JPWO2007074923A1 - 発光測定装置並びに発光測定方法 - Google Patents
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Abstract
発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生体組織、細胞、生物個体等の生物試料からの発光量又は発光強度を生物試料毎に個別に測定することのできる新規な発光測定装置が提供される。本発明の発光測定装置は、複数の生物試料の発光画像を取得する画像取得部と、発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する測定領域指定部と、発光画像に基づいて、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する発光測定部とを含み、測定領域内にある生物試料毎に個別に発光量又は発光強度を測定する。細胞への発光タンパク質の遺伝子導入効率等のばらつきによらず、成功裡に遺伝子発現された生物試料のみに注目してその発光測定することが可能となる。
Description
本発明は、発光タンパク質を発現する遺伝子(以下、「発光タンパク質遺伝子」と称する。)が導入された生きた生物試料からの発光量や発光強度を測定する発光測定装置及びそのような生物試料の発光量や発光強度を測定する発光測定方法に係り、上記の如き発光量や発光強度の測定を、顕微鏡観察を用いて行う装置及び方法に係る。
生命科学の研究或いは医薬品の開発の分野に於いて、しばしば、或る細胞内に於いて或る特定の遺伝子の発現の検出或いはその発現量の計測が行われることがある。例えば、医薬品開発のプロセスに於いては、臨床試験の前段階として、(a)特異的な疾患標的分子の同定とその疾患標的分子の検出に有効なアッセイの開発と最適化、(b)開発されたアッセイを用いたスクリーニングによる化合物ライブラリーに於けるヒット化合物及びリード化合物の同定、(c)ヒット化合物又はリード化合物のうち代謝性又は安全性について有効性を有し医薬品としての使用が試みられるシード化合物の認定といった一連の複数のプロセスが実施されるところ、化合物のスクリーニングに於いて、生化学的なアッセイの他に、化合物の生体への効果や影響を調べ、生きた細胞を含む生物学的系における有効性を検査する目的で、或る化合物を添加した際の生体内に於ける任意の遺伝子の発現量が計測され、化合物に関する情報の一つとして用いられる。生体内において、一般的には、環境条件又はその他の条件によって、遺伝子の発現量は時々刻々と変化しているので、上記の化合物を添加した際の遺伝子発現の計測に於いては、その発現量の経時的変化も計測される。
従来に於いては、細胞内の遺伝子の発現の有無或いは発現量の経時的変化は、ノーザンブロットやウェスタンブロット、RT−PCRなどの手法を用いて測定されていたが、これらの古典的な方法は、遺伝子発現量の計測時に於いて、細胞を任意の方法で処理する必要があり、同一の細胞に於ける遺伝子発現量の経時的変化を追跡することができず、また、実験者が長時間拘束され(実験者は一定時間ごとに細胞の処理をする必要がある)、処理操作が煩雑である。そこで、最近、任意の特定のタンパク質の発現に関連付けられて発光タンパク質が発現するように、例えば、任意のタンパク質に発光タンパク質が融合した状態で発現するよう発光タンパク質遺伝子が導入された細胞を用いた「レポーターアッセイ」により、同一の細胞に於いて遺伝子発現量の経時的変化の追跡をする試みが為されている(例えば、サムブルック及びラッセル著「分子クローニング 研究室用マニュアル」(Sambrook,Russell(2001),Molecular cloning.A laboratory manual,Third edition.Chapter 17,Analysis of gene expression in cultured mammalian cells:17.1−17.112)参照)。
所謂「レポーターアッセイ」に於いては、注目するタンパク質の遺伝子又はその発現に関わる遺伝子に、例えば、発光タンパク質の一つであるルシフェラーゼをコードした遺伝子(以下、「ルシフェラーゼ遺伝子」とする。)を接続したものが、被験細胞に導入される。そして、その注目するタンパク質の発現に伴ってルシフェラーゼが発現すると、ルシフェラーゼがルシフェリンと反応することにより光が放出されるので(生物発光現象)、ルシフェラーゼを注目するタンパク質の発現のレポーター分子として用い、ルシフェラーゼによる光を検出することによって、注目するタンパク質の発現の検出が可能となる。また、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応による発光量を計測することにより、注目するタンパク質の発現量又は発現の強さを計測することが可能となる。
例えば、医薬品開発プロセスに於ける化合物のスクリーニングの過程で一般的に行われるレポーターアッセイでは、ルシフェラーゼ遺伝子(即ち、それが付加されたタンパク質の遺伝子)の、或る特定の時点に於ける発現の強さの計測は、ルシフェラーゼが発現した細胞を溶解した細胞溶解液とルシフェリンやATPやマグネシウムなどを含む基質溶液とを反応させ、次いで基質溶液と反応させた細胞溶解液からの発光量を、光電子増倍管を用いたルミノメーターにより測定することにより行われ、これにより、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量、即ち、注目するタンパク質の発現量の細胞集団全体の平均値が測定される。また、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を経時的に捉えるには、ルシフェラーゼ遺伝子が導入された細胞を培養するインキュベータにルミノメーターが設けられ、培養している細胞集団全体からの発光量がそのルミノメーターで一定時間ごとに計測される。これにより、ルミノメーターで検出される発光強度を参照して、一定の周期性をもった発現リズムなどを測定することができ、細胞集団全体における発光関連遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)の発現量の経時的変化を捉えることが可能となる。
また、ルシフェラーゼなどの発光タンパク質の発する光を用いて光学顕微鏡に於いてイメージングし、細胞に於ける遺伝子発現を検出する試みも為されている。そのような発光タンパク質を利用したイメージングの例として、例えば、ルッター等(Rutter,White,Tavare(1995)”Involvement of MAP kinase in insulin signalling revealed by non−invasive imaging of luciferase gene expression in single living cells.Current biology Vol.5:890−899.)は、フォトンカウンティングカメラを使用して単一の生細胞中のルシフェラーゼの遺伝子発現のイメージングによりインシュリン信号伝達にMAPキナーゼが関与していることを観察した。また、スターンベルグ等(Sternberg,Eberl,Kongsbak,Molin(1997),”Detection of bioluminescence from individual bacterial cells:a comparison of two different low−light imaging system.J.Bioluminescence and Chemiluminescence Vol.12:7−13.)は、フォトンカウンティングカメラと冷却CCDカメラを用い生物発光の検出について報告した。更に、タカスカ等(Takasuka,White,Wood,Robertson,Davis(1998),“Dynamic changes in prolactin promoter activation in individual living lactotrophic cells.”,Endocrinology vol.139:1361−1368.)は、フォトンカウンティングカメラを使用して単一の生細胞中のルシフェラーゼの遺伝子発現のイメージングによりプロラクチンプロモーターの活性化に於ける動的変化が観察されたことを報告した。
ところで、上記の如き発光タンパク質を用いたレポーターアッセイに於いて、細胞に発光タンパク質の遺伝子を導入して発現させる際、通常、その遺伝子の導入効率や発現の成功率には、細胞毎にばらつきを生ずる。そもそも、遺伝子の導入に於いては、全ての細胞に確実に遺伝子が導入されるわけではなく、遺伝子が導入された細胞に於いても、必ずしも成功裡に(本来、発現されるべきときに)遺伝子発現が生じるわけではない。例えば、HeLa細胞などのクローン化した培養細胞であっても、細胞膜表面のレセプターを介した薬剤の応答が個々の細胞でばらつくことがある。従って、レポーターアッセイに於いて精度よく遺伝子発現の有無及び経時変化を計測するためには、発光量や発光強度を個々の細胞について測定できることが好ましい。しかしながら、医薬品開発プロセスに於ける化合物のスクリーニングの過程に於いて採用されているルミノメーターにより発光タンパク質の発光量を測定する方法では、測定される発光量は細胞集団全体からの発光量であり、発光量や発光強度を細胞毎に個別に計測するという要求を満たすことはできない。
発光量や発光強度を細胞毎に個別に計測することは、上記の例示されている如き、光学顕微鏡を用いた細胞に於いて生ずる発光現象のイメージングに於いて、顕微鏡下の細胞毎に発光量又は発光強度を測定することにより達成される。しかしながら、現在のところ、発光現象のイメージングは、一部の研究室に於いて、個々の研究に特化した態様にて実行されているのみであり、例えば、前記の如き医薬品開発のプロセスに於ける化合物のスクリーニングなどに於いて要求される或る特定の遺伝子の発現の検出若しくはその発現量の計測を、迅速且容易に実行可能な装置又は方法は確立されていない。実際、超高感度の検出素子を用いれば、微弱な発光を検出することが可能であるが、モザイク画像しか得ることができず、発光量を測定する領域を指定して詳細な解析を行うことは困難であった。
従来に於いては、細胞内の遺伝子の発現の有無或いは発現量の経時的変化は、ノーザンブロットやウェスタンブロット、RT−PCRなどの手法を用いて測定されていたが、これらの古典的な方法は、遺伝子発現量の計測時に於いて、細胞を任意の方法で処理する必要があり、同一の細胞に於ける遺伝子発現量の経時的変化を追跡することができず、また、実験者が長時間拘束され(実験者は一定時間ごとに細胞の処理をする必要がある)、処理操作が煩雑である。そこで、最近、任意の特定のタンパク質の発現に関連付けられて発光タンパク質が発現するように、例えば、任意のタンパク質に発光タンパク質が融合した状態で発現するよう発光タンパク質遺伝子が導入された細胞を用いた「レポーターアッセイ」により、同一の細胞に於いて遺伝子発現量の経時的変化の追跡をする試みが為されている(例えば、サムブルック及びラッセル著「分子クローニング 研究室用マニュアル」(Sambrook,Russell(2001),Molecular cloning.A laboratory manual,Third edition.Chapter 17,Analysis of gene expression in cultured mammalian cells:17.1−17.112)参照)。
所謂「レポーターアッセイ」に於いては、注目するタンパク質の遺伝子又はその発現に関わる遺伝子に、例えば、発光タンパク質の一つであるルシフェラーゼをコードした遺伝子(以下、「ルシフェラーゼ遺伝子」とする。)を接続したものが、被験細胞に導入される。そして、その注目するタンパク質の発現に伴ってルシフェラーゼが発現すると、ルシフェラーゼがルシフェリンと反応することにより光が放出されるので(生物発光現象)、ルシフェラーゼを注目するタンパク質の発現のレポーター分子として用い、ルシフェラーゼによる光を検出することによって、注目するタンパク質の発現の検出が可能となる。また、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応による発光量を計測することにより、注目するタンパク質の発現量又は発現の強さを計測することが可能となる。
例えば、医薬品開発プロセスに於ける化合物のスクリーニングの過程で一般的に行われるレポーターアッセイでは、ルシフェラーゼ遺伝子(即ち、それが付加されたタンパク質の遺伝子)の、或る特定の時点に於ける発現の強さの計測は、ルシフェラーゼが発現した細胞を溶解した細胞溶解液とルシフェリンやATPやマグネシウムなどを含む基質溶液とを反応させ、次いで基質溶液と反応させた細胞溶解液からの発光量を、光電子増倍管を用いたルミノメーターにより測定することにより行われ、これにより、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量、即ち、注目するタンパク質の発現量の細胞集団全体の平均値が測定される。また、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を経時的に捉えるには、ルシフェラーゼ遺伝子が導入された細胞を培養するインキュベータにルミノメーターが設けられ、培養している細胞集団全体からの発光量がそのルミノメーターで一定時間ごとに計測される。これにより、ルミノメーターで検出される発光強度を参照して、一定の周期性をもった発現リズムなどを測定することができ、細胞集団全体における発光関連遺伝子(ルシフェラーゼ遺伝子)の発現量の経時的変化を捉えることが可能となる。
また、ルシフェラーゼなどの発光タンパク質の発する光を用いて光学顕微鏡に於いてイメージングし、細胞に於ける遺伝子発現を検出する試みも為されている。そのような発光タンパク質を利用したイメージングの例として、例えば、ルッター等(Rutter,White,Tavare(1995)”Involvement of MAP kinase in insulin signalling revealed by non−invasive imaging of luciferase gene expression in single living cells.Current biology Vol.5:890−899.)は、フォトンカウンティングカメラを使用して単一の生細胞中のルシフェラーゼの遺伝子発現のイメージングによりインシュリン信号伝達にMAPキナーゼが関与していることを観察した。また、スターンベルグ等(Sternberg,Eberl,Kongsbak,Molin(1997),”Detection of bioluminescence from individual bacterial cells:a comparison of two different low−light imaging system.J.Bioluminescence and Chemiluminescence Vol.12:7−13.)は、フォトンカウンティングカメラと冷却CCDカメラを用い生物発光の検出について報告した。更に、タカスカ等(Takasuka,White,Wood,Robertson,Davis(1998),“Dynamic changes in prolactin promoter activation in individual living lactotrophic cells.”,Endocrinology vol.139:1361−1368.)は、フォトンカウンティングカメラを使用して単一の生細胞中のルシフェラーゼの遺伝子発現のイメージングによりプロラクチンプロモーターの活性化に於ける動的変化が観察されたことを報告した。
ところで、上記の如き発光タンパク質を用いたレポーターアッセイに於いて、細胞に発光タンパク質の遺伝子を導入して発現させる際、通常、その遺伝子の導入効率や発現の成功率には、細胞毎にばらつきを生ずる。そもそも、遺伝子の導入に於いては、全ての細胞に確実に遺伝子が導入されるわけではなく、遺伝子が導入された細胞に於いても、必ずしも成功裡に(本来、発現されるべきときに)遺伝子発現が生じるわけではない。例えば、HeLa細胞などのクローン化した培養細胞であっても、細胞膜表面のレセプターを介した薬剤の応答が個々の細胞でばらつくことがある。従って、レポーターアッセイに於いて精度よく遺伝子発現の有無及び経時変化を計測するためには、発光量や発光強度を個々の細胞について測定できることが好ましい。しかしながら、医薬品開発プロセスに於ける化合物のスクリーニングの過程に於いて採用されているルミノメーターにより発光タンパク質の発光量を測定する方法では、測定される発光量は細胞集団全体からの発光量であり、発光量や発光強度を細胞毎に個別に計測するという要求を満たすことはできない。
発光量や発光強度を細胞毎に個別に計測することは、上記の例示されている如き、光学顕微鏡を用いた細胞に於いて生ずる発光現象のイメージングに於いて、顕微鏡下の細胞毎に発光量又は発光強度を測定することにより達成される。しかしながら、現在のところ、発光現象のイメージングは、一部の研究室に於いて、個々の研究に特化した態様にて実行されているのみであり、例えば、前記の如き医薬品開発のプロセスに於ける化合物のスクリーニングなどに於いて要求される或る特定の遺伝子の発現の検出若しくはその発現量の計測を、迅速且容易に実行可能な装置又は方法は確立されていない。実際、超高感度の検出素子を用いれば、微弱な発光を検出することが可能であるが、モザイク画像しか得ることができず、発光量を測定する領域を指定して詳細な解析を行うことは困難であった。
かくして、本発明の一つの目的は、上記の生物発光現象を用いたレポーターアッセイを行うのに適した細胞の発光量を測定する発光測定とその情報処理を行う装置であって、光学顕微鏡等を用いて取得される生きた細胞又はその他の生物試料の発光像を用いて個々の細胞に於ける発光量又はその経時的変化を測定する装置又は方法を提供することである。
また、本発明のもう一つの目的は、上記の如き装置又は方法であって、医薬品開発のプロセスに於ける化合物のスクリーニングなどに於いて実施される或る特定の遺伝子の発現の検出若しくはその発現量の計測を、従前に比して容易に実行可能な装置又は方法を提供することである。
更に、本発明のもう一つの目的は、上記の如き装置又は方法を任意のコンピュータに於いて実行させるコンピュータプログラムを提供することである。
本発明によれば、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料、例えば、生体組織、細胞、生物個体等、からの発光量又は発光強度を生物試料毎に個別に測定することのできる新規な発光測定装置が提供される。本発明の一つの態様によれば、本発明の発光測定装置は、複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する画像取得部と、画像取得部で取得した発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する測定領域指定部と、測定領域指定部で測定領域が指定されたときに、画像取得部で取得した発光画像に基づいて、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する発光測定部とを含み、これにより、少なくとも一つの測定領域内にある生物試料毎に個別に発光量又は発光強度を測定することを特徴とする。かかる本発明の装置に於いて、典型的には、画像取得部は、光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを含んでいてよく、発光画像は、光学顕微鏡に於いて生物試料内の発光現象により発せられる光を観察して得られる発光顕微鏡像であってよい。
上記の本発明の装置によれば、まず、画像取得部により発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料の発光画像が取得され、しかる後に、測定領域指定部により、取得された発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定して、その測定領域にて撮影されている像からその領域に於ける発光量又は発光強度が測定されることとなる。即ち、測定領域指定部によって、一度に取得された発光画像のうち、任意の特定の領域のみの発光量又は発光強度が測定できるよう構成されることにより、測定領域を複数の生物試料のうちの任意の試料、例えば、細胞又は細胞内の特定の領域に設定するなどして、特定の試料の発光量又は発光強度が測定できることとなる。また、上記の本発明の装置に於いては、後に説明される実施形態に関連して説明される如く、上記の如き画像取得部と、測定領域指定部と、発光測定部とを統合することにより、複数存在する生物試料のうちの個々の試料の発光量又は発光強度の測定が極めて容易になる。
また、上記の本発明の装置に於いては、更に、複数の生物試料へ光を照射する光照射部を含み、画像取得部が光照射部により光が照射されている複数の生物試料を含む照明画像を取得し、測定領域指定部が画像取得部で取得した発光画像と照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、該重ね合わせ画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定するようになっていてよい。なお、この場合、照明画像とは、光照射部の照射光を用いて光学顕微鏡に於いて透過光観察することにより得られる透過光顕微鏡像であってよい。
上記の照明画像を取得し、それと発光画像とを重ね合わせ、重ね合わせ画像を生成して、その重ね合わせ画像に於いて発光量又は発光強度が測定される測定領域の指定を行うようにすると、処理操作が極めて容易になることは理解されるべきである。一般に、生物発光現象による発光量は、極めて微弱であり、生物試料の発光像は、光学顕微鏡下で観察しても、人間の肉眼では識別できないほど暗い。しかも、発光観察の場合、発光タンパク質が存在している領域からしか光が来ないので、生物試料全体の形態や発光部位の位置を特定することが困難である。しかしながら、上記の如く、発光量又は発光強度を測定するべき測定領域の指定の際に、発光画像と照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、その上で、測定領域を決定することにより、使用者は、発光現象が起きている領域、即ち、遺伝子発現が生じている領域が発光画像中に複数存在している生物試料(の像)のうちどの生物試料に在るのか、或いは、何処に位置しているかを把握することができ、或る細胞を特定して発光量や発光箇所を比べて解析する際に、別の細胞と取り違えて選択してしまうことがなくなる。また、発光しているか否かによらず、試料の形態が確認できるので、画像中、発光現象が見られない試料についてもその形態又は状態を把握することが可能となる。なお、画像取得部が光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置である場合に於いて、光学顕微鏡の、生物試料の像を顕微鏡像撮影装置の受光面に結像させる対物レンズとレンズ組立体に於いては、本発明の発明者の研究によれば、好ましくは、受光面に於ける生物試料の像の投影倍率に対する対物レンズの開口数の比の2乗の値が0.01以上であることが好ましいことが分かっている。
上記の本発明の実施の形態として、本発明の装置には、画像取得部を繰り返し実行させるよう画像取得部を制御する制御部が設けられていてよく、発光測定部は、測定領域指定部で少なくとも一つの測定領域が指定されたとき、制御部で画像取得部を繰り返し作動させることにより取得された複数の発光画像に基づいて、発光画像毎に指定された少なくとも一つの測定領域からの発光量又は発光強度を測定するようになっていてよい。これにより、画像中の指定された領域の発光量又は発光強度の経時的な変化を追跡でき、従って、発光タンパク質の遺伝子が融合された又は関連付けられた任意の特定のタンパク質の発現量の経時的変化を知ることが可能となる。この点に関し、前記の如く、発光画像だけで領域指定するのではなく、照明画像と発光画像の重ね合わせ画像により領域指定を行なう場合には、取得したデータを動画(アニメーション)表示する際に、特定の細胞を間違えることなく、動画を連続して表示することができ、迅速且つリアルタイムな解析が可能になる。
また、上記の本発明の装置に於いて、複数の生物試料を刺激するための刺激供給装置が設けられていてもよい。そのような刺激供給装置は、生物試料へ化合物を添加する化合物添加装置、生物試料の温度を調整する温度調整装置、生物試料へガスを供給するガス供給装置などであってよい。
更に、「背景技術」の欄にて述べたように、例えば、医薬品開発プロセスに於いて或る特定の遺伝子の発現の検出及び経時変化の測定を行うためのレポーターアッセイに於いては、生物試料に検査されるべき化合物が与えられる。そこで、特に、そのような或る化合物の、生物試料に対する影響を調べるために、上記の本発明の装置の実施形態に於いては、更に、複数の生物試料へ所定の化合物を添加する化合物添加装置が設けられ、これにより、発光画像を取得する際に、任意に生物試料へ化合物が供給できるようになっていてよい。そして、上記の本発明の装置に於いて、生物試料に対する化合物の影響、例えば、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを、発光測定部で測定した発光量又は発光強度に基づいて判定する発光タンパク質発現判定部が組み込まれ、使用者が迅速に生物試料に対する化合物の影響を知ることができるようになっていてよい。なお、本発明の装置が、生物試料に対する化合物の影響も調べられるよう構成される場合、発光タンパク質発現判定部は、具体的には、発光測定部で測定した発光量又は発光強度に基づいて、所定のパラメータを算出するパラメータ算出部と、パラメータ算出部で算出した所定のパラメータに基づいて、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定するパラメータ基準判定部とを含んでいてよい。所定のパラメータは、生物試料に対する化合物の影響を表す任意の指標、例えば、IC50、半値、速度定数であってよい(例えば,薬物の効き目を表す場合に、効果が100%の半分の値(50%)の効果を与える濃度(半値)で表現することが多い。)。また、化合物の添加に応じた生物試料の発光の変化を正確且つリアルタイムに捉えて発光タンパク質の発現に関する判定を行えるようにするために、本発明の装置に於いては、化合物添加装置と画像取得部とを制御し、化合物添加と画像取得のタイミングとを指示する制御部が含まれていてよい。
ところで、任意の生物試料の発光量又は発光強度を測定する場合に於いて、外部の任意の装置で発光画像を取得し、しかる後に、その発光画像中の任意の領域の発光量又は発光強度を測定できるようになっていてもよい。従って、本発明にもう一つの態様によれば、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を前記の複数の生きた生物試料の発光画像から算出する発光測定のための情報処理装置であって、生物試料の像を含む予め取得した発光画像に於いて、少なくとも一つの測定領域を指定する測定領域指定部と、予め取得した発光画像に於ける少なくとも一つの測定領域の発光量又は発光強度を複数の生きた生物試料の発光画像に基づいて測定する発光測定部とを含むことを特徴とする装置が提供される。かかる装置に於いては、発光画像を当該装置に転送する必要があるが、発光画像さえ取得できれば、発光画像中に写し込まれている複数の生物試料の発光量又は発光強度を個別に測定又は算出することが可能となる。
