JP6354171B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、膜形成方法および半導体装置の製造方法に関し、例えばインクジェット法を用いた膜形成方法および半導体装置の製造方法に関する。
液晶ディスプレイや半導体装置等を構成する基板上には、たとえば樹脂組成物により構成される樹脂膜が設けられる。特許文献1および2においては、たとえばこのような樹脂膜を形成する技術が記載されている。
特許文献1には、シロキサン系重合体、空孔形成剤、および有機溶媒を含むトレンチ埋込用組成物を基体上に塗布して塗膜を形成した後、この塗膜に対して加熱処理および光処理のいずれか一方を行うトレンチ埋め込み方法が記載されている。特許文献2は、下部平坦化絶縁層および上部平坦化絶縁層がこの順に積層された平坦化絶縁層を有する表示装置に関する技術である。
特開2012−134302号公報 特開2006−80023号公報
基材上に形成された樹脂膜を備える構造体において、樹脂膜は、たとえば基材の一面上に膜形成材料を塗布することにより得られる。しかしながら、基材の一面に凹部が設けられている場合、樹脂膜表面について十分な平坦性を得ることが困難となるおそれがある。
また、本発明によれば、
シリコン基板と前記シリコン基板上に設けられた金属層を含み、かつ前記金属層を有する一面に前記シリコン基板に到達する凹部が設けられたウェハを準備する工程と、
前記ウェハの前記一面に対して膜形成材料を塗布することにより、樹脂膜を形成する工程と、
を備え、
前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記膜形成材料を塗布する方法は、インクジェット塗布法であり、
前記樹脂膜の膜厚は、1μm以上20μm以下であり、
前記ウェハの前記一面は、前記凹部が形成された第1領域と、前記凹部が形成されていない第2領域と、を有しており、
前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記第1領域の単位面積に対して吐出される前記膜形成材料の吐出量は、前記第2領域の単位面積に対して吐出される前記膜形成材料の吐出量よりも多い半導体装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、基材上に設けられる樹脂膜の平坦性を向上させることができる。
本実施形態に係る構造体を示す断面図である。 図1に示す構造体を示す平面図である。 図1に示す構造体の全体を示す平面図である。 インクジェット塗布法による塗布の一例を示す平面図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る構造体100を示す断面図である。図2は、図1に示す構造体100を示す平面図である。なお、図1は、図2中のA−A'断面を示す。
本実施形態に係る膜形成方法は、一面に凹部22を有する基材1の上記一面に対してインクジェット塗布法を用いて膜形成材料を塗布することにより、樹脂膜10を形成する工程を備える。また、基材1の一面は、凹部22が形成された第1領域30と、第1領域30とは異なる第2領域32と、を有している。また、樹脂膜10を形成する上記工程において、第1領域30の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量は、第2領域32の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量よりも多い。
基材の一面上に樹脂膜を形成する方法としては、たとえばスピンコート法により膜形成材料を塗布する方法が挙げられる。しかしながら、基材の一面に凹部が設けられている場合、スピンコート法による塗布では凹部に対する埋め込み性を十分に得ることができず、凹部内に空隙が発生するおそれがあった。また、凹部に起因した凹凸が樹脂膜表面に発生し、十分な平坦性を有する樹脂膜を得ることが困難であった。このため、本発明者は、インクジェット塗布法により膜形成材料を塗布することによって樹脂膜を形成することを検討した。しかしながら、このような場合においても、基材に設けられた凹部に起因した凹凸が樹脂膜表面に発生し、樹脂膜の平坦性が低下することが懸念された。
本実施形態に係る膜形成方法は、このような知見に基づいてなされたものである。本実施形態によれば、インクジェット塗布法を用いた膜形成材料の塗布によって樹脂膜10を形成する工程において、凹部22が形成された第1領域30の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量を、凹部22が形成されていない第2領域32の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量よりも多くする。これにより、凹部22に起因した凹凸の発生を抑え、樹脂膜10の平坦性を向上させることが可能となる。
以下、本実施形態に係る構造体100および膜形成方法について詳細に説明する。
まず、構造体100について説明する。
構造体100は、基材1と、基材1の一面に設けられた樹脂膜10と、を備える。基材1は、凹部22を一面上に有する。樹脂膜10は、基材1に設けられた凹部22を埋め込むように、基材1の一面上に設けられている。
基材1の一面は、凹部22が形成された第1領域30と、第1領域30とは異なる第2領域32と、を有する。すなわち、第2領域32は、基材1の一面のうち凹部22が形成されていない領域であり、当該一面のうちの第1領域30以外の領域を指す。第1領域30は、たとえば基材1の一面のうち平面視において凹部22と一致する領域である。
基材1としては、とくに限定されないが、たとえばTFT型液晶や有機EL等の表示体装置用基材、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜、ウェハ、石英基板、セラミック基板等が挙げられる。
図1においては、基材1がウェハである場合が例示されている。この場合、ウェハである基材1は、たとえばシリコン基板20と、シリコン基板20上に設けられた金属層26と、を含む。金属層26は、たとえばAl等を主成分とする金属材料により構成される。シリコン基板20上には、複数の配線層が互いに積層された多層配線構造が形成されていてもよい。この場合、金属層26は、たとえば多層配線構造の最上層に設けられる。また、シリコン基板20の一面には、トランジスタ等の半導体素子が形成されていてもよい。
基材1の一面上には、一または二以上の凹部22が設けられている。二以上の凹部22が設けられる場合、各凹部22の深さは、それぞれ独立して選択することが可能である。すなわち、任意に選択された二つの凹部22は、互いに異なる深さを有していてもよく、互いに同一の深さを有していてもよい。また、二以上の凹部22が設けられる場合、基材1の一面は、互いに離間した第1領域30を凹部22と同数、すなわち二以上有することとなる。
凹部22の深さ(D)は、基材1を貫通しない範囲において適宜選択することが可能である。本実施形態において、凹部22の深さ(D)は、とくに限定されないが、たとえば20μm以上150μm以下とすることができる。
凹部22の幅(W)は、とくに限定されないが、たとえば10μm以上100μm以下とすることができる。なお、凹部22の幅(W)とは、基材1の一面に平行な面内方向における長さである。凹部22が溝状である場合には溝の延在方向と直交する方向における長さを、凹部22が孔状である場合には短手方向における長さを、それぞれ凹部22の幅(W)とすることができる。
凹部22の幅(W)に対する凹部22の深さ(D)の比は、たとえば1以上3以下とすることができる。このとき、凹部22の幅(W)と深さ(D)の比(W:D)は、1:1〜1:3となる。このように、高いアスペクト比を有する凹部22が設けられる場合であっても、本実施形態の膜形成方法によれば十分な埋め込み性を実現することができる。
図1に示す例においては、基材1が、シリコン基板20と金属層26を含んでいる。この場合、凹部22は、たとえば金属層26を貫通してシリコン基板20へ至るように形成される。すなわち、凹部22内には、シリコン基板20の一部が露出することとなる。また、図1に示すように、基材1の一面には、たとえば互いに深さの異なる凹部220(22)と凹部221(22)を設けることができる。
図2においては、凹部22が、基材1を貫通しない孔状である場合が例示されている。この場合、孔状である凹部22の平面形状はとくに限定されず、たとえば円形、楕円形、または多角形とすることができる。一方で、凹部22は、溝状であってもよい。
樹脂膜10は、基材1の一面上に、凹部22を埋め込むように設けられている。基材1の一面に二以上の凹部22が設けられている場合、樹脂膜10は、一部の凹部22のみを埋め込むように形成されていてもよく、全ての凹部22を埋め込むように形成されていてもよい。樹脂膜10の膜厚(T)は、とくに限定されないが、たとえば1μm以上20μm以下とすることができる。ここで、樹脂膜10の膜厚(T)とは、基材1の一面を基準とした樹脂膜10の厚さを指す。
図3は、図1に示す構造体100の全体を示す平面図である。図3においては、樹脂層10が基材1の一面の一部のみを覆い、基材1の外周端28が全周において露出する場合が例示される。これにより、とくに基材1がウェハである場合には、配線が形成されない外周端28に樹脂層10を形成することが不要となり、製造コストの増大を抑制できる。なお、図3に示すように基材1の一面の一部のみが樹脂膜10により覆われる場合には、第1領域30と第2領域32は、基材1の一面のうち樹脂膜10により覆われた領域内のみに位置することとなる。
