JP6216972B2 - 偽造防止印刷物 - Google Patents

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本発明は、偽造防止効果を必要とする銀行券、パスポート、有価証券、身分証明書、カード及び通行券等のセキュリティ印刷物の分野において、印刷物に対して入射する光の角度に応じて、観察される画像が異なる画像へと変化する偽造防止印刷物に関わるものである。
近年のスキャナ、プリンタ及びカラーコピー機等のデジタル機器の進展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。そのような複製や偽造を防止する偽造防止技術の一つとして、観察角度によって画像が変化するホログラムに代表される光学的なセキュリティ要素を貼付したものが多く存在するようになった。
しかし、ホログラムは、インキを用いた印刷によって形成する従来の偽造防止技術とは異なり、複雑な製造工程と特殊な材料を用いて形成されることから、従来の偽造防止印刷物と比較すると製造に手間がかかり、かつ、極めて高価である。このことから、金属粉材料、干渉マイカ、酸化フレークマイカ、顔料コートアルミニウムフレーク及び光学的変化フレーク等の特殊な光反射性粉体をインキや塗料に配合し、かつ、特殊な材料同士の重ね合わせや複雑な網点構成を用いることによって、一般的な印刷方法で形成可能であって、かつ、ホログラムと同様な画像変化を実現した偽造防止印刷物がある。
本出願人は、一般的、かつ、比較的安価な材料及び簡単な印刷手段を使用していながら、特定の観察角度において、印刷物中の特定部位における人の目に認識される情報が、観察角度を変化させることによって、全く別の情報に変化する偽造防止用情報担持体に係る発明を既に出願している(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)。
特許第3398758号公報 特許第4604209号公報 特許第5358819号公報 特許第5245102号公報 特許第5360725号公報
特許文献1の技術に関しては、第1の印刷画像を構成する光輝性材料と第2の印刷画像を構成する色材料の色相が異なるため、拡散反射光下の観察において、本来視認されてはならない第2の印刷画像が見えてしまうという課題があり、また、第2の印刷画像は、疎な面積率で構成されるため、正反射光下で出現する第2の印刷画像の視認性が低いという課題があった。
特許文献2及び特許文献3に記載の技術は、光輝性材料と透明インキを重ね合わせて偽造防止印刷物を形成する技術であり、潜像形成に色材料を用いる特許文献1の技術とは異なり、潜像を形成するインキが透明であることから、そもそも色調整を行う必要がなく、潜像が拡散反射光下で可視化されることもなく、かつ、画像のスイッチ性に優れる技術であるが、目視不可能な透明インキを使用するために、製造時の印刷品質の管理が困難であるという課題があった。
前述した印刷品質の管理に関する対策として、例えば、紫外線励起タイプの発光顔料を混合した透明な発光インキを使用し、印刷作業時に紫外線を照射して透明インキが問題なく印刷されているか否かを判断する方法等で品質管理を行うことができる。しかし、このような対策を用いた場合、製造時の品質管理は可能となる反面、紫外線照射時に出現する発光画像を見ることで、潜像の構成を容易に把握できてしまうことから、偽造者に偽造防止技術の構造の手掛かりを与えてしまう可能性があり、偽造に対する耐性に関して課題があった。
特許文献4に記載の技術は、光輝性材料と、光輝性材料と等色な有色インキをペアインキとしてそれぞれ二つの画像を構成し、画像のチェンジ効果を実現した技術であるが、二つのインキで構成したそれぞれの画像は、互いに重なり合わないように嵌めあわせる、「毛抜き合わせ」と呼ばれる最高難度の刷り合わせが要求され、わずかでも刷り合わせのズレが生じた場合には、潜像画像が可視化されてしまうために、偽造防止効果としては非常に高いものであったが、製造にあたっては、高精度な印刷機と熟練オペレータが必要であるという課題があった。
