WO2003061981A1

WO2003061981A1 - Feuille imprimee authentifiable, procede et appareil de fabrication, et procede et appareil d'authentification

Info

Publication number: WO2003061981A1
Application number: PCT/JP2003/000083
Authority: WO
Inventors: Kazuharu Saitou; Masato Kiuchi; Minoru Fujita
Original assignee: National Printing Bureau, Incorporated Administrative Agency
Priority date: 2002-01-08
Filing date: 2003-01-08
Publication date: 2003-07-31

Description

明細書真偽判別可能な印刷物、その作成方法及びその作成装置、

並びにその判別方法及びその判別装置技術的背景

本発明は、真偽判別可能な印刷物、その作成方法及びその作成装置、並びにその判別方法及びその判別装置に関する。

銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の印刷物において、偽造、変造防止策は重要な要素である。これら印刷物の偽造、変造防止策には、幾何学模様を多用化した図柄をデザインに用いる手法や、印刷物に対して何等かの処理を施すことにより、通常の可視光では肉眼で認識できない潜像を複写機の使用によって出現させるような手法等がある。

前者の代表的な例として、証券印刷物等のデザィンに広く用いられている地紋、彩紋模様、レリーフ模様等の幾何学模様等をデザインに用いるものがある。これは、基本的に一定の画線幅による曲画線の集合によつて模様を構成するものである。

これらの模様は、印刷物のデザイン等の意匠性を加味し、且つ写真製版装置による抽出または複写機では再現されにくい色彩を用いたり、複雑な曲画線にして複写機及びスキャナの走査入出力に対し、モアレを発生させたりすることで、偽造防止策としての効果を高めている。

しかし、最近では高機能化した写真製版装置や複写機等の出現により、充分な偽造、変造防止効果を得ることができなくなつてきた。

後者の代表的な例として、多く用いられている偽造、変造防止策には、一般的にコピ一防止画線と称されている画線により、印刷物中に施した潜像が目視では認識できず、複写機により複写することで潜像が現出するというものがある。このような、複写機を用いた偽造防止技術には、次の（a ) 〜（b ) が提案されている。

( a ) 基紙表面に、例えば 8 5線 3 0 %の網点で構成した微細構成素子で文字を表示し、複写によって潜像を出現させる技術（特開昭 5 7 - 2 0 3 9 5号公報）。

( b ) 用紙の表面に、網点で潜像を印刷し、潜像と同濃度の背景を万線により構成して同時に印刷し、背景を含む潜像の上面に装飾模様を、複写では再現されない程度の薄色の透明性インキで重ね刷りする技術（特開昭 6 0— 7 9 9 9 1号公報）。

( c ) 背景の万線との間で干渉が生じてモアレ模様を形成する平行線からなる波形パターンを備えたオーバ一プリント版を用いて、用紙表面に、複写機では再生されないような淡色の重ね刷りを施す。これにより、印刷物の表面において、肉眼を幻惑するモアレ模様が形成されるので潜像の存在が識別困難となり、複写機で複写すると、潜像と波形パターンとが再生されずに背景のみが再生される技術（特開昭 6 0 - 8 7 3 8 0号公報）。

しかし、上記（a ) 〜（b ) の技術は、いずれも網点、もしくは万線等の点及び線の粗密からなるスクリーンパターンを用いている。このため、地紋、彩紋模様を多用している銀行券、株券、債券等の有価証券等の既存製品に用いるには適さないという欠点があった。

これに対し、上記技術の欠点を補う手法として、次のようなものが提案されている。

( d ) 曲画線の集合模様を、潜像を施さない部分と施した部分とで構成する。潜像を施さない部分には一本線、潜像を施した部分には二本線から成る画線を用いる。潜像を施した部分で用いた二本線の画線は、二本の画線の合計の画線幅が、潜像を施さない部分で用いた一本の画線の画線幅と等しく、且つ、潜像を施さない部分の一本線から連続して二本に分岐する。二本に分岐した画線は、複写機の解像度で複写できない程度に線幅が狭い。しかし、肉眼では一本の画線と二本の画線とが同一の線に見える。これにより、肉眼とは異なる画像が複写される（特願平 6— 2 0 6 1 4 0号）。

( e ) 曲画線の集合模様に、潜像を施さない部分を実線、潜像を施した部分を一定周期で断絶する線で表現する。そして、潜像を施した部分には、断絶線における線が存在する画線部と、線が断絶して欠落している非画線部とが含まれる。 (特願平 7— 1 3 8 8 7 9 ) 。

このような上記（d ) ( e ) による模様を施すことで、上記（a ) 〜 ( c ) による技術が有する欠点をある程度解消することができる。

しかし最近では、カラ一複写機の高機能化及び D T P (デスクトップパプリヅシング）技術の高度化によって、上記（d ) ( e ) による技術でも十分な偽造防止策に成り得なくなつてきた。

そこで、真偽判別において大量且つ高速処理できる機械読み取り検査技術が広く採用されている。今日の機械読み取り検査手法は、磁性インキ、赤外線反射吸収インキ、蛍光インキ等の機能性インキ、印刷媒体を形成する繊維、材質、薬品類等による素材を検知する。このような技術は、人間に感知できない特定の電磁波等を用いており、印刷物を作製する上で材料適性に依存するものが多く、生産コスト面において、経済性の見合う特定用途向けの製品にしか用いることができない。

また、印刷物の模様を光学的に読み取る比較的簡易な手法として、 O C R、 0 MR、バーコード、二次元コード等がある。これらの光学読み取り技術を既存製品に用いる場合は、デザイン、仕様の変更が要求される。

また、これらの光学読み取り技術は広く用いられている。印刷画線も可視できるため、解読、改竄の危険性があり、偽造、変造防止方法としては不十分である光学読み取り技術を用いて、かつデザィン等の意匠性を変えずに真偽判別用の情報を付与する手法として、一般に電子すかしと呼ばれる技術がある。電子すかしは、コンシ一ルドイメージ、デジタルすかしとも呼ばれ、ドキュメントフアイルやその印刷物に著作権情報等を埋め込むのに用いられている。公知技術としては、周波数利用型と呼ばれるものがある。

電子すかしは、複製物においてもその周波数特性の劣化が少ないと言われ、最近では著作権保護の目的で、イン夕ーネット上に配信されるデジタルイメージに施すのに用いられている。また、印刷物においても、著作権保護の目的で、ボス夕一等に利用されることも多くなつてきた。

電子すかしの特性を最も効果的に発揮させるのは、連続階調（写真階調）模様に適用した場合である。連続階調模様は多値画像デ一夕である。このため、十分な冗長度が存在するので、周波数利用型に限らず画素置換型、画素空間利用型、量子化誤差拡散型等の多くの手法が提案されており、文献、特許出願も数多く、今日注目を集めている技術の一つである。

しかしながら、有価証券に用いられる地紋、彩紋模様、レリーフ模様等の曲画線の集合模様は、基本的に 2値画像であるから冗長度が少ない。このため、電子すかしの埋め込みは困難とされている。敢えて電子透かしを埋め込んだとしても、読み取り用信号が弱いために読み取り精度が低いという問題があつた。

従って、印刷物の材料適性に依存することなく偽造、変造防止が可能であり、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書、重要書類等に好適な技術の開発が望まれている。発明の概要

本発明は上記事情に鑑み、偽造、変造が困難であり、また容易に真偽判別を行うことができる真偽判別可能な印刷物、その作成方法及びその作成装置、並びにその判別方法及びその判別装置を提供することを目的とする。

本発明による真偽判別可能な印刷物は、

第 1の領域と、前記第 1の領域に隣接するように配置された第 2の領域とを備え、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、

前記第 1の画線は実線であり、

前記第 2の画線は、この第 2の画線の長手方向と直交する方向に延びる分断線が、前記第 2の画線の長手方向に沿って所定間隔を有するように複数配置されていることを特徴とする。

また本発明の真偽判別可能な印刷物は、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、前記第 1の画線は実線であり、

前記第 2の画線には、この第 2の画線の長手方向と直交する方向に延びる複数種類の分断線が含まれ、各々の前記分断線は、前記第 2の画線の長手方向に沿つてそれそれ異なる間隔を有するように配置されていることを特徴とする。

本発明の真偽判別可能な印刷物の作成方法は、

複数の画線を含む第 1の領域と、複数の画線を含む第 2の領域とを備える線画を表す画像データを作成するステップと、

前記画像デ一夕を用いて、前記第 1の領域に含まれる前記画線を実線とするステツフ°と、

前記画像データを用いて、前記第 2の領域に含まれる前記画線を、この画線の長手方向と直交する方向に延びる分断線が、この画線の長手方向に沿って所定間隔を有するように複数配置きれたものに置き換えるステップと、

を備えることを特徴とする。

また、本発明の真偽判別可能な印刷物の作成方法は、

複数の画線を含む第 1の領域と、複数の画線を含む第 2の領域とを備える線画を表す画像デ一夕を作成するステツプと、

前記画像デ一夕を用いて、前記第 1の領域に含まれる前記画線を実線とするステツプと、

前記画像データを用いて、前記第 2の領域に含まれる前記画線を、この画線の長手方向と直交する方向に延びる複数種類の分断線が、この画線の長手方向に沿つてそれそれ異なる間隔を有するように複数配置されたものに置き換えるステツプと、

を備えることを特徴とする。

本発明の真偽判別可能な印刷物の作成装置は、

複数の画線を含む第 1の領域と、複数の画線を含む第 2の領域とを備える線画を表す画像データを入力する入力部と、

前記画像デ一夕を用いて、前記第 2の領域に含まれる前記画線を、この画線の長手方向と直交する方向に延びる分断線が、この画線の長手方向に沿って所定間隔を有するように複数配置されたものに置き換える演算部と、を備えることを特徴とする。

また本発明の真偽判別可能な印刷物の作成装置は、

複数の画線を含む第 1の領域と、複数の画線を含む第 2の領域とを備える線画を表す画像デ一夕を入力する入力部と、

前記画像デ一夕を用いて、前記第 2の領域に含まれる前記画線を、この画線の長手方向と直交する方向に延びる複数種類の分断線が、この画線の長手方向に沿つてそれそれ異なる間隔を有するように複数配置されたものに置き換える演算部と、

を備えることを特徴とする。

本発明の印刷物の真偽を判別する方法は、

前記印刷物は、第 1の領域と、前記第 1の領域に隣接するように配置された第 2の領域とを備え、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、

前記第 1の画線は実線であり、

前記第 2の画線は、この第 2の画線の長手方向と直交する方向に延びる分断線が、前記第 2の画線の長手方向に沿って所定間隔を有する.ように複数配置されており、

前記印刷物の画像データを作成するステップと、

前記画像デ一夕にフーリエ変換を行ってフ一リエ変換パターンを作成するステヅプと、

前記フーリエ変換パターンにおいて、前記第 1の領域に相当するパターンにおける前記第 1の画線の間隔と、前記第 2の領域に相当するパターンにおける前記第 2の画線の間隔との相関に基づいて、前記印刷物の真偽判別を行うことを特徴とする。

