この発明に係る眼科観察装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明に係る眼科観察装置は、光コヒーレンストモグラフィを用いて被検眼の断層像や3次元画像を形成する。この眼科観察装置には任意のタイプの光コヒーレンストモグラフィを適用することが可能である。なお、信号光の走査を伴う構成を採用する場合には、フーリエドメインタイプやスウェプトソースタイプなどが適用される。以下、光コヒーレンストモグラフィによって取得される画像をOCT画像と呼ぶことがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。
以下の実施形態では、フーリエドメインタイプを適用して眼底のOCT計測を行う眼科観察装置について詳しく説明する。特に、この実施形態では、特許文献5に開示された装置と同様に、眼底のOCT計測及び眼底撮影の双方を実行可能な眼科観察装置を取り上げる。
なお、この発明に係る眼科観察装置は、眼底検査用には限定されず、被検眼の他の部位(たとえば角膜、水晶体、硝子体等)を検査するための装置でもよい。
[構成]
図1及び図2に示すように、眼科観察装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、眼底のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
〔眼底カメラユニット〕
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を形成するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像である。また、撮影画像には、フルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像等の蛍光撮影画像も含まれる。
眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様に、被検者の顔が動かないように支えるための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様に照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ35、38)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの信号光を眼底Efに導くとともに、眼底Efを経由した信号光をOCTユニット100に導く。照明光学系10及び撮影光学系30は、この発明の「撮影手段」の一例である。
照明光学系10の観察光源11は、たとえばハロゲンランプにより構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、対物レンズ22を経由して眼底Efを照明する。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ダイクロイックミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー40を透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)Kが表示される。
撮影光源15は、たとえばキセノンランプにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)Hが表示される。なお、観察画像Kを表示する表示装置3と撮影画像Hを表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用視標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための視標であり、眼底撮影時や断層像形成時などに使用される。
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー40にて反射され、ダイクロイックミラー32に反射され、合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視方向(固視位置とも呼ばれる)を変更できる。被検眼Eの固視方向としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための方向(黄斑固視方向)や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための方向(乳頭固視方向)や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための方向(眼底中心固視方向)などがある。
LCD39はこの発明の「表示デバイス」の一例である。LCD39に表示された固視標を眼底Efに投影する上記光学素子群は、この発明の「投影光学系」の一例を構成する。また、LCD39及び上記光学素子群はこの発明の「固視光学系」の一例を構成する。
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための視標(アライメント視標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための視標(スプリット視標)を生成する。
アライメント光学系50のLED(Light Emitting Diode)51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22及び上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ダイクロイックミラー32により反射され、ハーフミラー40を透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント視標)は、観察画像Kとともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント視標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット視標板63により二つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、対物レンズ22により眼底Efに結像される。
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット視標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット視標の位置を解析して合焦レンズ31及びフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う。また、スプリット視標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
ダイクロイックミラー32の後方には、ミラー41、コリメータレンズ42、及びガルバノミラー43、44を含む光路が設けられている。この光路はOCTユニット100に導かれている。
ガルバノミラー44は、OCTユニット100からの信号光LSをx方向に走査する。ガルバノミラー43は、信号光LSをy方向に走査する。これら二つのガルバノミラー43、44により、信号光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。それにより、眼底Efに対する信号光LSの照射位置を2次元的に走査することが可能となる。
〔OCTユニット〕
OCTユニット100には、眼底EfのOCT画像を取得するための光学系が設けられている(図2を参照)。この光学系は、従来のフーリエドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、低コヒーレンス光を参照光と信号光に分割し、眼底Efを経由した信号光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット200に送られる。
