JP6788875B2 - ブロック・チェーン間でデジタル資産を転送するシステム - Google Patents

ブロック・チェーン間でデジタル資産を転送するシステム Download PDF

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本開示は、ブロック・チェーン間でのデジタル資産の転送と関係し、特にパブリック・チェーンとサイドチェーンとの間で多種多様なデジタル資産を所定の統制ルールの下で転送する処理と関係する。
サイドチェーンとは、ビットコイン・ブロックチェーン等の既存のパブリック・チェーンに側鎖として併設されるブロック・チェーンである。以下、説明の便宜上、ビットコイン等のパブリック・チェーン側を親BC、側鎖となるサイドチェーン側を側鎖BCと呼ぶ。親BCと側鎖BCとの間での相互作用の一例として、双方向ペグとは、固定の交換レートまたは決定論的な交換レートで、親BC上の暗号資産を側鎖BCに転送し、その後に元の親BCに戻すためのチェーン間移転機構を指す。従って、双方向ペグ可能な側鎖BCでは、親BCから暗号資産をインポートし、さらに元の親BCに戻すことができる(下記の特許文献1を参照)。
ところで、側鎖BC側へのペグイン処理の実行の際には、コンセンサス・ルール適用処理に伴って様々な処理の実行が必要となり、これらの処理には、トランザクションの承認や親BC側でのエクスポートすべき暗号資産のロック処理とロック解除などが含まれる。しかしながら、これらの処理の実行過程において、信頼性が保証されていない不特定のノードがコンセンサス・ルール適用処理に関与できてしまう点が考えられる。
そこで、下記の特許文献2および非特許文献1では、複数の承認者による連合体を組織し、この「承認者の連合」がトランザクション承認などの権限を専有する仕組みである「Federated Peg方式」が開示されている。この方式では、トランザクション承認やエクスポートすべき暗号資産のロック処理などを含む一連の処理を上述した「承認者の連合」によって実現される承認機構に集約し、BCN(Blockchain Network)内の不特定のノードに関与させない。こうして、「Federated Peg方式」では、信頼性が保証されていない不特定のノードがコンセンサス・ルール適用処理に関与できなくし、他のノードの計算処理負荷やブロック・チェーン全体にわたる計算量を削減することができる。
特表2018−533103号公報 米国出願公開US2016/0330034号公報
Block Stream社発行ホワイトペーパー"Enabling Blockchain Innovations with Pegged Sidechains"、Adam Back, Matt Corallo, Luke Dashjr, Mark Friedenbach, Gregory Maxwell, Andrew Miller, Andrew Poelstra, Jorge Timon, and Pieter Wuille,
既存のサイドチェーン技術の実装例においては、UTXO(Unspent Transaction Output)に対応したビットコインを親BCとして側鎖BCとの間で双方向ペグを実行する実装例しかない。つまり、双方向ペグの仕組みは、親BC側ではUTXO非対応のビットコインを取引するブロック・チェーンでは実装が困難である。同様に、双方向ペグの仕組みは、ビットコイン以外の任意のアルトコイン(Alt Coin)又は任意のトークンを取引可能なブロック・チェーンにおいても実装が困難である。
また、双方向ペク可能なサイドチェーンにおける別の問題点として、双方向ペグによりチェーン間で転送される暗号資産の種類またはペグイン/アウトの要求を送出した要求元が法的、思想的および戦略的な観点から望ましくない場合があり得る。この問題に対処するには、特定の利用者が特定の暗号資産をペグイン/ペグアウトしようとする試みを認容すべきか否かを一定の統制ルールに従って管理することが必要となる。さらに、上記統制ルールに基づく管理を実現するには、ペグイン/アウトの対象となる暗号資産の種別(通貨種別)が認容可能な種別の暗号資産であるか否か又はペグイン/アウトを要求した要求元が認容可能な利用者であるか否かを具体的に判別する仕組みも必要になる。
上記問題点に鑑み、本発明の幾つかの実施形態では、UTXO非対応のビットコインまたはビットコイン以外の任意の暗号資産を取引可能なブロック・チェーンとの間で暗号資産の転送を実現可能な仕組みを得ることを目的とする。また、上記問題点に鑑み、本発明の幾つかの実施形態では、特定の利用者が特定の暗号資産をブロック・チェーン間で転送しようとする試みを認容すべきか否かを一定の統制ルールに従って管理することが可能な仕組みを得ることを目的とする。
(1)本発明の幾つかの実施形態に係るシステムは、送金トランザクションを介したデジタル情報の送受信により資産価値を流通させることが可能な一種類以上の電磁的記録を含むデジタル資産を、ブロック・チェーン間で転送するために、
第1ブロック・チェーン上で所有者が有する第1デジタル資産を第2ブロック・チェーン上に前記所有者が有する第1アドレスにブロック・チェーン間転送により移転する要求を送出する所有者端末と、
多数決による意思決定を行う2つ以上の承認者端末により形成され、第1基準に基づいて前記承認者端末間の互選によりメンバーシップを更新するように構成された連合体と、
を備え、前記要求を検知した前記連合体内の少なくとも一つの前記承認者端末は、
前記多数決による意思決定を前記連合体に開始させ、所定の許認可基準に基づいて前記ブロック・チェーン間転送を許可可能と判断した場合に、前記第1デジタル資産と等価な経済価値を有する第2デジタル資産を新規に発行し、前記ブロック・チェーン間転送を実行し、
前記第2デジタル資産は、デジタル資産の種別に依存せずにトランザクション承認および残高の検証を実行可能な汎用性を有する分散合意形成プロトコルを用いて前記第2ブロック・チェーン側での取引が可能な独自トークンとして発行される、ことを特徴とする。
(2)本発明の別の実施形態では、上記(1)のシステムにおいて、前記所有者端末は、前記承認者端末から前記第1ブロック・チェーン上で指定された第2アドレスに前記第1デジタル資産を転送する第1トランザクションを同報送信し、
前記連合体を構成する少なくとも一つの前記承認者端末は、
前記第2アドレスにて前記第1トランザクションを受信すると、前記所有者端末から通知された前記第1アドレスを送金先とする前記ブロック・チェーン間転送の許否を前記連合体内の前記多数決により決定する投票プロセスを前記連合体に開始させる通信手順を実行し、
前記ブロック・チェーン間転送を許可する場合、前記第1デジタル資産と等価な経済価値を有する前記第2デジタル資産を新規に発行し、前記第2デジタル資産を前記第1アドレスに転送する第2トランザクションを前記第2ブロック・チェーンへと同報送信するように構成される、
ことを特徴とする。
(3)本発明のさらに別の実施形態では、上記(2)のシステムにおいて、前記所有者が前記第1ブロック・チェーン上に有する第3アドレスを送金先として、前記第2デジタル資産を前記第1ブロック・チェーンに戻すブロック・チェーン間転送を求める要求を前記所有者端末から受信した前記承認者端末は、
前記第2デジタル資産を将来にわたって事実上使用不可能にするための資産凍結アドレスを前記第2ブロック・チェーン上に生成し、前記第2デジタル資産を前記資産凍結アドレスに転送する第3トランザクションを同報送信し、
前記資産凍結アドレスにおいて前記第3トランザクションが受信されると、前記所有者端末から通知された前記第3アドレスを送金先として、前記独自トークンのブロック・チェーン間転送を行う第4トランザクションを生成し、
前記連合体内の前記多数決に基づく意思決定のために前記投票プロセスを実行した結果、前記第3トランザクションを許可する場合、前記第3トランザクションを介して前記独自トークンを前記第3アドレスに転送することで、前記第2デジタル資産を前記第1ブロック・チェーンに戻すように構成される、ことを特徴とする。
以上より、本発明の幾つかの実施形態に係るブロック・チェーン間での暗号資産転送方法により克服することができる従来の技術的課題として、以下のようなものが考えられる。上述した「Federated Peg方式」では、承認者の連合体におけるメンバーの選出は、ブロック・チェーンのエコシステム内における健全な統治や信頼性(高いセキュリティー)、公正性の確保を念頭において判断される。具体的には、上記メンバーの選出は、当該エコシステム内における健全な統治のための政策(または統治戦略)や政治的なパワーバランスを強く意識して決定される。
その一方で、ペグイン要求やペグアウト要求を認めるか却下するかの判断基準は、ブロック・チェーン・システムがサポートする機能的な制約(UTXOやSPV証明を実行する機能をサポートしているか否か)や特定の仮想通貨の双方向ペグを機能的にサポートするか否か(双方向ペグの実行時に取り扱い可能な暗号通貨の種類)というような技術的制限によって影響を受ける場合が多々ある。例えば、側鎖BC側でのUTXOを用いた残高の検証およびSPV証明を用いた分散合意形成処理(ブロックの承認など)は、ビットコインのブロック・チェーン・システムでしか実現することができない。逆にアカウント・ベースの分散合意形成処理は、任意のAlt Coinブロック・チェーン・システムで実現可能である。また、スマートコントラクト等の機能は、現状では、Ethereumのような一部のブロック・チェーン・システムでしか実装の実績が無い。
そこで、そのような技術的制限を除去し、政策的な判断基準や安全面、防犯面を考慮した統制ルールだけに基づいてペグイン要求やペグアウト要求を認めるか却下するかの決定を可能とすれば、以下のような利点がある。すなわち、政策または統制ルールを中心に承認者を選定するようにすれば、ペグイン要求やペグアウト要求の許認可基準と承認者連合体のメンバー選出基準との整合性を図ることができる。その結果、ペグイン要求やペグアウト要求の許認可基準をどのように決めるべきかを方向付ける指針が変化する都度、それに合わせて連合体のメンバー選出基準を適応させていくことが可能となる。
以上より、本発明の幾つかの実施形態によれば、UTXO非対応のビットコインまたはビットコイン以外の任意の暗号資産を取引可能なブロック・チェーンとの間で暗号資産の転送を実現することができる。また、本発明の幾つかの実施形態によれば、特定の利用者が特定の暗号資産をブロック・チェーン間で転送しようとする試みを認容すべきか否かを複数の観点に基づく統制ルールに従って管理する仕組みを実現することができる。
その結果、政策または統制ルールを中心に承認者を選定することで、ペグイン要求やペグアウト要求の許認可基準と承認者の連合体のメンバー選出基準との整合性を図ることができる。これにより、ペグイン要求やペグアウト要求の許認可基準をどのように決めるべきかを方向付ける指針が変化する都度、それに合わせて連合体のメンバー選出基準を適応させていくことが可能となる。
本発明の幾つかの実施形態に従い、ペグイン要求の各々に対してペグイン用アドレスを割り当て、新規発行した独自トークンにより親BCから側鎖BCへと暗号資産を転送するシナリオを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、承認者の連合体が、利用者端末からペグイン要求またはペグアウト要求を受け付け、当該要求の許否を判定するまでのシナリオを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、承認者の連合体にメンバーとして属する各々の承認者により投票が行われ、連合体による意思決定がなされるシナリオを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、承認者の連合体にメンバーとして属する各々の承認者により投票が行われ、連合体による意思決定がなされるシナリオを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、承認者の連合体にメンバーとして属する各々の承認者により投票が行われ、連合体による意思決定がなされるシナリオを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、承認者の連合体のメンバーシップを更新するシナリオを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、承認者の連合体のメンバーシップを更新するシナリオを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、ブロック・チェーン間で暗号資産を転送する方法が実行される基盤となるブロック・チェーン・システムを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、ブロック・チェーン間で暗号資産を転送する方法が実行される基盤となるブロック・チェーン・システムを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、ブロック・チェーン間で暗号資産を転送する方法が実行される基盤となるブロック・チェーン・システムを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、ブロック・チェーン間で暗号資産を転送する方法が実行される基盤となるブロック・チェーン・システムを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に従い、ブロック・チェーン間で暗号資産を転送する方法が実行される基盤となるブロック・チェーン・システムを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に係る双方向ペグの機能をソフトウェアおよびハードウェアにより実装するコンピュータ・システムを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態に係る双方向ペグの機能を実装するプラットフォームのアーキテクチャを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態と対比すべき比較例として、従来型の双方向ペグ可能なサイドチェーンとの間での暗号資産の転送シナリオを例示する図である。 本発明の幾つかの実施形態と対比すべき比較例として、従来型の双方向ペグ可能なサイドチェーンとの間での暗号資産の転送シナリオを例示する図である。
