以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る駐車管理システム1の構成例を示す図である。駐車管理システム1は、駐車管理装置2と、ユーザ端末3(特許請求の範囲の「端末」に相当)とを含んで構成される。駐車管理装置2およびユーザ端末3は、それぞれ、インターネット、電話網、その他の通信網を含んで構成されたネットワークNにアクセス可能である。このネットワークNには、中央管理サーバ4と、車載装置5(特許請求の範囲の「制御装置」に相当)とが接続されている。
車載装置5は、カーシェアリング提供会社がカーシェアリング用の車両として提供する共有車に搭載された装置である。本実施形態において、カーシェアリングは、以下の態様で行われる。すなわち、カーシェアリング提供会社により駐車施設Tが各地に設けられる。駐車施設Tは、共有車の貸し出し、および、返却の受け付けが行われる施設である。説明の便宜のため、本実施形態では、共有車は、全て、電気自動車であるものとする。近年、共有車を電気自動車によって構成し、駐車施設Tにおいて共有車のバッテリーを充電する形態のカーシェアリングが広く普及してきており、また、今後更に普及するものと想定される。また、本実施形態では、共有車には、自動運転機能を有しているものと、有していないものとが存在する。本実施形態において、自動運転機能とは、共有車に人間が搭乗することなく、完全に無人で共有車を走行させる機能のことを意味する。なお、自動運転機能に基づく自動運転により共有車が道路(私道だけでなく公道を含む)を走行するために必要な物理的な環境の整備や、法的な環境の整備、その他の整備は、適切に行われているものとする。
図2は、駐車施設Tの一例を説明に適した態様で模式的に示す図である。図2で例示する駐車施設Tは、車両が走行可能な公道にゲートGTを介して接続されている。駐車施設Tには、複数の駐車スペースSPが設けられている。駐車スペースSPとは、共有車が駐車可能なスペースであり、ユーザに貸し出し可能な車両として駐車施設Tで待機する共有車は、この駐車スペースSPに駐車される。以下の説明では、駐車スペースSPに駐車している共有車を「待機車両」といい、ユーザに貸し出された共有車を「貸出車両」といい、これら車両を区別する。図2に示すように、駐車スペースSPには、充電設備Qが設けられているものと、設けられていないものとがある。充電設備Qとは、駐車スペースSPに駐車している待機車両を充電する設備である。
ユーザは、貸出車両を借り受ける場合、徒歩、その他の手段で、駐車施設Tに赴き、ユーザ認証等の借り受けに必要な手続きを適切に行って共有車を借り受ける。また、ユーザは、貸出車両を返却する場合、貸出車両で駐車施設Tに赴き、利用料金の支払いを含む返却に必要な手続きを適切に行って貸出車両を返却する。ユーザは、貸出車両を返却する際、駐車施設Tのいずれかの駐車スペースSPに貸出車両を駐車させる必要がある。
図1において、駐車管理装置2は、駐車施設Tごとに設けられた装置であり、駐車施設Tに関する各種事項を管理する。中央管理サーバ4は、各駐車施設Tの各駐車管理装置2と通信し、全ての駐車施設Tに関する各種事項を統括的に管理する。
ユーザ端末3は、ユーザが所有する端末である。本実施形態では、ユーザ端末3は、板状の筐体の前面の広い領域にタッチパネル3aが設けられたタブレット端末(例えば、スマートフォンや、タブレット型コンピュータ)であるものとする。ただし、ユーザ端末3は、後述する各種処理が実行可能な装置であればよく、例えば、ノート型コンピュータや、ウェアラブル端末(例えば、腕時計型のウェアラブル端末)をユーザ端末3として用いることができる。本実施形態では、ユーザ端末3を使用するユーザは、カーシェアリング提供会社に会員登録をしており、カーシェアリング提供会社が提供するカーシェアリングを利用できる。
図3は、本実施形態に係る駐車管理装置2、ユーザ端末3、中央管理サーバ4および車載装置5の機能構成例を示すブロック図である。図3に示すように、駐車管理装置2は、機能構成として、通信部10、検出部11、判定部12、特定部13、予約状況取得部14、バッテリー残量取得部15、移動関連処理実行部16、台数取得部17および通知部18を備えている。上記各機能ブロック10~18は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック10~18は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。以上のことは、後述する他の機能ブロックについても同様である。
図3に示すように、携帯端末3は、機能構成として、専用アプリケーション実行部50を備えている。また、中央管理サーバ4は、機能構成として、通信部20および中央管理部21を備えている。また、中央管理サーバ4は、記憶媒体として、中央管理情報記憶部22を備えている。また、車載装置5は、機能構成として、通信部30、自動運転開始指示部31およびバッテリー残量送信部32を備えている。
<本実施形態の概要>
以下、まず、図1および図3を用いて、本実施形態の概要について説明する。ここで、上述したように、ユーザは、貸出車両を返却する際、駐車施設Tのいずれかの駐車スペースSPに貸出車両を駐車させる必要がある。そして、ユーザが貸出車両を返却するために駐車施設Tに赴いたときに、駐車スペースSPに空きがない場合がある。この場合、従来、ユーザは、駐車スペースSPに空きが生じるまで待機するか、他の駐車施設Tに行き、当該他の駐車施設Tで貸出車両の返却を行っており、ユーザにとって非常に煩雑であった。以上を踏まえ、本実施形態に係る駐車管理装置2は、駐車管理システム1を構成する他の装置と協働して、以下の処理を実行する。
すなわち、駐車管理装置2の検出部11は、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPへの駐車の希望を検出する。この検出部11により駐車の希望があることが検出された場合、判定部12は、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが有るか否かを判定する。この判定部12により空きが無いと判定された場合、特定部13は、駐車スペースSPに駐車している待機車両のうち、駐車スペースSPから移動させることが可能な待機車両を特定する。そして、移動関連処理実行部16は、特定部13により特定された待機車両の駐車スペースSPからの移動に関する移動関連処理を実行する。