上記の本発明の一連の態様又は種々の実施形態の作動は、任意のコンピュータをその作動制御に用いることにより実現できることは理解されるべきである。従って、本発明によれば、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を測定する発光測定装置の作動を制御するコンピュータプログラムであって、複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する画像取得部を作動して複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する手順と、画像取得部で取得した発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する手順と、画像取得部で取得した発光画像に基づいて、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を算出する手順とを含み、これにより、少なくとも一つの測定領域内にある生物試料毎に個別に発光量又は発光強度を測定することをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラムが提供される。かかるコンピュータプログラムに於いて、複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する手順を繰り返し実行して複数の発光画像を取得するようになっていてもよく、その場合、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を算出する手順に於いて、複数の発光画像に基づいて、発光画像毎に、指定された少なくとも一つの測定領域からの発光量又は発光強度が算出され、これにより、前記の装置と同様に発光量又は発光強度の経時的変化を知ることができる。
また、上記のコンピュータプログラムに於いては、更に、光照射装置を作動して複数の生物試料へ光を照射する手順と、画像取得部を作動して光照射装置により光が照射されている複数の生物試料を含む照明画像を取得する手順とを含み、発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する手順に於いて、発光画像と照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、該重ね合わせ画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定するようになっていてよい。その場合、上記の本発明の装置と同様に、典型的には、発光画像が光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを用いて光学顕微鏡に於いて生物試料内の発光現象により発せられる光を観察して得られる発光顕微鏡像であり、照明画像が光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを用いて光学顕微鏡に於いて透過光観察することにより得られる透過光顕微鏡像である。そして、光学顕微鏡の、生物試料の像を顕微鏡像撮影装置の受光面に結像させる前記対物レンズとレンズ組立体を含む光学系は、受光面に於ける生物試料の像の投影倍率に対する対物レンズの開口数の比の2乗の値が0.01以上となっていることが好ましい。
更に、上記のコンピュータプログラムに於いて、生物試料に対する任意の刺激の影響を調べる目的で、発光画像を取得する手順に先立って、生物試料に刺激を与える手順を実行するようになっていてよく、生物試料に刺激を与える手順に於いて該生物試料に与えられる刺激は、薬剤刺激、電気刺激、ガスによる刺激、熱による刺激などであってよい。又、特に、生物試料に対する任意の化合物の影響を調べる目的で、発光画像を取得する手順に先立って複数の生物試料へ所定の化合物を添加する化合物添加装置を作動して、複数の生物試料へ所定の化合物を添加する手順と、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を算出する手順に於いて測定した発光量又は発光強度に基づいて、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する手順とが実行できるようになっていてよい。その場合、本発明の装置の場合と同様に、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する手順は、典型的には、発光量又は発光強度に基づいて所定のパラメータを算出する手順と、算出された所定のパラメータに基づいて所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する手順とを含んでいてよい。
更にまた、複数の生物試料の発光量又は発光強度を生物試料毎に個別に且容易に測定できるという特徴は、本発明の装置の場合と同様に、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を複数の生きた生物試料の発光画像から算出する発光測定用コンピュータプログラムであって、生物試料の像を含む予め取得した発光画像に於いて、少なくとも一つの測定領域を指定する手順と、予め取得した発光画像に於ける少なくとも一つの測定領域の発光量又は発光強度を複数の生きた生物試料の発光画像に基づいて測定する手順とを含むことをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラムに於いても実現することができる。
かくして、上記の本発明の装置又はコンピュータの作動によれば、本発明の目的を達成する方法として、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を測定する発光測定方法であって、複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する過程と、発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する過程と、発光画像に基づいて、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する過程とを含み、少なくとも一つの測定領域内にある生物試料毎に個別に発光量又は発光強度を測定することを特徴とする方法が実行される。また、かかる本発明の方法に於いて、光照射装置により複数の生物試料へ光を照射する過程と、光照射装置により光が照射されている複数の生物試料を含む照明画像を取得する過程とを含み、発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する過程に於いて、発光画像と照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、該重ね合わせ画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定するようになっていてよい。また、上記の方法に於いて、複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する過程を繰り返し実行して複数の発光画像を取得し、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する過程に於いて、複数の発光画像に基づいて、発光画像毎に、指定された少なくとも一つの測定領域からの発光量又は発光強度を測定することにより、発光量又は発光強度の経時的変化を測定するようになっていてよい。
なお、上記の方法に於いて、典型的には、上記の本発明の装置の場合と同様に、発光画像は光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを用いて光学顕微鏡に於いて生物試料内の発光現象により発せられる光を観察して得られる発光顕微鏡像であり、照明画像は光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを用いて光学顕微鏡に於いて透過光観察することにより得られる透過光顕微鏡像である。そして、光学顕微鏡の、生物試料の像を顕微鏡像撮影装置の受光面に結像させる対物レンズとレンズ組立体は、好ましくは、受光面に於ける生物試料の像の投影倍率に対する対物レンズの開口数の比の2乗の値が0.01以上となるよう構成されたものである。
更に、上記の本発明の方法に於いて、生物試料に対する任意の刺激の影響を調べるために、発光画像を取得する過程に先立って、生物試料に刺激を与える過程が含まれていてよく、かかる過程に於いて、生物試料に与えられる刺激は、薬剤刺激、電気刺激、ガスによる刺激、熱による刺激などであってよい。特に、生物試料に対する任意の化合物の影響を調べる場合には、発光画像を取得する過程に先立って複数の生物試料へ所定の化合物を添加する過程を実行し、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する過程に於いて測定した発光量又は発光強度に基づいて、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する過程を実行するようになっていてよい。その場合、実施の形態に於いては、画像取得は、化合物添加のタイミングに応じて実行されてよく、又、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する過程に於いて、発光量又は発光強度に基づいて所定のパラメータを算出する過程と、算出された所定のパラメータに基づいて所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する過程とが実行されてよい。
かくして、上記の本発明の装置、コンピュータプログラム又は方法によれば、総じて、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を測定するときに、任意に注目した試料の発光量又は発光強度を選択的に測定することが可能となる。そして、個々の生物試料若しくは細胞の発光量又は発光強度を測定することにより、細胞への発光タンパク質の遺伝子導入効率や細胞に於ける遺伝子発現の成功率の個体差又はばらつきによらず、成功裡に遺伝子発現された細胞又は生物試料のみに注目してその発光量又は発光強度を測定することが可能となる。
かかる本発明に於ける成功裡に遺伝子発現された細胞又は生物試料のみに注目してその発光量又は発光強度を測定することができるという特徴によれば、或る化合物が真に生物試料に与える影響を調べる場合に、前記の如き遺伝子導入効率等に関するアーチファクトを排除して結果を得ることができるので、本発明による生物試料の発光量又は発光強度の測定手法は、「背景技術」の欄に於いて述べた如き医薬品開発のプロセスに於ける化合物のスクーリングのためのレポーターアッセイに於いて有用なツールの一つとして利用できることが期待される。又更に、本発明の装置又はコンピュータプログラムの幾つかの態様に於いては、発光画像の取得から発光量又は発光強度の測定、或いは更に任意の所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かの判定までを実行する統合したシステムとなっているので、従前に比して、迅速に且容易にレポーターアッセイを実行することが可能となる。
本発明のその他の目的及び利点は、以下に於いて、部分的に明らかになり、指摘される。
また、本発明のもう一つの目的は、上記の如き装置又は方法であって、医薬品開発のプロセスに於ける化合物のスクリーニングなどに於いて実施される或る特定の遺伝子の発現の検出若しくはその発現量の計測を、従前に比して容易に実行可能な装置又は方法を提供することである。
更に、本発明のもう一つの目的は、上記の如き装置又は方法を任意のコンピュータに於いて実行させるコンピュータプログラムを提供することである。
本発明によれば、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料、例えば、生体組織、細胞、生物個体等、からの発光量又は発光強度を生物試料毎に個別に測定することのできる新規な発光測定装置が提供される。本発明の一つの態様によれば、本発明の発光測定装置は、複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する画像取得部と、画像取得部で取得した発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する測定領域指定部と、測定領域指定部で測定領域が指定されたときに、画像取得部で取得した発光画像に基づいて、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する発光測定部とを含み、これにより、少なくとも一つの測定領域内にある生物試料毎に個別に発光量又は発光強度を測定することを特徴とする。かかる本発明の装置に於いて、典型的には、画像取得部は、光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを含んでいてよく、発光画像は、光学顕微鏡に於いて生物試料内の発光現象により発せられる光を観察して得られる発光顕微鏡像であってよい。
上記の本発明の装置によれば、まず、画像取得部により発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料の発光画像が取得され、しかる後に、測定領域指定部により、取得された発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定して、その測定領域にて撮影されている像からその領域に於ける発光量又は発光強度が測定されることとなる。即ち、測定領域指定部によって、一度に取得された発光画像のうち、任意の特定の領域のみの発光量又は発光強度が測定できるよう構成されることにより、測定領域を複数の生物試料のうちの任意の試料、例えば、細胞又は細胞内の特定の領域に設定するなどして、特定の試料の発光量又は発光強度が測定できることとなる。また、上記の本発明の装置に於いては、後に説明される実施形態に関連して説明される如く、上記の如き画像取得部と、測定領域指定部と、発光測定部とを統合することにより、複数存在する生物試料のうちの個々の試料の発光量又は発光強度の測定が極めて容易になる。
また、上記の本発明の装置に於いては、更に、複数の生物試料へ光を照射する光照射部を含み、画像取得部が光照射部により光が照射されている複数の生物試料を含む照明画像を取得し、測定領域指定部が画像取得部で取得した発光画像と照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、該重ね合わせ画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定するようになっていてよい。なお、この場合、照明画像とは、光照射部の照射光を用いて光学顕微鏡に於いて透過光観察することにより得られる透過光顕微鏡像であってよい。
上記の照明画像を取得し、それと発光画像とを重ね合わせ、重ね合わせ画像を生成して、その重ね合わせ画像に於いて発光量又は発光強度が測定される測定領域の指定を行うようにすると、処理操作が極めて容易になることは理解されるべきである。一般に、生物発光現象による発光量は、極めて微弱であり、生物試料の発光像は、光学顕微鏡下で観察しても、人間の肉眼では識別できないほど暗い。しかも、発光観察の場合、発光タンパク質が存在している領域からしか光が来ないので、生物試料全体の形態や発光部位の位置を特定することが困難である。しかしながら、上記の如く、発光量又は発光強度を測定するべき測定領域の指定の際に、発光画像と照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、その上で、測定領域を決定することにより、使用者は、発光現象が起きている領域、即ち、遺伝子発現が生じている領域が発光画像中に複数存在している生物試料(の像)のうちどの生物試料に在るのか、或いは、何処に位置しているかを把握することができ、或る細胞を特定して発光量や発光箇所を比べて解析する際に、別の細胞と取り違えて選択してしまうことがなくなる。また、発光しているか否かによらず、試料の形態が確認できるので、画像中、発光現象が見られない試料についてもその形態又は状態を把握することが可能となる。なお、画像取得部が光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置である場合に於いて、光学顕微鏡の、生物試料の像を顕微鏡像撮影装置の受光面に結像させる対物レンズとレンズ組立体に於いては、本発明の発明者の研究によれば、好ましくは、受光面に於ける生物試料の像の投影倍率に対する対物レンズの開口数の比の2乗の値が0.01以上であることが好ましいことが分かっている。
上記の本発明の実施の形態として、本発明の装置には、画像取得部を繰り返し実行させるよう画像取得部を制御する制御部が設けられていてよく、発光測定部は、測定領域指定部で少なくとも一つの測定領域が指定されたとき、制御部で画像取得部を繰り返し作動させることにより取得された複数の発光画像に基づいて、発光画像毎に指定された少なくとも一つの測定領域からの発光量又は発光強度を測定するようになっていてよい。これにより、画像中の指定された領域の発光量又は発光強度の経時的な変化を追跡でき、従って、発光タンパク質の遺伝子が融合された又は関連付けられた任意の特定のタンパク質の発現量の経時的変化を知ることが可能となる。この点に関し、前記の如く、発光画像だけで領域指定するのではなく、照明画像と発光画像の重ね合わせ画像により領域指定を行なう場合には、取得したデータを動画(アニメーション)表示する際に、特定の細胞を間違えることなく、動画を連続して表示することができ、迅速且つリアルタイムな解析が可能になる。
また、上記の本発明の装置に於いて、複数の生物試料を刺激するための刺激供給装置が設けられていてもよい。そのような刺激供給装置は、生物試料へ化合物を添加する化合物添加装置、生物試料の温度を調整する温度調整装置、生物試料へガスを供給するガス供給装置などであってよい。
更に、「背景技術」の欄にて述べたように、例えば、医薬品開発プロセスに於いて或る特定の遺伝子の発現の検出及び経時変化の測定を行うためのレポーターアッセイに於いては、生物試料に検査されるべき化合物が与えられる。そこで、特に、そのような或る化合物の、生物試料に対する影響を調べるために、上記の本発明の装置の実施形態に於いては、更に、複数の生物試料へ所定の化合物を添加する化合物添加装置が設けられ、これにより、発光画像を取得する際に、任意に生物試料へ化合物が供給できるようになっていてよい。そして、上記の本発明の装置に於いて、生物試料に対する化合物の影響、例えば、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを、発光測定部で測定した発光量又は発光強度に基づいて判定する発光タンパク質発現判定部が組み込まれ、使用者が迅速に生物試料に対する化合物の影響を知ることができるようになっていてよい。なお、本発明の装置が、生物試料に対する化合物の影響も調べられるよう構成される場合、発光タンパク質発現判定部は、具体的には、発光測定部で測定した発光量又は発光強度に基づいて、所定のパラメータを算出するパラメータ算出部と、パラメータ算出部で算出した所定のパラメータに基づいて、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定するパラメータ基準判定部とを含んでいてよい。所定のパラメータは、生物試料に対する化合物の影響を表す任意の指標、例えば、IC50、半値、速度定数であってよい(例えば,薬物の効き目を表す場合に、効果が100%の半分の値(50%)の効果を与える濃度(半値)で表現することが多い。)。また、化合物の添加に応じた生物試料の発光の変化を正確且つリアルタイムに捉えて発光タンパク質の発現に関する判定を行えるようにするために、本発明の装置に於いては、化合物添加装置と画像取得部とを制御し、化合物添加と画像取得のタイミングとを指示する制御部が含まれていてよい。
ところで、任意の生物試料の発光量又は発光強度を測定する場合に於いて、外部の任意の装置で発光画像を取得し、しかる後に、その発光画像中の任意の領域の発光量又は発光強度を測定できるようになっていてもよい。従って、本発明にもう一つの態様によれば、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を前記の複数の生きた生物試料の発光画像から算出する発光測定のための情報処理装置であって、生物試料の像を含む予め取得した発光画像に於いて、少なくとも一つの測定領域を指定する測定領域指定部と、予め取得した発光画像に於ける少なくとも一つの測定領域の発光量又は発光強度を複数の生きた生物試料の発光画像に基づいて測定する発光測定部とを含むことを特徴とする装置が提供される。かかる装置に於いては、発光画像を当該装置に転送する必要があるが、発光画像さえ取得できれば、発光画像中に写し込まれている複数の生物試料の発光量又は発光強度を個別に測定又は算出することが可能となる。
上記の本発明の一連の態様又は種々の実施形態の作動は、任意のコンピュータをその作動制御に用いることにより実現できることは理解されるべきである。従って、本発明によれば、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を測定する発光測定装置の作動を制御するコンピュータプログラムであって、複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する画像取得部を作動して複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する手順と、画像取得部で取得した発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する手順と、画像取得部で取得した発光画像に基づいて、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を算出する手順とを含み、これにより、少なくとも一つの測定領域内にある生物試料毎に個別に発光量又は発光強度を測定することをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラムが提供される。かかるコンピュータプログラムに於いて、複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する手順を繰り返し実行して複数の発光画像を取得するようになっていてもよく、その場合、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を算出する手順に於いて、複数の発光画像に基づいて、発光画像毎に、指定された少なくとも一つの測定領域からの発光量又は発光強度が算出され、これにより、前記の装置と同様に発光量又は発光強度の経時的変化を知ることができる。
また、上記のコンピュータプログラムに於いては、更に、光照射装置を作動して複数の生物試料へ光を照射する手順と、画像取得部を作動して光照射装置により光が照射されている複数の生物試料を含む照明画像を取得する手順とを含み、発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する手順に於いて、発光画像と照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、該重ね合わせ画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定するようになっていてよい。その場合、上記の本発明の装置と同様に、典型的には、発光画像が光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを用いて光学顕微鏡に於いて生物試料内の発光現象により発せられる光を観察して得られる発光顕微鏡像であり、照明画像が光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを用いて光学顕微鏡に於いて透過光観察することにより得られる透過光顕微鏡像である。そして、光学顕微鏡の、生物試料の像を顕微鏡像撮影装置の受光面に結像させる前記対物レンズとレンズ組立体を含む光学系は、受光面に於ける生物試料の像の投影倍率に対する対物レンズの開口数の比の2乗の値が0.01以上となっていることが好ましい。
更に、上記のコンピュータプログラムに於いて、生物試料に対する任意の刺激の影響を調べる目的で、発光画像を取得する手順に先立って、生物試料に刺激を与える手順を実行するようになっていてよく、生物試料に刺激を与える手順に於いて該生物試料に与えられる刺激は、薬剤刺激、電気刺激、ガスによる刺激、熱による刺激などであってよい。又、特に、生物試料に対する任意の化合物の影響を調べる目的で、発光画像を取得する手順に先立って複数の生物試料へ所定の化合物を添加する化合物添加装置を作動して、複数の生物試料へ所定の化合物を添加する手順と、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を算出する手順に於いて測定した発光量又は発光強度に基づいて、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する手順とが実行できるようになっていてよい。その場合、本発明の装置の場合と同様に、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する手順は、典型的には、発光量又は発光強度に基づいて所定のパラメータを算出する手順と、算出された所定のパラメータに基づいて所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する手順とを含んでいてよい。
更にまた、複数の生物試料の発光量又は発光強度を生物試料毎に個別に且容易に測定できるという特徴は、本発明の装置の場合と同様に、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を複数の生きた生物試料の発光画像から算出する発光測定用コンピュータプログラムであって、生物試料の像を含む予め取得した発光画像に於いて、少なくとも一つの測定領域を指定する手順と、予め取得した発光画像に於ける少なくとも一つの測定領域の発光量又は発光強度を複数の生きた生物試料の発光画像に基づいて測定する手順とを含むことをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラムに於いても実現することができる。
かくして、上記の本発明の装置又はコンピュータの作動によれば、本発明の目的を達成する方法として、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を測定する発光測定方法であって、複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する過程と、発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する過程と、発光画像に基づいて、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する過程とを含み、少なくとも一つの測定領域内にある生物試料毎に個別に発光量又は発光強度を測定することを特徴とする方法が実行される。また、かかる本発明の方法に於いて、光照射装置により複数の生物試料へ光を照射する過程と、光照射装置により光が照射されている複数の生物試料を含む照明画像を取得する過程とを含み、発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する過程に於いて、発光画像と照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、該重ね合わせ画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定するようになっていてよい。また、上記の方法に於いて、複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する過程を繰り返し実行して複数の発光画像を取得し、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する過程に於いて、複数の発光画像に基づいて、発光画像毎に、指定された少なくとも一つの測定領域からの発光量又は発光強度を測定することにより、発光量又は発光強度の経時的変化を測定するようになっていてよい。
