JP6038087B2 - 船舶運航計画最適化システムおよび船舶運航計画最適化方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、気象および海象情報を利用することにより、安全かつ予定時刻通りの運航を行い、主機の燃費節減を図り、危険海域を回避するようにルート設定を行う船海計画支援システムが開示されている。
また、例えば特許文献2には、定時運航と省エネ運航とを両立する操船の技術を確立するため、実績との乖離に対して手入力や音声入力で船長の操船判断(意思決定)を適切に反映したシステムが開示されている。
また、上記特許文献2に開示された発明では、航行ルート全体における船速の配分を行っておらず、航行ルート全体に対する運航計画の最適化が行われていないという問題があった。
自船の発着地点、および発着時刻を設定する発着情報設定手段と、前記発着地点間およびその周囲の他船の情報を取得し他船の予測位置を地図上にマッピングし予測マップを作成し、作成した前記予測マップを複数のエリアに分け、該エリア毎に他船の数にて重み付けを行った重み付け予測マップを作成するマップ作成手段と、燃料消費量の少ない航行ルートを算出し設定するルート設定手段と、を備え、前記ルート設定手段は、航行計画時に、前記発着情報設定手段から得た情報および前記マップ作成手段から得た前記重み付け予測マップに基づき他船の干渉を回避する前記航行ルートである他船干渉回避ルートを算出することを特徴とする船舶運航計画最適化システムを採用する。
また、本発明によれば、航行ルート全体に対し船速配分の最適化を行うため、より高い定時性を確保することができる。
よって、他船の干渉状況を考慮した上で、安全性、省エネ性および定時性の全てを同時に満たす運航計画の最適化が行える。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1乃至6を用いて説明する。
図1には、本実施形態に係る船舶運航計画最適化システムの概略構成が示されている。
図1に示されるように、船舶運航計画最適化システム1は、ルート設定手段10及び船速プロファイル設定手段(船速配分設定手段)20を内部に備えた制御部5、マップ作製手段30、天候情報取得手段40、海域情報取得手段50及び発着情報設定手段60を主な構成として備えている。また、船舶100は、船舶運航計画最適化システム1及び航行システム200を内部に備え、船舶運航計画最適化システム1の制御部5から航行システム200に対し、最適化された運航計画が渡される。
天候情報取得手段40は、発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲の気象(天候、風向、風速など)および海象(潮流、潮速など)データを取得する。
海域情報取得手段50は、発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲の漁場や岩場などの危険海域等の海域データを取得する。
ルート設定手段10は、天候情報取得手段40、海域情報取得手段50及び発着情報設定手段60のそれぞれからデータを受け取り、これらの情報に基づき燃料消費量が最も少ない航行ルートを設定する。
船速プロファイル設定手段20は、ルート設定手段10、天候情報取得手段40、海域情報取得手段50及び発着情報設定手段60のそれぞれからデータを受け取り、これらの情報に基づき航行ルート全体の船速配分計画(船速プロファイル)を設定する。
マップ作成手段30は、発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲に存在する他船の情報を取得し、他船の予測位置を地図上にマッピングし、予測マップを作成する。マップ作成手段30による予測マップの作成方法の詳細については、後述する。
船舶運航計画最適化システム1の利用をスタートすると、操船者は発着情報設定手段60に船舶の出発地点および到着地点(発着地点)、出発時刻および到着時刻(発着時刻)を入力し設定する(S201)。これらの情報は、制御部5へも取り込まれる。
次に、天候情報取得手段40が、発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲の気象(天候、風向、風速など)および海象(潮流、潮速など)データを取得し、海域情報取得手段50が、発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲の漁場や岩場などの危険海域等の海域データを取得する。取得された気象、海象および海域データは、制御部5へ渡される(S202)。
このように、ステップS203において最初に設定される航行ルートは、他船の動向を考慮しない場合に最も燃料消費量が少ないルートである。
