JP2011031036A - 自力服薬援助器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 認知症患者等、認知機能の低下した患者は、単独では、安全、確実に、所定の服薬をすることができず、毎回、介護人等の援助を必要としていた。 これは介護人等には、心理的、時間的、経済的に大きな負担であった。
【解決手段】 処方に従い、薬剤師が調剤し供給した1回分毎の全薬剤のみを収納した密閉薬剤分包1と、これを格納し、服薬時刻に提供する小2・中3・大4、3種類の容器群と、薬剤を格納した小容器を大容器の上方に出現させる手段6とからなり、服薬時刻到来時に、該分包を上方にとび出させて、認知機能を刺激し、患者が該分包を自身の指で取り上げ終わるまで、患者の準氏名を含む文言音声や、公知の複数の警報・告知手段による告知信号を中断無く発信し続けることで、該患者が独力で、安全・確実に服薬できる服薬援助器具。
【選択図】図1

Description

本発明は、認知症等認知機能低下患者等の自力による、安全で確実な服薬を援助する器具に関する。
従来、老齢痴呆症者、記憶機能低下者、認知症患者等、脳の正常な認知機能が低下した患者(以下“認知症患者等”、あるいは単に“患者等”と略称する)は、医師の処方した適正薬剤の適正量を適正時刻に、独力で安全に服用することが困難であった。
そのため、薬剤師、看護士、臨床福祉士、家族等、該患者を介護し、適正な服薬を指導・援助する役割を持つ、介護資格のある正常な認知機能を備えた介護人(以下“介護人等”と略称する)は、該患者等の服薬時には、必ず該患者等に接し、処方に沿った正しい服薬が安全に行われるよう、直接的な服薬援助をしなければならなかった。
近年、市販の固体薬剤の90%近くの錠剤やカプセルは、PTP包装やブリスター包装されて供給される。 従ってこれらの薬剤を服用するに先立ち、その包装材をはがして中の錠剤やカプセルの薬剤のみを取り出し、危険な包装材を取り除いて服薬しなければならない。 この作業は認知機能の正常な人にとっては極めて容易で、困難な作業ではない。しかし、認知機能の衰えた患者等にとっては必ずしも容易な作業ではなく、誤飲事故が頻発していた。
また、一般に、認知症患者等の症状の多くは複雑で、その服薬処方も複雑・微妙になり、患者等の症状に合わせて、朝・昼・夕・眠前等における必要な服薬の時刻・種類・量が細かく処方されることが多い。 従って、患者等単独の場合はもとより、正常な介護人等が付き添っている場合でも、時に混乱し、不適切な服薬をする場合が生じていた。
そこでまず、認知機能の正常な患者や介護人等が、忘れずに服薬できるよう、種々の服薬援助手段が考案された。 例えば長方形の四角い箱を透明板等で縦・横に仕切り、できた小枡に曜日と、朝・昼・夕・眠前等の服薬時期を示すラベルを付し、そのラベルに相当する服薬時期になると、そのラベルの小枡に予め格納しておいた薬剤を取り出して服用する、卓上型の“くすり整理ボックス”や、これを壁掛け型にした“お薬カレンダー”と称する服薬補助具が古くから用いられてきた。(例えば、非特許文献1参照。)
また服薬情報を訪問看護に応用した携帯端末を用いる方法や、(例えば、特許文献1参照)薬の外観情報をコンピューターに記録し、これと服薬情報を照合し、薬包装紙に印刷し間違いを防ぐ方法(例えば、特許文献2参照)や、服薬告知信号で薬格納箱から薬を取り出す方法(例えば、特許文献3参照。)が考案された。
更に、予め朝食時期の服薬時刻を設定し、一定時間後に、昼食時期、夕食時期の服薬時刻を報知し、薬剤格納箱を押し出す複数タイマー群からなる、服薬支援装置“お薬どうぞ”が販売されている。(例えば、非特許文献2参照) また服薬時刻の到来を告知するアラーム信号を、NTT等通信会社の通信回線を使って患者の端末に送ったり、(例えば、特許文献4参照)予め入力した数種の情報信号から特定の信号を選んで服薬時刻到来を伝えたり(例えば、特許文献5参照)大規模通信網による送受信リンク機構を用いて、薬剤服用計画を管理し、患者によって起動させるシステム(例えば、特許文献6参照)がある。
更に、看護人等が、投薬するべき患者の誤認を防ぐため、患者や薬剤や薬剤箱に、識別標識やバーコードを付加する方式や(例えば、特許文献7,8,9参照)該当薬を落下させて取り出す手段を加えたもの(例えば、特許文献10参照)もある。
そして更に通信機器製造の大会社などを中心に、登録加入者を対象とした大規模な通信回線を利用した、服薬管理を含む在宅患者の管理システムが開示されている。(例えば、特許文献11,12,13参照)
これらの中には、わが国のみならず、世界的な規模での、殆ど完成されたと思われる大規模システム(例えば、特許文献14参照)もある。
これらの多くは、患者の服薬情報を、予め入力しておき、服薬時刻になるとそれを音声や光で通報・告知して服薬を促し、服薬が終われば、それを返信することで患者の正しい服薬状況を把握するという援助方法である。 しかも、その多くは、NTTその他の公衆回線や加入者専用回線、通信リンク等、何らかの有線・無線の通信回線を利用して情報を伝送するものである。
これらはいずれも、認知機能の正常な人を対象としているから、患者が服薬時刻の告知信号の到来を知れば、次の動作である“服薬実行”が期待できるし、まして、“確認用の押しボタン”を押す等の“確認動作”をしたとなれば、確実に、次の処置である“服薬”が実行されると期待できる。 この正常な常識を前提として作成されたシステムである。最も進歩していると思われる特許文献14もその例に漏れない。
また、認知機能の正常な人というのは、安全に対しても正常な行為が期待できる人である。 仮に錠剤やカプセルの薬剤が、PTP包装やブリスター包装のものであれば、服薬時には、確実に服薬禁止の包装材を除去して、正味の薬剤自体のみを服用する、ことも期待できる。 なぜなら、これらを除くのはきわめて容易であり、且つ自明のことだからである。
更に、公知の服薬援助器具類の中には、少数ではあるが、本発明者同様、認知症患者や痴呆老人への服薬援助を意識したものもある。
例えば参考文献15では、竪型ケージに予め収納した薬剤カプセルを複数装填して積み重ねておき、タイマーに設定した時刻になるとカプセルをケージからすべり落とすと共に服薬を報知する装置がある。
しかしこの装置においては、カプセルは同一種類の薬剤であり、仮にある時刻に飲み忘れ、次の服薬時に服薬しても支障の無い場合であり、服薬時刻により薬剤の種類や量が異なる場合には対応不能である。 さらに報知は、短い一定時間が経つと自然停止してしまうので、短時間の不在や、一時的な放心状態でも服薬せずにパスされてしまう。
また、何らかの理由で服薬不能であった場合に、その日・時が記録に残らず後日に確認することはできない。
さらに、同様の患者に対し電話で服薬時刻を告知するものもある。 例えば参考文献16の場合には、上板の穴と下板の間に保持されたPTP包装された一回分の薬剤が、服薬時刻信号で回転し、下板の開口部から重力で取り出し口に落下するものである。 装置を動物の形状に似せる等、認知症患者等に対する配慮がなされてはいるが、薬剤の形状や個数が固定、不変の場合はうまく機能しても、患者の症状や処方の変化により、薬剤の形状や数が変わる場合には対応が難しい。
しかも患者自身が、服薬時刻の到来を電話での応答で知ったり、PTP包装をはがして服用したりせねばならないので、使えるのはかなり軽症の場合に限られる。
さらにややカテゴリーを別にするものではあるが、特許文献17では、パーソナルコンピューターと携帯情報端末を利用した認知機能障害者用支援装置の一部として、投薬管理手段が開示されて居る。 しかし、これは障害者等の日常生活支援を行う側が多種の多くの支援作業の遂行を可能にするための広範囲の支援装置であり、独力での服薬を必要とする認知症患者自身が自力で服薬することを支援するものではない。 しかも、その具体策は残念ながら省略され開示されていない。
さらに、本発明で特徴的な後述の音声発生手段について、開示されていると思われる例につき、その特徴を述べる。 一つは特許文献18の場合で、初期の医師の処方を、その後の患者の容態や血中濃度や環境の変化等の対話型問診の結果で補正して、より適正な薬剤量を服用させる装置であるが、患者への問診の解答を得るのに、英数字表示装置または併用して電子的合成音声で答える例が開示されているが、これは“音声”との記載はあっても、英数字でも表現できる程度の機械語であり、本発明が重視している患者名を肉親の録音した文言音声で呼びかけるものとは異質である。 ちなみにこの服薬援助装置は、医師の初期の処方を患者の種々の状態値で恣意的に変更して服薬させるという、医師の処方権限や薬剤師の調剤権限にも触れるような、きわめて高度な判断を要する、認知症患者には到底実行不可能な、高度で異質な服薬方法である。
さらに特許文献19では、医薬を取り出すべき時期に音声発生手段を用いることが開示されている。 しかし、この場合、重要なシグナルは、装置に設置された服薬量や薬剤所在場所をも示す多数の表示灯の点燈であり、これだけでは患者は気付かないので、当然何等かの音声発生手段が必要であるが、この場合の“音声”は一般的には“耳から入る音響”に近い概念であり、後述の本発明における“人名を含む呼びかけ言語”であるか否かは不明である。 しかも、ここでは、“シグナル”という広範囲な概念が、広くあるいは狭く、多用されているので判断が困難だが、当然記載されているべき音響的告知手段が明記されていないので、言語的音声というより音響的な音声と解すべきであろう。 ちなみに、ここでの服薬時刻報知は、実質的に等しい時間間隔ごとに発信される不便なものであり、しかも多数のスイッチが、それぞれ異なる意味を持って設定されて居るので、これら個々のスイッチやランプの意味や約束事を正しく理解し、間違いなく操作するには、可なり高度な認知能力が必要なものである。
最後に、特許文献20では、一見、本発明の「実施例1」の円筒形容器に類似した装置が開示されている。 これは目的、対象者、機能、構造、付属装置類まで、可なり本発明に類似したものであるが、下記の諸点で、不完全なものであるので、本発明との相違点を略述する。
まず薬剤の取り出し機構であるが、服薬時刻到来時に、単に箱の一部の蓋が開くだけで気付き難い。 また、もし患者がこれに気付いても、この中へ手指を突っ込んで薬剤を漏れなく取り出さなければならない。 一方本発明では、全薬剤の入った小容器が、上方に飛び上がって患者の眼前に出現するので、素直にこの全量をれを受け取ることができる。 次にこの発明では、各コンパートメントに薬剤を装荷する人が不定である。 薬剤師が調剤し該装置に装荷するなら、薬事法の調剤は薬剤師が行う、という原則に合致するが、それ以外の介護人や家族が行うなら違法となる。 一方、薬剤師が個々の患者向けの該装置に一々装荷することは、大病院の手術室等特別な場合を除き考えられない。 薬剤師が調剤した薬剤を無資格者が装荷すれば、その時のミス等により、薬剤師の調剤責任と権限を犯す可能性がある。
これに対し、本発明では、薬剤師の調剤責任は、薬剤師が作成する一回分の全薬剤を収納する密閉薬剤分包作成で終わる。 そして介護人や家族は、その薬剤分包を、薬剤師の指示に従って、一袋ずつを収納した小容器を服薬時刻順に並べるだけである。 つまり、現在広く普及している、薬剤師が毎回の調剤薬剤を一袋ずつ包み、これを服薬時期、服薬量、服薬回数を明記した紙袋に入れ(調剤終了)、患者や家族に手渡したものから、患者や家族がその記述に従って取り出して服用する、あるいは服用させる、現行方式と、何ら変わるところがない方法である。
以上記述の如く、現在公開されている類似の服薬援助器具等は、すべて、所定の服薬時刻に認知機能の正常な人に、いかにして服薬時刻を知らせるかが主課題になっている。
しかしこの場合でも、服薬時刻到来後直ちに服薬することが出来ず、可なり長時間経過後(例えば次回の服薬時刻到来直前)に、服薬に気付き、あわてて服薬することを防止することができなかったり、これと報知直後に正常に服薬した場合との区別が付けられなかったりすることが多い。
更に、所定の服薬時刻での、遅れ時間の短い正常な服薬がなされる場合でも、それが安全面から見て正しく行われるか、否か、の視点は極めて脆弱である。 これは認知機能の衰えた患者等に対しては、文字通り患者の生命にもかかわる致命的な欠陥になる。
また、機構的な面から検討すると、一部の装置に付加的に採用されている薬剤を取り出す手段は、簡単なものから複雑なものまで種々多様であるが、すべて、地球上の普遍的な自然力である“重力を利用”して、服用する薬剤を取出口等へ“落下”させるか、同じ位置高さの場所に移行させるかであり、また、機器内部においても、同じ位置高さに保持するか、“重力を利用”してより低い位置に移行させるものであり、薬剤を“重力に抗して”その位置を高める手段を採用したものは見当たらない。
服薬薬剤の安全性確保に関しては、平成5年4月に、“福祉サービス基本方針と組織の理念・基本方針”の指針第3項として、薬剤の一包化が規定され、(非特許文献3参照)平成6年3月には厚生大臣の定める特定承認保険医療機関に、これに係る報告事項が告示された(非特許文献4参照)のをきっかけに、錠剤分包機を使って、必要な患者に、必要な服薬指導用紙をつける等の配慮のもとに、薬剤師の業務として、有料で、薬剤の一包化(分包)が次第に広まってきている。
更に、最近の錠剤・カプセルの90%以上は、PTP包装やブリスター包装になっているが、ここで使用されるビニールシートやアルミ箔包装材の、誤飲による食道損傷事故が年間20−30件に及んでいる。 このため2000年9月には医療事故を防止するための医薬に関する通達も出されているが、依然として事故は続発している。
特開平11−25193 特開平10−283419 特開平06−269488 特開2004−112735 特開2003−302481 特表2005−500099 特開2002−92164 特開2002−83049 特開2003−245328 特開2005−204686 特開2005−10881 特開平11−216171 特開平10−201827 特表2004−507322 特開平09−253172 特開2008−168014 特開2005−258995 特開平01−037953 特開昭61−056655 特表平10−502852
coop商品番号061867、くすり整理ボックス、広告 株式会社ユニテック東京製、商品名"お薬どうぞ" 旧厚生省告示116号 厚生省告示57号
