JPWO2014125729A1 - 測定装置及び測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】相対的に出力の低い安価な超短パルスレーザを光源とし、ストークス光として光ソリトンを用いた、より簡便かつ高感度な測定装置及び測定方法を提案する。【解決手段】本開示の測定装置は、パルスレーザ光を所定の参照周波数により強度変調しつつストークス光を生成するストークス光生成部と、ポンプ光又はストークス光を時間遅延させる時間遅延部と、時間遅延量が制御されたポンプ光及びストークス光が照射された測定サンプルからの光をロックイン検出する検出部と、強度変調及び時間遅延量を制御しつつ、アンチストークス光に基づき所定の演算処理を実施する演算処理装置と備え、ストークス光生成部は、強度変調されたパルスレーザ光を非線形光ファイバに透過させることで、入射強度に応じた波長の光ソリトンパルスを生成させてストークス光とし、時間遅延部は、光ソリトンパルスの中心波長に応じてポンプ光又はストークス光を時間遅延させる。【選択図】図1

Description

本開示は、測定装置及び測定方法に関する。
振動分光学の応用を考える上で重要な振動スペクトル領域は、分子指紋領域と呼ばれる300cm−1〜3600cm−1の範囲にある。これらの波数領域に対応する振動スペクトルを測定する方法としては、赤外分光法及びラマン分光法が代表的であり、双方の測定法を利用することで、サンプルの分子振動に関する情報を相補的に得ることができる。ここで、例えば生体試料等のように、水を主成分として含有するサンプルの場合、赤外分光法では水に起因する振動スペクトルが観測されてしまうため、主にラマン分光法が用いられることが多い。
しかしながら、生体物質の分析、検査、診断において、生体物質のラマンスペクトルは一般に多くの分子官能基の振動スペクトルを含み、また、生体物質の自家蛍光も伴うことから、複雑でスペクトルが拡がり、官能基の帰属に困難を伴う場合も多い。更に、振動スペクトルの観測に用いられた光により、生体物質では、光による損傷が比較的容易に生じるため、このような光損傷を抑制するために高感度な検出が望まれている。
ラマン分光法の一種である非線形ラマン分光法として、コヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱(Coherent Anti−Stokes Raman Scattering:CARS)分光法や、誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering:SRS)分光法等が存在する。これら非線型ラマン分光法では、サンプルの自家蛍光回避、高感度化、3次元空間分解能に対して優位性があるとして、生物顕微鏡または医療画像診断機器への応用の発展が著しい。
例えば、下記の非特許文献1では、CARS分光法における非共鳴バックグランド除去を行い、高コントラストな画像取得を可能とする方法としてFM−CARS分光法が開示されている。このFM−CARS分光法では、分子振動に関連しない電子分極に起因する応答などの非共鳴バックグランドが、ポンプ光及びストークス光の波長に対してほぼ一定で依存しないことに着目したものであり、ストークス光のFM変調に対してロックイン検出される信号が、非共鳴バックグランドを除去した分子振動の差分スペクトルにほぼ対応することを利用したものである。
ここで、非線形ラマン分光法に利用されてきた光源は、Ti:SapphireやNd:YVO等のレーザ結晶を用いたモード同期型超短パルスレーザや、これらのレーザ光源を励起光源に用いた波長連続可変可能な光パラメトリック発振器などのように、大掛かりで高価なものであった。
近年、このような光源に対し、Er又はYb等をドープした光ファイバを用いたファイバ型超短パルスレーザが開発され、市販されるようになってきた。また、これら光源でフォトニック結晶ファイバに代表される高非線形光ファイバを励起することにより、連続白色光(スーパーコンティニューム光)が比較的容易に発生可能になり、CARS分光法におけるストークス光として用いた研究報告が多数出版されている。
例えば下記の特許文献1には、ファイバ中で光ソリトンを発生させ、光ソリトンの自己周波数シフト(Soliton Self−Frequency Shift)現象を利用して、光ソリトンの中心波長を励起光源の光強度により制御可能とした光源が開示されている。また、下記の非特許文献2では、上記のような基本ソリトン(光ソリトン)をストークス光として用いたCARS分光法が提案されている。
また、上記スーパーコンティニューム光をストークス光として利用するCARS分光法において、スペクトル分解能を向上させる技術として、下記の非特許文献3には、ポンプ光とストークス光のチャープレート(Δω/Δτ)を等しくする手法が提案されている。更に、上記のスペクトル分解能を向上させる技術を簡便化する手法として、下記の非特許文献4には、正分散媒体(光学ガラスブロック)を用いる手法が開示されている。
特許第4066120号
F.Ganikhanov,C.Evans,G.Saar,S.Xie,Opt.Lett. Vol.31,2006,p.1872 E.R.Andresen,V.Birkedal,J.Thoegersen,S.R.Keiding,"Tunable light source for coherent anti−Stokes Raman scattering microspectroscopy based on the soliton self−frequency shift",OPTICS LETTERS,Vol.31,2006,p.1328 T.Hellerer,A.M.K.Enejder,and A.Zumbusch,"Spectral focusing:High spectral resolution spectroscopy with broadbandwidth laser pulses",APPLIED PHYSICS LETTERS Vol.85,2004,p.25 I.Rocha−Mendoza,W.Langbein,and .Borri,"Coherent anti−Stokes Raman microspectroscopy using spectral focusing with glass dispersion",APPLIED PHYSICS LETTERS Vol.93,2008,p.201103 J.Zhao,M.M.Carrabba,F.S.Allen,"Automated Fluorescence Rejection Using Shifted Excitation Raman Difference Spectroscopy",Applied Spectroscopy,Vol.56,2002,p.834 S.T.McCain,R.M.Willett,D.J.Brady,"Multi−excitation Raman spectroscopy technique for fluorescence rejection",Optics Exress,Vol.16,2008,p.10975
しかしながら、上記非特許文献1に開示されているような非線形ラマン分光法の測定装置は、大きな光学定盤上に、超短パルスレーザ発生装置、光パラメトリック発振器、分光器、高感度低ノイズのCCD検出器をはじめとする高価な主要部品を展開し、精密な光路を実現することで構成される。そのため、これら構成部品の光学調整は、熟練を要する作業であった。また、一般に、生体試料等を測定対象とするユーザの汎用的な利用は、制限されかつ困難になる場合も多かった。
また、上記非特許文献2では、線幅の細いポンプ光を用いることで、アンチストークス光のスペクトル分解能26cm−1を得ている。しかしながら、この方法では、ポンプ光及びストークス光のパルス幅が大きく相違することになり、アンチストークス光の発生効率が下がることとなる。その結果、アンチストークス光に対応する大きな信号を得ることが困難となる。
そこで、本開示では、上記事情に鑑みて、CARS分光法において、相対的に出力の低い安価な超短パルスレーザを光源とし、かつ、ストークス光として光ソリトンを用いた、より簡便かつ高感度な測定装置及び測定方法を提案する。
本開示によれば、測定サンプルの所定の分子振動を励起するポンプ光及びストークス光に用いられるパルスレーザ光を射出する光源部と、前記光源部により生成された前記パルスレーザ光を所定の参照周波数により強度変調しつつ、強度変調された前記パルスレーザ光を利用して所定波長のストークス光を生成するストークス光生成部と、前記光源部により生成された前記パルスレーザ光を利用したポンプ光、又は、前記ストークス光生成部により生成された前記ストークス光を所定時間遅延させる時間遅延部と、時間遅延量が制御された前記ポンプ光及び前記ストークス光が照射された前記測定サンプルを透過した透過光、又は、当該測定サンプルからの反射光をロックイン検出する検出部と、前記ストークス光生成部での前記強度変調及び前記時間遅延部での時間遅延量を制御しつつ、前記検出部によりロックイン検出されたアンチストークス光に基づいて所定の演算処理を実施する演算処理装置と、を備え、前記ストークス光生成部は、強度変調された前記パルスレーザ光を非線形光ファイバに透過させることで、当該非線形光ファイバに入射する前記パルスレーザ光の強度に応じた波長を有する光ソリトンパルスを生成させて前記ストークス光とし、前記時間遅延部は、前記光ソリトンパルスの中心波長に応じて、前記ポンプ光又は前記ストークス光を時間遅延させる、測定装置が提供される。