OCTユニット100に格納された光学素子群、及び眼底カメラユニット2に格納された信号光の光路上の光学素子群は、この発明の「光学系」の一例を構成する。
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、たとえば1050〜1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて信号光LSと参照光LRに分割される。なお、ファイバカプラ103は、光を分割する手段(スプリッタ;splitter)、及び、光を合成する手段(カプラ;coupler)の双方の作用を有するが、ここでは慣用的に「ファイバカプラ」と称する。
信号光LSは、光ファイバ104により導光され、コリメータレンズユニット105により平行光束となる。更に、信号光LSは、各ガルバノミラー44、43により反射され、コリメータレンズ42により集光され、ミラー41により反射され、ダイクロイックミラー32を透過し、LCD39からの光と同じ経路を通って眼底Efに照射される。信号光LSは、眼底Efにおいて散乱、反射される。この散乱光及び反射光をまとめて信号光LSの眼底反射光と称することがある。信号光LSの眼底反射光は、同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれる。
参照光LRは、光ファイバ106により導光され、コリメータレンズユニット107により平行光束となる。更に、参照光LRは、ミラー108、109、110により反射され、ND(Neutral Density)フィルタ111により減光され、ミラー112に反射され、コリメータレンズ113により参照ミラー114の反射面に結像される。参照ミラー114に反射された参照光LRは、同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれる。なお、分散補償用の光学素子(ペアプリズム等)や、偏光補正用の光学素子(波長板等)を参照光LRの光路(参照光路)に設けてもよい。
ファイバカプラ103は、信号光LSの眼底反射光と、参照ミラー114に反射された参照光LRとを合波する。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ115により導光されて出射端116から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ117により平行光束とされ、回折格子118により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ119により集光されてCCDイメージセンサ120の受光面に投影される。図2に示す回折格子118は透過型であるが、反射型の回折格子を用いてもよい。
CCDイメージセンサ120は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ120は、この電荷を蓄積して検出信号を生成する。更に、CCDイメージセンサ120は、この検出信号を演算制御ユニット200に送る。
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ120から入力される検出信号を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のフーリエドメインタイプのOCT装置と同様である。
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3及びOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、眼底Efの断層像G(図2を参照)等のOCT画像を表示部3に表示させる。
また、眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15及びLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、合焦レンズ31の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、各ガルバノミラー43、44の動作制御などを行う。
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、参照ミラー114及びコリメータレンズ113の移動制御、CCDイメージセンサ120の動作制御などを行う。
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼科観察装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ120からの検出信号に基づいてOCT画像を形成する専用の回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100及び演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、それぞれ別体として構成されていてもよい。
〔制御系〕
眼科観察装置1の制御系の構成について図3及び図4を参照しつつ説明する。
眼科観察装置1は複数の動作モードを選択的に実行する。動作モードとは、眼科観察装置1の各種の動作項目を組み合わせて一連の動作として実行するものであり、マクロ機能などとも呼ばれる。動作項目としては、固視標の表示位置(つまり被検眼Eの固視方向)、信号光LSの走査パターン、形成される画像の種別(断層像、3次元画像等)、解析処理の種別、検査結果として出力される情報(検査結果情報)の種別、検査結果情報の出力レイアウトなどがある。眼科観察装置1は、これら各動作項目における選択肢を組み合わせることにより各動作モードを実行する。
演算制御ユニット200にはプリンタ300が接続されている。演算制御ユニット200にはプリンタ300のドライバが予めインストールされており、各種情報を印刷出力できるようになっている。
(制御部)
眼科観察装置1の制御系は、演算制御ユニット200の制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部213が設けられている。
(主制御部)
主制御部211は、前述の各種制御を行う。特に、主制御部211は、眼底カメラユニット2のLCD39、走査駆動部70及び合焦駆動部80、更にOCTユニット100の光源ユニット101及び参照駆動部130を制御する。
走査駆動部70は、たとえばサーボモータを含んで構成され、ガルバノミラー43、44の向きを各々独立に変更する。走査駆動部70は、ガルバノミラー43、44とともに、この発明の「走査手段」の一例を構成する。
合焦駆動部80は、たとえばパルスモータを含んで構成され、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、眼底Efに向かう光の合焦位置が変更される。
参照駆動部130は、たとえばパルスモータを含んで構成され、参照光LRの進行方向に沿って、コリメータレンズ113及び参照ミラー114を一体的に移動させる。
また、主制御部211は、記憶部213にデータを書き込む処理や、記憶部213からデータを読み出す処理を行う。
(動作モード制御部)
主制御部211には動作モード制御部212が設けられている。動作モード制御部212は、動作モードを実行するための各種制御を行う。動作モード制御部212には、図4に示すように、動作モード指定部212a、固視方向制御部212b、走査パターン制御部212c、画像制御部212d、解析制御部212e、出力情報制御部212f、及び出力制御部212gが設けられている。動作モード制御部212を含む主制御部211は、この発明の「制御手段」の一例である。
(動作モード指定部)
オペレータがたとえば操作部250を用いて複数の動作モードのうちの一つを選択したときに、動作モード指定部212aは、この選択された動作モードを実行対象の動作モードとして指定する。