駐車管理装置2により上記処理が行われる結果、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPへの駐車の希望がある場合において、駐車スペースSPの空きが無い場合には、いずれかの待機車両が駐車スペースSPから移動される。このため、ユーザは、速やかに貸出車両を駐車スペースSPに駐車させることが可能となり、上述した煩雑な作業を行う必要が無い。
<本実施形態の詳細>
次いで、本実施形態の詳細について説明する。
中央管理サーバ4の通信部20は、所定の通信規格に従ってネットワークNにアクセスし、ネットワークNと接続する装置と通信する。
中央管理サーバ4の中央管理情報記憶部22は、共有車管理データベースDB1を記憶する。共有車管理データベースDB1は、共有車ごとにレコードを有する。図4は、共有車管理データベースDB1および後述する駐車施設管理データベースDB2のレコードの内容の一例を示す図である。図4のレコードR1は、共有車管理データベースDB1の1件のレコードの内容を示している。図4のレコードR1が示すように、共有車管理データベースDB1の1件のレコードは、共有車IDと、機能有無情報と、バッテリー残量情報と、待機状況情報と、待機場所情報と、予約有無情報と、通信関連情報とを有する。共有車IDは、共有車を識別する識別情報である。機能有無情報は、自動運転機能の有無を示す情報であり、値として、自動運転機能を有していることを示す値か、自動運転機能を有していないことを示す値のいずれかをとる。バッテリー残量情報は、共有車のバッテリー残量を示す情報である。バッテリー残量は、例えば、SOC(state of charge)により表される。
待機状況情報は、共有車が、駐車スペースSPに駐車しているか否かを示す情報であり、値として、駐車していることを示す値か、駐車していないことを示す値のいずれかをとる。待機場所情報は、共有車が駐車スペースSPに駐車している場合に、その駐車スペースSPが設けられている駐車施設の駐車施設IDと、その駐車スペースSPの駐車スペースIDとの組み合わせからなる情報である。駐車施設IDは、駐車施設を識別する識別情報であり、駐車スペースIDは、駐車スペースSPを識別する識別情報である。共有車が駐車スペースSPに駐車していない場合、待機場所情報は、ヌル値である。予約有無情報は、共有車について貸し出しの予約が入っているか否かを示す情報であり、値として、予約が入っていることを示す値か、予約が入っていないことを示す値のいずれかをとる。通信関連情報は、共有車に搭載された車載装置5のネットワークNにおけるアドレスや、当該車載装置5との通信で用いるプロトコル、当該車載装置5との通信で用いるデータのフォーマット等、共有車に搭載された車載装置5と外部の装置が通信するために必要な情報である。
また、中央管理情報記憶部22は、中央管理サーバ4が管理する対象の駐車施設Tごとに、駐車施設管理データベースDB2を記憶する。一の駐車施設Tに対応する駐車施設管理データベースDB2は、当該一の駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPごとにレコードを有する。図4のレコードR2は、駐車施設管理データベースDB2の1件のレコードの内容を示している。図4のレコードR2が示すように、駐車施設管理データベースDB2の1件のレコードは、駐車スペースIDと、駐車有無情報と、待機車両情報と、駐車スペース位置情報と、充電設備有無情報とを有する。駐車スペースIDは、駐車スペースを識別する識別情報である。駐車有無情報は、駐車スペースSPに共有車が駐車しているか否かを示す情報であり、値として、駐車していることを示す値か、駐車していないことを示す値のいずれかをとる。待機車両情報は、駐車スペースSPに共有車が駐車している場合に、その共有車の共有車IDを示す情報である。駐車スペースSPに共有車が駐車していない場合、待機車両情報は、ヌル値である。駐車スペース位置情報は、駐車スペースSPの位置を示す情報である。充電設備有無情報は、充電設備Qの有無を示す情報であり、値として、充電設備Qが設けられていることを示す値か、充電設備Qが設けられていないことを示す値のいずれかをとる。
なお、図4を用いて説明した共有車管理データベースDB1および駐車施設管理データベースDB2のレコードの内容は、説明の便宜を考慮して、簡略化し単純化したものであり、各データベースの各レコードは、実際には、予約の状況を管理したり、共有車を借り受けるユーザを管理したりするための情報を含んでいる。
中央管理サーバ4の中央管理部21は、各駐車施設Tの各駐車管理装置2と通信し、中央管理情報記憶部22が記憶する共有車管理データベースDB1および駐車施設管理データベースDB2を更新することによって、中央管理サーバ4が管理する対象の共有車および駐車施設Tを統括的に管理する。
より詳細には、中央管理部21は、一の駐車施設Tの一の駐車スペースSPに一の共有車が駐車した場合、所定の手段でそのことを検出する。例えば、中央管理部21は、当該一の駐車施設Tの当該一の駐車スペースSPに当該一の共有車が駐車したときに、ユーザ端末3または車載装置5から、当該一の駐車施設Tの駐車施設ID、当該一の駐車スペースSPの駐車スペースID、および、当該一の共有車の共有車IDの通知を受け、当該通知に基づいて、駐車を検出する。駐車管理装置2が、対応する駐車施設Tにおける駐車スペースSPへの共有車の駐車を管理し、駐車管理装置2が、駐車に関する情報を中央管理部21に通知する構成でもよい。そして、中央管理部21は、当該一の駐車施設Tの当該一の駐車スペースSPに当該一の共有車が駐車したことを検出した場合、共有車管理データベースDB1のレコードのうち、当該一の共有車に対応するレコードの待機状況情報および待機場所情報を更新する。さらに、中央管理部21は、当該一の駐車施設に対応する駐車施設管理データベースDB2のレコードのうち、当該一の駐車スペースに対応するレコードの駐車有無情報および待機車両情報を更新する。中央管理部21は、駐車スペースSPに駐車する待機車両が、駐車スペースSPから移動した場合も、そのことを検出し、共有車管理データベースDB1および駐車施設管理データベースDB2を更新する。