<1>従来技術(Federated Peg方式)について
本発明の幾つか実施形態に従い、ブロック・チェーン間での暗号資産の転送機構について詳しく述べる前に、本発明の幾つかの実施形態に係る上記転送機構との対比を目的として、図15のフロー図を参照しながら、従来の「Federated Peg方式」について述べる。非特許文献1によれば、従来の「Federated Peg方式」では、暗号資産のブロック・チェーン間転送のための処理プロセスは、図15のフローに沿って実行される。以下、できるだけ具体的な説明をするために、図15に示す処理プロセスは、図16(a)に示すようなブロック・チェーン構造の上で実行されるものと仮定する。
図16(a)を参照すると、このブロック・チェーン構造では、親BC(図16(a)に示すMch)に2つの側鎖BC(図16(a)に示すSC1とSC2)が併設されている。親BC(Mch)は、複数のブロックN(q)(1≦q≦Q)の連鎖として構成される。また、2つの側鎖BC(SC1,SC2)はそれぞれ複数のブロックNS1(p)(1≦p≦P)の連鎖として構成されNS2(r)(1≦r≦R)の連鎖として構成される。
従来の「Federated Peg方式」によれば、送金トランザクション処理によってデジタル資産VC1をブロック・チェーン間で転送する処理が、複数の承認者端末Fm[1]〜Fm[3]により組織された連合体による統括の下で実行される。上記デジタル資産VC1は、情報ネットワーク内での送受信により資産価値を流通させることが可能な一種類以上の電磁的記録を含み、親BC(Mch)から側鎖BC(図15に示すSC)に向けたブロック・チェーン間転送は、図15に示すフローに沿って以下のように実行される。なお、図13に示す処理フローでは、図14(a)に示す親BC(Mch)から側鎖BC(SC1)に第1デジタル資産VC1が転送されるものとする。
まず、図15に示す処理フローは、ステップST11から開始し、利用者端末は、親BC(Mch)内において、第1デジタル資産(VC1)を親BC(Mch)の出力端点に送信するトランザクションを生成する。続いて、処理フローはステップST12に進み、第1デジタル資産(VC1)を出力端点に送信するトランザクションを承認者端末Fm[x]が受信すると、第2デジタル資産VC2は施錠処理される。これは、図16(b)に示すように、ペグインしようとする暗号資産VC1をロックする処理に相当する。その上で、承認者端末Fm[x]により第1デジタル資産(VC1)のハッシュ情報が生成される(”SPV証明”の生成に相当する)。このSPV証明の生成は、第1デジタル資産(VC1)を認証するのに十分な第1計算量を費やして実行される。これにより、ペグイン対象となるデジタル資産を親BC(Mch)から側鎖BC(SC1)に移転するブロック・チェーン間転送の実際のプロセスが開始される。
続いて、側鎖BC(SC1)上の検証サーバにより、前記ハッシュ情報が検証され、前記検証の結果に応じて、承認者端末Fm[x]により、第1デジタル資産VC1と等しい資産価値を有する第2デジタル資産VC2が側鎖BC(SC1)上に生成される。続いて、処理フローはステップST13に進み、第1デジタル資産(VC1)の認証が上書きされるイベント(”Re-organization”)の発生の有無を承認者端末Fm[x]が第1待機期間にわたって監視する。この処理は、第2デジタル資産(VC2)をロック状態で保持したまま実行され、監視対象となる上記イベントは、”Re-organization”と呼ばれる。
”Re-organization”は、承認者端末Fm[x]以外のノードが、第2計算量を費やして第1デジタル資産(VC1)のハッシュ情報を生成し、なおかつ、上記第2計算量が、ステップST12にてSPV証明を生成した際に費やした第1計算量を上回ることにより生じる。そして、”Re-organization”が生じると、承認者端末Fm[x]以外のノードにより、承認者端末Fm[x]が有していたトランザクション認証権限が奪取されることとなる。
この第1待機期間の間に、上記第1待機期間の経過後に、上記イベントが生起していなければ、承認者端末Fm[x]により、施錠状態の第2デジタル資産(VC2)を解錠して側鎖BC(SC1)上で取引可能な状態とする。すなわち、図15に示す”Contest Period”の満了まで“Re-organization”によるトランザクション認証権限の奪取が無ければ、承認者端末Fm[x]は、第2デジタル資産(VC2)を側鎖BC(SC1)上で流通可能な状態とする。第2デジタル資産(VC2)が側鎖BC(SC1)上で流通可能な状態となった後に、図15に示す処理フローは、ステップST14に進む。ステップST14では、側鎖BC(SC1)内で第2デジタル資産VC2を送金する送金トランザクションが実行される。
一方、ペグイン済みの暗号資産VC2を親BC(Mch)側へとペグアウトする処理が開始すると、図15に示す処理フローはステップST15に進む。ステップST15では、第2待機期間(Confirmation Period)にわたって”Re-organization”の発生を監視する。これと並行して、第2デジタル資産(VC2)を側鎖BC(SC1)の出力端点に送信するトランザクションが生成され、第2デジタル資産VC2は施錠処理される。続いて、図15に示す処理フローはステップST16に進み、親BC(Mch)に対してペグアウトすべき暗号資産VC2を対象に、承認者端末Fm[x]により第2デジタル資産(VC2)のハッシュ情報が生成される(”SPV証明”の生成に相当する)。これにより、ペグイン済みのデジタル資産を側鎖BC(SC1)から親BC(Mch)に戻すブロック・チェーン間転送の実際のプロセスが開始される。
続いて、図15に示す処理フローはステップST17に進み、親BC(Mch)上の検証サーバにより、前記ハッシュ情報が検証されると、イベント(”Re-organization”)の発生の有無を承認者端末Fm[x]が第3待機期間(Contest Period)にわたって監視する。図13に示すステップST18において第2待機期間の満了前に承認者端末Fm[x]以外のノードによりトランザクション認証権限の奪取を引き起こすRe-organizationが発生すると、ステップST19において第3待機期間は異常中断する。ここで、承認者端末Fm[x]によりトランザクション承認権限を奪い返すRe-organization(図15に示すステップST20)がさらに引き起こされると、異常中断していた第3待機期間が再開される(ステップST21において)。
続いて、第3待機期間が正常に満了すると、ペグアウトされた第1デジタル資産VC1が親BC(Mch)上で流通可能な状態とされる。つまり、図16(c)に示すように、ペグイン済みの暗号資産VC2を親BC(Mch)側へとペグアウトするため、暗号資産VC2をロック解除して側鎖BC(SC1)上でリリースする。最後に、図15に示す処理フローはステップST22に進み、親BC(Mch)内で第1デジタル資産VC1を送金する送金トランザクションが実行される。
以上より、SPV証明に基づくペグイン/ペグアウトのための対称型双方向ペグ(Symmetric two-way peg SPV peg)を使ったアプローチでは、親BCのコインを側鎖BC側に転送する。そのため、親BCのコインを親チェーン上の特殊なOutputに送ってロックし、ロックされたコインをロック解除できるのはサイドチェーン上のSPV証明のみである。その際、2つのブロック・チェーンを同期させるには、2つの待機期間”Contest Period”と”Confirmation Period”を定義する必要がある。
既存のサイドチェーン技術の実装例においては、UTXO(Unspent Transaction Output)に対応したビットコインを親BCとして側鎖BCとの間で双方向ペグを実行する実装例しかない。つまり、双方向ペグの仕組みは、親BC側ではUTXO非対応のビットコインを取引するブロック・チェーンでは実装が困難である。同様に、双方向ペグの仕組みは、ビットコイン以外の任意のアルトコイン(Alt Coin)又は任意のトークンを取引可能なブロック・チェーンにおいても実装が困難である。従って、ブロック・チェーン間転送を使用とするデジタル資産の種別(通貨種別)や転送先のアドレスによっては、ペグインやペグアウトができない場合があり得る。
また、従来の「Federated Peg方式」では、信頼性が保証されていない不特定のノードがコンセンサス・ルール適用処理に関与できてしまうという問題を解決するまたは軽減するという効果が期待される。しかしながら、この問題を従来の「Federated Peg方式」で解決しようとすると、BCN(Block-Chain Network)全体から複数の承認者をどのように選出することにより承認者の連合体を形成するかという課題が新たに生じる。以上より、「Federated Peg方式」において、複数の承認者端末Fm[i](1≦i≦I)をどのように選出して承認者端末の連合体を形成すれば、上記問題を最も効果的に解決であるかを考えなければならない。
さらに、双方向ペク可能なサイドチェーンにおける別の問題点として、双方向ペグによりチェーン間で転送される暗号資産の種類またはペグイン/アウトの要求を送出した要求元が法的、思想的および戦略的な観点から望ましくない場合があり得る。この問題に対処するには、特定の利用者が特定の暗号資産をペグイン/ペグアウトしようとする試みを認容すべきか否かを一定の統制ルールに従って管理することが必要となる。さらに、上記統制ルールに基づく管理を実現するには、ペグイン/アウトの対象となる暗号資産の種別(通貨種別)が認容可能な種別の暗号資産であるか否か又はペグイン/アウトを要求した要求元が認容可能な利用者であるか否かを具体的に判別する仕組みも必要になる。
上記問題点に鑑み、本発明の幾つかの実施形態では、UTXO非対応のビットコインまたはビットコイン以外の任意の暗号資産を取引可能なブロック・チェーンとの間で暗号資産の転送を実現可能な仕組みを得ることを目的とする。また、上記問題点に鑑み、本発明の幾つかの実施形態では、特定の利用者が特定の暗号資産をブロック・チェーン間で転送しようとする試みを認容すべきか否かを一定の統制ルールに従って管理することが可能な仕組みを得ることを目的とする。
また、本発明の幾つかの実施形態では、信頼性が保証されていない不特定のノードが分散合意形成処理に関与できないようにするという目的の達成を支援する仕組みを設ける。具体的には、状況に応じて調整可能な選出基準に基づいて複数の承認者Fm[i](1≦i≦I)を選出して連合体を形成する仕組みを設け、選出された承認者Fm[i](1≦i≦I)以外のノードが分散合意形成処理に関与できないようにする。
<2>本発明の実施形態
次に、本発明の幾つかの実施形態に従って図1〜図7に示すように構成された例示的なシステムにおいて、構成と動作を詳しく説明する。続いて、本発明の実施形態に関して図1〜図7に示す例示的なシステムと上述した従来式の「Federated Peg方式」との対比検討を交えながら、本発明の幾つかの実施形態に係るシステムの技術的効果について述べる。なお、従来式の「Federated Peg方式」と区別するため、図1〜図7に示す本発明の実施形態に従ってデジタル資産をブロック・チェーン間で転送する仕組みを実現したシステムを、「連合体ゲートウェイ(Federated Gateway)システム」と呼ぶこととする。
以下、図1〜図7を用いて本発明の実施形態に係る「連合体ゲートウェイ(Federated Gateway)システム」について説明するが、以下の二つの点については、従来の「Federated Peg方式」とほぼ同様であるため、詳しい説明は省略する。まず、第1点として、「連合体ゲートウェイ(Federated Gateway)システム」においても、分散合意形成処理のうち、当業者の技術常識に鑑みて必要と考えられる一連の処理は当然に実行される。これら一連の処理には、「Proof of Workの生成」、「トランザクション承認」、「親BC側でのエクスポートすべき暗号資産のロック処理とロック解除」などが含まれる。また、第2点として、「連合体ゲートウェイ(Federated Gateway)システム」においても、上記の一連の処理を「承認者の連合体」による承認機構に集約して実行させる構成は従来の「Federated Peg方式」と同様である。