なお、上記の方法に於いて、典型的には、上記の本発明の装置の場合と同様に、発光画像は光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを用いて光学顕微鏡に於いて生物試料内の発光現象により発せられる光を観察して得られる発光顕微鏡像であり、照明画像は光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを用いて光学顕微鏡に於いて透過光観察することにより得られる透過光顕微鏡像である。そして、光学顕微鏡の、生物試料の像を顕微鏡像撮影装置の受光面に結像させる対物レンズとレンズ組立体は、好ましくは、受光面に於ける生物試料の像の投影倍率に対する対物レンズの開口数の比の2乗の値が0.01以上となるよう構成されたものである。
更に、上記の本発明の方法に於いて、生物試料に対する任意の刺激の影響を調べるために、発光画像を取得する過程に先立って、生物試料に刺激を与える過程が含まれていてよく、かかる過程に於いて、生物試料に与えられる刺激は、薬剤刺激、電気刺激、ガスによる刺激、熱による刺激などであってよい。特に、生物試料に対する任意の化合物の影響を調べる場合には、発光画像を取得する過程に先立って複数の生物試料へ所定の化合物を添加する過程を実行し、指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する過程に於いて測定した発光量又は発光強度に基づいて、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する過程を実行するようになっていてよい。その場合、実施の形態に於いては、画像取得は、化合物添加のタイミングに応じて実行されてよく、又、所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する過程に於いて、発光量又は発光強度に基づいて所定のパラメータを算出する過程と、算出された所定のパラメータに基づいて所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する過程とが実行されてよい。
かくして、上記の本発明の装置、コンピュータプログラム又は方法によれば、総じて、発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を測定するときに、任意に注目した試料の発光量又は発光強度を選択的に測定することが可能となる。そして、個々の生物試料若しくは細胞の発光量又は発光強度を測定することにより、細胞への発光タンパク質の遺伝子導入効率や細胞に於ける遺伝子発現の成功率の個体差又はばらつきによらず、成功裡に遺伝子発現された細胞又は生物試料のみに注目してその発光量又は発光強度を測定することが可能となる。
かかる本発明に於ける成功裡に遺伝子発現された細胞又は生物試料のみに注目してその発光量又は発光強度を測定することができるという特徴によれば、或る化合物が真に生物試料に与える影響を調べる場合に、前記の如き遺伝子導入効率等に関するアーチファクトを排除して結果を得ることができるので、本発明による生物試料の発光量又は発光強度の測定手法は、「背景技術」の欄に於いて述べた如き医薬品開発のプロセスに於ける化合物のスクーリングのためのレポーターアッセイに於いて有用なツールの一つとして利用できることが期待される。又更に、本発明の装置又はコンピュータプログラムの幾つかの態様に於いては、発光画像の取得から発光量又は発光強度の測定、或いは更に任意の所定の化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かの判定までを実行する統合したシステムとなっているので、従前に比して、迅速に且容易にレポーターアッセイを実行することが可能となる。
本発明のその他の目的及び利点は、以下に於いて、部分的に明らかになり、指摘される。
図1Aは、本発明の発光測定装置の好ましい実施形態の基本構成の一例を示す模式図である。図1Bは、倒立型光学顕微鏡を含む本発明の発光測定装置の実施形態の構成の概略を示す模式図であり、図1Cは、細胞に刺激を与える装置を含む図1Bの試料容器周辺をより詳細に示す模式図である。図1Dは、本発明の発光測定装置に於いて撮像装置を二つ使用する場合の変更例を説明する模式図である。
図2Aは、発光測定装置の情報処理装置150の制御構成をブロック図で表した図であり、図2Bは、情報処理装置150へ接続される操作パネルの模式図である。
図3は、情報処理装置150に於いて制御部として作動するCPU150aを関連する装置とともに示した機能ブロック図である。
図4Aは、照明画像と発光画像とを繰り返し撮影する場合の過程を説明する図である。期間Tは、全ての画像を取得する時間の長さを示し、露出時間tは、1つの組の照明画像と発光画像を撮像する時間を示し、撮影時間間隔ΔTは、照明画像と発光画像の撮像処理の開始される時間間隔を示す。各露出時間tのうち、図中、水平線が上側にあるとき、光源を点灯して撮影される照明画像の取得期間であり、下側にあるとき、光源が消灯されて発光画像の取得が為される。
図4Bは、観察領域の設定を行う際の処理操作をフローチャートの形式で表したものである。
図4Cは、測定試料(細胞)の発光画像と照明画像との重ね合わせ画像を時系列に模式的に表したものであり、測定領域の指定について説明する図である。
図4Dは、図4Cの測定領域に於ける発光強度の想定される変化の例を表すグラフ図である。図中、T1−T4に於ける強度は、図4Cの対応する像の測定領域内の発光強度を模式的に示している。
図5Aは、本発明の発光測定装置に於いて、測定試料に添加する化合物の濃度を変更して発光量の測定を行った場合に想定される発光量の変化の例を模式的に示したものである。図5Bは、図5Aの結果を用いた反応速度定数の算出過程を説明する図である。図5Cは、種類の異なる化合物A、Bを測定試料に添加した場合に想定される発光量の変化を説明する図である。
図6Aは、本発明の発光測定装置の実施形態に於いてTVモニタに表示されるスタートメニュー画面の例、図6Bは、スタートメニュー画面に於いてパラメータの入力に用いられるパラメータ入力画面の例、図6C及び6Dは、本発明の発光測定装置の実施形態に於いてTVモニタに表示される画像モニタメニュー画面の例、図6Eは、画像モニタメニュー画面の表示設定と結果の解析を実行するためのデータ解析メニュー画面の例、図6Fは、図6Dのグラフ表示に於いて描かれる発光量の半値を示す補助線(破線)が描かれたグラフである。
図7Aは、任意の化合物を測定試料に与えた場合の発光測定・解析に於ける処理操作の過程を表すフローチャートであり、図7Bは、一回の画像取得処理に於ける発光画像又は照明画像の取得及び蓄積の処理の過程を表すフローチャートである。
図8は、発光測定装置1で行われるレポーターアッセイの処理操作の例を示すフローチャートである。
図9は、例の観察試料として用いられるHela細胞に導入されるテトラサイクリン・オペレータ(TetO2)をもつ発現ベクターにルシフェラーゼ遺伝子をつなげたプラスミドに於いて想定される分子の状態を説明する図である。図9Aに示されている如く、TetRホモダイマーがTetO2領域に結合すると、TetO2領域に接続されたルシフェラーゼ遺伝子が発現しないが、細胞にテトラサイクリンを与えると、図9Bに示されている如く、TetRホモダイマーが構造変化し、TetO2領域から外れ、ルシフェラーゼが発現する。
図10は、例に於けるHeLa細胞の照明画像(A)、発光画像(B、C)及び重ね合わせ画像(D)である。
図11Aは、照明画像と発光画像とを重ねた画像であって測定領域が指定された状態を示す図である。
図11Bは、図11AのROIからのルシフェラーゼの発光強度の経時変化の測定結果を示す図である。
図2Aは、発光測定装置の情報処理装置150の制御構成をブロック図で表した図であり、図2Bは、情報処理装置150へ接続される操作パネルの模式図である。
図3は、情報処理装置150に於いて制御部として作動するCPU150aを関連する装置とともに示した機能ブロック図である。
図4Aは、照明画像と発光画像とを繰り返し撮影する場合の過程を説明する図である。期間Tは、全ての画像を取得する時間の長さを示し、露出時間tは、1つの組の照明画像と発光画像を撮像する時間を示し、撮影時間間隔ΔTは、照明画像と発光画像の撮像処理の開始される時間間隔を示す。各露出時間tのうち、図中、水平線が上側にあるとき、光源を点灯して撮影される照明画像の取得期間であり、下側にあるとき、光源が消灯されて発光画像の取得が為される。
図4Bは、観察領域の設定を行う際の処理操作をフローチャートの形式で表したものである。
図4Cは、測定試料(細胞)の発光画像と照明画像との重ね合わせ画像を時系列に模式的に表したものであり、測定領域の指定について説明する図である。
図4Dは、図4Cの測定領域に於ける発光強度の想定される変化の例を表すグラフ図である。図中、T1−T4に於ける強度は、図4Cの対応する像の測定領域内の発光強度を模式的に示している。
図5Aは、本発明の発光測定装置に於いて、測定試料に添加する化合物の濃度を変更して発光量の測定を行った場合に想定される発光量の変化の例を模式的に示したものである。図5Bは、図5Aの結果を用いた反応速度定数の算出過程を説明する図である。図5Cは、種類の異なる化合物A、Bを測定試料に添加した場合に想定される発光量の変化を説明する図である。
図6Aは、本発明の発光測定装置の実施形態に於いてTVモニタに表示されるスタートメニュー画面の例、図6Bは、スタートメニュー画面に於いてパラメータの入力に用いられるパラメータ入力画面の例、図6C及び6Dは、本発明の発光測定装置の実施形態に於いてTVモニタに表示される画像モニタメニュー画面の例、図6Eは、画像モニタメニュー画面の表示設定と結果の解析を実行するためのデータ解析メニュー画面の例、図6Fは、図6Dのグラフ表示に於いて描かれる発光量の半値を示す補助線(破線)が描かれたグラフである。
図7Aは、任意の化合物を測定試料に与えた場合の発光測定・解析に於ける処理操作の過程を表すフローチャートであり、図7Bは、一回の画像取得処理に於ける発光画像又は照明画像の取得及び蓄積の処理の過程を表すフローチャートである。
図8は、発光測定装置1で行われるレポーターアッセイの処理操作の例を示すフローチャートである。
図9は、例の観察試料として用いられるHela細胞に導入されるテトラサイクリン・オペレータ(TetO2)をもつ発現ベクターにルシフェラーゼ遺伝子をつなげたプラスミドに於いて想定される分子の状態を説明する図である。図9Aに示されている如く、TetRホモダイマーがTetO2領域に結合すると、TetO2領域に接続されたルシフェラーゼ遺伝子が発現しないが、細胞にテトラサイクリンを与えると、図9Bに示されている如く、TetRホモダイマーが構造変化し、TetO2領域から外れ、ルシフェラーゼが発現する。
図10は、例に於けるHeLa細胞の照明画像(A)、発光画像(B、C)及び重ね合わせ画像(D)である。
図11Aは、照明画像と発光画像とを重ねた画像であって測定領域が指定された状態を示す図である。
図11Bは、図11AのROIからのルシフェラーゼの発光強度の経時変化の測定結果を示す図である。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
本発明の装置の構成
基本構成
図1Aは、本発明による、例えば、生きた生体の組織、細胞、個体等の任意の生物試料に於ける生物発光現象によって放出される光の量又は強度を測定するための発光測定装置1の好ましい実施形態の概略構成を模式的に表している。
同図を参照して、本発明の発光測定装置は、基本的な構成として、測定試料10と発光基質とを含む培養液とが入れられたシャーレやマイクロプレートなどの容器11と、容器11を載置するための板状の部材により成るステージ30と、ステージ30を平面的に移動するべくステージの所定の位置に互いに直交する向き(90°方向)で取り付けられた二つの移動装置50と、測定試料10の像を形成するための対物レンズ70と、測定試料10へ光を照射するための光照射装置90と、測定試料10へ所定の化合物を添加するための化合物添加装置110と、対物レンズ70により形成された測定試料10の像を撮像するための撮像装置130と、これらの各装置の作動を制御するとともに各装置にて取得された情報や各装置から転送される情報などを処理するための情報処理装置150とを含んでいる。
かかる基本構成に於いて、ステージ30は、対物レンズ70の光軸(以下、これをZ軸とする。)に直交するように設置され、情報処理装置150の制御下、ステージコントローラ(図示せず)によって移動装置50を駆動することにより、光軸(Z軸)に直交する方向(例えばX方向やY方向)に移動可能となっていてよい。また、光照射装置90は、測定試料10へ光を照射するための、ハロゲンランプ、LED光源、タングステンランプ、水銀ランプ、メタルハイドランプなどの可視域の波長のインコヒーレント光源を含んでいてよい。なお、レーザーのようなコヒーレント光源の光を拡散板などによりインコヒーレントな光に変えて、光源として用いても良い。また、光源の波長は通常、可視光を用いるが、赤外光を用いても良い。照明画像の取得を行わない場合には、光照射装置90は、装備されていなくもよいことは理解されるべきである。
撮像装置130は、典型的には、撮像素子を有する高感度のCCD(Charge−Coupled Device)カメラを含み、後により詳細に説明される如く、情報処理装置150の制御下、発光画像(対物レンズを用いて測定試料10内の組織又は細胞等から生物発光現象により放出される光により観察した際の測定試料10の像)と、照明画像(対物レンズを用いて測定試料10を光照射装置90からの照明光によって観察した際の測定試料10の像)との双方を撮影する。好適には、CCDカメラは、暗電流を抑えるべく温度を0℃程度に冷却保温するためのペルチェ素子からなる冷却装置が装備された冷却CCDであってよいが、CMOSイメージセンサーやSITカメラなどを用いてもよい。また、撮像装置130として、カラーの照明画像を撮像するために、3板式カラーカメラが用いられていてもよい。
なお、上記の発明に於いて良好な発光画像を取得するために、撮像装置130に測定試料10の像を形成する対物レンズ70は、(開口数÷倍率)2の値が0.01以上という条件を満たすよう選択される。
更に、化合物添加装置110は、測定試料10の生物試料に対する任意の化合物の影響を調べる目的で、情報処理装置150の制御下、容器11内へ所定の化合物(例えばテトラサイクリンなど)を添加する定量性のある分注装置であってよい。
そして、情報処理装置150は、通常のパーソナルコンピュータであってよく、後により詳細に説明されている如き、上記の発光測定装置の一連の構成要素の作動を制御することが可能な任意のものであってよい。
発光測定装置の具体的な構成例
上記の如き本発明の発光測定装置は、倒立型顕微鏡を用いて構成されてよい。図1B及び図1Cに、その場合の具体的な構成が模式的に例示されている。
図1Bに例示されている発光測定装置に於いては、光源(光照射装置)90からの光を測定試料10へ導くための照明光学系と、測定試料10の像を生成するための観察光学系と、測定試料10の像を拡大して目視観察するための接眼レンズ75とを含む倒立型顕微鏡と、測定試料10の顕微鏡像を撮像するための撮像素子130aを有するCCDカメラ(撮像装置又は顕微鏡像撮影装置)130と、CCDカメラ130が接続されTVモニタ150gを含むコンピュータ150(情報処理装置)とを含んでいる。
上記の光学顕微鏡の構成は、通常の倒立型の顕微鏡であってよく、照明光学系は、光源90側から順に、コレクターレンズ91、照明光の光軸を偏向させるための偏向ミラー92及びコンデンサーレンズ93により構成される。また、観察光学系は、測定試料10側から順に、測定試料10の像を形成するための対物レンズ70、第1のリレーレンズ72、対物レンズ70からの光を偏向するための偏向ミラー73、第1のリレーレンズ72と共に対物レンズ70からの像(測定試料10の像)を結像面に結像させるための第2のリレーレンズ74により構成される。第2のリレーレンズ74と結像面との間には、測定試料10の像を接眼レンズ75による目視観察とCCDカメラ130による観察が任意に切り替えることができるように、切替ミラー76が配置されていてよい。なお、切替ミラー76は機械的な切り替えタイプ以外に、ハーフミラーを用いて2つの光路を分離するようにしても良い。
上記の構成に於いて、透過光による被験試料の観察は、通常の光学顕微鏡による透過光観察の場合と同様に、測定試料10は、ケーラー照明により照明される。即ち、光源90からの光は、コレクターレンズ91により平行光とされ、コンデンサーレンズ93の瞳位置にて光源90の像が結像された後、測定試料10を照明する。そして、測定試料10を照明した光は、測定試料10を透過して対物レンズ70に入射し、第1のリレーレンズ72及び第2のリレーレンズ74により結像面にて測定試料10の像を形成し、かかる結像面に形成された測定試料10の像は、接眼レンズ75を介して観察者により観察される。また。CCDカメラ130にて測定試料10の像を撮影するときには、第2のリレーレンズ74を透過してきた光は、切替ミラー76により、反射され、CCDカメラ130の撮像素子130a上で測定試料10の像が形成される。なお、対物レンズの倍率は、例えば、20倍であってよい。
図1Cにより詳細に示されている如く、測定試料10が培養液と共に入れられる容器11は、好適には、蝶番19により枢動するフタ18付きのシャーレなどの試料容器11であってよい。試料容器11の底面は、光学的に透明な顕微鏡用カバーガラスと同じ材質で、その厚さが0.17mmであり、通常の対物レンズにより試料容器11の底面上の試料が観察できるようになっている(なお、試料容器11はシャーレに限ることなく、スライドガラス、マイクロプレートなどを用いても良い。)。また、試料容器11内の湿度を保つために、試料容器11は、ノズル14を通して純水が供給される水槽13内に配置され、更に、水槽13とともにフタ付きインキュベータ12内に収容される。そして、図1Cにより詳細に示されている如く、水槽13の上面には、測定装置本体の外部に置かれたガスボンベ15からガス供給チューブ16を通してCO2ガスが供給される。ガスボンベ15内のガスは、例えば、CO25%、O295%の混合ガスである。インキュベータ内へ供給されるCO2ガスの流速は、50mL/min程度であってよい。更に、好適には、試料容器11の下には、ヒートプレート17が配置されてよい。ヒートプレート17は、典型的には、温度コントローラー(図示せず)により0.5℃ステップ間隔で試料容器内の温度を調節する。
更に、情報処理装置150の制御下、容器11内へ所定の化合物を添加する化合物添加装置として使用される自動分注装置110に於いては、試薬容器110aからポンプ110bにより所定量の試薬溶液が吸引され、ノズル110cから容器11へ吐出される。図示の如く、容器11がフタ付きインキュベータ12内に収容されている場合には、好適には、インキュベータ12のフタ20と容器11のフタ18が自動分注装置100の作動と協調してノズル110cからの試薬溶液の吐出前にモーター(図示せず)により開き、溶液の吐出が終了すると、フタ20と試料容器フタ18がモーターにより閉じるようになっていてよい。なお、自動分注装置100は、後に説明する情報処理装置の制御により、顕微鏡像の取得の前後又はその途中の任意の時点に作動できるようになっていてよい。
更にまた、好適には、本発明の装置の基本構成についての説明で述べたように、試料ステージ30には、試料ステージ30を水平方向(X方向、Y方向)に自在に移動させる移動装置50が設けられていてよい。移動装置50は、2個のステッピング・モーター(図示せず)であってよく、情報処理装置150の指令に基づき試料ステージコントローラー(図示せず)により駆動され、自動的に試料ステージ30の位置を移動し調節できるようになっていてよい。
また更に、好適には、試料ステージ30の下方に配置された対物レンズ70には、対物レンズヒーター81が接触して周囲に取り付けられ、対物レンズ70の温度が、温度調整装置(図示せず)の制御下、対物レンズヒーター81によって0.5℃ステップ間隔で制御され、対物レンズ70を外側から任意の温度に保持できるようになっていてよい。更に、対物レンズヒーター81の周囲には対物レンズの焦点位置変更装置80が備えられていてよい。焦点位置変更装置80は、対物レンズをZ軸に駆動する機構であり、ラックピニオン機構(図示せず)で対物レンズ70を自動的に上下に移動させる。ラックピニオン機構のノブの回転動作はコンピュータ制御されたステッピング・モーター(図示せず)により行なわれる。なお、対物レンズZ軸駆動機構は、フリクションローラー機構であってもよい。
測定試料10の発光画像及び照明画像を撮影するCCDカメラ130の受光面にある撮像素子130aの画素数は、例えば、1,360×1,024であってよい。本発明の装置に於いては、既に触れたように、CCDカメラ130により、測定試料10の透過光観察により得られる透過光顕微鏡像(照明画像)と、測定試料10の発光観察、即ち、測定試料10中の細胞内の発光現象により発せられる微弱光を観察することにより得られる発光顕微鏡像(発光画像)との双方を撮影するようになっていてよい。従って、既に述べた如く、発光観察時のS/N比を良くする目的で、CCDカメラ130に於いて発生する暗電流を抑えるべく底部にペルチェ素子から成る冷却装置29が備えられ、温度を0℃程度に冷却し保温するよう構成されていてよい。また更に、CCDカメラ130の受光面の上方には、赤外線カットフィルター77が配置され、背景光となる赤外線を遮断するようになっていることが好ましい。CCDカメラ130で撮影された像は、信号ケーブルを通して情報処理装置150へ送信され、TVモニタ上に映し出される。なお、CCDカメラ130は、既に述べた如く3板式カラーカメラとして、カラーの照明画像が得られるようになっていてもよい。また、撮像装置として、例えば、CMOSイメージセンサーやSITカメラなどが採用されてもよい。
なお、図1Aの基本構成及び図1B−Cの構成例に於いては、測定試料10の画像を取得するための装置として倒立型光学顕微鏡を用いているが、光学顕微鏡は、正立型のものであってもよく、また、撮像装置130は、複数設けられていてもよい。例えば、図1Dに示されている如く、対物レンズ70は、ステージ30に配置された容器11の上から測定試料10を観察するようになっていてもよい(この場合、インキュベータ12の構成は、対物レンズ70が測定試料10を観察できるように適宜修正されてよい。)。
また、撮像装置130が二つ設けられる場合には(倒立型の顕微鏡の場合であってもよいことは、理解されるべきである。)、測定試料10から発せられた光は、対物レンズ70を通過した後、光の波長(即ち、例えば、赤色、緑色などの色)によって、光に分離するダイクロイックミラー71を通り、その波長によって、別々の撮像装置130にて撮像される。これにより、測定試料10の像を光の波長によって選択的に撮像することが可能となる。かかる機能によれば、発光波長の異なる発光タンパク質の発光を同一の測定試料に於いて観察したり、発光タンパク質の発光波長とは異なる波長の蛍光物質を同一の測定試料に於いて観察することが可能となる。なお、撮影される像の波長の選択をするために、任意の波長を選択的に透過する光学フィルタが用いられてもよいことは理解されるべきである(色の選択のために複数のフィルタが交互に出し入れされてよい。)。
情報処理装置の構成
情報処理装置150は、CPUを含み、当業者にとって公知の任意の形式の各種の画像処理が可能なコンピュータにより構成されてよい。情報処理装置150は、既に触れたように、本発明の発光測定装置に於ける各部の作動を制御して顕微鏡像を画像データとして取得するとともに、取得された画像処理及び解析並びに発光測定装置内の各装置の作動制御を実行する。
図2Aは、情報処理装置150及び発光測定装置に搭載された各装置の制御の構成の一つの例をブロック図の形式にて表したものである。同図を参照して、情報処理装置150は、CPU150aと、CPU150aの動作を制御するための制御プログラムが記憶されているメモリ155と、CCDカメラ130の撮影像を画像データとして変換するための信号処理回路151及びディジタルズーム回路152と、CCDカメラ130の撮影像を表示するための表示制御回路153及びTVモニタ150gと、CCDカメラ130の撮影像又はそれを画像処理により得られた画像を記録し或いはTVモニタ150gに表示するための記録再生制御回路156及び記録媒体157のためのドライブと、使用者の指示を入力するための操作パネル154を含んでいる。操作パネル154に於いては、図2Bに例示されている如く、再生ボタン154b、録画ボタン154a、シャッタボタン154c、ズーム拡大ボタン154d、ズーム縮小ボタン154e、十字カーソルボタン154f、操作モードスイッチ154g等の種々のボタンが設けられ、使用者の指示がCPU150aに接続された操作パネル154を介して入力されるよう構成される。
上記の構成に於いて、CCDカメラ130の撮像素子130aに結像された測定試料10の顕微鏡像は、撮像素子130aにてアナログの電気信号、即ち、画像信号に変換され、画像信号は、CPU130の制御下、信号処理回路151へ送信され、増幅処理やフィルタリング処理、輪郭強調などの画像処理が施された後、ディジタルズーム回路152(ディジタル信号処理部)に送られる。ディジタルズーム回路152は、信号処理回路151からのアナログの画像信号をA/D変換してディジタル画像信号に変換し、必要に応じてガンマ補正などのディジタル処理を施した後、ディジタル画像信号を、TVモニタ150gに画像を表示するための表示制御回路153と、画像データをメモリスロット(図示せず)に収容されている着脱可能な記録媒体157(例えば、メモリカード、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクなど)に記録するための記録再生制御回路156とに送信する。この点に関し、本発明の装置に於けるディジタルズーム回路152は、CPU150aからの制御信号に基づいてCCDカメラ130によって取り込まれる全画素領域のうちの任意の一部の領域のみを切り出して、その切り出された画像領域を任意の倍率にて拡大して表示制御回路153又は記録再生制御回路156へ送信できるよう構成されている。従って、CCDカメラ130によって撮影された顕微鏡像のうちの一部のみを、TVモニタ150g上に拡大して表示することができ、或いは、記録媒体に記録することが可能である。
また、上記の構成に於いて、記録再生制御回路156は、CPU150aから与えられる再生制御信号に応答して、記録媒体157に記録されているディジタル画像信号を読み出し、読み出されたディジタル画像信号は、表示制御回路153を介してTVモニタ150gに入力され、これによって、TVモニタ150gの画面上に記録された測定試料10の画像が表示されるようになっていてよい。
上記の画像処理装置の操作に於いて、使用者が操作パネルの録画ボタン154aをONにすると、本発明の装置は、録画モードに入り、CPU150aは、記録制御信号を記録再生制御回路153に供給する。記録再生制御回路153は、記録制御信号に応答して、ディジタルズーム回路152から供給される画像信号を記録媒体に記録する。また、再生ボタン154bをONすると、本発明の装置は、再生モードに入り、CPU150aは、再生制御信号を記録再生制御回路156に供給し、記録再生制御回路156は、上記の如く記録された画像データをTVモニタ150gに表示する。更に、録画ボタン154aとシャッタボタン154cを同時に押すと、CPU150aからディジタルズーム回路152に制御信号が出力され、そのときのCCDカメラ130から1コマ分の画像が、ディジタルズーム回路152にてディジタル信号処理を施された後、メモリ155に書き込まれる。メモリ155に書き込まれた画像データは、任意の圧縮回路によって圧縮処理されて、カードリーダ/ライタ装置によってメモリカードに記録される。
