JPWO2019039179A1 - エクソソームの単離方法およびエクソソームの単離キット - Google Patents

エクソソームの単離方法およびエクソソームの単離キット Download PDF

Info

Publication number
JPWO2019039179A1
JPWO2019039179A1 JP2019538014A JP2019538014A JPWO2019039179A1 JP WO2019039179 A1 JPWO2019039179 A1 JP WO2019039179A1 JP 2019538014 A JP2019538014 A JP 2019538014A JP 2019538014 A JP2019538014 A JP 2019538014A JP WO2019039179 A1 JPWO2019039179 A1 JP WO2019039179A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
exosomes
present
peptide
complex
carrier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019538014A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6712383B2 (ja
Inventor
章夫 黒田
章夫 黒田
丈典 石田
丈典 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiroshima University NUC
Original Assignee
Hiroshima University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiroshima University NUC filed Critical Hiroshima University NUC
Publication of JPWO2019039179A1 publication Critical patent/JPWO2019039179A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6712383B2 publication Critical patent/JP6712383B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/543Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals
    • G01N33/54313Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals the carrier being characterised by its particulate form
    • G01N33/54326Magnetic particles
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K17/00Carrier-bound or immobilised peptides; Preparation thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K7/00Peptides having 5 to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • C07K7/04Linear peptides containing only normal peptide links
    • C07K7/06Linear peptides containing only normal peptide links having 5 to 11 amino acids

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

エクソソームを含む試料から簡便にエクソソームを単離するための手段を提供する。本発明は、担体に担持されたリジンを含む特定のペプチドと、試料中のエクソソームとを結合させて複合体を形成させる複合体形成工程、および前記複合体に金属陽イオンを含む解離バッファーを接触させることによって複合体からエクソソームを解離させる解離工程を含む。