樹脂膜10は、基材1の一面に対してインクジェット塗布法を用いて膜形成材料を塗布することにより形成される。これにより、凹部22に対する樹脂膜10の埋め込み性を良好なものとすることができる。本実施形態においては、たとえば基材1の一面上にインクジェット塗布法により膜形成材料を塗布して得られる塗布膜を加熱乾燥することにより樹脂膜10を形成することができる。
樹脂膜10を形成するために用いられる膜形成材料は、たとえばアルカリ可溶性樹脂(A)と、感光剤(B)と、を含む。これにより、リソグラフィによるパターニングが可能な樹脂膜10を形成することが可能となる。なお、本実施形態における膜形成材料は、たとえばワニス状とすることができる。
以下、膜形成材料について詳細に説明する。
(アルカリ可溶性樹脂(A))
膜形成材料は、アルカリ可溶性樹脂(A)を含む。アルカリ可溶性樹脂(A)としては、主鎖または側鎖に、水酸基、特にフェノール性水酸基および/またはカルボキシル基を有するものであり、たとえばフェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、メタクリル酸樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等のアクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、およびアミド結合を有する前駆体が挙げられる。これらの中でも、フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、またはアミド結合を有する前駆体を含むことが好ましく、耐熱性や膜靭性を向上させる観点からはポリベンゾオキサゾール前駆体、ポリイミド前駆体等のアミド結合を有する前駆体を含むことがとくに好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A)は、これらのうちの1種または2種以上を含むことができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)におけるアミド結合を有する前駆体としては、たとえば下記一般式(1)により示される繰り返し単位を有するものを用いることができる。
Figure 0006354171
式(1)中、XおよびYは、有機基である。Rは、水酸基、−O−R、アルキル基、アシルオキシ基、またはシクロアルキル基であり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なっても良い。Rは、水酸基、カルボキシル基、−O−R、または−COO−Rであり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なっても良い。RおよびRにおけるRは、炭素数1〜15の有機基である。Rとして水酸基がない場合、Rの少なくとも1つはカルボキシル基である。Rとしてカルボキシル基がない場合は、Rの少なくとも1つは水酸基である。mは0〜8の整数であり、nは0〜8の整数である。
なお、一般式(1)により示されるアミド結合を有する前駆体において、X、Y、R〜R、mおよびnは、それぞれ繰り返し単位毎に同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体において、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応を生じさせることにより、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、またはイミド結合とオキサゾール環を含む共重合体が生成される。アルカリ可溶性樹脂(A)としてアミド結合を有する前駆体を用いる場合、アルカリ可溶性樹脂(A)は、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、およびイミド結合とオキサゾール環を含む共重合体のうちの一種または二種以上を含んでいてもよい。なお、上記式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体は、脱水閉環して生じるイミド結合またはオキサゾール環を一部に含んでいてもよい。
一般式(1)により示されるアミド結合を有する前駆体がポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、Rの少なくとも一つは水酸基である。この場合、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応により、Rとアミド構造との間において脱水閉環が起こり、オキサゾール環を有するポリベンゾオキサゾール樹脂が生成される。また、一般式(1)により示されるアミド結合を有する前駆体がポリイミド前駆体である場合、Rの少なくとも一つはカルボキシル基である。この場合、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応により、Rとアミド構造との間において脱水閉環(イミド化)が起こり、ポリイミド樹脂が生成される。
一般式(1)で表される繰り返し単位を有するアミド結合を有する前駆体において、RおよびRとしては、アミド結合を有する前駆体のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する上で、水酸基及びカルボキシル基を保護基Rで保護された基を含むことができる。このようなRとしては−O−Rを、Rとしては−O−Rまたは−COO−Rを、それぞれ用いることができる。Rとしての炭素数1〜15の有機基としては、たとえばホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、およびテトラヒドロピラニル基が挙げられる。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体のXとしての有機基は、とくに限定されるものではないが、たとえばベンゼン環、ナフタレン環またはビスフェノール構造等の構造からなる芳香族基、ピロール環またはフラン環等の構造からなる複素環式有機基、およびシロキサン基が挙げられる。より具体的には以下に示されるものが好ましい。これらは、1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0006354171
(*は、一般式(1)におけるNH基に結合することを示す。Aは、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−C−O−、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−または単結合である。Rは、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示し、繰り返し単位毎に同一であっても異なっていてもよい。Rは、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示す。sは0〜4の整数である。R〜Rはそれぞれ有機基である。ここでは、一般式(1)に示すXの置換基Rは省略している)
これらの中でもとくに好ましいものとしては、たとえば以下に示すもの(一般式(1)に示すRが示されているものを含む)が挙げられる。
Figure 0006354171
(*は一般式(1)におけるNH基に結合することを示す。式中Aは、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−CH−、−C(CH)H−、−C(CH−、−C(CF−、または単結合である。R10は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基およびシクロアルキル基からなる群から選ばれた1つであり、R10が複数ある場合、各R10はそれぞれ同じでも異なってもよい。cは0以上3以下の整数である)
これらの中でもとくに好ましいものとしては、たとえば以下に示すもの(一般式(1)に示すRが示されているものを含む)が挙げられる。
Figure 0006354171
(*は一般式(1)におけるNH基に結合することを示す。R11はアルキレン基、置換アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、―C(CF―、または単結合から選ばれる有機基である)