また、本開示によれば、測定サンプルの所定の分子振動を励起するポンプ光及びストークス光に用いられるパルスレーザ光を射出することと、生成された前記パルスレーザ光を所定の参照周波数により強度変調しつつ、強度変調された前記パルスレーザ光を利用して所定波長のストークス光を生成することと、生成された前記パルスレーザ光を利用したポンプ光、又は、生成された前記ストークス光を所定時間遅延させることと、時間遅延量が制御された前記ポンプ光及び前記ストークス光が照射された前記測定サンプルを透過した透過光、又は、当該測定サンプルからの反射光をロックイン検出することと、前記ストークス光を生成させる際の前記強度変調及び時間遅延させる際の時間遅延量を制御しつつ、前記検出部によりロックイン検出されたアンチストークス光に基づいて所定の演算処理を実施することと、を含み、前記ストークス光を発生させる際には、強度変調された前記パルスレーザ光を非線形光ファイバに透過させることで、当該非線形光ファイバに入射する前記パルスレーザ光の強度に応じた波長を有する光ソリトンパルスを生成させて、前記ストークス光とし、前記光ソリトンパルスの中心波長に応じて、前記ポンプ光又は前記ストークス光を時間遅延させる、測定方法が提供される。
本開示によれば、パルスレーザ光は所定の参照周波数により強度変調され、強度変調されたパルスレーザ光を非線形光ファイバに透過させることで、当該非線形光ファイバに入射するパルスレーザ光の強度に応じた波長を有する光ソリトンパルスを生成させて、ストークス光とする。また、ポンプ光又はストークス光は、光ソリトンパルスの中心波長に応じて時間遅延され、時間遅延量が制御されたポンプ光及びストークス光が照射された測定サンプルを透過した透過光、又は、当該測定サンプルからの反射光がロックイン検出される。
以上説明したように本開示によれば、CARS分光法において、相対的に出力の低い安価な超短パルスレーザを光源とし、かつ、ストークス光として光ソリトンを用いた、より簡便かつ高感度な測定装置及び測定方法を実現することが可能となる。
本開示の第1の実施形態に係る測定装置の構成の一例を示したブロック図である。 同実施形態に係る測定装置が備える演算処理装置の構成の一例を示したブロック図である。 同実施形態に係る光強度変調器の一例を説明するための説明図である。 同実施形態に係る光強度変調器の一例を説明するための説明図である。 同実施形態に係る光強度変調器の一例を説明するための説明図である。 同実施形態に係る測定装置における光路図の一例を示した説明図である。 非線形光ファイバの群速度分散特性を示したグラフ図である。 非線形光ファイバへの光の入射強度と光ソリトンパルスの中心波長との関係の一例を示したグラフ図である。 ストークス光生成部で生成される光ソリトンパルスの一例について示したグラフ図である。 ストークス光生成部で生成される光ソリトンパルスの一例について示したグラフ図である。 ストークス光生成部で生成される光ソリトンパルスの一例について示したグラフ図である。 同実施形態に係る群速度分散制御部について説明するための説明図である。 光ソリトンパルスの波長と時間遅延量との関係の一例を示したグラフ図である。 非線形光ファイバへの光の入射強度と時間遅延量との関係の一例を示したグラフ図である。 本開示の実施形態に係る演算処理装置のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は、以下の順序で行うものとする。
(1)第1の実施形態
(1−1)測定装置の構成について
(1−2)測定装置の光路図の一例について
(2)本開示の実施形態に係る演算処理装置のハードウェア構成について
(3)まとめ
(第1の実施形態)
<測定装置の構成について>
まず、図1を参照しながら、本開示の第1の実施形態に係る測定装置の構成の一例について、詳細に説明する。図1は、本開示の第1の実施形態に係る測定装置の構成の一例を示したブロック図である。
本実施形態に係る測定装置10は、図1に示したように、超短パルスレーザ光源101、ストークス光生成部103、時間遅延回路105、試料測定部107、検出部109及び演算処理装置111を主に備える。
本開示で着目するCARS分光法では、ポンプ光(周波数:ω)とストークス光(周波数:ω)という2種類のパルス光が用いられる。光源部として機能する超短パルスレーザ光源101は、測定サンプルの所定の分子振動を励起するポンプ光及びストークス光に用いられるパルスレーザ光を射出する。本実施形態では、超短パルスレーザ光源101から射出されたパルスレーザ光は、ビームスプリッタ121へと導光され、2つの光路に分岐される。一方の光路は、ポンプ光用の光路であり、もう一方の光路は、ストークス光用の光路である。本実施形態では、ポンプ光用に分配されたパルスレーザ光は、そのままポンプ光として用いられる。
CARS分光法では、ポンプ光及びストークス光の光ビート周波数が測定サンプルの特定の分子振動周波数(周波数:Ω)と等しいときに、測定サンプルからのアンチストークス光(AS光)の散乱強度が高くなり、得られる信号強度が増大する。
そこで、後述するストークス光生成部103によりストークス光パルスの中心波長を広帯域かつ高速に精密制御できるものであれば、ストークス光波長を任意に選択することが可能になり、本実施形態に係る測定装置は、分光スペクトル取得からイメージングまで広い用途に対応が可能となり、汎用化できる。
具体的には、本実施形態では、図1に示したように、ストークス光生成部103として光強度変調器123及びストークス光発生部125が設けられている。光強度変調器123は、ストークス光パルスの中心波長を広帯域かつ高速に精密制御するものである。この光強度変調器123については、以下で詳述する。また、本実施形態において、ストークス光発生部125は、高非線形光ファイバ、中でも、高非線形フォトニック結晶ファイバとその入出力結合(対物レンズ等)から構成される簡便なものである。
先述のような一般的なCARS分光法では、本実施形態における光強度変調器123及びストークス光発生部125を含めたものが、ポンプ光用超短パルス(モード同期)レーザに同期するもう1台の超短パルス(モード同期)レーザであったり、光パラメトリック発振器であったりした。しかしながら、これらの機器では、高速波長可変は不可能であった。例えば、2台の超短パルスレーザを用いる場合では、レーザ発振器内の波長選択素子は機械式である場合が多く、光パラメトリック発振器を用いる場合では、非線形光学結晶の温度位相整合又は角度位相整合条件に合わせてチューニングしなければならない。
これに対し、高非線形フォトニック結晶ファイバとして、非線形光学係数が高く、高非線形フォトニック結晶ファイバのゼロ分散波長をポンプ光の波長よりも少し短い波長の値になるようにすると、利用したいストークス光発生の波長領域において、高非線形フォトニック結晶ファイバが、異常分散領域で動作する。その結果、超短光パルスの自己位相変調効果とファイバの群速度分散とが釣り合うようにして、光ソリトンが発生することとなる。この光ソリトンの基本ソリトン中心波長は、自己周波数シフト現象(Soliton Self−Frequency Shift)により励起光パルスのピークパワーに依存する。自己周波数シフト現象の時間応答は非常に速く、例えば2MHz程度まで(更には1GHz程度まで)の高速な波長掃引・波長選択が可能となる。
そこで、本実施形態に係るストークス光生成部103では、光強度変調器123により、ビームスプリッタ121で分岐されたパルスビーム光の強度を制御するとともに、所定の参照周波数により周波数変調する。その上で、所望の中心波長の光ソリトンが発生するように強度が制御されたパルスビーム光を高非線形フォトニック結晶ファイバへ入射させることで、FM変調された、所望の波長を有するストークス光を生成することが可能となる。なお、このストークス光生成部103(特に、光強度変調器123)は、演算処理装置111によって強度が制御されている。
ここで、光強度変調器123における参照周波数は、例えば、100kHz以上とすることが好ましい。外来の電気的ノイズやシステムの機械的振動や揺らぎに依存するノイズ、光学系に混入する迷光ノイズ、レーザ光源のノイズ等の多くは、100kHz未満の周波数成分が多い。そこで、周波数変調に用いられる参照周波数を100kHz以上とすることで、上記のノイズを除去することが可能となり、信号雑音比を向上させることが可能となる。
また、本実施形態に係る測定装置10では、時間遅延部として機能する時間遅延回路105により、ポンプ光、又は、ストークス光の少なくとも何れか一方を所定時間だけ遅延させる。この時間遅延回路は特に限定されるものではないが、例えば、ミラー等の各種光学部材や、ピエゾステージ等を組み合わせることで形成することができる。
