JPH0798970B2 - クロムを含む溶融鉄合金の脱燐方法 - Google Patents

クロムを含む溶融鉄合金の脱燐方法

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JPH0798970B2
JPH0798970B2 JP61204603A JP20460386A JPH0798970B2 JP H0798970 B2 JPH0798970 B2 JP H0798970B2 JP 61204603 A JP61204603 A JP 61204603A JP 20460386 A JP20460386 A JP 20460386A JP H0798970 B2 JPH0798970 B2 JP H0798970B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はクロムを含有する溶融鉄合金の脱燐方法に係
り、特にクロムを5%以上含有する溶融鉄合金を経済的
に脱燐する方法に関する。
従来技術 一般に、クロムを5%以上含有する高クロム鋼あるいは
ステンレス鋼中の燐は、鋼の機械的性質や応力腐蝕割れ
に悪影響をおよぼす有害不純物である。しかしながら、
クロムを含む溶融鉄合金の脱燐は、通常の溶融鉄の脱燐
法として採用されている転炉吹錬のように強い酸化精錬
法を適用しても、クロムが優先的に酸化されるのみで脱
燐は進行せず不可能とされていた。
しかるに最近、低Pステンレス鋼の必要性が増し、下記
に示す脱燐法が開発された。
従来の脱燐法は[A]還元脱燐法と[B]酸化脱燐法の
2つに大別され、[A]の脱燐法にはエレクトロスラ
グ再溶融法(ESR)にてCa-CaF2系フラックスを用いて脱
燐する方法、取鍋内でCaC2‐CaF2,CaC2を用いて脱燐
する方法等が知られている。この,とも、Caで脱燐
を行なうものであり、脱燐反応としては、 3(Ca)+2→(Ca32) で表わされる還元脱燐であって、は CaC2→Ca+2 というCaC2の分解反応によって生ずるCaを利用したもの
である。
一方、[B]の脱燐法にはCaO-F2Cl2系フラックスに
よる脱燐法(特公昭57-7212)、アルカリ金属の炭酸
塩,酸化物,水酸化物の1種、アルカリ土類金属のフッ
化物,塩化物の1種、鉄,ニッケルの酸化物の1種、ア
ルカリ土類金属の酸化物,炭酸塩の1種を含むフラック
スを用いて脱燐する方法(特開昭57-17923)、アルカ
リ土類金属(炭酸塩,水酸化物)1種以上、アルカリ土
類金属のハロゲン化物の1種以上とから成るフラックス
を添加し、さらに生成するスラグが硬化することのない
量の酸化剤を添加する方法がある(特開昭58-15141
6)。
発明が解決しようとする問題点 クロムを含有する溶融鉄合金の脱燐方法のうち、前記
[A]還元脱燐法は,いずれも脱燐処理後のスラグ
中にCa32が存在することになり、これが Ca32+3H2O→3CaO+2PH3 で示されるように、大気中のH2Oと反応しにんにく臭
の強い有毒なフォスフィン(PH3)を発生するという問
題がある。
一方、[B]酸化脱燐法は前記のような脱燐後のスラグ
処理の問題はなく、しかもコスト的に安価なフラックス
を用いるので処理コストが[A]の還元脱燐法より安く
つくという利点がある。しかしながら、従来の酸化脱燐
法は溶融鉄合金の脱燐をより効果的に行なうための条
件、また、処理コストをより安くするためのフラックス
や酸化剤の添加条件等については明らかになっておら
ず、その改善が望まれていた。
発明の目的 この発明は従来の前記問題点を解決するためになされた
ものであり、特に脱燐後のスラグ処理上の問題のない酸
化脱燐法の中で、最もコストの安いCaO系フラックス
と、酸化剤に安価な酸化鉄を主として用いる溶融鉄合金
の脱燐方法において、最適条件を明確にすることによっ
て脱燐効果の増大と処理コストの低減をはかる方法を提
案せんとするものである。
問題点を解決するための手段 この発明はCrを5%以上含有する溶融鉄合金をCaO系フ
ラックスと酸化鉄を用いて脱燐するに際し、脱燐前の溶
湯温度を1510℃以上とし、かつ浴面上に存在するSiO2
を10kg/t以下となるように除滓した後、CaO 20〜50%,C
aF2 25〜80%,CaCl2 35%以下から成るフラックスを20
〜120kg/t添加し、かつ酸化鉄25kg/t以下を分投するこ
とを特徴とするものである。
ここで、脱燐前の溶湯温度を1510℃以上と限定したの