上記A、および上記R11としてのアルキレン基、置換アルキレン基の具体的な例としては、−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CHCH)(CHCH)−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−CH(CH(CH)−、−C(CH)(CH(CH)−、−CH(CHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCH)−、−CH(CHCH(CH)−、−C(CH)(CHCH(CH)−、−CH(CHCHCHCHCH)−、−C(CH)(CHCHCHCHCH)−、−CH(CHCHCHCHCHCH)−、および−C(CH)(CHCHCHCHCHCH)−が挙げられる。これらの中でも、−CH−、−CH(CH)−、および−C(CH−が、アルカリ水溶液だけでなく、溶剤に対しても十分な溶解性を持ち、よりバランスに優れるアミド結合を有する前駆体を得ることができることから好ましい。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体におけるYは有機基であり、このような有機基としてはXと同様のものが挙げられる。一般式(A)におけるYとしては、たとえばベンゼン環、ナフタレン環またはビスフェノール構造等の構造からなる芳香族基、ピロール環、ピリジン環またはフラン環等の構造からなる複素環式有機基、およびシロキサン基等が挙げられる。より具体的には以下に示されるものが好ましい。これらは、1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0006354171
(*は、一般式(1)におけるC=O基に結合することを示す。Jは、−CH−、−C(CH−、−O−、−S−、−SO−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF−または単結合である。R13は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示し、繰り返し単位毎に同じでも異なってもよい。R14は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示す。tは0以上2以下の整数である。R15〜R18は、有機基である。ここでは、一般式(1)に示すYの置換基Rは省略している)
これらの中でもとくに好ましいものとしては、たとえば以下に示すもの(一般式(1)に示すRが示されているものを含む)が挙げられる。
なお、以下に示すもののうちテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、一般式(1)におけるC=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でもよい。
Figure 0006354171
Figure 0006354171
Figure 0006354171
(*は一般式(1)におけるC=O基に結合することを示す。R19は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを表し、繰り返し単位毎に同じでも異なっていてもよい。R20は、水素原子または炭素数1以上15以下の有機基から選ばれた1つを示し、一部が置換されていてもよい。uは0以上2以下の整数である)
一般式(1)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、低温で硬化した硬化物の機械物性、耐熱性に影響を及ぼさない程度に、当該前駆体の末端のアミノ基を、アルケニル基、アルキニル基および水酸基の内から選ばれる有機基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物またはモノカルボン酸を用いて、アミドとして末端封止することもできる。
アルケニル基、アルキニル基および水酸基の内から選ばれる有機基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物またはモノカルボン酸としては、たとえばマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、イタコン酸無水物、ヘット酸無水物、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、4―ヒドロキシフタル酸無水物、4―ヒドロキシ安息香酸、および3−ヒドロキシ安息香酸を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよく、末端封止したアミド部分の一部が脱水閉環していてもよい。
また、一般式(1)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、当該前駆体の末端のカルボン酸残基を、アルケニル基、アルキニル基および水酸基の内から選ばれる有機基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含むアミン誘導体を用いて、アミドとして末端封止することもできる。
一般式(1)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、低温で硬化した硬化物の機械物性、耐熱性に影響を及ぼさない程度に、末端の少なくとも一方に、窒素含有環状化合物により末端封止した基を有してもよい。これにより、金属配線(特に銅配線)等との密着性を向上することができる。窒素含有環状化合物としては、たとえば1−(5−1H−トリアゾイル)メチルアミノ基、3−(1H−ピラゾイル)アミノ基、4−(1H−ピラゾイル)アミノ基、5−(1H−ピラゾイル)アミノ基、1−(3−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(4−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(5−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、(1H−テトラゾル−5−イル)アミノ基、1−(1H−テトラゾル−5−イル)メチル−アミノ基、および3−(1H−テトラゾル−5−イル)ベンズ−アミノ基が挙げられる。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体は、たとえば一般式(1)におけるXを含むジアミン、ビス(アミノフェノール)または2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物と、Yを含むテトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸、ジカルボン酸ジクロライドまたはジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物と、を反応させて合成することができる。ジカルボン酸を用いる場合には、アミド結合を有する前駆体の反応収率等を高めるため、ジカルボン酸に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
アルカリ可溶性樹脂(A)におけるフェノール樹脂としては、たとえばノボラック型フェノール樹脂に代表されるフェノール化合物とアルデヒド化合物との反応物、またはフェノールアラルキル樹脂に代表されるフェノール化合物とジメタノール化合物類との反応物を用いることができる。これらの中でも、フェノール化合物とアルデヒド化合物を反応させて得られるフェノール樹脂を用いることが、現像工程における膜減りを抑える観点、また製造コストの観点からとくに好ましい。
フェノール化合物としては、とくに限定されないが、たとえばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾールもしくはp−クレゾール等のクレゾール類、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノールもしくは3,5−キシレノール等のキシレノール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノールもしくはp−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノールもしくはp−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類、またはレゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、ピロガロールもしくはフロログルシン等の多価フェノール類を用いることができる。これらのフェノール化合物は、単独でまたは2種以上組合せて用いることができる。
アルデヒド化合物としては、アルデヒド基を有する有機基であればとくに限定されないが、たとえばホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、またはサリチルアルデヒドを用いることができる。ベンズアルデヒドとしては、アルキル基、アルコキシ基もしくはヒドロキシ基のうちの少なくとも1種により置換されたもの、または無置換のものを使用することができる。これらのアルデヒド化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
本実施形態においては、たとえば上記フェノール化合物と上記アルデヒド化合物を酸触媒の下で反応させ合成することにより、アルカリ可溶性樹脂(A)であるフェノール樹脂が得られる。酸触媒としては、とくに限定されないが、たとえばシュウ酸、硝酸、硫酸、硫酸ジエチル、酢酸、p−トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、またはベンゼンスルホン酸を用いることができる。