特許文献5に記載の技術は、インキの機能性の組合せを変えることで、様々な効果を得ることができる偽造防止技術の画線構成に関わる技術であるが、その一形態に拡散反射光下と正反射光下で画像のチェンジ効果を実現した技術が存在する。この技術は偽造防止効果としては非常に高いものであったが、ほとんどの領域は、二つのインキのうち、一方のインキのみで構成されることから、印刷に用いるインキ自体のわずかな色彩の違いや、それぞれの画像の印刷濃度の変化等が、印刷画像に直接反映されやすく、潜像の隠蔽性が低下する場合があり、安定した製造が難しいという問題があった。
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、光輝性材料を含むインキと光輝性材料と色相が同じ有色インキをペアインキとして形成する、拡散反射光下と正反射光下で画像がチェンジする効果を有する印刷物であって、画像のチェンジ効果が高く、偽造に対する耐性も高く、かつ、製造が容易でコストパフォーマンスの高い偽造防止印刷物を提供する。
基材上の少なくとも一部に、拡散反射光下で視認可能な第1の有意情報と正反射光下で視認可能な第二の有意情報を有する、基材とは異なる色彩の印刷模様を備え、印刷模様は、光輝性インキにより形成された第一の画像と、光輝性インキと同じ色相で、拡散反射光下において光輝性インキよりも淡い色彩として視認可能な有色インキにより形成された潜像部を有して第二の有意情報を表した第二の画像が重畳して成り、第一の画像は、第1の有意情報を形成する情報部と、潜像部を濃淡反転した潜像カモフラージュ部が濃度の差により区分けされて成り、第二の画像は、潜像部と背景部が濃度の差により区分けされて成り、情報部の濃度は、印刷模様の中の情報部と同じ箇所の濃度から第二の画像の同じ箇所の濃度を減じた濃度で形成され、潜像カモフラージュ部の濃度は、印刷模様の中の潜像カモフラージュ部と同じ箇所の濃度から第二の画像の同じ箇所の濃度を減じた濃度で形成され、拡散反射光下において、画像の濃淡の差により第1の有意情報が視認でき、正反射光下において、潜像部以外の領域が等色となり、インキの光の反射率の違いにより第二の有意情報が視認できることを特徴とする。
潜像部の面積率と潜像カモフラージュ部の面積率の比は、光輝性インキの濃度と有色インキの濃度の比に略等しいことを特徴とする。
本発明の偽造防止印刷物は、特許文献1の技術と異なり、正反射光下で出現する画像となる第二の画像の潜像部が第一の画像によってカモフラージュされるため、拡散反射光下で不可視であり、加えて、第二の画像の潜像部は、最大100%の面積率で密に構成し得るため、正反射光下で出現する第二の有意情報の視認性は高い。
また、特許文献2及び特許文献3に記載の従来技術のように、透明インキを使用しないため、従来技術のように潜像画像を発光させて管理する必要がなく、有色インキによって形成された画像の品質を目視で管理すれば良い。そのため、二つの画像が重なり合って印刷模様が形成された場合には、その構成を見破ることは困難であることから、偽造に対する耐性が高い。
本発明の偽造防止印刷物を構成する二つの画像は、各部の重なり合いの位置関係に決まりがあるため、基本的には高い刷り合わせ精度を必要とする。しかしながら、それぞれを構成するインキ同士が重なりあっても問題ないため、通常の印刷作業で実施するように、画像の輪郭を太らせて二つの画像同士をわずかにオーバラップさせて刷り合わせの冗長性を確保することができる。したがって、特許文献4に記載の従来技術のように毛抜き合わせによって画像同士を嵌めあわせる必要がなく、高い刷り合わせ精度を要求しないため、製造が容易である。
本発明の偽造防止印刷物を構成する二つの画像は、特許文献5に記載の技術のように印刷模様が一つの単色インキで構成される領域がなく、全ての領域が二つのインキの重畳によって成る。このことから、インキの色彩が適切な色彩からわずかに合わなかったり、印刷中の品質の変動によって画像の濃淡がわずかに変動したりしたとしても、潜像の隠蔽性に与える影響が小さい。よって、インキの色彩の変動や印刷による品質の変動に対する冗長性が高く、製造安定性が高い。
