JP2000054803A - 蒸気タ―ビン及び蒸気タ―ビン発電プラント - Google Patents
蒸気タ―ビン及び蒸気タ―ビン発電プラントInfo
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Abstract
高温化をフェライト系鋼の使用によって可能にし、高熱
効率の蒸気タービン及びそれを用いた蒸気タービン発電
プラントを提供する。 【解決手段】本発明は、高温部にさらされるロータシャ
フト等の主要部品が全てフェライト系鍛鋼及び鋳鋼から
成ることを特徴とする、主蒸気温度と再熱蒸気温度が6
10〜660℃の蒸気タービン及びそれを用いた蒸気タ
ービン発電プラントにある。タービンのロータは各使用
温度での10万時間クリープ破断強度が15kg/mm2 以
上のフェライト系鍛鋼、ケーシングは同様に10万時間
クリープ破断強度が10kg/mm2 以上のフェライト系鋳
鋼からなる。
Description
気タービンに係り、特に主蒸気温度と再熱蒸気温度の両
方又はいずれかが610〜660℃の蒸気タービンとそ
れを用いた蒸気タービン発電プラントに関する。
6℃,蒸気圧力246atg であった。しかし、石油,石
炭などの化石燃料の枯渇,省エネ及び環境汚染防止の観
点から、火力発電プラントの高効率化が望まれている。
発電効率を上げるためには蒸気タービンの蒸気温度を上
げるのが最も有効な手段である。これらの高効率タービ
ン用材料にはロータ材として1Cr−1Mo−1/4V
フェライト系低合金鍛鋼や、11Cr−1Mo−V−N
b−N鍛鋼,ケーシング材として1Cr−1Mo−1/
4Vフェライト系低合金鋳鋼や、11Cr−1Mo−V
−Nb−N鋳鋼が知られ、特にこれらの材料として高温
強度のより高い材料としては、特開昭62−180044号及び
特開昭61−23749 号公報に示されているオーステナイト
系合金、特開平4−147948号公報,特開平2−290950号公
報,特開平4−371551 号公報に示されているマルテンサ
イト鋼が知られている。
タ材及びケーシング材等が開示されているが、前述の如
くより高温下に伴う蒸気タービン及び火力発電プラント
システムについては全く考慮されていない。
開昭62−248806号公報にて知られているが、プラント全
体システムについては全く考慮されていない。
℃の高温化をフェライト系耐熱鋼によって可能にし高熱
効率を有する蒸気タービン及びそれを用いた蒸気タービ
ン発電プラントを提供するにある。
と中圧タービンとが連結され、タンデムに2台連結され
た低圧タービンを備えた蒸気タービン発電プラントにお
いて、前記高圧タービン及び中圧タービンは初段動翼へ
の水蒸気入口温度が610〜660℃(好ましくは61
5〜640℃より好ましくは620〜630℃)の範囲
に対し、前記低圧タービンは初段動翼への水蒸気入口温
度が380〜475℃(好ましくは400〜430℃)の
範囲に対し、前記高圧タービン及び中圧タービンの前記
水蒸気入口温度にさらされるロータシャフト,動翼の全
段,静翼の全段及び内部ケーシングがCr8〜13重量
%を含有する高強度マルテンサイト鋼によって構成され
ることを特徴とする蒸気タービン発電プラントにある。
ロータシャフトに植設された動翼と、該動翼への水蒸気
の流入を案内する静翼及び該静翼を保持する内部ケーシ
ングを有し、前記水蒸気の前記動翼の初段に流入する温
度が610〜660℃及び圧力が250kg/cm2以上(好
ましくは246〜316kg/cm2)又は170〜200kg
/cm2 である蒸気タービンであって、前記ロータシャフ
トと動翼及び静翼の少なくとも初段とが各蒸気温度(好
ましくは610℃,625℃,640℃,650℃,66
0℃)に対応した温度での105 時間クリープ破断強度
が15kg/mm2以上(好ましくは17kg/mm2以上)であ
るCr9.5〜13重量%(好ましくは10.5〜11.
5重量%)を含有する全焼戻しマルテンサイト組織を有
する高強度マルテンサイト鋼からなり、前記内部ケーシ
ングが前記各蒸気温度に対応した温度での105時間ク
リープ破断強度が10kg/mm2 以上(好ましくは10.
5kg/mm2以上)であるCr8〜9.5重量%を含有する
マルテンサイト鋳鋼からなることを特徴とする蒸気ター
ビンにある。
ロータシャフトに植設された動翼と、該動翼への水蒸気
の流入を案内する静翼及び該静翼を保持する内部ケーシ
ングを有する蒸気タービンにおいて、前記ロータシャフ
トと前記動翼及び静翼の少なくとも初段が重量で、C
0.05〜0.20%,Si0.15%以下,Mn0.05
〜1.5%,Cr9.5〜13%,Ni0.05〜1.0
%,V0.05〜0.35%,Nb0.01〜0.20%,
N0.01〜0.06%,Mo0.05〜0.5%,W1.
0〜4.0%,Co2〜10%,B0.0005〜0.0
3%を含み、78%以上のFeを有する高強度マルテン
サイト鋼からなり、前記内部ケーシングは重量でC0.
06〜0.16%,Si0.5 %以下,Mn1%以下,
Ni0.2〜1.0%,Cr8〜12%,V0.05〜0.
35%,Nb0.01〜0.15%,N0.01〜0.8
%,Mo1%以下,W1〜4%,B0.0005〜0.0
03%を含み、85%以上のFeを有する高強度マルテ
ンサイト鋼からなることを特徴とする蒸気タービンにあ
る。
ロータシャフトに植設された動翼と、該動翼への水蒸気
の流入を案内する静翼及び該静翼を保持する内部ケーシ
ングを有する高圧蒸気タービンにおいて、前記動翼は1
0段以上有し、初段が複流であり、前記ロータシャフト
は軸受中心間距離(L)が5000mm以上(好ましくは
5200〜5500mm)及び前記静翼が設けられた部分
での最小直径(D)が600mm以上(好ましくは620
〜700mm)であり、前記(L/D)が8.0〜9.0(好
ましくは8.3〜8.7)であるCr9〜13重量%を含
有する高強度マルテンサイト鋼からなることが好まし
い。
ロータシャフトに植設された動翼と、該動翼への水蒸気
の流入を案内する静翼及び該静翼を保持する内部ケーシ
ングを有する中圧蒸気タービンにおいて、前記動翼は左
右対称に各6段以上を有し、前記ロータシャフト中心部
に初段が植設された複流構造であり、前記ロータシャフ
トは軸受中心間距離(L)が5200mm以上(好ましく
は5300〜5800mm)及び前記静翼が設けられた部
分での最小直径(D)が620mm以上(好ましくは62
0〜680mm)であり、前記(L/D)が8.2〜9.2
(好ましくは8.5〜9.0)であるCr9〜13重量%
を含有する高強度マルテンサイト鋼からなることが好ま
しい。
ロータシャフトに植設された動翼と、該動翼への水蒸気
の流入を案内する静翼及び該静翼を保持する内部ケーシ
ングを有する低圧蒸気タービンにおいて、前記動翼は左
右対称に各8段以上有し、前記ロータシャフト中心部に
初段が植設された複流構造であり、前記ロータシャフト
は軸受中心間距離(L)が7200mm以上(好ましくは
7400〜7600mm)及び前記静翼が設けられた部分
での最小直径(D)が1150mm以上(好ましくは12
00〜1350mm)であり、前記(L/D)が5.4〜
6.3(好ましくは5.7〜6.1)であるNi3.25〜
4.25重量%を含有するNi−Cr−Mo−V低合金
鋼からなり、最終段動翼は翼長さが40インチ以上であ
るTi基合金からなることが好ましい。
ービンとが連結され、タンデムに2台連結された低圧タ
ービンを備えた蒸気タービン発電プラントにおいて、前
記高圧タービン及び中圧タービンは初段動翼への水蒸気
入口温度が610〜660℃、前記低圧タービンは初段
動翼への水蒸気入口温度が380〜475℃であり、前
記高圧タービンのロータシャフトの初段動翼植設部及び
前記初段動翼のメタル温度が前記高圧タービンの初段動
翼への水蒸気入口温度より40℃以上(好ましくは水蒸
気温度より20〜35℃低くし)下まわらないように
し、前記中圧タービンのロータシャフトの初段動翼植設
部及び初段動翼のメタル温度が前記中圧タービンの初段
動翼への水蒸気入口温度より75℃以上(好ましくは水
蒸気温度より50〜70℃低くし)下まわらないように
し、前記高圧タービン及び中圧タービンのロータシャフ
トと少なくとも初段動翼がCr9.5〜13 重量%を含
有するマルテンサイト鋼からなることを特徴とする蒸気
タービン発電プラントにある。
ボイラによって得られた水蒸気によって駆動する蒸気タ
ービンと、該蒸気タービンによって駆動する単機又は2
台以上、好ましくは2台で1000MW以上の発電出力
を有する発電機を備えた石炭燃焼火力発電プラントにお
いて、前記蒸気タービンは高圧タービンと該高圧タービ
ンに連結された中圧タービンと、2台の低圧タービンと
を有し、前記高圧タービン及び中圧タービンは初段動翼
への水蒸気入口温度が610〜660℃及び前記低圧タ
ービンは初段動翼への水蒸気入口温度が380〜475
℃であり、前記ボイラの過熱器によって前記高圧タービ
ンの初段動翼への水蒸気入口温度より3℃以上(好まし
くは3〜10℃、より好ましくは3〜7℃)高い温度に
加熱した水蒸気を前記高圧タービンの初段動翼に流入
し、前記高圧タービンを出た水蒸気を前記ボイラの再熱
器によって前記中圧タービンの初段動翼への水蒸気入口
温度より2℃以上(好ましくは2〜10℃、より好まし
くは2〜5℃)高い温度に加熱して前記中圧タービンの
初段動翼に流入し、前記中圧タービンより出た水蒸気を
前記ボイラの節炭器によって前記低圧タービンの初段動
翼への水蒸気入口温度より3℃以上(好ましくは3〜1
0℃、より好ましくは3〜6℃)高い温度に加熱して前
記低圧タービンの初段動翼に流入させることを特徴とす
る石炭燃焼火力発電プラントにある。
ンにおいて、前記初段動翼への水蒸気入口温度が380
〜475℃(好ましくは400〜450℃)であり、前
記ロータシャフトは重量で、C0.2〜0.3%,Si
0.05%以下,Mn0.1%以下,Ni3.25〜4.2
5%,Cr1.25〜2.25%,Mo0.07〜0.20
%,V0.07〜0.2%及びFe92.5% 以上である
低合金鋼からなることが好ましい。
て、前記動翼は7段以上(好ましくは9〜12段)及び
翼部長さが前記水蒸気流の上流側から下流側で35〜2
10mm有し、前記ロータシャフトの前記動翼の植込み部
直径は前記静翼に対応する部分の直径より大きく、前記
植込み部の軸方向の幅は前記下流側が上流側に比べ3段
階以上(好ましくは4〜7段階)段階的に大きく、前記
翼部長さに対する比率が0.6〜1.0(好ましくは0.6
5〜0.95)で前記上流側から下流側に従って小さくな
っていることが好ましい。
本発明は前記動翼は7段以上及び翼部長さが前記水蒸気
流の上流側から下流側で35〜210mm有し、隣り合う
各段の前記翼部長さの比は1.2 以下(好ましくは1.
