JPH05226945A - 電圧電流変換回路及び該回路を有する差動増幅回路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明の差動増幅回路は、モータ駆動用のＨ
ブリッジ回路の電流を検出するために、２つのウィルソ
ン型カレントミラーを使用してその出力の差電圧を電流
に変換することを特徴とする。 【構成】この差動増幅回路は、差動入力電圧Ｖin−、Ｖ
in＋を電流に変換する電圧電流変換回路１と、フィード
バック抵抗Ｒ₁ を有したオペアンプＯＰによりＶ／Ｉ変
換された後の電流を電圧に戻す電流電圧変換部２で構成
される。そして入力電圧Ｖinが電圧電流変換回路１のＶ
／Ｉ変換により、電流ｎ（Ｖin／Ｒ₀ ）に変換され、そ
の電流が電流電圧変換部２に流れることにより、リファ
レンス電圧Ｖ_REF にｎ・Ｖin（Ｒ₁ ／Ｒ₀ ）を加えた電
圧を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、差動増幅回路に関
し、特にモータ駆動用Ｈブリッジ回路に於いて駆動電流
の検出に適した電圧電流変換回路及び該回路を有する差
動増幅回路に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４は、モータ駆動用のＨブリッジ回路
を示すもので、同回路で駆動するときの電流検出方法を
説明する。同図に於いて、Ｈブリッジ回路はそれぞれコ
レクタとエミッタ間にダイオードＤ₁ 〜Ｄ₄ が接続され
たトランジスタＱ₁ 〜Ｑ₄ と、モータＭで構成されるも
ので、更に電流検出用抵抗Ｒcs₁ 及びＲcs₂ と、上記回
路の出力をｎ倍するオペアンプＯＰ₁ が接続されてい
る。

【０００３】図示構成のＨブリッジ回路に於いて、トラ
ンジスタＱ₁ 及びＱ₂ をオンすると、モータＭに電流Ｉ
_L が流れる。このとき、抵抗Ｒcs₁ の両端には、電圧Ｒ
sc₁ ×Ｉ_L が生じる。また、トランジスタＱ₁ 及びＱ₄
をオフした直後には、モータＭ内のコイルの逆起電力に
より、電流Ｉ_R が流れ、抵抗Ｒcs₂ の両端に電圧Ｒcs×
Ｉ_R が生じる。

【０００４】以上述べた動作に於いて、縦軸を抵抗Ｒcs
₁ 、Ｒcs₂ の電圧で表すと、図５（ａ）に示されるよう
に変化することがわかる。また、図５（ｂ）は、上記抵
抗Ｒcs₁ 、Ｒcs₂ の電圧を、差動増幅回路の入力に加え
たときの出力電圧を表したものである。そして、図５
（ａ）及び（ｂ）から、抵抗Ｒcs₁ 、Ｒcs₂ の電圧を差
動増幅回路により増幅した電圧を見れば、トランジスタ
Ｑ₁ 、Ｑ₄ をオフからオン、そしてオフとしたときに、
モータＭに流れる電流を示すことがわかる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図４、図５
（ａ）及び（ｂ）に示されるように、Ｈブリッジに流れ
る電流は、検出用抵抗Ｒcs₁ 及びＲcs₂ にかかる電圧
を、差動増幅回路で増幅した出力である。このときの差
動増幅回路の入力電圧は、Ｖcc−Ｉ_L ・Ｒcs（Ｒc
s₁ ）、Ｖcc＋Ｉ_L ・Ｒcs（Ｒcs₂ ）となる。例えばＲc
s＝０．５Ω、Ｉ_L ＝１Ａとすると、Ｖcc＝±０．５Ｖ
である。このため、Ｈブリッジ回路と電流検出回路を同
一電源で構成しようとすると、電源電圧がＶccのときに
Ｖcc±０．５Ｖの入力で動作する差動増幅回路が必要と
なる。

