JP6177036B2 - 光音響イメージング用造影剤 - Google Patents
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Description
(1)
(I)
(i)
(ii)
本明細書においてアルブミン1つに対して共有結合している近赤外有機色素の数を、色素標識率とよぶ。本実施形態に係るPAI用造影剤において、色素標識率は、0.9より大きいことが好ましく、3.1より小さいことが好ましい。また、本実施形態において色素標識率は、1.6乃至3.0であることがさらに好ましい。これは、色素標識率が上記範囲内にあるときに、腫瘍集積性が高いからである。なお、色素標識率はサンプル中の近赤外有機色素の濃度およびアルブミンの濃度をそれぞれ求め、それらの比(近赤外有機色素の濃度/アルブミンの濃度)から算出した。近赤外有機色素の濃度は、その色素の特異的な吸収波長における吸光度から算出した。特異的な吸収波長として例えば、ICG−Sulfo−OSu(下記式(2)で示される化合物)を用いた場合は800nm下記式(5)で示される化合物を用いた場合は750nmを採用することができるが、特異的な吸収波長は他の値を採用してもよい。アルブミンの濃度はBCA法等によって求めることができる。
(I)
(i)
(ii)
(i−1)
(i−2)
(i−3)
(i−4)
(i−5)
(i−6)
(ii−1)
(ii−2)
(I−1)
本実施形態に係るアルブミンは、血中に多量に存在(35〜50g/L)し、分子サイズが66.5kDa、全配列585アミノ酸からなるタンパク質である。アルブミンは生体内で局在することにより浸透圧制御などの多くの役割を果たしている。本実施形態に係るアルブミンとしては、ヒト血清アルブミン(Human Serum Albumin、HSA)、ウシ血清アルブミン(Bovine Serum Albumin、BSA)が挙げられるが、HSAまたはBSAの改変体であってもよい。また、これらの断片であってもよい。本実施形態に係るアルブミンとしては、人体での安全性が高いと考えられる、HSA、HSAの改変体、HSAの断片、HSAの改変体の断片のいずれかであることが好ましい。また、本実施形態に係るアルブミンはヒト血液からの抽出物であってもよいし、大腸菌等からの生産物でもあっても構わない。本実施形態に係るアルブミンはHSAの全配列あるいは全配列中から取り出してきた部分配列と比較して少なくとも95%以上の相同性を有することを特徴とする。アルブミンは近赤外有機色素がアクセスできる位置に複数のリジン残基、あるいは遊離のシステイン残基を有している。アルブミンと近赤外有機色素との化学結合を形成する場合の一例として、アルブミンのリジン残基のアミノ基と近赤外有機色素のカルボキシル基とによるアミド結合が挙げられる。
本実施形態において近赤外有機色素としては、近赤外波長領域の光を吸収して音響波を発する有機色素であれば特に限定されない。
B−B’ (II)
(iii)
(iv)
(v)
(vi)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
本実施形態において、アルブミンと近赤外有機色素は、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、またはヒドロキシル基を介して公知のカップリング反応によって共有結合させることができる。特に、アミノ基を介して結合させることが好ましい。アミノ基はアルブミン中に複数存在し、弱アルカリ性のpH領域において効率的かつ選択的に反応する。前記反応によりアルブミンと結合した近赤外有機色素は、限外濾過法、サイズ排除カラムクロマトグラフィー法等の公知のタンパク質精製法により洗浄、精製することができる。アルブミンと近赤外有機色素の結合はアルブミン表面に存在する前記アミノ基、チオール基、カルボキシル基、またはヒドロキシル基と近赤外有機色素の誘導体とで直接結合されていても良いし、種々の架橋材(クロスリンカー)を介してアルブミンと近赤外有機色素が結合されていても良い。
