JP2000036330A - 光電変換素子の製造方法 - Google Patents

光電変換素子の製造方法

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JP2000036330A
JP2000036330A JP10202959A JP20295998A JP2000036330A JP 2000036330 A JP2000036330 A JP 2000036330A JP 10202959 A JP10202959 A JP 10202959A JP 20295998 A JP20295998 A JP 20295998A JP 2000036330 A JP2000036330 A JP 2000036330A
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semiconductor fine
fine particle
coater
particle layer
coating
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JP10202959A
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English (en)
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Koichiro Terauchi
恒一郎 寺内
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 色素増感された半導体微粒子を用いた光電変
換素子の量産化および光電変換性能均一化のための光電
変換素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 フッ素をドープした酸化スズをコーティ
ングした導電性ガラスを20mm×20mmの大きさに切断
加工したもの(導電性支持体)の導電面側に二酸化チタ
ン分散液をエクストルージョン型コータにより塗布した
後、赤外線乾燥装置で450℃まで膜面を加熱し、乾燥
膜厚10μm の二酸化チタン層(半導体微粒子層)を形
成した。60℃まで二酸化チタンの膜を冷却した後、R
−1の色素(増感色素)を色素濃度0.0003モル/リット
ルのエタノール溶液とし、エクストルージョン型コータ
により20cc/m2に塗布した後、100℃の熱風乾燥を
1分施した。その後アセトニトリル浴中で湿式洗浄し、
再び100℃の熱風で乾燥させた。色素を担持させた二
酸化チタン層付き導電性ガラスの上に、これと同じ大き
さの白金蒸着ガラス(対向電極)を重ね合わせ、両ガラ
スの間隙に電解液をしみ込ませて有機正孔輸送層を形成
し、光電変換素子とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光電変換素子の製造
方法に関し、詳しくは色素増感された半導体微粒子を用
いた光電変換素子の量産化および光電変換性能均一化の
ための光電変換素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する意識が広がりつ
つあり、その中でも二酸化炭素排出に伴う地球温暖化は
深刻な状況になっている。よって、化石燃料に頼らない
環境汚染の少ない太陽エネルギー利用技術への期待がま
すます高まってきている。光電変換素子(いわゆる太陽
電池)は現在のところ、他のエネルギー源と比べクリー
ンでかつ安全なエネルギー源として注目されている。ま
た、軽量でコンパクトという観点から取り扱い易いとい
う特徴を有している。
【0003】太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多
結晶シリコン太陽電池、アモルファス太陽電池、テルル
化カドミウムやセレン化インジウム銅(CIS)等の化
合物太陽電池が実用化もしくは主要な研究対象になって
いるが、普及させる上で製造コスト、原材料確保等の問
題点克服が重要だと言われている。一方、大面積化や低
価格化を指向した有機材料を用いた太陽電池もこれまで
多く提案されているが、変換効率が低く、耐久性も悪い
という問題があった。
【0004】こうした状況下で、Nature(第353巻、
第737〜740ページ、1991年)および米国特許
4927721号等に、色素によって増感された半導体
微粒子を用いた光電変換素子、もしくはこれを作製する
ための材料および製造技術が開示された。提案された色
素増感太陽電池はルテニウム錯体の単層吸着によって分
光増感された二酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする
湿式太陽電池である。この方式の第一の利点は二酸化チ
タンが高純度に精製することなく安価に入手でき、比較
的安価な太陽電池を提供できる点にある。第二の利点は
用いられる色素の吸収がブロードなため、可視光線のほ
ぼ全ての波長領域の光を電気に変換できることである。
この方式は安価で高いエネルギー変換効率が得られるた
めに有望だと考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
許やその後出された関連特許(例えば特開平6−188
446号公報、同7−24970号公報、同7−176
773号公報等)には量産性を目的とした積層に関する
詳細な製造方法は記載されておらず、均一な性能のもの
を大量に安価に市場に提供できる手段が明確に確立され
ていない。米国特許4927721号には、半導体微粒
子をよく知られている手法である有用なゾル−ゲル法に
より塗設する記載があるが、その後工程である色素吸着
には60分間の浸漬法を用いており、生産効率を低下さ
せている。
【0006】同様に特開平6−188446号公報には
半導体微粒子の付与にスクリーン印刷法を用いている。
このスクリーン印刷法は高粘度液付与適性があることが
知られており有用であるが、その後工程である増感色素
付与やホール輸送層の付与方法について明確な記載がな
い。同7−24970号公報、同7−176773号公
報なども半導体微粒子塗設に関しては明確な塗布方法が
記載されておらず、その後工程の増感色素付与は浸漬法
や還流法で行っており、生産効率がよくない。
【0007】また、特表平6−507999号公報や同
6−511603号公報には、半導体微粒子層を蒸着や
PVD、CVD法などの乾式を使っており、安価に量産
する方法とは言い難い。さらに支持体としてはガラス基
板の記載しかされておらず、フレキシブル支持体でも積
層の対応ができるような柔軟で量産性に適した製造方法
の明確な記載はない。
【0008】本発明は、上記問題点を解消するためにな