図1〜図5は、本発明の幾つかの実施形態に従い、デジタル資産をブロック・チェーン間で転送するように構成されたシステムの例を示している。ここで言うデジタル資産VC[a]〜VC[d]とは、一種類以上の電磁的記録を含んで構成され、送金トランザクション処理を介した送受信により資産価値をネットワーク上で流通させることが可能なデジタル情報を指して言う。以下、ブロック・チェーン間転送により、所有者が親BC(Mch)上に所有するデジタル資産VC[a]〜VC[d]を側鎖BC(SC)へと移転し、その後、側鎖BC(SC)から親BC(Mch)上に戻すシナリオに沿って一連の処理が実行されることを前提に説明を行う。
本発明の幾つかの実施形態に従い、図1〜図5に示す「連合体ゲートウェイ(Federated Gateway)システム」は、多数決による意思決定を行う2つ以上の承認者端末Fm[i](1≦i≦I)により形成され、第1基準CR1に基づいて承認者端末Fm[i](1≦i≦I)間の互選によりメンバーシップを更新するように構成された連合体Fedを備える。さらに、図1〜図5に示すシステムにおいては、第1デジタル資産VC[a]〜VC[d]をそれぞれ所有する4人の所有者U[a]〜U[d]が情報端末(所有者端末)UT[a]〜UT[d]から通信回線を介してシステムにアクセスしている。
第1デジタル資産VC[a]〜VC[d]は、基軸通貨としてブロック・チェーン上で広く流通している仮想通貨またはその他のトークンを含む暗号資産であってもよい。例えば、図1〜図5に示す例においては、第1デジタル資産VC[a]〜VC[d]は、それぞれ「ビットコイン」、「Counterparty」、「Ethereum」および「TUSD」である。このうち、「ビットコイン」は、UTXOに対応したビットコインであり、「Counterparty」、「Ethereum」および「TUSD」は、アカウント・ベースの分散合意形成プロトコルに対応した暗号通貨である。
(2−1)ペグイン段階の処理
以下、親BC(Mch)上の第1デジタル資産VC[a]〜VC[d]を側鎖BC(SC)側に移転(ペグイン)する仕組みについて図1〜図5を参照しながら説明した後、側鎖BC(SC)側に移転したデジタル資産を親BC(Mch)側に戻す(ペグアウト)処理について説明する。また、説明を簡単にするために、所有者端末UT[a]からの要求に応じて第1デジタル資産VC[a]をブロック・チェーン間転送により移転する場合を例にとって説明するが、所有者端末UT[b]〜UT[d]からの要求に応じて第1デジタル資産VC[b]〜VC[d]をブロック・チェーン間転送により移転する場合も同様である。
まず、図1に示すシステムの動作について説明すると、第1デジタル資産VC[a]の所有者U[a]は、端末UT[a]を操作して、第1デジタル資産VC[a]をブロック・チェーン間転送により親BC(Mch)から側鎖BC(SC)上に移転する要求RQを送出する。その後、この要求RQは、図2を参照しながら詳しく後述する待ち行列(キューイング機構)PCMと関連付けられたアドレスQAに着信することとなる。すると、この要求RQがアドレスQAに着信したことを示すイベントが、連合体Fed内の承認者端末Fm[1]〜Fm[3]の何れか一つ以上により検出される(図2に示すステップST01)。以下、説明を簡単にするために、連合体Fedを構成する承認者端末Fm[i](1≦i≦I)の中で、この要求RQの着信を検出した承認者端末をFm[x]と表記する。
ここで、上記要求RQをアドレスQAに送出する際に、端末UT[a]は、側鎖BC(SC)上に所有者U[a]が有する第1アドレス(図5に示すWA[a,1])を送金先として指定する送金先指定処理を行う。ここで、図5に示すように、親BC(Mch)から側鎖BC(SC)へのブロック・チェーン間転送を行う際の送金先となる第1アドレスWA[a,1]は、側鎖BC(SC)上の入金先として所有者U[a]が有しているウォレット・アドレス(図5)である。その上で、この送金先指定処理の一例として、所有者端末UT[a]は、以下の動作を実行するようにしてもよい。
まず最初に、親BC(Mch)上に所有者U[a]が有する第1デジタル資産VC[a]を承認者端末Fm[x]へと転送する第1トランザクションTx[a,1](図2)を生成する。続いて、第1トランザクションTx[a,1]に対して、第1アドレスWA[a,1]を側鎖BC(SC)上の送金先として埋め込むことで、ブロック・チェーン間転送における送金先として第1アドレスWA[a,1]を指定する。最後に、この第1トランザクションTx[a,1]を連合体Fedに属する承認者端末Fm[x]が受信すると、承認者端末Fm[x]に第1アドレスWA[a,1]が通知されることとなる(図5に示すP1)。
また、例示的な実施形態では、所有者端末UT(a)が第1トランザクションTx[a,1](図2)を生成した後に、第1トランザクションTx[a,1]を承認者端末Fm[x]に受信させる処理は、以下のように実行されてもよい。まず、連合体Fedを構成する少なくとも一つの承認者端末Fm[x]は、親BC(Mch)上の第1デジタル資産VC[a]を側鎖BC(SC)上に移転する要求RQが所有者端末UT(a)から送出され、アドレスQAに着信したことを検出する。続いて、承認者端末Fm[x]は、所有者U[a]に固有の第2アドレス(図1に示す一時預金用ウォレット・アドレスIA[a])を親BC(Mch)上に作成して所有者端末UT[a]に割り当てる(図1に示すステップST00)。所有者端末UT[a]は、連合体Fedを構成する承認者端末Fm[x]に要求RQを送出した後に、第2アドレスIA[a]を割り当てられたことを検知すると、第2アドレスIA[a]を宛先として第1トランザクションTx[a,1]を同報送信する。
なお、第2アドレスIA[a]は、ブロック・チェーン間転送の対象となる第1デジタル資産VC[a]をロックされた状態のまま預かっておく場所である。通常の場合、第2アドレスIA[a]では、第1デジタル資産VC[a]が側鎖BC(SC)上へ転送され、側鎖BC(SC)から親BC(Mch)側に戻されるまでの間、第1デジタル資産VC[a]が使用不可の状態で保持される。ただし、以下において図2および図3を用いて詳しく述べるように、承認者端末Fm[i](1≦i≦m)の連合体Fedは、所有者端末UT[a]から要求された上記ブロック・チェーン間転送を許可しないと決定する場合がある。この場合には、ブロック・チェーン間転送を試みる対象であった第1デジタル資産VC[a]は、第2アドレスIA[a]への返金処理の対象となり、返金処理の完了後には、第1デジタル資産VC[a]はロックが解除されて再び使用可能となる。従って、上記要求RQは、ブロック・チェーン間転送の対象となるデジタル資産を保持する一次預金用アドレスの割り当てを承認者端末Fm[x]に求めるアドレス割り当て要求であると解釈することも可能である。
こうして、第1トランザクションTx[a,1]は、承認者端末Fm[x]によって親BC(Mch)上に割り当てられた第2アドレスIA[a]に向けて第1デジタル資産VC[a]を転送する。他の所有者U[b]〜U[d]が所有する第1デジタル資産VC[b]〜VC[d]のブロック・チェーン間転送を要求する場合についても上記と同様の手順が実行される。すなわち、承認者端末Fm[x]によって親BC(Mch)上に作成された第2アドレスIA[b]〜IA[d]が所有者端末UT[b]〜UT[d]に割り当てられる。最後に、所有者端末UT[b]〜UT[d]が生成した第1トランザクションTx[b,1]〜Tx[d,1]により第2アドレスIA[b]〜IA[d]に向けて第1デジタル資産VC[b]〜VC[d]をそれぞれ転送する。
上記要求RQの着信を検知した連合体Fed内の少なくとも一つの承認者端末Fm[x]は、第2アドレスWA[2]にて第1トランザクションTx[a,1]を受信すると、所有者端末UT[a]から通知された第1アドレスWA[1]を送金先として識別する。続いて、承認者端末Fm[x]は、第1デジタル資産VC[a]を側鎖BC(SC)に向けて移転させるブロック・チェーン間転送を許可すべきか否かを決定する投票プロセスを開始するための手順を起動する。具体的には、承認者端末Fm[x]は、ブロック・チェーン間転送を許可すべきか否かを連合体Fed内の多数決により意思決定する投票プロセスを連合体Fedに開始させる通信手順を実行する。
所有者端末UT[a]から第1トランザクションTx[a,1]を受信した承認者端末Fm[x]により、ブロック・チェーン間転送の許否を連合体Fed内の多数決により決定する投票プロセスが開始されると、まず、連合体Fed内にて投票に参加するメンバーの選出が行われる。具体的には、上記投票プロセスが開始されると、第1基準CR1に基づいて上記投票プロセスに参加する他の複数の承認者端末UT[i](1≦i≦m)を選出する選出プロセスが開始される(図2に示すステップST03)。図2に示す例においては、承認者端末Fm[i](1≦i≦m)を選出する選出プロセスは、以下のように実施されてもよい。
図2を参照すると、第1トランザクションTx[a,1]を受信した承認者端末Fm[x]は、投票に参加するのを待っている承認者端末Fm[j](1≦j≦M)の中から以下の手法により投票に参加させる承認者端末Fm[i](1≦i≦m)を選出する。例えば、承認者端末Fm[x]は、着信した第1トランザクションTx[a,1]を第1基準CR1に基づいて審査する。続いて、承認者端末Fm[x]は、着信した第1トランザクションTx[a,1]を審査した結果に基づいて複数の承認者端末Fm[j](1≦j≦M)の中から連合体Fed内での投票に参加させるメンバーを選出する。
具体的には、投票に参加させるメンバーは、親BC(Mch)上の待ち行列(キュー)PCM(図2)内で投票に参加するのを待っている複数の承認者端末Fm[j](1≦j≦M)の中から上述した審査の結果に鑑みて適切と判断されたものが選出される。待ち行列PCM(図2)内で投票への参加を待っている複数の承認者端末Fm[j](1≦j≦M)の中から投票への参加メンバーを選出する仕組みは、キューイング機構に従って決定論的に行われ、待ち行列PCMには、投票への参加メンバーとなり得る複数の承認者端末Fm[j](1≦j≦M)が決定論的なプロセスによって選ばれ、配置される。
図2に示す例では、待ち行列PCM(図2)内で投票への参加を待っている複数の承認者端末Fm[j](1≦j≦M)の中から連合体Fed内での投票に参加させるメンバーを選出する手順は、以下のように実行されてもよい。例えば、承認者端末Fm[x]は、待ち行列PCM(図2)内で投票への参加を待っている複数の承認者端末Fm[j](1≦j≦M)の各々を第1基準CR1に基づいて審査する。そして、承認者端末Fm[x]は、審査結果をもとに適切と判断した承認者端末Fm[i](1≦i≦m)を連合体Fed内での投票に参加させるメンバーとして選出する。
また、別の例では、承認者端末Fm[x]は、連合体Fedを構成する既存の承認者端末Fm[j’](1≦j’≦M’)のうち、待ち行列PCM(図2)に登録すべきものを第1基準CR1に基づいて選定する。代替的に、承認者端末Fm[x]は、待ち行列PCM内で投票への参加を待っている複数の承認者端末Fm[j](1≦j≦M)の待ち行列PCM内での並び順を第1基準CR1に基づいて調整する。その上で、承認者端末Fm[x]は、FIFOアルゴリズムに従って待ち行列PCMから取り出した承認者端末Fm[i](1≦i≦m)を連合体Fed内での投票に参加させるメンバーとして選出する。
続いて、第1トランザクションTx[a,1]の検出を契機として第1基準CR1に基づいて複数の承認者端末Fm[i](1≦i≦m)が選出されると、連合体Fedに属するいずれかの承認者Fm[y]は投票開始メッセージを他の承認者端末Fm[k](k≠y)に同時送信することで、投票プロセスを開始する。このとき、仮に承認者端末Fm[y]が一番最初に投票開始メッセージを同時送信した場合は、その他の承認者端末Fm[k](k≠y)はその投票プロセスが完了するまで投票開始メッセージを送信することは出来なくなる。
この投票プロセスが開始すると、承認者端末Fm[i](1≦i≦m)が多数決による意思決定を行うことで、ブロック・チェーン間転送を許可するか否かが判断される。その際、投票参加メンバーとして選出された承認者端末Fm[i](1≦i≦m)の各々は、着信した第1トランザクションTx[a,1]を以下のようにして審査し、この審査の結果に応じて同意または反対を表す投票メッセージVTを同報送信する(図2に示すステップST02)。
例えば、承認者端末Fm[i](1≦i≦m)の各々は、ブロック・チェーン間転送を許可するか否かを判断するのに利用可能な許認可基準となる以下のような一覧表(図2および図4に示す一覧表LT[A]〜LT[E]など)を事前に設定しておくようにしてもよい。ここで、図2および図4に示す一覧表LT[A]〜LT[E]は、ブロック・チェーン間転送の対象となるデジタル資産の種別(ビットコイン、Ethereum、Counterpartyなどの通貨種別)とブロック・チェーン間転送の送金先アドレスから成るペアのうち、ブロック・チェーン間転送を許可すべきペアを列挙した許可リストおよびブロック・チェーン間転送を禁止すべきペアを列挙した禁止リストを含んで構成される。
