JP5721233B2 - 画像認識システム - Google Patents
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Description
画像認識の研究のはじまりは、一般に40年以上前に遡ることができる。以来、計算機の高速化と機械学習技術の進歩とともに、線画解釈(1970年代)、人手によるルールや幾何形状モデルによって構築された知識データベースに基づく認知モデル、及び3次元モデル表現(1980年代)といった研究が進み、1990年代に入ると、特に顔画像の認識や学習による認識に関する研究が盛んになった。
計算機能力の向上は、コンピュータによる表現の世界においても大きな進展をもたらした。例えば、高速演算による物体の三次元モデリング処理や画像レンダリング処理がある。近年のコンピュータゲーム機は、ハードウェアが有する高い計算機能力によって3次元物体の描画を軽快に処理するようになっている。さらに、ネットワーク通信容量の増大により、サーバ上に蓄積された3次元物体モデルデータをクライアント端末から回転自在に閲覧することにもコンピュータに対する負担は生じなくなってきた。こうした画像処理技術及びネットワーク通信技術の進展により、2000年以降には、メタバースやバーチャル世界と呼ばれる擬似リアル空間が構築されるに至った。
また、従来の画像認識技術においては、認識に利用するデータを生成するための学習に多くのサンプル画像を必要とする。しかし、いくら多数の写真や動画を集めてきても、これら写真や動画の有する情報量の限界までしか識別できず、画像認識の精度を上げることができない。さらには、写真や動画には通常多種のノイズや欠損及びエラーが含まれている。したがって、写真や動画に写し出された物体の特徴が埋もれてしまうことが多い。ここに、従来におけるテンプレートマッチング技術やBag-of-Feature手法の限界があったと言える。
われわれ人間は、認知空間に生きている。
人間が認知できる様々な情報(写真や動画、音など)は、対象物それ自体は十分詳細な情報は有していない場合であっても、人間が蓄積した知識や経験をもとに脳により知識処理をすることにより瞬時に補完され、対象物が正確に何者であるか判断することが可能である。
本発明では、このような人間が有する特徴をコンピュータに適用する方法を提供する。個々の人間の知識データベースは、脳内に収納可能な量に限定される。また、人類全体の知識は遥かに大きいものの、即時に包括して参照し的確な判断を行うことはできない(例えば、地球上の70億人+過去の全ての人類の知識)。
これらの知識は、コンピュータシステム上の膨大なデータベースとして時間をかけて集積し、学習(AI)により進化可能である。
これらにより、将来、人間の認知能力・判断能力を遥かに超える人工知能システムの誕生が期待できる。この基本となるデータベースに、時間軸情報を含ませることにより、4次元の時空間を参照や移動が可能となる。
この基本となるデータベースを「マザーデータベース」(以下、「MDB」と略す)と呼ぶ。
(1)画像中の文字や、メタデータ等に頼らずに物体を同定する画像認識が可能になる。
(2)認知対象の物体はCAD等の設計データが存在している物を含む広範な物体が対象であり、ユーザは手元の画像や動画などを元に、本発明に係る画像認識システムにより認識される物体に関するより詳細なデータに基づいた様々な情報を得ることができる。
(3)本発明に係る画像認識システムにおけるデータベースは、回帰的学習により個々の物体の詳細なデータについて自律的な登録・更新による成長を続け、限りなく精度/精細度の高い時空間を構築可能なデータベースを備えることにより、膨大な数及び種類の物体の画像認識を可能にするシステムを提供することができる。
付加情報データ252は、物体の名称、製造者、部品番号、日時、素材、組成、加工情報など物体に関する付加的なあらゆる情報を保持している。
特徴量データ253は、設計データ251に基づいて生成される個々の物体の特徴点や特徴量情報を保持している。
カテゴリデータ254は、一般物体認識部において物体のカテゴリ分類を行う際に使用する情報を保持している。
不特定物体データ255は、特定物体認識が出来ない物体情報を格納する。MDBの学習が進み特定物体認識が出来たときには、ここから削除される。
