JP6674033B2 - プラント異常診断装置及びプラント異常診断システム - Google Patents
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Description
次に、プラントの計測データをARTの入力として設定し、カテゴリー番号を出力する。この処理を「診断」と呼ぶ。診断処理で出力されたカテゴリー番号が、学習処理で出力されたカテゴリー番号に含まれていれば正常と判断する。一方、学習処理では出力されなかったカテゴリー番号が新規に出力された場合、この入力データは正常データには含まれないデータパターンであり、異常と判断する。
また、特許文献1では、異常状態への寄与率の高い信号を選定するために、入力データを多次元空間にマッピングしたときの位置関係を利用している。診断処理において、入力データが正常を示すカテゴリーに含まれなかった場合、空間上での入力データと、それに最も近いカテゴリーの重心との位置関係に対して、各軸(各信号)の方向への距離差から各信号の寄与率を求めている。
また、本発明のプラント異常診断システムは、診断対象のプラントの異常を診断するプラント異常診断装置と、前記診断断対象のプラントのプロセス制御及び前記断対象のプラントに設置される各種センサからの複数の計測データを前記プラント異常診断装置に送信するプラント制御装置と、入力部及び表示部を有する入出力装置と、を備え、前記プラント異常診断装置は、前記プラント制御装置より送信される各種センサからの複数の計測データに対し、適応共鳴理論により正常時のデータで判別したカテゴリーに属するデータと前記複数の計測データとの空間上の距離の差分に基づき、前記診断対象のプラント全体の異常度を求める異常度算出部を有することを特徴とする。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
データ前処理部102は、内部バス113を介してプラントデータベース108へアクセスし、プラントデータベース108に格納されたデータから、後述するARTによる診断処理の入力となるデータを取り込み、さらに、ART処理の入力となるように、データを0から1の間に規格化する。またデータ前処理部102は、内部バス113を介して異常度算出部103へ規格化後のデータを転送する。
ART制御部104は、内部バス113を介して異常度算出部103にて算出された異常度を取り込み、異常度の出力傾向に応じて、ARTによる処理の実行タイミングを制御する。
クラスタリングでは、図2の上図に示すように空間上にプロットされたデータに対し、相互に近い関係にあるデータをまとめて、グループ(クラスタ)を定義する。図2の上図に示す例では、丸にて示される210a及び210bがそれぞれ1つのグループを表している。ARTでは、各グループをカテゴリーと呼び、カテゴリー210a及びカテゴリー210bにそれぞれ異なるカテゴリー番号を割り当て識別可能としている。従って、ARTの出力は、入力データに対して割り当てたカテゴリー番号となる。同じカテゴリー番号が割り当てられたデータは類似の傾向にあることを表す。また、図2の上図に示す例では、2次元の場合、すなわち、2つの信号(信号X1、信号X2)を入力とした場合を示しているが、これは説明を解り易くするためである。実際のプラント5の異常診断では、多数の信号が入力として設定され、多次元空間の中でクラスタリングの処理を行う。
図3に示すように、ART処理部105は、少なくとも、正規化・ノイズ除去部(F0レイヤー)310、入力パターン保持部(F1レイヤー)311、カテゴリー出力部(F2レイヤー)312、カテゴリー妥当性判定部(Orienting Subsystem)313、及びメモリー314から構成されている。ART処理部105により実行されるアルゴリズム(ARTによる処理)は、以下のステップ1〜ステップ6となる。
WJ(new)=Kw×p+(1−Kw)×WJ(old)・・・(1)
ここで、WJ(new)はカテゴリーJに対応する重み係数、WJ(old)は過去の重み係数、pは入力データ(または、入力データから派生したデータ)、Kwは学習率パラメータであり、入力データを新しい重み係数に反映させる度合いを決定する。
ART処理部105によるクラスタリング処理の特徴はステップ5の処理にある。ステップ5の処理により、入力データが既存のカテゴリー(クラスタ)と異なる傾向をもつ場合、既存カテゴリーはそのままで、新しいカテゴリーを新規に作成できる。このため、過去に学習したカテゴリーを保存しながら、新たなデータの傾向をもつカテゴリーを作成することが可能となる。
Sn=A×Rn ・・・(3)
