JP6691888B2 - 無線通信システムおよび無線通信制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の無線局が同一の無線チャネルを共有し、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access /Collision Avoidance )方式を用いて無線通信を行う無線通信システムにおいて、隠れ端末の関係にある無線局により送信局の送信権獲得率が低下する送信時さらされ状況、または受信局の正常受信率が低下する受信時さらされ状況を判定し、隠れ端末の影響を回避する無線通信システムおよび無線通信制御方法に関する。
非特許文献1の国際標準規格IEEE802.11準拠の無線LAN(Local Area Network)システムは、スループットが年々向上しており、主要な無線アクセスの1つとして普及している。無線LANシステムは、免許不要の周波数帯であるアンライセンスバンドを用いることができるため、多種多様な無線端末が普及している。このアンライセンスバンドにおける無線通信は、CSMA/CA方式によるランダムアクセス制御を行うため、通信品質やシステム容量の低下を引き起こす隠れ端末問題/さらし端末問題が大きな障害となっている。このうち隠れ端末問題は、互いにキャリアセンスが機能しない無線局の送信信号が衝突してスループット特性を悪化させる問題であり、その解決方法として例えば、RTS(Request To Send )/CTS(Clear To Send )を用いたフロー制御が提案されている。RTSフレームとCTSフレームの交換は、受信局において送信局から検出できない無線信号が存在している場合でも、送信局からのRTSフレームに応じて受信局がCTSフレームによりNAVを設定することで、隠れ端末問題を解消して通信品質やシステム容量の低下を防ぐことができる。
無線LAN通信用のインターフェースを備えるユーザ端末(UE)は、通常、接続するアクセスポイント(AP)の選択やAP間を渡り歩くローミングの際、電波強度・信号対雑音比・データレート等をもとに接続するAPの判断を行う(非特許文献2)。また、セルラ通信用のインターフェースを併せ持つUEは、無線LANからセルラの順番で、電波を検索して接続可能な無線LANが存在すれば自動的に接続し、なければ無線LAN圏外とみなしてセルラとの接続動作を行う(非特許文献3)。
無線LANのAPのチャネル設定については、手動設定の他、干渉を避ける自動無線チャネル設定機能を備えたものがあり、検出されたSSID数をもとに、起動時または定期的に最適チャネルの自動設定を行うものがある(非特許文献4)。
IEEE Std 802.11TM-2016, December 2016. Matthew Gast著、渡辺尚、小野良司監訳、「802.11無線ネットワーク管理第2版」、オライリー・ジャパン 神崎洋治、西井美鷹著、「体系的に学ぶWi-Fi/3G/4G/LTE/WiMAX 」、日経BP社 NTT技術ジャーナル、2015.9、「最新無線規格IEEE802.11acに対応し高機能化を実現した新HGWの実用化」
RTS/CTSを用いた制御方法において、受信局がRTSフレームを受け取る時点で、他の無線局からの信号を受信中、もしくはNAVを設定されている場合には、送信局に向けてCTSフレームを返信できないため、想定した隠れ端末問題の解消効果は得られない。このケースは、同一チャネル上に多数のAPが存在する稠密環境で容易に発生する。また、さらし端末問題も、APの稠密環境で容易に発生する。
隠れ端末問題/さらし端末問題は、電波強度や信号対雑音比やデータレートが高い状況でも発生し得る。したがって、通信品質向上やシステム容量向上のためには、隠れ端末問題/さらし端末問題を考慮したUEにおける接続先APの選択、もしくは使用回線として無線LANからセルラへの切り替えも必要になる。
APについて、新たな固定設置APやモバイルルータ等の移動型APの出現、DFS(Dynamic Frequency Selection )による使用可能チャネル制限等の影響を受けてAPにおける電波環境が変化する場合、手動でのチャネル設定や、AP起動時のチャネル自動設定のみではその変化に対応できない。また、隠れ端末問題/さらし端末問題は、互いに信号を検出できない端末である隠れ端末の存在によって引き起こされることから、APで検出されたSSID数では隠れ端末の関係を把握できない。したがって、定期的にチャネル自動設定を行う機能を有していても、隠れ端末問題/さらし端末問題を把握できないために自動設定が有効に機能しないことがある。あるいは、チャネル変更指示の制御後に一定期間通信不可能となる場合(例えばDFSの影響を受ける場合)において、隠れ端末問題/さらし端末問題が生じていないのにチャネル変更を行ってしまい、かえって通信品質やシステム容量を低下させるケースが発生することがあった。
本発明は、CSMA/CAによるアクセス制御を行うAPおよびUEが、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信システムおよび無線通信制御方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、CSMA/CAによるアクセス制御を行うAPおよびUEが、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信システムにおいて、APの周辺に存在する送信待機の無線局による送信時混雑度合いを考慮したAPの送信時さらされ度合いを判定し、UEの周辺に存在する送信待機の無線局による受信時混雑度合いを考慮したUEの受信時さらされ度合いを判定する判定手段と、送信時さらされ度合いもしくは受信時さらされ度合いがUEの要求品質をクリアできない場合に、UEの接続先APの変更または他の回線への変更制御を行う制御手段とを備える。
第1の発明の無線通信システムにおいて、制御手段は、送信時さらされ度合いがUEの要求品質をクリアできるAPであり、かつ該APに接続されるUEの受信時さらされ度合いがUEの要求品質をクリアできる場合に、該APを接続先とする制御を行う構成である。
第2の発明は、CSMA/CAによるアクセス制御を行うAPまたはUEが、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信システムにおいて、APの周辺に存在する送信待機の無線局による送信時混雑度合いを考慮したAPの送信時さらされ度合いを判定する判定手段と、送信時さらされ度合いがAPの期待品質をクリアできない場合に、APのチャネル変更制御を行う制御手段とを備える。
第3の発明は、CSMA/CAによるアクセス制御を行うAPまたはUEが、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信システムにおいて、UEの周辺に存在する送信待機の無線局による受信時混雑度合いを考慮したUEの受信時さらされ度合いを判定する判定手段と、受信時さらされ度合いがAPの期待品質をクリアできない場合に、UEにおける接続先APの変更または他の回線への変更制御を行う制御手段とを備える。
第4の発明は、CSMA/CAによるアクセス制御を行うAPまたはUEが、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信システムにおいて、APの周辺に存在する送信待機の無線局による送信時混雑度合いを考慮したAPの送信時さらされ度合いを判定し、UEの周辺に存在する送信待機の無線局による受信時混雑度合いを考慮したUEの受信時さらされ度合いを判定する判定手段と、送信時さらされ度合いがAPの期待品質をクリアできない場合にAPのチャネル変更制御を行い、受信時さらされ度合いがAPの期待品質をクリアできない場合に、UEにおける接続先APの変更または他の回線への変更制御を行う制御手段とを備える。