ディジタルズーム回路152に於けるCCDカメラ130によって取り込まれる全画素領域のうちの任意の一部の領域のみの切り出しは、ズーム拡大ボタン154dとズーム縮小ボタン154eと十字カーソルボタン154fとにより設定される。画像の切り出し領域の設定の際、TVモニタ150g上には、ディジタルズーム回路152によって切り出される画像領域の中心を表す「ズーム中心位置」が表示され、また、切り出される画像領域の枠が表示される。使用者は、TVモニタ150gを観ながら、十字カーソルボタン154fを操作して、任意の位置にズーム中心位置を設定するとともに、ズーム拡大ボタン154d、ズーム縮小ボタン154eを操作して、切り出される画像領域の大きさを設定することができる。切り出した後の画像の拡大倍率は、M=1.00(CCDカメラで取り込む全領域)〜4.00(CCDカメラで取り込む全領域の1/4)の範囲内にて自由に設定可能であってよい。
なお、上記の如き、画像の拡大は、ディジタルズーム回路152に於いて行うのではなく、顕微鏡内の光学系を調節すること(光学的ズーム)により行なってもよい。光学ズームは、例えば、CCDカメラ130と第2のリレーレンズ74の間の焦点距離をステッピング・モーターによるモーター駆動で、光軸上で移動させることにより実行される。また、光学ズームを行うためのレンズ(ズームレンズ)の構成として、3変倍レンズ群、収差補正などを行なう補正レンズ群及びフォーカス調整を行なうフォーカスレンズ(図示せず)を用いて、レンズの焦点距離を10段階で手動又は自動で可変できるようになっていてよい。ズームレンズの駆動は、CPU150aから発せられる制御信号に基づいて、ズームレンズの周囲に取り付けられたズームモーター(超音波モーターなど)の作動により、ズームレンズを光軸に沿って移動させることにより為されてよい。
更に、情報処理装置150は、重要な構成として、自動分注装置110、光照射装置90の作動を制御するべく、これらの装置と接続され、自動分注装置110による分注動作の実行と同期して、CCDカメラ130による撮像された画像信号を取得できるようになっていてよい。
CPUに於ける処理
上記の如き情報処理装置150による本発明の装置の各装置及び回路の作動制御は、CPU150aに読み込まれる制御プログラムに従ってCPU150aが発光測定装置の制御部として機能することによって実現される。図3は、情報処理装置150に於いて、かかる発光測定装置の制御部として作動するCPU150aに於いて実行される処理の例を、関連する装置とともに、機能ブロック図の形式にて表したものである。なお、以下、CPU150aを制御部と称する。
同図から理解される如く、情報処理装置150に於いて、制御部150aは、記憶部150bと、システムの時刻を計時するクロック発生部150cと、通信インターフェース部150dと、入出力インターフェース部150eとバス線を介して接続される。
上記の構成に於いて、通信インターフェース部150dは、制御部150aと、上記に説明された発光測定装置に装備される各装置、例えば、ステージの移動装置50、光照射装置90、化合物添加装置110、撮像装置130等、との通信を媒介して、制御部150aからの指令を発光測定装置の各装置を発信し、或いは、各装置からのデータを受信して制御部150aへ伝達する。なお、データ通信回線は、有線方式又は無線方式のいずれであってもよい。また、入出力インターフェース部150eは、制御部150aと、入力装置150f(キーボード及びマウス或いはマイク、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタなど、使用者の発光測定装置への指示を入力するため任意の機器であってよい。)及び出力装置150g(TVモニタ(家庭用テレビを含む)、スピーカ及びプリンタなどの発光測定装置による測定画像、測定結果、装置の状態等の情報が使用者に認識できるようにするための任意の機器であってよい。)との通信を媒介するインターフェースである。
記憶部150bは、RAMやROM等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等の記憶媒体であってよく、画像データベース150b1と、発光測定結果ファイル150b2と、誘導/阻害判定結果ファイル150b3とを格納する。画像データベース150b1には、一対の発光画像及び照明画像を一意に識別するための画像セット識別情報と、一対の発光画像及び照明画像と、一対の発光画像及び照明画像のそれぞれを取得した時の取得時刻とが相互に関連付けられて格納される(図2Aに於ける記録媒体157に相当)。発光測定結果ファイル150b2には、画像セット識別情報と、取得時刻と、後述する発光測定部150a11で測定した測定領域からの発光量又は発光強度とが相互に関連付けられて格納される。また、誘導/阻害判定結果ファイル150b3には、後述する誘導/阻害判定部150a12での判定結果が格納される。
制御部150aは、OS(Operating System)等の制御プログラムや各種の処理手順等を規定したプログラムや所要データを格納するための内部メモリ(図2Aに於けるメモリ155)を有し、これらのプログラムに基づいて種々の処理を実行する。
制御部150aの作動に於いて実現される処理部は、例えば、以下の通りであってよい。
化合物添加指示部150a1…通信インターフェース部150dを介して、化合物添加装置110に対し化合物の添加実行を指示する。
照射ON/OFF指示部150a2…通信インターフェース部150dを介して、光照射装置90に対し光照射の開始(照射ON)や終了(照射OFF)を指示する。
撮像指示部150a3…通信インターフェース部150dを介して、撮像装置130に対し撮像実行を指示する。
画像取得部150a4…撮像装置130から転送された画像(発光画像又は照明画像)を、通信インターフェース部150dを介して取得する。
再撮像指示部150a5…画像取得部150a4で取得した発光画像と照明画像とを重ね合わせて、重ね合わせた画像を生成し、その重ね合わせた画像を参照した使用者に再撮像するか否かの指示を要求する。なお、再撮像指示部150a5は、画像取得部150a4で取得した発光画像の撮像領域に、発光している所望の測定試料10が入っているか否かにより再撮像するか否かの指示を要求するようになっていてもよい。
観察領域指定部150a6…画像取得部150a4で取得した発光画像と照明画像を重ね合わせて、重ね合わせた画像を生成し、その重ね合わせた画像に於いて所望の観察領域を使用者に指定させる。なお、観察領域指定部150a6は、再撮像指示部150a5に於いて再撮像の指示がなされた場合、その後、画像取得部150a4で取得した発光画像と照明画像を重ね合わせた画像に於いて所望の観察領域を使用者に指定させてもよい。
移動量計算部150a7…観察領域指定部150a6で観察領域が指定された場合、撮像装置130の視野の中心と指定された観察領域の中心とが合うように、ステージ30の移動量を計算する。
移動指示部150a8…移動量計算部150a7で計算した移動量に基づいてステージ30を移動するよう、通信インターフェース部150dを介して移動装置50に対し移動実行を指示する。
画像蓄積部150a9…画像取得部150a4で取得した発光画像及び照明画像(再撮像指示部150a5で再撮像しないと指示された際の対象となった発光画像や照明画像を含む。)を、発光画像や照明画像の取得時刻と共に、画像データベース150b1の所定の記憶領域に記憶する。
測定領域指定部150a10…画像データベース150b1に蓄積された発光画像又は画像データベース150b1に蓄積された発光画像と照明画像とを重ね合わせて、重ね合わせた画像を生成し、その重ね合わせた画像に於いて所望の測定領域を観測者に指定させる。
発光測定部150a11…測定領域指定部150a10で測定領域が指定された場合、画像データベース150b1に蓄積された複数の発光画像に於ける指定された測定領域からの発光量又は発光強度を発光画像ごとに測定する。
誘導/阻害判定部150a12…発光測定部150a11で測定した測定領域ごとの複数の発光量又は複数の発光強度に基づいて、所定の化合物が発光タンパク質の発現または局在を誘導または阻害したか否かを測定領域ごとに判定する。
なお、誘導/阻害判定部150a12は、更に下記の処理部により構成されていてよい。
パラメータ計算部150a121…発光測定部150a11で測定した測定領域ごとの複数の発光量又は複数の発光強度に基づいて、所定のパラメータ(例えばIC50や半値、速度定数など)を測定領域ごとに計算する。
パラメータ基準判定部150a122…パラメータ計算部150a121で計算した測定領域ごとのパラメータに基づいて、所定の化合物が発光タンパク質の発現または局在を誘導または阻害したか否かを測定領域ごとに判定する。ここでの判定は、例えば、化合物の種類や化合物濃度を変化させて刺激を行なった場合、指定された測定領域内における発光量データに基づいて、発光量の変化や発光量が他の化合物及び/又は化合物濃度に対しての違いを決定したり、適切な化合物及び/又は濃度を決定するような判断を行なうことができる。
装置の作動
上記に説明された本発明の装置の種々の作動は、以下の如く行われる。
(1)測定試料の画像の取得
測定試料の発光画像は、上記の説明から理解される如く、光照射装置90が消灯した(照射OFF)状態で、測定試料から生物発光現象により放出される光を対物レンズにより撮像装置130の受光面に結像された像を撮影することにより取得される。発光画像の取得に於いては、照射ON/OFF指示部150a2の制御により光照射装置90を消灯した状態で、撮像指示部150a3の制御により撮像装置130が測定試料10の像を撮像し、撮像された発光画像は、画像取得部150a4の制御により情報処理装置150へ転送され、クロック発生部150cにより与えられる時刻に関連付けられる。一方、測定試料の照明画像は、前記の如く、照射ON/OFF指示部150a2の制御により光照射装置90が点灯(照射ON)し、測定試料10に光を照射するとともに、この状態で、撮像指示部150a3の制御に応答して撮像装置130が対物レンズ70からの測定試料10の像を撮像することにより得られる。撮像された照明画像は、画像取得部150a4の制御により情報処理装置150へ転送され、クロック発生部150cにより与えられる画像を取得(又は撮影)した時の時刻と関連付けられる。
なお、既に述べた如く、発光タンパク質による発光現象を測定する場合、発光強度が極めて微弱で、ほとんど光信号として、CCDカメラ等の撮像装置で検出することができず、細胞の内部構造は、通常、観察できない。即ち、通常の顕微鏡観察のように、試料内の観察対象である細胞を確認しながら対物レンズのフォーカスを合わせることができない。そこで、発光観察時に於いて対物レンズの焦点位置は、透過光観察により、ハロゲンランプなどの光源からの光にて、照明光学系を通して、測定試料を照明し、測定試料による顕微鏡の照明画像を得て、これに基づいて決定されてよい。例えば、発光観察に先立って、透過光観察において、対物レンズの光軸上の像のコントラストが高くなる2箇所を決定し、その2箇所の略中心位置を発光観察時の対物レンズの焦点位置とすると、生物発光タンパク質による発光強度が大きくなってきたときに、CCDカメラに合焦された鮮明な発光像が得られる。
後に説明される本発明の装置による発光測定及び解析のいつくかに於いては、照明画像と発光画像は、対になって取得される。また、測定試料からの発光量又は発光強度の経時的変化を追跡するために、一回の測定に於いて照明画像と発光画像は、例えば、図4Aに例示されている如く、画像取得期間T、露出時間t、撮影時間間隔ΔTを設定したプログラムに従って交互に複数回撮影されてよい。
かくして、取得された発光画像と照明画像は、画像蓄積部150a9の処理により、画像データベース150b1の所定の記憶領域に取得時刻と共に蓄積されてよい。
(2)化合物の添加
測定試料へ任意の所定の化合物を添加する際には、制御部150aの化合物添加指示部150a1の処理により、化合物の添加実行の指示が通信インターフェース部150dを介して化合物添加装置110へ与えられ、これに応答して、化合物添加装置110により、所定量の化合物が容器11内へ添加される。
(3)観察領域の指定
本発明の装置に於いては、発光測定のための画像の取得に先立って、ステージの上の容器11中の測定試料10のうちの観察領域、即ち、以降の測定試料の発光測定に於いて使用者が観察したい場所の設定することができる。観察領域が指定されると、発光測定のための画像の取得時に、指定された観察領域が撮影装置130の視野のほぼ中央に位置するようステージが移動させられる。当業者にとって理解される如く、一般に光学顕微鏡の視野に於いては、光軸及びその近傍の像が明るく歪みが少ないので、観察したい領域を視野の中央にもってくることにより、良好な顕微鏡像が取得できることとなる。また、理解されるべきことは、この観察領域の指定により、発光測定に於いて、意味のある、即ち、発光の見られる領域にて発光量又は発光強度の測定のための画像の取得を行うことができるということである。
観察領域の設定は、例えば、図4Bにフローチャートの形式で表された処理過程により実行されてよい。同図を参照して、観察領域の設定に於いては、まず、前記の如く測定試料10の照明画像と発光画像の取得処理が行われる(SB−1)。照明画像の取得の際には、光照射装置90が点灯され、発光画像の取得は、照明画像の取得の完了後、光照射装置90を消灯した後に、実行される。なお、発光画像の取得は、例えば、前記の化合物の添加によって既に測定試料に於いて発光が起きている場合にのみ実行されてよい(従って、化合物の添加により発光が阻害されるものであれば、発光画像の取得は、化合物の添加をせずに実行されることとなろう。)。
発光画像と照明画像の取得が完了すると、観察領域指定部150a6の処理により、照明画像と発光画像との重ね合わせた画像が生成され、その画像に於いて使用者に観察領域を少なくとも1つ以上指定させる(SB−2)。かかる処理に於いては、観察領域指定部150a6の処理により生成された重ね合わせた画像が出力装置150gに表示され、情報処理装置150は、入力装置150fを介して観察領域が指定されるまで待機状態となる。使用者が、出力装置150gに表示された画像に於ける所望の少なくとも一つ以上の観察領域を入力装置150fを介して入力すると、指定された領域が観察領域として指定される。なお、観察領域は、例えば矩形、円、楕円、多角形などで指定可能であってよい。
少なくとも一つの観察領域の指定が為されると、移動量計算部150a7の処理によって、観察領域毎に、重ね合わせ画像上に於ける指定された観察領域の位置座標が取得され、その観察領域の中心の位置座標から重ね合わせ画像の画像領域の中心の位置座標への方向ベクトルが算出される(SB−3)。かかる方向ベクトルは、以降の処理過程に於いて、発光測定のための発光画像及び照明画像の取得時に、撮像に先立って、撮像装置130の視野の中心と指定された各々の観察領域の中心とが合った状態で撮像されるようにステージを移動するために使用される。
次いで、上記の観察領域の設定のために取得された画像が、画像蓄積部150a9の処理により、画像データベース150b1の所定の記憶領域に蓄積され(SB−4)、観察領域設定処理が終了する。
上記の如く観察領域が指定された場合、発光測定のための測定試料の画像を取得する過程には、画像の撮影に先立って、移動指示部150a8の制御下、ステップSB−3で計算した移動量又は方向ベクトルに基づいて移動装置50が作動し、前記の設定された観察領域が撮影装置130の視野の略中央に位置するようステージ30が移動される。複数の観察領域が指定された場合には、それぞれの観察領域の発光測定のための測定試料の画像の撮像の前に、その観察領域が撮影装置の視野の中央に位置するようステージが移動される。
(4)測定領域の指定
本発明の装置に於いては、取得された発光画像に於いて、特定の領域(「測定領域」:ROI)のみの発光量又は発光強度を算出することができるよう構成されている。これにより、使用者は、発光画像中の注目する生物試料(細胞又は細胞の一部など)の発光量又は発光強度を検出し、その経時変化を追跡することが可能となる。
測定領域の指定処理に於いては、まず、制御部150aの測定領域指定部150a10の処理により、画像データベース150b1に蓄積された一連の複数の発光画像及び照明画像の組みのうち少なくとも1つの組み(例えば、最も早い時刻に取得した発光画像及び照明画像の組み)が重ね合わせられて、重ね合わせ画像が生成され、出力装置150gに表示される。重ね合わせ画像の形成の際には、照明画像または発光画像の明るさを調整して重ね合わせ画像を最適化してもよい。
使用者は、表示された重ね合わせ画像を参照し、その画像上に於いて入力装置150fを介して所望の測定領域を指定する。測定領域は、例えば矩形、円、楕円、多角形などで指定可能である。また、測定領域の指定の際には、測定試料10の形態情報(例えば、突起やヒゲなど)を使用してもよい。測定領域を指定させる際、図4Cに示すように、出力装置150gに於いて、重ね合わせ画像を時系列表示に又はアニメーション表示してもよい。例えば、図4Cの例では、蓄積した照明画像と発光画像の重ね合わせ画像が、取得時刻(T1、T2、T3、T4)ごとに表示されており、このようなアニメーション表示によれば、番号1の領域の細胞の発光量が経時的に増加していることが確認できるので、発光量又は発光強度を測定する領域の指定が容易となる。なお、測定領域は、複数個指定できるようになっていてよい。
測定領域が画像上で指定されると、測定領域毎のその領域の範囲の位置座標が決定される。
(5)発光量又は発光強度の測定
上記の如く、測定領域が指定されると、発光測定部150a11の処理により、測定領域に対応する位置座標を用いて、発光画像上の対応する領域内の画素の輝度から発光量又は発光強度が算出され、発光測定結果ファイル150b2の所定の記憶領域に格納される。複数の測定領域が指定されている場合には、測定領域毎に発光量又は発光強度が算出される。また、発光画像が複数存在する場合には、各々の画像に於ける測定領域に対応する領域の発光量又は発光強度が算出され、結果が画面上にグラフ表示されてよい(後述の操作画面の説明参照)。例えば、図4Cの例に於いて、細胞1を測定対象とした(細胞1を特定した)場合には、一連の画像に於いて、図中、点線で囲まれた領域の(発光画像の)画素の輝度から発光強度が算出され、発光強度の経時変化が図4Dに示すようなグラフで表示されてよい。このようなグラフにより、発光タンパク質遺伝子の転写の時間変化に関する知見を得ることができる。
(6)測定結果の解析
本発明の装置に於いては、上記の如き及びその経時的変化を利用して、誘導/阻害判定部150a12の処理により、種々の解析を行うことができ、例えば、或る化合物又はその他の刺激による発光タンパク質遺伝子の発現・局在化の誘導又は発現の阻害等の判定を行うことができる。
発光量又は発光強度の検出結果の解析に於いては、誘導/阻害判定部150a12のパラメータ計算部150a121の処理により、発光量又は発光強度に基づいて、所定のパラメータ、例えばIC50や半値、発光強度時間変化の速度定数、発光時間の時間差などを計算され、パラメータ基準判定部150a122の処理により、算出されたパラメータが所定の閾値と比較され、発光タンパク質遺伝子の発現・局在化の誘導又は発現の阻害等が判定される。
例えば、或る化合物が発光タンパク質の発現を誘導又は阻害する早さを調べる場合には、前記の発光量又は発光強度の経時的な測定結果に於いて、測定試料にその化合物を添加した後の発光量又は発光強度の最大値の半値を算出すると共に、半値の発光量又は発光強度に対応する時刻を算出し、パラメータ基準判定部150a122の処理により、算出した結果値と所定の閾値とを比較して発光タンパク質の発現の誘導又は阻害の判定が行われる。
また、或る化合物が発光タンパク質の発現の誘導又は阻害を反応速度定数より判定する場合には、例えば、図5Aに示すように、添加する化合物の濃度(S)をかえながら、本装置を用いて発光量を計測して得た結果から、パラメータ計算部150a121の処理により、各濃度に対応する反応速度(V)を算出し、ミカエリス・メンテン式の逆数プロット(Lineweaver−Burk プロット;1/V=Km/Vmax×1/S+1/Vmax)に従い、図5Bに示すように、“1/S”に対して“1/V”をプロットして、直線回帰により1/V=0のときの溶液濃度から速度定数Kmが算出される。そして、パラメータ基準判定部150a122の処理により、算出した速度定数と所定の閾値とを比較して、誘導または阻害の判定が行われる。
或いは、図5Cに例示されている如く、本装置を用いて、二つの異なる化合物についてその濃度を変えて発光量の経時変化をそれぞれ計測し、これらの計測結果に基づいて誘導または阻害の判定を行ってもよい。
上記の如き種々の判定結果は、誘導/阻害判定結果ファイル150b3の所定の記憶領域に格納されてよい
操作画面
TVモニタ又は出力装置150gに於いては、図6A−Eに例示される如き操作画面が表示され、使用者は、下記にそれぞれ説明される操作画面上の領域又はボタンを選択することにより、発光測定装置に指示を与えることができる。また、操作画面に於いて、測定試料10の発光画像、照明画像、それらの重ね合わせ画像、アニメーション、発光量又は強度の測定結果並びにそれらの解析結果が表示され、これにより、使用者は、種々の測定結果を確認することが可能となる。以下、TVモニタ又は出力装置150gに表示されるいくつかの操作画面の例について詳述する。なお、以下に示す各操作画面は、本発明の概念を適切に実行するために使用者が容易に操作可能なGUI(グラフィックユーザーインターフェイス)を提供するものである。
スタートメニュー画面−図6A及び図6B
スタートメニュー画面において、使用者が発光測定の条件パラメータを入力できるよう以下の領域が表示される。
領域MA1…容器11に関するメニュー項目
領域MA11…シャーレの使用を指示するボタン
領域MA12…マイクロプレートの使用とマイクロプレートのウェル数(例えば8、12、24、96など)の設定を指示するボタン
領域MA13…領域MA11及び領域MA12が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン
領域MA2…分注装置110に関するメニュー項目
領域MA21…分注量(薬剤の量(μl、ml))の設定を指示するボタン
領域MA22…分注時期の設定を指示するボタン
領域MA23…薬剤の濃度の設定を指示するボタン
領域MA24…領域MA21から領域MA23が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタンである。
なお、分注時期は、例えば、測定開始直後、測定試料の培養開始時、薬剤の応答が遅いと予測される場合には顕微鏡観察前などが設定可能である。また、培養液が決定しているとき、領域MA21の分注量を入力すれば、薬剤の濃度は自動的に決まるので、領域MA23の設定は任意である。
領域MA3…インキュベータ12に関するメニュー項目
領域MA31…ヒータの始動を指示するボタン
領域MA32…ヒータの終動を指示するボタン
領域MA33…CO2混合ガスの注入を指示するボタン
領域MA34…領域MA31から領域MA33が押されたか否かの状態を確定するボタン
なお、ヒータは、対物レンズ、容器、容器を入れた水槽、容器に被せる透明なフタに配置されていてよい。
領域MA4…観察画像に関するメニュー項目
領域MA41…対物レンズの倍率の設定を指示するボタン
領域MA42…領域MA41が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン
なお、対物レンズの倍率は、例えば、10倍、20倍、40倍、100倍などが選択可能であってよい。
領域MA5…発光の色分けに関するメニュー項目
領域MA51…色フィルタの設定を指示するボタン
領域MA52…ダイクロイックミラーの使用を指示するボタン
領域MA53…領域MA51及び領域MA52が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン
なお、色フィルタは、例えば、赤フィルタ、緑フィルタなどが選択可能であってよい。2種類の遺伝子を使って、発光量や発光強度を測定する場合には、領域MA51または領域MA52のボタンが押される。
領域MA6…CCDカメラ130に関するメニュー項目
領域MA61…CCDカメラの感度の設定を指示するボタン
領域MA62…CCDカメラのゲインの設定を指示するボタン
領域MA63…CCDカメラの露出時間の設定を指示するボタン
領域MA64…領域MA61から領域MA63が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン
領域MA7…画像取得条件に関するメニュー項目
領域MA71…画像取得期間Tの設定を指示するボタン
領域MA72…一対の照明画像と発光画像を撮像する際の露出時間tの合計の設定を指示するボタン
領域MA73…一対の照明画像と発光画像の撮像開始から次の一対の照明画像と発光画像の撮像開始までの時間間隔ΔTの設定を指示するボタン
領域MA74…領域MA71から領域MA73が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン
画像取得期間T、露出時間t、時間間隔ΔTは、図4Aに例示されている。
領域MA81…測定開始を指示するボタン。
上記のスタートメニュー画面の各ボタンのうち、パラメータの入力を要求するボタンが押されると、出力装置150gに、図6Bに例示されている如きパラメータ入力画面が表示される。パラメータ入力画面において、使用者は、入力装置150fを用いて、領域MB1にテキストを入力し、領域MB21を押すと、は領域MB1に入力されたテキストを確定される。このように、上述したようなスタートメニュー画面によれば、刺激方法および画像取得条件を任意に選択するための指示ボタンが網羅的にGUI表示されているので、測定項目に最適な刺激方法および画像データの取得を画面上で容易に指示することができる。
画像モニタメニュー画面−図6C及び図6D
画像モニタメニュー画面に於いては、図中、領域MC4に、画像(図6C)、アニメーション、グラフ等の解析の結果(図6D)が表示される。発光計測中の顕微鏡の視野にて観察される測定試料の像が、領域MC4に表示されることにより、所望の画像が取得できているかが確認され、これにより、計測期間が2〜3日と長期にわたる場合において、使用者は、初期段階で所望の画像が取得できているかを確認することができ、実験の効率を高めることができる。又、使用者は、下記に説明されるボタンを選択することにより、種々の指示を発光測定装置に与えることができる。
画像モニタメニュー画面に於いては、下記の項目が表示され、選択できるようになっていてよい。
領域MC11…領域MC4への画像の表示を指示するボタン
領域MC12…照明画像の表示を指示するボタン
領域MC13…発光画像の表示を指示するボタン
領域MC14…照明画像と発光画像の重ね合わせ画像の表示を指示するボタン
領域MC15…領域MC12から領域MC14が押されているか否かの状態を確定するボタン
領域MC21…観察領域の位置、測定領域の位置の指定を指示するボタン
領域MC22…領域MC4に表示されている領域の位置を確定するボタン
領域MC31…発光量又は発光強度の時系列変化のグラフの表示(解析)を指示するボタン
領域MC32…発光量の表示を指示するボタン
領域MC33…発光強度の表示を指示するボタン
領域MC34…領域MC32及びMC33が押されているか否かの状態を確定するボタン
領域MC51…領域MC4に表示されている画像にフレーム数の表示を指示するボタン
領域MC61…ステージを水平方向(画面上に於いて上下左右)に移動させるための十字操作ボタン(これにより、ステージ上の容器11に於いて観察する位置を移動することができる。)
領域MC71…領域MC4に表示されている画像の画像送り・戻し(コマ送り、画像を送る・戻す)を指示するボタン
