JP2000057124A - 組合せ最適化方法および組合せ最適化システム - Google Patents

組合せ最適化方法および組合せ最適化システム

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JP2000057124A
JP2000057124A JP22957498A JP22957498A JP2000057124A JP 2000057124 A JP2000057124 A JP 2000057124A JP 22957498 A JP22957498 A JP 22957498A JP 22957498 A JP22957498 A JP 22957498A JP 2000057124 A JP2000057124 A JP 2000057124A
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JP22957498A
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Hiroshi Mamizuka
拓 馬見塚
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Real World Computing Partnership
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NEC Corp
Real World Computing Partnership
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数地点(マーカー或いはプローブ)のすべ
ての各二地点間の距離を所与のデータとし、距離和が最
短となる地点の順序を決める組合せ最適化方法を提供す
る。 【解決手段】 本発明による組合せ最適化方法は、前記
順序の各順番において、どの地点を通るかを与える確率
分布を持つ確率モデルを使用し、確率的な探索を使用せ
ずに、与えられたデータから最適な確率分布を推定する
際に大域的最適解を得るステップを有することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数地点の各二地
点間の距離を所与のデータとし、各地点を一回のみ通過
しながら、全地点を最短距離で経由する道(地点の順
序)を求めるという組合せ最適化問題を解決する方法お
よびそれを実行するシステムに関し、特に、遺伝子地図
を作成する際に、複数のプローブ(あるいはマーカー)
間の各対間の距離のデータから、距離和が最小なプロー
ブの順序(オーダー)を決定する方法およびシステムに
関する。
【0002】
【従来の技術】複数の地点とその中の2地点間の距離が
すべて与えられた際に、各地点を一回のみ通過しなが
ら、全地点を最短距離で経由する道(地点の順序)を求
める問題は、巡回セールスマン問題(以下、TSP)と
呼ばれる。n個の地点があった場合に、各地点を一回の
み通過し全地点を通過するという条件を満たす道は、
(n!)/2個の組合せがある。すなわち、TSPはこ
れらの組合せの中から最適解を探索する組合せ最適化問
題の一つである。
【0003】組合せ最適化問題では、すべての組合せの
数は指数関数で増大するため、従来の解法は、現実時間
内では、いずれも準最適解が得られることのみしか保証
しない。その中で、初期値にかかわらず大域的な最適解
を得る可能性が高い手法は、シミュレーテッドアニーリ
ングをはじめとした確率的探索手法である。シミュレー
テッドアニーリングは、1983年発行の米国の雑誌
「サイエンス(Science)」の220号671−680頁
記載のカークパトリック(Kirkpatrick) らによる論文
「オプティマイゼーション バイ シミュレーテッド
アニーリング」(Optimization by Simulated Annealin
g) において提案された。
【0004】シミュレーテッドアニーリングでは、確率
的な探索アルゴリズムを使用することにより、初期値に
よらない大域的最適解の探索を可能にしている。さら
に、確率的な遷移の起きやすさに比例した温度パラメー
タを目的関数に対して導入し、探索効率の向上を狙って
いる。すなわち、温度パラメータが大きい場合には、探
索の際の確率的な遷移が頻発し、一方、温度パラメータ
が低下するにつれ確率的な遷移は減少し、適当な解へと
収束する。
【0005】このように、シミュレーテッドアニーリン
グは初期値にかかわらず大域的最適解の探索を可能に出
来るという長所を持っている。この長所を持ち得る、同
様の確率的な探索を行う手法として、マルコフチェイン