また、詳細は省略するが、中央管理サーバ4は、共有車の予約を受け付ける機能を有する。中央管理部21は、一の共有車について、貸し出しの予約が入った場合、所定の手段でそのことを検出し、共有車管理データベースDB1のレコードのうち、当該一の共有車に対応するレコードの予約有無情報を更新する。予約がキャンセルされた場合や、予約された共有車の借り受けがユーザにより行われた場合も同様である。
また、中央管理部21は、各共有車に搭載された各車載装置5から、随時、バッテリー残量通知データを受信する。バッテリー残量通知データは、後述するように現時点のバッテリーの残量を示す情報であり、中央管理部21は、一の共有車に搭載された車載装置5からバッテリー残量通知データを受信した場合、共有車管理データベースDB1のレコードのうち、当該一の共有車に対応するレコードのバッテリー残量情報を更新する。
図3に示すように、車載装置5には、自動運転制御装置100およびバッテリー残量検出装置101が接続されている。
自動運転制御装置100は、共有車の各部を制御して、自動運転を実行する装置である。自動運転制御装置100は、「車両の環境(車両が走行する周囲の状況、他の車両を含む障害物との離間距離、車両が走行する路面の状況等)を検出する各種センサ」や、「車両の状態(車両の現在位置や、進行方向、車速、加速度、ヨーレート、ギアの状態、ブレーキの状態等)を検出する各種センサ」、「車両の推進に関する各種機構(エンジンや、トランスミッション、ブレーキ、ステアリング等)を制御するECU」、「地図上の経路に関する情報を記憶する記憶装置」等に接続され、車両の環境および車両の状態に応じてECUを制御して自動運転を実行する。後述するように、自動運転制御装置100は、自動運転開始指示部31から入力した移動開始指示コマンドに基づいて、共有車を現在位置から目標位置まで自動運転で移動させる。
バッテリー残量検出装置101は、バッテリーの残量を検出するための各種センサ、装置を備え、定期的にバッテリー残量を検出し、後述するバッテリー残量送信部32に出力する。
車載装置5の通信部30は、所定の通信規格に従ってネットワークNにアクセスし、ネットワークNと接続する装置と通信する。
車載装置5の自動運転開始指示部31は、目標位置を示す目標位置情報を含む移動開始指示コマンドを生成し、自動運転制御装置100に送信することによって、自動運転制御装置100に、現在位置から目標位置まで共有車を自動運転により移動させる。特に、自動運転開始指示部31は、駐車管理装置2の移動関連処理実行部16から目標位置データを受信した場合、目標位置データに基づいて移動開始指示コマンドを生成し、自動運転制御装置100に出力する。移動関連処理実行部16の処理については後述する。
車載装置5のバッテリー残量送信部32は、定期的にバッテリー残量検出装置101から、現時点のバッテリー残量を示す情報を取得し、バッテリー残量を示す情報と共有車IDとを含むバッテリー残量通知データを、中央管理サーバ4の中央管理部21に送信する。上述したように、中央管理部21は、各車載装置5から受信したバッテリー残量通知データに基づいて、共有車管理データベースDB1の対応するバッテリー残量情報を更新する。
駐車管理装置2の通信部10は、所定の通信規格に従ってネットワークNにアクセスし、ネットワークNと接続する装置と通信する。
駐車管理装置2の検出部11は、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPへの駐車の希望がある場合に、そのことを検出する。以下、検出部11の処理について詳述する。ここで、ユーザは、自身が所有するユーザ端末3に、事前に、専用のアプリケーション(以下、「専用アプリケーション」という)をインストールする。図3のユーザ端末3の専用アプリケーション実行部50(特許請求の範囲の「駐車希望通知部」に相当)は、CPU等のハードウェアが、専用アプリケーション(付随するプログラムを含む)を読み出して実行することにより、各種処理を実行する機能ブロックである。上述したように、ユーザは、自身が借り受けた貸出車両を返却する場合、貸出車両を運転し、所望の駐車施設Tに赴く。その際、ユーザは、所望の駐車施設Tに到着する前の所定のタイミングで専用アプリケーションを起動し、所定の操作を行って、以下で説明する処理の開始を指示する。
専用アプリケーション実行部50は、ユーザの指示に応じて、所定の手段で、共有車を返却可能な駐車施設Tのそれぞれの位置を取得する。専用アプリケーション実行部50は、随時、OSが検出するユーザ端末3の位置(=共有車の位置)と、貸出車両を返却可能な駐車施設Tのそれぞれの位置との位置関係に基づいて、貸出車両が、貸出車両を返却可能な駐車施設Tのうち、いずれかの駐車施設Tに進入したか否かを監視する。貸出車両が一の駐車施設Tに進入したことを検出した場合、専用アプリケーション実行部50は、当該一の駐車施設Tに対応する駐車管理装置2に、駐車希望通知データを送信する。駐車希望通知データは、共有車の共有車IDを含み、共有車IDの共有車の駐車を希望することを通知するデータであり、特許請求の範囲の「駐車施設への駐車の希望に関する情報」に相当する。なお、駐車管理装置2のアドレス等、専用アプリケーション実行部50が駐車管理装置2と通信するために必要な情報は、専用アプリケーションに登録されている。
検出部11は、ユーザ端末3から駐車希望通知データを受信したときに、当該駐車希望通知データに含まれる共有車IDの共有車について、対応する駐車施設Tの駐車スペースSPへの駐車の希望があることを検出する。以下、駐車スペースSPへの駐車が希望されている貸出車両を、適宜、「駐車希望車両」という。
判定部12は、検出部11により駐車の希望があることをが検出された場合、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが有るか否かを判定する。なお、「駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが有る」とは、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに、1つ以上、待機車両が駐車していない駐車スペースSPが存在することを意味する。以下、判定部12の処理について詳述する。
