JP5708795B2 - コヒーレント光受信器および局発光切替方法 - Google Patents
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Description
このような波長分割多重や高密度波長分割多重の技術と共に光ファイバ通信の大容量化に寄与する技術としてコヒーレント光通信技術がある。コヒーレント光通信技術は、送信側で光電場の振幅や位相に信号を印加して送信した信号光を、受信側でコヒーレント光受信する技術である。デジタルコヒーレント光受信器は、コヒーレント光受信して得られた光信号を電気信号に変換し、その電気信号をデジタル処理して元の信号を再生する光受信器である。
なお、本明細書では「光信号」と「信号光」の類似した用語を用いている。「光信号」は「信号」を主体とした意味で使用し、例えば、信号が光を媒体として伝送されることを意味するような場合に使用する。個々の光信号を「波長チャネル」とも称する。「信号光」は「光」を主体とした意味で使用し、信号を含む光という意味で使用する。
図1に高密度波長分割多重技術を用いたネットワーク構成例、図2にコヒーレント光通信技術によるデジタルコヒーレント光受信器の構成例を示す。
図1に示すように、高密度波長分割多重技術を用いたネットワークでは、送信側のノード40と受信側のノード10とが光ファイバ伝送路で接続されている。光ファイバ伝送路上の途中のノード20、30では、OADM(Optical Add/Drop Multiplexer:光波長分岐挿入)やWXC(Wavelength Cross Connect:波長クロスコネクト)を用いて、波長多重された光信号に対して波長チャネルの挿入/分岐が適宜行われる。
送信側のノード40は、複数の光送信器400と光合波器410を備えている。光送信器400はそれぞれが波長の異なる光を用いて、送信すべき信号をその光電場の振幅や位相に印加した信号光を送信する。光合波器410は、各光送信器から送信される信号光を入力し、それらを波長多重した光信号として光ファイバ伝送路上に出力する。
ノード20、30のOADMやWXCは、そのノードを通過する波長多重された光信号からクライアント信号として終端すべき波長チャネルを分離する。また、OADMやWXCは、クライアント側から伝送要求があった波長チャネルを、そのノードを通過する波長多重信号の一部として追加する。
受信側のノード10は、光分波器140と複数のデジタルコヒーレント光受信器100を備えている。光分波器140は、光ファイバ伝送路上を伝送されてきた波長多重信号を入力し、波長毎の光信号に分離して出力する。それぞれのデジタルコヒーレント光受信器100は、光分波器140で分離された波長の異なる信号光を受信し、コヒーレント光受信してその光電場の振幅や位相に印加された信号を再生して出力する。
図2を参照してデジタルコヒーレント光受信器の構成と動作を簡単に説明する。
デジタルコヒーレント光受信器100は、コヒーレント受信部110、A/D(Analog/Digital)変換部120およびデジタル信号処理部130を含んで構成される。
コヒーレント受信部110は、光位相ハイブリッド回路111、その出力を光電変換する光電変換回路112および局部発振光源113を含みコヒーレント光受信を行う。
コヒーレント受信部110に入力された信号光は、局部発振光源113が出力する、信号光とほぼ同じ周波数を有する局部発振光(局発光)とともに光位相ハイブリッド回路111に入力される。光位相ハイブリッド回路111は、入力した信号光および局発光を混合し、混合により発生するダウンコンバートされた周波数の干渉光を出力する。この干渉光は、位相が互いに90度異なる2組の光、すなわちI(In−phase:同相)成分及びQ(Quadrature:直交)成分、を含み、光電変換回路112で光電変換され、信号光の電場エンベロープを表す電気信号として出力される。
コヒーレント受信部110が出力する電気信号は、A/D変換部120に入力され、成分ごとにA/D変換器121でサンプリング、量子化が行われてデジタル信号に変換される。
デジタル信号処理部130は、デジタル化された電気信号に対して信号波形の等化処理および復調処理を行うことにより、元の信号を再生して出力する。デジタルコヒーレント光受信器は、信号光の光電場の振幅と位相の両方の情報を電気信号として取得できるので、電気的な等化フィルタによって高精度な波形歪み補償が可能となっている。
