以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
<1.第1の実施の形態>
<1−1.システムの概要>
図1は、本実施の形態に係る車両制御システム100の概要を示す図である。車両制御システム100は、車両制御装置10と、携帯端末20と、センター30とを備えている。
車両制御装置10は、車両に備えられており、センター30から送信された制御情報に応じて車両の制御を行うものである。車両制御装置10は、センター30と通信可能に接続されており、センター30を介して携帯端末20から始動要求やドアのロック要求等の制御情報を受信し、制御結果をセンター30に送信する。例えば、車両制御装置10は、センター30から始動要求を受信すると車両の原動機や各種装置の始動制御を行い、ドアのロック要求を受信すると車両のドアのロック制御を行う。
本発明は、車両にいわゆるイモビライザが搭載されており、車両制御装置10は、センター30から始動要求を受信すると、イモビライザによる認証を行い、認証結果を取得して始動要求が適正である場合に原動機の始動制御を行うものである。また、車両制御装置10は、ドアのロック要求を受信した際にも、イモビライザの認証結果に基づいてドアのロック制御を行う。
なお、ドアのロック制御とは、車両のドアのロック制御及びアンロック制御の双方を含む。また、原動機とはエンジンやモータであり、本発明はいずれの場合にも適用可能である。ただし、説明の便宜上、エンジンを用いた場合を例に挙げて説明する場合がある。また、各種装置とは例えばエアコンである。すなわち、始動制御とは、エンジンやモータの始動/停止、エアコンのオン/オフ等の制御である。以下では、ドアのロックやアンロックを含めて単に「ドアロック」と記載する場合がある。また、遠隔始動を行う対象を単に「原動機」と記載し、始動や停止、オン/オフ等を含めて単に「始動」と記載する場合がある。
携帯端末20は、ユーザが所持する可搬型の電子機器であり、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等である。携帯端末20には、車両を遠隔で操作するためのアプリケーション(以下「アプリ」という)が格納されている。アプリとしては、例えば、車両のドアを遠隔でロック又はアンロックするためのアプリや、原動機を遠隔で始動するためのアプリがある。ユーザが、携帯端末20に格納されたアプリを操作して実行することにより、遠隔でのドアロック要求や始動要求、各種設定を行うことができる。また、携帯端末20は、センター30と通信可能に構成されており、ドアロック要求や始動要求、各種設定に関する情報、携帯端末20の位置情報等がセンター30に送信される。
センター30は、車両制御システム100全体を制御する情報処理装置である。センター30は、車両制御装置10及び携帯端末20と通信可能に構成されており、ドアロック要求や始動要求等を互いに送受信することでドアのロック又はアンロックや、原動機の始動又は停止等に関する制御を行う。具体的には、センター30は、例えば、携帯端末20からドアロック要求を受信すると、車両制御装置10にドアロック要求を送信するといった制御を行う。また、センター30は、例えば、車両から位置情報を含む車両情報を受信し、携帯端末20から始動要求や位置情報を受信する。また、センター30は、携帯端末から始動要求を受信すると、携帯端末20の位置情報と車両の位置情報とに基づいて始動の可否に関する判断や指示といった制御を行う。
このように、本実施の形態に係る車両制御システム100は、車両制御装置10がセンター30からドアロック要求を受信した際に、イモビライザの認証結果に基づいてドアのロック制御を行うことにより、車両制御装置10が適正な場合にのみ車両の制御を可能にするシステムである。以下、車両制御システム100の構成及び処理について詳細に説明する。
<1−2.車両制御装置の構成>
まず、車両制御装置10の構成について説明する。図2は、車両制御装置10の概要を示すブロック図である。図2に示すように、車両制御装置10は、制御部11と、位置情報取得部12と、通信部13と、第1記憶部14と、第2記憶部15とを備えている。
制御部11は、車両情報取得部11aと、情報判別部11bと、始動制御部11cと、時間計測部11dと、ドアロック制御部11eとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部11は、車両制御装置10が備える通信部13や第1記憶部14等と接続され、第1記憶部14に記憶されたプログラム14aに基づいて情報の送受信を行い、車両制御装置10の全体を制御する。第1記憶部14に記憶されたプログラムにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、始動制御部11cやドアロック制御部11e等の制御部11の機能が実現される。また、制御部11は、車両制御装置10が行う処理全般を制御するものであり、上述した、車両情報取得部11aや、情報判別部11b、始動制御部11c、時間計測部11d、ドアロック制御部11eが実行する処理以外の処理についても制御する。
また、制御部11は、CAN(Controller Area Network)等の車載LAN(Local Area Network)を介して車両内の他の各種センサやECU(Electronic Control Unit)と通信可能に接続されており、種々の情報の送受信を行っている。制御部11と接続されているセンサとしては、例えば、車速センサや舵角センサ等の車両の走行状態を検出するセンサがある。また、制御部11と接続されているECUとしては、例えば、燃料噴射を制御するECUであるEFI−ECU(Electric Fuel Injection-ECU)や、ドアのロック又はアンロックを制御するECUであるボデーECUがある。また、車両に搭載されているイモビライザとの認証処理を制御する照合ECUや、車両内の各ECU等に電源を供給する電源ECUがある。
車両情報取得部11aは、車両の走行状態や他のECUの状態を示す情報としての車両情報を取得する。すなわち、車両情報取得部11aは、CANを介してこれらセンサやECUの出力を車両情報として取得する。
情報判別部11bは、車両内の他のセンサや各ECUから取得した車両情報の内容を判別したり、センター30から受信した情報の内容を判別する。車両情報としては、上述したものの他にも例えば、イグニッションのオン又はオフの情報が挙げられる。また、センター30から受信した情報としては、例えば、ドアロック要求や原動機の始動要求に関するコマンドが挙げられる。
始動制御部11cは、車両が備える原動機や各種装置の始動又は停止を制御する。すなわち、始動制御部11cは、センター30から始動要求のコマンドを受信した際に、制御対象のECUに対して該当する指令を送信する。本実施の形態では、車両にイモビライザが備えられた構成としており、始動制御部11cは、始動指令の送信可否をイモビライザとの認証結果に応じて変えている。
具体的には、始動制御部11cは、始動要求のコマンドを受信すると第1記憶部14に記憶されているイモビライザとの認証コード14fを読み出して照合ECUに送信する。照合ECUは、イモビライザ側の認証コードを有しており、この認証コードと始動制御部11cから送信された認証コードとの照合を行い、一致している場合に認証するといった処理(以下「イモビ認証」という)を行う。照合ECUは、イモビ認証の結果を始動制御部11cに送信すると共に、各認証コードが一致している場合にはEFI−ECUに対して始動許可信号を送信する。すなわち、照合ECUは、原動機の始動の許否を判断する判断装置としての機能を有している。また、始動制御部11cは、各認証コードが一致している場合には、原動機の駆動を制御するECUに対して始動指令を送信する。
さらに、始動制御部11cは、照合ECUから認証結果を受信すると、認証結果を示すフラグ(以下「認証フラグ」という)を第2記憶部15に記憶する。具体的には、始動制御部11cは、各認証コードが一致している場合には、認証フラグを設定(セット)し、各認証コードが一致していない場合には、認証フラグを消去(クリア)する。
時間計測部11dは、時間の経過を計測するものである。例えば、遠隔始動にて原動機を駆動する時間を予め決めていた場合には、時間計測部11dは、始動からの経過時間を計測し、所定の時間に到達したか否かを判断する。また、時間計測部11dは、時刻を計測することも可能になっており、例えば、始動した時刻を計測しておくこともできる。
ドアロック制御部11eは、車両のドアのロック又はアンロックを制御する。すなわち、ドアロック制御部11eは、センター30からドアロック要求のコマンドを受信した際に、ボデーECUに対して該当する指令を送信する。例えば、センター30からドアのアンロック要求のコマンドを受信すると、ドアロック制御部11eは、CANを介してボデーECUに対してアンロック指令を送信する。
また、本実施の形態においては、ドアロック制御部11eは、ドアロック指令の送信可否を、車両制御装置10が正規のユーザのものであるか否かに応じて変えている。具体的には、第2記憶部15の認証フラグが設定されている場合には、車両制御装置10が正規のユーザのものであると判断してドアロック指令の送信を許可し、認証フラグが消去されている場合には、車両制御装置10が正規のユーザのものではないと判断してドアロック指令の送信を禁止する。
位置情報取得部12は、車両制御装置10の現在位置を示す情報としての位置情報を取得する。位置情報取得部12としては、例えば、GPS(Global positioning system:全地球測位システム)を用いることができる。位置情報は、緯度情報及び経度情報を含んでいる。すなわち、位置情報取得部12は、GPSを用いて現在位置の緯度情報及び経度情報を取得することとなる。
なお、車両制御装置10が設置されている環境によっては、GPSにて位置情報を取得できない場合がある。この場合、位置情報取得部12は、位置情報を取得できない旨を示す情報として、位置情報が未確定であるとする情報(以下「未確定情報」という)を取得する。
また、取得した位置情報は、車両制御装置10の位置情報であるものの、車両制御装置10は車両に搭載されているため、車両の位置を示す情報でもある。このため、以下においては、位置情報取得部12にて取得した位置情報を「車両位置情報」という。すなわち、車両位置情報は、GPSで取得した緯度情報及び経度情報を含む位置情報と、GPSで取得できなかった場合の未確定情報とを含む情報である。なお、この車両位置情報14bは、第1記憶部14に記憶される。
通信部13は、センター30と通信可能に接続され、センター30との間で情報の送受信を行う。通信部13は、例えば、センター30に対して車両位置情報や車両情報を送信し、センター30からドアロック要求や始動要求等のコマンド、すなわち制御情報を受信する。車両制御装置10とセンター30との通信は、いわゆる携帯電話網を通じて行われる。したがって、通信部13は、センターとの通信が可能な「圏内」であるか、不可能な「圏外」であるかの判断も行う。センター30から送信されたコマンド等のデータは、第1記憶部14に記憶される。
第1記憶部14は、プログラム14aと、車両位置情報14bと、車両情報14cと、データ14dと、地図情報14eと、認証コード14fとを記憶している。本実施の形態における第1記憶部14は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。第1記憶部14としては、例えば、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)やフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。プログラムは、制御部11により読み出され、制御部11が車両制御装置10を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。また、データ14dは、例えば、センター30から受信した各種データであり、地図情報14eは、全国又は一定の広域の道路情報や施設情報が含まれた情報である。