また、図2に示す代替的な実施形態に従うならば、一覧表LT[A]およびLT[B]は、以下のようなデータ構造として構成されてもよい。図2に示すように、一覧表LT[A]およびLT[B]の各々には、一つ以上のエントリーが含まれている。各エントリーは、一覧表LT[A]およびLT[B]にそれぞれ対応する承認者端末Fm[x1]およびFm[x2]の通信機能がサポートしている一つ以上のブロック・チェーン・プロトコルの属性を記述している。例えば、図2に示す一覧表LT[A]には、「Asset Protocol A」と表記されるエントリーと、「Asset Protocol B」と表記されるエントリーと、が含まれている。また、図2に示す一覧表LT[B]には、「Asset Protocol A」と表記されるエントリーと、「Asset Protocol C」と表記されるエントリーと、が含まれている。
そして、各エントリーには、対応するブロック・チェーン・プロトコルによって送金や残高の確認が可能な一つ以上のデジタル資産の種別(通貨種別)が「Supported Assets」の欄に列挙されている。さらに、各エントリーには、ブロック・チェーン間転送における送金先のアドレスのうち、対応するブロック・チェーン・プロトコルによる送金や残高の確認が禁止されている一つ以上のアドレスが「Black Listed Addresses」の欄に列挙されている。
図2に示す一覧表LT[A]およびLT[B]が上記のようなデータ構造を有することにより、個々のブロック・チェーン間転送を許可するか否かを以下のとおりに判定することが可能となる。すなわち、側鎖BC(SC)側の送金先となる第1アドレスWA[a,1]および第1デジタル資産VC[a]の通貨種別から成るペアを、一覧表と照合する。その結果、投票プロセスに参加する何れかの承認者端末Fm[i”]は、照合結果から以下の事項を判定することが可能である。
まず、投票プロセスに参加する何れかの承認者端末Fm[i”]が実行可能な一つ以上のブロック・チェーン・プロトコルのうち、ブロック・チェーン間転送の対象となるデジタル資産の通貨種別をサポートするプロトコルがあるか否かが判定可能となる。さらに、ブロック・チェーン間転送の対象となるデジタル資産の送金先アドレスが、送金処理に用いられるブロック・チェーン・プロトコルを利用する場合に送金先として禁止されているアドレスでないか否かを判定することが可能である。
以上より、送金先となる第1アドレスWA[a,1]および第1デジタル資産VC[a]の通貨種別から成るペアを、一覧表と照合した結果に応じて、個々のブロック・チェーン間転送を許可するか否かが判定可能となる。なお、一例においては、図2および図4に示す一覧表LT[A]〜LT[E]は、一人以上の承認者が承認者端末Fm[i](1≦i≦m)を操作することで端末内に設定したポリシー制御データに基づいて作成されてもよい。この場合、上記ポリシー制御データは、ブロック・チェーン間転送の許認可基準を記述することにより、承認者端末Fm[i](1≦i≦m)の端末動作を制御するデータである。このとき、ブロック・チェーン間転送の許認可基準は、複数のブロック・チェーンを跨ってデジタル資産が流通するエコシステムの統治に関する政策的要請に整合するように決められる。
図4に示す例では、承認者端末Fm[1]およびFm[2]には、上述した許可リストと禁止リストを含む一覧表LT[D]とLT[C]がそれぞれ事前に設定されている。また、承認者端末Fm[3]には、上述した許可リストと禁止リストを含む一覧表LT[E]が事前に設定されている。さらに、図4に示す例では、承認者端末Fm[1]は、親BC(Mch)上のフルノードNf[Mch,2]および側鎖BC(SC)上のフルノードNf[SC,2]と通信可能に接続され、承認者端末Fm[2]は、親BC(Mch)上のフルノードNf[Mch,1]および側鎖BC(SC)上のフルノードNf[SC,1]と通信可能に接続されている。また、承認者端末Fm[3]は、親BC(Mch)上のフルノードNf[Mch,3]および側鎖BC(SC)上のフルノードNf[SC,3]と通信可能に接続されている。
以上のような構成により、親BC(Mch)と側鎖BC(SC)の間でブロック・チェーン間転送を行う際に、承認者端末Fm[1]〜Fm[3]は、親BC(Mch)および側鎖BC(SC)と必要な情報やデータをやり取りすることができる。その上で、承認者端末Fm[i](1≦i≦m)の各々は、側鎖BC(SC)側の送金先となる第1アドレスWA[a,1]および第1デジタル資産VC[a]の通貨種別から成るペアを、上記一覧表(図4に示すLT[C]〜LT[E]など)と照合する。次に、承認者端末Fm[i](1≦i≦m)の各々は、この照合結果に応じて、個々のブロック・チェーン間転送に対し、同意および反対の何れか一方を表す投票メッセージVTを同報送信してもよい。
以上のようにして承認者端末Fm[i](1≦i≦m)による多数決に基づいて上述した投票の結果が得られる(図3に示すステップST04)。この投票の結果、ブロック・チェーン間転送を許可すると決定する場合、承認者端末Fm[i](1≦i≦m)の中の少なくとも一つの承認者端末Fm[y]は、以下の処理を実行することで、ブロック・チェーン間転送を完了させる。
まず、承認者端末Fm[y]は、第1デジタル資産VC[a]と等価な経済価値を有する第2デジタル資産WC[a](図1)を新規に発行する(図1)。その際、第2デジタル資産WC[a]は、デジタル資産の通貨種別に依存せずにトランザクション承認および残高の検証を実行可能な汎用性を有する分散合意形成プロトコルを用いて側鎖BC(SC)側での取引が可能な独自トークンTk(図1)として発行される。その上で、承認者端末Fm[y]は、独自トークンTk(図1)を第1アドレスWA[a,1]に転送する第2トランザクションTx[a,2](図3)を側鎖BC(SC)へと同報送信する(図5に示すP3)。
具体的には、独自トークンTkの側鎖BC(SC)に転送する第2トランザクションTx[a,2]が多数決に基づく投票により許可されると、第2トランザクションTx[a,2]は投票プロセスに参加した承認者端末Fm[i](1≦i≦m)によって電子署名される。そして、電子署名された第2トランザクションTx[a,2]を側鎖BC(SC)側へと同報送信する。以上により、第2トランザクションTx[a,2]を実行した結果として(図5に示すP3)、デジタル資産の側鎖BC(SC)側へのブロック・チェーン間転送が完了する(図3に示すステップST05)。
他方、承認者端末Fm[i](1≦i≦m)による上述した投票の結果、所有者端末UT[a]から要求された第1デジタル資産VC[a]のブロック・チェーン間転送を許可しないと決定した場合には、図3に示すトランザクションTx[a,3]が返金処理として実行される。このトランザクションTx[a,3]では、第2アドレスIA[a]にて保持されている第1デジタル資産VC[a]の所有者U[a]への返金処理が行われ、第1デジタル資産VC[a]のロックが解除されて使用可能な状態となる。
また、図2に示す例示的な一実施形態では、投票プロセスに参加する複数の承認者端末Fm[i](1≦i≦m)を選出する処理は、上述した許可リストと禁止リストを含む一覧表(図2に示すLT[A]とLT[B]など)を用いて以下のように実行されてもよい。ここで、図2に示す例では、承認者端末Fm[1]およびFm[2]には、上述した許可リストと禁止リストを含む一覧表LT[A]がそれぞれ事前に設定されている。また、承認者端末Fm[3]には、上述した許可リストと禁止リストを含む一覧表LT[B]が事前に設定されている。その上で、まず、承認者端末Fm[x]は、着信した第1トランザクションTx[a,1]から側鎖BC(SC)側の送金先となる第1アドレスWA[a,1]を抽出する。さらに、承認者端末Fm[x]は、着信した第1トランザクションTx[a,1]から、ブロック・チェーン間転送の対象となる第1デジタル資産VC[a]の通貨種別を検出する(図2に示すステップST02)。
続いて、承認者端末Fm[x]は、送金先となる第1アドレスWA[a,1]および第1デジタル資産VC[a]の通貨種別から成るペアを、上記一覧表(図2に示すLT[A]やLT[B]など)と照合する。次に、承認者端末Fm[x]は、この照合結果に応じて待ち行列PCM内で投票への参加を待っている複数の承認者端末Fm[j](1≦j≦M)の中から適切な端末を投票への参加メンバーとして選出する。その際、上記一覧表(図2に示すLT[A]やLT[B]など)との照合結果に応じて待ち行列PCM内の承認者端末Fm[j](1≦j≦M)の中から投票への参加メンバーを選出する処理は、例えば、以下のように実行されてもよい。
まず、承認者端末Fm[x]は、待ち行列PCM内で投票への参加を待っている承認者端末Fm[j](1≦j≦M)にそれぞれ設定されている上記一覧表を読み出す。続いて、送金先となる第1アドレスWA[a,1]および第1デジタル資産VC[a]の通貨種別の何れか一方に一致するエントリーを一覧表中に全く含まない端末を不適切な端末として投票への参加メンバーから除外する。逆に、承認者端末Fm[x]は、待ち行列PCM内の承認者端末Fm[j](1≦j≦M)のうち、投票への参加メンバーから除外されずに残った端末を以下のように取り扱う。すなわち、送金先となる第1アドレスWA[a,1]および第1デジタル資産VC[a]の通貨種別の何れか一方に一致するエントリーが一覧表中により多く含まれている端末を、他の端末よりも優先的に投票への参加メンバーとして選出する。
以上より、図2〜図4に示す実施形態では、上記の許可リストと禁止リストを含む一覧表(図2および図4に示す一覧表LT[A]〜LT[E]など)は、投票に参加するメンバーの選出基準である第1基準CR1を具現化したものと見做せる。従って、承認者端末Fm[x]は、投票に参加するメンバーの選出基準である第1基準CR1として、上記の許可リストと禁止リストを含む一覧表を用いることで、承認者端末Fm[i](1≦i≦m)を選出するようにしてもよい。
同様に、図2〜図4に示す実施形態では、上記の許可リストと禁止リストを含む一覧表は、個々のブロック・チェーン間転送を許可するか否かを判定する許認可基準となる第2基準CR2を具現化したものと見做せる。従って、承認者端末Fm[x]は、個々のブロック・チェーン間転送の許否を決定する際、上記の許可リストと禁止リストを含む一覧表を第2基準CR2(許認可基準)として用いることで、個々のブロック・チェーン間転送を許可するか否かを決定するようにしてもよい。
以上より、この第2トランザクションTx[a,2]を承認者端末Fm[y]が実行することにより、親BC(Mch)上の第2デジタル資産WC[a]を側鎖BC(SC)へと移転させることが可能となる。その際、承認者端末Fm[y]が上記ブロック・チェーン間転送を実行する際に用いられる分散合意形成プロトコルの一例として、アカウント・ベースのプロトコルを用いてもよい。ここで、アカウント・ベースのプロトコルは、基軸通貨として流通する任意の暗号通貨に対応した分散合意形成プロトコルであり、デジタル資産の通貨種別に依存せずにトランザクション承認および残高の検証を実行可能な汎用性を有するプロトコルである。
そして、この実施形態では、第2デジタル資産WC[a]は、第1デジタル資産VC[a]に対応する上記アカウント・ベースの分散合意形成プロトコルを用いて側鎖BC(SC)側での取引が可能な独自トークンTkとして発行される。さらに、この実施形態では、上記アカウント・ベースの分散合意形成プロトコルを用いて側鎖BC(SC)側での取引が可能な独自トークンTkは、調整可能な可変レートにより既存の暗号通貨と交換可能な未流通のデジタル資産であってもよい。
(2−2)ペグアウト段階の処理
図1〜図5を用いて上述したブロック・チェーン間転送は、親BC(Mch)上の第1デジタル資産VC[a]〜VC[d]を側鎖BC(SC)側に移転する仕組みであり、非特許文献1では親BC(Mch)を起点とするペグインと呼ばれている。他方、側鎖BC(SC)側に一旦ペグインしたデジタル資産を親BC(Mch)上に戻すブロック・チェーン間転送は、非特許文献1においてペグアウトと呼ばれ、図5に示す例では、第1デジタル資産VC[a]を対象とするペグインとペグアウトの両者のシナリオが示されている。
以下、図5に示す例を用いて、側鎖BC(SC)側に第1デジタル資産VC[a]をペグインした後に、一旦ペグインしたデジタル資産を親BC(Mch)上に戻すブロック・チェーン間転送(ペグアウト)が実行される際のシナリオについて説明する。このシナリオは、連合体Fedを構成する複数の承認者端末Fm[k](1≦k≦N)の中で、ペグアウトの要求rqを所有者端末UT[a]から受信した承認者端末Fm[x’]を実行主体として実行される。ここで、上記要求rqは、所有者U[a]が側鎖BC(SC)上に有する第2デジタル資産WC[a]を、親BC(Mch)上に戻すブロック・チェーン間転送を求める要求である。さらに、この場合のブロック・チェーン間転送は、所有者U[a]が親BC(Mch)上に有する第3アドレス(図5に示すWA[a,3])を送金先として、所有者U[a]が側鎖BC(SC)側に一旦ペグインしたデジタル資産を親BC(Mch)に戻す操作に相当する。
なお、不正防止と信頼性の観点から言うならば、一旦ペグインしたデジタル資産を親BC(Mch)に戻すペグアウトでは、ペグイン開始時に第1デジタル資産VC[a]のロックを行った承認者端末Fm[x”]が上記rqを検出し、その後の一連の処理の起点となるようにするのが好適である。以下、図5を参照しながら、側鎖BC(SC)側にペグイン済みのデジタル資産を親BC(Mch)上に戻すブロック・チェーン間転送(ペグアウト)が実行される際のシナリオを詳しく説明する。
