JPWO2018207578A1 - 圧電マイクロフォンチップおよび圧電マイクロフォン - Google Patents

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Abstract

音圧検出信号の感度が高く、パッケージへの実装に適する圧電マイクロフォンチップおよび圧電マイクロフォンを提供する。圧電マイクロフォンにおいて、1枚の薄板と、薄板の一方の面に設けられた、薄板の外縁を支持する外縁支持部および外縁支持部と共働して薄板を複数のダイヤフラムに仕切る分離支持部からなるダイヤフラム支持構造と、各ダイヤフラム上に、各ダイヤフラム側から第1の電極、圧電体膜および第2の電極が順に積層されてなる、単数もしくは複数の圧電変換部と、複数のダイヤフラム上に設けられている圧電変換部からの出力を検出する信号検出回路とを備え、外縁支持部の厚みt1と、分離支持部の厚みt2と、薄板10の厚みtdの関係を13.3×td<t2<t1−20μmとする。

Description

本発明は、センサとして圧電素子を備えた圧電マイクロフォンチップおよびそのチップを備えた圧電マイクロフォンに関し、特には、半導体集積回路作製技術を用いて作製される微小電気機械システム(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)圧電マイクロフォンチップおよび圧電マイクロフォンに関する。
近年、小型かつ高SN比のマイクロフォンが求められており、これに対するソリューションとしてMEMSマイクロフォンが注目されている。この中で、圧電効果を用いたMEMS圧電マイクロフォンは、駆動バイアス電圧が不要であること、変位のダイナミックレンジが広いことなどから、従来の静電型に対して幅広い応用が期待されている。
MEMS圧電マイクロフォンの音圧検出のための従来構造として、ダイヤフラム構造があげられる。従来のマイクロフォンは、一つのキャビティとその上を被覆する振動膜から構成される単一のダイヤフラム構造と、このダイヤフラム構造の上に圧電素子とから構成されている。単一のダイヤフラム構造を備えたマイクロフォンチップがパッケージ内に配置されてなる。単一のダイヤフラム構造であるために、共振周波数および感度などの素子パラメータは振動膜の厚み、ダイヤフラムのサイズ、形状で決定され、自由度は少ない。そのため、さらなる感度ニーズに対応できなかった。
他方、超音波トランスデューサとして用いられる圧電センサとしては、超音波画像を生成するため、アレイ状に配置された複数のダイヤフラム構造上にそれぞれ圧電素子を備えた圧電素子群を備えたものが知られている(特開2013−5137号公報、特開2012−253405号公報等)。特開2013−5137号公報および特開2012−253405号公報には、圧電素子群のうちの数個の圧電素子を直列に接続し、検出信号を加算して受信感度を向上する構成が提案されている。
ヒトの可聴域の音波を検出するマイクロフォンと、超音波画像診断のプローブ等に用いられる超音波トランスデューサとでは、検出感度、パッケージの大きさなど求められる仕様が異なる。マイクロフォンはさらなる小型化が求められており、素子面積あたりの音圧から電気信号への変換効率を高める必要性がある。また、MEMS圧電マイクロフォンチップとしては、パッケージへの実装により感度が低下しないこと、またパッケージングが容易であることが求められる。
本発明は、音圧検出信号の感度が高く、パッケージへの実装に適する圧電マイクロフォンチップおよびその圧電マイクロフォンチップを備えた圧電マイクロフォンを提供することを目的とする。
本発明の圧電マイクロフォンチップは、1枚の薄板と、
薄板の一方の面に設けられた、薄板の外縁を支持する外縁支持部および外縁支持部と共働して薄板を複数のダイヤフラムに仕切る分離支持部からなるダイヤフラム支持構造と、
各ダイヤフラム上に、各ダイヤフラム側から第1の電極、圧電体膜および第2の電極が順に積層されてなる、単数もしくは複数の圧電変換部と、
複数のダイヤフラム上に設けられている圧電変換部からの出力を検出する信号検出回路とを備え、
外縁支持部の厚みtと、分離支持部の厚みtと、薄板の厚みtdの関係が
13.3×td<t<t−20μm
である。
本発明の圧電マイクロフォンチップは、信号検出回路が、複数の圧電変換部の各圧電変換部の電圧出力を加算して検出することが好ましい。
本発明の圧電マイクロフォンチップにおいては、複数の圧電変換部のうちの少なくとも2つの圧電変換部の電圧出力が同位相である場合、信号検出回路が2つの圧電変換部の一方の第2の電極と、他方の第1の電極とを電気接続する導線を有することにより、2つの圧電変換部の電圧出力を加算することが好ましい。
本発明の圧電マイクロフォンチップにおいては、複数の圧電変換部のうちの少なくとも2つの圧電変換部の電圧出力が逆位相である場合、信号検出回路が、2つの圧電変換部の一方の第1の電極と、他方の第1の電極とを電気接続する導線を有することにより、2つの圧電変換部の電圧出力を加算することが好ましい。