よって、信号X1の異常度SX1は、(A×ΔX1)/(ΔX1+ΔX2)として求められ、信号X2の異常度SX2は、(A×ΔX2)/(ΔX1+ΔX2)として求められる。各信号の異常度Snを合計した値は、診断対象であるプラント5全体の異常度Aと等しい関係にある。従って、異常度算出部103によって算出した異常度は、図9に示すような表示形態にて表示できる。図9は、異常度の時間変化を示す図であり、縦軸に異常度を取り、横軸に時間を取り、各信号(信号X1、信号X2)の異常度Snを色分けして表示している。上述のとおり信号X1の異常度(SX1)と信号X2の異常度(SX2)の合計が、診断対象であるプラント5全体の異常度Aとなる。すなわち、各信号(信号X1、信号X2)の異常度Snは、診断対象であるプラント5全体の異常度Aに対する各信号(信号X1、信号X2)の内訳として評価できる。この表示形態であれば、異常度Snの値が大きくなったとき、どの信号nが正常状態からの逸脱が大きいのかを視覚的に容易に判断できる。
例えば、「日時」が「2016年6月1日 00:00」では、診断対象であるプラント5全体の異常度Aを示す「異常度」欄には「0.01」、及び「異常寄与度(Rn)」欄には「信号A」の異常寄与度RAである「0.0」、「信号B」の異常寄与度RBである「0.0」が格納されている。また、「日時」が「2016年6月1日 01:30」では、診断対象であるプラント5全体の異常度Aを示す「異常度」欄には「0.05」、及び「異常寄与度(Rn)」欄には「信号A」の異常寄与度RAである「0.1」、「信号B」の異常寄与度RBである「0.5」が格納されている。なお、本実施例では、各信号nの異常寄与度(Rn)を格納する構成としたが、これに代えて、各信号nの異常度(Sn)を格納する構成としても良い。
ART処理部105が、ARTによる処理で新規にカテゴリーを作成する場合、既存カテゴリー(正常カテゴリー)外のデータが蓄積された時点で、新規カテゴリー(異常カテゴリー)を作成すれは効率が向上する。図11に、ARTによるクラスタリングの概念の説明図を示す。特に、図11に示すように、2次元空間上でまとまった位置に多数存在するケースが良い。これを踏まえ、ART制御部104は、以下に示す条件のいずれかが満たされる場合に、ART処理部105を起動し、ARTによる処理を実行させる。
条件1:診断対象であるプラント5全体の異常度Aが閾値を超えた回数が一定数以上 条件2:信号nの異常度Snが閾値を超えた回数が一定数以上(信号毎にカウント) 条件3:最近接の正常カテゴリーとして選ばれた回数が一定数以上(カテゴリー毎にカウント)
なお、各条件における閾値は、例えば、上述の学習処理時におけるデータのゆらぎ(データが有する特性)を考慮し、診断対象であるプラント5全体の異常度A又は信号nの異常度Snの算出結果に基づき、適宜設定される。
また、本実施例によれば、ARTによるカテゴリー判定処理を一定時間間隔で行うのではなく、異常度の傾向に応じて、或は異常度の高いデータが蓄積された時点で、判定処理の実行を制御することにより、判定処理に要する計算負荷を軽減できると共に、トータルの処理時間を短縮でき、プラント全体での異常を早期に判定できる。
また、診断対象のプラント全体の異常度に加え、信号毎の異常度も含めて表示装置の画面上に表示することにより、いずれの信号が正常カテゴリーから逸脱しているかを視覚的に容易に把握できる。
また、ART処理によって判定するカテゴリーと異常事象に関する情報を対応付けて異常事象データベースに格納することにより、過去に発生した異常と同様の異常に対しては、上述の診断対象のプラント全体の異常度、信号後の異常度に加えて、異常事象などの情報も含めてユーザへ提供することにより、異常対応の検討に役立てることができる。
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
Claims (8)
- 診断対象のプラントに設置される各種センサからの複数の計測データに対し、適応共鳴理論によりカテゴリー判別処理を実行するART処理部と、
前記ART処理部の起動タイミングを制御するART制御部と、
前記複数の計測データに対し、前記ART処理部において、正常時のデータで判別したカテゴリーに属するデータと前記複数の計測データとの空間上の距離の差分に基づき、前記診断対象のプラント全体の異常度を求め、前記正常時のデータで判別したカテゴリーに属するデータと、前記複数の計測データ毎の軸方向における距離の差分に基づき、前記複数の計測データ毎の異常度を算出する異常度算出部を備え、
前記ART制御部は、前記異常度算出部により求められた前記診断対象のプラント全体の異常度が、所定の閾値を超える回数が一定数以上の場合、前記ART処理部を起動することを特徴とするプラント異常診断装置。 - 診断対象のプラントに設置される各種センサからの複数の計測データに対し、適応共鳴理論によりカテゴリー判別処理を実行するART処理部と、
前記ART処理部の起動タイミングを制御するART制御部と、