判定部12は、検出部11により駐車の希望があることをが検出された場合(=検出部11が駐車希望通知データを受信した場合)、中央管理サーバ4の中央管理部21に、対応する駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが有るか否かを問い合わせる。当該問い合わせは、例えば、WebAPIを用いたリクエストによって行われる。中央管理部21は、当該問い合わせに応じて、駐車施設管理データベースDB2を参照し、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが有るか否かを判定し、判定結果を応答する。判定部12は、中央管理部21からの応答に基づいて、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが有るか否かを判定する。なお、詳細は省略するが、駐車スペースSPには、サイズの問題、その他の問題により、特定の車種の共有車が駐車できない場合があるが、このような事情は当然に考慮されて判定部12による判定は行われる。
特定部13は、判定部12により駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが無いと判定された場合、駐車スペースSPに駐車している待機車両のうち、駐車スペースSPから移動させることが可能な待機車両を特定する。以下、特定部13の処理について、予約状況取得部14およびバッテリー残量取得部15の処理と共に説明する。
特定部13は、判定部12により駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが無いと判定された場合、予約状況取得部14に、予約状況情報の取得を要求する。予約状況情報とは、駐車スペースSPに駐車している待機車両のそれぞれについての貸し出しの予約の有無を示す情報である。予約状況取得部14は、特定部13からの要求に応じて、中央管理サーバ4の中央管理部21に、対応する駐車施設Tについての予約状況情報の応答を要求する。中央管理部21は、応答要求に応じて、共有車管理データベースDB1および駐車施設管理データベースDB2を参照し、駐車スペースSPに駐車している待機車両のそれぞれについて予約の有無を認識し、予約状況情報を生成し、応答する。予約状況取得部14は、中央管理部21が応答した予約状況情報を受信し、取得する。特定部13は、予約状況取得部14により取得された予約状況情報に基づいて、待機車両のそれぞれについて、貸し出しの予約の有無を判定し、貸し出しの予約が入っていない待機車両を、第1段階の候補とする。この結果、貸し出しの予約が入っており、引き続き駐車スペースSPに待機する必要のある待機車両について、後述する移動関連処理が実行される対象となることがない。
次いで、特定部13は、バッテリー残量取得部15に、第1残量情報の取得を要求する。第1残量情報とは、駐車希望車両のバッテリー残量を示す情報である。バッテリー残量取得部15は、特定部13からの要求に応じて、中央管理サーバ4の中央管理部21に、駐車希望車両の共有車IDを通知して、駐車希望車両についてのバッテリー残量情報の応答を要求する。中央管理部21は、応答要求に応じて、共有車管理データベースDB1を参照し、駐車希望車両のバッテリー残量情報を取得し、応答する。バッテリー残量取得部15は、中央管理部21が応答したバッテリー残量情報を受信し、第1残量情報として取得する。
特定部13は、バッテリー残量取得部15により取得された第1残量情報に基づいて、駐車希望車両のバッテリーをすぐに充電する必要があるか否かを判定する。特定部13は、バッテリー残量が、バッテリーのタイプごとに事前に定められた閾値を下回っている場合に、駐車希望車両のバッテリーをすぐに充電する必要があると判定し、それ以外の場合、駐車希望車両のバッテリーをすぐに充電する必要がないと判定する。
特定部13は、駐車希望車両のバッテリーをすぐに充電する必要がある場合、第1段階の候補の貸出車両のうち、充電設備Qが設けられた駐車スペースSPに駐車している待機車両を、第2段階の候補とする。一方、特定部13は、駐車希望車両のバッテリーをすぐに充電する必要がない場合、第1段階の候補の全ての待機車両を、第2段階の候補とする。なお、詳細は省略するが、充電設備Qが設けられた駐車スペースSPには、コネクタの規格の相違、その他の理由により、特定の車種の共有車が駐車できない場合があるが、このような事情は当然に考慮されて、特定部13による第2段階の候補の決定は行われる。
次いで、特定部13は、バッテリー残量取得部15に、第2残量情報の取得を要求する。第2残量情報とは、第2段階の候補となった待機車両のそれぞれのバッテリー残量を示す情報である。バッテリー残量取得部15は、特定部13からの要求に応じて、中央管理サーバ4の中央管理部21に、第2段階の候補となった待機車両のそれぞれのバッテリー残量情報の応答を要求する。中央管理部21は、応答要求に応じて、共有車管理データベースDB1を参照し、第2段階の候補となった待機車両のそれぞれのバッテリー残量情報を取得し、応答する。バッテリー残量取得部15は、中央管理部21が応答したバッテリー残量情報のそれぞれを受信し、第2残量情報として取得する。
特定部13は、バッテリー残量取得部15により取得された第2残量情報に基づいて、第2段階の候補となった待機車両のうち、バッテリー残量が最も多い待機車両を、駐車スペースSPから移動させることが可能な待機車両として特定する。つまり、特定部13は、バッテリー残量が多い待機車両を優先的に特定する。以下、特定部13によって特定された待機車両を、「移動対象車両」という。
移動関連処理実行部16は、判定部12により駐車スペースSPの空きが無いと判定された場合、特定部13により特定された移動対象車両について、駐車スペースSPからの移動に関する移動関連処理を実行する。以下、移動関連処理実行部16の処理について、台数取得部17の処理と共に詳述する。
移動関連処理実行部16は、駐車の希望があった駐車施設Tの周辺に位置する他の駐車施設T(以下、「周辺駐車施設」という)の駐車施設IDを中央管理サーバ4の中央管理部21に通知し、周辺駐車施設について、駐車スペースSPに空きが有るか否かを中央管理サーバ4の中央管理部21に問い合わせる。周辺駐車施設は、複数の駐車施設Tを含んでいてもよい。なお、周辺駐車施設の駐車施設IDは、事前に登録されている。本実施形態では、移動関連処理実行部16が、周辺駐車施設の駐車施設IDを中央管理部21に通知する構成であるが、中央管理部21が、駐車施設Tごとに、周辺駐車施設を管理する構成でもよい。中央管理サーバ4の中央管理部21は、当該問い合わせを受け付けた場合、周辺駐車施設に対応する駐車施設管理データベースDB2を参照し、各周辺駐車施設について、駐車スペースSPに空きが有るか否かを判定し、判定結果を応答する。移動関連処理実行部16は、問い合わせに対する応答に基づいて、いずれかの周辺駐車施設の駐車スペースSPに空きが有るか否かを判定する。