また本発明の印刷物の真偽を判別する方法は、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、

前記第 1の画線は実線であり、

前記第 2の画線には、この第 2の画線の長手方向と直交する方向に延びる複数種類の分断線が含まれ、各々の前記分断線は、前記第 2の画線の長手方向に沿つてそれそれ異なる間隔を有するように配置されており、

前記印刷物の画像デー夕を作成するステップと、

前記画像デ一夕にフーリエ変換を行ってフ一リエ変換ノ ^夕一ンを作成するステヅプと、

前記フーリエ変換パターンにおいて、前記第 2の領域に相当するパターンにおける前記複数種類の分断線のそれぞれの間隔の相関に基づいて、前記印刷物の真偽判別を行うことを特徴とする。

あるいは、本発明の印刷物の真偽を判別する方法は、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、

前記第 1の画線は実線であり、

前記第 2の画線は、この第 2の画線の長手方向と直交する方向に延びる分断線が、前記第 2の画線の長手方向に沿って所定間隔を有するように複数配置されており、

前記印刷物の画像データを入力する入力部と、

前記画像デ一夕にフーリェ変換を行ってフーリェ変換パターンを作成し、得られた前記フーリエ変換パターンにおいて、前記第 1の領域に相当するパターンにおける前記第 1の画線の間隔と、前記第 2の領域に相当するパ夕一ンにおける前記第 2の画線の間隔との相関に基づいて、前記印刷物の真偽判別を行う演算部と、を備えることを特徴とする。

あるいはまた、本発明の印刷物の真偽を判別する方法は、

前記印刷物は、第 1の領域と、前記第 1の領域に隣接するように配置された第 2の領域とを備え、前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、

前記第 1の画線は実線であり、

前記印刷物の画像データを入力する入力部と、

前記画像データにフーリエ変換を行ってフーリエ変換パターンを作成し、得られた前記フーリエ変換パターンにおいて、前記第 2の領域に相当するパターンにおける前記複数種類の分断線のそれそれの間隔の相関に基づいて、前記印刷物の真偽判別を行う演算部と、

を備えることを特徴とする。

本発明の真偽判別可能な印刷物は、複数の画線を含む線画を有し、

前記画線は、複数のユニットを備え、

前記複数のュニットは、前記画線の長手方向に沿って所定の長さを持って配置されており、

前記各々のュニット内において、前記長手方向と直交する方向に延在する複数の分断線が前記長手方向に沿って配置されており、

前記各々のユニット毎に、前記複数の分断線がなす間隔は、埋め込むべき情報に対応して設定されていることを特徴とする。

本発明の真偽判別可能な印刷物の作成方法は、複数の画線を含む線画を有し、前記画線を、複数のュニットが連続的に配置されたュニット画線として構成するように、前記複数のユニットを、前記画線の長手方向に沿って所定の長さを有するように配置し、

前記各々のュニット内において、前記長手方向と直交する方向に延在する複数の分断線を前記長手方向に沿って配置し、

前記各々のユニット毎に、前記複数の分断線がなす間隔を、埋め込むべき情報に対応して設定することを特徴とする。

本発明による、複数の画線を含む線画を有する印刷物の真偽判別方法は、前記画線は、複数のュニットを備え、

前記各々のユニット毎に、前記複数の分断線がなす間隔は、埋め込むべき情報に対応して設定されており、

前記印刷物の線画を読み取って画像データを取得し、

前記画像デ一夕にフーリエ変換を行ってフ一リェ変換パ夕ーンを生成し、生成された前記フーリエ変換パターンを用いて、前記埋め込まれた情報を識別することによって、前記印刷物の真偽判別を行うことを特徴とする。図面の簡単な説明

添付図面において、

図 1は、実施例 1による、一定間隔を有する直万線を用いた印刷物を示す説明図。

図 2は、'実施例 1による印刷物の画像部の図形を示す説明図。

図 3は、実施例 1による印刷物を示す説明図。

図 4は、実施例 1による印刷物の作成手順を示すフローチャート。

図 5は、実施例 1における分断線の埋め込みを示す説明図。

図 6は、実施例 1における分断線の埋め込みを示す説明図。

図 7は、実施例 1における分断線の埋め込みを示す説明図。

図 8は、実施例 1による印刷物の作成装置の構成を示すプロック図。

図 9は、実施例 1による印刷物のフーリエ変換パターンを示す説明図。

図 1 0は、実施例 1で用いるバンドパスフィルタによる抽出を示す説明図。図 1 1は、実施例 1で行うフーリエ変換パターンをバンドパスフィル夕を通した後、逆フ一リエ変換によって得られた画像を示す図。

図 1 2は、実施例 1における潜像読み取り手順を示すフローチャート。

図 1 3は、実施例 1において潜像読み取りを行なう装置の構成を示すブロック図。

図 1 4 A、図 1 4 Bは、印刷物のフーリエ変換パターンから異方性をなくして得られる間隔の相関強度を示す説明図。

図 1 5は、実施例 1による情報読み取り手順を示すフローチャート。

図 1 6は、実施例 1による情報読み取りを行なう装置の構成を示すブロック図 ₍ 図 1 7は、実施例 2による印刷物を示す説明図。

図 1 8は、実施例 2による印刷物のフーリエ変換パターンを示す説明図。

図 1 9は、図 1 7における要部を拡大した拡大図。

図 2 0は、実施例 2において用いるバンドパスフィル夕による抽出を示す説明図。

図 2 1は、実施例 2において行うフーリエ変換パターンをバンドパスフィル夕を通した後、逆フーリエ変換によつて得られた画像を示す図。

図 2 2は、実施例 3による印刷物を示す説明図。

図 2 3は、実施例 3による印刷物のフーリエ変換パターンを示す説明図。

図 2 4は、実施例 3によるフーリエ変換パターンをバンドバスフィル夕を通した後、逆フーリエ変換によって得られた画像を示す説明図。

図 2 5は、実施例 4による印刷物を示す説明図。

図 2 6は、実施例 4による印刷物のフーリエ変換パターンを示す説明図。

図 2 7は、実施例 4によるフーリエ変換パターンをバンドバスフィル夕を通した後、逆フーリエ変換によって得られた画像を示す図。

図 2 8は、実施例 5による印刷物において、埋め込まれる異なる二つの図形を示す説明図。

図 2 9は、実施例 5による印刷物を示す説明図。

図 3 0は、実施例 5によるフーリエ変換パターンを示す説明図。

図 3 1 A、図 3 I Bは、実施例 5によるフーリエ変換パターンのバンドパスフィル夕のフィル夕の抽出及び逆フーリエ変換によって得られた画像を示す図。図 3 2 A、図 3 2 Bは、実施例 5によるフーリエ変換パターンのバンドパスフィル夕のフィル夕の抽出及び逆フーリエ変換によって得られた画像を示す図。図 3 3は、証券用線画として利用される一般的な彩紋エレメントを示す図である。

図 34は、実施例 6による印刷物を示す説明図。

図 35は、図 33に示された印刷物のフーリエ変換パターンを示す図。

図 36は、図 34に示された印刷物のフーリエ変換パターンを示す図。

図 37A、図 37Bは、印刷物のフーリエ変換パターンから異方性をなくして得られる間隔の相関強度を示す図。

図 38は、本発明の実施例 8による印刷物に含まれる証券用線画 1である彩紋エレメント 3を示す図。

図 39A、図 39Bは、同実施例 8による印刷物の画像部の図形を示す説明図 c 図 40は、同実施例 8による印刷物の要部を示す説明図。

図 41は、同実施例 8の他の印刷物の要部を示す説明図。

図 42は、同実施例 8の他の印刷物の画像部の図形を示す説明図。

図 43は、同実施例 8による印刷物の画像デ一夕にフ一リエ変換処理行って得られたパターンを示す図。

図 44は、同実施例 8の他の印刷物の画像データにフーリエ変換処理行って得られたパターンを示す図。

1、 10、 34、 35、 41、 42 分断画線部

2 直万線

3、 15、 31、 45 画像部

4、 12、 43、 52 背景部

5、 14、 30、 44、 54 基本画線部

6、 17、 24、 25、 33、 38、 40、 46、 48、 50 分断線 11 万線

18 振幅

19 周波数

26、 37、 39、 47、 49、 53

27 分断線の基本となる間隔

28 同心円（細画線） 36 彩紋エレメント

101 証券用線画

102 細画線

103 彩紋エレメント

104 実施例 7の印刷物

105、 105 A、 105 B、 105 C ユニット

106、 113 ユニット画線

107、 114 ュニヅト画線群

108 情報用分断線

109 始端分断線

110 終端分断線

111 実施例 7の別の印刷物

112 実施例 7の別のュニヅト

115、 116 フ一リエ変換画像

200 線画オブジェクト入力部

201 間隔 d_d 設定部

202、 222、 252 演算部

203、 224、 254 記憶部

204 線画オブジェクト出力部

220、 250 操作部

22 251 ビットマップ画像データ入力部

223、 253 表示部発明の詳細な説明

本発明の実施例による真偽判別可能な印刷物、その作成方法及びその作成装置、並びにその判別方法及びその判別装置について、図面を参照して説明する。

以下に示す実施例は、線画で構成された証券類等、意匠性、芸術性を有する印刷物において、通常の可視光下で、肉眼で認識できない程度に線画に変調を与えることにより、その意匠性、芸術性を損なうことなく、真偽判別用の情報を埋め込む。また、従来よりも、機械的に読み取った信号の強度をより強くするため、規則性を有する線画に、分断や分岐処理を施す。

証券類、紙幣等に使用されている線画は、万線状の直線（直万線）や曲線を含む画線が複数本集合して、幾何学的なデザインをなしている。このような証券用線画を構成する要素となる画線を、本実施例では「細画線」という。証券用線画では、複数本の細画線の間隔等において、非常に高い規則性が存在する。本実施例は、この規則性を評価する際に、細画線の間隔の相関を評価する手法が有効である点に着目している。

本実施例では、この規則性を有する証券用線画の複数本の細画線に対し、スキャナ、複写機等のデジタル機器で識別可能であるが、通常の可視光で肉眼で認識困難な微細且つ規則性を有する部分を付与する。そして、得られた印刷物に対して。デジタル機器を用いて証券用線画の間隔の相関を分析する。これにより、印刷物に埋め込まれた情報を識別し、真偽判別を行う。また得られた情報を用いて、複写機等のデジタル機器を偽造に利用しょうとした際に、の動作を停止させる等の処置を可會 gとする。

通常の可視光で肉眼で認識困難なレベルで証券用線画に変調を与える手法として、証券用線画を構成する細画線を分断させる。この際に、肉眼では分断部と非分断部との濃度が同等と見えるように、証券用線画の細画線の中心線と直行する方向に、その長さと幅とを変更した複数本の分断線を、細画線方向に並列するように情報を埋め込む。

また、証券用線画を並行方向に分岐させた分岐画線についても、同様な手法を用い。

複数本の細画線から成る証券用線画に埋め込む情報は、証券用線画の規則性、言い換えれば複数本の細画線の一定間隔及ぴ埋め込む位置という 2つのパラメ一夕を有する。埋め込まれた情報を識別するには、細画線の間隔の相関をフーリエ変換によって得た後、特定の位置あるいは特定方向の相関のみを抽出し、或いはさらに逆フーリエ変換を行う。したがって、埋め込まれた情報は、位置あるいは方向の相関に応じて、異なる情報が得られることとなる。以下、実施例 1〜7において具体的に説明する。 ( 1 ) 実施例 1