モンテカルロが挙げられる。しかしながら、いずれの手
法も確率的な探索を行うため、同一の初期値を用いても
得られる解が一定しないという問題点がある。また、確
率的な探索のため、一般には、計算時間がかかるという
問題点も挙げられる。
【0006】さらに、シミュレーテッドアニーリングで
は、確率的な探索とともに温度パラメータを低下させる
ため、温度パラメータのスケジューリングが難しいとさ
れている。
【0007】これらの欠点を補うため、確率的な探索を
行わずに大域的最適解を求めることが可能な決定的アニ
ーリングと呼ばれる手法がある。決定的アニーリングで
は、シミュレーテッドアニーリングと同様に温度パラメ
ータを導入し、目的関数の代わりに温度パラメータに依
存する関数を考慮する。この関数は、温度が高い時は目
的関数の大まかな構造を表し、温度が十分低い時に目的
関数に一致する。したがって、決定的アニーリングで
は、温度パラメータの各値で考慮すべき関数の最小(極
小)値を決定的アルゴリズムにより求めて行く。これに
より、確率的なアルゴリズムを使用することなく、大域
的最適解を高い確率で求めることが可能になる。
【0008】決定的アニーリングは、1993年発行の
米国の雑誌「アイトリプルイー トランザクションズ
オン パターン アナリシス アンド マシーン イン
テリジェンス」(IEEE Transactions on Pattern Analys
is and Machine Intelligence)の15号785−794
頁記載のローズ(Rose)らによる論文「コンストレインド
クラスタリング アズ アン オプティマイゼーショ
ン メソード」 (Constrained Clustering as an Optim
ization Method) において、複数の地点の座標が与えら
れた場合にそれら地点を一回ずつ通りながら最短で経由
する道を探索するジオメトリックTSPと呼ばれる問題
に対して適用されている。
【0009】しかしながら、ジオメトリックTSPでは
なく、より一般的な、複数地点のすべての各二地点間の
距離がデータとして与えられた場合のTSPに対する決
定的アニーリングによる解法およびそれを実現するシス
テムは、まだ存在しない。
【0010】一方、近年のいわゆるゲノムプロジェクト
の進展により、大量の遺伝子配列が同定されて来てい
る。遺伝子は4種類の塩基からなり、いわば4種類の文
字からなる文字列であるが、遺伝子配列の同定において
は、遺伝子の文字列を決定する前に、まず、プローブや
マーカーと呼ばれる特徴的な配列が遺伝子のどこにある
か(遺伝子のどこにどのようなプローブ(やマーカー)
があるかを記したものを遺伝子(染色体)地図と呼ぶ)
を決定する。すなわち、遺伝子地図を、まず作成し、そ
の中で重要と思われる配列から文字列を順次決定する。
【0011】遺伝子地図の作成は二段階の手順からな
り、まず分子生物学的な実験を行い、次に実験データを
処理する。最初の段階で使用される実験手法は複数存在
し、それら各々の実験手法に応じて得られるデータは異
なっている。
【0012】しかしながら、処理すべき実験データの形
式はほぼ同一であり、次の段階での処理手法が、いずれ
の実験データに対しても適用可能である。
【0013】そこで、ここでは、最初の段階の実験手法
としてラジエーションハイブリッドマッピング(以下、
RHマッピング)を使用した場合について説明する。R
Hマッピングは、1990年発行の米国の雑誌「サイエ
ンス(Science) 」の250号245−250頁記載のコ
ックス(Cox) らによる論文「ラジエーション ハイブリ
ッド マッピング:アソマティック セル ジェネティ
ック メソード フォー コンストラクティング ハイ
レゾリューション マップス オブ マンマリアン ク
ロモソームス」(Radiation Hybrid Mapping: A Somatic
Cell GeneticMethod for Constructing High-Resoluti
on Maps of Mammalian Chromosomes)において提案され
た。RHマッピングは、この提案以降、非常に頻繁に使
用されている。
【0014】この方法では、γ線を充てることにより遺
伝子をランダムに壊し、壊れた遺伝子の破片を分子生物
学的な操作によりランダムに取り出し、破片にどのよう
なマーカー(短い配列)が残っているかを検出する。一
回の実験により、いくつかのマーカーが検出されるの
で、検出されたマーカーを1、検出されないマーカーを
0とすれば、実験とマーカーを行と列とし、1または0
の要素からなる行列が実験データとして得られる。γ線
の遺伝子への放射はランダムに行われ、マーカー間の距
