半導体デバイスの製造工程においては、表面に複数のデバイスが形成された半導体ウェハ(以下、ウェハという)に対し、当該ウェハを薄化することが行われている。ウェハの薄化方法は種々あるが、例えばウェハの裏面を研削加工する方法や、特許文献1に開示したようにウェハの内部にレーザービーム(レーザ光)を照射して改質面(改質層)を形成し、当該改質層を基点にウェハを分離する方法などがある。
ここで、上述したように改質層を基点にウェハを分離する場合、例えば、ウェハの両面をチャックで吸着保持(バキュームチャック)し、当該チャックを離間させる。そうすると、チャックが離間する方向にウェハに力が作用し、ウェハが分離される。
しかしながら、レーザ光が照射されたウェハは、部分的に剥離していたり、あるいは反っている場合がある。かかる場合、ウェハをチャックで吸着保持することが困難になる。また、チャックでウェハを吸着する際の荷重によって、ウェハがダメージを被るおそれもある。したがって、従来のウェハの分離処理には改善の余地がある。
本開示にかかる技術は、処理対象体を適切に分離する。以下、本実施形態にかかる分離装置を備えたウェハ処理システム、及びウェハ処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
先ず、本実施形態にかかるウェハ処理システムの構成について説明する。図1は、ウェハ処理システム1の構成の概略を模式的に示す平面図である。図2は、ウェハ処理システム1の構成の概略を模式的に示す側面図である。
ウェハ処理システム1では、図3及び図4に示すように処理対象体としての処理ウェハWと支持ウェハSとが接合された重合ウェハTに対して処理を行う。そしてウェハ処理システム1では、処理ウェハWの周縁部Weを除去しつつ、当該処理ウェハWを薄化する。以下、処理ウェハWにおいて、支持ウェハSに接合された面を表面Waといい、表面Waと反対側の面を裏面Wbという。同様に、支持ウェハSにおいて、処理ウェハWに接合された面を表面Saといい、表面Saと反対側の面を裏面Sbという。
処理ウェハWは、例えばシリコン基板などの半導体ウェハであって、表面Waに複数のデバイスを含むデバイス層Dが形成されている。また、デバイス層Dにはさらに酸化膜Fw、例えばSiO2膜(TEOS膜)が形成されている。なお、処理ウェハWの周縁部Weは面取り加工がされており、周縁部Weの断面はその先端に向かって厚みが小さくなっている。また、周縁部Weはエッジトリムにおいて除去される部分であり、例えば処理ウェハWの外端部から径方向に1mm~5mmの範囲である。エッジトリムは、後述するように処理ウェハWを分離した後、処理ウェハWの周縁部Weが鋭く尖った形状(いわゆるナイフエッジ形状)になることを防止するための処理である。
なお、本実施形態のウェハ処理システム1では、重合ウェハTにおける処理ウェハWを分離する。以下の説明においては、分離された表面Wa側の処理ウェハWを第1の分離体としての第1の分離ウェハW1といい、分離された裏面Wb側の処理ウェハWを第2の分離体としての第2の分離ウェハW2という。第1の分離ウェハW1はデバイス層Dを有し製品化される。第2の分離ウェハW2は再利用される。以下の説明においては、第1の分離ウェハW1は支持ウェハSに支持された状態の処理ウェハWを示し、支持ウェハSを含めて第1の分離ウェハW1という場合がある。また、第1の分離ウェハW1において分離された面を分離面W1aといい、第2の分離ウェハW2において分離された面を分離面W2aという。
支持ウェハSは、処理ウェハWを支持するウェハであって、例えばシリコンウェハである。支持ウェハSの表面Saには酸化膜Fs、例えばSiO2膜(TEOS膜)が形成されている。なお、支持ウェハSの表面Saの複数のデバイスが形成されている場合には、処理ウェハWと同様に表面Saにデバイス層(図示せず)が形成される。
なお、図3においては、図示の煩雑さを回避するため、デバイス層Dと酸化膜Fw、Fsの図示を省略している。また、以下の説明で用いられる他の図面においても同様に、これらデバイス層Dと酸化膜Fw、Fsの図示を省略する場合がある。
図1に示すようにウェハ処理システム1は、搬入出ステーション2と処理ステーション3を一体に接続した構成を有している。搬入出ステーション2と処理ステーション3は、X軸負方向側から制方向側に向けて並べて配置されている。搬入出ステーション2は、例えば外部との間で複数の重合ウェハT、複数の第1の分離ウェハW1、複数の第2の分離ウェハW2をそれぞれ収容可能なカセットCt、Cw1、Cw2がそれぞれ搬入出される。処理ステーション3は、重合ウェハT、分離ウェハW1、W2に対して所望の処理を施す各種処理装置を備えている。
なお、本実施形態では、カセットCtとカセットCw1を別々に設けたが、同じカセットとしてもよい。すなわち、処理前の重合ウェハTを収容するカセットと、処理後の第1の分離ウェハW1カセットとを共通に用いてもよい。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。図示の例では、カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセットCt、Cw1、Cw2をY軸方向に一列に載置自在になっている。なお、カセット載置台10に載置されるカセットCt、Cw1、Cw2の個数は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10のX軸正方向側において、当該カセット載置台10に隣接してウェハ搬送領域20が設けられている。ウェハ搬送領域20には、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在なウェハ搬送装置22が設けられている。ウェハ搬送装置22は、重合ウェハT、分離ウェハW1、W2を保持して搬送する、2つの搬送アーム23、23を有している。各搬送アーム23は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム23の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置22は、カセット載置台10のカセットCt、Cw1、Cw2、及び後述するトランジション装置30に対して、重合ウェハT、分離ウェハW1、W2を搬送可能に構成されている。
搬入出ステーション2には、ウェハ搬送領域20のX軸正方向側において、当該ウェハ搬送領域20に隣接して、重合ウェハT、分離ウェハW1、W2を受け渡すためのトランジション装置30が設けられている。