は、これより低い温度ではフラックスの滓化が悪く脱燐
反応が悪化するためである。なお、いったんフラックス
が滓化すれば処理後の温度は1300℃程度でも問題ない。
また、実際にはフラックスの添加により溶湯温度は100
℃以上低下するので、処理前温度は1510℃以上に高める
必要がある。脱燐前の溶湯温度の上限は特に限定するも
のではないが、耐火物溶損を少なくすることおよび、フ
ラックス添加後の溶湯温度が高すぎ脱燐が悪くなること
を防止する面から1780℃以下とするのが好ましい。
また、処理前の浴面上に存在するSiO2分を10kg/t以下と
なるように除滓するのは、SiO2分が10kg/tを超えて多く
なるとスラグの塩基性が低下し、脱燐反応が悪化するた
めである。またSiO2分が少ない分は何ら差しつかえな
い。特にクロム鉱石を溶鉄に溶かし、カーボンを酸素で
溶融還元し、クロムを含む溶融鉄合金を溶製する場合、
溶融還元後のスラグ(SiO2を含む)を除滓する必要があ
り、また通常の電気炉−AOD操業でも脱燐を進行し易く
するために[Si]≦0.1%程度まで脱珪した時のSiO2
多量含むスラグの除滓は必要である。
次に、この発明のフラックスについて詳述する。
Crを含有する溶融鉄合金中のPをP25といった形に酸
化するためには、まず酸化剤が必要であり、脱燐するた
めにはこのP25を安定化させる塩基性酸化物が必要で
ある。塩基性酸化物としては、Na2O,Li2O,BaO等がある
が、最も一般的なものはCaOである。従来は特にCr含有
溶鉄のようにCrの酸化ロスが少ない状態で脱燐するよう
な低い酸素ポテンシャルの脱燐には、CaOより強塩基性
のLi2O源となるものが必要であった。しかし、Li2CO3
といったものは高価である。そこで、この発明は安価な
CaO系フラックスで脱燐を可能とするためのフラックス
として、CaO 20〜50%,CaF2 25〜80%,CaCl2 35%以下
から成るフラックス用いることとした。
すなわち、塩基性酸化物としてのCaO量は多い程好まし
いが、他の媒溶剤として使用するCaF2あるいはCaCl2
よび、酸化物として使用する酸化鉄等、さらにはSiO2
存在する状態で、CaOが滓化し溶融スラグを形成するこ
とが必要であるため、フラックス中のCaO量は50%以下
に制限される。50%を超えると滓化しないからである。
他方、フラックス中のCaOの下限は脱燐レベルで制限さ
れる。すなわち、CaOが20%未満ではスラグの塩基性が
低下し、効果的な脱燐が進行しなくなるので、CaOの含
有量は20〜50%が好適である。
また、媒溶剤としてCaF2,CaCl2を選択したのは、以下に
示す理由による。第1図はCaOを30%と固定し、CaF2とC
aCl2を変化させた場合の、酸化剤を含まない場合のスラ
グの融点を示す図である。CaF2にCaCl2が加わった場
合、スラグの融点は低下する。この図より、CaF2あるい
はCaCl2単独よりCaF2とCaCl2を併用した方が媒溶剤とし
ての効果が大きいことがわかる。この媒溶剤の脱燐への
影響を示したのが第2図および第3図である。第2図よ
り明らかなごとく、CaF2あるいはCaCl2はそれぞれ単独
で使用してもよいが、これらを併用した場合の方が脱燐
が高位で安定する。この傾向は、第3図から明らかなご
とく低温で処理する程大きくなる。従って、CaCl2に比
べて安価なCaF2を主媒溶剤として用いる場合も、CaCl2
をCaF2の2割程度は併用するのが好ましい。なお、フラ
ックス中のCaF2量を25〜80%と限定したのは、25%未満
では媒溶剤としての効果が少なく、高価なCaCl2を例え
ば35%以上と多く配合する必要があるし、他方80%を超
えると、CaO分が少なくなり脱燐が悪化するためであ
る。
また、フラックス中のCaCl2量を35%以下と限定したの
は、CaCl2がこれ以上ではこの媒溶剤のコストが高くつ
き、この場合むしろCaF2を併用し、CaCl2を35%とした
方が得策であるためである。CaCl2の下限は特に限定す
るものではないが、CaF2と併用による時の媒溶剤効果を
高める点から5%以上とするのが好ましい。
上記フラックスの添加量を20〜120kg/tに限定したの
は、20kg/t以下では高い脱燐効果が得られず、他方120k
g/t以上では処理温度の降下が大きくなりすぎるためで
ある。
この発明において、酸化剤として酸化鉄(鉄鉱石,スケ
ール,ダスト)を選択したのは、CaOと共に1200℃とい
う低融点のカルシウムフェライトを作り、CaOの滓化を