ステップS204にて検討された船速プロファイルが最も燃料消費量が少ないプロファイルか否かを判定し(S205)、最も燃料消費量が少ない船速プロファイルであると判定された場合はステップS206へ遷移する。ステップS205にて、最も燃料消費量が少ない船速プロファイルでないと判定された場合は、ステップS204に遷移し、再度船速プロファイルが検討される。
図3には、AIS情報の一例を示した概略図が示されている。
図3の右側に示されるマップは、例えば本実施形態の船舶が航行する海域における他の各船舶の位置及び進行方向を示したマップであり、図3の左側に示される表は、マップ中において選択されたある船舶の詳細情報(船舶名、位置、速度、進路など)を示した表である。
AISは、300総トン数以上の国際航海する船舶、500総トン数以上の非国際航海の船舶および国際航海の全旅客船に搭載が義務付けられた船舶を自動判別する装置である。図3に示されるようなAISの情報を用いることにより、AISを搭載する全ての船舶の航行の予測を行うことができる。
しかし、AIS非搭載船およびAISを搭載しているが電源を切っているなどAIS情報を利用できない船舶については、AIS情報を取得することができない。これらの船舶については、衛星から得られる画像、すなわちレーダ情報を用いて情報を補完するものとする。
図4は、例えば本実施形態の船舶が航行する海域における衛星(陸域観測技術衛星だいち/ALOS:Advanced Land Observing Satellite)より得られる画像データの一例を示している。図の実線枠内に示される船舶はAIS搭載船、破線枠内に示される船舶はAIS非搭載船である。衛星からの画像データは30分毎に取得される。画像データの前後のデータとの比較により、移動方向、時間および移動距離が確認できるため、AIS非搭載船の進行方向および船速を予測することができる。
例えば、自船が図右上部のA地点から図左下部のB地点へ向かうものとする。この時、A−B地点間およびその周囲(以下、「対象海域」とする。)を格子状の複数のエリアに分割し、予測マップの基礎データとする。対象海域において、航行計画時点の他船の動向情報の予測を元に、図2のステップS203において算出された自船の航行ルートに応じた対象海域通過時の他船の予測位置を対象海域の地図にマッピングする。
マップ作成手段30は、予測マップにマッピングされた他船の予測位置を元に、エリア毎に他船の数に応じて干渉確率の場合分け及び重み付けを行う。1のエリアにおける他船の数が数隻程度の場合は、そのエリアにおける他船の密度が高く自船と干渉する確率が高い場合であるとし、例えば予測マップ上の該当エリアに色付け、網掛けするなどの視覚処理とともに重み付けの処理を行う。また、1のエリアにおける他船の数が数隻程度よりも多い場合は、そのエリアにおける他船の密度が非常に高く自船と干渉する確率が非常に高い場合であるとし、例えば予測マップ上の該当エリアに色付け、網掛けするなどの視覚処理とともに重み付けの処理を行う。但し、確率が高い場合との場合分けが可能なように濃淡をつける等の処理が必要である。また、1のエリアにおける他船の数が0の場合は、そのエリアにおける他船の密度が低く自船と干渉する確率が0または低い場合であるとし、例えば予測マップ上の該当エリアへの処理は行わないとする。
ここで、他船と干渉する、とは、例えば自船と他船とが半径1km以内かつ5分以内に出会う場合である、とする。
図6の予測マップでは、他船の密度が非常に高く干渉確率の高いエリアには濃い網掛けの処理を行い、他船の密度が数隻程度である干渉確率のやや高いエリアには薄い網掛けの処理を行い、他船が存在しない干渉確率の低いエリアには処理を行っていない。このように、予測マップに対し干渉確率の高低を視覚化することによって、操船者等が他船の干渉を容易に認識することができる。また制御部5に対してもマップ作成手段30が作成した重み付け予測マップが渡される。
制御部5は、図2のステップS203において算出された自船の航行ルートとマップ作成手段30が作成した重み付け予測マップとを比較し、航行ルート全体において干渉地点が無いか否か、すなわち航行ルートが干渉確率の高いエリアに重なる地点が無いか否かを判定し(図2のステップS206)、無い場合は処理を終了する。この時、ステップS203において算出された自船の航行ルート及びステップS204において設定された船速プロファイルが自船の運航計画として航行システム200に渡される。
ステップS203において、ルート設定手段10は、重み付け予測マップ上の干渉確率の高いエリアを避け、かつ燃料消費量が少ない航行ルートを再度算出する。以下、航行ルート全体において干渉地点が無いと判定されるまで、ステップS203からステップS206までの処理を繰り返す。