10〜1.15)で、該比率が徐々に下流側で大きく、
前記翼部長さは前記下流側が上流側に比べて大きくなっ
ていることが好ましい。
本発明は前記動翼は7段以上及び翼部長さが前記水蒸気
流の上流側から下流側で35〜210mm有し、前記ロー
タシャフトの前記静翼部に対応する部分の軸方向の幅は
前記下流側が上流側に比べ2段階以上(好ましくは2〜
4段階)段階的に小さく、前記動翼の下流側翼部長さに
対する比率が0.65〜1.8(好ましくは0.7〜1.
7)の範囲で前記下流側になるに従って段階的に前記比
率が小さくなっていることが好ましい。
て、前記動翼は左右対称に6段以上(好ましくは6〜9
段)有する複流構造及び翼部長さが前記水蒸気流の上流
側から下流側で100〜300mm有し、前記ロータシャ
フトの前記動翼の植込み部直径は前記静翼に対応する部
分の直径より大きく、前記植込み部の軸方向の幅は前記
下流側が上流側に比べ2段階以上(好ましくは3〜6段
階)で段階的に大きくなっており、前記翼部長さに対す
る比率が0.45〜0.75(好ましくは0.5〜0.7 )
で前記上流側から下流側に従って小さくなっていること
が好ましい。
おいて、前記動翼は左右対称に6段以上有する複流構造
及び翼部長さが前記水蒸気流の上流側から下流側で10
0〜300mm有し、隣り合う前記翼部長さは前記下流側
が上流側に比べて大きくなっており、その比は1.3以
下(好ましくは1.1〜1.2)で徐々に前記下流側で大
きくなっていることが好ましい。
おいて、前記動翼は左右対称に6段以上有する複流構造
及び翼部長さが前記水蒸気流の上流側から下流側で10
0〜300mm有し、前記ロータシャフトの前記静翼部に
対応する部分の軸方向幅は前記下流側が上流側に比べ2
段階以上(好ましくは3〜6段階)で段階的に小さくな
っており、前記動翼の下流側翼部長さに対する比率が
0.45〜1.60(好ましくは0.5〜1.5)の範囲で
前記下流側になるに従って段階的に前記比率が小さくな
っていることが好ましい。
て、前記動翼は左右対称に各8段以上(好ましくは8〜
10段)有する複流構造及び翼部長さが前記水蒸気流の
上流側から下流側に従って90〜1300mm有し、前記
ロータシャフトの前記動翼の植込み部直径は前記静翼に
対応する部分の直径より大きく、前記植込み部の軸方向
の幅は前記下流側が上流側に比べ3段階以上(好ましく
は4〜7段階)で段階的に大きくなっており、前記翼部
長さに対する比率が0.15〜1.0(好ましくは0.1
5〜0.91)で前記上流側から下流側に従って小さく
なっていることが好ましい。
おいて、前記動翼は左右対称に各8段以上有する複流構
造及び翼部長さが前記水蒸気流の上流側から下流側に従
って90〜1300mm有し、隣り合う各段の前記翼部長
さは前記下流側が上流側に比べて大きくなっており、そ
の比は1.2〜1.7(好ましくは1.3〜1.6)の範囲
で徐々に前記下流側で前記比率が大きくなっていること
が好ましい。
おいて、前記動翼は左右対称に各8段以上有する複流構
造及び翼部長さが前記水蒸気流の上流側から下流側に従
って90〜1300mm有し、前記ロータシャフトの前記
静翼部に対応する部分の軸方向の幅は前記下流側が上流
側に比べ3段階以上(好ましくは4〜7段階)で段階的に
大きくなっており、前記動翼の隣り合う下流側翼部長さ
に対する比率が0.2〜1.4(好ましくは0.25〜1.
25)の範囲で前記下流側になるに従って段階的に前記
比率が小さくなっていることが好ましい。
ャフトに植設された動翼と、該動翼への水蒸気の流入を
案内する静翼及び該静翼を保持する内部ケーシングを有
する高圧蒸気タービンにおいて、前記動翼は7段以上有
し、前記ロータシャフトは前記静翼に対応する部分の直
径が前記動翼植込部に対応する部分の直径より小さく、
前記静翼に対応する前記直径の軸方向の幅は前記水蒸気
流の上流側が下流側に比較して2段階以上(好ましくは
2〜4段階)で段階的に大きくなっており、前記動翼の
最終段とその手前との間の幅は前記動翼の2段目と3段
目との間の幅の0.75〜0.95倍(好ましくは0.8
〜0.9倍より好ましくは0.84〜0.88)であり、前記
ロータシャフトの前記動翼部植込部軸方向の幅は前記水
蒸気流の下流側が上流側に比較して3段階以上(好まし
くは4〜7段階)で段階的に大きくなっており、前記動
翼の最終段の軸方向の幅は前記2段目の軸方向の幅に対
して1〜2倍(好ましくは1.4〜1.7倍)であること
が好ましい。
ャフトに植設された動翼と、該動翼への水蒸気の流入を
案内する静翼及び該静翼を保持する内部ケーシングを有
する中圧蒸気タービンにおいて、前記動翼は6段以上有
し、前記ロータシャフトは前記静翼に対応する部分の直
径が前記動翼植込部に対応する部分の直径より小さく、
前記静翼に対応する前記直径の軸方向の幅は前記水蒸気
流の上流側が下流側に比較して2段階以上(好ましくは
3〜6段階)で段階的に大きくなっており、前記動翼の
最終段とその手前との間の幅は前記動翼の初段と2段目
との間の幅の0.55〜0.8倍(好ましくは0.6〜0.