促進するためである。この酸化鉄は[Cr]を酸化し一部
Cr23となる。従って、酸化鉄のかわりにCr23を添加
することも考えられるが、1500℃におけるCaO 30%‐Ca
F2‐CaCl2のスラグへのCr23の溶解度は1%程度であ
るため、Cr23を添加する場合にはその添加量をこの範
囲内にすることが必要である。すなわち、これ以上Cr2
3が多くなるとスラグが硬化し物理的に反応しなくな
るためである。しかるに、Fe23のように酸化鉄を酸化
剤として用いると、一部は[Cr]を酸化し(Cr23
(m.p 1990℃)となるが、残部はFeOのような酸化鉄の
ままでスラグの融点を低下させ、スラグを溶融状態に保
持できるので、この発明では酸化鉄を添加するものであ
る。第4図は処理後スラグ中の(Cr23)とT.Feの関係
を示す図である。スラグ中の(Cr23)が15%を超える
とスラグが硬化するので、酸化剤に酸化鉄を用いる場合
その添加量は処理後のスラグ中の(Cr23)が15%以下
になるようにすることが必要であり、そのため25kg/t以
下とする。また、酸化鉄の添加量の下限は特に限定する
ものではないが、脱燐に必要な酸化力を与えるという面
から5kg/t以上が好ましい。
なお、第5図は脱燐におよぼす[C]の影響を示す図で
ある。この図より明らかなごとく、[C]が高い場合良
好な脱燐が進行するが、[C]が低くなると急激に脱燐
が悪化するため、例えば脱燐前のクロム含有溶鉄の
[C]が例えば1〜2%の場合、加炭して[C]=4%
程度に高めて脱燐すると効果的である。
この発明方法を実施するための装置としては、AODある
いは、炉底より撹拌ガスを導入できる炉を用いることが
できる。また、取鍋でArバブリング撹拌、インペラー撹
拌を行なって処理することも可能である。
フラックスの添加方法としては、粒状のものを浴面に上
置きする方法で添加してもよいが、インジェクション法
により浴中に添加する方が滓化性が向上し良好な脱燐が
可能である。
また、酸化鉄の添加方法としては、初期に一括投入して
もよいが、特に[C]が低い含クロム溶融鉄の場合(Cr
23)が過激に生じスラグが硬化するのを防止するため
には分投するのが好ましい。
実施例 第1表に示す成分を有するCr含有溶融鉄合金10tonを電
気炉で大気溶解し、AODに注銑後SiO2分を10kgに除滓し
た後、1600℃のこの溶湯に第2表に示す組成の混合フラ
ックスをいずれも1ton添加し、さらに横吹羽口を通して
ArバブリングしながらFe23 10kgずつ150kg分投した。
その結果を第3表に示す。なお、処理後のCaO/SiO2は2
8、Cr23は10.7%、温度は1450℃であった。
第3表より、いずれも脱燐率56〜73%と高い値が得られ
た。
発明の効果 以上説明したごとく、この発明方法によれば、有害なス
ラグを生ずることもなく、簡単かつ安価に、しかも高効
率で、クロムを含む溶融鉄合金の脱燐を行なうことがで
き、高品質の高クロム鋼やステンレス鋼の製造に大なる
効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明方法におけるフラックスの溶融温度を
示す図、第2図は処理温度1500℃での脱燐率におよぼす
媒溶剤(CaF2,CaCl2)の影響を示す図、第3図は脱燐率
におよぼす処理温度の影響を示す図、第4図は処理後ス
ラグ中の(Cr23)とT.Feの関係を示す図、第5図は脱
燐率におよぼす[C]の影響を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Crを5%以上含有する溶融鉄合金の脱燐方
    法において、脱燐前の溶湯温度を1510℃以上とし、かつ
    浴面上に存在するSiO2分を10kg/t以下となるように除滓
    した後、CaO 20〜50%,CaF2 25〜80%,CaCl2 35%以下
    から成るフラックスを20〜120kg/t添加し、かつ酸化鉄2
    5kg/t以下を分投することを特徴とするクロムを含む溶
    融鉄合金の脱燐方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5947350A (ja) * 1982-09-09 1984-03-17 Sumitomo Metal Ind Ltd クロムを含む溶融鉄合金の脱燐・脱硫方法

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