第2記憶部15は、イモビ認証の結果を示す認証フラグ15aを記憶している。本実施の形態における第2記憶部15は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断するとデータが消去されてしまう揮発性の半導体メモリである。第2記憶部15としては、例えば、RAMを用いることができる。第2記憶部15は、車両内部の保持用電源から電源が供給されておりイグニッションをオフにしてバッテリ電源の供給を遮断したとしても認証フラグ15aが消去されることはないが、車両制御装置10自体を車両から取り外した場合には認証フラグ15aは消去される。
<1−3.携帯端末の構成>
次に携帯端末20の構成について説明する。図3は、携帯端末20の概要を示すブロック図である。図3に示すように、携帯端末20は、制御部21と、位置情報取得部22と、通信部23と、記憶部24と、表示部25と、操作部26とを備えている。
制御部21は、情報判別部21aと、表示制御部21bと、制限機能設定部21cとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部21は、携帯端末20が備える通信部23や記憶部24等と接続され、記憶部24に記憶されたプログラム24aに基づいて情報の送受信を行い、携帯端末20の全体を制御する。記憶部24に記憶されたプログラムにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、情報判別部21aや表示制御部21b等の制御部21の機能が実現される。なお、制御部21は、携帯端末20が行う処理全般を制御するものであるため、ドアロックや遠隔始動に関するアプリの機能を実行させる処理を制御すると共に、情報判別部21aや、表示制御部21b、制限機能設定部21c以外の処理についても制御する。
情報判別部21aは、取得した情報の内容を判別する。情報判別部21aは、例えば、センター30から受信した情報の内容を判別したり、携帯端末20の操作部26を介して入力されたコマンドの内容を判別する。センター30から受信した情報としては、例えば、車両情報や始動の可否に関する問い合わせが挙げられ、携帯端末20の操作部26を介して入力されたコマンドとしては、ドアロック要求や原動機の始動要求のコマンドが挙げられる。
表示制御部21bは、携帯端末20の表示部25に画像を表示させる制御を行う。具体的には、表示制御部21bは、ドアロックの指示や、原動機の始動の指示を行うための操作用画面、又はセンター30から受信した確認用画面等を表示部25に表示させる制御を行う。
制限機能設定部21cは、所定の条件を満たす場合に車両の原動機の遠隔始動処理を制限する機能(以下「制限機能」という)のオン又はオフを設定する。所定の条件とは、車両の原動機の遠隔始動を実行するか否かを決める条件(以下「制限条件」という)である。制限機能設定部21cは、制限条件を変更する機能も有している。制限条件としては、例えば、始動要求時の携帯端末20と駐車開始時の車両との距離に関する条件が挙げられ、この条件に基づく制限機能を「距離制限機能」と記載する。
制限機能のオン又はオフを示す情報及び制限条件(以下これらを「設定情報」という)は、記憶部24に記憶されている。ユーザが携帯端末を操作して設定モードを選択すると、設定情報24cが記憶部24から読み出されて表示部25に表示される。ユーザは、表示された設定情報に対して、制限機能のオン又はオフを設定したり、変更画面にしたがって条件を変更することで新たな設定情報を設定することができる。新たな設定情報は、記憶部24に記憶されると共にセンター30に送信される。なお、設定情報24cは、携帯端末20の記憶部24には記憶せずにセンター30の記憶部33にのみ記憶されていてもよい。この場合、制限機能設定部21cは、設定情報をセンター30の記憶部33から読み出すことになる。
位置情報取得部22は、携帯端末20の現在位置を示す情報としての位置情報(以下「携帯位置情報」という)を取得する。位置情報取得部22としては、例えば、GPSを用いることができる。携帯位置情報は、緯度情報及び経度情報を含んでいる。すなわち、位置情報取得部22は、GPSを用いて現在位置の緯度情報及び経度情報を取得することとなる。取得した携帯位置情報24bは、記憶部24に記憶される。
通信部23は、センター30と通信可能に接続され、センター30との間で情報の送受信を行う。通信部23は、例えば、センター30に対してドアロック要求や始動要求のコマンド、又は携帯位置情報等を送信し、センター30から接続要求のコマンドや始動の可否に関する問い合わせ等を受信する。携帯端末20とセンター30との通信は、いわゆる携帯電話網を通じて行われる。したがって、通信部23は、センター30との通信が可能な「圏内」であるか、不可能な「圏外」であるかの判断も行う。
記憶部24は、プログラム24aと、携帯位置情報24bと、設定情報24cと、アプリ24dとを記憶している。本実施の形態における記憶部24は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部24としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。プログラム24aは、制御部21により読み出され、制御部21が携帯端末20を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。また、アプリ24dとは、遠隔でのドアロック用又は原動機の始動用の制御プログラムである。
表示部25は、ドアロックや遠隔始動の制御を行うアプリの操作用画面や、センター30から送信された車両情報を確認する確認用画面等を表示する表示装置である。表示部25としては、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等を用いることができる。
操作部26は、機械式のボタンやタッチパネルを備えた情報の入力装置である。ユーザは、操作部26を操作することによって、ドアロックや遠隔始動の制御に関する各種操作や、設定情報の設定や変更操作等を行うことができる。なお、操作部26は、表示部25と一体として構成してもよい。
<1−4.センターの構成>
次にセンター30の構成について説明する。図4は、センター30の概要を示すブロック図である。図4に示すように、センター30は、制御部31と、通信部32と、記憶部33とを備えている。
制御部31は、情報判別部31aと、始動制限部31bと、始動指示部31cとを備えており、また、図示しないCPU、RAM、及びROMを備えるコンピュータである。制御部31は、センター30が備える通信部32や記憶部33等と接続され、記憶部33に記憶されたプログラムに基づいて情報の送受信を行い、センター30の全体を制御する。記憶部33に記憶されたプログラム33aにしたがってCPUが演算処理を実行することにより、情報判別部31aや始動制限部31b等の制御部31の機能が実現される。なお、制御部31は、センター30が行う処理全般を制御するものであるため、情報判別部31aや、始動制限部31b、始動指示部31cが実行する処理以外の処理についても制御する。
情報判別部31aは、車両制御装置10又は携帯端末20から受信した情報やコマンドの内容を判別する。具体的には、情報判別部31aは、車両制御装置10から受信した情報が、車両位置情報であるか、ドアのロック又はアンロックを実行した旨の情報であるか、原動機の始動又は停止を実行した旨の情報であるか、イグニッションオン又はオフの情報であるか等を判別する。また、情報判別部31aは、携帯端末20から受信した情報が、携帯位置情報であるか、ドアロック要求のコマンドであるか、原動機の始動要求のコマンドであるか、設定情報の変更情報であるか等を判別する。
始動制限部31bは、携帯端末20から始動要求のコマンドを受信した場合に、設定情報に基づいて原動機の始動を制限するか否かを判断する。具体的には、始動制限部31bは、携帯端末20から始動要求のコマンドを受信したと判断した場合に、車両位置情報や携帯位置情報と設定情報とに基づいて始動の可否を判断する。
例えば、距離制限機能がオンに設定されていて、制限条件が車両の駐車開始位置と携帯端末の始動要求時の位置との距離に基づいて設定されている場合には、始動制限部31bは、車両位置情報及び携帯位置情報に基づいて車両の駐車開始時の位置と携帯端末の始動要求時の位置との距離を導出し、この距離と制限条件とを比較することによって原動機の始動を制限するか否かを判断する。
より具体的に説明すると、始動制限部31bは、記憶部33から読み出したイグニッションオフ時の車両位置情報33b(すなわち、駐車開始時の車両位置情報)と、携帯端末20から受信した携帯位置情報33c(すなわち、始動要求時の携帯位置情報)とを比較することで互いの距離を算出する。そして、始動制限部31bは、記憶部33から設定情報33dに含まれている制限距離を読み出し、算出した距離が制限距離以上であるか否かを判断する。なお、制限距離とは、始動を制限する距離を示す制限条件である。
始動制限部31bは、算出した距離が制限距離より小さい場合には原動機の始動処理を継続し、算出した距離が制限距離以上の場合には始動処理を制限する。なお、始動処理の制限には、始動処理の禁止も含まれる。例えば、始動処理を制限する処理とは、始動処理を禁止する場合には始動処理を中止し、始動処理を制限する場合には始動処理の継続の可否をユーザに確認する等の処理である。
始動指示部31cは、車両制御装置10に対してドアロック要求のコマンドや始動要求のコマンドの送信処理を行う。具体的には、携帯端末20からドアロック要求のコマンドを受信すると、始動指示部31cは車両制御装置10に対して通信部32を介してドアロック要求のコマンドを送信する。また、携帯端末20から始動要求のコマンドを受信すると、始動制限部31bが始動処理を継続すると判断した場合に、始動指示部31cは車両制御装置10に対して通信部32を介して始動要求のコマンドを送信する。
通信部32は、車両制御装置10及び携帯端末20と通信可能に構成され、各々との間で情報の送受信を行う。通信部32は、例えば、車両制御装置10に対してドアロック要求のコマンドや始動要求のコマンドを送信し、携帯端末20に対して各要求の実行結果や始動処理の継続の可否を確認する情報を送信する。また、通信部32は、例えば、車両制御装置10から車両位置情報や車両情報を受信し、携帯端末20からドアロック要求のコマンドや始動要求のコマンド、携帯位置情報を受信する。車両制御装置10及び携帯端末20との通信は、いわゆる携帯電話網を通じて行われる。
記憶部33は、プログラム33aと、車両位置情報33bと、携帯位置情報33cと、設定情報33dと、地図情報33eと、コマンド33gとを記憶している。なお、これら車両位置情報33bと、携帯位置情報33cと、設定情報33dと、コマンド33gとを合わせて受信データ33fと記載する場合がある。また、コマンド33gを記憶部33に記憶しておいてコマンド実行時に読み出す構成としているが、記憶部33に記憶せずに受信時にコマンド実行する構成としてもよい。
本実施の形態における記憶部33は、電気的にデータの読み書きが可能であって、電源を遮断されてもデータが消去されない不揮発性の半導体メモリである。記憶部33としては、例えば、EEPROMやフラッシュメモリを用いることができる。ただし、他の記憶媒体を用いてもよく、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブで構成することもできる。プログラム33aは、制御部31により読み出され、制御部31がセンター30を制御するために実行される、いわゆるシステムソフトウェアである。また、地図情報33eは、全国又は一定の広域の道路情報や施設情報が含まれた情報である。