第1,第3,第4の発明の無線通信システムにおいて、判定手段は、APの送信時混雑度合いを考慮したAPの送信時さらされ度合いを含めてUEの受信時さらされ度合いを判定する構成である。
第1〜第4の発明の無線通信システムにおいて、判定手段は、送信時混雑度合いを考慮したAPの送信時さらされ度合いの判定、もしくは受信時混雑度合いを考慮したUEの受信時さらされ度合いの判定を、所定の期間で指標を集計した集計結果と判定閾値を用いて行う構成である。
第5の発明は、CSMA/CAによるアクセス制御を行うアクセスポイント(AP)およびユーザ端末(UE)が、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信制御方法において、APの周辺に存在する送信待機の無線局による送信時混雑度合いを考慮したAPの送信時さらされ度合いを判定するステップと、UEの周辺に存在する送信待機の無線局による受信時混雑度合いを考慮したUEの受信時さらされ度合いを判定するステップと、送信時さらされ度合いがAPの期待品質をクリアできない場合にAPのチャネル変更制御を行い、送信時さらされ度合いもしくは受信時さらされ度合いがUEの要求品質もしくはAPの期待品質をクリアできない場合に、UEの接続先APの変更または他の回線への変更制御を行うステップとを有する。
本発明は、送信時混雑度合いを考慮した送信時さらされ度合い、もしくは受信時混雑度合いを考慮した受信時さらされ度合いの判定結果に基づいて、UEの回線/接続先APの変更制御、もしくはAPのチャネル変更制御を実施するため、APの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を解決し、UEの要求品質確保もしくはAPの期待品質維持を実現できる。これにより、CSMA/CA回線のシステム容量の拡大を見込むことができる。
また、送信時さらされ度合いもしくは受信時さらされ度合いの判定において、送信時混雑状況もしくは受信時混雑状況の可能性を排除し、かつ時間軸に対する判定精度を加味した判定閾値および集計期間を設定することから、不本意なUEの回線/接続先APの変更制御やAPのチャネル変更制御を減らすことができる。
また、本発明において、例えばビーコン信号を用いることにより、標準規格の拡張なしに実施できるため、容易に実現でき、かつ判定するCSMA/CA回線の無線リソースの消費なしに実現できる。
送信時/受信時さらされ状況、送信時/受信時混雑状況の一例を示す図である。 送信時さらされ度合いの大小状況を示すタイムチャートである。 受信時さらされ度合いの大小状況を示すタイムチャートである。 本発明の無線通信システムの実施例1の構成を示すブロック図である。 本発明の無線通信システムの実施例2の構成を示すブロック図である。 UEの要求品質に基づくUEの制御手順例1を示すフローチャートである。 UEの要求品質に基づくUEの接続先APを決める制御手順例2を示すフローチャートである。 APの期待品質に基づくAPの制御手順例3を示すフローチャートである。 APの期待品質に基づくUEの制御手順例4を示すフローチャートである。 APの期待品質に基づくAP,UEの制御手順例5を示すフローチャートである。 判定閾値S,Rと、集計期間T1,T2の算出手順例を示すフローチャートである。 ビーコン送信遅延の判定閾値Sと、集計期間T1の決定例を示す図である。 ビーコン受信失敗の判定閾値Rと、集計期間T2の決定例を示す図である。
本発明では、CSMA/CAによりアクセス制御を行うAPおよびUEにおいて、隠れ端末の影響による「さらされ状況」を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避するように、APにおけるチャネル変更、UEにおける回線/接続先APの変更などの制御を行うことを特徴とするが、さらに隠れ端末の影響ではない「混雑状況」を考慮した「さらされ状況」を精度よく判定することを特徴とする。
ここで、本明細書で使用する用語について以下のように定義する。
*送信時さらされ状況:送信局において、隠れ端末の影響により送信権獲得率が低下して いる状況。
*送信時さらされ度合い:送信局において、隠れ端末の影響による送信権獲得率の低下度 合い。
*受信時さらされ状況:受信局において、隠れ端末の影響により送信局からの信号の正常 受信率が低下している状況。
*受信時さらされ度合い:受信局において、隠れ端末の影響による信号の正常受信率の低 下度合い。
*干渉無線局:送信時さらされ状況や受信時さらされ状況の原因となっている無線局。
*混雑状況:隠れ端末の影響ではなく、送信局または受信局の周辺に送信待機の無線局が 多数存在することにより、送信権獲得率または正常受信率が低下する状況。
*送信待機の無線局:送信準備完了となった信号を送信すべく、送信権獲得を希望してい る無線局。
*送信時混雑状況:送信局において、隠れ端末の影響ではなく送信局の周辺における送信 待機の無線局数の影響により送信権獲得率が低下している状況。送信時混雑状況では、 複数の無線局が送信権獲得を希望していることから、送信権獲得率が低下する。
*送信時混雑度合い:送信局において、隠れ端末の影響ではなく送信局の周辺における送 信待機の無線局数の増加に起因する送信権獲得率の低下度合い。
*受信時混雑状況:受信局において、隠れ端末の影響ではなく受信局の周辺における送信 待機の無線局数の影響で信号の正常受信率が低下している状況。受信時混雑状況では、 CSMA/CAにおいて発生しうる同時送信の影響により、衝突によって正常受信率が 低下する。
*受信時混雑度合い:受信局において、隠れ端末の影響ではなく受信局の周辺における送 信待機の無線局数の増加に起因する信号の正常受信率の低下度合い。
*競争無線局:送信時混雑状況や受信時混雑状況の原因となっている無線局。
図1は、送信時/受信時さらされ状況、送信時/受信時混雑状況の一例を示す。
図1において、APは送信局となる無線LANのアクセスポイントであり、UEは受信局となる無線LANおよびセルラに対応するユーザ端末である。XはAPまたはUEに対する干渉無線局であり、YはAPまたはUEに対する競争無線局である。干渉無線局Xまたは競争無線局Yを中心とする円は電波到達範囲を示す。
図1(1) は、互いに隠れ端末の関係にある干渉無線局X1,X2があり、その両方の無線局の信号を受信可能なAPが送信時さらされ状況にあることを示す。図1(2) は、互いに隠れ端末の関係にあるAPと干渉無線局Xがあり、干渉無線局Xの信号を受信可能なUEが受信時さらされ状況にあることを示す。図1(3) は、APおよびUEの周辺に多数の競争無線局Yがあり、APが送信時混雑状況にあり、UEが受信時混雑状況にあることを示す。
図2は、送信時さらされ度合いの大小状況を示す。ここでは、図1(1) に示す送信時さらされ状況をモデルとする。
図2(1) において、干渉無線局X1,X2の送信信号数が少ない場合、APにおける送信権獲得率の低下は小さく、送信時さらされ度合いは小さい。図2(2) において、干渉無線局X1,X2の送信信号数が多い場合、APにおける送信権獲得率の低下は大きく、送信時さらされ度合いは大きい。したがって、干渉無線局X1,X2の信号送信頻度が高いほど送信時さらされ度合いは大きくなる。他に送信時さらされ度合いが変化する要因としては、干渉無線局Xの数、干渉無線局XおよびAP自身の送信権保有期間、すなわち無線局が1度送信権を獲得した後にその送信権保有が終了するまでの時間の長さ等がある。