このようにして導出された航行ルートは、他船の干渉を回避するように算出された他船干渉回避ルートであり、図6の実線矢印で示されたルートである。
航行計画時に、ルート設定手段10は、発着情報設定手段60から得た情報およびマップ作成手段30から得た予測マップに基づき、他船との干渉確率の低い他船干渉回避ルートを算出することから、他船の動きや航行ルート上の他船の干渉状況を考慮した予測マップから他船の干渉を回避した航行ルートを計画することができる。これにより、他船との干渉を防止することで安全性を確保し、燃料消費量が少ないルートを航行することで省エネ運航の実現が可能である。
また、ルート設定手段10は、航行計画時に、天候情報取得手段40および海域情報取得手段50から得た情報に基づき航行ルートを算出することから、航行ルートの設定において気象、海象および海域情報を利用し、より精度の高い航行ルートの算出を行うことができる。
さらに、AIS情報およびレーダ情報に基づき他船の進行方向情報および速度情報を得ることから、既存データを利用可能なため、容易に他船の動向を予測することができる。
以下、本発明の第2実施形態について、図7及び8を用いて説明する。
上記した第1実施形態では、他船の干渉確率が高いエリアに対し、ルートを変更することにより回避するとしたが、本実施形態では、船速を増減させることで他船の干渉を回避するものである。その他の点については第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一符号を付しその説明は省略する。
船舶運航計画最適化システム1の利用をスタートすると、操船者は発着情報設定手段60に船舶の出発地点および到着地点(発着地点)、出発時刻および到着時刻(発着時刻)を入力し設定する(S701)。これらの情報は、制御部5へも取り込まれる。
次に、天候情報取得手段40が、発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲の気象(天候、風向、風速など)および海象(潮流、潮速など)データを取得し、海域情報取得手段50が、発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲の漁場や岩場などの危険海域等の海域データを取得する。取得された気象、海象および海域データは、制御部5へ渡される(S702)。
このように、ステップS703において最初に設定される航行ルートは、他船の動向を考慮しない場合に最も燃料消費量が少ないルートである。
ステップS704にて検討された船速プロファイルが最も燃料消費量が少ないプロファイルか否かを判定し(S705)、最も燃料消費量が少ない船速プロファイルであると判定された場合はステップS706へ遷移する。ステップS705にて、最も燃料消費量が少ない船速プロファイルでないと判定された場合は、ステップS704に遷移し、再度船速プロファイルが検討される。
マップ作成手段30は、図3に示されるAIS情報および図4に示されるレーダ情報を元に、発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲の他船の位置、進行方向および船速などの情報、すなわち他船の動向情報の予測計算を行う(S709)。
マップ作成手段30は、予測マップにマッピングされた他船の予測位置を元に、エリア毎に他船の数に応じて干渉確率の場合分け及び重み付けを行う。1のエリアにおける他船の数が数隻程度の場合は、そのエリアにおける他船の密度が高く自船と干渉する確率が高い場合であるとし、例えば予測マップ上の該当エリアに色付け、網掛けするなどの視覚処理とともに重み付けの処理を行う。また、1のエリアにおける他船の数が数隻程度よりも多い場合は、そのエリアにおける他船の密度が非常に高く自船と干渉する確率が非常に高い場合であるとし、例えば予測マップ上の該当エリアに色付け、網掛けするなどの視覚処理とともに重み付けの処理を行う。但し、確率が高い場合との場合分けが可能なように濃淡をつける等の処理が必要である。また、1のエリアにおける他船の数が0の場合は、そのエリアにおける他船の密度が低く自船と干渉する確率が0または低い場合であるとし、例えば予測マップ上の該当エリアへの処理は行わないとする。
ここで、他船と干渉する、とは、例えば自船と他船とが半径1km以内かつ5分以内に出会う場合である、とする。
図8の予測マップでは、他船の密度が非常に高く干渉確率の高いエリアには濃い網掛けの処理を行い、他船の密度が数隻程度である干渉確率のやや高いエリアには薄い網掛けの処理を行い、他船が存在しない干渉確率の低いエリアには処理を行っていない。このように、予測マップに対し干渉確率の高低を視覚化することによって、操船者等が他船の干渉を容易に認識することができる。また制御部5に対してもマップ作成手段30が作成した重み付け予測マップが渡される。