Description

本発明は、エクソソームの単離方法およびエクソソームの単離キットに関する。
エクソソームは、細胞から分泌される直径20〜120nmの膜で覆われた粒子である。エクソソームは、血液、唾液、尿、脳脊髄液等の広範な生体液中に存在しており、その内部には、タンパク質、mRNA、microRNA(以下、「miRNA」という。)等の様々な物質が含まれていることが知られている。最近では、エクソソームは、その内部に包含する物質を介した細胞間の情報伝達機能を有することが示唆されており、各種疾患や生命現象のバイオマーカーとして注目されている。
エクソソームに内包される物質の中でも、特に、miRNAは、疾患のバイオマーカーとして注目されている。miRNAは、エクソソームに内包されることにより、血液中でも長期間安定に存在している。現在までに700種余りのmiRNAが確認されており、これらのうちの比較的少数のmiRNAの発現パターンを解析することによって、例えば、腫瘍が発生している臓器を高精度に特定することができる。このように、生体内において極めて重要な情報を有するmiRNAを内包したエクソソームを単離する技術は、医療等の分野において極めて重要である。
エクソソームを単離または回収する技術としては、これまでにいくつかの方法が報告されており、例えば、(1)超遠心法、(2)遠心によるペレットダウン、(3)粒子のサイズによる分画、(4)免疫沈降法等が知られている(非特許文献1)。
(1)超遠心法は、試料を超遠心する(具体的には、100000×gで70分間の遠心操作を2〜3回行なう)ことによって、エクソソームを沈殿させて単離したり(沈降速度分画法)、ショ糖等の密度勾配溶液を用いることで、大きさまたは密度に基づいてより厳密に分画したりする技術(密度勾配分画法)であり、特に前者は、最も一般的に利用されている標準的な方法である。
(2)遠心によるペレットダウンは、試料に試薬(ポリマー)を添加し、遠心機を用いてエクソソームを沈殿させることにより濃縮する技術である。
(3)粒子のサイズによる分画は、試料を複数(通常、2〜3つ)のフィルターに通して、エクソソームを捕捉する技術であり、操作が容易であるという利点を有する。例えば、2つのフィルターが使用される場合、1つ目の約200nmのポアサイズのトップフィルターを用いて大きな粒子を取り除き、2つ目の約20nmのポアサイズのボトムフィルターを用いてエクソソームを捕捉することができる。
(4)免疫沈降法は、特定のタンパク質が表面に存在するエクソソームを、当該タンパク質に対する抗体が固定化された磁性ビーズを用いて回収する技術である。免疫沈降法では、特定のエクソソーム抗原(例えば、CD9、CD63、CD81等)が表面に存在するエクソソームを捕捉することができ、また、使用する抗体を変えることで、種々のエクソソーム膜表面抗原を標的とした免疫沈降が行なえるという利点を有する。
落谷孝広編(2014)「エクソソーム解析マスターレッスン(miRNA研究からがん診断まで応用∞!研究戦略とプロトコールが本と動画でよくわかる、実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ)」羊土社
しかしながら、上記した従来のエクソソームの単離または回収技術は、以下の問題点を有している。
(1)超遠心法は、当該方法で使用される超遠心機が高価であり、また遠心操作に時間がかかる。また、超遠心法は、多くの試料を処理するには不向きであり、さらには、血清試料を用いた際にアルブミン、IgG、プロテオソーム等のタンパク質が精製物中に混入する等の欠点を有している。
(2)遠心によるペレットダウンは、あくまでも濃縮方法であるため、用いる試料によっては、著しく多くの夾雑タンパク質が混入することがある。また、培養上清、血清、尿等の試料ごとに試薬の組成を最適化することが必要であり、操作が煩雑である。
(3)粒子のサイズによる分画は、夾雑物が多い試料ではフィルターが目詰まりする可能性がある。また、エクソソームを溶解する必要があるため、解析対象は核酸のみとなるという問題点を有している。
(4)免疫沈降法は、ある特定の抗原分子を標的とする方法であるため、その抗原分子が発現しているエクソソームは捕捉できるが、発現していないエクソソームは補足できないという問題を有している。すなわち、当該方法は、試料中の一部のエクソソームしか捕捉できないという問題点を有している。さらには、回収したエクソソームと抗体との複合体におけるエクソソームと抗体との結合が強固である為、エクソソームと抗体とを解離させてインタクトな状態のエクソソームを単離するためには、タンパク質の変性を伴うような厳しい条件で解離させる必要がある。このためインタクトな状態でのエクソソームの単離は困難である。
したがって、上記の問題点を克服できるような新たなエクソソームの単離技術の開発が求められている。本発明の目的は、簡便に、かつインタクトな状態で(またはインタクトに近い状態で)エクソソームを単離できる、エクソソームの単離方法およびエクソソームの単離キットを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のペプチドを用いること、および特定の解離バッファーを用いることによって、簡便に、かつインタクトな状態で(またはインタクトに近い状態で)エクソソームを単離することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一実施形態は、以下のような構成である。
エクソソームを含む試料からエクソソームを単離する、エクソソームの単離方法であって、前記試料と、互いに近接した4つ以上のリジンを含むペプチドと、前記ペプチドを担持可能な担体とを接触させるか、または、前記試料と、前記担体に担持された前記ペプチドとを接触させることによって、前記エクソソームと前記担体に担持された前記ペプチドとが結合してなる複合体を形成させる複合体形成工程、および、前記複合体形成工程によって得られた前記複合体と、金属陽イオンを含む解離バッファーとを接触させて、前記複合体から前記エクソソームを解離させる解離工程を含むことを特徴とする、エクソソームの単離方法。
本発明の一実施形態によれば、簡便にかつインタクトな状態で(またはインタクトに近い状態で)エクソソームを単離することが可能となるという効果を奏する。
図1は、試験例1の実験操作手順の概略を示す図である。 図2は、試験例2の実験操作手順の概略を示す図である。 図3は、試験例3における、1価の金属陽イオンを含む解離バッファーを使用した場合の実験操作手順の概略を示す図である。 図4は、試験例3における、2価の金属陽イオンを含む解離バッファーを使用した場合の実験操作手順の概略を示す図である。 図5は、ペプチドが担持された磁性ビーズ(ポリLリジン−シリカ磁性ビーズ)の作製の操作手順の概略を示す図である。 図6は、試験例4の実験操作手順の概略を示す図である。 図7は、試験例5の実験操作手順の概略を示す図である。 図8は、試験例6の実験操作手順の概略を示す図であり、図8の(a)は、試験例6における、血清に含まれるタンパク質の濃度およびエクソソーム量の測定の、実験操作手順の概略を示す図であり、図8の(b)は、試験例6における、解離バッファーに含まれるタンパク質の濃度およびエクソソーム量の測定の実験操作手順の概略を示す図である。 図9は、単離されたエクソソームの電子顕微鏡観察の結果を示す図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。本発明はまた、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
本明細書中では、用語「ペプチド」は、「ポリペプチド」と交換可能に使用され、ペプチド結合によってアミノ酸2個以上が結合した化合物を意味する。本明細書中では、アミノ酸の表記は、適宜IUPACおよびIUBの定める1文字表記または3文字表記を使用する。
〔1.エクソソームの単離方法〕
本発明の一実施形態に係るエクソソームの単離方法(以下、適宜「本発明の単離方法」という。)は、エクソソームを含む試料からエクソソームを単離する、エクソソームの単離方法であって、
前記試料と、互いに近接した4つ以上のリジンを含むペプチドと、前記ペプチドを担持可能な担体とを接触させるか、または、前記試料と、前記担体に担持された前記ペプチドとを接触させることによって、前記エクソソームと前記担体に担持された前記ペプチドとが結合してなる複合体を形成させる複合体形成工程、および、
前記複合体形成工程によって得られた前記複合体と、金属陽イオンを含む解離バッファーとを接触させて、前記複合体から前記エクソソームを解離させる解離工程を含んでいる。
本発明の一実施形態に係るエクソソームの単離方法は、上記構成とすることから、下記(1)〜(3)の効果を奏する。
(1)超遠心機等を使用する必要がないため、短時間に、かつ、簡便に、エクソソームを単離できる。
(2)リジンがエクソソームの膜に結合することを利用しているため、エクソソームにおける抗原分子の発現状態に関わらず、広くエクソソームを捕捉し、単離することができる。
(3)複合体から、エクソソームの膜構造および膜に存在するタンパク質の構造に影響を与えることが少ない、金属陽イオンを含む解離バッファーを用いたマイルドな(温和な)条件でエクソソームを解離させているため、エクソソームを傷つけることなく(換言すればインタクトな状態、またはインタクトに近い状態で)、エクソソームを単離することができる。
インタクトな状態(またはインタクトに近い状態)のエクソソームを単離することによって、例えば、(1)エクソソームの生理作用等の機能解析、および(2)バイオマーカー(エクソソーム由来のタンパク質、miRNA等の核酸)等に利用することが可能である。
また、エクソソームはがん、アルツハイマー病、心筋梗塞、脳梗塞、および感染症等、幅広い疾患の治療への応用が期待されている。そのため、インタクトな状態(またはインタクトに近い状態)のエクソソームを単離することによって、単離したエクソソームそのものを、(3)治療薬、および(4)ドラッグデリバリーシステムの運搬体、として利用できる。特に、上記(3)治療薬としてのエクソソームの利用には、(A)再生医療への補助的な利用、(B)免疫制御を目的とした利用、および(C)ワクチンとしての利用等が考えられている(参考文献:実験医学、2016年、34巻、p1390-1396:エクソソームが築く次世代医療)。
上記(A)〜(C)について具体例を挙げて説明する。間葉系幹細胞(mesenchymal stem/stromal cell;MSC)由来のエクソソームは、最も研究されているエクソソームである。MSC由来のエクソソームは、細胞分裂の促進作用、抗アポトーシス作用、および抗炎症作用を持つことが知られている。これにより、損傷組織の周囲の組織の2次的な損傷を抑制することが可能であり、損傷組織の回復を促進することができる。そのため、皮膚および肝臓の再生、並びに心筋梗塞からの回復等の多くの疾患への応用が期待されている((A)再生医療への補助的な利用)。また、MSC由来のエクソソームには、複合的な免疫制御作用があり、自己免疫疾患の治療、および臓器移植後の免疫制御への応用が期待されている((B)免疫制御を目的とした利用)。
また、抗原提示細胞にがん抗原ペプチドを反応させた後に回収した、抗原提示細胞から分泌されたエクソソームには、抗原ペプチドが提示されており、CD4およびCD8T細胞を活性化する作用がある。また、がん細胞由来のエクソソームを直接抗原として使用することによって、当該エクソソームをワクチンとして利用することも考えられている((C)ワクチンとしての利用)。
以下では、本発明の一実施形態に係るエクソソームの単離方法に用いられる材料についてまずは説明し、続いて、エクソソームの単離方法の各工程について説明する。
〔1−1.材料〕
(試料)
本発明の単離方法において、「エクソソームを含む試料」(本明細書中では、単に試料とも称する)とはエクソソームを含む混合物であれば、その他の構成は特に限定されず、例えば、エクソソームを含む生物学的試料が挙げられる。
本明細書中では、「生物学的試料」とは、生物の体内から採取された検体を意味する。生物学的試料としては、例えば、血液、血漿、血清、唾液、尿、涙液、汗、母乳、羊水、脳脊髄液(髄液)、骨髄液、胸水、腹水、関節液、眼房水、硝子体液等が含まれるがこれらに限定されない。生物学的試料の選択は、目的に応じて、当業者により適宜設定され得る。例えば、採取の容易さの観点からは、血液、血漿、血清、唾液、尿等が好ましく用いられる。
本発明の一実施形態では、生物学的試料の由来は、エクソソームを保有する生物種由来であれば別段限定されない。生物学的試料の由来となる生物種としては、例えば哺乳類が好ましい。哺乳類の例としては、マウス(Mus musculus)、ウシ(Bos Taurus)、ヒト(Homo sapiens)等が挙げられる。
(ペプチド)
本発明の単離方法において利用するペプチド(以下、適宜「本発明のペプチド」という。)は、互いに近接した4つ以上のリジン(「リシン」ともいう。)を含むペプチドであって、試料中のエクソソームと結合することができる。
本発明のペプチドの説明における「互いに近接した」とは、本発明のペプチドを構成するリジン同士が互いに隣接している(換言すれば、連続している)か、または互いのリジンの間に、1〜5個(より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1個)のリジン以外のアミノ酸を含んでいることを意味する。
本発明のペプチドが、互いに近接した4つ以上のリジンを含むことによって、本発明のペプチドはエクソソームと結合できる。本発明は特定の理論に制限されるものではないが、リジンは正の電荷を有しており、エクソソームの膜は細胞膜と同様に負に帯電しているため、本発明のペプチドが互いに近接した4つ以上のリジンを含むことによって、本発明のペプチドはエクソソームと結合できると発明者らは考えている。
本発明のペプチドは、互いに近接した4つ以上のリジンを含んでいればエクソソームを単離できる程度の結合強度を持ってエクソソームに結合することができるが、さらに互いに近接した5つ以上のリジンを含むことが好ましく、互いに近接した6つ以上のリジンを含むことがより好ましく、互いに近接した7つ以上のリジンを含むことがさらに好ましく、互いに近接した8つ以上のリジンを含むことが特に好ましい。本発明のペプチドが上記構成を有することによって、当該ペプチドは、エクソソームとより結合しやすくなるという利点を有する。
本発明のペプチドは、互いに近接した4つ以上のリジンを含む限り、その他の構成は特に限定されず、リジンのみからなるペプチドであってもよく、またリジン以外のアミノ酸を含むペプチドであってもよい。さらには、本発明のペプチドは糖鎖またはイソプレノイド基等のペプチド以外の構造をさらに含む複合ペプチドであってもよい。本発明のペプチドに含まれるアミノ酸は修飾されていてもよい。また本発明のペプチドに含まれるアミノ酸はL型であっても、D型であってもよい。
本発明のペプチドは、当該分野において公知の任意の手法に従って容易に作製され得、例えば、ペプチドの発現ベクターが導入された形質転換体によって発現されても、化学合成されてもよい。すなわち、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドもまた、本発明の範囲内である。化学合成法としては、固相法または液相法を挙げることができる。固相法において、例えば、市販の各種ペプチド合成装置(Model MultiPep RS(Intavis AG)等)を利用することができる。また市販されているポリリジンを本発明のペプチドとして利用可能である。市販されているポリリジンは、特に限定されるものではないはないが、後述する実施例において利用したポリ−L−リジン(分子量4,000−15,000、シグマ社製)、およびポリ−L−リジン溶液(分子量150,000−300,000、シグマ社製)等が挙げられる。
本発明のペプチドは、最小で4つのリジンからなり得るため、本発明のペプチドの分子量の下限は530.7[=(146.19×4)−(18.02×3)]であるといえる。本発明のペプチドの分子量の上限は特に限定されるものではないが、溶解性および粘度等の操作性の観点からは300,000程度が上限であるといえる。
本発明のペプチドは、単一の分子量を有するペプチドからなるものであっても、それぞれ異なった分子量を有するペプチドの混合物からなるものであってもよい。
(担体)
本発明の単離方法において利用する担体(以下適宜「本発明の担体」という。)は、本発明のペプチドを担持可能な担体を意味する。本発明の担体は、エクソソームに結合した本発明のペプチドと結合しエクソソーム−本発明のペプチド−本発明の担体の順で結合した複合体を形成し得る。
本発明の単離方法では、担体を用いることによって、エクソソームを含む複合体を効率的かつ簡便に単離することが可能となる。
担体は、本発明のペプチドを直接的または間接的に担持(保持)できる構造物であれば、その他の構成は特に限定されない。本発明の担体としては、担体に結合する本発明のペプチドの機能を弱めない支持体であることが好ましく、例えば、ガラス、ナイロンメンブレン、半導体ウェハー、ラテックス粒子、セルロース粒子、マイクロビーズ、シリカビーズ、磁性ビーズ等が挙げられる。本発明の担体としては、エクソソームを含む複合体の回収およびエクソソームの単離を容易に行なうことができるという点で、特に磁性ビーズであることが好ましい。磁性ビーズはタンパク質、DNA、細胞等の分離精製において広く使用されており、当業者であれば十分に理解し得る担体である。
(本発明のペプチドと本発明の担体との結合方法)
上述したように、本発明のペプチドと本発明の担体とは結合することによって、本発明のペプチドを本発明の担体が担持することが可能である。