7倍)であり、前記ロータシャフトの前記動翼部植込部
軸方向の幅は前記水蒸気流の下流側が上流側に比較して
2段階以上(好ましくは3〜6段階)で段階的に大きく
なっており、前記動翼の最終段の軸方向の幅は前記初段
の軸方向の幅に対して0.8 〜2倍(好ましくは1〜
1.5 倍)であることが好ましい。
ャフトに植設された動翼と、該動翼への水蒸気の流入を
案内する静翼及び該静翼を保持する内部ケーシングを有
する低圧蒸気タービンにおいて、前記動翼は左右対称に
8段以上する複流構造を有し、前記ロータシャフトは前
記静翼に対応する部分の直径が前記動翼植込部に対応す
る部分の直径より小さく、前記静翼に対応する前記直径
の軸方向の幅は前記水蒸気流の上流側が下流側に比較し
て3段階以上(好ましくは4〜7段階)で段階的に大き
くなっており、前記動翼の最終段とその手前との間の幅
は前記動翼の初段と2段目との間の幅の1.5〜2.5倍
(好ましくは1.7〜2.2倍)であり、前記ロータシャ
フトの前記動翼部植込部軸方向の幅は前記水蒸気流の下
流側が上流側に比較して3段階以上(好ましくは4〜7
段階)で段階的に大きくなっており、前記動翼の最終段
の軸方向の幅は前記初段の軸方向の幅に対して2〜3倍
(好ましくは2.2〜2.7倍)であることが好ましい。
は610〜660℃の各使用蒸気温度のいずれの温度に
対して同様の構造とできるものである。
ルテンサイト組織として、高い高温強度と低温靭性並び
に高い疲労強度を得るために、次式で計算されるCr当
量を4〜8に成分調整することが好ましい。
材においては、95%以上の焼戻しマルテンサイト(δ
フェライト5%以下)組織となるように合金組成を調整
して高い高温調度と低温靭性並びに高い疲労強度を得る
ために、次式で計算されるCr当量を4〜10に成分調
整することが好ましい。
W+11V+5Nb−40C−30N−30B−2Mn
−4Ni−2Co 本発明の12Cr耐熱鋼においては、特に621℃以上
の蒸気中で使用される場合には、625℃,105hク
リープ破断強度10kgf/mm2以上,室温衝撃吸収エネ
ルギー1kgf−m以上にすることが好ましい。
と中圧のロータ,ブレード,ノズル,内部ケーシング締
付ボルト及び中圧部初段ダイヤフラムを構成するフェラ
イト系耐熱鋼の組成の限定理由について説明する。
炭化物を析出させて高温強度を高めるのに不可欠の元素
であり、また高い引張強さを得るためにも0.05 %以
上必要な元素であるが、0.20 %を超えると高温に長
時間さらされた場合に金属組織が不安定になり長時間ク
リープ破断強度を低下させるので、0.05〜0.20%
に限定される。望ましくは0.08〜0.13%であり、
特に0.09〜0.12%が好ましい。
り、少量の添加でその効果は達成され、1.5% を超え
る多量の添加はクリープ破断強度を低下させるので好ま
しくない。特に0.03〜0.20%又は0.3〜0.7%
が好ましく、多い方に対しては0.35〜0.65%がよ
り好ましい。Mnの少ない方が高強度が得られる。ま
た、Mn量の多い方は加工性がよい。
が、真空C脱酸法などの製鋼技術によれば、Si脱酸は
不要である。Siを低くすることにより有害なδフェラ
イト組織生成防止と結晶粒界偏析等による靭性低下を防
止する効果がある。したがって、添加する場合には0.
15%以下に抑える必要があり、望ましくは0.07%
以下であり、特に0.04 %未満が好ましい。
生成を防止するのに非常に有効な元素であるが、0.0
5%未満ではその効果が十分でなく、1.0%を超える
添加はクリープ破断強度を低下させるので好ましくな
い。特に0.3〜0.7%、より0.4〜0.65%が好ま
しい。
に不可欠の元素であり、最低9%必要であるが、13%
を超えると有害なδフェライト組織を生成し高温強度及
び靭性を低下させるので、9〜12%に限定される。特
に10〜12%、より10.8〜11.8 %が好ましい。
る。しかし、本発明鋼の様に1%を超えるWを含む場合
には、0.5 %以上のMo添加は靭性及び疲労強度を低
下させるので、0.5%以下に制限される。特に0.05
〜0.45%、より0.1〜0.2 %が好ましい。
し、またマトリックスを固溶強化するので、620℃以
上の高温長時間強度を顕著に高める効果がある。620
℃では1〜1.5% 、630℃では1.6〜2.0%、6
40℃では2.1〜2.5%、650℃では2.6〜3.0
%、660℃では3.1〜3.5%とするのが好ましい。
またWが3.5 %を超えるとδフェライトを生成して靭
性が低くなるので、1〜3.5 %に限定される。特に
2.4〜3.0%が好ましく、より2.5〜2.7%が好ま
しい。
断強度を高める効果があるが、0.05%未満ではその効果
が不十分で0.3% を超えるとδフェライトを生成して
疲労強度を低下させる。特に0.10〜0.25%が好ま
しく、より0.15〜0.23%が好ましい。
高めるのに非常に効果的な元素であるが、あまり多量に
添加すると、特に大型鋼塊では粗大な共晶NbC炭化物
が生じ、かえって強度を低下させたり、疲労強度を低下
させるδフェライトを析出させる原因になるので0.2
0%以下に抑える必要がある。また0.01%未満のN
bでは効果が不十分である。特に0.02〜0.15%
が、より0.04〜0.10%が好ましい。
徴づける重要な元素である。本発明においては、Co添
加により高温強度が著しく改善されるとともに、靭性も
高める。これは、Wとの相互作用によると考えられ、W
を1%以上含む本発明合金において特徴的な現象であ
る。このようなCoの効果を実現するために、本発明合
金におけるCoの下限は2.0 %であるが、過度に添加
してもより大きな効果が得られないだけでなく、延性が
低下するので、上限は10%になる。望ましくは620
℃に対しては2〜3%、630℃に対しては3.5〜4.
5%、640℃に対しては5〜6%、650℃に対して
は6.5〜7.5%、660℃に対しては8〜9%が望ま
しい。
づける重要な元素である。Nはクリープ破断強度の改善
及びδフェライト組織の生成防止に効果があるが0.0
1 %以下ではその効果が十分でなく0.05 %を超え
ると靭性を低下させると共に、クリープ破断強度も低下
させる。特に0.01〜0.03%が、より0.015〜
0.025 %が好ましい。
溶し、M23C6型炭化物の凝集粗大化を妨げる作用によ
り高温強度を高める効果があり、0.001 %を超える
添加が有効であるが、0.03%を超えると溶接性や鍛
造性を害するので、0.001〜0.03% に制限され
る。望ましくは0.001〜0.01% 、又は0.01〜
0.02%が好ましい。
る効果があり、Ta0.15%以下,Ti0.1%以下及
びZr0.1%以下の単独または複合添加で十分な効果
が得られる。Taを0.1 %以上添加した場合にはNb
の添加を省略することができる。
静翼の少なくとも初段は620〜630℃の蒸気温度に
対してはC0.09〜0.20%,Si0.15%以下,
Mn0.05〜1.0%,Cr9.5〜12.5%,Ni0.
1〜1.0%,V0.05〜0.30%,N0.01〜0.0
6%,Mo0.05〜0.5%,W2〜3.5%,Co2〜
4.5%,B0.001〜0.030%,77% 以上のF
eを有する全焼戻しマルテンサイト組織を有する鋼によ
って構成されるものが好ましい。また、635〜660
℃の蒸気温度に対しては前述のCo量を5〜8%とし、
78%以上のFeを有する全焼戻しマルテンサイト組織
を有する鋼によって構成されるのが好ましい。特に、両
者の温度に対してMn量を0.03〜0.2%及びB量を
0.001〜0.01%と少なくすることによって高強度
が得られる。特に、C0.09〜0.20%,Mn0.1
〜0.7%,Ni0.1〜1.0%,V0.10〜0.30
%,N0.02〜0.05%,Mo0.05〜0.5%,W
2〜3.5%を含有し、630℃以下に対してはCo2
〜4%,B0.001〜0.01%及び630〜660℃に
対してはCo5.5〜9.0%,B0.01〜0.03%と
するのが好ましい。
ータシャフトに対しては4〜10.5,特に6.5〜9.5が
好ましく、他のものも同様である。
タ材は、δフェライト組織が混在すると、疲労強度及び
靭性が低くなるので、組織は均一な焼戻しマルテンサイ
ト組織が好ましい。焼戻しマルテンサイト組織を得るた
めに、(1)式で計算されるCr当量を、成分調整によ
り10以下にしなければならない。Cr当量をあまり低
くするとクリープ破断強度が低下してしまうので、4以
上にしなければならない。特に、Cr当量5〜8が好ま
しい。
料を電気炉で溶解し、カーボン真空脱酸し、金型鋳型に
鋳込み、鍛伸して電極棒を作製する。この電極棒をエレ
クトロスラグ再溶解し、ロータ形状に鍛伸して成型す
る。この鍛伸は、鍛造割れを防ぐために、1150℃以
下の温度で行わなければならない。またこの鍛鋼を焼鈍
熱処理後、1000〜1100℃に加熱し急冷する焼入
れ処理,550〜650℃及び670〜770℃の順序で
2回焼戻しを行うことにより、620℃以上の蒸気中で
使用可能な蒸気タービンロータが製造できる。
ーシング締付ボルト,中圧部初段ダイヤフラムは真空溶
解によって溶解され、真空下で金型に鋳造され、インゴ
ットが製造される。インゴットは前述と同様の温度で所
定形状に熱間鍛造され、1050〜1150℃で加熱後水冷
又は油焼入れされ、次いで700〜800℃で焼戻し処
理が施され、切削加工によって所望の形状のブレードと
なる。真空溶解は10-1〜10-4mmHg下で行われる。特
に、本発明における耐熱鋼は高圧部及び中圧部のブレー
ド及びノズルの全段に用いることができるが、特に、両
者の初段には必要なものである。
サイト鋼からなる蒸気タービンロータシャフトはそのジ
ャーナル部を形成する母材表面に軸受特性の高い肉盛溶
接層を形成することが好ましく、鋼からなる溶接材を用
いて5層〜10層の前記肉盛溶接層を形成し、初層から
2層目〜4層目のいずれかまでの前記溶接材のCr量を
順次低下させるとともに、4層目以降を同じCr量を有
する鋼からなる溶接材を用いて溶接し、前記初層の溶接
に用いられる溶接材のCr量を前記母材のCr量より2
〜6重量%程度少なくし、4層目以降の溶接層のCr量
を0.5〜3 重量%(好ましくは1〜2.5重量%)とす
るものである。
性の改善には肉盛溶接が最も安全性が高い点で好ましい
ものであるが、その肉盛溶接は鋼中のB量の増加によっ
てきわめて困難になるので、より高強度とするためにB
量を0.02 %以上含有させるにはCr量1〜3%を有
する低合金鋼からなるスリーブを焼ばめ,はめ込みとす
る構造とするのが好ましい。スリーブの組成は後述する
肉盛層の組成とするものと同じである。
層〜10層とする必要がある。前述の如く、初層溶接層
としてCr量の急激な低下は高い引張残留応力の発生、
或いは溶接割れ発生の原因となることからその溶接材と
してのCr量を大幅に減らすことができないので、溶接
層数を多くして徐々にCr量を下げる必要があること、
更に表面層として所望のCr量をその所望の厚さとを確
保する必要があることから5層以上とすることが必要で
ある。尚、10層以上溶接してもそれ以上の効果は得ら
れない。蒸気タービンロータシャフトの如く大型構造材
としては、肉盛溶接層として母材からの組成の影響を受
けず、かつ所望の組成と所望の厚さとを形成する必要が
あるが、母材の影響のない厚さとして3層及びその上に
所望の特性のものを所望の厚さとする必要があり、その
厚さとして2層以上必要とし、一例として最終仕上げで
約18mmの厚さが要求される。このような厚さを形成す
るには切削による最終仕上げ代を除いても5層の肉盛溶
接層が必要となる。3層目以降は主に焼戻しマルテンサ
イト組織を有し、炭化物が析出していることが好まし
い。特に、4層目以降の溶接層の組成として重量で、C
0.01〜0.1%,Si0.3〜1%,Mn0.3〜1.