本実施形態に係るPAI用造影剤において、複合体は粒子であることが好ましい。なお粒子は、真球状、楕円状、平面状、一次元のひも状などのいずれの形状でもよい。粒子である場合の流体力学的平均粒子径(以下、単に粒径と略すことがある)は、動的光散乱法で測定して1000nm未満であることが好ましい。粒径が1000nm未満の場合、EPR(Enhanced Permeability and Retention)効果により、生体内の正常部位に比べて腫瘍部位により多くの粒子を集積させることができる。腫瘍部位に集積したPAI用造影剤は、光音響イメージング装置を用いることによって、腫瘍部位を特異的にイメージングすることができる。また、上記粒子の粒径は動的光散乱法で測定して、200nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。上記粒子の粒径が200nm以下であると、本実施形態に係るPAI用造影剤が血中のマクロファージに取り込まれにくくなる結果、血中滞留性が高くなると考えられるからである。さらに粒径が50nm以下であると、上記粒子の組織浸透性が高まることが期待され、目的部位に到達した粒子の集積性が高まると考えられるからである。
本実施形態における捕捉分子とは、腫瘍などの標的部位に特異的に結合する物質、標的部位の周辺に存在する物質に特異的に結合する物質などであり、生体分子や医薬品等の化学物質などから任意に選択することができる。具体的には、タンパク質、抗体、抗体フラグメント、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、ポリペプチド、ペプチド、糖鎖、脂質、分子認識化合物などが挙げられる。これらの物質は単独で用いることもできるし、あるいは複数を組み合わせて用いることもできる。捕捉分子が化学結合された複合体を用いることで、標的部位の特異的な検出、標的物質の動態、局在、薬効、代謝等の追跡を行うことができる。本実施形態において、タンパク質とは、アミド結合によって天然または非天然アミノ酸が90個以上連結されたものを言う。本実施形態においてポリペプチドとは、アミド結合によって天然または非天然アミノ酸が30個以上90個未満で連結されたものを言う。本実施形態において、ペプチドとは、アミド結合によって天然または非天然アミノ酸が30個未満で連結されたものを言う。本実施形態において、タンパク質とポリペプチドとペプチドの分類は、アミノ酸の連結数によってなされるものであり、種々の修飾の有無を問わない。本実施形態において捕捉分子はタンパク質、または、ポリペプチド、または、ペプチドであることが好ましい。更に本実施形態における捕捉分子としてより好ましくは、タンパク質である抗体であり、特に一本鎖抗体であることが好ましい。
ALB−L−C (III)
本実施形態に係る光音響イメージング用造影剤は、凍結乾燥時に使用する添加剤を含んでいてもよい。添加剤の一例としてグルコース、ラクトース、マンニトール、ポリエチレングリコール、グリシン、塩化ナトリウム、リン酸水素ナトリウムが挙げられる。添加剤は1種類のみを用いても、複数種類を併用してもよい。
生体内に投与された本実施形態に係るPAI用造影剤を、光音響イメージング装置を用いて検出する方法について説明する。本実施形態に係るPAI用造影剤を検出する方法は以下の(a)、(b)の工程を有する。但し、本実施形態に係る光音響イメージング方法は、以下に示す工程以外の工程を含んでいても良い。
(a)本実施形態に係るPAI用造影剤が投与された検体に600nm乃至1300nmの波長領域の光を照射する工程
(b)前記検体内に存在する前記造影剤から発生する音響波を検出する工程
本発明の実施例において光音響信号強度は以下のように計測した。
本発明の実施例においてアルブミンに対する色素標識率はサンプルの吸光度測定により算出した。サンプル中の色素濃度は用いた色素に特異的な吸収波長における吸光度から算出した。具体的には、ICG−Sulfo−OSu(上記式(2)で示される化合物)を用いた場合は800nm、上記式(5)で示される化合物を用いた場合は750nmにおける吸光度を計測した。ICGの濃度はサンプルを5%SDSで希釈して吸光度を測定し、予め作成しておいたSDS中での色素の検量線から算出した。HSA濃度はBCA法から算出した。