処理ステーション3には、例えば3つの処理ブロックG1~G3が設けられている。第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2、及び第3の処理ブロックG3は、X軸負方向側(搬入出ステーション2側)から正方向側にこの順で並べて配置されている。
第1の処理ブロックG1には、エッチング装置40、洗浄装置41、及びウェハ搬送装置50が設けられている。エッチング装置40は、第1の処理ブロックG1の搬入出ステーション2側において、X軸方向に2列且つ鉛直方向に3段に設けられている。すなわち、本実施形態では、エッチング装置40は6つ設けられている。洗浄装置41は、エッチング装置40のX軸正方向側において、鉛直方向に3段に積層されて設けられている。ウェハ搬送装置50は、エッチング装置40及び洗浄装置41のY軸正方向側に配置されている。なお、エッチング装置40、洗浄装置41、及びウェハ搬送装置50の数や配置はこれに限定されない。
エッチング装置40は、第1の分離ウェハW1の分離面W1a又は第2の分離ウェハW2の分離面W2aをエッチングする。例えば、分離面W1a又は分離面W2aに対してエッチング(薬液)を供給し、当該分離面W1a又は分離面W2aをウェットエッチングする。エッチング液には、例えばHF、HNO3、H3PO4、TMAH、Choline、KOHなどが用いられる。
洗浄装置41は、第1の分離ウェハW1の分離面W1a又は第2の分離ウェハW2の分離面W2aを洗浄する。例えば分離面W1a又は分離面W2aにブラシを当接させて、当該分離面W1a又は分離面W2aをスクラブ洗浄する。なお、分離面W1a又は分離面W2aの洗浄には、加圧された洗浄液を用いてもよい。また、分離面W1a又は分離面W2aを洗浄する際、その反対側の裏面Sb又は裏面Wbも洗浄してもよい。
ウェハ搬送装置50は、重合ウェハT、分離ウェハW1、W2を保持して搬送する、2つの搬送アーム51、51を有している。各搬送アーム51は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム51の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。ウェハ搬送装置50は、X軸方向に延伸する搬送路52上を移動自在である。そして、ウェハ搬送装置50は、トランジション装置30、第1の処理ブロックG1及び第2の処理ブロックG2の各処理装置に対して、重合ウェハT、分離ウェハW1、W2を搬送可能に構成されている。
第2の処理ブロックG2には、アライメント装置60、分離装置61、及びウェハ搬送装置70が設けられている。アライメント装置60と分離装置61は、鉛直上方から下方に積層されて設けられている。ウェハ搬送装置70は、アライメント装置60及び分離装置61のY軸負方向側に配置されている。なお、アライメント装置60、分離装置61、及びウェハ搬送装置70の数や配置はこれに限定されない。
アライメント装置60は、レーザ処理前の処理ウェハWの水平方向の向き及び中心位置を調節する。例えばスピンチャック(図示せず)に保持された処理ウェハWを回転させながら、検出部(図示せず)で処理ウェハWのノッチ部の位置を検出することで、当該ノッチ部の位置を調節して処理ウェハWの水平方向の向き及び中心位置を調節する。
分離装置61は、後述する内部改質装置81で形成された周縁改質層と内部面改質層を基点に、処理ウェハWを第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2に分離する。分離装置61の具体的な構成は後述する。
ウェハ搬送装置70は、重合ウェハT、分離ウェハW1、W2を保持して搬送する、2つの搬送アーム71、71を有している。各搬送アーム71は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム71の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。また、ウェハ搬送装置70における搬送アーム71の数も本実施形態に限定されず、任意の数の搬送アーム71を設けることができ、例えば1つでもよい。そして、第1の処理ブロックG1~第3の処理ブロックG3の各処理装置に対して、重合ウェハT、分離ウェハW1、W2を搬送可能に構成されている。
第3の処理ブロックG3には、表面改質装置80及び内部改質装置81が設けられている。表面改質装置80と内部改質装置81は、鉛直上方から下方に積層されて設けられている。なお、表面改質装置80及び内部改質装置81の数や配置はこれに限定されない。
表面改質装置80は、処理ウェハWのデバイス層Dの外周部に対してレーザ光を照射し、当該外周部を改質する。レーザ光には、処理ウェハWに対して透過性を有する波長のレーザ光(CO2レーザ)が用いられる。
内部改質装置81は、処理ウェハWの内部にレーザ光を照射し、周縁改質層と内部面改質層を形成する。レーザ光には、処理ウェハWに対して透過性を有する波長のレーザ光(YAGレーザ)が用いられる。なお、周縁改質層と内部面改質層は、処理ウェハWを第1の分離ウェハW1の分離面W1aと第2の分離ウェハW2に分離する際の基点となる。
以上のウェハ処理システム1には、制御装置90が設けられている。制御装置90は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1における重合ウェハT、分離ウェハW1、W2の処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、ウェハ処理システム1における後述のウェハ処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置90にインストールされたものであってもよい。
次に、上述した分離装置61について説明する。図5は、分離装置61の構成の概略を示す平面図である。
分離装置61は、内部を閉鎖可能な処理容器100を有している。処理容器100の側面には重合ウェハT、分離ウェハW1、W2の搬入出口(図示せず)が形成され、搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
分離装置61の内部には、分離処理部110、パッド洗浄部111、及び搬送部112が設けられている。分離処理部110では、処理ウェハWを第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2に分離する。パッド洗浄部111では、搬送部112の後述する搬送パッド192を洗浄する。搬送部112は、分離処理部110とウェハ搬送装置70の間で第2の分離ウェハW2を受け渡す。