従来、類似の服薬援助の装置・機器・器具の殆どは、認知機能の正常な正常人を対象としたものであり、通常の警報・告知手段で服薬時刻の到来を告知することができれば、当然、引き続いて、予め指示されていた通り、該服薬時刻の所定薬剤を、誤りなく安全に服薬できる、という暗黙の前提で考案され、作成され、提供されていた。
従って、認知症患者等にとって、従来の殆どの服薬援助器具類は、下記の諸点で、不十分・不完全であり、患者等自身の力のみで、安全に、毎回の所定の服薬をすることが困難であった。
1)認知機能の低下した患者等に、必要な薬剤を、安全に提供できるしくみになっている器具、という視点で製作されていない。
2)認知機能への刺激策が弱く、服薬時刻到来の告知信号が出ていても気付き難く見逃してしまう。
3)服薬時刻到来告知信号の告知が簡単すぎて、(短時間だったり、回数が少なかったり)患者等に十分に伝わらないうちに、報知・告知が停止してしまう。
4)告知信号が、患者等や第三者の恣意により、容易に止められてしまう。
5)最近の市販の錠剤やカプセルの90%近くを占めるPTP包装や、ブリスター包装の、包装材が付着したままの薬剤が、そのまま誤飲され得るしくみである。 つまりこれらの包装材をすべて除去する服薬前の作業が、機能の低下した認知症患者等自身の認知力に任されている。 きわめて危険なしくみである。
6)認知症患者の特性を十分に考慮して製作されていないので、患者等が一旦告知信号を受信しても、服薬直前までに至る過程で、患者等の認知機能の低下のため、作業が中断してしまう。(認知症患者等の特徴は、次々段落番号の項に記述)
7)器具類の構造や操作方法が複雑な場合、患者等は完全に習得することができない。
8)服薬時刻到来告知信号の発信が、一定時間間隔ごとの繰り返し発信されるのみであるものが多く、実用に適さないものが多い。
9)処方薬剤の種類や数が多い場合や、治療途中で処方が変化する場合に、機器が正しく対応できない場合が多い。
10)機器によっては、薬剤師の調剤、供給権限を侵害しかねないものがある。
11)大規模援助システム等は高価なため、システムへの加入費が高く、個人が安価に利用できない。
12)何等かに理由で服薬できなかった場合、その日・時等の正確な実施情報が、医師に伝わらない場合が多い。
13)患者等や介護人等の置かれている環境によっては、医師の方で、きめの細かいベストの処方箋を出し難い場合がある。
14)関連する諸法令に抵触しない、安全な薬剤供給が確保し難い場合がある。
15)従来品はいずれも、以上のいずれかの欠点のため、独力服薬援助器具としての信頼性が低く、毎服薬時刻での正常な介護人等の立ち会い援助が省けない。
16)その結果、自宅や遠隔地に、一人身の老齢の肉親や、認知症患者等の家族を抱えた介護人等は、その服薬援助のため、自由に住所や職業を選ぶことが困難で、社会的、経済的、心理的な負担の大きいものであった。
17)以上の欠陥すべてをクリアーする器具が現在まで見当たらない。
従ってこれらをすべて解決できる援助器具として、下記の特性をもつものの出現が待たれていた。即ち、
1)薬剤師が安全に調剤した薬剤が、安全な状態を保持したまま、服薬患者等に直接交付される。
2)特に厚生省告示の趣旨に合致した一包化による安全確保ができるものである。
3)又、特に最近著増しているPTP包装材等、誤飲による食道傷害の原因である危険な包装材のない薬剤が供給できる。
4)なるべく強烈に、複数の感覚器官を刺激し、重層的、継続的に、報知・告知信号を発信し、見過ごしをさせない。
例えば、重力に逆らって薬剤がとび上がって出てくる“びっくり箱”的効果で、認知能力の衰えた脳に、視覚的な刺激を与えるのに加え、患者等の氏名又は準氏名(後述)を親しい肉親の録音音声等で連呼することで、脳に聴覚的な刺激を与える、等。
5)服薬告知信号を、患者等が自身の手指で確実に薬剤を取り上げ終わるまで、発信を続ける。 途中で中断させない。
6)4)5)の服薬告知信号を恣意的に簡単に中断する手段を具備しない。
7)重症ではない患者等の特性をよく理解し、どのような状況でも援助し続けることができるよう、肌理の細かい工夫を重ね、具備させる。 患者等の特性は次の段落番号の項に記載する。
8)処方で定められた一回分の服薬可能な全薬剤が、一分包の袋に入っており、これさえ飲めば、安全で、必要且つ充分な服薬であるという簡単な仕組みになっている。
9)薬剤供給の全過程で安全性が確保できているものであり、途中での散逸や不純物の混入などあり得ない構造になっているもの。
10)所定服薬時刻での重複服薬が起こり得ない仕組みになっている。
11)服薬時刻の設定が、一定の時間間隔毎のみでなく、任意の服薬時刻の選定が可能であるもの。
12)小型・軽量で、ベッドサイドに設置できるもの。
13)購入が簡単で、安価な器具である。
14)後日、服薬実績が、正確に医師に伝達できるもの。
15)介護人等の援助作業が最小限ですむもの。
例えば、週1回の患者見舞い時の援助作業で十分であるもの。
16)介護人等と患者等の個人的な環境状況を考慮せずに、医師が、安心してベストの処方箋を作成できるもの。
17)医師法・薬剤師法等、基本的な諸関連法規に抵触しないもの。
18)患者等が自身の手指で薬剤を取り上げ終わっても、それでも尚、あえて服薬しようとしないものを、強制的に飲ませるものではないもの。
19)先行する公知技術の特許権を含む工業所有権等を侵害しないもの。
前段落番号の7)項に述べた認知機能障害の中核症状は、見当識障害、判断力低下、記憶障害等であるが、一般的な特性は下記であり、これらのいずれかが生じると、服薬行為は中断してしまう。 いずれも重症患者は除き、本発明の器具を、有効で採用可能な手段だとする中・軽症者の場合である。
1、何も難しい判断をせず、自分に分かる最も簡単なことだけなら、安心して実施しよう、という気になる。
2、眼前の服薬援助器具等が自分用のものであると認識しないと、認知症患者等はこれを使おうとしない。
3、患者等が服薬時刻到来を告知する警報音や警報光を感知しても、それは誰か他人宛のものであり、自分宛のものではないと判断すれば、何もせずに見過ごしてしまう。
4、服薬時刻到来を告知する通常の音や光の信号が表示されても、その表示時間が短いと、“これは自分への合図だから服薬しよう”、という意識が起こる前に、信号が消滅してしまい、患者等に伝わらない。
5、告知信号を、服薬を促す自分宛のものだと認識できても、“服薬せよ、服薬せよ”と繰り返し促されていないと、なすべき行為を忘れてしまう。
6、告知信号により薬剤を取り出し、服薬行為に移ろうと思っても、服薬前に患者等の行うべき行為が複雑であると、適切な行為ができない。
7、服薬する為の適切な行為は何だったか、を思い出すことに戸惑っている間に、自分は今、一体何をしようとしていたのかが分らなくなり、真の目的が服薬することであったことを忘れてしまう。
8、服薬しようとして薬剤を取り出すことができても、薬剤が複数個で、ばらばらであると、その一部を落下させたり散逸したりしてしまう。
9、取り出した薬剤の一部に、直接服薬してはならないPTP包装材やブリスター包装材等が付着していても、気付かずに誤飲する可能性がある。
10、適切な服薬を完了しても、その事実が確実に自覚されていなかったり、記憶が持続していないと、再度続けて服薬しようとする。
11、何等かの事情により服薬できなかった場合に、服薬できなかった事実を、正確に覚えておられない。 従って医師や介護人等に伝えられない。
一部の先行技術には、高齢痴呆者、認知症患者等に対する、服薬援助機材だとして、若干の対策を立てたものも出現している。
例えば器具の外形を動物に似せたり、家族や女優の写真を添付したりして、機器に親密感を抱かせたり、警報・告知回数を増加したり、その手段を複数化したり、その時間を若干長くしたり、一定の長時間経過後再度簡単な告知信号を発したりしているが、いずれも、不徹底で、最終的に患者等が薬剤を取り上げ終わったことを確認して警報・告知を停止するものではない。 つまり、前記の諸中断があり得る、中途半端なものである。
それどころか逆に、警告・告知信号を、五月蝿いからと恣意的に容易に停止できる、停止装置を設置しているものまで存在する。
しかもこれらはすべて、認知症患者等の服薬援助で最も重要な服薬の安全性確保、具体的には、異物の混入防止、薬剤の散逸防止、及び前述の服用不可能で危険な包装材の完全除去等、所定の安全策を確保した上、薬剤を供給するという視点が全く欠如している。
つまりこれらは、一見、本発明と類似の服薬時刻の告知手段ではあるが、安全性の確保を患者等の低下した認知機能に全面的に依存しているので、認知症患者等の独力での使用には供せられない。 服薬時刻を知って服薬するという、表面的に類似した一面のみに着目したもので、全く発明の思想と目的及び効果を異にするものである。
また、別の先行技術の類似器具には、器具の内部や、器具の薬剤取り出し口まで、薬剤を下方または横方に移動させるものがある。 患者等はその所定場所に薬剤が存在していることを、患者の認知器官を用いて確認した後、はじめてその薬剤を取りに行くことができる。 しかし上述の如く、認知機能の低下で確かな認識ができなければ、取りに行く動作に結びつかない。 ここに欠陥がある。
また、この場合、該機器具内での薬剤の移動が、重力に抗しない水平方向または下方向への、ごく自然な移動のみであるから、何等新規性のあるものでも、患者等の認知機能を刺激するものでもない。 だから患者等は、取り出し口に薬剤が落下していても、それに気付かず、やり過ごす可能性が多いのである。 しかも、薬剤が、ばらばらで纏まっていないので、取り出し時に取りこぼしもあり得るし、仮に取り忘れると、それが何時のものであったかが分からない等、上述の認知症患者等には、肌理の粗い不親切なものである。 しかも、この場合も、薬剤調合や、その供給の諸過程で、服薬の安全性を確保する視点を欠いているので、きわめて危険な場合があり、本発明の目指すものとは、発明の思想、目的、手段、効果、新規性、を異にするものと言わざるを得ない。
医師の処方に従い、薬剤師が適正に調剤し、供給し、服薬指導した、1回分の服用可能な適法な固体薬剤の全量のみを収納し、一包化された密封薬剤分包(以下、密閉薬剤分包と略称する)と、
この密閉薬剤分包一袋ずつを格納し、上方に出現する上に開いた複数個の小容器及びこの全数を同一水平面上に格納し、その中の1個を、水平回転または水平移動により、又は不動のまま選択する、上に開いた1個の中容器並びに両容器の上・側方を覆い包む下に開いた1個の大容器とで成る3種類の容器群と、
予め設定する服薬時刻毎の薬剤分包を格納する小容器を、1個ずつ順番に大容器の上部・上方に出現させる手段と、
で成る服薬援助器具。
密閉薬剤分包は、本発明器具の安全性確保のキー要素であり、調剤と薬剤供給に対し、法的権限のある薬剤師が責任を持って分包(一包化)し、密閉して提供される。 したがってこの密閉された分包には、取り出し時以外、如何なる者もその内容物にアクセスできない。 如何なる異物混入もあり得ないし、如何なる薬剤の散逸もあり得ない。
しかも、この分包作成は薬剤師が責任をもって実施するから、PTP包装やブリスター包装された薬剤やカプセルを、その包装材を伴ったまま分包されることはあり得ない。純粋に必要且つ安全な薬剤のみが封入されている。
更に、これには医師の処方に示された服薬時期(朝、昼、夕、眠前、等、以下同じ)毎の1回分の服薬薬剤の全量が1袋内に封入されている。 処方内容が異なれば当然分包の内容薬は異なるわけで、その場合、薬剤師はその区別を明瞭に示し、介護者等に無用な混乱を生じさせないよう、マーキング等適当な処置を施す必要がある。 更に必要なら、該薬剤師により、特定の患者等や介護人等に対し、本器具を利用した服薬方法に対し適当な指導がなされねばならない。
この薬剤分包小袋は、縦・横各10cm未満、厚さ約1cmの紙、又はプラスチックシート製の枕状の袋で通常、専用の道具を用い、薬局等で密閉状態に作成され提供される。
3種類の容器群は、本器具の主要部をなす機構であり、処方箋に基づき、薬剤師が定めた服薬時期(朝、昼、夕、眠前、等)毎の薬剤分包を一包ずつ、上方から格納する複数個(標準は一日に4回服用する一週間分として28個)の小容器と、この小容器を一定のルール(左回転、手前から奥、左から右等)のもと、服薬時期順(分包取り出し順でもある)に、上方から薬剤分包を収納した小容器を格納できる、同数の空所を備えた一個の中容器と、これらを上方及び側方から完全に覆い包むことのできる一個の大容器とで構成されている。
これら3種類の各容器の機能はそれぞれ下記の如く、その主要な役割を異にしている。小容器はそれぞれ服薬時刻に服用する薬剤分包1個を患者等に明確に差し出すための容器で、患者等は安心してこの容器内の分包のみを全部服用すれば良い。 中容器は収納内容の異なる小容器を、それぞれ1個ずつ分離して格納する為、隔壁等で隔てられた複数の小容器格納空所を保有する。 大容器は、服薬時刻に服用するべき分包の入った小容器1個のみを、いきなり上方に出現させるため、開口部と開閉蓋を持った容器である。 そのため不透明材質のものが望ましい。
中容器は、種々のタイプが製作可能であるが、大容器から1個ずつ小容器が出現する、というのは、1回の服薬時に開く開閉蓋のある開閉口が1箇所である(複数の開閉口が同時に開くのではない)、という意味で、異なる服薬時刻における開閉口も同一の開閉箇所に限るという意味ではない。 単一の同じ開閉箇所(開閉蓋)の場合もあれば、異なる開閉箇所の場合もあり得る。 従って、水平回転または水平移動することにより、大容器の特定の1箇所から小容器が出現するようにもできれば、中容器は移動しないまま、大容器の複数箇所の内の特定の1箇所から小容器が出現するようにすることもできるのである。これは、小容器が中容器から出現するべく選択された中容器の部分箇所でもある。
上部・上方に出現させる手段は、この器具の特徴的な手段であり、薬剤の服用時刻になると、大容器の開閉可能な蓋を開いて、その時刻に服用するべき薬剤の入った密閉薬剤分包を格納する小容器を、下方からの押し上げ、または上方からのつまみ上げ等で、大容器の上部や上方に出現させる、設置位置の固定した、又は設置位置が水平に移行する、取り出し機構である。 いずれの場合にも、これにより、薬剤分包の格納された小容器が、患者等の眼前に急に上昇して出現する“びっくり箱”的な認知機能刺激効果を与えるものである。 尚、この上部または上方に小容器を出現させる機構は、本発明の構造的な要点であり、各種の中容器の提示・解説を中心に、漸次開示する。
本器具は、これら3要素の組み合わせにより成り立つものであり、小容器内の密閉薬剤分包を、該器具から患者が取り上げることで、一連の服薬援助機能は完結する。