離が近いものほど破片に残りやすいので、実験データの
行列において、列間の要素がなるたけ一致している列ほ
ど、そのマーカー間の距離が近いことになる。すなわ
ち、列の要素の違い(変化)がマーカー間の距離に対応
している。
【0015】さて、遺伝子地図作成の第二段階は、RH
マッピングの実験データから、各マーカー間の距離(列
の要素の違い(より具体的には、与えられた行列の列間
のハミング距離))を算出し、さらに、各マーカー間の
距離の和が最小になるようにマーカーの順序(以下、オ
ーダーと呼ぶ)を決定し、得られたオーダーとそのマー
カー間の距離から遺伝子地図を作成することに相当す
る。
【0016】特に、列間のハミング距離が計算されたと
して、それらから、各マーカーを一回ずつ考慮したマー
カーのオーダーの中で、最もマーカー間の距離和が小さ
くなる順序を求める部分は最も重要な問題である。
【0017】この問題は,RHマッピング以外の実験手
法を用いた場合にも、共通に存在する。例えば、遺伝子
を制限酵素を用いることによりクローンと呼ばれる断片
に切断し、各クローンにどのようなプローブ(短い配
列)が検出されたかを調べる手法がある。この手法で得
られる実験データは、行をクローン、列をプローブとし
た行列であり、実験データよりプローブのオーダーを決
定することがデータ処理の目的となる。従って、RHマ
ッピングの場合と同様に、列間のハミング距離を計算
し、距離和が最小となるようなプローブのオーダーを決
定すれば良い。
【0018】さて、列間のハミング距離が計算されたと
して、それらから、距離和が最小になるようにマーカー
のオーダーを決定する問題は、オーダーにはマーカーを
一回ずつしか使わないので、マーカーをTSPにおける
地点とし、マーカー間のハミング距離を地点間の距離と
みなせば、TSPという一般的な組合せ最適化問題に相
当する。
【0019】そのため、遺伝子地図作成の際にマーカー
のオーダーを決定するという問題に対しても、組合せ最
適化手法が使用されており、大域的最適解を求めるため
に、前述のシミュレーテッドアニーリングやマルコフチ
ェインモンテカルロが使用されている。例えば、199
4年発行の英国の雑誌「ゲノミクス」(Genomics)の22
号482−486頁記載のモット(Mott)らによる論文
「アン アルゴリズムツウ ディテクト キメリック
クローンズ アンド ランダム ノイズ インゲノミッ
ク マッピング」 (An Algorithm to Detect Chimeric
Clones and Random Noise in Genomic Mapping) や19
93年発行の英国の雑誌「コンピュータ アプリケーシ
ョンズ イン ザ バイオサイエンシイズ」(Computer
Applications in the Biosciences)の9号215−21
9頁記載のアーノルド(Arnold)らによる論文「オーディ
エス:オーダリング ディエヌエイ シークエンスイズ
−ア フィジカル マッピング アルゴリズム ベイス
ド オン シミュレーテッド アニーリング」 (ODS:Or
dering DNA Sequences - a Physical Mapping Algorith
m Based on Simulated Annealing) などにおいてシミュ
レーテッドアニーリングが使用されている。また、19
97年発行の米国の雑誌「ジャーナル オブ コンピュ
テーショナル バイオロジー」(Journal of Computatio
nal Biology)の4号505−516頁記載のヒース(Hea
th) による論文「マルコフ チェイン モンテ カルロ
メソーズ フォー ラジエーション ハイブリッド
マッピング」 (Markov Chain Monte Carlo Methods for
Radiation Hybrid Mapping)においてマルコフチェイン
モンテカルロ法が使用されている。
【0020】しかし、前述のように、いずれの手法も確
率的な探索を行うため、初期値から得られる解に再現性
が必ずしもなく、また、計算時間がかかるという問題点
がある。
【0021】一方、確率的な探索を行わず大域的最適解
を求める手法として、例えば、前述の決定的アニーリン
グがある。しかし、前述のように、決定的アニーリング
はジオメトリックTSPにのみ適用されており、一般的
な各二地点間の距離のデータが与えられるTSPを決定
的アニーリングにより解く方法およびそのシステムは存
在しない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、遺伝
子地図の作成の際に、マーカー(プローブ)の順序付け