また、デジタルコヒーレント光受信器では、信号光と局発光の周波数を、数GHz以内の周波数差で大まかに一致させればよいイントラダイン方式による検波が主流となっている。イントラダイン方式のデジタルコヒーレント光受信器は、装置構成を簡易化するため光位相同期ループを設けず、局部発振光源はフリーラン発振となっており、局発光の周波数や位相のための制御は行われない。
そのため、デジタルコヒーレント光受信器は、受信した信号に対して、波長分散や偏波モード分散による信号歪の等化処理を行い、その後に周波数オフセット補償処理および位相オフセット補償処理を行う必要がある。つまり、デジタル信号処理部130では、信号歪の等化処理、周波数オフセット補償処理および位相オフセット補償処理を行い、その後に復号処理を行う。
図2の下部に示すように、デジタル信号処理部130は、歪等化回路131、光源周波数オフセット補償回路132、搬送波位相推定回路133および識別判定回路134を含む。
歪等化回路131は、光が光ファイバ伝送路上を伝送されることによって生じる波長分散や偏波モード分散による信号歪を、電気的な等化フィルタを用いて補償する。光源周波数オフセット補償回路132は信号光と局発光の周波数のずれを推定して、その周波数ズレを補償する機能を持つ。搬送波位相推定回路133は信号光と局発光の位相のずれを推定して、その位相ズレを補償する機能を持つ。識別判定回路134は、歪等化回路131、光源周波数オフセット補償回路132および搬送波位相推定回路133により整形された信号に対して復調処理を行い、特定の閾値により信号の有無の識別判定を行って0/1信号を出力する。
また、高密度波長分割多重技術を用いたネットワークにおいては、任意の波長設定が可能な波長可変レーザ光源を用いることにより、システム運用や保守の低コスト化を図ることができる。波長可変レーザ光源を用いた送信側のノードの光送信器は、トラフィック状況にあわせて使用する光の波長を切り替える、波長割り当ての再構成を行うことができる。
図3は、送信側のノードの光送信器が使用する光の波長を切り替える場合の例を説明するために用いるノード1乃至ノード9で構成されるメッシュネットワークを示す。
ノード1を送信側のノードとし、ノード9を受信側のノードとした場合、ノード1からノード9に至る信号経路として、ルート1、ルート2およびルート3を想定する。ノード6からノード9の間においては、ルート1、ルート2およびルート3の全ての信号経路が通過する。そのため、ルート1、ルート2およびルート3の各信号経路において使用される光として、それぞれ異なる波長の光が使われるのが一般的である。
図3において、通常はルート1を使用してノード1とノード9の間で通信が行われていたところ、ルート1の途中のノード4、5、6間のどこかで障害が発生すると、メッシュネットワークは信号経路を他のルートに変更して障害を回避する。例えば、メッシュネットワークは、信号経路をルート2またはルート3に変更して通信を継続する。そのとき、送信側のノードの光送信器は、ルート1で使用していた光の波長をルート2またはルート3で使用する光の波長に切り替える。
このように、発信側のノードの光送信器が、ルート切替えにより使用する光の波長を切り替えると、当然のことながら、受信側のノードのデジタルコヒーレント光受信器は、それまで受信していた波長とは異なる波長の信号光を受信することになる。
一方、波長可変レーザ光源が発振する光の波長間隔には一定の規格がある。国際通信連合(International Telecommunication Union:ITU)は、これを「高密度波長分割多重を用いるために使用する光源の周波数グリッド勧告」として、ITU−T G.694.1にて規定している。この勧告は、193.1THzに隣接する12.5GHz、25GHz、50GHzまたは100GHzの等間隔のチャネル周波数を有する光源を用いることを規定している。
つまり、送信側のノードの光送信器は、ルート1で使用していた光の周波数とは少なくとも12.5GHz、25GHz、50GHzまたは100GHz異なる周波数に光の波長を切り替えることになる。これは、デジタルコヒーレント光受信器の光源周波数オフセット補償回路で補償できる周波数差を大幅に超える周波数差である。そのため、受信側のノードのデジタルコヒーレント光受信器においては、局部発振光源が発振する局発光の周波数を、ルート1を使用して通信していたときとは異なる周波数に切り替える必要がある。
このような信号光の波長切り替えに対応して局部発振光源が発振する局発光の波長を制御する光受信機および局発光制御方法が特許文献1に開示されている。特許文献1が開示する技術は、信号光の波長が切り替えられた場合に、局発光の波長を一致させるための局部発振光源における波長スイープに要する時間を短縮することができる。