段落番号「0031」(以下“段落番号”を省略し、単に「xxxx」とのみ記載する)の服薬援助器具において、所定の服薬時刻に達するごとに、音響、光、振動等による公知の単数または複数の警報・報知手段を用いて服薬時刻の到来を告知・発信することに加え、同時に、該時刻に該分包の薬剤を服用するべき患者に対し、明らかに該患者向けの報知であることを示す文言を含む呼びかけ音声、例えば“○○さんお薬の時間ですよ”等、氏名または“準氏名”を含む“呼びかけ文言音声”、を告知・発信し、これらの発信を、該患者が該密閉薬剤分包を小容器から完全に取り出し終わるまで、又は予め設定した許容遅延時間幅の遅れ時間が経過するまで、中断することなく継続することを特徴とする「0031」の服薬援助器具である。
本発明の器具においては、薬剤師の定めた服薬時期(昼食後等)は、患者等や介護人等や病院等の医療機関等、様々な個別周辺事情を考慮して、それぞれの服薬時刻(12時30分等)に翻訳され確定される。 そしてこの服薬時刻順に、密閉薬剤分包を格納した小容器が一個ずつ、中容器の空所に一定のルールに従って格納されているので、服薬時刻到来告知信号が入信すれば、順次、器具が自動的に規則正しく作動し、正しい薬剤分包が出現する。
服薬時刻到来告知信号には、公知の種々の報知・告知手段が使用される。 通常、この手段は、簡単なもの数種の組み合わせ(例えば色ランプ点燈とブザー吹鳴等)であるが、本発明では、可能な限り、多くの感覚器官を刺激する、奇抜で、刺激的で、多種多様な複数のものが用いられる。
例えば、視覚を刺激するのに、多色の点滅燈、閃光、連続変色灯、線状灯、面状灯、塊状灯、発光点移動灯を用いたり、聴覚を刺激するのに、器械音、吹鳴音、鳥の啼声、各種メロデイ、を用いたり、触覚を刺激する為、器具の一部を振動させたり、これらを併用したりする。 いずれも公知のものを活用することができる。
更に特徴的なものとして、これらに加え、患者等の氏名または“準氏名”を含む文言で、服薬を促す文言音声の発信を必須としている。 ここで“準氏名”とは、患者の氏のみ、名のみ、あだ名、愛称、親しい肉親の肉声による普通名詞、等を包含した仮の呼び名であり、具体的な例としては、山本さん、太郎君、タロちゃん、ター坊、じいちゃん、ちよばあちゃん、等で、認知症患者等が、明らかに自分に対する呼びかけであると、強く意識できるものであり、電子機器による単純な合成電子言語等、不特定多数を相手に発する単なる機械語ではない。
つまり、この“呼びかけ文言音声”は、個々の対象患者等向けのものであるから、介護人等により、適宜、入力変更することが可能なものでなければならない。
また、“お薬の時間ですよ”が“お薬を飲みましょうね”等、他の文言であっても支障ないことは勿論である。
さらに本発明の特徴は、前述の公知の種々の報知・告知信号と“呼びかけ文言音声”とが共に、援助途中で報知を停止しないことである。 つまり、患者自身がその手指で、その時刻の服薬分包を小容器から完全に取り出し終わるか、予め定められた一定の服薬時刻の遅れ許容時間幅が経過するまでは、発信し続ける、ということであり、安易にこれらの信号を停止する手段を設けない、ということを特徴としている。
「0031」または「0036」の器具において、密閉薬剤分包が、該器具内に格納されてから、取り出され終わるまでの間の、如何なる時期、如何なる行程、如何なる場所においても、落下、降下、滑り下り等、重力の作用により、器具内の所在位置を下げる移行過程をとらず、これを高めること、を特徴としている「0031」の服薬援助器具である。
本器具が他の類似する器具や装置等と、構造的に異なる新規な特徴点は、密閉分包および該分包内の服薬薬剤が、器具内に格納されてから取り出され終わるまでの間の、取り出し口を含むいかなる部位・機構・時期においても、その所在位置を下げる(低下させる)動きをすることがなく、逆に高める動きをする、点である。
類似の在来品のうち、服薬時刻に薬剤を自動排出する機構の付いたものはすべて、同一水平面内の移動か、落下または滑り降りか、あるいは両者の混合するものであり、本発明の如く、重力に抗して薬剤の所在位置を高め、器具の上方に出現させるという、認知機能を刺激する効果のある機構を具備したものは見当たらない。
蛇足ながら、薬剤分包の取り出しの終わった後の、空の小容器等の移動については論外である。
「0031」、「0036」又は「0041」の器具において、大容器の下端に接し、大容器内部の下部空間内に、該器具を稼動させる為に必要な諸機構・諸装置類、――中容器水平移行機構、小容器上下移行機構、警報告知信号発生装置、呼びかけ文言音声発生装置、服薬時刻設定装置、時計装置、管理制御装置、各種検知センサー装置、電源装置、その他の付属装置・機器類――を格納し設置する底板を設け、該底板と大容器とを施錠機構を介し、施錠して一体連結化し、使用中に解体したり、内部機器にアクセスしたりできない構造の服薬援助器具である。
所定期間(標準は一週間)の密閉薬剤分包を格納した該器具は、施錠されているので、その各種設定条件を、恣意により簡単に変更することはできない。 これは該器具を、認知機能の衰えた患者等が、単独で使用できる為という、本器具の考案目的を考慮した構造上の特徴であり、使用途中に、何らかの理由で、器具の解体をしたり、内蔵する諸機器や装置にアクセスしたりできないよう施錠されているのはそのためである。 認知機能の正常な普通人を対象とする通常の機器具との明らかな相違点である。
又、この内部機器にアクセスできないというのは、単に物理的に内蔵する諸装置・機構・機器に触れないだけでなく、内蔵されている情報、即ち服薬時刻や、許容服薬遅延時間幅等、予め入力した服薬情報にアクセスできないことも含まれている。一旦施錠した後は、何等かの通信手段を用いる等で、これらの服薬情報を外部から操作することはできない。
「0031」、「0036」又は「0041」の器具において、服薬時刻到来告知信号の継続発信を、該患者自身または第三者の恣意により停止するための、信号停止用押しボタン等の、いかなる公知の発信信号停止手段をも設置しない服薬援助器具である。
これは「0036」を補完するものであるが、密閉薬剤分包が取り出されず、告知信号の発信が続く場合は、患者が不在か、深い睡眠中か、意識不明状態に陥った場合等であり、いずれも患者本人には五月蝿いと感じられるものではないから、敢えて停止する必要はない。 停止を必要とする場合があるとすれば、認知機能の正常な同室者や近隣居住者等であろうが、もし五月蝿いなら、正常な認知機能の同室者等が薬剤を取り上げて信号発信を停止し、後刻、該患者に事情を説明して薬剤を確実に手渡せば(臨時のボランテイア的な介護処置)済むことである。
また、予め設定した服薬時刻には、服薬遅延許容時間幅があり、これは予め設定可能である。 この遅延許容時間幅の時間が経過すれば、今回の服薬援助は失敗裡に終了したのであるとして、次回の服薬時刻到来を待たねばならない。
尚、何らかの緊急事態が発生し、本器具の全面停止乃至電源切断の必要がある場合に対し、器具の一部または電源コードの途中に、電源切断用のスイッチ類を設置することを妨げるものではないが、使用者がきわめて容易には操作できないための工夫が必要である。
「0031」、「0036」又は「0041」の器具において、該器具内に内蔵する時計機構と服薬時刻設定装置とにより、所定の服薬時刻の到来を検知して作動を開始し、所定の許容時間内での服薬がなければ次回の服薬を待つ、管理制御装置を具備する器具であり、携帯電話等、無線・有線の何らかの電気的通信手段を利用した、該器具以外の外部機器や外部機関からの、いかなる現時の服薬時刻到来告知信号にも依存しない服薬援助器具である。
薬剤師指定の服薬時期に従い、患者や介護人等の事情に合わせて確定した一連の服薬時刻は、標準の実時刻に合わせて、介護人等により、現在時刻が、予め、本器具に内臓の服薬時刻設定装置に入力される。
標準としては、向後一週間のすべて(標準は28回)の服薬時刻が設定されるが、その設定や入力に用いる機器の、方式や種類、機種、簡便性、設定・入力方式の詳細如何が本発明を拘束するものではない。 従って、それが、パソコンを用いた入力であったり、予め必要事項を入力した記録メモリーチップの装着や挿入等であっても構わない。
またこれと連動する時計装置は、標準実時刻に合わせて入力設定されるものであるが、その仕様・性能如何が本発明を左右するものではない。
尚、ここで言う“現時の服薬時刻到来告知信号”とは、必要な服薬時刻時に、あるいはその直前に、外部機器や外部機関から電気的通信手段を利用して伝えられる服薬時刻到来告知信号のことであり、処方に従って予め密閉薬剤分包を容器内に格納する時に、該器具の服薬時刻設定装置に入力する際に用いる服薬時刻の設定手段とは別物である。
「0031」、「0036」または「0041」の器具において、上部・上方に出現する小容器1個を中容器の水平回転により選択する、代表的な一形態として、中容器が、垂直な中心軸の周囲に水平に放射状に設置された扇形柱状体又は二等辺三角形柱状体(以下ほぼ扇形柱状体と略称する)の、内部に一個ずつ小容器を格納できる、複数の小空間をもち、服薬時刻到来毎に、一小空間ずつ一定の向きに水平回転した後、所定の角度位置に停止する、ことを順次繰り返す水平回転機構を伴った構造の、上に開いた、円筒形又は正多角形柱状体形(以下ほぼ円筒形と略称する)の容器である服薬援助器具である。
これは中容器水平移行機構の一種であるが、この場合、小容器の形状は、上に開いたほぼ扇形柱状体となる。 これらは「実施例1」に詳述する。
また、「0031」、「0036」または「0041」の器具において、上部・上方に出現する小容器1個を中容器の水平移動により選択する、一形態として、中容器が、縦及び横方向に水平に伸びた複数の格子状の垂直隔壁に区切られた直方体(正方形柱状体を含む、以下同じ)の内部に、一個ずつ小容器を格納できる複数の小空間をもち、服薬時刻到来毎に、一空間ずつ予め定めた順序で、小空間が順次、水平な緯・経度の特定位置に来るように、縦行・横行の水平移動をした後に停止する、ことを順次繰り返す構造の縦・横の水平移動機構を伴った、上に開いた、直方体形の容器である、ことを特徴とする服薬援助器具。 これも中容器水平移行機構の一種であり、この場合、小容器の形状は、上の開いた直方体となる。 これらについては「実施例2」に略述する。
「0049」又は「0050」の器具において、小容器を1個ずつ順番に大容器の上部・上方に出現させる手段として、小容器1個を水平回転又は水平移動により選択する中容器が、回転後または水平移動後に停止する、所定の角度位置、または所定の緯・経度位置、の場所の下方の、大容器の下部空間内に、中容器の底面に設けた複数の開口部または吹き抜け部を貫通して、小容器の底面を押し上げ棒等で押し上げ、小容器を大容器の上部に出現させ、密閉薬剤分包が取り上げられた後に引き下げる、“押し上げ・引き下げ機構”を具備する服薬援助器具。
この機構は、小容器上下移行機構の一種であり、これについて、詳細な機構・機器・動力等には種々のものがあるが、なるべく簡単で確実なものが好ましい。 尚、本明細書では、“回転”と“移動”をあわせた表現方法として“移行”を用いることとしている。
「実施例1」及び「実施例2」では、上下移動機構の一例として、プーリーを利用する方法例と、ラック・ピニオンを用いる方法例(図のみ詳細説明略)を示すが、これら機構の詳細は、これに限定されるものでないのは当然である。
また、「0031」、「0036」又は「0041」の器具において、小容器を1個ずつ順番に大容器の上部・上方に出現させる手段として、自身は移行することなく不動のまま、小容器1個を選択する中容器を用いた器具において、固定位置に設置された中容器内に格納された密閉薬剤分包のある小容器を、一個ずつ順番に大容器の上方・上部に出現させる手段として、上に開いた“不動の中容器”の下方の、大容器の下部空間に、服薬時刻到来毎に予め定められた順序で、該時刻に服用する密閉薬剤分包を格納した小容器の存在場所の直下まで、水平回転または、縦・横方向に水平移動する移行体機構と、この移行体機構上に設置された、上下移動用の押し上げ・引き下げ機構とからなる、“水平移行体付押上機構”を設置することができる。 これを用いて、服薬告知信号が入信する毎に、予め設定したルールに従って順番に、この“水平移行体付押上機構”を水平に移行し、該当する薬剤分包を格納した小容器の直下にアクセスさせ、押し上げ機構を作動させて小容器を押し上げ、小容器から分包が取り出されると、元の場所まで引き下げる、ことを順次に行う機構をもった服薬援助器具。
前述の水平回転、又は水平移動する中容器の場合に比し、不動の中容器を用いるこの機構の場合には、中容器の下方に設置する“水平移行体付押上機構“が、複雑で大型化しやすく、したがって大容器全体も大型化しやすく、大容器上面の開閉蓋の数も多い。 しかし、多くの薬剤分包を格納した重い中容器を、回転させたり、縦・横に移動させたりしなくても良いので、その点での利点もある。
又、大容器との関係位置が底板を介して固定しているので、大容器と中容器を統合した第4の新容器を工夫することも可能である。 ただしこの場合においても、既述の小容器・中容器・大容器のそれぞれの機能が消滅したわけではない。 異なる内容の薬剤分包をそれぞれ1個ずつ格納する小容器と、これを1個ずつ隔壁等で隔離して格納する役目の中容器と、小容器の出現に必要な1箇所の開口部の開閉蓋を開き、其処から小容器1個を上に出現させる役目の大容器と、それぞれの機能が存在するので、他の中容器のケースと同様、一連の容器群としての必須の機能を果たしているのだから、見かけの個数や形が変わっても同じ範疇の器具である。
いずれにしても、このケースの決め手は“水平移行体付押上機構”をいかに簡潔に製作できるかに懸かっており、今後の技術開発が期待される。
この機構の実施例の一例を「実施例4」に略述する。
「0031」、「0036」又は「0041」の器具において、小容器を1個ずつ順番に大容器の上部・上方に出現させる手段として、既述の“押し上げ・引き下げ機構”又は“水平移行体付押上機構”に代えて、大容器の外部上面に設置した、挟み上げや吊り上げ等の持ち上げ機能を具備したロボットアーム機構の先端部を、大容器上部に設けた蓋付きの開口部を経て、該時刻での該密閉薬剤分包を格納した小容器にアクセスさせ、小容器の上部側面を挟み上げや吊り上げ等の方法で持ち上げ、大容器上面の上方につまみ出し、患者等がこの小容器から密閉薬剤分包を取り出した後、空の小容器を中容器内部の元の空間位置に格納する、“持ち上げ・戻し機構”を具備する服薬援助器具。
これは、小容器上下移行機構の他の例であり、このロボットアーム機構を用いる“持ち上げ・戻し機構”の場合は、これが大容器の外部にはみ出して設置されるのであまりコンパクトとはいえない。