本発明の実施例において腫瘍塊へのPAI用造影剤の移行量の評価は腫瘍移植マウスを用いて行った。腫瘍移植マウスは、ヒト胃癌細胞株(N87)、ヒト子宮頸癌細胞株(HeLa)をそれぞれヌードマウス皮下に移植し作製したものを用いた。腫瘍移植マウスへ造影剤を色素量で130nmol投与し、投与5分後、投与1日後での光音響イメージングを行った。さらに、比較例として投与1日後における腫瘍移植マウス蛍光イメージングも実施した。蛍光イメージングはIVIS(登録商標) Imaging Systemを用いて行い、腫瘍部分の関心領域(ROI:Region of Interest)の蛍光強度を計測した。
本発明の実施例においてセンチネルリンパ節(SLN)へのPAI用造影剤の移行はマウス膝窩リンパ節を用いて評価した。ヌードマウス後肢の足底皮下に造影剤10マイクロリットルを投与して、1日後にマウス膝窩リンパ節の光音響イメージングを実施した。
集積率={(摘出マウス膝窩リンパ節の吸光度)/(投与サンプル相当量の吸光度)}×100
本実施例における化合物はHSA表面のアミノ基に対して近赤外有機色素を共有結合させたものである。ICG−HSAの代表的な構造は式(I)、ICG’−HSAの代表的な構造は式(II)でそれぞれ示す。
ヒト血清アルブミン(Albumin,from human serum:HSA、SIGMA社製、以下単にHSAと略す)を10mg/mLの濃度で炭酸緩衝液(pH9.4)に溶解してHSA溶液とした。1mgの上記式(2)で示される化合物(ICG−Sulfo−OSu、Dojindo Laboratories製、登録商標)と、上記式(5)で示される化合物をそれぞれ、0.1mLのDMSOに溶解し、上記のHSA溶液に混合して37度で3時間静置した。得られた反応混合溶液をそれぞれ、ゲルろ過(PD−10)および限外濾過(50kDa)によりHEPES緩衝液(pH7.6)への置換、および未反応体の分離を行った。最終的に、近赤外有機色素とHSAが共有結合した化合物を作製した。表1、2に反応時の仕込モル濃度を変化させて得られた化合物の色素標識率を示す。本実施例の化合物の具体的な化学構造は式(I)に示す通りである。一方、表2中で上記式(5)で示される化合物とHSAとが結合して得られた化合物はICG‘−HSAと表記した。ICG‘−HSAの具体的な化学構造は式(II)に示す通りである。
上記の方法で得られたICG−HSA(7)について動的光散乱解析装置(DLS−8000、大塚電子社製)を用いてで流体力学的平均粒子径の計測を行った結果を表3に示す。なお、比較例としてICG((財)日本公定書協会製)、HSA、ICG−HSA(7)を内包するリポソーム粒子、およびICGを内包するミセル粒子の平均粒子径の結果を示す。ちなみにICG−HSA(7)内包リポソーム粒子とは、上記の方法で得られたICG−HSA(7)を公知の方法でリン脂質リポソームに内包したものである。さらにICGを内包するミセル粒子とは、従来公知の乳化手法によって界面活性剤ミセル中にICGを含有させたミセル粒子である。
HeLa細胞株を移植した腫瘍移植マウスに対してICG−HSA(7)を色素量130nmolで投与し、市販の光音響イメージング装置(Nexus128,Endra.Inc.製)を用いて、計測は投与前、投与5分後、投与1日後でそれぞれ実施した。計測波長は800nmとした。ICG−HSA(7)を投与する前に測定した光音響強度を1とした場合の腫瘍部での相対光音響信号強度を表4に示す。表4から、腫瘍部での光音響信号強度はICG−HSA(7)を投与した直後(5分後)に大きく上昇し、投与1日後においても投与直後の光音響信号強度が保持されていることが示された。
ICG−HSAの腫瘍集積性を確認するために、N87細胞株を移植した腫瘍移植マウスに対して造影剤を投与した。ICG−HSA(7)および種々の造影剤を腫瘍移植マウス血中に投与し、1日後の腫瘍集積性を蛍光により評価した。さらに、腫瘍部ROIにおける集積量を算出し、ICGのROI値を基準とした相対腫瘍集積量をまとめた結果を表5に示す。比較例としてICG、ICG−HSA(7)を内包するリポソーム粒子、およびICGを内包するミセル粒子の相対腫瘍集積量の結果を示す。これより、ICG−HSA(7)は他の比較材料に比べて高い腫瘍集積性を示していることが明らかとなった。