図6は、分離処理部110の構成の概略を示す平面図である。図7は、分離処理部110の構成の概略を示す側面図である。図8は、分離処理部110及び搬送部112の構成の概略を示す側面図である。
分離処理部110は、第1の保持部120、第2の保持部121、ロードセル130、ステージ140、支持ピン150、ブレード160、分離面洗浄部170、及び受渡部180を有している。
第1の保持部120は第2の保持部121の下方に設けられている。第1の保持部120と第2の保持部121は、処理ウェハWが分離される前の重合ウェハTを、当該処理ウェハWが上方を向いた状態で保持する。すなわち、第1の保持部120は第1の分離ウェハW1(支持ウェハS)を吸着保持し、第2の保持部121は第2の分離ウェハW2を吸着保持する。
第1の保持部120は、略円板形状のチャックであり、例えば真空ポンプなどの吸引装置(図示せず)に連通している。第1の保持部120は第1の分離ウェハW1より大きい径を有し、その上面全面で第1の分離ウェハW1を吸着保持する。
第2の保持部121は、略円板形状のチャックであり、例えば真空ポンプなどの吸引装置(図示せず)に連通している。第2の保持部121は第2の分離ウェハW2より小さい径を有し、具体的には後述するように、処理ウェハWに形成される周縁改質層より小さい径を有する。そして、第2の保持部121は、その下面で第2の分離ウェハW2の周縁改質層より内側を吸着保持する。
第1の保持部120の下面は、荷重測定部としてのロードセル130を介してステージ140に支持されている。ロードセル130は、第1の保持部120に作用する力(負荷)を検出するロードセル130は、第1の保持部120の外周部において、当該第1の保持部120の同心円上に等間隔に複数、例えば3つ設けられている。なお、ロードセル130の数や配置はこれ限定されない。例えばロードセル130は、第1の保持部120の中心部に設けられていてもよい。
なお、ロードセル130は、後述するように処理ウェハWを分離する際に荷重を測定するが、分離装置61のセットアップ時に用いてもよい。例えば、第1の保持部120と第2の保持部121が重合ウェハT(処理ウェハW、支持ウェハS)を保持しない状態で第1の保持部120と第2の保持部121を当接させ、ロードセル130で荷重を測定した位置を基準位置(ゼロ点位置)とする。
ステージ140は、支持部材141に支持されている。ステージ140(第1の保持部120)は、鉛直方向に延伸するレール142に沿って、昇降機構143により昇降自在に構成されている。昇降機構143は、例えばモータ(図示せず)、ボールねじ(図示せず)、ガイド(図示せず)などを有している。なお、本実施形態ではレール142と昇降機構143が、本開示における移動部に相当する。
分離処理部110の底面には、鉛直方向に延伸する支持ピン150が設けられている。支持ピン150は、第1の保持部120の貫通孔120aとステージ140の貫通孔140aを挿通して、例えば3本設けられている。そして、ステージ140が上昇した状態では、支持ピン150の先端部が第1の保持部120の上面から上方に突出し、当該支持ピン150によって第1の分離ウェハW1(支持ウェハS)が支持される。また、ステージ140が下降した状態では、支持ピン150の先端部が第1の保持部120の上面より下方に位置する。
なお、本実施形態では、ステージ140が昇降することで支持ピン150に第1の分離ウェハW1が受け渡されるが、支持ピン150が昇降してもよい。また、支持ピン150に代えて、第1の分離ウェハW1を吸着保持するパッド(図示せず)を用いてもよい。
第1の保持部120と第2の保持部121の間には、重合ウェハT(詳細には後述するように処理ウェハWと支持ウェハSの界面)に挿入される、挿入部としてのブレード160が設けられている。ブレード160は、第2の保持部121の側方において、当該第2の保持部121の同心円上に等間隔に複数、例えば3つ設けられている。また、ブレード160は移動機構(図示せず)によって水平方向及び鉛直方向に移動し、第1の保持部120と第2の保持部121に保持された重合ウェハTの外側面に進退自在に構成されている。なお、ブレード160の数や配置はこれに限定されない。また、ブレード160の移動方法も任意である。さらに、例えばブレード160を挿入することなく第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2を分離することができる場合には、ブレード160を省略してもよい。
第1の保持部120と第2の保持部121の間には、第1の分離ウェハW1の分離面W1aと第2の分離ウェハW2の分離面W2aを洗浄する分離面洗浄部170が設けられている。分離面洗浄部170は、洗浄ノズル171と吸引ノズル172を有している。洗浄ノズル171は、洗浄流体として、例えばエアを供給する。吸引ノズル172は、洗浄ノズル171から供給されたエアを吸引する。洗浄ノズル171と吸引ノズル172はそれぞれ移動機構(図示せず)によって水平方向及び鉛直方向に移動し、第1の保持部120と第2の保持部121の間の空間に対して進退自在に構成されている。
なお、本実施形態では、洗浄流体としてエアを用いたがこれに限定されず、例えば純水などの洗浄液や2流体を用いてもよい。また、洗浄液を用いて分離面W1a、W2aを洗浄する場合、第1の保持部120と第2の保持部121を回転させて、洗浄後に残存する洗浄液を振り切り乾燥させてもよい。
第1の保持部120と第2の保持部121の間には、第2の保持部121から搬送部112に第2の分離ウェハW2を受け渡すための受渡部180が設けられている。受渡部180の上端には、側面視において上端から下方に向けてテーパ状に径が小さくなるテーパ部180aが形成されている。受渡部180の下端には、径方向内側に突出した段部180bが形成されている。テーパ部180aの上端の内径は第2の分離ウェハW2の径より大きく、テーパ部180aの下端の内径は第2の分離ウェハW2の径とほぼ同じである。さらに、段部180bの内径は第2の分離ウェハW2の径よりも小さい。そして、第2の分離ウェハW2は第2の保持部121から落とし込まれ、テーパ部180aに案内されて段部180bに載置される。こうして第2の分離ウェハW2は、受渡部180によって中心位置を調節(センタリング)されつつ、当該受渡部180に保持される。なお、受渡部180は移動機構(図示せず)によって水平方向及び鉛直方向に移動し、第1の保持部120と第2の保持部121の間の空間に対して進退自在に構成されている。