本発明の圧電マイクロフォンチップは、圧電体膜が、
Pb(Zr,Ti,Nb1−y−z)O,0.06<1−y−z<0.14
で表されるペロブスカイト型酸化物からなることが好ましい。
ここで、Pbは、一般にABOで表されるペロブスカイト構造におけるAサイト元素であり、Zr,Ti,NbはBサイト元素である。Pb:(Zr,Ti,Nb1−y−z):Oのモル比は1:1:3が標準であるが、ペロブスカイト構造を取りうる範囲でずれていてもよい。
本発明の圧電マイクロフォンは、1つの集音孔を備えたパッケージと、
パッケージ内に配置された、本発明の圧電マイクロフォンチップとを備え、
圧電マイクロフォンチップが、集音孔を外縁支持部で囲む位置に配置されている圧電マイクロフォンである。
本発明の圧電マイクロフォンチップは、1枚の薄板と、薄板の一方の面に設けられた、薄板の外縁を支持する外縁支持部および外縁支持部と共働して薄板を複数のダイヤフラムに仕切る分離支持部からなるダイヤフラム支持構造と、各ダイヤフラム上に、各ダイヤフラム側から第1の電極、圧電体膜および第2の電極が順に積層されてなる、単数もしくは複数の圧電変換部と、複数のダイヤフラム上に設けられている圧電変換部からの出力を検出する信号検出回路とを備えている。複数のダイヤフラムに備えられた複数の圧電変換部からの信号を用いて音圧の検出を行うことができるのでS/Nを向上することができる。また、ダイヤフラム支持構造において、外縁支持部の厚みtと、分離支持部の厚みtと、薄板の厚みtdの関係が13.3×td<t<t−20μmである。そのため、パッケージの小径の集音孔の直上にマイクロフォンチップを実装する時、アラインメントのわずかなズレによってバックキャビティが塞がれてしまうなどの問題が生じない。従って、本発明の圧電マイクロフォンチップの構成によれば、感度低下を生じず、歩留まりよくマイクロフォンを製造することが可能となる。
第1の実施形態における圧電マイクロフォンチップの平面図である。 第1の実施形態における圧電マイクロフォンチップの断面図(図1AにおけるA−B線断面図)である。 第1の実施形態における圧電マイクロフォンチップの底面図である。 圧電変換部における圧電変換出力の概念図を示す図である。 複数の圧電変換部の電圧出力を加算する際の電極接続方法の一例を説明するための図である。 複数の圧電変換部の電圧出力を加算する際の電極接続方法の他の一例を説明するための図である。 複数の圧電変換部の電極接続構造を模式的に示す図である。 圧電マイクロフォンチップを備えたマイクロフォンの概略構成を示す断面図である。 本発明の効果を説明するための図である。 第2の実施形態における圧電マイクロフォンチップの圧電変換素子側を示す斜視図である。 第2の実施形態における圧電マイクロフォンチップの断面図(図7AにおけるC−D線断面図)である。 第2の実施形態における圧電マイクロフォンチップのダイヤフラム支持構造側を示す斜視図である。 第2の実施形態の図7Aのマイクロフォンチップの1つのダイヤフラム上に備えられた複数の圧電変換部の電極接続構成を示す平面図である。 第2の実施形態のマイクロフォンチップの圧電変換部の作製工程を示す図であり、図8のE−F線断面を示す。 第2の実施形態のマイクロフォンチップのダイヤフラム構造の作製工程を示す図であり、図7AのC−D線断面におけるダイヤフラム構造側のみを示している。 実施例および比較例の圧電マイクロフォンチップのダイヤフラムおよび圧電変換部の寸法定義を示す図である。 実施例3、4の圧電マイクロフォンチップの1つのダイヤフラム上に備えられた複数の圧電変換部の電極接続構成を示す平面図である。 図12の圧電変換部の電極接続構造を模式的に示す図である。 実施例3、4の圧電マイクロフォンチップの複数のダイヤフラム上に備えられた複数の圧電変換部の電極接続構成を示す平面図である。 図14の圧電変換部の電極接続構造を模式的に示す図である。 ダイヤフラム厚みに対する分離支持部厚みの比と、共振周波数との関係を示す図である。 ダイヤフラム厚みに対する分離支持部厚みの比と、共振周波数との関係を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の圧電マイクロフォンチップおよび圧電マイクロフォンの実施の形態について説明する。本発明の圧電マイクロフォンチップはMEMSデバイスである。
図1Aは、本発明の第1の実施形態の圧電マイクロフォンチップ1の上面図である。図1Bは、図1Aに示す圧電マイクロフォンチップ1のA−B線断面図である。そして、図1Cは、図1Aに示す圧電マイクロフォンチップ1の底面図である。
圧電マイクロフォンチップ1は、図1A,1Bおよび1Cに示すように、1枚の薄板10と、薄板10の一方の面に設けられた、薄板10の外縁を支持する外縁支持部22および外縁支持部22と共働して薄板10を複数のダイヤフラム(振動板)11に仕切る分離支持部24からなるダイヤフラム支持構造20と、各ダイヤフラム11上に、各ダイヤフラム11側から第1の電極32、圧電体膜34および第2の電極36が順に積層されてなる、単数もしくは複数の圧電変換部30とを備えている。以下において、ダイヤフラム11とそれを支持する支持部22および/または24とからなる構造をダイヤフラム構造12と称する。