【０００６】この入力電圧に対して、図６に示されるよ
うなオペアンプＯＰ₁ の入力電圧範囲を見てみると、以
下のような値となる。 Ｖ_IN(MAX) ＝Ｖcc−Ｖ_BE−Ｖ_CE＝Ｖcc−１．０［Ｖ］ オペアンプを電源電圧Ｖccで動作させると、直接モータ
の電流検出出力に接続することはできない。そのため、
図７に示されるように、Ｈブリッジの電源Ｖccに対して
オペアンプの電源をＶcc＋ＶＡとして、検出抵抗の出力
電圧を、オペアンプＯＰ₁ の入力電圧範囲内にしなけれ
ばならない。

【０００７】この発明は上記のような点に鑑みてなされ
たもので、オペアンプで差動増幅回路を構成するときの
ように、Ｖcc以上の別電源を必要とせず、電源電圧Ｖcc
で動作させていても電流検出電圧Ｖcc＋Ｉ_L ・Ｒcsが入
力可能である差動増幅回路を提供することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、入
力電圧が印加されるべく入力端子としてのエミッタ抵抗
を各々有した第１及び第２のウィルソン型カレントミラ
ー回路と、上記第１及び第２のウィルソン型カレントミ
ラー回路の入力電流となるべく接続された第１及び第２
の定電流源と、上記第１のウィルソン型カレントミラー
回路と第２のウィルソン型カレントミラー回路の共通ベ
ース端子間に接続された抵抗と、上記第１及び第２のウ
ィルソン型カレントミラー回路の何れか一方の出力端に
接続されるもので、出力電流を折返すカレントミラー回
路とを具備し、このカレントミラー回路の出力と、上記
第１及び第２のウィルソン型カレントミラー回路の他方
の出力間に生じる差電圧を電流に変換することを特徴と
する。

【０００９】

【作用】この発明の差動増幅回路は、第１及び第２のウ
ィルソン型カレントミラー回路と、第１及び第２の電流
源と、上記第１のウィルソン型カレントミラー回路と第
２のウィルソン型カレントミラー回路の共通ベース端子
間に接続された抵抗を有している。そして、一方のウィ
ルソン型カレントミラー回路の出力電流を折返すカレン
トミラー回路の出力と、他方のウィルソン型カレントミ
ラー回路の出力との間に生じる差電圧が、電流に変換さ
れる。

【００１０】

【実施例】以下図面を参照して、この発明の実施例を説
明する。

【００１１】図１は、この発明の差動増幅回路の基本的
構成を概略的に示す回路図である。この差動増幅回路
は、差動入力電圧（Ｖin−、Ｖin＋）を電流に変換する
電圧電流（Ｖ／Ｉ）変換回路１と、フィードバック抵抗
Ｒ₁ を有したオペアンプＯＰを利用してＶ／Ｉ変換され
た後の電流を電圧に戻す電流電圧（Ｉ／Ｖ）変換部２で
構成されている。

【００１２】このように構成された差動増幅回路は、入
力電圧ＶinをＶ／Ｉ変換回路１のＶ／Ｉ変換により、電
流ｎ（Ｖin／Ｒ₀ ）［Ａ］に変換する。そして、その電
流が、後段のＩ／Ｖ変換部２に流れることにより、リフ
ァレンス電圧Ｖ_REF にｎ・Ｖin（Ｒ₁ ／Ｒ₀ ）を加えた
電圧を出力する動作が行われる。図２は、この発明の実
施例で、図１のＶ／Ｉ変換回路１の部分を詳細に示した
差動増幅回路の回路構成図である。

【００１３】同図に於いて、入力端子Ｖ_IN−とグラウン
ド間には、抵抗Ｒ₃ 、トランジスタＱ₁₁及び定電流源Ｉ
₀ の直列回路と、抵抗Ｒ₄ 、トランジスタＱ₁₂、Ｑ₁₃及
びＱ₁₇の直列回路が図示の如く接続されている。同様
に、入力端子Ｖ_IN＋とグラウンド間には、抵抗Ｒ₅ 、ト
ランジスタＱ₁₄、Ｑ₁₆及びＱ₁₈の直列回路と、抵抗
Ｒ₆ 、トランジスタＱ₁₅及び定電流源Ｉ₀ の直列回路
が、図示の如く接続されている。そして、トランジスタ
Ｑ₁₂とＱ₁₃の接続点ａと、トランジスタＱ₁₄とＱ₁₆の接
続点ｂの間には、抵抗Ｒ₀ が接続される。