又、ロボットアームの先端部の構造には、可なりの工夫が必要である。 下手をすると、隣接する小容器間の離隔距離を大きくしなければならなくなり、中容器の空所も大きくなり、該器具全体が大型化するおそれがある。 更に又、小容器を挟み上げる先端部の圧力調節も微妙であり、センサーの性能次第では、患者が薬剤分包をつまみ上げる前に落下させてしまう可能性があり、この器具の目的を果たせなくなる。 しかも現時点では、ロボット技術は開発途上であり、価格も高い。
しかし、将来、微妙な接触センサーを含むロボット技術が進化し、汎用量産品が出回るようになれば、機能・価格ともに劇的に変化し、有利になる可能性がある。
現時点で、採用可能な一試案である吊り上げ方式についての要点を「実施例3」に略述する。
「0030」、「0035」又は「0040」において、自身は不動のまま小容器1個を選択する中容器を用いた器具において、固定位置に設置された中容器内に格納された密閉薬剤分包のある小容器を、一個ずつ順番に大容器の上部・上方に出現させる手段として、前項の機構に代えて、服薬時刻到来毎に、一空間ずつ予め定められた順序で、中容器の該小空間に格納された該時刻に服用の密閉薬剤分包を格納した小容器を、大容器の上面に設置された不動のロボット機構のマニピュレーターを作動させ、具備するロボットアーム先端のハンド部の挟み器具や吊り上げ器具で、小容器の上部側壁をはさみ上げたり吊り上げたりして持ち上げ、該服薬時刻での服薬の密閉薬剤分包を格納する小容器を、処方で示された順序通り、順次、大容器の上方外部に出現させ、所定の密閉薬剤分包が取り出された後、空になった小容器を中容器の元の空所内に格納することのできる、“固定式のロボットマニピュレーター機構”を具備した服薬援助器具とすることができる。
「0055」のロボットアームを用いる“持ち上げ・戻し機構”のロボット関連技術が更に進歩し、複雑なマニピュレーター技術が更に進歩し、価格も下がれば、これを大容器の上方に設置し、複雑に動くマニピュレーターを操作して、直接該当する薬剤分包を格納した小容器を、中容器から直接取り上げられる最終的な器具となり得る。
この場合は、ロボットの制御機構の中に、各服薬時刻に選択するべき密閉薬剤分包の選定情報を織り込むこともできるので、中容器への小容器の格納作業も格段に容易になる。 しかし、大容器の上面の開閉蓋は、1箇所でなく、複数箇所必要であり、これらから服薬する密閉薬剤分包を選択する服薬情報と緊密に連動する、開閉蓋の選択操作機構が新たに必要となる。 これは当然、固定式のロボットマニピュレター機構との緊密な連携動作が必要である。
「0031」、「0036」又は「0041」の器具において、患者が薬剤分包を該小容器から完全に取り出し終わる、ことを、服薬時刻到来告知信号受信後、数乃至十数秒の一定時間内に分包物体の存在を検知し、その後、許容服薬遅延幅時間内に該分包物体の不存在を検知する、という、タイマーと“物体の存在・不存在検知センサー”の一連の検知信号群の発現をもって、検知したこととする器具、を具備する服薬援助器具。
密閉薬剤分包が小容器から完全に取り上げられたことを確認するための、“物体の存在・不存在検知センサー”は、個々の小容器にそれぞれ設置するのでなく、なるべく少数(できれば1基)を本器具の最適な位置に設置する。 殆どの場合は、大容器の開閉蓋の周辺に設置するが、ロボットアームの先端に、特殊な治具と共に設置する場合もある。 いずれにしろ、目的は密閉分包小袋が、小容器から取り出されたことの検出であるから、作動ミスのないセンサーを、その種類、大きさ、形状、分包の形状、色彩、材質、等を考慮の上、設置場所や治具をも適当に選定して、設置する必要がある。
多くの場合は、透過光や反射光利用の光学的センサーが用いられるが、他の公知の、種々の原理・タイプのものも採用できる。 原理だけでも、接触圧力や、電界強度や磁界強度の変化、重量変化、可視光線や赤外光線の透過度や反射度、音波や超音波の到達時間、等々数多く存在するので、賢明な選択が必要である。
「0031」、「0036」又は「0041」の器具において、予め設定する服薬時刻と、その許容服薬遅延時間幅を設定することが可能で、今の時刻と、今後の服薬時刻設定も可能であり、日々の服薬時刻を個別に設定することも、平常日と祝祭休日とに分けて、それぞれの同一服薬時期毎に纏めて同一の服薬時刻を設定することも、曜日毎に纏めて異なる服薬時刻を設定することも、あるいはまた、毎日の服薬開始時刻とその後の同一の服薬時間間隔とで設定することも、いずれの設定も可能な、服薬時刻設定に関する諸機能を具備する装置を備えた服薬援助器具が用いられる。
服薬時刻の設定方法は、使用の便宜性や、簡明性を考慮して、種々の改良が期待できるが、設定の基本事項は毎回の服薬時刻であり、これが服薬時刻の到来順に報知され得ることである。 そして次には、毎回の服薬時刻において、服薬告知時刻発信後、患者が実際に薬剤分包を取り上げ終わるまでの許容遅延時間幅である。 通常の場合、この幅は10分乃至1時間程度の固定した一定の時間幅の設定で十分であるが、薬剤によっては、共通の一定幅でない場合もあり得る。 このような場合は、許容遅延時間幅の変更も可能な特殊品として対処することも可能である。
また、本器具は、外部からの如何なる電気的通信手段からも独立した、内臓の時計機構で作動するから、介護人等は、まずこの時計機構を外部の一般の時計システムに、時刻合わせしなければ成らない。 そのために、まず現実の時刻に合致させて時計機構の時・分をセットする必要がある。
次に該患者が処方通りの服薬ができるよう、向後の毎日の服薬時刻をセットする。 原則は毎日・毎回だが、処方次第で、まとめてセットすることも可能である。 あるいは又、抗生物質のように一定の時間間隔での服用が必要な場合にも、対応できなければならない。
「0049」、「0060」、「0051」、「0053」又は「0055」の各器具において、服薬時刻到来告知信号により、中容器を回転・移動等水平移行させる機構、又は不動の中容器に対する“水平移行体付押上機構“を、直ちに水平移行させ、該時刻の服薬薬剤の分包を格納した小容器を取り出せる位置に停止させ、これを確認した後に、小容器を上方に押し出すか又はつまみ出して大容器の上部・上方に出現させ、該薬剤分包が患者等により、確実に取り出された後に、空の小容器を元に戻し、そのまま次回の告知信号到来まで待機するか、あるいは、服薬時刻到来告知信号により、直ちに該時刻の服薬薬剤分包の格納された小容器を上方に押し出すか又はつまみ出して大容器の上部・上方に出現させ、該薬剤分包が患者等により、確実に取り出された後に、空の小容器を元に戻し、戻ったことを確認した後、中容器を回転・移動等水平移行させる機構、又は不動の中容器に対する“水平移行体付押上機構”を水平移行させ、次回の服薬薬剤分包を格納した小容器を取り出せる位置まで移行すると水平移行を停止し、そのままの状態で次回の服薬時刻到来告知信号まで待機するか、のいずれかの連続的な運転操作を行う。 そして本器具には、これを自動的に行うため、必要な各種センサー類を含む連続自動運転管理制御装置を備えている。
ここで対象としている本発明の器具は、中容器が水平回転するほぼ円筒形、又は、水平移動する直方体形、で、固定された“押し上げ・引き下げ機構”を持つ場合、及び不動の中容器で、“水平移行体付押上機構”を用いる場合を一括して表現したものであり、これらの場合において、密閉薬剤分包を格納した小容器が、所定位置まで水平移行を開始する時期と、服薬時刻到来告知信号受信時期と、次回の服薬時刻到来告知信号受信までの待機開始時期との関係を述べたものであり、いずれの場合にも、待機の時期・時間を含めた連続自動運転を管理制御できる、連続自動運転管理制御装置が必須の装置として具備されていることを表明している。
また「0057」の“不動の中容器”と“固定ロボットアーム機構”を用いた器具においては、服薬時刻告知信号到来により、管理制御機構に内在するシーケンスプログラムにより、ロボットのア−ムが作動し、該時刻での服用薬剤分包を格納した小容器の存在する中容器の直上の位置にアクセスし、同時に、中容器の開口部の上方に近接している大容器上面に設置されている複数の開閉蓋の内、該小容器の存在する場所の直上にある開閉蓋のみを開き、その開口部を通してロボットアームの先端のつまみ器具または吊り上げ器具が、中容器内の該小容器にアクセスして、該小容器を取り上げ、大容器の外上方に出現させ、その後、患者等がロボットアームの先端にある小容器から、完全に該薬剤分包を取り出したという信号により、ロボットの先端器具類が、空の小容器を中容器の元の中空部に戻した後、開口部から大容器の外に出て、他のアーム機構と共に、元の待機位置に戻り、開口部の開閉蓋を閉じ、次回の服薬告知信号到来まで待機する、という一連の連続自動運転操作を行うのに必要な各種センサー類やロボット操作装置を含む、連続自動運転管理制御装置を備えている服薬援助器具である。
ここでは中容器が、“不動の中容器”で、取り出し機構が、マニピュレーター式の“固定ロボットアーム機構”である特殊な場合についても、同様に、待機開始時期如何にかかわらず、連続自動運転の可能な制御管理機構が具備されていることを述べている。
尚、この操作を行うロボット機構及びその管理・制御装置の詳細については、記述を割愛するが、その詳細如何が本発明を左右するものではないのは勿論である。
「0031」「0036」「0041」「0043」「0045」又は「0047」の器具において、患者の該器具使用に先立ち、医師の処方、薬剤師の調剤、供給、格納指導に従い、向後の予定期間(標準は1週間)の該患者の服薬時刻を確定し、これを該器具の服薬時刻設定装置に入力し、処方に従った服薬時刻順に、薬剤師が調剤した内容の異なる密閉薬剤分包を格納した小容器を、誤りなく、薬剤師の指示した正しい服薬順序順(押し出し・引き下げ機構等の取り出し機構が取り出す順序)に従い、一定のルール(左回り等)に従って順序正しく、所定の密閉薬剤分包の全数を格納し終わった、介護人等が、誤りなくその作業をなし終わったことを、一目瞭然に確認できる識別表示又は標識を具備した服薬援助器具である。
識別表示または標識の具体策の例としては、密封した薬剤分包を、その収納する薬剤の内容が異なるごとに、異なる、マーキング、ラベリング、タグ付け等を施し、また、異なる服薬時期・時刻毎に異なる一定の色彩分け、例えば朝は赤、昼は青、夕は黄、眠前は緑、等を定め、これを中容器と分包の双方で使用すると、混乱なく正しい密閉薬剤分包の時刻順格納が容易になる。
又、これらの標識は、患者等が、何等かの都合で服薬不能になった時には、中容器の小容器中に、服用できなかった密閉薬剤分包が残るので、その位置から、服薬不能であった日・時が、介護人等に正確に分るので、認知機能の正常な介護人等は、それを後日、医師に連絡することができる。
上述したように本発明の、服薬援助器具は、正常な認知機能の衰えた認知症患者等が、医師、薬剤師、等、各専門分野の有資格者と、患者の家族を含む介護人等の密接な協力のもと、患者自身の力で、処方箋に定められた所定服薬時期に、所定薬剤の所定量の正しい、安全な服薬を可能ならしめるものである。
この結果、従来、該患者等の服薬の度毎に、患者等に接し、直接、服薬を援助しなければならなかった介護人等は、その業務から解放され、一週間に一度、又は数度の、本発明の器具を用いての服薬準備作業を行うのみ、ですむこととなる。 特に、介護人等の役割を演じざるを得ない介護家族にとっては、時間的、経済的、労力的、心理的負担が著しく減少するようになる。
認知機能の低下した患者等につき、最も懸念される安全性の確保、具体的には、PTP包装材やブリスター包装材に代表される服薬不可物質の誤飲、調剤から服薬に至る過程での異物の混入、所定薬剤量の散逸等が、調剤薬局での薬剤師による調剤と、その一包化と密封、その後の本器具による合理的な供給により、確実に確保されることである。
また、該患者等への医師の処方も、本器具を用いることによる介護人等や患者等の新たな服薬環境状況を考慮して、患者にとって最良の服薬処方を施すことが可能となる。
更に、万一所定の服薬ができなかった場合が生じても、医師は、服薬できなかった日・時刻の情報を、介護人等から正確に聴取できるので、以後のより適正な治療計画や処方計画を立てることが可能となる。
更に、患者等が外部の介護施設や介護保険等の介護支援システムを利用する場合でも、従来、治療上必須であった服薬援助に費やされていた被介護権を、他のより有効な被介護業務に活用できるので、より質の高い介護を受けることが期待できる。
更にこの援助器具は、構造簡単、コンパクトで、安価に提供され得るので、通信ネットワーク等を利用した大規模な外部システムに加入しなくとも、患者等個人の意思で購入可能である。
従来、患者等が介護人等に対し抱いていた劣等感・罪悪感等が軽減され、患者等の精神的苦痛が少なくなる。
本発明の要点を示す切断斜視図 回転移動する中容器の斜視図 回転移動する中容器の小容器の斜視図 回転移動する中容器の大容器下部内部の斜視図 プーリーを使った押し上げ・引き下げ機構例の斜視図 回転移動する中容器の底面図 回転移動する中容器の大容器上裏面に設置した透過光センサーを通る縦断面図 水平移動する中容器の主要部の全体構成を示す切断斜視図 水平移動する中容器の大容器上部の切断斜視図 水平移動する中容器の底面図 大容器上面に設置したロボットアーム機構の斜視図 ロボットハンド部の一例の拡大斜視図 不動の中容器の主要部の全体構成を示す切断斜視図
以下、本発明の実施形態の典型的な例を、「実施例1」として、「図1」〜「図7」に基づいて説明し、更に他の例を「実施例2」「実施例3」「実施例4」として説明する。
但し、本発明の実施形態の主要事項は、特許請求の範囲「請求項1」「請求項2」「請求項3」「請求項4」「請求項5」「請求項6」を中心とする各請求項、及び「課題を解決する為の手段」の各段落番号に記載のものすべてである。 以下に記載する実施形態は、いずれもその一例を示すもので、これが本発明のすべてを示すものではなく、また、自明のものについては詳細な記載を省いている。