本発明の一実施形態においてペプチドと担体との結合方法は、別段限定されず、適宜、周知の方法を用いることができる。また、ペプチドと担体との結合は直接的であっても間接的であってもよい。例えば、ビオチンを結合させた本発明のペプチドと、ストレプトアビジンを結合させた本発明の担体とを用い、ビオチンとストレプトアビジンとの結合を介して、ペプチドと担体との間接的な結合を形成することが可能である。ストレプトアビジンは4量体を形成しているので、1つの「担体に結合したストレプトアビジン」に対して4つの「ペプチドに結合したビオチン」が結合することができる。つまり本発明の担体がストレプトアビジンを1つ有している場合、本発明の担体1つに対して本発明のペプチドが4つ結合していることになる。それゆえ、本発明の担体は、4つの本発明のペプチドを介して1つ以上のエクソソームに結合することができる。そのため、本発明の担体とエクソソームとの結合力が極めて高くなるか、または、本発明の担体は複数のエクソソームと結合できる。よって、上述の結合方法を用いることにより、極めて高収率にてエクソソームを単離することができる。
ペプチドにビオチンを結合する方法、換言すればビオチンが結合したペプチド(本明細書中では、適宜「ビオチン標識ペプチド」ともいう。)を作製する方法は特に限定されない。例えば、ビオチンとペプチドとを直接結合させてもよく、間接的に結合させてもよい。ペプチドの構造およびそれに基づく機能をできるだけ正常に維持するという観点からは、ビオチンとペプチドとを間接的に結合させることが好ましい。ビオチンとペプチドとを間接的に結合させる場合には、例えば、本発明のペプチドに任意のリンカーを連結した後に、ペプチドと連結したリンカーに対してビオチンを結合させればよい。ペプチドの構造およびそれに基づく機能をできるだけ正常に維持するという観点からは、ペプチドはそのアミノ末端(N末端)および/またはカルボキシ末端(C末端)に、ビオチンと結合するためのリンカーを有することが好ましい。
リンカーは、ポリペプチドからなるリンカー(本明細書中では、「ペプチドリンカー」ともいう。)であってもよいし、ビオチンとペプチドとを連結することが可能な周知の架橋剤またはスペーサーアームであってもよい。
ペプチドリンカーの場合、リンカーの長さおよびそれを構成するアミノ酸の種類は、当業者により適宜設定され得る。ペプチドリンカーの長さは、別段限定されるものではなく、通常、1〜20個、好ましくは、1〜10個(例えば、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個)のアミノ酸からなるリンカーが使用される。また、ペプチドリンカーに用いられるアミノ酸の種類も、別段限定されるものではないが、例えば、グリシン(G)、セリン(S)、スレオニン(T)等が使用され得る。とりわけ、GGS、GGGS(配列番号1)、GGGGS(配列番号2)等のペプチドリンカー、および、これらが複数回繰り返されたペプチドリンカー(例えば、GGGSGGGS(配列番号3)、GGGSGGGSGGGS(配列番号4)等)が好ましく用いられる。
ビオチンとペプチドとを連結することが可能な周知の架橋剤としては、例えば、N−スクシンイミジルアミド、N−マレインイミド、イソチオシアネート、ブロモアセトアミド等が挙げられるがこれらに限定されない。
スペーサーアームとしては、周知のものであれば別段限定されないが、例えば、炭素鎖を含むスペーサーアームが用いられ、より好ましくは、炭素数6個の炭素鎖を有するhexanonateが用いられる。
担体と結合したストレプトアビジンを作製する方法は特に限定されない。例えば、担体とストレプトアビジンとを直接結合させてもよく、間接的に結合させてもよい。適宜、公知の手法に従って、担体と結合したストレプトアビジンを作製すればよい。なお、ストレプトアビジンを結合させた磁性ビーズは市販されており、例えばDynabeads(登録商標、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)等が知られている。
担体と結合するペプチドの種類は、一種類であってもよいし、複数種類の組み合わせであってもよい。複数種類のペプチドが組み合わせて用いられる場合、その組み合わせは別段限定されない。
(解離バッファー)
本発明の単離方法では、後述する解離工程において、複合体と金属陽イオンを含む解離バッファー(以下、適宜「本発明の解離バッファー」という。)とを接触させることによって、複合体からエクソソームを解離させ、エクソソームを単離する。本発明の解離バッファーは界面活性剤および/またはタンパク質変性剤等を含むことなく、マイルドな(温和な)条件でエクソソームを複合体から解離させることができるため、エクソソームをインタクトな状態(インタクトに近い状態)で単離することができる。このようなマイルドな解離バッファーで、本発明のペプチドとエクソソームとの結合を解離させることができるということを見出したのは本発明者らが初めてであり、この新規知見を知らない当業者は本発明に容易に想到することはできない。またエクソソームをインタクトな状態(インタクトに近い状態)で簡便に単離することができるという効果は、本発明の顕著かつ有利な効果である。
本発明の解離バッファーに含まれる金属陽イオンとしては、特に限定されず、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、銀イオン、および銅(I)イオン等の1価の金属陽イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、ニッケルイオン、バリウムイオン、銅(II)イオン、鉄(II)イオン、スズ(II)イオン、コバルト(II)イオン、および鉛(II)イオン等の2価の金属陽イオン、ならびにアルミニウムイオン、および鉄(III)イオン等の3価の金属陽イオン、等が挙げられる。本発明の解離バッファーに含まれる金属陽イオンとしては、これら金属陽イオンの中でも、水溶性が高いことから、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、亜鉛イオン、およびニッケルイオンが好ましい。さらに、複合体からエクソソームを十分に解離させることができることから、本発明の解離バッファーは、上述した金属陽イオンの中でもナトリウムイオン、カリウムイオン、もしくはマグネシウムイオンを、単独でまたは組み合わせて含むことが好ましい。
本発明の目的は、簡便に、かつインタクトな状態で(またはインタクトに近い状態で)エクソソームを単離することである。よって、本発明の単離方法において「インタクトな状態で(またはインタクトに近い状態で)エクソソームを単離する」とは、エクソソームを傷つけることなく(ほぼ傷つけることなく)、試料中のエクソソームを、試料中のエクソソーム以外の物質(例えばタンパク質等)から分離し、単離することを意味する。換言すれば、本発明の単離方法において「インタクトな状態で(またはインタクトに近い状態で)エクソソームを単離する」とは、エクソソームの膜構造(具体的には脂質二重膜構造)を保った状態(ほぼ保った状態)で、および、膜に存在するタンパク質の構造を保った状態(ほぼ保った状態)で、試料中のエクソソームを、試料中のエクソソーム以外の物質と分離し、単離することを意味する。
解離バッファーは、エクソソームの膜構造および膜に存在するタンパク質の構造に影響を与えない範囲において、金属陽イオン以外の物質を含んでいてもよい。
解離バッファーにおける金属陽イオンの濃度は、複合体からエクソソームを解離させることが可能であり、かつ、エクソソームの膜構造および膜に存在するタンパク質の構造に影響を与えない限り、特に限定されない。つまり、使用する本発明のペプチドとエクソソームとの結合強度、および金属陽イオンの種類(価数)等に応じて最適な陽イオンの濃度は変わり得る為、適宜最適な濃度を検討の上、決定すればよい。なお、本発明の解離バッファーにおける金属陽イオンの濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、0.01M〜5Mであることが好ましく、0.05M〜2Mであることがより好ましく、0.1M〜1Mであることがさらに好ましく、0.3M〜0.7Mであることが特に好ましい。
また、解離バッファーのpHは適宜設定され得る。解離バッファーのpHは、5〜10であることが好ましく、6〜9であることがより好ましく、7〜8であることがさらに好ましく、7.3〜7.5であることが特に好ましい。解離バッファーのpHが上記範囲であれば、エクソソームの膜構造および膜に存在するタンパク質の構造に影響を与えないため好ましい。
〔1−2.工程〕
(複合体形成工程)
本発明の単離方法に含まれる複合体形成工程(以下、適宜「本発明の複合体形成工程」という。)は、エクソソームを含む試料と本発明のペプチドと、本発明の担体とを接触させるか、または、前記試料と、本発明の担体に担持された本発明のペプチドとを接触させることによって、前記エクソソームと前記担体に担持された前記ペプチドとが結合してなる複合体(エクソソーム−本発明のペプチド−本発明の担体の順で結合した複合体。以下、適宜「本発明の複合体」という。)を形成させる複合体形成工程である。つまり、本発明の複合体形成工程では、本発明のペプチドが本発明の担体に担持されていない状態で本発明のペプチドと本発明の担体と試料とを接触させた後にエクソソーム−本発明のペプチド−本発明の担体の順で結合した複合体を形成させてもよいし、本発明の担体に本発明のペプチドが既に担持させた状態で当該ペプチドと試料とを接触させて本発明の複合体を形成してもよいということである。ただし、より効率的に本発明の複合体を形成するという観点からは後者の態様がより好ましいといえる。
エクソソームを含む試料と本発明のペプチドと本発明の担体とを接触させる方法としては、試料中のエクソソームと本発明のペプチドと本発明の担体とが、それぞれ結合し、本発明の複合体を形成できるような条件下で行なわれるものであれば、その他の方法は限定されない。例えば、試料中に、本発明のペプチドと本発明の担体とを添加し、混合する方法が挙げられる。試料、本発明のペプチド、および本発明の担体を接触させる際の添加および混合する順序は特に限定されない。例えば、(1)本発明のペプチドおよび本発明の担体を同時に、試料に添加し、混合してもよく、(2)試料に本発明のペプチドを添加し、混合した後に、本発明の担体を添加し、混合してもよく、(3)試料に本発明の担体を添加し、混合した後に、本発明のペプチドを添加し、混合してもよい。ただし、本発明のペプチドがエクソソームに結合し、本発明のペプチドと本発明の担体とが結合することから上記(2)の手順が好ましいかもしれない。上述した方法による、試料とペプチドと担体との接触によって、エクソソームとペプチドと担体とを含む本発明の複合体が形成され得る。
また、試料と、本発明の担体に担持された本発明のペプチドとを接触させる方法としては、試料中のエクソソームと本発明の担体に担持された本発明のペプチドとが結合し、本発明の複合体を形成できるような条件下で行なわれるものであれば、その他の方法は限定されない。例えば、試料中に本発明の担体に担持された本発明のペプチドを添加し、混合させる方法が挙げられる。
試料と本発明のペプチドと本発明の担体との接触時間、または、試料と本発明の担体に担持された本発明のペプチドとの接触時間は、本発明の複合体を形成するために十分な時間であれば限定されるものではなく、適宜最適な条件を検討の上、決定され得る。
また、エクソソームを含む試料と本発明のペプチドと本発明の担体との接触において、例えば柱状または円筒状の容器(カラム)に本発明の担体を充填することによって作製した、担体を含むカラム(本明細書中では、「担体カラム」という。)を用いることも可能である。担体カラムに試料を含む溶液およびペプチドを含む溶液を通液させて本発明の複合体を得る方法としては、試料中のエクソソームと本発明のペプチドと本発明の担体とが、それぞれ結合し、本発明の複合体を形成できるような条件下で行なわれるものであれば、その他の方法は限定されない。例えば、次の(1)〜(3)が挙げられる:(1)担体カラムに、本発明のペプチドを含む溶液を添加し、当該溶液を通液させることによって、本発明の担体に本発明のペプチドを結合させた後、担体カラムに試料を含む溶液を添加し、当該溶液を通液させることによって本発明の複合体を形成させる;(2)予め試料に本発明のペプチドを添加し、混合する等して、試料と本発明のペプチドとを接触させることによって、試料中のエクソソームとペプチドとが結合してなる複合体(エクソソーム−ペプチド複合体)を形成させ、その後、エクソソーム−ペプチド複合体を含む溶液を担体カラムに添加し、通液させることによって、本発明のペプチドと本発明の担体とが結合して本発明の複合体を形成させる;(3)担体カラムに試料を含む溶液および本発明のペプチドを含む溶液同時に添加し、それら溶液を通液させることによって、本発明の複合体を形成させる。
上記(1)〜(3)において、担体カラムと、ペプチドおよび/もしくは試料、または、エクソソーム−ペプチド複合体を含む試料、との接触時間は、試料中のエクソソームとペプチドと担体とが本発明の複合体を形成するために十分な時間であることが好ましい。上記時間は、担体カラムへの試料溶液(エクソソームを含む試料をおよび/もしくは本発明のペプチドを含む溶液、またはエクソソーム−ペプチド複合体を含む溶液)の通液速度、または、当該試料溶液を添加してから通液を開始するまでの時間等を調整することによって、適宜設定できる。
また、エクソソームを含む試料と本発明の担体に担持された本発明のペプチドとの接触において、例えば柱状または円筒状の容器(カラム)に本発明のペプチドが担持された本発明の担体を充填することによって調製したカラム(本明細書中では、「ペプチドカラム」という。)を用いることも可能である。当該ペプチドカラムに試料を含む溶液を通液させることによって、試料と本発明の担体に担持された本発明のペプチドとを接触させ、本発明の複合体を得ることが可能である。ペプチドカラムと試料との接触時間は、試料中のエクソソームと本発明の担体に担持された本発明のペプチドとが本発明の複合体を形成するために十分な時間であることが好ましい。上記時間は、試料を含む溶液の通液速度、または、当該溶液を添加してから通過を開始するまでの時間等を調整することによって、適宜設定できる。
前記担体カラムまたは前記ペプチドカラムに試料溶液を通液させるための物理的方法は従来公知の方法を用いることが可能である。例えば、以下(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)鉛直方向に載置された担体カラム(またはペプチドカラム)上に、前記試料溶液を添加し、重力によって担体カラム(またはペプチドカラム)内に前記試料溶液を通液させる方法。
(2)担体カラム(またはペプチドカラム)の一方に前記試料溶液を添加し、試料溶液を添加した方向から加圧するか、または、試料溶液を添加した方向とは逆の方向から吸引することによって、担体カラム(またはペプチドカラム)内に前記試料溶液を通液させる方法。
(3)担体カラム(またはペプチドカラム)の一方に試料溶液を添加した後、当該担体カラム(またはペプチドカラム)を遠心チューブ内に装填し、当該遠心チューブを遠心分離することによって、担体カラム(またはペプチドカラム)内に前記試料溶液を通液させる方法。なお、上記(3)の方法は、いわゆる従来公知のスピンカラムを用いた方法である。
(解離工程)
本発明の単離方法に含まれる解離工程(以下、適宜「本発明の解離工程」という。)は、前記複合体形成工程によって得られた本発明の複合体と、金属陽イオンを含む本発明の解離バッファーとを接触させて、本発明の複合体からエクソソームを解離させる工程である。
本発明の複合体と本発明の解離バッファーとを接触させる方法としては、本発明の複合体からエクソソームを解離させるような条件下で行なわれるものであれば、その他の方法は限定されない。例えば、本発明の複合体を含む容器に本発明の解離バッファーを添加し、混合させる方法が挙げられる。本発明の複合体と本発明の解離バッファーとの接触時間は、複合体からエクソソームが解離するために十分な時間であれば特に限定されるものではない。本発明の複合体と本発明の解離バッファーとの接触によって、エクソソームは本発明の複合体から解離され、当該解離バッファーへ移動する。そして、当該解離バッファーと本発明の担体とを分離し当該解離バッファーを単離することにより、エクソソームを単離することができる。
本発明の解離工程において、本発明のペプチドは、本発明の担体に結合されたままでいてもよく、本発明の担体から解離されていてもよい。また、上記分離の後、単離された解離バッファー中に本発明のペプチドが含まれていてもよい。エクソソームをより純度高く単離する観点から、本発明の解離工程において本発明のペプチドは本発明の担体に結合されたままでいることが好ましく、上記分離の後、単離された解離バッファー中に本発明のペプチドが含まれていないことが好ましい。
また、複合体形成工程においてカラムが使用された場合には、複合体形成工程において本発明の複合体が形成されたカラムに、本発明の解離バッファーを通液させることによって、本発明の複合体と本発明の解離バッファーとを接触させることが可能である。カラムへ本発明の解離バッファーを通液させるための物理的方法としては、(複合体形成工程)の項に記載した(1)〜(3)の方法が挙げられる。カラムと本発明の解離バッファーとを接触させた場合には、エクソソームは複合体から解離され当該解離バッファーへ移動する。従って、カラム通液後の解離バッファーを単離することによって、エクソソームを単離することができる。
本発明の単離方法は、上述した複合体形成工程および解離工程以外の工程が含まれていてもよい。その他の工程としては、例えば洗浄工程、および回収工程が挙げられる。
(回収工程)
回収工程は、複合体形成工程と解離工程との間に設けられ、複合体形成工程によって得られた本発明の複合体を回収する工程である。回収工程は、複合体形成工程および担体等に応じて従来公知の方法が適宜採用され得る。