<1−5.車両制御装置の処理>
次に、車両制御装置10の処理について説明する。図5〜図10は、車両制御装置10の処理を示すフローチャートである。
車両制御装置10は、最初に車両に取り付けられたときにイモビライザの登録処理を行う。イモビライザの登録処理とは、原動機の始動時にイモビライザとの認証処理を実行するための認証コードを車両制御装置10に記憶させる処理である。このため、まずイモビライザの登録処理について説明する。図5は、イモビライザの登録処理を示すフローチャートである。
イモビライザの登録処理は、車両制御装置10を車両に取り付けた際に行われ、車両制御装置10を車両に取り付けて電源を投入することで処理を開始する。車両制御装置10は、イモビライザの登録処理を行う登録モードを有しており、電源が投入されると登録モードに設定されているか否かを判断する(ステップS501)。
登録モードに設定されていない場合には(ステップS501でNo)、イモビライザの登録処理は行わずに終了する。一方、登録モードに設定されている場合には(ステップS501でYes)、車両制御装置10は、照合ECUから認証コードを取得する(ステップS502)。これは、車両制御装置10が照合ECUに対して認証コードを送信してもらう処理によって実行してもよいし、照合ECUが、車両制御装置10が取り付けられたことを検出して、登録モードであると判断した際に送信してもよい。
次に、車両制御装置10は、取得した認証コードを第1記憶部14に記憶する(ステップS503)。車両制御装置10は、認証コードを第1記憶部14に記憶すると、第2記憶部15に認証フラグを設定する(ステップS504)。これにより、正常にイモビライザの登録が完了し、イモビライザの登録処理を終了する。
また、車両制御装置10は、車両のイグニッションがオンしている間は、定期的に車両位置情報を取得している。このため、車両制御装置10が車両位置情報を取得する処理について説明する。図6は、車両制御装置10が車両位置情報を取得する処理を示すフローチャートである。
まず、位置情報取得部12が、例えば50ms又は100ms毎に車両位置情報を取得する処理を実行する(ステップS601)。位置情報取得部12は、車両位置情報の取得処理を実行した後には、実際に車両位置情報を取得できたか否かを判断する(ステップS602)。車両位置情報は、経度情報及び緯度情報を含む情報であるため、位置情報取得部12は、例えば、これら経度情報や緯度情報が適切に取得できた場合に車両位置情報が取得できたと判断し、適切に取得できなかった場合には車両位置情報が取得できなかったと判断することができる。
位置情報取得部12は、車両位置情報を取得できたと判断した場合には(ステップS602でYes)、取得した車両位置情報を第1記憶部14に記憶する(ステップS603)。一方、位置情報取得部12は、車両位置情報を取得できなかったと判断した場合には(ステップS602でNo)、未確定情報を第1記憶部14に記憶する(ステップS604)。この場合、未確定情報が車両位置情報となる。そして、車両制御装置10は、以降の車両位置情報を取得するタイミングにおいても同様の処理を実行し、これを定期的に繰り返す。
また、イグニッションを手動でオン又はオフに切り替えた際に、車両制御装置10は、車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信する処理を実行する。そこで、車両制御装置10が、車両位置情報と車両情報とを送信する処理について説明する。図7は、車両制御装置10が、車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信する処理を示すフローチャートである。なお、図面中ではイグニッションを「IG」と記載する。
まず、車両情報取得部11aが、手動にてイグニッションがオンの状態からオフの状態に切り替わったか否かを検出する(ステップS701)。具体的には、イグニッションがオンの状態のときに、車両情報取得部11aが、電源ECUからCANを介してイグニッションがオフである旨の信号を受信することによりオンからオフに切り替わったことを検出する。
車両情報取得部11aは、イグニッションがオンからオフに切り替わったことを検出しなかった場合には(ステップS701でNo)、後述するイグニッションがオフからオンに切り替わったか否かを検出する処理に進む。
一方、車両情報取得部11aが、イグニッションがオンからオフに切り替わったことを検出すると(ステップS701でYes)、駐車が開始されると判断して、制御部11は、車両位置情報を取得する(ステップS702)。具体的には、制御部11は、駐車開始時における車両位置情報を位置情報取得部12から取得する。そして、制御部11は、車両位置情報を送信する処理に進む。
制御部11は、センター30との通信を確立させる(ステップS703)。具体的には、制御部11が、通信部13を介してセンター30に対して通信の接続を要求するコマンドを送信する。センター30は、接続要求のコマンドを受信した際に、通信の接続が可能である場合には接続を許可して通信が確立する。
しかし、通信不能な場所に駐車した場合は、ステップS703による通信を確立することができない。そのため、通信部13は、センター30との通信が可能な通信圏内にあるか否かを判断する(ステップS704)。すなわち、ステップS703による通信が確立できたときは、通信圏内にあると判断し、通信が確立できなかったときは通信圏外であると判断する。
通信部13は、通信圏内にあると判断した場合には(ステップS704でYes)、車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信する(ステップS705)。送信する車両位置情報は、イグニッションをオフに切り替えた際に、位置情報取得部12が取得した位置情報、すなわち駐車開始位置の情報である。また、送信する車両情報は、イグニッションをオフに切り替えた際に、車両情報取得部11aが取得した車両情報であり、イグニッションがオフである旨の情報が含まれている。また、イグニッションのオフ情報に加えて、第1記憶部14に記憶されている未送信の車両情報が含まれていてもよい。
一方、通信部13は、通信圏内にないと判断した場合には(ステップS704でNo)、再度通信圏内にあるか否かを判断する。周囲構造物や天候の悪化等により一時的に通信状況が悪化し、その後通信状況が良好になる可能性があるためである。また、通信圏内にない場合には、センター30に対して車両位置情報等を送信することができないため、制御部11は、送信すべき情報を第1記憶部14に記憶しておき、通信状況が良好になって通信圏内にあると判断された後に、第1記憶部14から読み出した車両位置情報及び車両情報を通信部13を介してセンター30に送信する処理を行う。なお、通信圏内にない状態から通信圏内にある状態に変化した場合に、新たに車両位置情報を取得し、第1記憶部14に記憶しておいたイグニッションオフ時の車両位置情報と比較を行い、両者が一致した場合に新たに取得した車両位置情報をセンター30に送信するようにしてもよい。
次に、車両情報取得部11aが、手動にてイグニッションがオフの状態からオンの状態に切り替わったか否かを検出する(ステップS706)。具体的には、イグニッションがオフの状態のときに、車両情報取得部11aが、電源ECUからCANを介してイグニッションがオンである旨の信号を受信することによりオフからオンに切り替わったことを検出する。
車両情報取得部11aは、イグニッションがオフからオンに切り替わったことを検出しなかった場合には(ステップS706でNo)、何も処理を行わずに終了する。
一方、車両情報取得部11aが、イグニッションがオフからオンに切り替わったことを検出すると(ステップS706でYes)、駐車が終了されると判断して、制御部11は、車両位置情報を取得する(ステップS707)。具体的には、制御部11は、駐車終了時における車両位置情報を位置情報取得部12から取得する。そして、制御部11は、車両位置情報を送信する処理に進む。
制御部11はセンター30との通信を確立させる(ステップS708)。具体的には、制御部11が、通信部13を介してセンター30に対して通信の接続を要求するコマンドを送信する。センター30は、接続要求のコマンドを受信した際に、通信の接続が可能である場合には接続を許可して通信が確立する。なお、既にセンター30との通信が確立している状態にある場合には、この処理は省略することができる。
通信が確立すると、通信部13は、センター30との通信が可能な通信圏内であるか否かを定期的に判断する(ステップS709)。すなわち、上記ステップS704と同様に、センター30との通信確立時における通信状況の悪化を監視することにより、通信が可能な状況であるか否かを判断する。
通信部13は、通信圏内にあると判断した場合には(ステップS709でYes)、車両位置情報と車両情報をセンター30に送信する(ステップS710)。送信する車両位置情報は、イグニッションをオンに切り替えた際に、位置情報取得部12が取得した位置情報、すなわち駐車終了時の位置情報である。また、送信する車両情報は、イグニッションをオンに切り替えた際に、車両情報取得部11aが取得した車両情報であり、イグニッションがオンである旨の情報が含まれている。また、イグニッションのオン情報に加えて、第1記憶部14に記憶されている未送信の車両情報が含まれていてもよい。
一方、通信部13は、通信圏内にないと判断した場合には(ステップS709でNo)、再度通信圏内にあるか否かを判断する。また、通信圏内にない場合には、センター30に対して車両位置情報等を送信することができないため、制御部11は、送信すべき情報を第1記憶部14に記憶しておき、通信圏内にあると判断された後に、第1記憶部14から読み出した車両位置情報及び車両情報を通信部13を介してセンター30に送信する処理を行う。
このように、車両制御装置10は、手動にてイグニッションがオン又はオフにされた際に、イグニッションのオン又はオフ情報と共に、オン又はオフにされた時点で取得した車両位置情報をセンター30に送信する処理を行う。また、車両制御装置10は、図7に示した処理を定期的に実行するようになっており、例えば、50ms又は100ms毎に行う。
次に、車両制御装置10による始動処理及びドアロック処理について説明する。図8ないし図10は、車両制御装置10による始動処理及びドアロック処理を示すフローチャートである。
まず、制御部11は、センター30から接続要求があるか否かを判断する(ステップS801)。この判断は、制御部11が、通信部13を介してセンター30から通信の接続要求のコマンドを受信したか否かを判断することにより行うことができる。制御部11は、接続要求がないと判断した場合には(ステップS801でNo)、処理を終了する(図8のA)。一方、制御部11は、接続要求があると判断した場合には(ステップS801でYes)、通信の接続が可能である場合には接続を許可して通信が確立する(ステップS802)。
なお、車両制御装置10と携帯端末20とセンター30とは予め対応付けられており、車両制御装置10やセンター30は、互いのIDやコード等の認証処理を実行して相手を特定した後に接続処理を実行している。この場合の認証処理に用いられる認証用のIDやコード等は、接続の際に互いを認識するためのものであり、上述した車両内において車両制御装置10と照合ECUとにおいてイモビ認証を実行するための認証コードとは異なるものである。