されたものであり、色素増感された半導体微粒子を用い
た光電変換素子の量産化および光電変換性能均一化のた
めの光電変換素子の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の光電変換素子の製造方法は、導電性支持体
の上に半導体微粒子層を塗設乾燥した後、前記半導体微
粒子層の上に増感色素を塗設し吸着させることにより増
感色素含有半導体微粒子層を形成し、しかる後に前記増
感色素含有半導体微粒子層の上に有機正孔輸送層および
対向電極を積層することによって構成される光電変換素
子の製造方法であって、前記半導体微粒子層の導電性支
持体上への塗設は、スクリーン印刷またはゾル−ゲル法
により行われ、前記増感色素の半導体微粒子層上への塗
設は、エクストルージョン型コータもしくはワイヤバー
コータもしくはスライドホッパ型コータもしくはスピン
コータを用いて行われるようにしたものである。
【0010】また、導電性支持体の上に半導体微粒子層
を塗設乾燥した後、前記半導体微粒子層の上に増感色素
を塗設し吸着させることにより増感色素含有半導体微粒
子層を形成し、しかる後に前記増感色素含有半導体微粒
子層の上に有機正孔輸送層および対向電極を積層するこ
とによって構成される光電変換素子の製造方法であっ
て、前記半導体微粒子層の導電性支持体上への塗布及び
増感色素の半導体微粒子層上への塗設は、エクストルー
ジョン型コータもしくはワイヤバーコータもしくはスラ
イドホッパ型コータもしくはスピンコータを用いて行わ
れるようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法を実施した光電
変換素子10は、図2に示すように、導電性支持体1
1,増感色素含有半導体微粒子層14,有機正孔輸送層
15、および対向電極16を順次に層設したものであ
る。前記増感色素含有半導体微粒子層14は、半導体微
粒子層12に増感色素13を塗布し、吸着させて形成し
たものである。
【0012】導電性支持体11としては、例えば金属の
ように支持体そのものに導電性があるものか、または表
面に導電剤層を有するガラスもしくはプラスチックの支
持体を使用することができる。金属の支持体としては、
例えばステンレススチール、アルミニウムおよびその合
金、チタンおよびその合金、鉄およびその合金、銅およ
びその合金等の金属の薄板およびその複合体を好ましく
使用することができる。
【0013】表面に導電剤層を有するガラスもしくはプ
ラスチックを支持体として用いる場合、好ましい導電剤
としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウ
ム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは導電性
の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズ
にフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。
【0014】半導体微粒子層12に用いられる半導体微
粒子としては、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫
化物、セレン化物等)またはペロブスカイトの微粒子を
使用することができる。金属のカルコゲニドとしては、
好ましくはチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコ
ニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セ
リウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオ
ブ、もしくはタンタルの酸化物、硫化カドミウム、セレ
ン化カドミウム等が挙げられる。ペロブスカイトとして
は、好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カル
シウム等が挙げられる。これらのうち、酸化チタン、酸
化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンが特に好ましい。
これらの半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算し
たときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として2〜2
00nmであることが好ましく、特に4〜100nmで
あることが好ましい。
【0015】半導体微粒子の分散液を作製する方法とし
ては、半導体微粒子の前駆体を空気中の水分によって加
水分解後、縮合を進めることによって半導体微粒子を得
る方法(ゾル−ゲル法)の他、乳鉢ですり潰す方法、ミ
ルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体
を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させ、そのま
ま使用する方法等が挙げられる。
【0016】分散媒としては水または各種の有機溶媒
(例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、
ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチ
ル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポリマ、
界面活性剤、酸(酢酸、硝酸等)、もしくはキレート剤
(アセチルアセトン等)等を分散助剤として用いてもよ
い。
【0017】半導体微粒子を導電性支持体11上に塗設
する方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイ
ド溶液を導電性支持体11上に塗布する方法、前述のゾ
ル−ゲル法などが挙げられる。光電変換素子10の量産
化、液物性や支持体の融通性を考えた場合、湿式の塗布
型が比較的有利であり、半導体微粒子の液粘度やウェッ
ト厚みによって適宜塗布方式を選択すればよい。
【0018】液粘度は、半導体微粒子の種類や分散性、
使用溶媒種、界面活性剤やバインダ等の添加剤により大
きく左右される。高粘度液(例えば0.1〜500Pois
e )では、図3や図4に示すようなエクストルージョン
型コータ21が、低粘度液(例えば0.1Poise 以下)
では、図5や図6に示すようなスライドホッパ型コータ
22,23もしくは図7のようなワイヤバーコータ24
もしくは汎用のスピンコータが適していて、均一な膜に
することが可能である。
【0019】図3〜図7に共通の符号26は塗布液27