ジメタノール化合物としては、とくに限定されないが、たとえば1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、4,4'−ビフェニルジメタノール、3,4'−ビフェニルジメタノール、3,3'−ビフェニルジメタノールもしくは2,6−ナフタレンジメタノール等のジメタノール化合物、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,3'−ビス(メトキシメチル)ビフェニルもしくは2,6−ナフタレンジカルボン酸メチル等のビス(アルコキシメチル)化合物、または1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(クロロメチル)ベンゼン,1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン、4,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、3,3'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4'−ビス(ブロモメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(ブロモメチル)ビフェニルもしくは3,3'−ビス(ブロモメチル)ビフェニル等のビス(ハルゲノアルキル)化合物を用いることができる。これらのジメタノール化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)におけるヒドロキシスチレン樹脂としては、ヒドロキシスチレンやスチレンまたはこれらの誘導体を、ラジカル重合、カチオン重合やアニオン重合させることにより得られた重合反応物または共重合反応物を用いることができる。
本実施形態において、膜形成材料中におけるアルカリ可溶性樹脂(A)の含有量は、膜形成材料の不揮発成分全体に対して、30重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、膜形成材料の硬化性を向上させることができる。これにより、膜形成材料を用いて形成される樹脂膜の耐熱性や機械的強度、耐久性を向上させることができる。一方で、膜形成材料中におけるアルカリ可溶性樹脂(A)の含有量は、膜形成材料の不揮発成分全体に対して、90重量%以下であることが好ましく、85重量%以下であることがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、リソグラフィにおける解像性の向上を図ることができる。
なお、膜形成材料中における不揮発成分の割合(重量%)は、たとえば次のように測定することができる。まず、重量(w)を測定したアルミカップ中に、試料として膜形成材料を1.0g量り取る。このとき、試料とアルミカップの全重量をwとする。次いで、アルミカップを、210℃に調整した熱風乾燥機中で常圧下、1時間保持した後、熱風乾燥機から取り出して室温まで冷却する。次いで、冷却した試料とアルミカップの全重量(w)を測定する。そして、以下の式から膜形成材料中における不揮発成分の割合(重量%)を算出する。
不揮発成分(重量%)=(w−w)/(w−w)×100
(感光剤(B))
感光剤(B)としては、光により酸を発生する化合物を用いることができ、たとえば感光性ジアゾキノン化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩もしくはスルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2−ニトロベンジルエステル化合物、N−イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン化合物、またはジヒドロピリジン化合物を用いることができる。この中でも、感度や溶剤溶解性に優れる感光性ジアゾキノン化合物を用いることがとくに好ましい。
感光性ジアゾキノン化合物としては、たとえばフェノール化合物と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸と、のエステルが挙げられる。
膜形成材料がポジ型の感光性樹脂組成物である場合、未露光部のレリーフパターン中に残存する感光剤は、硬化時における熱で分解し酸を発生させると考えられ、反応促進剤としても感光剤は重要な役割を果たす。このような役割を有する感光性ジアゾキノン化合物としては、より熱で分解し易い1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸のエステルを用いることがとくに好ましい。
膜形成材料における感光剤(B)の含有量は、とくに限定されないが、たとえばアルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがとくに好ましい。これにより、膜形成材料を用いて良好なパターニング性能を有する樹脂膜を実現することが可能となる。
(界面活性剤(C))
膜形成材料は、たとえば界面活性剤(C)を含むことができる。界面活性剤(C)としては、たとえばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、もしくはポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、もしくはポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジラウレート、もしくはポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、エフトップEF303、エフトップEF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF177、メガファックF444、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF475、メガファックF482、メガファックF477(DIC(株)製)、フロラードFC−430、フロラードFC−431、ノベックFC4430、ノベックFC4432(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−381、サーフロンS−382、サーフロンS−383、サーフロンS−393、サーフロンSC−101、サーフロンSC−102、サーフロンSC−103、サーフロンSC−104、サーフロンSC−105、サーフロンSC−106、(AGCセイミケミカル(株)製)等に代表されるフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等に代表されるシリコーン系界面活性剤、(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(共栄社化学(株)製)等が挙げられる。これらの中でも、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤を用いることがとくに好ましい。また、フッ素系界面活性剤の中でも、パーフルオロアルキル基を含有する界面活性剤を用いることがとくに好ましい。界面活性剤(C)については、フッ素を含有させるなどにより表面張力を下げるなど、構成原子や置換基によってその表面張力を適切に制御することができる。
膜形成材料における界面活性剤(C)の含有量は、とくに限定されないが、たとえばアルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して0.05質量部以上3質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上2質量部以下であることがとくに好ましい。これにより、膜形成材料を用いて形成される樹脂膜の平坦性をより効果的に向上させることができる。また、塗布作業性に優れた膜形成材料を実現することが可能となる。さらに、基材への膜形成材料の濡れ性を良好なものとして、凹部への樹脂膜の埋め込み性をより効果的に向上させることも可能となる。
(カップリング剤(D))
膜形成材料は、たとえばカップリング剤(D)を含むことができる。カップリング剤(D)としては、とくに限定されないが、たとえばアミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、ウレイドシラン、またはスルフィドシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。これにより、とくにシリコン基板等の基材を構成する部材に対する密着性や濡れ性を向上させることができる。これらの中でも、膜形成材料を用いて形成される樹脂膜の基材への密着性を向上させる観点からは、アクリルシランまたはエポキシシランを用いることがとくに好ましい。