5%,Cr0.5〜3%,Mo0.1〜1.5%を含み残
部Feからなるものが好ましい。
目のいずれかまでを順次Cr量を低下させるもので、肉
盛溶接にあたって層毎に徐々にCr含有量を低めた溶接
棒を用いて溶接すれば、初層溶接部のクロム含有量の大
幅な違いによる初層溶接部の延性低下の問題が生ぜず、
溶接割れを生じることなく所望の組成の肉盛溶接層を形
成することができる。これにより、本発明は母材と初層
部付近のクロム含有量が極端に差を示すことなく、しか
も最終層に上述の軸受特性の高い肉盛溶接層を形成する
ことができる。
ロム含有量を母材のクロム量より2〜6重量%程度少な
くする。溶接材のCr量を母材より低い値として2%以
下では肉盛溶接層のCr量を十分に下げることができ
ず、効果が小さい。逆に、6%以上では母材と肉盛溶接
層との急激なCr量の低下につながり、このCr量の差
が熱膨張係数の差を生じ高い引張残留応力の発生、或い
は溶接割れ発生の原因となる。尚、高Crほど熱膨張係
数が小さいので、低Crとなる肉盛溶接層は母材より熱
膨張係数が大きく溶接後に高い引張残留応力が形成され
る。そのためより低Cr鋼での溶接は高い残留応力のた
め硬さが高く、また溶接割れ発生の原因となるので、溶
接材のCr量は母材のそれより少ない値として6%以下
とする必要がある。このような溶接材を使用することに
より初層溶接部のクロム含有量は母材と混合するため、
母材よりも約1〜3%低くなる程度にとどまり、良好な
溶接が得られる。
を有する鋼からなる溶接材を用いて形成することが必要
である。肉盛溶接において、3層目までは母材の組成の
影響を受けるが、4層目以降の肉盛溶接層の組成は用い
られる溶接材の組成によってのみ形成されるので、蒸気
タービンロータシャフトのジャーナル部として必要な特
性を満たすものを形成させることができる。従って、前
述のように蒸気タービンロータシャフトとしての大型構
造物として必要な肉盛溶接層は約18mmであるので、最
終層として必要な合金組成とその組成での必要な十分な
厚さを確保するために4層目以降を同じCr量の溶接材
によって2層以上溶接することになり前述のジャーナル
部として要求される特性を満足するものを十分な厚さを
もって形成させることができる。
内部ケーシング加減弁弁箱,組合せ再熱弁弁箱,主蒸気
リード管,主蒸気入口管,再熱入口管,高圧タービンノ
ズルボックス,中圧タービン初段ダイヤフラム,高圧タ
ービン主蒸気入口フランジ,エルボ,主蒸気止め弁を構
成するフェライト系耐熱鋼の組成の限定理由について説
明する。
ては、特にNi/W比を0.25〜0.75に調整するこ
とにより、621℃,250kgf/cm2以上の超々臨界
圧タービン高圧及び中圧内部ケーシング並びに主蒸気止
め弁及び加減弁ケーシングに要求される、625℃,1
05hクリープ破断強度9kgf/mm2以上,室温衝撃吸収
エネルギー1kgf−m以上の耐熱鋳鋼ケーシング材が得
られる。
においては、高い高温強度と低温靭性並びに高い疲労強
度を得るために、次式の各成分(重量%)で計算される
Cr当量を4〜10に成分調整することが好ましい。
1.5W%+11V%+5Nb%−40C%−30N%
−30B%−2Mn%−4Ni%−2Co% 本発明の12Cr耐熱鋼においては、621℃以上の蒸
気中で使用されるので、625℃,105hクリープ破
断強度9kgf/mm2以上,室温衝撃吸収エネルギー1kg
f−m以上にしなければならない。更に、より高い信頼
性を確保するためには、625℃,105hクリープ破
断強度10kgf/mm2以上,室温衝撃吸収エネルギー2k
gf−m以上であることが好ましい。
以上必要な元素であるが、0.16%を超えると高温に
長時間さらされた場合に金属組織が不安定になり長時間
クリープ破断強度を低下させるので、0.06〜0.16
%に限定される。特に0.09〜0.14 %が好まし
い。
イト組織の生成防止に効果があるが、0.01%未満で
はその効果が十分でなく、0.1%を超えても顕著な効
果はなく、逆に靭性を低下させると共に、クリープ破断
強度も低下させる。特に0.02〜0.01 %が好ましい。
少量の添加でその効果は達成され、1%を超える多量の
添加はクリープ破断強度を低下させ、特に0.4〜0.7
%が好ましい。
が、真空C脱酸法などの製鋼技術によれば、Si脱酸は
不要である。またSiを低くすることにより有害なδフ
ェライト組織生成防止効果がある。したがって、添加す
る場合には0.5 %以下に抑える必要があり、特に0.
1〜0.4%が好ましい。
が、0.05 %未満ではその効果が不十分で0.35 %
を超えるとδフェライトを生成して疲労強度を低下させ
る。特に、0.15〜0.25%が好ましい。
な元素であるが、あまり多量に添加すると、特に大型鋼
塊では粗大な共晶Nb炭化物が生じ、かえって強度を低
下させたり、疲労強度を低下させるδフェライトを析出
させる原因になるので0.15%以下に抑える必要がある。
また0.01 %未満のNbでは効果が不十分である。特
に大型鋼塊の場合は0.02〜0.1%が、より0.04
〜0.08が好ましい。Niは靭性を高め、かつ、δフ
ェライトの生成を防止するのに非常に有効な元素である
が、0.2%未満ではその効果が十分でなく、1.0%を
超える添加はクリープ破断強度を低下させるので好まし
くない。特に0.4〜0.8%が好ましい。
がある。12%を超えると有害なδフェライト組織生成
の原因となり、8%より少ないと高温高圧蒸気に対する
耐酸化性が不十分となる。またCr添加は、クリープ破
断強度を高める効果があるが、過剰の添加は有害なδフ
ェライト組織生成及び靭性低下の原因となる。特に8.
0 〜10%、より8.5〜9.5%が好ましい。
ある。1%より少ないWでは、620〜660℃で使用す
る耐熱鋼としては効果が不十分である。またWが4%を
超えると靭性が低くなる。620℃では1.0〜1.5
%、630℃では1.6〜2.0%、640℃では2.1
〜2.5%、650℃に対しては2.6〜3.0%、66
0℃では3.1〜3.5%が好ましい。
W比を0.25〜0.75とすることにより強度と靭性と
もに高いものが得られる。
る。しかし、本発明鋳鋼の様に1%を超えるWを含む場
合には、1.5 %以上のMo添加は靭性及び疲労強度を
低下させるので、1.5 %以下がよく、特に0.4〜0.