搬送部112は、複数、例えば2つのアーム190、191を備えた多関節型のロボットである。2つのアーム190、191のうち、先端の第1のアーム190には、第2の分離ウェハW2の中央部を吸着保持する搬送パッド192が取り付けられている。また、基端の第2のアーム191は移動機構193に取り付けられている。移動機構193により、アーム190、191及び搬送パッド192は水平方向、鉛直方向移動自在に構成され、さらに搬送パッド192はアーム190、191の軸回りに回動自在に構成されている。なお、本実施形態では、第1のアーム190に対して1つの搬送パッド192が設けられているが、第1のアーム190の両面に2つの搬送パッド192を設けてもよい。また、本実施形態では受渡部180と搬送部112が、本開示における回動部に相当する。さらに、本実施形態では、搬送部112は多関節型のロボットであるが、これに限定されず、任意の構成を取り得る。
パッド洗浄部111は、搬送部112の搬送パッド192を洗浄する。パッド洗浄部111は、例えばストーン洗浄具(図示せず)やブラシ洗浄具(図示せず)などの洗浄具を有している。そして、洗浄具を搬送パッド192の吸着面に当接させて、搬送パッド192が洗浄される。なお、パッド洗浄部111における搬送パッド192の洗浄方法はこれに限定されない。例えば、搬送パッド192の吸着面にエアや洗浄液、2流体などを供給して、搬送パッド192を洗浄してもよい。
次に、以上のように構成されたウェハ処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。図9は、ウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。図10は、ウェハ処理の主な工程の説明図である。なお、本実施形態では、ウェハ処理システム1の外部の接合装置(図示せず)において、処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、予め重合ウェハTが形成されている。
先ず、図10(a)に示す重合ウェハTを複数収納したカセットCtが、搬入出ステーション2のカセット載置台10に載置される。
次に、ウェハ搬送装置22によりカセットCt内の重合ウェハTが取り出され、トランジション装置30に搬送される。続けて、ウェハ搬送装置50により、トランジション装置30の重合ウェハTが取り出され、アライメント装置60に搬送される。アライメント装置60では、重合ウェハTにおける処理ウェハWの水平方向の向き及び中心位置が調節される(図9のステップA1)。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により表面改質装置80に搬送される。表面改質装置80では、図11に示すようにレーザヘッド(図示せず)からデバイス層Dの外周部Deにレーザ光L1を照射し、当該外周部Deを改質する(図9のステップA2)。より詳細には、処理ウェハWとデバイス層Dの界面を改質する。なお、本実施形態では外周部Deにおける処理ウェハWとの界面側を改質したが、デバイス層Dの外周部De全体を改質してもよく、あるいは酸化膜Fwまで改質してもよい。
ステップA2において外周部Deを改質すると接合強度が低下し、処理ウェハWとデバイス層Dの界面には、酸化膜Fwと酸化膜Fsが接合された接合領域Aaと、接合領域Aaの径方向外側の領域である未接合領域Abとが形成される。後述する処理ウェハWの分離工程では、エッジトリムとして第1の分離ウェハW1から周縁部Weが除去されるが、このように未接合領域Abが存在することで、かかる周縁部Weを適切に除去できる。なお、接合領域Aaの外側端部は、除去される周縁部Weの内側端部より若干径方向外側に位置する。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により内部改質装置81に搬送される。内部改質装置81では、図10(b)に示すように処理ウェハWの内部に周縁改質層M1が形成され(図9のステップA3)、さらに図10(c)に示すように内部面改質層M2が形成される(図9のステップA4)。周縁改質層M1は、エッジトリムにおいて周縁部Weを除去の際の基点となるものである。内部面改質層M2は、処理ウェハWを分離して薄化するための基点となるものである。
内部改質装置81では先ず、図12及び図13に示すようにレーザヘッド(図示せず)からレーザ光L2(周縁用レーザ光L2)を照射して、処理ウェハWの周縁部Weと中央部Wcの境界に周縁改質層M1を形成する(図9のステップA3)。具体的には例えば、処理ウェハWを回転させながらレーザ光L2を照射することで、環状の周縁改質層M1を形成する。なお、処理ウェハWの内部において、周縁改質層M1からのクラックC1は表面Waまでのみ進展し、裏面Wbには到達しない。
次に、図14及び図15に示すようにレーザヘッド(図示せず)からレーザ光L3(内部面用レーザ光L3)を照射して、面方向に沿って内部面改質層M2を形成する(図9のステップA4)。具体的には例えば、処理ウェハWを回転させながらレーザ光L3を照射して処理ウェハWを1周(360度)回転させながらレーザ光L3を照射して、環状の内部面改質層M2を形成した後、レーザヘッドを処理ウェハWの径方向内側に移動させる。これら環状の内部面改質層M2の形成と、レーザヘッドの径方向内側への移動とを繰り返し行って、面方向に内部面改質層M2を形成する。なお、処理ウェハWの内部には、内部面改質層M2から面方向にクラックC2が進展する。クラックC2は、周縁改質層M1の内側のみに進展する。
なお、本実施形態では、ステップA2でデバイス層Dの外周部Deを改質した後、ステップA3、A4で周縁改質層M1と内部面改質層M2を形成したが、この順序は逆でも良い。すなわち、周縁改質層M1と内部面改質層M2を形成した後、外周部Deを改質してもよい。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により分離装置61に搬送される。分離装置61では、図10(d)に示すように周縁改質層M1と内部面改質層M2を基点に、処理ウェハWを第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2に分離する(図9のステップA5)。この際、第1の分離ウェハW1から周縁部Weも除去される。