通信が確立すると、制御部11は、センター30からデータを受信したか否かを判断する(ステップS803)。制御部11は、データを受信していないと判断した場合には(ステップS803でNo)、処理を終了する(図8のA)。
一方、制御部11は、データを受信したと判断した場合には(ステップS803でYes)、受信したデータ14dを第1記憶部14に記憶する(ステップS804)。なお、第1記憶部14にデータ14dを記憶する際には、情報判別部11bにて、データの内容を判別した後に記憶してもよく、判別することなく記憶してもよい。受信するデータは、種々のコマンドであり、例えば、ドアロック要求のコマンドや始動要求のコマンドの他、車両位置情報や車両情報の送信を要求するコマンド等が挙げられる。
次に、情報判別部11bは、センター30から受信したデータに始動要求のコマンドが含まれているか否かを判断する(ステップS805)。この判断は、情報判別部11bが、受信したデータの内容を判別することにより行われる。なお、受信したデータを第1記憶部14に記憶する際に情報の内容を判別している場合には、始動要求のコマンドが第1記憶部14に記憶されているかを判別する処理としてもよい。
受信データに始動要求のコマンドが含まれている場合には(ステップS805でYes)、始動制御部11cは、原動機の始動処理を実行する(ステップS806)。ここで、原動機の始動処理(ステップS806)について図10を用いて詳細に説明する。図10は、原動機の始動処理を示すフローチャートである。
まず、始動制御部11cは、認証コードを出力する(ステップS1001)。具体的には、始動制御部11cは、第1記憶部14から認証コードを読み出し、読み出した認証コードを照合ECUに対して送信する。そして、始動制御部11cは、認証結果を判定する(ステップS1002)。この判定は、始動制御部11cが照合ECUから受信した認証結果に基づいて行われる。具体的には、照合ECUは、始動制御部11cから認証コードを受信すると、予め照合ECUが有している認証用のコードと比較して照合する。そして、照合ECUは、各コードが一致している場合には認証し、不一致の場合は認証しない。照合ECUは、これらの認証結果を始動制御部11cへ送信し、始動制御部11cは、受信した認証結果が、認証した旨を示す情報であれば「認証OK」と判定する。
始動制御部11cは、照合ECUから受信した認証結果が認証した旨を示す情報である場合には(ステップS1002でYes)、認証フラグの設定処理を行う(ステップS1003)。すなわち、既に第2記憶部15に認証フラグが設定されている場合には上書きすることになり、認証フラグが設定されていない場合には新たに設定することになる。一方、始動制御部11cは、照合ECUから受信した認証結果が認証しない旨を示す情報である場合には(ステップS1002でNo)、車両制御装置10が正規ユーザの所有する適正なものでない可能性があるため、始動処理を終了する。なお、始動処理を終了する前に第2記憶部15の認証フラグを消去してもよい。
そして、始動制御部11cは、原動機の始動を開始する(ステップS1004)。具体的には、始動制御部11cが、電源ECUに対してCANを介して始動指令を送信する。電源ECUは、ACCリレーと、イグニッションリレーと、スタータリレーとをオン状態にし、ACC信号と、イグニッション信号と、スタータ信号とをエンジンECUに送信する。エンジンECUは、これらの信号を受信すると、エンジンを始動させるためにセルモータを起動させる。これにより、遠隔にてエンジンを始動させることが可能になる。その後、始動制御部11cは、始動指令を送信すると、始動処理が成功したか否かを判断する(ステップS1005)。
図8に戻り、始動制御部11cは、通信部13を介して始動処理が成功したか否かの実行結果をセンター30に送信して(ステップS807)、次の処理に進む(図8のB)。すなわち、始動制御部11cは、始動処理が成功した場合には、始動が完了した旨の情報を送信し、認証結果が認証しない旨の情報である場合又は始動処理が成功しなかった場合には、始動に失敗した旨の情報を送信する。
なお、センター30から受信したデータに始動要求のコマンドが含まれているか否かの判断処理(ステップS805)において、始動要求のコマンドは含まれていないと判断した場合には(ステップS805でNo)、始動制御部11cは、始動処理を行わず次の処理へ進む(図8のB)。
次に、情報判別部11bは、センター30から受信したデータに原動機の停止要求のコマンドが含まれているか否かを判断する(ステップS901)。この判断においても、情報判別部11bが、受信したデータの内容を判別することにより行われる。受信データに停止要求のコマンドが含まれている場合には(ステップS901でYes)、始動制御部11cは、原動機の停止処理を実行する(ステップS903)。この停止処理については後述する。
一方、受信データに停止要求のコマンドが含まれていない場合には(ステップS901でNo)、時間計測部11dが、原動機の駆動が始動から所定時間経過したか否かを判断する(ステップS902)。すなわち、時間計測部11dは、原動機の始動から時間の計測を開始し、予め設定されている所定時間に到達したか否かを判断する。なお、所定時間とは、例えば、原動機を始動してから一定の経過時間のことであり、予め設定されたいわゆる暖機時間である。暖機時間は、例えば10分と設定することができ、複数回に分けて暖機運転をする場合には累積時間で最大で20分と設定することもできる。ただし、所定時間はこれに限定されるものではなく適宜設定可能である。
時間計測部11dが、始動から所定時間を経過したと判断した場合には(ステップS902でYes)、始動制御部11cが原動機の停止処理を実行する(ステップS903)。停止処理は、例えば、始動制御部11cが電源ECUに対してCANを介して停止信号を送信し、電源ECUがACCリレーと、イグニッションリレーと、スタータリレーとをオフ状態にすることでエンジンの駆動を停止させる処理である。これにより、遠隔にてエンジンを停止させることが可能となる。
そして、始動制御部11cは、原動機の停止処理を実行すると、通信部13を介して停止処理を実行した旨の情報をセンター30に送信して(ステップS904)、次の処理に進む。
一方、時間計測部11dは、所定時間が経過していないと判断した場合には(ステップS902でNo)、受信データにドアロック要求が含まれているか否かの判断処理に進む。
次に、情報判別部11bは、センター30から受信したデータにドアロック要求のコマンドが含まれているか否かを判断する(ステップS905)。なお、この場合におけるドアロック要求のコマンドは、ドアのロック要求又はアンロック要求のコマンドである。この判断においても、情報判別部11bが、受信したデータの内容を判別することにより行われる。
受信データにドアロック要求が含まれている場合には(ステップS905でYes)、ドアロック制御部11eは、認証フラグが設定されているか否かを判断する(ステップS906)。この判断は、ドアロック制御部11eが、第2記憶部15に記憶されている認証フラグ15aを読み出すことにより行われる。ドアロック制御部11eは、認証フラグが設定されていると判断した場合には(ステップS906でYes)、コマンドの内容に従いドアのロック処理又はアンロック処理を行う(ステップS907)。一方、ドアロック制御部11eは、認証フラグが設定されていないと判断した場合には(ステップS906でNo)、ドアロック処理を実行せずに次の処理に進む。
なお、第2記憶部15に認証フラグが設定されている場合とは、車両制御装置10が車両(イモビライザ)と対応付けられていることを意味している。すなわち、車両制御装置10が正規のユーザのものであることを示している。このため、ドアロック制御部11eが、認証フラグが設定されている場合にのみドアのロック又はアンロック制御を行うことで、正規のユーザから指示があった場合にのみドアのロック又はアンロック制御を行うことが可能になる。認証フラグが設定されていない場合は、例えば他人が別の車両制御装置を取り付け、正規のユーザになりすましてドアのロック又はアンロックを指示した可能性が高く、本実施の形態では、このような場合にドアのロック又はアンロック制御を禁止することが可能になる。
その後、ドアロック処理が終了すると、ドアロック制御部11eは、通信部13を介してドアロック処理の実行結果を示す情報をセンター30に送信して(ステップS908)、次の処理に進む。すなわち、ドアロック制御部11eは、ドアロック処理を実行した場合には、ドアをロック又はアンロックを実行した旨の情報を送信し、ドアロック処理を実行しなかった場合には、ドアロック処理を禁止した旨の情報を送信する。
なお、センター30から受信したデータにドアロック要求のコマンドが含まれているか否かの判断処理(ステップS905)において、ドアロック要求のコマンドが含まれていないと判断した場合には(ステップS905でNo)、ドアロック制御部11eは、ドアロック処理を行わず次の処理に進む。
次に、制御部11は、その他要求に対する処理を実行する(ステップS909)。その他要求に対する処理とは、受信したデータに始動要求及びドアロック要求以外のコマンド(以下「その他のコマンド」という)が含まれている場合に、受信したその他のコマンドに対応する処理のことである。
すなわち、情報判別部11bが、受信したデータにその他のコマンドが含まれているか否かを判別し、含まれている場合には、制御部11がそのコマンドに対応する処理を実行する。例えば、受信データに車両情報の送信要求コマンドが含まれている場合には、制御部11は通信部13を介して要求のあった車両情報をセンター30に送信する処理を実行する。なお、情報判別部11bが、受信したデータにその他のコマンドが含まれていないと判別した場合には、本ステップでは何も処理を行わない。そして、車両制御装置10は処理を終了する。
なお、センター30と通信を確立した後、通信を切断する処理はセンター30が行ってもよく、車両制御装置10が行ってもよい。
<1−6.携帯端末の処理>
次に、携帯端末20の処理について説明する。図11ないし図13は、携帯端末20の処理を示すフローチャートである。まず、携帯端末20を用いてドアロック要求や始動要求といった遠隔で車両制御を行う処理について説明する。図11及び図12は、携帯端末20の処理を示すフローチャートである。
携帯端末20による処理は、携帯端末20に格納されている遠隔操作用のアプリ24dの起動により開始される。携帯端末20のアプリ24dが起動されると、表示部25に遠隔操作を行うためのメイン操作画面が表示される(ステップS1101)。表示制御部21bがアプリ24dに格納されている操作画面を読み出して、表示部25を制御して操作画面を表示する。
次に、制御部21は、操作画面表示時に、ユーザの操作によってセンター30に対して要求を行うコマンドが入力されたか否かを判断する(ステップS1102)。制御部21は、要求コマンドが入力されたと判断した場合には(ステップS1102でYes)、センター30との通信を確立させる(ステップS1103)。具体的には、制御部21が、通信部23を介してセンター30に対して通信の接続を要求するコマンドを送信する。センター30は、接続要求のコマンドを受信した際に、通信の接続が可能である場合には接続を許可して通信が確立する。
次いで、制御部21は、通信部23を介して要求コマンドをセンター30に送信する(ステップS1104)。なお、要求コマンドが入力されると、情報判別部21aが入力されたコマンドの内容を判別する。入力されるコマンドとは、例えば、ドアのロック又はアンロックを要求するコマンドであり、原動機の始動又は停止を要求するコマンドである。すなわち、制御部21は、これら要求コマンドをセンター30に送信する。また、制御部21は、要求コマンドを送信する際には、位置情報取得部22にて携帯端末20の位置情報を取得して、要求コマンドと併せて携帯位置情報を送信する。