また、例示的な一実施形態では、所有者端末UT[a]が、承認者端末Fm[x’]に対して、側鎖BC(SC)側の送金先である第3アドレスWA[a,3]を通知する仕組みは、以下のように実現されてもよい。まず、所有者端末UT[a]は、第2デジタル資産WC[a]を資産凍結アドレスXA[a]へと転送する第3トランザクションTx[a,4]に対して、第3アドレスWA[a,3]を親BC(Mch)上の送金先として埋め込む。続いて、所有者端末UT[a]は、第3アドレスWA[a,3]を含む第3トランザクションTx[a,4]を資産凍結アドレスXA[a]へと送信する。
上記要求rqを受信した承認者端末Fm[x’]は、第2デジタル資産WC[a]を将来にわたって事実上使用不可能にするための資産凍結アドレス(図5に示すXA[a])を側鎖BC(SC)上に生成する。その上で、連合体Fed内の多数決に基づく意思決定のために、複数の承認者端末Fm[h](1≦h≦n)により投票プロセス(図1〜図4を用いて上述したものと同様)が実行される。この投票プロセスが実行された結果、第3トランザクションTx[a,4]を許可する場合、連合体Fed内の承認者端末Fm[y’]は、第2デジタル資産WC[a]と等価な経済価値を有する独自トークンTk’を新規に発行する。
さらに、承認者端末Fm[y’]は、独自トークンTk’のブロック・チェーン間転送を行う第4トランザクションTx[a,5]を生成する。ここで、第4トランザクションTx[a,5]では、所有者端末UT[a]から通知された第3アドレスWA[a,3]が送金先として指定されている。最後に、承認者端末Fm[x’]は、第4トランザクションTx[a,5]を介して独自トークンTk’を第3アドレスWA[a,3]に転送する(図5に示すP4)。
これと並行して、承認者端末Fm[x’]は、第2デジタル資産WC[a]を資産凍結アドレスXA[a]に転送する第3トランザクションTx[a,4]を同報送信する。その後、側鎖BC(SC)上の資産凍結アドレスXA[a]において第3トランザクションTx[a,4]が受信されると、資産凍結アドレスXA[a]に転送された第2デジタル資産WC[a]は、将来にわたって事実上使用不可能とされる。
この独自トークンTk’は、デジタル資産の通貨種別に依存せずにトランザクション承認および残高の検証を実行可能な汎用性を有する分散合意形成プロトコルを用いて親BC(Mch)側での取引が可能なデジタル資産として発行される。さらに、承認者端末Fm[y’]が独自トークンTk’を側鎖BC(SC)から親BC(Mch)へとペグアウトする際に用いられる分散合意形成プロトコルの一例として、アカウント・ベースのプロトコルを用いてもよい。ここで、アカウント・ベースのプロトコルは、基軸通貨として流通する任意の暗号通貨に対応した分散合意形成プロトコルであり、デジタル資産の通貨種別に依存せずにトランザクション承認および残高の検証を実行可能な汎用性を有するプロトコルである。
そして、この実施形態では、第2デジタル資産WC[a]は、第1デジタル資産VC[a]に対応する上記アカウント・ベースの分散合意形成プロトコルを用いて側鎖BC(SC)側での取引が可能な独自トークンTk’として発行される。さらに、この実施形態では、上記アカウント・ベースの分散合意形成プロトコルを用いて側鎖BC(SC)側での取引が可能な独自トークンTk’は、調整可能な可変レートにより既存の暗号通貨と交換可能な未流通のデジタル資産であってもよい。以上により、所有者U[a]が側鎖BC(SC)上に有する第2デジタル資産WA[a]を親BC(Mch)側に戻すペグアウトが実現可能となる。
(2−3)連合体を構成するメンバーシップの更新
次に、多数決による意思決定を行う2つ以上の承認者端末Fm[i](1≦i≦I)により形成され連合体Fedに関し、構成員たる承認者端末Fm[i](1≦i≦I)のメンバーシップを更新する仕組みについて図6および図7を参照しながら述べる。図6および図7に示す例では、第1基準に基づいて承認者端末Fm[i](1≦i≦I)同士の間の互選により連合体Fedの構成員たる承認者端末Fm[i](1≦i≦I)のメンバーシップが以下のようにして更新される。
新規の側鎖BC(SC)の開始時において連合体Fedを構成する初期メンバーとなる承認者端末Fm[h](1≦h≦H)については、側鎖BC(SC)を開始したブロック・チェーン利用者U[0]が信頼する人の中から合理的に分散された形で決定することができる。しかしながら、その後は既存の承認者端末Fm[i](1≦i≦I)を評価し、連合体Fedを形成する承認者端末Fm[i](1≦i≦I)のメンバーシップを変更可能なメカニズムが必要になる。これは、連合体Fedに属する既存の承認者端末Fm[i](1≦i≦I)によって、新しい承認者端末Fm[z1]を新規メンバーとして受け入れる(図6に示すシナリオ)か、または既存の承認者端末Fm[z2]を連合体Fedから排除する(図7に示すシナリオ)かを多数決に基づいて決定する投票VTによって実現可能である。
次に、連合体Fed内での投票VTによって連合体Fedを構成するメンバーシップを更新する際に、新しい承認者端末Fm[z1]を新規メンバーとして受け入れるシナリオについて図6を用いて詳しく説明する。図6(a)に示すシナリオでは、端末利用者U[y]が操作する端末UT[y]には、図2に示す一覧表LT[A]およびLT[B]と同様のデータ構造を有する一覧表LT[G]が事前に設定されているものとする。また、図6(a)に示すシナリオの開始時には、連合体Fedを構成する既存のメンバーを複数の承認者端末Fm[k](1≦k≦n)と表記することとする。
図6(a)に示すシナリオが開始されると、端末UT[y]は、待ち行列(キュー)PCMに関連付けられたアドレスYA「y」を宛先として参加要求トランザクションTx[y,6]を実行する(図6に示すステップST21)。今、複数の承認者端末Fm[k](1≦k≦n)の一つである承認者端末Fm[y”]が、アドレスYA[y]への参加要求トランザクションTx[y,6]の着信を検知したと想定して、この先の説明を行う。参加要求トランザクションTx[y,6]の実行に伴い、端末UT[y]は、自身に関連付けられた一覧表LT[G]に含まれるエントリー情報を親BC(Mch)内の全ノードに対して広告する。図2および図4を用いて上述したように、各々のエントリー情報には、端末UT[y]がサポート可能なブロック・チェーン・プロトコルの種別、プロトコル種別毎にサポート可能なデジタル資産の種別とプロトコル種別毎に禁止された送金先のアドレスが列挙されている。
一方、承認者端末Fm[y”]は、連合体Fed内の他のメンバーである承認者端末Fm[k](k≠k”,1≦k≦n)に対して、新規メンバーの参加要求に応じた投票プロセスの開始を告知するメッセージを同報送信する(図6に示すステップST23)。その後、上述した投票プロセスが開始すると、承認者端末Fm[k](1≦k≦n)の各々は、端末UT[y]について親BC(Mch)内で広告された上記エントリー情報に基づいて端末UT[y]を評価する(図6に示すステップST22)。これにより、承認者端末Fm[k](1≦k≦n)の各々は、端末UT[y]が連合体Fedの新規メンバーとして充分な好適性を有しているかを判断し、判断の結果に応じて参加要求に同意又は反対の投票VTを行う(図6(b))。そして、図6(b)に示す投票の結果、端末UT[y]を連合体Fedの新規メンバーとして参加させることを最終的に決定した場合には、端末UT[y]は、連合体Fedの新規メンバーFm[z1]として登録される(図6(b)に示すステップST24)。
一例においては、承認者端末Fm[k](1≦k≦n)の各々は、以下のような基準に基づいて端末UT[y]が連合体Fedの新規メンバーとして充分な好適性を有しているか否かを判断するようにしてもよい。
(イ)端末UT[y]が多種多様なブロック・チェーン・プロトコルを実行可能であるか(一覧表LT[G]に含まれるエントリー情報の数が多いか)?
(ロ)端末UT[y]が多種多様なデジタル資産を取り扱い可能であるか?
(ハ)プロトコル種別毎に禁止された送金先アドレスの集合について、既存のメンバーである承認者端末Fm[k](1≦k≦n)との間で重複部分が多いか?
なお、上記(ハ)に例示するように、プロトコル種別毎に禁止された送金先アドレスの集合について、既存のメンバーである承認者端末Fm[k](1≦k≦n)と端末UT[y]との間で重複部分が少ないならば、それは高い確率で以下を示唆すると考えられる。すなわち、複数のブロック・チェーンを跨いで適切な統治を行うための政策に関し、既存の連合体Fedと端末UT[y]との間で意見の隔たりが大きいことを示唆していると考えられる。以上より、連合体Fedを構成する承認者端末Fm[k](1≦k≦n)は、ブロック・チェーンの統治政策に関し、既存の連合体Fedと端末UT[y]との間で意見が相違するか否かを考慮して端末UT[y]の連合体Fedへの参加の可否を判断することが可能となる。
以上のように、図6および図7を用いて上述した実施形態では、代替的な実施形態では、連合体Fedの構成員として適切な承認者端末[c]を選定する基準は、各端末に関連付けられた一覧表LT[G]に含まれるエントリー情報に基づいていた。しかしながら、本発明の幾つかの実施形態では、連合体Fedを構成する承認者端末Fm[i](1≦i≦I)のメンバーシップを更新する際に、連合体Fedの構成員をより一般化された基準により選出することも可能である。すなわち、連合体Fedの構成員として適切な承認者端末[c]を選定する基準である第1基準CR1は、以下のようにして設定されてもよい。
まず、一人以上の承認者の端末操作により、連合体Fedの既存の構成員たる承認者端末Fm[i](1≦i≦I)には、以下のようなポリシー制御データが事前に入力される。上記ポリシー制御データは、複数のブロック・チェーンを跨ってデジタル資産が流通するエコシステムの統治に関する政策的要請を記述し、端末の動作に対するポリシー制御を行うのに用いるデータである。続いて、連合体Fedの構成員たる承認者端末Fm[i](1≦i≦I)内において、上記ポリシー制御データに整合する基準が第1基準CR1として生成され、端末内に設定される。最後に、この第1基準CR1に基づいて承認者端末Fm[i](1≦i≦I)同士の間の互選により連合体Fedを構成するメンバーシップを更新するように構成される。
また、連合体Fed内での投票VTによって、連合体Fedを構成するメンバーシップを更新する際に、既存の承認者端末Fm[z2]を連合体Fedから排除するシナリオについて図7を用いて詳しく説明する。図7(a)に示すシナリオの開始時には、連合体Fedを構成する既存のメンバーを複数の承認者端末Fm[k](1≦k≦n)と表記することとする。複数の承認者端末Fm[k](1≦k≦n)は、各端末の動作状態を端末同士の間で相互に監視し続け、連合体Fedの構成員として不適格な端末を発見した場合には、連合体Fed内の全メンバーに広告する。
具体的には、以下のような点で連合体Fedの構成員として不適格な端末Fm[z2]が連合体Fed内に発見された場合には、その端末Fm[z2]の識別情報が連合体Fed内の全メンバーに広告される。例えば、連合体Fedに属する複数の承認者端末Fm[k](1≦k≦n)の中で一定以上の期間にわたって休眠状態にある端末は、連合体Fedの構成員として不適格と見なされる。また、親BC(Mch)との間で通信接続が非アクティブな状態が一定以上の期間にわたって続いている端末もまた、連合体Fedの構成員として不適格と見なされる。
上記のような不適格な端末Fm[z2]が連合体Fed内で発見されると、図6を用いて上述したものと同様の投票プロセスが開始され、承認者端末Fm[k](1≦k≦n)の各々は、連合体Fedの構成員としての端末Fm[z2]の不適格性を評価する。その結果、承認者端末Fm[k](1≦k≦n)の各々は、連合体Fedの構成員として端末Fm[z2]の不適格か否かを判断し、判断の結果に応じて端末Fm[z2]を連合体Fedの構成員から除外することに対し、同意又は反対の投票VTを行う(図7(a))。そして、図7(a)に示す投票の結果、端末Fm[z2]を連合体Fedの構成員から除外することを最終的に決定した場合には、端末Fm[z2]は、連合体Fedの構成員から除外される(図7(b))。
以上より、非特許文献1記載の「Federated Peg方式」における連合体を構成するメンバーには予め決められている既定の承認者端末が選任されている。その結果、非特許文献1記載の「Federated Peg方式」では、新規の承認者端末を必要に応じてその都度選出する仕組みや手順は設けられていない。これに対し、本発明の幾つかの実施形態に係る「Federated Gatewayシステム」では、連合体Fed内で投票に参加する既存のメンバーFm[i](1≦i≦m)が投票を行う。そして、投票結果に従って新規メンバーとなる承認者端末Fm[z1]を選出する。
このように連合体内で投票権を持つ既存メンバーの投票により新規メンバーを選出する上記仕組みは、本発明の幾つかの実施形態に係る「Federated Gatewayシステム」では、オンチェーン上での仕組みとして実行される。このオンチェーンでの仕組みによって、新規の承認者端末fm[z1]の選出基準が明確化され、新たな承認者端末Fm[z1]の追加や既存の承認者端末Fm[z2]の削除が決定されるプロセスの透明性が保たれる。
