JP6164465B2 - ドライビングシミュレータのモーション制御方法及び車両試験システム - Google Patents
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Description
試験品搭載用車体フレームに試験品を設置し、試験品の動きを測定したデータを、車両モデルに入力して、車両モデルから得られる姿勢パラメータ、操舵反力などを出力する。
本発明は、かかる実情に鑑み、ドライビングシミュレータと車両用試験装置との間で通信に相当な時間がかかり、その間、ドライビングシミュレータがデータの更新をすることができない状態であっても、ドライビングシミュレータが試験品の状態を、できるだけ正確に模擬できるようにしたドライビングシミュレータのモーション制御方法及び車両試験システムを提供しようとするものである。
また本発明の車両試験システムは、前記本発明に係るドライビングシミュレータのモーション制御方法を実施するためのシステムである。
図1は、ある場所(拠点1)にドライビングシミュレータDSを設置し、他の場所(拠点2)に車両用試験装置DMSを設置し、車両用試験装置DMSとドライビングシミュレータDSとを光ケーブル、同軸ケーブルなどの通信回線9で接続した本発明の実施形態に係る車両試験システム1を示す概略図である。図1において、COM1はドライビングシミュレータDS側のコンピュータを示し、COM2は車両用試験装置DMS側のコンピュータを示す。
またドライビングシミュレータDSには、コンピュータCOM1の指令に応じて、運転者が路面から受ける反力データを模擬的に作りだし、それに基づいて反力モータ(図示せず)を駆動する反力モータドライバ63(図4参照)が接続されている。またドライビングシミュレータDSのコンピュータCOM1には、加減速時、コーナリング時、ブレーキング時のロール角r、ピッチ角p、ヨー角y(これらの3つを「姿勢パラメータ」という)の各動きを実現するためアクチュエータを駆動するモーションコントローラ64(図4参照)が接続されている。また走行距離に応じて風景を移動させ、回転させるためモニタ95を駆動制御する画像ドライバ67(図4参照)も搭載されており、この画像ドライバ67の指令に基づいてモニタ95に映しだされた風景が移動する。ロール角r、ピッチ角p、ヨー角yに応じて風景が移動する方向を、図2のモニタ95に矢印で示す。
車両用試験装置DMSは、左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪の4つの車輪に対応する4つの車軸21S,22S,23S,24S(21S,22Sは他の部材のため隠れているので図示せず)が取り付けられるとともに試験品が搭載される試験品搭載用車体2と、試験品搭載用車体2を支持しかつ試験品搭載用車体2に6自由度の運動をさせるための第1モーションベース3と、各車軸21S,22S,23S,24Sを支持し、かつ各車軸21S,22S,23S,24Sに6自由度の運動をさせるための4つの第2モーションベース4,5,6,7とを含む。
この実施形態では、EPS40は、コラムアシスト式EPSである。EPS40は、よく知られているように、ステアリングホイール81と、ステアリングホイール81の回転に連動して前輪を転舵する転舵機構(図示せず)と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構83とを含んでいる。ステアリングホイール81と転舵機構82とは、ステアリングシャフトを介して機械的に連結されている。
後輪駆動用モジュール50は、後輪用の車軸23S,24Sを回転駆動するための電動モータ(以下「後輪駆動モータ」という。)と、後輪駆動モータの回転力を後輪用の車軸23S,24Sに伝達するための伝達機構と、後輪駆動モータを制御すためのECU(以下「後輪駆動モータ用ECU」という。)と、後輪用車軸23S,24Sの両方又はいずれか一方の回転角を検出するための回転角センサを含んでいる。伝達機構は、クラッチ及び減速機構を含んでいる。伝達機構は、クラッチ及び減速機構のいずれか一方のみを含んでいてもよい。
外力付加用モータ31,32,33,34のモータ本体は、それぞれ第2モーションベース4,5,6,7の可動ベース12に、弾性シート部材30を介して載せられた状態で固定されている。つまり、外力付加用モータ31,32,33,34のモータ本体は、弾性シート部材30を介して第2モーションベース4,5,6,7に支持されている。言い換えれば、各車軸21S、22S、23S、24Sは、弾性シート部材30及び対応する外力付加用モータ31,32,33,34のモータ本体を介して、第2モーションベース4,5,6,7に支持されている。また、各外力付加用モータ31,32,33,34を制御するためのモータ制御装置35、36,37,38(図5参照)が、試験品搭載用車体2に搭載されている。
また、この車両用試験装置DMSでは、第1モーションベース3のアクチュエータ13を駆動制御し、第2モーションベース4,5,6,7のアクチュエータ13を個別に駆動制御することによって、各種の車体姿勢を作ることができる。したがって、各モーションベース3,4,5,6,7のアクチュエータ13を全体的に制御することにより、ローリング、ピッチング及びヨーイングを含む各種の車両走行姿勢を再現することが可能である。
