JPH081086Y2 - 表面保護層を有する印刷成形品 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、立体地図，立体ディスプレイ，商品見本，
玩具，立体シール，立体ステッカー等の装飾成形品であ
って、特に、表面に印刷を保護する層を有する印刷成形
品に関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、装飾成形品を得る方法としては、成形可能な
プラスチックフィルムから成る基材の表面に多孔質層の
インク定着層を設け、このインク定着層にオフセット印
刷等の印刷を施してから成形するか、或は印刷した後、
表面保護，艶出しを目的としてフィルムを積層してから
成形する方法が行われていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

然し乍ら、上記の方法はいずれも問題がある。即ち、
印刷後成形した成形品は、印刷面の強度が弱く、積み重
ねると印刷が剥がれるおそれが多い。一方、印刷後フィ
ルムを積層した成形品は、コストが高くなる上に、フィ
ルム積層後、成形用紙がカールしたり、気泡が発生する
等の問題があり、また、基材と積層したフィルムの収縮
率が相違すると、型への追随が良くなく、型の通りに成
形するのが困難である。

従って、本考案が解決しようとする課題は、印刷面を
保護できる表面保護層を有する印刷を施した成形品を安
価且つ容易に提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記の課題を解決することを目的としてなさ
れたもので、その構成は、表面に多孔質表層を形成した
成形可能なプラスチックフィルムから成る基材の前記多
孔質表層に印刷を施し、該多孔質表層印刷面に接着層を
介して表面保護層を設け、成形したことを特徴とするも
のであり、特に、接着層を設けることが、上記の課題を
解決するために最も重要な点である。

即ち、本考案は、表面に多孔質表層を形成して、イン
ク定着性、換言すれば、インクの密着性（濡れ），吸収
性及び乾燥硬化性を良好にした成形品を具えたプラスチ
ックフィルムの前記表層に、印刷を施した後、コーティ
ングマシン等により接着層を設け、その後、熱可塑性樹
脂をスクリーン印刷又は通常のコーティング方法により
表面保護層を設けてから、所望の形状に成形することに
より、表面保護層を有する印刷を施した装飾成形品を安
価且つ容易に提供できるようにしたものである。

尚、多孔質表層を形成したプラスチックフィルムとし
ては合成紙も含まれる。

〔考案の作用〕

本考案においては接着層が重要な役割を果たしてい
る。即ち、印刷面と表面保護層との間に設けた接着層
は、印刷インクと表面保護層との密着を良好にするもの
で、接着層が基材の多孔質表層に吸収され、表面保護層
が基材に吸収されるのを防ぐものであるが、多孔質表層
の上に設けられるため、気泡発生などの問題があるの
で、厚く形成することは出来ず、充分な保護層とはなり
得ない。

そのため、接着層の上に積層した表面保護層により印
刷面を保護するのであって、熱可塑性樹脂のコーティン
グ等により形成されるから、成形時に樹脂が溶解して、
表面保護膜が形成される。

而して、接着層と表面保護層は、共に成形時に基材と
一体に伸びるため、表面保護層を有する成形品の成形が
可能となるのである。

また、表面保護層の組成を変えることにより、必要に
応じて、表面保護層が光沢，艶を有する成形品、光沢，
艶がない成形品、或は要求される光沢，艶を有する成形
品が得られる。

尚、成形法としては、真空成形及び圧縮空気成形があ
るが、製品の形状が複雑で単に真空圧だけでは成形しに
くものは適宜の補助手段を用いても良い。

次に本考案について詳細に説明する。

基材としてのプラスチックフィルムは、熱可塑性のも
のであればよく、例えば、ポリスチレン，塩化ビニル，
ポリエチレン，ポリプロピレン，ポリカーボネート及び
ポリエステルフィルム等がある。これらのプラスチック
フィルムは、予め多孔質表層との密着性を向上させるた
めの処理を施してから使用してもよい。

多孔質表層を形成する方法としてはコーティング方法
等がある。

また、多孔質表層を有するプラスチックフィルムとし
ては合成紙も含まれる。

上記多孔質表層に印刷してからその上に形成する接着
層には、熱可塑性樹脂、例えば、スチレン−アクリル共
重合樹脂，イソプロピルアルコール及び水を混合したも
の等が用いられ、インクが乾燥した後、コーティングマ
シンによりコーティングして設ける。

更に、上記接着層に積層する表面保護層には、熱可塑
性樹脂、例えば、アクリル樹脂とジエチレングリコール
の混合液等、必要に応じ、前記混合液に少量の消泡剤を
添加したもの等が用いられ、上記接着層が乾燥してから
その上にスクリーン印刷等により積層する。

〔実施例〕

次に本考案の実施例を図により説明する。

第１図は本考案成形品を成形する前のシートの断面拡
大図、第２図は前記成形用紙を用いて成形した成形品の
斜視図である。

熱可塑性樹脂から成る基材１の表面に多孔質表層２を
形成した合成紙（WGA-370 日清紡績（株）製）の多孔
質表層２の表面にRIテスターを用いて印刷３を施した。
インクは一般インクを用い、盛量は0.25ccとした。

印刷３のインクが乾燥した後、下記組成の塗液をコー
テイングマシンにより塗布し、接着層４を設けた。

スチレン−アクリル共重合樹脂 40部 イソプロピルアルコール 23部 水 37部 接着層４が乾燥した後、下記組成の塗液をスクリーン
印刷し、表面保護層５を積層した。

アクリル樹脂 40部 ジエチレングリコール 30部 消泡剤 0.1部 上記表面保護層５が乾燥してから、真空成形機を用い
て成形したところ、高光沢で耐擦性の優れた成形品Ｍが
得られた。

〔考案の効果〕

本考案は上述の通りであるから、本考案によれば、従
来品に比して高光沢で耐撮性の優れた装飾用の成形品を
容易且つ低廉に作製することができる。

従って、本考案は立体地図，立体ディスプレイ，商品
見本，玩具，立体シール，立体ステッカー等の印刷を施
した装飾成形品として好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案成形品を成形する前のシートの断面拡大
図、第２図は前記成形用シートを用いて成形した成形品
の斜視図である。 １……基材、２……多孔質表層、３……印刷、４……接
着層、５……表面保護層、Ｍ……成形品

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】表面に多孔質表層を形成した成形可能なプ
   ラスチックフィルムから成る基材の前記多孔質表層に印
   刷を施し、該多孔質表層印刷面に接着層を介して熱可塑
   性樹脂を主体とした表面保護層をコーティングにより設
   け、成形したことを特徴とする表面保護層を有する印刷
   成形品。