画像認識処理の開始(S401)は、まず、端末装置105における元画像の入力からはじまる(S402)。元画像は、2次元画像であるか3次元画像であるかを問わない。また、元画像の入力に際しては、その元画像におけるどの物体の着目領域の指示がポインティングデバイス等のデバイス(不図示)を通じてなされる場合と、着目点の指示がなく元画像全体が処理対象として入力される場合がある。次に、S404において一般物体認識処理が行われる。一般物体認識処理には、例えば、BOF(Bag-Of-Features)の手法を採用することができる。この一般物体認識処理では、検出された物体のカテゴリ(物体の一般名称)の認識まで行われる。ただし、着目点の指示がされた場合は、カテゴリの認識ができた場合とできなかった場合とで処理が分岐し、その判断はS405で行われる。カテゴリ認識ができなかった場合には、S406へ進み、既存のカテゴリの取り扱いについて判断がなされる(S407)が、着目点に指示の有無に関わらず物体のカテゴリ認識が出来た場合には、特定物体認識処理へ進むべくS409へ進む。
S405の判断において特定物体認識処理へ進む場合は、まず、S409において個別物体画像の切り出し処理が行われる。そして、切り出された個別物体画像について、特定物体認識処理が行われる(S410)。特定物体認識処理では、MDB102に登録された設計データ251から抽出された特徴量データ253に基づく一致度を算出する評価関数によって物体の同定が試みられる。
一方で、S405の判断において一般物体認識ができなかった場合には、S406へ進み、着目物体の持つ特徴量と、MDB102が把握している既存のカテゴリに属する物体の特徴量との情報距離に基づいて、その着目物体を含む新たなカテゴリを登録するか(S407)、その着目物体に近接する既存カテゴリの拡張を検討するか(S408)の判断が行われる。新たなカテゴリを登録する(S407)場合にはS404に復帰し、既存のカテゴリを拡張する(S408)場合にはS409へ進む。
S411においては、特定物体の同定ができたかどうかが判断される。特定物体の同定ができた場合には、S413に進み、S409において切り出された個別物体画像にMDB102に登録されている物体の詳細データよりもさらに精細な情報が含まれるかが判断される。もし、S413においてYesと判断された場合には、S414に進み、MDB102におけるその物体の詳細データはMDB学習部207により更新され、より精細な情報を有するようになる。一方で、S413においてNoと判断された場合には、S415に進み、次の判断がなされる。
次に、S502において元画像内の特徴点及び特徴量が抽出され、MDBより生成される特徴量データと比較される。ここで、MDBより特徴量データを生成・比較する方法には、以下の2種類がある。
なお、情報距離の算出アルゴリズムには、符号理論上の種々のアルゴリズム(ハミング、フィッシャー等)や他の情報理論に基づく距離計算アルゴリズムを採用することができる。
図8(A)において、800は長いすの元画像である。ここでは、5つの特徴点が抽出されている。801は図中向かって左の背もたれ角の特徴点である。802は図中手前の左肘掛の角の特徴点である。803は左手前脚部の特徴点。804は右手前脚部の特徴点である。806は向かって右の背もたれの角の特徴点である。805は特徴点として抽出されなかった部位であるが、説明のため番号を付ける(丸印は付していない)。
図8(B)において、850は長いすの比較CADデータからの描画像である。ここでは、6つの特徴点が抽出されている。851は向かって左の背もたれの特徴点である。852は手前の左肘掛の角の特徴点である。853は左手前脚部の特徴点である。854は右手前脚部の特徴点である。855は手前の右肘掛の特徴点である。856は向かって右の背もたれの角の特徴点である。
比較は、特徴点801と851、特徴点802と852、特徴点803と853、特徴点804と854、特徴点805と855、特徴点806と856とで後述の手法(図10)を用いて行われる。特徴点805は検出できてないが、ここでは、他の5点が一致しているので、800の長いすは850の長いすと特定することが出来る。つまり、特徴点のうち、全ての特徴点あるいは一定の割合以上の特徴点が一致すれば物体が特定できたと判断することができる。
あるいは、物体の一部が隠れていた場合(関数検出できない場合)であっても、その他の特徴点でよく一致していれば同定できたとすることができる。
図9(C)は、図8の(A)に示した長いす800と同じである。