いずれの周辺駐車施設の駐車スペースSPにも空きが無い場合、移動関連処理実行部16は、以下で説明する移動関連処理を実行することなく、待機車両を駐車スペースSPから移動させることができないことを通知部18に通知し、処理を終了する。なお、この場合、後述するように、ユーザに対して、通知部18により、駐車スペースSPに空きが生じるまで待機すべきことが通知される。
いずれかの周辺駐車施設の駐車スペースSPに空きがある場合、移動関連処理実行部16は、以下の移動関連処理を実行する。移動関連処理において、まず、移動関連処理実行部16は、台数取得部17に、貸出可能台数情報の取得を要求する。貸出可能台数情報とは、駐車スペースSPに空きが有る周辺駐車施設のそれぞれについて、貸し出しの予約がされていない待機車両の台数を示す情報である。一の駐車施設Tについて、貸し出しの予約がされていない待機車両の台数は、当該一の駐車施設Tにおいて現時点でユーザが借り受けることが可能な共有車の台数を意味する。
台数取得部17は、移動関連処理実行部16からの要求に応じて、中央管理サーバ4の中央管理部21に、駐車スペースSPに空きが有る周辺駐車施設の駐車施設IDを通知して、貸出可能台数情報の応答を要求する。中央管理部21は、応答要求に応じて、共有車管理データベースDB1、および、通知された駐車施設IDのそれぞれに対応する駐車施設管理データベースDB2を参照し、駐車スペースSPに空きが有る周辺駐車施設のそれぞれについて、貸し出しの予約がされていない待機車両の台数を認識する。中央管理部21は、当該認識に基づいて、貸出可能台数情報を生成し、台数取得部17に応答する。台数取得部17は、中央管理部21が応答した貸出可能台数情報を受信し、取得する。
移動関連処理実行部16は、台数取得部17により取得された貸出可能台数情報に基づいて、駐車スペースSPに空きが有る周辺駐車施設のうち、貸し出しの予約がされていない待機車両の台数が最も少ない駐車施設Tを特定する。なお、待機車両の台数が最も少ない駐車施設Tが複数ある場合、移動関連処理実行部16は、それら駐車施設Tのうち、駐車の希望があった駐車施設Tに最も近い駐車施設Tを特定する。次いで、移動関連処理実行部16は、特定した駐車施設Tにおいて、空いている駐車スペースSPのうち任意の1つの駐車スペースSPの位置を示す駐車スペース位置情報を中央管理部21に問い合わせて取得する。以下、移動関連処理実行部16により特定された駐車施設Tを「移動先駐車施設」といい、駐車スペース位置情報が取得された駐車スペースSPを「移動先駐車スペース」という。次いで、移動関連処理実行部16は、駐車希望車両が自動運転機能を有するか否かを中央管理部21に問い合わせ、問い合わせに対する応答に基づいて、駐車希望車両が自動運転機能を有するか否かを判定する。
駐車希望車両が自動運転機能を有する場合、移動関連処理実行部16は、以下の処理を実行する。すなわち、移動関連処理実行部16は、中央管理部21に問い合わせて、移動対象車両の通信関連情報を取得する。上述したように、移動対象車両の通信関連情報は、移動対象車両に搭載された車載装置5と通信するために必要な情報を含む。以後、移動関連処理実行部16は、取得した通信関連情報を利用して、移動対象車両に搭載された車載装置5と通信する。次いで、移動関連処理実行部16は、移動先駐車スペースの駐車スペース位置情報を有し、駐車スペース位置情報が示す位置を目標位置として、目標位置までの自動運転の開始を指示する目標位置データを生成し、移動対象車両の車載装置5に送信する。
目標位置データの送信に応じて、移動関連処理実行部16は、移動対象車両が駐車する駐車スペースSPを特定する情報を通知部18に通知する。本実施形態に係る駐車施設Tでは、駐車スペースSPのそれぞれに、駐車施設T内で一意な値の番号(以下、「駐車スペース番号」という)が割り振られており、移動関連処理実行部16は、移動対象車両が駐車する駐車スペースSPの駐車スペース番号を通知部18に通知する。なお、駐車施設Tにおいて、各駐車スペースSPの入口付近の目立つ場所に、各駐車スペースSPに割り振られた駐車スペース番号が表示されている。
車載装置5の自動運転開始指示部31は、目標位置データを受信し、取得する。自動運転開始指示部31は、取得した目標位置データに基づいて、目標位置データに含まれる駐車スペース位置情報を、目標位置を示す目標位置情報として有する移動開始指示コマンドを生成し、自動運転制御装置100に出力する。自動運転制御装置100は、移動開始指示コマンドを入力し、自動運転により、共有車を現在位置から目標位置まで移動させる。この結果、移動対象車両は、駐車していた駐車スペースSPを離間して移動先駐車施設の移動先駐車スペースへ向かって移動し、移動対象車両が駐車していた駐車スペースSPは空き状態となる。なお、詳細は省略するが、自動運転による目標位置までの移動は、自動運転制御装置100により経路が算出された上で、適切に行われる。
駐車希望車両が自動運転機能を有していない場合、移動関連処理実行部16は、以下の処理を実行する。すなわち、移動関連処理実行部16は、所定の手段で移動先駐車スペースの駐車スペース番号を取得する。次いで、移動関連処理実行部16は、駐車施設Tに待機している待機車両を運転して駐車スペースから移動させる権限を有する者(以下、便宜的に「管理者」という)に、移動対象車両が駐車する駐車スペースSPの駐車スペース番号、および、移動先駐車スペースの駐車スペース番号を報知する。管理者への報知は、管理者が各駐車スペース番号を認識できるような方法であれば、どのような方法で行われてもよい。例えば、駐車施設Tに管理者が待機する待機部屋が設けられ、その待機部屋に表示装置が設けられている場合に、移動関連処理実行部16は、待機部屋に設けられた表示装置に、各駐車スペース番号を表示する。また例えば、駐車施設Tに音声出力装置が設けられている場合に、移動関連処理実行部16は、音声出力装置を利用して、各駐車スペース番号を音声によって報知する。また例えば、移動関連処理実行部16は、管理者が所持する携帯端末にメール、その他の手段によって、各駐車スペース番号を通知する。