前記複数の計測データに対し、前記ART処理部において、正常時のデータで判別したカテゴリーに属するデータと前記複数の計測データとの空間上の距離の差分に基づき、前記診断対象のプラント全体の異常度を求め、前記正常時のデータで判別したカテゴリーに属するデータと、前記複数の計測データ毎の軸方向における距離の差分に基づき、前記複数の計測データ毎の異常度を算出する異常度算出部を備え、
前記ART制御部は、前記異常度算出部により求められた前記複数の計測データ毎の異常度が、所定の閾値を超える回数が一定数以上の場合、前記ART処理部を起動することを特徴とするプラント異常診断装置。 - 請求項1または請求項2のうち、いずれか1項に記載のプラント異常診断装置において、
入力部及び表示部を有する入出力装置と接続し、
前記表示部は、前記異常度算出部により算出された前記複数の計測データ毎の異常度の時間変化を表示する第1表示領域と、前記ART処理部によるカテゴリー判別処理にて得られるカテゴリー番号の時間変化を表示する第2表示領域と、を備えることを特徴とするプラント異常診断装置。 - 請求項1または請求項2のうち、いずれか1項に記載のプラント異常診断装置において、
入力部及び表示部を有する入出力装置と接続し、
前記表示部は、前記ART処理部によるカテゴリー判別処理にて得られるカテゴリー番号の時間変化を表示する第1表示領域と、前記入力部を介して異常事象登録の入力を受け付ける入力領域と、を備えることを特徴とするプラント異常診断装置。 - 診断対象のプラントの異常を診断するプラント異常診断装置と、
前記診断対象のプラントのプロセス制御及び前記診断対象のプラントに設置される各種センサからの複数の計測データを前記プラント異常診断装置に送信するプラント制御装置と、
入力部及び表示部を有する入出力装置と、を備え、
前記プラント異常診断装置は、
前記プラント制御装置より送信される各種センサからの複数の計測データに対し、適応共鳴理論によりカテゴリー判別処理を実行するART処理部と、
前記ART処理部の起動タイミングを制御するART制御部と、
前記複数の計測データに対し、前記ART処理部において、正常時のデータで判別したカテゴリーに属するデータと前記複数の計測データとの空間上の距離の差分に基づき、前記診断対象のプラント全体の異常度を求め、前記正常時のデータで判別したカテゴリーに属するデータと、前記複数の計測データ毎の軸方向における距離の差分に基づき、前記複数の計測データ毎の異常度を算出する異常度算出部を有し、
前記ART制御部は、前記異常度算出部により求められた前記診断対象のプラント全体の異常度が、所定の閾値を超える回数が一定数以上の場合、前記ART処理部を起動することを特徴とするプラント異常診断システム。 - 診断対象のプラントの異常を診断するプラント異常診断装置と、
前記診断対象のプラントのプロセス制御及び前記診断対象のプラントに設置される各種センサからの複数の計測データを前記プラント異常診断装置に送信するプラント制御装置と、
入力部及び表示部を有する入出力装置と、を備え、
前記プラント異常診断装置は、
前記プラント制御装置より送信される各種センサからの複数の計測データに対し、適応共鳴理論によりカテゴリー判別処理を実行するART処理部と、
前記ART処理部の起動タイミングを制御するART制御部と、
前記複数の計測データに対し、前記ART処理部において、正常時のデータで判別したカテゴリーに属するデータと前記複数の計測データとの空間上の距離の差分に基づき、前記診断対象のプラント全体の異常度を求め、前記正常時のデータで判別したカテゴリーに属するデータと、前記複数の計測データ毎の軸方向における距離の差分に基づき、前記複数の計測データ毎の異常度を算出する異常度算出部を有し、
前記ART制御部は、前記異常度算出部により求められた前記複数の計測データ毎の異常度が、所定の閾値を超える回数が一定数以上の場合、前記ART処理部を起動することを特徴とするプラント異常診断システム。 - 請求項5または請求項6のうち、いずれか1項に記載のプラント異常診断システムにおいて、
前記表示部は、前記異常度算出部により算出された前記複数の計測データ毎の異常度の時間変化を表示する第1表示領域と、前記ART処理部によるカテゴリー判別処理にて得られるカテゴリー番号の時間変化を表示する第2表示領域と、を備えることを特徴とするプラント異常診断システム。 - 請求項5または請求項6のうち、いずれか1項に記載のプラント異常診断システムにおいて、
前記表示部は、前記ART処理部によるカテゴリー判別処理にて得られるカテゴリー番号の時間変化を表示する第1表示領域と、前記入力部を介して異常事象登録の入力を受け付ける入力領域と、を備えることを特徴とするプラント異常診断システム。
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