図1に示した例では、時間遅延回路105は、ポンプ光の光路長を変えることで、ポンプ光を所定時間だけ遅延させて、ポンプ光及びストークス光のパルスの試料到達タイミングが一致するようにする。この時間遅延回路105は、演算処理装置111によって、ストークス光として用いられる光ソリトンパルスの中心波長に対応した光路長となるように制御される。
ポンプ光及びストークス光は、群速度分散制御部127によりチャープレート(Δω/Δt)が互いに等しくなるように群速度分散が制御された後(より詳細には、正のチャープ(アップチャープ)された後)、ダイクロイックミラー129で合波され、同一ビームとなって、試料測定部107に設置されたサンプル試料(測定サンプル)に照射される。
CARS分光は3次の非線形光学過程を利用した分光であるため、入射光パルス強度は非常に高いものであることが望ましい。入射光パルス強度を高めるために、試料測定部107として、顕微鏡機能を有したものが用いられる。顕微鏡機能に設けられている対物レンズにより入射光パルスは絞られて、3次の非線形光学過程に十分な強度のパルス光がサンプル試料に照射される。なお、本実施形態に係る測定装置10では、3次の非線形光学過程における位相整合条件は、集光ビーム光学系であることから自動的に満たされる。
CARS分光スペクトルを取得するには、光ソリトンの波長掃引を所定の波長領域(例えば、分子指紋領域の少なくとも一部)に渡って行う。光ソリトンの波長掃引を行うためには、演算処理装置111により光強度変調器123を制御して、ストークス光発生部125に入射するパルスレーザ光の強度を例えば連続的に変化させる。
また、イメージングを行うには、光ソリトンの波長は特定の分子振動に対応するストークス光波長に固定した上で、試料測定部107に設けられた試料ステージを機械的に走査するか、又は、入射光ビーム及び出射光ビームをガルバノミラー等のビームスキャナーで走査することで測定サンプルのXY走査等を行い、画像コントラストを取得する。イメージングを行う際、複数の分子振動(例えば2つの分子振動)に着目し、着目したスペクトルの比を画像コントラストとすべく、波長を複数(例えば2つ)選択してアンチストークス光を測定することも可能である。
試料測定部107からの出射ビームは、図1に示したように、検出部109へと導光される。この検出部109は、図1に示したように、ショートパスフィルタ131と、光検出部133と、ロックインアンプ135と、A/D変換器137と、を備える。
ショートパスフィルタ131は、試料測定部107からの出射ビームのうち、アンチストークス光のみを透過させるフィルタである。アンチストークス光は、ポンプ光よりも短波長であるため、ポンプ光よりも長波長のスペクトルを有する自家蛍光をショートパスフィルタ131により10:1程度の比で分離することが可能となる。これにより、試料測定部107に載置された測定サンプルからのアンチストークス光のみを、後述する光検出部133に導光することができる。
光検出部133は、ショートパスフィルタ131を透過した信号光を検出するデバイスである。光検出部133により、アンチストークス光の信号は光電流に変換されて、後述するロックインアンプ135へと出力される。このような光検出部133としては、例えば、Siフォトダイオードのようなフォトダイオードを利用することができる。また、ダイナミックレンジが十分に広く、変調周波数(参照周波数)に応答があるものであれば、光電子増倍管(PhotoMultiplier Tube:PMT)や、アバランシェ・フォトダイオード(Avalanche PhotoDiode:APD)等を利用することも可能である。
ロックインアンプ135は、光検出部133から出力された光電流を利用し、ストークス光生成部103でレーザパルス光を強度変調する際に利用した参照周波数に基づいてロックイン検波を行う。ロックインアンプ135で用いられる参照周波数は、演算処理装置111によって制御されている。
一般に、ショット雑音や熱雑音は、信号の周波数に関係なく一定であり、信号の周波数帯域幅の平方根に比例する。従って、信号周波数がある決まった周波数で変動することが既知である場合、その周波数を中心とする狭帯域フィルタを用いることで、雑音を低減し高信号雑音比で信号取得が可能である。ロックイン検出法では、信号にある周波数の変調を与え、これと同じ参照周波数を乗算することで周波数2倍の交流成分と直流成分に変換し、高特性の低域透過フィルタを通して直流成分のみを取り出す方法である。これにより、ΔI/I〜10−6〜10−7程度という微弱な信号であっても、信号検出が可能となる。
ロックインアンプ135は、以上のような仕組みで、参照周波数に基づいて光検出部133から出力された光電流のロックイン検波を行い、光電流に重畳されているアンチストークス光信号を抽出する。ロックインアンプ135は、ロックイン検波により得られたアンチストークス光信号を、後述するA/D変換器137に出力する。A/D変換器137は、ロックインアンプから出力されたアンチストークス光信号をA/D変換し、演算処理装置111に出力する。
また、近年では、数GHz以上の周波数帯域を持つデジタルストレージオシロスコープやアナログ−デジタル変換器やFPGAボード等が市販されている。このようなデバイスを利用することで、光検出部133により検出された光電流を高速アナログ−デジタル変換することで信号処理として加算平均化を行い、高速フーリエ変換を行うことで、参照信号周波数成分のみを抽出することが可能となる。その結果、このようなデバイスを利用することにより、ロックイン検出と同等の機能を実現することが可能となる。
演算処理装置111は、ストークス光生成部103での強度変調及び時間遅延部105での時間遅延量を制御しつつ、検出部109によりロックイン検出されたアンチストークス光に基づいて所定の演算処理を実施する。換言すれば、演算処理装置111は、光強度変調器123、時間遅延回路105及びロックインアンプ135を制御しつつ、アンチストークス光に基づいて所定の演算処理を実施するものである。この演算処理装置111の詳細な機能については、以下で詳述する。
以上説明したように、本実施形態に係る測定装置10では、高非線形フォトニック結晶ファイバへ入射させるパルス光の強度を例えば連続的に変化させることで、光ソリトンパルスの中心波長を微小変調(FM変調)させつつ、中心波長を掃引することができる。また、ストークス光として用いられる基本ソリトンパルス(光ソリトンパルス)の中心波長は、微小変調(FM変調)されているため、後述する検出部109でアンチストークス光信号を変調周波数(参照周波数)でロックイン検出することで、差分ラマンスペクトルと同等な非共鳴バックグラウンドを除去した信号を得ることができる。この場合、演算処理装置111は、波長掃引と時間遅延量とを同期させて制御する。その結果、本実施形態に係る測定装置10を利用して、FM−CARS分光スペクトルを取得することが可能となる。
また、本実施形態に係る測定装置10では、高非線形フォトニック結晶ファイバへ入射させるパルス光の強度を固定することで、特定の分子振動に対応するように光ソリトンパルスの波長を選択することができる。ストークス光として用いられる基本ソリトンパルス(光ソリトンパルス)の中心波長は、微小変調(FM変調)されているため、後述する検出部109でアンチストークス光信号を変調周波数(参照周波数)でロックイン検出することで、選択した波長に対応する特定の分子振動スペクトルのコントラスト(画像コントラストイメージ)を得ることができる。その結果、本実施形態に係る測定装置10を利用して、FM−CARS分光イメージングを行うことが可能となる。この場合、上記の例とは異なり波長掃引を行わないため、より高速にイメージング画像を取得することが可能である。
また、FM−CARS分光イメージングは、着目する複数の波長(例えば、2以上の波長)でのスペクトル強度の比を算出することで、画像コントラストを得るものである。ここで、波長の切り替えは、1画像毎、1ライン毎、又は、1画素毎等のように、自由に行うことが可能である。
例えば、生体試料等では、脂質に関するC−Hの伸縮振動、タンパク質のペプチド結合に関するアミド基、ジスフィルド結合(−S=S−)等といった、様々なスペクトルが複雑かつ多数存在する。アンチストークス光信号は分子数に比例するため、単純にある特定のスペクトル強度を用いるだけでは、生体試料の生化学的又は生理学的機能との対応を取るのが困難な場合がある。このような場合、複数の官能基に着目し、そのスペクトル強度比に着目すると、物質密度分布(分子数分布)だけではなく、その他の重要な生体情報が得られることがある。
以上、図1を参照しながら、本実施形態に係る測定装置10について、詳細に説明した。なお、上記説明では、検出部109が測定サンプルからの透過光を検出する場合について説明したが、検出部109は、測定サンプルからの反射光を検出してもよく、透過光及び反射光の双方を検出してもよい。
[演算処理装置の構成について]
続いて、図2を参照しながら、本実施形態に係る測定装置10が備える演算処理装置111の構成について、詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る演算処理装置111の構成の一例を示したブロック図である。