管理者は、業務により、移動対象車両が駐車する駐車スペースSPの駐車スペース番号、および、移動先駐車スペースの駐車スペース番号が通知された場合、移動対象車両を運転して、移動先駐車施設の移動先駐車スペースに移動させることになっている。従って、管理者は、移動関連処理実行部16から報知を受けた場合、移動対象車両を運転して、移動先駐車施設の移動先駐車スペースに移動させる。この結果、移動対象車両は、駐車していた駐車スペースSPを離間して移動先駐車施設の移動先駐車スペースへ向かって移動し、移動対象車両が駐車していた駐車スペースSPは空き状態となる。
駐車スペース番号の管理者への報知に応じて、移動関連処理実行部16は、移動対象車両が駐車していた駐車スペースSPの駐車スペース番号を通知部18に通知する。
なお、中央管理サーバ4と、駐車の希望があった駐車施設Tに対応する駐車管理装置2と、移動先駐車施設に対応する駐車管理装置2とが協働して、移動対象車両が移動先駐車施設に到着するまでに、移動先駐車スペースに共有車が駐車されないようにする構成でもよい。一例として、駐車の希望があった駐車施設Tに対応する駐車管理装置2が、中央管理サーバ4を介して、移動先駐車施設に対応する駐車管理装置2に、移動先駐車スペースの駐車スペースIDを通知する。移動先駐車施設に対応する駐車管理装置2は、当該通知に基づいて、管理者への移動先駐車スペースの駐車スペース番号の報知等を行って、管理者に、移動先駐車スペースに他の共有車が駐車されないようにさせる。
以上のように、移動関連処理実行部16は、対応する駐車施設Tの周辺の駐車施設Tの駐車スペースSPに空きが無く、移動対象車両を周辺の駐車施設Tに移動させることができないケースを除き、移動関連処理を行って、移動対象車両を駐車スペースSPから移動させ、その駐車スペースSPを空き状態にする。ここで、移動対象車両は、貸し出しの予約が入っていない待機車両のうち、バッテリー残量が最も多い待機車両である。従って、移動対象車両は、バッテリーを消費させて移動先駐車施設に移動させる待機車両として適している。なお、移動関連処理実行部16が、特定部13により特定された移動対象車両のバッテリー残量が、移動先駐車施設に至るのに必要な程度に十分に残存しているか否かを判定し、残存していない場合は、移動関連処理を実行せず、通知部18に、待機車両を駐車スペースSPから移動させることができない旨、通知する構成でもよいことは勿論である。さらに、本実施形態では、駐車希望車両のバッテリーを充電する必要がある場合、充電設備Qが設けられた駐車スペースSPに駐車している待機車両が、移動させる待機車両の候補とされ、駐車希望車両を充電設備Qが設けられた駐車スペースSPに駐車させることが可能となる。このため、駐車希望車両を、一旦、充電設備Qが無い駐車スペースSP等に駐車させた後に、管理者が、その車両を、充電設備Qが設けられた駐車スペースSPにわざわざ移動させる作業が発生せず、カーシェアリング提供者にとっても都合がよい。
通知部18は、移動関連処理実行部16から受け付けた通知の内容に応じて、異なる処理を実行する。すなわち、通知部18は、移動関連処理実行部16から、待機車両を駐車スペースSPから移動させることができない旨の通知を受け付けた場合、以下の処理を実行する。すなわち、通知部18は、ユーザ端末3の専用アプリケーション実行部50に、所定の描画データを送信し、駐車スペースSPに空きがなく、また、駐車スペースSPに駐車する待機車両を移動させることができないため、しばらくの間、待機する必要があることを示す情報を表示させる。
一方、通知部18は、移動関連処理実行部16から、移動対象車両が駐車する駐車スペースSPの駐車スペース番号の通知を受け付けた場合、以下の処理を実行する。すなわち、通知部18は、ユーザ端末3の専用アプリケーション実行部50に、所定の描画データを送信し、駐車スペース番号を表示させると共に、表示された駐車スペース番号の駐車スペースSPがすぐに空き状態となることを示す情報を表示させる。ユーザは、ユーザ端末3に表示された情報を参照することにより、空き状態となる駐車スペースSPを迅速に認識することができると共に、自身が借り受けた共有車をその駐車スペースSPに速やかに駐車させることができる。
図5は、本実施形態に係る駐車管理装置2の処理の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、ユーザによる駐車施設Tへの貸出車両の駐車の希望に応じて、駐車管理装置2が実行する処理の一例を示している。
図5に示すように、駐車管理装置2の検出部11は、対応する駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPへの駐車の希望があるか否かを監視する(ステップSA1)。上述したように、検出部11は、駐車希望通知データを受信した場合、ユーザ端末3から駐車希望通知データを受信したときに、対応する駐車施設Tの駐車スペースSPへの駐車の希望があることを検出する。
検出部11により、駐車スペースSPへの駐車の希望があることが検出された場合、判定部12は、中央管理サーバ4と連携して、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが有るか否かを判定する(ステップSA2)。駐車施設Tに空きが有る場合(ステップSA2:YES)、駐車管理装置2は、ステップSA3以下の処理を実行しない。
駐車施設Tに空きが無い場合(ステップSA2:NO)、特定部13は、移動対象車両を特定する(ステップSA3)。ステップSA3の特定部13の処理については、後に、図6のフローチャートを用いて詳述する。次いで、移動関連処理実行部16は、中央管理サーバ4と連携して、駐車スペースSPに空きが有る周辺駐車施設が存在するか否かを判定する(ステップSA4)。
駐車スペースSPに空きが有る周辺駐車施設が存在しない場合(ステップSA4:NO)、移動関連処理実行部16は、待機車両を駐車スペースSPから移動させることができない旨、通知部18に通知する(ステップSA5)。通知部18は、ステップSA5の通知に応じて、ユーザ端末3に、駐車スペースSPに空きがなく、また、駐車スペースSPに駐車する待機車両を移動させることができないため、しばらくの間、待機する必要があることを示す情報を表示させる(ステップSA6)。