担体が、〔1−1.材料〕の(担体)の項で説明したような構造物である場合には、遠心分離によって本発明の複合体含む担体を回収することができる。例えば、500g〜4000gの条件下で遠心を行なうことによって、本発明の複合体を含む担体を回収することが可能である。
また担体が、磁性ビーズである場合には、従来公知のマグネティックスタンド等の磁性体を用いて外部から磁力を与えることによって、担体を容易に回収することができる。担体が磁性ビーズであり、磁性体を用いて回収する場合には、遠心の方法と比較して、以下の(1)および(2)の利点を有する:(1)磁性ビーズである担体は、磁性体に引き寄せられているため、上清をほぼ完全に取り除くことが可能であり、得られるエクソソームの純度が高くなること;(2)上清を取り除く際に、磁性ビーズを一緒に取り除いてしまう虞が小さくなり、得られるエクソソームの損失を防ぐことができること(エクソソームの単離率を向上することができる)。
なお、本発明の複合体形成工程において、担体カラムまたはペプチドカラムが用いられる場合には、本発明の複合体を含む担体はカラム内に留まることとなる。このため、上述の回収工程は必要とされない。
(洗浄工程)
本発明の単離方法には、解離工程の前に、さらに洗浄工程が含まれていることが好ましい。
洗浄工程は、回収された本発明の複合体、または、カラム中の本発明の複合体を、適当な洗浄液を用いて、適当な回数洗浄する工程である。洗浄工程は、当該複合体が解離しない条件下で行なわれるものであれば、使用される洗浄液の種類および洗浄回数等は特に限定されない。
洗浄工程で使用される洗浄液としては、例えば、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline、PBS)が挙げられる。
本発明の一実施形態が回収工程を含む場合には、洗浄工程としては、以下のような方法が挙げられる。(1)回収された本発明の複合体を含む担体を前記洗浄液と混合することによって、担体を当該洗浄液に再懸濁する。(2)再度、本発明の複合体を含む担体を回収する(すなわち、本発明の複合体を含む担体と洗浄液とを分離する。)。
また本発明の複合体形成工程において、担体カラムまたはペプチドカラムが用いた場合には、本発明の複合体が形成された後のカラムに対して前記洗浄液を適当量通液すればよい。
〔2.エクソソームの単離キット〕
本発明の一実施形態に係るエクソソームの単離キット(以下、適宜「本発明のキット」という)は、上述した本発明の単離方法を行なうためのキットであって、上述した本発明のペプチド、本発明の担体、および本発明の解離バッファー、を含む。よって、キットの構成の説明については、〔1.エクソソームの単離方法〕の説明が援用可能である。
本発明のキットに含まれる本発明のペプチドおよび本発明の担体は、本発明のペプチドが本発明の担体に予め担持された状態で本発明のキットに含まれていてもよいし、それぞれが別体として含まれていてもよい。
また、本発明のキットには、磁性ビーズ、ストレプトアビジンが固定化された磁性ビーズ、およびマグネティックスタンド等の磁性体、ならびにビオチン等が含まれていてもよい。
また本発明のキットには、上記の構成の他に、特定の材料を内包する容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュ、カラム等)が含まれていてもよい。本発明のキットは、希釈剤、溶媒、洗浄液またはその他の試薬を内包した容器を備え得る。本発明のキットの説明において使用される用語「備えた(備えている)」は、キットを構成する個々の容器のいずれかの中に内包されている状態が意図され得る。
また本発明のキットは、本発明の単離方法を実施するための説明書を備えていてもよい。
〔まとめ〕
本発明の一実施形態は、以下のような構成である。
〔1〕エクソソームを含む試料からエクソソームを単離する、エクソソームの単離方法であって、前記試料と、互いに近接した4つ以上のリジンを含むペプチドと、前記ペプチドを担持可能な担体とを接触させるか、または、前記試料と、前記担体に担持された前記ペプチドとを接触させることによって、前記エクソソームと前記担体に担持された前記ペプチドとが結合してなる複合体を形成させる複合体形成工程、および、前記複合体形成工程によって得られた前記複合体と、金属陽イオンを含む解離バッファーとを接触させて、前記複合体から前記エクソソームを解離させる解離工程を含むことを特徴とする、エクソソームの単離方法。
〔2〕前記ペプチドに含まれるリジンは連続していることを特徴とする、〔1〕に記載のエクソソームの単離方法。
〔3〕前記ペプチドに含まれるリジンは、8つ以上であることを特徴とする、〔1〕または〔2〕に記載のエクソソームの単離方法。
〔4〕前記担体は、磁性ビーズであることを特徴とする、〔1〕〜〔3〕の何れか1つに記載のエクソソームの単離方法。
〔5〕〔1〕〜〔4〕の何れか1つに記載のエクソソームの単離方法を行なうためのエクソソームの単離キットであって、前記ペプチド、前記担体、および前記解離バッファー、を含むことを特徴とする、エクソソームの単離キット。
以下、実施例により本発明の一実施形態を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
〔実験方法〕
<1>ペプチドが担持された磁性ビーズ(ポリリジン固定化磁性ビーズ)の作製
互いに近接した4つ以上のリジンを含むペプチドを磁性ビーズ(担体)に結合させ(担持させ)、ペプチドが担持された磁性ビーズを作製した。
担体としては、ストレプトアビジンが固定化された磁性ビーズ(VERITAS社製、Dynabeads M−280 streptavidin)(本明細書中では、「ストレプトアビジン磁性ビーズ」ともいう。)を用いた。
ペプチドとしては、GGGSGGGS(配列番号3)またはGGGSGGGSGGGS(配列番号4)からなるリンカーペプチドと、4、8、または16個の連続したリジン残基からなる配列と、を含むペプチド(以下、「ポリリジンペプチド」という。)を使用した。本実施例で用いたアミノ酸は全てL型アミノ酸である。当該ポリリジンペプチドは、さらに、ストレプトアビジンを有する磁性ビーズ(担体)と結合するために、ポリリジンペプチドのN末端にビオチンが結合されている。当該ビオチンが結合しているポリリジンペプチドを、以下、「ビオチン標識ポリリジンペプチド」と称する。なお、本実施例において使用したビオチン標識ポリリジンペプチドは、ユーロフィンジェノミクス社による受託合成により作製された。
本実施例において使用した、3つのビオチン標識ポリリジンペプチドの名称、およびそれぞれのビオチン標識ポリリジンペプチドが有するポリリジンペプチドのアミノ酸配列は、以下の通りである。
1.Biotin−K4;GGGSGGGSGGGSKKKK(配列番号5)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドのN末端をビオチンによって修飾したもの。
2.Biotin−K8;GGGSGGGSGGGSKKKKKKKK(配列番号6)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドのN末端をビオチンによって修飾したもの。
3.Biotin−K16;GGGSGGGSKKKKKKKKKKKKKKKK(配列番号7)で示されるアミノ酸配列からなるペプチドのN末端をビオチンによって修飾したもの。
ビオチン−ストレプトアビジンの相互作用を利用して、具体的には以下の方法によって、ペプチドが担持された磁性ビーズを作製した。
(1)50μL(0.5mg)のストレプトアビジン磁性ビーズを、1.5mLのマイクロチューブ(単に「チューブ」ともいう。)に加え、当該チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
(2)チューブをマグネットスタンドから外し、0.3mLのPBSを添加し、混合した。チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
当該(2)の操作(洗浄)を合計3回行なった。
(3)チューブに200μLのPBSを添加し、ストレプトアビジン磁性ビーズをPBS中に再懸濁し、洗浄したストレプトアビジン磁性ビーズ(200μL)を得た。
(4)チューブに、それぞれ、15μLのビオチン標識ポリリジンペプチド(Biotin−K4、Biotin−K8、またはBiotin−K16)(100μM)を加えた。
(5)チューブを室温で30分混合し、ビオチン標識ポリリジンペプチドとストレプトアビジン磁性ビーズとを接触させることによって、ビオチン標識ポリリジンペプチドをストレプトアビジン磁性ビーズに結合させた(すなわち担持させた。)。
(6)チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
(7)上記(2)と同様の操作(洗浄)を合計3回行なった。
(8)チューブに50μLのPBSを添加し、ストレプトアビジン磁性ビーズをPBS中に再懸濁し、ビオチン標識ポリリジンペプチドが担持されたストレプトアビジン磁性ビーズ(0.5mg/50μL)を得た。
本明細書中では、ビオチン標識ポリリジンペプチドが担持されたストレプトアビジン磁性ビーズを、ポリリジン固定化磁性ビーズという。また、本明細書中では、特に、Biotin−K4を担持させたストレプトアビジン磁性ビーズ、Biotin−K8を担持させたストレプトアビジン磁性ビーズ、およびBiotin−K16を担持させたストレプトアビジン磁性ビーズを、それぞれ、「K4固定化磁性ビーズ」、「K8固定化磁性ビーズ」、および「K16固定化磁性ビーズ」という。
<2>miRNAの抽出および精製
miRNAの抽出および精製は、miRCURY RNA Isolation kit Cell & Plant(EXIQON社製)を用いて行なった。具体的には、エクソソームが結合しているポリリジン固定化磁性ビーズ(0.5mg)もしくはストレプトアビジン磁性ビーズ(0.5mg)、解離工程後のエクソソームを含む解離バッファー(100μL)、または前処理した血清上清(50μL)に、抽出バッファーとして所定量のLysis Solutionを添加して、5分間振盪することでエクソソームを溶解し、miRNAを抽出した。チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置して上清(miRNA画分)を回収し、同社のプロトコールに従って、miRNAの精製を行なった。最終的に、50μLのElution Buffer中にmiRNAを回収した。
<3>エクソソーム量の測定
本発明の一実施形態では、上記<2>の方法に従って回収したmiRNAのうち、エクソソームに特異的に含まれることが知られているmiR142-3pの量をqRT-PCR法によって定量することによって、エクソソーム量を測定した。
qRT-PCR法は、(A)まずRNA(miRNAを含む)を、逆転写反応(Reverse Transcription、RT)により相補的DNA(complementary DNA、cDNA)に変換し、(B)変換されたcDNAをリアルタイムPCRにより定量する方法である。
上記(A)および(B)の具体的な方法は、以下の通りである。
(A)RT反応試薬としてTaqMan MicroRNA Reverse Transcription kit(ライフテクノロジーズ社製)を、プライマーとしてTaqMan MicroRNA Assays:hsa−miR−142−3p(Assay ID:000464)(ライフテクノロジーズ社製)のRT−primerを用い、同社のプロトコールに従って、逆転写反応を行なった。
(B)PCR反応試薬としてTaqMan Universal Master Mix II, no UNG(ライフテクノロジーズ社製)またはTaqMan Fast Advanced Master Mix(ライフテクノロジーズ社製)を、プライマーとしてTaqMan MicroRNA Assays:hsa−miR−142−3p(Assay ID:000464)(ライフテクノロジーズ社製)のPCR−primerを用い、同社のプロトコールに従って、リアルタイムPCRを行なった。
<4>ポリリジン固定化磁性ビーズを用いた血清からのエクソソームの回収
血清としてHuman Serum(シグマ社製)を用いた。血清を、遠心分離機を用いて、10000gで10分間、4℃で遠心を行ない、血球等の成分を沈殿させた。沈殿物を吸わないように、血清上清を回収した。このように前処理した血清上清のうち0.1mLを1.5mLのマイクロチューブに加え、当該チューブに0.4mLのPBSを添加して血清上清を希釈し、血清溶液(0.5mL)を得た。
血清溶液(0.5mL)中のエクソソームを以下の方法で回収した。
(1)上記血清溶液(0.5mL)を含むチューブに、上記<1>の方法に従って作製したK4固定化磁性ビーズ、K8固定化磁性ビーズ、またはK16固定化磁性ビーズ(0.5mg/50μL)を添加した。
(2)チューブを室温で60分混合することによって、血清溶液中のエクソソームとポリリジン固定化磁性ビーズとを接触させ、ポリリジンペプチドにエクソソームを結合させた。すなわち、当該(2)の工程にて、エクソソームとポリリジンペプチド(ペプチド)とストレプトアビジン磁性ビーズ(担体)とを含む複合体が形成された。
(3)チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
(4)次の操作を行ない、複合体を洗浄した:(4−1)チューブをマグネットスタンドから外し、0.01%のウシ血清アルブミン(Bovine serum albumin,BSA)を含むPBS(本明細書中では、PBS(+0.01%BSA)とも称する。)を0.5mL、チューブに添加して、混合した;(4−2)チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
(5)上記(4)の操作(洗浄)をさらに2回(合計3回)行ない、血清(血清溶液)中のエクソソームを複合体として含む、ポリリジン固定化磁性ビーズ(0.5mg)を回収した。
また、ネガティブコントールとして、ビオチン標識ポリリジンペプチドが担持されていないストレプトアビジン磁性ビーズ(0.5mg/50μL)を用いて、上記(1)〜(5)と同じような操作を行い、血清(血清溶液)中のエクソソームが結合したストレプトアビジン磁性ビーズ(0.5mg)を回収した。
<5>免疫沈降法による血清からのエクソソームの回収
血清としてHuman Serum(シグマ社製)を用いた。血清を、遠心分離機を用いて、10000gで10分間、4℃で遠心を行ない、血球等の成分を沈殿させた。沈殿物を吸わないように、血清上清を回収した。このように前処理した血清上清のうち0.1mLを1.5mLのマイクロチューブに加え、当該チューブに0.4mLのPBSを添加して血清上清を希釈し、血清溶液(0.5mL)を得た。
抗体は、ビオチンが結合したAnti-CD9抗体[CD9 Antibody(MEM-61)Biotin, Novus Biologicals社製](以下、「ビオチン標識Anti−CD9抗体」、または単に「CD9抗体」という。)を用いた。
血清溶液(0.5mL)中のエクソソームを以下の方法で回収した。
(1)上記血清溶液(0.5mL)を含むチューブに、1mg/mLのビオチン標識Anti-CD9抗体を5μL添加した。
(2)チューブを室温で60分混合することによって、血清溶液中のエクソソームとCD9抗体とを接触させ、CD9抗体にエクソソームに結合させた。
(3)上記(2)のチューブに、50μL(0.5mg)のストレプトアビジン磁性ビーズを添加した。
(4)チューブを室温で60分混合することによって、エクソソームが結合したCD9抗体とストレプトアビジン磁性ビーズとを接触させて、ビオチン標識Anti−CD9抗体を介して、エクソソームをストレプトアビジン磁性ビーズに結合させた。
(5)チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
(6)次の操作を行ない、CD9抗体を介してエクソソームが結合したストレプトアビジン磁性ビーズを洗浄した:(6−1)チューブをマグネットスタンドから外し、PBS(+0.01%BSA)を0.5mL、チューブに添加して、混合した;(6−2)チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
(7)上記(6)の操作(洗浄)をさらに2回(合計3回)行ない、CD9抗体を介して血清中のエクソソームが結合している、ストレプトアビジン磁性ビーズ(0.5mg)を回収した。
<6>ペプチドが担持された磁性ビーズ(ポリLリジン−シリカ磁性ビーズ)の作製
担体としては、シリカ磁性ビーズ(MoBiTec社製、Magnetic silica beads S1.0)を用いた。
ペプチドとしては、ポリ−L−リジン(分子量4,000−15,000)[シグマ社製]またはポリ−L−リジン溶液(分子量150,000−300,000)[シグマ社製]の2種類のうちいずれかを用いた。本明細書中ではこれら2種類のポリ−L−リジンの両方を、「ポリLリジンペプチド」とも称する。ポリ−L−リジン(分子量4,000−15,000)は、ミリQ水(超純水)で1.9mg/mLに調製して使用した。ポリ−L−リジン溶液(分子量150,000−300,000)、1mg/mLの水溶液として販売されており、そのまま使用した。
ペプチドが担持された磁性ビーズ(ポリLリジン−シリカ磁性ビーズ)の作製の操作手順の概略を、図5に示す。図5は、ペプチドが担持された磁性ビーズ(ポリLリジン−シリカ磁性ビーズ)の作製の操作手順の概略を示す図である。具体的には以下の方法によって、ペプチドが担持された磁性ビーズとして、ポリLリジン−シリカ磁性ビーズを作製した。
(1)20μL(0.2mg)のシリカ磁性ビーズを、1.5mLのマイクロチューブに加え、当該チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