8%、より0.55〜0.70%が好ましい。
る効果があり、Ta0.15%以下,Ti0.1%以下及
びZr0.1%以下の単独または複合添加で十分な効果
が得られる。Taを0.1 %以上添加した場合には、N
bの添加を省略することができる。
ライト組織が混在すると、疲労強度及び靭性が低くなる
ので、組織は均一な焼戻しマルテンサイト組織が好まし
い。焼戻しマルテンサイト組織を得るために、(1)式
で計算されるCr当量を、成分調整により10以下にし
なければならない。Cr当量をあまり低くするとクリー
プ破断強度が低下してしまうので、4以上にしなければ
ならない。特に、Cr当量6〜9が好ましい。
断強度を著しく高める。B含有量が0.003%を超え
ると、溶接性が悪くなるため、上限は0.003%に制
限される。特に、大形ケーシングのB含有量の上限は
0.0028%、更に0.0005〜0.0025 %が好
ましく、特に0.001〜0.002%が好ましい。
カバーしているので、内圧による高応力が作用する。そ
の為、クリープ破壊防止の観点から、10kgf/mm2 以
上の105 hクリープ破断強度が要求される。また、起
動時には、メタル温度が低い時に熱応力が作用するの
で、脆性破壊防止の観点から、1kgf−m以上の室温衝
撃吸収エネルギーが要求される。より高温度側に対して
はCoを10%以下含有させることにより強化が図れ
る。特に、620に対しては1〜2%、630℃に対し
ては2.5〜3.5%,640℃に対しては4〜5%、6
50℃に対しては5.5〜6.5%、660℃に対しては
7〜8%が好ましい。
鋳塊重量50トン前後と大形になるので、高度な製造技
術が要求される。本発明フェライト系耐熱鋳鋼ケーシン
グ材は、目標組成とする合金原料を電気炉で溶解し、と
りべ精錬後、砂型鋳型に鋳込み成形することにより健全
なものが作製できる。鋳込み前に、十分な精錬及び脱酸
を行うことにより、引け巣等の鋳造欠陥の少ないものに
できる。
で焼鈍熱処理後、1000〜1100℃に加熱し急冷する焼
準熱処理,550〜750℃及び670〜770℃の順
序で2回焼戻しを行うことにより、621℃以上の蒸気
中で使用可能な蒸気タービンケーシングが製造できる。
焼鈍及び焼準温度は、1000℃以下では炭窒化物を十
分固溶させることが出来ず、あまり高くすると結晶粒粗
大化の原因になる。また、2回焼戻しは、残留オーステ
ナイトを完全に分解させ、均一な焼戻しマルテンサイト
組織にすることができる。上記の製法で作製することに
より、10kgf/mm2 以上の625℃,105 hクリー
プ破断強度と1kgf−m以上の室温衝撃吸収エネルギー
が得られ、620℃以上の蒸気中で使用可能な蒸気ター
ビンケーシングにできる。
量とし、δフェライト量が5%以下にするのが好まし
く、より0%がよい。
によって製造する他は鍛鋼によって製造するのが好まし
い。
0.2〜0.3%,Si0.1%以下,Mn0.2%以下,
Ni3.2〜4.0%,Cr1.25〜2.25%,Mo
0.1〜0.6%,V0.05〜0.25%を有する全焼戻
しベーナイト組織を有する低合金鋼が好ましく、前述の
高圧,中圧ロータシャフトと同様の製法によって製造さ
れるのが好ましい。特に、Si量は0.05%以下,M
n0.1%以下の他P,S,As,Sb,Sn等の不純
物を極力低めた原料を用い、総量0.025 %以下とす
るように用いられる原材料の不純物の少ないものを使用
するスーパークリーン化した製造とするのが好ましい。
P,S各0.010%以下,Sn,As0.005%以
下,Sb0.001%以下が好ましい。
外及びノズルは、C0.05〜0.2%,Si0.1〜0.
5%,Mn0.2〜1.0%,Cr10〜13%,Mo0.
04〜0.2 %を有する全焼戻しマルテンサイト鋼が好
ましい。
ングともにC0.2〜0.3%,Si0.3〜0.7%,M
n1%以下を有する炭素鋳鋼が好ましい。
減弁ケーシングはC0.1〜0.2%,Si0.1〜0.4
%,Mn0.2〜1.0%,Cr8.5〜10.5%,Mo
0.3〜1.0%,W1.0〜3.0%,V0.1〜0.3
%,Nb0.03〜0.1%,N0.03〜0.08%,B
0.0005〜0.003%を含む全焼戻しマルテンサイ
ト鋼が好ましい。
i合金が用いられ、特に40インチを超える長さに対し
てはAl5〜8重量%及びV3〜6重量%を有するTi
合金からなり、長いほどこれらの含有量の多いものを用
いることができる。特に、43インチにおいてはAl
5.5〜6.5%,V3.5〜4.5%とし、46インチで
はAl4〜7%,V4〜7%及びSn1〜3%を有する
高強度材がよい。
ーシングにはC0.05〜0.20%,Si0.05〜0.
5%,Mn0.1〜1.0%,Ni0.1〜0.5%,Cr
1〜2.5%,Mo0.5〜1.5%,V0.1〜0.3%を
含み、好ましくはB0.001〜0.01%及びTi0.
2%以下の少なくとも一方を含み、全焼戻しベーナイト
組織を有する鋳鋼によって製造するのが好ましい。
燃料高騰を契機に、蒸気条件の向上による熱効率向上を
図るため蒸気温度600℃〜649℃微粉炭直接燃焼ボ
イラ及び蒸気タービンが要求される。このような、蒸気
条件のボイラの一例を表1に示す。
じるので、従来の2.25 %Cr鋼に代えて8〜10%
Cr鋼を用いること、微粉炭直接燃焼ガスによる高温腐
食に対して硫黄分最大1%,塩素分最大0.1 %となる
ので、過熱管としてオーステナイトステンレス鋼管のC
r20〜25%,Ni20〜35%を含み、0.5%以下
の微量のAl,Ti,Mo0.5〜3%、より好ましくは
Nb0.5%以下を含む材料が用いられる。微粉炭直接
燃焼においては高温燃焼となるので、NOxの低減のた
め一次空気と微粉炭との燃焼火炎とその外周に還元炎を
形成させる内周空気及びその外周に二次空気を送ってよ
り高温の火炎を作るようなバーナを用いることが望まし
い。
し、1050MW級で火炉幅31m,火炉奥行き16
m,1400MW級で火炉幅34m,火炉奥行き18m
となる。
気タービンの主な仕様である。本実施例は、クロスコン
パウンド型4流排気、低圧タービンにおける最終段翼長
が43インチであり、HP−IPにて3600r/min
及びLP2台で1800r/min の回転数を有し、高温
部においては表に示す主な材料によって構成される。高
圧部(HP)の蒸気温度は625℃,250kg/cm2 の
圧力であり、中圧部(IP)の蒸気温度は625℃に再
熱器によって加熱され、170〜180kg/cm2 の圧力
で運転される。低圧部(LP)は蒸気温度は450℃で
入り、100℃以下,722mmHgの真空で復水器に送
られる。
る。高圧蒸気タービンは高圧内部車室18とその外側の
高圧外部車室19内に高圧動翼16を植設した高圧車軸
(高圧ロータシャフト)23が設けられる。前述の高温
高圧の蒸気は前述のボイラによって得られ、主蒸気管を
通って、主蒸気入口を構成するフランジ,エルボ25よ
り主蒸気入口28を通り、ノズルボックス38より初段
複流の動翼に導かれる。初段は複流であり、片側に他8
段設けられる。これらの動翼に対応して各々静翼が設け
られる。動翼は鞍型ダブティル型式,ダブルティノン,
初段翼長約35mmである。車軸間の長さは約5.25 m
及び静翼部に対応する部分で最も小さい部分の直径は約
620mmであり、直径に対する長さの比は約8.5 であ
る。
み部分の幅はほぼ等しく、2段目,3〜5段目,6段
目,7〜8段目の5段階で下流側に従って段階的に小さ
くなっており、2段目の植込み部の軸方向の幅は最終段
のそれに対して0.64 倍の大きさである。
翼植込み部に対してロータシャフトの直径が小さくなっ
ている。その部分の軸方向の幅は2段目動翼と3段目動
翼との間の幅に対して最終段動翼とその手前の動翼との
間の幅まで段階的に小さくなっており、後者の幅は前者
の幅に対して0.86 倍と小さくなっている。2段目〜
6段目までと、6段目〜9段目までとの2段階で小さく
したものである。
料を初段ブレード及びノズルを使用した他はいずれも
W,Co及びBを含まない12%Cr系鋼によって構成
したものである。本実施例における動翼の翼部の長さは
初段が35〜50mm、2段目から最終段になるに従って
各段で長くなっており、特に蒸気タービンの出力によっ
て2段から最終段までの長さが65〜210mmであり、
段数は9〜12段で、各段の翼部の長さは下流側が上流
側に対して隣り合う長さで1.10〜1.15の割合で長
くなっているとともに、下流側でその比率が徐々に大き
くなっている。
較して直径が大きくなっており、その幅は動翼の翼部長
さの大きい程その植込み幅は大きくなっている。その幅
の動翼の翼部長さに対する比率は2段目から最終段で
0.65〜0.95であり、2段目から最終段になるに従
って段階的に小さくなっている。
フトの幅は2段目と3段目との間から最終段とその手前
との間までの各段で段階的に小さくなっている。その幅
の動翼の翼部長さに対する比率は0.7〜1.7で上流側
から下流側になるに従って小さくなっている。
中圧蒸気タービンは高圧蒸気タービンより排出された蒸
気を再度625℃に再熱器によって加熱された蒸気によ
って高圧蒸気タービンと共に発電機を回転させるもの
で、3600回/min の回転数によって回転される。中
圧タービンは高圧タービンと同様に中圧内部車室21と
外部車室22とを有し、中圧動翼17と対抗して静翼が
設けられる。動翼17は6段で2流となり、中圧車軸
(中圧ロータシャフト)の長手方向に対しほぼ対称に左
右に設けられる。軸受中心間距離は約5.5mであり、
初段翼長さ約92mm,最終段翼長さ約235mmである。
ダブティルは逆クリ型である。最終段動翼前の静翼に対
応するロータシャフトの直径は約630mmであり、その
直径に対する軸受間距離の比は約8.7 倍である。
フトは動翼植込み部の軸方向幅が初段から4段,5段及
び最終段に従って3段階で段階的に大きくなっており、
最終段での幅は初段に対して約1.4 倍と大きくなって
いる。
静翼部に対応した部分が直径が小さくなっており、その
幅は初段動翼,2〜3段及び最終段動翼側に従って4段
階で段階的に小さくなっており、前者に対する後者の軸
方向の幅が約0.7 倍と小さくなる。
料を初段ブレード,ノズルに使用される他はW,Co及
びBを含まない12%Cr系鋼が用いられる。本実施例
における動翼の翼部の長さは初段から最終段になるに従
って各段で長くなっており、蒸気タービンの出力によっ
て初段から最終段までの長さが90〜350mmで、6〜
9段で、各段の翼部の長さは下流側が上流側に対して隣
り合う長さで1.1 〜1.2の割合で長くなっている。
較して直径が大きくなっており、その幅は動翼の翼部長
さの大きい程その植込み幅は大きくなっている。その幅
の動翼の翼部長さに対する比率は初段から最終段で0.