光音響イメージングを用いてセンチネルリンパ節(SLN)への集積を評価した。表6および図2にICG−HSA(7)をヌードマウスの足底皮下に色素量でそれぞれ130nmol投与して1日後の光音響イメージングの可否を評価した結果を示す。ICGおよびICG含有ナノミセルは投与1日後ではSLNでの光音響信号はほとんど確認できず、描出を認めることができなった。一方ICG−HSA(7)はSLNを明瞭に確認することができ(図2)、ICG−HSA内包リポソームとほぼ同等の描出性を示した。さらに、測定後のSLNを摘出して、造影剤未投与のSLNと並べて光音響イメージングを実施した結果を図3に示す。未投与のSLNとの比較においてもICG−HSA(7)投与1日後のSLNにおいて有意な光音響信号を確認した。
センチネルリンパ節への集積評価例に従って、センチネルリンパ節への集積量の評価を行った。本実施例でマウスへの造影剤は色素量で10nmolをそれぞれ投与した。表7に各造影剤における集積量比をまとめた結果を示す。比較例としてICG、ICGとHSAの混合溶液(ICG+HSA)、ICG−HSA(7)を内包するリポソーム粒子、およびICGを内包するミセル粒子の相対集積量の結果を示す。この結果、ICG−HSA(7)は比較例と比べてSLNへの高い集積性を示すことが明らかとなった。
実施例に記載の方法でICG−HSA(2)、ICG−HSA(7)、ICG−HSA(21)、ICG−HSA(50)の水溶液を作製した。BALB/c Slc−nu/nuマウスにColon26細胞を皮下に移植した腫瘍マウスモデルに対して各種ICG−HSA水溶液100μL(ICGとして13nmol)をマウス尾静脈から注射することにより腫瘍への集積性を評価した。本実施例ではさらにICG((財)日本公定書協会製)の水溶液を対照サンプルとして用いた。
始めに、HER2へ結合するIgGの可変領域の遺伝子配列を基に、一本鎖抗体(scFv)部をコードする遺伝子断片を作製した。作製した遺伝子のC末端にはタンパク精製のためのヒスチジンが6残基連続した6 x Hisタグ、またそのさらに下流にスペーサーとしてグリシンを2残基挟み信号発信分子を導入するためのシステインを配置した(配列番号1)。上記遺伝子断片をT7プロモーターの下流に挿入したプラスミドpET−22b(+)(Novagen社)を大腸菌(Escherichia coli BL21(DE3))に導入し、発現用菌株を得た。得られた菌株をLB−Amp培地4mlで一晩前培養後、全量を250mlの2 x YT培地に添加し、28度、120rpmで8時間振とう培養した。その後、終濃度1mMでIPTGを添加し、28度で一晩培養した。培養した大腸菌を8000xg、30分、4度で遠心分離し、その上清の培養液を回収した。得られた培養液の60%重量の硫酸アンモニウムを添加し、塩析によりタンパク質を沈殿させた。塩析操作した溶液を一晩4度で静置後、8000xg、30min、4度で遠心分離することで沈殿物を回収した。得られた沈殿物を20mM Tris・HCl/500mM NaClバッファーに溶解し、1Lの同バッファーへ透析した。透析後のタンパク質溶液を、His・Bind(登録商標) Resin(Novagen社)を充填したカラムへ添加し、Niイオンを介した金属キレートアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。
ヒト血清アルブミン(Albumin, from human serum:HSA、SIGMA)を10mg/mLの濃度で炭酸緩衝液(pH8.5)に溶解してHSA溶液とした。1mgのICG誘導体(ICG−Sulfo−Osu、DOJINDO)を0.1mLのDMSOに溶解し、上記のHSA溶液に対してHSAの7倍モル量添加して37度で2時間静置した。この反応混合溶液を限外濾過(30kDa)により、未反応体の分離を行い、ICG−HSAの水溶液を得た。
HSAに対して、60倍モル量のSulfo−SMCC(Sulfosuccinimidyl−4−(N−maleimidomethyl)cyclohexane−1−carboxylate、PIERCE)を添加して4度で1時間静置した。この反応混合溶液をゲルろ過(PD−10)することで、リン酸緩衝液(PBS)への置換、および未反応体の除去を行い、Sulfo−SMCC導入HSAの水溶液を得た。
上記の方法で得られたICG−HSA、scFv−ICG−HSA、scFv−HSA−ICGについて、HSAに対する色素標識率を算出した。色素標識率の算出はBCAアッセイによるタンパク定量およびICGの吸光度からそれぞれの濃度を測定することによって算出した。結果を表9に示す。