本実施形態に係る演算処理装置111は、図2に示したように、測定制御部151と、データ取得部153と、演算処理部155と、表示制御部157と、記憶部159と、を主に備える。
測定制御部151は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。測定制御部151は、測定装置10に設けられている各種ドライバ(図示せず。)等を制御することで、光強度変調器123における変調処理や、時間遅延回路105における時間遅延量や、ロックインアンプ135におけるロックイン検出を制御する。また、これらの制御以外にも、測定制御部151は、測定装置10における測定処理全体を制御することが可能である。
なお、測定制御部151は、上記の各種制御を行う際に、後述する記憶部159等に格納されている各種のデータベースを参照することができる。また、測定制御部151は、非線形光ファイバ中の光の伝播速度に関するモデル計算結果等を利用して、上記の各種制御を行うことも可能である。
データ取得部153は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。データ取得部153は、測定装置10のA/D変換部137から出力されたデジタル信号のデータ(換言すれば、アンチストークス光に関する測定データ)を取得して、後述する演算処理部155に出力する。また、データ取得部153は、取得したデジタル信号を後述する表示制御部157に出力して、取得したデジタル信号をディスプレイ等の表示装置に出力させるようにしてもよい。更に、データ取得部153は、取得したデジタル信号データに、当該データを取得した日時等に関する時刻データを関連付けて、履歴情報として後述する記憶部159に格納してもよい。
演算処理部155は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。演算処理部155は、データ取得部153が取得したデジタル信号のデータ(アンチストークス光に関するデータ)を利用して、所定の演算処理を実施する。これにより、演算処理部155は、FM−CARS分光スペクトルや、FM−CARS分光イメージング画像を生成することができる。
ここで、本実施形態に係る測定装置10で生成されるFM−CARS分光スペクトルは、いわゆる差分ラマンスペクトルに対応する。従って、測定サンプルのラマンシフトを帰属する際には、得られたFM−CARS分光スペクトル(差分ラマンスペクトル)を利用することで、十分に行うことが可能である。
また、演算処理部155は、FM−CARS分光スペクトルと、記憶部159等に格納されている各種のラマンスペクトルデータやデータベース等と、を利用して、得られたスペクトルの帰属を行うことも可能である。この際、演算処理部155は、公知の手法を利用して、差分スペクトルからラマンスペクトルを算出することが可能である。このような手法は特に限定されるものではないが、例えば、上記非特許文献5に開示されているようなフーリエデコンボリューション(Fourier Deconvolution)を用いた手法や、上記非特許文献6に開示されているようなEMアルゴリズムを用いた手法等を利用することが可能である。
演算処理部155は、FM−CARS分光スペクトルや、FM−CARS分光イメージング画像を生成すると、生成したこれらのデータを、表示制御部157を介してユーザに視覚的に出力させる。また、演算処理部155は、生成したこれらのデータを、プリンタ等を介して出力したり、各種の記録媒体に電子データとして格納したりしてもよい。また、演算処理部155は、生成したこれらのデータに、当該データを生成した日時等に関する時刻データを関連付けて、履歴情報として後述する記憶部159に格納してもよい。
表示制御部157は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置、通信装置等により実現される。表示制御部157は、演算処理装置111や演算処理装置111の外部に設けられたディスプレイ等の表示装置の表示内容を制御する。具体的には、表示制御部157は、演算処理部155におけるCARS分光処理結果を可視化して、CARS分光スペクトルを表示画面に表示したり、コントラスト画像を表示画面に表示したりする際の表示制御を行う。これにより、測定装置10のユーザ(操作者)は、着目している分子振動のCARS分光法による測定結果を、その場で容易に把握することができる。
記憶部159は、例えば、RAMやストレージ装置等により実現される。記憶部159には、測定制御部151が光強度変調器123や時間遅延回路105を制御する際に利用される各種のデータベースや、演算処理部155が実行する各種の演算処理に用いられるアプリケーションを含む各種のプログラムや、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、又は、各種のデータベース等が、適宜記録されてもよい。
この記憶部159は、測定制御部151、データ取得部153、演算処理部155、表示制御部157等の各処理部が、自由にアクセスし、データを書き込んだり読み出したりすることができる。
以上、本実施形態に係る演算処理装置111の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る演算処理装置の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
[光強度変調器について]
次に、本実施形態に係る測定装置10で用いられる光強度変調器123の一例について、詳細に説明する。
以上説明したように、本実施形態に係る測定装置10では、ストークス光発生部125に入射するパルス光の強度を制御することで、ストークス光の中心波長を掃引したり選択したりする。本実施形態に係る測定装置10では、パルス光の強度や変調の度合いを制御するために、本実施形態に係る光強度変調器123が用いられるが、かかる光強度変調器123として、例えば以下のような機器を用いることが可能である。
○光強度変調器の例−1
例えば、光強度変調器123として、音響光学変調器(Acoust Optical Modulator:AOM)又は電気光学変調器(Electro Optical Modulator:EOM)を利用することが可能である。これら変調器は、AOMドライバやEOMドライバ等のドライバを介して、演算処理装置111の測定制御部151により制御される。
光強度変調器123として音響光学変調器又は電気光学変調器を用いた場合、群速度分散は大きくなるが、10〜100MHz程度までは高速変調が可能であり、ノイズの抑制はより効果的となる。この際、群速度分散は、プリズムペアやグレーティングペア等の公知の群速度分散補償ユニットを追加することで補償することが可能である。
また、これら音響光学変調器及び電気光学変調器は、駆動する電気信号により任意の光強度をランダムに選択することが可能であり、鋸波波形の駆動信号により波長掃引したり、所定波形の駆動信号により任意の波長を選択したりすることが、高速に実施可能である。ただし、これら音響光学変調器及び電気光学変調器に用いられる音響光学結晶や電気光学結晶の厚みは1cm以上あるのが一般的であり、また、正の波長分散も大きいため、超短パルスレーザ光源101から射出された超短パルス光のパルス幅を拡げてしまう。そのため、光源として利用する超短パルス光のパルス幅が例えば100フェムト秒(fs)以下である場合には、群速度分散補正を行うことが望ましいことがある。この際には、使用する変調器の前後何れかに、プリズムペアやグレーティングペア等の公知の群速度分散補償ユニットを挿入することが望ましい。
○光強度変調器の例−2
次に、図3A〜図4を参照しながら、光強度変調器123の他の一例について、詳細に説明する。図3A〜図4は、本実施形態に係る光強度変調器の一例を説明するための説明図である。
本実施形態に係る光強度変調器123として、例えば図3Aに示したような、周波数変調に用いられ、かつ、濃度が連続的に変化する濃淡パターンを備えた回転式の減光フィルタ(NDフィルタ)を用いることが可能である。
図3Aに示した光強度変調器では、濃度が連続的に変化するパターンを備えた回転式の波長掃引用減光フィルタ(図3Aにおける濃淡パターン1)と、周波数変調のための濃淡パターンを備える回転式の周波数変調減光フィルタ(図3Aにおける濃淡パターン2)と、が互いに重畳された(互いに掛けあわされた)濃淡パターン1×2が用いられる。
図3Aに示した濃淡パターン1は濃度が連続的に変化しており、図3Aの右側上段に示したグラフ図のように、濃淡パターン1が1周するごとに濃淡パターン1を透過する光の強度も連続的に変化することとなる。従って、この濃淡パターン1は、波長掃引用の濃淡パターンとして機能する。図3Aの場合、濃淡パターンの連続可変濃度周期は1周であるが、1周回に複数(2回、4回等)の連続可変濃淡パターンを設けることで、モータの回転周波数を上げることなく波長掃引の速度を上げることができる。