5〜0.7であり、初段から最終段になるに従って段階
的に小さくなっている。
フトの幅は初段と2段目との間から最終段とその手前と
の間までの各段で段階的に小さくなっている。その幅の
動翼の翼部長さに対する比率は0.5〜1.5で上流側か
ら下流側になるに従って小さくなっている。
タービンは2基タンデムに結合され、同じ構造を有して
いる。各々動翼41は左右に8段あり、左右ほぼ対称に
なっており、また動翼に対応して静翼42が設けられ
る。最終段の動翼長さは43インチあり、Ti基合金が
使用され、いずれもダブルティノン,鞍型ダブティルを
有し、ノズルボックス44は複流型である。Ti基合金
は時効硬化処理が施され、重量でAl6%,V4%を含
むものである。ロータシャフト43はNi3.75%,
Cr1.75%,Mo0.4%,V0.15%,C0.25
%,Si0.05%,Mn0.10 %,残Feからなるス
ーパークリーン材の全焼戻しベーナイト組織を有する鍛
鋼が用いられる。最終段以外の動翼及び静翼にはいずれ
もMoを0.1%含有する12%Cr鋼が用いられる。内
外部ケーシング材にはC0.25 %の鋳鋼が用いられ
る。本実施例における軸受43での中心間距離は750
0mmで、静翼部に対応するロータシャフトの直径は約1
280mm,動翼植込み部での直径は2275mmである。
このロータシャフト直径に対する軸受中心間の距離は約
5.9 である。
軸方向の幅が初段〜3段,4段,5段,6〜7段及び8
段の4段階で徐々に大きくなっており、最終段の幅は初
段の幅に比べ約2.5 倍と大きくなっている。
くなっており、その部分の軸方向の幅は初段動翼側から
5段目,6段目及び7段目の3段階で徐々に大きくなっ
ており、最終段側の幅は初段側に対して約1.9 倍大き
くなっている。
ら最終段になるに従って各段で長くなっており、蒸気タ
ービンの出力によって初段から最終段の長さが90〜12
70mmで、8段又は9段で、各段の翼部長さは下流側が上
流側に対して隣り合う長さで1.3〜1.6倍の割合で長
くなっている。
較して直径が大きくなっており、その幅は動翼の翼部長
さの大きい程その植込み幅は大きくなっている。その幅
の動翼の翼部長さに対する比率は初段から最終段で0.
15〜0.91であり、初段から最終段になるに従って
段階的に小さくなっている。
フトの幅は初段と2段目との間から最終段とその手前と
の間までの各段で段階的に小さくなっている。その幅の
動翼の翼部長さに対する比率は0.25〜1.25で上流
側から下流側になるに従って小さくなっている。
蒸気タービンへの蒸気入口温度610℃,2基の低圧蒸気
タービンへの蒸気入口温度385℃とする1000MW
級大容量発電プラントに対しても同様の構成とすること
ができる。
ントの代表的なプラント構成図を示すものである。
ラントは主として石炭専焼ボイラ51,高圧タービン5
2,中圧タービン53,低圧タービン54,低圧タービ
ン55,復水器56,復水ポンプ57,低圧給水加熱器
系統58,脱気器59,昇圧ポンプ60,給水ポンプ6
1,高圧給水加熱器系統63などより構成されている。
すなわち、ボイラ51で発生した超高温高圧蒸気は高圧
タービン52に入り動力を発生させたのち再びボイラ5
1にて再熱されて中圧タービン53へ入り動力を発生さ
せる。この中圧タービン排気蒸気は、低圧タービン5
4,55に入り動力を発生させた後、復水器56にて凝
縮する。この凝縮液は復水ポンプ57にて低圧給水加熱
器系統58,脱気器59へ送られる。この脱気器59に
て脱気された給水は昇圧ポンプ60,給水ポンプ61に
て高圧給水加熱器63へ送られ昇温された後、ボイラ5
1へ戻る。
64,蒸発器65,過熱器66を通って高温高圧の蒸気
となる。また一方、蒸気を加熱したボイラ燃焼ガスは節
炭器64を出た後、空気加熱器67に入り空気を加熱す
る。ここで、給水ポンプ61の駆動には中圧タービンか
らの抽気蒸気にて作動する給水ポンプ駆動用タービンが
用いられている。
ンプラントにおいては、高圧給水加熱器系統63を出た
給水の温度が従来の火力プラントにおける給水温度より
もはるかに高くなっているため、必然的にボイラ51内
の節炭器64を出た燃焼ガスの温度も従来のボイラに比
べてはるかに高くなってくる。このため、このボイラ排
ガスからの熱回収をはかりガス温度を低下させないよう
にする。
中圧タービン及び2基の低圧タービンをタンデムに連結
し、1台の発電機を回転させて発電するタンデムコンパ
ウンド型発電プラントとしても同様に構成することがで
きる。本実施例の如く、出力1050MW級の発電機に
おいてはその発電機シャフトとしてはより高強度のもの
が用いられる。特に、C0.15〜0.30%,Si0.