(2)チューブをマグネットスタンドから外し、0.2mLのPBSを添加し、混合した。チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
当該(2)の操作(洗浄)を合計3回行なった。
(3)チューブに50μLのPBSを添加し、シリカ磁性ビーズをPBS中に再懸濁し、洗浄したシリカ磁性ビーズ(50μL)を得た。
(4)チューブに、97μLのポリ−L−リジン(分子量4,000−15,000)を添加し、さらにチューブ内の溶液が300μLとなるように、153μLのPBSを添加した。また別のチューブに、60μLのポリ-L-リジン(分子量150,000−300,000)を添加し、さらにチューブ内の溶液が300μLとなるように、190μLのPBSを添加した。
(5)チューブを室温で30分混合し、ポリLリジンペプチドをシリカ磁性ビーズに結合させた(すなわち固定化した)。
(6)チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
(7)チューブをマグネットスタンドから外し、0.3mLのPBSを添加し、混合した。チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
当該(7)の操作(洗浄)を合計3回行なった。
(8)マイクロチューブに50μLのPBSを添加し、シリカ磁性ビーズをPBS中に再懸濁し、ペプチドが担持された磁性ビーズとして、ポリLリジンペプチドが担持されたシリカ磁性ビーズ(0.2mg/50μL)を得た。
本明細書中では、ポリLリジンペプチドが担持されたシリカ磁性ビーズを「ポリLリジン−シリカ磁性ビーズ」とも称する。また、本明細書中では、ポリ−L−リジン(分子量4,000−15,000)[シグマ社製]が担持されたシリカ磁性ビーズを、「ポリLリジン−シリカ磁性ビーズA」とも称し、ポリ−L−リジン溶液(分子量150,000−300,000)[シグマ社製]が担持されたシリカ磁性ビーズを、「ポリLリジン−シリカ磁性ビーズB」とも称する。
<7>ポリLリジン−シリカ磁性ビーズを用いた血清からのエクソソームの回収
血清としてHuman Serum(シグマ社製)を用いた。血清を、遠心分離機を用いて、10000gで10分間、4℃で遠心を行ない、血球等の成分を沈殿させた。沈殿物を吸わないように、血清上清を回収した。このように前処理した血清上清のうち0.1mLを1.5mLのマイクロチューブに加え、当該チューブに0.4mLのPBSを添加して血清上清を希釈し、血清溶液(0.5mL)を得た。
血清溶液(0.5mL)中のエクソソームを以下の方法で回収した。
(1)上記血清溶液(0.5mL)を含むチューブに、上記<6>の方法に従って作製したポリLリジン−シリカ磁性ビーズAまたはB(0.2mg/50μL)を添加した。
(2)チューブを室温で60分混合することによって、血清溶液中のエクソソームとポリLリジン−シリカ磁性ビーズとを接触させ、ポリLリジンペプチドにエクソソームを結合させた。すなわち、当該(2)の工程にて、エクソソームとポリLリジンペプチド(ペプチド)とシリカ磁性ビーズ(担体)とを含む複合体が形成された。
(3)チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
(4)チューブをマグネットスタンドから外し、0.5mLのPBS(+0.01%BSA)をチューブに添加して、混合した。チューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。
当該(4)の操作(洗浄)を合計3回行ない、血清(血清溶液)中のエクソソームを複合体として含む、ポリLリジン−シリカ磁性ビーズAまたはB(0.2mg)を回収した。
〔試験例1〕エクソソームの回収量の比較、およびポリリジン数のエクソソーム回収量に与える影響
本発明のペプチドを用いて回収されたエクソソームの回収量と、従来法である免疫沈降法によって得られたエクソソームの回収量とを比較した。また、本発明のペプチドに含まれるリジンの数(具体的にはポリリジンの鎖長)が、上記エクソソームの回収量に与える影響も評価した。エクソソームの回収量の測定および比較は、エクソソームに含まれているmiRNA(miR142-3p)の量を定量することによって行なった。試験例1の実験操作手順の概略を、図1に示す。図1は、試験例1の実験操作手順の概略を示す図である。
本発明のペプチドを用いたエクソソームの回収は、上記<4>の方法に従って行なった。ここで、ポリリジン固定化磁性ビーズとして、K4固定化磁性ビーズ、K8固定化磁性ビーズ、またはK16固定化磁性ビーズを用いた。ネガティブコントロールとしては、ビオチン標識ポリリジンペプチドが担持されていないストレプトアビジン磁性ビーズ(すなわちストレプトアビジン磁性ビーズのみ)を用いた。また比較として、従来法である免疫沈降法によるエクソソームの回収は、上記<5>の方法に従って行なった。
回収されたエクソソームのそれぞれについて、エクソソームに含まれているmiRNAを、上記<2>の方法に従って抽出および精製した。Lysis Solutionは、350μL使用した。精製されたそれぞれのmiRNAについて、上記<3>の方法に従ってqRT−PCRによってmiR142-3pの量を定量し、エクソソーム量を測定した。qRT−PCRにより得られたCt値に基づき、免疫沈降法によって回収されたエクソソームから得られたmiR142-3pの濃度を1として、それぞれの相対濃度を算出し、表1に示した。表1中、Ct値は、PCR産物が一定量に達するサイクル数を示し、ΔCtは、各例のCt値から基準とした例のCt値を引いた値を示し、具体的には、各例のCt値から免疫沈降法のCt値を引いた値を示す。
表1の結果より、K4固定化磁性ビーズ、K8固定化磁性ビーズ、またはK16固定化磁性ビーズを用いた場合の、miR142-3pの相対濃度は、それぞれ0.25、11.96、または6.19であることが分かった。また、ストレプトアビジン磁性ビーズのみ(表1では「磁性ビーズのみ」と表記)では、miR142-3pの相対濃度は0.04であることから、ストレプトアビジン磁性ビーズそれ自身にはほとんどエクソソームが結合していないことが分かった。このことから、4つ以上のリジンを含むペプチド(ポリリジンペプチドポリリジン)を用いてエクソソームを回収した場合には、当該ポリリジンペプチドに特異的にエクソソームが結合することによって、エクソソームを回収できることが分かった。また、8つ以上のリジンを含むペプチドを用いてエクソソームを回収した場合には、免疫沈降法によってエクソソームを回収した場合と比べて、6〜12倍と高い収量にてエクソソームを回収できることが分かった。すなわち、8つ以上のリジンを含むペプチドを用いる場合には、従来の免疫沈降法と比較して、極めて効率よくエクソソームを回収できることが分かった。
なお、4つ以上のリジンを含むペプチドを用いた場合であっても、免疫沈降法によってエクソソームを回収した場合と比べて収量は4分の1程度と劣るものの、エクソソームを回収できることが分かった。4つ以上のリジンを含むペプチドを用いた場合であっても、試料中からエクソソームを回収することができるため、本発明の単離方法を実施することができるといえる。
〔試験例2〕解離バッファーの検討1
エクソソームそのものを利用したい場合、磁性ビーズ(複合体)からインタクトな状態(インタクトに近い状態)でエクソソームを単離する必要がある。従来公知の免疫沈降法の場合、エクソソーム表面のタンパク質と抗体が結合しているので、タンパク質変性剤等で、抗体を変性させエクソソームを磁性ビーズから分離する必要がある。特に、Lysis Solutionは、エクソソーム表面上のタンパク質も変性させるうえに、さらにエクソソームそのものを溶解させてしまう作用がある。もし温和な条件で、磁性ビーズからエクソソームを解離することができれば、タンパク質の変性がなくインタクトな状態(インタクトに近い状態)でエクソソームを単離することができると考えられる。そこで、本試験例では温和な条件で、磁性ビーズからエクソソームを解離できるか検討を行なった。試験例2の実験操作手順の概略を、図2に示す。図2は、試験例2の実験操作手順の概略を示す図である。
まず、上記<4>の方法に従って、K8固定化磁性ビーズを用いて、血清からエクソソームを回収した。回収したエクソソームを3等分し、うち1つはLysis Solutionを用いてエクソソームを溶解してmiRNAを抽出した(コントロール)。残りの2つについて、解離バッファーを用いて複合体からエクソソームを解離させた。
具体的な実験方法は、以下の通りである。
(1)エクソソームを複合体として含むK8固定化磁性ビーズ(0.5mg)を含むチューブに、PBS(+0.01%BSA)を0.6mL添加して、当該K8固定化磁性ビーズを当該PBSに再懸濁した。
(2)上記(1)で得られた0.6mLのK8固定化磁性ビーズの懸濁液を3等分し、0.2mLずつ、3本の1.5mLのマイクロチューブに分注した。
(3)3本のチューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。ここで、3本のうち1本のチューブについて、上記<2>の方法に従って、Lysis Solution(350μL)を用いてエクソソームを溶解してmiRNAを抽出した(コントロール)。
(4)2本のチューブに、解離バッファーとして、リシン溶液[50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.5M Lysine]、または、KCl溶液[50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.5M KCl]、をそれぞれ100μL添加して5分間振盪することによって、複合体からエクソソームを解離させ、当該解離バッファー(100μL)を単離し、エクソソームを単離した。
単離されたエクソソームのそれぞれについて、エクソソームに含まれているmiRNAを、上記<2>の方法に従って抽出および精製した。Lysis Solutionは、350μL使用した。精製されたそれぞれのmiRNAについて、上記<3>の方法に従ってqRT−PCRによってmiR142-3pの量を定量し、エクソソーム量を測定した。qRT−PCRにより得られたCt値に基づき、解離バッファーを用いずにLysis Solutionを用いて、エクソソームを溶解することによって得られたmiR142-3pの濃度(コントロールの濃度)を1として、それぞれの相対濃度を算出し、表2に示した。
表2の結果より、リシン溶液またはKCl溶液を用いて解離を行なった場合のmiR142-3pの相対濃度は、それぞれ0.36または1であることが分かった。このことから、解離バッファーとしてリシン溶液またはKCl溶液を用いた場合、いずれの場合であっても、複合体からエクソソームを解離させることが可能であることが分かった。ただし、解離バッファーとしてリシン溶液を用いた場合は、Lysis Solutionを用いた場合に比してmiR142-3pの相対濃度は低いものであった。一方、KCl溶液を用いた場合では、Lysis Solutionを用いてK8固定化磁性ビーズに結合したエクソソームを溶解してmiRNAを抽出した場合と同量のエクソソーム量を単離できたことが示された。それ故に、KCl溶液は、複合体中のK8固定化磁性ビーズに結合したエクソソームの全てを、複合体から解離させることが可能であることが分かった。Lysis Solutionと異なり、KCl溶液は、エクソソームの膜構造および膜に存在するタンパク質の構造に対して影響を与えない。すなわち、Lysis Solutionを用いた場合と比較して、KCl溶液を用いた場合は、エクソソームの膜構造および膜に存在するタンパク質の構造に対して、温和な条件でエクソソームを単離することが可能であるといえる。それ故に、KCl溶液用いた場合には、エクソソームをインタクトな状態(インタクトに近い状態)で単離できている可能性が高いと考えられる。
なお、従来法である免疫沈降法によって回収(上記<5>の方法に従って回収)したエクソソームでは、解離バッファーとしてリシン溶液、または0.5MのKCl溶液を用いたいずれの場合であっても、複合体からエクソソームを解離させることはできなかった。すなわち、免疫沈降法ではインタクトな状態(またはインタクトに近い状態)でエクソソームを単離することはできなかった。
〔試験例3〕解離バッファーの検討2
試験例2の結果から、金属陽イオンであるカリウムイオンを含むKCl溶液を解離バッファーとして用いることによって、複合体からエクソソームを解離させることができるということが分かった。そこで、様々な濃度および種類の金属陽イオンを含む解離バッファーを使用した場合における、複合体からのエクソソームの単離量について評価を行なった。解離バッファーとしては、1価の金属陽イオンを含む解離バッファーとして、KCl溶液、およびNaCl溶液を使用し、2価の金属陽イオンを含む解離バッファーとしてMgCl溶液を使用した。試験例3の実験操作手順の概略を、図3または図4に示す。図3は、試験例3における、1価の金属陽イオンを含む解離バッファーを使用した場合の実験操作手順の概略を示す図である。図4は、試験例3における、2価の金属陽イオンを含む解離バッファーを使用した場合の実験操作手順の概略を示す図である。
まず、上記<4>の方法に従って、K8固定化磁性ビーズを用いて、血清からエクソソームを回収した。回収したエクソソームを5等分し、うち1つはLysis Solutionを用いてエクソソームを溶解してmiRNAを抽出した(コントロール)。残りの4つについて、各種の解離バッファーを用いて複合体からエクソソームを解離させた。より具体的な方法は、以下の通りである。
(1)エクソソームを複合体として含むK8固定化磁性ビーズ(0.5mg)を含むチューブに、PBS(+0.01%BSA)を0.5mL添加して、当該K8固定化磁性ビーズを当該PBSに再懸濁した。
(2)上記(1)で得られた0.5mLのK8固定化磁性ビーズの懸濁液を、0.1mL(K8固定化磁性ビーズ:0.1mg)ずつ、5本の1.5mLのマイクロチューブに分注した。
(3)5本のチューブをマグネットスタンドにセットして1分静置し、上清を捨てた。ここで、5本のうち1本のチューブについて、上記<2>の方法に従って、Lysis Solution(350μL)を用いてエクソソームを溶解してmiRNAを抽出および精製した(コントロール)。
(4)残り4本のチューブに、解離バッファーとして、0.1M、0.3Mもしくは0.5MのKClを含むKCl溶液[10mM Tris-HCl(pH7.4)、各濃度(M)のKCl]、またはNaCl溶液[10mM Tris-HCl(pH7.4)、0.5M NaCl]、をそれぞれ100μL添加して5分間振盪することによって、複合体からエクソソームを解離させ、当該解離バッファー(100μL)を単離し、エクソソームを単離した。解離バッファーとして、0.1MのKClを含む0.1M KCl溶液、0.3MのKClを含む0.3M KCl溶液、0.5MのKClを含む0.5M KCl溶液、および0.5MのNaClを含む0.5M NaCl溶液を用いた。また、解離バッファーとして0.05MのMgClを含む0.05M MgCl溶液、0.1MのMgClを含む0.1M MgCl溶液、および0.3MのMgClを含む0.3M MgCl溶液を用いた以外は上記(1)〜(4)と同様にして、エクソソームを単離した(図4を参照のこと。)。
単離されたエクソソームのそれぞれについて、エクソソームに含まれているmiRNAを、上記<2>の方法に従って抽出および精製した。Lysis Solutionは、350μL使用した。精製されたそれぞれのmiRNAについて、上記<3>の方法に従ってqRT−PCRによってmiR142-3pの量を定量し、エクソソーム量を測定した。qRT−PCRにより得られたCt値に基づき、解離バッファーを用いずにLysis Solutionを用いて、エクソソームを溶解することによって得られたmiR142-3pの濃度(コントロールの濃度)を1として、それぞれの相対濃度を算出し、表3および4に示した。
表3の結果より、0.1M KCl溶液、0.3M KCl溶液、0.5M KCl溶液、または0.5M NaCl溶液を用いた場合のmiR142-3pの相対濃度は、コントロールの濃度1に対して、それぞれ0.04、0.60、1、または0.88であることが分かった。このことから、本試験例において、解離バッファーとして1価の金属陽イオン溶液であるKCl溶液を用いた場合、KCl溶液中のKClの濃度が0.3M以上であれば、複合体から十分量のエクソソームを解離させることが可能であることが分かった。また、解離バッファーとして0.5MのKCl溶液を用いた場合では、コントロールの場合と同量のエクソソーム量を単離できたことが示された。さらに、解離バッファーとして、KCl溶液と同じ1価の金属陽イオン溶液であるNaCl溶液を用いた場合(具体的には、0.5MのNaCl溶液を用いた場合)には、複合体から88%のエクソソームを解離させることが可能であることが分かった。
表4の結果より、0.05M MgCl溶液、0.1M MgCl溶液、または0.3M MgCl溶液を用いた場合のmiR142-3pの相対濃度は、コントロールの濃度1に対して、それぞれ0.32、0.57、または0.94であることが分かった。このことから、本試験例において、解離バッファーとして2価の金属陽イオン溶液であるMgCl溶液を用いた場合には、MgCl溶液中のMgClの濃度が0.05Mであっても、複合体からエクソソームを解離させることが可能であることが分かった。また、解離バッファーとして、MgClの濃度が0.1M以上のMgCl溶液を用いた場合には、複合体から十分量のエクソソームを解離させることが可能であることが分かった。さらに、解離バッファーとして、0.3MのMgCl溶液を用いた場合には、複合体から94%のエクソソームを解離させることが可能であることが分かった。