図3Aに示した濃淡パターン2は、光の透過率が相対的に高い部分と相対的に低い部分とが、交互に配設されている。この濃淡パターンは、いわゆる光チョッパと同様なパターンであり、変調度は、プレート上に蒸着する金属薄膜(アルミ:反射型、クロム:吸収型)の膜厚によって調整が可能である。図3Aの右側下段に示したグラフ図のように、濃淡パターン2を透過する光の強度は、矩形状に変化することとなる。従って、この濃淡パターン2は周波数変調用の濃淡パターンとして機能し、回転周波数を調整することで、変調周波数の大きさを制御することができる。
図3Aに示したような光強度変調器に入射させる超短パルス光のビーム直径は、アフォーカルな集光光学系により調整可能である。例えば、濃淡パターンの直径66mmの円周上にビームが導光されるものとし、モータの回転数を3000rpm(=50rps)、濃淡の周期を円周上0.1mmとしたとき、光ビームの直径を0.1mmとすると、変調周波数は66×π×50/0.1=100kHzとなる。
これらの2つの濃淡パターンを重畳した(濃度を掛け合わせした)パターンの金属薄膜の蒸着を行えば、NDフィルタとしては1枚(従ってモータも一つ)とすることが可能である。NDフィルタのガラス基板としては、波長分散の少ない合成石英基板又は溶融石英基板を用いることが好ましく、板厚も1mm程度が好ましい。このようにすることで、音響光学変調器や電気光学変調器に比べ飛躍的にパルス拡がりの影響を受けずに済み、入射する超短パルスのパルス拡がりを無視できる程度に軽減することが可能になる。
また、図3Aの変形例として、図3Bに示したように、濃淡パターン1を有するNDフィルタと、濃淡パターン2を有するNDフィルタと、をそれぞれ異なるモータに取り付け、タンデム(連続的)に構成しても良い。図3Bに示したような2つのモータを用いる方式を適用した場合、波長掃引用の濃淡パターン1を回転させず所望の濃度の部分に固定することで、ストークス光の波長を固定したFM−CARS分光スペクトルの測定や、FM−CARS分光イメージング画像の生成を行うことが可能となる。
このようなNDフィルタを回転させるためのモータとしては、例えば、ステッピングモータ(低速回転用:例えば、<3000rpm)やDCモータ(高速回転用:例えば、≧3000rpm)等を用途に応じて選択する。
例えば、図3Aに示したような1つのモータを利用した光強度変調器の場合、高速回転可能なDCモータを採用することが好ましい。また、図3Bに示したような2つのモータを利用した光強度変調器の場合、例えば、波長掃引用の濃淡パターン1のモータに比較的低速であるが任意の回転位置にランダムアクセス可能なステッピングモータを採用し、また、周波数変調用の濃淡パターン2のモータに高速回転可能なDCモータを採用することで、更に変調周波数を上げることが可能となる。なお、2つのNDフィルタの回転の同期(分周、逓倍周も含めた同期)を取ることは、測定制御部151が、各々の光透過モニター信号又は回転センサの回転信号等を参照しながらモータドライバ等により制御することで、容易に実現可能である。しかしながら、本開示において、波長掃引の速度(周波数)と変調周波数とは桁違いに異なるため、必ずしも行わなくても良い。
図3A及び図3Bに示したような光強度変調器を用いることで、図4に示したような、周波数変調及び強度変調されたパルスレーザ光を生成することが可能となる。
以上、図3A〜図4を参照しながら、本実施形態に係る測定装置10で用いられる光強度変調器123の一例について説明した。
<測定装置の光路図の一例について>
次に、図5〜図11を参照しながら、本実施形態に係る測定装置10の光路図の一例について、詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る測定装置における光路図の一例を示した説明図である。図6は、非線形光ファイバの群速度分散特性を示したグラフ図である。図7は、非線形光ファイバへの光の入射強度と光ソリトンパルスの中心波長との関係の一例を示したグラフ図である。図8A〜図8Cは、ストークス光生成部で生成される光ソリトンパルスの一例について示したグラフ図である。図9は、本実施形態に係る群速度分散制御部について説明するための説明図である。図10は、光ソリトンパルスの波長と時間遅延量との関係の一例を示したグラフ図である。図11は、非線形光ファイバへの光の入射強度と時間遅延量との関係の一例を示したグラフ図である。
[光学系の全体構成について]
図5に示した例では、超短パルスレーザ光源101として、TOPTICA社のファイバ型長短パルスレーザFFS−SHGを用い、直線偏光のパルスレーザ光を射出させた。このパルスレーザ光の中心波長は785nmであり、パルス幅は180fsであり、繰り返し周波数は80MHzであり、最大平均パワーは100mWであった。
また、ビームスプリッタ121として、2分の1波長板(Half Wave Plate)HWPと、偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter)PBS1を用いて、ポンプ光用に10mW、ストークス光用に残り90mWを分配した。
また、ストークス光生成部103として、音響光学素子AOM(HOYA製A−200)又は図3Aに示した自作の回転式NDフィルタを利用した光強度変調器123と、フォトニック結晶ファイバPCFを利用したストークス光発生部125と、を設けた。音響光学素子AOMを光強度変調器として用いる場合には、集光せず変調周波数2MHzで光強度変調を行った。なお、更に高速変調する場合には、f200程度のアフォーカル光学系の焦点位置に音響光学素子AOMを置くことで、10MHz程度まで変調が可能である。フォトニック結晶光ファイバPCFとしては、NKT社製NL−PM−750を5m利用し、このフォトニック結晶光ファイバの両端には、ファイバ結合用の対物レンズ(NA0.65)が設けられている。また、フォトニック結晶光ファイバPCFの後段には、ポンプ光及びアンチストークス光等の不要な光を遮断し、ストークス光のみを透過するロングパスフィルタLPF(Semrock社製LP01−808)を設けた。また、フォトニック結晶光ファイバPCFとロングパスフィルタLPFとの間には一組のミラーMを設け、ストークス光とポンプ光とを同軸とするためのアライメントが行えるようにした。
他方、偏光ビームスプリッタPBS1を透過したポンプ光は、後段に設けられた偏光ビームスプリッタPBS2で反射され、4分の1波長板(Quarter Wave Plate)QWPを通過後、機械式ステッピングモータリニアステージ、超音波モータリニアステージ又はピエゾステージ等の可動式ステージに載置されたミラーMで反射されて、再び4分の1波長板QWPを通過し偏光ビームスプリッタPBS2を透過する。これら部分が、安定な時間遅延回路3として動作する。演算処理装置111の測定制御部151は、可動式ミラーMの位置を制御することでポンプ光の時間遅延量を制御し、ポンプ光のパルスと、ストークス光のパルスとの間のタイミングを調整する。図5に示した例では、時間遅延回路105用の直線移動ステージとして、テクノハンズ社の超音波モータ駆動X軸ステージXET70−6/16Aを使用した。
また、ポンプ光及びストークス光の光路上には、群速度分散制御部127として、正の群速度分散を有する透明媒質である高分散ガラス(オハラ製S−NPH3)を配置した。この群速度分散制御部127の機能については、以下で詳述する。
ストークス光とポンプ光の2つのパルスビームは、ダイクロイックロングパスフィルタ(Dichroic Long Pass Filter)DLPFで合波され、ビームエキスパンダ(Beam Expander)BEでビーム径が拡大された後に、試料測定部107として機能する顕微鏡ユニットに装着された、試料ステージ上の測定サンプルに照射される。ここで、ダイクロイックロングパスフィルタDLPFとしては、エドモンド社のダイクロイックロングパスフィルタ69894−L(カットオン波長800nm)を使用した。また、顕微鏡ユニットには、Nikon社のTE−2000Uを使用し、試料ステージには、PI社の3次元ピエゾステージを搭載した。
測定サンプルから戻ってくるアンチストークス光は、ダイクロイックロングパスフィルタ(Dichroic Long Pass Filter)DLPFで反射され、ショートパスフィルタ131(SPF)を通過後集光されて、光検出部133として機能するアバランシェ・フォトダイオードAPDに入射する。ここで、ダイクロイックロングパスフィルタとして、エドモンド社の69893−L(カットオン波長750nm)を使用した。また、ショートパスフィルタ131(SPF)として、Semrock社のショートパスフィルタSP01−785RU(カットオフ波長779nm)を使用した。また、アバランシェ・フォトダイオードとし、浜松ホトニクス社のAPDモジュールC4777を使用した。
アバランシェ・フォトダイオードAPDで検知されたアンチストークス光の信号は、ロックインアンプ135へと出力される。このロックインアンプ135として、例えば、参照周波数が100kHz以下であればNF回路ブロック社のLI5640を使用可能であり、2MHz以下であればSignal Recovery社製DSPロックインアンプ7280型を使用可能であり、2MHz以上であればStanford Research system社製 SR844型DSP2位相デジタルロックインアンプ等を使用可能である。