分離装置61では先ず、ウェハ搬送装置70の搬送アーム71から支持ピン150に重合ウェハTが受け渡される。続いて、ステージ140を介して第1の保持部120を上昇させて、支持ピン150から第1の保持部120に重合ウェハTが受け渡され吸着保持される。さらに第1の保持部120を上昇させて、図16(a)に示すように重合ウェハTのうち、第1の保持部120で支持ウェハS(第2の分離ウェハW2側)を吸着保持しつつ、第2の保持部121で処理ウェハW(第1の分離ウェハW1側)を吸着保持する。
この際、図17に示すように第2の保持部121は、処理ウェハWに形成された周縁改質層M1より内側を吸着保持する。本実施形態では、第2の保持部121の外端部は、周縁改質層M1の内側に維持している。すなわち、第2の保持部121の径は、周縁改質層M1の径よりも小さい。ここで、レーザ光L2、L3が照射された処理ウェハWは、周縁部Weが反っている場合がある。かかる場合、第2の保持部121が処理ウェハWを全面で吸着保持することが困難になる。また、第2の保持部121で処理ウェハWを吸着する際の荷重によって、処理ウェハWがダメージを被るおそれもある。特に本実施形態では、周縁改質層M1と内部面改質層M2により第2の分離ウェハW2に段差が形成されているので、この段差部分がダメージを被るおそれもある。この点、本実施形態のように第2の保持部121の反りが発生する周縁改質層M1の内側(周縁部Weの内側)を吸着保持するので、処理ウェハWを適切に保持することができ、また処理ウェハWに対するダメージを抑制することができる。なお、第2の保持部121の外端部、すなわち第2の保持部121が保持する処理ウェハWに対する第2の保持部121の外端部は、周縁改質層M1と一致していてもよい。
また、このように第1の保持部120と第2の保持部121で重合ウェハTを吸着保持する際、重合ウェハTは押し付けられ、荷重が作用する。本実施形態では、ロードセル130を用いて、第1の保持部120と第2の保持部121にかかる荷重を測定して監視する。そうすると、重合ウェハTにかかる荷重を許容範囲に収めることができ、重合ウェハTがダメージを被るのを抑制することができる。また、ロードセル130は複数設けられているので、ウェハ面内での荷重分布を測定することができ、処理ウェハWが面内で均一に押圧されているか否かを確認することができる。なお、上述したようにセットアップ時に第1の保持部120の基準位置(ゼロ点位置)を決定しており、第1の保持部120を上昇させる際の高さを制御しているが、ロードセル130の荷重測定結果を用いて第1の保持部120の高さを制御してもよい。
さらに、第1の保持部120と第2の保持部121のそれぞれに設けられた圧力センサ(図示せず)で、圧力を測定して監視する。そうすると、第1の保持部120と第2の保持部121のそれぞれで、適切に重合ウェハTを吸着保持できているか否かを確認することができる。
次に、図16(b)に示すように処理ウェハW及び支持ウェハSとの界面に、ブレード160を挿入し、周縁改質層M1と内部面改質層M2を基点に第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2を縁切りする。
次に、図16(c)に示すように第1の保持部120を下降させて、第1の保持部120に保持された第1の分離ウェハW1と、第2の保持部121に保持された第2の分離ウェハW2を分離する。
このように処理ウェハWを分離する際、ロードセル130を用いて、第1の保持部120と第2の保持部121にかかる荷重を測定して監視する。そうすると、処理ウェハWにかかる荷重を許容範囲に収めることができ、処理ウェハWがダメージを被るのを抑制することができる。また、ロードセル130は複数設けられているので、ウェハ面内での荷重分布を測定することができ、処理ウェハWが面内で均一に分離できているか否かを確認することができる。
さらに、第1の保持部120と第2の保持部121のそれぞれに設けられた圧力センサ(図示せず)で、圧力を測定して監視する。そうすると、第1の保持部120と第2の保持部121のそれぞれで、第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2の有無を検知して、第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2が分離されたか否かを確認することができる。
次に、図16(d)に示すように洗浄ノズル171と吸引ノズル172を、第1の保持部120と第2の保持部121の間に移動させて配置する。続けて、洗浄ノズル171からエアを供給するとともに、吸引ノズル172からエアを吸引する。そうすると、第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2の間には、洗浄ノズル171から吸引ノズル172に向かうエアの流れが形成される。このエアにより、分離面W1a、W2aに付着した粉塵や破片(パーティクル)が除去され、当該分離面W1a、W2aが洗浄される(図9のステップA6)。
なお、ステップA6において分離面W1a、W2aを洗浄する際には、分離面W1a、W2aの間の空間をできるだけ微小にするのが好ましい。かかる場合、当該空間を流れるエアの流速を速くすることができ、また当該空間にエアを充満させることができる。したがって、分離面W1a、W2aをより効率よく洗浄することができる。
次に、分離された第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2を分離装置61から搬出する。上述したようにステップA6において分離面W1a、W2aが洗浄されるが、本実施形態では、より確実に装置内の汚染を回避するため、分離面W1a、W2aを保持せずに第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2を搬送する。
図18は、第2の分離ウェハW2を分離装置61から搬出する工程を示す説明図である。先ず、図18(a)に示すように受渡部180を、第1の保持部120と第2の保持部121の間に移動させて、第2の分離ウェハW2の下方に配置する。続けて、第2の保持部121による第2の分離ウェハW2の吸着保持を停止し、第2の保持部121から受渡部180に第2の分離ウェハW2が受け渡される(図9のステップA7)。
次に、図18(b)に示すように第2の分離ウェハW2を保持した受渡部180を下降させた後、第2の保持部121と受渡部180の間に搬送部112の搬送パッド192を移動させる。そして、搬送パッド192により第2の分離ウェハW2の裏面Wbの中央部を吸着保持する。その後、図18(c)に示すように搬送パッド192を第2の保持部121の下方から退避させ、さらに図18(d)に示すように搬送パッド192により第2の分離ウェハW2の表裏面が反転される(図9のステップA8)。すなわち、第2の分離ウェハW2の分離面W2aが上方に向けられる。