以上の手法で形成した偽造防止印刷物は、生産性の高い印刷方式であるオフセット印刷で製造可能であることから、コストパフォーマンスに優れ、かつ、最新のデジタル機器を用いたとしてもスイッチ効果を実現することは不可能であることから、偽造防止効果に優れる。
本発明における偽造防止印刷物を示す。 本発明における偽造防止印刷物の構成の概要を示す。 本発明における第一の画像の濃度の算出方法の概要図を示す。 本発明における偽造防止印刷物の層構造を示す。 本発明における偽造防止印刷物の効果を示す。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
まず、本発明について図面を用いて説明する。図1に、本発明における偽造防止印刷物(1)を示す。偽造防止印刷物(1)は、基材(2)の上に、基材(2)と異なる色彩の印刷模様(3)を有する。印刷模様(3)は、拡散反射光下では、第1の有意情報を表して成る。なお、本実施の形態における第1の有意情報は、アルファベットの「A」を示している。
印刷模様(3)は、図2に示す第一の画像(4)と第二の画像(5)が重畳されて成る。第一の画像(4)は、情報部(4A)及び潜像カモフラージュ部(4B)から成る。情報部(4A)は、その輪郭の形状(アウトライン)によって拡散反射光下で印刷模様(3)が表す第1の有意情報を構成して成り、一方の潜像カモフラージュ部は、第一の画像(4)から情報部(4A)を除いた画像であり、具体的には後述する潜像部(5A)の濃淡を反転させた画像から情報部(4A)を除いた構成を有する。第一の画像(4)は、光輝性インキによって形成されて成る。
一方の第二の画像(5)は、正反射光下の特定の観察角度において、印刷模様(3)の中に現れる第二の有意情報を構成した潜像部(5A)と、潜像部(5A)に隣接する背景部(5B)を有して成る。背景部(5B)は、印刷模様(3)と同じ大きさであって、一定の濃度で潜像部(5A)に接して成る。当然のことながら、潜像部(5A)は、背景部(5B)には含まれない。なお、本実施の形態における第二の有意情報は、アルファベットの「B」の文字である。第二の画像(5)は、光輝性インキと同じ色相であって、かつ、光輝性インキより淡い濃度の有色インキで形成されて成る。
第一の画像(4)における情報部(4A)と潜像カモフラージュ部(4B)とは、濃度の差を有し、第二の画像(5)における潜像部(5A)と背景部(5B)とは、濃度差を有する必要がある。これは、第1の有意情報及び第二の有意情報を濃淡によって表すために必須な条件である。
加えて、第一の画像(4)は、情報部(4A)と潜像カモフラージュ部(4B)の間に濃度の差を有するだけでなく、情報部(4A)と潜像カモフラージュ部(4B)の中にも異なる濃淡を有して成る。この情報部(4A)と潜像カモフラージュ部(4B)の中の濃淡の構成について、図3を用いて説明する。第一の画像(4)の濃淡とは、印刷模様(3)が拡散反射光下で表す濃度から、同じ位置に重なる第二の画像(5)の濃度を差し引いた濃度で構成される。図3を用いて具体的に説明する。仮に、印刷模様(3)が無彩色である灰色で形成されていると仮定し、印刷模様(3)中のアルファベットの「A」の文字が黒成分の反射濃度で1.0の濃度を有し、印刷模様(3)のその他の領域が黒成分の反射濃度で0.5の濃度を有するとし、第二の画像(5)の潜像部(5A)が黒成分の反射濃度で0.4の濃度を有し、背景部(5B)が黒成分の反射濃度で0.1の濃度を有する場合、第一の画像(4)の濃度はそれぞれの領域の濃度を減じることで自動的に決まる。