アミノシランとしては、たとえばビス(2―ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N―β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N―β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N―β(アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N―β(アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジエトキシシラン、またはN―フェニル−γ―アミノ−プロピルトリメトキシシランが挙げられる。エポキシシランとしては、たとえばγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、またはβ―(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。アクリルシランとしては、たとえばγ―(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ―(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、またはγ―(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシランが挙げられる。メルカプトシランとしては、たとえばγ―メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。ビニルシランとしては、たとえばビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、またはビニルトリメトキシシランが挙げられる。ウレイドシランとしては、たとえば3−ウレイドプロピルトリエトキシシランが挙げられる。スルフィドシランとしては、たとえばビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、またはビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィドが挙げられる。
膜形成材料におけるカップリング剤(D)の含有量は、とくに限定されないが、たとえばアルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上15質量部以下であることがとくに好ましい。これにより、膜形成材料を用いて形成される樹脂膜の基材への密着性をより効果的に向上させることができる。基材への膜形成材料の濡れ性を良好なものとして、凹部への樹脂膜の埋め込み性をより効果的に向上させることも可能となる。
(溶解促進剤(E))
膜形成材料は、たとえば溶解促進剤(E)を含むことができる。溶解促進剤(E)は、膜形成材料を用いて形成された樹脂膜の現像液に対する溶解性を向上させ、パターニング時のスカムを改善することが可能な成分である。溶解促進剤(E)としては、とくに限定されないが、たとえばフェノール性水酸基を有する化合物、アルキロール化合物、メチロール化合物、またはアクリレート化合物等を用いることができる。中でも永久膜内において架橋することにより永久膜の機械特性を向上させることができる二官能以上のアルキロール化合物、メチロール化合物、およびアクリレート化合物が好ましい。
膜形成材料における溶解促進剤(E)の含有量は、とくに限定されないが、たとえばアルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上15質量部以下であることがとくに好ましい。これにより、膜形成材料を用いて形成される樹脂膜の現像液に対する溶解性をより効果的に向上させることが可能となる。
(溶剤(F))
膜形成材料は、たとえば上述の各成分を溶剤(F)に溶解し、ワニス状にして使用される。溶剤(F)としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、およびピルビン酸エチル及びメチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
膜形成材料における溶剤(F)の含有量は、とくに限定されず、所望する粘度やシリコン基板に対する接触角等に基づいて適宜調整することが可能である。本実施形態においては、溶剤(F)の含有量が、たとえば膜形成材料全体に対して55重量%以上であることが好ましく、65重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがとくに好ましい。溶剤(F)の含有量を上記下限値以上とすることにより、インクジェット塗布法による塗布時においてインク詰まりが発生することをより確実に抑制できる。また、樹脂膜の平坦性や埋め込み性をより効果的に向上させることも可能となる。一方で、溶剤(F)の含有量は、たとえば膜形成材料全体に対して90重量%以下であることが好ましく、87重量%以下であることがより好ましく、85重量%以下であることがとくに好ましい。溶剤(F)の含有量を上記上限値以下とすることにより、膜形成材料の塗布作業性を、より効果的に向上させることができる。
(その他の添加剤)
膜形成材料は、必要に応じて、架橋剤、酸化防止剤、フィラー、または増感剤等の添加物のうち1種または2種以上を含んでいてもよい。
ワニス状である膜形成材料の25℃における粘度は、たとえば100mPa・s以下であることが好ましい。これにより、インクジェット塗布法を用いた塗布工程において、インク詰まりの発生を抑制することができる。また、凹部22に対する埋め込み性や、形成される樹脂膜10の平坦性を、より良好なものとすることができる。
本実施形態においては、ワニス状である膜形成材料の25℃における粘度が、7mPa・s以上20mPa・s以下であることがより好ましい。膜形成材料の粘度を上記上限値以下とすることにより、インク詰まり等による不具合の抑制や、凹部22に対する埋め込み性および樹脂膜10の平坦性の向上を、より効果的に実現することができる。一方で、膜形成材料の粘度を上記下限値以上とすることにより、基材1の側面や下面へのワニスの液だれを抑制し、作業性の向上を図ることが可能となる。なお、膜形成材料の25℃における粘度は、膜形成材料を構成する各成分の種類や配合量等を適切に選択することにより制御することができる。
膜形成材料は、たとえばシリコン基板に対する接触角が10度未満である。基材1がシリコン基板20を含む場合、凹部22の下端部はシリコン基板20内に位置することとなる。この場合、膜形成材料のシリコン基板に対する接触角を上記範囲内とすることで、凹部22の下端部における空隙の発生をより効果的に抑制することが可能となる。なお、膜形成材料のシリコン基板に対する接触角は、膜形成材料を構成する各成分の種類や配合量等を適切に選択することにより制御することができる。
次に、膜形成方法について詳細に説明する。
まず、一面に凹部22が設けられた基材1を準備する。基材1としては、上記において例示したものを使用することが可能である。図1に示す例では、シリコン基板20とシリコン基板20上に設けられた金属層26を含み、かつ金属層26を有する一面にシリコン基板20に到達する凹部22が設けられたウェハが、基材1として準備される。
次いで、基材1の一面に対してインクジェット塗布法を用いて膜形成材料を塗布することにより、樹脂膜10を形成する。本実施形態においては、たとえば基材1の一面上に形成された膜形成材料の塗布膜を加熱によって乾燥することにより樹脂膜10が得られる。また、膜形成材料としては、上記において例示したものを使用することができる。
これにより、一面に凹部22を有する基材1と、基材1の一面上に設けられた樹脂膜10と、を備える構造体100が形成されることとなる。
本実施形態においては、上述したとおり、たとえば液滴吐出装置を用いたインクジェット塗布法により膜形成材料の塗布が行われる。インクジェット塗布は、たとえばスキャン方式により行うことができる。この場合、液滴吐出装置を構成するインクジェットヘッドをスキャン方向にスキャンさせつつ基材1上に膜形成材料からなる液滴を吐出することにより、膜形成材料が塗布されることとなる。なお、インクジェット塗布は、たとえばシングルパス方式により行われてもよい。
インクジェット塗布法による膜形成材料の塗布は、基材1に対して一回または複数回行うことができる。膜形成材料を塗布する回数を選択することにより、基材1上に形成される樹脂膜10の膜厚を調整することが可能となる。また、膜形成材料を塗布する回数は、基材1上の各領域において、それぞれ独立して選択することができる。
図4は、インクジェット塗布法による塗布の一例を示す平面図である。なお、図4中の矢印は、インクジェットヘッドの動作の一例を示している。
図4に示す例においては、複数個の吐出口が配列されたインクジェットヘッドを、スキャン方向(図4中左右方向)にスキャンさせつつ、吐出口から液滴80を吐出することにより、基材1上に膜形成材料が塗布されて塗布膜が形成される。インクジェットヘッドに設けられる複数の吐出口は、一列に配列されていてもよく、複数列に配列されていてもよい。複数列に配列される場合には、たとえば千鳥状に配列することができる。なお、図4においては、各液滴80は互いに離間しているように示されているが、各液滴80は基材1表面を濡れ広がり互いに接触して一の塗布膜を構成する。このため、膜形成材料を塗布する上記工程後において、基材1のうち樹脂膜10が形成されることとなる領域(塗布領域)上には、当該塗布領域全体において連続した一の塗布膜が形成されることとなる。