【００１４】上記Ｉ／Ｖ変換部２の抵抗Ｒ₁ の一端は、
オペアンプＯＰの負入力端と共にトランジスタＱ16とＱ
18の間に接続され、他端はオペアンプＯＰの出力端に接
続されている。また、オペアンプＯＰの正入力端は、リ
ファレンス電圧Ｖ_REF に接続されている。

【００１５】尚、上記トランジスタＱ₁₁〜Ｑ₁₆は２つの
ウィルソン型カレントミラー回路を構成するもので、Ｐ
ＮＰ型トランジスタを使用している。一方、上記トラン
ジスタＱ₁₇及びＱ₁₈は、カレントミラー回路を構成する
もので、ＮＰＮ型トランジスタを使用している。次に、
このように構成された差動増幅回路の動作を、Ｖ_IN−＝
Ｖcc、Ｖ_IN＋＝Ｖcc＋Ｖx の時を例に説明する。

【００１６】Ｖ／Ｉ変換回路１は、抵抗Ｒ₃ 、Ｒ₄ 、ト
ランジスタＱ₁₁〜Ｑ₁₃、定電流源Ｉ₀ と、抵抗Ｒ₅ 、Ｒ
₆ 、トランジスタＱ₁₄〜Ｑ₁₆、定電流源Ｉ₀ とで構成さ
れる２つのウィルソン型カレントミラーと、トランジス
タＱ₁₇及びＱ₁₈で構成されるカレントミラーと、抵抗Ｒ
₀ により構成される。したがって、上記入力がＶ_IN−、
Ｖ_IN＋に入ったとき、以下のように動作される。

【００１７】先ず、トランジスタＱ12及びＱ14のコレク
タ電流（ベース電流はコレクタ電流に対して十分に小さ
いものとする）を考えると、それぞれウィルソン型カレ
ントミラーにより、Ｉ₀ となる。更に、ａ点及びｂ点の
電圧をそれぞれＶ_(a) Ｖ_(b)とすると、（１）式のよう
に表される。 Ｖ_(a) ＝Ｖcc−Ｒ・Ｉ₀ −Ｖ_BE（Ｑ₁₂） Ｖ_(b) ＝Ｖcc＋Ｖx −ＲＩ₀ −Ｖ_BE（Ｑ₁₄） …（１） また、抵抗Ｒ₀ の両端には、（２）式の差の電圧が現
れ、電流Ｉx が流れる。 Ｖ_(b) −Ｖ_(a) ＝Ｖx Ｉx ＝Ｖx ／Ｒ₀ …（２） 以上により、電流Ｉ₁ 及びＩ₂ は（３）式及び（４）式
で表される。 Ｉ₁ ＝Ｉ₀ ＋Ｉx ＝Ｉ₀ ＋Ｖx ／Ｒ₀ …（３） Ｉ₂ ＝Ｉ₀ −Ｉx ＝Ｉ₀ −Ｖx ／Ｒ₀ …（４） また、トランジスタＱ₁₇及びＱ₁₈で構成されるカレント
ミラー回路により、Ｉ₁ ＝Ｉ₁ ′であることから、Ｖ／
Ｉ変換回路１の出力電流Ｉ₃ は、（５）式のようにな
る。 Ｉ₃ ＝Ｉ₁ ′−Ｉ₂ ＝Ｉ₁ −Ｉ₂ ＝Ｉ₀ ＋Ｖx ／Ｒ₀ −Ｉ₀ ＋Ｖx ／Ｒ₀ ＝２（Ｖx ／Ｒ₀ ） …（５）