を入れるタンクであり、符号28はタンク26の塗布液
27をエクストルージョン型コータ21,スライドホッ
パ型コータ22,23もしくはワイヤバーコータ24に
供給する送液ポンプである。導電性支持体11として表
面に導電剤層を有するガラス板29を用いる場合には、
図3,図5に示すように、ガラス板29を直線状に移動
させながらエクストルージョン型コータ21もしくはス
ライドホッパ型コータ22にて半導体微粒子の塗布液2
7をガラス板29上に塗布する。
【0020】導電性支持体11として、例えばフレキシ
ブルな金属板(例えば銅板)31を用いる場合には、図
4,図6に示すように、金属板31を長尺としてローラ
32に巻き付け、このローラ32の回転により金属板3
1を搬送しながらエクストルージョン型コータ21もし
くはスライドホッパ型コータ23にて半導体微粒子の塗
布液27を金属板31上に塗布するか、または、図7に
示すように、金属板31をほぼ直線上に搬送しながらワ
イヤバーコータ24の前後に配置されたローラ34,3
5で金属板31をワイヤバーコータ24に押しつけるよ
うにする。
【0021】なお、エクストルージョン型コータ21で
は、塗布量がある程度の量あれば、低粘度液の塗布も可
能である。また、半導体微粒子の高粘度ペーストの塗設
にはしばしばスクリーン印刷が用いられており、この手
法を使うこともできる。
【0022】このように、半導体微粒子の塗布方式は、
塗布液の液粘度、塗布量、支持体、塗布速度等のパラメ
ータに対応して、適宜選択すればよい。本発明において
は、特に液粘度が重要なパラメータである。
【0023】さらに、半導体微粒子層12は単層と限定
する必要はない。微粒子の粒径の違った分散液を多層塗
布することが可能であり、一度の塗布で膜厚が稼げない
場合にも多層塗布は有効である。多層塗布には、エクス
トルージョン型コータ21またはスライドホッパ型コー
タ22が適している。また、多層塗布の塗布回数は任意
でよく、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。さら
に、順次重ね塗りであればスクリーン印刷法も好ましく
使用できる。
【0024】一般に、半導体微粒子層12の厚みが増大
するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため
光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増
すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがっ
て、半導体微粒子層12には好ましい厚さが存在する
が、典型的には0.1〜100μmである。この中でも
1〜30μmであることが好ましく、さらに3〜20μ
mがより好ましい。
【0025】半導体微粒子は支持体に塗布した後に粒子
同士を電気的にコンタクトさせ、塗膜強度の向上や導電
性支持体11との密着性を向上させるために加熱処理す
ることが好ましい。好ましい加熱温度の範囲は40℃以
上600℃未満である。焼成温度と時間により乾燥加熱
プロセスを設計すればよいが、加熱温度が低温(〜13
0℃)なら熱風乾燥、それ以上なら各種ヒートローラ、
赤外線ヒータなどを使えばよい。
【0026】次に半導体微粒子層12の上に塗布される
増感色素13について説明する。本発明に使用する増感
色素13は金属錯体色素および/もしくはポリメチン色
素が好ましい。本発明に使用する増感色素13がルテニ
ウム錯体色素である場合、下記の一般式(1)で表され
る色素が好ましい。 一般式(1)
【0027】(X)nRuLL1
【0028】上記一般式(1)において、nは1または
2であり、好ましくは2である。Ruはルテニウムを表
す。XはCl、SCN 、H2O 、Br、I、CN、−NCO 、および
SeCNから選択される配位子である。LおよびL1 は以下
のL−1〜L−10から選択される有機配位子である。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】ここでRは水素原子、ハロゲン原子、炭素
原子数1乃至12個で置換もしくは無置換のアルキル
基、アラルキル基、アリール基を表す。
【0032】本発明に用いられるルテニウム錯体色素と
して、例えば、米国特許第4927721号、同468
4537号、同5084365号、同5350644
号、同5463057号、同5525440号および特
開平7−249790号の各明細書記載の錯体色素が挙
げられる。
【0033】下記の表1に本発明に使用するルテニウム
錯体色素の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0034】
【表1】
【0035】本発明に使用する増感色素13がポリメチ
ン色素である場合、下記の一般式(2)(化学式3)も
しくは一般式(3)(化学式4)で表される色素が好ま
しい。 一般式(2)
【0036】
【化3】
【0037】式中、R11 、R15 は水素原子、アルキル
基、アリール基、および複素環残基を、R12 〜R14 は水
素原子もしくは置換基を表す。R11 〜R15 は互いに結合
して環を形成してもよい。X11 、X12 は窒素、酸素、硫
黄、セレン、テルルを表す。n11 およびn13 は0〜2の
整数を、n12 は1〜6の整数を表す。一般式(2)で表
される化合物は分子全体の電荷に応じて対イオンを有し
てもよい。 一般式(3)
【0038】
【化4】
【0039】式中、Z は含窒素複素環を形成するに必要
な非金属原子群を表す。R はアルキル基またはアリール
基である。Qは一般式(3)で表される化合物がメチン
色素を形成するのに必要なメチン基またはポリメチン基
を表す。ただしZ、RおよびQは一般式(3)で表され
る化合物が少なくとも一つの一般式(4)(化学式5)
で示される置換基を有することを可能にする基を表す。
X は電荷均衡対イオンを表し、n は分子の電荷を中和す
るのに必要な0以上10以下の数を表す。 一般式(4)
【0040】
【化5】
【0041】式中、Lは酸素原子、硫黄原子またはアミ
ノ基を示し、m1 は0または1である。m2 、m3 は0
または1であり、m2 またはm3 が0である場合、一般
式(4)で示される置換基は負電荷を帯びる。
【0042】以上のようなポリメチン色素の具体例は、
M.Okawara 、T.Kitao 、T.hirasima、M.Matuoka 著 Org
anic Colorants(Elsevier)等に詳しく記載されている
が、効率的な太陽光エネルギー変換のため、染料が半導
体微粒子の表面に適当な結合基(interlocking group)
を有していることが好ましい。結合基は励起状態の染料
と半導体粒子の伝導帯との間の電子の移動を容易にする