図3は、受信時さらされ度合いの大小状況を示す。ここでは、図1(2) に示す受信時さらされ状況をモデルとする。
図3(1) において、干渉無線局Xの送信信号数が少ない場合、UEにおける正常受信率の低下は小さく、受信時さらされ度合いは小さい。図3(2) において、干渉無線局Xの送信信号数が多い場合、UEにおける正常受信率の低下は大きく、受信時さらされ度合いは大きい。したがって、干渉無線局Xの信号送信頻度が高いほど受信時さらされ度合いは大きくなる。他に受信時さらされ度合いが変化する要因としては、干渉無線局Xの数、干渉無線局XおよびUEに対するAPの送信権保有期間の長さ等がある。
このように、送信時さらされ度合いおよび受信時さらされ度合いは、干渉無線局Xの信号送信頻度だけでなく様々な要素が関係して数式化は困難であり、さらに図1(3) に示す競争無線局Yによる送信時混雑状況および受信時混雑状況と区別した送信時さらされ度合いおよび受信時さらされ度合いの判定が必要になる。
本発明では、APにおける送信時さらされ度合いおよびUEにおける受信時さらされ度合いを判定するために、APが自発的にかつ定期的に送信しているIEEE802.11規格におけるビーコン信号を用いることを想定する。ただし、ビーコン信号と同様に定期的に送信される信号であれば、ビーコン信号に限るものではない。また、ビーコン信号はAPが送信し、UEが受信するものであるが、UEがビーコン信号またはそれと同様の信号を送信する機能があれば、APとUEの関係を逆転させてもよい。いずれにしても、本発明の制御のための特別な信号ではなく、CSMA/CA回線の無線リソースを圧迫する信号でないものとしてビーコン信号を例に説明する。
ビーコン信号の中には、送信時刻であるTime Stamp(タイムスタンプ)が含まれる。また、ビーコン信号の送信時刻はTBTT(Target Beacon Transmission Time )として予定されており、そのTBTTからTime Stampまでの遅延時間を「ビーコン送信遅延」とする。APが送信するビーコン信号のビーコン送信遅延をもとに、APにおける送信時さらされ度合いを判定するが、ビーコン送信遅延の要因としてはAPにおける送信時混雑度合いも関与する。また、UEにおいて、TBTTで送信されるビーコン信号を正常に受信できなかったことを「ビーコン受信失敗」とする。UEが受信するビーコン信号のビーコン受信失敗をもとに、UEにおける受信時さらされ度合いを判定するが、ビーコン受信失敗の要因としてはUEにおける受信時混雑度合いも関与し、さらにAPにおけるビーコン送信遅延によって次のTBTTまでにビーコンが送信できなかったビーコン送信失敗、すなわち送信時混雑度合いを考慮した送信時さらされ度合いも関与する。
よって、本発明は、以下に説明するように、APにおけるビーコン送信遅延αを算出し、送信時混雑状況の影響も考慮してAPにおける送信時さらされ度合いの判定を行う。なお、ビーコン送信遅延αは、ビーコン信号のTBTTとTime Stampを用いてUEでも算出可能であるので、UEにおいて、APにおける送信時さらされ度合いの判定も可能である。また、UEにおけるビーコン受信なしβ’を算出し、ビーコン送信遅延αの履歴からビーコン送信失敗f(α)を推定し、β’とf(α)からUEにおけるビーコン受信失敗βを算出し、さらに受信時混雑状況の影響も考慮してUEにおける受信時さらされ度合いの判定を行う。また、APにおいても、UEからビーコン受信なしβ’を取得し、ビーコン送信失敗f(α)との関係からビーコン受信失敗βを算出し、UEにおける受信時さらされ度合いを判定することも可能である。
(本発明の無線通信システムの実施例1)
図4は、本発明の無線通信システムの実施例1の構成を示す。
図4において、無線通信システムの構成例1は、AP10およびUE20により構成される。AP10およびUE20は、選択された無線チャネルを用い、CSMA/CA方式に基づいて伝送される無線信号を送受信する無線信号送受信部11,21と、無線信号送受信部で送受信した無線信号の送受信履歴を蓄積する無線信号送受信履歴把握部12,22を備え、ここではビーコン信号の送受信履歴を蓄積する。
AP10は、さらにビーコン送信遅延算出部13、さらされ判定部14、判定閾値/集計期間決定部15、制御決定部16、チャネル制御部17を備える。ビーコン送信遅延算出部13は、無線信号送受信履歴把握部12に蓄積されているビーコン信号の送信履歴からビーコン送信遅延αを算出する。さらされ判定部14は、ビーコン送信遅延αを判定閾値/集計期間決定部15で算出した集計期間T1で集計し、その集計結果と判定閾値/集計期間決定部15で算出した判定閾値Sとを比較し、設定された無線チャネルがAP10の期待品質をクリアできるか否かを判定する。制御決定部16は、さらされ判定部14での判定結果に基づき、実施する制御を決定する。チャネル制御部17は、制御決定部16の決定に基づき、無線信号送受信部11に対して無線チャネルの変更を指示する。
UE20は、さらにビーコン送信遅延および受信失敗算出部23、さらされ判定部24、判定閾値/集計期間決定部25、制御決定部26、回線/接続先AP制御部27を備える。ビーコン送信遅延および受信失敗算出部23は、無線信号送受信履歴把握部22に蓄積されているビーコン信号の受信履歴からビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βを算出する。さらされ判定部24は、ビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βを判定閾値/集計期間決定部25で算出した集計期間T1,T2で集計し、その集計結果と判定閾値/集計期間決定部25で算出した判定閾値S,Rとを比較し、設定された無線チャネルがAP10の期待品質およびUE20の要求品質をクリアできるか否かを判定する。制御決定部26は、さらされ判定部24での判定結果に基づき、実施する制御を決定する。回線/接続先AP制御部27は、制御決定部26の決定に基づき、無線信号送受信部21に対して設定された無線チャネルの使用停止/再開や、回線または接続先APの変更を指示する。
判定閾値/集計期間決定部15,25は、AP10の期待品質やUE20の要求品質、ビーコン送信優先度、送信待機の無線局数、送信権保有期間等の情報に基づき、送信時さらされ度合い/受信時さらされ度合いの判定精度を考慮して、ビーコン送信遅延αについての判定閾値Sと、ビーコン受信失敗βについての判定閾値Rと、それぞれの集計期間T1,T2を算出する。なお、ビーコン送信優先度、送信待機の無線局数、送信権保有期間等の情報は、無線信号送受信履歴把握部12,22から取得する構成も可能である。
ここで、判定閾値Sは、ビーコン送信遅延αに対する送信時さらされ度合いについて、AP10の期待品質をクリアできるか否かを判定するものである。判定閾値Rは、ビーコン受信失敗βに対する受信時さらされ度合いについて、UE20の要求品質をクリアできるか否かを判定するものである。また、CSMA/CAはランダムなバックオフ時間を用いることで衝突回避を行っていることから、そのランダムさに影響を受けて1つ1つのビーコン信号の送信遅延や受信失敗はバラつきを有するため、ビーコン送信遅延αの集計期間T1と、ビーコン受信失敗βの集計期間T2を設定してそれぞれ集計し、その集計結果と判定閾値S、判定閾値Rとを比較し、判定に使用する。なお、判定閾値Sと集計期間T1、および判定閾値Rと集計期間T2は、AP10の期待品質およびUE20の要求品質と、判定に求める精度の観点から決定する必要がある。これらの決定方法については、図11を参照して別途説明する。