一方、制御部21は、要求コマンドが入力されていないと判断した場合には(ステップS1102でNo)、要求コマンド等の送信処理は行わずに次の処理へ進む。
次に、制御部21は、センター30からメッセージを受信しているか否かを判断する(ステップS1105)。この判断は、制御部21がセンター30からデータを受信したか否かの判断と、受信したデータがメッセージであるか否かの判別を含む。メッセージであるか否かの判別は、情報判別部21aよって行われる。センター30から受信するメッセージとは、例えば、始動処理の継続に関する確認のメッセージや、ユーザがセンター30に対して要求した情報に対する応答メッセージ等である。具合的には、制限機能の制限条件を満たさない場合に、始動の継続を確認するメッセージや、ユーザがセンター30に問い合わせた車両情報の内容を通知するメッセージである。
制御部21は、メッセージを受信していないと判断した場合には(ステップS1105でNo)、その後の処理は行わずに処理を終了する(図11のC)。一方。制御部21は、メッセージを受信していると判断した場合には(ステップS1105でYes)、表示部25に当該メッセージを表示して(ステップS1106)、次の処理に進む(図11のD)。
次に、情報判別部21aは、受信したメッセージがユーザの応答を要求するメッセージであるか否かを判別する(ステップS1201)。応答を要求するメッセージとは、上述の例でいうと、始動の継続を確認するメッセージであり、応答を要求しないメッセージとは、車両情報の内容を通知するメッセージである。
情報判別部21aが受信したメッセージが応答を要求するメッセージであると判別した場合には(ステップS1201でYes)、制御部21は、ユーザによる応答の入力があったか否かを監視する(ステップS1202)。応答の入力は、ユーザが操作画面を操作することによって行われる。この応答入力の有無の監視は、入力があったと判断されるまで繰り返し行われる(ステップS1202でNo)。
制御部21は、応答入力があったと判断した場合には(ステップS1202でYes)、通信部23を介してその応答内容をセンターに送信する(ステップS1203)。そして、制御部21は、再び操作画面を表示部に表示する(ステップS1204)。
なお、応答要求の有無を判別するステップにおいて、情報判別部21aは、受信したメッセージがユーザの応答を要求するメッセージでないと判別した場合には(ステップS1201でNo)、制御部21は、表示したメッセージをユーザが確認したか否かを監視する(ステップS1205)。応答を要求しないメッセージとは、単にユーザにその内容を提示するメッセージであるため、制御部21は、ユーザがそれを確認したか否かを監視することとしている。ただし、監視が必要ない場合には、本ステップは省略してもよい。
制御部21は、ユーザがメッセージを確認したと判断するまで監視を繰り返して行う(ステップS1205でNo)。制御部21は、ユーザがメッセージを確認したと判断した場合には(ステップS1205でYes)、再び操作画面を表示部に表示する(ステップS1204)。確認の入力は、例えば、ユーザが操作画面の確認ボタンを押すことによって行われる。この場合、制御部21は、確認ボタンが押されたか否かを判断することによって確認の有無を判断する。
その後、ユーザが、再び遠隔操作の処理を行う場合には、最初から同様の処理を行えばよい。また、ユーザが遠隔操作用のアプリ24dを停止することにより遠隔操作の処理は終了する。
なお、センター30との通信の切断については、遠隔操作用のアプリ24dを停止したときはもちろんのこと、センター30との間で必要なデータの送受信が完了した場合に自動的に行なわれる。即ち、制御部21がステップS1103で通信を確立した後、ステップS1104にて送信した要求コマンドに対してセンターからの一連の応答が完了したと判断した場合に通信を自動的に切断する。センター30からの応答が完了した場合とは、始動時の時間情報を受信した場合や応答要求のないメッセージを受信した場合等である。
次に、携帯端末20を用いて制限機能を設定する処理及び制限条件を変更する処理について説明する。図13は、制限機能として距離制限機能を用いた場合における、制限機能の設定処理及び制限条件の変更処理を示すフローチャートである。
制限機能の設定や制限条件の変更に関する処理は、ユーザが携帯端末20の設定モードを選択することで開始する。設定モードが選択されると、制限機能設定部21cは、携帯端末20の距離制限機能がオンに設定されたか否かを判断する(ステップS1301)。距離制限機能がオンに設定された場合には(ステップS1301でYes)、制限機能設定部21cは、距離制限機能がオンである旨のフラグを設定する(ステップS1302)。一方、距離制限機能がオンに設定されていない場合には(ステップS1301でNo)、フラグは設定しない。
次に、制限機能設定部21cは、距離制限機能がオフに設定されたか否かを判断する(ステップS1303)。距離制限機能がオフに設定された場合には(ステップS1303でYes)、制限機能設定部21cは、距離制限機能をオンにするためのフラグを消去する(ステップS1304)。一方、距離制限機能がオフに設定されていない場合には(ステップS1303でNo)、フラグの消去は行わない。
次に、制限機能設定部21cは、制限条件としての制限距離が変更されたか否かを判断する(ステップS1305)。制限距離が変更された場合には(ステップS1305でYes)、制限機能設定部21cは変更後の制限距離を記憶部24に記憶する(ステップS1306)。制限距離が変更されていない場合には(ステップS1305でNo)、制限条件の変更に関する処理は行わない。
次に、制限機能設定部21cは、設定モードが終了したか否かを判断する(ステップS1307)。設定モードが終了したと判断した場合には(ステップS1307でYes)、制御部21は、センター30と通信を確立する(ステップS1308)。通信の確立方法は、上述と同様にして行うことができる。また、既にセンター30との通信が確立されている場合には、本ステップは省略してもよい。
そして、制御部21は、設定処理が終了した後の設定情報24cを記憶部24から読み出し、通信部23を介してセンター30に送信して(ステップS1309)、制限機能の設定処理及び制限条件の変更処理を終了する。一方、設定モードが終了していないと判断した場合には(ステップS1307でNo)、制限機能設定部21cは、再度、距離制限機能がオンに設定されたか否かの判断処理(ステップS1301)から同様の処理を実行する。
<1−7.センターの処理>
次に、センター30の処理について説明する。図14〜図17は、センター30の処理を示すフローチャートである。まず、センター30が、車両制御装置10や携帯端末20と情報の送受信を行ってドアロックや始動を実行する処理について図14ないし図16を用いて説明する。
センター30は、車両制御装置10から接続要求があるか否かを判断する(ステップS1401)。この判断は、制御部31が、車両制御装置10から通信の接続要求のコマンドを受信したか否かを判断することにより行われる。制御部31は、車両制御装置10から接続要求があると判断した場合には(ステップS1401でYes)、接続可能な状態であれば接続を許可して車両制御装置10との通信を確立させる(ステップS1402)。一方、制御部31は、車両制御装置10から接続要求がないと判断した場合には(ステップS1401でNo)、通信確立に対応する処理は行わずに次の処理に進む(図14のE)。
次に、制御部31は、車両制御装置10からデータを受信したか否かを判断する(ステップS1403)。具体的には、制御部31が、通信部32を介して受信したデータの有無や、送信元が車両制御装置10であるか否か等を判断する。
制御部31は、車両制御装置10からデータを受信したと判断した場合には(ステップS1403でYes)、受信したデータを記憶部33に記憶する(ステップS1404)。そして、情報判別部31aは、受信データ33fに、イグニッションがオフに切り替わった際に取得した車両位置情報33b、即ち駐車開始時の車両位置情報が含まれているか否かを判断する(ステップS1405)。
情報判別部31aが受信データ33fにイグニッションオフ時の車両位置情報33bが含まれていると判断した場合には(ステップS1405でYes)、制御部31は、その車両位置情報33bを、「イグニッションオフ時の車両位置情報33b」、すなわち駐車開始位置として記憶部33に記憶する(ステップS1406)。なお、受信データ33fが未確定情報である場合には、その未確定情報を「イグニッションオフ時の車両位置情報33b」として記憶部33に記憶する。
なお、制御部31は、車両制御装置10からデータを受信していないと判断した場合や(ステップS1403でNo)、情報判別部31aが、受信データ33fにイグニッションオフ時の車両位置情報33bが含まれていないと判断した場合は(ステップS1405でNo)、これに対応する処理は行わない。次いで、制御部31は、車両制御装置10との通信を切断して(ステップS1407)、次の処理へと進む(図14のE)。
次に、センター30は、携帯端末20から接続要求があるか否かを判断する(ステップS1501)。この判断は、制御部31が、携帯端末20から通信の接続要求のコマンドを受信したか否かを判断することにより行われる。制御部31は、携帯端末20から接続要求があると判断した場合には(ステップS1501でYes)、接続可能な状態であれば接続を許可して携帯端末20との通信を確立させる(ステップS1502)。一方、制御部31は、携帯端末20から接続要求がないと判断した場合には(ステップS1501でNo)、通信確立に対応する処理は行わずに処理を終了する(図15のF)。
次に、制御部31は、携帯端末20からデータを受信したか否かを判断する(ステップS1503)。具体的には、制御部31が、通信部32を介して受信したデータの有無や、送信元が携帯端末20であるか否か等を判断することにより行われる。
制御部31は、携帯端末20からデータを受信したと判断した場合には(ステップS1503でYes)、受信したデータを記憶部33に記憶する(ステップS1504)。この受信したデータには、携帯位置情報が含まれている。一方、制御部31は、携帯端末20からデータを受信していないと判断した場合には(ステップS1503でNo)、これに対応する処理は行わず通信を切断する処理に進む(図15のG)。
携帯端末20から受信したデータを記憶した後には、情報判別部31aは、受信データ33fに始動要求のコマンド33gが含まれているか否かを判断する(ステップS1505)。始動要求のコマンド33gが含まれていると判断した場合には(ステップS1505でYes)、制御部31は、原動機の始動要求送信の処理を実行する(ステップS1506)。一方、情報判別部31aは、受信データ33fに始動要求のコマンド33gが含まれていないと判断した場合には(ステップS1505でNo)、原動機の始動要求送信に関する処理は行わずに次の処理に進む(図15のH)。
ここで、制御部31が実行する始動要求送信処理(ステップS1506)について説明する。図17は、始動要求送信処理を示すフローチャートである。
始動要求のコマンド33gが含まれていると判断すると、まず、始動制限部31bは、距離制限機能がオンであるか否かを判断する(ステップS1701)。センター30の記憶部33には、設定情報33dとして距離制限機能がオンに初期設定されているが、携帯端末20側で距離制限機能をオン又はオフにして、その情報が設定情報としてセンター30に送信されている場合には、設定情報33dがその設定情報に書き換えられる。始動制限部31bは、記憶されている設定情報33dを参照することで距離制限機能のオン又はオフの状態を判断することができる。