すなわち、アルファベット「A」を表す情報部(4A)の濃い部分は、印刷模様のアルファベットの「A」の文字の黒成分の反射濃度で1.0から第二の画像(5)の背景部(5B)の黒成分の反射濃度で0.1を減じた反射濃度0.9となり、情報部(4A)の淡い部分は、印刷模様のアルファベットの「A」の文字の黒成分の反射濃度で1.0から第二の画像(5)の潜像部(5A)の黒成分の反射濃度で0.4を減じた反射濃度0.6となる。また、潜像カモフラージュ部(4B)の濃い部分は、印刷模様(3)の「A」以外の黒成分の反射濃度で0.5から第二の画像(5)の背景部(5B)の黒成分の反射濃度で0.1を減じた反射濃度0.4となり、潜像カモフラージュ部(4B)の淡い部分は、印刷模様(3)の「A」以外の領域の黒成分の反射濃度で0.5から第二の画像(5)の潜像部(5A)の黒成分の反射濃度で0.4を減じた反射濃度0.1となる。
前述の説明では、印刷模様(3)が無彩色として黒成分のみの濃度について説明したが、有彩色であった場合には、黄、赤、青及び黒の全ての色成分について、印刷模様(3)の濃度から第二の画像(5)の濃度を減じて第一の画像(4)の濃度を決定すれば良い。本発明の特徴の一つは、第一の画像(4)と第二の画像(5)が完全に重畳することであり、また、それぞれの画像を構成する印刷要素である網点、画線及び画素等も重なり合って問題ない。以上のように、第一の画像(4)と第二の画像(5)が単純に重なり合い、減法混色した色彩によって印刷模様(3)が構成されることから、逆に印刷模様(3)の濃度から、同じ位置にある第二の画像(5)の濃度を減じることによって、第一の画像(4)の濃度を自動的に決定することができる。以上の手順で各画像の濃度を決定すれば、本発明の偽造防止印刷物(1)を形成することができる。
なお、第二の画像(5)は、印刷模様(3)の濃淡の中に完全に隠蔽される必要があることから、第二の画像(5)の最高濃度は、印刷模様(3)の最低濃度未満とする必要がある。
また、前述の濃度の条件を満たした上で、第一の画像(4)と第二の画像(5)を構成する望ましい条件について以下に述べる。まず、第一の画像(4)は、一定の網点面積率の範囲内で形成することが望ましく、具体的には、網点面積率10%以上80%以下で形成することが望ましい。10%未満の場合、第二の画像(5)を形成する有色インキの濃度によっては、潜像部(5A)を隠蔽することが難しくなる場合がある。一方、第一の画像(4)と第二の画像(5)の積層関係によっては、第一の画像(4)の面積率が80%を超える場合、正反射光下で第1の有意情報を完全に消失させることができず、第1の有意情報と第二の有意情報が同時に視認されてしまうためである。具体的には、第一の画像(4)を第二の画像(5)上に重畳させる層構造の場合であって、かつ、第一の画像(4)の網点面積率が80%を超える場合、第一の画像(4)が第二の画像(5)を隠蔽してしまい、正反射光下で第二の有意情報が可視化されないためである。
一方、第二の画像(5)は、可能な限り高い面積率で形成することが望ましい。具体的には、潜像部(5A)と背景部(5B)の網点面積率の差が大きければ大きいほど、正反射時に可視化される第二の有意情報の視認性は高くなるが、第一の画像(4)と第二の画像(5)を重ね合わせて潜像部(5A)を完全に隠蔽することが難しくなる。このことから、第二の有意情報の正反射光下での視認性と、拡散反射光下での隠蔽性を考慮すると、網点面積率の差は90%から40%の範囲とすることが望ましい。
拡散反射光下において、潜像部(5A)は完全に隠蔽されているものの、正反射光下における第二の有意情報の視認性が低い場合、潜像部(5A)と背景部(5B)の網点面積率の差を大きくすれば良い。一方、光輝性インキと有色インキとの色彩のバランスが悪く、拡散反射光下において、潜像部(5A)と潜像カモフラージュ部(4B)とが等色として視認されず、第二の有意情報を完全に隠蔽することができない場合には、潜像部(5A)の隠蔽性を向上させるため、潜像部(5A)と背景部(5B)の網点面積率の差を小さくすれば良い。このように潜像部(5A)と背景部(5B)の網点面積率の差を調整することで、第二の有意情報の視認性を高めたり、光輝性インキと有色インキの二つのインキの色彩の違いに由来する画像上の色彩の違いを小さくして潜像部(5A)の隠蔽性を高めることができる。