また、動作モード指定部212aは、オペレータが動作モードを選択した場合以外のタイミングで、自動的に或いは半自動的に実行対象の動作モードを指定することもできる。この処理については変形例として後述する。
動作モード指定部212aは、固視方向制御部212b、走査パターン制御部212c、画像制御部212d、解析制御部212e、出力情報制御部212f、及び出力制御部212gのそれぞれに、動作モードの指定結果を送る。
動作モード指定部212aはこの発明の「指定手段」の一例に相当する。また、オペレータが手作業で動作モードを選択する場合には、その操作に使用される操作部250等の操作デバイスと、動作モード指定部212aとが「指定手段」に相当する。
(固視方向制御部)
固視方向制御部212bは、記憶部213に記憶された動作モード情報214を参照し、動作モード指定部212aにより指定された動作モードに関連付けられた固視方向を特定する。
なお詳細については後述するが、動作モード情報214は、各動作モードに対して、装置各部(光学系、画像形成部220、画像処理部230、表示装置3、表示部240、プリンタ300等)の動作内容を関連付けている情報である。
更に、固視方向制御部212bは、固視光学系を制御し、特定された固視方向に固視させるための固視標を被検眼Eに呈示させる。上記のように、この実施形態ではLCD39による固視標の表示位置を切り替えることにより固視方向を変更させる。固視方向制御部212bは、特定された固視方向に対応する表示位置に固視標を表示させるようにLCD39を制御する。
(走査パターン制御部)
走査パターン制御部212cは、動作モード情報214を参照し、動作モード指定部212aにより指定された動作モードに関連付けられた走査パターンを特定する。走査パターンとしては、後述のように、3次元スキャン、ラジアルスキャン、ラインスキャン、サークルスキャンなどがある。
更に、走査パターン制御部212cは、特定された走査パターンで信号光LSを走査させるように走査駆動部70を制御する。
(画像制御部)
画像制御部212dは、動作モード情報214を参照し、動作モード指定部212aにより指定された動作モードに関連付けられた画像種別を特定する。画像種別としては、断層像、3次元画像、撮影画像などがある。
なお、形成される画像種別が走査パターンに対応づけられている場合、画像制御部212dは、走査パターン制御部212cにより特定された走査パターンに基づいて画像種別を特定することが可能である。一例として、3次元スキャンと3次元画像とが対応づけられている場合、ラジアルスキャン(又はラインスキャン若しくはサークルスキャン)と断層像とが対応づけられている場合などがある。
更に、画像制御部212dは、特定された画像種別の画像を形成させる。特定された画像種別に断層像が含まれている場合、画像制御部212dは、画像形成部220を制御して眼底Efの断層像を形成させる。特定された画像種別に3次元画像が含まれている場合、画像制御部212dは、画像形成部220を制御して眼底Efの複数の断層像を形成させ、更に画像処理部230の3次元画像形成部231を制御して、これら断層像に基づく3次元画像を形成させる。特定された画像種別に撮影画像が含まれている場合、画像制御部212dは、眼底カメラユニット2を制御して眼底Efの撮影画像Hを取得させる。
(解析制御部)
解析制御部212eは、動作モード情報214を参照し、動作モード指定部212aにより指定された動作モードに関連付けられた解析処理を特定する。解析処理の種別としては、後述のように、黄斑の状態を解析する処理、視神経乳頭の状態を解析する処理、緑内障の有無や程度を解析する処理、黄斑変性の有無や程度を解析する処理などがある。
更に、解析制御部212eは、特定された解析処理を画像処理部230の解析処理部232に実行させる。
(出力情報制御部)
出力情報制御部212fは、動作モード情報214を参照し、動作モード指定部212aにより指定された動作モードに関連付けられた情報種別を特定する。この情報種別は、検査結果として出力される検査結果情報に含まれる情報の種別である。
出力情報制御部212fは、特定された情報種別の情報を収集する。眼科観察装置1により取得される各種の情報は記憶部213に(少なくとも一時的に)保存される。出力情報制御部212fは、特定された情報種別の情報を記憶部213から選択的に読み出す。或いは、出力情報制御部212fは、記憶部213に記憶された情報のうち、特定された情報種別の情報にタグやフラグを付与して識別可能にする。
また、特定された情報種別の情報を生成する必要がある場合、出力情報制御部212fは、当該情報の生成に必要な情報を収集し、更に、画像処理部230等を制御し、収集された情報に基づいて目的の情報を生成させる。一例として、解析結果を画像に反映させて出力する場合、出力情報制御部212fは、解析結果と画像とを記憶部213から読み出して画像処理部230に送り、解析結果が反映された画像を生成させる。
なお、全ての検査結果情報に共通に含まれる情報項目については動作モード情報214に記録する必要はない。共通の情報項目としては、被検者情報(患者ID、患者氏名、患者年齢等)、被検眼情報(左右眼の識別情報等)、検査日時、医師名などがある。また、診察結果(所見、問診結果等)や他の検査結果(視力値、眼圧値等)についても共通の情報項目として設定されていてもよい。
(出力制御部)
出力制御部212gは、動作モード情報214を参照し、動作モード指定部212aにより指定された動作モードに関連付けられた出力レイアウトを特定する。出力レイアウトは、検査結果情報を出力するときの各情報の配置を表す情報である。出力レイアウトとしては、表示出力用の表示レイアウトや、印刷出力用の印刷レイアウトなどがある。各出力レイアウトは、たとえば、表示出力用の画面レイアウトや、印刷出力用の用紙レイアウトのテンプレート画像を含んでいる。これらテンプレート画像は記憶部213に予め記憶されている。
出力制御部212gは、出力情報制御部212fにより収集された情報を、特定された出力レイアウトに当てはめて出力させる。各情報にはその情報種別を表すタグ等の識別情報が付与されている。テンプレート画像には、画面や用紙の全体を各情報の呈示領域に分割する分割形態が設定されている。各呈示領域には当該情報の識別情報が関連付けられている。出力制御部212gは、検査結果情報として収集された各情報を、その識別情報が関連付けられている呈示領域に配置する。
表示出力の場合、出力制御部212gは、表示装置3や表示部240を制御し、収集された情報が配置された画像テンプレートに基づいて表示用画像データを作成し、この表示用画像データに基づく画面を表示させる。印刷出力の場合、出力制御部212gは、収集された情報が配置された画像テンプレートに基づいて印刷用画像データを作成し、この印刷用画像データをプリンタ300に送って用紙に印刷させる。
(記憶部)
記憶部213は、各種のデータを記憶する。記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。
記憶部213には動作モード情報214が予め記憶されている。動作モード情報214は、前述のように、各動作モードに対して、装置各部(光学系、画像形成部220、画像処理部230、表示装置3、表示部240、プリンタ300等)の動作内容を関連付けている情報である。記憶部213は、この発明の「記憶手段」に相当する。
動作モード情報214はたとえば図5に示すようなテーブルとして構成される。この実施形態では、選択的に実行される動作モードとして、「黄斑検査モード」、「乳頭検査モード」、「緑内障検査モード」及び「黄斑変性検査モード」が設けられる。
また、動作項目として、「固視方向」、「走査パターン」、「画像種別」、「解析処理」、「情報種別」、「表示レイアウト」及び「印刷レイアウト」が設けられている。動作モード情報214は、各動作モードに対し、各動作項目の内容(動作内容)を関連付けている。なお、動作内容(特に解析処理)の詳細については後述する。