この服薬援助器具は、曜日毎、服薬時期(時刻)毎の一回分の服薬として処方された、固体状の薬剤のみの全量を、一袋内に収納し、密封した薬剤分包小袋1を、一袋ずつ格納した仕様値(標準は28)個数の上に開いた椀状の小容器2と、これら複数の小容器のすべてを、服薬時期順に順番に格納した放射状隔壁のある一個の円筒形の桶状の中容器3と、この中容器を、上面・側面側から完全に覆う逆コップ状の一個の円筒形の大容器4との3種類の容器群と、大容器の底板45とで構成され、所定の服薬時刻に達する毎に、中容器3内に格納されていた一個の小容器2が、服薬時刻到来の警報・告知音の吹鳴、呼びかけ文言音声の発声、並びに警報・告知光発光装置の点灯と共に、円筒形の大容器4の上面41の一部に設けられた開口部42を塞いでいた開閉蓋43を押し開き、大容器4の内部からせり上って大容器の上部に出現し、服薬予定患者がこのせり上った小容器2から、所定の薬剤を収納した密閉薬剤分包小袋1をつまみ出した後、該小容器2が、大容器4内にある中容器3内の元の場所に降下し、大容器4の開閉蓋43が下がって開口部42を塞ぎ、次の所定服薬時刻到来まで待機する。 そしてこの待機期間に、次回の薬剤を収納した密閉分包小袋を格納した次の小容器2が、大容器4の上面の開口部42および開閉蓋43の直下の位置に来るまで、中容器3が回転して停止し、この状態で次の所定服薬時刻到来を待つ一連の機能と構造を持ったものである。
あるいは、上述の待機期間中には中容器3が回転せず、次の所定の服薬時刻到来時に、大容器4の開閉蓋43が開くのに先立ち、次の小容器2が、大容器4の上面の開口部42および開閉蓋43の直下の位置に来るまで、中容器3が回転して停止し、その後、小容器2が押し上げられて、開閉蓋43が開き、続いて前述と同様の一連の服薬援助の自動動作を行う、一連の機能と構造を持ったものとしても良い。
この器具において、中容器3は、上面はない(上に開いている)が、底面のある浅い円筒形または水平断面が多辺の正多角形の柱状体形(以下“浅い円筒等”と略称する)の桶状の容器で、その内部に、浅い円筒等の中心軸から、等角度間隔に、放射状に出る仕様値個数(標準は28)の矩形の、厚紙やプラスチック板等製の隔壁31を持ち、これらの内、隣り合った2枚の隔壁と、中容器の浅い円筒等の外壁32の一部32aと、回転中心軸棒33に接着する円弧柱状の縦長の窪んだ壁面33aと、これら4種の壁面と、それぞれの壁面の下端縁で接合する、厚紙やプラスチック板等製の底板34と、で構成される扇形または二等辺台形(以下“扇形等”と略称する)の柱状体の小空間35が、仕様値個数(標準は28)連結して浅い円筒等の状態に集まり、一個の円形又は多辺正多角形の共通底面34をもつ上に開いた浅い円筒等の形状の容器3となっている。 そしてその中心付近の円弧柱状の窪んだ壁面33aは、すべて回転中心軸棒33と接合され、回転中心軸棒33が中心線を軸として回転すると、この中容器3自体も同期して中心線を軸として回転するものである。
またこの器具の小容器2は、小袋不存在検出器に透過光式センサーを用いる場合には、通常、両側壁21を含む全体が、透明なプラスチック板製で、仕様値個数(標準は28個)の上面はない(上に開いている)が、底面24のある扇形等の柱状体であり、それぞれの小容器2が、中容器3の扇形等の柱状体の小空間35内に一個ずつ、小容器の各外壁面21,22,23,が、中容器の隔壁面31、円筒壁の内面32a、円弧柱状の窪んだ壁面33aに、それぞれゆるやかに接触する状態で格納されている。
そしてこれら上に開いた仕様値個数(標準は28個)の小容器2の空所25内には、不透明な薄紙又は不透明なプラスチックシート材製の、縦・横各10cm未満で、厚さ約1cmの長方形の、枕状の密閉薬剤分包小袋1が、一袋ずつ、垂直方向(水平断面積が最少になる向き)に格納されており、更にこれらの小容器2は、分包小袋内の薬剤が、服薬処方に定められた服薬時刻順に取り出せるように、中容器3の小空間35内に、中容器の回転方向に沿って順番に格納されている。
なお、扇形等柱状体として、底面が扇形の、上に開いた扇形柱状体2を用いた場合は、外側壁面は曲壁面となり、底面が二等辺台形の、上に開いた柱状体を用いた場合は、外側壁面はそれぞれ平壁面となるのである。
この器具の各容器は、厚紙、薄木板、薄金属板又はプラスチック板製であり、最外部の容器である円筒形の大容器は、直径・高さがそれぞれ概ね30cm未満の、通常は不透明な材質製の円筒形容器4を形成するようになっている。 そして、施錠機構90が施錠された場合には、大容器は一体の円筒形容器4を構成しているが、解錠された時には、二体に分離され、円筒側面44と平上面41とで構成される逆コップ状の覆いの部分と、底面部分45とに分かれる。
更に、逆コップ状の覆い部の内部は、上・下2つの部分で構成されており、上部は、中容器3全体が、完全に格納される空間になっており、下部は、底面に設置された、後述の各種の回転機構や上下移行機構、各種装置類が格納される空間46になっている。
この下部の内部空間46には、中容器、小容器、分包の全重量を支えると共に、中容器3に接続された回転中心軸棒33周りの回転を、円滑かつ安定的に確保するための重量支持機構47と、小容器をとび出させる押し上げ・引き下げ機構6と、小容器を格納した中容器3を一定方向に一定角度ずつ回転させる回転機構5、及び、施錠機構90、服薬時刻設定装置71、自力服薬援助管理制御装置72、呼びかけ文言音声発生装置73、警報告知音響発生装置74が、円筒形容器の底板45上に直接又は適当な支持具を介して取り付けられ格納されている。 警報告知発光装置75は、最も患者の目にとまりやすい場所である円筒形容器の上面41、及び又は、円筒の上部側面44に面状光源体75a,75b等として設置される。
重量支持機構の一例としては、底板45に設置された3箇所以上の支持台座群47aと、この上端に取りつけた台車47bと、中容器3の底面の下側の面に設置された円環状の軌条47cとで構成される機構が用いられる。 また他の例としては、底板45から一定の距離に、底板面と平行に設置された円環状の平板と、中容器3の底面34の下側の面に設けた、ほぼ同径で同心の円環状の平板との間に、複数の球体を介在させる機構や、摩擦抵抗の少ない潤滑性の高い潤滑剤を塗布する機構が用いられる。
回転駆動機構5の一例としては、円筒形容器4の内部の空間46の中心部付近に、中容器3の中心部の円弧柱壁に接続された回転中心軸棒33の下方への延長部を、これが垂直になるよう支持する回転中心軸棒保持機構51と、この回転中心軸棒を回転するための減速歯車からなる回転減速装置52と、これを一定方向に回転駆動するモーター53とで構成される。 モーター53は、ステッピングモーター等の回転数を正確に確保できるデジタルモーターが望ましいが、正確な回転数の確保が困難な汎用のアナログモーター等の場合には、例えば、所定の回転停止位置を検出する、マイクロスイッチや近接スイッチ等70aと、中容器の底面34の裏面の円周上の一定間隔の位置に設けた突起物70bとでなる、回転位置検出センサー70を用い、中容器の隔壁間隔分に相当する一定角度(360/仕様値・度)の回転が終わるとモーターが停止する装置や、回転角度を正確に計測できるエンコーダーを用いる装置が利用される。
押し上げ・引き下げ機構6の一例は、円筒形容器4の内部空間46に、小容器2を下から押し上げる為の押し上げ棒61とその保持機構62、これを駆動する為の、正・逆回転可能なモーター63と、減速歯車と、ベルト・プーリーからなる減速伝動機構64とで構成される。 このモーター63も、回転数を正確に確保できる正・逆回転可能なデジタルモーターが望ましいが、不正確なアナログモーターを用いる場合には、例えば、押し上げ棒の上限位置・下限位置を検出する、マイクロスイッチや近接スイッチ等の、それぞれの位置検出センサー65,66と、61に設けた突起67とを用い、所定の位置で61の上・下動が停止するように構成する。
又、ベルト・プーリーに代えて、ラック・ピニオン等、他の動力伝達機構を用いることもできる。
また、この円筒形容器4の側筒面44の下部の表面には、服薬処方に従って薬剤師が調合し密封分包した薬剤の、服薬時刻をセットするための、服薬時刻設定装置71が設けられる。 この装置で設定されるのは、基本的には、すべての密閉薬剤分包の個々の取り出し日及び時刻と、その許容服薬遅延時間幅である。
具体的には、設定の便宜上、日付け、曜日、服薬時期等で分類し、纏めて入力する等の便宜手段を使うことができるが、これには機械式・電気式等種々のタイプが選定できるが、自力服薬援助管理制御装置に内蔵されている時計機構と連動する電子式が最も好ましい。電子式にも種々のタイプが存在するが、この時計機構と連動して作動し、認知機能の正常な介護人等が、予め、必要な複数の服薬時刻を設定でき、その時刻になると、自動的に、服薬時刻到来のトリガー信号を発信し、管理制御装置に伝送する機能を有している必要があり、その種類や形式や意匠如何が、本発明を特定するものではない。
服薬時刻等の情報設定は、この装置内の記録機構に直接入力され記録される方法が標準であるが、パソコン等他の外部器具により予め服薬時刻等の情報が入力された記録媒体をこの装置に装着したり電送したりする等の間接的な方法でも構わない。
いずれの場合でも、この装置への入力のためのアクセスは、施錠機構90が解錠された期間(小・中容器に密閉薬剤分包が格納されるとき)にのみ可能でなければならない。 従って施錠後に於いて、予め設定された服薬情報等に対し、外部から無線通信手段等の手段によりアクセスすることはできない。
また、時刻をセットするためのアクセス時だけでなく、施錠後の該器具の使用中にも、現在または次回の服薬時刻等が、器具の外側から読み取れることが望ましい。 その場合には、71を、その設定・表示面部が大容器の外側に向くように底板45に設置し、その設定・表示面部に直近の円筒形容器の側筒面44の一部を、透明物質製の窓にして、外部から透視できるようにするのが好ましい。
又、その他にも各種の設置方法があるが、いずれの設置方法を用いる場合でも、最終的に施錠が終了した後には、71の設定値を任意に変更することが不可能であることが必須である。
服薬時刻設定時には、設定した、月日及び又は曜日、服薬時刻、が明示され、本器具使用中は、現在、又は及び、次回の服薬時刻が表示され得るが、その設定方法や、表示方法や、設定・表示のための機器や器具等の構造・形式・手段・数量や、表示面の文字・デザイン・大きさ・色等の意匠の詳細如何が本発明を特定するものではない。
また、服薬時刻の設定は、原則としては、毎回の、それぞれの時刻を設定するが、同時刻のものをまとめて一度に設定すること等も可能とする。 但し、一回の設定時の最大の合計設定可能回数は、仕様値(標準は28)回分である。
参考のため、本服薬時刻設定表示装置に設定・表示するべき事項の一例を述べる。
現時点の正しい日・時刻、の入力、普通日と休日日の選択、普通日・休日日それぞれの朝・昼・夕・眠前の服薬時刻の設定、1回の服薬遅延許容時間幅の設定、次回の服薬開始時期の設定等である。 いずれも設定器近傍に確認のための表示灯等をそれぞれ設けても良いが、別に液晶等の電子文字表示板を設け、ここに電子文字で設定や表示の内容を記載しても良い。 勿論併用も可である。
又、特殊な服薬方法に備え、一日の初回の服薬時刻と、その後の定期的な服薬間隔を設定する機能を付加したものも望ましい。 その他一括設定等使用経験により、より便利な諸機能を付加することも可能である。
この実施例の場合、内部に密閉分包小袋1を格納した小容器2が、大容器4の上面からとび出した時、小容器全体が完全に中容器3から出てしまうのでなく、小容器の底部を含む下部側壁の一部は、中容器3の中に留まっていなければならない。 また、小容器2は、小容器が大容器4の上面からとび出した後、患者が密閉分包小袋1を容易につまみ出せるよう、小容器2の2枚の矩形側壁21に、患者の親指と人差し指とで、分包を容易につまみ出せる大きさの切り欠き26が設けられている。
押し上げ棒61は、待機時間中は、円筒形容器4の内部の下部空間46に、完全に格納されているが、服薬時刻になると、服薬告知信号による呼びかけ文言音声や光や音の警報・告知の発生と同時に、小容器2をとび出させるためにせり上げるので、中容器の底板34が邪魔になる。 そこで押し上げ棒が底板34と衝突する部分に、押し上げ棒が余裕を持って通過できる大きさの開口穴36が設けられている。 この開口穴36は、中容器の仕様値個数(標準は28個)の各小空間35のそれぞれの底面34のほぼ中央部にあるので、開口穴全体は、中容器の円形の底板の同心円周上に等間隔に設けられることになる。
またこの開口穴は、これらすべての穴を連結する円環状のスリットに変更することも可能である。 この場合、中容器の底面は、円芯部と周辺部に分かれるが、いずれも中容器の放射状の隔壁の下端で接続されているので支障は生じない。
小袋の存在・不存在検知器に光学的センサーを用いるのも一方法である。 これに透過光式を用いる場合には、円筒形容器4の内部の、上面41の下面側で、開口部42の中央部付近の左右両側に、とび出した小容器を挟んで、分包小袋のつまみ出しを検知する為の透過光式のセンサー80を設置する。 これは発光器80aと受光器80bとからなり、認知症患者等が、透明な両壁面21を持つ小容器から、不透明な紙製またはプラスチック製の分包小袋1をつまみ出した時に、それまで不透明な分包小袋1で遮られていた発光器80aからの光が、分包小袋除去とともに受光器80bに達し、小袋不存在信号を発することを応用したものであり、この検知装置の作動により、その時点で、患者が所定の分包小袋1を、患者自身の指で、確実につまみ出したことを意味することになる。 したがって、小容器の2枚の側壁板21の、全部、または少なくとも下部の透過光の通過する部分を、透明な材質のものにしておくことが必須となる。
また、この際、円筒形容器の内部に設けた、この検出センサー一式の発光器80aと、受光器80bとが、回転する中容器の放射状の隔壁31や、中容器の空所に格納されている小容器の側壁21に接触する恐れがある場合には、小容器の側壁21と、中容器の放射状隔壁31とに、それぞれ新たな切り欠きを施せば大容器の無用な大型化を防止できる。
また、この透過光式のセンサー80は、円筒形容器の上面41の外側の上面側に設置することも可能である。 内部の下面側に設置する前項の場合と同様、開口部42の中央部付近の左右両側に、とび出した小容器をはさんで、透過光式センサーの、発光器80aと受光器80bを設置することができる。
この場合は、検出センサー一式が、円筒形容器4の外部に設置されているので、小容器を格納した中容器が回転しても、センサー80が、中容器3や小容器2の隔壁31や側壁21に接触することはない。 従ってこの場合には、それらに新たな切り欠きを設ける必要はない。
但し、円筒形容器は完全な円筒形でなく、このセンサーの発光器80a、受光器80bが、瘤のように突出するという若干見苦しい外観を呈するようになる。
透過光式センサーに代え、反射光式センサー80Aを用いる場合も、設置場所は大容器上面の表裏いずれでもOKである。但し、反射光式特有の設置上の配慮が必要であるが、その詳細は割愛する。 また光学式以外のセンサーの場合でも、それぞれ固有の特性に合致した必要な対策と十分なテストを経て、信頼性の高いものが選ばれなければならない。