制御部5は、図7のステップS703において算出された自船の航行ルートとマップ作成手段30が作成した重み付け予測マップとを比較し、航行ルート全体において干渉地点が無いか否か、すなわち航行ルートが干渉確率の高いエリアに重なる地点が無いか否かを判定し(図7のステップS706)、無い場合は処理を終了する。この時、ステップS703において算出された自船の航行ルート及びステップS704において設定された船速プロファイルが自船の運航計画として航行システム200に渡される。
ステップS707において、船速プロファイル設定手段20は、航行ルートが干渉確率の高いエリアに重なる地点までの船速を増速または減速することで干渉確率の高いエリアに進入する時刻を変更する。これにより他船との干渉を回避するような船速プロファイルが新たに再設定される(図7のステップS704)。以下、航行ルート全体において干渉地点が無いと判定されるまで、ステップS707を経由しステップS704からステップS706までの処理を繰り返す。
このようにして導出された航行ルートが、図8の実線矢印で示されたルートである。航行ルート計画段階では他船との干渉確率が高いエリアと重なる地点があるが、船速プロファイル設定手段20によって船速の調整が行われることにより、該当するエリアに進入した時点でそのエリアは他船との干渉確率が低いエリア、すなわち網掛けがなされていないエリアとなっているため、実際に該当するエリアを航行する時点では他船との干渉は発生しない。
航行計画時に、船速プロファイル設定手段20は、予測マップに基づき航行ルート上において他船の干渉が予測される場合は該当地点に至るまでの船速を調整し他船の干渉を避けるように航行ルート全体の船速配分の設定を行うことから、予測マップを利用して他船の動きや航行ルート上の他船の干渉状況を考慮した船速配分の最適化が行える。これにより、他船との干渉を防止することで安全性を確保し、運航計画全体を通した船速配分により定時性を確保することが可能である。
また、航行計画時に、天候情報取得手段40および海域情報取得手段50から得た情報に基づき航行ルートを算出することから、航行ルートの設定において気象、海象および海域情報を利用し、より精度の高い航行ルートの算出を行うことができる。
以下、本発明の第3実施形態について、図9及び10を用いて説明する。
上記した第1実施形態では、他船の干渉確率が高いエリアをルートを変更することにより回避するとしたが、本実施形態では、迂回距離が大きくなりすぎない範囲で他船の干渉確率が低いエリアの航行を船速の調整により干渉回避するものである。その他の点については第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一符号を付しその説明は省略する。
船舶運航計画最適化システム1の利用をスタートすると、操船者は発着情報設定手段60に船舶の出発地点および到着地点(発着地点)、出発時刻および到着時刻(発着時刻)を入力し設定する(S901)。これらの情報は、制御部5へも取り込まれる。
次に、天候情報取得手段40が、発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲の気象(天候、風向、風速など)および海象(潮流、潮速など)データを取得し、海域情報取得手段50が、発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲の漁場や岩場などの危険海域等の海域データを取得する。取得された気象、海象および海域データは、制御部5へ渡される(S902)。
このように、ステップS903において最初に設定される航行ルートは、他船の動向を考慮しない場合に最も燃料消費量が少ないルートである。
ステップS904にて検討された船速プロファイルが最も燃料消費量が少ないプロファイルか否かを判定し(S905)、最も燃料消費量が少ない船速プロファイルであると判定された場合はステップS906へ遷移する。ステップS905にて、最も燃料消費量が少ない船速プロファイルでないと判定された場合は、ステップS904に遷移し、再度船速プロファイルが検討される。
マップ作成手段30は、図3に示されるAIS情報および図4に示されるレーダ情報を元に、AISの搭載有無にかかわらず発着情報設定手段60によって設定された発着地点間とその周囲の他船の位置、進行方向および船速などの情報、すなわち他船の動向情報の予測計算を行う(S910)。
