JP2000010466A - 実世界の制約を用いる仮想空間でのシミュレーション方法 - Google Patents

実世界の制約を用いる仮想空間でのシミュレーション方法

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JP2000010466A
JP2000010466A JP10174604A JP17460498A JP2000010466A JP 2000010466 A JP2000010466 A JP 2000010466A JP 10174604 A JP10174604 A JP 10174604A JP 17460498 A JP17460498 A JP 17460498A JP 2000010466 A JP2000010466 A JP 2000010466A
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Haruo Noma
春生 野間
Tsutomu Miyasato
勉 宮里
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ATR Media Integration and Communication Research Laboratories
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ATR Media Integration and Communication Research Laboratories
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同時多体問題処理と仮想空間規模の拡張性が
実現可能な仮想空間でのシミュレーション方法を提供す
る。 【解決手段】 縮退実空間50内で独立に動作する小型
ロボット51,52,53と仮想空間における仮想物体
11,12,13を対応付けておき、ロボット51,5
2,53の運動情報を情報変換メカニズム4を介して全
体管理計算機3に与えて各ロボットの動作を仮想物体1
1,12,13の運動に反映させ、個々の仮想物体の運
動シミュレーションを実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は実世界の制約を用
いる仮想空間でのシミュレーション方法に関し、特に、
仮想空間内での運動シミュレーションにおける同時多体
問題処理と仮想世界規模の拡張性を実現できるような仮
想空間でのシミュレーション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】仮想空間(Virtual Reality )技術は、
従来のシミュレーション装置による現実環境の模倣のみ
ならず、新たな世界を自由に構築し、その際に内部での
人間の新たなる体験を創造し得る大きな可能性を秘めて
いる。仮想環境を現実世界の拡張として広く一般に使用
するならば、実用性が高まるに連れて、その世界の構成
要素である仮想物体はより数多く、また個々の物体はよ
り複雑にならざるを得ない。
【0003】図3は従来のすべてソフトウェアのみで実
現される運動シミュレーションの典型的な構成を示す図
である。図3において、仮想空間1内には仮想物体1
1,12,13が存在し、それぞれの仮想物体11,1
2,13はそれぞれの形状,位置,姿勢,材質などのパ
ラメータがそれらの運動を管理する計算機内のデータベ
ース2に格納されている。仮想空間の実時間シミュレー
ションを行なう際には、図3のフローチャートに示すよ
うに、まずそれまでに定義される運動方程式によって物
体の位置,姿勢が個別に更新される。その後、それぞれ
の物体間で衝突検出処理が行なわれ、衝突(イベント)
が検出された物体については、前段の位置,姿勢更新処
理を補正し、同時に運動方程式を書換える。このような
シミュレーション方法は、武田らが発表した「物理法則
に基づく剛体のシミュレーション手法」,電子情報通信
学会論文誌D−II,Vol.J79−DII,No.