【００１８】次に、Ｉ／Ｖ変換部２について説明する
と、Ｖ／Ｉ変換回路１の出力電流Ｉ₃は、抵抗Ｒ₁ を流
れるので、その出力は（６）式の如くなる。 Ｖ_OUT ＝Ｖ_REF ＋（Ｒ₁ ／Ｒ₀ ）・２Ｖx …（６） このときの差動増幅回路の増幅率は２（Ｒ₁ ／Ｒ₀ ）で
あるから、抵抗Ｒ₁ 、Ｒ₀ の組合わせによって、任意の
増幅率を得ることができる。

【００１９】上述した第１の実施例は、モータのＨブリ
ッジの電流検出抵抗に生じるＶcc±Ｉ_L ・Ｒcsを入力可
能とした差動増幅回路について述べたものであった。こ
の発明の回路を利用すれば、ＧＮＤ±Ｖx という電圧を
入力可能な差動増幅回路を構成することもできる。

【００２０】図３は、このような構成の差動増幅回路を
示したもので、基本的な構成及び動作は図２に示された
回路と同様である。但し、図３に於いて、ウィルソン型
カレントミラー回路を構成するトランジスタＱ₁₁′〜Ｑ
₁₆′はＮＰＮ型トランジスタを使用し、カレントミラー
回路を構成するトランジスタＱ₁₇′及びＱ₁₈′はＰＮＰ
型トランジスタを使用して電流の折返しを行っている点
が、図２の回路構成と異なる部分である。

【００２１】

【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、別電源
を必要とせず、所定の電源電圧で動作させていても電流
検出電圧が入力可能である差動増幅回路を提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の差動増幅回路の基本的構成を概略的
に示す回路図である。

【図２】この発明の実施例で、図１のＶ／Ｉ変換回路１
の部分を詳細に示した差動増幅回路の回路構成図であ
る。

【図３】この発明の別の実施例で図１のＶ／Ｉ変換回路
１の部分を詳細に示した差動増幅回路の回路構成図であ
る。

【図４】従来のモータ駆動用のＨブリッジ回路の回路構
成図である。

【図５】（ａ）は図４の電流検出抵抗にかかる電圧の経
時変化を示した図、（ｂ）は図４の回路の出力電圧の経
時変化を示した図である。

【図６】図４のオペアンプの回路構成を示した図であ
る。

【図７】Ｈブリッジの電源Ｖccに対してオペアンプの電
源をＶcc＋ＶＡとして検出抵抗の出力電圧をオペアンプ
ＯＰ₁ の入力電圧とした場合の回路構成図である。

【符号の説明】

１…電圧電流（Ｖ／Ｉ）変換回路、２…電流電圧（Ｉ／
Ｖ）変換部、Ｉ₀ …定電流源、ＯＰ、ＯＰ₁ …オペアン
プ、Ｑ₁ 〜Ｑ₁₈、Ｑ₁₁′〜Ｑ₁₈′…トランジスタ、Ｒ₀
〜Ｒ₆ …抵抗。

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【手続補正書】

【提出日】平成４年３月１１日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図６

【補正方法】変更

【補正内容】

【図６】

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入力電圧が印加されるべく入力端子とし
   てのエミッタ抵抗を各々有した第１及び第２のウィルソ
   ン型カレントミラー回路と、 上記第１及び第２のウィルソン型カレントミラー回路の
   入力電流となるべく接続された第１及び第２の定電流源
   と、 上記第１のウィルソン型カレントミラー回路と第２のウ
   ィルソン型カレントミラー回路の共通ベース端子間に接
   続された抵抗と、 上記第１及び第２のウィルソン型カレントミラー回路の
   何れか一方の出力端に接続されるもので、出力電流を折
   返すカレントミラー回路とを具備し、 このカレントミラー回路の出力と、上記第１及び第２の
   ウィルソン型カレントミラー回路の他方の出力間に生じ
   る差電圧を電流に変換することを特徴とする電圧電流変
   換回路。
2. 【請求項２】 請求項１の電圧電流変換回路と、 一方の入力端と出力間に抵抗を有し、他方の入力端に基
   準電圧を印加するべく基準電源が接続されたオペアンプ
   から成る電流電圧変換回路とを具備することを特徴とす
   る差動増幅回路。