ここで、ダイヤフラム支持構造20において、外縁支持部22の厚みtと、分離支持部24の厚みtと、薄板10(ダイヤフラム11)の厚みtdの関係が、
13.3×td<t<t−20μm
である。
本圧電マイクロフォンチップ1は、1枚のシリコン基板の裏面からエッチングによって一括形成された複数のダイヤフラム構造12を有する。したがって、複数のダイヤフラム11に仕切られる薄板10と支持構造20は1枚のシリコン基板により一体的に形成されたものである。それぞれのダイヤフラム11上に設けられている圧電変換部30は、圧電効果によって音圧(圧力)に応じた電圧信号を出力する。本実施形態においては、4つのダイヤフラム構造12を備えているが、1チップに備えられるダイヤフラム構造12の数に制限はない。本圧電マイクロフォンチップ1は各ダイヤフラム構造12における背面キャビティ26と、全てのダイヤフラム構造12に共通する共通キャビティ部28を有する。体積の大きな共通キャビティ部28を有することにより、空気バネ成分の影響を小さくし、感度を上げることができる。
圧電変換部30は、図2に模式的に示すように、第1の電極32および第2の電極36に圧電体膜34が挟まれた構成を有する。圧電体膜34に圧力が加えられて生じる電荷が第1の電極32および第2の電極36間の電圧出力信号Voutとして出力される。このように直列接続することにより、圧電効果で発生した電荷を高い電圧に変換することができるため、トランスデューサとして高い感度が得られる。
本実施形態においては、1つのダイヤフラム11上に1つの圧電変換部30を備えたものを示しているが、1つのダイヤフラム11上に複数の圧電変換部を備えていてもよい。
圧電マイクロフォンチップ1は、複数のダイヤフラム11上に設けられている圧電変換部30からの出力を検出する図示しない信号検出回路を備えている。信号検出回路は、圧電マイクロフォンチップ1に加えられる音圧を、圧電マイクロフォンチップ1に備えられている全ての圧電変換部30の出力を用いて検出するように構成されている。この信号検出回路は、複数の圧電変換部30からの出力を加算して検出するために、圧電変換部30を直列接続する配線を有している。
複数のダイヤフラム構造を備えていることにより、従来の単一のダイヤフラム構造に対して素子面積当たりの出力エネルギを高くすることができる。そのため、音圧に対する感度を高めることができる。
圧電変換部30の接続形態の例を図3Aおよび図3Bを参照して説明する。
図3Aに示すように、2つの圧電変換部30a、30bの出力が同位相である場合、一方の圧電変換部30aの第2の電極36aを他方の圧電変換部30bの第1の電極32bと導線により電気的に接続する。2つの圧電変換部30a、30bの出力が同位相であるとは、例えば、圧力を受けるといずれも内部に引っ張り応力が生じるものであり、第1の電極32a、32bが正極、第2の電極36a、36bが負極となる場合である。この場合、上記の電極接続により2つの圧電変換部30a、30bが直列接続されることになる。そして、一方の圧電変換部30aの第1の電極32aと、他方の圧電変換部30bの第2の電極36b間の電位差V1−V2が、加算された出力電圧となる。
他方、図3Bに示すように、2つの圧電変換部30a、30bの出力が逆位相である場合、例えば、一方の圧電変換部30aの第1の電極32aを他方の圧電変換部30bの第1の電極32bと導線により電気的に接続する。2つの圧電変換部30a、30bの出力が逆位相であるとは、例えば、2つの圧電変換部30a、30bが圧力を受けると一方は内部に引っ張り応力が生じ第1の電極32aが正極、第2の電極36aが負極となるものであり、他方は内部に圧縮応力が生じ第1の電極32bが負極、第2の電極36bが正極となるものである場合である。この場合、上記の電極接続により2つの圧電変換部30a、30bが直列接続されることになる。そして、一方の圧電変換部30aの第2の電極36aと、他方の圧電変換部30bの第2の電極36b間の電位差V1−V2が、加算された出力電圧となる。
上記においては、2つの圧電変換部を直列接続する方法について説明したが、3つ以上の圧電変換部についても同様にして直列接続することができる。直列接続により、複数の圧電変換部の出力を加算する。そのことにより、信号強度を増大させることができる。そのため、S/Nを向上させることが可能となる。
他方、複数の圧電変換部を接続して、信号を検出することも可能である。並列接続の場合には、信号強度は低下するが出力容量が上がるため、ノイズを低減することができる。そのため、結果としてS/Nを向上させることができる。