図 1〜 1 3を用いて、実施例 1を説明する。図 1に示された印刷物は、単純な一定間隔 d bを有する直万線 2 (本実施例の「細画線」に相当する）を有する。この印刷物に対し、 1種類の情報を埋め込む方法、これによつて形成された印刷物、並びにこの印刷物を認識する方法、装置について説明する。

図 1に示す印刷物を、スキャナ等のデジタル機器で読み取ってビットマヅプデ —夕等のデジタルデータ画像データを得る。或いは、コンピュータにより、直接デジ夕ル画像デ一夕を作成してもよい。得られたデジ夕ル画像データを用いて印刷出力することで、複数本の直万線 2を有する（万線状に細画線を複数本有する）印刷物が作成される。

この直万線 2に、図 2のような画像部 3及び背景部 4を含む二値画像（情報）を埋め込む。具体的には、図 3において、直万線 2のうち、画像部 3の領域に存在する部分は、分断画線部 1に置き換える。直万線 2のうち、背景部 4の領域に存在する部分は、もとの一定間隔 d bを有する直万線 2のまま（基本画線部 5 ) としておく。

分断画線部 1は、通常の可視光下において肉眼で認識困難な複数の分断線 6が、直万線 3の方向に一定間隔 d dを保った状態で、直万線 2の方向に並列するように配置されている。複数の分断線 6は、夫々直万線 2の長手方向に対して直交する方向に配列されている。分断線 6の幅及び長さは、通常の可視光下において肉眼では、基本画線部 5 (直万線 2 ) の濃度と同等となるように設定しておく。以上のように、複数本の直万線 2のうち、画像部 3の領域に存在する部分は、分断画線部 1で置き換える。これにより、各々の直万線 2 (細画線）を一本ずつ見ると、基本画線部 5及び分断画線部 1、あるいはいずれか一方から成る。基本画線部 5は、直万線 2が複数本集まって基本画線群となって背景部 4を構成し、分断画線部 1は、分断線 6が複数本集まって分断画線群となり画像部 3 (図形）を構成する。

そして、基本画線群と分断画線群とは、夫々の画線間隔に基づいて異なる周波数を有する。さらに、背景部 4と画像部 3とで、情報が埋め込まれた証券用線画を構成する。このような印刷物を印刷出力することで、本実施例に係る真偽判別可能な印刷物を得ることができる。

以上のような印刷物の作成方法として、分断画線を用いて情報の埋め込みを行う手順について、説明する。図 4に、作成手順を示す。尚、証券用線画は、市販の線画デザィンソフトウヱァ等を用いて作成してもよい。

線画デザインソフトウエア等を用いて作成した線画デ一夕は、一般的にォブジェクト指向から成るデータ構造を有し、証券用線画は複数の線画オブジェクト 0 b 1、 Ob2 · · · ■ Obmを備え、証券用線画 Obは、証券用線画の形状 kl、 k2 · · · · kmと、分断線の間隔 dd 1、 d d 2 · · · ' ddiと、分断線長さ1^ 1、 2 . . . . ]^ ;1と、分断線幅さ Wl、 W2 · · · · Wiとを含み、本実施例では、 Ob [k, dd, L, W] と仮定する。

まずステップ 1において、線画オブジェクト Ob 1、 Ob 2 · · · ■ Obmをコンピュータに入力する。

ステップ 2において、埋め込み用の線画オブジェクトの設定を行う。線画ォブジェクトの設定には 2通りある。埋め込み用に任意の線画オブジェクトを選択する方法と、複数の線画オブジェクトにおいて埋め込み領域即ち潜像の絵柄（例えば、図 2に示される画像部 3) を選択する方法とがあり、どちらを用いてもよい _c ステップ 3において、埋め込み用の線画オブジェクトにおける分断線の間隔 d d l、 dd2 · · · · ddiを設定する。設定する分断線の間隔は任意であり、線画オブジェクト毎に異なった間隔を設定することができる。

ステップ 4において、分断線の間隔 ddに基づき、分断線の幅 W、長さ Lの算出を行う。

このとき、分断線の間隔に対して、通常の可視光下において肉眼で視覚的に、選択した線画ォブジェクトと選択されなかった線画ォブジェクトとが同様の濃度で視覚されるように調整する。具体的には、例えば、計算式を用いて、若しくは予めテーブルとして設定した分断線の間隔に対応する幅と長さとをテーブルから選択することで、分断線の間隔、幅、長さを決定してもよい。

ステップ 5において、ステヅプ 4で決定した分断線を、潜像部に沿って埋め込む。

最後に表示工程として、ステップ 6において、部分的に埋め込み処理を行った線画ォブジェクトの証券用線画 Obを出力する。

例えば、図 5に示す線画 Ob 1、 Ob 2s 〇103の画線幅 1、 W2、 W 3が、全て 50 mであったとする。このとき、線画 Ob 2に埋め込み処理を行うとすると、埋め込み情報は分断線の間隔 dd 2と分断線長さ L 2とを調整することになる。

例えば図 6に示すように、画線幅 W2が 50 zmで、分断線の間隔 dd2が 1 50 m、分断線長さ L 2が 30 mとすると、線画〇b2は線画 Ob l、 Ob 3に対して画線面積率が低くなつてしまう。

そこで図 7に示すように、画線幅 W2を 250 zmにすることによって、線画 Ob 2の画線面積率を線画 Ob 1、 Ob 3と等しくすることができる。この線画 Ob 2の調整については、図 4に示すステップ 4にて実行するものである。

以上のような処理を行うコンピュータの構成は、図 8に示されるように、線画オブジェクト入力部 200、間隔 d d設定部 201、演算部 202、記憶部 20 3、線画オブジェクト出力部 204で構成している。

市販のソフトウエア等を用いて、オリジナルデザインの線画ォブジヱクトの作成を行い、線画オブジェクト入力部 200にこの線画オブジェクトを入力する。間隔 dd設定部 201を用いて分断線間隔の設定を行い、演算部 202を用いて分断線間隔 dd及び幅 W、長さ Lを算出し、その演算結果を記憶部 203に記憶する。

また、記憶部 203は、選択した線画オブジェクトと、選択されなかった線画オブジェクトとが通常の可視光下において肉眼で同程度の濃度で視覚されるように、濃度を調整するための計算式、若しくは予め設定した分断線の間隔に対応する幅と長さとを決定するテーブルを格納している。

線画オブジェクト出力部 204は、上記ステップ 5における、線画のオブジェクト Ob (分断線処理結果）を出力するものである。

出力した線画オブジェクト Obは、最終的にラス夕一処理され、イメージセッ夕やオンデマンド出力等の市販の出力装置にて、製版用フィルムあるいは印刷物として出力することができる。

次に、このようにして作成した印刷物から、埋め込んだ情報を識別することによって真偽判別を行う方法について説明する。

上記印刷物をスキャナ等の読取装置で読み込み、読取結果をビットマップデー夕（本実施例の「デジタル画像デ一夕」に相当する）として得る。得られたビヅトマヅプデ一夕に、フーリエ変換を行う。

図 9に、図 3の印刷物にフ一リエ変換を行って得られたフ一リエ変換パターンを示す。図 9には、 2種類の強い間隔の相関が観測される。これらの周波数 qb 及び周波数 q dは、夫々直万線 2の間隔 d bと分断線 6の間隔 d dの間隔の相関に対応している。即ち、基本画線群の間隔 dbと分断画線群の間隔 ddとに基づく夫々の間隔の相関が、フーリエ変換パターンにおいて周波数 qb及び周波数 q dとして観測され、この強い相関として示される画像によって埋め込まれた情報を識別することが可能になる。

そして、埋め込んだ情報は、分断線 6の間隔 ddの間隔の相関に対応することから、図 9のフーリエ変換パターンに対し、次の式（1) を用いて、図 10のような周波数 q dの近傍のみでフーリエ変換パターンのみを抽出するバンドパスフィル夕を用いて、情報の抽出を行う。

I f (q) =f (q) I (q) (1)

ここで、 I (q) は周波数ベクトル qにおけるフーリエ変換パターンの強度を、 f (q) は q = qdの場合、 f (q) =1となり、 q≠qdの場合、 f (q) = 0となる。また I f (q) はバンドパスフィル夕による画線抽出後のフ一リエパターンの qにおける間隔の相関強度を意味する。

この抽出結果を逆フーリエ変換すると、図 11に示すように、一定間隔を有する複数の分断線 6が現出し、当初の図 2における画像部 3と類似したものが得られる。この逆フーリエ変換した画像によって、埋め込んだ情報（画像）を識別することができることとなる。

以上の潜像が埋め込まれた印刷物に対する具体的な読取作業を、図 12のフロ —を用いて説明する。

読取作業も、画像入力、演算処理、結果表示の 3つの部分に大きく分けられる _c ステップ 11において、スキャナ等により印刷物上の画像をビットマップデ一夕として読取る。ステップ 1 2において、ビヅトマヅプデ一夕に F F T処理を行う。

ステップ 1 3において、 F E T処理を行ったビヅトマヅプデ一夕に対し、バンドパスフィル夕を用いて特定周波数の F E Tパターンの抽出を行う。ここで、特定周波数は埋め込まれた分断線の間隔に相当している。

ステップ 1 4において、抽出した特定周波数の F F Tパターンに対して逆フ一リエ変換を施すことにより、埋め込まれた潜像を抽出する。

図 1 3に、潜像を識別するためのコンピュータの構成を示す。

ビットマップ画像データ入力部 2 2 1において、スキャナを用いて印刷物のビットマツプ画像デ一夕の入力を行う。

読取られたビットマップ画像データは演算部 2 2 2へ送られ、 F F T処理、あらかじめ設定しておいたバンドバスフィル夕による特定周波数の抽出、逆フ一リェ変換がなされる。演算部 2 2 2における演算処理内容は、操作部 2 2 0において設定することができる。

抽出された潜像は表示部 2 2 3において表示され、オペレータによる認証が可能となる。また、潜像データは記憶部 2 2 4において保存される。

図 1 4に、上述の印刷物をスキャナ等で読み取って得られたビヅトマヅプデ一夕のフ一リエ変換パターンから、異方性をなくす処理を施して得られる、画線の間隔に基づく位置相関強度を示す。ここで、図 1 4 Aは、基本線の間隔に基づく位置相関強度を示し、図 1 4 Bは、背景部と画像部の基本画線部及び分断線の間隔に基づく位置相関強度を示している。

ここで、異方性とは、対象物の物理的性質が方向によって異なることをいう。また、本実施例における異方性をなくす処理とは、フーリエ変換の強度を周波数ぺクトルから周波数スカラーに置き換える処理とする。

具体的には周波数 q (ベクトル）となる同心円上にあるフーリエ変換強度を全て加算し、一次元的にフーリエ変換強度を周波数 q (スカラー）の関数として表すことである。