次に、図18(d)に示すように搬送パッド192の下方にウェハ搬送装置70の搬送アーム71を移動させる。その後、図18(e)に示すように搬送アーム71を上昇させて、搬送パッド192から搬送アーム71に第2の分離ウェハW2が受け渡される(図9のステップA9)。なお、この際、搬送パッド192を下降させて、搬送パッド192から搬送アーム71に第2の分離ウェハW2を受け渡してもよい。こうして、第2の分離ウェハW2は、ウェハ搬送装置70によって分離装置61から搬出される。
ここで、図19に示すように搬送アーム71は、基端部71aから2本の先端部72b、72bに分岐したフォーク形状を有している。基端部71aと先端部72b、72bのそれぞれに、第2の分離ウェハW2を吸着保持する吸着パッド72が設けられている。そして本実施形態では、平面視において、2本の先端部72b、72bの間に搬送パッド192及び第1のアーム190が収まる。このため、ステップA9において第2の分離ウェハW2を受け渡す際、搬送部112と搬送アーム71が干渉することはない。
なお、本実施形態ではステップA9において、搬送パッド192から搬送アーム71に第2の分離ウェハW2が直接受け渡されたが、例えば搬送パッド192から待機部(図示せず)に第2の分離ウェハW2を一旦置いた後、搬送アーム71が受け取ってもよい。但し、搬送パッド192から搬送アーム71に第2の分離ウェハW2が直接受け渡す方が、当該第2の分離ウェハW2のずれは抑えられる。
図20は、第1の分離ウェハW1を分離装置61から搬出する工程を示す説明図である。先ず、図20(a)に示すように第1の保持部120を下降させて、第1の保持部120から支持ピン150に第1の分離ウェハW1が受け渡される(図9ステップA10)。
次に、図20(b)に示すように第1の分離ウェハW1の下方にウェハ搬送装置70の搬送アーム71を移動させる。その後、図20(c)に示すように搬送アーム71を上昇させて、支持ピン150から搬送アーム71に第1の分離ウェハW1が受け渡される(図9のステップA11)。こうして、第1の分離ウェハW1は、ウェハ搬送装置70によって分離装置61から搬出される。
次に、以上のように分離装置61から搬出された第2の分離ウェハW2と第1の分離ウェハW1に対して後続の処理が行われる。
すなわち、第2の分離ウェハW2はウェハ搬送装置70により洗浄装置41に搬送される。洗浄装置41では、図10(e)に示すように第2の分離ウェハW2の分離面W2aがスクラブ洗浄される(図9のステップA12)。
ステップA12では、スピンチャック(図示せず)に第2の分離ウェハW2を回転保持した状態で、例えばブラシなどのスクラブ洗浄具200を上方から分離面W2aに当接させつつ、当該スクラブ洗浄具200から例えば純水を供給する。そして、分離面W2aが洗浄され、当該分離面W2aからパーティクルが除去される。その後、スクラブ洗浄具200を退避させてから、第2の分離ウェハW2をさらに回転させ、分離面W2aをスピン乾燥させる。なお、ステップA12では、第2の分離ウェハW2の裏面Wbも洗浄することで、さらに第2の分離ウェハW2を清浄化することができる。
次に、第2の分離ウェハW2はウェハ搬送装置50によりエッチング装置40に搬送される。エッチング装置40では、図10(f)に示すように第2の分離ウェハW2の分離面W2aがエッチング液Eによりウェットエッチングされる(図9のステップA13)。
ステップA13では、スピンチャック(図示せず)に第2の分離ウェハW2を回転保持した状態で、第2の分離ウェハW2の上方に配置されたノズル210から、分離面W2aの中心部にエッチング液Eを供給する。このエッチング液Eにより分離面W2aがエッチングされ、当該分離面W2aに残存する周縁改質層M1と内部面改質層M2が除去される。また、ステップA5のスクラブ洗浄では周縁改質層M1と内部面改質層M2が残っているため、このままの状態だと再びパーティクルが発生するおそれがあるが、本ステップA13でのエッチングにより、かかるパーティクルも除去される。
なお、ステップA13ではこのように分離面W2aをエッチングした後、ノズル210からのエッチング液Eの供給を停止し、さらに純水にて分離面W2aを洗浄してから、第2の分離ウェハW2をさらに回転させ、分離面W2aをスピン乾燥させる。
その後、すべての処理が施された第2の分離ウェハW2は、ウェハ搬送装置50によりトランジション装置30に搬送され、さらにウェハ搬送装置22によりカセット載置台10のカセットCw2に搬送される。
一方、第1の分離ウェハW1に対しても同様の処理が行われる。すなわち、第1の分離ウェハW1はウェハ搬送装置70により洗浄装置41に搬送される。洗浄装置41では、図10(g)に示すように第1の分離ウェハW1の分離面W1aがスクラブ洗浄される(図9のステップA14)。ステップA14では、ステップA12と同様に、スクラブ洗浄具200を上方から分離面W1aに当接させた状態で純水を供給し、当該分離面W1aを洗浄する。また、分離面W1aと反対側の裏面Sbも洗浄してもよい。
次に、第1の分離ウェハW1はウェハ搬送装置50によりエッチング装置40に搬送される。エッチング装置40では、図10(h)に示すように第1の分離ウェハW1の分離面W1aがエッチング液Eによりウェットエッチングされる(図9のステップA15)。ステップA15では、分離面W1aに残存する周縁改質層M1と内部面改質層M2が除去される。また、ステップA15では、第1の分離ウェハW1が所望の厚みまで薄化されるように、分離面W1aがエッチングされる。
その後、すべての処理が施された第1の分離ウェハW1は、ウェハ搬送装置50によりトランジション装置30に搬送され、さらにウェハ搬送装置22によりカセット載置台10のカセットCw1に搬送される。この際、カセットCtが空の場合には、第1の分離ウェハW1はカセットCtに搬送されるようにしてもよい。こうして、ウェハ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
以上の実施形態によれば、ステップA5において処理ウェハWを分離する際には、図17に示したように第2の保持部121は、処理ウェハWに形成された周縁改質層M1より内側を吸着保持する。上述したようにレーザ光L2、L3が照射された処理ウェハWは、周縁部Weが反っている場合がある。処理ウェハWがこのような状態であっても、第2の保持部121は、反りが発生する周縁改質層M1の内側(周縁部Weの内側)を吸着するので、処理ウェハWを適切に保持することができ、また処理ウェハWに対するダメージを抑制することができる。