1〜0.3%,Mn0.5%以下,Ni3.25〜4.5
%,Cr2.05〜3.0%,Mo0.25〜0.60%,
V0.05〜0.20%を含有する全焼戻しベーナイト組
織を有し、室温引張強さ93kg/mm2 以上,特に100
kg/mm2 以上,50%FATTが0℃以下、特に−20
℃以下とするものが好ましく、21.2KG における磁
化力が985AT/cm以下とするもの、不純物としての
P,S,Sn,Sb,Asの総量を0.025%以下,
Ni/Cr比を2.0以下とするものが好ましい。
シャフトの正面図である。高圧タービンシャフトは多段
側の初段ブレード植設部を中心に8段のブレードが植設
される構造である。中圧タービンシャフトは多段ブレー
ドが左右に各6段ほぼ対称にブレード植設部が設けら
れ、ほぼ中心を境にしたものである。低圧タービン用ロ
ータシャフトは図示されていないが、高圧,中圧,低圧
タービンのいずれのロータシャフトにおいても中心孔が
設けられ、この中心孔を通して超音波検査,目視検査及
びけい光探傷によって欠陥の有無が検査される。
ビン及び低圧タービンの主要部に用いた化学組成(重量
%)を示す。本実施例においては、高圧及び中圧とを高
温部を全部フェライト系の結晶構造を有する熱膨張係数
12×10-6/℃のものにしたので、熱膨張係数の違い
による問題は全くなかった。
の耐熱鋳鋼を電気炉で30トン溶解し、カーボン真空脱
酸し、金型鋳型に鋳込み、鍛伸して電極棒を作製し、こ
の電極棒として鋳鋼の上部から下部に溶解するようにエ
レクトロスラグ再溶解し、ロータ形状(直径1050m
m,長さ3700mm)に鍛伸して成型した。この鍛伸
は、鍛造割れを防ぐために、1150℃以下の温度で行
った。またこの鍛鋼を焼鈍熱処理後、1050℃に加熱
し水噴霧冷却焼入れ処理、570℃及び690℃で2回
焼戻しを行い、図5及び図6に示す形状に切削加工によ
って得たものである。本実施例においてはエレクトロス
ラグ鋼塊の上部側を初段翼側にし、下部を最終段側にす
るようにした。
は、同じく表3に記載の耐熱鋼を真空アーク溶解炉で溶
解し、ブレード及びノズル素材形状(幅150mm,高さ
50mm,長さ1000mm)に鍛伸して成型した。この鍛
伸は、鍛造割れを防ぐために、1150℃以下の温度で
行った。またこの鍛鋼を1050℃に加熱し油焼入れ処
理、690℃で焼戻しを行い、次いで所定形状に切削加
工したものである。
気止め弁ケーシング及び蒸気加減弁ケーシングは、表3
に記載の耐熱鋳鋼を電気炉で溶解し、とりべ精錬後、砂
型鋳型に鋳込み作製した。鋳込み前に、十分な精錬及び
脱酸を行うことにより、引け巣等の鋳造欠陥のないもの
ができた。このケーシング材を用いた溶接性評価は、J
IS Z3158に準じて行った。予熱,パス間及び後
熱開始温度は200℃に、後熱処理は400℃×30分
にした。本発明材には溶接割れが認められず、溶接性が
良好であった。
気タービン主要部材を切断調査した機械的性質及び熱処
理条件を示す。
果、高圧,中圧タービンロータに要求される特性(62
5℃,105h強度≧13kgf/mm2,20℃衝撃吸収エ
ネルギー≧1.5kg−m)を十分満足することが確認され
た。これにより、620℃以上の蒸気中で使用可能な蒸
気タービンロータが製造できることが実証された。
高圧,中圧タービンの初段ブレードに要求される特性
(625℃,105h強度≧15kgf/mm2)を十分満足
することが確認された。これにより、620℃以上の蒸
気中で使用可能な蒸気タービンブレードが製造できるこ
とが実証された。
果、高圧,中圧タービンケーシングに要求される特性
(625℃,105h強度≧10kgf/mm2,20℃衝撃
吸収エネルギー≧1kg−m)を十分満足することと溶接
可能であることが確認された。これにより、620℃以
上の蒸気中で使用可能な蒸気タービンケーシングが製造
できることが実証された。
間破断強度と温度との関係を示す線図を示したものであ
る。本発明に係る材料は610〜640℃の要求に満足
することが分かった。尚、12Crロータ材はB,W及
びCoを含まない従来材に係るものである。
ャーナル部にCr−Mo低合金鋼を肉盛溶接し、軸受特
性を改善させた。肉盛溶接は次の通りである。
4.0φ)を用いた。その溶接棒を用いて溶接したもの
の溶着金属の化学組成(重量%)を表5に示す。この溶
着金属の組成は溶接材の組成とほぼ同じである。
V,速度26cm/min である。
すごとく、各層ごとに使用溶接棒を組合せて、8層の溶
接を行った。各層の厚さは3〜4mmであり、全厚さは約
28mmであり、表面を約5mm研削した。
焼鈍(SR)開始温度が250〜350℃及びSR処理
条件は630℃×36時間保持である。
のであり、いずれも5層目以降の組成は表6に示すNo.
C及びDの組成であった。
に肉盛溶接し、160゜の側曲げ試験を行ったが、溶接
部に割れは認められなかった。
試験を行ったが、いずれも軸受に対する悪影響もなく、
耐酸化性に対しても優れたものであった。
蒸気タービン及び2基の低圧蒸気タービンをタンデムに
結合し、3600回転としたタンデム型発電プラントに
おいても同様に構成できるものである。
誘導溶解によって、10kgのインゴットに鋳造し、30
mm角の棒に鍛造したものである。大型蒸気タービンロー
タシャフトの場合には、その中心部を模擬して1050
℃×5時間100℃/h冷却の焼入れ,570℃×20
時間の一次焼戻しと690℃×20時間の二次焼戻し及
びブレードにおいては1100℃×1時間の焼入れ,7
50℃×1時間の焼戻しを行って、625℃,30kgf
/mm2 でクリープ破断試験を実施した。結果を表7に合
わせて示す。
No.10の比較合金に比べて格段にクリープ破断寿命が
長いことがわかる。
金からCoを除去した合金である。図8はクリープ破断
強度に及ぼすCo量及び図9は同じくB量の影響を示す
線図である。図に示す如く、Co量が多い程クリープ破
断時間が向上しているが、Coの多量の増加は600〜
660℃で加熱を受けると加熱脆化が生じる傾向を有す
るので、強化と靭性の両方を高めるには620〜630
℃に対しては2〜5%,630〜660℃に対しては
5.5〜8 %が好ましい。
する傾向を有し、B含有量は0.03%以下が優れた強度を
示すことが分かる。620〜630℃ではB量を0.0
01〜0.01 %及びCo量を2〜4%、630〜66
0℃のより高温側ではB量を0.01〜0.03%とし、
Co量を5〜7.5 %と高めることにより高強度とな
る。
温度では少ない方が強化されることが明らかとなり、N
o.2の方がN量の多いNo.8に比べて強度が高いことか
らも明らかとなった。N量は0.01〜0.04%が好ま
しい。真空溶解においてはNはほとんど含有されないの
で、母合金によって添加したものである。
施例1の図7に示すようにいずれも高い強度を示すこと
は明らかである。実施例1に示すロータ材は本実施例の
No.2の合金に相当するものである。
09 %と低いものは同じCo量で比較して高い強度を
示すことからも明らかなように、より強化のためにはM
n量を0.03〜0.20%とするのが好ましい。
グ材に係る化学組成(重量%)を示す。試料は、大形ケ
ーシングの厚肉部を想定して、高周波誘導溶解炉を用い
200kg溶解し、最大厚さ200mm,幅380mm,高さ4
40mmの砂型に鋳込み,鋳塊を作製した。試料No.3〜
7は発明材であり、試料No.1及び2は従来材である。
試料No.1及びNo.2は現流タービンに使用されている
Cr−Mo−V鋳鋼及び11Cr−1Mo−V−Nb−
N鋳鋼である。試料は、1050℃×8h炉冷の焼鈍処
理後、大形蒸気タービンケーシングの厚肉部を想定して
次の条件で熱処理(焼準・焼戻し)した。
熱,パス間及び後熱開始温度は150℃に、後熱処理は
400℃×30分にした。
ノッチシャルピー衝撃吸収エネルギー、650℃,10
5 hクリープ破断強度及び溶接割れ試験結果を示す。
(No.3,4,6,7)のクリープ破断強度及び衝撃吸
収エネルギーは、高温高圧タービンケーシングに要求さ
れる特性(625℃,105h強度≧8kgf/mm2,20
℃衝撃吸収エネルギー≧1kg−m)を十分満足する。特
に、No.3,6及び7は9kgf/mm2 以上の高い値を示
している。また、本発明材には溶接割れが認められず、
溶接性が良好である。B量と溶接割れの関係を調べた結
果、B量が0.0035 %を超えると、溶接割れが発生
した。No.3のものは若干割れの心配があった。機械的
性質に及ぼすMoの影響を見ると、Mo量を1.18%
と多いものは、クリープ破断強度は高いものの、衝撃値
が低く、要求される靭性を満足できなかった。一方、M
o0.11 %のものは、靭性は高いものの、クリープ破
断強度が低く、要求される強度を満足できなかった。
果、W量を1.1 %以上にするとクリープ破断強度が顕
著に高くなるが、逆にW量を2%以上にすると室温衝撃
吸収エネルギーが低くなる。特に、Ni/W比を0.2
5〜0.75に調整することにより、温度621℃,圧力
250kgf/cm2以上の高温高圧タービンの高圧及び中
圧内部ケーシング並びに主蒸気止め弁及び加減弁ケーシ
ングに要求される、625℃,105hクリープ破断強
度9kgf/mm2以上,室温衝撃吸収エネルギー1kgf−
m以上の耐熱鋳鋼ケーシング材が得られる。特に、W量
1.2〜2%,Ni/W比を0.25〜0.75 に調整す
ることにより、625℃,105hクリープ破断強度1
0kgf/mm2 以上,室温衝撃吸収エネルギー2kgf−m
以上の優れた耐熱鋳鋼ケーシング材が得られる。
を示す線図である。図に示す如く、W量を1.0%以上
とすることによって顕著に強化されるとともに、特に
1.5%以上では8.0kg/mm2 以上の値が得られる。
の関係を示す線図である。本発明のNo.7は640℃以
下で十分要求の強度を満足するものであった。
料を電気炉で1トン溶解し、とりべ精錬後、砂型鋳型に
鋳込み実施例1に記載の高圧部及び中圧部の内部ケーシ
ングを得た。
熱処理後、1050℃×8h衝風冷の焼準熱処理,73
0℃×8h炉冷の2回焼戻しを行った。全焼戻しマルテ
ンサイト組織を有するこの試作ケーシングを切断調査し
た結果、250気圧,625℃高温高圧タービンケーシ