本実施形態においては、たとえばインクジェットヘッドを一回または複数回スキャンさせる毎に、基材1に対するインクジェットヘッドの相対位置をスキャン方向と直交する方向へ移動させる。これにより、基材1のうち樹脂層10が形成されることとなる領域(塗布領域)全体に、膜形成材料が塗布されて塗布膜が形成されることとなる。基材1に対するインクジェットヘッドの相対位置の移動は、たとえば基材1を保持するステージ(図示せず)を移動させること等により行われる。また、スキャン方向における滴下ピッチL、およびスキャン方向と直交する方向における滴下ピッチLは、所望する樹脂膜10の膜厚等に基づいて、それぞれ適宜調製することが可能である。
本実施形態における樹脂膜10を形成する工程は、凹部22が形成された第1領域30の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量が、凹部22が形成されていない第2領域32の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量よりも多くなるように膜形成材料の塗布することにより行われる。これにより、凹部22に起因した凹凸が樹脂膜10表面に発生することを抑制し、樹脂膜10の平坦性を向上させることが可能となる。ここで、単位面積に対して吐出される吐出量とは、単位面積に対して吐出される膜形成材料の総量を指す。また、単位面積とは、とくに限定されないが、たとえば膜形成材料のスキャン方向における滴下ピッチをLとした場合において、L×Lの正方形の面積として定めることができる。
本実施形態においては、樹脂膜10の平坦性を効果的に向上させる観点から、第1領域30の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量Vと、第2領域32の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量Vの比(V:V)を、たとえば1.1:1.0〜3.0:1.0とすることができる。また、基材1の一面の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量は、所望する樹脂膜10の膜厚に基づいて適宜選択することができ、たとえば5ng以上200ngとすることができる。
基材1の一面上に互いに深さが異なる二以上の凹部22が設けられている場合、その深さに応じて、第1領域30毎に単位面積当たりの吐出量を調整することができる。この調整は、たとえば深さが深い凹部22が形成された一の第1領域30の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量が、深さが浅い凹部22が形成された他の第1領域30の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量よりも多くなるように行うことができる。これにより、複数の凹部22が設けられる場合であっても、樹脂膜10の平坦性を効果的に向上させることが可能となる。
単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量は、たとえば液適量、または単位面積当たりにおける膜形成材料の吐出回数を制御することにより調整することが可能である。ここで、液適量とは、インクジェットヘッドの一の吐出口から一回の吐出により吐出される膜形成材料の質量を指す。図4に示す例においては、たとえば液滴80の質量を液適量とすることができる。また、単位面積当たりにおける膜形成材料の吐出回数とは、単位面積に対して膜形成材料の液滴が吐出される回数を指す。本実施形態では、たとえば一の領域に対して膜形成材料の塗布を行う回数を変更することにより、当該一の領域の単位面積当たりにおける膜形成材料の吐出回数が制御されることとなる。
なお、本実施形態において、液適量は、たとえば5ng以上200ng以下とすることができる。また、吐出回数は、1〜10回とすることができる。
本実施形態においては、第1領域30に対して吐出される膜形成材料の液適量を、第2領域32に対して吐出される膜形成材料の液適量よりも多くすることができる。これにより、第1領域30の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量を、第2領域32の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量よりも多くすることができる。なお、第1領域30と第2領域32のそれぞれについて、吐出される膜形成材料の液適量は、凹部22の深さや所望する樹脂膜10の膜厚等に応じて適宜選択することができる。
また、第1領域30の単位面積当たりにおける膜形成材料の吐出回数を、第2領域32の単位面積当たりにおける膜形成材料の吐出回数よりも多くすることができる。これによっても、第1領域30の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量を、第2領域32の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量よりも多くすることができる。なお、第1領域30と第2領域32のそれぞれについて、単位面積当たりにおける吐出回数は、凹部22の深さや所望する樹脂膜10の膜厚等に応じて適宜選択することができる。
また、第1領域30および第2領域32における液適量および吐出回数を同時に制御することにより、より高度な樹脂膜10の平坦性を実現することが可能である。
また、液適量や吐出回数を制御することにより膜形成材料の吐出量を調整して、基材1上に形成される樹脂膜10の膜厚を調整することも可能である。
凹部22に対する膜形成材料の吐出は、たとえば凹部22の縁に対して膜形成材料の液滴が吐出されるように行うことができる。この場合、凹部22の縁に対して吐出された膜形成材料の液滴は、凹部22の側壁に沿って凹部22内へ入っていく。このため、凹部22に塗布された膜形成材料内において空隙が発生することを抑制し、凹部22に対する樹脂膜10の埋め込み性をより効果的に向上させることができる。本実施形態においては、たとえば一の凹部22に対して膜形成材料の液滴が複数吐出される。この場合、複数の液滴のうちの少なくとも一部が、凹部22の縁に対して吐出される。
本実施形態においては、たとえば樹脂膜10を形成する工程の後において、樹脂膜10に対して露光、現像を行うことにより樹脂膜10をパターニングする工程をさらに行うことができる。これにより、樹脂膜10を構造体100の用途に合わせて任意の形状とすることができる。本実施形態においては、樹脂膜10の平坦性が優れることから、当該パターニング工程において優れたリソグラフィ性能を実現することも可能である。
なお、図1に示す例において得られた構造体100は、シリコン基板20および金属層26を含む基材1と、基材1上に設けられた樹脂膜10と、を備えている。このため、図1に示す例においては、ウェハである基材1をダイシングして個片化することにより、たとえば複数の半導体装置を得ることができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
一面に凹部を有する基材の前記一面に対してインクジェット塗布法を用いて膜形成材料を塗布することにより、樹脂膜を形成する工程を備え、
前記基材の前記一面は、前記凹部が形成された第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域と、を有しており、
前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記第1領域の単位面積に対して吐出される前記膜形成材料の吐出量は、前記第2領域の単位面積に対して吐出される前記膜形成材料の吐出量よりも多い膜形成方法。
2.
1.に記載の膜形成方法において、
前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記第1領域に対して吐出される前記膜形成材料の液滴量は、前記第2領域に対して吐出される前記膜形成材料の液滴量よりも多い膜形成方法。
3.
1.または2.に記載の膜形成方法において、
前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記第1領域の単位面積当たりにおける前記膜形成材料の吐出回数が、前記第2領域の単位面積当たりにおける前記膜形成材料の吐出回数よりも多い膜形成方法。
4.
1.〜3.いずれか一つに記載の膜形成方法において、
前記樹脂膜を形成する前記工程の後において、前記樹脂膜に対して露光、現像を行うことにより前記樹脂膜をパターニングする工程をさらに備える膜形成方法。
5.
1.〜4.いずれか一つに記載の膜形成方法において、
前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記凹部の縁に対して前記膜形成材料の液滴が吐出される膜形成方法。
6.
1.〜5.いずれか一つに記載の膜形成方法において、
前記基材は、シリコン基板を含んでおり、
前記凹部内には、前記シリコン基板の一部が露出している膜形成方法。
7.
1.〜6.いずれか一つに記載の膜形成方法において、
前記凹部の深さは、20μm以上150μm以下である膜形成方法。
8.
1.〜7.いずれか一つに記載の膜形成方法において、
前記凹部の幅に対する前記凹部の深さの比は、1以上3以下である膜形成方法。
9.
1.〜8.いずれか一つに記載の膜形成方法において、
前記膜形成材料のシリコン基板に対する接触角は、10度未満である膜形成方法。
10.