を組合せ最適化問題として解く必要がある。さらに、現
在、この組合せ最適化問題を解くために、大域的最適解
を探索可能なアルゴリズムを使用する場合には、シミュ
レーテッドアニーリングやマルコフチェインモンテカル
ロが使用されている。しかしながら、前述のように、い
ずれの手法も確率的な探索アルゴリズムであるため、一
定の初期値から得られる解に再現性がなく、また、計算
時間がかかるという問題点があった。
【0023】特に、マルコフチェインモンテカルロを用
いた手法では、マーカーの順序それぞれに確率を与える
が、順序は、マーカーの数に対して指数オーダーで増え
るため、現実時間で扱うことが可能なマーカーの数は極
端に限られる。
【0024】また、シミュレーテッドアニーリングによ
る手法においても、前述のように必要とする計算時間の
大きさから扱えるマーカー数に制限があった。
【0025】一方、例えばこの問題を、確率的な探索を
使用せず、計算効率が比較的良い、前述の決定的アニー
リングにより解こうとしても、ジオメトリックTSPに
対する解法しかなく、一般的なTSPに対する解法は存
在しない。
【0026】従って、この問題に対して、扱うことが可
能なマーカーの数に制限がなく、また、確率的アルゴリ
ズムを使用せず、比較的短い計算時間で大域的最適解を
求めることが可能な手法およびシステムが強く求められ
ていた。
【0027】従って本発明の課題は、複数地点のすべて
の各二地点間の距離を所与のデータとし、各地点を一回
のみ通過しながら、全地点を最短距離で経由する道(地
点の順序)を求めるという組合せ最適化問題に対し、確
率的探索手法を使用せずに、短時間でかつ高精度に問題
を解決する方法およびそれを実行するシステムを提供す
ることにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様によ
れば、複数地点のすべての各二地点間の距離を所与のデ
ータとし、距離和が最短となる地点の順序を決める組合
せ最適化方法において、前記順序の各順番において、ど
の地点を通るかを与える確率分布を持つ確率モデルを使
用し、確率的な探索を使用せずに、与えられたデータか
ら最適な確率分布を推定する際に大域的最適解を得るス
テップを有することを特徴とする組合せ最適化方法が得
られる。
【0029】本発明の第2の態様によれば、複数地点の
すべての各二地点間の距離を所与のデータとし、距離和
が最短となる地点の順序を決める組合せ最適化システム
において、前記順序の各順番において、どの地点を通る
かを与える確率分布を持つ確率モデルを使用し、確率的
な探索を使用せずに、与えられたデータから最適な確率
分布を推定する際に大域的最適解を得る手段を有するこ
とを特徴とする組合せ最適化システムが得られる。
【0030】本発明の第3の態様によれば、遺伝子地図
を作成するために実験により得られた、複数のマーカー
のすべての対のハミング距離を所与のデータとし、最短
距離となるマーカーの順序を決める組合せ最適化方法に
おいて、前記順序の各順番において、どのマーカーがあ
るかを与える確率分布を持つ確率モデルを使用し、確率
的な探索を使用せずに、与えられたデータから最適な確
率分布を推定する際に大域的最適解を得るステップを有
すること特徴とする組合せ最適化方法が得られる。
【0031】本発明の第4の態様によれば、遺伝子地図
を作成するために実験により得られた、複数のマーカー
のすべての対のハミング距離を所与のデータとし、最短
距離となるマーカーの順序を決める組合せ最適化システ
ムにおいて、前記順序の各順番において、どのマーカー
があるかを与える確率分布を持つ確率モデルを使用し、
確率的な探索を使用せずに、与えられたデータから最適
な確率分布を推定する際に大域的最適解を得る手段を有
することを特徴とする組合せ最適化システムが得られ
る。
【0032】本発明の第5の態様によれば、遺伝子地図
を作成するために実験により得られた、複数のプローブ
のすべての対のハミング距離を所与のデータとし、最短
距離となるプローブの順序を決める組合せ最適化方法に
おいて、前記順序の各順番において、どのプローブがあ
るかを与える確率分布を持つ確率モデルを使用し、確率
的な探索を使用せずに、与えられたデータから最適な確
率分布を推定する際に大域的最適解を得るステップを有
すること特徴とする組合せ最適化方法が得られる。
【0033】本発明の第6の態様によれば、遺伝子地図
を作成するために実験により得られた、複数のプローブ
のすべての対のハミング距離を所与のデータとし、最短
距離となるプローブの順序を決める組合せ最適化システ
ムにおいて、前記順序の各順番において、どのプローブ
があるかを与える確率分布を持つ確率モデルを使用し、