マップ作成手段30は、予測マップにマッピングされた他船の予測位置を元に、エリア毎に他船の数に応じて干渉確率の場合分け及び重み付けを行う。1のエリアにおける他船の数が数隻程度の場合は、そのエリアにおける他船の密度が高く自船と干渉する確率が高い場合であるとし、例えば予測マップ上の該当エリアに色付け、網掛けするなどの視覚処理とともに重み付けの処理を行う。また、1のエリアにおける他船の数が数隻程度よりも多い場合は、そのエリアにおける他船の密度が非常に高く自船と干渉する確率が非常に高い場合であるとし、例えば予測マップ上の該当エリアに色付け、網掛けするなどの視覚処理とともに重み付けの処理を行う。但し、確率が高い場合との場合分けが可能なように濃淡をつける等の処理が必要である。また、1のエリアにおける他船の数が0の場合は、そのエリアにおける他船の密度が低く自船と干渉する確率が0または低い場合であるとし、例えば予測マップ上の該当エリアへの処理は行わないとする。
ここで、他船と干渉する、とは、例えば自船と他船とが半径1km以内かつ5分以内に出会う場合である、とする。
図10の重み付け予測マップでは、他船の密度が非常に高く干渉確率の高いエリアには濃い網掛けの処理を行い、他船の密度が数隻程度である干渉確率のやや高いエリアには薄い網掛けの処理を行い、他船が存在しない干渉確率の低いエリアには処理を行っていない。
マップ作成手段30によって作成された重み付け予測マップは、制御部5に対し渡される。
制御部5は、図9のステップS903において算出された自船の航行ルートとマップ作成手段30が作成した重み付け予測マップとを比較し、航行ルート全体において他船の密度が非常に高いエリアとの干渉地点が無いか否か、すなわち航行ルートが他船の密度が非常に高く干渉確率の高いエリア(図10の濃い網掛け処理がなされたエリア)に重なる地点が無いか否かを判定し(図9のステップS906)、無い場合はステップS907へ遷移する。
ステップS903において、ルート設定手段10は、重み付け予測マップ上の他船の密度が非常に高く干渉確率の高いエリア(図10の濃い網掛け処理がなされたエリア)を避け、かつ燃料消費量が少ない航行ルートを再度算出する。以下、航行ルート全体において他船の密度が非常に高く干渉確率の高いエリアとの干渉が無いと判定されるまで、ステップS903からステップS906までの処理を繰り返す。
ステップS908において、船速プロファイル設定手段20は、航行ルートが他船の密度が数隻程度である干渉確率のやや高いエリアに重なる地点までの船速を増速または減速することで他船の密度が数隻程度である干渉確率のやや高いエリアに進入する時刻を変更する。これにより他船との干渉を回避するような船速プロファイルが新たに再設定される(図9のステップS904)。以下、航行ルート全体において干渉地点が無いと判定されるまで、ステップS908を経由しステップS904からステップS907の処理を繰り返す。
このようにして導出された航行ルートは、他船の干渉を最小限回避し、燃料消費量の少ない航行ルートからの迂回距離が大きくなりすぎないように算出された他船干渉最小回避ルートであり、図10の実線矢印で示されたルートである。
マップ作成手段30は、作成した予測マップを複数のエリアに分け、該エリア毎に他船の数にて重み付けを行った重み付け予測マップを作成し、ルート設定手段10は、航行計画時に発着情報設定手段60から得た情報およびマップ作成手段30から得た重み付け予測マップに基づき他船の干渉を回避しながら燃料消費量の少ない航行ルートからの迂回が小さい他船干渉最小回避ルートを算出することから、他船の動きや航行ルート上の他船の干渉状況を考慮した重み付け予測マップに基づき他船の干渉の多い箇所を回避しつつ燃料消費量の少ない航行ルートからの迂回距離が大きくなりすぎない航行ルートを計画することができる。これにより、他船との干渉を防止することで安全性を確保し、燃料消費量が少ないルートを航行することで省エネ運航の実現が可能である。
また、他船の干渉が全くない航行ルートを設定するのではなく、図9のステップS903において最初に設定した航行ルート、すなわち他船の動向を考慮しない場合に最も燃料消費量が少ない航行ルートに対し、迂回距離が大きくなりすぎない範囲で他船の干渉確率がやや高い航行ルートをルート設定手段10によって設定し、かつ発生し得る他船の干渉については船速プロファイル設定手段20による船速調整によって干渉が回避できるため、ルート設定および船速制御の双方において最適化を行うことで、燃料消費量が最小となる省エネ運航が実現可能である。
5 制御部
10 ルート設定手段
20 船速プロファイル設定手段(船速配分設定手段)
30 マップ作成手段
40 天候情報取得手段
50 海域情報取得手段
60 発着情報設定手段
100 船舶
200 航行システム
Claims (11)