(本発明の無線通信システムの実施例2)
図5は、本発明の無線通信システムの実施例2の構成を示す。
図5において、無線通信システムの実施例2は、AP10およびUE20に共通に接続される無線局管理装置30を備える。なお、その間の接続手段は省略しているが、有線または無線のいずれでもよい。無線局管理装置30は、AP10のビーコン送信遅延算出部13およびUE20のビーコン送信遅延および受信失敗算出部23で算出された各情報を蓄積するビーコン送信遅延・受信失敗データベース部31を備える。さらに、無線局管理装置30は、実施例1においてAP10およびUE20が備える、さらされ判定部14,24、判定閾値/集計期間決定部15,25、制御決定部16,26と同等のさらされ判定部34、判定閾値/集計期間決定部35、制御決定部36を備える。制御決定部36は、AP10のチャネル制御部17およびUE20の回線/接続先AP制御部27の協調した制御を行う。
(UEの要求品質に基づくUEの制御手順例1)
図6は、UEの要求品質に基づくUEの制御手順例1を示す。なお、UEは、既にAPに接続しているものとする。
図6において、UEは、接続先APから送信されたビーコン信号の受信履歴からビーコン送信遅延αを算出する(S1)。TBTTで送信が予定されているビーコン信号は、APにおけるCSMA/CA手順によって遅延しても、通常は次のTBTTまでに送信される。したがって、UEにおいてTBTTを認識することで、受信したビーコンに含まれるTime Stampからビーコン送信遅延αを算出できる。ここで、ビーコン送信遅延αの履歴からAPにおけるビーコン送信失敗f(α)を推定しておく(S2)。
次に、ビーコン送信遅延αを集計期間T1で集計し、その集計結果と判定閾値Sとを比較し(S3)、ビーコン送信遅延αの集計結果がUEの要求品質をクリアできるか否かを判定する(S4)。なお、UEの要求品質としては、スループット、レイテンシ、ジッタ、パケットロス等が挙げられ、送信時さらされ状況/受信時さらされ状況は、それらの通信品質を著しく低下させる。ただし、送信時さらされ状況/受信時さらされ状況であっても、その原因となっている干渉無線局が使用する無線リソース量が少ない場合、送信時さらされ度合い/受信時さらされ度合いは小さく、通信品質の低下は小さい。また、送信時さらされ状況/受信時さらされ状況が発生しても、要求品質が低ければ問題はない。これらに基づいて判定閾値Sが設定される。
ビーコン送信遅延αの集計結果が要求品質をクリアできる場合(S4:Yes )、接続先APからのビーコン受信失敗βを算出するにあたり、まず接続先APからのビーコン信号が次のTBTTまでに受信されないときのビーコン受信なしβ’を把握する(S5)。ただし、ビーコン信号は送信優先度が高いことから、通常は送信予定のビーコンは実際に送信されるため、ビーコン受信なしβ’とビーコン受信失敗βは同じである。しかし、APの送信時さらされ度合いが大きい場合、次のTBTTまでに送信されないビーコン送信失敗が発生しうる。
そこで、ビーコン受信なしβ’からステップS2で推定したビーコン送信失敗f(α)を減算することにより、接続先APからのビーコン受信失敗βを算出する(S6)。このビーコン送信失敗f(α)は、ビーコン送信遅延αとビーコン送信失敗f(α)を対応させるテーブル、もしくはビーコン送信遅延αを入力することでビーコン送信失敗f(α)を出力する数式等によって求めることができる。
次に、ビーコン受信失敗βを集計期間T2で集計し、その集計結果と判定閾値Rとを比較し(S7)、ビーコン受信失敗βの集計結果がUEの要求品質をクリアできるか否かを判定する(S8)。UEの要求品質をクリアできる場合は、接続先APとの通信を継続する(S9)。なお、ここでの判定において、一定期間におけるビーコン受信失敗率を用いる場合、ステップS2でビーコン送信失敗f(α)の推定を行わずに、一定期間におけるビーコン送信失敗率を推定し、一定期間におけるビーコン受信なし率を、1からビーコン送信失敗率を減算したもので除算することでビーコン受信失敗率を求め、判定処理を行ってもよい。この場合も、ビーコン送信失敗f(α)の推定同様に、ビーコン送信遅延αからテーブルや数式によってビーコン送信失敗率を求める。
ただし、APがUEの要求品質をクリアできる程度の送信時さらされ度合いの場合に、ビーコン送信失敗が無視できるならば、f(α)に関する考慮は実施不要となる。
接続APのビーコン送信遅延αの集計結果と判定閾値Sとの比較により、送信時さらされ度合いがUEの要求品質をクリアできないと判定される場合(S4:No)、もしくはビーコン受信失敗βの集計結果と判定閾値Rとの比較により、受信時さらされ度合いがUEの要求品質をクリアできないと判定される場合(S8:No)、接続先APとの通信停止や、回線または接続先APの変更を指示する(S10)。
ここで、以上の処理手順は、UEで得られる情報のみを用いて判定する例である。他の例として、APが自身のビーコン送信遅延αやビーコン送信失敗f(α)、またはその集計結果を算出し、ビーコン信号に載せて送信している場合や、UEが該当のCSMA/CA回線以外の回線を用いてそれらの情報にアクセスできる場合等においては、UEはビーコン送信遅延αの算出やビーコン送信失敗f(α)の推定を省くことができる。
本制御手順は、CSMA/CA回線がUEの要求品質を満たすと判断される場合には回線/接続先APの変更制御を実施しないため、本制御手順を常駐させての連続実行が可能である。また、UEが該当のCSMA/CA回線以外の回線を用いてビーコン送信遅延αやビーコン送信失敗f(α)、またはその集計結果の情報にアクセスする場合を除き、APが自発的に送信しているビーコン信号の観測のみで実現できるため、該当のCSMA/CA回線や別の回線に負荷をかけずに実施可能である。
なお、回線/接続先APの変更制御において、該当CSMA/CA回線の使用を停止させた場合でもAPとUEの接続状態を維持しておくと、UEにおいて継続してビーコン信号の観測を行い、該当CSMA/CA回線の品質が通信品質を満たすと判断された場合には即座に使用を再開できる。
また、UEの要求品質については、UEが使用する各アプリケーションの要求品質としてもよい。この場合、UEに複数のアプリケーションが存在してそれぞれの要求品質が異なる場合、CSMA/CA回線の品質が要求品質を下回っているアプリケーションのみ該当CSMA/CA回線の使用を停止して別回線を使用し、要求条件を満たしているアプリケーションは継続して該当CSMA/CA回線を使用する、といった制御が可能である。
(UEの要求品質に基づくUEの接続先APを決める制御手順例2)
図7は、UEの要求品質に基づくUEの接続先APを決める制御手順例2を示す。ここでは、UEがAPに接続していない場合、もしくは新たなAPに接続するためのローミングの手続きを開始する場合、もしくは制御手順例1で回線・接続先APの変更指示を受けた場合等に、要求品質を満足する新しいAPを探索する手順を示す。
制御手順例1と同様に、ビーコン送信遅延αに対する送信時さらされ度合いが要求品質をクリアできるか否かを判定する判定閾値Sを設定し、ビーコン受信失敗βに対する受信時さらされ度合いが要求品質をクリアできるか否かを判定する判定閾値Rを設定する。