領域MC81…データ解析メニュー画面(図6E)への移行を指示するボタン
上記の画像モニタメニュー画面において、領域MC12乃至領域MC14のボタンを押してから領域MC15のボタンを押し、最後にMC11のボタンを押すと、押された領域MC12乃至領域MC14に対応する画像が、図6Cの如く、領域MC4にフレーム番号と共に表示される。なお、図6Cでは、領域MC4に、照明画像及び2枚の発光画像が表示されている。この点に関し、図1Dのシステムの如く、2色(緑:510nm、赤:610nm)で測定試料が観察される場合には、2枚の発光画像を表示するようになっていてよい。また、1色で観察が為される場合には、1枚の発光画像が表示される。更に、領域MC21のボタンが押されると、領域MC4の所定の位置に枠(例えば矩形、円、楕円、多角形など)が表示され、発光量又は発光強度が算出される「測定領域」が指定される。この点に関し、測定領域は、複数指定されてもよい。
「測定領域」が指定された後、領域MC32又は領域MC33のボタンが押され、領域MC34のボタンを押すことにより領域MC32又は領域MC33のボタンによる選択を確定した後、領域31のボタンを押すと、領域MC4に於いて、図6Dに示すように、計測中に、画像データベース150b1に蓄積された画像を用いて測定領域に指定された場所の発光量や発光強度が指定された測定領域ごとにグラフ表示される(グラフは、相対的な発光量や発光強度の経時変化であってよい。)。かくして、図6Cにて例示されている如き画面で、測定領域を指定し、データ表示を指示すると、画像の取得を継続しながら、画像データベース150b1から画像を読み出して解析することが可能となる。また、見たい場所の測定試料を指定して、取得した分の画像から解析部分を切り出し、発光量の経時変化をグラフ表示するので、早い段階で計測がうまくいっているかどうかを確認することができる。このように、上述したような画像モニタメニュー画面によれば、刺激方法に応じた表示形式を任意に選択するための指示ボタンが網羅的にGUI表示されているので、測定項目ごとに最適な結果表示を画面上で容易に指示することができる。
データ解析メニュー画面−図6E
データ解析メニュー画面に於いては、取得した発光画像中の発光量又は発光強度を用いて種々の解析方法及び表示方法を指定することができる。この画面で選択され又は指定された表示が画像モニタメニュー画面に表示され、或いは、プリンタ等の出力装置に出力される。データ解析メニュー画面に於いては、下記の項目が表示され、選択できるようになっていてよい。
領域MD11…領域MD12乃至領域MD14に選択された画像を画像モニタメニューに表示することを指示するボタン
領域MD12…照明画像の表示を指示するボタン
領域MD13…発光画像の表示を指示するボタン
領域MD14…照明画像と発光画像の重ね合わせ画像の表示を指示するボタン
領域MD15…領域MD12から領域MD14が押されているか否かの状態を確定するボタン(領域MD12乃至領域MD14のボタンを押してから領域MD15のボタンを押し、最後にMD11のボタンを押すと、出力装置150gに領域MD12乃至領域MD14にて指定された画像が表示される。)
領域MD21…領域MD22又は領域MD23にて指定された態様にて画像のアニメーションの設定(例えば、画像の早送りスピード(枚/分)など)を指示するボタン
領域MD22…画像データベース150b1に蓄積されたすべての画像の表示を指示するボタン
領域MD23…画像データベース150b1に蓄積された画像の間引き表示(例えば、5フレーム毎、10フレーム毎に順々に選択された画像を表示する)を指示するボタン
領域MD24…領域MD22及び領域MD23が押されているか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン(領域MD22又は領域MD23のボタンを押してから領域MD24のボタンを押し、最後に領域MD21のボタンを押すと、出力装置150gに画像が領域MD22又は領域MD23にて指定された態様にてアニメーションで表示される。)
領域MD31…観察領域又は測定領域の指定を指示するボタン
領域MD32…出力装置150gに表示されている領域の位置を確定するボタン
領域MD41…図6Dの領域MC4に表示されているグラフ上への領域MD42又はMD43にて選択されたラインの表示を指示するボタン
領域MD42…半値のライン表示を指示するボタン
領域MD43…IC50のライン表示を指示するボタン
領域MD44…領域MD42及び領域MD43が押されているか否かの状態を確定するボタン(領域MD42又は領域MD43のボタンを押してから領域MD44のボタンを押し、最後に領域MD41のボタンを押すと、図6Dの領域MC4に表示されているグラフ上に、図6Fのような半値を示すライン(半値を示す発光量のライン及び半値を示す時間のライン)が表示される。)
領域MD51…指定された測定領域の発光量の経時変化のグラフや半値、速度定数などを出力装置150gへの出力(表示・印刷)を指示するボタン(領域MD51を押すと、指定領域の発光量の経時変化のグラフや半値、速度定数などのデータが、出力装置150gへ出力(表示・印刷)されると共に記憶部150bの所定の記憶領域に格納される。)このように、データ解析メニュー画面によれば、データ解析に必要な指示ボタンが網羅的にGUI表示されているので、測定項目ごとに最適なデータ解析を画面上で容易に指示することができる。
なお、上記の各種操作画面(図6Aから図6E)は、発光測定装置のTVモニタ150gに於いて表示される画面構成の例示であり、当業者に於いて、任意の態様にて操作画面が構成されてよく、また、先に説明された如き任意の発光量又は発光強度の解析が実行され、表示されるようになっていてよいことは理解されるべきである。
本発明の装置による発光測定・解析
上記に説明された本発明の装置によれば、「発明の開示」の欄に於いて述べたように、発光タンパク質を発現する遺伝子が所定の部位に導入された生きた組織、細胞、個体などの任意の生物試料に於ける生物発光現象により放出された光の量又は強度を、組織の特定の領域について或いは特定の注目する細胞又は個体について個別に測定することが可能となる。また、例示されている本発明の装置の実施形態に於いては、任意の化合物を測定試料に添加する装置が装備され、情報処理装置の制御下、化合物を添加するタイミングと測定試料の像を撮影するタイミングとを制御できるので、化合物により与えられる遺伝子発現の経時的変化を化合物の添加のときから捉えることが可能である。また更に、本発明の装置の実施形態に於いては、発光量又は発光強度の測定から、その測定結果に基づく或る化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かの判定までを統合的に実行することができる。以下、本発明の装置を用いた本発明による生物試料の発光測定及び解析の実施形態について説明する。
測定試料
本発明による生物試料の発光測定に於いて、測定試料10は、前記の如く、発光タンパク質遺伝子が所定の部位に導入された生きた組織、細胞、個体などの任意の生物試料であってよい。生物試料への発光タンパク質遺伝子の導入は、任意の遺伝子導入技術により、発光タンパク質遺伝子を少なくとも融合した融合遺伝子が入ったプラスミドベクターを細胞に導入することにより為されてよい。所謂レポーターアッセイを実行する場合には、典型的には、測定試料10は、目的遺伝子の位置にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだレポーターベクターが導入された細胞が用いられる(例として、例えば、テトラサイクリン・オペレーター(TetO2)をもつ発現ベクター“pcDNA4/TO”(インビトロジェン社製)にルシフェラーゼ遺伝子を繋げたプラスミドと、テトラサイクリン・リプレッサー(TetR)を恒常的に発現させるベクター“pcDNA6/TR”(インビトロジェン社製)とを共発現したHeLa細胞など。実施例参照)。また、測定試料10は、ルシフェラーゼ遺伝子に加えて、薬剤投与の影響を受けないハウスキーピング遺伝子やSV40プロモータ遺伝子が導入されたものでもよい。
発光タンパク質として、ルシフェラーゼが採用される場合には、その基質であるルシフェリンが、容器11内の培養液中に添加される。なお、測定試料10が測定中に死滅しないように、好ましくは、例えば、容器11は、温度、湿度、N2雰囲気などが調整された測定試料中の生物試料が生存する環境下に置かれる。
発光測定及び解析の手順
図7Aは、本発明により、或る任意の化合物を測定試料に与えた場合の発光測定からその化合物による試料に於ける発光遺伝子の発現の誘導又は阻害の有無を判定するまでの処理過程の例をフローチャートの形式にて表したものである。
同図を参照して、まず、本発明の発光測定の開始(スタート)に於いて、発光基質を含有する培養液中に前記の如き測定試料10を含む容器11がステージ30の上に設置され、TVモニタ又は出力装置150gに表示されているスタートメニュー画面に於いて、入力装置150fを介して前記の如き各種の測定条件が設定される。そして、使用者が操作画面に於いてスタートボタンを選択すると、発光測定装置1の作動が開始される。
図示のフローチャートでは、まず、化合物添加装置110による容器11内へ所定の化合物が所定量添加される(ステップSA−1)。なお、化合物の添加は、ステージ30に設置する前でもよく、或いは、測定試料の画像の取得動作の開始後であってもよいことは理解されるべきである。
次いで、図示のフローチャートでは、発光測定のための画像の取得の前に、ステージの上の容器11中の測定試料10のうちの観察領域、即ち、以降の測定試料の発光測定に於いて使用者が観察したい場所の設定が為されてよい(SA−2)。観察領域の設定は、図4Bに関連して本発明の装置の作動についての説明の如く実行されてよい。
かくして、観察領域の設定が完了すると、測定試料10の発光量又は発光強度検出又は測定するための発光画像又は照明画像の取得及び蓄積が行われる。(ステップSA−3:観察領域毎画像取得・蓄積処理)。既に触れたように、測定試料10の発光量又は発光強度の経時変化を追跡する場合には、図4Aに例示されている如く、画像の取得処理が、任意の回数又は任意の期間、スタートメニューに於いて設定される時間間隔にて繰り返される。また、複数の観察領域が指定されている場合には、一回の画像取得処理に於いて、指定された観察領域の全てについて照明画像と発光画像の取得が為される。
図7Bは、一回の画像取得処理に於ける発光画像又は照明画像の取得及び蓄積の処理の過程の例をフローチャートの形式で表したものである。
同図を参照して、観察領域毎の画像取得・蓄積処理に於いては、まず、既に述べた如く、移動指示部150a8の制御下、ステップSB−3で計算した移動量又は方向ベクトルに基づいて移動装置50が作動し、SA−2に於いて設定された観察領域が撮影装置130の視野の略中央に位置するようステージ30が移動され(ステップSC−1)、しかる後に照明画像と発光画像の撮像と記録媒体への画像データの蓄積が実行される(ステップSC−2、ステップSC−3)。なお、上記の記載から理解される如く、画像の撮像及び蓄積中もTVモニタ150g上に測定中の試料の像が表示されていてよい。
複数の観察領域が指定されている場合には、或る観察領域の画像の取得の完了後、別の観察領域が視野の中央に移動され、前記と同様に画像の取得が実行される(ステップSC−4)。かかる作動は、全ての観察領域について画像の取得が完了するまで実行される。
既に述べた如く、図7Bに示されている画像取得処理は、スタートメニューに於いて設定される任意の回数又は任意の期間、時間間隔にて繰り返される。そして、設定された回数の画像取得が完了するか、測定を開始した時刻から一定時間が経過したか、或いは、発光画像における発光強度が所定値を上回ると、全ての画像取得処理が完了する(図7A:SA−4)。
画像取得処理の完了後、前記の如く、取得された発光画像に於いて、発光量又は発光強度を測定すべき測定領域の指定(SA−5)、発光量又は発光強度の測定(SA−6)及び発光タンパク質の発現の誘導・阻害の判定(SA−7)が前記の本発明の装置の機能を用いて実行される。
かくして、上記の説明から理解される如く、ここに例示された本発明の発光測定装置の実施形態によれば、測定試料10へ所定の化合物を添加し、測定試料10を含む照明画像及び発光画像を繰り返し、例えば、所定時間と所定間隔にて所定期間に亙って、取得して蓄積し、蓄積した複数の照明画像及び発光画像に於いて所望の測定領域を指定させ、蓄積した複数の発光画像に基づいて、指定された測定領域からの発光量及び/または発光強度を測定し、その結果から化合物が測定試料10内の発光タンパク質の発現若しくは局在を誘導、又は阻害を惹起したか否かを決定するという一連の処理が統合的に実行される。特記されるべきことは、使用者は、測定試料10中に複数の細胞、組織又は個体を含む場合に、個々のそれらの測定試料の位置と形態とを確認しながら発光画像中の所望の測定領域を指定することができるので、或る注目する1つの細胞等の発光量を経時的に追跡できるだけではなく、発光タンパク質の局在化といった判定など、位置情報を必要とする判定ができるということである。従前の細胞の溶解液に於いて発光信号を測定する場合或いは試料中のどこに発光部位があるか特定できない場合には、発光タンパク質の局在化の有無又は経時的変化は、原理的に検出できない。
本発明の装置を用いたレポーターアッセイ
本発明の発光測定装置1によれば、既に触れたように、発光タンパク質を用いたレポーターアッセイを個々の細胞、組織又は個体などの生物試料について個別に生物試料の状態を確認しながら実行することが可能であり、これにより、発光タンパク質遺伝子の導入効率や発現成功率によらず、化合物の生物試料による遺伝子発現の誘導又は阻害を判定することが可能となる。
図8は、発光測定装置1で行われるレポーターアッセイの処理操作の例をフローチャートの形式で表したものである(なお、ここで例示する処理操作は、図6Aに例示されている処理とは別の例である。)。
同図を参照して、測定試料10が調製される(ステップ1)。測定試料は、既に述べた如き、発光タンパク質遺伝子が所定の部位に導入された生きた組織、細胞、個体などの任意の生物試料であってよく、細胞、組織又は個体は、複数個在ってよい。そして、調製された測定試料10は、培養液が入れられたシャーレ11に入れられ、シャーレに所定量の検査されるべき化合物が添加され(ステップ2)、これにより、シャーレ11内の測定試料10に刺激が与えられることとなる。このとき、好ましくは、刺激を与えた時刻が所定の画像データベース150b1に記憶される。
次いで、TVモニタ又は出力装置150gに表示されているスタートメニュー画面に列記されている撮影や培養などの各種条件が、使用者により入力装置150fを介して設定される(ステップ3)。そして、スタートメニュー画面のスタートボタンが押されると、発光測定装置1に於いて、以下の如き発光測定・解析処理が開始される。なお、試料の刺激(ステップ2)は、条件(撮影・培養)の入力(ステップ3)の後であってもよく、こうすることで試料を刺激してから照明画像の撮像・取得開始までの経過時間を短縮でき、リアルタイムな検出が可能になる。
発光測定・解析処理の開始の際、ステップ2に於いて発光測定装置1内にシャーレ11がステージ30上の所定の位置に配置される。この点に関し、図示していないが、本発明の装置に於いては、シャーレ11を本発明の装置の所定の位置に置くと、制御部150aの処理により動作し、シャーレ11をステージ上の適当な位置に移動するスタッカーロボットが設けられていてよく、その場合、発光測定装置1が発光測定・解析処理を開始すると、制御部150aの指示によりスタッカーロボットがシャーレ11をステージ30上の所定の位置に移動(セット)する動作が実行される(ステップ4)。
かくして、シャーレ11がステージにセットされると、次に観察領域の指定と指定された観察領域が視野の中心に来るようステージの移動が実行される(ステップ5−11)。
かかる処理操作に於いては、照射ON/OFF指示部150a2の処理により、光源90が点灯し、測定試料10へ照明光が照射され(ステップ5)、撮像指示部150a3の指示に従ってCCDカメラ130により測定試料10を含む照明画像を撮像する。撮像された照明画像は、画像取得部150a4の処理により、情報処理装置150へ転送され、TVモニタ上に表示される。
そこで、使用者が観察領域指定部150a6の処理に従ってステップ6で取得した照明画像に対し所望の観察(観測)領域を指定すると、移動量計算部150a7の処理により、観察領域指定部150a6で指定された観察領域の中心がCCDカメラ130の視野の中心に合うように、ステージ30の移動量が計算され、その移動量に基づく移動指示部150a8の指示により、移動装置50を駆動して、ステージ30が移動される(ステップ7)。そして、ステップ6で撮像・取得した照明画像は、画像蓄積部150a9の処理により画像データベース150b1の所定の記憶領域に格納される(ステップ8)。
かくして、照明画像により、観察領域が視野の中心に移動すると、光源90が照射ON/OFF指示部150a2の処理により、消灯され(ステップ9)、撮像指示部150a3の処理により、CCDカメラ130が、撮像指示部150a3からの指示により、光が照射されていない測定試料10を含む発光画像を撮像する。撮像された発光画像は、画像取得部150a4の処理により、情報処理装置150へ転送され(ステップ10)、TVモニタ150g上に発光画像が表示される。ここで、好ましくは、画像データベース150b1に記憶された刺激付与時刻と発光画像に関する撮像を開始した時刻とを対応付けて記憶することで、刺激付与に基づく正確な変化を計算できるようにする。
そこで、再撮像指示部150a5の処理に従って、情報処理装置150は、使用者に対して、ステップ10で撮像・取得した発光画像の撮像領域(CCDカメラ130の視野に対応)に、発光している所望の測定試料10が入っているか否かを発光画像で確認を要求し、「入っていない」と判断した場合(ステップ11:No)には、観察領域の再指定、ステージの再移動及び発光画像の再取得が実行される。かかる処理は、使用者が発光画像に所望の測定試料10が「入っている」との判断をするまで繰り返されてよい。
使用者が発光画像に所望の測定試料10が「入っている」と判断すると、観察領域が決定され、そのときの発光画像は、発光測定のための最初の発光画像とされ、画像蓄積部150a9の処理により、画像データベース150b1の所定の記憶領域に格納される(ステップ12)。そして、発光測定のための発光画像の撮像・取得・蓄積が、ステップ3にて設定した撮像時間又は撮像回数に達するまで繰り返される(ステップ13、ステップ10−12)。なお、ステップ12で蓄積した発光画像における発光強度が所定値を上回った場合にも発光画像の取得は終了してよい。
また、上記の発光画像の取得する過程に於いて、既に述べた如く、本発明の装置では、照明画像を取得することもできるので、発光画像と対になる照明画像が撮影・取得・蓄積されてよい。その場合、ステップ13にて発光画像の取得を続けると判定された後に、照明画像を取得するか否かを確認し、「取得する」場合(ステップ14:Yes)には、光源90を点灯し(ステップ15)、照明画像の撮像・取得・記憶を実行し(ステップ15−17)、しかる後に、光源90を消灯してから(ステップ9)、発光画像の撮影・取得(ステップ10)が実行される。なお、照明画像を取得するか否か(ステップ14)は、スタート時の入力により予めその判断を決めておいてもよく、計測中の測定試料10の像を確認しながら、注目している試料の移動があった場合に照明画像を取得すると判断してもよい。
かくして、発光画像(及び照明画像)の取得が完了すると、取得された画像を用いて種々の画像処理及び解析が実行される(ステップ18−22)。
かかる処理操作に於いては、まず、測定領域指定部150a10の処理により、ステップ12で格納した発光画像が擬似カラーやアニメーション等で出力装置150gに表示され、或いは、ステップ12で格納した発光画像とステップ17で格納した照明画像との重ね合わせ画像が生成され、生成された重ね合わせ画像が擬似カラーやアニメーション等で出力装置150gに表示される(ステップ18)。
次に、測定領域指定部150a10の処理により、ステップ18で表示した画像に於いて少なくとも1つの測定領域(例えば、発光している領域(例えば測定試料10や測定試料10内の特定箇所))が使用者により指定される(ステップ19)。なお、ステップ19では、発光の閾値に基づいて自動で測定領域を指定してもよく、また画像のS/Nに基づいて自動で測定領域を指定してもよい。
測定領域が指定されると、発光測定部150a11の処理により、発光画像毎に指定された測定領域の発光量又は発光強度が測定又は算出され、時系列でTVモニタ150gにグラフ表示される(ステップ20)。これにより、使用者は、発光量や発光強度の経時的変動を確認することができる。
次いで、ステップ20で測定した複数の発光量及び/または複数の発光強度に基づいて、誘導/阻害判定部150a12の処理により、ステップ2で添加した化合物が測定試料10に導入された発光タンパク質の発現若しくは局在を誘導または阻害したか否かが解析され(ステップ21)、また、ステップ21で解析した結果がTVモニタ150gに表示される。
上記の処理操作例から理解される如く、例えば、細胞内のレポーターアッセイを実施する場合、発光測定装置1によれば、化合物の添加、発光量の変化の測定、化合物の遺伝子転写の誘導性または阻害性の判定などの一連の操作がほぼ自動化して行うことができる。観察領域の指定及び測定領域の設定により、遺伝子導入が巧くいっていない試料又は遺伝子発現が巧くいっていない試料について発光測定を行ったり、そのような試料のデータが結果に反映されることが回避されるので、より正確に化合物に対する生物試料の影響を調べることが可能となる。
また、発光測定装置1によれば、1台の情報処理装置150で、キネティックス測定とエンドポイント測定が可能であり、エンドポイント測定からキネティックス測定に簡単に変更することが可能である。また、分注装置110により、試薬添加直後のキネティックス測定が可能である。情報処理装置150で実行される一連の処理をプログラム化してもよい。
更に、発光測定装置1によれば、測定試料10にGFPやYFPなどの遺伝子を1つ組み込んだ場合には、照明画像の撮像時に、さらに蛍光画像を撮像してもよい。その場合、照明画像の撮像時に、色フィルタの切り替えを行ってもよい。
上記に説明した本発明の有効性を検証するために、以下の如き実験を行った。なお、以下の実施例は、本発明の有効性を例示するものであって、本発明の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。
例
例では、本発明の発光測定装置の実施形態を用いて、ルシフェラーゼ遺伝子を導入した複数のHeLa細胞に於いて、薬剤刺激によって引き起こされる発光を画像中の特定の細胞について経時的に観察し、発光強度の変化を追跡した。
観察試料としては、HeLa細胞に、テトラサイクリン・リプレッサー(TetR)を恒常的に発現させるベクター「pcDNA6/TR」と、テトラサイクリン・オペレータ(TetO2)をもつ発現ベクター「pcDNA4/TO」にルシフェラーゼ遺伝子をつなげたプラスミドとを導入したものを用いた。これら二つの遺伝子を導入された細胞内に於いては、図9Aに模式的に示されているように、まず、TetRのベクター(pcDNA6/TR)によりTetRが発現し、TetRがホモダイマーとなって、TetO2遺伝子領域に結合し、これにより、TetO2領域に接続されているルシフェラーゼ遺伝子の転写は抑制される。ここで、図9Bに模式的に示されているように、細胞にテトラサイクリンを与えると(薬物刺激)、テトラサイクリンがTetRホモダイマーの立体構造変化を引き起こし、TetRホモダイマーがTetO2領域から脱離し、ルシフェラーゼ遺伝子の転写、ルシフェラーゼの発現が誘導される。本実験例では、上記の遺伝子が導入された細胞に於いて、テトラサイクリンによる刺激によって、細胞内にてルシフェラーゼが発現し発光現象が起きた際の発光強度を経時的に観察した。
実験操作は、以下の手順で行った。
(1)TetRを恒常的に発現させるベクター“pcDNA6/TR”(インビトロジェン社製)とTetO2をもつ発現ベクター“pcDNA4/TO”(インビトロジェン社製)にルシフェラーゼ遺伝子をつなげたプラスミドとをHeLa細胞に共発現させた標本を調製した。培養液は、10mMのHEPESを含むD−MEM培地に、1mMのルシフェリンを加えたものを用いた。
(2)(1)のHeLa細胞を入れたシャーレ11をステージ30上に配置した後、発光測定装置1を起動して、HeLa細胞へテトラサイクリンを添加し、その後、所定時間、所定間隔、所定期間のタイミングで照明画像及び発光画像を取得して蓄積した。発光画像の撮像の際の露出時間は1分間とした。
図10A、B及びCは、それぞれ、テトラサイクリンを添加する前のHeLa細胞の照明画像、テトラサイクリンを添加してから9時間経過後のHeLa細胞の発光画像及び更に1時間後に撮像したHeLa細胞の発光画像である。図10Dは、図10Aの照明画像と図10Cの発光画像とを重ね合わせた画像であり、一部を拡大して表示したものである。なお、重ね合わせ画像を形成する際、照明画像及び発光画像の明るさを調整して重ね合わせ画像の最適化を行った。図から理解される如く、照明画像と発光画像とを重ね合わせることで、発光しているルシフェラーゼの位置を鮮明な画像で観察することができるので、ルシフェラーゼ遺伝子を含む細胞を容易に特定することが可能となる。
(3)更に、発光測定装置1を用いて、照明画像と発光画像の重ね合わせ画像に於いて、発光強度の測定領域を指定し、測定領域に於ける発光強度の時間変化を調べた。
図11Aは、照明画像と発光画像とを重ねた画像であって測定領域ROI−1及びROI−2が指定された状態が示されている。又、図11Bは、かかる測定領域ROI−1及びROI−2の各々について、発光強度を算出し、その各々の時間変化をグラフにしたものである。図11Bに示すように、テトラサイクリンを添加した2時間後から発光が捉えられ、6から7時間後でプラトーに達した。かくして、本発明によれば、発光するルシフェラーゼの位置を特定して時系列に追跡し、発光現象の経時変化を測定することができた。
以上の如く、本発明にかかる発光測定装置並びに発光測定方法は、生きた測定試料からの発光量や発光強度を測定する場合に有用であり、バイオ、製薬、医療など様々な分野で好適に用いることができる。
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
本発明の装置の構成
基本構成
図1Aは、本発明による、例えば、生きた生体の組織、細胞、個体等の任意の生物試料に於ける生物発光現象によって放出される光の量又は強度を測定するための発光測定装置1の好ましい実施形態の概略構成を模式的に表している。
同図を参照して、本発明の発光測定装置は、基本的な構成として、測定試料10と発光基質とを含む培養液とが入れられたシャーレやマイクロプレートなどの容器11と、容器11を載置するための板状の部材により成るステージ30と、ステージ30を平面的に移動するべくステージの所定の位置に互いに直交する向き(90°方向)で取り付けられた二つの移動装置50と、測定試料10の像を形成するための対物レンズ70と、測定試料10へ光を照射するための光照射装置90と、測定試料10へ所定の化合物を添加するための化合物添加装置110と、対物レンズ70により形成された測定試料10の像を撮像するための撮像装置130と、これらの各装置の作動を制御するとともに各装置にて取得された情報や各装置から転送される情報などを処理するための情報処理装置150とを含んでいる。
かかる基本構成に於いて、ステージ30は、対物レンズ70の光軸(以下、これをZ軸とする。)に直交するように設置され、情報処理装置150の制御下、ステージコントローラ(図示せず)によって移動装置50を駆動することにより、光軸(Z軸)に直交する方向(例えばX方向やY方向)に移動可能となっていてよい。また、光照射装置90は、測定試料10へ光を照射するための、ハロゲンランプ、LED光源、タングステンランプ、水銀ランプ、メタルハイドランプなどの可視域の波長のインコヒーレント光源を含んでいてよい。なお、レーザーのようなコヒーレント光源の光を拡散板などによりインコヒーレントな光に変えて、光源として用いても良い。また、光源の波長は通常、可視光を用いるが、赤外光を用いても良い。照明画像の取得を行わない場合には、光照射装置90は、装備されていなくもよいことは理解されるべきである。