ここで、第一の画像(4)を構成する光輝性インキと、第二の画像(5)を構成する有色インキの具体的な色彩の関係及び光学特性について説明する。拡散反射光下において、光輝性インキと有色インキとは、同じ色相であって、かつ、光輝性インキは有色インキよりも濃い色彩関係にある必要がある。これは、拡散反射光下において、第二の画像(5)を印刷模様(3)中に隠蔽するために必要となる色彩の関係である。
すなわち、拡散反射光下において、第二の画像(5)を第一の画像(4)によって印刷模様(3)中に隠蔽し、かつ、印刷模様(3)中に濃淡によって第1の有意情報を表すため、第一の画像(4)は第二の画像(5)における潜像部(5A)よりも濃い濃度を有する必要があり、また、第二の画像(5)における潜像部(5A)は、100%に近い面積率で構成されることに鑑みれば、光輝性インキは、少なくとも有色インキよりも濃い濃度を有していなければならない。
以上のことから、第一の画像(4)を光輝性インキで形成し、一方の第二の画像(5)を光輝性インキと同じ色相であって、かつ、光輝性インキよりも淡い色彩の有色インキで形成される。なお、本発明における「色彩」とは、色相、彩度及び明度の概念を含んで色を表したものであり、また、「色相」とは、赤、青、黄といった色の様相のことであり、具体的には、可視光領域(400〜700nm)の特定の波長の強弱の分布を示すものである。また、本発明における「色相が同じ」とは、二つの色において赤、青、黄といった色の様相が一致し、可視光領域の波長の強弱の分布が二つの色において相関を有することである。
続いて、第一の画像(4)と第二の画像(5)の積層順序について、図4を用いて説明する。本発明の偽造防止印刷物(1)は、図4(a)に示すように、基材(2)に第二の画像(5)を印刷した後、第一の画像(4)を重畳しても、図4(b)に示すように、基材(2)に第一の画像(4)を印刷した後、第二の画像(5)を重畳しても、二つの画像が重畳さえすれば画像のチェンジ効果が発現する。ただし、画像のチェンジ効果が相対的に高くなるのは、図4(b)に示す、第一の画像(4)の上に第二の画像(5)を重ねた形態である。これは、特許文献1から3までの技術と同様に、上に重なった有色インキが第一の画像(4)に入射する入射光を遮断する効果が加わるため、正反射光下において二つの画像のコントラストが相対的に高まり、第二の有意情報の視認性が高くなるためである。
前述のとおり、画像のチェンジ効果を優先する場合には、図4(b)に示す積層順序で形成すれば良いが、その場合、印刷機構上における先に配置されている印刷胴によって、メタリックインキで形成した第一の画像(4)が、次の印刷胴で部分的にとられてしまう「ムカレ」や「ピッキング」等の印刷順序に由来する品質不良が発生した場合又はその懸念がある場合には、図4(a)に示す積層順に変えれば良い。
以上の構成で作製した偽造防止印刷物(1)の効果について、図5を用いて説明する。光源(6)と偽造防止印刷物(1)と観察者(7)の位置関係を、図5(a)にあるような、拡散反射光が支配的な観察角度(印刷物に入射する光の入射角度(α)と、観察者と印刷物とを結ぶ反射角度が大きく異なる角度(この例では0度))で観察した場合には、観察者には第1の有意情報であるアルファベットの「A」の文字が視認され、拡散反射光下において、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字は、視認されない。
一方、偽造防止印刷物(1)を、図5(b)に示すような、正反射光下が支配的な角度(印刷物に入射する光の角度(α)と、観察者と印刷物とを結ぶ反射角度(β)が近い値である角度範囲)の中で観察した場合には、第1の有意情報であるアルファベットの「A」の文字が完全に消失し、第二の有意情報であるアルファベットの「B」の文字が視認される。