(2−4)本発明の実施形態に係るシステムが有する技術的メリット
続いて、本発明の実施形態に関して図1〜図5に示す「Federated Gatewayシステム」と上述した従来式の「Federated Peg方式」との対比検討を交えながら、本発明の実施形態に係る「Federated Gatewayシステム」の技術的効果について述べる。親BC(Mch)から側鎖BC(SC)内に移転された暗号資産とそのトランザクションにおける信頼性は、パブリック・チェーン側での信頼性保証能力に全面的に依存しており、側鎖BC(SC)自身が当該信頼性を保証することはない。また、既存の親BC(Mch)に併設される側鎖BC(SC)の従来からの利用目的としては、以下のものが考えられる。
(a)親BC(Mch)での既存の実装や動作ルールをほとんど変更せずに新規なスクリプト機能拡張を追加することを目的として、サイドチェーン側で新たなスクリプト機能拡張を実装する(例えば、ビットコインではスマートコントラクトを実行可能なスクリプト処理を実現できないので、サイドチェーン側で販売者と購入者との間の非公開型のスマートコントラクト処理を扱う)。
(b)ビットコイン等の親BC(Mch)からのトランザクション・データの正当性を「双方向ペグ」を通じて検証する際に、(高価で高い処理能力を持つハードウェアを必要とする)フルノード上でしか実行できないPoW証明(Proof of work)ではなく、スマートフォンのような軽量クライアント上でも実行可能なSPV証明(Simplified Payment Verification Proof)に基づいて正当性を検証できるようにする。
その一方で、従来の「サイドチェーン技術」および従来の「Federated Peg方式」には以下に挙げるような問題点がある。
(A)従来のサイドチェーン技術およびFederated Peg方式を実装した例としては、親BC(Mch)と側鎖BC(SC)との間でUTXOに対応したビットコインを転送する双方向ペグ機能の実装例しかない。つまり、親BC側ではアカウント・ベースの分散合意形成プロトコルにより送金が可能な任意の暗号資産を取引可能なBCNを実現することができない。特に、従来の実装例(非特許文献1)では、UTXOに対応したビットコインを親BCと側鎖BCとの間で双方向ペグを実行する実装例しかない。また、双方向ペグの仕組みは、親BC側ではUTXO非対応のビットコインを取引するブロック・チェーンでは実装が困難である。同様に、双方向ペグの仕組みは、ビットコイン以外の任意のアルトコイン(Alt Coin)又は任意のトークンを取引可能なブロック・チェーンにおいても実装が困難である。
(B)既存のサイドチェーン技術に基づいて親BCに側鎖BCを併設したシステムでは、単一ブロック・チェーン内の正当性検証や分散合意形成ルールの適用に加え、ブロック・チェーン間での双方向ペグに際しての正当性検証や分散合意形成ルール適用のメカニズムを実装することが必要になる。また、単一の暗号資産が事実上は複数のブロック・チェーンと関連付けられていて、各ブロック・チェーンもまた、ブロック・チェーン毎に複数の異なる暗号資産を扱えるようになっている結果、暗号資産の管理や取引監視がそれだけ複雑化し、難しくなる。また、ユーザ端末上のウォレット機能の実装に関しても、複数の異なる仮想通貨や任意の様々なトークンを種類の違いを意識せずに(同じユーザ・インターフェースや同じユーザ操作性で)同時にサポートできるようになっていない(非特許文献1を参照)。
(C)親BCではなく、特定の側鎖BCを採掘した方が儲かる場合には、仮想通貨の採掘者はその側鎖BCの採掘に注力する。その結果、親BC側に対してComputing Powerを提供するノードが不足するという状況が生じ得る。その場合、親BC側においてブロック・チェーンの維持と成長に必要なComputing Power供給量の深刻な欠乏状況が発生し得る(非特許文献1を参照)。
また、従来の「Federated Peg方式」では、側鎖BC上にペグインされたビットコインと親BC上のビットコインは一対一で対応しているため、側鎖BC上でトランザクションを実行する際に課金される手数料もビットコインで請求や決済をすることとなる。その結果、ビットコインの価格の上下はそのまま側鎖BC内における手数料価格に反映されブロック・チェーン・システムの運用管理者による政策的な調整が困難となる。
(D)双方向ペク可能なサイドチェーンにおける別の問題点として、双方向ペグによりチェーン間で転送される暗号資産の種類またはペグイン/アウトの要求を送出した要求元が法的、思想的および戦略的な観点から望ましくない場合があり得る。この問題に対処するには、特定の利用者が特定の暗号資産をペグイン/ペグアウトしようとする試みを認容すべきか否かを一定の統制ルールに従って管理することが必要となる。さらに、上記統制ルールに基づく管理を実現するには、ペグイン/アウトの対象となる暗号資産の種別が認容可能な暗号資産であるか否か又はペグイン/アウトを要求した要求元が認容可能な利用者であるか否かを具体的に判別する仕組みも必要になる。
これに対し、本発明の幾つかの実施形態に係る「Federated Gatewayシステム」では、ペグインの対象となるデジタル資産の通貨種別やペグイン実行のためのプロトコルに関し、承認者端末Fm[i1]およびFm[i2]がサポートする通貨種別やプロトコルが互いに異なる可能性がある。そのため、それぞれ異なるプロトコルに対応した異なる通貨種別が混在した状態でも個々のブロック・チェーン間転送要求を適切に取り扱う仕組みを提供する必要がある。従って、従来の「Federated Peg方式」では、全ての承認者端末はビットコインのみを取り扱うため単純であるが、本発明の幾つかの実施形態に係る「Federated Gatewayシステム」では、異種プロトコルに対応した異なる通貨種別が混在した状況に対処可能なより高度な仕組みを以下のように実現している。
すなわち、本発明の幾つかの実施形態に係る「Federated Gatewayシステム」では、多数決による意思決定を図1〜図5に示す連合体Fedに開始させる。その後、連合体Fed内の多数決により所定の許認可基準に基づいてブロック・チェーン間転送を許可すべきかを判断する。その結果、許可可能と判断した場合に、第1デジタル資産VC[u](u=a,b,c,d)と等価な経済価値を有する第2デジタル資産WC[u]を新規に発行し、ブロック・チェーン間転送を実行する。この第2デジタル資産WC[u]は、デジタル資産の種別に依存せずにトランザクション承認および残高の検証を実行可能な汎用性を有する分散合意形成プロトコルを用いて側鎖BC(SC)側での取引が可能な独自トークンTkとして発行される。
以上より、本発明の幾つかの実施形態によれば、UTXO非対応のビットコインまたはビットコイン以外の任意の暗号資産を取引可能なブロック・チェーンとの間で暗号資産の転送を実現することができる。また、本発明の幾つかの実施形態によれば、特定の利用者が特定の暗号資産をブロック・チェーン間で転送しようとする試みを認容すべきか否かを複数の観点に基づく統制ルールに従って管理する仕組みを実現することができる。特に、図2および図4に示す実施形態によれば、各々の承認者端末に設定されている許可リストと禁止リストに基づいてブロック・チェーン間転送における個々の送金先や転送対象となるデジタル資産の種別が許可可能であるか否かが判定可能である。
その結果、政策または統制ルールを中心に承認者を選定することで、ペグイン要求やペグアウト要求の許認可基準と承認者の連合体のメンバー選出基準との整合性を図ることができる。これにより、ペグイン要求やペグアウト要求の許認可基準をどのように決めるべきかを方向付ける指針が変化する都度、それに合わせて連合体のメンバー選出基準を適応させていくことが可能となる。
なお、この独自トークンTkは、デジタル資産の種別に依存せずにトランザクション承認および残高の検証を実行可能な汎用性を有する分散合意形成プロトコルを用いて親BC(Mch)側での取引が可能なデジタル資産として発行される。その際、承認者端末Fm[y]が上記ブロック・チェーン間転送を実行する際に用いられる分散合意形成プロトコルの一例として、アカウント・ベースのプロトコルを用いてもよい。ここで、アカウント・ベースのプロトコルは、基軸通貨として流通する任意の暗号通貨に対応した分散合意形成プロトコルであり、デジタル資産の種別に依存せずにトランザクション承認および残高の検証を実行可能な汎用性を有するプロトコルである。
そして、この実施形態では、第2デジタル資産WC[a]は、第1デジタル資産VC[a]に対応する上記アカウント・ベースの分散合意形成プロトコルを用いて側鎖BC(SC)側での取引が可能な独自トークンTkとして発行される。さらに、この実施形態では、上記アカウント・ベースの分散合意形成プロトコルを用いて側鎖BC(SC)側での取引が可能な独自トークンTkとして、調整可能な可変レートにより既存の暗号通貨と交換可能な未流通のデジタル資産を採用することができる。
<3>ブロック・チェーンの基本機能を実装するソフトウェアとハードウェア
ところで、図1〜図7を参照しながら上述したブロック・チェーン間転送システムでは、各々の所有者が有するデジタル資産の取引内容の正当性に関する分散合意形成およびデジタル資産の所有者の認証などの基本的な仕組みを実現することが必要となる。一般に、上述した分散合意形成の処理には、トランザクションへの電子署名、トランザクション承認および残高の検証に関してノード間で行われる処理が含まれる。そこで、これら基本的な仕組みが、どのようなハードウェア構成の上で実行され、ソフトウェアによる具体的な情報処理としてどのように実現されるかについて、図8〜図14を用いて説明する。
図8に示す実装例では、ブロック・チェーンによって複数のブロックを保持するネットワーク1が設けられ、ネットワーク1には、複数のノード3a〜3cが含まれる。複数のノード3a〜3cは、例えばプロセッサやメモリを有するコンピュータである。またネットワーク1には、複数の端末装置2a,2b,2cが接続され、端末装置2aは、デジタル資産4aに対する電子証明書の発行を希望するユーザ8が使用し、端末装置2b,2cは、システムの管理者9a,9bが使用する。
ユーザ8が、デジタル資産4aの所有者がユーザ8であることを証する電子証明書の発行を希望する場合、ユーザ8は、端末装置2aにデジタル資産4aを入力し、端末装置2aに、デジタル資産4aのネットワーク1への登録を指示する。すると端末装置2aは、ユーザ8が所有するデジタル資産4aを含むブロック4(第1ブロック)を作成する。ブロック4には、ユーザ8のデジタル資産4aをユーザ8の秘密鍵で暗号化することで作成した電子署名4bが含まれる。また、ブロック4に、ユーザ8を一意に特定する識別子を含めてもよい。
端末装置2aは、作成したブロック4の登録要求を、ネットワーク1内の複数のブロック・チェーン・ノード3a〜3cのうちの1台に送信する。複数のブロック・チェーン・ノード3a〜3cは、ブロック4の登録要求に応じて、ブロック4をブロック・チェーンによって分散して保持する。複数の第2の端末装置2b,2cは、ネットワーク1から、デジタル資産4aを含むブロック4,4−1(第2ブロック)を、承認対象ブロックとして取得する。そして複数の第2の端末装置2b,2cは、管理者9a,9bからの入力に応じて、デジタル資産4aの登録承認を示す電子署名5a,5nと承認対象ブロック4,4−1とを含むブロック4−1,4−2を作成する。すなわち承認対象ブロック4,4−1に電子署名5a,5nを付加したものが、新たなブロック4−1,4−2となる。
例えば、管理者9a,9bは、承認対象ブロック4,4−1に含まれるデジタル資産4aの所有者がユーザ8であることを、オフラインなどの別の手続きによって確認し、確認できた場合に、登録承認の入力を行う。そして複数の第2の端末装置2b,2cは、ブロック4−1,4−2の登録要求を、ネットワーク1へ出力する。複数のブロック・チェーン・ノード3a〜3cは、ブロック4−1,4−2の登録要求に応じて、ブロック4−1,4−2をブロック・チェーンによって分散して保持する。
保持したブロック4,4−1,4−2のなかに、包含する電子署名5a,5nの数が所定数に達した署名数充足ブロックがある場合、そのことを、複数のノード3a〜3cのうちの1台が検出する。図1の例では、ノード3cが、ブロック4−2が署名数充足ブロックであると検出したものとする。するとノード3cは、デジタル資産4aの所有者がユーザ8であることを証明する電子証明書6とブロック4−2とを含むブロック4−3(第3ブロック)を作成する。
例えばノード3cは、スマートコントラクトを含む証明書発行部7を有している。証明書発行部7は、デジタル資産4aに対して、証明書発行部7の電子署名6a(有効化用電子署名)を付与し、電子証明書6とする。なお証明書発行部7の電子署名6aは、ノード3cの電子署名でもある。そして複数のノード3a〜3cが、作成されたブロック4−3をブロック・チェーンによって分散して保持する。このように、電子証明書6が付与されたブロック4−3がブロック・チェーンによって分散して保持されることで、デジタル資産4aが有効化され、任意のユーザが、自身の使用する端末装置を用いてブロック4−3を参照できる。また、ブロック4−3内に含まれている電子証明書6により、ブロック4−3に含まれているデジタル資産4aの所有者がユーザ8であることを確認できる。