上記で得られたscFv−ICG−HSA、scFv−HSAについて、HSAに対するscFv固定化数を算出した。結果を表9に示す。scFv固定化数の算出は、電気泳動(SDS−PAGE)を行い、クマシー染色を行うことで、バンドの染色強度を測定することによって算出した。
上記で作製した種々のscFv−ICG−HSA、scFv−HSA−ICGと抗原であるHER2との相互作用をBiacore Xシステム(GEヘルスケア株式会社)を用いて測定することにより、HER2結合能力を測定した。抗原としては、Recombinant Human ErbB2/Fc Chimera(R&D Systems,Inc.)を用いて、メーカーの推奨に従って、CM5チップ表面のカルボキシメチルデキストラン鎖へのアミンカップリングにより固定した。固定化量は、約5000RU程度であった。ランニングバッファーとしてはPBS−T(2.68mM KCl/137mM NaCl/1.47mM KH2PO4/1mM Na2HPO4/0.005% Tween20,pH7.4)を用いて、100nM〜800nMに調製したサンプルを流速20マイクロリットル/minの条件下でインジェクトし、HER2に対する結合能力(解離定数KD[M])を評価した。結果を表9に示す。scFv固定化数が多いほど、HER2に結合能力が高くなることを確認した。また、scFv−HSA−ICG−7、scFv−HSA−ICG−21、scFv−HSA−ICG−70を比較したところ、色素標識率が21になるとHER2結合能力が大きく低下することを確認した。
上記で作製した分子プローブ(ICG−HSA、scFv−ICG−HSA、scFv−HSA−ICG)のHER2特異的な腫瘍集積性を確認するために、以下の実験を行った。HER2陽性のN87細胞株、HER2陰性のSUIT−2細胞株を移植した腫瘍移植モデルマウスに対して、分子プローブを投与後1日後に、腫瘍を摘出した。摘出した腫瘍に1%TritonX−100を添加して破砕し、その破砕液に対してジメチルスルホキシド(DMSO)を9倍量添加し混合した溶液を調製した。それらの溶液の蛍光強度を測定することにより、マウスに投与した分子プローブの腫瘍重量当たりの腫瘍集積量[%ID/g]を算出した。また、N87への腫瘍集積量をSUIT−2への腫瘍集積量で割った値(N87/SUIT−2)をHER2特異性を示す値として算出した。その結果を表9に示す。scFv−ICG−HSA−1、scFv−ICG−HSA−2、scFv−HSA−ICG−7でHER2特異的な集積を示すことを確認した。scFv−ICG−HSA−1、scFv−ICG−HSA−2を比較したところ、scFv固定化数が多いscFv−ICG−HSA−2の方がHER2特異性が高く、scFv固定化数が多い方がHER2特異性が高いことが示唆された。また、scFv−HSA−ICG−7、scFv−HSA−ICG−21、scFv−HSA−ICG−70を比較したところ、色素標識率が6.6以上になるとHER2特異的な集積が見られなくなることを確認した。この原因として、scFv−HSA−ICG−7とscFv−HSA−ICG−21では、HER2に対する結合能力は変わらないことより、ICGを多数標識することにより、ICGを介した肝臓排泄が促進されてしまったことなどが考えられる。
最初に、ヒト血清アルブミン(Albumin, from human serum:HSA、SIGMA)を10mg/mLの濃度で炭酸緩衝液(pH8.5)に溶解してHSA溶液とした。1mgのICG誘導体(ICG−Sulfo−Osu、DOJINDO)を0.1mLのDMSOに溶解し、上記のHSA溶液に対してHSAの7倍モル量添加して37度で2時間静置した。この反応混合溶液を限外濾過(30kDa)により、未反応体の分離を行い、ICG−HSAの水溶液を得た。
最初に、ヒト血清アルブミン(Albumin, from human serum:HSA、SIGMA)を10mg/mLの濃度で炭酸緩衝液(pH8.5)に溶解してHSA溶液とした。1mgのICG誘導体(ICG−Sulfo−Osu、DOJINDO)を0.1mLのDMSOに溶解し、上記のHSA溶液に対してHSAの7倍モル量添加して37度で2時間静置した。この反応混合溶液を限外濾過(30kDa)により、未反応体の分離を行い、ICG−HSAの水溶液を得た。