シリコン基板と前記シリコン基板上に設けられた金属層を含み、かつ前記金属層を有する一面に前記シリコン基板に到達する凹部が設けられたウェハを準備する工程と、
前記ウェハの前記一面に対してインクジェット塗布法を用いて膜形成材料を塗布することにより、樹脂膜を形成する工程と、
を備え、
前記ウェハの前記一面は、前記凹部が形成された第1領域と、前記第1領域とは異なる第2領域と、を有しており、
前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記第1領域の単位面積に対して吐出される前記膜形成材料の吐出量は、前記第2領域の単位面積に対して吐出される前記膜形成材料の吐出量よりも多い半導体装置の製造方法。
次に、本発明の実施例について説明する。
(アルカリ可溶性樹脂(A−1)の合成)
ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸21.4g(0.08モル)と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール・一水和物22.4g(0.16モル)とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物40.8g(0.08モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン36.6g(0.10モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン296.9gを加えて溶解させた。その後、オイルバスを用いて75℃にて15時間反応させた。この反応混合物にN−メチル−2−ピロリドン34.8gに溶解させた3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物6.9g(0.04モル)を加え、さらに3時間攪拌して反応を終了させて、ポリベンゾオキサゾール前駆体(アルカリ可溶性樹脂(A−1))を合成させた。
(アルカリ可溶性樹脂(A−2)の合成)
3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン44.9g(0.16モル)と2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフロロプロパン58.6g(0.16モル)とN−メチル−2−ピロリドン75.0gとを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、γ−ブチロラクトン230.5gを加えて溶解させた。この混合溶液に4,4'−オキシジフタル酸無水物93.1g(0.30モル)をγ−ブチロラクトン120gと共に添加した後、室温で60分間撹拌した。その後、オイルバスを用いて125℃にて8時間撹拌して反応させた。この反応混合物の温度を60℃に冷却した後、5−エチニル−イソベンゾフラン−1,3−ジオン5.2g(0.030モル)をγ−ブチロラクトン40gと共に添加し、80℃にて3時間撹拌して反応を終了させて、ポリイミド前駆体(アルカリ可溶性樹脂(A−2))を合成させた。
(アルカリ可溶性樹脂(A−3)の合成)
メタクレゾール680.4g(6.3モル)、パラクレゾール399.6g(3.7モル)、ホルムアルデヒド(8.0モル)の38%水溶液680g、しゅう酸6.3g(0.05モル)の混合物を100℃で4時間反応後、常圧で反応混合物の温度が120℃になるまで蒸留して水を除去し、更に0.008MPaの減圧下で反応混合物の温度が240℃になるまで蒸留して未反応クレゾールを除去し、遊離クレゾールが0.2重量%のノボラック樹脂(アルカリ可溶性樹脂(A−3))を得た。
(感光剤(B)の合成)
温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、式(B−1)で表されるフェノール11.04g(0.026モル)と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド18.81g(0.070モル)と、アセトン170gと、を入れて撹拌し、溶解させた。次いで、反応溶液の温度が35℃以上にならないようにウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.78g(0.077モル)とアセトン5.5gの混合溶液をゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸1.05g(0.017モル)を添加し、さらに30分反応させた。次いで、反応混合物をろ過した後、ろ液を水/酢酸(990ml/10ml)の混合溶液に投入した。次いで、沈殿物を濾集して水で充分洗浄した後、真空下で乾燥した。これにより、式(B−2)の構造で表される感光剤(B)を得た。
Figure 0006354171
(実施例1)
(膜形成材料の調整)
アルカリ可溶性樹脂としてアルカリ可溶性樹脂(A−1)13.2重量部と、感光剤(B)2.4重量部と、カップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.7重量部と、溶解促進剤としてp−キシリレングリコール1.1重量部と、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(FC4432、住友3M(株)製)0.1重量部と、を溶剤であるγ−ブチロラクトン82.5重量部に混合して溶解した後、孔径0.2μmのPTFE製メンブレンフィルターで濾過してワニス状の膜形成材料を得た。得られた膜形成材料の粘度は、25℃において11.5mPa・sであった。また、膜形成材料のシリコン基板に対する接触角は、4.8度であった。
(構造体の作製)
得られた膜形成材料を、シリコン基板と、シリコン基板上に設けられたAl層と、を含むウェハのうちの塗布領域上にインクジェット塗布法を用いて塗布した。ウェハには、Al層を貫通してシリコン基板に到達する凹部が設けられていた。また、この凹部は、深さが100μm、幅(W)と深さ(D)の比(W:D)が1:2であった。インクジェット塗布法による塗布は、128個の吐出口が一列に配列されたインクジェットヘッドを備えるIP3040((株)石井表記製)を用いて、吐出周波数2kHz、塗布速度64mm/s、滴下ピッチ35μm×35μmの条件下により行った。また、塗布領域のうちの上記凹部が形成された第1領域に対して吐出される膜形成材料の液滴量を85ngとし、塗布領域のうちの凹部が形成されていない第2領域に対して吐出される膜形成材料の液適量を60ngとした。また、ウェハに対する膜形成材料の塗布回数は一回とした。このため、上記第1領域および上記第2領域における単位面積当たりの膜形成材料の吐出回数は1回であった。ここで、単位面積は、35μm×35μmの正方形の面積に一致するものとした(以下、実施例2〜6、比較例1〜2において同様)。また、塗布領域のうち、第1領域は凹部と平面視で一致する領域を、第2領域は第1領域以外の領域を、それぞれ指す(以下、実施例2〜6、比較例1〜2において同様)。このように、実施例1においては、第1領域の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量を、第2領域の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量よりも多くした。その後、120℃、4分でウェハ上の膜形成材料を乾燥し、樹脂膜を形成した。Al層上に形成された上記樹脂膜の膜厚は5μmであった。
これにより、ウェハ上に樹脂膜が設けられた構造体を得た。
(実施例2)
インクジェット塗布法による塗布において、ウェハに対する膜形成材料の塗布回数を2回とした以外は、実施例1と同様にしてウェハ上に樹脂膜が設けられた構造体を得た。このように、実施例2においては、第1領域の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量を、第2領域の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量よりも多くした。また、Al層上に形成された上記樹脂膜の膜厚は10μmであった。
(実施例3)
インクジェット塗布法による塗布において、第1領域に対して吐出される膜形成材料の液滴量を55ngとし、第2領域に対して吐出される膜形成材料の液適量を40ngとし、ウェハに対する膜形成材料の塗布回数を4回とした以外は、実施例1と同様にしてウェハ上に樹脂膜が設けられた構造体を得た。このように、実施例2においては、第1領域の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量を、第2領域の単位面積に対して吐出される吐出量よりも多くした。Al層上に形成された上記樹脂膜の膜厚は13μmであった。