特許文献1が開示する光受信機は、受信した信号光と局発光源から出力される局発光を混合して得られる光から光電変換により電気信号を生成するコヒーレント受信部の出力側にモニタ信号判定部を設けた構成になっている。モニタ信号判定部は、コヒーレント受信部から電気信号が出力されているか否かを判定する。また、局発光制御部は、局部発振光源の波長可変範囲を最短時間でスイープ可能なパラメータ制御順序を保持しており、その決められたパラメータ制御順序に従って複数の波長設定パラメータを変更することで、局発光の波長を制御する。コヒーレント受信部に信号光が入力されていることを確認した上で、最短時間のパラメータ制御順序に従って局発光の波長を変更しながらモニタ信号の有無をモニタする。局発光の波長が信号光の波長と概ね一致するとコヒーレント受信部から電気信号が出力されるのでモニタ信号が検出される。このモニタ信号が検出された時点で局発光の波長スイープを停止する。これにより、信号光の波長と概ね一致した局発光が局部発振光源から発振されていることになる。
なお、光送信器や局部発振光源に用いられる波長可変レーザ光源には、例えば、複数の狭線幅のDFB(Distributed Feedback:分布帰還型)半導体レーザアレイが用いられる。波長可変レーザ光源は、光源装置を構成する電流制御回路や波長チャネル切替回路により、予めメモリに記憶している設定値に基づいて任意の波長チャネルのレーザを選択して駆動させる。また、ペルチェ素子の温度制御等により波長調整を行うことができる。このような波長可変レーザ光源の例が、特許文献2に波長可変レーザ発生装置として開示されている。
また、光の直交する2つの偏波状態を利用して2つの独立した信号を多重して送受信する偏波多重技術を、デジタルコヒーレント光通信技術に適用した偏波多重コヒーレント光受信技術がある。偏波多重コヒーレント光受信技術は、単一の偏波を利用したコヒーレント光受信技術と比較して、チャネルの伝送効率を2倍にすることができる。例えば、特許文献3の図1に偏波多重コヒーレント光受信器の構成が示されている。
そのような課題を解決する技術として上述した特許文献1が開示する技術がある。特許文献1の技術は、コヒーレント受信部の出力側にモニタ信号判定部を設け、局部発振光源の波長可変範囲のスイープ動作をモニタ信号が検出された時点で停止することで、波長スイープに要する時間を短縮するように構成されている。
しかし、特許文献1の技術では、異なる波長の信号光を突然受信した場合に、まず、コヒーレント受信部からの信号出力が停止する。そして、その信号出力の停止をモニタ信号判定部で検出し、それから局部発振光源に対するスイープ動作を指示するという動作ステップが必要になる。その後に波長スイープが開始され、信号出力の検出で波長スイープを停止させることにより、信号光の波長と概ね一致した局発光が局部発振光源から発振されることになる。そのため、たとえ波長スイープに要する時間を短縮したとしても、実際に信号光の波長が切り替わってから局発光の波長を切り替えるまでには時間がかかってしまうという課題がある。
本発明の目的は、上記の課題を解決して、それまで受信していた信号光とは異なる波長の信号光を突然受信したとしても、局発光の波長をそれに追随して即座に切り替えることができるコヒーレント光受信器を提供することにある。
また、本発明の他の形態である局発光切替方法は、信号光を、局部発振光(局発光)と干渉させて干渉光を出力する光位相ハイブリッド手段に入力する第1の信号光と、波長検出手段に入力する第2の信号光に分岐し、前記第2の信号光に基づいて、前記波長検出手段において、前記信号光の波長を検出して前記局部発振光源が発振する前記局発光の波長を制御することを特徴とする。
尚、実施の形態は例示であり、開示の装置及び方法は、以下の実施の形態の構成には限定されない。
基本実施形態となる第1の実施形態を図4および図5を参照して説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態のコヒーレント光受信器の構成を示すブロック図である。
第1の実施形態のコヒーレント光受信器1は、信号光分岐手段11、局部発振光源12、光位相ハイブリッド手段13および波長検出手段14を含む構成となっている。
信号光分岐手段11は、信号光を第1の信号光と第2の信号光に分岐する。局部発振光源12は局部発振光(局発光)を発振する。光位相ハイブリッド手段13は、第1の信号光と局発光を干渉させ、干渉光を出力する。波長検出手段14は、第2の信号光を入力し、その第2の信号光に基づいて信号光の波長を検出して局部発振光源が発振する局発光の波長を制御する。