撮像装置130は、典型的には、撮像素子を有する高感度のCCD(Charge−Coupled Device)カメラを含み、後により詳細に説明される如く、情報処理装置150の制御下、発光画像(対物レンズを用いて測定試料10内の組織又は細胞等から生物発光現象により放出される光により観察した際の測定試料10の像)と、照明画像(対物レンズを用いて測定試料10を光照射装置90からの照明光によって観察した際の測定試料10の像)との双方を撮影する。好適には、CCDカメラは、暗電流を抑えるべく温度を0℃程度に冷却保温するためのペルチェ素子からなる冷却装置が装備された冷却CCDであってよいが、CMOSイメージセンサーやSITカメラなどを用いてもよい。また、撮像装置130として、カラーの照明画像を撮像するために、3板式カラーカメラが用いられていてもよい。
なお、上記の発明に於いて良好な発光画像を取得するために、撮像装置130に測定試料10の像を形成する対物レンズ70は、(開口数÷倍率)2の値が0.01以上という条件を満たすよう選択される。
更に、化合物添加装置110は、測定試料10の生物試料に対する任意の化合物の影響を調べる目的で、情報処理装置150の制御下、容器11内へ所定の化合物(例えばテトラサイクリンなど)を添加する定量性のある分注装置であってよい。
そして、情報処理装置150は、通常のパーソナルコンピュータであってよく、後により詳細に説明されている如き、上記の発光測定装置の一連の構成要素の作動を制御することが可能な任意のものであってよい。
発光測定装置の具体的な構成例
上記の如き本発明の発光測定装置は、倒立型顕微鏡を用いて構成されてよい。図1B及び図1Cに、その場合の具体的な構成が模式的に例示されている。
図1Bに例示されている発光測定装置に於いては、光源(光照射装置)90からの光を測定試料10へ導くための照明光学系と、測定試料10の像を生成するための観察光学系と、測定試料10の像を拡大して目視観察するための接眼レンズ75とを含む倒立型顕微鏡と、測定試料10の顕微鏡像を撮像するための撮像素子130aを有するCCDカメラ(撮像装置又は顕微鏡像撮影装置)130と、CCDカメラ130が接続されTVモニタ150gを含むコンピュータ150(情報処理装置)とを含んでいる。
上記の光学顕微鏡の構成は、通常の倒立型の顕微鏡であってよく、照明光学系は、光源90側から順に、コレクターレンズ91、照明光の光軸を偏向させるための偏向ミラー92及びコンデンサーレンズ93により構成される。また、観察光学系は、測定試料10側から順に、測定試料10の像を形成するための対物レンズ70、第1のリレーレンズ72、対物レンズ70からの光を偏向するための偏向ミラー73、第1のリレーレンズ72と共に対物レンズ70からの像(測定試料10の像)を結像面に結像させるための第2のリレーレンズ74により構成される。第2のリレーレンズ74と結像面との間には、測定試料10の像を接眼レンズ75による目視観察とCCDカメラ130による観察が任意に切り替えることができるように、切替ミラー76が配置されていてよい。なお、切替ミラー76は機械的な切り替えタイプ以外に、ハーフミラーを用いて2つの光路を分離するようにしても良い。
上記の構成に於いて、透過光による被験試料の観察は、通常の光学顕微鏡による透過光観察の場合と同様に、測定試料10は、ケーラー照明により照明される。即ち、光源90からの光は、コレクターレンズ91により平行光とされ、コンデンサーレンズ93の瞳位置にて光源90の像が結像された後、測定試料10を照明する。そして、測定試料10を照明した光は、測定試料10を透過して対物レンズ70に入射し、第1のリレーレンズ72及び第2のリレーレンズ74により結像面にて測定試料10の像を形成し、かかる結像面に形成された測定試料10の像は、接眼レンズ75を介して観察者により観察される。また。CCDカメラ130にて測定試料10の像を撮影するときには、第2のリレーレンズ74を透過してきた光は、切替ミラー76により、反射され、CCDカメラ130の撮像素子130a上で測定試料10の像が形成される。なお、対物レンズの倍率は、例えば、20倍であってよい。
図1Cにより詳細に示されている如く、測定試料10が培養液と共に入れられる容器11は、好適には、蝶番19により枢動するフタ18付きのシャーレなどの試料容器11であってよい。試料容器11の底面は、光学的に透明な顕微鏡用カバーガラスと同じ材質で、その厚さが0.17mmであり、通常の対物レンズにより試料容器11の底面上の試料が観察できるようになっている(なお、試料容器11はシャーレに限ることなく、スライドガラス、マイクロプレートなどを用いても良い。)。また、試料容器11内の湿度を保つために、試料容器11は、ノズル14を通して純水が供給される水槽13内に配置され、更に、水槽13とともにフタ付きインキュベータ12内に収容される。そして、図1Cにより詳細に示されている如く、水槽13の上面には、測定装置本体の外部に置かれたガスボンベ15からガス供給チューブ16を通してCO2ガスが供給される。ガスボンベ15内のガスは、例えば、CO25%、O295%の混合ガスである。インキュベータ内へ供給されるCO2ガスの流速は、50mL/min程度であってよい。更に、好適には、試料容器11の下には、ヒートプレート17が配置されてよい。ヒートプレート17は、典型的には、温度コントローラー(図示せず)により0.5℃ステップ間隔で試料容器内の温度を調節する。
更に、情報処理装置150の制御下、容器11内へ所定の化合物を添加する化合物添加装置として使用される自動分注装置110に於いては、試薬容器110aからポンプ110bにより所定量の試薬溶液が吸引され、ノズル110cから容器11へ吐出される。図示の如く、容器11がフタ付きインキュベータ12内に収容されている場合には、好適には、インキュベータ12のフタ20と容器11のフタ18が自動分注装置100の作動と協調してノズル110cからの試薬溶液の吐出前にモーター(図示せず)により開き、溶液の吐出が終了すると、フタ20と試料容器フタ18がモーターにより閉じるようになっていてよい。なお、自動分注装置100は、後に説明する情報処理装置の制御により、顕微鏡像の取得の前後又はその途中の任意の時点に作動できるようになっていてよい。
更にまた、好適には、本発明の装置の基本構成についての説明で述べたように、試料ステージ30には、試料ステージ30を水平方向(X方向、Y方向)に自在に移動させる移動装置50が設けられていてよい。移動装置50は、2個のステッピング・モーター(図示せず)であってよく、情報処理装置150の指令に基づき試料ステージコントローラー(図示せず)により駆動され、自動的に試料ステージ30の位置を移動し調節できるようになっていてよい。
また更に、好適には、試料ステージ30の下方に配置された対物レンズ70には、対物レンズヒーター81が接触して周囲に取り付けられ、対物レンズ70の温度が、温度調整装置(図示せず)の制御下、対物レンズヒーター81によって0.5℃ステップ間隔で制御され、対物レンズ70を外側から任意の温度に保持できるようになっていてよい。更に、対物レンズヒーター81の周囲には対物レンズの焦点位置変更装置80が備えられていてよい。焦点位置変更装置80は、対物レンズをZ軸に駆動する機構であり、ラックピニオン機構(図示せず)で対物レンズ70を自動的に上下に移動させる。ラックピニオン機構のノブの回転動作はコンピュータ制御されたステッピング・モーター(図示せず)により行なわれる。なお、対物レンズZ軸駆動機構は、フリクションローラー機構であってもよい。
測定試料10の発光画像及び照明画像を撮影するCCDカメラ130の受光面にある撮像素子130aの画素数は、例えば、1,360×1,024であってよい。本発明の装置に於いては、既に触れたように、CCDカメラ130により、測定試料10の透過光観察により得られる透過光顕微鏡像(照明画像)と、測定試料10の発光観察、即ち、測定試料10中の細胞内の発光現象により発せられる微弱光を観察することにより得られる発光顕微鏡像(発光画像)との双方を撮影するようになっていてよい。従って、既に述べた如く、発光観察時のS/N比を良くする目的で、CCDカメラ130に於いて発生する暗電流を抑えるべく底部にペルチェ素子から成る冷却装置29が備えられ、温度を0℃程度に冷却し保温するよう構成されていてよい。また更に、CCDカメラ130の受光面の上方には、赤外線カットフィルター77が配置され、背景光となる赤外線を遮断するようになっていることが好ましい。CCDカメラ130で撮影された像は、信号ケーブルを通して情報処理装置150へ送信され、TVモニタ上に映し出される。なお、CCDカメラ130は、既に述べた如く3板式カラーカメラとして、カラーの照明画像が得られるようになっていてもよい。また、撮像装置として、例えば、CMOSイメージセンサーやSITカメラなどが採用されてもよい。
なお、図1Aの基本構成及び図1B−Cの構成例に於いては、測定試料10の画像を取得するための装置として倒立型光学顕微鏡を用いているが、光学顕微鏡は、正立型のものであってもよく、また、撮像装置130は、複数設けられていてもよい。例えば、図1Dに示されている如く、対物レンズ70は、ステージ30に配置された容器11の上から測定試料10を観察するようになっていてもよい(この場合、インキュベータ12の構成は、対物レンズ70が測定試料10を観察できるように適宜修正されてよい。)。
また、撮像装置130が二つ設けられる場合には(倒立型の顕微鏡の場合であってもよいことは、理解されるべきである。)、測定試料10から発せられた光は、対物レンズ70を通過した後、光の波長(即ち、例えば、赤色、緑色などの色)によって、光に分離するダイクロイックミラー71を通り、その波長によって、別々の撮像装置130にて撮像される。これにより、測定試料10の像を光の波長によって選択的に撮像することが可能となる。かかる機能によれば、発光波長の異なる発光タンパク質の発光を同一の測定試料に於いて観察したり、発光タンパク質の発光波長とは異なる波長の蛍光物質を同一の測定試料に於いて観察することが可能となる。なお、撮影される像の波長の選択をするために、任意の波長を選択的に透過する光学フィルタが用いられてもよいことは理解されるべきである(色の選択のために複数のフィルタが交互に出し入れされてよい。)。
情報処理装置の構成
情報処理装置150は、CPUを含み、当業者にとって公知の任意の形式の各種の画像処理が可能なコンピュータにより構成されてよい。情報処理装置150は、既に触れたように、本発明の発光測定装置に於ける各部の作動を制御して顕微鏡像を画像データとして取得するとともに、取得された画像処理及び解析並びに発光測定装置内の各装置の作動制御を実行する。
図2Aは、情報処理装置150及び発光測定装置に搭載された各装置の制御の構成の一つの例をブロック図の形式にて表したものである。同図を参照して、情報処理装置150は、CPU150aと、CPU150aの動作を制御するための制御プログラムが記憶されているメモリ155と、CCDカメラ130の撮影像を画像データとして変換するための信号処理回路151及びディジタルズーム回路152と、CCDカメラ130の撮影像を表示するための表示制御回路153及びTVモニタ150gと、CCDカメラ130の撮影像又はそれを画像処理により得られた画像を記録し或いはTVモニタ150gに表示するための記録再生制御回路156及び記録媒体157のためのドライブと、使用者の指示を入力するための操作パネル154を含んでいる。操作パネル154に於いては、図2Bに例示されている如く、再生ボタン154b、録画ボタン154a、シャッタボタン154c、ズーム拡大ボタン154d、ズーム縮小ボタン154e、十字カーソルボタン154f、操作モードスイッチ154g等の種々のボタンが設けられ、使用者の指示がCPU150aに接続された操作パネル154を介して入力されるよう構成される。
上記の構成に於いて、CCDカメラ130の撮像素子130aに結像された測定試料10の顕微鏡像は、撮像素子130aにてアナログの電気信号、即ち、画像信号に変換され、画像信号は、CPU130の制御下、信号処理回路151へ送信され、増幅処理やフィルタリング処理、輪郭強調などの画像処理が施された後、ディジタルズーム回路152(ディジタル信号処理部)に送られる。ディジタルズーム回路152は、信号処理回路151からのアナログの画像信号をA/D変換してディジタル画像信号に変換し、必要に応じてガンマ補正などのディジタル処理を施した後、ディジタル画像信号を、TVモニタ150gに画像を表示するための表示制御回路153と、画像データをメモリスロット(図示せず)に収容されている着脱可能な記録媒体157(例えば、メモリカード、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクなど)に記録するための記録再生制御回路156とに送信する。この点に関し、本発明の装置に於けるディジタルズーム回路152は、CPU150aからの制御信号に基づいてCCDカメラ130によって取り込まれる全画素領域のうちの任意の一部の領域のみを切り出して、その切り出された画像領域を任意の倍率にて拡大して表示制御回路153又は記録再生制御回路156へ送信できるよう構成されている。従って、CCDカメラ130によって撮影された顕微鏡像のうちの一部のみを、TVモニタ150g上に拡大して表示することができ、或いは、記録媒体に記録することが可能である。
また、上記の構成に於いて、記録再生制御回路156は、CPU150aから与えられる再生制御信号に応答して、記録媒体157に記録されているディジタル画像信号を読み出し、読み出されたディジタル画像信号は、表示制御回路153を介してTVモニタ150gに入力され、これによって、TVモニタ150gの画面上に記録された測定試料10の画像が表示されるようになっていてよい。
上記の画像処理装置の操作に於いて、使用者が操作パネルの録画ボタン154aをONにすると、本発明の装置は、録画モードに入り、CPU150aは、記録制御信号を記録再生制御回路153に供給する。記録再生制御回路153は、記録制御信号に応答して、ディジタルズーム回路152から供給される画像信号を記録媒体に記録する。また、再生ボタン154bをONすると、本発明の装置は、再生モードに入り、CPU150aは、再生制御信号を記録再生制御回路156に供給し、記録再生制御回路156は、上記の如く記録された画像データをTVモニタ150gに表示する。更に、録画ボタン154aとシャッタボタン154cを同時に押すと、CPU150aからディジタルズーム回路152に制御信号が出力され、そのときのCCDカメラ130から1コマ分の画像が、ディジタルズーム回路152にてディジタル信号処理を施された後、メモリ155に書き込まれる。メモリ155に書き込まれた画像データは、任意の圧縮回路によって圧縮処理されて、カードリーダ/ライタ装置によってメモリカードに記録される。
ディジタルズーム回路152に於けるCCDカメラ130によって取り込まれる全画素領域のうちの任意の一部の領域のみの切り出しは、ズーム拡大ボタン154dとズーム縮小ボタン154eと十字カーソルボタン154fとにより設定される。画像の切り出し領域の設定の際、TVモニタ150g上には、ディジタルズーム回路152によって切り出される画像領域の中心を表す「ズーム中心位置」が表示され、また、切り出される画像領域の枠が表示される。使用者は、TVモニタ150gを観ながら、十字カーソルボタン154fを操作して、任意の位置にズーム中心位置を設定するとともに、ズーム拡大ボタン154d、ズーム縮小ボタン154eを操作して、切り出される画像領域の大きさを設定することができる。切り出した後の画像の拡大倍率は、M=1.00(CCDカメラで取り込む全領域)〜4.00(CCDカメラで取り込む全領域の1/4)の範囲内にて自由に設定可能であってよい。
なお、上記の如き、画像の拡大は、ディジタルズーム回路152に於いて行うのではなく、顕微鏡内の光学系を調節すること(光学的ズーム)により行なってもよい。光学ズームは、例えば、CCDカメラ130と第2のリレーレンズ74の間の焦点距離をステッピング・モーターによるモーター駆動で、光軸上で移動させることにより実行される。また、光学ズームを行うためのレンズ(ズームレンズ)の構成として、3変倍レンズ群、収差補正などを行なう補正レンズ群及びフォーカス調整を行なうフォーカスレンズ(図示せず)を用いて、レンズの焦点距離を10段階で手動又は自動で可変できるようになっていてよい。ズームレンズの駆動は、CPU150aから発せられる制御信号に基づいて、ズームレンズの周囲に取り付けられたズームモーター(超音波モーターなど)の作動により、ズームレンズを光軸に沿って移動させることにより為されてよい。
更に、情報処理装置150は、重要な構成として、自動分注装置110、光照射装置90の作動を制御するべく、これらの装置と接続され、自動分注装置110による分注動作の実行と同期して、CCDカメラ130による撮像された画像信号を取得できるようになっていてよい。
CPUに於ける処理
上記の如き情報処理装置150による本発明の装置の各装置及び回路の作動制御は、CPU150aに読み込まれる制御プログラムに従ってCPU150aが発光測定装置の制御部として機能することによって実現される。図3は、情報処理装置150に於いて、かかる発光測定装置の制御部として作動するCPU150aに於いて実行される処理の例を、関連する装置とともに、機能ブロック図の形式にて表したものである。なお、以下、CPU150aを制御部と称する。
同図から理解される如く、情報処理装置150に於いて、制御部150aは、記憶部150bと、システムの時刻を計時するクロック発生部150cと、通信インターフェース部150dと、入出力インターフェース部150eとバス線を介して接続される。
上記の構成に於いて、通信インターフェース部150dは、制御部150aと、上記に説明された発光測定装置に装備される各装置、例えば、ステージの移動装置50、光照射装置90、化合物添加装置110、撮像装置130等、との通信を媒介して、制御部150aからの指令を発光測定装置の各装置を発信し、或いは、各装置からのデータを受信して制御部150aへ伝達する。なお、データ通信回線は、有線方式又は無線方式のいずれであってもよい。また、入出力インターフェース部150eは、制御部150aと、入力装置150f(キーボード及びマウス或いはマイク、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタなど、使用者の発光測定装置への指示を入力するため任意の機器であってよい。)及び出力装置150g(TVモニタ(家庭用テレビを含む)、スピーカ及びプリンタなどの発光測定装置による測定画像、測定結果、装置の状態等の情報が使用者に認識できるようにするための任意の機器であってよい。)との通信を媒介するインターフェースである。
記憶部150bは、RAMやROM等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等の記憶媒体であってよく、画像データベース150b1と、発光測定結果ファイル150b2と、誘導/阻害判定結果ファイル150b3とを格納する。画像データベース150b1には、一対の発光画像及び照明画像を一意に識別するための画像セット識別情報と、一対の発光画像及び照明画像と、一対の発光画像及び照明画像のそれぞれを取得した時の取得時刻とが相互に関連付けられて格納される(図2Aに於ける記録媒体157に相当)。発光測定結果ファイル150b2には、画像セット識別情報と、取得時刻と、後述する発光測定部150a11で測定した測定領域からの発光量又は発光強度とが相互に関連付けられて格納される。また、誘導/阻害判定結果ファイル150b3には、後述する誘導/阻害判定部150a12での判定結果が格納される。
制御部150aは、OS(Operating System)等の制御プログラムや各種の処理手順等を規定したプログラムや所要データを格納するための内部メモリ(図2Aに於けるメモリ155)を有し、これらのプログラムに基づいて種々の処理を実行する。
制御部150aの作動に於いて実現される処理部は、例えば、以下の通りであってよい。
化合物添加指示部150a1…通信インターフェース部150dを介して、化合物添加装置110に対し化合物の添加実行を指示する。
照射ON/OFF指示部150a2…通信インターフェース部150dを介して、光照射装置90に対し光照射の開始(照射ON)や終了(照射OFF)を指示する。
撮像指示部150a3…通信インターフェース部150dを介して、撮像装置130に対し撮像実行を指示する。
画像取得部150a4…撮像装置130から転送された画像(発光画像又は照明画像)を、通信インターフェース部150dを介して取得する。
再撮像指示部150a5…画像取得部150a4で取得した発光画像と照明画像とを重ね合わせて、重ね合わせた画像を生成し、その重ね合わせた画像を参照した使用者に再撮像するか否かの指示を要求する。なお、再撮像指示部150a5は、画像取得部150a4で取得した発光画像の撮像領域に、発光している所望の測定試料10が入っているか否かにより再撮像するか否かの指示を要求するようになっていてもよい。
観察領域指定部150a6…画像取得部150a4で取得した発光画像と照明画像を重ね合わせて、重ね合わせた画像を生成し、その重ね合わせた画像に於いて所望の観察領域を使用者に指定させる。なお、観察領域指定部150a6は、再撮像指示部150a5に於いて再撮像の指示がなされた場合、その後、画像取得部150a4で取得した発光画像と照明画像を重ね合わせた画像に於いて所望の観察領域を使用者に指定させてもよい。
移動量計算部150a7…観察領域指定部150a6で観察領域が指定された場合、撮像装置130の視野の中心と指定された観察領域の中心とが合うように、ステージ30の移動量を計算する。
移動指示部150a8…移動量計算部150a7で計算した移動量に基づいてステージ30を移動するよう、通信インターフェース部150dを介して移動装置50に対し移動実行を指示する。
画像蓄積部150a9…画像取得部150a4で取得した発光画像及び照明画像(再撮像指示部150a5で再撮像しないと指示された際の対象となった発光画像や照明画像を含む。)を、発光画像や照明画像の取得時刻と共に、画像データベース150b1の所定の記憶領域に記憶する。
測定領域指定部150a10…画像データベース150b1に蓄積された発光画像又は画像データベース150b1に蓄積された発光画像と照明画像とを重ね合わせて、重ね合わせた画像を生成し、その重ね合わせた画像に於いて所望の測定領域を観測者に指定させる。
発光測定部150a11…測定領域指定部150a10で測定領域が指定された場合、画像データベース150b1に蓄積された複数の発光画像に於ける指定された測定領域からの発光量又は発光強度を発光画像ごとに測定する。
誘導/阻害判定部150a12…発光測定部150a11で測定した測定領域ごとの複数の発光量又は複数の発光強度に基づいて、所定の化合物が発光タンパク質の発現または局在を誘導または阻害したか否かを測定領域ごとに判定する。
なお、誘導/阻害判定部150a12は、更に下記の処理部により構成されていてよい。
パラメータ計算部150a121…発光測定部150a11で測定した測定領域ごとの複数の発光量又は複数の発光強度に基づいて、所定のパラメータ(例えばIC50や半値、速度定数など)を測定領域ごとに計算する。
パラメータ基準判定部150a122…パラメータ計算部150a121で計算した測定領域ごとのパラメータに基づいて、所定の化合物が発光タンパク質の発現または局在を誘導または阻害したか否かを測定領域ごとに判定する。ここでの判定は、例えば、化合物の種類や化合物濃度を変化させて刺激を行なった場合、指定された測定領域内における発光量データに基づいて、発光量の変化や発光量が他の化合物及び/又は化合物濃度に対しての違いを決定したり、適切な化合物及び/又は濃度を決定するような判断を行なうことができる。
装置の作動
上記に説明された本発明の装置の種々の作動は、以下の如く行われる。
(1)測定試料の画像の取得
測定試料の発光画像は、上記の説明から理解される如く、光照射装置90が消灯した(照射OFF)状態で、測定試料から生物発光現象により放出される光を対物レンズにより撮像装置130の受光面に結像された像を撮影することにより取得される。発光画像の取得に於いては、照射ON/OFF指示部150a2の制御により光照射装置90を消灯した状態で、撮像指示部150a3の制御により撮像装置130が測定試料10の像を撮像し、撮像された発光画像は、画像取得部150a4の制御により情報処理装置150へ転送され、クロック発生部150cにより与えられる時刻に関連付けられる。一方、測定試料の照明画像は、前記の如く、照射ON/OFF指示部150a2の制御により光照射装置90が点灯(照射ON)し、測定試料10に光を照射するとともに、この状態で、撮像指示部150a3の制御に応答して撮像装置130が対物レンズ70からの測定試料10の像を撮像することにより得られる。撮像された照明画像は、画像取得部150a4の制御により情報処理装置150へ転送され、クロック発生部150cにより与えられる画像を取得(又は撮影)した時の時刻と関連付けられる。
なお、既に述べた如く、発光タンパク質による発光現象を測定する場合、発光強度が極めて微弱で、ほとんど光信号として、CCDカメラ等の撮像装置で検出することができず、細胞の内部構造は、通常、観察できない。即ち、通常の顕微鏡観察のように、試料内の観察対象である細胞を確認しながら対物レンズのフォーカスを合わせることができない。そこで、発光観察時に於いて対物レンズの焦点位置は、透過光観察により、ハロゲンランプなどの光源からの光にて、照明光学系を通して、測定試料を照明し、測定試料による顕微鏡の照明画像を得て、これに基づいて決定されてよい。例えば、発光観察に先立って、透過光観察において、対物レンズの光軸上の像のコントラストが高くなる2箇所を決定し、その2箇所の略中心位置を発光観察時の対物レンズの焦点位置とすると、生物発光タンパク質による発光強度が大きくなってきたときに、CCDカメラに合焦された鮮明な発光像が得られる。
後に説明される本発明の装置による発光測定及び解析のいつくかに於いては、照明画像と発光画像は、対になって取得される。また、測定試料からの発光量又は発光強度の経時的変化を追跡するために、一回の測定に於いて照明画像と発光画像は、例えば、図4Aに例示されている如く、画像取得期間T、露出時間t、撮影時間間隔ΔTを設定したプログラムに従って交互に複数回撮影されてよい。
かくして、取得された発光画像と照明画像は、画像蓄積部150a9の処理により、画像データベース150b1の所定の記憶領域に取得時刻と共に蓄積されてよい。
(2)化合物の添加
測定試料へ任意の所定の化合物を添加する際には、制御部150aの化合物添加指示部150a1の処理により、化合物の添加実行の指示が通信インターフェース部150dを介して化合物添加装置110へ与えられ、これに応答して、化合物添加装置110により、所定量の化合物が容器11内へ添加される。
(3)観察領域の指定
本発明の装置に於いては、発光測定のための画像の取得に先立って、ステージの上の容器11中の測定試料10のうちの観察領域、即ち、以降の測定試料の発光測定に於いて使用者が観察したい場所の設定することができる。観察領域が指定されると、発光測定のための画像の取得時に、指定された観察領域が撮影装置130の視野のほぼ中央に位置するようステージが移動させられる。当業者にとって理解される如く、一般に光学顕微鏡の視野に於いては、光軸及びその近傍の像が明るく歪みが少ないので、観察したい領域を視野の中央にもってくることにより、良好な顕微鏡像が取得できることとなる。また、理解されるべきことは、この観察領域の指定により、発光測定に於いて、意味のある、即ち、発光の見られる領域にて発光量又は発光強度の測定のための画像の取得を行うことができるということである。
