中に伝熱管の破損伝
播を最低限防止するために、複数の伝熱管における縦方
向に一本おきの間隔で該当伝熱管一本の外側表面全体に
施されている。
【0110】一方、本実施例の図5における伝熱管1c
は、複数の伝熱管の軸方向位置に保護構造3cを成す領
域(伝熱管軸方向位置の範囲)と保護構造を成さない領
域とで、管1cの軸方向位置に交互に直列している。
【0111】さらに、伝熱管1cに隣接する別の伝熱管
1dは、1cと同様に保護構造を成しているが、この保
護構造を成す領域は1cと異なる伝熱管軸方向位置であ
る。本実施例は、第3実施例同様に前述の事象終息対応
の期間中に伝熱管の破損伝播を防止するために、上記の
保護構造を設けることで(1)保護構造の有る伝熱管の
自己破損を防止でき、(2)保護構造の無い伝熱管で破
損した場合にこの管軸に垂直面に位置する隣接伝熱管の
位置に保護構造を成していることで隣接伝熱管への破損
伝播が防止できる。
【0112】本実施例のように、保護構造を成す領域を
複数伝熱管のある部分に限定することで、第3実施例と
同様、保護構造を成すための工数を簡略化・低減化する
ことが可能である。
【0113】また、上記の保護構造3cは、実施例1と
同様のコーティング材と保護構造の厚さを有すること
で、前述のように保護構造を成した場合における伝熱管
全体の伝熱性能を低下を防止できる。
【0114】3cは、第3実施例と同様に、伝熱管破損
の発生領域に隣接する健全構造物の保護と破損伝播の防
止のみの効果を有する。
【0115】図6に、本発明の第5実施例を示す。第5
実施例において、以下に述べる変更内容以外は、第1実
施例と同じである。
【0116】第3および第4実施例のように保護構造を
成す伝熱管領域を限定する方法として、伝熱管破損の潜
在的確率の高い部位に限定して保護構造を成す方法も取
ることが可能である。
【0117】このことから、本実施例では上記の保護構
造を成す領域を、次の領域に限定している。
【0118】本実施例は、伝熱管の自己破損の潜在的確
率の高い伝熱管の接続(溶接)部近傍に、保護構造3g
を設けている。
【0119】さらに本実施例では、熱膨張や冷却材流動
に伴い伝熱管が振動することで伝熱管支持部との磨耗損
傷による自己破損の潜在的確率の高い伝熱管支持部34
e近傍に保護構造3fを設ける。
【0120】さらに本実施例は、第1冷却材の液面近傍
に、保護構造3eを設けている。
【0121】前記3eを設ける理由は、前記冷却材に微
量ながら含まれる腐食物(この腐食物は、冷却材と冷却
材不純物との化学反応により発生)は、前記冷却材より
密度が小さいために前記冷却材液面近傍に集まりやすい
ことと前述のように反応ジェットが発生した場合に浮力
により浮上して拡大しやすいことの理由で、前記ジェッ
トに伴う反応物が前記冷却材液面近傍に集まりやすいこ
とによる。
【0122】このように、本実施例の保護構造は、伝熱
管の自己破損の潜在的確率を低減することで、保護構造
を成した伝熱管の自己破損と破損伝播を防止可能であ
る。
【0123】上記の保護構造3e,3f,3gは、第1
実施例と同様のコーティング材料と保護構造の厚さを有
することで、前述のように保護構造を成した場合におけ
る伝熱管全体の伝熱性能の低下を防止できる。
【0124】本実施例では、第3および4実施例同様
に、保護構造を成すための工数を簡略化・低減化するこ
とが可能である。
【0125】図7に、本発明の第6実施例を示す。第6
実施例において、以下に述べる変更内容以外は、第2実
施例と同じである。
【0126】本実施例の図7における伝熱管保護構造3
hは、前記(A)〜(D)のコーティング材料のいずれ
かによる一つ以上の材料組成の物質で構成されたコーテ
ィング材料5hと、5hとは別の材料による基材6hで
構成されている。
【0127】さらに、コーティング材料5hが6h中に
含まれる濃度は、保護構造3hの厚さ方向に変化してお
り、コーティング材料の濃度変化に伴う保護構造厚み方
向の伝熱性能および機械的強度の変化(すなわち温度依
存性を有する機械的強度の厚み方向の変化)を持たせる
ことで耐熱衝撃性を向上させた傾斜機能材としての機能
を有している。
【0128】上記の傾斜機能材は、次の特徴を持つ。
【0129】コーティング材5hは、前記(C)または
(D)のコーティング材料のいずれかによる一つの材料
組成の物質で構成され、保護構造の厚さ方向に対して伝
熱管2hに近い厚さ方向位置ほどより低い濃度で、伝熱
管外側の第1冷却材12hに近い厚さ方向位置ほどより
高い濃度である。
【0130】基材6hは、前記(A)または(B)のい
ずれかによる一つの材料組成の物質で構成され、5hと
は逆に、保護構造の厚さ方向に対して伝熱管2hに近い
厚さ方向位置ほどより高い濃度で、伝熱管外側の第1冷
却材12hに近い厚さ方向位置ほどより低い濃度であ
る。
【0131】万一、反応ジェットが発生した場合、伝熱
管の外側(第1冷却材に近い側)が、高温のジェットに
晒されることになる。
【0132】この場合、高温のジェットから伝熱管の内
部に向けて熱が伝えられることで、伝熱管の外側から内
側の厚さ方向へ、時間経過と共に順次管壁の温度が上昇
する。
【0133】一方、(C)または(D)のコーティング
材料は、(A)または(B)のコーティング材料と比較
して、耐熱衝撃性能が相対的に良いが、伝熱性能との接
合性能は相対的に良くない。
【0134】このことから、前記のように5hと6hを
配置した保護構造3hは、破損伝播を想定した場合に、