機能を担っている。好ましい結合基としては、カルボキ
シレート基、シアノ基、ホスフェート基、または、オキ
シム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレート
およびαケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレ
ート化基が挙げられる。
【0043】以下に一般式(2)および一般式(3)で
表されるポリメチン色素の好ましい具体例を示すが、本
発明はこれらに限定されるものではない。 {一般式(2)で表される色素の具体例}
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】{一般式(3)で表される色素の具体例}
【0047】
【化8】
【0048】
【化9】
【0049】
【化10】
【0050】
【化11】
【0051】
【化12】
【0052】
【化13】
【0053】一般式(2)および(3)で表される化合
物は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロ
サイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド
・リレイティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compou
nds-Cyanine Dyes and Related Compounds)」,ジ
ョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley&Sons)
社−ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、デー・エ
ム・スターマー(D.M.Sturmer )著「ヘテロサイクリッ
ク・コンパウンズ−スペシャル・トピックス・イン・ヘ
テロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Comp
ounds-Specialtopics in heterocyclic chemistry
)」,第18章,第14節,第482〜515頁,ジ
ョン・ウィリー・アンド・サンズ( John Wiley&Sons)
社−ニューヨーク,ロンドン,1977年刊、「ロッズ
・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rod
d's Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vo
l.IV,partB,1977年刊,第15章,第369から4
22頁,エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパ
ニー・インク(Elsevier Science Publishing Compa
ny Inc.)社刊,ニューヨーク、英国特許第10776
11号などに記載の方法に基づいて合成することができ
る。
【0054】次に色素吸着工程について説明する。半導
体微粒子に色素を吸着させる方法は色素溶液中によく乾
燥した半導体微粒子を含有する作用電極を浸漬するか、
もしくは色素溶液を半導体微粒子層に塗布して吸着させ
る方法を用いることができる。前者の場合、単なる長時
間の色素液中の浸漬でもよいし、よく知られているディ
ップコータやロールコータ、エアーナイフコータなどが
使えるが、膜厚の均一性の観点や塗布速度など生産性の
観点から採用は難しい。よって量産性まで考慮に入れる
と後者が高速均一付与適性があり、エクストルージョン
型コータ21もしくはスライドホッパ型コータ22,2
3もしくはワイヤバーコータ24もしくはスピンコータ
がより好ましい。
【0055】液粘度も半導体微粒子層12の形成時と同
様に、高粘度液(例えば0.1〜500Poise )ではエ
クストルージョン型コータ21が、低粘度液(例えば
0.1Poise 以下)ではスライドホッパ型コータ22,
23もしくはワイヤバーコータ24もしくはスピンコー
タが適していて、均一な膜にすることが可能である。な
お、エクストルージョン型コータ21では、塗布量があ
る程度の量あれば、低粘度液の塗布も可能である。
【0056】塗布後の色素吸着に要する時間は、量産化
を考えた場合、なるべく短い方がよいが、光電変換性能
とのトレードオフの関係があり、最適プロセス設計が必
要である。
【0057】未吸着の色素は吸着後、洗浄によって除去
することが好ましい。図8のような湿式洗浄槽41を使
い、アセトニトリルのような有機溶媒42で洗浄を行う
のがよい。また、吸着色素量を増大するため、前述の加
熱処理を吸着前に行うことが好ましい。加熱処理後、半
導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に
戻さず40〜80℃の間で素早く色素を吸着させるのが
好ましい。
【0058】また、半導体微粒子層12に吸着する増感
色素13は1種類でもよいし、数種混合して用いてもよ
い。用途が光電変換素子である場合、光電変換の波長域
をできるだけ広くするように混合する色素が選ばれる。
また、会合など色素同士の相互作用を低減する目的で無
色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性
化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合
物(例えばコール酸)が挙げられる。
【0059】増感色素13を吸着した後にアミン類を用
いて半導体微粒子層12の表面を処理してもよい。好ま
しいアミン類としてはピリジン、4−tert−ブチルピリ
ジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらは液
体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して
用いてもよい。
【0060】次に有機正孔輸送層15について説明す
る。有機正孔輸送層15は電子のキャリアとしての機能
が十分あればよく、湿式、乾式を問わない。湿式の場
合、有機正孔輸送層15は電解質と溶媒とから構成され
る。電解質としては、LiI、NaI、KI、CsI、
CaI2 などの金属ヨウ化物、4級イミダゾリウム化合
物のヨウ素塩、4級ピリジニウム化合物のヨウ素塩、テ
トラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素塩、Br2 と
LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2 な
どの金属臭化物、あるいはBr2 とテトラアルキルアン
モニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級
アンモニウム化合物の臭素塩、フェロシアン酸塩−フェ
リシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなど
の金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−
アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン
色素、ヒドロキノン−キノンなどを用いることができ
る。この中でも本発明の電解質は、LiI、NaI、K
I、CsI、CaI2 などの金属ヨウ化物、4級イミダ
ゾリウム化合物のヨウ素塩、4級ピリジニウム化合物の
ヨウ素塩、テトラアルキルアンモニウム化合物のヨウ素
塩が特に好ましい。好ましい電解質濃度は0.05モル
/リットル以上1.5モル/リットル以下である。特に
0.1モル/リットル以上0.8モル/リットル以下が
好ましい。また、本発明の電解質にヨウ素を添加して酸
化還元対を予め生成させておくこともできるが、その場
合の好ましい添加濃度は0.01モル/リットル以上
0.2モル/リットル以下である。
【0061】また、溶媒としては、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合
物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化
合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化
合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピ
レングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリ
コールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール
ジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノー
ル、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエー
テル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポ
リエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロ
ピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコー
ル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グ
リセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グ
ルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオ
ニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメ
チルスルフォキシド、スルフォランなどの非プロトン極
性物質、水などを用いることができる。この中でも、エ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカ
ーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノン
などの複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニト
リル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベ
ンゾニトリルなどのニトリル化合物が特に好ましい。
【0062】本発明の有機正孔輸送層を乾式とする場合
は、固体の有磯正子輸送材料もしくはゲル電解質を好ま
しく使用することができる。 本発明の有機正孔輸送層に
固体の有機正孔輸送材料を使用するときは、 1,1−ビス
{4−(ジ−P−トリルアミノ)フェニル}シクロヘキ
サンの3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジア
ミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4,
4,−ビス[(N−1−ナフチル)−N−フェニルアミ
ノ〕ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含
み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族
アミン(特開平5−234681号公報)、トリフェニ
ルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香
族トリアミン(米国特許第4,923,774号、特開
平4−308688号公報)、N,N’−ジフエニル−
N、N’−ビス(3 −メチルフェニル)−(1,1’−
ビフェニル)−4,4’−ジアミン等の芳香族ジアミン
(米国特許第4,764,625号)、α,α,α’,
α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4 −ジ−P −ト
リルアミノフェニル)−P −キシレン(特開平3−26
9084号公報)、P−フェニレンジアミン誘導体、分
子全体として立体的に非対称なリフェニルアミン誘導体
(特開平4−129271号公報)、ピレニル基に芳香
族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−17
5395号公報)、エチレン基で3級芳香族アミンユニ
ツトを連結した芳香族ジアミン( 特開平4−26418
9号公報)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン( 特開
平4−290851号公報)、ペンジルフェニル化合物
(特開平4−364153号公報)、フルオレン基で3
級アミンを連結したもの(特開平5−25473号公
報)、トリアミン化合物(特開平5−239455号公
報)、ピスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−3
20634号公報)、N,N,N−トリフェニルアミン
誘導体( 特開平6−1972号公報)、フェノキザジン構
造を有する芳香族ジアミン( 特願平5−290728
号)、ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特願