図 1 4 Bに示されたように、位置相関強度 Iによつて一定以上の大きな強度を一次元で評価し、識別することで印刷物の真偽判別が可能となる。これによると、上述したバンドパスフィル夕による特定周波数の抽出及び逆フーリエ変換を行わなくとも、埋め込まれた情報の識別が可能となる。

図 1 5に、図 1 4を用いて説明した、潜像の代わりに埋め込まれた情報を認識することで印刷物の真偽判別（認証）を行なう方法のフローを示す。この工程は、潜像の場合と同様に、画像入力、自動処理、結果表示の 3つに大きく分けられる。ステップ 2 1において、スキャナ等により印刷物の画像をビットマップデータとして読取る。

ステップ 2 2において、 F F T処理を行い、 F E Tパターンを生成する。

ステップ 2 3において、 F F Tパターンの一次元化を行い、 F F Tパターンの異方性を除去し、等方化処理を行なう。

ステップ 2 4において、特定周波数における F F Tパ夕一ン強度が一定以上であることをチェックし、その結果に基づいてステップ 2 5において認証を行なう。読取 ·認証操作を行なうコンピュータの構成を図 1 6に示す。

ビットマヅプ画像デ一夕入力部 2 5 1において、スキャナを用いて印刷物のビヅトマツプ画像デー夕の入力を行う。

読取られたビットマップ画像データは演算部 2 5 2へ送られ、 F F T処理、 F F Tパターンの一次元化（異方性除去）、あらかじめ設定しておいた特定周波数における F F Tパターンの強度をチェックし、その認証結果を出力する。

ここで、演算部 2 5 2における演算処理内容は、操作部 2 5 0において設定することができる。

出力された認証結果は表示部 2 5 3において表示され、ォペレ一夕による認証が可能となる。また、潜像デ一夕は記憶部 2 5 4において保存される。

上記実施例 1によれば、通常の可視光下において肉眼では認識が困難であるが、スキャナ、複写機等のデジ夕ル機器により検知することが可能な情報を埋め込むことにより、埋め込んだ情報を読み取ってフーリエ変換、特定周波数の抽出、逆フ一リエ変換という処理を行なうことで、埋め込んだ情報の解析結果に基づいて、印刷物の真偽判別を容易かつ高精度に行うことができる。

また、本実施例 1で埋め込まれる情報は、通常の可視光下において肉眼で認識することが困難であることから、埋め込む前の画線が有する意匠的、美術的効果を損なうおそれがない。また、従来の技術として述べた、不可視な情報を埋め込んで読み取る技術と比ベ、本実施例 1では、規則性の高い画線に規則性の高い分断処理を与えるため、その情報の信号強度は非常に大きなものとなり、読み取りを容易且つ高精度に行うことができる。

上述した手法により、真偽判別用の情報を銀行券、証券類、各種証明書及び重要書類等に埋め込むことで、不正な複写防止に活用することができる。即ち、スキヤナ等により印刷物を読み取った際に、その機器の作動を停止させる等の処理に用いることができる。

( 2 ) 実施例 2

図 1 7〜図 2 1を用いて、本発明の実施例 2について説明する。

図 1 7に、一定周期で波状に振動する複数の万線 1 1 (本実施例の「細画線」に相当する）を有する印刷物に、上記実施例 1と同様の手法を用いて情報を埋め込んで作成した印刷物を示す。

実施例 2による印刷物では、背景部 1 2が間隔 d bの波状に振動する複数の万線 1 4 (基本画線部 1 4 ) から成る基本画線群で構成されており、画像部 1 5が万線 1 1の長手方向に d bの複数の分断線 1 7から成る分断画線部 1 0が複数集まつた分断画線群で構成されている。

図 1 7に示す波状に振動する万線は、上記実施例 1の印刷物の基本単位である直万線に振幅変調を与えることにより得られる。図 1 7に示す印刷物は、図 4に示すフローの手順と、図 8に示すブロック構成を備えるコンピュータにより作製可能である。図 1 7に示す印刷物をスキャナ等で読み取り、読取結果をビットマップデ一夕とし、これをフーリエ変換して得られる画像を図 1 8に示す。

図 1 8を、上記実施例 1におけるフーリエ変換後の画像を示す図 9と比較すると、振幅する万線 1 4の間隔 d bの位置相関に対応する周波数 q b及び分断線 1 7の間隔 d dの位置相関に対応する周波数 q dから夫々 q b〜q b +厶 b及び q <1ー（1ー〜(1 (1 + ^ (1 +相関のピークが幅広く拡大してぃることがゎかる_£ これは、万線 1 4が波状の曲線であり、そして分断線 1 7が、この波状の曲線である万線 1 4上に配列することに起因する。これを図 14の要部を拡大した図 19を用いて説明すると、例えば、分断線 2 4と分断線 25の凹曲側の間隔 26が、基本となる間隔 27 (間隔 dd) と比べて短くなつている。図示されていないが、逆側、即ち凸曲側では分断線と分断線の間隔が、基本となる間隔（dd) と比べて長くなつている。

実施例 2において埋め込んだ情報を識別するには、図 18に示すフ一リエ変換パターンの特徴に基づいて観察してもよい。あるいは、フーリエ変換パターンに対して、周波数 qdから周波数 qdに Aqd—減じた周波数及び qdに Aqd + を加えた周波数の範囲（即ち、（1—厶(¾ 1ーから01(1+厶（1(1+までの周波数範囲）で、以下の式（2) に示す特性のバンドパスフィルタを利用して、図 20 に示すように抽出を行なうこともできる。

I f (q) =f (q) I (q) (2)

式（2) において、 f (q) は (1—厶 (1—≤ ≤ (1+ （1(1+の場合、 f ( q) = 1となり、 qd+Aqd+く q, qく q d— Δ q d—の場合、 f (q) =0となる。

上記ノ、'ンドバスフィル夕を通して得られた画像に対して逆フーリエ変換を行なうことにより、図 21に示すような画像が得られる。この画像において、印刷物に埋め込んだ情報を、画像部 15として読取ることが可能である。

なお、この逆フ一リエ変換によって得られた画像は、各ピクセルの強度に対して一定強度以下の値を有するノィズを消去することにより、'さらに鮮明な情報を得ることができる。以上の潜像に対する読取 ·認証作業は、図 15に示すフローの手順、図 15に示すブロック図からなるコンピュータによって行なうことがでぎる。

また、図 18に示されたフーリエ変換後の画像に対し、特徴的な周波数を検知して読取認証を行なう作業は、図 4に示すフローの手順及び図 8に示すプロック構成を備えるコンピュータによって行なうことができる。

( 3 ) 実施例 3

図 22に、本発明の実施例 3による印刷物を示す。上記実施例 1に係る印刷物は、両端が開いた系である複数の直万線（細画線）を備える線画において、直万線を複数の分断線から成る分断画線部で置き換えて情報を埋め込んで得られる。これに対し、実施例 3に係る印刷物は、閉じた系である複数の同心円 2 8 (本実施例の細画線に相当する）を備える証券用線画において、同心円 2 8を複数本の分断線 3 3から成る分断画線部 3 4で置き換えて情報を埋め込んで得られるものである。

図 2 2に示す印刷物は、埋め込む情報の背景部 2 8は、間隔 d bの複数本の基本画線部 3 0から成る基本画線群で構成しており、画像部 3 1は、間隔 d dの複数本の分断線 3 3から成る分断画線部 3 4の集合である分断画線群で構成してい o

この印刷物は、上記実施例 1と同様にスキャナ等で読み取ってビットマップデ —夕とし、これをフーリエ変換することにより、図 2 3に示すフーリエ変換パ夕 —ンを得ることができる。得られたフ一リエ変換パターンの特徴から、印刷物の埋め込まれた情報を識別することができる。

さらに、図 2 3において、分断線の間隔 d d及び位置相関に対応する周波数 q から、周波数 q dに周波数 A q d +を加える、あるいは△ q d—を減じた範囲において、上記実施例 2と同様にバンドパスフィル夕で抽出し、抽出結果に対して逆フーリエ変換を行なう。

これにより、図 2 4に示すような、間隔 d dの複数本の分断線 3 3が分断画線部、さらに分断画線群を構成する画像部 3 1に相当する図形を有する画像を得ることができる。このようにして、埋め込んだ情報の識別が可能となる。本実施例 3における閉じた系である同心円に対する情報あるいは潜像の埋め込み及び読み取り、認証に関する手順を示すフロー、及びこれらを実現するコンピュータのブロック構成は、上記実施例 1におけるものと同様である。

( 4 ) 実施例 4

図 2 5〜図 2 7を用いて、実施例 4について説明する。実施例 4は、上記実施例 3と同様に閉じた系としての同心円に対して情報を埋め込むものであるが、さらに、複数の同心円を波状に振動する閉じた系の万線（細画線）に変調することによって得られた線画に、情報を埋め込むものである。図 2 5に示す印刷物では、背景部 4 3が、間隔 d bで配列された複数の基本画線部 4 4から成る基本画線群で構成され、画像部 4 5は、間隔 d dで配列された複数本の分断線 4 6から成る分断画線部 4 2が集合した分断画線群で構成されており、これらの背景部 4 3と画像部 4 5とから成る情報が埋め込まれている。この印刷物におけるフーリエ変換パターンは、図 2 6に示すとおりである。図 2 6において、分断線 4 6の間隔 d dの間隔の相関に対応する周波数 q dから周波数 q dに周波数 Δ q d +加えた範囲及び Δ q d一減じた範囲で、上記実施例 2 と同様にバンドパスフィル夕で抽出し、この抽出結果に対して逆フーリエ変換を行なう。その結果、図 2 7に示すように、間隔 d dの複数本の分断線 4 6が分断画線部、さらに分断画線群を構成して成る画像部 4 5に相当する図形を有する画像を得ることができる。このようにして、埋め込んだ情報の識別が可能となる。実施例 4における、閉じた系である同心円を波状に振動するように変調して得られた、閉じた系である万線（細画線）に対して、情報あるいは潜像を埋め込む処理、埋め込んだ情報あるいは潜像の読み取り処理、認証処理に関するフロー、これらを実現するコンピュータの構成は、上記実施例 1におけるものと同様である

( 5 ) 実施例 5

図 2 8〜図 3 2を用いて、実施例 5について説明する。

実施例 5は、 2種類の画像が、線画に対して情報として埋め込まれる点に特徴がある。具体的には実施例 5は、図 2 8に示すように、画像部 aには「A」という画像、画像部 bには「B」という画像を、それぞれ埋め込み情報として埋め込む構成を備えている。

図 2 9に、同心円（本実施例の細画線に相当する。）から成る線画において、背景部 5 2には間隔 5 3を 4 0 0 mに設定した基本画線部 5 4、画像部 aには間隔 4 7を 1 6 3 mに設定した分断線 4 8、画像部 bには間隔 4 9を 1 1 4 mに設定した分断線 5 0によって、交互に情報を配置する。

図 2 9に示す印刷物をスキャナで読み取りビットマップデータを取得し、これをフーリエ変換して得られるフーリエ変換パターンを、図 3 0に示す。このフ一リエ変換パターンでは、基本画線部 5 4の間隔 5 3の 4 0 0〃mの間隔の相関に対応する周波数 qbと、分断線 48の間隔 47の 163 mの間隔の相関に対応する qd 1と、分断線 50の間隔 49の 114 mに対応する周波数 q d 2とが観測される。