図5は、第1の実施形態の局発光切替動作を説明するフロー図である。
信号光を、局部発振光(局発光)と干渉させて干渉光を出力する光位相ハイブリッド手段に入力する第1の信号光と、波長検出手段に入力する第2の信号光に分岐する(S101)。第2の信号光に基づいて、波長検出手段において、信号光の波長を検出して局部発振光源が発振する局発光の波長を制御する(S102)。
このように、第1の実施形態においては、受信している信号光の波長が突然に切り替わっても、局発光の波長をそれに追随して即座に切り替えることができる。それは、波長検出手段が、信号光を分岐した第2の信号光に基づいて信号光の波長を検出して局部発振光源が発振する局発光の波長を制御する構成となっているからである。
次に、第2の実施形態を図6乃至10を参照して説明する。
図6は、第2の実施形態のデジタルコヒーレント光受信器の構成を示すブロック図である。
デジタルコヒーレント光受信器2は、光スプリッタ21、局部発振光源22、光位相ハイブリッド回路23、波長検出部24、光電変換部25、A/D(Analog/Digital)変換部26およびデジタル信号処理部27を含んで構成される。
光スプリッタ21は、信号が印加された信号光の受信経路上に設けられた光結合系であって、信号光を光位相ハイブリッド回路23に入力する信号光と波長検出部24に入力する信号光とに分岐する。光結合系としては例えばハーフミラーが用いられる。
局部発振光源22は、光位相ハイブリッド回路23において信号光と混合される局部発振光(局発光)を発振する。局部発振光源22は、波長可変レーザ光源であって、任意の波長チャネルのレーザを駆動させることができる。
光位相ハイブリッド回路23は、信号光と局発光を入力して干渉させ、干渉光を出力する。
波長検出部24は、分岐された信号光を入力し、入力した信号光の波長を検出し、当該検出した波長に関する波長情報を局部発振光源22に出力して、局部発振光源22がその波長情報に対応する波長の局発光を発振するように制御する。
光電変換部25は、光位相ハイブリッド回路23が出力する干渉光を電気信号に変換して出力する。A/D変換部26は、光電変換部25から出力された電気信号をデジタル信号に変換して出力する。デジタル信号処理部27は、デジタル信号に変換された電気信号を入力し、信号波形の等化処理を行い、復調処理を行って信号光に印加された信号を出力する。
なお、デジタルコヒーレント光受信器2は、図2に示したデジタルコヒーレント光受信器100と比較して簡略化した構成で示しているが、基本的にデジタルコヒーレント光受信器100と同様の構成、機能を備えている。
つまり、光位相ハイブリッド回路23は、位相が互いに90度異なるI成分とQ成分の光を出力するが、図6ではそれは簡略して示されている。光電変換部25、A/D変換部26、デジタル信号処理部27も、デジタルコヒーレント光受信器100の光電変換回路112、A/D変換部120、デジタル信号処理部130とそれぞれ同様の構成、機能を備えている。従って、デジタル信号処理部27は、図示しないが、デジタル信号処理部130と同様に、歪等化回路、光源周波数オフセット補償回路、搬送波位相推定回路および識別判定回路を含む構成となっている。
デジタルコヒーレント光受信器2は、光スプリッタ21および波長検出部24を含むことにおいてデジタルコヒーレント光受信器100と異なる構成となっている。
図7乃至9を参照して波長検出部24の構成例を説明する。
図7は、第2の実施形態における波長検出部24の構成の一例を示すブロック図である。
この波長検出部24は、透過損失が波長依存性を有する光フィルタ51、光電変換部A52および演算処理部A53を用いて信号光の波長を検出し、局部発振光源23を制御するための波長情報を出力する。
図8は、波長検出部24で使用される光フィルタ51における透過損失の波長依存性の例を示すグラフである。つまり、光フィルタ51に入力した光は、光フィルタ51を透過する過程でその波長に依存した損失を受けて、光フィルタ51から出力する。
光電変換部A52は、光フィルタ51を透過した光を受光し、その受光した光のパワーに比例する値の電流を出力する。光電変換部A52は、出力された電流値をA/D変換してデジタル信号として出力するA/D変換機能を備える。
演算処理部A53は、光電変換部A52が出力する電流値に基づいて、それに対応する光の波長を識別することができる変換テーブルを持っている。そして、光電変換部A52の出力電流値から、この変換テーブルを参照して対応する波長を検出し、その波長情報を出力する。