例えば、デジタル資産4aを使用するユーザが使用する端末装置(図示せず)は、ノード3a〜3cから、ノード3a〜3c自身の公開鍵(証明書発行部7の公開鍵)を取得し、端末装置は、取得した公開鍵により電子証明書6の正当性を検証する。例えば端末装置は、電子証明書6に含まれる電子署名を取得した公開鍵で復号し、復号したデータとデジタル資産4aとが一致する場合、電子証明書6が正しいと判断する。端末装置は、正しく検証できた場合、デジタル資産4aの所有者がユーザ8であると判断でき、ブロック4−3にユーザ8の識別子が含まれていれば、デジタル資産4aの所有者が、その識別子で示されるユーザ8であることが分かる。デジタル資産4aがユーザ8の公開鍵であれば、デジタル資産4aを使用するユーザは、ユーザ8の識別子を宛先として送信するデータを、その公開鍵で暗号化することで、データを安全にユーザ8に送信することができる。
ユーザ8は、有効化したデジタル資産4aを、ユーザ8の意思で無効化できる。例えば、端末装置2aは、ユーザ8からデジタル資産4aの破棄を指示する入力を受け付けたことに応じて、破棄を示すフラグとブロック4−3とを含むブロックの登録要求を、ネットワーク1へ出力する。複数のノード3a〜3cは、その登録要求に応じて、該当ブロックをブロック・チェーンによって分散して保持する。また複数のノード3a〜3cのうちのいずれか1台が、保持したブロックに破棄を示すフラグが含まれることを検出すると、ノード3a〜3cは、そのブロックに含まれる情報に対するノード自身の電子署名(無効化用電子署名)とそのブロックとを含むブロックを生成する。そして複数のノード3a〜3cが、生成したブロックをブロック・チェーンによって分散して保持する。
破棄を示すフラグを含むブロックに、いずれかのブロック・チェーン・ノードが電子署名をすることで、該当ブロックに含まれるデジタル資産4aは無効となる。このように、デジタル資産4aを無効化する際には、ユーザ8が、破棄を示すブロックの登録手続きをするだけでよく、管理者の手間をかけずに済む。その結果、デジタル資産4aを迅速に無効化することができる。
なお、端末装置2aは、ユーザ8から、証明対象情報4aの破棄を指示する入力の受信時に生成するブロックに、ブロック4−3内の情報を、ユーザ8の秘密鍵で暗号化した電子署名(所有者電子署名)を含めてもよい。複数のノード3a〜3cは、登録要求に応じて保持したブロックに破棄を示すフラグが含まれることを検出すると、ユーザ8の電子署名を、ユーザ8の公開鍵(所有者公開鍵)で復号する。続いて、復号されたデータとブロック4−3内の情報とを比較し、一致すれば、ユーザ8の電子署名が正当であると判断する。電子署名が正当であることが確認できた場合、複数のノード3a〜3cは、そのブロックに含まれる情報に対するノード自身の電子署名とそのブロックとを含むブロックを生成し、ブロック・チェーンによって分散して保持する。このように、デジタル資産4aの破棄を示すブロックに、ユーザ8の電子署名を付加し、その電子署名を検証した後にデジタル資産4aを無効化することで、ユーザ8以外の第三者によりデジタル資産4aが無効化されることを抑止することができる。
次にBCN(Blockchain Network)における電子証明書の発行と管理を、集中管理するサーバを用いずに実現する実装例について図9を用いて説明する。以下、電子証明書を、単に証明書と呼ぶこととし、BCNは、幾つかのノードがダウンしても電子情報を受け渡すことができ、高い可用性が実現されている。図9に示す実装例では、ネットワークスイッチ31〜35を介して、複数のノード200,200a〜200fが接続されている。ノード200,200a〜200fのそれぞれは、BCN上の1ノードとして機能するコンピュータである。また図9に示すネットワークには、複数の端末装置100,100a〜100cが接続されている。複数の端末装置100,100a〜100cは、ネットワークを介した取引を行うユーザ41,42、またはネットワークの管理者51,52が使用するコンピュータである。
図10は、図8の実装例に用いる端末装置100(100a〜100c)のハードウェアの一構成例を示しており、端末装置100(100a〜100c)は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス109を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。メモリ102は、端末装置100の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるプログラムが読み込まれると共に、プロセッサ101による処理に必要な各種データが格納される。バス109に接続されている周辺機器には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納され、データの書き込みおよび読み出しを行うストレージ装置103が含まれる。また、上記周辺機器には、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、機器接続インタフェース107およびネットワークインタフェース108が含まれる。
グラフィック処理装置104は、プロセッサ101からの命令に従って、画像をモニタ21の画面に表示する。入力インタフェース105は、キーボード22やマウス23から送られてくる信号をプロセッサ101に送信する。光学ドライブ装置106は、光ディスク24に記録されたデータの読み取りを行う。機器接続インタフェース107は、端末装置100に周辺機器を接続するための通信インタフェースであり、メモリ装置25やメモリリーダライタ26を接続することができる。メモリ装置25は、機器接続インタフェース107と通信可能な記録媒体であり、メモリリーダライタ26は、メモリカード27に対してデータの読み書きを行う。ネットワークインタフェース108は、ネットワークスイッチ31を介して、外部との間でデータの送受信を行う。ノード200,200a〜200f、端末装置2a〜2cおよびノード3a〜3cのハードウェア構成も同様である。
端末装置100,100a〜100cまたはノード200,200a〜200fは、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、それぞれの処理機能を実現する。例えば、上記プログラムをストレージ装置103(または光ディスク24、メモリ装置25、メモリカード27など)に格納しておき、プロセッサ101は、このプログラムをメモリ102にロードし、プログラムを実行する。このプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。
図8および図9に示す実装例では、このようなハードウェア構成のシステムを用いて、ブロック・チェーンを用いた証明書の発行や管理が行われる。図11は、図8および図9に示すBCNの一例を示しており、2つのBCN(60,61)が設けられている。BCN(60)は、電子情報の取引に関するブロック60a,60b保存用のブロック・チェーン・ネットワークである。BCN(61)は、証明書に関するブロック61a,61bを保存するのに用いるBCNである。
以下、BCN(60,61)に関する処理を実施するために、端末装置とノードが有する機能について説明する。図12は、端末装置とノードが有する機能の一例を示すブロック図であり、ユーザ41が使用する端末装置100は、OS(110)とWebブラウザ(120)とを有している。Webブラウザ(120)は、公開鍵の登録要求や参照を行う証明書利用部121を有し、証明書利用部121は、公開鍵の登録要求の送信処理、公開鍵の破棄要求の送信処理、他のユーザの公開鍵の使用処理などを実行する。管理者51が使用する端末装置100aは、OS(110a)とWebブラウザ(120a)とを有し、Webブラウザ(120a)は、証明書の発行手続きを行う証明書管理部122aを有している。
ノード200は、OS210、Webサーバ220、およびブロック・チェーン・サブシステム230を有している。ブロック・チェーン・サブシステム230は、2つのBCN(60,61)を介して、ブロックの配布および保持を行う。例えばブロック・チェーン・サブシステム230は、ブロック記憶部231を有しており、端末装置100または他のブロック・チェーン・ノード200aから取得したブロックを、ブロック記憶部231に格納する。またブロック・チェーン・サブシステム230は、BCN(61)上での証明書の発行や無効化を行うスマートコントラクト232を有している。
同様にノード200aは、OS(210a)、Webサーバ220a、およびブロック・チェーン・サブシステム230aを有している。ブロック・チェーン・サブシステム230aは、ブロックを保持するためのブロック記憶部231aや、証明書の発行や無効化を行うスマートコントラクト232aを有している。ブロック・チェーン参加者であるユーザ41は、端末装置100を用いて、BCN(60)を介して取引を行うと共に、BCN(61)を介して、証明書による本人証明を行う。管理者51は、端末装置100aを用いて、BCN(60)で保持される電子情報の管理や、BCN(61)で保持される証明書の発行および管理を行う。
例えばユーザ41は、端末装置100を用いて、リファレンスフラグ「0」(登録)の値と公開鍵とを含むデータを作成し、そのデータに自分の秘密鍵で電子署名を行う。電子署名を行うとは、署名対象のデータまたはそのデータのハッシュ値を、秘密鍵で暗号化することである。以下、電子署名を行うことで生成される暗号化されたデータを、単に「署名」と呼ぶ。そしてユーザ41は、端末装置100aを用いて、署名付きのデータを、BCN(61)上に登録する。この際、秘密鍵は、各参加者が保持しておく。管理者51は、端末装置100aを用いて、証明書発行前(リファレンスフラグが「0」)のブロックに自分の署名を付与したデータを作成する。そして管理者51は、端末装置100aを用いて、作成したデータを、BCN(61)上に登録する。
ブロック・チェーン・ネットワーク61上のスマートコントラクト232,232aは、規定数以上の数の承認を得たブロックを確認した場合に、そのブロックのリファレンスフラグを「0」より大きい値「1」(有効)に変更する。さらにスマートコントラクト232,232aは、そのブロックにスマートコントラクト232,232aの署名を付与したブロックを生成する。そしてスマートコントラクト232,232aは、生成したブロックを、公開鍵証明書として新たに、ブロック・チェーン・サブシステム230,230aに登録することを要求する。
ユーザ41に電子情報を送信する他のユーザは、BCN(61)上に登録された、値が「0」より大きいリファレンスフラグの証明書に含まれる公開鍵を、ユーザ41へ送る情報の暗号化に使用する。ユーザ41の公開鍵の証明書の無効化は、ユーザ41がリファレンスフラグの値を「−1」(無効)にしたデータに電子署名を行い、ブロック・チェーン・サブシステム230に登録を要求する。スマートコントラクト232は、このリファレンスフラグの値が「−1」のブロックを読み込み、ユーザ41自身が登録したかを署名によって検証する。スマートコントラクト232は、検証できれば、そのブロックにスマートコントラクト232自身の署名を付けて、ブロック・チェーン・サブシステム230に登録する。これにより、管理者51の手を煩わせずに、証明書を無効化できる。
<4>ブロック・チェーン・システムを構築する情報処理システム基盤
一方、図8〜図12を用いて上述したブロック・チェーンの基本的な仕組み(トランザクションの電子署名、承認、残高の検証等)は、クラウド・コンピューティング基盤やサーバ・クラスタ等を情報処理基盤として用いて実現されることが多い。そこで、図13および図14に示すシステム実装例では、図8〜図12を用いて上述したブロック・チェーンの基本的な仕組みを実装したクラウド・コンピューティング基盤やサーバ・クラスタ等に対して、利用者の情報端末が通信接続可能なシステムを実現している。このシステムでは、利用者の情報端末からシステム内で提供されるブロック・チェーン関連機能にアクセスすることを可能にしている。また、図13および図14に示すシステム実装例は、Multi-Tier構成のWebサイトと同様に、複数のサーバ装置により情報処理に関する多層構造を実現した情報システムとして構成されている。
図13に示すように、システム500は、通信経路506を通ってバックエンド・システム504にアクセスする必要がある一つ以上のアプリケーション502を有する。バックエンド・システム504は、例えば、BCN(Blockchain Network)を構成する一つ以上の構成要素504(504A、504B、...、504N)を有し、一つ以上のアプリケーションは、BCNを構成する一つ以上の構成要素にアクセスする。各アプリケーション502は、コンピュータ装置によって実行することができ、各コンピュータ装置は、公知の通信及びデータプロトコル及びAPIを用いて、通信経路506を通ってバックエンド・システム504に接続してこれと対話することができる。例えば、各コンピュータ装置は、アプリケーション502を実行してBCNの構成要素との対話を実行することができる。