Lysis Solutionと異なり、NaCl溶液およびMgCl溶液は、エクソソームの膜構造および膜に存在するタンパク質の構造に対して影響を与えない。すなわち、KCl溶液と同様に、NaCl溶液およびMgCl溶液を用いた場合は、Lysis Solutionを用いた場合と比較して、エクソソームの膜構造および膜に存在するタンパク質の構造に対して、温和な条件でエクソソームを単離することが可能である。それ故に、KCl溶液と同様に、NaCl溶液およびMgCl溶液を用いた場合にも、エクソソームをインタクトな状態(インタクトに近い状態)で単離できている可能性が高いと考えられる。
〔試験例4〕ポリLリジン−シリカ磁性ビーズを用いた血清からのエクソソームの回収
ペプチドとして一般的に市販されている長鎖ポリリジン(ポリ−L−リジン等)を用い、かつ、担体としてシリカを用いた場合における、血清中のエクソソームの回収量と、従来法である免疫沈降法によって得られたエクソソームの回収量とを比較した。試験例4の実験操作手順の概略を、図6に示す。図6は、試験例4の実験操作手順の概略を示す図である。具体的な方法は以下の通りである。
上記<6>の方法に従って作製したポリLリジン−シリカ磁性ビーズAまたはBを用いて、上記<7>の方法に従って血清からエクソソームを回収した。
比較として、従来法である免疫沈降法によるエクソソームの回収を、上記<5>の方法に従って行なった。
回収されたエクソソームのそれぞれについて、エクソソームに含まれているmiRNAを、上記<2>の方法に従って抽出および精製した。Lysis Solutionは、200μL使用した。精製されたそれぞれのmiRNAについて、上記<3>の方法に従ってqRT−PCRによってmiR142-3pの量を定量し、エクソソーム量を測定した。qRT−PCRにより得られたCt値に基づき、免疫沈降法によって回収されたエクソソームから得られたmiR142-3pの濃度を1として、それぞれの相対濃度を算出し、表5に示した。表5中、ポリリジンの分子量は、ポリLリジン−シリカ磁性ビーズの作製に用いられた、市販されている長鎖ポリリジン(ポリ−L−リジン)に含まれるポリリジンの分子量を示している。
表5の結果より、ポリLリジン−シリカ磁性ビーズAまたはBを用いた場合の、miR142-3pの相対濃度は、それぞれ1.66または2.27であることが分かった。このことから、ペプチドとして一般的に市販されている長鎖ポリリジン(ポリ−L−リジン等)を用い、かつ、担体としてシリカを用いた場合であっても、血清からエクソソームを回収することができることが分かった。またこの場合、免疫沈降法によってエクソソームを回収した場合と比べて、1.6〜2.3倍と高い収量にてエクソソームを回収できることから、従来法とよりも極めて効率よくエクソソームを回収できることがわかった。
〔試験例5〕ポリLリジン−シリカ磁性ビーズを用いた血清からのエクソソームの単離
解離バッファーを使用した場合における、血清中のエクソソームを含む複合体からの、エクソソームの単離量について評価した。試験例5の実験操作手順の概略を、図7に示す。図7は、試験例5の実験操作手順の概略を示す図である。具体的な方法は以下の通りである。具体的な方法は以下の通りである。
まず、上記<7>の方法に従って、ポリLリジン−シリカ磁性ビーズBを用いて、血清からエクソソームを回収した。
次に、エクソソームを複合体として含むポリLリジン−シリカ磁性ビーズB(0.2mg)を含むチューブに、解離バッファーとして、0.5MのMgClを含むMgCl溶液[10mM Tris-HCl(pH7.4)、0.5M MgCl]を100μL添加して5分間振盪することによって、複合体からエクソソームを解離させ、当該解離バッファー(100μL)を単離し、エクソソームを単離した。
その後、単離されたエクソソームに含まれているmiRNAを、上記<2>の方法に従って抽出および精製した。Lysis Solutionは、350μL使用した。精製されたそれぞれのmiRNAについて、上記<3>の方法に従ってqRT−PCRによってmiR142-3pの量を定量し、エクソソーム量を測定した。
また、コントロールとして、〔試験例4〕によって得られたmiRNAについてqRT−PCRによってmiR142-3pの量を定量し、エクソソーム量を測定した。
qRT−PCRにより得られたCt値に基づき、コントロールのmiR142-3pの濃度を1として、解離バッファーを用いて単離した場合の相対濃度を算出し、表6に示した。
表6の結果より、解離バッファーを用いた場合のmiR142-3pの相対濃度は、コントロールの濃度1に対して、0.67であることが分かった。このことから、解離バッファーとしてMgCl溶液を用いた場合、複合体からエクソソームを解離させることが可能であることが分かった。上述したように、MgCl溶液を用いた場合は、Lysis Solutionを用いた場合と比較して、エクソソームの膜構造および膜に存在するタンパク質の構造に対して、非常に温和な条件でエクソソームを単離することが可能であるといえる。それ故に、MgCl溶液用いた場合には、エクソソームをインタクトな状態(インタクトに近い状態)で単離できている可能性が高いと考えられる。
〔試験例6〕エクソソームの精製度の評価
本発明の単離方法を用いて血清からエクソソームを単離した場合の、エクソソームの精製度を、血清中の夾雑タンパク質の除去の程度を指標として、評価した。
血清としては、Human Serum(シグマ社製)を用いた。まず、血清に含まれるタンパク質の濃度およびエクソソームの量の測定を行ない、単離前のタンパク質濃度およびエクソソーム量とした。試験例6における、血清に含まれるタンパク質の濃度およびエクソソーム量の測定の、実験操作手順の概略を図8の(a)に示す。具体的には以下の通りである。図8は、試験例6の実験操作手順の概略を示す図であり、図8の(a)は、試験例6における、血清に含まれるタンパク質の濃度およびエクソソーム量の測定の、実験操作手順の概略を示す図である。
(1)血清を、遠心分離機を用いて、10000gで10分間、4℃で遠心を行ない、血球等の成分を沈殿させた。
(2)沈殿物を吸わないように、血清上清を回収した。
(3)このように前処理した血清上清のうち0.1mLを1.5mLのマイクロチューブに加えた。
(4)チューブ中の0.1mLの血清上清のうち、50μLを用いてタンパク質濃度を測定した。タンパク質濃度の測定は、Micro BCA Protein assay kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて行なった。
(5)血清上清のうち残りの50μLを用いて、上記<2>の方法に従って、miRNAを抽出および精製した。Lysis Solutionは、350μL使用した。
(6)精製したmiRNAについて、上記<3>の方法に従ってqRT−PCRによってmiR142-3pの量を定量し、血清中のエクソソーム量を測定した。
上記(4)で得られたタンパク質濃度および上記(6)で得られたエクソソーム量を、単離前のタンパク質濃度およびエクソソーム量とし、表7に示した。
次に、本発明の一実施形態に係るエクソソームの単離方法を用いて血清からエクソソームを単離した後に、解離バッファーに含まれるタンパク質の濃度およびエクソソームの量の測定を行ない、単離後のタンパク質濃度およびエクソソーム量とした。試験例6における、解離バッファーに含まれるタンパク質の濃度およびエクソソーム量の測定の実験操作手順の概略を図8の(b)に示す。図8の(b)は、試験例6における、解離バッファーに含まれるタンパク質の濃度およびエクソソーム量の測定の実験操作手順の概略を示す図である。具体的には、以下の通りである。
(7)上記(2)において得られた、前処理した血清上清のうち0.1mLを1.5mLのマイクロチューブに加え、当該チューブに0.4mLのPBSを添加して血清上清を希釈し、血清溶液(0.5mL)を得た。当該血清溶液(0.5mL)を2本調製した。
(8)上記2本の血清溶液(0.5mL)うち1本を用いて、上記<4>の方法に従って、K8固定化磁性ビーズを用いて、血清からエクソソームを回収した。また、上記2本の血清溶液(0.5mL)うち別の1本を用いて、上記<7>の方法に従って、ポリLリジン−シリカ磁性ビーズBを用いて、血清からエクソソームを回収した。ここで、エクソソームを複合体として含む、ポリリジン固定化磁性ビーズまたはポリLリジン−シリカ磁性ビーズBの洗浄にはPBS(+0.01%BSA)の換わりにPBSを使用した。
(9)上記(8)で得られたチューブのうち、エクソソームを複合体として含むK8固定化磁性ビーズ(0.5mg)を含むチューブに、解離バッファーとして、KCl溶液[10mM Tris-HCl(pH7.4)、0.5M KCl]、を100μL添加した。その後、5分間振盪することによって、複合体からエクソソームを解離させ、当該解離バッファー(100μL)を単離し、エクソソームを単離した。また、上記(8)で得られたチューブのうち、エクソソームを複合体として含むポリLリジン−シリカ磁性ビーズB(0.2mg)を含むチューブに、解離バッファーとして、MgCl溶液[10mM Tris-HCl(pH7.4)、0.5M MgCl]、を100μL添加した。その後、5分間振盪することによって、複合体からエクソソームを解離させ、当該解離バッファー(100μL)を単離し、エクソソームを単離した。
(10)上記(9)において単離されたエクソソーム(100μL、2本)のそれぞれを、50μLずつ2等分し、2等分されたうちの50μLのそれぞれを用いてタンパク質濃度を測定した。K8固定化磁性ビーズを用いて得られたエクソソームについて、Micro BCA Protein assay kit(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて行なった。ポリLリジン−シリカ磁性ビーズBを用いて得られたエクソソームについて、タンパク質濃度の測定は、バイオ・ラッドプロテインアッセイ(バイオ・ラッド社製)を用いて行った。
(11)上記(9)において単離されたエクソソーム(100μL、2本)のうち、2等分されたうちの残りの50μL(血清50μLに相当する)のそれぞれを用いて、エクソソームに含まれているmiRNAを、上記<2>の方法に従って抽出および精製した。Lysis Solutionは、350μL使用した。
(12)精製したmiRNAについて、上記<3>の方法に従ってqRT−PCRによってmiR142-3pの量を定量し、エクソソーム量を測定した。
上記(10)で得られたタンパク質濃度および上記(12)で得られたエクソソーム量を、単離後のタンパク質濃度およびエクソソーム量とした。K8固定化磁性ビーズまたはポリLリジン−シリカ磁性ビーズBを用いて単離された単離後のタンパク質濃度およびエクソソーム量を、それぞれ表7に示した。
表7において、qRT−PCRにより得られたCt値に基づき、K8固定化磁性ビーズまたはポリLリジン−シリカ磁性ビーズBを用いて単離された単離後のエクソソームから抽出されたmiR142-3pの相対濃度を算出し、示した。ここで、血清上清から直接抽出したmiRNAを用いて得られたmiR142-3pの濃度(単離前の濃度)を1とした。また、表7中、エクソソーム量(E)/μLは、血清1μLあたりのエクソソーム量を示しており、エクソソーム量(E)/タンパク質(μg)は、タンパク質濃度(μg/μL)および血清1μLあたりのエクソソーム量(E)に基づき、タンパク質1μgあたりのエクソソーム量を算定し、示している。エクソソームの精製度は、血清中の夾雑タンパク質の除去の程度に基づき、当該タンパク質の除去の程度が大きいほど、エクソソームの精製度が高いことを意味する。従って、エクソソーム量(E)/タンパク質(μg)の値が大きい方が、エクソソームの精製度が高いことを意味する。
ここで、表7において、単離前のエクソソーム量(E)/タンパク質(μg)の値を(x)とする。また、K8固定化磁性ビーズで単離後のエクソソーム量(E)/タンパク質(μg)の値を(y)とし、ポリLリジン−シリカ磁性ビーズBで単離後のエクソソーム量(E)/タンパク質(μg)の値を(z)とする。
x/xの値(1)を単離前のエクソソームの精製度とし、y/xの値(4184)をK8固定化磁性ビーズで単離後のエクソソームの精製度とし、z/xの値(4.58)をポリLリジン−シリカ磁性ビーズBで単離後のエクソソームの精製度とした。それぞれのエクソソームの精製度を、表7に示した。
表7の結果を参照して、まず、エクソソームの量(miR142-3pの量)を比較する。単離前の濃度1に対して、K8固定化磁性ビーズで単離後のmiR142-3pの相対濃度は、0.20であり、ポリLリジン−シリカ磁性ビーズBで単離後のmiR142-3pの相対濃度は、0.02であることが分かった。
次に、タンパク質濃度を比較する。単離前の濃度88.364に対して、K8固定化磁性ビーズで単離後のタンパク質濃度は、0.00423と、単離前の濃度と比較して極めて小さいことが分かった。また、ポリLリジン−シリカ磁性ビーズBで単離後のタンパク質濃度は、0.3859μg/μLと、単離前の濃度と比較して大きく減少したことが分かった。このことから、本発明の単離方法によれば、血清中のタンパク質の大部分を取り除くことが可能であり、特に、K8固定化磁性ビーズを用いた場合には、血清中のタンパク質を劇的に取り除くことが可能であることが分かった。
次に、エクソソームの精製度について比較する。なお、エクソソームの精製度は、タンパク質濃度を指標として評価した。ポリLリジン−シリカ磁性ビーズBで単離することによって約4.6倍程度エクソソームを精製できており、K8固定化磁性ビーズで単離することによって、約4200倍程度エクソソームを精製できていることが分かった。このことから、本発明の単離方法によれば、エクソソームを精製することが可能であり、特に、K8固定化磁性ビーズを用いた場合には、エクソソームを極めて純度よく精製することが可能であることが分かった。
〔試験例7〕本発明の単離方法で単離したエクソソームの電子顕微鏡観察
本発明の単離方法で単離したエクソソームについて、電子顕微鏡による観察を行い、本発明の単離方法によって、インタクトな状態(またはインタクトに近い状態)のエクソソームを単離できているかを確認した。
具体的な実験方法は、以下の通りである。
(1)まず、上記<4>の方法に従って、K8固定化磁性ビーズを用いて、血清からエクソソームを回収した。ここで、エクソソームを複合体として含むK8固定化磁性ビーズの洗浄には、PBS(+0.01%BSA)の換わりにPBSを用いた。
(2)次に、エクソソームを複合体として含むK8固定化磁性ビーズ(0.5mg)を含むチューブに、解離バッファーとして、100μLのKCl溶液[50mM Tris-HCl(pH7.4)、0.5M KCl]を添加した。5分間振盪することによって、複合体からエクソソームを解離させ、当該解離バッファー(100μL)を単離し、エクソソームを単離した。
(3)次に、エクソソームを含む解離バッファー(100μL)を、遠心分離機に供し、12,000gで5分間、4℃で遠心分離を行い、その上清(100μL)を回収することによって、解離バッファーから磁性ビーズを完全に取り除いた。
(4)遠心分離後の上清(100μL)に、400μLのPBSで添加して希釈液(0.5mL)を調製した。
(5)上記希釈液(0.5mL)を、限外ろ過用スピンカラム(BIOMAX 50K NMWL MEMBRANE 0.5ML VOL、ミリポア社製)に添加した。希釈液を添加した限外ろ過用スピンカラムを遠心分離機に供し、12,000gで10分間、4℃で遠心分離した。これによって、希釈液を50μL程度まで濃縮して、エクソソーム濃縮液を調製した。
(6)次に、以下の操作によって、エクソソームの電子顕微鏡試料台への固定化を行なった。
(6−1)電子顕微鏡試料台にカーボンテープを付けた後、その上にアルミホイルを貼付けた。
(6−2)上記アルミホイル上に、20μLのポリ−L−リジン溶液(分子量150,000-300,000)[シグマ社製]を滴下した後、10分間静置することによって、アルミホイル上にポリ−L−リジンを固定化した。
(6−3)未結合のポリ−L−リジンを取り除くために、超純水20μLで3回洗浄を行なった。
(6−4)ポリ−L−リジンを固定化した電子顕微鏡試料台に、上記(5)で調製したエクソソーム濃縮液20μLを滴下した後、1時間静置することによって、エクソソームを電子顕微鏡試料台に結合させた。
(6−5)さらに、2.5%グルタルアルデヒドを含むPBSを、電子顕微鏡試料台に結合したエクソソームに20μL滴下した後、1時間静置することによって、エクソソームの電子顕微鏡試料台への固定化を行なった。
(7)上記(6)で電子顕微鏡試料台へ固定化されたエクソソームを、超純水20μLで4回洗浄を行ない、室温で、一晩自然乾燥させた。
(8)オートファインコーター(JFC-1600、日本電子株式会社製)を用いて、プラチナコーティングを行なった後、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM、SIGMA VP、カールツァイス社製)によりエクソソームの観察を行なった。
結果を図9に示す。図9は、単離されたエクソソームの電子顕微鏡観察の結果を示す図である。
図9において、100nm程度の大きさを持つエクソソームとみられる構造体を観察することができた。観察されたエクソソームは、球状の形態が保たれていることから、膜構造(具体的には脂質二重膜)を保った状態(ほぼ保った状態)であると考えられる。この結果から、本発明の単離方法であれば、インタクトな状態(またはインタクトに近い状態)のエクソソームを単離できていることが分かった。
本発明によると、簡便に、かつインタクトな状態(インタクトに近い状態)でエクソソームを単離することができる。したがって、本発明によると、エクソソームの内部に包含される物質の解析を簡便に、かつ、詳細に行なうことができるようになる。従って、本発明は、種々の技術分野、とりわけ、製薬および医療分野等において有用である。