演算処理部A53が保有するこの変換テーブルは、出力電流値から一意に光の波長が検出できるように考慮されている。つまり、この構成例で用いる変換テーブルは、伝送路における損失、光電変換部A52の特性、光フィルタ51の波長依存性の全てが考慮されて作成されている。従って、この構成例の波長検出部24は、どのルートで信号光が伝送されても均一の損失を受け、しかもその値が既知のネットワークや、伝送路の損失が無視できるようなネットワークでの使用に適している。
このように波長検出部24は、光スプリッタ21で分岐した信号光を入力し、その信号光の光フィルタ51を透過した光のパワーに比例する値の電流から波長を検出する構成となっている。そのため、信号光の波長が突然切り替わった場合でも、信号光を受光している限り即座にその波長の変化に対応した波長情報を出力することができる。
波長検出部の別の構成例を説明する。
図9は、第2の実施形態における波長検出部の構成の別の一例を示すブロック図である。
この波長検出部24−1は、透過損失が波長依存性を有する光フィルタ51と光電変換部A52を含み、演算処理部B54、入力した信号光を分岐する光スプリッタ55および光電変換部B56をさらに含む構成となっている。
演算処理部B54は、図8に示した波長依存性の特性データを記憶しており、光フィルタ51を透過した信号光が光フィルタ51から受ける損失を算出し、その損出に対応する波長を求める構成となっている。
つまり、演算処理部B54は、光電変換部B56の出力電流値と光電変換部A52の出力電流値との比から、光フィルタ51を透過したことにより信号光が受けた損失を算出する。そして、図8に示した波長依存性の特性データから、算出した損失に対応する波長を求める処理を実行して波長を検出し、その波長情報を出力する。
この波長検出部24−1は、波長検出部24と異なり、光フィルタ51を透過したことにより信号光が光フィルタ51から受けた損失だけを求める構成になっている。そのため、伝送路における信号光の損失が無視できず、しかも伝送路に応じて異なった損失を受けるネットワークでの使用に適している。
なお、演算処理部B54が行う処理として、それぞれの光電変換器が光フィルタ51を通過する前の光と通過した後の光を変換した電流値の比に基づいて損失を算出するとしたが、より具体的には以下のように構成されている。
つまり、光電変換部A56は光フィルタ51を通過する前の光、光電変換部B52は光フィルタ51を通過した後の光をそれぞれ電流変換し、それぞれの電流値を、さらに電流/電圧変換して電圧値として出力する構成となっている。演算処理部B54は、それぞれの電圧値を光のパワー(dB)に変換し、その二つのdB値の比率を算出して光フィルタ51の透過率を求め、透過率に対応する損失を算出する。
また、演算処理部B54は、上記のそれぞれの光電変換部が出力する電圧値の差分から光フィルタ51の透過率を検出する構成になっていてもよい。この場合、演算処理部B54は、それぞれの光電変換部が出力する電圧値の差分から光フィルタ51の透過率を検出する対応表を備えており、その対応表にもとづいて光フィルタ51の透過率を求め、透過率に対応する損失を算出する。
この波長検出部24−1のような構成を、本明細書では、光フィルタを透過した光のパワーと、光フィルタを透過しない光のパワーとの差分情報に基づいて、その光の波長を検出する構成と称している。
このように波長検出部24−1は、入力した信号光が光フィルタ51を透過したことにより受けた損失から波長を検出する構成となっている。そのため、信号光の波長が突然切り替わった場合でも、信号光を受光している限り即座にその波長の変化に対応した波長情報を出力することができる。
ここで波長検出部が出力する波長情報とは、検出した波長の数値そのものであってもよい。また、その波長に対応した識別情報であってもよい。例えば、ITU−T G.694.1で規定された周波数グリッドとして識別できる情報であってもよい。
つまり、波長検出部は波長情報を波長可変レーザ光源である局部発振光源に出力することにより局部発振光源が発振する局発光の波長を制御する。局部発振光源には、例えば、複数の半導体レーザアレイが用いられ、光源装置を構成する電流制御回路や波長チャネル切替回路により、予めメモリに記憶している設定値に基づいて、入力した波長情報に対応する波長チャネルのレーザを選択して駆動させる。
上述したような構成を備える第2の実施形態における局発光の切替動作を説明する。