黄斑検査モードは、眼底Efの黄斑の状態を検査するための動作モードである。黄斑検査モードに対しては、固視方向として「黄斑固視方向」が関連付けられ、走査パターンとして「3次元(3D)」、「ラジアル」及び「ライン」が関連付けられ、画像種別として「眼底像(撮影画像)」、「断層像」及び「3次元画像」が関連付けられ、解析処理として「網膜厚解析」及び「Normative data比較」が関連付けられ、情報種別として「眼底像」、「代表的断層像」及び「Normative比較図」が関連付けられ、表示レイアウトとして「黄斑用テンプレート」が関連付けられ、印刷レイアウトとして「黄斑用テンプレート」が関連付けられている。各黄斑用テンプレートは、上記情報種別の情報を所定の配置で並べて呈示するためのものである。各黄斑用テンプレートは、この発明の「黄斑検査テンプレート」に相当する。
なお、「Normative data比較」とは、健常眼の標準的な値(ここでは網膜厚)と検査結果とを比較する解析処理である。この比較結果を表す図が「Normative比較図」である。
乳頭検査モードは、眼底Efの視神経乳頭の状態を検査するための動作モードである。乳頭検査モードに対しては、固視方向として「乳頭固視方向」が関連付けられ、走査パターンとして「サークル」及び「3D」が関連付けられ、画像種別として「眼底像」、「断層像」及び「3次元画像」が関連付けられ、解析処理として「RNFL厚解析」、「Normative data比較」及び「乳頭形状解析」が関連付けられ、情報種別として「眼底像」、「代表的断層像」、「Normative比較図」及び「乳頭形状パラメータ」が関連付けられ、表示レイアウトとして「乳頭用テンプレート」が関連付けられ、印刷レイアウトとして「乳頭用テンプレート」が関連付けられている。各乳頭用テンプレートは、上記情報種別の情報を所定の配置で並べて呈示するためのものである。各乳頭用テンプレートは、この発明の「乳頭検査テンプレート」に相当する。なお、乳頭形状パラメータは、乳頭形状解析による解析結果である。
緑内障検査モードは、緑内障の有無や程度を検査するための動作モードである。緑内障検査モードに対しては、固視方向として「黄斑固視方向」及び「乳頭固視方向」が関連付けられ、走査パターンとして「黄斑3D」及び「乳頭3D」が関連付けられ、画像種別として「眼底像」、「断層像」及び「3次元画像」が関連付けられ、解析処理として「RNFL厚解析」、「Normative data比較」及び「乳頭形状解析」が関連付けられ、情報種別として「眼底像(モザイク画像)」、「代表的断層像」、「Normative比較図(眼底像重ね)」及び「乳頭形状パラメータ」が関連付けられ、表示レイアウトとして「緑内障用テンプレート」が関連付けられ、印刷レイアウトとして「緑内障用テンプレート」が関連付けられている。各緑内障用テンプレートは、上記情報種別の情報を所定の配置で並べて呈示するためのものである。各緑内障用テンプレートは、この発明の「緑内障診断テンプレート」に相当する。
なお、「モザイク画像」とは、パノラマ画像などとも呼ばれるものであり、眼底の異なる部位(黄斑、視神経乳頭を含む)を別々に撮影して得られた複数の撮影画像を貼り合わせて得られる広域画像である。また、「Normative data比較」とは、健常眼の標準的な値(ここではRNFL厚)と検査結果とを比較する解析処理である。この比較結果を表す図が「Normative比較図」である。「眼底像重ね」とは、Normative比較図を眼底像に重ね合わせることを意味する。
黄斑変性検査モードは、(加齢)黄斑変性の有無や程度を検査するための動作モードである。黄斑変性検査モードに対しては、固視方向として「黄斑固視方向」が関連付けられ、走査パターンとして「3D」が関連付けられ、画像種別として「眼底像」、「断層像」及び「3次元画像」が関連付けられ、解析処理として「網膜厚解析」及び「Drusen解析」が関連付けられ、情報種別として「眼底像(Drusen表示)」、「代表的断層像」及び「Drusen分布グラフ・表」が関連付けられ、表示レイアウトとして「黄斑変性用テンプレート」が関連付けられ、印刷レイアウトとして「黄斑変性用テンプレート」が関連付けられている。ここで、解析処理としてNormative比較を更に行うようにしてもよい。各黄斑変性用テンプレートは、上記情報種別の情報を所定の配置で並べて呈示するためのものである。各黄斑変性用テンプレートは、この発明の「黄斑変性診断テンプレート」に相当する。
なお、Drusen(ドルーゼン)とは、ブルッフ膜と色素上皮との間に蓄積した老廃物のことである。「Drusen解析」とは、Drusenの分布状態を求める解析処理である。この解析結果を眼底像に重ね合わせるのが「Drusen表示」である。
この発明に係る動作モード情報は、図5に示すものには限定されない。一例として、被検眼の様々な部位に対応する動作モードや、様々な眼科疾患に対応する動作モードに関する動作モード情報を適用することが可能である。
ところで、医療機関の間には検査機器や解析ツールなどの導入状況に差がある。たとえば、大学病院等の先進的な医療機関には最新の機器等が広く普及している一方で、街の診療所には最新の機器等が導入されていないところも多い。また、医師ごとに診断方針が異なり、同じ診断部位や同じ疾患の診断であっても取得する画像や実施する解析処理が異なることも間々ある。
このような事情に鑑み、眼科観察装置1が設置される医療機関や、眼科観察装置1を使用する医師に応じて動作モード情報214を編集できることが望ましい。この編集作業は、たとえば、所定の編集画面(たとえば図5に示すようなテーブル)を表示部240に表示させ、操作部250を用いて動作内容を追加/削除することにより行う。また、動作モードを追加したり削除したりすることも可能である。このように使用される操作部250はこの発明の「操作手段」に相当する。
(画像形成部)
画像形成部220は、CCDイメージセンサ120からの検出信号に基づいて、眼底Efの断層像の画像データを形成する。この処理には、従来のフーリエドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板や通信インターフェイス等を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づいて呈示される「画像」とを同一視することがある。
(画像処理部)
画像処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、画像処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の各種補正処理を実行する。画像処理部230には、3次元画像形成部231と解析処理部232が設けられている。
画像処理部230は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。
(3次元画像形成部)
3次元画像形成部231は、画像形成部220により形成された断層像の間の画素を補間する補間処理を実行するなどして眼底Efの3次元画像の画像データを形成する。
3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。
ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、3次元画像形成部231は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部240等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数の走査線に沿って得られた複数の断層像を、走査線の位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、一つの3次元座標系により表現する(つまり一つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。なお、このようなスタックデータに対して補間処理を施すことによりボリュームデータを形成できる。