密閉分包小袋のつまみ出し終了、又は許容遅延時間幅経過で、所定時刻での服薬援助作動が終わり、次の設定時刻での服薬援助作動に備え、元の待機状態に復帰する作動を始める。 すなわち押し上げ棒61が下部空間46に下り、開閉蓋43が閉まり、円筒上面41が元の平らな状態に戻り、押し上げ棒が下限位置に達すると、降下が止まり、本器具は次の服薬時刻到来まで待機状態になる。 この場合、直ちに次回の作動開始位置にまで回転して待つか、そのまま待って次回の時刻到来信号により回転し作動を開始するか、いずれであっても支障はない。
本援助器具に用いる発光装置75も、とび出し機構とともに、患者の認知機能を刺激するのに重要であり、小袋不存在検出器が作動するまで継続して作動する。 これには通常の光源灯として、点状・線状・塊状等の、連続・点滅・変色等の発光源が多く用いられるが、より好ましい発光装置として、大容器表面に設置する面状の発光源を用いる場合がある。 その一例としては、円筒形容器の上面41に、開口部43を除いた扇形の面状光源体75aを用いる。 これは円筒形容器の上面41に、円環に近い扇形の、不透明なガラス又はプラスチック製の光を透過する薄板を用いたものであり、更にその内側下面には、赤色等の着色光を発する光源をはめ込んでいる。また他の方法としては、同様な扇形に、有機EL発光体を切断して張り付けたり、LEDランプを敷き詰めたものも用いられる。またこれらの発光装置はいずれも、単に点燈するだけよりも、点滅したり閃光を発したり変色したりする方がはるかに好ましい。
また、円筒形容器の円筒形の側壁面44にも、同様に面状光源体75bを含む各種発光源が用いられる。 これら発光装置の設置位置や発光原理や形態には、多くの種類があるので、数種の方式を標準として製作し、購入者に選ばせるのも一方法である。
また、本発明に用いる音響発生装置74は、基本的には公知の種々の警報・報知器具類が利用できる。 服薬時刻到来信号を受け、服薬告知信号を発し、認知症患者等の認知機能を刺激するのに有効であるので、通常の家電製品には無い奇抜な音色や音量を持ったものが望ましい。 患者等の好むメロデイーを用いるのもよい。
発音器具は、ベル・ブザー・ホーン・チャイム・録音盤等のいずれでもよいが、これも数種類を標準として準備し、購入者のオプションとするのも一方法である。
いずれも、音量や吹鳴時間は、介護者等が予め設定することはできるが、施錠後に、認知症患者等が勝手に変更したり停止したりすることのできないものでなければならない。
呼びかけ文言音声発生装置73は、既に述べた如く、この服薬補助具に必須の最重要な装置である。 当面は、小型CDや小型の録音テープを記録媒体として音声を記録し、これを音声発生装置に内蔵して供給しても良いが、最近のコンデンサーマイクを用いた短時間の録音と反復再生が可能な電子回路と小型スピーカーを組み合わせた装置等がベターである。 しかし近い将来、より小型で、安価で、操作の簡単な、音質の良い、音声記録装置や記録媒体が発売された時には、それらに変更されることを妨げるものではないのは勿論である。 いずれにしろ、本服薬援助器具は、本装置により特定の患者専用の援助器具となるので、氏名又は準氏名を含む肉親からの呼びかけ音声の入力は重要な作業となる。
なお蛇足になるが、以上の説明は最外部の大容器が円筒形容器4である場合だが、これを円形の筒状体以外の水平断面形状の柱状体、例えば上下一様に正方形の水平断面をもつ柱状体や、柱状体容器の下部が長方形で上部が正六角形の水平断面をもついびつな柱状体や、その他任意の形状の水平断面をもつ柱状体に変更した場合も同じである。 またこれらの場合を含め、外部から最も目立つ最外部の円筒形又は柱状体の容器に、マスコット人形やその他の、種々のアクセサリーや、家族の写真等を付加したり、その他種々の特徴的な意匠を施したりすることも可能である。
なお、参考のため、本器具を使用するにあたり、関係者が行うべき主な作業手順を以下に記す。 尚、介護人等は、多くの場合、患者の家族であることが多い。
1)介護人等は、施錠機構を解錠し、中容器に残留している薬剤分包の位置から、それが前回準備した、何時に服用するべきものだったかを知ることができる。
この情報を医師に報告する。
2)医師は、患者等の新しい処方箋を、一包化可として発行する。
3)調剤薬局の薬剤師は、介護人等に該器具の使用計画等を訊ねながら、一包化(密閉分包化)を確認する。
4)同時に、薬剤師は、処方に従い、必要な各種薬剤を調合し、危険で無用な包装材を除去し、純枠に服用可能な、1回分の裸の固体薬剤の全量のみを封入した服薬薬剤分包を作り、それぞれを薬剤師の責任において密封する。
5)薬剤師は、内容薬剤の異なる密閉分包には、それぞれの識別マーキング等を施し内容薬剤毎に区別する。
6)薬剤師は、介護人等に対し、それぞれの識別マークや、分包の内容を、処方箋をもとに説明し、必要な注意事項等を説明する。
7)介護人等は、患者等や介護人等の都合や、環境状況を考慮して、それぞれの服薬時期毎に服薬時刻を決定する。
8)介護人等は、薬剤師から受け取った密封分包を、1袋ずつ小容器に格納し、この小容器を、服薬順序に従って、中容器の回転方向に沿って格納する。
9)介護人等は、服薬時刻設定表示装置に、現時点の日時、平常日、休日日別のそれぞれの朝、昼、夕、眠前等の必要な服薬時刻と、許容服薬遅延時間幅、次の初回の服薬時刻等を入力設定する。
10)介護人等は、薬剤分包の格納方法、服薬時刻等の設定の正しいことを確認し、間違いなければ、中容器を大容器にセットし、一体の服薬援助器具に組み立てる。
11)介護人等は、組み立て後、施錠機構を施錠する。
12)介護人等は、器具をベッドサイドに安置し、使用方法を患者等に説明する。
13)介護人等は、次回の訪問予定日時を患者等に説明し、別れる。
以下、 本発明の第二の実施形態例を「図8」「図9」「図10」に基づいて説明する。
但し、本発明の実施形態の主要事項も、特許請求の範囲の各請求項、「課題を解決する為の手段」の各段落番号の項に記載のものすべてであり、前述の「実施例1」と重複又は類似の事項も多い。 従って「実施例1」と重複する事項については、「実施例1」に準じる、としてなるべく省略し、異なるものについてその要点を記載する。 また、この実施例も前例同様、記載する実施形態は、その細部の一例を示すもので、これが本発明のすべてを示すものではない。 また、自明のものについては詳細な記載を省いているが、詳細な記載がないから実施されていない、ということではないのも前例と同じである。
この服薬援助器具は、曜日毎、服薬時刻毎の一回分の服薬として処方された固体薬剤のみの全量を、一袋内に収納した密閉薬剤分包小袋1を、一袋ずつ格納した仕様値(標準は28)個数の椀状の上に開いた直方体形の小容器102と、この複数の小容器のすべてを、服薬時刻順に一定の順番(例えば左方から右方へ、を優先順とした上、同じ左右位置では、手前から奥へ、を次の優先順とする等)に従って格納した、複数の格子状隔壁のある一個の直方体形の浅い中容器103と、この中容器を上面・側面から完全に覆う深絞り蓋型容器状の、一個の下に開いた直方体形の大容器104と、の3種類の容器群と、大容器の底板145とで構成され、所定の服薬時刻に達する毎に、中容器103内に格納されていた小容器102一個が、服薬時刻到来の告知音の吹鳴、呼びかけ文言音声の発声、並びに告知光発光装置の点灯と共に、直方体形の大容器104の上面141の一部に設けられた開口部142を塞いでいた蝶番状の開閉蓋143を押し開き、大容器104の内部からせり上って大容器の上方に出現し、服薬予定患者がこのせり上った小容器102から、所定の薬剤を収納した密閉分包小袋1をつまみ出し終わった後、該小容器102が、大容器104内にある中容器103内の元の場所に降下し、大容器104の蝶番状の開閉蓋143が下がって開口部142を塞ぎ、次の所定服薬時刻到来まで待機する。そしてこの待機期間に、次回の服薬薬剤を収納した密閉分包小袋を格納した次の小容器102が、大容器104の上面の開口部142および開閉蓋143の直下の位置に来るまで、中容器103が所定の移動順序に従って、順番に縦方向又は及び横方向に移動して停止し、この状態で次の所定服薬時刻信号の到来を待つ、一連の機能と構造を持ったものである。
あるいは、上述の待機期間中には中容器103が移動せず、次の所定の服薬時刻到来信号到来時に、大容器104の開閉蓋143が開くのに先立ち、次の小容器102が、大容器104の上面の開口部142および開閉蓋143の直下の位置に来るまで、中容器103が縦・横方向に移動して停止し、その後、開閉蓋143を押し開き、続いて前述と同様の一連の服薬援助の自動操作を行う、一連の機能と構造を持ったもののいずれかである。
この器具において、中容器103は、上面はない(上に開いている)が、底面のある縦・横寸法それぞれ25乃至50cm未満の比較的大きく、高さ10cm前後の浅い直方体(以下“浅い直方体”と略称する)の箱状の容器で、その内部に、縦方向・横方向それぞれ数個ずつ(標準はそれぞれ3個及び6個)の格子状に交わった幅の薄い背の低い、厚紙・プラスチック板等製の、垂直隔壁133a、133b、及び浅い直方体の外壁132a、132bとで構成される複数個(標準は縦方向に4個、横方向に7個、全体で28個)の直方体形の、上に開いた空所135を持っている。 つまりこの浅い直方体の中容器103は、これら4種のそれぞれの壁面の下端縁で接合する、厚紙・プラスチック板等製の底板134とで構成される、上に開いた仕様値個数(標準は28個)の直方体形小空間135が、連結して大きい浅い直方体の内部を細かく区切っている。
そしてこの浅い直方体の中容器103は、その底部又は両側壁に、重量を支え、これを左右又は前後に、格子状の隔壁に平行に、移動させるローラー、車輪又は滑車若しくはキャタピラ等の可動機構147aとそれを駆動するリニヤアクチュエーターまたは内臓モーター等の駆動機構147bとからなる上部移動機構を備え、その下方にある浅溝、レール若しくは直線平板等で構成される上部可動部支持具147cの上に設置され、一定方向(例えば手前から奥方向)に水平移動できる上部移動盤機構147を構成している。
更に、この上部移動盤機構147は、その両端部に、その重量を支え、上述の上部可動部支持盤147cとは直角な方向に水平移動させる車輪、ローラー、またはキャタピラ等の可動機構148aとこれを駆動する、内臓モーターやリニヤアクチュエーター等の駆動機構148bとからなる下部移動機構を備え、その下方にあるレール、浅溝、もしくは直線平板等で構成される下部可動部支持具148c上に設置され、これらとともに、上部可動部支持盤147cに直角な方向(例えば左右方向)に水平移動可能な下部移動盤機構148を構成している。
さらにこの下部可動部支持具148cは、強固な保持機構149により、数箇所で大容器104の底板145に強固に設置されている。
従って、中容器およびその内部格納物全体は、この上部・下部の両移動盤機構と保持機構を介して底板145に設置され、且つ、前後左右に移動可能なように構成されている。
さらに中容器の直方体形の空所135には、各空所に上方からすっぽり入る大きさの上に開いた長方形の小容器102がそれぞれ1個ずつ格納されている。
これら上に開いた仕様値個数(標準は28個)の小容器102の空所125内には、薄紙又は不透明なプラスチックシート材製の、縦・横各10cm未満の長方形で、厚さ約1cmの枕状の密閉薬剤分包小袋1が、一袋ずつ、垂直方向(水平投影面積が最少になる向き)に格納されており、更にこれらの小容器102は、分包小袋内の薬剤が、服薬処方に定められた服薬時刻順に順番に取り出せるように、中容器103の小空間135内に、所定の服薬時刻順序に従って順番に格納されている。
「図9」は密閉薬剤分包1を格納した小容器102が押上機構(図には省略)により押し上げられ、大容器104の上面141にある開口部142にある開閉蓋143を押し開け、大容器の上部に出現した状況を示している。 上部移動盤機構147上に設置された中容器103に格納されている小容器102は、左から右へ、奥から手前へ、の順序で取り出されているので、中容器の左方の小容器102aは空であるが、右方の小容器102bには薬剤分包1が格納されたままである。 尚小容器の横壁には「実施例1」の場合同様、分包を指でつまんで取り出しやすくするための切り欠き126が施されている。
これらの器具の各容器は、厚紙、薄木板、薄金属板又はプラスチック板製であり、最外部の普通は不透明容器である直方体形の大容器は、中容器が縦・横方向に移動したときの最大の水平軌跡位置を覆う大きさの縦寸法・横寸法(概ね50乃至100cm前後)を持つ比較的背の低い(概ね30cm前後)下に開いた深い蓋状の直方体容器である。
そして、施錠機構が施錠された場合には、底板145とともに一体の直方体容器104を構成しているが、解錠された時には、二体に分離され、直方体大容器の側面144と上平面141とで構成される深絞り蓋状の覆いの部分と、上・下の移動盤機構、保持機構及び薬剤分包を格納する小容器・中容器等の重量物を支える底面部分145とに分かれる。
深絞り蓋状の覆い部である大容器104の内部は、上・下2つの部分に分かれており、上部の内部には、内部に分包小袋を格納した小容器とこれらを格納した中容器103を縦方向に水平に移動させるための、上部移動盤機構147と、これを横方向に水平移動させる下部移動盤機構148とが格納される空間になっている。
そして下部の内部には、本器具に必要な、「実施例1」に記載と類似の押し上げ・引き下げ機構106、施錠機構90、類似の服薬時刻設定装置71、内容のやや異なる制御回路の自力服薬援助管理制御装置172、類似の警報・告知音響発生装置74、類似の呼びかけ文言音声発生装置73、類似の時計機構、類似の各種設定器、その他の機器類等が格納される直方体形の空間146になっており、これらは上方にある水平移動盤機構類147,148の作動の妨げにならないように、長方形の底板145に設置されている。
類似の警報・告知光発光装置75は、最も患者の目につきやすい場所である直方体大容器の上外面141及び又は、該直方体の上部外側面144に面状光源体75等を主体として、点状・線状・塊状の、連続・点滅・変色等の発光光源体が設置される。
押し上げ・引き下げ機構106は、底板145のほぼ中央部に上部・下部の各水平移動盤機構の動作の邪魔にならないように設置される。
その機構や機器・作動の概略は、「実施例1」に詳述したものと基本的には同じであるので、下記の若干の注意事項を除き記述を省略する。