なお、本実施形態では、第2の保持部121は略円板形状を有していたが、第2の保持部121の形状はこれに限定されない。第2の保持部121は周縁改質層M1の内側を保持する構造であればよい。例えば図21に示すように、第2の保持部121は上層122と下層123が積層された構造を有し、下層123の処理ウェハWの吸着面123aが、周縁改質層M1の内側であってもよい。すなわち、処理ウェハW(第2の分離ウェハW2)側の下層123の外端部は、周縁改質層M1の内側に位置している。一方、処理ウェハW(第2の分離ウェハW2)と反対側の上層122の外端部は、周縁改質層M1の外側に位置し、本実施形態では処理ウェハWの外側に位置している。なお、本実施形態では、第1の保持部120の上方に第2の保持部121が配置されているが、この第1の保持部120と第2の保持部121の配置は上下反対でも良い。
また、本実施形態では、ステップA5において図16(a)に示したように第1の保持部120と第2の保持部121で重合ウェハTを吸着保持する際、ロードセル130を用いて、第1の保持部120と第2の保持部121にかかる荷重を測定して監視する。そうすると、重合ウェハTにかかる荷重を許容範囲に収めることができ、重合ウェハTがダメージを被るのを抑制することができる。また、ロードセル130は複数設けられているので、ウェハ面内での荷重分布を測定することができ、処理ウェハWが面内で均一に押圧されているか否かを確認することができる。
さらに、本実施形態では、ステップA5において図16(c)に示したように処理ウェハWを分離する際、ロードセル130を用いて、第1の保持部120と第2の保持部121にかかる荷重を測定して監視する。そうすると、処理ウェハWにかかる荷重を許容範囲に収めることができ、処理ウェハWがダメージを被るのを抑制することができる。また、ロードセル130は複数設けられているので、ウェハ面内での荷重分布を測定することができ、処理ウェハWが面内で均一に分離できているか否かを確認することができる。
なお、以上のようにウェハ処理システム1では処理ウェハWが分離されるが、ウェハ処理システム1の外部において、再利用される第2の分離ウェハW2は、分離面W2a側が研削され、周縁部W2eが除去される。その後、研削された第2の分離ウェハW2に対し、分離面W2aが洗浄されてパーティクルが除去された後、さらに分離面W2aがエッチングされて研削痕が除去される。そして、第2の分離ウェハW2を、例えば製品ウェハとして再利用する場合には、さらに分離面W2aを研磨(CMP)する。一方、第2の分離ウェハW2を、例えば製品ウェハを支持する支持ウェハとして再利用する場合には、そのまま使用される。
また、ウェハ処理システム1の外部において、製品化される第1の分離ウェハW1は、分離面W1aが研磨(CMP)される。本実施形態では、上述したようにステップA15において第1の分離ウェハW1が所望の厚みまでエッチングされているため、分離面W1aを研磨するだけでよい。但し、例えばステップA8において第1の分離ウェハW1が所望の厚みになっていない場合は、ウェハ処理システム1の外部において、分離面W1aを所望の厚みまで研削する。その後、研削された第1の分離ウェハW1に対して、分離面W1aの洗浄、分離面W1aのエッチング、分離面W1aの研磨が順次行われる。
また、以上の実施形態のウェハ処理システム1には、研削装置(図示せず)がさらに設けられていてもよい。研削装置は、例えば第3の処理ブロックG3の表面改質装置80及び内部改質装置81に隣接されて設けられていてもよい。かかる場合、例えばステップA9とステップA12の間で、研削装置において第2の分離ウェハW2の分離面W2aを研削する。また、例えばステップA11とステップA14の間で、研削装置において第1の分離ウェハW1の分離面W1aを所望の厚みまで研削する。その後、研削された第1の分離ウェハW1に対して、ステップA14における分離面W1aの洗浄、ステップA15における分離面W1aのエッチングが順次行われる。
なお、本実施形態の分離装置61では、第1の保持部120が昇降したが、第2の保持部121が昇降してもよく、あるいは第1の保持部120と第2の保持部121の両方が昇降してもよい。
以上の実施形態の分離装置61では、ステップA5において処理ウェハWを分離する際、ロードセル130を用いて、第1の保持部120と第2の保持部121にかかる荷重を測定している。そこで、このロードセル130による荷重測定結果を用いて、第1の保持部120と第2の保持部121の動作を制御してもよい。
例えば図22に示すようにロードセル130とステージ140の間に、第1の保持部120を昇降させる駆動部250が設けられていてもよい。駆動部250はロードセル130に取りつけられ、例えば3つ設けられている。
かかる場合、ステップA5において図16(a)に示したように第1の保持部120と第2の保持部121で重合ウェハTを吸着保持する際には、ステージ140を上昇させて、第1の保持部120を予め定められた高さまで上昇させる。この際、各ロードセル130による荷重測定結果を用いて、上記第1の保持部120の高さを決定してもよい。その後、各駆動部250により第1の保持部120を上昇させ、処理ウェハWを分離する。この際、各ロードセル130による荷重測定結果を用いて、各駆動部250を制御する。具体的には、第1の保持部120にかかる荷重が均一になるように、各駆動部250を制御する。そうすると、処理ウェハWをウェハ面内で均一に押圧することができる。その結果、処理ウェハW(重合ウェハT)に過度に荷重がかかるのを防止し、処理ウェハWがダメージを被るのを抑制することができる。また、各ロードセル130による荷重測定結果を用いて、処理ウェハWの分離を終了するタイミングを制御することも可能となる。
その後、図16(c)に示したように処理ウェハWを分離する際、ロードセル130を用いて、第1の保持部120と第2の保持部121にかかる荷重を測定する。そして、各駆動部250により第1の保持部120を下降させ、処理ウェハWを分離する。この際、各ロードセル130による荷重測定結果を用いて、各駆動部250を制御する。具体的には、第1の保持部120にかかる荷重が均一になるように、各駆動部250を制御する。そうすると、処理ウェハWをウェハ面内で均一に分離することができる。