本発明の二つの画像がチェンジする基本的な原理は、以下のとおりである。図5(a)に示す拡散反射光が支配的な観察角度において、印刷模様(3)中の濃度の違いによって第1の有意情報が視認される。一方、図5(b)に示すような、正反射光が支配的な観察角度において、光輝性インキで構成された第一の画像(4)が入射した光を正反射することで生じる反射光は極めて強いため、観察者は、その反射光量の強弱を捉えることが不可能となり、結果として画像全体がほぼ均等に強く光を発しているとしか認識できない状態となる。このため、正反射光下において第一の画像(4)は、目視上、淡く変化することで濃淡が圧縮され、第二の画像以外の領域の濃度差が目視上消失し、第1の有意情報が不可視となる。一方の第二の画像(5)の濃淡は変化せず、結果として、正反射光下では第二の画像(5)が表す第二の有意情報が視認される。これが本発明の偽造防止印刷物(1)において画像のチェンジ効果が生じる原理である。
なお、本発明でいう拡散反射光が支配的な角度とは、正反射光がほとんどなく、拡散反射光の割合が極めて大きな角度を指す。一方、正反射光が支配的な角度とは、拡散反射光が少なく、正反射光の割合が多い角度を指す。
光輝性インキは、有色インキよりも少なくとも濃い濃度を有する必要がある。望ましくは、光輝性インキの反射濃度を有色インキの1.5倍以上の反射濃度とすることが望ましい。
発明が解決しようとする課題でも述べたが、第一の画像(4)と第二の画像(5)の重ね合わせに際して、画像の境界部の輪郭を太らせて二つの画像同士をオーバラップさせることで刷り合わせの冗長性を確保することができる。光輝性インキと有色インキの濃度によって適正な範囲は異なるが、具体的には0.05mmから0.50mm程度のオーバラップした領域を設けても良い。オーバラップが大きくなると刷り合わせは容易となるが、潜像部(5B)の隠蔽性が低下するため、インキの濃度に応じて適正な値に止める必要がある。
第一の画像(4)を形成する光輝性インキとは、光を強く反射する特性を備えた光輝性材料をインキ中に含んだインキであって、基材と異なる色彩のインキであれば、如何なるインキを用いても良い。オフセットインキとして市販されているインキとしては、メタリックインキと呼ばれる銀インキや金インキ等が存在し、特殊なパール顔料を配合したパールインキ等を用いても良い。加えて、光輝性材料の他に着色顔料を混合しても問題ない。着色顔料の色は、黒、赤、青及び黄色等のいずれの色相であっても何ら問題ない。ただし、過剰な量の顔料を混合した場合には、第一の画像(4)を適切な網点面積率の範囲で形成したとしても、階調表現域が拡大しすぎて正反射光下での観察において、第一の画像(4)が消失しきらない事象が生じる。よって、いずれの着色顔料を混合する場合でも、インキ中の光輝性材料の配合割合の2分の1の量を超えない範囲に留めることが望ましい。
前述の光輝性材料は、アルミニウム粉末、銅粉末、亜鉛粉末、錫粉末、真鍮粉末又はリン化鉄等の一般的な金属粉顔料であっても良い。また、虹彩色パール顔料、鱗片状顔料等の一般的なパール顔料、ガラスフレーク顔料及びコレステリック液晶顔料等の機能性顔料等を用いても良い。
第二の画像(5)を形成する有色インキは、光輝性インキと同じ色相であれば良い。インキは、グロス系でもマット系でも良いが、基材を問わず、高いスイッチ効果を発現させるには、マット系の有色インキを用いることが望ましい。マット系のインキの方が正反射光下において第二の有意情報のコントラストを高めやすく、画像のチェンジ効果が高くなるためである。また、この有色インキに蛍光顔料、燐光顔料及び蓄光顔料等の発光顔料や、IR吸収顔料、フォトクロミック顔料、示温材料及びサーモクロミック材料等の機能性材料を加えても良く、この場合、画像のスイッチ効果に加えて各種の機能性を追加することができる。
本発明における偽造防止印刷物の印刷方式は、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷及び凹版印刷等のあらゆる印刷方式で形成することが可能である。また、金属インキを用いることが可能であれば、IJP、レーザプリンタ及び昇華型プリンタ等の各種デジタル出力機でも形成することができ、この場合には、一枚ごとの出力物の情報を変える、いわゆる、可変印刷を実施することができる。