Claims (5)

  1. エクソソームを含む試料からエクソソームを単離する、エクソソームの単離方法であって、
    前記試料と、互いに近接した4つ以上のリジンを含むペプチドと、前記ペプチドを担持可能な担体とを接触させるか、または、前記試料と、前記担体に担持された前記ペプチドとを接触させることによって、前記エクソソームと前記担体に担持された前記ペプチドとが結合してなる複合体を形成させる複合体形成工程、および、
    前記複合体形成工程によって得られた前記複合体と、金属陽イオンを含む解離バッファーとを接触させて、前記複合体から前記エクソソームを解離させる解離工程を含むことを特徴とする、エクソソームの単離方法。
  2. 前記ペプチドに含まれるリジンは連続していることを特徴とする、請求項1に記載のエクソソームの単離方法。
  3. 前記ペプチドに含まれるリジンは、8つ以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のエクソソームの単離方法。
  4. 前記担体は、磁性ビーズであることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエクソソームの単離方法。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載のエクソソームの単離方法を行なうためのエクソソームの単離キットであって、
    前記ペプチド、前記担体、および前記解離バッファー、を含むことを特徴とする、エクソソームの単離キット。
JP2019538014A 2017-08-22 2018-07-25 エクソソームの単離方法およびエクソソームの単離キット Active JP6712383B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017159645 2017-08-22
JP2017159645 2017-08-22
PCT/JP2018/027945 WO2019039179A1 (ja) 2017-08-22 2018-07-25 エクソソームの単離方法およびエクソソームの単離キット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2019039179A1 true JPWO2019039179A1 (ja) 2020-06-18
JP6712383B2 JP6712383B2 (ja) 2020-06-24