また、3次元画像に基づいて2次元断層像を形成することが可能である。この処理はたとえば次のようにして実行される。まず、3次元画像に対して断面を指定する。次に、指定された断面上のボクセルを選択する。そして、選択された各ボクセルを2次元の画素に変換して2次元断層像をする。
画像形成部220及び3次元画像形成部231は、この発明の「画像形成手段」の一例である。
(解析処理部)
解析処理部232は眼底Efの画像に対して解析処理を施す。解析対象の画像としては、断層像、3次元画像、撮影画像などがある。解析処理部232は、この発明の「解析手段」に相当する。
解析処理部232はたとえば次のような解析処理を実行する:(1)網膜厚解析;(2)網膜厚のNormative比較;(3)RNFL厚解析;(4)RNFL厚のNormative比較;(5)乳頭形状解析;(6)Drusen解析。網膜厚解析やRNFL厚解析は、この発明の「層厚解析」の一例である。Drusen解析は、この発明の「病変特定解析」の一例である。
なお、解析処理部232が実行する解析処理はこれらに限定されるものではない。解析処理部232は、被検眼の検査部位や検査対象の疾患などに応じた解析処理を実行可能に構成される。各解析処理はたとえば専用のコンピュータプログラムに基づいて実行される。
網膜厚解析は、眼底の断層像や3次元画像を解析して網膜の厚さ分布を求める処理である。なお、網膜厚には様々な定義がある。たとえば、内境界膜から内顆粒層(視細胞の内接・外接)までの厚さを網膜厚とする場合、内境界膜から網膜色素上皮層までの厚さを網膜厚とする場合などがある。網膜厚解析で求める網膜厚はこれら定義のうちのいずれかである。
網膜厚解析は、たとえば次のようにして実行される。まず、眼底のOCT画像を解析して、所定の境界部位(たとえば内境界膜と網膜色素上皮層)に相当する画像領域を特定する。そして、特定された境界部位の間の画素数をカウントして網膜厚(深度方向の距離)を求める。なお、OCT画像を解析して眼底の層の厚さを求める処理は、上記の特許文献5のほか、本出願人による特開2007−325831号公報、特開2008−206684号公報、特開2009−61203号公報、特開2009−66015号公報などにも説明されている。
なお、境界部位を手作業で指定するようにしてもよい。その場合、OCT画像を表示部240に表示させ、これを観察して境界部位を特定し、特定された境界部位を操作部250を用いて指定する。また、画像解析により特定された境界部位を手作業で修正できるようにしてもよい。
網膜厚のNormative比較は、網膜厚解析により求められた網膜厚をNormative dataと比較する解析処理である。Normative dataは、健常眼の網膜厚の標準値(標準厚)である。Normative dataは、健常眼の網膜厚を多数計測し、その計測結果の統計値(平均値、標準偏差)を求めることにより作成される。Normative比較は、被検眼Eの網膜厚が健常眼のそれの範囲に含まれるか否か判定するものである。なお、この発明では、上記の網膜厚解析及びNormative比較をまとめて「網膜厚解析」と称する。
なお、このようなNormative比較の代わりに、疾患のある眼における網膜厚の範囲を求め、網膜厚解析により得られた網膜厚が当該範囲に含まれるか否か判断する解析処理を行うようにしてもよい。
RNFL厚解析は、眼底の断層像や3次元画像を解析して、眼底のRNFL(Retinal Nerve Fiber Layer:網膜神経線維層)の厚さを求める解析処理である。RNFL解析は、たとえば、網膜厚解析と同様に、RNFLの境界部位に相当する画像領域を特定し、特定された境界部位の間の画素数をカウントしてRNFL厚(深度方向の距離)を求めることにより実行される。
RNFL厚のNormative比較は、RNFL厚解析により求められたRNFL厚をNormative data(標準厚)と比較する解析処理である。このNormative dataも網膜厚の場合と同様にして作成される。なお、この発明では、上記のRNFL厚解析及びNormative比較をまとめて「RNFL厚解析」と称する。
乳頭形状解析は、眼底の断層像や3次元画像を解析して、網膜の孔部(切れ目、欠損部位)を検出して視神経乳頭の形状を求める解析処理である。乳頭形状解析は、たとえば、断層像等を解析して視神経乳頭及びその近傍の網膜表面に相当する画像領域を特定し、特定された画像領域を解析してその大域的形状や局所的形状(凹凸)を表すパラメータ(乳頭形状パラメータ)を求める。乳頭形状パラメータの例として、視神経乳頭のカップ径、ディスク径、リム径、乳頭深さなどがある。
Drusen解析は、撮影画像(眼底像)やOCT画像を解析して、眼底におけるDrusenの分布状態を求める解析処理である。この分布状態には、眼底におけるDrusenの位置や面積などが含まれる。
撮影画像に基づくDrusen解析は、たとえば、撮影画像の各画素の画素値が所定範囲に含まれるか判定し、所定範囲に含まれる画素を特定することにより実行される。撮影画像においてDrusenは特徴的な色(黄白色)で描写されるので、この特徴的な色に相当する画素値の範囲を上記所定範囲として予め設定する。
なお、画像の明るさ(輝度値)やDrusenの形状(小さな略円形の隆起形状)に基づいてDrusenに相当する画像領域を特定することも可能である。
OCT画像に基づくDrusen解析は、たとえば、OCT画像を解析してブルッフ膜に相当する画像領域と色素上皮に相当する画像領域とを特定し、これら画像領域の間の画素値に基づいて小さな略円形の隆起形状に相当する画像領域をDrusen(の候補)として特定することにより実行できる。このような形状に基づく画像領域の特定処理は、たとえば、当該形状のテンプレートとの画像マッチングによって行うことが可能である。
また、本出願人による特開2008−295804号公報に記載されているように、眼底の画像を表示させ、Drusenに相当する画像領域を手作業で指定するようにしてもよい。
解析処理部232は、このようにして特定されたDrusenに相当する画像領域に基づいて、眼底におけるDrusenの位置の分布や個数や面積などを求める。
なお、撮影画像とOCT画像との位置合わせを行うことができる。この位置合わせ処理は、たとえば特開2007−252692号公報に記載されているように、OCT画像(特に3次元画像)の画素値を深度方向に積算して形成される2次元画像(積算画像)を形成し、この積算画像と撮影画像とを位置合わせすることにより実行される。
このような位置合わせを行うことで、撮影画像上の位置とOCT画像上の位置とを対応づけることができる。それにより、OCT画像に基づく網膜厚やRNFL厚の計測位置に対応する撮影画像上の位置を特定できる。また、撮影画像(又はOCT画像)に基づいて特定されたDrusenや視神経乳頭の位置に対応するOCT画像(又は撮影画像)上の位置を特定できる。
解析処理部232には、黄斑解析部233、乳頭解析部234、緑内障解析部235及び黄斑変性解析部236が設けられている。各解析部233〜236は、上記の複数の解析処理のうちのいくつかを組み合わせたものである。換言すると、各解析部233〜236は、複数の解析処理に対応するコンピュータプログラムのいくつかを組み合わせたマクロとして実行することにより所定の解析処理を行うものである。
黄斑解析部233は、網膜厚解析と網膜厚のNormative比較とを実行して黄斑の状態の検査結果を作成する。乳頭解析部234は、RNFL厚解析とRNFL厚のNormative比較と乳頭形状解析とを実行して乳頭の状態の検査結果を作成する。緑内障解析部235は、RNFL厚解析とRNFL厚のNormative比較と乳頭形状解析とを実行して緑内障の検査結果を作成する。黄斑変性解析部236は、網膜厚解析とDrusen解析とを実行して黄斑変性の検査結果を作成する。なお、黄斑変性解析部236は、網膜厚のNormative比較を実行してもよい。
これら解析部233〜236は、動作モード情報214における解析処理の動作内容に対応するように設けられている。なお、上記のように予め設定されたマクロとして解析処理を実行する代わりに、動作モード情報214に基づいて実行対象の解析処理のコンピュータプログラムを選択し、選択されたコンピュータプログラムに基づいて解析処理を実行するようにしてもよい。