確率的な探索を使用せずに、与えられたデータから最適
な確率分布を推定する際に大域的最適解を得る手段を有
することを特徴とする組合せ最適化システムが得られ
る。
【0034】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施例について説明
する。
【0035】本発明は、マーカー(地点)の順序を決定
する組合せ最適化部(後に図示)と確率パラメータを保
持するパラメータ格納部(後に図示)とからなる。
【0036】上記組合せ最適化部は、複数地点のすべて
の各二地点間の距離を所与のデータとし、距離和が最短
となる地点の順序を決める組合せ最適化を行うために、
順序の各順番において、どの地点を通るかを与える確率
分布を持つ確率モデルを使用し、確率的な探索を使用せ
ずに、与えられたデータから最適な確率分布を推定する
際に大域的最適解を得るものである。
【0037】上記パラメータ格納部は、推定される確率
パラメータを格納しておき、組合せ最適化部においてパ
ラメータ書き換えの際に、使用されるものである。
【0038】次に、本発明の実施例(アルゴリズム)に
ついて説明する。
【0039】最初に、本説明で使用する記号について説
明する。TSPにおける地点すなわちマーカーの数を
n、マーカーの各々を1,…,nとする。マーカーiと
マーカーkとの間のハミング距離をdi,k 、i番目に通
過する地点(マーカー)がマーカーkである確率をp
i,k とする。ここで、各順番にはいずれかのマーカーが
来るので次式が成り立っている。
【0040】Σj i,k =1 (1) ここで、簡単のために、データdi,j (i=1,…,
n,j=1,…,n,i≠j)をxと書き、パラメータ
i,j (i=1,…,n,j=1,…,n)をθと書
く。あるオーダーπに与えられる確率を、 Pθ(x,π) (2) と書き、オーダーのi番目のマーカーπ(i)とする
と、Pθ(x,π)は、下記の数式1で示される(3)
式で計算されるものとする。
【0041】
【数1】 求めたいオーダーは、最適なパラメータθが与えられた
場合に(2)式を最大とするオーダーπである。そこ
で、最適なパラメータを得るために、(4)式を最大と
するパラメータθを求める。
【0042】Σπθ(x,π) (4) より正確には、(4)式の対数の期待値を最大にするパ
ラメータθを求めることを考える。この場合、(4)式
を最大とするパラメータを求めていることになる。ただ
し、すべてのマーカー(地点)を一回のみづつ使うた
め、パラメータには制約がつくことに注意する。
【0043】以下、(4)式を最大とするパラメータθ
を求めるためのアルゴリズムについて説明する。
【0044】まず、局所的最適解が求まることが保証さ
れるアルゴリズムを説明する。
【0045】最初に、Pθ(x,π)を求めるために前
向き確率Ai,j を導入する。i(1<i)個の地点を通
過する際に、通過オーダーは当然ながら複数存在する。
言い換えれば、i個のマーカーを順序付けるとオーダー
は複数存在する。前向き確率Ai,j は、(i−1)個の
マーカーが既に順序付けられていて、さらにi番目にマ
ーカーjが来る予定の確率である。ここで前向き確率を
計算する際の順序付けの条件は、同じマーカーが連続し
ないこととする。
【0046】前向き確率は動的計画法により、以下のよ
うに計算する。
【0047】まず、初期条件として(5)式を計算す
る。
【0048】 A1,j =1(j=1,…,n) (5) 次に、iとjを順次大きくしながら、下記の数式2で示
される(6)式を計算する。
【0049】
【数2】 すると、Pθ(x,π)は、下記の数式3で示される
(7)式より計算可能である。
【0050】
【数3】 また、前向き確率と同様に後向き確率Bi,j を考えるこ
とが可能である。後向き確率Bi,j は、前向き確率と全
く反対に、順序付けの際の(i+1)番目からn番目ま
での(n−i)個マーカーが既に順序付けられていて、
さらにi番目にマーカーjが来る予定の確率である。前
向き確率と同様に、後向き確率を計算する際の条件は、
同じマーカーが連続しないこととする。
【0051】後向き確率も前向き確率と同様、動的計画
法により以下の順序で計算する。
【0052】まず、初期条件として(8)式を計算す
る。
【0053】 Bi,j =1(j=1,…,n) (8) 次に、iとjを順次大きくしながら、下記の数式4で示
される(9)式を計算する。
【0054】
【数4】 やはり同じく前向き確率と同様に、Pθ(x,π)は、
下記の数式5で示される(10)式より計算可能であ
る。
【0055】
【数5】 ここで、Ai,j 、Bi,j から、γi,j を(11)式で定