(実施例4)
インクジェット塗布法による塗布において、第1領域および第2領域に対して吐出される膜形成材料の液適量を60ngとした。また、ウェハに対する膜形成材料の塗布回数は、4回とした。このうち、2回を第1領域および第2領域に対して行い、残りを第1領域のみに対して行った。すなわち、第1領域の単位面積当たりにおける膜形成材料の吐出回数が4回であり、第2領域の単位面積当たりにおける膜形成材料の吐出回数が2回であった。実施例4では、これらの点を除き、実施例1と同様にしてウェハ上に樹脂膜が設けられた構造体を得た。
このように、実施例4においては、第1領域の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量を、第2領域の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量よりも多くした。Al層上に形成された上記樹脂膜の膜厚は13μmであった。
(実施例5)
アルカリ可溶性樹脂としてアルカリ可溶性樹脂(A−2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてウェハ上に樹脂膜が設けられた構造体を得た。Al層上に形成された上記樹脂膜の膜厚は5μmであった。
(実施例6)
アルカリ可溶性樹脂としてアルカリ可溶性樹脂(A−3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてウェハ上に樹脂膜が設けられた構造体を得た。Al層上に形成された上記樹脂膜の膜厚は5μmであった。
(比較例1)
(膜形成材料の調整)
アルカリ可溶性樹脂としてアルカリ可溶性樹脂(A−1)33.7重量部と、感光剤(B)6.1重量部と、カップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.7重量部と、溶解促進剤としてp−キシリレングリコール2.7重量部と、界面活性剤としてフッ素系界面活性剤(FC4432、住友3M(株)製)0.1重量部と、を溶剤であるγ−ブチロラクトン54.7重量部に混合して溶解した後、孔径0.2μmのPTFE製メンブレンフィルターで濾過してワニス状の膜形成材料を得た。得られたワニス状の膜形成材料の粘度は、25℃において1000mPa・sであった。また、膜形成材料のシリコン基板に対する接触角は、28.5度であった。
(構造体の作製)
得られた膜形成材料を、シリコン基板と、シリコン基板上に設けられたAl層と、を含むウェハのうちの塗布領域上にスピンコート法を用いて塗布した。ウェハは、実施例1と同様のものを用いた。また、スピンコート法による塗布は、滴下量5.0g、回転数2200rpmの条件下において行った。その後、120℃、4分でウェハ上の膜形成材料を乾燥し、樹脂膜を形成した。Al層上に形成された上記樹脂膜の膜厚は5μmであった。
これにより、ウェハ上に樹脂膜が設けられた構造体を得た。
(比較例2)
膜形成材料をウェハ上へ塗布する際に、ウェハ上の塗布領域全体において吐出される液滴量を60ngとした以外は、実施例1と同様にして構造体を得た。このように、比較例2では、第1領域の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量を、第2領域の単位面積に対して吐出される膜形成材料の吐出量と等しくした。
(平坦性の評価)
各実施例および各比較例について、得られた構造体を構成する樹脂膜の、上記凹部上における表面高さと、凹部以外の他の領域における表面高さと、の差の最大値を、三次元測定器を用いて測定した。ここでは、ウェハ裏面を基準とした樹脂膜表面の高さを、樹脂膜の表面高さとして算出した。0.5μm未満を○とし、0.5μm以上を×とした。
(埋め込み性の評価)
各実施例および各比較例について、得られた構造体の上記凹部を含む断面を、走査型電子顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscopy))により観察した。得られたSEM写真から、凹部に対する樹脂膜の埋め込み性を評価した。凹部内に空隙が存在しないものを○とし、凹部内に空隙が存在するものを×とした。
Figure 0006354171
表1に示すように、各実施例においては、樹脂膜表面の平坦性、樹脂膜の凹部に対する埋め込み性に優れた構造体が得られていることがわかった。なお、実施例1と実施例2を比較した場合には、実施例2において、より優れた平坦性が実現されていた。一方で、比較例1においては、樹脂膜表面の平坦性および樹脂膜の凹部に対する埋め込み性について、各実施例よりも劣っていた。比較例2においては、樹脂膜表面の平坦性について、各実施例よりも劣っていた。
100 構造体
10 樹脂膜
1 基材
20 シリコン基板
22、220、221 凹部
26 金属層
28 外周端
30 第1領域
32 第2領域
80 液滴

Claims (10)

  1. シリコン基板と前記シリコン基板上に設けられた金属層を含み、かつ前記金属層を有する一面に前記シリコン基板に到達する凹部が設けられたウェハを準備する工程と、
    前記ウェハの前記一面に対して膜形成材料を塗布することにより、樹脂膜を形成する工程と、
    を備え、
    前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記膜形成材料を塗布する方法は、インクジェット塗布法であり、
    前記樹脂膜の膜厚は、1μm以上20μm以下であり、
    前記ウェハの前記一面は、前記凹部が形成された第1領域と、前記凹部が形成されていない第2領域と、を有しており、
    前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記第1領域の単位面積に対して吐出される前記膜形成材料の吐出量は、前記第2領域の単位面積に対して吐出される前記膜形成材料の吐出量よりも多い半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記第1領域に対して吐出される前記膜形成材料の液滴量は、前記第2領域に対して吐出される前記膜形成材料の液滴量よりも多い半導体装置の製造方法
  3. 請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記第1領域の単位面積当たりにおける前記膜形成材料の吐出回数が、前記第2領域の単位面積当たりにおける前記膜形成材料の吐出回数よりも多い半導体装置の製造方法
  4. 請求項1〜3いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記樹脂膜を形成する前記工程の後において、前記樹脂膜に対して露光、現像を行うことにより前記樹脂膜をパターニングする工程をさらに備える半導体装置の製造方法
  5. 請求項1〜4いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記凹部の縁に対して前記膜形成材料の液滴が吐出される半導体装置の製造方法
  6. 請求項1〜いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記凹部の深さは、20μm以上150μm以下である半導体装置の製造方法
  7. 請求項1〜いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記膜形成材料の粘度は、25℃において、7mPa・s以上100mPa・s以下であり、
    前記凹部の幅に対する前記凹部の深さの比は、1以上3以下である半導体装置の製造方法
  8. 請求項1〜いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記膜形成材料の前記シリコン基板に対する接触角は、10度未満である半導体装置の製造方法
  9. 請求項1〜いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記膜形成材料は、アルカリ可溶性樹脂と、感光剤とを含む、半導体装置の製造方法
  10. 請求項1〜9いずれか一項に記載の半導体装置の製造方法において、
    前記樹脂膜を形成する前記工程において、前記第1領域の単位面積に対して吐出される前記膜形成材料の前記吐出量をV1、前記第2領域の単位面積に対して吐出される前記膜形成材料の前記吐出量をV2としたとき、V1:V2=1.1:1.0〜3.0:1.0である半導体装置の製造方法。
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