(表示部、操作部)
表示部240は、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスを含んで構成される。また、表示部240は、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルモニタなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
操作部250は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。また、操作部250には、眼科観察装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。たとえば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部250は、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。
なお、表示部240と操作部250は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルモニタのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。
〔信号光の走査及びOCT画像について〕
ここで、信号光LSの走査及びOCT画像について説明しておく。
眼科観察装置1による信号光LSの走査パターンとしては、たとえば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射(ラジアル)スキャン、円(サークル)スキャン、同心円スキャン、螺旋(渦巻)スキャンなどがある。これらの走査パターンは、眼底の観察部位、解析対象(網膜厚など)、走査に要する時間、走査の精密さなどを考慮して適宜に選択的に使用される。
水平スキャンは、信号光LSを水平方向(x方向)に走査させるものである。水平スキャンには、垂直方向(y方向)に配列された複数の水平方向に延びる走査線に沿って信号光LSを走査させる態様も含まれる。この態様においては、走査線の間隔を任意に設定することが可能である。また、隣接する走査線の間隔を十分に狭くすることにより、前述の3次元画像を形成することができる(3次元スキャン)。垂直スキャンについても同様である。水平スキャンや垂直スキャンのような直線状のスキャンをまとめてラインスキャンと呼ぶことがある。
十字スキャンは、互いに直交する2本の直線状の軌跡(直線軌跡)からなる十字型の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。放射スキャンは、所定の角度を介して配列された複数の直線軌跡からなる放射状の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。なお、十字スキャンは放射スキャンの一例である。
円スキャンは、円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。同心円スキャンは、所定の中心位置の周りに同心円状に配列された複数の円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。円スキャンは同心円スキャンの一例である。螺旋スキャンは、回転半径を次第に小さく(又は大きく)させながら螺旋状(渦巻状)の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。
ガルバノミラー43、44は互いに直交する方向に信号光LSを走査するように構成されているので、信号光LSをx方向及びy方向にそれぞれ独立に走査できる。更に、ガルバノミラー43、44の向きを同時に制御することにより、xy面上の任意の軌跡に沿って信号光LSを走査することが可能である。それにより、上記のような各種の走査パターンを実現できる。
上記のような態様で信号光LSを走査することにより、走査線(走査軌跡)に沿った深度方向(x方向)の断層像を形成することができる。また、特に走査線の間隔が狭い場合には、前述の3次元画像を形成することができる。
上記のような信号光LSの走査対象となる眼底Ef上の領域を走査領域と呼ぶ。3次元スキャンにおける走査領域は、複数の水平スキャンが配列された矩形の領域である。また、同心円スキャンにおける走査領域は、最大径の円スキャンの軌跡により囲まれる円盤状の領域である。また、放射スキャンにおける走査領域は、各スキャンラインの両端位置を結んだ円盤状(或いは多角形状)の領域である。
[動作]
眼科観察装置1の動作について説明する。眼科観察装置1の動作例を図6に示す。被検眼Eのアライメントとピント合わせは既になされているものとする。アライメントは、オペレータが手作業で行ってもよいし、前眼部像などに基づき自動で行ってもよい。
まず、主制御部211は、動作モードを選択するための所定の画面を表示部240に表示させる。オペレータは、操作部250を使用して動作モードを選択する。動作モード指定部212aは、選択された動作モードを指定し、その指定結果を各制御部212b〜212gに送る(S1)。この動作例では、黄斑検査モードが指定された場合を説明する。
各制御部212b〜212gは、動作モード情報214を参照して動作内容を特定する(S2)。具体的には、固視方向制御部212bは被検眼の固視方向として「黄斑固視方向」を特定し、走査パターン制御部212cは信号光LSの走査パターンとして「3D」、「ラジアル」及び「ライン」を特定し、画像制御部212dは画像種別として「眼底像」、「断層像」及び「3D画像」を特定し、解析制御部212eは解析処理として「網膜厚解析」及び「Normative比較」を特定し、出力情報制御部212fは情報種別として「眼底像」、「代表的断層像」及び「Normative比較図」を特定し、出力制御部212gは表示レイアウトとして「黄斑用テンプレート」を特定するとともに印刷レイアウトとして「黄斑用テンプレート」を特定する。
固視方向制御部212bは、LCD39を制御し、黄斑固視方向に対応する画面上の位置に固視標を表示させ、それにより被検眼Eを黄斑固視方向に固視させる(S3)。
この固視状態において、主制御部211は光源ユニット101を制御して低コヒーレンス光L0を出力させるとともに、走査パターン制御部212cは走査駆動部70を制御してこの低コヒーレンス光L0に基づく信号光LSを3次元スキャンの走査パターンに沿って走査させる(S4)。3次元スキャンでは、格子点状に配列された複数の照射位置に順次に信号光LSを照射する。OCTユニット100は、この信号光LSと参照光LRとを重畳させて干渉光LCを生成して検出する。この検出信号は演算制御ユニット200に送信される。なお、オペレータが所定の操作(操作ボタンの押下など)を行ったことに対応して上記のOCT計測を開始するようにしてもよいし、眼底Efの画像(観察画像K等)に基づき固視状態を判定して自動で開始するようにしてもよい。
画像制御部212dは、画像形成部220を制御し、OCTユニット100からの検出信号に基づく断層像を形成させる(S5)。3次元スキャンを実行したので、平行な複数の走査線に沿った複数の断層像が形成される。主制御部211は、形成された複数の断層像を記憶部213に記憶させる。
更に、画像制御部212dは、これら断層像を画像処理部230に送るとともに、3次元画像形成部231を制御して3次元画像を形成させる(S6)。主制御部211は、形成された3次元画像を記憶部213に記憶させる。この3次元画像は、眼底Efの黄斑及びその近傍の形態を描写している。