義する。
【0056】 γi,j =Ai,j i,j i,j (11) さて、(3)式を最大とするためには、下記の数式6で
示される(12)式で定義する目的関数を最小にすれば
よい。
【0057】
【数6】 さらに、各マーカーを一回ずつすべて使用するという制
約をみたすために、例えば、下記の数式7で示される
(13)式の制約を加えた下記の数式8で示される(1
4)式を最小にする。
【0058】
【数7】
【0059】
【数8】 局所最適化の場合、(14)式を最小にするパラメータ
の書き換え規則は、例えば、下記の数式9にて示される
(15)式のように書ける。Δvi,j は、パラメータv
i,j の変化量を表している。
【0060】
【数9】 ただし、(15)式において、pi,j 及びαi,j は、下
記の数式10及び下記の数式11にて示される(16)
式及び(17)式でそれぞれ示されるものである。
【0061】
【数10】
【0062】
【数11】 さらに、(15)式において、Λはλ3 に比例する定数
である。
【0063】他にも、書き換え規則として、下記の数式
12にて示される(18)式が考えられる。
【0064】
【数12】 次に、上記アルゴリズムを発展させ、大域的最適化を探
索するためのアルゴリムについて説明する。
【0065】大域的最適化を行う場合には、(14)式
の代わりに、下記の数式13にて示され、温度パラメー
タの逆数にあたるβが導入された(19)式を最小にす
る。
【0066】
【数13】 このために、まず、前向き確率と後向き確率を変形す
る。変形した前向き確率A´i,j は、初期条件として
(20)式を計算する。
【0067】 A´1,j =1β(j=1,…,n) (20) さらに、動的計画法により、i,jを順次大きくしなが
ら、下記の数式14にて示される(21)式を計算す
る。
【0068】
【数14】 次に、後向き確率B´i,j は、初期条件として(22)
式を計算する。
【0069】 B´1,j =1β(j=1,…,n) (22) さらに、動的計画法により、i,jを順次大きくしなが
ら、下記の数式15にて示される(23)式を計算す
る。
【0070】
【数15】 (20)式を最小にするパラメータの書き換え規則は、
例えば、下記の数式16にて示される(24)式のよう
に与えられる。局所最適化の場合と同様に、Δv
i,j は、パラメータvi,j の変化量を表している。
【0071】
【数16】 ただし、(24)式において、γ´i,j は、下記の数式
17にて示される(25)式で示される。
【0072】
【数17】 その他のパラメータの書き換え規則として、下記の数式
18にて示される(26)式も考えられる。
【0073】
【数18】 大域的最適化を行う場合には、書き換え規則に出現する
βを制御する必要がある。すなわち、βを、正でありな
がら十分小さい初期値から序々に増加させる。各βにお
いて、パラメータの値が収束するまで(26)式の書き
換え規則を適用して、パラメータを書き換える。βを増
加させてもパラメータの収束値が変化しなければ、反復
アルゴリズム全体を終了させる。
【0074】最後に、得られた確率パラメータp
i,j (i=1,…,n,j=1,…,n)からマーカー
(地点)の順序(オーダー)を得るには、各順番におい
て、たとえば、i番目の順番においては、最も大きな確
率pi,j を与えるkが、その順番に来るマーカーとな
る。
【0075】次に、図1を参照して、これまで説明して
きた本発明のアルゴリズムを流れ図で説明しつつ、本ア
ルゴリズムを実施するシステム構成を説明する。
【0076】図1はアルゴリズムの流れを示しており、
破線で本システムの構成要素を示している。
【0077】本システムは、マーカー(地点)の順序を
決定する組合せ最適化部110と、確率パラメータを保
持するパラメータ格納部120とを有する。
【0078】最初に、入力としてデータ入力部10よ
り、地点間の距離がデータとして組合せ最適化部110
のβ初期値設定部20に入力される。
【0079】次に、βによるループに入る。このループ
では、β初期値設定部20から、βの値を少しずつ増大
させる。βによるループの中では、書き換え規則による
確率パラメータの更新部30が、パラメータ収束判定部
40により収束したと判定されるまで続けられる。
【0080】また、βによるループの最後には、このル
ープの終了を判定する部分である反復終了判定部50が
あり、これにより未終了と判定された場合は、β値更新
部60にてβ値を増加させ、βループ内のパラメータ更
新を再度行う。
【0081】反復終了判定部分50により終了と判定さ
れた場合は、これまでに更新されたパラメータを使用し