ここで、ビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βの集計期間T1,T2の決定においては、探索に許容できる時間を考慮する必要がある。UEが同時に信号を受信できるチャネルに制限が有り、複数のチャネルに存在するAPを探索する場合、UEは観測するチャネルを時間的に切り替えてAPからのビーコン信号を検出する必要があり、探索完了までには時間を要する。またAPに接続していない状態では、UEはその観測に用いているインターフェースでは通信ができないことから、CSMA/CA回線の利用率を上げるためには、集計期間T1,T2を短縮する必要がある。一方、集計期間T1,T2の短縮は、判定精度を低下させる。したがって、集計期間T1,T2の決定は、両者のトレードオフを考慮して決定する必要がある。
図7において、UEは、探索APから送信されたビーコン信号の受信履歴からビーコン送信遅延αを算出する(S11)。ここで、ビーコン送信遅延αの履歴から探索APにおけるビーコン送信失敗f(α)を推定しておく(S12)。
次に、ビーコン送信遅延αを集計期間T1で集計し、その集計結果と判定閾値Sとを比較し(S13)、ビーコン送信遅延αの集計結果がUEの要求品質をクリアできるか否かを判定する(S14)。ビーコン送信遅延αの集計結果(送信時さらされ度合い)が要求品質をクリアできる場合(S14:Yes )、探索APを接続候補とする(S15)。一方、送信時さらされ度合いが要求品質をクリアできない場合(S14:No)、そのAPを接続候補としない。以上のステップS11〜S15の処理を探索可能APをすべて探索するまで繰り返す(S16)。
探索可能APをすべて探索した後は、接続候補APからのビーコン受信なしβ’を把握し(S17)、ビーコン受信なしβ’からステップS12で推定したビーコン送信失敗f(α)を減算することにより、接続候補APからのビーコン受信失敗βを算出する(S18)。
次に、ビーコン受信失敗βを集計期間T2で集計し、その集計結果と判定閾値Rとを比較し(S19)、ビーコン受信失敗βの集計結果がUEの要求品質をクリアできるか否かを判定する(S20)。UEの要求品質をクリアできない場合は、接続候補APを候補から除外する(S21)。以上のステップS17〜S21の処理を接続候補APをすべて探索するまで繰り返す(S22)。
ここで、以上の処理手順は、UEで得られる情報のみを用いて判定する例である。他の例として、APが自身のビーコン送信遅延αやビーコン送信失敗f(α)、またはその集計結果を算出し、ビーコン信号に載せて送信している場合や、UEが該当のCSMA/CA回線以外の回線を用いてそれらの情報にアクセスできる場合等においては、UEはビーコン送信遅延αの算出やビーコン送信失敗f(α)の推定を省くことができる。
なお、求められた接続候補APの中でどのAPを選択すべきかについては、APの電波強度、チャネル利用率、接続端末台数等を用いた手法を組み合わせて行う等、どのような方法を採用しても問題ない。また、接続候補APが存在していない場合、UEは該当CSMA/CA回線を使用せず、別回線を通信に使用する選択が可能である。
ここで、従来はUEにとって探索可能なAPの中で受信信号強度が最大となるAPに接続していたが、本制御手順ではビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βに基づいて、UEの要求品質をクリアできるAPに接続し、UEの要求品質をクリアできる接続候補APがない場合は別回線を使用するとしており、その違いを確認するためのスループット測定実験の集計結果を示す。本実験では、IEEE802.11acに準拠したAPおよびUEを使用した。同一フロアに同一チャネルのAP6台と、それぞれのAP近傍にUE1台を設置してそのAPと接続し、APからUEへの下りフルバッファトラヒックを生起した。スループット測定対象UEについては、フロア内の複数のスループット測定点として概ね等間隔に設定した41点において、従来方式および制御手順例2の方式を用いて接続するAPを上記6台の中から決定し、その後に下りスループット測定を行った。なお全ての測定点で、スループット測定対象UEが1台以上のAPから通信を行うのに十分な電波強度の信号を受信できるよう、APの設置位置を決定した。
従来方式は、1Mbit/s 未満というUEの要求品質を満たさない無線LAN回線と、1Mbit/s 以上というUEの要求品質を満たす無線LAN回線をほぼ半々に接続している。一方、本制御手順では、1Mbit/s 未満というUEの要求品質を満たさない無線LAN回線を選択することはなく、1Mbit/s 以上というUEの要求品質を満たす無線LAN回線に接続するか(73%)、1Mbit/s 以上というUEの要求品質を満たす無線LAN回線がない場合には別回線(セルラ)に接続する制御(27%)が行われる。
(APの期待品質に基づくAPの制御手順例3)
APは通信に用いるチャネルを変更することができる。したがって、AP自身が送信時さらされ状況となっている場合、チャネルを変更することで送信時さらされ状況を回避できる場合がある。ただし、送信時さらされ状況であっても、その送信時さらされ度合いが低く、APの期待品質を保てる場合はチャネル制御を行う必要はない。なお、APに期待品質としては、制御手順例1と同様にスループット・レイテンシ・ジッタ・パケットロス等が挙げられる。
図8は、APの期待品質に基づくAPの制御手順例3を示す。
図8において、APは、送信されたビーコン信号の送信履歴からビーコン送信遅延αを算出する(S31)。なお、APのビーコン送信遅延αについてはAP自身で把握してもよいし、制御手順例1,2のようにビーコン送信遅延αの算出を行っているUEから取得してもよい。したがって、APはビーコン送信遅延の取得に対応していなくても本制御手順の実施が可能である。
次に、ビーコン送信遅延αを集計期間T1で集計し、その集計結果と判定閾値Sとを比較し(S32)、ビーコン送信遅延αの集計結果がAPの期待品質をクリアできるか否かを判定する(S33)。ビーコン送信遅延αの集計結果(送信時さらされ度合い)が期待品質をクリアできる場合(S33:Yes )、通信に用いているチャネルを維持する。一方、送信時さらされ度合いが期待品質をクリアできない場合(S33:No)、APのチャネル変更を指示する(S34)。
実施するチャネル制御の例として、制御の実施前においてビーコン信号を送信していたプライマリチャネル以外のチャネルを、制御後のプライマリチャネルとしてもよい。他の条件については、検出されたSSID数等を用いた既存の手法を組み合わせて行う等、どのような方法を採用しても問題ない。
ところで、APのチャネル制御は、システムにおけるチャネル環境に影響を与えるため、新たな隠れ端末の関係が発生して、新たな送信時さらされ状況/受信時さらされ状況を生み出す可能性がある。また、システムにおける複数のAPが同時にチャネル制御を行うと、チャネル制御の根拠であった隠れ端末の関係そのものが崩れ、チャネル制御が無意味となる場合が発生しうる。また、隠れ端末の関係は互いの信号を検出できないことを意味するので、1つのAPまたはそこに接続しているUEの情報を用いただけでは、隠れ端末の関係を完全に把握することはできない。したがって、システムにおける複数のAPのチャネル制御を図5に示す無線局管理装置30で管理し、送信時さらされ度合いの大きいものから順次制御を行う、1度にチャネル制御を行うAP数を制限して送信時さらされ度合いの大きいものから選択する等の制御を行うことで、効率向上が見込める。