また、例えば図23に示すように第2の保持部121の上面には、第2の保持部121を昇降させる駆動部260が複数設けられていてもよい。駆動部260はロードセル130に対応する位置に、例えば3つ設けられている。
かかる場合、ステップA5において図16(c)に示したように処理ウェハWを分離する際、ロードセル130を用いて、第1の保持部120と第2の保持部121にかかる荷重を測定する。そして、各駆動部260により第2の保持部121を上昇させ、処理ウェハWを分離する。この際、各ロードセル130による荷重測定結果を用いて、各駆動部260を制御する。具体的には、第2の保持部121にかかる荷重が均一になるように、各駆動部260を制御する。そうすると、処理ウェハWをウェハ面内で均一に分離することができる。
なお、各駆動部260を個別に制御して処理ウェハWを分離する場合、本実施形態のように第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2を全面で分離することもできるが、分離方法はこれに限定されない。例えば、処理ウェハWに分離しやすい部分がある場合、処理ウェハWのウェハ面内の荷重バランスを敢えて不均一にし、当該分離しやすい部分から分離を開始してもよい。あるいは、例えば処理ウェハWの周縁部Weを中央部Wcに先だって分離し、周縁部Weを反らせて分離してもよい。
以上の実施形態の分離装置61は、図16(a)に示したように第1の保持部120と第2の保持部121で重合ウェハTを吸着保持する際に、処理ウェハWにかかる荷重を吸収する構造を有していてもよい。
例えば図24に示すように第2の保持部121の上面には、弾性体としてのバネ270が複数設けられている。また、第2の保持部121の上面には、T字型部材271が複数設けられている。T字型部材271は、相対的に径の大きい頭部271aと、頭部271aから下方に延伸する軸部271bを有している。バネ270は、このT字型部材271の軸部271bの下端に設けられている。また。第2の保持部121の上方には、側面視において第2の保持部121に平行に、支持板272が設けられている。支持板272には、T字型部材271の軸部271bが挿通し、頭部271aが支持板272に係止されるように構成されている。
かかる場合、ステップA5では先ず、図25(a)に示すように第1の保持部120を上昇させて、第1の保持部120と第2の保持部121で重合ウェハTを吸着保持する。この際、重合ウェハTが押し付けられ、第2の保持部121側に荷重が作用するが、この荷重はバネ270により吸収される。したがって、処理ウェハWにかかる荷重を低減することができ、処理ウェハWがダメージを被るのを抑制することができる。
次に、図25(b)に示すように第1の保持部120を下降させて、第1の保持部120に保持された第1の分離ウェハW1と、第2の保持部121に保持された第2の分離ウェハW2を分離する。この際、第2の保持部121も下方に引っ張られるが、T字型部材271が支持板272に形成されて、第2の保持部121は下降しない。したがって、処理ウェハWの分離も適切に行うことができる。
なお、弾性体のバネ270は、第1の保持部120に設けられていてもよい。具体的には、例えば第1の保持部120の下面とロードセル130の間に設けられていてもよい。
以上の実施形態のウェハ処理システム1では、ステップA5において処理ウェハWを分離する際、周縁改質層M1と内部面改質層M2を基点に処理ウェハWを分離したが、処理ウェハWを分離する基点はこれに限定されない。例えば周縁改質層M1を省略し、処理ウェハWの内部全面に内部面改質層M2を形成し、当該内部面改質層M2を基点に処理ウェハWを分離してもよい。
かかる場合であっても、レーザ光の照射により処理ウェハW(重合ウェハT)の周縁部Weが反る場合がある。また、内部面改質層M2にも微小な凹凸があり、この内部面改質層M2が押し付けられると内部ダメージが進展するおそれがある。
そこで、本実施形態では、第2の保持部121は、周縁部Weの内側を吸着保持する。そうすると、第2の保持部121で処理ウェハWを適切に保持することができ、また処理ウェハWに対するダメージを抑制することができる。換言すれば、第2の保持部121は、処理ウェハWの反った部分の内側を吸着保持すればよい。
以上の実施形態のウェハ処理システム1では、ステップA5において処理ウェハWを分離する際、第1の分離ウェハW1から周縁部Weを除去したが、処理ウェハWの分離方法はこれに限定されない。例えば、周縁部Weを除去した後、処理ウェハWを第1の分離ウェハW1と第2の分離ウェハW2に分離してもよい。
また、以上の実施形態のウェハ処理システム1では、ステップA5において周縁改質層M1と内部面改質層M2を基点に処理ウェハWを分離したが、処理ウェハWを分離する基点はこれに限定されない。例えば、酸化膜Fw又は酸化膜Fsの内部全面にレーザ光を照射して改質層を形成し、当該改質層を起点に処理ウェハWを分離してもよい。また例えば、ウェハ処理システム1での処理前の処理ウェハWにおいて、当該処理ウェハWとデバイス層Dとの間には酸化膜(図示せず)を形成し、この酸化膜の内部全面にレーザ光を照射して改質層を形成し、当該改質層を起点に処理ウェハWを分離してもよい。さらに例えば、処理ウェハWと支持ウェハSの界面にさらに接着層(図示せず)を形成し、この接着層の内部全面にレーザ光を照射して改質層を形成し、当該改質層を起点に処理ウェハWを分離してもよい。
例えば酸化膜Fwに改質層を形成する場合、レーザ光の照射により処理ウェハW(重合ウェハT)の周縁部Weが反る場合がある。かかる場合、第2の保持部121が処理ウェハWを全面で吸着保持することが困難になる。また、第2の保持部121で処理ウェハWを吸着する際の荷重によって、処理ウェハWがダメージを被るおそれもある。そこで、本実施形態では、第2の保持部121は、周縁部Weの内側を吸着保持してもよい。そうすると、第2の保持部121で処理ウェハWを適切に保持することができ、また処理ウェハWに対するダメージを抑制することができる。
以上の実施形態のウェハ処理システム1では、ステップA2においてデバイス層Dの外周部Deを改質し未接合領域Abを形成していたが、未接合領域Abはウェハ処理システム1の外部で形成してもよい。例えば処理ウェハWと支持ウェハSの接合前に、酸化膜Fwの外周部に、支持ウェハSの表面Saに対して接合強度を低下させる処理が行われる。具体的には、外周部の表層を研磨やウェットエッチングなどを行って除去してもよい。あるいは、外周部の表面を疎水化してもよいし、レーザで荒らしてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。