続いて、主制御部211及び走査パターン制御部212cは、ステップ4と同様にしてラジアルスキャンを実行させる(S7)。ラジアルスキャンでは、放射線状に配置された複数の照射位置に順次に信号光LSを照射する。画像制御部212dは、画像形成部220を制御し、ラジアルスキャンにより得られた検出信号に基づく断層像を形成させる(S8)。それにより、黄斑の位置をほぼ中心として放射状に配列された複数の断層像が得られる。主制御部211は、得られた複数の断層像を記憶部213に記憶させる。
更に、主制御部211及び走査パターン制御部212cは、ステップ4と同様にしてラインスキャンを実行させる(S9)。ラインスキャンでは、直線状に配置された複数の照射位置に順次に信号光LSを照射する。画像制御部212dは、画像形成部220を制御し、ラインスキャンにより得られた検出信号に基づく断層像を形成させる(S10)。それにより、黄斑を通過する走査線に沿った断層像が得られる。主制御部211は、得られた断層像を記憶部213に記憶させる。以上でOCT計測は終了となる。
次に、画像制御部212dは、眼底カメラユニット2を制御して眼底Efを撮影させる(S11)。主制御部211は撮影画像を記憶部213に記憶させる。
解析制御部212eは、取得された断層像、3次元画像及び撮影画像(眼底像)を画像処理部230に送り、黄斑解析部233を制御して網膜厚解析とNormative比較を実行させる(S12)。黄斑解析部233は解析結果としてNormative比較図を生成する。主制御部211は、生成されたNormative比較図を記憶部213に記憶させる。
たとえば操作部250を用いて検査結果の出力要求がなされたことに対応し、出力情報制御部212fは、眼底像(撮影画像)、代表的断層像(たとえばラインスキャンにより得られた断層像)、及びNormative比較図を記憶部213から読み出す(S13)。このとき、前述の共通の情報項目に係る情報も読み出される。
出力制御部212gは、表示用又は印刷用の黄斑用テンプレートを記憶部213から読み出す。更に、出力制御部212gは、ステップ13で読み出された情報を黄斑用テンプレートに当てはめて出力用画像データ(表示用画像データ及び/又は印刷用画像データ)を作成し、この出力用画像データに基づいて表示部240やプリンタ300を制御して表示画面や印刷画像を出力させる(S14)。以上で、黄斑検査モードに係る動作は終了となる。
他の動作モードが指定された場合、上記の黄斑検査モードと同様に動作モード情報214に基づいて処理を実行する。他の動作モードが指定された場合について以下に簡単に説明する。
乳頭検査モードが指定された場合、乳頭固視方向に被検眼Eを固視させた状態でサークルスキャンと3次元スキャンを順次実行する。演算制御ユニット200は、サークルスキャンに基づく検出信号に基づいて、視神経乳頭(の乳頭中心)の位置をほぼ中心とする円形の走査線に沿った断層像を形成する。また、演算制御ユニット200は、3次元スキャンに基づく検出信号に基づいて複数の断層像を形成し、これら断層像に基づいて3次元画像を形成する。この3次元画像は、視神経乳頭及びその近傍を描写する画像である。また、眼底カメラユニット2は眼底Efを撮影する。乳頭解析部234は、取得されたOCT画像等に基づいてRNFL厚解析とNormative比較と乳頭形状解析とを実行し、解析結果としてNormative比較図を作成する。演算制御ユニット200は、眼底像、代表的断層像(たとえばサークルスキャンに基づく断層像)、Normative比較図及び乳頭形状パラメータを乳頭用テンプレートに配して出力する。
緑内障検査モードが指定された場合、黄斑固視方向に被検眼Eを固視させた状態で3次元スキャンを実行して黄斑及びその近傍を描写する3次元画像を形成する。次に、被検眼Eの固視方向を乳頭固視方向に変更して3次元スキャンを実行し、視神経乳頭及びその近傍を描写する3次元画像を形成する。また、眼底カメラユニット2は眼底Efを撮影する。緑内障解析部235は、取得されたOCT画像等に基づいてRNFL厚解析とNormative比較と乳頭形状解析とを実行し、解析結果としてNormative比較図を作成する。演算制御ユニット200は、眼底像、代表的断層像、Normative比較図及び乳頭形状パラメータを緑内障用テンプレートに配して出力する。この代表的断層像は、たとえば、黄斑の3次元画像に基づいて形成される、黄斑の位置を断面とする断層像と、視神経乳頭の3次元画像に基づいて形成される、視神経乳頭の位置を断面とする断層像である。
黄斑変性検査モードが指定された場合、黄斑固視方向に被検眼Eを固視させた状態で3次元スキャンを実行して黄斑及びその近傍を描写する3次元画像を形成する。また、眼底カメラユニット2は眼底Efを撮影する。黄斑変性解析部236は、取得されたOCT画像に基づいて網膜厚解析を実行するとともに、OCT画像や撮影画像(眼底像)に基づいてDrusen解析を実行する。演算制御ユニット200は、眼底像、代表的断層像、網膜厚解析の結果及びDrusen解析の結果を黄斑変性用テンプレートに配して出力する。この代表的断層像は、たとえば、黄斑の3次元画像に基づいて形成される、黄斑の位置を断面とする断層像である。
[作用・効果]
以上のような眼科観察装置1の作用及び効果について説明する。
眼科観察装置1は、低コヒーレンス光L0を信号光LSと参照光LRとに分割し、被検眼E(眼底Ef)を経由した信号光LSと参照光路を経由した参照光LRとを重畳させて干渉光LCを生成して検出する光学系を有し、干渉光LCの検出結果に基づいて被検眼E(眼底Ef)のOCT画像を形成する。更に、眼科観察装置1は、形成されたOCT画像に対して解析処理を施し、その解析結果を含む検査結果情報を出力する。
また、眼科観察装置1は、複数の動作モードを選択的に実行可能とされる。眼科観察装置1は、各動作モードに対して各種動作内容を関連付ける動作モード情報214を予め記憶している。1つの動作モードが指定されると、眼科観察装置1は、この動作モードに関連付けられた動作内容を動作モード情報214を参照して特定し、特定された動作内容に基づいて光学系、画像形成部220、3次元画像形成部231、解析処理部232、表示部240、プリンタ300等を制御する。
なお、検査結果情報の出力態様としては表示出力と印刷出力がある。表示部240や表示装置3やプリンタ300は、この発明の「出力手段」の一例である。なお、検査結果情報を外部装置に送信する場合、LANカード等の通信インターフェイスが出力手段として機能する。また、検査結果情報を記録媒体に記録させる場合、この記録媒体に情報を記録するドライブ装置が出力手段として機能する。
更に、眼科観察装置1は眼底Efを撮影する撮影手段(眼底カメラユニット2)を備えている。指定された動作モードに対して撮影手段の動作内容が関連付けられている場合、つまりカラー画像や蛍光画像等を取得する旨が動作モード情報214に記録されている場合、眼科観察装置1は、当該動作内容に基づいて撮影手段を制御して眼底Efの撮影画像Hを形成する。形成された撮影画像Hは、OCT画像や解析結果とともに検査結果情報として出力される。
このような眼科観察装置1によれば、指定された動作モードに応じた一連の処理を自動的に実行することができるので、被検眼Eの診断に用いられる情報を容易にかつ過不足なく取得することが可能である。
[変形例]
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。以下、上記の実施形態と同様の構成部分については同じ符号を用いて説明する。
〔変形例1〕
経過観察や術前術後観察等のように同じ検査を繰り返し行うことがある。このような場合、過去の検査と同じ動作モードが自動的に指定されれば便利である。この変形例では、過去の検査と同じ動作モードを自動で指定することが可能な構成を説明する。
この変形例に係る眼科観察装置は、患者IDや患者氏名等の患者識別情報を入力する入力手段を有する。患者識別情報を手入力する場合、入力手段はたとえば操作部250により構成される。また、記録媒体が付された患者カード等に患者識別情報が記録されている場合には、この記録媒体から患者識別情報を読み取って入力することができる。この場合の入力手段は、記録媒体の読取装置を含む。