さらに、図 31 Aに示すように、周波数 qd 1から周波数 qd 1に周波数 A i d 1 +を加えた範囲及び Aqd 1—を減じた範囲で、上記実施例 4において説明したように、バンドパスフィル夕 a' を用いた抽出結果に対して逆フーリエ変換を行なうと、図 31Bにおける画像 a⁵ ' のように「A」という画像を認識することができる。

同様に、図 32Aに示すように、周波数 qd2から周波数 qd2に厶 qd2 + を加えた範囲及び Aqd 2—を減じた範囲で、バンドパスフィル夕 b' を用いた抽出結果に対して逆フ一リエ変換を行なうと、画像 b， ' のように「B」という画像を認識することができる。

実施例 5における、閉じた系である同心円を波状に振動するように変調して得られた閉じた系の万線（細画線）に対して、 2種類の潜像の埋め込み及び読み取り、認証に関するフロー、これらを実現するコンピュータの構成は、上記実施例 1におけるものと同様である。

( 6 ) 実施例 6

上記実施例は、 2次元の図柄で構成された画像情報を付与するものである。しかし、印刷物の特定をより簡便にするには、読取装置によって印刷物中の情報を必ずしも 2次元の図柄として認識する必要はない。即ち、印刷物において特徴的な画線の間隔に基づいて印刷物を特定し、真偽判別を行ってもよい。

例えば、図 33に示すような彩紋エレメント 36を用いて複数の情報を埋め込む方法及びその印刷物の構成について説明する。

図 33の彩紋エレメント 36を構成する複数の細画線を、一本おきに、間隔 3 7を 163 mに設定した複数の分断線 38から成る分断画線部 35と、間隔 3 9を 11 に設定した複数の分断線 40から成る分断画線部 41とで置き換えて構成した場合を図 34に示す。

図 33に示す分断線を施していない画像をビットマップデ一夕とし、これをフ —リエ変換して得られたフーりェ変換パターンは図 3 5に示すとおりである。さらに、図 3 4に示す複数の分断線を施した画像をビットマップデ一夕とし、これをフーリエ変換して得られたフ一リエ変換パターンは図 3 6に示すとおりである c そして、印刷物を読み取る時に、ビットマップデータに対するフーリエ変換パ夕一ンの異方性をなくして一次元で評価した場合、分断線 3 8及び分断線 4 0を施していないフ一リエ変換パターンの一次元評価を示す図 3 7 Aと比較し、分断線 3 8及び分断線 4 0を施しているフ一リエ変換パターンの一次元評価を示す図 3 7 Bでは、間隔の相関強度 Iによって一定以上の大きな強度を識別することで印刷物の特定が可能となる。

即ち、ビヅトマヅプデ一夕のフーリエ変換パターンの周波数 q d 1及び周波数 q d 2の間隔の相関強度 I ( q ) が所定値以上であれば、印刷物は特定の証券類であること、即ち真正なものであると判定することで、偽造防止効果を発揮することができる。

また、実施例 5と同様に、フーリエ変換結果の周波数 q d 1と、周波数 q d 2 夫々の高次の間隔の相関による周波数の影響を受けない場所に設定すると、より認識制度を高めることができる。

図 3 7を用いて説明したように、印刷物を読み取る時に、ビットマップデ一夕に対するフーリエ変換パターンの異方性をなくして一次元で評価する手法によれば、バンドパスフィル夕による特定周波数の抽出と、この抽出された画像の逆フ —リエ変換というプロセスは不要となる。

上記実施例 6における、画線を構成する万線（細画線）に対して 2種類の分断線間隔からなる情報の埋め込み及び読み取り、認証に関するフロー、これらを実現するコンピュータの構成は、上記実施例 1によるものと同様である。

( 7 ) 実施例 7

本発明の実施例 7について説明する。

印刷物に情報を埋め込む情報を、通常の可視光下において、反射波長が 4 0 0 ηπ！〜 7 0 0 nmの範囲内、望ましくは 6 0 0〜 7 0 0 nmの範囲内にあるようなインキを用いて印刷する。この場合、読取装置には、波長が 4 0 0〜7 0 0 n m、ないし 6 0 0〜7 0 0 nmの範囲内の光のみを透過するフィル夕を装着すれば、そのほかの印刷物上の多くのエレメントがフィル夕により除去され、不必要なノイズを除去することが可能となる。

この結果、フーリエ変換、バンドパスフィル夕による抽出、逆フーリエ変換を経て得られる情報の強度とノイズの比を大きくすることが可能となる。

上記実施例 1〜 7では、分断線が一定間隔で長手方向に並列されており、付与できる情報に限りがある。

これに対し、以下に説明する本発明の実施例 8〜9では、分断線の配置の間隔を工夫することで、多様な情報を埋め込んで偽造防止効果を高めている。

以下の実施例 8〜 9では、規則性を有する証券用線画を構成する複数の細画線に対し、スキャナ、複写機等のデジタル機器では識別可能であるが、人間にとつて通常の可視光の下で肉眼では認識が困難な分断線を並べて構成し、変調を与えて情報を埋め込むことで、印刷物を作成する。そして、作成した印刷物の画像デ一夕を取得し、画像処理装置を用いて、証券用線画の間隔、位置、配置等に関する相関を分析し、埋め込まれた情報を識別することにより、真偽判別を行う。このような、通常の可視光下において、肉眼では認識が困難なレベルで証券用線画に変調を与えるため、証券用線画を構成する細画線の一部又は全部を、複数のュニヅトから成るュニヅト画線で形成する構成にしている。このようなュニヅト画線が複数集まりュニット画線群となり、証券用線画を形成する。

複数のユニットの長さ（以下、「ユニット長さ」という。）は予め決めた所定の長さとし、各ユニットを、複数の不可視的な分断線で構成する。この複数の分断線は、夫々細画線の中心線と直交する方向に延び、且つ細画線方向に並列して配置される構成とし、このユニット内の複数の分断線を、細画線方向への互いの間隔を適宜設定して配置すること（複数の分断線の細画線方向への配置の間隔を決めること）で情報を埋め込む構成としている。即ち、ユニット内において、複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔は、夫々埋め込まれる情報に対応して設定される。

このように、原図である証券用線画を構成する細画線をュニット画線で形成し、このュニット画線を、通常の可視光下では肉眼で原図の細画線と濃度が同等に認識され、原図と同じように証券用線画が認識されるような構成とする。ユニットを構成する分断線は、通常の可視光下では肉眼で識別が困難なように、分断線の長さ（細画線の中心線に直交する方向への分断線の長さ）及び幅（細画線の延びる方向への分断線の幅）、さらに相互の間隔を設定する。そして、証券用線画の規則性（証券用線画の複数本の細画線の間隔及び方向）に基づき、又ユニット内の分断線の互いの間隔を適宜設定して配置することにより、所定の倩報を埋め込む構成としている。

このようにして埋め込まれた情報を識別し、印刷物の真偽判別をするには、複数のュニ、ソト画線から成るュニット画線群で構成される証券用線画を表す画像デ一夕に対してフーリエ変換を行い、得られたフーリエ変換パターンから、証券用線画上のュニット長さ及びュニット内における分断線の配置に関する情報を抽出し、埋め込んだ情報を抽出して識別することによって行う。

また、印刷物の証券用線画を構成する画線には、全てが上述のようなユニットを単位とするものではなく、その一部に、複数の分断線が配置された分断画線で構成し、複数の分断画線が集まって分断画線群を構成し、この分断画線群により構成されたものを含んでいてもよい。

( 8 ) 実施例 8

以下に、本発明の実施例 8について説明する。

図 3 8に、本実施例 8による印刷物の原図となる証券用線画の一例を示す。この証券用線画 1 0 1は、印刷された細画線 1 0 2から成る彩紋エレメント 1 0 3 を有しているが、この細画線 1 0 2乃至彩紋エレメント 1 0 3は、通常の可視光下で肉眼で認識できるものである。

この証券用線画 1 0 1の彩紋ェレメント 1 0 3に基づいて、図 3 9 Aに示す本実施例 8の印刷物 1 0 4を作成する。印刷物 1 0 4は、彩紋エレメント 1 0 3を構成する複数の細画線 1 0 2を、夫々複数の同じ構成のュニット 1 0 5から成るュニヅト画線 1 0 6で形成し、ュニット画線 1 0 6で彩紋エレメント 1 0 3が描画されて成る画像である。要するに、複数のュニット画線 1 0 6が集合したュニヅト画線群 1 0 7で、彩紋エレメント 1 0 3を構成する。このュニヅト画線 1 0 6は、画線どうしの間隔及び方向が、原図の細画線 1 0 2と同じである。

図 3 9 Aの円内に、ユニット画線 1 0 6の一部を拡大して示す。この拡大図中の 1本のュニヅト画線 1 0 6を、さらに拡大して図 3 9 Bに示す。ュニヅト画線 1 0 6を構成する各ユニット 1 0 5 A、 1 0 5 B、 1 0 5 Cは、互いに同じ構成であり、予め決められた所定の長さ（「ュニヅト長さ」という）を有し、複数の分断線から構成される。具体的には、ユニット 1 0 5 A、 1 0 5 B、 1 0 5 Cは、夫々情報を埋め込む複数の情報用分断線 1 0 8と、情報用分断線 1 0 8の両側の始端分断線 1 0 9及び終端分断線 1 1 0とから成る。

ユニット画線 1 0 6は、本実施例 8では複数の同じ構成のュニット 1 0 5が連続的に繰り返し配置されて構成される。互いに隣接するュニット 1 0 5 A、 1 0 5 Bは、始端分断線 1 0 9、終端分断線 1 1 0を共有している。これを図 3 9 B を用いて説明すると、ユニット 1 0 5 Aの終端分断線 1 1 0は、ュニヅト 1 0 5 Bの始端分断線 1 0 9として両ュニヅト 1 0 5 A、 1 0 5 Bに共有され、分断線 1 0 5 Bの終端分断線 1 1 0は、ュニヅト 1 0 5 Cの始端分断線 1 0 9として両ユニット 1 0 5 B、 1 0 5 Cに共有されている。

ユニット 1 0 5は、所定の情報を埋め込む構成としている。図 4 0に、所定の情報を埋め込んだュニット 1 0 5の具体的な構成を示す。このュニット 1 0 5は、始端分断線 1 0 9と終端分断線 1 1 0の間に、 4本の情報用分断線 1 0 8 !〜 1 0 84が配置されて構成されている。所定の情報は、 4本の情報用分断線 1 0 8 ! 〜 1 0 8 4の互いの間隔を適宜決めることで埋め込まれる。

予め埋め込む情報を構成する情報要素（例えば、数字等の記号）に対応して間隔を予め決めておく。本実施例 8では、情報要素を十進数字とし、対応する間隔の一例を次の表において示す。この表中、 *、 #は、夫々識別子を表し、その必要性については後述するが、識別子は、始端分断線 1 0 9と情報用分断線 1 8 ！との間隔に対応するものであり、識別子 ΦΜま、終端分断線 1 0 0と情報用分断線 1 8 ₍との間隔に対応するものである。情報/識別子 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 水間隔 ( ju m) 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160