本実施の形態においては、第1の有意情報及び第二の有意情報に二値画像であるアルファベットを用いたが、これに限定されるものではなく、それぞれの画像に写真や絵画のような多階調画像を用いても良い。
以下、前述の発明を実施するための形態にしたがって、具体的に作製した偽造防止印刷物の実施例について詳細に説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではない。
本発明の実施例1について、実施の形態と同様に図1から図5を用いて説明をする。本実施例1では、基材(2)として白色の上質紙(しらおい 日本製紙株式会社製)を用いた。
第一の画像(4)及び第二の画像(5)の各部の反射濃度は、実施の形態で説明した数値とし、積層順序としては、図4(b)に示す構成で、光輝性インキとして銀インキ(UV No.3 シルバー 株式会社T&K TOKA社製)を用いて第一の画像(4)を印刷した後、有色インキとして淡い灰色の有色のマットインキ(UVL 特練 P420C マットグレー 株式会社T&K TOKA社製)を用いて第二の画像(5)を第一の画像(4)の上に重畳して形成した。灰色の有色のマットインキは、銀インキの約3分の1程度の反射濃度であった。
次に、実施例1の偽造防止印刷物(1)の効果について図5を用いて説明する。図5(a)は、観察者が拡散反射光下で実施例1の偽造防止印刷物(1)を観察した場合に観察される画像であり、印刷模様(3)の中には、情報部(4)が表す第1の有意情報であるアルファベットの「A」の文字が視認された。一方、図5(b)に示すように、観察者が正反射光下の特定の観察角度で偽造防止印刷物(1)を観察した場合、印刷模様(3)の中からアルファベットの「A」の文字が消失し、代わりに潜像部(5A)が表す第二の有意情報である「B」の文字が視認された。以上のように、二つの異なる画像がチェンジする効果を確認することができた。
1 偽造防止印刷物
2 基材
3 印刷模様
4 第一の画像
5 第二の画像
4A 情報部
4B 潜像カモフラージュ部
5A 潜像部
5B 背景部
6 光源
7 観察者
α 光の入射角度
β 光の反射角度

Claims (2)

  1. 基材上の少なくとも一部に、拡散反射光下で視認可能な第1の有意情報と正反射光下で視認可能な第2の有意情報を有する前記基材とは異なる色彩の印刷模様を備え、
    前記印刷模様は、光輝性インキにより形成された第一の画像と、前記光輝性インキと同じ色相、かつ、拡散反射光下において前記光輝性インキより淡い色彩として視認可能な有色インキにより形成された潜像部を有する前記第2の有意情報を表した第二の画像が重畳してなり、
    前記第一の画像は、前記第1の有意情報を形成する情報部と、前記潜像部を濃淡反転した潜像カモフラージュ部が濃度の差により区分けされ、前記第二の画像は、前記潜像部と背景部が濃度の差により区分けされて成り、
    前記情報部の濃度は、前記印刷模様の中の前記情報部と同じ箇所の濃度から前記第二の画像の同じ箇所の濃度を減じた濃度で形成され、前記潜像カモフラージュ部の濃度は、前記印刷模様の中の前記潜像カモフラージュ部と同じ箇所の濃度から前記第二の画像の同じ箇所の濃度を減じた濃度で形成され、
    拡散反射光下において、画像の濃淡の差により前記第1の有意情報が視認でき、正反射光下において、前記潜像部以外の領域が等色となり、インキの光の反射率の違いにより前記第2の有意情報が視認できることを特徴とする偽造防止印刷物。
  2. 前記潜像部の面積率と前記潜像カモフラージュ部の面積率の比は、前記光輝性インキの濃度と前記有色インキの濃度の比に略等しいことを特徴とする請求項1記載の偽造防止印刷物。
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