なお、圧電変換部を直列接続する場合、直列接続の圧電変換部の数の増加に伴い、信号強度大きくなる。しかしながら、出力容量が下がるためノイズを増加する。したがって、信号検出回路としては、直列接続と並列接続を組み合わせて、出力容量と信号強度を適切なものとすることが特に好ましい。図4は複数の圧電変換部30a〜30hを、直列および並列接続を組み合わせて接続した例を示す。図4は、2つの圧電変換部を並列にしたものを直列に接続する形態であり、その直列接続の端部間の電圧V2−V1が出力電圧となる。
圧電変換部30の構成について説明する。
第1の電極32の主成分としては、特に制限はなく、Au、Pt、Ir、IrO、RuO、LaNiO、およびSrRuO等の金属または金属酸化物、および、これらの組合せが挙げられる。
第2の電極36の主成分としては、特に制限なく、第1の電極32で例示した材料、Al、Ti、Ta、Cr、およびCu等の一般的に半導体プロセスで用いられている電極材料、およびこれらの組合せが挙げられる。
圧電体膜34としては、特に制限はないが、下記一般式(P)で表される1種または複数種のペロブスカイト型酸化物を好適に用いることができる。
一般式ABO・・・(P)
(式中、A:Aサイト元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素、B:Bサイトの元素であり、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Sc、Co、Cu、In、Sn、Ga、Zn、Cd、Fe、Ni、およびランタニド元素からなる群より選ばれた少なくとも1種の元素、O:酸素原子。
A:B:Oのモル比は1:1:3が標準であるが、このモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内でずれてもよい。)
特には、Pb(Zr,Ti,Nb1−y−z)O,0<y<1,0<z<1で表される、所謂PZT(lead zirconate titanate)、あるいはNb−PZT(Nb doped lead zirconate titanate)と称される、ペロブスカイト型酸化物であることが好ましい。特には、Pb(Zr,Ti,Nb1−y−z)O,において、0.06<1−y−z<0.14、すなわちNb/(Zr+Ti+Nb)モル比が0.06超0.14未満であるNb−PZTが好ましい。
上記Nb−PZTは、スパッタ法等の気相成長法による成膜で形成すると、成膜直後の状態で分極した状態の膜を得ることができる。そのため成膜後に、分極処理が不要であり好ましい。
第1の電極32と第2の電極36の厚みは特に制限なく、例えば200nm程度である。圧電体膜34の膜厚は10mμm以下であれば特に制限なく、通常1μm以上であり、例えば、1〜5μmである。
図5は、上記圧電マイクロフォンチップ1(以下において、チップ1という。)を備えた圧電マイクロフォン100である。図5中において、チップ1の構成は簡略化して示している。
圧電マイクロフォン100は、集音孔111を備えたパッケージ110内にチップ1を備えている。パッケージ110には信号検出回路に接続される信号増幅用アンプ102なども内包されている。MEMSマイクロフォンにおける集音孔111は一般的に直径0.25mmから1mm程度の円形である。
圧電マイクロフォンとしては、集音孔111が単数のもの、あるいは複数のものであってもよいが、本発明のマイクロフォンチップは集音孔111が1つしかなく、複数のダイヤフラムが形成されている領域(ダイヤフラムアレイ領域)よりも十分に小さい場合に効果が高い。たとえば、ダイヤフラムアレイ領域の大きさをLa、個々のダイヤフラムの大きさをLdとすると、集音孔の直径がLa−Ld以下である場合、距離=Ld/2の位置ズレが起きると、1つ以上のキャビティが塞がれてしまう可能性がある。従って、集音孔の直径がLa−Ld以下の場合、本発明の効果が大きいと言える。ここで、ダイヤフラムアレイ領域の大きさとは、ダイヤフラムアレイ領域が矩形の場合には長辺、円形の場合には直径、5角形以上の多角形およびその他の形状においては、最大長をいう。同様にダイヤフラムの大きさとは、ダイヤフラムが矩形の場合には長辺、円形の場合には直径、5角形以上の多角形およびその他の形状においては、最大長をいう。
チップ1は、パッケージ110の集音孔111を有する基台112の、外縁支持部22が集音孔111を囲む位置に、接着剤104を用いてマウントされている。信号増幅用アンプ102も基台112上に接着剤104によりマウントされており、チップ1の信号検出回路と信号増幅用アンプ102はボンディングワイヤ106により電気的に接続されている。パッケージ110は、基台112と、基台112上にマウントされたチップ1等を覆うメタルリッド114により封止されている。
一般的なマイクロフォンパッケージの集音孔サイズは直径0.5mm程度と小型である。図6を参照してアレイ状のダイヤフラム構造を有するチップがパッケージに実装される場合に生じ得る問題点および、本発明のマイクロフォンチップによる効果を説明する。