距離制限機能がオンでないと判断された場合には(ステップS1701でNo)、距離による制限がないため、制御部31は原動機の始動要求のコマンドの送信処理(ステップS1706)に進む。これに対して、距離制限機能がオンであると判断された場合には(ステップS1701でYes)、始動制限部31bは、携帯端末20と車両との距離が制限距離以下であるか否かを判断する(ステップS1702)。具体的には、始動制限部31bは、記憶部33に記憶されている始動要求時の携帯位置情報33cと、イグニッションオフ時(駐車開始時)の車両位置情報33bとを比較して、携帯端末20と車両との距離を算出する。そして、始動制限部31bは、記憶部33に記憶されている設定情報33dから制限距離を読み出して、算出した距離と制限距離とを比較する。
始動制限部31bは、比較の結果、算出した距離が制限距離以下であると判断した場合には(ステップS1702でYes)、制御部31は、始動要求のコマンドの送信処理(ステップS1706)に進む。一方、算出した距離が制限距離以下でないと判断した場合には(ステップS1702でNo)、制御部31は、始動処理を継続するか否かを確認する処理に進む(ステップS1703)。具体的には、制御部31は、始動要求時の携帯端末20と駐車開始時の車両との距離が制限距離を越えている旨の情報と、始動処理を継続するか否かを確認するための問い合わせ情報とを、通信部32を介して携帯端末20に送信する。
そして、制御部31は、携帯端末20から問い合わせに対する回答を受信したか否かを監視する(ステップS1704)。制御部31は、携帯端末20から回答を受信していないと判断した場合には(ステップS1704でNo)、回答を受信するまで監視を繰り返す。一方、制御部31は、携帯端末20から回答を受信したと判断した場合には(ステップS1704でYes)、回答内容が始動処理の継続を許可するものであるか否かを判断する(ステップS1705)。
制御部31は、携帯端末20からの回答が、始動処理の継続を許可する旨の内容であると判断した場合には(ステップS1705でYes)、制御部は始動要求のコマンドの送信処理(ステップS1706)を実行し、始動要求送信処理を終了する。一方、制御部31は、携帯端末20からの回答が、始動処理の継続を許可しない旨の内容であると判断した場合には(ステップS1705でNo)、始動要求の送信処理は実行せずに処理を終了する。
なお、制御部31は、算出した距離が制限距離以下でないと判断した場合に、始動処理の継続可否の確認を行うことなく始動要求送信処理を中止してもよい。この場合、処理ステップS1702でNoの場合には、始動要求の送信処理を終了することとなる。
図15に戻り、制御部31は、始動処理の実行結果を示す情報を携帯端末20に送信して(ステップS1507)、次の処理に進む(図15のH)。具体的には、制御部31は、車両制御装置10に始動要求のコマンドを送信した場合や、車両制御装置10から原動機の始動が完了した旨の情報を受信した場合には、始動が成功した旨の情報を送信する。また、制御部31は、ステップS1705にて始動が許可されずに始動要求のコマンドの送信処理を実行しなかった場合や、車両制御装置10から原動機の始動に失敗した旨の情報を受信した場合には、始動に失敗した旨の情報を送信する。
次に、情報判別部31aは、受信データ33fにドアロック要求のコマンドが含まれているか否かを判断する(ステップS1601)。ドアロック要求のコマンドが含まれていると判断した場合には(ステップS1601でYes)、制御部31は、通信部32を介して車両制御装置10に対して通信の接続要求のコマンドを送信し、車両制御装置10との通信を確立する(ステップS1602)。なお、既に車両制御装置10との通信が確立された状態であれば本ステップSは省略できる。
そして、通信が確立されると、制御部31は、通信部32を介して車両制御装置10にドアロック要求のコマンドを送信する(ステップS1603)。その後、制御部は、車両制御装置10からドアロック処理の実行情報を受信したかを監視する(ステップS1604)。車両制御装置10は、センター30からドアロック要求のコマンドを受信すると、上述したドアロック処理を実行して、その結果をセンター30に返すようになっている。センター30は、これを受信したか否かを監視している。
制御部31は、車両制御装置10からドアロック処理の実行情報を受信していないと判断した場合には(ステップS1604でNo)、受信するまで監視を繰り返す。一方、制御部31は、車両制御装置10からドアロック処理の実行情報を受信したと判断した場合には(ステップS1604でYes)、受信したドアロック処理の実行情報を携帯端末20に送信する(ステップS1605)。すなわち、制御部31は、ドアロック処理が成功した旨の情報又は失敗した旨の情報を携帯端末20に送信する。
なお、情報判別部31aが受信データ33fにドアロック要求のコマンドが含まれていないと判断した場合には(ステップS1601でNo)、ドアロック要求のコマンド送信に関する処理は行わずに次の処理に進む。
次に、情報判別部31aは、受信データ33fに設定情報33dを変更する旨のデータが含まれているか否かを判断する(ステップS1606)。設定情報33dを変更する旨のデータが含まれていると判断した場合には(ステップS1606でYes)、制御部31は、受信したデータに基づいて設定情報33dを変更し、記憶部33に記憶する(ステップS1607)。すなわち、制御部31は、記憶部33に記憶されている設定情報33dを変更後の設定情報33dに書き換える処理を実行する。一方、情報判別部31aは、設定情報33dを変更する旨のデータが含まれていないと判断した場合には(ステップS1606でNo)、設定変更に関する処理は行わずに次の処理に進む。
次に、制御部31は、その他機能の制御を実行する(ステップS1608)。具体的には、まず、情報判別部31aが、受信データ33fに、その他のコマンド33gが含まれているか否かを判断する。そして、情報判別部31aが、その他のコマンド33gが含まれていると判断した場合には、制御部31は、当該コマンド33gに対応する処理を実行する。これに対して、情報判別部31aが、その他のコマンド33gが含まれていないと判断した場合には、制御部31は処理を実行しない。
そして、制御部31は、車両制御装置10及び携帯端末20と通信が確立している状態であれば各々の通信を切断する処理を実行して(ステップS1609)、センター30は処理を終了する。
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態では、車両制御装置10は、ドアロック要求のコマンドを受信すると、第2記憶部15に認証フラグが設定されている場合にはドアロック処理を実行し、認証フラグが設定されていない場合にはドアロック処理の実行を禁止する構成としている。当該認証フラグは、イモビライザの登録処理の際に設定されるものであるが、登録モードとなっていない場合には登録処理が実行されないことがあり、また、認証処理が適切に行われなかったために認証フラグが設定されていない可能性もある。
このため、第2の実施の形態では、ドアロック要求のコマンドを受信して認証フラグを判定した結果、認証フラグが設定されていなかった場合に、車両制御装置10が再度認証処理を行う構成としている。以下、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
<2−1.システムの概要>
第2の実施の形態に係る車両制御システム100は、図1に示す車両制御システム100と同様の構成である。すなわち、第2の実施の形態に係る車両制御装置10、携帯端末20及びセンター30の構成は、第1の実施の形態と同様である。また、第2の実施の形態では、携帯端末20及びセンター30の処理は、第1の実施の形態と同様であるが、車両制御装置10の処理の一部が第1の実施の形態と異なる。このため、以下では、車両制御装置10の処理について第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
<2−2.車両制御装置の処理>
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した車両制御装置10の処理のうち、図9に示すドアロック制御に関する処理(ステップS905〜S908)に関する部分が異なり、図5〜図10で説明したその他の処理は同様である。このため、第2の実施の形態では、ドアロック処理について説明する。図18は、第2の実施の形態に係るドアロック処理を示すフローチャートである。
車両制御装置10は、ステップS904までの処理を第1の実施の形態と同様に実行した後に、情報判別部11bが、センター30から受信したデータにドアロック要求のコマンドが含まれているか否かを判断する(ステップS1801)。なお、この場合におけるドアロック要求のコマンドは、ドアのロック要求又はアンロック要求のコマンドである。この判断においても、情報判別部11bが、受信したデータの内容を判別することにより行われる。
受信データにドアロック要求が含まれている場合には(ステップS1801でYes)、ドアロック制御部11eは、認証フラグが設定されているか否かを判断する(ステップS1802)。この判断は、ドアロック制御部11eが、第2記憶部15に記憶されている認証フラグを読み出すことにより行われる。ドアロック制御部11eは、認証フラグが設定されていると判断した場合には(ステップS1802でYes)、第2記憶部15に認証フラグを再度設定する(ステップS1803)。すなわち、ドアロック制御部11eは、第2記憶部15に認証フラグを上書きすることになる。そして、ドアロック制御部11eは、コマンドの内容に従いドアのロック処理又はアンロック処理を実行する(ステップS1804)。
一方、ドアロック制御部11eは、認証フラグが設定されていないと判断した場合には(ステップS1802でNo)、照合ECUに対して認証コードを送信する(ステップS1805)。第2の実施の形態では、車両制御装置10は、ドアロック制御の要求を受けた際に、認証フラグが設定されていない場合には、再度認証処理を行う構成となっている。すなわち、本来は、車両制御装置10の取り付け時、又は、原動機の始動要求があった際に認証処理(イモビ認証)を実行するものであるが、第2の実施の形態では、ドアロック要求時において認証フラグが設定されていない場合には、認証フラグを再確認するために擬似的な認証処理(以下「擬似認証」という)を実行する。このため、ドアロック制御部11eは、擬似認証を実行する際には、ステップS1805において認証コードと共に擬似認証である旨を示す情報も併せて照合ECUに送信する。
ドアロック制御部11eは、照合ECUによる認証処理の結果、認証したか否かを判断する(ステップS1806)。ドアロック制御部11eは、照合ECUから認証した旨を示す情報を受信した場合には、認証したと判断して(ステップS1806でYes)、第2記憶部15に認証フラグを設定する(ステップS1803)。そして、ドアロック制御部11eは、コマンドの内容に従いドアのロック又はアンロック処理を実行する(ステップS1804)。
一方、ドアロック制御部11eは、所定時間経過しても照合ECUから認証した旨を示す情報を受信しない場合には、認証しなかったと判断する(ステップS1806でNo)。この場合、車両制御装置10が正規のユーザの所有するものでない可能性があるため、ドアロック制御部11eは、ドアロック制御を実行せずに次の処理に進む。
その後、ドアロック制御部11eは、通信部13を介してドアロック処理の実行結果を示す情報をセンター30に送信する(ステップS1807)。すなわち、ドアロック処理を実行した場合には、ドアをロック又はアンロックした旨の情報を送信し、ドアロック処理を実行しなかった場合には、ドアロック処理を禁止した旨の情報を送信する。そして、ステップS909の処理に進む。