(APの期待品質に基づくUEの制御手順例4)
APが受信時さらされ状況のUEと接続している状態において、そのUEに対してユニキャスト信号を送る場合、UEにおいて受信失敗となる可能性がある。受信失敗となるユニキャスト信号の送信は、そのAPに接続している他のUEや、そのAPの信号が到達する範囲に存在する他のAPやUEであれば有効に活用できる可能性があった無線リソースの無駄遣いとなる。ただし、接続するUEが受信時さらされ状況であっても、その受信時さらされ度合いが低く、APの期待品質を保てる場合、回線/接続先APの変更制御を行う必要はない。
図9は、APの期待品質に基づくUEの制御手順例4を示す。
図9において、APは、送信されたビーコン信号の送信履歴からビーコン送信遅延αを算出する(S41)。ここで、ビーコン送信遅延αの履歴から探索APにおけるビーコン送信失敗f(α)を推定しておく(S42)。
次に、接続先UEにおけるAPからのビーコン受信なしβ’を把握し(S43)、ビーコン受信なしβ’からステップS42で推定したビーコン送信失敗f(α)を減算することにより、APからのビーコン受信失敗βを算出する(S44)。次に、ビーコン受信失敗βを集計期間T2で集計し、その集計結果と判定閾値Rとを比較し(S45)、ビーコン受信失敗βの集計結果がAPの期待品質をクリアできるか否かを判定する(S46)。APの期待品質をクリアできない場合(S46:No)、すなわちUEにおける受信時さらされ度合いがAPの期待品質をクリアできないと判定される場合は、APとの通信停止や、回線または接続先APの変更を指示する(S47)。以上のステップS43〜S47の処理を接続先UEをすべて探索するまで繰り返す(S48)。
なお、上記判定においてはUEの情報が必要である。したがって、本制御手順例では、次のいずれかの処理を行う。
(1) APもしくは図5の無線局管理装置30が各UEからビーコン受信失敗βもしくはその集計結果に関するデータを取得し、各UEの回線/接続先APの変更を判断する。
(2) APの期待品質に関する情報と、回線/接続先APの変更判断に必要な情報をUEに共有しておき、UE自身が回線/接続先APの変更を判断する。
ここで、(2) の場合、制御手順例1の方法における回線/接続先APの変更判断と合わせて、APの期待品質に基づく判断を行ってもよい。
ところで、本制御手順例は、前述のように他のAPやUEへの影響を考慮しての設定であるため、例えば、APにおいてデータ信号の送受信を行っているUEが他に存在しない場合や、周辺の他のAPやUEがデータ信号の送受信を行っていない場合は、影響を与えない。したがって、影響を与える可能性がないと判断される場合、本制御手順を実施しないことも可能である。影響を与える可能性がないかどうかは、該当APの送受信履歴にある、該当APと接続先UEとの送受信履歴と、該当APと接続関係にないAPおよびUEからの信号受信履歴から判断可能である。これらの情報を該当APが送信するビーコン信号に載せて送信したり、UEがこれらの情報に別回線を用いてアクセスすることで、UE単体でも把握可能となる。
(APの期待品質に基づくAP,UEの制御手順例5)
図10は、APの期待品質に基づくAP,UEの制御手順例5を示す。
本制御手順例5は、図8に示すAPの期待品質に基づくAPの制御手順例3と、図9に示すAPの期待品質に基づくUEの制御手順例4を結合させたものであり、対応するステップは同じ符号を付している。
APのチャネルが変更になると、そのAPに接続しているUEに関する隠れ端末の関係は変化する。したがって、APの制御手順例3とUEの制御手順例4を独立して運用している場合、APのチャネル変更により、UEの回線/接続先APの変更の根拠であった隠れ端末の関係そのものが崩れ、UEの回線/接続先APの変更制御が無駄な制御となる可能性がある。このことから、APの制御手順例3とUEの制御手順例4を統合し、接続先APがチャネル制御対象でなかったUEについてのみ、回線/接続先APの変更制御の対象とする(S33→S43)。
本制御手順例では、次のいずれかの処理が可能である。
(1) APがUEからビーコン受信失敗βもしくはその集計結果に関するデータを取得、または無線局管理装置30がUEからビーコン受信失敗βもしくはその集計結果に関するデータとAPからビーコン送信遅延αもしくはその集計結果に関するデータを取得し、APのチャネル制御実施とUEの回線/接続先APの変更制御を判断する。
(2) APの期待品質に関する情報と、APのチャネル制御とUEの回線/接続先APの変更制御の判断に必要な情報をUEに共有しておき、UEが回線/接続先APの変更制御の判断だけでなく、接続先APのチャネル制御も判定する。
ここで、(2) の場合、制御手順例1の方法における回線/接続先APの変更判断と合わせて、APの期待品質に基づく判断を行ってもよい。
なお、制御手順例5を採用している場合でも、制御手順例3または制御手順例4を共存させてもよい。
(判定閾値S,Rと、集計期間T1,T2の算出手順例)
ビーコン送信遅延αは、送信時さらされ度合いだけでなく、送信時混雑度合いによっても変化する。またビーコン受信失敗βは、受信時さらされ度合いだけでなく、受信時混雑度合いによっても変化する。送信時混雑状況を送信時さらされ状況と判定し、または受信時混雑状況を受信時さらされ状況と判定すると、本発明における送信時さらされ状況/受信時さらされ状況の解決に最適化された制御が実施されることとなり、無駄な制御が行われたり、かえって制御によるシステム容量低下や通信品質の低下を発生させうる。したがって、制御手順例1〜5の判定に用いる判定閾値Sと判定閾値Rには、送信時混雑度合いや受信時混雑度合いを考慮する必要がある。
CSMA/CA方式では、ランダムなバックオフ時間を用いて衝突回避を行うため、ビーコン送信遅延αやビーコン受信失敗βは、時間軸に対してバラつきを有する。これは、送信時さらされ状況、送信時混雑状況、受信時さらされ状況、受信時混雑状況下の全てにおいて当てはまることから、集計期間T1,T2には、これらの時間的なバラつきを考慮する必要がある。
図11は、判定閾値S,Rと、集計期間T1,T2の算出手順例を示す。
図11において、ビーコン送信遅延αとビーコン受信失敗βについては、そのビーコン信号の送信優先度(=ビーコン送信優先度ζ)によって、送信時さらされ度合いと送信時混雑度合いから受ける影響の大きさと、受信時さらされ度合いと受信時混雑度合いから受ける影響の大きさが変化するため、送信時さらされ状況の判定を行うAP、ならびに、受信時さらされ状況の判定を行うUEにおいて受信するビーコン信号を送信しているAPについて、ビーコン送信優先度ζについて把握しておく(S51)。ビーコン送信優先度ζは、ビーコン信号中に含まれる情報や、APや無線局管理装置30への問い合わせによって把握する。
また、送信時混雑状況および受信時混雑状況においては、送信待機の無線局数ηが増えると、APが送信権を獲得できる確率が低下、かつAPから送信された信号のUEにおける衝突確率が増加するため、ビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βは増加する。したがって、送信時混雑状況および受信時混雑状況におけるビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βの算出のために、APとUE周辺の送信待機の無線局数ηを取得または推定する(S52)。