平6−45669号)等に示される芳香族アミン類を好
ましく使用することができる。
【0063】本発明に好ましく使用することができる有
機正孔輸送材料を以下に列挙するが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0064】
【化14】
【0065】また、本発明の有機正孔輸送層にゲル電解
質を使用する場合、ゲル電解質はゲル化剤、電解質およ
び溶媒とから構成されることが好ましい。ゲル化剤とし
てはポリマー、オイルゲル化剤、多官能モノマー類を好
ましく使用することができる。 ポリマーをゲル化剤とし
て使用する場合はポリエチレンオキサイド、ポリアクリ
ロニトリル、ポリ弗化ピニリデン等を好ましく使用する
ことができる。オイルゲル化剤をゲル化剤として使用す
る場合は、以下の化学式15,16に示す化合物を好ま
しく使用することができる。
【0066】
【化15】
【0067】
【化16】
【0068】ゲル電解質を多官能性モノマーの重合によ
り形成するときは、エチレン性不飽和基を2個以上有す
る多官能性モノマーを使用することが好ましい。 エチレ
ン性不飽和基を少なくとも2個以上含有する化合物の好
ましい例としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコ
ールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレ
ート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレ
ングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジ
メタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレートが挙げられる。ゲル電解質を構成
するモノマー類はこの他に単官能モノマーを含んでいて
もよく、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例
えばメタクリル酸など)類から誘導されるエステル類も
しくはアミド類(例えば、N−iso一プロピルアクリ
ルアミド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−
メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルト
リメチルアンモニウムクロライド、メチルアクリレー
ト、ヒドロキシエチルアクリレート、n−プロピルアク
リレート、n−プチルアクリレート、2−メトキシエチ
ルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなど)、
ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸ま
たはフマル酸から誘導されるエステル類(マレイン酸ジ
メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルな
ど)、マレイン酸、フマル酸、p−スチレンスルホン酸
のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエ
ン、イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレ
ン、p−クロルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウ
ム)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチ
ルホルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸
ナトリウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロ
ライド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニ
ルエーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イ
ソブテン、N−フェニルマレイミド等を好ましく使用す
ることができる。モノマー全量に占める多官能性モノマ
ーの好ましい重量組成範囲は0.5重量%以上70重量
%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0
重量%以上50重達%以下である。
【0069】上述のモノマーは、大津隆行・木下雅悦共
署:高分子合成の実験法(化学同人)や大津隆行:講座
重合反応論1ラジカル重合(1)(化学同人)に記載さ
れた一般的な高分子合成法であるラジカル重合によって
合成することができる。本発明のゲル電解質用モノマー
は、加熱、光、電子線、また電気化学的にラジカル重合
することができるが、特に加熱によってラジカル重合さ
せることが好ましい。本発明の架橋高分子が加熱により
形成される場合に好ましく使用される重合開始剤は、例
えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)、
ジメチル2.2′一アゾビス(2−メチルブロピオネー
ト)(ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレート)な
どのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸
化物系開始剤等である。重合開始剤の好ましい添加量は
モノマー総量に対し0.01重量%以上20重量%以下
であり、さらに好ましくは0.1重量%以上10重量%
以下である。以下の化学式17,18に本発明に好まし
く使用できるモノマーを重合した例を列挙するが、 本発
明はこれらに限定されるものでない。下記x 、y等の添
字は重量組成比を表したものである。
【0070】
【化17】
【0071】
【化18】
【0072】ゲル電解質に占めるゲル化剤の重量組成範
囲は0.5重量%以上70重量%以下であることが好ま
しく、さらに好ましくは1.0重量%以上50重量%以
下である。電解質および溶媒は前述の化合物と同じもの
を使用することが好ましい。
【0073】有機正孔輸送層15の形成方法に関しては
2通りの方法が考えられる。1つは増感色素13を担持
させた半導体微粒子層12の上に先に対向電極16を貼
り合わせておき、その間隙に液状の有機正孔輸送材を浸
漬等により毛管現象で挟み込む方法である。もう1つは
半導体微粒子層12上に直接に有機正孔輸送材を塗設す
る方法で、対向電極16はその後付与することになる。
この場合、湿式有機正孔輸送材においては未乾燥のまま