て、マーカー(地点)の順序を順序決定部70において
決定し、結果を出力する。
【0082】
【発明の効果】複数地点の各二地点間の距離のデータか
ら各地点を一回のみ通過しながら全地点を最短距離で経
由する順序を求める問題は、従来、確率的な探索を使用
しない決定的アニーリングでは大域的最適解の探索が不
可能であった。しかし、上述した本発明によれば、この
問題を決定的アニーリングにより解決する方法とシステ
ムが実現可能になる。さらに、これまで確率的な探索手
法では、実施不可能であった以下の2点の特徴を本発明
は実現している。
【0083】1 計算効率性 2 同一の初期値が与えられた場合の試行の再現性 これらを可能にした本発明により、既存手法に較べて、
効率的に、かつ、高い精度で組合せ最適化問題を解決す
る方法およびシステムが実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の動作を説明するための流れ
図である。
【符号の説明】
110 組合せ最適化部 120 パラメータ格納部 10 データ入力部 20 β初期値設定部 30 パラメータ更新部 40 パラメータ収束判定部 50 反復終了判定部 60 β値更新部 70 順序決定部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数地点のすべての各二地点間の距離を
    所与のデータとし、距離和が最短となる地点の順序を決
    める組合せ最適化方法において、 前記順序の各順番において、どの地点を通るかを与える
    確率分布を持つ確率モデルを使用し、確率的な探索を使
    用せずに、与えられたデータから最適な確率分布を推定
    する際に大域的最適解を得るステップを有することを特
    徴とする組合せ最適化方法。
  2. 【請求項2】 複数地点のすべての各二地点間の距離を
    所与のデータとし、距離和が最短となる地点の順序を決
    める組合せ最適化システムにおいて、 前記順序の各順番において、どの地点を通るかを与える
    確率分布を持つ確率モデルを使用し、確率的な探索を使
    用せずに、与えられたデータから最適な確率分布を推定
    する際に大域的最適解を得る手段を有することを特徴と
    する組合せ最適化システム。
  3. 【請求項3】 遺伝子地図を作成するために実験により
    得られた、複数のマーカーのすべての対のハミング距離
    を所与のデータとし、最短距離となるマーカーの順序を
    決める組合せ最適化方法において、 前記順序の各順番において、どのマーカーがあるかを与
    える確率分布を持つ確率モデルを使用し、確率的な探索
    を使用せずに、与えられたデータから最適な確率分布を
    推定する際に大域的最適解を得るステップを有すること
    特徴とする組合せ最適化方法。
  4. 【請求項4】 遺伝子地図を作成するために実験により
    得られた、複数のマーカーのすべての対のハミング距離
    を所与のデータとし、最短距離となるマーカーの順序を
    決める組合せ最適化システムにおいて、 前記順序の各順番において、どのマーカーがあるかを与
    える確率分布を持つ確率モデルを使用し、確率的な探索
    を使用せずに、与えられたデータから最適な確率分布を
    推定する際に大域的最適解を得る手段を有することを特
    徴とする組合せ最適化システム。
  5. 【請求項5】 遺伝子地図を作成するために実験により
    得られた、複数のプローブのすべての対のハミング距離
    を所与のデータとし、最短距離となるプローブの順序を
    決める組合せ最適化方法において、 前記順序の各順番において、どのプローブがあるかを与
    える確率分布を持つ確率モデルを使用し、確率的な探索
    を使用せずに、与えられたデータから最適な確率分布を
    推定する際に大域的最適解を得るステップを有すること
    特徴とする組合せ最適化方法。
  6. 【請求項6】 遺伝子地図を作成するために実験により
    得られた、複数のプローブのすべての対のハミング距離
    を所与のデータとし、最短距離となるプローブの順序を
    決める組合せ最適化システムにおいて、 前記順序の各順番において、どのプローブがあるかを与
    える確率分布を持つ確率モデルを使用し、確率的な探索
    を使用せずに、与えられたデータから最適な確率分布を
    推定する際に大域的最適解を得る手段を有することを特
    徴とする組合せ最適化システム。
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