ただし、ビーコン信号は送信優先度が高く、送信待機の無線局数ηの増加に対するビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βの増加度合いは、ある程度以上の送信時さらされ度合いおよび受信時さらされ度合いにおけるビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βに対して小さい。したがって、送信待機の無線局数ηは考え得る最大の送信待機の無線局数として設定し、ある程度以上の送信時さらされ度合いと送信時混雑が複合、またはある程度以上の受信時さらされ度合いと受信時混雑が複合しているような状況においては、送信待機の無線局数ηの増加によるビーコン送信遅延αやビーコン受信失敗βの増加を無視してもよい。なお、送信権を獲得できる確率および送信された信号の衝突確率は、送信待機の無線局それぞれの信号の「送信優先度AC」が異なると変化するため、送信優先度AC毎の送信待機の無線局数η−ACを取得しておくことで判定精度を上げることができる。また、APとUEで周辺の送信待機の無線局数が異なる場合は、AP周辺の送信待機の無線局数η−AP、およびUE周辺の送信待機の無線局数η−UEを取得しておくことで判定精度を上げることができる。なお、UEがAPへ向けての信号送信を待機している場合、UEも送信待機の無線局数ηに含まれることとなる。
ビーコン送信遅延αは、AP自身、干渉無線局、競争無線局が1度送信権を獲得した後に、その送信権保有が終了するまでの時間である送信権保有期間θが長いほど大きくなり、送信権保有期間θが短いほど小さくなることから、干渉無線局や競争無線局の送信権保有期間θを把握しておく(S53)。
なお、ビーコン送信遅延は集計期間T1で集計を行うので、1つ1つの信号の送信権保有期間ではなく、平均値や期待値としても問題ない。この平均値や期待値は、システム中のAPやUEに設定されている送信権保有期間の情報、APやUEでの実測値、信号に含まれている送信権保有期間、例えばIEEE802.11規格においては、信号中のDurationフィールドに記載されている期間、CSMA/CA回線において定められている送信バースト長の上限値等の情報から算出が可能である。また、送信待機の無線局数ηと同様、APとUEで干渉無線局や競争無線局の送信権保有期間が異なる場合は、AP自身、AP周辺の干渉無線局、AP周辺の競争無線局の送信権保有期間θ−AP、およびUEが探索対象にしているAP自身・UE周辺の干渉無線局・UE周辺の競争無線局の送信権保有期間θ−UEを取得しておくことで判定精度を上げることができる。なお、UEがAPへ向けての信号送信を待機している場合、UEもAP周辺およびUE周辺の競争無線局となる。
次に、事前の実験や計算、または判定時における計算によって、時間軸に対するビーコン送信遅延とビーコン受信失敗の情報と、合わせてUEの要求品質やAPの期待品質に関する情報を取得する(S54)。詳細には、判定時において、入力されたビーコン送信優先度ζ、送信待機の無線局数η、送信権保有期間θに対応する事前実験または事前計算の結果を取得する、もしくはビーコン送信優先度ζ、送信待機の無線局数η、送信権保有期間θの情報を入力して計算を実施し、時間軸に対するビーコン送信遅延やビーコン受信失敗の情報と、UEの要求品質やAPの期待品質に関する情報を取得する。
なお、ビーコン信号は送信優先度が高く、ビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βは、送信時混雑度合いや受信時混雑度合いよりも、送信時さらされ度合いや受信時さらされ度合いから受ける影響の方が大きいことを利用し、実験または計算結果の保有量や計算量の削減を目的に、送信時さらされは図1(1) 、受信時さらされは図1(2) 、送信時混雑ならびに受信時混雑は図1(3) に示すような簡単なトポロジモデルを使用して実験や計算を行ってもよい。
実験結果や計算結果より、以下に説明する偽陰性、偽陽性、時間追従性の要求に対し、送信時さらされ度合いと送信時混雑度合いを考慮した判定閾値Sと集計期間T1と、受信時さらされ度合いと受信時混雑度合いを考慮した判定閾値Rと集計期間T2を決定する(S55)。
送信時さらされ度合いや受信時さらされ度合いが大きくなり、UEの要求品質やAPの期待品質をクリアできなくなった状況下におけるビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βの集計結果を、判定閾値S,Rの決定に使用し、合わせて、送信時混雑および受信時混雑におけるビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βの集計結果も、判定閾値S,Rの決定において考慮する。
判定における集計期間について説明する。まず、単に送信時混雑状況または受信時混雑状況であるものを送信時さらされ状況または受信時さらされ状況と判定してしまい、制御手順例1〜5までの制御を行ってしまうことを防ぐために、送信時混雑状況と受信時混雑状況での集計期間T1,T2でのビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βの集計結果が、送信時さらされ状況および受信時さらされ状況における集計期間T1,T2でのビーコン送信遅延αおよびビーコン受信失敗βの集計結果が交差することがないよう、集計期間T1,T2を設定する必要がある。なお、集計については、ビーコン送信遅延αは集計期間T1における平均化の他、最大値、ビーコン送信遅延が一定値以上のビーコンの割合等、どのような指標を用いてもよい。以降は、例としてビーコン送信遅延平均値を用いて説明する。また、ビーコン受信失敗βは、集計期間T2におけるビーコン受信失敗率(=受信失敗数/(正常受信数+受信失敗数))の他、ビーコン受信失敗連続回数の平均値や最大値等、どのような指標を用いてもよい。以降は、例としてビーコン受信失敗率を用いて説明する。
図12は、ビーコン送信遅延の判定閾値Sと集計期間T1の決定例を示す。ここでは、図1(1),(3) のモデルにおいて、干渉無線局数2とする送信時さらされ状況と、競争無線局数7とする送信時混雑状況を想定し、ビーコン送信遅延平均値の時間推移の実験結果を示す。図12の例では、2つが交わらない最低の集計期間T1は1 秒であるため、この例においては、集計期間T1を1秒以上で設定することになる。
図13は、ビーコン受信失敗の判定閾値Rと集計期間T2の決定例を示す。ここでは、図1(2),(3) のモデルにおいて、干渉無線局数1とする受信時さらされ状況と、競争無線局数7とする受信時混雑状況を想定し、ビーコン受信失敗率の時間推移の実験結果を示す。図13の例では、2つが交わらない最低の集計期間T1は3秒であるため、この例においては、集計期間T2を3秒以上で設定することになる。
また本発明における制御は、APの期待品質またはUEの要求品質をクリアできていない/できているという2値に基づいているため、
真陽性:実際に品質をクリアできていない状態を品質をクリアできていないと判定
偽陰性:実際に品質をクリアできていない状態を品質クリアできていると判定
偽陽性:実際に品質をクリアできている状態を品質クリアできていないと判定
真陰性:実際に品質をクリアできている状態を品質クリアできていると判定
の4パターンの発生可能性があるため、判定閾値S,Rと集計期間T1,T2については、下記3点の判定精度に関する項目を考慮して決定する必要がある。
(1) 偽陰性:
判定閾値S,Rが、集計期間T1,T2におけるビーコン送信遅延平均値およびビーコン受信失敗率の時間変動における最小値でない場合、品質をクリアできていないAPまたはUEについて品質をクリアできていると判定する偽陰性の確率が生じ、判定閾値S,Rが大きくなる程この確率は高くなる。したがって、品質がクリアできていない状態を改善する制御が実施されない確率が発生し、通信品質の低下が継続したり、また品質がクリアできている場合に制御が実施される場合、例えば制御手順例2の接続候補APの導出は、品質がクリアできていないCSMA/CA回線を使用してしまう確率が発生する。
(2) 偽陽性:
判定閾値S,Rが、集計期間T1,T2におけるビーコン送信遅延平均値およびビーコン受信失敗率の時間変動における最大値でない場合、品質をクリアできているAPまたはUEについて品質クリアできていないと判定する偽陽性の確率が生じ、判定閾値S,Rが小さくなる程この確率は高くなる。したがって、品質がクリアできているにも関わらず制御が実施されてしまう確率が発生し、CSMA/CA回線の利用率やシステム容量が低下したり、また品質がクリアできている場合に制御が実施される場合、例えば制御手順例2の接続候補APの導出は、品質がクリアできているCSMA/CA回線を使用しない確率が発生する。
(3) 時間追従性:
集計期間T1,T2を長く設定するとビーコン送信遅延平均値およびビーコン受信失敗率の時間変動が抑えられ、上記 (1)と(2) に記載の最小値と最大値が同様の値をとるようになり、偽陰性または偽陽性の削減が可能となる。しかしこの場合は、長い集計期間T1,T2により、品質をクリアできていない/できている、と判定できるようになるまでの時間が長くなり、集計期間T1,T2が長くなるほど、環境変動への応答時間が長くなる、もしくは環境変動の時間分解能が悪くなるといったように、時間追従性が劣化する。
10 アクセスポイント(AP)
11 無線信号送受信部
12 無線信号送受信履歴把握部
13 ビーコン送信遅延算出部
14 さらされ判定部
15 判定閾値/集計期間決定部
16 制御決定部
17 チャネル制御部
20 ユーザ端末(UE)
21 無線信号送受信部
22 無線信号送受信履歴把握部
23 受信失敗算出部
24 さらされ判定部
25 判定閾値/集計期間決定部
26 制御決定部
27 回線/接続先AP制御部
30 無線局管理装置
31 ビーコン送信遅延・受信失敗データベース部
34 さらされ判定部
35 判定閾値/集計期間決定部
36 制御決定部

Claims (8)

  1. CSMA/CAによるアクセス制御を行うアクセスポイント(AP)およびユーザ端末(UE)が、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信システムにおいて、
    前記APの周辺に存在する送信待機の無線局による送信時混雑度合いを考慮した前記APの送信時さらされ度合いを判定し、前記UEの周辺に存在する送信待機の無線局による受信時混雑度合いを考慮した前記UEの受信時さらされ度合いを判定する判定手段と、
    前記送信時さらされ度合いもしくは前記受信時さらされ度合いが前記UEの要求品質をクリアできない場合に、前記UEの接続先APの変更または他の回線への変更制御を行う制御手段と
    を備えたことを特徴とする無線通信システム。
  2. 請求項1に記載の無線通信システムにおいて、
    前記制御手段は、前記送信時さらされ度合いが前記UEの要求品質をクリアできるAPであり、かつ該APに接続されるUEの前記受信時さらされ度合いが前記UEの要求品質をクリアできる場合に、該APを接続先とする制御を行う構成である
    ことを特徴とする無線通信システム。
  3. CSMA/CAによるアクセス制御を行うアクセスポイント(AP)およびユーザ端末(UE)が、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信システムにおいて、
    前記APの周辺に存在する送信待機の無線局による送信時混雑度合いを考慮した前記APの送信時さらされ度合いを判定する判定手段と、
    前記送信時さらされ度合いが前記APの期待品質をクリアできない場合に、前記APのチャネル変更制御を行う制御手段と
    を備えたことを特徴とする無線通信システム。
  4. CSMA/CAによるアクセス制御を行うアクセスポイント(AP)およびユーザ端末(UE)が、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信システムにおいて、
    前記UEの周辺に存在する送信待機の無線局による受信時混雑度合いを考慮した前記UEの受信時さらされ度合いを判定する判定手段と、
    前記受信時さらされ度合いが前記APの期待品質をクリアできない場合に、前記UEにおける接続先APの変更または他の回線への変更制御を行う制御手段と
    を備えたことを特徴とする無線通信システム。
  5. CSMA/CAによるアクセス制御を行うアクセスポイント(AP)およびユーザ端末(UE)が、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信システムにおいて、
    前記APの周辺に存在する送信待機の無線局による送信時混雑度合いを考慮した前記APの送信時さらされ度合いを判定し、前記UEの周辺に存在する送信待機の無線局による受信時混雑度合いを考慮した前記UEの受信時さらされ度合いを判定する判定手段と、
    前記送信時さらされ度合いが前記APの期待品質をクリアできない場合に前記APのチャネル変更制御を行い、前記受信時さらされ度合いが前記APの期待品質をクリアできない場合に、前記UEにおける接続先APの変更または他の回線への変更制御を行う制御手段と
    を備えたことを特徴とする無線通信システム。
  6. 請求項1,4,5のいずれかに記載の無線通信システムにおいて、
    前記判定手段は、前記APの送信時混雑度合いを考慮した前記APの送信時さらされ度合いを含めて前記UEの受信時さらされ度合いを判定する構成である
    ことを特徴とする無線通信システム。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の無線通信システムにおいて、
    前記判定手段は、前記送信時混雑度合いを考慮した前記APの送信時さらされ度合いの判定、もしくは受信時混雑度合いを考慮した前記UEの受信時さらされ度合いの判定を、所定の期間で指標を集計した集計結果と判定閾値を用いて行う構成である
    ことを特徴とする無線通信システム。
  8. CSMA/CAによるアクセス制御を行うアクセスポイント(AP)およびユーザ端末(UE)が、隠れ端末の影響によるAPの送信時さらされ状況とUEの受信時さらされ状況を判定し、その判定結果に基づいて隠れ端末の影響を回避する制御を行う無線通信制御方法において、
    前記APの周辺に存在する送信待機の無線局による送信時混雑度合いを考慮した前記APの送信時さらされ度合いを判定するステップと、
    前記UEの周辺に存在する送信待機の無線局による受信時混雑度合いを考慮した前記UEの受信時さらされ度合いを判定するステップと、
    前記送信時さらされ度合いが前記APの期待品質をクリアできない場合に前記APのチャネル変更制御を行い、前記送信時さらされ度合いもしくは前記受信時さらされ度合いが前記UEの要求品質もしくは前記APの期待品質をクリアできない場合に、前記UEの接続先APの変更または他の回線への変更制御を行うステップと
    を有することを特徴とする無線通信制御方法。
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