対向電極16を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置も施
すことになる。また、ゲル電解質の場合には、湿式で塗
布して重合等の方法により固体化する方法もあり、その
場合には乾燥、固定化した後に対向電極16を付与する
ことになる。湿式有機正孔輸送材やゲル電解質を塗布す
る方法としては、エクストルージョン型,スライドホッ
パー型,ワーヤーバー法,スピン法,キャスト法等が考
えられる。固体電解質の場合には、真空蒸着法やCV
D,プラズマ等のドライ処理で有機正孔輸送層15を形
成し、その後対向電極16を付与することもできる。
【0074】量産化を考える場合、湿式塗布により有機
正孔輸送層15を膜形成した後、例えば光重合や熱ラジ
カル重合等の方法により固体化することが好ましい。塗
布方式は液物性により適宜選択すればよい。
【0075】次に対向電極16について説明する。対向
電極16は光電変換素子10の正極として働くものであ
る。対向電極材としては、金属(例えば白金、金、銀、
銅、アルミニウム、ロジウム、マグネシウム、インジウ
ム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸化物(インジウ
ム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたも
の等)が好ましい。対向電極16の厚さは、0.02〜
10μm程度であることが好ましい。
【0076】対向電極16については有機正孔輸送層1
5の付与で記したように、有機正孔輸送層15の上付与
する場合と先に半導体微粒子層12上に付与する場合の
2通りある。有機正孔輸送層15上もしくは半導体微粒
子層12上に対向電極材を塗布、ラミネート、蒸着、貼
り合わせなどの方法により形成可能である。量産性を考
える場合、湿式塗布が好ましく、液物性により塗布方式
は適宜選択することができる。
【0077】さらに、対向電極16を導電膜、保護層、
反射防止膜などに多層にて機能分離させることも可能で
あり、その場合、スライドホッパ型コータ22,23や
エクストルージョン型コータ21が同時多層塗布をする
上で適している。また同時多層塗布に拘る必要はなく、
逐次で塗布することも可能であるが、生産性を優先させ
ると同時多層塗布がより好ましい。
【0078】対向電極16は表面抵抗が低いほどよい。
好ましい表面抵抗の範囲としては80Ω/cm2 以下であ
り、さらに好ましくは20Ω/cm2 以下である。また、
半導体微粒子層12に光が到達するためには、前述の導
電性支持体11と対向電極16の少なくとも一方は実質
的に透明でなければならない。
【0079】本発明の光電変換素子の製造方法につい
て、下記の実施例により具体的に説明する。
【0080】
【実施例】(実施例1)図1に示すように、フッ素をド
ープした酸化スズをコーティングした導電性ガラス(日
本板硝子製TCO;表面抵抗10Ω/cm2 、30cm×3
0cm×1.1mm)を20mm×20mmの大きさに切断加工
したもの(導電性支持体11に該当)の導電面側に、二
酸化チタン分散液(二酸化チタン(日本アエロジル製;
Degussa、P-25)に水および分散剤(アルドリッチ製;T
riton、X-100 )を入れ、サンドグラインダで分散させ
た液で粘度が30Poise )をエクストルージョン型コー
タにより塗布した後、赤外線乾燥装置で450℃まで膜
面を加熱し、乾燥膜厚10μm の二酸化チタン層(半導
体微粒子層12に該当)を形成した。
【0081】60℃まで二酸化チタンの膜を冷却した
後、次にR−1の色素(増感色素13に該当)を色素濃
度0.0003モル/リットルのエタノール溶液(液粘
度0.03Poise )とし、エクストルージョン型コータ
により20cc/m2に塗布した後、100℃の熱風乾燥を
1分施した。その後アセトニトリル浴中で湿式洗浄し、
再び100℃の熱風で乾燥させた。
【0082】上記色素を担持させた二酸化チタン層付き
導電性ガラスの上に、これと同じ大きさの白金蒸着ガラ
ス(対向電極16に該当)を重ね合わせた(二酸化チタ
ン層の未塗布部分を白金蒸着ガラスに接触させないよう
にずらしてある)。次に、両ガラスの間隙に毛細管現象
を利用して、電解液(アセトニトリルとN−メチル−2
−オキサゾリジノンの体積比90対10の混合物を溶媒
としたヨウ素0.05モル/リットル、ヨウ化リチウム
0.5モル/リットルの溶液)をしみ込ませて有機正孔
輸送層を形成し、光電変換素子とした。
【0083】(実施例2)二酸化チタン分散液の塗布を
スクリーン印刷法で行った以外は実施例1と同様に光電
変換素子を作製した。
【0084】(実施例3)二酸化チタン分散液の塗設を
ゾル−ゲル法で行った以外は実施例1と同様に光電変換
素子を作製した。
【0085】(実施例4)二酸化チタン分散液の粘度を
0.05Poise とし、その塗布をワイヤバーコータで行
った以外は実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
ただし、液粘度を低く調製したため、乾燥後の膜厚が薄
いので、1度の塗布でなく、塗布を10回繰り返した。
【0086】(実施例5)二酸化チタン分散液の塗布を
スライドホッパ型コータで行った以外は実施例4と同様
に光電変換素子を作製した。
【0087】(実施例6)二酸化チタン分散液の塗布を
スピンコータで行った以外は実施例4と同様に光電変換
素子を作製した。
【0088】(実施例7)増感色素の塗布をワイヤバー
コータで行った以外は実施例1と同様に光電変換素子を
作製した。
【0089】(実施例8)増感色素の塗布をスライドホ
ッパ型コータで行った以外は実施例1と同様に光電変換
素子を作製した。
【0090】(実施例9)増感色素の塗布をスピンコー
タで行った以外は実施例1と同様に光電変換素子を作製
した。
【0091】(比較例1)TCOの導電面側の一部(端
から3mm)に粘着テープを貼ってスペーサとし、粘着テ
ープが両端に来るようにして二酸化チタン分散液をガラ
ス棒を用いて塗布した以外は実施例1と同様に光電変換
素子を作製した。
【0092】(比較例2)二酸化チタン分散液の塗布を
ワイヤバーコータで行った以外は実施例1と同様に光電
変換素子を作製した。
【0093】(比較例3)二酸化チタン分散液の塗布を
スライドホッパ型コータで行った以外は実施例1と同様
に光電変換素子を作製した。
【0094】(比較例4)二酸化チタン分散液の塗布を
スピンコータで行った以外は実施例1と同様に光電変換
素子を作製した。
【0095】(比較例5)増感色素の塗布量が10cc/
m2で塗布した以外は実施例1と同様に光電変換素子を作
製した。
【0096】(比較例6)増感色素の塗布液粘度を1Po