より高温になる伝熱管の外側の耐熱衝撃性能を高めてお
り、かつ通常の伝熱管使用時に伝熱性能と接合性能を高
く維持するという、5hと6hの優れた性能を合わせ持
つことが実現できる。
【0135】また、保護構造3hは、実施例2に記載の
特徴に併せて、耐熱衝撃性能と伝熱性能と接合性能を第
2実施例と比較してより良好にすることが可能である。
【0136】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、保護構造物を
伝熱管に装備して破損伝播を抑制できる上に、保護構造
物を装備したにもかかわらず伝熱管の伝熱性能を良好に
維持できるから、高速炉用蒸気発生器の性能を極力低下
させることなく高速炉用蒸気発生器の信頼性を向上でき
る。
【0137】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
による効果に加えて、複数の被覆材料の特性を利用して
伝熱管に対する保護構造の熱変形追従性能と耐熱衝撃性
能とを同時に発揮して高速炉用蒸気発生器の信頼性が一
層向上する効果が得られる。請求項3の発明によれば、
請求項1の発明による効果に加えて、少ない保護構造の
採用で経済的に且つ作業工程を簡単にしつつも高速炉用
蒸気発生器の信頼性を向上出来る効果が得られる。
【0138】請求項4の発明によれば、請求項1の発明
による効果に加えて、少ない保護構造の採用で経済的に
しつつも高速炉用蒸気発生器の信頼性を向上出来る効果
が得られる。
【0139】請求項5の発明によれば、請求項1の発明
による効果に加えて、伝熱管破損の潜在的な発生確率が
他の部位よりも相対的に高い部位での破損の発生を抑制
して高速炉用蒸気発生器の信頼性を向上出来る効果が得
られる。
【0140】請求項6の発明によれば、請求項2の発明
による効果に加えて、耐熱衝撃性に期待する被覆材料の
保護構造の厚み方向での濃度変化によって、その耐熱衝
撃の機能強化を達成でき、保護構造の外表面側で最大の
耐熱衝撃性を得ることが出来る様になって耐熱衝撃性を
向上させ、高速炉用蒸気発生器の信頼性を一層向上出来
る効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による保護構造を成した伝
熱管の縦断面図である。
【図2】図1の伝熱管を用いた高速炉用蒸気発生器の縦
断面図である。
【図3】本発明の第2実施例による保護構造を成した伝
熱管の管壁部分の縦断面図である。
【図4】本発明の第3実施例による保護構造を成した伝
熱管を有する蒸気発生器内の伝熱管配置を示す横断面図
である。
【図5】本発明の第4実施例による保護構造を成した伝
熱管を有する蒸気発生器内の伝熱管配置を示す縦断面図
である。
【図6】本発明の第5実施例による保護構造を成した伝
熱管を有する蒸気発生器の縦断面図である。
【図7】本発明の第6実施例による保護構造を成した伝
熱管の管壁の縦断面図である。
【符号の説明】
1…伝熱管、2…管壁、3…保護構造、10…蒸気発生
器、12…第1冷却材、14…第2冷却材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 下屋敷 重広 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 床井 博見 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】伝熱管の管壁を挟んで一方側に水が、他方
    側に液体金属が流される高速炉用蒸気発生器において、 前記液体金属側の前記管壁面に、前記伝熱管の熱通過率
    以上の熱通過率を示す保護構造で被覆してあることを特
    徴とする高速炉用蒸気発生器。
  2. 【請求項2】請求項1において、管壁面を複数の被覆材
    料で被覆して保護構造とし、前記複数の被覆材料の一つ
    は比較的熱伝達性能と柔軟性が他の被覆材料よりも良
    く、前記他の材料は耐熱衝撃性能が前記一つの材料より
    も良い材料であることを特徴とする高速炉用蒸気発生
    器。
  3. 【請求項3】請求項1において、伝熱管は複数本存在
    し、一本おきごとの前記伝熱管を保護構造で被覆してあ
    ることを特徴とする高速炉用蒸気発生器。
  4. 【請求項4】請求項1において、伝熱管は複数本存在
    し、前記伝熱管は管軸方向に互い違いに保護構造による
    被覆領域と非被覆領域とが配備され、且つ隣接しあう前
    記伝熱管同士間では前記各領域が千鳥配置に位置するよ
    うに前記伝熱管が配置されていることを特徴とする高速
    炉用蒸気発生器。
  5. 【請求項5】請求項1において、液体金属の液面が接す
    る管壁部位及び伝熱管支持部に対面する管壁部位並びに
    伝熱管の下部固定板への接続部真近の管壁部位の各部位
    の内少なくとも一つの部位が保護構造で被覆されている
    ことを特徴とする高速炉用蒸気発生器。
  6. 【請求項6】請求項2において、複数の被覆材料のうち
    比較的熱伝達性能と柔軟性に優れた材料を基材とし、前
    記基材中に前記基材よりも耐熱衝撃性能の良い被覆材料
    を、前記基材の厚み方向で、液体金属との接触面側で濃
    くなるように変化させてあることを特徴とする高速炉用
    蒸気発生器。
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