この表に基づいて、ュニヅト 1 0 5について、「2 6 4」という十進数字の組み合わせから成る情報を埋め込むためには、識別子氺と情報用分断線 1 0 8 !との間隔を 1 5 0 zm、情報用分断線 1 0 8 >と情報用分断線 1 0 8 ₂の間隔を 7 0 / m、情報用分断線 1 0 8 ₂と情報用分断線 1 0 8 ₃の間隔を 1 1 0 zm、情報用分断線 1 0 8 ₃と情報用分断線 1 0 8 ₄の間隔を 9 0 / mに、情報用分断線 1 0 8 ₍ と識別子: ΙΦの間隔を 1 6 O mに、夫々配置すればよい。

ュニヅト長さは、これらの間隔を合計した 5 8 0 zmの値となる。ュニット画線 1 0 6は、このような構成の複数のュニット 1 0 5が、原図の細画線 1 0 2 (図 3 8参照）に沿って連続的に繰り返されて配置されて構成される。

ここで、ユニット 1 0 5内に、識別子 *及び識別子 #を配置する必要性について説明する。本実施例に係る印刷物は、後述するがフーリエ変換画像としてパ夕 —ンマッチング等の手段でその識別を行うものである。情報「2 6 4」をフ一リェ変換画像で確認すると対称的に画像が現れるために、情報「4 6 2」をフーリェ変換画像したものと、同じ位置と強度を示すこととなり、判別が不可能となるそこで、この判別を可能とするために、識別子 *を間隔 1 5 0 zmに対応させ、識別子 #を間隔 1 6 0 z mに対応させ、情報要素とともに上記表に登録し、氺は情報の開始を表す識別子、 #は情報の終了を表す識別子として夫々使用するのである。

ここで、情報の開始を表す識別子 *のみを使用し、情報の終了を表す識別子 # を使用しない場合、すなわち、「* 2 6 4」と「* 4 6 2」を比較すると「* 2 6 4」は「2 6 4氺」と同等に置き換えることが可能であり、さらに前述のように反対方向から読むと「* 4 6 2」となってしまい、「* 2 6 4」と「* 4 6 2 I は同じフーリエ変換パターンとなってしまうことが分かる。そこで、情報の終了を表す識別子 #を用いれば、「* 264#」と「氺 46 2 #」は同じパ夕一ンとならないことから、両者の識別が可能となる。

図 38に示す原図の証券用線画 1 0 1では、細画線 102の幅 (線の太さ) は 55 となっている。図 39 Aに示すように細画線 102をュニヅト画線 10 6で形成した印刷物として作成された場合、ュニット 105の分断線 108〜1 10は、夫々人間の目には通常の可視光下では肉眼で識別が困難である。しかし、ュニット画線 106を、原図である証券用線画 10 1の細画線 102と同様に、通常の可視光下では肉眼で見えるようにするには、分断線 1 08〜 1 1 0の間隔及び分断線の寸法（幅 Wと長さ L) を調節する必要がある。

具体的には、分断線 1 08〜 1 10の間隔に応じて、その寸法（幅 Wと長さ L) を調節する。

ところで、このように分断線の寸法を決定する場合に、本実施例 8では分断線の間隔を、埋め込む情報及び識別子に応じて変化させているので、それに対する補正も必要となる。

本実施例 8では、情報「* 2 64 #」に対応する分断線間の間隔を平均化すると、（ 1 50 /m+ 70 j m+ 1 1 0 zm+ 90 zm+ 1 60 jum) + 5 = 1 1 6 zmとなる。この分断線間の平均の間隔が 1 1 6 zmという数値に対応して、情報用分断線、始端分断線及び終端分断線の全ての分断線の夫々の幅 Wを 3 Ο μ. mとし、長さ Lを 29 3 mと設定することができる。ユニット 1 05の分断線をこのような寸法とすることにより、人間に対してュニット画線 1 06は通常の可視光下で肉眼で可視であっても、分断線 108〜1 10は殆ど不可視状態となる。

ところで、本出願人は、細画線 1 02を本実施例のようなュニット画線 106 で形成する技術ではないが、機械読取りで真偽判別を行う有価証券等において、細画線の一部を分断線で構成し、この分断線をより完全に不可視化する技術について、すでに特許出願を行っている（特開 2000 - 1 18 1 2 1号公報参照） c この不可視化する技術を本実施例に適用すると、本実施例における分断線をより不可視なものとすることができる。

この分断線を不可視化する技術の概要は、次の通りである。分断線の長さ決める際には、その分断線の前後の隣接する分断線との間隔の平均値を算出して、この平均値に対応する幅及び長さを決定する。この技術を本発明に適用した構成について、図 4 0に示すュニヅト 1 0 5で具体的に説明する。

例えば、情報用分断線 1 0 8 tの幅及び長さを決める場合は、次のようにする。始端分断線 1 0 9と情報用分断線 1 1 0との間の間隔（識別子 *に対応する間隔）は 1 5 0 mであり、情報用分断線 1 0 8 !と情報用分断線 1 0 8 ₂の間隔 (情報要素 " 2 " に対応する間隔）は 7 0〃mである。基本画線の太さは 6 O j mである。この情報用分断線 1 0 8 ,の両側の間隔 1 5 0 mと 7 0 z mに対して、両者の平均値 1 1 0 πιに対する分断線の長さを設定する必要がある。分断線の幅を 3 0 / mとすると、分断線の長さは上述の算出方法に従って計算し、それぞれ 2 0 2 μ- m ( = 1 1 0 5 5 m/ 3 0 j m) となる。

以上のように、図 3 8に示す原図の証券用線画 1 0 1の細画線 1 0 2をュニヅト画線 1 0 6で形成し、ユニット画線 1 0 6の集合であるュニヅト画線群 1 0 Ί で図 3 9 Aに示す証券用線画を表示するには、まず証券用線画 1 0 1をスキャナ等のデジ夕ル機器で読み取つてビットマヅプデ一夕等のデジ夕ル画像デ一夕とし、これを作画ソフト（例えば、アドビ社から市販されているイラストレー夕として一般的なパルコシステム等）で細画線 1 0 2を加工してュニヅト画線 1 0 6に置き換える。

あるいは、コンピュータで、作画ソフトを利用して直接、ユニット画線群 7で表示する図 3 9 Bに示す証券用線画の画像デ一夕を作成してもよい。いずれにしろ、この画像データは、印刷出力した際に、図 3 9 Bに示すような印刷物が作成されるものであればよい。本実施例では、このような印刷物の作画の仕方自体をその要旨とするものではないから、この点に関する説明は省略する。

以上のような複数のュニット 1 0 5から成るュニット画線 1 0 6は、複数本集まってュニット画線群 1 0 7となり証券用線画を表示する。これらのュニット画線群 1 0 7は、複数のュニット画線 1 0 7の相互の間隔に基づく異なる空間周波数を有し、しかもュニヅト 1 0 5に情報「* 2 6 4 #」が埋め込まれいる。これを印刷出力すれば、通常の可視光下で肉眼では図 3 8に示す証券用線画 1 0 1と殆ど変わらない印刷物 4が作成される。同様に、例えば図 3 8に示す同じ証券用線画 1 0 1に、別の情報「* 8 3 1 #」を埋め込んだュニット 1 1 2を有する印刷物 1 1 1を作成するには、上記表に基づいて、図 4 1に示すように、情報「* 8 3 1 #」に対応するように、始端分断線 1 0 9、情報分断線 1 0 8及び終端分断線 1 1 0の夫々の間隔を決めて、ユニット 1 1 2を作成する。このュニヅト 1 1 2のュニヅト長さは、印刷物 1 1 1と同様に 5 8 0〃mである。

そして、このュニット 1 1 2を複数、細画線の方向に連続して繰り返して構成されるュニヅト画線 1 1 3で、原図 1 0 1の細画線 1 0 2を形成し、図 4 2に示すような、ュニヅト画線 1 1 3が集まったュニヅト画線群 1 1 4で証券用線画を表示する印刷物 1 1 1を作成することができる。

次に、上述した情報の埋め込み方法を用いて、情報が埋め込まれた印刷物の当該情報を識別することで、印刷物の真偽判別を行う装置及びその方法について説明する。

上記印刷物 1 0 4、 1 1 1をスキャナ等の読取装置で読み込み、読取結果をビヅトマヅプデ一夕（上述した画像デ一夕の一例）として取得する。そして、このビヅトマヅプデ一夕に、フ一リェ変換を行う。

本実施例の印刷物 1 0 4のビットマツプデ一夕に、フ一リェ変換を行って得られた画像 1 1 5を図 4 3に示し、印刷物 1 1 1のフーリエ変換画像 1 1 6を図 4 4に夫々示す。これらのフーリエ変換画像 1 1 5、 1 1 6を例に、埋め込まれた情報「 2 6 4 #」、情報「* 8 3 1 #」の夫々について、増補に基づく相関が、フ一リェ変換パ夕ーンにどのように現れるかを説明する。

印刷物 1 0 4、 1 1 1のフ一リエ変換画像 1 1 5、 1 1 6において、フーリエ変換パターンにおけるビーク位置は同じ周波数に観測されている。すなわち、印刷物 1 0 4と印刷物 1 1 1におけるュニット長さはどちらも 5 8 であり、このュニツト長さに対応した周波数の位置、及びこの周波数の整数倍の位置にピ —クが観測されている。この点では、埋め込まれた情報を識別することができない。

ところが、印刷物 1 0 4と印刷物 1 1 1のフ一リエ変換パターンにおけるピ一クの強度は両者で異なり、特に 4次のピーク（中心から 4つ目の輪）において両者の違いは顕著に現れている。印刷物 1 0 1のュニヅト 1 0 5と印刷物 1 0 4のュニヅト 1 1 2とは、夫々異なる情報（「* 2 6 4 #」、「* 8 3 1 #」）を埋め込むために情報用分断線の配置の間隔が異なるが、これに起因して 4次のピ一クの強度が異なる。

すなわち、同じユニット長さであれば、フーリエ変換パターンは同じ周波数位置にピークが観測されるが、ュニット内の情報用分断線の配置の間隔が異なれば、ピーク強度が異なる。したがって、このフーリエ変換パターンを基に、印刷物へ埋め込んだ情報に係る情報用分断線のュニット内での配置の間隔を認識することができる。この情報用分断線の配置の間隔が埋め込んだ情報に相当するようにしておけば、印刷画線への所定の情報の埋め込み及びその読取が実現する。

ところで、フ一リエ変換パターンから本発明に係る印刷物の埋め込み情報を識別する具体的な手段は、いくつかあるが、ここでは三つの手法を挙げる。

( 1 ) コンピュータ等の読取画像処理装置において、予め所定の埋め込み情報に対応するフーリエ変換パターンを記憶させておき、印刷物から読み取ったビットマヅプデ一夕のフ一リェ変換パターンを、この予め記憶してあるフ一リェ変換パ夕一ンと比較して識別を行う（パターンマッチング）。