観察領域の設定は、例えば、図4Bにフローチャートの形式で表された処理過程により実行されてよい。同図を参照して、観察領域の設定に於いては、まず、前記の如く測定試料10の照明画像と発光画像の取得処理が行われる(SB−1)。照明画像の取得の際には、光照射装置90が点灯され、発光画像の取得は、照明画像の取得の完了後、光照射装置90を消灯した後に、実行される。なお、発光画像の取得は、例えば、前記の化合物の添加によって既に測定試料に於いて発光が起きている場合にのみ実行されてよい(従って、化合物の添加により発光が阻害されるものであれば、発光画像の取得は、化合物の添加をせずに実行されることとなろう。)。
発光画像と照明画像の取得が完了すると、観察領域指定部150a6の処理により、照明画像と発光画像との重ね合わせた画像が生成され、その画像に於いて使用者に観察領域を少なくとも1つ以上指定させる(SB−2)。かかる処理に於いては、観察領域指定部150a6の処理により生成された重ね合わせた画像が出力装置150gに表示され、情報処理装置150は、入力装置150fを介して観察領域が指定されるまで待機状態となる。使用者が、出力装置150gに表示された画像に於ける所望の少なくとも一つ以上の観察領域を入力装置150fを介して入力すると、指定された領域が観察領域として指定される。なお、観察領域は、例えば矩形、円、楕円、多角形などで指定可能であってよい。
少なくとも一つの観察領域の指定が為されると、移動量計算部150a7の処理によって、観察領域毎に、重ね合わせ画像上に於ける指定された観察領域の位置座標が取得され、その観察領域の中心の位置座標から重ね合わせ画像の画像領域の中心の位置座標への方向ベクトルが算出される(SB−3)。かかる方向ベクトルは、以降の処理過程に於いて、発光測定のための発光画像及び照明画像の取得時に、撮像に先立って、撮像装置130の視野の中心と指定された各々の観察領域の中心とが合った状態で撮像されるようにステージを移動するために使用される。
次いで、上記の観察領域の設定のために取得された画像が、画像蓄積部150a9の処理により、画像データベース150b1の所定の記憶領域に蓄積され(SB−4)、観察領域設定処理が終了する。
上記の如く観察領域が指定された場合、発光測定のための測定試料の画像を取得する過程には、画像の撮影に先立って、移動指示部150a8の制御下、ステップSB−3で計算した移動量又は方向ベクトルに基づいて移動装置50が作動し、前記の設定された観察領域が撮影装置130の視野の略中央に位置するようステージ30が移動される。複数の観察領域が指定された場合には、それぞれの観察領域の発光測定のための測定試料の画像の撮像の前に、その観察領域が撮影装置の視野の中央に位置するようステージが移動される。
(4)測定領域の指定
本発明の装置に於いては、取得された発光画像に於いて、特定の領域(「測定領域」:ROI)のみの発光量又は発光強度を算出することができるよう構成されている。これにより、使用者は、発光画像中の注目する生物試料(細胞又は細胞の一部など)の発光量又は発光強度を検出し、その経時変化を追跡することが可能となる。
測定領域の指定処理に於いては、まず、制御部150aの測定領域指定部150a10の処理により、画像データベース150b1に蓄積された一連の複数の発光画像及び照明画像の組みのうち少なくとも1つの組み(例えば、最も早い時刻に取得した発光画像及び照明画像の組み)が重ね合わせられて、重ね合わせ画像が生成され、出力装置150gに表示される。重ね合わせ画像の形成の際には、照明画像または発光画像の明るさを調整して重ね合わせ画像を最適化してもよい。
使用者は、表示された重ね合わせ画像を参照し、その画像上に於いて入力装置150fを介して所望の測定領域を指定する。測定領域は、例えば矩形、円、楕円、多角形などで指定可能である。また、測定領域の指定の際には、測定試料10の形態情報(例えば、突起やヒゲなど)を使用してもよい。測定領域を指定させる際、図4Cに示すように、出力装置150gに於いて、重ね合わせ画像を時系列表示に又はアニメーション表示してもよい。例えば、図4Cの例では、蓄積した照明画像と発光画像の重ね合わせ画像が、取得時刻(T1、T2、T3、T4)ごとに表示されており、このようなアニメーション表示によれば、番号1の領域の細胞の発光量が経時的に増加していることが確認できるので、発光量又は発光強度を測定する領域の指定が容易となる。なお、測定領域は、複数個指定できるようになっていてよい。
測定領域が画像上で指定されると、測定領域毎のその領域の範囲の位置座標が決定される。
(5)発光量又は発光強度の測定
上記の如く、測定領域が指定されると、発光測定部150a11の処理により、測定領域に対応する位置座標を用いて、発光画像上の対応する領域内の画素の輝度から発光量又は発光強度が算出され、発光測定結果ファイル150b2の所定の記憶領域に格納される。複数の測定領域が指定されている場合には、測定領域毎に発光量又は発光強度が算出される。また、発光画像が複数存在する場合には、各々の画像に於ける測定領域に対応する領域の発光量又は発光強度が算出され、結果が画面上にグラフ表示されてよい(後述の操作画面の説明参照)。例えば、図4Cの例に於いて、細胞1を測定対象とした(細胞1を特定した)場合には、一連の画像に於いて、図中、点線で囲まれた領域の(発光画像の)画素の輝度から発光強度が算出され、発光強度の経時変化が図4Dに示すようなグラフで表示されてよい。このようなグラフにより、発光タンパク質遺伝子の転写の時間変化に関する知見を得ることができる。
(6)測定結果の解析
本発明の装置に於いては、上記の如き及びその経時的変化を利用して、誘導/阻害判定部150a12の処理により、種々の解析を行うことができ、例えば、或る化合物又はその他の刺激による発光タンパク質遺伝子の発現・局在化の誘導又は発現の阻害等の判定を行うことができる。
発光量又は発光強度の検出結果の解析に於いては、誘導/阻害判定部150a12のパラメータ計算部150a121の処理により、発光量又は発光強度に基づいて、所定のパラメータ、例えばIC50や半値、発光強度時間変化の速度定数、発光時間の時間差などを計算され、パラメータ基準判定部150a122の処理により、算出されたパラメータが所定の閾値と比較され、発光タンパク質遺伝子の発現・局在化の誘導又は発現の阻害等が判定される。
例えば、或る化合物が発光タンパク質の発現を誘導又は阻害する早さを調べる場合には、前記の発光量又は発光強度の経時的な測定結果に於いて、測定試料にその化合物を添加した後の発光量又は発光強度の最大値の半値を算出すると共に、半値の発光量又は発光強度に対応する時刻を算出し、パラメータ基準判定部150a122の処理により、算出した結果値と所定の閾値とを比較して発光タンパク質の発現の誘導又は阻害の判定が行われる。
また、或る化合物が発光タンパク質の発現の誘導又は阻害を反応速度定数より判定する場合には、例えば、図5Aに示すように、添加する化合物の濃度(S)をかえながら、本装置を用いて発光量を計測して得た結果から、パラメータ計算部150a121の処理により、各濃度に対応する反応速度(V)を算出し、ミカエリス・メンテン式の逆数プロット(Lineweaver−Burk プロット;1/V=Km/Vmax×1/S+1/Vmax)に従い、図5Bに示すように、“1/S”に対して“1/V”をプロットして、直線回帰により1/V=0のときの溶液濃度から速度定数Kmが算出される。そして、パラメータ基準判定部150a122の処理により、算出した速度定数と所定の閾値とを比較して、誘導または阻害の判定が行われる。
或いは、図5Cに例示されている如く、本装置を用いて、二つの異なる化合物についてその濃度を変えて発光量の経時変化をそれぞれ計測し、これらの計測結果に基づいて誘導または阻害の判定を行ってもよい。
上記の如き種々の判定結果は、誘導/阻害判定結果ファイル150b3の所定の記憶領域に格納されてよい
操作画面
TVモニタ又は出力装置150gに於いては、図6A−Eに例示される如き操作画面が表示され、使用者は、下記にそれぞれ説明される操作画面上の領域又はボタンを選択することにより、発光測定装置に指示を与えることができる。また、操作画面に於いて、測定試料10の発光画像、照明画像、それらの重ね合わせ画像、アニメーション、発光量又は強度の測定結果並びにそれらの解析結果が表示され、これにより、使用者は、種々の測定結果を確認することが可能となる。以下、TVモニタ又は出力装置150gに表示されるいくつかの操作画面の例について詳述する。なお、以下に示す各操作画面は、本発明の概念を適切に実行するために使用者が容易に操作可能なGUI(グラフィックユーザーインターフェイス)を提供するものである。
スタートメニュー画面−図6A及び図6B
スタートメニュー画面において、使用者が発光測定の条件パラメータを入力できるよう以下の領域が表示される。
領域MA1…容器11に関するメニュー項目
領域MA11…シャーレの使用を指示するボタン
領域MA12…マイクロプレートの使用とマイクロプレートのウェル数(例えば8、12、24、96など)の設定を指示するボタン
領域MA13…領域MA11及び領域MA12が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン
領域MA2…分注装置110に関するメニュー項目
領域MA21…分注量(薬剤の量(μl、ml))の設定を指示するボタン
領域MA22…分注時期の設定を指示するボタン
領域MA23…薬剤の濃度の設定を指示するボタン
領域MA24…領域MA21から領域MA23が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタンである。
なお、分注時期は、例えば、測定開始直後、測定試料の培養開始時、薬剤の応答が遅いと予測される場合には顕微鏡観察前などが設定可能である。また、培養液が決定しているとき、領域MA21の分注量を入力すれば、薬剤の濃度は自動的に決まるので、領域MA23の設定は任意である。
領域MA3…インキュベータ12に関するメニュー項目
領域MA31…ヒータの始動を指示するボタン
領域MA32…ヒータの終動を指示するボタン
領域MA33…CO2混合ガスの注入を指示するボタン
領域MA34…領域MA31から領域MA33が押されたか否かの状態を確定するボタン
なお、ヒータは、対物レンズ、容器、容器を入れた水槽、容器に被せる透明なフタに配置されていてよい。
領域MA4…観察画像に関するメニュー項目
領域MA41…対物レンズの倍率の設定を指示するボタン
領域MA42…領域MA41が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン
なお、対物レンズの倍率は、例えば、10倍、20倍、40倍、100倍などが選択可能であってよい。
領域MA5…発光の色分けに関するメニュー項目
領域MA51…色フィルタの設定を指示するボタン
領域MA52…ダイクロイックミラーの使用を指示するボタン
領域MA53…領域MA51及び領域MA52が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン
なお、色フィルタは、例えば、赤フィルタ、緑フィルタなどが選択可能であってよい。2種類の遺伝子を使って、発光量や発光強度を測定する場合には、領域MA51または領域MA52のボタンが押される。
領域MA6…CCDカメラ130に関するメニュー項目
領域MA61…CCDカメラの感度の設定を指示するボタン
領域MA62…CCDカメラのゲインの設定を指示するボタン
領域MA63…CCDカメラの露出時間の設定を指示するボタン
領域MA64…領域MA61から領域MA63が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン
領域MA7…画像取得条件に関するメニュー項目
領域MA71…画像取得期間Tの設定を指示するボタン
領域MA72…一対の照明画像と発光画像を撮像する際の露出時間tの合計の設定を指示するボタン
領域MA73…一対の照明画像と発光画像の撮像開始から次の一対の照明画像と発光画像の撮像開始までの時間間隔ΔTの設定を指示するボタン
領域MA74…領域MA71から領域MA73が押されたか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン
画像取得期間T、露出時間t、時間間隔ΔTは、図4Aに例示されている。
領域MA81…測定開始を指示するボタン。
上記のスタートメニュー画面の各ボタンのうち、パラメータの入力を要求するボタンが押されると、出力装置150gに、図6Bに例示されている如きパラメータ入力画面が表示される。パラメータ入力画面において、使用者は、入力装置150fを用いて、領域MB1にテキストを入力し、領域MB21を押すと、は領域MB1に入力されたテキストを確定される。このように、上述したようなスタートメニュー画面によれば、刺激方法および画像取得条件を任意に選択するための指示ボタンが網羅的にGUI表示されているので、測定項目に最適な刺激方法および画像データの取得を画面上で容易に指示することができる。
画像モニタメニュー画面−図6C及び図6D
画像モニタメニュー画面に於いては、図中、領域MC4に、画像(図6C)、アニメーション、グラフ等の解析の結果(図6D)が表示される。発光計測中の顕微鏡の視野にて観察される測定試料の像が、領域MC4に表示されることにより、所望の画像が取得できているかが確認され、これにより、計測期間が2〜3日と長期にわたる場合において、使用者は、初期段階で所望の画像が取得できているかを確認することができ、実験の効率を高めることができる。又、使用者は、下記に説明されるボタンを選択することにより、種々の指示を発光測定装置に与えることができる。
画像モニタメニュー画面に於いては、下記の項目が表示され、選択できるようになっていてよい。
領域MC11…領域MC4への画像の表示を指示するボタン
領域MC12…照明画像の表示を指示するボタン
領域MC13…発光画像の表示を指示するボタン
領域MC14…照明画像と発光画像の重ね合わせ画像の表示を指示するボタン
領域MC15…領域MC12から領域MC14が押されているか否かの状態を確定するボタン
領域MC21…観察領域の位置、測定領域の位置の指定を指示するボタン
領域MC22…領域MC4に表示されている領域の位置を確定するボタン
領域MC31…発光量又は発光強度の時系列変化のグラフの表示(解析)を指示するボタン
領域MC32…発光量の表示を指示するボタン
領域MC33…発光強度の表示を指示するボタン
領域MC34…領域MC32及びMC33が押されているか否かの状態を確定するボタン
領域MC51…領域MC4に表示されている画像にフレーム数の表示を指示するボタン
領域MC61…ステージを水平方向(画面上に於いて上下左右)に移動させるための十字操作ボタン(これにより、ステージ上の容器11に於いて観察する位置を移動することができる。)
領域MC71…領域MC4に表示されている画像の画像送り・戻し(コマ送り、画像を送る・戻す)を指示するボタン
領域MC81…データ解析メニュー画面(図6E)への移行を指示するボタン
上記の画像モニタメニュー画面において、領域MC12乃至領域MC14のボタンを押してから領域MC15のボタンを押し、最後にMC11のボタンを押すと、押された領域MC12乃至領域MC14に対応する画像が、図6Cの如く、領域MC4にフレーム番号と共に表示される。なお、図6Cでは、領域MC4に、照明画像及び2枚の発光画像が表示されている。この点に関し、図1Dのシステムの如く、2色(緑:510nm、赤:610nm)で測定試料が観察される場合には、2枚の発光画像を表示するようになっていてよい。また、1色で観察が為される場合には、1枚の発光画像が表示される。更に、領域MC21のボタンが押されると、領域MC4の所定の位置に枠(例えば矩形、円、楕円、多角形など)が表示され、発光量又は発光強度が算出される「測定領域」が指定される。この点に関し、測定領域は、複数指定されてもよい。
「測定領域」が指定された後、領域MC32又は領域MC33のボタンが押され、領域MC34のボタンを押すことにより領域MC32又は領域MC33のボタンによる選択を確定した後、領域31のボタンを押すと、領域MC4に於いて、図6Dに示すように、計測中に、画像データベース150b1に蓄積された画像を用いて測定領域に指定された場所の発光量や発光強度が指定された測定領域ごとにグラフ表示される(グラフは、相対的な発光量や発光強度の経時変化であってよい。)。かくして、図6Cにて例示されている如き画面で、測定領域を指定し、データ表示を指示すると、画像の取得を継続しながら、画像データベース150b1から画像を読み出して解析することが可能となる。また、見たい場所の測定試料を指定して、取得した分の画像から解析部分を切り出し、発光量の経時変化をグラフ表示するので、早い段階で計測がうまくいっているかどうかを確認することができる。このように、上述したような画像モニタメニュー画面によれば、刺激方法に応じた表示形式を任意に選択するための指示ボタンが網羅的にGUI表示されているので、測定項目ごとに最適な結果表示を画面上で容易に指示することができる。
データ解析メニュー画面−図6E
データ解析メニュー画面に於いては、取得した発光画像中の発光量又は発光強度を用いて種々の解析方法及び表示方法を指定することができる。この画面で選択され又は指定された表示が画像モニタメニュー画面に表示され、或いは、プリンタ等の出力装置に出力される。データ解析メニュー画面に於いては、下記の項目が表示され、選択できるようになっていてよい。
領域MD11…領域MD12乃至領域MD14に選択された画像を画像モニタメニューに表示することを指示するボタン
領域MD12…照明画像の表示を指示するボタン
領域MD13…発光画像の表示を指示するボタン
領域MD14…照明画像と発光画像の重ね合わせ画像の表示を指示するボタン
領域MD15…領域MD12から領域MD14が押されているか否かの状態を確定するボタン(領域MD12乃至領域MD14のボタンを押してから領域MD15のボタンを押し、最後にMD11のボタンを押すと、出力装置150gに領域MD12乃至領域MD14にて指定された画像が表示される。)
領域MD21…領域MD22又は領域MD23にて指定された態様にて画像のアニメーションの設定(例えば、画像の早送りスピード(枚/分)など)を指示するボタン
領域MD22…画像データベース150b1に蓄積されたすべての画像の表示を指示するボタン
領域MD23…画像データベース150b1に蓄積された画像の間引き表示(例えば、5フレーム毎、10フレーム毎に順々に選択された画像を表示する)を指示するボタン
領域MD24…領域MD22及び領域MD23が押されているか否かの状態及び設定されたパラメータを確定するボタン(領域MD22又は領域MD23のボタンを押してから領域MD24のボタンを押し、最後に領域MD21のボタンを押すと、出力装置150gに画像が領域MD22又は領域MD23にて指定された態様にてアニメーションで表示される。)
領域MD31…観察領域又は測定領域の指定を指示するボタン
領域MD32…出力装置150gに表示されている領域の位置を確定するボタン
領域MD41…図6Dの領域MC4に表示されているグラフ上への領域MD42又はMD43にて選択されたラインの表示を指示するボタン
領域MD42…半値のライン表示を指示するボタン
領域MD43…IC50のライン表示を指示するボタン
領域MD44…領域MD42及び領域MD43が押されているか否かの状態を確定するボタン(領域MD42又は領域MD43のボタンを押してから領域MD44のボタンを押し、最後に領域MD41のボタンを押すと、図6Dの領域MC4に表示されているグラフ上に、図6Fのような半値を示すライン(半値を示す発光量のライン及び半値を示す時間のライン)が表示される。)
領域MD51…指定された測定領域の発光量の経時変化のグラフや半値、速度定数などを出力装置150gへの出力(表示・印刷)を指示するボタン(領域MD51を押すと、指定領域の発光量の経時変化のグラフや半値、速度定数などのデータが、出力装置150gへ出力(表示・印刷)されると共に記憶部150bの所定の記憶領域に格納される。)このように、データ解析メニュー画面によれば、データ解析に必要な指示ボタンが網羅的にGUI表示されているので、測定項目ごとに最適なデータ解析を画面上で容易に指示することができる。
なお、上記の各種操作画面(図6Aから図6E)は、発光測定装置のTVモニタ150gに於いて表示される画面構成の例示であり、当業者に於いて、任意の態様にて操作画面が構成されてよく、また、先に説明された如き任意の発光量又は発光強度の解析が実行され、表示されるようになっていてよいことは理解されるべきである。
本発明の装置による発光測定・解析
上記に説明された本発明の装置によれば、「発明の開示」の欄に於いて述べたように、発光タンパク質を発現する遺伝子が所定の部位に導入された生きた組織、細胞、個体などの任意の生物試料に於ける生物発光現象により放出された光の量又は強度を、組織の特定の領域について或いは特定の注目する細胞又は個体について個別に測定することが可能となる。また、例示されている本発明の装置の実施形態に於いては、任意の化合物を測定試料に添加する装置が装備され、情報処理装置の制御下、化合物を添加するタイミングと測定試料の像を撮影するタイミングとを制御できるので、化合物により与えられる遺伝子発現の経時的変化を化合物の添加のときから捉えることが可能である。また更に、本発明の装置の実施形態に於いては、発光量又は発光強度の測定から、その測定結果に基づく或る化合物が発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かの判定までを統合的に実行することができる。以下、本発明の装置を用いた本発明による生物試料の発光測定及び解析の実施形態について説明する。
測定試料
本発明による生物試料の発光測定に於いて、測定試料10は、前記の如く、発光タンパク質遺伝子が所定の部位に導入された生きた組織、細胞、個体などの任意の生物試料であってよい。生物試料への発光タンパク質遺伝子の導入は、任意の遺伝子導入技術により、発光タンパク質遺伝子を少なくとも融合した融合遺伝子が入ったプラスミドベクターを細胞に導入することにより為されてよい。所謂レポーターアッセイを実行する場合には、典型的には、測定試料10は、目的遺伝子の位置にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだレポーターベクターが導入された細胞が用いられる(例として、例えば、テトラサイクリン・オペレーター(TetO2)をもつ発現ベクター“pcDNA4/TO”(インビトロジェン社製)にルシフェラーゼ遺伝子を繋げたプラスミドと、テトラサイクリン・リプレッサー(TetR)を恒常的に発現させるベクター“pcDNA6/TR”(インビトロジェン社製)とを共発現したHeLa細胞など。実施例参照)。また、測定試料10は、ルシフェラーゼ遺伝子に加えて、薬剤投与の影響を受けないハウスキーピング遺伝子やSV40プロモータ遺伝子が導入されたものでもよい。
発光タンパク質として、ルシフェラーゼが採用される場合には、その基質であるルシフェリンが、容器11内の培養液中に添加される。なお、測定試料10が測定中に死滅しないように、好ましくは、例えば、容器11は、温度、湿度、N2雰囲気などが調整された測定試料中の生物試料が生存する環境下に置かれる。
発光測定及び解析の手順
図7Aは、本発明により、或る任意の化合物を測定試料に与えた場合の発光測定からその化合物による試料に於ける発光遺伝子の発現の誘導又は阻害の有無を判定するまでの処理過程の例をフローチャートの形式にて表したものである。
同図を参照して、まず、本発明の発光測定の開始(スタート)に於いて、発光基質を含有する培養液中に前記の如き測定試料10を含む容器11がステージ30の上に設置され、TVモニタ又は出力装置150gに表示されているスタートメニュー画面に於いて、入力装置150fを介して前記の如き各種の測定条件が設定される。そして、使用者が操作画面に於いてスタートボタンを選択すると、発光測定装置1の作動が開始される。
図示のフローチャートでは、まず、化合物添加装置110による容器11内へ所定の化合物が所定量添加される(ステップSA−1)。なお、化合物の添加は、ステージ30に設置する前でもよく、或いは、測定試料の画像の取得動作の開始後であってもよいことは理解されるべきである。
次いで、図示のフローチャートでは、発光測定のための画像の取得の前に、ステージの上の容器11中の測定試料10のうちの観察領域、即ち、以降の測定試料の発光測定に於いて使用者が観察したい場所の設定が為されてよい(SA−2)。観察領域の設定は、図4Bに関連して本発明の装置の作動についての説明の如く実行されてよい。
かくして、観察領域の設定が完了すると、測定試料10の発光量又は発光強度検出又は測定するための発光画像又は照明画像の取得及び蓄積が行われる。(ステップSA−3:観察領域毎画像取得・蓄積処理)。既に触れたように、測定試料10の発光量又は発光強度の経時変化を追跡する場合には、図4Aに例示されている如く、画像の取得処理が、任意の回数又は任意の期間、スタートメニューに於いて設定される時間間隔にて繰り返される。また、複数の観察領域が指定されている場合には、一回の画像取得処理に於いて、指定された観察領域の全てについて照明画像と発光画像の取得が為される。
図7Bは、一回の画像取得処理に於ける発光画像又は照明画像の取得及び蓄積の処理の過程の例をフローチャートの形式で表したものである。
同図を参照して、観察領域毎の画像取得・蓄積処理に於いては、まず、既に述べた如く、移動指示部150a8の制御下、ステップSB−3で計算した移動量又は方向ベクトルに基づいて移動装置50が作動し、SA−2に於いて設定された観察領域が撮影装置130の視野の略中央に位置するようステージ30が移動され(ステップSC−1)、しかる後に照明画像と発光画像の撮像と記録媒体への画像データの蓄積が実行される(ステップSC−2、ステップSC−3)。なお、上記の記載から理解される如く、画像の撮像及び蓄積中もTVモニタ150g上に測定中の試料の像が表示されていてよい。
複数の観察領域が指定されている場合には、或る観察領域の画像の取得の完了後、別の観察領域が視野の中央に移動され、前記と同様に画像の取得が実行される(ステップSC−4)。かかる作動は、全ての観察領域について画像の取得が完了するまで実行される。
既に述べた如く、図7Bに示されている画像取得処理は、スタートメニューに於いて設定される任意の回数又は任意の期間、時間間隔にて繰り返される。そして、設定された回数の画像取得が完了するか、測定を開始した時刻から一定時間が経過したか、或いは、発光画像における発光強度が所定値を上回ると、全ての画像取得処理が完了する(図7A:SA−4)。
画像取得処理の完了後、前記の如く、取得された発光画像に於いて、発光量又は発光強度を測定すべき測定領域の指定(SA−5)、発光量又は発光強度の測定(SA−6)及び発光タンパク質の発現の誘導・阻害の判定(SA−7)が前記の本発明の装置の機能を用いて実行される。
かくして、上記の説明から理解される如く、ここに例示された本発明の発光測定装置の実施形態によれば、測定試料10へ所定の化合物を添加し、測定試料10を含む照明画像及び発光画像を繰り返し、例えば、所定時間と所定間隔にて所定期間に亙って、取得して蓄積し、蓄積した複数の照明画像及び発光画像に於いて所望の測定領域を指定させ、蓄積した複数の発光画像に基づいて、指定された測定領域からの発光量及び/または発光強度を測定し、その結果から化合物が測定試料10内の発光タンパク質の発現若しくは局在を誘導、又は阻害を惹起したか否かを決定するという一連の処理が統合的に実行される。特記されるべきことは、使用者は、測定試料10中に複数の細胞、組織又は個体を含む場合に、個々のそれらの測定試料の位置と形態とを確認しながら発光画像中の所望の測定領域を指定することができるので、或る注目する1つの細胞等の発光量を経時的に追跡できるだけではなく、発光タンパク質の局在化といった判定など、位置情報を必要とする判定ができるということである。従前の細胞の溶解液に於いて発光信号を測定する場合或いは試料中のどこに発光部位があるか特定できない場合には、発光タンパク質の局在化の有無又は経時的変化は、原理的に検出できない。