- 自船の発着地点、および発着時刻を設定する発着情報設定手段と、
前記発着地点間およびその周囲の他船の情報を取得し他船の予測位置を地図上にマッピングし予測マップを作成し、作成した前記予測マップを複数のエリアに分け、該エリア毎に他船の数にて重み付けを行った重み付け予測マップを作成するマップ作成手段と、
燃料消費量の少ない航行ルートを算出し設定するルート設定手段と、
を備え、
前記ルート設定手段は、航行計画時に、前記発着情報設定手段から得た情報および前記マップ作成手段から得た前記重み付け予測マップに基づき他船の干渉を回避する前記航行ルートである他船干渉回避ルートを算出することを特徴とする船舶運航計画最適化システム。 - 前記ルート設定手段は、航行計画時に、前記発着情報設定手段から得た情報および前記マップ作成手段から得た前記重み付け予測マップに基づき他船の干渉を回避しながら前記燃料消費量の少ない航行ルートからの迂回が小さい前記航行ルートである他船干渉最小回避ルートを算出することを特徴とする請求項1に記載の船舶運航計画最適化システム。
- 前記ルート設定手段が算出した前記航行ルート全体の船速配分の設定を行う船速配分設定手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の船舶運航計画最適化システム。
- 自船の発着地点、および発着時刻を設定する発着情報設定手段と、
前記発着地点間およびその周囲の他船の情報を取得し他船の予測位置を地図上にマッピングし予測マップを作成し、作成した前記予測マップを複数のエリアに分け、該エリア毎に他船の数にて重み付けを行った重み付け予測マップを作成するマップ作成手段と、
航行ルートにおける船速の配分を行う船速配分設定手段と、
を備え、
前記船速配分設定手段は、前記重み付け予測マップに基づき前記航行ルート上において他船の干渉が予測される場合は該当地点に至るまでの船速を調整し前記航行ルート全体の船速配分の設定を行うことを特徴とする船舶運航計画最適化システム。 - 燃料消費量の少ない前記航行ルートを算出し設定するルート設定手段を備え、
前記ルート設定手段は、航行計画時に、前記発着情報設定手段から得た情報に基づき前記航行ルートを算出することを特徴とする請求項4に記載の船舶運航計画最適化システム。 - 前記発着地点間およびその周囲の気象および海象データを取得する天候情報取得手段と、
前記発着地点間およびその周囲の海域データを取得する海域情報取得手段と、
を備え、
前記ルート設定手段は、航行計画時に、前記天候情報取得手段および前記海域情報取得手段から得た情報に基づき前記航行ルートを算出することを特徴とする請求項1、2、3および5のいずれかに記載の船舶運航計画最適化システム。 - 前記マップ作成手段は、他船の進行方向情報および速度情報に基づいて前記発着地点間およびその周囲の他船の予測位置を地図上にマッピングすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の船舶運航計画最適化システム。
- 前記マップ作成手段は、船舶自動識別装置に基づく情報および衛星画像を用いた情報に基づき他船の前記進行方向情報および前記速度情報を得ることを特徴とする請求項7に記載の船舶運航計画最適化システム。
- 請求項1から8のいずれかに記載の船舶運航計画最適化システムを搭載する船舶。
- 自船の発着地点、および発着時刻を設定するステップと、
前記発着地点間およびその周囲の他船の情報を取得し他船の予測位置を地図上にマッピングし予測マップを作成し、作成した前記予測マップを複数のエリアに分け、該エリア毎に他船の数にて重み付けを行った重み付け予測マップを作成するステップと、
燃料消費量の少ない航行ルートを算出し設定するステップと、
航行計画時に、前記発着地点、前記発着時刻および前記重み付け予測マップに基づき他船の干渉を回避する前記航行ルートである他船干渉回避ルートを算出するステップと、
を有することを特徴とする船舶運航計画最適化方法。 - 自船の発着地点、および発着時刻を設定するステップと、
前記発着地点間およびその周囲の他船の情報を取得し他船の予測位置を地図上にマッピングし予測マップを作成し、作成した前記予測マップを複数のエリアに分け、該エリア毎に他船の数にて重み付けを行った重み付け予測マップを作成するステップと、
航行ルートにおける船速の配分を行うステップと、
前記重み付け予測マップに基づき前記航行ルート上において他船の干渉が予測される場合は該当地点に至るまでの船速を調整し前記航行ルート全体の船速配分の設定を行うステップと、を有することを特徴とする船舶運航計画最適化方法。
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