ここで、第2の実施の形態における照合ECUの認証処理について説明する。図19は、照合ECUの処理を示すフローチャートである。照合ECUは、車両制御装置10から認証コードを受信すると(ステップS1901)、認証処理を実行する。すなわち、照合ECUは、各コードの一致又は不一致を照合し、認証するか否かを判断する(ステップS1902)。なお、照合ECUは、通常は原動機の始動要求があった際に、車両制御装置10から認証コードが送信されてきて認証処理(イモビ認証)を実行するが、第2の実施の形態では、ドアロック要求があった際に第2記憶部15の認証フラグ15aが設定されていない場合においても車両制御装置10から認証コードが送信されてきて認証処理を実行する。
照合ECUは、認証処理の結果、認証すると判断した場合には(ステップS1902でYes)、車両制御装置10に対して認証した旨の情報を送信する(ステップS1903)。一方、照合ECUは、認証処理の結果、認証しないと判断した場合には(ステップS1902でNo)、処理を終了する。
照合ECUは、認証した旨の情報を送信した後に、実行した認証処理が正規のイモビ認証であるか否かを判断する(ステップS1904)。具体的には、照合ECUは、車両制御装置10から認証コード受信した際に、擬似認証である旨の情報を併せて受信したか否かによって判断する。すなわち、照合ECUは、擬似認証である旨の情報を併せて受信した場合には、正規のイモビ認証ではないと判断し、受信していない場合には正規のイモビ認証であると判断する。
擬似認証は、上述のように、原動機を始動するための認証処理ではなく、ドアロック要求の実行の可否を判断するための認証処理であるため、仮に認証コードが一致したとしても原動機の始動処理を禁止する必要がある。ところが、照合ECUは、認証コードが一致すると原動機の始動許可信号を送信するのが通常であるため、これを回避するために、車両制御装置10は擬似認証である旨の信号を送信している。従って、照合ECUは、正規のイモビ認証であると判断した場合には(ステップS1904でYes)、EFI−ECUに対して始動許可信号を送信するが(ステップS1905)、正規のイモビ認証ではないと判断した場合には(ステップS1904でNo)、始動許可信号を送信することなく処理を終了する。
なお、上述の説明では、照合ECUは、各認証コードが一致した場合に認証した旨の情報を送信し、不一致の場合には何も情報を送信していない。車両制御装置10は、認証した旨の情報を受信することによって認証したと判断し、所定時間に何の情報も受信しなければ認証していないと判断する構成としている。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、例えば、照合ECUを、認証した場合もしない場合もその旨を示す情報を送信する構成とし、車両制御装置10を、いずれの情報を受信したか判断することによって認証したか否かを判断する構成としてもよい。
すなわち、この場合、照合ECUは、ステップS1902で各認証コードが不一致であると判断した場合に、認証しない旨を示す情報を送信する処理を実行した後に処理を終了する。また、ドアロック制御部11eは、ステップS1806において、照合ECUから受信した認証結果が認証した旨を示す情報であるか否かを判断し、認証した旨を示す情報である場合にはステップS1803に進み、認証しない旨を示す情報である場合にはステップS1807に進む処理となる。
<3.第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。第1及び第2の実施の形態では、車両制御装置10は、IGがオンからオフ又はオフからオンに切り替わったことを検出すると、車両位置情報をセンター30に送信する処理を実行していた。しかしながら、常に車両位置情報をセンター30に送信する構成とすると、車両制御装置が正規のユーザの所有するものでない場合、例えば、他人の車両制御装置が取り付けられていた場合等に、当該他人が取得した車両位置情報を悪用する可能性がある。
例えば、前記他人が、自己の携帯端末に、携帯端末の現在位置から車両の駐車位置への方位又は距離を携帯端末に表示するアプリ(以下「カーファインダーアプリ」という)を格納している場合には、当該他人は、このアプリを使用することで、取得した車両位置情報に基づいて、車両まで到達することが可能になってしまう。
このため、第3の実施の形態では、車両制御装置が正規のユーザのものである場合にのみ車両位置情報の送信処理を実行し、正規のユーザのものでない場合には車両位置情報を送信しない構成としている。また、車両位置情報を送信しない構成とすれば、センター30側で正規のユーザのものではないことを判断することが可能となり、そのような場合に、始動やドアロックに関する処理を実行しない構成とすることができる。以下、第1及び第2の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
<3−1.システムの概要>
第3の実施の形態に係る車両制御システム100は、図1に示す車両制御システム100と同様の構成である。すなわち、第3の実施の形態に係る車両制御装置10、携帯端末20及びセンター30の構成は、第1及び第2の実施の形態と同様である。また、第3の実施の形態では、携帯端末20の処理は、第1及び第2の実施の形態と同様であるが、車両制御装置10の処理及びセンター30の処理の一部が第1及び第2の実施の形態と異なる。このため、以下では、車両制御装置10及びセンター30の処理について第1及び第2の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
<3−2.車両制御装置の処理>
第3の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した車両制御装置10の処理のうち、図7に示す車両位置情報送信処理の一部が異なり、他の処理は同様である。このため、第3の実施の形態では、車両位置情報送信処理について説明する。図20及び図21は、第3の実施の形態に係る車両位置情報送信処理に関するフローチャートである。
まず、車両情報取得部11aが、手動にてイグニッションがオンの状態からオフの状態に切り替わったか否かを検出する(ステップS2001)。具体的には、イグニッションがオンの状態のときに、車両情報取得部11aが、電源ECUからCANを介してイグニッションがオフである旨の信号を受信することによりオンからオフに切り替わったことを検出する。
車両情報取得部11aは、イグニッションがオンからオフに切り替わったことを検出しなかった場合には(ステップS2001でNo)、後述するイグニッションがオフからオンに切り替わったか否かを検出する処理に進む(図20のI)。
一方、車両情報取得部11aが、イグニッションがオンからオフに切り替わったことを検出すると(ステップS2001でYes)、制御部11は、第2記憶部15に認証フラグが設定されているか否かを判断する(ステップS2002)。これは、車両制御装置10が正規のユーザが所有するものであるか否かを判断するためである。
なお、第3の実施の形態においても、イモビライザの登録処理や始動時のイモビ認証処理が行われており、車両制御装置10が正規のユーザのものである場合には、第2の記憶部15には認証フラグが設定されている。このため、制御部11は、車両位置情報を送信するタイミングになると、第2記憶部15に認証フラグが設定されているか否かを確認する構成としている。
制御部11は、認証フラグが設定されていないと判断した場合には(ステップS2002でNo)、後述するイグニッションがオフからオンに切り替わったか否かを検出する処理に進む(図20のI)。
一方、制御部11は、認証フラグが設定されていると判断した場合には(ステップS2002でYes)、車両位置情報を取得する(ステップS2003)。そして、制御部11は、センター30との通信を確立させる(ステップS2004)。その後、通信部13は、センター30との通信が可能な通信圏内にあるか否かを判断する(ステップS2005)。通信部13は、通信圏内になると判断した場合には(ステップS2005でYes)、車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信し(ステップS2006)、通信圏内にないと判断した場合には(ステップS2005でNo)、再度通信圏内にあるか否かを判断する。なお、これら各処理(ステップS2003〜S2006)の具体的な内容は、上述したステップS702〜S705と同様である。
次に、車両情報取得部11aが、手動にてイグニッションがオフの状態からオンの状態に切り替わったか否かを検出する(ステップS2101)。具体的には、イグニッションがオフの状態のときに、車両情報取得部11aが、電源ECUからCANを介してイグニッションがオンである旨の信号を受信することによりオフからオンに切り替わったことを検出する。
車両情報取得部11aは、イグニッションがオフからオンに切り替わったことを検出しなかった場合には(ステップS2101でNo)、何も処理を行わずに終了する。
一方、車両情報取得部11aが、イグニッションがオフからオンに切り替わったことを検出すると(ステップS2101でYes)、制御部11は、第2記憶部15に認証フラグが設定されているか否かを判断する(ステップS2102)。これも、上記と同様に、車両制御装置10が正規のユーザが所有するものであるか否かを判断するためである。
制御部11は、認証フラグが設定されていないと判断した場合には(ステップS2102でNo)、何も処理を行わずに終了する。
一方、制御部11は、認証フラグが設定されていると判断した場合には(ステップS2102でYes)、車両位置情報を取得する(ステップS2103)。そして、制御部11は、センター30との通信を確立させる(ステップS2104)。その後、通信部13は、センター30との通信が可能な通信圏内にあるか否かを判断する(ステップS2105)。通信部13は、通信圏内にあると判断した場合には(ステップS2105でYes)、車両位置情報と車両情報とをセンター30に送信し(ステップS2106)、通信圏内にないと判断した場合には(ステップS2106でNo)、再度通信圏内にあるか否かを判断する。なお、これら各処理(ステップS2103〜S2106)の具体的な内容は、上述したステップS707〜S710と同様である。
このように、車両制御装置10は、手動にてイグニッションがオン又はオフにされた際に、第2記憶部15に認証フラグが設定されているか否かを確認することで車両制御装置10が正規のユーザのものであるかを判断して、正規のユーザのものである場合にのみ車両位置情報をセンター30に送信する処理を行う。これにより、仮に他人が車両制御装置を取り付けた場合であっても、その他人がカーファインダーアプリ等を使用して車両の位置を把握することを防止できる。
<3−3.センターの処理>
第3の実施の形態では、第1の実施の形態で説明したセンター30の処理のうち、車両位置情報を取得しているか否かを確認する処理を実行する点が異なり、その他の処理は図14ないし図16に示す処理と同様である。このため、第3の実施の形態では、センター30が車両位置情報を確認する処理を中心に説明する。図22は、第3の実施の形態に係るセンター30の処理を示すフローチャートである。
センター30は、図14に示す各処理(ステップS1401〜S1407)と、図15に示すステップS1501〜1504の処理を行った後に、受信したデータに始動要求のコマンドが含まれているか否かを判断する(ステップS2201)。この判断は、ステップS1505と同様にして行うことができる。受信したデータに始動要求のコマンドが含まれていると判断した場合には(ステップS2201でYes)、制御部31は、車両位置情報を取得しているか否かを判断する(ステップS2202)。制御部31は、始動要求のコマンドが含まれて射ない場合(ステップS2201でNo)、及び、車両位置情報を取得していないと判断した場合には(ステップS2202でNo)、始動要求に関する処理を行わずに次の処理へ進む。