Family

ID=65438767

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019538014A Active JP6712383B2 (ja) 2017-08-22 2018-07-25 エクソソームの単離方法およびエクソソームの単離キット

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20210389314A1 (ja)
EP (1) EP3674704B1 (ja)
JP (1) JP6712383B2 (ja)
WO (1) WO2019039179A1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114341343A (zh) * 2019-04-30 2022-04-12 才思治疗公司 α-突触核蛋白测定
WO2021044381A1 (en) 2019-09-06 2021-03-11 Alessandro Gori Conjugates composed of membrane-targeting peptides for extracellular vesicles isolation, analysis and their integration thereof
JP7357346B2 (ja) * 2019-09-10 2023-10-06 国立大学法人広島大学 エクソソームの単離方法、エクソソームの単離キット、エクソソームの除去方法、分離液の取得方法およびエクソソームの単離カラム
JP7402491B2 (ja) * 2019-10-24 2023-12-21 国立大学法人広島大学 エクソソームの単離方法、エクソソームの単離キット、およびエクソソームの除去方法
JP7406789B2 (ja) * 2019-10-30 2023-12-28 国立大学法人広島大学 細菌メンブランベシクルの単離方法、単離キット、およびその除去方法
JP7425403B2 (ja) 2020-02-17 2024-01-31 株式会社Jvcケンウッド 生体試料分析方法
US20230227916A1 (en) * 2020-04-15 2023-07-20 H.U. Group Research Institute G.K. Method for recovering extracellular vesicle
US20230168162A1 (en) * 2020-04-24 2023-06-01 Korea University Research And Business Foundation Microvesicle isolation method and microvesicle isolation
CN111701076B (zh) * 2020-07-02 2021-03-16 山东大学 一种负载外泌体的金属基植入材料及其制备方法和应用
CN112129939A (zh) * 2020-08-05 2020-12-25 宁波大学 基于Fe3O4@SiO2@TiO2纳米粒子富集和PSMA传感器检测前列腺癌外泌体的方法
CN114457004B (zh) * 2021-12-23 2024-04-16 江苏为真生物医药技术股份有限公司 生物样品中外泌体分离方法、试剂盒及其应用

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014168230A1 (ja) * 2013-04-12 2014-10-16 公益財団法人がん研究会 EpCAMに結合するペプチド・アプタマーとホスホリルコリンポリマー共重合体を含む複合体
JP2017038566A (ja) * 2015-08-20 2017-02-23 国立大学法人広島大学 エクソソームの精製用組成物
JP2017044674A (ja) * 2015-08-28 2017-03-02 国立大学法人 東京大学 電極、センサー、流体デバイスおよび電極の製造方法
EP3246703A1 (en) * 2016-05-20 2017-11-22 Unicyte EV AG Method and kit for capturing extracellular vesicles (evs) on a solid surface

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016172598A1 (en) * 2015-04-22 2016-10-27 The Broad Institute Inc. Exosomes and uses thereof

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014168230A1 (ja) * 2013-04-12 2014-10-16 公益財団法人がん研究会 EpCAMに結合するペプチド・アプタマーとホスホリルコリンポリマー共重合体を含む複合体
JP2017038566A (ja) * 2015-08-20 2017-02-23 国立大学法人広島大学 エクソソームの精製用組成物
JP2017044674A (ja) * 2015-08-28 2017-03-02 国立大学法人 東京大学 電極、センサー、流体デバイスおよび電極の製造方法
EP3246703A1 (en) * 2016-05-20 2017-11-22 Unicyte EV AG Method and kit for capturing extracellular vesicles (evs) on a solid surface
WO2017198695A1 (en) * 2016-05-20 2017-11-23 Unicyte Ev Ag Method and kit for capturing extracellular vesicles (evs) on a solid surface

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
GHOSH, A. ET AL.: "Rapid Isolation of Extracellular Vesicles from Cell Culture and Biological Fluids Using a Synthetic", PLOS ONE, vol. Vol.9/No.10/e110443, JPN6018040585, 17 October 2014 (2014-10-17), pages 1 - 12, ISSN: 0004235759 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP3674704A1 (en) 2020-07-01
WO2019039179A1 (ja) 2019-02-28
EP3674704B1 (en) 2023-05-03
US20210389314A1 (en) 2021-12-16
EP3674704A4 (en) 2021-05-05
JP6712383B2 (ja) 2020-06-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6712383B2 (ja) エクソソームの単離方法およびエクソソームの単離キット
JP6976864B2 (ja) 細胞分離装置、システム、及び方法
Vlassov et al. Exosomes: current knowledge of their composition, biological functions, and diagnostic and therapeutic potentials
US9829483B2 (en) Methods of isolating extracellular vesicles
US10160964B2 (en) Methods for extracellular vesicle isolation and selective removal
JP2017038566A (ja) エクソソームの精製用組成物
US10669535B2 (en) Methods for the isolation of extracellular vesicles and other bioparticles from urine and other biofluids
EP3727630B1 (en) Method and stationary phase for isolating extracellular vesicles from biological material
WO2016143904A1 (ja) エクソソームの破壊方法、エクソソームの破壊キットおよび正常細胞由来のエクソソームの分離方法
US20220112484A1 (en) Methods for co-isolation of nucleic acids and proteins
JP6531987B2 (ja) 腎疾患診断のためのエクソソーム回収法
CN110551687A (zh) 一种基于固相金属亲和色谱的分离血浆中外泌体的方法
Popovic Routine and novel methods for isolation of extracellular vesicles
US20130052647A1 (en) Methods for fractionating and processing microparticles from biological samples and using them for biomarker discovery
KR101839347B1 (ko) 카본 비드를 이용한 엑소좀이 포함된 시료의 불순물 단백질 제거 방법
JP7402491B2 (ja) エクソソームの単離方法、エクソソームの単離キット、およびエクソソームの除去方法
CN118103495A (zh) 使用盐分级沉淀分离细胞外囊泡的方法
JP7357346B2 (ja) エクソソームの単離方法、エクソソームの単離キット、エクソソームの除去方法、分離液の取得方法およびエクソソームの単離カラム
RU2603098C1 (ru) Способ выделения циркулирующих днк из плазмы или сыворотки крови
JP2021071357A (ja) 細菌メンブランベシクルの単離方法、単離キット、およびその除去方法
JP7418729B2 (ja) 核酸アプタマー、ヒト間葉系幹細胞吸着剤、ヒト間葉系幹細胞の分離方法、ヒト間葉系幹細胞の検出方法
AU2018387258B2 (en) Method and stationary phase for isolating extracellular vesicles from biological material
CN114480257A (zh) 一种识别和富集外泌体的方法
JP2023123105A (ja) 細胞外小胞の精製方法
Zeringer et al. WJM

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200219

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200219

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200317

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200413

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200428

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200510

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6712383

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250