一方、駐車スペースSPに空きが有る周辺駐車施設が存在する場合(ステップSA4:YES)、移動関連処理実行部16は、移動関連処理を実行し、移動対象車両を駐車スペースSPから、移動先駐車スペースへ向かって移動させる(ステップSA7)。ステップSA7の移動関連処理実行部16の処理については、後に、図7のフローチャートを用いて詳述する。上述したように、移動関連処理実行部16は、移動関連処理において、移動対象車両が駐車する駐車スペースSPの駐車スペース番号を、通知部18に通知する。ステップSA7の移動関連処理の実行後、通知部18は、ユーザ端末3に駐車スペース番号を表示させると共に、表示された駐車スペース番号の駐車スペースSPがすぐに空き状態となることを示す情報を表示させる。
図6は、ステップSA3で特定部13が実行する処理の詳細を示すフローチャートである。図6に示すように、特定部13は、予約状況取得部14に、予約状況情報を取得させる(ステップSB1)。上述したように、予約状況情報は、駐車スペースSPに駐車する待機車両のそれぞれについての貸し出しの予約の有無を示す情報である。次いで、特定部13は、予約状況情報に基づいて、待機車両のそれぞれについて、貸し出しの予約の有無を判定し、貸し出しの予約が入っていない待機車両を、第1段階の候補とする(ステップSB2)。
次いで、特定部13は、バッテリー残量取得部15に、第1残量情報を取得させる(ステップSB3)。上述したように、第1残量情報とは、駐車希望車両のバッテリー残量を示す情報である。次いで、特定部13は、第1残量情報に基づいて、駐車希望車両のバッテリーをすぐに充電する必要があるか否かを判定する(ステップSB4)。駐車希望車両のバッテリーをすぐに充電する必要がある場合(ステップSB4:YES)、特定部13は、第1段階の候補の貸出車両のうち、充電設備Qが設けられた駐車スペースSPに駐車する待機車両を、第2段階の候補とする(ステップSB5)。ステップSB5の処理後、特定部13は、処理手順をステップSB7へ移行する。一方、特定部13は、駐車希望車両のバッテリーをすぐに充電する必要がない場合(ステップSB4:NO)、第1段階の候補の全ての待機車両を、第2段階の候補とする(ステップSB6)。ステップSB6の処理後、特定部13は、処理手順をステップSB7へ移行する。
ステップSB7において、特定部13は、バッテリー残量取得部15に、第2残量情報を取得させる。上述したように、第2残量情報とは、第2段階の候補となった待機車両のそれぞれのバッテリー残量を示す情報である。次いで、特定部13は、第2残量情報に基づいて、第2段階の候補となった待機車両のうち、バッテリー残量が最も多い待機車両を、駐車スペースSPから移動させることが可能な待機車両(移動対象車両)として特定する(ステップSB8)。
図7は、ステップSA7で移動関連処理実行部16が実行する移動関連処理の詳細を示すフローチャートである。図7に示すように、移動関連処理実行部16は、台数取得部17に、貸出可能台数情報を取得させる(ステップSC1)。上述したように、貸出可能台数情報とは、駐車スペースSPに空きが有る周辺駐車施設のそれぞれについて、貸し出しの予約がされていない待機車両の台数を示す情報である。次いで、移動関連処理実行部16は、貸出可能台数情報に基づいて、駐車スペースSPに空きが有る周辺駐車施設のうち、貸し出しの予約がされていない待機車両の台数が最も少ない駐車施設Tを特定する(ステップSC2)。ここで特定された駐車施設Tが、移動先駐車施設である。
次いで、移動関連処理実行部16は、移動先駐車施設の移動先駐車スペースの駐車スペース位置情報を中央管理部21に問い合わせて取得する(ステップSC3)。次いで、移動関連処理実行部16は、中央管理部21に対する問い合わせに対する応答に基づいて、駐車希望車両が自動運転機能を有するか否かを判定する(ステップSC4)。
駐車希望車両が自動運転機能を有する場合(ステップSC4:YES)、移動関連処理実行部16は、以下の処理を実行する。すなわち、移動関連処理実行部16は、駐車スペース位置情報が示す位置を目標位置として、目標位置までの自動運転の開始を指示する目標位置データを生成し、移動対象車両の車載装置5に送信する(ステップSC5)。上述したように、車載装置5による目標位置データの受信に応じて、移動対象車両は、自動運転により、移動先駐車スペースに移動する。さらに、移動関連処理実行部16は、移動対象車両が駐車する駐車スペースSPの駐車スペース番号を通知部18に通知する(ステップSC6)。その後、移動関連処理実行部16は、移動関連処理を終了する。
一方、駐車希望車両が自動運転機能を有さない場合(ステップSC4:NO)、移動関連処理実行部16は、管理者に、移動対象車両が駐車する駐車スペースSPの駐車スペース番号、および、移動先駐車スペースの駐車スペース番号を報知する(ステップSC7)。上述したように、ステップSC7の報知に応じて、管理者は、移動対象車両を運転して、移動先駐車施設の移動先駐車スペースに移動させる。次いで、移動関連処理実行部16は、移動対象車両が駐車していた駐車スペースSPの駐車スペース番号を通知部18に通知する(ステップSC8)。その後、移動関連処理実行部16は、移動関連処理を終了する。
以上詳しく説明したように、本実施形態に係る駐車管理装置2は、貸出車両について、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPへの駐車の希望がある場合、そのことを検出し、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが有るか否かを判定し、空きが無い場合、駐車スペースSPに駐車している待機車両のうち、いずれかの待機車両について、駐車スペースSPからの移動に関する移動関連処理を実行する。
この構成によれば、駐車施設Tに設けられた駐車スペースSPに空きが無い場合であっても、いずれかの駐車スペースSPを迅速に空き状態とすることができるので、共有車を駐車スペースSPに駐車させることを希望するユーザは、成り行きで駐車スペースSPに空きが生じるまで待ったり、他の駐車施設Tに移動したりする必要がなく、できるだけ速やかに駐車スペースSPに共有車を駐車させることができる。
以上、実施形態を説明した。ただし、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