5,pp.860−869,(1996)に記載されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】通常、これらの処理が
逐次処理計算機のソフトウェアとして実現されているこ
とに起因して、次の2点の問題点がある。
【0005】 同時多体問題の近似処理 逐次処理型の計算機では、原理的に同時に複数のイベン
トの評価を実行できない。したがって、図4の複数物体
の同時衝突シミュレーションに示すように、(a)の接
触して停止している2つの球状の物体B,Cに別の球状
の物体Aが衝突する場合のように、複数物体の同時衝突
処理は物体AのBとの衝突の結果として物体Cへ及ぼさ
れる衝撃の記述を、ソフトウェアのみのシミュレーショ
ンのみでは一般的かつ厳密には記述できない。すなわ
ち、図4(b)に示すように、ソフトウェアによる逐次
処理では、物体AとBとの間の衝突の影響が物体BとC
との間へ波及するタイミングによって遅れてしまう。こ
のため、たとえ複数のCPUを用いる並列計算機構であ
っても、複数のイベントの評価の同時性とその影響の反
映が厳密に確保できないため、近似的な解しか導出でき
ない。これについては上述の文献にも付記されている。
【0006】 スケール問題 処理すべき仮想物体の数の増加につれて、計算量が爆発
的に増加する。たとえば、単純にn個の仮想物体の運動
シミュレーションで見積もった場合、図3のフローチャ
ートに示すように、運動方程式に基づく物体の位置姿勢
更新処理はn回となり、物体の衝突判定計算はそれぞれ
の総当たりのためにn!/(n−2)!2!回になり、
さらに衝突結果に基づく挙動補正を重なりなどの矛盾が
なくなるまで処理する必要があり、物体数の増加につれ
て実時間処理には限界が発生する。このことは、複数の
計算機による並列化を導入しても、衝突判定時にはそれ
ぞれの情報の交換が必須であり、やはり性能改善に上限
がある。このことについては、北村らが発表した「並列
計算機による3次元物体の実時間衝突面検出」,電子情
報通信学会論文誌D−I,Vol.J78−DI,N
o.8,pp.788−797,(1996)において
も触れられている。
【0007】それゆえに、この発明の主たる目的は、仮
想空間における仮想物体の挙動シミュレーションに現実
世界の同時性と物理的制約を積極的に導入し、同時多体
問題処理と仮想空間規模の拡張性を実現可能な仮想空間
でのシミュレーション方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
仮想空間内で定義された仮想物体を運動シミュレーショ
ンする方法であって、独立に動作する複数の小型ロボッ
トを利用し、対象となる仮想空間内の個々の仮想物体に
はそれぞれに実世界で連動するロボットを1台ずつ対応
させ、これらのロボット群の動作を変換メカニズムによ
って仮想物体の運動に反映させて個々の仮想物体の運動
シミュレーションを実現する。
【0009】請求項2に係る発明は、各ロボットの移動
量を計測し、その移動量を対応する仮想物体の移動量に
反映させる。
【0010】請求項3に係る発明では、仮想空間内で運
動している仮想物体の映像や衝突音を視聴覚情報として
ユーザーに提示する。
【0011】請求項4に係る発明では、ユーザーが仮想
空間のある仮想物体を操作するとき、その仮想物体の動
きはユーザーによって制御され、ユーザーから仮想物体
に与えた制御は変換メカニズムを介してロボットの移動
量に反映させる。
【0012】請求項5に係る発明では、ユーザーが仮想
物体に対して操作情報を与えたとき、その結果仮想物体
に生じる操作反力を計算し、その情報もユーザーに提示
する。
【0013】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の一実施形態を示
す図である。この発明では、仮想空間における仮想物体
の挙動シミュレーションに現実世界の同時性と物理的制
約を積極的に導入し、同時多体問題処理と仮想空間の現
実の拡張性を実現しようとするものである。
【0014】まず、仮想空間1における仮想物体11,
12,13それぞれに実世界で連動するセンサ付の小型
ロボット51,52,53が対応して設けられる。ここ
で、実際に仮想空間を体感しているユーザーから見たと
して、その仮想空間を表現系と定義し、ロボットの移動
する空間はその仮想空間の運動シミュレーション情報の
みを反映する縮退実空間と定義する。
【0015】個々のロボット51,52,53には、予
め対応する仮想物体11,12,13の運動方程式と形
状情報と物体間の衝突などの外乱が発生した場合の処理
が初期設定されている。この情報をもとに、各ロボット
51,52,53は縮退実空間内を動き回り、そのロボ
ットの挙動が仮想空間1内で対応する仮想物体11,1