ise とし、その塗布をワイヤバーコータで行った以外は
実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
【0097】(比較例7)増感色素の塗布液粘度を1Po
ise とし、その塗布をスライドホッパ型コータで行った
以外は実施例1と同様に光電変換素子を作製した。
【0098】(比較例8)増感色素の塗布液粘度を1Po
ise とし、その塗布をスピンコータで行った以外は実施
例1と同様に光電変換素子を作製した。
【0099】〔光電変換効率の測定〕500Wのキセノ
ンランプ(ウシオ製)の光をAM1.5フィルター(Or
iel社製)およびシャープカットフィルター(Kenko L
−42)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光
を発生させた。この光の強度は84mW/cm2 であっ
た。
【0100】実施例1〜9および比較例1〜8により作
製された光電変換素子の導電性支持体と対向電極にそれ
ぞれ導線を接続し、模擬太陽光を照射し、発生した電流
を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)にて
測定した。各実施例、比較例につきサンプル数を50に
して標準偏差も調べた。これにより求められた太陽電池
の平均開放電圧(Voc )、平均短絡電流密度(Jsc )、
平均形状因子(ff)、平均変換効率(η1)および変換
効率の標準偏差(η2)を一括して下記の表2に記載し
た。
【0101】
【表2】
【0102】表2から明らかなように、実施例2および
実施例3はよく知られた手法(スクリーン印刷、ゾル−
ゲル法)で予め半導体微粒子を塗設しており、性能は実
施例1と同等であり有用であることが確認できた。実施
例4〜実施例9は、実施例1と同様に適切なコータの選
択および塗布液粘度を調製しているため、さらに膜厚が
稼げない場合には塗布を複数回行うことにより、性能の
バラツキがなく、良好である。すなわち、本発明の実施
例1〜9は、全面均一な膜の積層を効率よく行うことが
できる。
【0103】比較例1はガラス棒による手塗りであり、
膜厚精度が著しく悪いのが目視でもわかる。比較例2〜
4では、液粘度によるコータの選択を誤っており二酸化
チタン膜のスジやムラの発生を起こしていた。比較例5
では、塗布量が少ない場合にエクストルージョン型コー
タはスジを発生させていた。比較例6〜8では、液粘度
が高粘の場合、コータの選択を誤った例であり、これも
塗布ムラを起こしていた。比較例1〜8においては、二
酸化チタンについても増感色素についても適切が塗布が
できておらず、その結果、変換効率の低下やバラツキの
増大をもたらしている。よって安定な製造ができないこ
とが予想される。
【0104】なお、本発明の光電変換素子は、光再生型
光電気化学電池(湿式太陽電池)も含むものとする。
【0105】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、半導体微粒
子層の導電性支持体上への塗設をスクリーン印刷または
ゾル−ゲル法により行い、増感色素の半導体微粒子層上
への塗設をエクストルージョン型コータもしくはワイヤ
バーコータもしくはスライドホッパ型コータもしくはス
ピンコータにより行うので、量産性に優れ、かつ光電変
換性能が均一な光電変換素子を製造できる。
【0106】また、半導体微粒子層の導電性支持体上へ
の塗布及び増感色素の半導体微粒子層上への塗設をエク
ストルージョン型コータもしくはワイヤバーコータもし
くはスライドホッパ型コータもしくはスピンコータによ
り行っても、上記と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法のシーケンスを示すフローチ
ャートである。
【図2】本発明を実施した光電変換素子の層構成を示す
断面図である。
【図3】非フレキシブルな支持体に対するエクストルー
ジョン型コータによる塗布状況を示す説明図である。
【図4】フレキシブルな支持体に対するエクストルージ
ョン型コータによる塗布状況を示す説明図である。
【図5】非フレキシブルな支持体に対するスライドホッ
パ型コータによる塗布状況を示す説明図である。
【図6】フレキシブルな支持体に対するスライドホッパ
型コータによる塗布状況を示す説明図である。
【図7】ワイヤバーコータによる塗布状況を示す説明図
である。
【図8】未吸着色素の除去を行う湿式洗浄槽の概略図で
ある。
【符号の説明】
10 光電変換素子 11 導電性支持体 12 半導体微粒子層 13 増感色素 14 増感色素含有半導体微粒子層 15 有機正孔輸送層 16 対向電極 21 エクストルージョン型コータ 22,23 スライドホッパ型コータ 24 ワイヤバーコータ 26 タンク 27 塗布液 28 送液ポンプ 29 ガラス板 31 金属板 41 色素洗浄槽 42 有機溶媒

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体の上に半導体微粒子層を塗
    設乾燥した後、前記半導体微粒子層の上に増感色素を塗
    設し吸着させることにより増感色素含有半導体微粒子層
    を形成し、しかる後に前記増感色素含有半導体微粒子層
    の上に有機正孔輸送層および対向電極を積層することに
    よって構成される光電変換素子の製造方法であって、 前記半導体微粒子層の導電性支持体上への塗設は、スク
    リーン印刷またはゾル−ゲル法により行われ、前記増感
    色素の半導体微粒子層上への塗設は、エクストルージョ
    ン型コータもしくはワイヤバーコータもしくはスライド
    ホッパ型コータもしくはスピンコータを用いて行われる
    ことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 導電性支持体の上に半導体微粒子層を塗
    設乾燥した後、前記半導体微粒子層の上に増感色素を塗
    設し吸着させることにより増感色素含有半導体微粒子層
    を形成し、しかる後に前記増感色素含有半導体微粒子層
    の上に有機正孔輸送層,対向電極を順次に層設すること
    によって構成される光電変換素子の製造方法であって、 前記半導体微粒子層の導電性支持体上への塗布及び増感
    色素の半導体微粒子層上への塗設は、エクストルージョ
    ン型コータもしくはワイヤバーコータもしくはスライド
    ホッパ型コータもしくはスピンコータを用いて行われる
    ことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
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