図9(D)において、950は別の長いすの比較CADデータからの描画像である。ここでは、6つの特徴点が抽出されている。951は向かって左の背もたれの特徴点である。952は手前の左肘掛の角の特徴点である。953は左手前脚部の特徴点である。954は右手前脚部の特徴点である。955は手前の右肘掛の特徴点である。956は向かって右の背もたれの角の特徴点である。
比較は、特徴点801と951、特徴点802と952、特徴点803と953、特徴点804と954、特徴点805と955、特徴点806と956で行われる。後述の手法(図10)により802と952が一致してないので、800と850が別の物体と判断される。
図10(K)において、横軸には位相(角度、距離、色などを包含する)、縦軸には元画像と比較CAD画像の一致度を取る。比較CAD画像を偏位させ特徴点を比較することで、元画像との一致度が0と1の間の値を取る。一致すれば0であり、不一致であれば1である。CAD画像同士であれば、比較CAD画像の1つの位相で、元CAD画像が完全に一致する。しかし、元画像にはノイズが含まれているので、完全な一致にはなり得ない。結果、比較CAD画像の位相に従って1002の線となる。また、もし、完全に一致しない場合には、1003の直線になる。
図10(L)において、図8の一致の場合と図9の不一致の場合をあらわす。図10(L)Aにおいて、特徴点1は803、特徴点2は801、特徴点3は802、特徴点4は806、特徴点5は805、特徴点6は804に対応する。図Aではある同一位相値において抽出されてない特徴点805以外は極小値となっている。ゆえに、元画像は比較CAD画像と一致したと判断する。一方、図10(L)Bにおいては、同様の比較を行った結果、802に対応する特徴点3が他とは違う比較CAD画像の位相値で一致度の極小値となっている。結果、元画像は比較CAD画像とは不一致であると判断する。
101 サーバ
102 マザーデータベース(MDB)
103 接続
104 ネットワーク(あるいはインターネット)
105a〜105d 端末装置
Claims (6)
- 物体の設計情報及びカテゴリ群を少なくとも記録しているマザーデータベース(MDB)と、一般物体認識部と、特定物体認識部とを備えた画像認識システムであって、
入力画像から得られる1以上の特徴量を用いてカテゴリ群を推定する一般物体認識部、及び、
前記推定されたカテゴリ群に属する前記MDBに記録されている物体の設計情報に基づいて、1以上の特徴量を計算し、当該計算された1以上の特徴量と、前記入力画像から得られる前記1以上の特徴量とを比較して物体を同定する特定物体認識部
を有する画像認識システム。 - 前記同定された物体に対し、入力画像から直接得られる情報もしくは入力画像のリンク先からさらに詳細な物体に関するデータが得られる場合は、前記データに基づいてMDBを成長・更新・分割・統合・拡張・修正させることを特徴とする請求項1に記載の画像認識システム。
- 前記一般物体認識部でカテゴリを特定できず、前記特定物体認識部で物体が同定される場合、MDBから生成する特徴量を前記一般物体認識部におけるカテゴリ識別情報として追加登録することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の画像認識システム。
- 新たな未登録の物体のデータベースが発見された場合、当該物体に関わる詳細なデータベースをMDBに登録するとともに、前記一般物体認識部におけるカテゴリ識別情報として追加登録することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像認識システム。
- 前記特定物体認識部で物体を同定できない場合、入力画像から得られる画像以外の情報及び/又は集合知に基づいて物体を判別し、当該物体に関わる詳細なデータベースをMDBに登録するとともに、前記一般物体認識部におけるカテゴリ識別情報として追加登録することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像認識システム。
- 前記一般物体認識部及び前記特定物体認識部で物体を同定できず、かつ前記入力画像から得られる画像以外の情報及び/又は集合知を以ってしても前記物体が不明な場合、不明物体として登録し、その後の他の物体の特定物体認識により新規カテゴリもしくは新規物体が登録された場合に前記不明物体を再度検証することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像認識システム。
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