また、ストークス光のスペクトル分布を測定したい場合には、B&K TEK社の小型スペクトロメータBBRC642E等を用いることが可能である。
このような光学系により測定されたアンチストークス光をロックイン検出し、A/D変換器137でデジタル信号とした後に、演算処理装置111により演算処理を行った。
なお、図5に示した光路で表される光学系は、いわゆる、Epi−CARS分光の光学系となっているが、図1に示したような透過モード、即ち、Forward−CARS分光の光学系となっていてもよい。
[光ソリトンパルスについて]
図6は、NKT社カタログデータに基づき作製した、フォトニック結晶ファイバNL−PM−750の分散パラメータを示したグラフ図である。図6の横軸は、フォトニック結晶ファイバに入射する光の波長であり、縦軸は、分散パラメータ(Dパラメータ)である。図6に示したグラフ図は、ゼロ波長分散を波長750nmに有する高非線形フォトニック結晶ファイバの代表的な分散特性を表している。このグラフ図から明らかなように、750nm以上の波長領域は、分散パラメータが正の値となる異常分散領域にあり、分散効果によるパルス拡がりと自己位相変調(SPM)によるパルス圧縮が釣り合ったときに、光ソリトンが発生する。光ソリトンは、ファイバ伝搬中にパルス拡がりが起こらず、一定のパルス幅でファイバ中を進行する。この異常分散領域では、波長の短い成分が波長の長い成分より速く進む点で、注意が必要である。
光ファイバに入射する光のパワー(入射パワー)が高くなってくると、初期のパルス幅が200fs以下と短く波長成分が数nm以上ある場合、ソリトンパルス内の短波長成分の誘導ラマン散乱により長波長成分が増幅され、光ソリトンの中心波長は長波長側にシフトする。この現象を、ソリトン自己周波数シフト(Soliton Self−Frequency Shift)という。このソリトン自己周波数シフトでは、ファイバ長が長くなるほど、また、入射ピークパワーが大きくなるほど、波長は長波長側にシフトする。
ここで、入射パワーが高くなると、スペクトル分布において、着目する基本ソリトン以外に、ポンプ光波長と基本ソリトンの中心波長との中間に、更に別のスペクトルピークが現れるようになる。これらのピークは、基本ソリトンよりも高次のソリトンである。このような高次のソリトンが発生する理由は、入射パワーが高くなることによって、基本ソリトン以外の高次のソリトンも発生しうるエネルギーが光ファイバ内に入射するためである。しかしながら、本発明者らによる検証の結果、これら高次のソリトンは、本実施形態において光ソリトンパルスとして利用される基本ソリトンに対し、スペクトルピークが少なくとも50nm以上は離隔していることが明らかとなった。従って、本実施形態に係る測定装置10では、基本ソリトンを選択的に利用することが可能である。
図7は、ストークス光発生部125に入射する(光強度変調器123通過後の)超短パルスレーザの平均パワー(12種類)に対する、基本ソリトンの中心波長の関係を示したものである。図7から明らかなように、ストークス光発生部125に入射するパルスレーザの強度を制御することで、発生する基本ソリトンの中心波長を選択可能であることがわかる。
また、図8A〜図8Cは、各々のストークス光ビームのスペクトル分布を示している。図8A〜図8Cでは、ロングパスフィルタにより800nm以下の波長のポンプ光の残留成分及びアンチストークス光成分は、全て遮断されている。図8A〜図8Cから明らかなように、ストークス光発生部125に入射するパルスレーザの強度を制御することで、12種類の中心波長を有する基本ソリトンが生成していることがわかる。なお、図8B及び図8Cにおいて、矢印で示したスペクトルピーク以外のピークが、高次のソリトンに対応したピークである。本発明者らによる検討の結果、基本ソリトンのスペクトル分布はほぼガウス分布で近似が可能であり、その半値全幅は、12nm〜18nmであった。
基本ソリトン波は、ほぼフーリエ限界パルスとみなすことができる。フォトニック結晶ファイバ内のパルス伝搬が異常分散領域であることを考慮すると、中心波長が短い基本ソリトンの方が、中心波長の長い基本ソリトンに比べ伝搬速度が速い。従って、ポンプ光パルスに対する時間遅延量は、中心波長が短い基本ソリトンの方が多くなるように設定される。
[群速度分散制御部について]
本実施形態に係る群速度分散制御部127は、ポンプ光及びストークス光の群速度分散を補償し、CARS分光(すなわち、アンチストークス光)のスペクトル分解能を向上させるために設けられるものである。ここで、群速度とは、パルス光の包絡線の伝播速度、すなわち、パルスのエネルギー塊の伝播速度であり、群速度分散とは、パルス光の拡がり表したものである。この群速度分散の補償処理は、上記非特許文献4に開示されている、Spectral focusing(スペクトル集束)という手法により実現される。図9は、Spectral focusingの概念を説明するための説明図である。
本開示で着目しているCARS分光法では、その光源としてパルス光が用いられる。一つのパルスの包絡線内で変化している瞬間的な周波数(瞬間周波数)をω(t)と表すとすると、その周波数は、基本周波数ωを利用して、ω(t)=ω+2βtと表すことができる。ここで、上記式において、パラメータβは、チャープパラメータと呼ばれるものである。また、図9では、横軸に時間tを取り、縦軸に周波数ωを取ることで、各パルス光がどのような特性を有しているかを示したものである。
まず、図9の左側に示した模式図に着目する。一般的なCARS分光法において、例えばポンプ光として、周波数方向よりも時間方向に広がりを持ったパルス光が用いられ、ストークス光として、時間方向よりも周波数方向に広がりを持ったパルス光が用いられたものとする。この場合、これら2つのパルス光は、チャープレートが互いに異なるため、光ビート周波数分布の瞬時半値幅である瞬時差分周波数(Instantaneous Frequency Difference:IFD)は、周波数方向に広がることとなり、観測されるアンチストークス光も周波数方向に広がって、スペクトル分解能が低下することとなる。
一方、Spectral focusingでは、ほぼフーリエ限界パルスに近いポンプ光とストークス光(本開示では基本ソリトン波)について、共に正の群速度分散を有する透明媒質(図5の例では高分散ガラス)を通過させることで、双方のパルスをチャープレート(Δω/Δt)が互いに等しくなるように正にチャープ(up−chirp)させる。ここで、正のチャープとは、一つのパルスの包絡線内において、パルスの前端では周波数が低く、パルスの後端では周波数が高くなる状態であり、上記式において、チャープパラメータβが正である場合に対応する。このようにチャープレートを制御することによって、図9の右側に示したように瞬時差分周波数IFDを狭くすることが可能となり、CARS分光(つまりはアンチストークス光)のスペクトル分解能を向上させることができる。
図5に示した例では、ポンプ光のスペクトル半値全幅は5nm(波数に換算して、Δω=154cm−1)であり、パルス幅Δtは180fsである。一方、中心波長900nmのストークス光に対応する基本ソリトンのスペクトル幅は、図8Bから、20nm(波数に換算してΔω=462cm−1)であり、パルス幅Δtは約60fsである。
群速度分散は、図5に示した光路全体に対して、考慮するものである。ここで、図5に示した例では、主に、ビームエキスパンダBEと顕微鏡内の例えばNA0.75の対物レンズを考慮する。これらの正の群速度分散は、総和で、高分散ガラスS−NPH3の長さに換算して約1cmになる。
ポンプ光の光路中の高分散ガラスS−NPH3の長さを6cmとすると、通過後のパルス幅は410fsとなり、ストークス光の光路中の高分散ガラスS−NPH3の長さを8.8cmとすると、通過後のパルス幅は1.23psとなった。この際、チャープレートΔω/Δtは共に等しく380cm−1/psが実現され、各々のパルス幅は、それぞれ2.3倍、21倍に引き伸ばされた。前述のように、アンチストークス光のスペクトル分解能は瞬時周波数差IFDで決まるが、本例の場合、スペクトル分解能は約23cm−1となった。一般的なCARS分光法において、ポンプ光のスペクトル幅で決まる154cm−1のスペクトル分解能と比較すると、本例では、約1/7にスペクトル分解能が向上したこととなる。ここで、高分散ガラスブロックの長さを長くしていけば、パルス幅は長くなるとともに、チャープレートは小さくなり、スペクトル分解能は更に向上することとなる。
一方で、チャープレートの下限は、ピークパワーの低下、緩和時間、時間遅延量の増大、不要ソリトンとのオーバーラップ等で決まるものである。以下、これらの要因について、具体的に説明する。
チャープレートの下限に関与する各要因のうち、ピークパワーの低下が最も本質的な要因である。CARS分光法は3次の非線形光学効果を利用しているため、ピークパワーの低下はアンチストークス光の信号強度の低下を招く。即ち、信号強度(同一入射パワーに対する検出感度)とスペクトル分解能とは、トレードオフの関係にある。