バックエンド・システム504及びBCNの構成要素504は、一つ以上の計算リソースを用いて実施することができ、通信経路506を介して一つ以上のデータ供給源508と接続することができる。バックエンド・システム504及びBCNの構成要素504は、各データ供給源のための標準規格、プロトコル、及び/又はAPIを用いて、データ供給源108と通信することができ、アプリケーション502は、BCNの構成要素504(504A〜504N)にアクセスすることができる。
各アプリケーション502のアプリケーションスタックの実施例を図2に示す。各アプリケーションスタックは、アプリケーション層502Aと、サービス層502Bと、データ層502Cとを含む。リソース識別子、デジタル資産署名、及び認可承諾のみがブロック・チェーン内に格納されるので、リソース自身の処理やリソースにアクセスする処理は、関与するアプリケーションが行う。
図14に示す例では、アプリケーション層502Aは、APIレジストリと、アクター・レジストリと、サービス・レジストリと、製品レジストリと、データ・レジストリ及び変換と、イベントと、ワークフローと、認可及び委任とを含む。サービス層502Bは、ブロック・チェーン・トランザクションと、データ配信要素と、ネットワークノード管理と、アクセス制御とを含む。データレイヤ502Cは、ピアツーピアファイル転送と、グラフデータ格納と、識別子管理と、暗号化及び鍵管理要素とを含む。ブロックデータベースの構造及び関係を図14の下半分に示す。図示するように、各ブロック・ヘッダ300は、分散型データベースのデータの一部分、及びブロック・ハッシュ、及びマークル・ルートを保持し、ブロック・トランザクション及びこれと対応するデータに関係付けられる。
Mch 親BC(パブリック・チェーン)
SC(SC1,SC2) 側鎖BC(サイドチェーン)
Tx[u,v](u=1,…,μ,v=1,…,γ) トランザクション
Fm[i](1≦i≦I) 承認者端末
Fed 承認者端末の連合体
UT[i](1≦i≦I) 利用者端末(所有者端末)
U[i](1≦i≦I) 利用者(デジタル資産の所有者)
VC[a],VC[b],VC[c],VC[d],VC1 第1デジタル資産
WC[a],WC[b],WC[c],WC[d],VC2 第2デジタル資産
VT 投票
IA[i](1≦i≦I) 一次預金用アドレス
WA[i,j](1≦i≦I,1≦j≦J) 送金先アドレス
XA[i] 資産凍結アドレス
QA,YA アドレス
PCM 待ち行列(キュー)
1 ネットワーク
2a,2b,2c 端末装置
3a,3b,3c ノード
4,4−1,4−2,4−3 ブロック
4a 証明対象情報
4b,5a,5n,6a 電子署名
6 電子証明書
7 証明書発行部
8 ユーザ
9a,9b 管理者
100 端末装置
101 プロセッサ
102 メモリ
104 グラフィック処理装置
105 入力インタフェース
106 光学ドライブ装置
200,200a〜200f ノード
300 ブロック・ヘッダ
500 システム
502 アプリケーション
502A アプリケーション層
502B サービス層
502C データ層
504 バックエンド・システム
506 通信経路
504(504A,…,504N) BCN(Blockchain Network)
508 データ供給源


Claims (10)

  1. 送金トランザクションを介したデジタル情報の送受信により資産価値を流通させることが可能な一種類以上の電磁的記録を含むデジタル資産を、ブロック・チェーン間で転送するシステムにおいて、
    第1ブロック・チェーン上で所有者が有する第1デジタル資産を第2ブロック・チェーン上に前記所有者が有する第1アドレスにブロック・チェーン間転送により移転する要求を送出する所有者端末と、
    多数決による意思決定を行う2つ以上の承認者端末により形成された連合体、と、
    を備え、前記要求を検知した前記連合体内の少なくとも一つの前記承認者端末は、
    投票開始メッセージを他の承認者端末に同報送信することで前記多数決による意思決定を前記連合体に開始させ、前記承認者端末にあらかじめ設定された、ブロック・チェーン間転送の対象となるデジタル資産の種別とブロック・チェーン間転送の送金先アドレスとから成るペアのうちブロック・チェーン間転送を許可すべきペアを列挙した許可リストおよびブロック・チェーン間転送を禁止すべきペアを列挙した禁止リストを含む所定の許認可基準に基づいて前記ブロック・チェーン間転送を許可可能と判断した場合に、前記第1デジタル資産と等価な経済価値を有する第2デジタル資産を新規に発行して前記第1アドレスに同報送信して前記ブロック・チェーン間転送を実行し、
    前記第2デジタル資産は、デジタル資産の種別に依存せずにトランザクション承認および残高の検証を実行可能な汎用性を有する分散合意形成プロトコルを用いて前記第2ブロック・チェーン側での取引が可能な独自トークンとして発行され、
    前記連合体の承認者端末のそれぞれは、待ち行列中の新たな承認者端末を新規メンバーとして受け入れるかを前記第1ブロックチェーン内で広告されたエントリー情報と第1基準とに基づいて決定の上で同報送信して前記連合体の多数決により該連合体のメンバーシップを更新するように構成され、
    前記第1基準とは端末が多種多様なブロック・チェーン・プロトコルを実行可能であるか、端末が多種多様なデジタル資産を取り扱い可能であるか、またはプロトコル種別毎に禁止された送金先アドレスの集合について、既存のメンバー である承認者端末との間で重複部分が多いかの少なくとも1つである、ことを特徴とするシステム。
  2. 前記所有者端末は、前記承認者端末から前記第1ブロック・チェーン上で指定された第2アドレスに前記第1デジタル資産を転送する第1トランザクションを同報送信し、
    前記連合体を構成する少なくとも一つの前記承認者端末は、
    前記第2アドレスにて前記第1トランザクションを受信すると、前記所有者端末から通知された前記第1アドレスを送金先とする前記ブロック・チェーン間転送の許否を前記連合体内の前記多数決により決定する投票プロセスを前記連合体に開始させる通信手順を実行し、
    前記ブロック・チェーン間転送を許可する場合、前記第1デジタル資産と等価な経済価値を有する前記第2デジタル資産を新規に発行し、前記第2デジタル資産を前記第1アドレスに転送する第2トランザクションを前記第2ブロック・チェーンへと同報送信するように構成される、
    ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
  3. 前記所有者が前記第1ブロック・チェーン上に有する第3アドレスを送金先として、前記第2デジタル資産を前記第1ブロック・チェーンに戻すブロック・チェーン間転送を求める要求を前記所有者端末から受信した前記承認者端末は、
    前記第2デジタル資産を将来にわたって事実上使用不可能にするための資産凍結アドレスを前記第2ブロック・チェーン上に生成し、前記第2デジタル資産を前記資産凍結アドレスに転送する第3トランザクションを同報送信し、
    前記資産凍結アドレスにおいて前記第3トランザクションが受信されると、前記所有者端末から通知された前記第3アドレスを送金先として、前記独自トークンのブロック・チェーン間転送を行う第4トランザクションを生成し、
    前記連合体内の前記多数決に基づく意思決定のために前記投票プロセスを実行した結果、前記第3トランザクションを許可する場合、前記第3トランザクションを介して前記独自トークンを前記第3アドレスに転送することで、前記第2デジタル資産を前記第1ブロック・チェーンに戻すように構成される、
    ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
  4. 複数のブロック・チェーンを跨ってデジタル資産が流通するエコシステムの統治に関する政策的要請を記述し、対応するブロック・チェーン・プロトコルによって送金や残高の確認が可能な一つ以上のデジタル資産の種別と、ブロック・チェーン間転送における送金先のアドレスのうち対応するブロック・チェーン・プロトコルによる送金や残高の確認が禁止されている一つ以上のアドレスとが含まれるポリシー制御データを一つ以上の前記承認者端末に対して入力する端末操作が一人以上の承認者によって行われると、
    前記承認者端末は、前記ポリシー制御データに整合した前記許認可基準となる一覧表を設定し、前記第2ブロック・チェーン側の送金先となる前記第1アドレスおよび前記第1デジタル資産の種別を、前記一覧表に従って審査することで、前記ブロック・チェーン間転送を許可するか否かを判断し、
    前記一覧表は、ブロック・チェーン間転送の対象となる前記デジタル資産の種別とブロック・チェーン間転送の送金先となるアドレスから成るペアのうち、ブロック・チェーン間転送を許可すべき前記ペアを列挙した許可リストおよびブロック・チェーン間転送を禁止すべき前記ペアを列挙した禁止リストを含んで構成される、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載されたシステム。
  5. 複数のブロック・チェーンを跨ってデジタル資産が流通するエコシステムの統治に関する政策的要請を記述し、対応するブロック・チェーン・プロトコルによって送金や残高の確認が可能な一つ以上のデジタル資産の種別と、ブロック・チェーン間転送における送金先のアドレスのうち対応するブロック・チェーン・プロトコルによる送金や残高の確認が禁止されている一つ以上のアドレスとが含まれるポリシー制御データを一つ以上の前記承認者端末に対して入力する端末操作が一人以上の承認者によって行われると、前記ポリシー制御データに整合する基準が前記第1基準として設定され、
    前記第1基準に基づいて前記承認者端末間の多数決によりメンバーシップを更新するように構成される、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載されたシステム。
  6. 前記ブロック・チェーン間転送の許否を前記連合体内の前記多数決により決定する投票プロセスが開始すると、前記所有者端末から前記第1トランザクションを受信した前記承認者端末は、ブロック・チェーン間転送の対象となるデジタル資産の種別とブロック・チェーン間転送の送金先アドレスとから成るペアのうちブロック・チェーン間転送を許可すべきペアを列挙した許可リストおよびブロック・チェーン間転送を禁止すべきペアを列挙した禁止リストを含む第2基準に基づいて前記投票プロセスに参加する他の承認者端末を選出するプロセスを実行し、
    前記投票プロセスにおいて前記第2基準に基づいて選出された複数の前記承認者端末が多数決による意思決定を行うことで、前記ブロック・チェーン間転送を許可するか否かが判断される、
    ことを特徴とする請求項に記載されたシステム。
  7. 前記デジタル資産の種別に依存せずにトランザクション承認および残高の検証を実行可能な汎用性を有する前記分散合意形成プロトコルは、基軸通貨として流通する任意の暗号通貨に対応したアカウント・ベースのプロトコルを用いて実現され、
    前記第2デジタル資産は、前記第1デジタル資産に対応する前記アカウント・ベースのプロトコルを用いて前記第2ブロック・チェーン側での取引が可能な前記独自トークンとして発行され、調整可能な可変レートにより既存の暗号通貨と交換可能な未流通のデジタル資産である、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載されたシステム。
  8. 前記連合体を構成する少なくとも一つの前記承認者端末は、
    前記第1ブロック・チェーン上の前記第1デジタル資産を前記第2ブロック・チェーン上の前記第1アドレスを送金先として移転する前記要求を前記所有者端末から受信した際、前記所有者に固有の前記第2アドレスを前記第1ブロック・チェーン上に作成して前記所有者端末に割り当て、
    前記所有者端末は、前記連合体を構成する少なくとも一つの前記承認者端末に前記要求を送出した後、前記承認者端末から前記第1ブロック・チェーン上で割り当てられた前記第2アドレスに前記第1デジタル資産を転送する前記第1トランザクションを同報送信する、
    ことを特徴とする請求項に記載されたシステム。
  9. 前記連合体を構成する少なくとも一つの前記承認者端末は、前記第1トランザクションの受信に応じて、前記第1デジタル資産をロックし、前記第1デジタル資産がロックされた状態は、ブロック・チェーン間転送により前記第2ブロック・チェーンに移転された前記独自トークンが、逆向きのブロック・チェーン間転送により前記第1ブロック・チェーンに戻されるまで維持される
    ことを特徴とする請求項2または8に記載されたシステム。
  10. 前記所有者が有する前記第1デジタル資産を前記所有者端末から前記承認者端末へと転送する前記第1トランザクションに対して、前記第1アドレスを前記第2ブロック・チェーン上の送金先として埋め込むことにより、前記第1アドレスを前記連合体に属する少なくとも一つの前記承認者端末に通知し、
    前記第2デジタル資産を前記資産凍結アドレスへと転送する前記第3トランザクションに対して、前記第3アドレスを前記第1ブロック・チェーン上の送金先として埋め込むことにより、前記第3アドレスを前記連合体に属する少なくとも一つの前記承認者端末に通知する、
    ことを特徴とする請求項に記載されたシステム。
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