ングに要求される特性(625℃,105h強度≧9kgf
/mm2 ,20℃衝撃吸収エネルギー≧1kg−m)を十分
満足することと溶接可能であることが確認できた。
気タービン及び中圧蒸気タービンの蒸気温度を実施例1
の625℃に代えて649℃としたものであり、構造及
び大きさを実施例1とほぼ同じ設計で得られるものであ
る。ここで実施例1と変わるものはこの温度に直接接す
る高圧,中圧蒸気タービンのロータシャフト,初段動翼
及び初段静翼と内部ケーシングである。内部ケーシング
を除くこれらの材料としては前述の表7に示す材料のう
ちB量を0.01〜0.03%及びCo量を5〜7%と高
め、更に内部ケーシング材としては実施例1のW量を2
〜3%に高め、Coを3%と加えることにより、要求さ
れる強度が満足し、従来の設計が使用できる大きなメリ
ットがある。即ち、本実施例においては高温にさらされ
る構造材料が全てフェライト系鋼によって構成される点
に従来の設計思想がそのまま使用できるのである。尚、
2段目の動翼及び静翼の蒸気入口温度は約610℃とな
るので、これらには実施例1の初段に用いた材料を用い
ることが好ましい。
例1の約380℃に比べ若干高い約405℃となるが、
そのロータシャフト自身は実施例1の材料が十分に高強
度を有するので、同じくスーパークリーン材が用いられ
る。
ド型に対し、全部を直結したタンデム型で3600rpm
の回転数においても実施できるものである。
リープ破断強度及び室温靭性の高いマルテンサイト系耐
熱及び鋳鋼が得られるので、各温度での超々臨界圧ター
ビン用主要部材を全てフェライト系耐熱鋼で作製するこ
とができ、これまでの蒸気タービンの基本設計がそのま
ま使用でき、信頼性の高い火力発電プラントが得られ
る。
系合金とせざるを得なく、そのため製造性の観点から健
全な大形ロータを製造することができなかったが、本発
明フェライト系耐熱鍛鋼によれば健全な大形ロータの製
造が可能である。
気タービンは、熱膨張係数が大きいオーステナイト系合
金を使用していないので、タービンの急起動が容易にな
ると共に、熱疲労損傷を受け難いなどの利点がある。
ンの断面構造図。
ンの断面構造図。
トの断面図。
トの断面図。
図。
図。
図。
図。
軸受、5…推力軸受、10…第1シャフトパッキン、1
1…第2シャフトパッキン、12…第3シャフトパッキ
ン、13…第4シャフトパッキン、14…高圧隔板、1
5…中圧隔板、16…高圧動翼、17…中圧動翼、18
…高圧内部車室、19…高圧外部車室、20…中圧内部
第1車室、21…中圧内部第2車室、22…中圧外部車
室、23…高圧車軸、24…中圧車軸、25…フラン
ジ,エルボ、26…前側軸受箱、27…ジャーナル部、
28…主蒸気入口、29…再熱蒸気入口、30…高圧蒸
気排気口、31…気筒連絡管、38…ノズルボックス
(高圧第1段)、39…推力軸受摩耗遮断装置、40…
暖機蒸気入口、51…ボイラ、52…高圧タービン、5
3…中圧タービン、54,55…低圧タービン、56…
復水器、57…復水ポンプ、58…低圧給水加熱器系
統、59…脱気器、60…昇圧ポンプ、61…給水ポン
プ、63…高圧給水加熱器系統、64…節炭器、65…
蒸発器、66…過熱器、67…空気加熱器、68…発電
機。
Claims (6)
- 【請求項1】ロータシャフトと、該ロータシャフトに植
設された動翼と、該動翼への水蒸気の流入を案内する静
翼及び該静翼を保持する内部ケーシングを有し、前記水
蒸気の前記動翼の初段への入口温度が610〜660℃
である蒸気タービンであって、前記ロータシャフト,動
翼の全段,静翼の全段及び内部ケーシングがCr8〜1
3重量%を含有するマルテンサイト鋼からなることを特
徴とする蒸気タービン。 - 【請求項2】前記ロータシャフトと動翼及び静翼の少な
くとも初段とが前記水蒸気の前記動翼の初段への入口温
度に対応した温度での105 時間クリープ破断強度が1
5kg/mm2 以上であるCr9〜13重量%を含有する全
焼戻しマルテンサイト組織を有する高強度マルテンサイ
ト鋼からなり、前記内部ケーシングが前記水蒸気温度に
対応した温度での105 時間クリープ破断強度が10kg
/mm2 以上であるCr8〜12重量%を含有するマルテ
ンサイト鋳鋼からなる請求項1記載の蒸気タービン。 - 【請求項3】前記ロータシャフトと前記動翼及び静翼の
少なくとも初段とが重量で、C0.05〜0.20%,Si
0.15%以下,Mn0.03〜1.5%,Cr9.5〜1
3%,Ni0.05〜1.0%,V0.05〜0.35%,
Nb0.01〜0.20%,N0.01〜0.06%,Mo
0.05〜0.5%,W1.0〜3.5%,Co2〜10
%,B0.0005〜0.03%を含み、78%以上のF
eを有する高強度マルテンサイト鋼からなり、前記内部
ケーシングは重量でC0.06〜0.16%,Si0.5
%以下,Mn1%以下,Ni0.2〜1.0%,Cr8〜
12%,V0.05〜0.35%,Nb0.01〜0.15
%,N0.01〜0.1%,Mo1.5%以下,W1〜4
%,B0.0005〜0.003%を含み、85%以上の
Feを有する高強度マルテンサイト鋳鋼からなる請求項
1又は2に記載の蒸気タービン。 - 【請求項4】高圧タービン,中圧タービン及び低圧ター
ビンを備えた蒸気タービン発電プラントにおいて、前記
高圧タービン及び中圧タービンは前記水蒸気の初段動翼
への入口温度が610〜660℃である前記高圧タービ
ン及び中圧タービンの前記水蒸気にさらされるロータシ
ャフト,動翼の全段,静翼の全段及び内部ケーシングが
Cr8〜13重量%を含有するマルテンサイト鋼によっ
て構成されることを特徴とする蒸気タービン発電プラン
ト。 - 【請求項5】高圧タービン,中圧タービン及び2台の低
圧タービンを備えた蒸気タービン発電プラントにおい
て、前記高圧タービン及び中圧タービンは初段動翼への
水蒸気入口温度が610〜660℃、前記低圧タービン
は初段動翼への水蒸気入口温度が380〜475℃であ
り、前記高圧タービンのロータシャフトの初段動翼植設
部及び前記初段動翼のメタル温度が前記高圧タービンの
初段動翼への水蒸気入口温度より40℃以下まわらない
ようにし、前記中圧タービンのロータシャフトの初段動
翼植設部及び初段動翼のメタル温度が前記中圧タービン
の初段動翼への水蒸気入口温度より75℃以上下まわら
ないようにし、前記高圧タービン及び中圧タービンのロ
ータシャフト,動翼の全段,静翼の全段及び内部ケーシ
ングがCr9.5〜13 重量%を含有するマルテンサイ
ト鋼からなることを特徴とする蒸気タービン発電プラン
ト。 - 【請求項6】石炭燃焼ボイラと、該ボイラによって得ら
れた水蒸気によって駆動する蒸気タービンと、該蒸気タ
ービンによって駆動する単機又は2台で1000MW以
上の発電出力を有する発電機を備えた石炭燃焼火力発電
プラントにおいて、前記蒸気タービンは高圧タービンと
高圧タービンと、2台の低圧タービンとを有し、前記高
圧タービン及び中圧タービンは初段動翼への水蒸気入口
温度が610〜660℃及び前記低圧タービンは初段動
翼への水蒸気入口温度が380〜450℃であり、前記
ボイラの過熱器によって前記高圧タービンの初段動翼へ
の水蒸気入口温度より高い温度に加熱した水蒸気を前記
高圧タービンの初段動翼に流入し、前記高圧タービンを
出た水蒸気を前記ボイラの再熱器によって前記中圧ター
ビンの初段動翼への水蒸気入口温度より高い温度に加熱
して前記中圧タービンの初段動翼に流入し、前記中圧タ
ービンより出た水蒸気を前記ボイラの節炭器によって前
記低圧タービンの初段動翼への水蒸気入口温度より高い
温度に加熱して前記低圧タービンの初段動翼に流入さ
せ、前記高圧タービン及び中圧タービンのロータシャフ
ト,動翼の全段,静翼の全段及び内部ケーシングがCr
9.5〜13 重量%を含有するマルテンサイト鋼からな
ることを特徴とする石炭燃焼火力発電プラント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22720599A JP3362371B2 (ja) | 1999-08-11 | 1999-08-11 | 蒸気タービン及び蒸気タービン発電プラント |
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---|---|---|---|
JP02396294A Division JP3315800B2 (ja) | 1994-02-22 | 1994-02-22 | 蒸気タービン発電プラント及び蒸気タービン |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000054803A true JP2000054803A (ja) | 2000-02-22 |
JP3362371B2 JP3362371B2 (ja) | 2003-01-07 |
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ID=16857152
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JP (1) | JP3362371B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015094010A (ja) * | 2013-11-13 | 2015-05-18 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | タービンロータの熱処理方法及びタービンロータ |
-
1999
- 1999-08-11 JP JP22720599A patent/JP3362371B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015094010A (ja) * | 2013-11-13 | 2015-05-18 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | タービンロータの熱処理方法及びタービンロータ |
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