また、患者識別情報を自動入力する場合、入力手段はたとえば主制御部211により構成される。自動入力する場合の例として、当該患者の電子カルテが既に開かれており、この電子カルテに記録されている患者識別情報を自動的に入力する場合などがある。
動作モードを使用して検査が実施されると、主制御部211は、この動作モード(の識別情報)と、入力手段により入力された患者識別情報とを対応づけて記憶部213に記憶させる。このとき、検査日時等の情報を共に記憶させることが望ましい。主制御部211は、検査が実施される度ごとにこの処理を実行する。
検査開始時などに患者識別情報が入力されると、動作モード指定部212aは、過去に当該患者識別情報とともに記憶された動作モードを記憶部213から検索する。検索されなかった場合、動作モード制御部212は、動作モードを選択するための画面を表示部240に表示させ、手作業での動作モード指定に移行する。
過去の動作モードが検索された場合、動作モード制御部212は、動作モード情報214を参照し、検索された動作モードに関連付けられた動作内容を特定する。更に、動作モード制御部212は、特定された動作内容に基づいて、光学系、画像形成部220、画像処理部230、表示部240等を制御して当該動作モードの処理を実行させる。
〔変形例2〕
経過観察等のように同じ検査を繰り返し行う場合に複数の検査を行うことがある。各検査は実施間隔が同じとは限らない。たとえば検査Aを2週間間隔で行い、検査Bを3週間間隔で行うことがある。このような場合、今日実施する検査を自動的に特定して動作モードを自動で指定することができれば便利である。この変形例では、このような処理を実現することが可能な構成を説明する。
この変形例に係る眼科観察装置は変形例1と同様の入力手段を有する。更に、この眼科観察装置には、現在の日時を計時する計時手段が設けられる。この計時手段は、たとえば計時機能を有するマイクロプロセッサにより構成される。
この変形例の動作モード情報には、上記実施形態と同様に各動作モードに対して動作内容が関連付けられているとともに、その動作モードで検査を行う時間間隔を表す情報(検査間隔)が関連付けられている。
動作モード制御部212は、各検査における動作モードを、入力された患者識別情報、及び、計時手段により計時された日時(検査日時)とともに記憶部213に記憶させる。それにより、実施された各検査(各動作モード)に対して患者識別情報と検査日時とが関連付けられる。
検査開始時などに患者識別情報が入力されると、動作モード指定部212aは、過去に当該患者識別情報とともに記憶された動作モード及び検査日時を記憶部213から検索する。検索されなかった場合、動作モード制御部212は、動作モードを選択するための画面を表示部240に表示させ、手作業での動作モード指定に移行する。
検索された場合、動作モード指定部212aは、検索された過去の検査日時と計時手段により計時されている現在の日時との差を算出して検査間隔を求める。更に、動作モード指定部212aは、動作モード情報を参照し、求められた検査間隔に関連付けられた動作モードを選択する。このとき、求められた検査間隔と動作モード情報に記録されている検査間隔とが等しい必要はない。動作モード指定部212aは、求められた検査間隔に最も近い検査間隔を動作モード情報から特定し、特定された検査間隔に関連付けられた動作モードを選択する。それにより、実際の検査間隔に多少の誤差があったとしても今回の検査の動作モードを選択できる。
動作モード制御部212は、動作モード情報を参照し、選択された動作モードに関連付けられた動作内容を特定する。更に、動作モード制御部212は、特定された動作内容に基づいて、光学系、画像形成部220、画像処理部230、表示部240等を制御して当該動作モードの処理を実行させる。
〔変形例3〕
検査結果に応じて次回実施する検査が異なる場合がある。たとえば、前回実施した検査に異常が無かった場合には検査Aを今回実施し、前回の検査で異常が見つかった場合には検査Bを今回実施することがある。このような場合、前回の検査の結果に応じて動作内容を自動的に変更できれば便利である。この変形例では、このような処理を実現することが可能な構成を説明する。
この変形例に係る眼科観察装置は変形例1と同様の入力手段を有する。動作モード制御部212は、解析処理部232により得られた解析結果に異常が存在した場合に、その旨を表す情報(異常存在情報)を、入力手段により入力された患者識別情報とともに記憶部213に記憶させる。なお、異常の有無は、たとえば、Normative比較において、層の厚さが許容範囲(標準厚)に含まれるか否かによって決定することができる。
この変形例の動作モード情報には、上記実施形態と同様に各動作モードに対して動作内容が関連付けられているとともに、異常が存在した場合における動作内容の変更を表す動作内容変更情報が関連付けられている。動作内容変更情報は、たとえば、異常が存在した場合には解析処理Aに加えて解析処理Bを実施するように動作内容を変更するものである。また、動作内容変更情報は、異常が存在した場合には別の動作モードでの検査に切り替える、又は別の動作モードの検査を追加するようなものであってもよい。
検査開始時などに患者識別情報が入力されると、動作モード指定部212aは、過去に当該患者識別情報とともに記憶された異常存在情報を記憶部213から検索する。異常存在情報が検索されなかった場合には、動作内容を変更せずに元の動作モードを実行する。
異常存在情報が検索された場合、動作モード指定部212aは、この動作内容変更情報に基づいて動作モードの動作内容を変更する。動作モード制御部212は、変更された動作内容に基づいて、光学系、画像形成部220、画像処理部230、表示部240等を制御して当該動作モードの処理を実行させる。
〔変形例4〕
上記の実施形態では、網膜厚やRNFL厚を健常眼の標準的な値(所定の標準厚の一例)と比較するnormative data比較について説明した。この変形例では、所定の標準厚の他の例について説明する。なお、所定の標準厚は上記実施形態や以下の変形例に限定されるものではない。
第1の例は被検眼Eの反対側の眼(反対眼と呼ぶ)における値である。この変形例は、反対眼における網膜厚やRNFL厚(網膜厚等と呼ぶ)が計測済みである場合に適用可能である。この変形例は、たとえば、反対眼が健常眼である場合や被検眼Eよりも軽度の疾患の場合などに有効である。また、このように被検眼Eの網膜厚等と反対眼の網膜厚等とを比較することで、左右眼における網膜厚等の差異を把握することができる。
第2の例は過去の検査における計測値である。この変形例では、今回の検査で得られた網膜厚等と、過去(たとえば前回)の検査で得られた網膜厚等とを比較する。それにより、網膜厚等の過去からの変化を把握することができる。また、このような比較を反復することにより、網膜厚等の経時変化を把握することができる。
〔その他の変形例〕
上記の実施形態の動作モード情報214では、固視方向、走査パターン、画像種別、解析処理、情報種別、表示レイアウト及び印刷レイアウトが動作項目として設定されているが、これらのうちのいくつかを動作項目として設定した動作モード情報を作成して使用することが可能である。なお、処理の自動化を図るためには、多くの動作項目を設定することが望ましい。
上記の実施形態においては、参照ミラー114の位置を変更して信号光LSの光路と参照光LRの光路との光路長差を変更しているが、光路長差を変更する手法はこれに限定されるものではない。たとえば、被検眼Eに対して眼底カメラユニット2やOCTユニット100を移動させて信号光LSの光路長を変更することにより光路長差を変更することができる。また、特に被測定物体が生体部位でない場合などには、被測定物体を深度方向(z方向)に移動させることにより光路長差を変更することも有効である。
上記の実施形態におけるコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。また、ハードディスクドライブやメモリ等の記憶装置に記憶させることも可能である。
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。