MARSGLGGKGSC(配列番号3)
Claims (15)
- アルブミンと、近赤外波長領域の光を吸収する有機色素と、が共有結合した複合体を有する光音響イメージング用造影剤であって、
前記複合体が、下記式(I)で示されることを特徴とする光音響イメージング用造影剤。
(I)
式(I)においてAは、アルブミンのうち、1つのアミノ基を除いた部位を表す。A’は前記有機色素の一部を除いた部位であって、下記式(i)を表し、下記式(i)の*は式(I)の窒素原子(N)に結合する。
(i)
式(i)において、Zは、Zに結合したインドール環と共にベンズ[e]インドール環、ベンズ[f]インドール環、またはベンズ[g]インドール環からなる環状芳香族環を形成し、さらに該環状芳香族環の水素原子は炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数1乃至10のアルコキシ基で置換されていてもよく、
式(i)において、R1は、炭素数1乃至10のアルキル基、−(CH2)b−SO3 −(bは1乃至10のいずれかの整数)のいずれかであり、R1がアルキル基である場合、ハロゲンイオン、または有機酸イオンが対イオンとして含まれていても良く、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数1乃至10のアルコキシ基、のいずれかであり、
式(i)において、aは1乃至10のいずれかの整数であり、nは2または3であり、前記光音響イメージング用造影剤において、前記アルブミンに共有結合している前記有機色素の平均の数である色素標識率が1.6以上である。 - 前記式(i)が、下記の式(i−1)または(i−2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の光音響イメージング用造影剤。
(i−1)
(i−2)
式(i−2)において、Y−はハロゲンイオン、または有機酸イオンである。 - 前記複合体が下記式(I−1)で示されることを特徴とする請求項1または2に記載の光音響イメージング用造影剤。
(I−1)
上記式(I−1)において、Aはアルブミンのうち、1つのアミノ基を除いた部位を表す。 - 前記色素標識率が2.3以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
- 前記色素標識率が3.1以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
- 前記色素標識率が3.0以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
- 前記アルブミンがヒト血清アルブミンであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
- 前記複合体が粒子であり、前記粒子の流体力学的平均粒子径が動的光散乱法で測定して200nm以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
- 前記粒子の流体力学的平均粒子径が動的光散乱法で測定して50nm以下であることを特徴とする請求項8に記載の光音響イメージング用造影剤。
- 捕捉分子をさらに有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
- 前記捕捉分子がタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドであることを特徴とする請求項10に記載の光音響イメージング用造影剤。
- 前記タンパク質が一本鎖抗体であることを特徴とする請求項11に記載の光音響イメージング用造影剤。
- 腫瘍の造影に用いられることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
- リンパ節の造影に用いられることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
- 添加剤をさらに有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の光音響イメージング用造影剤。
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