図4に示すように、ステアリングハンドル91の操舵角θ、アクセルペダル92の踏み込み量A、ブレーキペダル93の踏力Bの各データは、コンピュータCOM1内のネットワーク端末61に入力され、ここから車両用試験装置DMSに送信される。また各データθ,A,Bは、コンピュータCOM1内に設置されている車両挙動データベース62にも入力される。
車両用試験装置DMSは、コンピュータCOM2と、車両用試験装置DMSの本体部分100とを備えている。
車両用試験装置DMSの本体部分100には、アシストモータ41、アシストモータ41を制御するためのEPS用ECU42、後輪駆動モータ51、後輪駆動モータ51を制御すための後輪駆動モータ用ECU52、各モーションベース3,4,5,6,7を駆動するモーションコントローラ3C,4C,5C,6C,7C 、及びモータ制御装置35、36,37,38が搭載されている。モータ制御装置35、36,37,38は、それぞれ外力付加用モータ31,32,33,34を駆動する装置である。
ドライビングシミュレータDSから、通信回線9を介して、運転者の運転操作に応じた操舵角θ、アクセル踏み込み量A、ブレーキ踏力B等のデータがネットワーク端末73に入力される。これらのうち、操舵角 θのデータは、車両用試験装置DMSに搭載されているEPS用ECU42に送られる。アクセル踏み込み量A のデータは、車両用試験装置DMS搭載されている後輪駆動モータ用ECU52に送られる。ブレーキ踏力Bのデータは、コンピュータCOM2の車両挙動演算部71に送られる。
車両挙動演算部71は、車両モデル75というソフトウェアを利用して演算を行う。ここで車両モデル75とは、前記試験品が搭載される実車両の挙動を模擬するために作られたソフトウェアであり、ドライビングシミュレータDSから得られるブレーキ踏力B、 ラック軸変位量、ラック軸変位速度、車軸回転速度などの各データに基づいて、運転状況に応じた車体の位置・姿勢、各車輪の位置・姿勢及び各車軸に加えられている外力を生成するためのモデルのことをいう。
指令値生成部72によって生成された各モーションベース3,4,5,6,7それぞれに対する姿勢指令値は、車両挙動データベース74に与えられる。また姿勢指令値は、対応するモーションベース3,4,5,6,7のモーションコントローラ3C,4C,5C,6C,7Cにも与えられる。各モーションコントローラ3C,4C,5C,6C,7Cは、指令値生成部72から与えられた姿勢指令値に基づいて、対応するアクチュエータ13を制御する。これにより、各モーションベース3,4,5,6,7の可動ベース12は、姿勢指令値に応じた姿勢となるように運動する。
なお、ドライビングシミュレータを操作して試験品の試験データを収集するために、ドライビングシミュレータと車両用試験装置との間でリアルタイムのデータ通信をして、車両挙動データベース74に、指令値生成部72が生成した姿勢指令値やトルク指令値などの出力データを記憶し蓄積することは、もちろん可能である。
この結果、ドライビングシミュレータDSと車両用試験装置DMSとの間のデータ通信に相当な遅延が発生する状態であっても、データの追従性を向上させることができ、ドライビングシミュレータDSにおいて、試験品を含む試験品搭載用車体2の状態を、正確に模擬することができる。
Claims (3)
- ドライビングシミュレータのモーション制御方法であって、
前記ドライビングシミュレータと、自動車の機械要素である試験品が搭載された車両用試験装置とを通信回線で接続し、
前記ドライビングシミュレータは、車両操作信号を前記車両用試験装置に送信し、
前記車両用試験装置は、前記車両操作信号の内容に従って前記試験品を動作させ、前記試験品の動きを測定した測定データを車両モデルに入力して出力データを取得し、
前記車両用試験装置は、前記車両操作信号の内容を表す操作データと、それに対応する前記出力データとをドライビングシミュレータ側に転送し、
ドライビングシミュレータ側では、前記転送されてきたデータを車両挙動データベースに記憶し、運転者の車両操作に応じて、前記車両挙動データベースに記憶されたデータを利用してドライビングシミュレータを動作させる、ドライビングシミュレータのモーション制御方法。 - 前記操作データと、それに対応する前記出力データとは、操縦入力パターンでの車両挙動が推定できる程度の事前挙動把握試験を実施して作成する、請求項1に記載のドライビングシミュレータのモーション制御方法。
- 互いに通信回線で接続されたドライビングシミュレータと、自動車の機械要素である試験品が搭載された車両用試験装置とを含む車両試験システムであって、
前記ドライビングシミュレータは、車両操作信号を前記車両用試験装置に送信する送信部を有し、
前記車両用試験装置は、
前記車両操作信号を受信する受信部と、
受信した前記車両操作信号の内容に従って前記試験品を動作させ、前記試験品の動きを測定した測定データを車両モデルに入力して出力データを得る車両挙動演算部と、
前記車両操作信号の内容を表す操作データと、それに対応する前記出力データとをドライビングシミュレータ側に転送し、
前記ドライビングシミュレータ側では、ドライビングシミュレータ側では、前記転送されてきたデータを車両挙動データベースに記憶し、運転者の車両操作に応じて、前記車両挙動データベースに記憶されたデータを利用してドライビングシミュレータを動作させる、車両試験システム。
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