2,13の動きに反映させるものとする。
【0016】具体的には、縮退実空間50における個々
のロボット51,52,53からの位置,姿勢情報は光
通信あるいは無線通信などの手段によって全体管理計算
機3に伝送される。全体管理計算機3には情報変換メカ
ニズム4が内蔵されていて、この情報変換メカニズム4
によってロボット51,52,53から与えられた縮退
実空間からの位置姿勢情報が仮想空間の位置姿勢情報へ
変換され、仮想空間の表現系の映像,視覚,聴覚,力覚
などの諸感覚情報がユーザーインタフェース6によって
ユーザーに提示される。情報変換メカニズム4について
は後述する。
【0017】各ロボット51,52,53にはそれぞれ
に近接あるいは接触センサが組込まれており、さらに図
1に示すフローチャートに基づく処理を各ロボット5
1,52,53が実行するようにプログラムが組込まれ
ている。それぞれの各ロボット51,52,53は運動
シミュレーションを実行中に近接あるいは接触センサに
よって他のロボットと衝突したことを計測すると、衝突
相手を確定し、そのイベントと予め記録されている情報
をもとに以降の動作のための挙動変更を行なった後、再
び移動する。
【0018】ここで、ロボット同士の衝突とは、すなわ
ち、これらの仮想物体同士の衝突であり、仮に複数のロ
ボットが同時に衝突しても完全に独立して処理を進める
ことができる。つまり、複数の物体間の衝突が全く個別
の事象として同時に発生する際のシミュレーションで問
題となる同時多体問題が、実空間の同時性により実現さ
れる点にある。さらに、シミュレーションすべき仮想物
体が増えた際に生ずるスケール問題も、単にロボットの
数を増やすことで解決することができる。
【0019】また、図1に示した実施の形態では、ユー
ザーが仮想空間の仮想物体の動作状況を確認と操作入力
を行なうためのユーザーインタフェース部6を設けてい
る。ここでは、表現系の情報をモニタディスプレイ61
や頭部搭載型ディスプレイ62を用いて画像表示する機
能、およびユーザーが任意に仮想物体を動かすためにユ
ーザーの手先による操作入力とその結果を触力覚にて提
示する操作感覚提示装置63や表現系の情報を音声とし
て出力するスピーカ64などからなる。このようなユー
ザーインタフェース部6はその他に一般に利用される計
算機の入出力装置であっても接続可能である。
【0020】たとえば、ユーザーが仮想物体を操作する
場合には、表現空間での位置姿勢の変更情報を実時間で
縮退実空間系に変換し、ロボットの挙動を直接連動させ
ることでシミュレーションに組込むことができる。その
際には、ユーザーが操作する仮想物体と他の仮想物体と
の衝突の結果を視覚情報だけでなく、操作感覚提示装置
63を用いて触覚情報や音声情報などの視聴覚情報とし
て提示することも可能である。
【0021】図2は図1に示した情報変換メカニズム4
の処理の流れを示す図である。情報変換メカニズム4は
シミュレーションの並列性に影響を及ぼさないため、通
常の計算機で実行されるソフトウェアのループにて実現
される。まず、プログラムされた仮想物体の移動に伴っ
て生じる縮退空間でのロボットの移動量をdxとする。
この移動量を仮想空間での移動量へと変換する式をF
(x)とすると、このロボットに関連付けられている仮
想物体の仮想空間での位置Xは、 X=Xold +F(dx) となる。ここで、Xold は前回のループで更新された仮
想物体の位置である。関数F(x)については、シミュ
レーションの目的に応じて、空間的・時間的なパラメー
タ変換を行なう。最も単純には、空間の変換パラメータ
を定数のa,bとして、 F(x)=a・x+b となる。
【0022】対象物体が自由に運動している場合はここ
までの処理を繰返す。しかし、この物体がユーザーによ
って操作されている場合は、さらに次の2段階の処理が
必要となる。まず、ユーザーによる仮想物体の操作量を
dxとする。これはユーザーインタフェース部6の仮想
物体操作装置によって計測される。これを縮退空間の対
応するロボットの位置xに反映させる。変換式は x=xold +F-1(dX) とする。ここで、xold は前回の処理でのロボットの位
置である。関数F-1(X)については、F(x)の逆関
数である。
【0023】さらに、ユーザーに物体操作の結果として
生じる操作反力を提示する場合には、図2のフローチャ
ートの第2段階から第3段階の間に、物体の定義モデル
に従って操作反力を計算し、操作感覚提示装置63を介
してユーザーに感触を提示する。
【0024】なお、この発明の他の応用分野として、計
算流体力学などの分野における多数の粒子の挙動シミュ
レーションに関する問題への応用も可能である。その場
合には、対象の流体を構成する個々の粒子の挙動をやは
り個々のロボットの挙動に当てはめることで、自在に環