( 2 ) 予め所定の埋め込み情報に対応するフ一リェ変換データの k次のピークの濃度分布曲線（フーリエ変換パターンにおけるピークのうち、内側から k番目のピークとなる濃度分布曲線を言う）を予め用意し、これと、印刷物から読み取つたビットマップデ一夕のフーリエ変換データの k次のピークの濃度分布とを比較する。

( 3 ) 印刷物から読み取ったビヅトマヅプデ一夕のフーリエ変換パターンの k次のピーク位置における強度 I ( k ) を次の式（3 ) で計算する。

ここで、 Nは画線全体にあるュニット 5の数、 nはュニット 5の中の分断線の本数、： T jは、ユニット 1 0 5中の j番目の分断線のユニット原点からの距離をユニット長さで規格化した数値を表す。また、 T (k) は印刷画線のゆらぎを表し、 f j (k) は分断線の形状因子を表し、以下の（4) 式で与えられる。ハ、 sin^cwj (4ノ

ここで、 Wj は j番目の分断線の幅を表す。

これらの式（3) 、（4) によって、フ一リエ変換パ夕一ンの k次のピーク位置における強度 I (k) の値を認識すれば、連立方程式を解くことにより容易にュニヅト中の分断線の配置を求めることが可能となり、これにより埋め込み情報を識別することができる。

一例として、情報「* 2 64#」を埋め込んだユニット 105を有する印刷物 10 1の識別を説明する。この印刷物 10 1を読み取って画像デ一夕を取得し、フ一リエ変換を行い、フ一リエ変換パターンを得たとする。読取装置ではその F FTの 1次のビーク位置から、ュニヅト長さは 58 であることが直ちに分かる。

そして、 1次、 2次、 3次、 4次、 5次、 ···、 n次のピークにおけるフ一リエ変換パターンの相対強度をそれそれ読み取り、これを上記（3) 、（4) 式にあてはめ、連立方程式を最小二乗法により解くことにより、ユニット 1 05中の除法分断線の配置、すなわち、分断線の間隔の並びを解くことが可能である。

この連立方程式から、始端分断線 1 09、情報用分断線 108^ 108汲び終端分断線 1 1 0が互いに隣接する間隔が、 1 50〃m、 70〃m、 1 10〃m、 90 /m、 1 6 θ ίπιと求まり、上記表に基づき十進数字を識別することにより、埋め込んだ情報は「* 2 64#」であることが識別できる。なお、情報「* 83 1」を埋め込んだ印刷物 1 02についても同様に識別可能である。

以上のように、ュニットの中で同じ数字等の記号が繰り返されるような例において、明確なフーリエ変換パターンのピーク強度が得られることから、分断線にバリエーションを持たせ、規則的に配置することにより情報の埋め込み、読み取りが可能である。本実施例 8では、 3桁の十進数字から成る情報を埋め込んだが、これに限らず、より多くの桁数の数字であっても、分断線を用いて数字等の記号を表現可能であり、その結果を数字等の情報に対応した特徴的なピーク位置の周波数と強度を有するフーリエ変換パターンから認識することができる。

印刷画線のゆらぎ T ( k ) は、以下の（5 ) 式で表される。

T(k) = exp(-4^²g²k²) ( 5 )

( 5 ) 式において、 gは印刷画線のゆらぎの大きさを表す因子である。すなわち、 gが大きければ印刷画線のゆらぎが大きく、反対に gが小さければ、印刷画線のゆらぎが小さいことを意味する。

一般に、印刷物を複製すると、その複製物は元の印刷物と比べ、より微細な部分で完全に復元されない傾向がある。したがって、複製物の gが真正物と比べて大きくなることを利用すれば、真正物と複製物の真偽判別が可能となる。

なお、ュニット法により構成した微細構造は拡散処理により暗号化することが可能である。このようにして暗号化した分断線は拡散処理の逆変換となる秘密鍵を用いて構造を復元し、その構造を読み取ることができる。

( 9 ) 実施例 8の変形例

ここで、上記実施例 8の変形例について以下説明する。

この変形例は、図 3 8に示す原図の証券用線画 1 0 1を構成する細画線 1 0 2 を複数のュニッ卜から成るュニット画線で形成し、ュニット画線の集まりであるュニット画線群で彩紋エレメント 1 0 3の証券用線画を表示するものである。この印刷物のュニット画線は、画線どうしの間隔等が、原図の証券用線画 1 0 1の細画線の場合と同じである。

ユニット画線は、複数のユニットが繰り返し連続的に配置されて構成され、複数のュニットは、互いに同じュニット長さを有する。ュニヅトは、原図の細画線 1 0 2の中心線と直交する方向に延びる複数本の分断線を細画線方向に並列して構成され、これにより情報を埋め込む構成としている。

ユニットには複数の分断線が配置されているが、この分断線の長さ及び幅、さらに相互の間隔は、分断線自体では肉眼で殆ど不可視であるが、複数のユニットから成るュニット画線は、視覚的には原図の細画線 1 0 2と濃度が同等で、原図の証券用線画 1 0 1と同じように彩紋エレメント 1 0 3が見えるように決められ

Ό o

ところで、ュニヅトの複数の分断線の配置の間隔（ュニヅ卜内において複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔）を決めて所定の情報を埋め込むのであるが、上記実施例 8では、ユニット画線を構成する複数のユニットにおける夫々のュニット内での複数の分断線の配置が各ュニット同じであり、要するに分断線の配置が同じュニットが複数繰り返し連続的に配置されてュニット画線を構成している。

しかしながら、この変形例では、ユニット画線を構成する複数のユニットにおける夫々のュツト内での複数の分断線の配置の間隔は、各ュニットについて必ずしも同じでなくてもよい。要するに、この変形例では、分断線の配置が必ずしも同じではないュニットが複数繰り返し連続的に配置されてュニツト画線を構成している。

この変形例に係る印刷物をスキャナで読取り、画像データを取得し、これにフ ―リェ変換を行つて得られた画像が所定のフーリェ変換パ夕一ンとなるように、複数のュニット内で夫々独自に分断線の配置が決められるものである。要するに、フーリエ変換パターンが所定のパターンとなるように、複数のュニヅト内で夫々独自の分断線の配置をすることで情報を埋め込む構成としている。

このように変形例の印刷物では、ュニット画線を構成する複数のュニット夫々について、複数の分断線の配置は独自に決められ、夫々独自の分断線の配置のなされたュニットが複数連続的に配置されュニヅト画線が構成され、ュニット画線の集まりであるュニット画線群で証券用線画が表示されるもので、印刷物のフ一リエ変換画像が所定のフーリエ変換パターンにマヅチしているか否かでその真偽判別がなされる。ところで、この変形例において、フーリエ変換パターンから情報を識別する手法は、上記実施例 8と同様であって次の通りである。

①予め記憶した所定のフーリエ変換パターンと印刷物のフーリエ変換画像について、マッチングを行う。

②予め用意した所定フーリエ変換デ一夕の k次のピークの濃度分布曲線と印刷物のフ一リエ変換デ一夕の k次のピークの濃度分布曲線を比較する。

③印刷物のフ一リェ変換デ一夕の k次のピーク位置における強度からユニットの配置を算出して識別する。

このように証券用線画を、複数の分断線を有するュニットから成るュニット画線で構成することで、通常の可視光下では肉眼において識別が困難な情報を埋め込むことができる。そして、証券用線画の画像データを取得し、この画像データにフーリエ変換を行い、マッチング等の処理をすることで、埋め込み情報を識別し、真偽判別を行うことが可能である。これにより、印刷画線の持つ美術的な効果減じることなく、偽造防止効果を高めることができる。

印刷物の原図の細画線を、複数の分断線を有するュニットから成るュニット画線で形成し、ュニット内において複数の分断線のうち互いに隣接する分断線がなす複数の間隔を、夫々埋め込まれる情報に対応して設定されるようにすることで、情報を埋め込むことができる。しかも、この印刷物の画像デ一夕をフ一リエ変換してパターンを得ることで容易に埋め込み情報を識別することが可能である。これにより、偽造防止効果を高めることができるとともに、低コストで、取り扱いが便利であり、銀行券、証券類、各種証明書及び重要書類等の多方面の分野においてきわめて有用である。

上記実施例 8、あるいはその変形例で用いられる画線は、単色印刷においても、その埋め込み情報を通常の可視光下では肉眼で認識が困難であることから、印刷画線の持つ美術的な効果減じることもない。

さらに、細画線をュニット単位ではなく複数の不可視な分断線から成る可視な分断画線で形成可能とし、複数の分断線のなす間隔（分断線が繰り返されるピッチ）を、埋め込まれる情報が画像デ一夕のフーリエ変換パターンによって識別可能なように設定することにより、より自由度をもつて偽造防止効果の高い真偽判別可能な印刷物を実現することができる。 ( 1 0 ) 実施例 9

上記実施例 8では、細画線を、分断線を有するユニットを単位として、複数のュニットを長手方向に連続して配置して成るュニット画線から構成するようにしたものである。しかしながら、細画線をユニットを単位としない構成としてもよい o

そこで、本実施例 9による印刷物の証券用線画を構成する細画線は、上記実施例 8のようにュニットを単位とするものではなく、細画線の長手方向に複数の分断線が配置されて成る分断画線から構成される。そして、分断画線が集まって分断画線群を構成し、この分断画線群により、印刷物の証券用線画が表示される。このように、証券用線画の構成要素の最小単位となる複数の分断線は、夫々細画線の長手方向に対して直交する方向に延び、且つ細画線の長手方向に沿って並列されている。そして、分断線の夫々の長さ及び幅、さらに相互の間隔は、分断線自体では不可視であるが、分断画線は、視覚的には原図の細画線と濃度が同等で、原図の証券用線画 1 0 1と同じで彩紋エレメント 1 0 3が見えるように、決められる。

この複数の分断線のうち細画線の方向で互いに隣接する分断線がなす複数の間隔（相互の間隔）は、証券用線画に所定の情報が埋め込まれるように、夫々設定される。この埋め込まれた情報は、本実施例 9による印刷物をスキャナ等で読取つて得られた画像デ一夕にフーリェ変換を行い、得られたフーリェ変換パターンによって識別が可能である。要するに、分断線がなす複数の間隔は、埋め込まれる情報が、印刷物の画像データをフーリエ変換して得られたパターンによって識別可能なように設定される。

ここで重要なことは、本実施例 9は、情報を埋め込むための複数の分断線のうち細画線の方向で互いに隣接する分断線がなす複数の間隔は、全て同一のものは含まれない。即ち、複数の分断線のなす間隔（分断線が繰り返されるピッチ）は均一である構成は含まず、埋め込まれる情報が印刷物の画像デ一夕のフーリエ変換パターンによって識別可能なように設定されていることである。ここで、複数の分断線のなす間隔を、例えば 5 0 mから 1 5 O ^mの間から乱数を用いて無作為に選び、分断線を配列した場合、分断線の数が十分大きければ、何度、分断線を発生させても、同じフーリエ変換パターンが得られる。これに対して、分断線の配置に人為的な作為を与えれば、そのフーリエ変換パ夕一ンは前記パターンと異なるものとなる。もっと具体的な例を挙げると、 5 0 mから 1 5 O zmまで 1 0 m間隔で分断線の種類を設定しておき、この中から乱数を用いて分断線を配置する上で、人為的に 8 0 //mのみ他の間隔の分断線の選択確率の 2倍となるように設定しておく。