比較例として、複数のダイヤフラムを仕切る分離支持部124が外縁支持部122と同等の厚みを有するチップ121、本発明として図1A〜図1Cに示した第1の実施形態のチップ1について検討する。
比較例のチップ121が、集音孔111に対してチップが正しいマウント位置に配置された場合(図6中パターンP3)には、特に問題なく、複数のダイヤフラム構造を備えた効果を得ることができる。一方、チップ121のマウント位置ズレが発生した場合(図6中パターンP4)には、分離支持部124と基台112とにより一部のキャビティ126aが塞がれてしまう。そのため、音圧Spがキャビティ126aに入らず、音圧検出機能が働かない状況が生じ得る。このとき、チップ121の複数のダイヤフラムのうちの一部のみで音圧検出を行うことになるため、信号強度が低下し、S/Nの低下につながる。このように、分離支持部124が外縁支持部122と同じ長さの場合、ダイヤフラムのアレイ数nが増加し、一つ一つの背面キャビティが小型化すると、数10μm程度のわずかなアライメントズレによってもいくつかのキャビティが塞がれてしまう。
これに対して、本発明の実施形態にかかるチップ1は、位置ズレが発生した場合(図6中パターンP2)であっても、正しいマウント位置に配置され場合(図6中パターンP1)と同様に、複数のダイヤフラムを備えた効果を同様に得ることができる。また、既述の通り、共通バックキャビティの効果によりさらなる感度の向上効果を得ることができる。分離支持部24の厚みが外縁支持部22よりも少なくとも20μm小さく形成されており、基台112の面から分離支持部24の下端までの高さhとして少なくとも20μmが確保されている。したがって、集音孔111からの音圧Spは共通キャビティ部28を経て背面キャビティ26a、26bに同等にかかる。
このように、本発明のチップ1によれば、マウント位置ズレによるキャビティの塞ぎを防止することができる。さらに、高いアライメント精度が要求されないため、歩留まりよくマイクロフォンを製造することが可能となる。
図7Aは、本発明の第2の実施形態の圧電マイクロフォンチップ2の表面を示す斜視図である。図7Bは、図1Aに示す圧電マイクロフォンチップ2のC−D線断面図である。そして、図7Cは、図7Aに示す圧電マイクロフォンチップ2の裏面を示す斜視図である。図7A〜図7Cにおいて、第1の実施形態の圧電マイクロフォンチップ1と同一構成要素には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
圧電マイクロフォンチップ2は、ダイヤフラム構造12の構成は第1の圧電マイクロフォンチップ1と同様である。1つのダイヤフラム11上に複数の圧電変換部30を備えている点で、第1の圧電マイクロフォンチップ1と異なる。図7Aに示すように、本圧電マイクロフォンチップ2は、1つのダイヤフラム11上に5つの圧電変換部30を備えている。
図8に、1つのダイヤフラム11上の5つの圧電変換部30の電極接続構造を示す。図8においては、1つのダイヤフラム11上の圧電変換部を区別するために、個々に30a〜30eとしている。同様にして、各圧電変換部の第1の電極および第2の電極には末尾にa〜eを付して区別している。なお、個々の圧電変換部を区別する必要がない場合には、単に「圧電変換部30」等と表記する。
図8に示すように、圧電変換部30a〜30eは直列に接続されている。圧電変換部30aの第1の電極32aと圧電変換部30bの第2の電極36bが接続され、圧電変換部30bの第1の電極32bと圧電変換部30cの第2の電極36cが接続され、順次圧電変換部30d、30eが接続されている。このように、1つのダイヤフラム11上に備えられている5つの圧電変換部30a〜30eの出力を加算することにより、信号強度を大きくすることができる。
圧電マイクロフォンチップ2の作製方法の一例について、図9を参照して説明する。図9は図8のEF線断面における製造工程を示す図である。
ダイヤフラム構造を構成する部分には、ハンドル層14、ボックス層15、デバイス層16を備えたSOI基板19を用いる。SOI基板19は両表面には酸化膜17、18を備えている。
SOI基板19の表面の酸化膜17上に第1の電極32、圧電体膜34を順次スパッタ法にて成膜する。その後、第2の電極36をパターン成膜する(S1)。パターニング方法としてはリフトオフ法、ウェットエッチング法などを用いればよい。
次に、圧電体膜34および第1の電極32をドライエッチングなどの手法によりパターンエッチングする(S2)。
次に、絶縁膜38をパターン形成し、接続電極39をパターン形成する(S3)。
最後に、SOI基板19の裏面からハンドル層14を深堀エッチング(Deep RIE)しダイヤフラム構造を作製する(S4)。ダイヤフラム構造は振動板11と支持構造20から構成される。
ダイヤフラム構造の作製工程(S4)の詳細を、図10を参照して説明する。
図10は、圧電マイクロフォンチップ2の図7Bに示した断面における製造工程を示す。図10において、SOI基板表面の圧電変換部は省略している。