境条件を制御しながら完全に同期の外れた多体問題を厳
密に評価可能となり、従来のソフトウエアによるシミュ
レーションと比べ、より正確な結果を得ることができ
る。
【0025】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、独立
に動作する多数の小型ロボットを利用し、対象となる仮
想空間内の個々の仮想物体のそれぞれに実世界で連動す
るロボットを1台ずつ対応させ、ロボット群の動作を仮
想物体の仮想空間の運動に反映させて、個々の仮想物体
の運動シミュレーションを実現するようにしたので、従
来の逐次型処理計算機のソフトウェアでは原理的に実現
不可能な運動シミュレーションにおける厳密な同時多体
問題処理と仮想世界規模の拡張性を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示す図である。
【図2】図1に示した情報変換メカニズムの処理動作を
示すフローチャートである。
【図3】従来のすべてソフトウェアのみで実現される運
動シミュレーションの典型的な構成を示す図である。
【図4】ソフトウェアによる複数物体の同時衝突シミュ
レーションを示す図である。
【符号の説明】
1 仮想空間 3 全体管理計算機 4 情報変換メカニズム 11,12,13 仮想物体 50 縮退実空間 51,52,53 ロボット 61 モニタディスプレイ 62 頭部搭載型ディスプレイ 63 操作感覚提示装置 64 スピーカ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮里 勉 京都府相楽郡精華町大字乾谷小字三平谷5 番地 株式会社エイ・ティ・アール知能映 像通信研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仮想空間内で定義された仮想物体を運動
    シミュレーションする方法であって、 独立に動作する複数の小型ロボットを利用し、対象とな
    る仮想空間内の個々の仮想物体にはそれぞれに実世界で
    連動するロボットを1台ずつ対応させ、それらのロボッ
    ト群の動作を変換メカニズムによって前記仮想物体の運
    動に反映させて個々の仮想物体の運動シミュレーション
    を実現することを特徴とする、実世界の制約を用いる仮
    想空間でのシミュレーション方法。
  2. 【請求項2】 さらに、前記各ロボットの移動量を計測
    し、その移動量を対応する仮想物体の移動量に反映させ
    ることを特徴とする、請求項1に記載の実世界の制約を
    用いる仮想空間でのシミュレーション方法。
  3. 【請求項3】 さらに、前記仮想空間内で運動している
    仮想物体の映像や衝突音を視聴覚情報としてユーザーに
    提示することを特徴とする、請求項1または2に記載の
    実世界の制約を用いる仮想空間でのシミュレーション方
    法。
  4. 【請求項4】 さらに、ユーザーが前記仮想空間のある
    仮想物体を操作する場合、その仮想物体の動きは前記ユ
    ーザーによって制御され、前記ユーザーから前記仮想物
    体に与えた制御は、前記変換メカニズムを介して前記ロ
    ボットの移動量に反映させることを特徴とする、請求項
    1ないし3のいずれかに記載の実世界の制約を用いる仮
    想空間でのシミュレーション方法。
  5. 【請求項5】 さらに、前記ユーザーが前記仮想物体に
    対して操作情報を与えたとき、その結果、前記仮想物体
    に生じる操作反力を計算し、その情報を前記ユーザーに
    提示することを特徴とする、請求項4に記載の実世界の
    制約を用いる仮想空間でのシミュレーション方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105788395A (zh) * 2016-04-27 2016-07-20 天津天堰科技股份有限公司 妇科检查虚实同步模拟方法
US10349245B2 (en) 2017-04-19 2019-07-09 Fuji Xerox Co., Ltd. Information processing apparatus and non-transitory computer readable medium for communicating with a robot
US11059179B2 (en) 2017-04-19 2021-07-13 Fujifilm Business Innovation Corp. Robot device and non-transitory computer readable medium

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