その1は、小容器を格納する中容器の空所がすべて、特定の位置(押し上げ・引き下げ機構の設置されている位置)の直上に来るようにするのに必要な矩形の水平投影面の、縦・横寸法は、共に、中容器自体の縦・横寸法の2倍強となる。 従ってこれらを覆い包む大容器の水平投影面積も大きく、その結果、大容器の外観上の容積は大きくなる。 これがこの方式の第1の欠点である。
その2は、上部移動盤機構147及び下部移動盤機構148の構造が不適当であると、押し上げ・引き下げ機構の上下運動の邪魔になり、又、押し上げ・引き下げ機構自体や、その付属品である減速・駆動機構が過大になっても同様の不具合が生じる。 しかも、いずれも水平投影面積を一層大きくする要因となる。
さらにまた、中容器の下部に、上部・下部の移動盤機構があるので、押し上げ・引き下げ機構106も押上棒161の長い背高のものになり、益々大型化に拍車がかかることになる。 従って、これらの機構の相互関係につき、細心の注意を払った設計が必要である。
その3として、押し上げ棒161は、待機時間中は、大長方形容器104の内部の下部空間146に、完全に格納されているが、服薬時刻になると、服薬告知信号の呼びかけ文言音声や光や音の警報・告知信号発生と同時に、小容器102をとび出させるためにせり上がるので、中容器の底板134が邪魔になる。 そこで押し上げ棒が底板134と衝突する部分に、押し上げ棒が余裕を持って通過できる大きさの開口穴136が設けられている。 この開口穴は、中容器の仕様値個数(標準は28個)の各小空間135のそれぞれの底面134のほぼ中央部にあるので、開口穴全体は、前後・左右それぞれ等間隔な枡目状のものとなる。
尚、当然ながら、上部移動盤機構、下部移動盤機構にも、同様な配慮が必要で、両者とも内部に広い空間をもった“ロ”の字状の水平投影面形状を持った構造のものとなる
小容器内に分包小袋1が存在しなくなったことを検知する存在不存在検出器180は、開口部142の形状が矩形に変わる以外、特に変化がない。 「実施例1」では、センサーに透過光式を用いる場合について詳述したので、反射光式を用いた場合について若干補足説明する。
反射光式の場合は、開口部142の、矩形の対峙する2辺の一方に、発光器と受光器を一体化させた構造のセンサー180A一基を設置すればよい。但し、反射光式の場合は、対象物(密閉薬剤分包)の色・透明性・反射率や対象物の格納位置のばらつき、等が検出性能に微妙に影響することが多いので、両者の仕様を十分に吟味して、不測の検出ミスの生じないものを選択する必要がある。
又、大容器の上面141の表・裏いずれに設置することも可能であるが、密閉薬剤分包が小容器内にある場合と、取り出された場合とで、確実に検出差の生じるような工夫や調整が必要である。 その他の事項については特に相違はないので省略する。
服薬時刻設定装置71の構造や設置方法に関しては、大容器の側面が円筒形の湾曲面、又は多面体の折れ目角のある側壁面でなく、直方体の平坦な平側面であることを除けば「実施例1」と変わりはない。 服薬時刻等の設定方法やアクセス方法、その他の取り扱い方法等についても同様である。
密閉分包小袋1の持ち上げ取り出し終了、又は許容遅延時間幅経過で、所定服薬時刻での服薬援助作動が終わり、次の設定時刻での服薬援助作動に備え、次回の服薬時刻到来告知信号に備えての、待機状態に復帰する作動を始める。 すなわち押し上げ棒161が下部空間146に下り、開閉蓋143が閉まり、直方体の大容器の上面141が元の平らな状態に戻り、押し上げ棒が下限位置に達すると、降下が止まり待機期間に入る。 この時、次の密閉薬剤分包の格納された小容器が、直ちに、押し出し・引き上げ機構106の押し上げ棒161の直上に来るよう、自力服薬援助制御管理装置172が制御信号を発し、上部移動盤機構147、及び又は下部移動盤機構148が、それぞれ適正位置まで水平移動するか、次の服薬時刻到来告知信号到来まで待って、その後に、適正位置までの水平移動をするかはいずれでも構わない。
標準的な中容器では、縦に4列、横に7列の小容器を格納するための空所を保有しており、縦の空所にはそれぞれ朝・昼・夕・眠前と1日4回分の服薬薬剤が格納される。 そしてそれが、月・火・水・木・金・土・日と曜日ごとに7列の横の空所に格納される。
通常朝・昼・夜・眠前で薬剤が変わることが多いので、これらを赤・青・黄・緑等と色分けして格納されることが多い。 又、日曜や祭日等の休日と平日とによって薬剤が変わることもある(週1回の薬剤が混ざる等)ので、この場合には、適当なラベルを付す等、混乱を避ける為の配慮をする必要がある。
又、一定の短時間毎(例えば4時間毎等)の服薬が必要な場合には、標準品の小容器数が28個しかないので、小容器数の多い特殊仕様品を用いるか、密閉薬剤分包の供給準備回数を週2回等に増加させて対処する。
本援助器具に用いる警報・告知光発光装置75も、薬剤分包のとび出し現象とともに、患者の視覚からの認知機能を刺激するのに重要であり、小袋の存在・不存在検出器が作動するまで継続して作動する。 これに使用される発光機器類についても「実施例1」と同様であるので記述を省略する。
また、さらに近親者の写真や、簡単な家族、動物、好きな乗り物等の動画を併用することも可能である。
また、本発明に用いる警報・告知音響発生装置74も、服薬時刻到来信号を受け、服薬告知信号を発し、認知症患者等の認知機能を刺激するのに有効であるので、通常の家電製品には無い奇抜な音色や音量を持ったものが望ましい。 使用上の注意事項等は「実施例1」に準じるので割愛する。
呼びかけ文言音声発生装置73は、既に述べた如く、この服薬補助具に必須の最重要な付属装置である。 この機器の詳細等についても「実施例1」と同様である。 当面は、小型CDや小型の録音テープや、コンデンサーマイクを応用した電子回路の記録媒体を用いて文言音声を記録する簡便な音声の録音再生装置が用いられるが、近い将来、更により小型で、安価で、操作の簡単な、高音質で、信頼性の高い、音声記録装置や記録媒体が発売された時には、それらに変更されることを妨げるものではないのは勿論である。
また、介護者等が新しい薬剤分包を供給する時(標準は毎週1回)、必要ならその文言音声をより妥当なものに変更できる、音声文言録音自在なものが好ましい。
いずれにしろ、これらの警報・告知信号が、該認知症患者等自体に向けたものであることを、強く印象づけ、繰り返し報知されるものでなければならない。
本実施例は「実施例2」の底板145に固定設置する押し上げ・引き下げ機構106に代え、最も外側の直方体大容器104の上面の開口部周辺に固定したロボットアーム機構の“持ち上げ・戻し機構”206を設置したものである。
従って本器具の殆どの説明内容は、「実施例2」とほぼ同一であるので、その詳細説明は省略し、相違点のみを「図11」、「図12」を用いて記述する。
「図11」は最外部を構成する直方体大容器104の上面141の開口部142の周辺に設置したロボットアーム機構式の取り上げ装置206であり、マニピュレータ部207とエンドエフェクター部208とから成り、ロボットアーム機構206は大容器の上部表面141に設置され、不作動時には大容器外部の所定位置に定置しているが、服薬時刻告知信号が到来すると、開口部142の蓋143が開き、その開口部を通して、上方からエンドエフェクター部208が、大容器104内部の中容器103内にある薬剤分包1を格納した小容器102にアクセスできるようにマニピュレーター207の諸関節を作動する。
エンドエフェクター部208も不作動時には、マニピュレータ部207の先端で、閉じた状態に位置しているが、マニピュレータ207とともに作動状態にはいり、開口部142より挿入されると、エンドエフェクター部の先端208aが開き、その直下にある薬剤分包1の格納された直方体の小容器102の両側壁121を所定圧力で挟みあげる。
この時、エンドエフェクターの先端208aの内側に設置されている圧力センサー208bが作動し、挟み圧力が所定の大きさになるよう微調節が行われる。 この大きさは薬剤分包を格納した小容器を持ち上げるに十分で、且つ容器を破壊しない程度に小さいものである。
エンドエフェクター208が事前に微妙に調整された所定の圧力で小容器102を挟むと、この信号で、マニピュレータ207は、その諸関節を巧みに作動させ、薬剤分包1を格納する小容器を滑り落とさないように持ち上げながら、関節部を適当に伸長・屈伸し、小容器102を完全に中容器103から取り出し、患者の眼前にまで持ち上げることも可能となる。 この一連のロボット機構206の作動により、認知機能の低下した患者にも十分な刺激を与えることが可能となるのである。
さらに、前述の圧力センサー208bにより微妙に調整された圧力によるハンド208の挟み操作に代え、重力作用を応用したより確実な小容器の取り上げ操作も可能である。「図12」に示すように、小容器102の向かい合った両外壁121の上端部を肉厚にし、そのほぼ中央部に、くぼみ221aを設け、エンドエフェクター部の先端にはこのくぼみに緩やかにはまる突起208cを設け、エンドエフェクターが小容器を挟む時、このくぼみ221aとエンドエフェクターの突起208cとが噛み合って、小容器102を吊り上げるようにして持ち上げる。 この場合、薬剤分包1の格納された小容器102は、分包と自身の重量により吊り下げられた状態になる。 そのため、マニピュレータ207やエンドエフェクター208の作動が多少無理な動きをしても、圧力センサー208bで微妙な圧力調節をしなくとも、分包の格納された小容器102を安定的に把持することが可能である。 この場合は、圧力センサー208bは、小容器102とエンドエフェクター208の大まかな把持関係を検出できれば十分である。
更にこのハンドの先端208には、挟み部近傍に、ほぼ直角に突出する角部208dを持ち、この先端に物体の存在・不存在を検知するセンサー280を設置する。 このセンサー280が、磁界変化や電界変化を検知する近接スイッチ式や反射光式のフオトインタラプタ等の場合は、これを設置する角部は1本で済むが、透過光式のフオトインタラプタ等の場合には対峙する2本が必要である。
いずれの場合にも、薬剤分包が小容器から完全に取り上げられたことを、確実に検出可能な性能を持つことが必須である。
存在・不存在検知センサー280により、密閉薬剤分包1が取り上げられたことが検知されると、ロボットアームのマニピュレーター部207が巧みに働き、空になった小容器102を、大容器の開口部142を経て、中容器103の元の空所に戻す。 所定の空所位置に小容器を戻した後、エンドエフェクター208の挟み機構が開き、小容器102を完全に中容器内に離脱する。 引き続きエンドエフェクター208は、マニピュレーター207の作動で中容器および大容器の外方に出た後、所定位置に回帰し、ロボットアーム機構本体206と共に、次の作動信号の到来まで待機する。
このロボットアーム式の持ち上げ機構の場合、認知症患者に対する刺激効果はより大きくなるが、エンドエフェクターの挟み込み機構周辺が複雑になるので、エンドエフェクターの作動や、センサー設置等が支障なく行われるためには、小容器の周辺や、中容器の空所部には可なりのあそび空所が必要となる。 更に、上述の小容器の外壁上端肉厚部のくぼみ221aと突起208cの組み合わせ機構では、更に多くのあそび空所が必要となる。このため、押し上げ・引き下げ機構に比し、設置面積のかなり大きい、より大型の器具となる欠点がある。 その他、機構が複雑で高価である等、現時点では不利であるが、近い将来ロボット機構の開発が進めば、これらの欠点が減り、有利な器具になる可能性がある。
その他の部位の機構、目的、操作、機器仕様、使用方法等共通事項については、「実施例1」および「実施例2」と同様であるので説明を省略する。
この実施例の器具は、「実施例2」において、縦・横方向に移動可能な中容器103を、支持機構347を介して底板145及び大容器104に対し一定の関係位置に固定した“不動の中容器”303とし、その下方に、小容器を上に押し出す固定された“押し上げ・引き下げ機構”106に代えて、中容器の隔壁に平行な縦方向・横方向に移動可能な、押し上げ・引き下げ機構、つまり“水平移動体付押上機構”360を設置した器具であり、これらすべてを、通常は不透明な材料製の、下に開いた直方体形の大容器104で、その上方、側方を覆った器具である。
従って、「実施例2」を元に、これとは異なる事項のみを「図13」を用いて記し、その他の事項は「実施例1」「実施例2」「実施例3」に準じるものとして、記述を省略する。
「図13」において、362は横方向に移動する水平移動機構であり、台車362aの下方又は側方に車輪362b(図では見えない)とレール362cから成る可動台車機構362と、これを駆動するボールねじ式リニアアクチェーター362dと駆動モーター362eが設置され、大容器104の底板145上には、このレール362cが設置されている。 これらにより、横方向への移動が可能な横方向水平移動機構362となっている。
次に、この横方向水平移動機構362の平坦な上面362fに、上述のレール362cとは直角方向の、別のレール363cが設置されており、このレールに合致した車輪363bの付いた縦方向の水平可動台車機構と、これを駆動するボールねじ式リニアアクチュエータ363dとその駆動モーター363eが設置され、これらにより縦方向への水平移動が可能な台車となり、縦方向水平移動機構363を構成している。 そしてこの縦方向水平移動機構363の上部台車上に、押し上げ・引き下げ機構364が、その駆動・減速上下機構365と共に設置され、これらすべてで、“水平移動体付押上機構”360を構成している。
上記2種の水平移動機構、つまり横方向水平移動機構362と縦方向水平移動機構363の双方は、それぞれ上の例以外に、種々の水平移動機構が利用できる。 例えば、車輪とレールに代えて、キャタピラと平板、ローラーと直線浅溝、プーリーとIビーム等であり、駆動機構もリニアアクチュエータ以外に、車輪内臓モーター、牽引索やチェインと駆動モーター等、種々の機構が用いられる。 これらの内、最もコンパクトで確実に作動するものが好ましい。
縦方向水平移動機構363上に設置される押し上げ・引き下げ機構364,365自体の構造については、「実施例1」に用いた固定式の64、65等と基本的に同じであるので、記載を省略する。