まず、SOI基板19の裏面の酸化膜18のパターニングを行う。このとき、外縁支持部となる部分のみ酸化膜18を残すようにパターニングを行う(S4−1)。
その後、SOI基板19裏面の外縁支持部および分離支持部となる部分にフォトレジスト40を形成する(S4−2)。
フォトレジスト40をマスクとして、Siからなるハンドル層14を深堀エッチングする(S4−3)。
その後、フォトレジスト40を除去し(S4−4)、酸化膜をマスクとして分離支持部となる部分のハンドル層14を深堀エッチングする(S4−5)。さらにボックス層15をドライエッチングすることにより分離支持部24を形成する(S4−6)。このように、2段階エッチングを行うことで、外縁支持部22の厚みt、分離支持部24の厚みtの2種類の厚みを有するダイヤフラム支持構造を得ることができる。
なお、上記のようにして作製されたマイクロフォンチップ2を、直径0.5mmの集音孔を備えたパッケージ基台上に接着剤を用いてマウントし、信号増幅アンプとワイヤボンディングで接続したのち、メタルリッドによって封止する。それにより、図5に示したマイクロフォンを作製することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明する。
実施例1〜4および比較例1〜3のマイクロフォンを作製した。
実施例および比較例の圧電マイクロフォンチップにおける1つのダイヤフラムの寸法および1つのダイヤフラム上に設けられた複数の圧電変換部(第2の電極)の寸法の定義を図11に示す。ここでは、中央部に設けられた圧電変換部aと、その周囲に設けられた4つの外側圧電変換部a11〜a14を備えている。
ダイヤフラム51のx方向長さをLd、y方向長さをLdとする。中央に向けられた圧電変換部aのx方向長さをLin、y方向長さをLinとする。なお、各例においては、圧電変換部aの領域はさらに4分割されて4つの圧電変換部として機能させた。
周囲に設けられている圧電変換部a11〜a14のうち、対向する2つの圧電変換部a11とa13、およびa12とa14は対称な形状を有する。そのうちx方向に延びる圧電変換部a11、a13のx方向に延びる長い方の辺の長さをW1x、x方向に延びる短い方の辺の長さをW2xとし、y方向の幅をHとする。また、y方向の延びる圧電変換部a12、a14のy方向に延びる長い方の辺の長さをW1y、y方向に延びる短い方の辺の長さをW2yとし、x方向の幅をHとする。
各例のマイクロフォンチップの作製方法は、既述の作製工程による。ここで、SOI基板の表面に、スパッタ法で基板温度350℃にて密着層としてTiを30nm成膜し、その後、第1の電極としてIr電極を150nm形成した。その後、第1の電極上に、RFスパッタ装置を用いてPZTをtp(μm)の厚みで成膜した。成膜ガスは97.5%Ar+2.5%Oの混合ガスを用い、ターゲット材料としてはPb1.3((Zr0.52Ti0.480.88Nb0.10)Oの組成のものを用いた。成膜圧力は2.2mTorr、成膜温度は約600℃とした。
SOI基板の裏面をエッチングしてダイヤフラム構造を形成した。ダイヤフラムが形成される領域(ダイヤフラムアレイ領域)はすべての例で共通とし、2mm×2mmとした。ダイヤフラム構造の外縁支持部の厚みをt(μm)、分離支持部の厚みをt(μm)、ダイヤフラムの厚みをtd(μm)とした。
上記のようにして作製した各例のマイクロフォンチップをそれぞれ、直径0.5mmの集音孔を備えた基台上に接着剤を用いてマウントし、信号増幅アンプとワイヤボンディングで接続させたのち、メタルリッドによって封止した。それにより、各例のマイクロフォンとした。
実施例1〜4および比較例1〜3についての各寸法は表1、表2に示す通りとした。
なお、表1におけるダイヤフラム数はダイヤフラムアレイ領域内に設けたダイヤフラム構造の数である。また、表2における直列接続数はダイヤフラムアレイ領域上に設けられた全ての圧電変換部の総数である。

図12および図13に、比較例1のマイクロフォンチップ上での電極接続状態および等価回路を示す。比較例1は単一のダイヤフラム51を有し、そのダイヤフラム51上において外側に圧電変換部a11〜a14、内側に圧電変換部a21〜a24が配置されている。外側の圧電変換部a11〜a14と内側の圧電変換部a21〜a24とでは、音圧の入射によってそれぞれ逆極性の電圧が発生する。図3Aおよび図3Bについて説明した直列接続の手法により、全ての圧電変換部a11〜a14およびa21〜a24の発生電圧が加算されるように各圧電変換部の電極同士が接続されている。
図14および図15に、実施例2、3および比較例2、3のマイクロフォンチップ上での電極接続状態および透過回路を示す。図14に示すマイクロフォンは、ダイヤフラムアレイ領域内に4つのダイヤフラム51a〜51dを有し、各ダイヤフラム51a〜51d上に、それぞれ外側に4つの圧電変換部、内側に4つの圧電変換部が配置されている。チップ内には計64個の圧電変換部が備えられており、全てが上記と同様に直列接続されている。