また、パルス幅が増大し分子振動の位相緩和時間よりも長くなると、分子振動の集団励起コヒーレンスの低下を引き起こし、アンチストークス光の信号強度が低下する。その結果、CARS分光スペクトルのスペクトル形状に歪が生じ、スペクトル形状が変化してしまう。パルス幅が1ps〜数ps以上になると、スペクトル形状に対して重大な影響を与えてしまうため、チャープレート(Δω/Δt)の下限は、ピークパワーの低下と、緩和時間とで、およそ制限される。
また、時間遅延量に関しては、時間遅延回路105として設けられた直線移動ステージの性能に応じて決まるものであるが、3mmの移動で20psの時間遅延が得られ、実用上、市販されている公知の部品を利用することが可能である。
時間遅延量は、例えば図6に示したような高非線形フォトニック結晶ファイバの分散パラメータD、即ち、群速度分散特性より推定することが可能である。測定に利用する光ソリトンパルスの中心波長と時間遅延量との関係は、使用する高非線形フォトニック結晶ファイバに応じて、例えば図10に示したように推定することができる。
また、不要ソリトンとのオーバーラップに関しては、例えば図8Bに示したような950nmの基本ソリトンを例にとると、不要ソリトンは850nm近傍に現れていることがわかる。この基本ソリトンと不要ソリトンとの到達時間差は約20psであり、不要ソリトンの方が伝搬速度は速く、基本ソリトンよりも先に到達している。従って、不要ソリトンと基本ソリトンとは、実用上十分に時間的に分離されていることがわかった。また、図8B及び図8Cに示したように、他の基本ソリトンについても、不要ソリトンとは実用上十分に時間的に分離されていることがわかった。
[光ソリトンパルスの中心波長と時間遅延量の制御について]
また、図7及び図10に示した関係性を利用することで、PCF励起光パワーと時間遅延量との関係を算出することができる。これにより、光強度変調器123の制御(すなわち、PCFに入射するレーザパルス光の入射強度の制御)と、時間遅延回路105における時間遅延量を制御する直線移動ステージの移動量との関係を、ルックアップテーブル等のような対照表として準備することができる。
PCF励起パワー(光強度変調器123通過後の出力)と時間遅延量との関係のグラフ図を図11に示すとともに、対照表の例を下記の表1に示す。このようなグラフ図や対照表を、データベースとして演算処理装置111の記憶部159に格納しておくことで、測定制御部151は、光強度変調器123及び時間遅延回路105の制御を行うことが可能である。
また、PCF励起パワーと時間遅延量との対照表は、表1に示したような数値表としてではなく、このPCF励起パワー(光変調器通過後の出力)と時間遅延量の関係を多項式近似などの関数モデルとして表現したものであってもよい。このような関数モデルを記憶部159に格納した上で、測定制御部151が関数モデルに基づき数値演算を行い、実際の光強度変調器123及び時間遅延回路105の直線移動ステージを、A/D変換器等を介して制御してもよい。
更に、測定制御部151は、関数モデルに基づくモデル計算だけでなく、非線形光ファイバ中の光の伝播速度に関する公知のモデル計算等を利用して、PCF励起パワー及び時間遅延量の制御を行っても良い。
Figure 2014125729
以上、本実施形態に係る測定装置10について、図5〜図11を参照しながら具体的に説明した。
(ハードウェア構成について)
次に、図12を参照しながら、本開示の実施形態に係る演算処理装置111のハードウェア構成について、詳細に説明する。図12は、本開示の実施形態に係る演算処理装置111のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
演算処理装置111は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、演算処理装置111は、更に、ホストバス907と、ブリッジ909と、外部バス911と、インターフェース913と、入力装置915と、出力装置917と、ストレージ装置919と、ドライブ921と、接続ポート923と、通信装置925とを備える。
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、演算処理装置111内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、演算処理装置111の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。演算処理装置111のユーザは、この入力装置915を操作することにより、演算処理装置111に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置917は、例えば、演算処理装置111が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、演算処理装置111が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置919は、演算処理装置111の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種データなどを格納する。
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、演算処理装置111に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体927は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
接続ポート923は、機器を演算処理装置111に直接接続するためのポートである。接続ポート923の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート等がある。接続ポート923の別の例として、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(登録商標)(High−Definition Multimedia Interface)ポート等がある。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、演算処理装置111は、外部接続機器929から直接各種データを取得したり、外部接続機器929に各種データを提供したりする。
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置925は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
以上、本開示の実施形態に係る演算処理装置111の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
(まとめ)
以上説明したように、本開示の実施形態によれば、高価なポリクロメータや高感度CCD等を用いることなく、コンパクトで安価なファイバ型超短パルスレーザ光源や、安価なアバランシェ・フォトダイオードや光電子増倍管といった構成で、非共鳴バックグランドを除去した高感度化を実現するFM−CARS分光測定を、高性能を維持しながら実現することが可能である。
また、本開示の実施形態によれば、FM−CARS分光スペクトル測定と、特定スペクトル又は複数のスペクトル強度間のレシオメトリー等による画像コントラストのイメージング取得を、同一の装置構成において計測制御ソフトウエアの変更を行うことで、瞬時に容易に切り替えが可能である。そのため、装置構成に無駄が少ない測定装置を実現することが可能である。
また、図3A及び図3Bに示したような高速回転式NDフィルタにより、波長掃引とFM変調用の光強度変調を同時に容易に実現できる安価かつ小型の光強度変調器を実現することができる。この高速回転式NDフィルタを光強度変調器として用いることで、超短パルスの群速度分散を最小限に抑制し、かつ、ストークス光パルスのパルス幅の拡がりを防止することができる。
また、本開示の実施形態に係る測定装置10では、アンチストークス光の一括スペクトル測定を行うマルチプレックス−CARS分光法と比較して、サンプルへのレーザ光の入射パワーは約半分に制限できるため、生体サンプルに対して低侵襲な計測が可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
測定サンプルの所定の分子振動を励起するポンプ光及びストークス光に用いられるパルスレーザ光を射出する光源部と、
前記光源部により生成された前記パルスレーザ光を所定の参照周波数により強度変調しつつ、強度変調された前記パルスレーザ光を利用して所定波長のストークス光を生成するストークス光生成部と、
前記光源部により生成された前記パルスレーザ光を利用したポンプ光、又は、前記ストークス光生成部により生成された前記ストークス光を所定時間遅延させる時間遅延部と、
時間遅延量が制御された前記ポンプ光及び前記ストークス光が照射された前記測定サンプルを透過した透過光、又は、当該測定サンプルからの反射光をロックイン検出する検出部と、