この例の場合、毎回の服薬薬剤分包は、“不動の中容器”308の各空間に格納された小容器内に存在するから、服薬時刻の到来毎にアクセスする場所が異なる。 そして押し上げ・引き下げ機構の押上棒が、下から押し上げる小容器102の所在位置も毎回異なる位置である。又、中容器303と大容器104の相対的な関係位置も固定されているから、小容器102が飛び出す時に開く大容器の開閉蓋143の位置もその都度変化する。 だから、大容器に必要な上部の開閉蓋143は一個でなく、中容器の空所135の数(小容器の数)と同数、標準品の場合、(4X7)28個、が必要となる。 これらを不動の中容器303の小容器102を格納する複数の小空所135にそれぞれ対峙する大容器の上面141に、それぞれ複数の開口部342と、同数の開閉蓋343とを設置する必要がある。
“水平移動体付押上機構“360は、その取り付け位置の固定された“不動の中容器”303の、いずれの小空間135の直下位置にでも自由にアクセス可能となっている。
そのため、底板に設置するレール、ラック、直線状溝面、平坦板面等の設置範囲は、中容器の底面の周囲に広がって設置されなければならなくなり、縦方向・横方向いずれも、中容器自体の縦・横各方向の寸法の2倍余になってしまう。
そして、これら全体を覆う大容器もその水平断面積が縦・横各70cm前後の大きい、嵩の大きいものとならざるを得ない。
ただし、この場合、大容器104の内部では、中容器の設置位置が固定されているので、その前後左右には、中容器の高さにほぼ等しい広大な空間が広がっている。 この空間部に、本器具に必要な種々の機構や装置類を収納することは十分に可能である。 更に患者等の身近な日用品等の収納庫として利用することも可能である。
また、本器具において、台車上に設置する押し上げ・引き下げ機構365は、全薬剤分包を格納した全小容器を含む中容器303の重量よりはるかに軽い。 従って、この水平移動用の機構は、「実施例2」において中容器103をその格納物と一緒に前後左右に水平移動する機構147、148に比し、はるかに耐荷重の小さい簡便な構造のものとなる。
水平移動体付押上機構360を用いる「実施例4」の、その他の機構・装置・機器類は、「実施例1」「実施例2」に記載したものとほぼ同一の構造、機能、であるのでその詳細は省略する。
1 密閉薬剤分包
2,102 小容器
3、103 中容器
4、104 大容器
45 底板
47 支持機構
5 回転機構
6 押し上げ・引き下げ機構
73 文言音声発生装置
74 警報・告知音声発生装置
75 警報光発光装置
80 透過光式、存在・不存在検出センサー
90 施錠機構

Claims (17)

  1. 医師の処方に従い、薬剤師が適正に調剤し、供給し、服薬指導した、1回分の服用可能な適法な固体薬剤の全量のみを収納し、一包化された密封薬剤分包(以下、密閉薬剤分包と略称する)と、この密閉薬剤分包一袋ずつを格納し、上方に出現する上に開いた複数個の小容器及びこの全数を同一水平面上に格納し、その中の1個を、水平回転または水平移動により、又は不動のまま選択する、上に開いた1個の中容器並びに両容器の上・側方を覆い包む下に開いた1個の大容器とで成る3種類の容器群と、予め設定する服薬時刻毎の薬剤分包を格納する小容器を、1個ずつ順番に大容器の上部・上方に出現させる手段とで成る服薬援助器具。
  2. 「請求項1」の服薬援助器具において、所定の服薬時刻に達するごとに、音響、光、振動等による公知の単数または複数の警報・報知手段を用いて服薬時刻の到来を告知・発信することに加え、同時に、該時刻に該分包の薬剤を服用するべき患者に対し、明らかに該患者向けの報知であることを示す文言を含む呼びかけ音声、例えば“OOさんお薬の時間ですよ”等、氏名または“準氏名”を含む“呼びかけ文言音声”、を告知・発信し、これらの発信を、該患者が該密閉薬剤分包を小容器から完全に取り出し終わるまで、又は予め設定した許容遅延時間幅の遅れ時間が経過するまで、中断することなく継続することを特徴とする「請求項1」の服薬援助器具。
  3. 「請求項1」、または「請求項2」、の器具において、密閉薬剤分包が、該器具内に格納されてから、取り出され終わるまでの間の、如何なる時期、如何なる行程、如何なる場所においても、落下、降下、滑り下り等、重力の作用により、器具内の所在位置を下げる移行過程をとらず、これを高めること、を特徴とする「請求項1」の服薬援助器具。
  4. 「請求項1」、「請求項2」、又は「請求項3」の器具において、大容器の下端に接し、大容器内部の下部空間内に、該器具を稼動させる為に必要な諸機構・諸装置類、−−中容器水平移行機構、小容器上下移行機構、警報告知信号発生装置、呼びかけ文言音声発生装置、服薬時刻設定装置、時計装置、管理制御装置、各種検知センサー装置、電源装置、その他の付属装置・機器類−−を格納し設置する底板を設け、該底板と大容器とを施錠機構を介し、施錠して一体連結化し、使用中に解体したり、内部機器にアクセスしたりできない構造の服薬援助器具。
  5. 「請求項1」、「請求項2」又は「請求項3」の器具において、服薬時刻到来告知信号の継続発信を、該患者自身または第三者の恣意により停止するための、信号停止用押しボタン等の、いかなる公知の発信信号停止手段をも設置しない服薬援助器具
  6. 「請求項1」、「請求項2」または「請求項3」の器具において、該器具内に内蔵する時計機構と服薬時刻設定装置とにより、所定の服薬時刻の到来を検知して作動を開始し、所定の許容時間内での服薬がなければ次回の服薬を待つ、管理制御装置を具備する器具であり、携帯電話等、無線・有線の何らかの電気的通信手段を利用した、該器具以外の外部機器や外部機関からの、いかなる現時の服薬時刻到来告知信号にも依存しない服薬援助器具。
  7. 「請求項1」、「請求項2」又は「請求項3」の器具において、上部・上方に出現する小容器1個を中容器の水平回転により選択する、代表的な一形態として、中容器が、垂直な中心軸の周囲に水平に放射状に設置された扇形柱状体又は二等辺三角形柱状体(以下ほぼ扇形柱状体と略称する)の、内部に一個ずつ小容器を格納できる、複数の小空間をもち、服薬時刻到来毎に、一小空間ずつ一定の向きに水平回転した後、所定の角度位置に停止する、ことを順次繰り返す水平回転機構を伴った構造の、上に開いた、円筒形又は正多角形柱状体形(以下ほぼ円筒形と略称する)の容器である服薬援助器具。
  8. 「請求項1」、「請求項2」又は「請求項3」の器具において、上部・上方に出現する小容器1個を中容器の水平移動により選択する、一形態として、中容器が、縦及び横方向に水平に伸びた複数の格子状の垂直隔壁に区切られた直方体(正方形柱状体を含む、以下同じ)の内部に一個ずつ小容器を格納できる複数の小空間をもち、服薬時刻到来毎に、一空間ずつ予め定めた順序で、小空間が順次、水平な緯・経度の特定位置に来るように、縦行・横行の水平移動をした後に停止する、ことを順次繰り返す構造の縦・横の水平移動機構を伴った、上に開いた、直方体形の容器である、ことを特徴とする服薬援助器具。
  9. 「請求項7」又は「請求項8」の器具において、小容器を1個ずつ順番に大容器の上部・上方に出現させる手段として、小容器1個を水平回転又は水平移動により選択する中容器が、回転後または水平移動後に停止する、所定の角度位置、または所定の緯・経度位置、の場所の下方の、大容器の下部空間内に、中容器の底面に設けた複数の開口部または吹き抜け部を貫通して、小容器の底面を押し上げ棒等で押し上げ、小容器を大容器の上部に出現させ、密閉薬剤分包が取り上げられた後に引き下げる、“押し上げ・引き下げ機構”を具備する服薬援助器具
  10. 「請求項1」、「請求項2」または「請求項3」において、小容器を1個ずつ順番に大容器の上部・上方に出現させる手段として、自身は移行することなく不動のまま、小容器1個を選択する中容器を用いた器具において、固定位置に設置された中容器内に格納された密閉薬剤分包のある小容器を、一個ずつ順番に大容器の上方・上部に出現させる手段として、上に開いた“不動の中容器”の下方の、大容器の下部空間に、服薬時刻到来毎に予め定められた順序で、該時刻に服用する密閉薬剤分包を格納した小容器の存在場所の直下まで、水平回転または、縦・横両方向に水平移動する移行体機構と、この移行体機構上に設置された、上下移動用の押し上げ引き下げ機構とからなる、“水平移行体付押上機構”を設置することができる。 これを用いて服薬告知信号が入信する毎に、予め設定したルールに従って順番に、この“水平移行体付押上機構”を水平に移行し、該当する薬剤分包を格納した小容器の直下にアクセスさせ、押し上げ機構を作動させて小容器を押し上げ、小容器から分包が取り出されると、元の場所まで引き下げる、ことを順次に行う機構をもつた服薬援助器具
  11. 「請求項1」、「請求項2」または「請求項3」の器具において、小容器を1個ずつ順番に大容器の上部・上方に出現させる手段として、既述の“押し上げ・引き下げ機構”又は“水平移行体付押上機構”に代えて、大容器の外部上面に設置した、挟み上げや吊り上げ等の持ち上げ機能を具備したロボットアーム機構の先端部を、大容器上部に設けた蓋付きの開口部を経て、該時刻での該密閉薬剤分包を格納した小容器にアクセスさせ、小容器の上部側面を挟み上げや吊り上げ等の方法で持ち上げ、大容器上面の上方につまみ出し、患者等がこの小容器から密閉薬剤分包を取り出した後、空の小容器を中容器内部の元の空間位置に格納する、“持ち上げ・戻し機構”を具備する服薬援助器具。
  12. 「請求項1」「請求項2」又は「請求項3」において、自身は不動のまま小容器1個を選択する中容器を用いた器具において、固定位置に設置された中容器内に格納された密閉薬剤分包のある小容器を、一個ずつ順番に大容器の上部・上方に出現させる手段として、前項の機構に代えて、服薬時刻到来毎に、一空間ずつ予め定められた順序で、中容器の該小空間に格納された該時刻に服用の密閉薬剤分包を格納した小容器を、大容器の上面に設置された不動のロボット機構のマニピュレーターを作動させ、具備するロボットアーム先端のハンド部の挟み器具や吊り上げ器具で、小容器の上部側壁をはさみ上げたり吊り上げたりして持ち上げ、該服薬時刻での服薬の密閉薬剤分包を格納する小容器を、処方で示された順序通り、順次、大容器の上方外部に出現させ、所定の密閉薬剤分包が取り出された後、空になった小容器を中容器の元の空所内に格納することのできる、“固定式のロボットマニピュレーター機構”を具備した服薬援助器具。
  13. 「請求項1」、「請求項2」又は「請求項3」の器具において、患者が薬剤分包を該小容器から完全に取り出し終わる、ことを、服薬時刻到来告知信号受信後、数乃至十数秒の一定時間内に分包物体の存在を検知し、その後、許容服薬遅延幅時間内に該分包物体の不存在を検知する、という、タイマーと“物体の存在・不存在検知センサー”の一連の検知信号群の発現をもって、検知したこととする器具、を具備する服薬援助器具。
  14. 「請求項1」、「請求項2」又は「請求項3」の器具において、予め設定する服薬時刻と、その許容服薬遅延時間幅を設定することが可能で、今の時刻と、今後の服薬時刻設定も可能であり、日々の服薬時刻を個別に設定することも、平常日と祝祭休日とに分けて、それぞれの同一服薬時期毎に纏めて同一の服薬時刻を設定することも、曜日毎に纏めて異なる服薬時刻を設定することも、あるいはまた、毎日の服薬開始時刻とその後の同一の服薬時間間隔とで設定することも、いずれの設定も可能な、服薬時刻設定に関する諸機能を具備する装置を備えた服薬援助器具。
  15. 「請求項7」、「請求項8」、「請求項9」、「請求項10」又は「請求項11」において、服薬時刻到来告知信号により、中容器を回転・移動等水平移行させる機構、又は不動の中容器に対する“水平移行体付押上機構”を、直ちに水平移行させ、該時刻の服薬薬剤の分包を格納した小容器を取り出せる位置に停止させ、これを確認した後に、小容器を上方に押し出すか又はつまみ出して大容器の上部・上方に出現させ、該薬剤分包が患者等により、確実に取り出された後に、空の小容器を元に戻し、そのまま次回の告知信号到来まで待機するか、あるいは、服薬時刻到来告知信号により、直ちに該時刻の服薬薬剤分包の格納された小容器を上方に押し出すか又はつまみ出して大容器の上部・上方に出現させ、該薬剤分包が患者等により、確実に取り出された後に、空の小容器を元に戻し、戻ったことを確認した後、中容器を回転・移動等水平移行させる機構、又は不動の中容器に対する“水平移行体付押上機構”を水平移行させ、次回の服薬薬剤分包を格納した小容器を取り出せる位置まで移行すると水平移行を停止し、そのままの状態で次回の服薬時刻到来信号まで待機するか、のいずれかの連続的な運転操作を行う。 そして本器具には、これを自動的に行うため、必要な各種センサー類を含む連続自動運転管理制御装置を備えている服薬援助器具。
  16. 「請求項12」の、“不動の中容器”と“固定ロボットアーム機構”を用いた器具においては、服薬時刻告知信号到来により、管理制御機構に内在するシーケンスプログラムにより、ロボットアームが作動し、該時刻での服用薬剤分包を格納した小容器の存在する中容器の直上の位置にアクセスし、同時に、中容器の開口部の上方に近接している大容器上面に設置されている複数の開閉蓋の内、該小容器の存在する場所の直上にある開閉蓋のみを開き、その開口部を通してロボットアームの先端のつまみ器具または吊り上げ器具が、中容器内の該小容器にアクセスして、該小容器を取り上げ、大容器の外上方に出現させ、その後、患者等がロボットアームの先端にある小容器から、完全に該薬剤分包を取り出したという信号により、ロボットの先端器具類が、空の小容器を中容器の元の中空部に戻した後、開口部から大容器の外に出て、他のアーム機構と共に、元の待機位置に戻り、開口部の開閉蓋を閉じ、次回の服薬告知信号到来まで待機する、という一連の連続自動運転操作を行うのに必要な各種センサー類やロボット操作装置を含む、連続自動運転管理制御装置を備えている服薬援助器具。
  17. 「請求項1」、「請求項2」、「請求項3」、「請求項4」、「請求項5」又は「請求項6」の器具において、患者の該器具使用に先立ち、医師の処方、薬剤師の調剤、供給、服薬指導に従い、向後の予定期間(標準は1週間)の該患者の服用時刻を確定し、これを該器具の服薬時刻設定装置に入力し、処方に従った服薬時刻順に、薬剤師が調剤した内容の異なる密閉薬剤分包を格納した小容器を、誤りなく、薬剤師の指示した正しい服薬順序順(押し上げ・引き下げ機構等の取り出し機構が取り出す順序)に従い、一定のルール(左回り等)に従って順序正しく、所定の密閉薬剤分包の全数を格納し終わった、介護人等が、誤りなくその作業をなし終わったことを、一目瞭然に確認できる識別表示又は標識を具備した服薬援助器具。
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