集音孔から音圧が入射すると、Pad-1とPad−2との間に、全ての圧電変換部で発生した電圧が加算された検出電圧が発生する。これを後段の信号増幅用アンプで増幅し、センサ信号として用いた。
なお、Pad−3は、圧電体膜の分極処理の際、接地電位として用いるための電極である。実施例1〜4および比較例1〜3については、Nb添加のPZT膜をスパッタ法により成膜したため、自発的に分極が揃っており分極処理は不要であるが、後述の比較例4との比較のため、便宜上用意した。
S/N測定は以下のようにして行った。
マイクロフォンの出力端子を、増幅率10倍の非反転増幅回路を構成するオペアンプの正極側入力に接続した。オペアンプの出力端子から出力される電圧信号Voutの周波数特性をインピーダンスアナライザによって読み取った。
シグナルS[dB]は、マイクロフォンに周波数1kHz、音圧1Pa(音圧レベル=94dB)の単一正弦波からなる音波を入射した際の1kHzでの電圧振幅値Vout_sを、インピーダンスアナライザにて読み取り、以下の式で求めた。
S=20×log10(Vout_s
ノイズN[dB]は、無音環境にて出力端子から出力される電圧信号の周波数特性をインピーダンスアナライザにて読み取った値をVout(f)として、以下の式で計算した。

ここで、f=100Hz,f=20kHz,A(f)は音響A特性の重みである。
共振周波数fr[kHz]は、たとえば、マイクロフォンの出力端子にホワイトノイズ駆動信号を入力し、ダイヤフラム部の振動をレーザードップラー測定によって観察することにより、決定した。
上記測定により得られたS/N、共振周波数frを表2に示した。
比較例1と実施例1〜4との比較から、ダイヤフラム数を増やすほど、マイクロフォンとしてのS/Nが向上する結果が得られた。これは、複数ダイヤフラム構造にすることで、一つ一つのダイヤフラムの弾性コンプラアンスを下げることができ、音響−電気エネルギ変換効率が上がることに起因していると考えられる。
分離支持部の厚みが外縁支持部と同一である比較例2は、他の構成条件が同一の実施例2、3と比べてS/Nが低かった。これは、比較例2のマイクロフォンが、パッケージ内にマイクロフォンチップを実装した際に、集音孔に対するチップのアラインメントがズレて、4つのダイヤフラムの背面キャビティのうち2つが塞がれたためであった。これに対し、実施例2,3のマイクロフォンでは、分離支持部が外縁支持部よりも短く(薄く)なっており、背面キャビティ塞がりが生じないため、高いS/Nが得られた。
一般的なマイクロフォンパッケージの集音孔サイズは直径0.5mm程度と小型である。そのため、ダイヤフラムのアレイ数が増加し、一つ一つの背面キャビティが小型化すると、数10μm程度のわずかなアラインメントズレによってもいくつかのキャビティが塞がれてしまう。ここで、本発明の実施例のような分離支持部を外縁支持部よりも短くした構造とすることで、マルチダイヤフラム構造にした場合においても、マウント位置ズレによるキャビティ塞がれを防止でき、かつ、感度を保つことができる。
ここで、分離支持部の厚みtの適切な範囲について検討した結果を説明する。
2が大きすぎる場合、実装後に各ダイヤフラム背面のキャビティ同士の連結が不十分となるため、キャビティ内の空気が硬いバネとして機能してしまい、ダイヤフラムの変位を阻害して感度が低下する。逆に、tが小さすぎる場合、ダイヤフラムの厚みに近づき、各ダイヤフラムを保持するフレームとしての機能が低下する。これにより、すべてのダイヤフラムが一体となって振動してしまう。すべてのダイヤフラムが一体となって振動すると、共振周波数の低下を引き起こし、設計通りのマイクロフォンが実現できない。図16に、ダイヤフラムの厚みtdが1.5μm、3μmの場合について、分離支持部の厚みtとダイヤフラムの厚みtdの比t/tdと、ダイヤフラムの一次共振周波数の関係を有限要素法によって計算した結果をプロットした。図16において、縦軸は、tがtdより十分厚く、確実にフレームとして機能している場合の共振周波数で規格化した共振周波数である。分離支持部の幅を3倍に増やしたシミュレーションも同様に行った結果、ほぼ同様の傾向が得られた。
図16に示すグラフによれば、t≧13.3×tdを満たすことで、共振周波数の低下を5%以内に抑えられることが分かる。この傾向は、一つのダイヤフラムの寸法Ldを2.0mm以下の範囲で変化させても変わらなかった(図17参照)。なお、一般的にMEMSマイクロフォンのチップサイズは1mm×1mm〜2mm×2mmの範囲であるためLdが2.0mmを超えることはない。
有限要素法によりLd、td、tを変化させた場合のダイヤフラム厚みtdに対する分離支持部の厚みtの比t/tdおよび規格化共振周波数を求めた結果を表3に示す。なお、図17は表3の結果をプロットしたグラフである。
なお、上記の比較例3のように、t2とtの差が20μmよりも小さい場合には、キャビティ間の連結部が狭くなり、インピーダンスが増加し、出力電圧が小さくなってしまう。従って、分離支持部の厚みは、13.3×td≦t≦t−20μmを満たす範囲にするのが適切であると結論づけた。