前記ストークス光生成部での前記強度変調及び前記時間遅延部での時間遅延量を制御しつつ、前記検出部によりロックイン検出されたアンチストークス光に基づいて所定の演算処理を実施する演算処理装置と、
を備え、
前記ストークス光生成部は、強度変調された前記パルスレーザ光を非線形光ファイバに透過させることで、当該非線形光ファイバに入射する前記パルスレーザ光の強度に応じた波長を有する光ソリトンパルスを生成させて前記ストークス光とし、
前記時間遅延部は、前記光ソリトンパルスの中心波長に応じて、前記ポンプ光又は前記ストークス光を時間遅延させる、測定装置。
(2)
前記演算処理装置は、前記非線形光ファイバに入射するパルスレーザ光の強度、及び、前記時間遅延量を、モデル計算結果、又は、所定のデータベースに基づき制御する、(1)に記載の測定装置。
(3)
前記演算処理装置は、前記非線形光ファイバに入射するパルスレーザ光の強度を変化させて、前記ストークス光の波長を所定の波長範囲内で掃引させる、(1)又は(2)に記載の測定装置。
(4)
前記演算処理装置は、前記非線形光ファイバに入射するパルスレーザ光の強度を所定の強度に固定させて、所定波長の前記ストークス光を生成させる、(1)又は(2)に記載の測定装置。
(5)
前記演算処理装置では、前記所定波長のストークス光として、2以上の波長の前記ストークス光が設定されており、
前記演算処理装置は、
前記2以上の波長のストークス光と前記ポンプ光とから、前記測定サンプルにおける互いに異なる2以上の分子振動モード間での前記アンチストークス光の強度比を算出し、
算出した前記強度比を利用して、画像コントラストイメージを生成する、(1)〜(4)の何れか1つに記載の測定装置。
(6)
前記ストークス光生成部は、濃度が連続的に変化するパターンを備えた回転式の波長掃引用減光フィルタと、周波数変調のための濃淡パターンを備える回転式の周波数変調減光フィルタとが、互いに異なる回転数で回転し、かつ、前記波長掃引用減光フィルタ及び前記周波数変調減光フィルタが連続的に構成されている光変調ユニットを有する、(1)〜(5)の何れか1つに記載の測定装置。
(7)
前記ストークス光生成部は、周波数変調に用いられ、かつ、濃度が連続的に変化する濃淡パターンを備えた回転式の減光フィルタを有する、(1)〜(5)の何れか1つに記載の測定装置。
(8)
前記ストークス光生成部は、音響光学変調器又は電気光学変調器を有しており、当該音響光学変調器又は電気光学変調器により、前記強度変調を行い、
前記演算処理装置は、前記参照周波数を100kHz以上に制御する、(1)〜(5)の何れか1つに記載の測定装置。
(9)
測定サンプルの所定の分子振動を励起するポンプ光及びストークス光に用いられるパルスレーザ光を射出することと、
生成された前記パルスレーザ光を所定の参照周波数により強度変調しつつ、強度変調された前記パルスレーザ光を利用して所定波長のストークス光を生成することと、
生成された前記パルスレーザ光を利用したポンプ光、又は、生成された前記ストークス光を所定時間遅延させることと、
時間遅延量が制御された前記ポンプ光及び前記ストークス光が照射された前記測定サンプルを透過した透過光、又は、当該測定サンプルからの反射光をロックイン検出することと、
前記ストークス光を生成させる際の前記強度変調及び時間遅延させる際の時間遅延量を制御しつつ、前記検出部によりロックイン検出されたアンチストークス光に基づいて所定の演算処理を実施することと、
を含み、
前記ストークス光を発生させる際には、強度変調された前記パルスレーザ光を非線形光ファイバに透過させることで、当該非線形光ファイバに入射する前記パルスレーザ光の強度に応じた波長を有する光ソリトンパルスを生成させて、前記ストークス光とし、
前記光ソリトンパルスの中心波長に応じて、前記ポンプ光又は前記ストークス光を時間遅延させる、測定方法。
10 測定装置
101 超短パルスレーザ光源
103 ストークス光生成部
105 時間遅延回路
107 試料測定部
109 検出部
111 演算処理装置
121 ビームスプリッタ
123 光強度変調器
125 ストークス光発生部
127 群速度分散制御部
129 ダイクロイックミラー
131 ショートパスフィルタ
133 光検出部
135 ロックインアンプ
137 A/D変換器
151 測定制御部
153 データ取得部
155 演算処理部
157 表示制御部
159 記憶部

Claims (9)

  1. 測定サンプルの所定の分子振動を励起するポンプ光及びストークス光に用いられるパルスレーザ光を射出する光源部と、
    前記光源部により生成された前記パルスレーザ光を所定の参照周波数により強度変調しつつ、強度変調された前記パルスレーザ光を利用して所定波長のストークス光を生成するストークス光生成部と、
    前記光源部により生成された前記パルスレーザ光を利用したポンプ光、又は、前記ストークス光生成部により生成された前記ストークス光を所定時間遅延させる時間遅延部と、
    時間遅延量が制御された前記ポンプ光及び前記ストークス光が照射された前記測定サンプルを透過した透過光、又は、当該測定サンプルからの反射光をロックイン検出する検出部と、
    前記ストークス光生成部での前記強度変調及び前記時間遅延部での時間遅延量を制御しつつ、前記検出部によりロックイン検出されたアンチストークス光に基づいて所定の演算処理を実施する演算処理装置と、
    を備え、
    前記ストークス光生成部は、強度変調された前記パルスレーザ光を非線形光ファイバに透過させることで、当該非線形光ファイバに入射する前記パルスレーザ光の強度に応じた波長を有する光ソリトンパルスを生成させて前記ストークス光とし、
    前記時間遅延部は、前記光ソリトンパルスの中心波長に応じて、前記ポンプ光又は前記ストークス光を時間遅延させる、測定装置。
  2. 前記演算処理装置は、前記非線形光ファイバに入射するパルスレーザ光の強度及び前記時間遅延量を、モデル計算結果、又は、所定のデータベースに基づき制御する、請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記演算処理装置は、前記非線形光ファイバに入射するパルスレーザ光の強度を変化させて、前記ストークス光の波長を所定の波長範囲内で掃引させる、請求項2に記載の測定装置。
  4. 前記演算処理装置は、前記非線形光ファイバに入射するパルスレーザ光の強度を所定の強度に固定させて、所定波長の前記ストークス光を生成させる、請求項2に記載の測定装置。
  5. 前記演算処理装置では、前記所定波長のストークス光として、2以上の波長の前記ストークス光が設定されており、
    前記演算処理装置は、
    前記2以上の波長のストークス光と前記ポンプ光とから、前記測定サンプルにおける互いに異なる2以上の分子振動モード間での前記アンチストークス光の強度比を算出し、
    算出した前記強度比を利用して、画像コントラストイメージを生成する、請求項2に記載の測定装置。
  6. 前記ストークス光生成部は、濃度が連続的に変化するパターンを備えた回転式の波長掃引用減光フィルタと、周波数変調のための濃淡パターンを備える回転式の周波数変調減光フィルタとが、互いに異なる回転数で回転し、かつ、前記波長掃引用減光フィルタ及び前記周波数変調減光フィルタが連続的に構成されている光変調ユニットを有する、請求項2に記載の測定装置。
  7. 前記ストークス光生成部は、周波数変調に用いられ、かつ、濃度が連続的に変化する濃淡パターンを備えた回転式の減光フィルタを有する、請求項2に記載の測定装置。
  8. 前記ストークス光生成部は、音響光学変調器又は電気光学変調器を有しており、当該音響光学変調器又は電気光学変調器により、前記強度変調を行い、
    前記演算処理装置は、前記参照周波数を100kHz以上に制御する、請求項2に記載の測定装置。
  9. 測定サンプルの所定の分子振動を励起するポンプ光及びストークス光に用いられるパルスレーザ光を射出することと、
    生成された前記パルスレーザ光を所定の参照周波数により強度変調しつつ、強度変調された前記パルスレーザ光を利用して所定波長のストークス光を生成することと、
    生成された前記パルスレーザ光を利用したポンプ光、又は、生成された前記ストークス光を所定時間遅延させることと、
    時間遅延量が制御された前記ポンプ光及び前記ストークス光が照射された前記測定サンプルを透過した透過光、又は、当該測定サンプルからの反射光をロックイン検出することと、
    前記ストークス光を生成させる際の前記強度変調及び時間遅延させる際の時間遅延量を制御しつつ、前記検出部によりロックイン検出されたアンチストークス光に基づいて所定の演算処理を実施することと、
    を含み、
    前記ストークス光を発生させる際には、強度変調された前記パルスレーザ光を非線形光ファイバに透過させることで、当該非線形光ファイバに入射する前記パルスレーザ光の強度に応じた波長を有する光ソリトンパルスを生成させて、前記ストークス光とし、
    前記光ソリトンパルスの中心波長に応じて、前記ポンプ光又は前記ストークス光を時間遅延させる、測定方法。
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