本発明の装置を用いたレポーターアッセイ
本発明の発光測定装置1によれば、既に触れたように、発光タンパク質を用いたレポーターアッセイを個々の細胞、組織又は個体などの生物試料について個別に生物試料の状態を確認しながら実行することが可能であり、これにより、発光タンパク質遺伝子の導入効率や発現成功率によらず、化合物の生物試料による遺伝子発現の誘導又は阻害を判定することが可能となる。
図8は、発光測定装置1で行われるレポーターアッセイの処理操作の例をフローチャートの形式で表したものである(なお、ここで例示する処理操作は、図6Aに例示されている処理とは別の例である。)。
同図を参照して、測定試料10が調製される(ステップ1)。測定試料は、既に述べた如き、発光タンパク質遺伝子が所定の部位に導入された生きた組織、細胞、個体などの任意の生物試料であってよく、細胞、組織又は個体は、複数個在ってよい。そして、調製された測定試料10は、培養液が入れられたシャーレ11に入れられ、シャーレに所定量の検査されるべき化合物が添加され(ステップ2)、これにより、シャーレ11内の測定試料10に刺激が与えられることとなる。このとき、好ましくは、刺激を与えた時刻が所定の画像データベース150b1に記憶される。
次いで、TVモニタ又は出力装置150gに表示されているスタートメニュー画面に列記されている撮影や培養などの各種条件が、使用者により入力装置150fを介して設定される(ステップ3)。そして、スタートメニュー画面のスタートボタンが押されると、発光測定装置1に於いて、以下の如き発光測定・解析処理が開始される。なお、試料の刺激(ステップ2)は、条件(撮影・培養)の入力(ステップ3)の後であってもよく、こうすることで試料を刺激してから照明画像の撮像・取得開始までの経過時間を短縮でき、リアルタイムな検出が可能になる。
発光測定・解析処理の開始の際、ステップ2に於いて発光測定装置1内にシャーレ11がステージ30上の所定の位置に配置される。この点に関し、図示していないが、本発明の装置に於いては、シャーレ11を本発明の装置の所定の位置に置くと、制御部150aの処理により動作し、シャーレ11をステージ上の適当な位置に移動するスタッカーロボットが設けられていてよく、その場合、発光測定装置1が発光測定・解析処理を開始すると、制御部150aの指示によりスタッカーロボットがシャーレ11をステージ30上の所定の位置に移動(セット)する動作が実行される(ステップ4)。
かくして、シャーレ11がステージにセットされると、次に観察領域の指定と指定された観察領域が視野の中心に来るようステージの移動が実行される(ステップ5−11)。
かかる処理操作に於いては、照射ON/OFF指示部150a2の処理により、光源90が点灯し、測定試料10へ照明光が照射され(ステップ5)、撮像指示部150a3の指示に従ってCCDカメラ130により測定試料10を含む照明画像を撮像する。撮像された照明画像は、画像取得部150a4の処理により、情報処理装置150へ転送され、TVモニタ上に表示される。
そこで、使用者が観察領域指定部150a6の処理に従ってステップ6で取得した照明画像に対し所望の観察(観測)領域を指定すると、移動量計算部150a7の処理により、観察領域指定部150a6で指定された観察領域の中心がCCDカメラ130の視野の中心に合うように、ステージ30の移動量が計算され、その移動量に基づく移動指示部150a8の指示により、移動装置50を駆動して、ステージ30が移動される(ステップ7)。そして、ステップ6で撮像・取得した照明画像は、画像蓄積部150a9の処理により画像データベース150b1の所定の記憶領域に格納される(ステップ8)。
かくして、照明画像により、観察領域が視野の中心に移動すると、光源90が照射ON/OFF指示部150a2の処理により、消灯され(ステップ9)、撮像指示部150a3の処理により、CCDカメラ130が、撮像指示部150a3からの指示により、光が照射されていない測定試料10を含む発光画像を撮像する。撮像された発光画像は、画像取得部150a4の処理により、情報処理装置150へ転送され(ステップ10)、TVモニタ150g上に発光画像が表示される。ここで、好ましくは、画像データベース150b1に記憶された刺激付与時刻と発光画像に関する撮像を開始した時刻とを対応付けて記憶することで、刺激付与に基づく正確な変化を計算できるようにする。
そこで、再撮像指示部150a5の処理に従って、情報処理装置150は、使用者に対して、ステップ10で撮像・取得した発光画像の撮像領域(CCDカメラ130の視野に対応)に、発光している所望の測定試料10が入っているか否かを発光画像で確認を要求し、「入っていない」と判断した場合(ステップ11:No)には、観察領域の再指定、ステージの再移動及び発光画像の再取得が実行される。かかる処理は、使用者が発光画像に所望の測定試料10が「入っている」との判断をするまで繰り返されてよい。
使用者が発光画像に所望の測定試料10が「入っている」と判断すると、観察領域が決定され、そのときの発光画像は、発光測定のための最初の発光画像とされ、画像蓄積部150a9の処理により、画像データベース150b1の所定の記憶領域に格納される(ステップ12)。そして、発光測定のための発光画像の撮像・取得・蓄積が、ステップ3にて設定した撮像時間又は撮像回数に達するまで繰り返される(ステップ13、ステップ10−12)。なお、ステップ12で蓄積した発光画像における発光強度が所定値を上回った場合にも発光画像の取得は終了してよい。
また、上記の発光画像の取得する過程に於いて、既に述べた如く、本発明の装置では、照明画像を取得することもできるので、発光画像と対になる照明画像が撮影・取得・蓄積されてよい。その場合、ステップ13にて発光画像の取得を続けると判定された後に、照明画像を取得するか否かを確認し、「取得する」場合(ステップ14:Yes)には、光源90を点灯し(ステップ15)、照明画像の撮像・取得・記憶を実行し(ステップ15−17)、しかる後に、光源90を消灯してから(ステップ9)、発光画像の撮影・取得(ステップ10)が実行される。なお、照明画像を取得するか否か(ステップ14)は、スタート時の入力により予めその判断を決めておいてもよく、計測中の測定試料10の像を確認しながら、注目している試料の移動があった場合に照明画像を取得すると判断してもよい。
かくして、発光画像(及び照明画像)の取得が完了すると、取得された画像を用いて種々の画像処理及び解析が実行される(ステップ18−22)。
かかる処理操作に於いては、まず、測定領域指定部150a10の処理により、ステップ12で格納した発光画像が擬似カラーやアニメーション等で出力装置150gに表示され、或いは、ステップ12で格納した発光画像とステップ17で格納した照明画像との重ね合わせ画像が生成され、生成された重ね合わせ画像が擬似カラーやアニメーション等で出力装置150gに表示される(ステップ18)。
次に、測定領域指定部150a10の処理により、ステップ18で表示した画像に於いて少なくとも1つの測定領域(例えば、発光している領域(例えば測定試料10や測定試料10内の特定箇所))が使用者により指定される(ステップ19)。なお、ステップ19では、発光の閾値に基づいて自動で測定領域を指定してもよく、また画像のS/Nに基づいて自動で測定領域を指定してもよい。
測定領域が指定されると、発光測定部150a11の処理により、発光画像毎に指定された測定領域の発光量又は発光強度が測定又は算出され、時系列でTVモニタ150gにグラフ表示される(ステップ20)。これにより、使用者は、発光量や発光強度の経時的変動を確認することができる。
次いで、ステップ20で測定した複数の発光量及び/または複数の発光強度に基づいて、誘導/阻害判定部150a12の処理により、ステップ2で添加した化合物が測定試料10に導入された発光タンパク質の発現若しくは局在を誘導または阻害したか否かが解析され(ステップ21)、また、ステップ21で解析した結果がTVモニタ150gに表示される。
上記の処理操作例から理解される如く、例えば、細胞内のレポーターアッセイを実施する場合、発光測定装置1によれば、化合物の添加、発光量の変化の測定、化合物の遺伝子転写の誘導性または阻害性の判定などの一連の操作がほぼ自動化して行うことができる。観察領域の指定及び測定領域の設定により、遺伝子導入が巧くいっていない試料又は遺伝子発現が巧くいっていない試料について発光測定を行ったり、そのような試料のデータが結果に反映されることが回避されるので、より正確に化合物に対する生物試料の影響を調べることが可能となる。
また、発光測定装置1によれば、1台の情報処理装置150で、キネティックス測定とエンドポイント測定が可能であり、エンドポイント測定からキネティックス測定に簡単に変更することが可能である。また、分注装置110により、試薬添加直後のキネティックス測定が可能である。情報処理装置150で実行される一連の処理をプログラム化してもよい。
更に、発光測定装置1によれば、測定試料10にGFPやYFPなどの遺伝子を1つ組み込んだ場合には、照明画像の撮像時に、さらに蛍光画像を撮像してもよい。その場合、照明画像の撮像時に、色フィルタの切り替えを行ってもよい。
上記に説明した本発明の有効性を検証するために、以下の如き実験を行った。なお、以下の実施例は、本発明の有効性を例示するものであって、本発明の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。
例
例では、本発明の発光測定装置の実施形態を用いて、ルシフェラーゼ遺伝子を導入した複数のHeLa細胞に於いて、薬剤刺激によって引き起こされる発光を画像中の特定の細胞について経時的に観察し、発光強度の変化を追跡した。
観察試料としては、HeLa細胞に、テトラサイクリン・リプレッサー(TetR)を恒常的に発現させるベクター「pcDNA6/TR」と、テトラサイクリン・オペレータ(TetO2)をもつ発現ベクター「pcDNA4/TO」にルシフェラーゼ遺伝子をつなげたプラスミドとを導入したものを用いた。これら二つの遺伝子を導入された細胞内に於いては、図9Aに模式的に示されているように、まず、TetRのベクター(pcDNA6/TR)によりTetRが発現し、TetRがホモダイマーとなって、TetO2遺伝子領域に結合し、これにより、TetO2領域に接続されているルシフェラーゼ遺伝子の転写は抑制される。ここで、図9Bに模式的に示されているように、細胞にテトラサイクリンを与えると(薬物刺激)、テトラサイクリンがTetRホモダイマーの立体構造変化を引き起こし、TetRホモダイマーがTetO2領域から脱離し、ルシフェラーゼ遺伝子の転写、ルシフェラーゼの発現が誘導される。本実験例では、上記の遺伝子が導入された細胞に於いて、テトラサイクリンによる刺激によって、細胞内にてルシフェラーゼが発現し発光現象が起きた際の発光強度を経時的に観察した。
実験操作は、以下の手順で行った。
(1)TetRを恒常的に発現させるベクター“pcDNA6/TR”(インビトロジェン社製)とTetO2をもつ発現ベクター“pcDNA4/TO”(インビトロジェン社製)にルシフェラーゼ遺伝子をつなげたプラスミドとをHeLa細胞に共発現させた標本を調製した。培養液は、10mMのHEPESを含むD−MEM培地に、1mMのルシフェリンを加えたものを用いた。
(2)(1)のHeLa細胞を入れたシャーレ11をステージ30上に配置した後、発光測定装置1を起動して、HeLa細胞へテトラサイクリンを添加し、その後、所定時間、所定間隔、所定期間のタイミングで照明画像及び発光画像を取得して蓄積した。発光画像の撮像の際の露出時間は1分間とした。
図10A、B及びCは、それぞれ、テトラサイクリンを添加する前のHeLa細胞の照明画像、テトラサイクリンを添加してから9時間経過後のHeLa細胞の発光画像及び更に1時間後に撮像したHeLa細胞の発光画像である。図10Dは、図10Aの照明画像と図10Cの発光画像とを重ね合わせた画像であり、一部を拡大して表示したものである。なお、重ね合わせ画像を形成する際、照明画像及び発光画像の明るさを調整して重ね合わせ画像の最適化を行った。図から理解される如く、照明画像と発光画像とを重ね合わせることで、発光しているルシフェラーゼの位置を鮮明な画像で観察することができるので、ルシフェラーゼ遺伝子を含む細胞を容易に特定することが可能となる。
(3)更に、発光測定装置1を用いて、照明画像と発光画像の重ね合わせ画像に於いて、発光強度の測定領域を指定し、測定領域に於ける発光強度の時間変化を調べた。
図11Aは、照明画像と発光画像とを重ねた画像であって測定領域ROI−1及びROI−2が指定された状態が示されている。又、図11Bは、かかる測定領域ROI−1及びROI−2の各々について、発光強度を算出し、その各々の時間変化をグラフにしたものである。図11Bに示すように、テトラサイクリンを添加した2時間後から発光が捉えられ、6から7時間後でプラトーに達した。かくして、本発明によれば、発光するルシフェラーゼの位置を特定して時系列に追跡し、発光現象の経時変化を測定することができた。
以上の如く、本発明にかかる発光測定装置並びに発光測定方法は、生きた測定試料からの発光量や発光強度を測定する場合に有用であり、バイオ、製薬、医療など様々な分野で好適に用いることができる。
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
Claims (31)
- 発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を測定する発光測定装置であって、前記複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得した発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する測定領域指定部と、前記測定領域指定部で測定領域が指定されたときに、前記画像取得部で取得した発光画像に基づいて、前記指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する発光測定部とを含み、前記少なくとも一つの測定領域内にある前記生物試料毎に個別に前記発光量又は発光強度を測定することを特徴とする装置。
- 請求項1の装置であって、前記複数の生物試料へ光を照射する光照射部を含み、前記画像取得部が前記光照射部により光が照射されている前記複数の生物試料を含む照明画像を取得し、前記測定領域指定部が前記画像取得部で取得した前記発光画像と前記照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、該重ね合わせ画像に於いて前記少なくとも一つの測定領域を指定することを特徴とする装置。
- 請求項2の装置であって、前記画像取得部が光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを含み、前記発光画像が前記光学顕微鏡に於いて前記生物試料内の発光現象により発せられる光を観察して得られる発光顕微鏡像であり、前記照明画像が前記光照射部の照射光を用いて前記光学顕微鏡に於いて透過光観察することにより得られる透過光顕微鏡像であり、前記顕微鏡像撮影装置が受光面を有し、前記光学顕微鏡が前記生物試料の像を前記顕微鏡像撮影装置の受光面に結像させる前記対物レンズとレンズ組立体を含み、前記受光面に於ける前記生物試料の像の投影倍率に対する前記対物レンズの開口数の比の2乗の値が0.01以上であることを特徴とする装置。
- 請求項1の装置であって、前記画像取得部を繰り返し実行させるよう前記画像取得部を制御する制御部を含み、前記発光測定部が、前記測定領域指定部で前記少なくとも一つの測定領域が指定されたとき、前記制御部で前記画像取得部を繰り返し作動させることにより取得された複数の発光画像に基づいて、前記指定された少なくとも一つの測定領域からの発光量又は発光強度を前記発光画像毎に測定することを特徴とする装置。
- 請求項1の装置であって、前記複数の生物試料を刺激する刺激供給装置を含んでいることを特徴とする装置。
- 請求項5の装置において、前記刺激供給装置が、前記生物試料へ化合物を添加する化合物添加装置と、前記生物試料の温度を調整する温度調整装置と、前記生物試料へガスを供給するガス供給装置とからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする装置。
- 請求項1の装置であって、前記複数の生物試料へ所定の化合物を添加する化合物添加装置と、前記発光測定部で測定した前記発光量又は発光強度に基づいて、前記所定の化合物が前記発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する発光タンパク質発現判定部とを含むことを特徴とする装置。
- 請求項7の装置であって、前記発光タンパク質発現判定部が、前記発光測定部で測定した発光量又は発光強度に基づいて、所定のパラメータを算出するパラメータ算出部と、前記パラメータ算出部で算出した前記所定のパラメータに基づいて、前記所定の化合物が前記発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定するパラメータ基準判定部とを含むことを特徴とする装置。
- 請求項7の装置であって、更に、少なくとも前記化合物添加装置と前記画像取得部とを制御し、化合物添加と撮像タイミングとを指示する制御部を含むことを特徴とする装置。
- 発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を前記複数の生きた生物試料の発光画像から算出する発光測定のための情報処理装置であって、前記生物試料の像を含む予め取得した発光画像に於いて、少なくとも一つの測定領域を指定する測定領域指定部と、前記予め取得した発光画像に於ける前記少なくとも一つの測定領域の発光量又は発光強度を前記複数の生きた生物試料の発光画像に基づいて測定する発光測定部とを含むことを特徴とする装置。
- 請求項1又は10の装置であって、前記生物試料が、生体組織、細胞、個体からなる群から選択される1つであることを特徴とする装置。
- 発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を測定する発光測定方法であって、
前記複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する過程と、
前記発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する過程と、
前記発光画像に基づいて、前記指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する過程とを含み、
前記少なくとも一つの測定領域内にある前記生物試料毎に個別に前記発光量又は発光強度を測定することを特徴とする方法。 - 請求項12の方法であって、
光照射装置により前記複数の生物試料へ光を照射する過程と、
前記光照射装置により光が照射されている前記複数の生物試料を含む照明画像を取得する過程とを含み、
前記発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する過程に於いて、前記発光画像と前記照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、該重ね合わせ画像に於いて前記少なくとも一つの測定領域を指定することを特徴とする方法。 - 請求項12の方法であって、前記発光画像が光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを用いて前記光学顕微鏡に於いて前記生物試料内の発光現象により発せられる光を観察して得られる発光顕微鏡像であり、前記照明画像が前記光学顕微鏡と前記顕微鏡像撮影装置とを用いて前記光学顕微鏡に於いて透過光観察することにより得られる透過光顕微鏡像であり、前記顕微鏡像撮影装置が受光面を有し、前記光学顕微鏡が前記生物試料の像を前記顕微鏡像撮影装置の受光面に結像させる前記対物レンズとレンズ組立体を含み、前記受光面に於ける前記生物試料の像の投影倍率に対する前記対物レンズの開口数の比の2乗の値が0.01以上であることを特徴とする方法。
- 請求項12の方法であって、前記複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する過程を繰り返し実行して複数の発光画像を取得し、前記指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する過程に於いて、前記複数の発光画像に基づいて、前記指定された少なくとも一つの測定領域からの発光量又は発光強度を前記発光画像毎に測定することを特徴とする方法。
- 請求項12の方法であって、前記発光画像を取得する過程に先立って、前記生物試料に刺激を与える過程を含むことを特徴とする方法。
- 請求項16の方法であって、前記生物試料に刺激を与える過程に於いて該生物試料に与えられる刺激が、薬剤刺激と、電気刺激と、ガスによる刺激と、熱による刺激とからなる群から選択される少なくとも一つの刺激であることを特徴とする方法。
- 請求項12の方法であって、前記発光画像を取得する過程に先立って前記複数の生物試料へ所定の化合物を添加する過程と、前記指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を測定する過程に於いて測定した前記発光量又は発光強度に基づいて、前記所定の化合物が前記発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する過程とを含むことを特徴とする方法。
- 請求項18の方法であって、前記所定の化合物が前記発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する過程に於いて、前記発光量又は発光強度に基づいて、所定のパラメータを算出する過程と、前記算出された所定のパラメータに基づいて、前記所定の化合物が前記発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する過程とを含むことを特徴とする方法。
- 請求項18の方法であって、前記化合物の添加のタイミングに応じて前記発光画像を取得することを特徴とする方法。
- 請求項12の方法であって、前記生物試料が、生体組織、細胞、個体からなる群から選択される1つであることを特徴とする方法。
- 発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を測定する発光測定装置の作動を制御するコンピュータプログラムであって、
前記複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する画像取得部を作動して前記複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する手順と、
前記画像取得部で取得した発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する手順と、
前記画像取得部で取得した発光画像に基づいて、前記指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を算出する手順とを含み、
前記少なくとも一つの測定領域内にある前記生物試料毎に個別に前記発光量又は発光強度を測定することをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。 - 請求項22のコンピュータプログラムであって、
光照射装置を作動して前記複数の生物試料へ光を照射する手順と、
前記画像取得部を作動して前記光照射装置により光が照射されている前記複数の生物試料を含む照明画像を取得する手順とを含み、
前記発光画像に於いて少なくとも一つの測定領域を指定する手順に於いて、前記発光画像と前記照明画像とを重ね合わせて重ね合わせ画像を生成し、該重ね合わせ画像に於いて前記少なくとも一つの測定領域を指定することを特徴とするコンピュータプログラム。 - 請求項22のコンピュータプログラムであって、前記発光画像が光学顕微鏡と顕微鏡像撮影装置とを用いて前記光学顕微鏡に於いて前記生物試料内の発光現象により発せられる光を観察して得られる発光顕微鏡像であり、前記照明画像が前記光学顕微鏡と前記顕微鏡像撮影装置とを用いて前記光学顕微鏡に於いて透過光観察することにより得られる透過光顕微鏡像であり、前記顕微鏡像撮影装置が受光面を有し、前記光学顕微鏡が前記生物試料の像を前記顕微鏡像撮影装置の受光面に結像させる前記対物レンズとレンズ組立体を含み、前記受光面に於ける前記生物試料の像の投影倍率に対する前記対物レンズの開口数の比の2乗の値が0.01以上であることを特徴とするコンピュータプログラム。
- 請求項22のコンピュータプログラムであって、前記複数の生物試料の少なくとも一部を含む発光画像を取得する手順を繰り返し実行して複数の発光画像を取得し、前記指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を算出する手順に於いて、前記複数の発光画像に基づいて、前記指定された少なくとも一つの測定領域からの発光量又は発光強度を前記発光画像毎に算出することを特徴とするコンピュータプログラム。
- 請求項22のコンピュータプログラムであって、前記発光画像を取得する手順に先立って、前記生物試料に刺激を与える手順を実行することを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
- 請求項26のコンピュータプログラムであって、前記生物試料に刺激を与える手順に於いて該生物試料に与えられる刺激が、薬剤刺激と、電気刺激と、ガスによる刺激と、熱による刺激とからなる群から選択される少なくとも一つの刺激であることを特徴とするコンピュータプログラム。
- 請求項22のコンピュータプログラムであって、前記発光画像を取得する手順に先立って前記複数の生物試料へ所定の化合物を添加する化合物添加装置を作動して、前記複数の生物試料へ所定の化合物を添加する手順と、前記指定された測定領域に於ける発光量又は発光強度を算出する手順に於いて測定した前記発光量又は発光強度に基づいて、前記所定の化合物が前記発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する手順とを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
- 請求項28のコンピュータプログラムであって、前記所定の化合物が前記発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する手順に於いて、前記発光量又は発光強度に基づいて、所定のパラメータを算出する手順と、前記算出された所定のパラメータに基づいて、前記所定の化合物が前記発光タンパク質の発現若しくは局在化又は阻害を惹起したか否かを判定する手順とを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
- 発光タンパク質を発現する遺伝子が導入された複数の生きた生物試料からの発光量又は発光強度を前記複数の生きた生物試料の発光画像から算出する発光測定用コンピュータプログラムであって、前記生物試料の像を含む予め取得した発光画像に於いて、少なくとも一つの測定領域を指定する手順と、前記予め取得した発光画像に於ける前記少なくとも一つの測定領域の発光量又は発光強度を前記複数の生きた生物試料の発光画像に基づいて測定する手順とを含むことをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
- 請求項22又は30のコンピュータプログラムであって、前記生物試料が、生体組織、細胞、個体からなる群から選択される1つであることを特徴とするコンピュータプログラム。
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