上述のように、車両制御装置10は、認証フラグが設定されていない場合には、正規のユーザのものでないとして車両位置情報を送信していない。従って、センター30は、車両位置情報を取得していないことにより、車両制御装置10が正規のユーザのものではないと判断することができる。すなわち、センター30は、携帯端末20から始動要求があったとしても車両位置情報を取得していない場合には、車両制御装置10が正規のユーザのものではないとして始動処理を禁止することとなる。
一方、制御部31は、車両位置情報を取得していると判断した場合には(ステップS2202でYes)、始動要求送信の処理(ステップS2203)と、始動処理実行情報送信の処理(ステップS2204)とを実行する。これら各処理は、ステップS1506とS1507と同様にして行うことができる。
次に、センター30は、受信したデータにドアロック要求のコマンドが含まれているか否かを判断する(ステップS2205)。この判断は、ステップS1601と同様にして行うことができる。受信したデータにドアロック要求のコマンドが含まれていると判断した場合には(ステップS2205でYes)、制御部31は、車両位置情報を取得しているか否かを判断する(ステップS2206)。
このステップS2206の処理においても、上記ステップS2202の処理と同様である。すなわち、制御部31は、車両位置情報を取得していないと判断した場合には(ステップS2202でNo)、ドアロック要求に関する処理を行わずに次の処理(ステップS1606)へ進む。一方、制御部31は、車両位置情報を取得していると判断した場合には(ステップS2206でYes)、ドアロックに関する処理(ステップS2207)と、ドアロック処理実行情報送信の処理(ステップS2208)とを実行する。これら各処理は、ステップS1602〜S1605と同様にして行うことができる。その後、図16に示すステップS1606へ進む。このように、センター30は、車両制御装置10が正規のユーザのものでない場合には、ドアロックに関する処理も禁止することとなる。
なお、第3の実施の形態では、センター30は、始動要求のコマンドを受信した場合や、ドアロック要求のコマンドを受信した場合に、車両位置情報の取得の有無を判断しているが、携帯端末20から接続要求のコマンドを受信した際に車両位置情報の取得の有無を判断してもよい。この場合、携帯端末20からデータを受信しているか否かや、受信したデータが何であるか等を判断するまでもなく、正規のユーザでない場合に以降の処理を禁止することができる。
<4.第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態について説明する。上記第1及び第2の実施の形態では、車両制御装置10は、IGがオンからオフ又はオフからオンに切り替わったことを検出すると、車両位置情報をセンター30に送信する処理を実行している。ところが、実際には、本発明のような車両制御システム100は、サービスを提供する者と利用する者とが契約を結ぶことによって利用が可能になることが多く、ユーザが契約を解除した後においても車両制御装置10が自動的に車両位置情報を送信することは好ましくない。
このため、第4の実施の形態では、ユーザのサービスに対する契約状況を判断し、それに応じて車両位置情報の送信処理を変える構成としている。以下、上記各実施の形態と相違する点を中心に説明する。
<4−1.システムの概要>
第4の実施の形態に係る車両制御システム100は、図1に示す車両制御システム100と同様の構成である。ただし、第4の実施の形態に係る車両制御装置10及びセンター30は、第1記憶部14及び記憶部33に契約状況を示すフラグ(以下「契約フラグ」という)を記憶している。また、第4の実施の形態では、車両制御装置10の処理及びセンター30の処理の一部が上記各実施の形態と異なる。なお、携帯端末20の構成及び処理は、上記各実施の形態と同様である。このため、以下では、車両制御装置10及びセンター30の処理について第1及び第2の実施の形態と相違する点を中心に説明する。
<4−2.センターの処理>
センター30は、契約状況を監視し、契約状況に基づいて車両位置情報の送信の可否を車両制御装置10に通知するようになっている。このため、まず、センター30が契約状況に基づいて車両位置情報の送信の可否を通知する処理について説明する。図23は、センター30の処理を示すフローチャートである。
センター30は、定期的に、又は、車両制御装置10若しくは携帯端末20から接続要求があったときに、当該ユーザの契約状況を確認する(ステップS2301)。契約状況には、契約中と契約解除とがあり、これらの情報は例えばユーザ毎のデータベース等に格納されている。次にセンター30は、契約フラグを確認する(ステップS2302)。本実施の形態では、センター30は、契約中である場合には契約フラグを設定し、契約が解除されている場合には契約フラグを消去している。その後、契約状況に変化がなければ契約フラグの変更はしない構成としている。すなわち、センター30は、契約状況の確認とは別に契約フラグの設定の有無を確認している。
そして、センター30は、契約状況と契約フラグとを確認すると、これら契約状況と契約フラグとの内容が一致しているか否かを判断する(ステップS2303)。すなわち、契約中であると判断された場合には、契約フラグが設定されている場合にこれらの内容は一致していると判断する。契約解除の場合も同様である。センター30は、契約状況と契約フラグとの内容が一致していると判断した場合には(ステップS2303でYes)、契約状況に変化がないとして処理を終了する。
一方、センター30は、契約状況と契約フラグとの内容が一致していないと判断した場合には(ステップS2303でNo)、車両位置情報の送信の可否を車両制御装置10に通知する処理を行う。まず、車両制御装置10と通信を確立する(ステップS2304)。これは上記各実施の形態にて説明した方法と同様にして行うことができる。そして、センター30は、車両制御装置10に対して、車両位置情報の送信に関する許可信号又は禁止信号を送信する(ステップS2305)。
具体的には、契約状況として契約中であることが確認されたが契約フラグが設定されておらず、これらの内容が一致しない場合とは、新たに契約が締結された場合であると判断されるため、この場合にはセンター30は、車両位置情報の送信を許可する許可信号を車両制御装置10に送信する。そして、センター30は、記憶部33に契約フラグを設定する(ステップS2306)。一方、契約状況として契約解除であることが確認されたが契約フラグが設定されており、これらの内容が一致しない場合とは、新たに契約が解除された場合であると判断されるため、この場合にはセンター30は、車両位置情報の送信を禁止する禁止信号を車両制御装置10に送信する。そして、センター30は、記憶部33の契約フラグを消去する(ステップS2306)。
なお、センター30は、契約フラグが設定されていない際に、携帯端末20から遠隔で車両を制御する旨の指示があったとしても、何も処理を行わない。一方、契約フラグが設定されている際に、携帯端末20から遠隔で車両を制御する旨の指示があった場合には、図14以降に示す処理を行う。
<4−3.車両制御装置の処理>
次に、車両制御装置10の処理について説明する。車両制御装置10は、センター30から車両位置情報の送信の許可信号又は禁止信号を受信すると、受信した信号に応じて契約状況を判断し、始動処理や車両位置情報の送信処理の可否を制御している。以下、車両制御装置10の処理について説明する。
図24は、車両制御装置10が契約フラグを設定する処理を示すフローチャートである。車両制御装置10は、センター30から接続要求があって、データを記憶する処理まではステップS801〜S804と同様である。車両制御装置10は、データを記憶すると、センター30から受信したデータが、車両位置情報の送信の許可信号又は禁止信号であるか否かを判断する(ステップS2401)。
受信したデータが許可信号又は禁止信号である場合には(ステップS2401でYes)、車両制御装置10は、これに対応して第1記憶部14に契約フラグを設定し又は消去する(ステップS2402)。すなわち、受信したデータが許可信号である場合には契約フラグを設定し、禁止信号である場合には契約フラグを消去する。
一方、受信したデータが許可信号又は禁止信号でない場合には(ステップS2401でNo)、車両制御装置10は、第1記憶部14に契約フラグが設定されているか否かを判断する(ステップS2403)。契約フラグが設定されている場合には(ステップS2403でYes)、車両制御装置10は始動処理等の処理を継続する(ステップS805以降)。契約フラグが設定されていない場合には、車両制御装置10は始動処理等の処理を行わずに終了する(図24のA)。
次に、車両制御装置10が、契約状況に応じて車両位置情報の送信の可否を制御する処理について説明する。図25は、車両制御装置10の車両位置情報送信処理を示すフローチャートである。
まず、車両情報取得部11aが、手動にてイグニッションがオンの状態からオフの状態に切り替わったか否かを検出する(ステップS2501)。これは、上述のステップS701と同様にして行うことができる。次に、イグニッションがオンからオフに切り替わったことを検出すると(ステップS2501でYes)、車両制御装置10は、第1記憶部14に契約フラグが設定されているか否かを判断する(ステップS2502)。契約フラグが設定されている場合には(ステップS2502でYes)、車両制御装置10は、車両位置情報の送信処理を実行する(ステップS2503)。これは、上述のステップS702〜S705と同様にして行うことができる。
一方、イグニッションがオンからオフに切り替わったことを検出しなかった場合(ステップS2501でNo)、及び、第1記憶部14に契約フラグが設定されていない場合には(ステップS2502でNo)、車両位置情報の送信処理を行わずに次の処理に進む。
次に、車両情報取得部11aが、手動にてイグニッションがオフからオンの状態に切り替わったか否かを検出する(ステップS2504)。これについても上述のステップS706と同様にして行うことができる。次に、イグニッションがオフからオンに切り替わったことを検出すると(ステップS2504でYes)、車両制御装置10は、第1記憶部14に契約フラグが設定されているか否かを判断する(ステップS2505)。契約フラグが設定されている場合には(ステップS2505でYes)、車両制御装置10は、車両位置情報の送信処理を実行する(ステップS2506)。これについても上述のステップS707〜710と同様にして行うことができる。
一方、イグニッションがオフからオンに切り替わったことを検出しなかった場合(ステップS2504でNo)、及び、第1記憶部14に契約フラグが設定されていない場合には(ステップS2506でNo)、車両位置情報の送信処理を行わずに終了する。
このように、車両制御装置10は、契約状況に応じて車両位置情報の送信可否を判断しており、契約が解除された状態であるにも関わらず、自動的に車両位置情報を送信してしまうことを防止している。
また、上記実施の形態では、プログラムに従ったCPUの演算処理によってソフトウェア的に各種の機能が実現されると説明したが、これら機能のうちの一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよい。また逆に、ハードウェア回路によって実現されるとした機能のうちの一部は、ソフトウェア的に実現されてもよい。