このように操作して配列した分断線に対するフーリエ変換パターンは完全に無作為に間隔を選択、配列した分断線にした場合と異なるフ一リェ変換ノターンを生じることとなる。この特異的なフーリエ変換パターンから埋め込んだ情報を抽出することができる。

このように、本実施例 9による印刷物は、フ一リエ変換パターンが所定のパ夕ーンとなるように、複数のュニット内で分断線を夫々全く独自に配置をすることで情報を埋め込む構成としている。

本実施例 9による印刷物を識別して真偽判別を行う装置は、具体的には、上記実施例 8による印刷物をスキャナ等の読み取り装置で読取つて得られた画像デー夕を入力し、この画像デ一夕にフーリェ変換を行って得られたフーリェ変換パ夕ーンと、予め記憶した所定のフーリエ変換パターンとを、比較器等の演算装置を用いてマッチングし、マッチングしているか否かで真偽判別を行う構成を備えている。

なお、本実施例 9においても、夫々の分断線の幅、長さ、互いの間隔を設計する際に、上記先願（特開 2 0 0 0 - 1 1 8 1 2 1号公報参照）の分断線をより完全に不可視化を行う技術を適用することにより、分断線のより完全なる不可視化が可能となる。

上述したそれそれの実施例は一例であって、本発明を限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内で様々に変形することが可能である。

Claims

請求の範囲

1 . 第 1の領域と、前記第 1の領域に隣接するように配置された第 2の領域とを備え、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、

前記第 1の画線は実線であり、

前記第 2の画線は、この第 2の画線の長手方向と直交する方向に延びる分断線が、前記第 2の画線の長手方向に沿って所定間隔を有するように複数配置されていることを特徴とする真偽判別可能な印刷物。

2 . 前記第 1の領域及び前記第 2の領域は、一方が線画を構成し、他方が前記線画の背景を構成することを特徴とする請求項 1記載の真偽判別可能な印刷物

3 . 第 1の領域と、前記第 1の領域に隣接するように配置された第 2の領域とを備え、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、

前記第 1の画線は実線であり、

前記第 2の画線には、この第 2の画線の長手方向と直交する方向に延びる複数種類の分断線が含まれ、各々の前記分断線は、前記第 2の画線の長手方向に沿つてそれそれ異なる間隔を有するように配置されていることを特徴とする真偽判別可能な印刷物。

4 . 前記第 2の領域は、前記分断線の種類に応じて複数種類の線画を構成し、前記第 1の領域が前記線画の背景を構成することを特徴とする請求項 3記載の真偽判別可能な印刷物。

5 . 前記第 1及び第 2の画線は、直線、曲線、又は所定の周期を有する波状の曲線のいずれかであることを特徴とする請求項 1乃至 4のいずれかに記載の真偽判別可能な印刷物。

6 . 前記第 2の画線は、通常の可視光下において反射光の波長が 4 0 0〜7 0 0 nmの範囲にあるインキで印刷されることを特徴とする請求項 1乃至 5のいずれかに記載の真偽判別可能な印刷物。 '

7 . 真偽判別可能な印刷物の作成方法において、

前記画像データを用いて、前記第 1の領域に含まれる前記画線を実線とするステヅプと、

前記画像デ一夕を用いて、前記第 2の領域に含まれる前記画線を、この画線の長手方向と直交する方向に延びる分断線が、この画線の長手方向に沿つて所定間隔を有するように複数配置されたものに置き換えるステップと、

を備えることを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作成方法。

8 . 真偽判別可能な印刷物の作成方法において、

複数の画線を含む第 1の領域と、複数の画線を含む第 2の領域とを備える線画を表す画像デ一夕を作成するステップと、

前記画像デ一夕を用いて、前記第 1の領域に含まれる前記画線を実線とするステヅプと、

前記画像デ一夕を用いて、前記第 2の領域に含まれる前記画線を、この画線の長手方向と直交する方向に延びる複数種類の分断線が、この画線の長手方向に沿つてそれそれ異なる間隔を有するように複数配置されたものに置き換えるステツプと、

9 . 前記第 2の画線を、通常の可視光下において反射光の波長が 4 0 0〜7 0 O nmの範囲にあるィンキで印刷するステップをさらに備えることを特徴とする請求項 7又は 8記載の真偽判別可能な印刷物の作成方法。

1 0 . 真偽判別可能な印刷物の作成装置において、

前記画像データを用いて、前記第 2の領域に含まれる前記画線を、この画線の長手方向と直交する方向に延びる分断線が、この画線の長手方向に沿って所定間隔を有するように複数配置されたものに置き換える演算部と、

を備えることを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作成装置。

1 1 . 真偽判別可能な印刷物の作成装置において、

前記画像データを用いて、前記第 2の領域に含まれる前記画線を、この画線の長手方向と直交する方向に延びる複数種類の分断線が、この画線の長手方向に沿つてそれそれ異なる間隔を有するように複数配置されたものに置き換える演算部と、

1 2 . 印刷物の真偽を判別する方法において、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、

前記第 1の画線は実線であり、

前記第 2の画線は、この第 2の画線の長手方向と直交する方向に延びる分断線が、前記第 2の画線の長手方向に沿って所定間隔を有するように複数配置されており、前記印刷物の画像デ一夕を作成するステップと、

前記画像デ一夕にフーリエ変換を行ってフーリエ変換パターンを作成するステヅプと、

前記フーリエ変換パターンにおいて、前記第 1の領域に相当するパターンにおける前記第 1の画線の間隔と、前記第 2の領域に相当するパターンにおける前記第 2の画線の間隔との相関に基づいて、前記印刷物の真偽判別を行うことを特徴とする印刷物の真偽判別方法。

1 3 . 印刷物の真偽を判別する方法において、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、

前記第 1の画線は実線であり、

前記印刷物の画像データを作成するステップと、

前記画像データにフーリエ変換を行ってフーリエ変換パターンを作成するステヅプと、

前記フーリエ変換パターンにおいて、前記第 2の領域に相当するパターンにおける前記複数種類の分断線のそれそれの間隔の相関に基づいて、前記印刷物の真偽判別を行うことを特徴とする印刷物の真偽判別方法。

1 4 . 印刷物の真偽を判別する方法において、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記印刷物の画像デ一夕を入力する入力部と、

前記画像デ一夕にフ一リェ変換を行つてフーリェ変換パ夕一ンを作成し、得られた前記フーリエ変換パターンにおいて、前記第 1の領域に相当するパターンにおける前記第 1の画線の間隔と、前記第 2の領域に相当するパターンにおける前記第 2の画線の間隔との相関に基づいて、前記印刷物の真偽判別を行う演算部と、を備えることを特徴とする印刷物の真偽判別装置。

1 5 . 印刷物の真偽を判別する方法において、

前記第 1の領域は複数の第 1の画線を有し、

前記第 2の領域は複数の第 2の画線を有し、

前記第 1の画線は実線であり、

前記印刷物の画像データを入力する入力部と、

前記画像デ一夕にフーリエ変換を行ってフーリェ変換パ夕ーンを作成し、得られた前記フーリエ変換パターンにおいて、前記第 2の領域に相当するパターンにおける前記複数種類の分断線のそれそれの間隔の相関に基づいて、前記印刷物の真偽判別を行う演算部と、

を備えることを特徴とする印刷物の真偽判別装置。

1 6 . 複数の画線を含む線画を有する真偽判別可能な印刷物であって、前記画線は、複数のユニットを備え、前記複数のュニットは、前記画線の長手方向に沿って所定の長さを持って配置されており、

前記各々のユニット毎に、前記複数の分断線がなす間隔は、埋め込むべき情報に対応して設定されていることを特徴とする真偽判別可能な印刷物。

1 7 . 前記各々のュニット内において、前記長手方向に沿う一方の端部に始端分断線、他方の端部に終端分断線、前記始端分断線と前記終端分断線との間に複数の情報分断線がそれそれ配置され、

前記複数の情報分断線がなす間隔が、前記埋め込むベき情報に対応して設定されており、

前記始端分断線は、当該ュニットと前記一方の端部において隣接する他のュニットにおける終端分断線と共通であり、

前記終端分断線は、当該ュニッ卜と前記他方の端部において隣接するさらに他のュニットにおける始端分断線と共通であることを特徴とする請求項 1 6記載の真偽判別可能な印刷物。

1 8 . 複数の画線を含む線画を有する真偽判別可能な印刷物の作成方法であつて、

前記画線を、複数のュニットが連続的に配置されたュニット画線として構成するように、前記複数のユニットを、前記画線の長手方向に沿って所定の長さを有するように配置し、

前記各々のユニット毎に、前記複数の分断線がなす間隔を、埋め込むべき情報に対応して設定することを特徴とする真偽判別可能な印刷物の作成方法。

1 9 . 前記各々のュニット内において、前記長手方向に沿う一方の端部に始端分断線、他方の端部に終端分断線、前記始端分断線と前記終端分断線との間に複数の情報分断線をそれそれ配置し、

前記複数の情報分断線がなす間隔を、前記埋め込むべき情報に対応して設定し、前記始端分断線を、当該ュニッ卜と前記一方の端部において隣接する他のュニットにおける終端分断線と共有させ、

前記終端分断線を、当該ュニ、ソトと前記他方の端部において隣接するさらに他のュニットにおける始端分断線と共有させることを特徴とする請求項 1 8記載の真偽判別可能な印刷物の作成方法。

2 0 . 複数の画線を含む線画を有する印刷物の真偽判別方法であって、前記画線は、複数のュニットを備え、

前記印刷物の線画を読み取って画像デ一夕を取得し、

前記画像データにフーリエ変換を行ってフーリエ変換パターンを生成し、生成された前記フーリエ変換パターンを用いて、前記埋め込まれた情報を識別することによって、前記印刷物の真偽判別を行うことを特徴とする印刷物の真偽判別方法。

2 1 . 生成された前記フーリエ変換パターンを用いて前記埋め込まれた情報を識別する際に、生成された前記フーリエ変換パターンと真正な印刷物のフーリェ変換パターンとを比較することで、前記印刷物の真偽判別を行うことを特徴とする請求項 2 0記載の印刷物の真偽判別方法。

2 2 . 生成された前記フーリエ変換パターンを用いて前記埋め込まれた情報を識別する際に、生成された前記フーリエ変換パターンに含まれるピークのうち所定位置のピークの濃度分布曲線と、真正な印刷物のフーリエ変換パターンに含まれるピークのうち前記所定位置のピークの濃度分布曲線とを比較することで、前記印刷物の真偽判別を行うことを特徴とする請求項 2 0記載の印刷物の真偽判別方法。

2 3 . 生成された前記フーリエ変換パターンを用いて前記埋め込まれた情報を識別する際に、生成された前記フーリエ変換パターンに含まれるピークのうち所定位置のピークにおける強度と、真正な印刷物のフーリエ変換パターンに含まれるビークのうち所定位置のピークにおける強度とを比較することで、前記印刷物の真偽判別を行うことを特徴とする請求項 2 0記載の印刷物の真偽判別方法。