<圧電体膜についての検証>
実施例5、6および7として、上記実施例2と同一の構成であり、圧電体膜の組成のみ変化させたマイクロフォンチップを作製し、それぞれパッケージに組み込みマイクロフォンとした。PZTにおけるNb添加量を実施例5では6%、実施例6では14%、実施例7では0%(無添加)とした。
各マイクロフォンについて共振周波数、S/Nの測定は上記の場合と同様とした。測定結果は表4に示す。
ここでは、PZT膜への分極処理の有無によるS/Nの変化も測定している。分極処理は、図14および図15に示したPad−3を接地電位として、Pad−1およびPad−2にマイナスの分極電圧Vpを印加して実施した。分極処理の電圧は−20Vおよび−50Vの2種類とし、印加時間は5分とした。
Nbを添加していない実施例7のマイクロフォンは、分極処理をしない状態ではS/Nが非常に小さく、実用に耐えるレベルのS/Nが得られるのに−50Vの分極電圧を必要とした。通常のPZT薄膜の分極電圧は−20V程度の印加電圧で十分である。しかしながら、複数の圧電変換部が直列接続された構成の場合、図15に示すように、分極処理するための分極電圧VpをPad−1およびPad−2とPad−3との間に印加しても、個々の圧電体膜には直列接続数だけ分圧した印加電圧となる。そのため、十分な分極電圧が印加できない。
これに対し、6〜14%の範囲でNb添加したPZTを用いたマイクロフォンは、分極処理をしなくてもS/Nが高く、かつ分極の有無によるS/Nの変化は非常に小さかった。Nb添加PZTでは、成膜直後から分極方向が一方向に揃うため、分極処理が不要であり、直列接続数を大きくしても、高い出力電圧が得られることが明らかである。
1 第1の圧電マイクロフォンチップ
2 第2の圧電マイクロフォンチップ
10 薄板
11 ダイヤフラム
12 ダイヤフラム構造
14 ハンドル層
15 ボックス層
16 デバイス層
17 酸化膜
18 酸化膜
19 SOI基板
20 ダイヤフラム支持構造
22 外縁支持部
24 分離支持部
26、26a、26b 背面キャビティ
28 共通キャビティ部
30、30a〜30h 圧電変換部
32、32a、32b 第1の電極
34 圧電体膜
36、36a、36b 第2の電極
38 絶縁膜
39 接続電極
40 フォトレジスト
51、51a〜51d ダイヤフラム
100 圧電マイクロフォン
102 信号増幅用アンプ
104 接着剤
106 ボンディングワイヤ
110 パッケージ
111 集音孔
112 基台
114 メタルリッド
121 チップ
122 外縁支持部
124 分離支持部
126a キャビティ

Claims (6)

  1. 1枚の薄板と、
    該薄板の一方の面に設けられた、該薄板の外縁を支持する外縁支持部および該外縁支持部と共働して前記薄板を複数のダイヤフラムに仕切る分離支持部からなるダイヤフラム支持構造と、
    前記各ダイヤフラム上に、該各ダイヤフラム側から第1の電極、圧電体膜および第2の電極が順に積層されてなる、単数もしくは複数の圧電変換部と、
    前記複数のダイヤフラム上に設けられている前記圧電変換部からの出力を検出する信号検出回路とを備え、
    前記外縁支持部の厚みtと、前記分離支持部の厚みtと、前記薄板の厚みtdの関係が
    13.3×td<t<t−20μm
    である圧電マイクロフォンチップ。
  2. 前記信号検出回路が、前記複数の圧電変換部の各圧電変換部の電圧出力を加算して検出する請求項1記載の圧電マイクロフォンチップ。
  3. 前記複数の圧電変換部のうちの少なくとも2つの圧電変換部の電圧出力が同位相であり、
    前記信号検出回路が、前記2つの圧電変換部の一方の第2の電極と、他方の第1の電極とを電気接続する導線を有することにより、該2つの圧電変換部の電圧出力を加算する請求項2記載の圧電マイクロフォンチップ。
  4. 前記複数の圧電変換部のうちの少なくとも2つの圧電変換部の電圧出力が逆位相であり、
    前記信号検出回路が、前記2つの圧電変換部の一方の第1の電極と、他方の第1の電極とを電気接続する導線を有することにより、該2つの圧電変換部の電圧出力を加算する請求項2記載の圧電マイクロフォンチップ。
  5. 前記圧電体膜が、
    Pb(Zr,Ti,Nb1−y−z)O,0.06<1−y−z<0.14
    で表されるペロブスカイト型酸化物からなる請求項1から4いずれか1項記載の圧電マイクロフォンチップ。
  6. 1つの集音孔を備えたパッケージと、
    該パッケージ内に配置された、請求項1から5いずれか1項記載の圧電マイクロフォンチップとを備え、
    前記圧電マイクロフォンチップが、前記集音孔を前記外縁支持部で囲む位置に配置されている圧電マイクロフォン。
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