例えば、上述した実施形態では、ユーザが、自身が借り受けた貸出車両を返却する場合を例にして、本発明の実施の形態を説明した。ただし、ユーザは、貸出車両のバッテリーを充電するために駐車施設Tを利用することが可能であり、このような場合にも、上述した実施形態で説明した技術を利用して、ユーザの利便性を向上できる。また、上述した実施形態では、ユーザが、駐車施設Tのいずれかに駐車スペースSPへの駐車を望んでいるものとして、発明の実施の形態を説明した。この点に関し、ユーザが、特定の1または複数の駐車スペースSPへの駐車を望む場合があるが、このような場合にも、上述した実施形態で説明した技術を利用して、ユーザの利便性を向上できる。
また例えば、上述した実施形態では、中央管理サーバ4が、各駐車施設Tについての駐車施設管理データベースDB2を記憶し、各駐車施設Tを統括的に管理した。この点に関し、駐車管理装置2が、対応する駐車施設Tの駐車施設管理データベースDB2に相当するデータを記憶し、対応する駐車施設Tを管理する構成でもよい。つまり、駐車管理装置2が上述した実施形態で説明した処理を実行するために必要なデータであって、上述した実施形態では中央管理サーバ4が記憶していたデータの少なくとも一部を、駐車管理装置2が記憶する構成でもよい。
また、上述した実施形態では、検出部11は、ユーザ端末3から駐車希望通知データを受信することによって、対応する駐車施設Tの駐車スペースSPへの駐車の希望があることを検出した。この点に関し、検出部11が、当該希望を検出する方法は、どのような方法であってもよい。例えば、駐車施設TのゲートGTに専用の装置を設けると共に、当該専用の装置とユーザ端末3とが近接した場合、これら装置が近距離無線通信する構成とする。そして、当該専用の装置は、ユーザ端末3と近距離無線通信可能となったときに、ユーザ端末3から必要な情報を取得した上で、駐車希望通知データに相当するデータを検出部11に送信する。検出部11は、当該データを受信することによって、対応する駐車施設Tの駐車スペースSPへの駐車の希望を検出する。以上のような構成でもよい。また例えば、駐車施設Tの入口付近に、ユーザが駐車の希望を入力する専用の装置を設け、検出部11が、当該専用の装置に対する入力に基づいて、対応する駐車施設Tの駐車スペースSPへの駐車の希望を検出する構成でもよい。
また、ユーザが、貸出車両の返却を予約できるようにする。例えば、ユーザが、専用アプリケーションが提供する所定のユーザインターフェースに、予約を希望する駐車施設Tや、貸出車両の返却を希望する日時を入力を行うことによって、貸出車両の返却を予約できるようにする。そして、駐車管理装置2は、貸出車両の返却を希望する日時が近づいたとき(例えば、当該日時の10分前)に、図5のフローチャートのステップSA2以下の処理を行って、駐車スペースSPに空きが無い場合に、いずれかの駐車スペースSPに駐車する待機車両を移動させる。以上のような構成でもよい。
また、駐車管理装置2は、共有車を借り受けたユーザが設定した目的地を取得する。例えば、車載装置5や、ユーザ端末3に目的地を入力可能な構成とし、駐車管理装置2は、これら装置と通信し、ユーザが設定した目的地を取得する。そして、駐車管理装置2は、目的地が駐車施設Tの場合に、既存の技術により、貸出車両の現在位置から、駐車施設Tに至るまでの経路を算出すると共に、駐車施設Tに至ると予測される日時を算出する。そして、駐車管理装置2は、予測した日時が近づいたとき(例えば、当該日時の10分前)に、図5のフローチャートのステップSA2以下の処理を行って、駐車スペースSPに空きが無い場合に、いずれかの駐車スペースSPに駐車する待機車両を移動させる。以上のような構成でもよい。
また、上述した実施形態では、ユーザ端末3が、駐車希望通知データを送信する構成であったが、車載装置5が、上述した実施形態で説明した専用アプリケーション実行部50の処理と同様の処理を実行した上で、駐車希望通知データを送信する構成でもよい。この場合、車載装置5が、特許請求の範囲の「駐車スペースが設けられた駐車施設Tへの駐車の希望に関する情報を駐車管理装置2に通知する駐車希望通知部を備える端末」に相当する。
また、上述した実施形態では、特定部13は、移動させることが可能な待機車両を特定した。この点に関し、特定部13が、待機車両を移動させる駐車スペースSPを特定する構成でもよい。この場合、例えば、特定部13は、駐車スペースSPに空きが無い場合、所定のルールに従って、待機車両を移動させる駐車スペースSPを特定する。所定のルールは、例えば、駐車スペース番号が最も小さい駐車スペースSPというルールであり、また例えば、ゲートGTにいちばん近い駐車スペースSPというルールである。
また、上述した実施形態では、特定部13は、駐車希望車両の充電がすぐに必要な場合に、充電設備Qが設けられた駐車スペースSPに駐車する待機車両を、第2段階の候補として決定した。この点に関し、特定部13が、駐車希望車両の充電がすぐに必要か否かにかかわらず、充電設備Qが設けられた駐車スペースSPに駐車する待機車両を、第2段階の候補として決定する構成でもよい。
また、上述した実施形態では、特定部13は、待機車両のバッテリー残量を取得し、バッテリー残量が多い待機車両を優先的に特定した。この点に関し、特定部13が、各待機車両のバッテリー残量を取得せず、予約の入っていない待機車両から任意の待機車両を特定する構成でもよい。
また、上述した実施形態では、移動関連処理実行部16は、移動先駐車施設の移動先駐車スペースに、移動対象車両を移動させた。この点に関し、移動対象車両の移動先は、移動先駐車スペースに限らない。例えば、駐車施設Tの外に専用の車庫を設け、当該専用の車庫に一時的に移動させる構成でもよい。また、移動関連処理実行部16が、移動対象車両が自動運転機能を有するか否かにかかわらず、管理者に、移動対象車両が駐車する駐車スペースSPの駐車スペース番号を報知する構成でもよい。
また、上述した実施形態では、移動関連処理実行部16は、周辺駐車施設において、貸し出しの予約がされてない待機車両の台数を取得し、台数が少ない駐車施設Tを、優先的に、移動先駐車施設として決定した。この点に関し、移動関連処理実行部16が、周辺駐車施設において、貸し出しの予約がされてない待機車両の台数を取得せず、駐車スペースSPに空きが有る周辺駐車施設のうち、任意の駐車施設Tを、移動先駐車施設として決定する構成でもよい。
また、上述した実施形態では、共有車が電気自動車であるとして、実施形態を説明した。この点に関し、共有車は、電気自動車である必要は無く、ガソリン車や、水素自動車等であってもよい。