図10は、第2の実施形態の局発光切替動作を説明するフロー図である。
信号が印加された信号光を受信する(S201)。その受信した信号光を、光位相ハイブリッド回路に入力する信号光と、波長検出部に入力する信号光とに分岐する(S202)。波長検出部に入力した信号光を、透過損失が波長依存性を有する光フィルタに入力する(S203)。波長依存性の情報に基づいて、電気信号に変換された光フィルタの出力に対応する信号光の波長を検出する(S204)。当該検出した波長に関する波長情報を、局発光を発振する局部発振光源に出力する(S205)。波長情報に対応する波長の局発光を、局部発振光源にて発振する(S206)。
以上に説明したように、第2の実施形態のデジタルコヒーレント光受信器は、受信している信号光の波長が突然に切り替わっても、局発光の波長をそれに追随して即座に切り替えることができる。それは、波長検出部が、分岐された信号光に基づいて信号光の波長を検出し、局部発振光源が発振する局発光の波長を制御する波長情報を出力する構成となっているからである。波長検出部は、信号光が波長依存性を有する光フィルタを透過したときに受ける透過損失に基づいて信号光の波長を検出し、検出した波長に対応する波長情報を局部発振光源に出力する構成となっている。
次に、第3の実施形態を、図11乃至17を参照して説明する。
図11は、第3の実施形態のデジタルコヒーレント光受信器の構成を示すブロック図である。
デジタルコヒーレント光受信器3は、光スプリッタ31、局部発振光源32、光位相ハイブリッド回路33、波長検出部34、光電変換部35、A/D変換部36、デジタル信号処理部37および光スプリッタ38を含んで構成される。
デジタルコヒーレント光受信器3は、局部発振光源32が発振する局発光を2方路に分岐する光スプリッタ38を含む点において第2の実施形態のデジタルコヒーレント光受信器2と異なる。光スプリッタ38は、局発光を光位相ハイブリッド回路33に入力する経路上に設けられた光結合系であって、局発光を、光位相ハイブリッド回路33に入力する局発光と波長検出部34に入力する局発光とに分岐して出力する。光スプリッタ38は、光スプリッタ31と同様に例えばハーフミラーが用いられる。
また、デジタルコヒーレント光受信器3は、光スプリッタ38と波長検出部34を除く、他の構成は第2の実施形態のデジタルコヒーレント光受信器2と同じである。つまり、光スプリッタ31、局部発振光源32、光位相ハイブリッド回路33、光電変換部35、A/D変換部36およびデジタル信号処理部37は、デジタルコヒーレント光受信器2のそれぞれ対応する構成と同じ構成、機能を有する。したがって、デジタルコヒーレント光受信器3は、図2に示したデジタルコヒーレント光受信器100と比較して簡略化した構成で示しているが、基本的にデジタルコヒーレント光受信器100と同様の構成、機能を備えている。
デジタルコヒーレント光受信器3は、波長検出部34に分岐した信号光と局発光とが入力され、信号光の波長情報に加えて信号光と局発光の波長ズレ情報も出力するように構成されている点において第2の実施形態と相違する。
従って、第3の実施形態のデジタルコヒーレント光受信器3では、局部発振光源32において、波長検出部34から出力される波長情報は局発光の波長切り替えに用いられ、波長ズレ情報は周波数オフセット調整に用いられる。
背景技術で説明したように、デジタルコヒーレント光受信器では、信号光と局発光の周波数が、数GHz以内の周波数差で大まかに一致しているだけなので、デジタル信号処理部での周波数オフセット補償処理が必要になる。第3の実施形態のデジタルコヒーレント光受信器3は、この周波数オフセット補償における周波数オフセット調整を局部発振光源に対して実施できる構成を備える。
局部発振光源32に用いられる波長可変レーザ光源は、例えば、複数の半導体レーザアレイが用いられる。そして、電流制御回路や波長チャネル切替回路により、予めメモリに記憶している設定値に基づいて任意の波長チャネルのレーザが選択されて駆動される。従って、局部発振光源32は、波長検出部34から出力される波長情報に基づいて、例えば、ITU−TG.694.1で規定された周波数グリッドに対応する波長の光を局発光として発振させる。また、波長可変レーザ光源は、ペルチェ素子の温度制御等により波長調整を行うことができるので、局部発振光源32は、波長検出部34から出力される波長ズレ情報に基づいて、局発光の波長を調整する。
図12乃至17を参照して波長検出部のいくつかの構成例を説明する。
図12は、第3の実施形態における波長検出部の構成の一例を示すブロック図である。
この波長検出部34は、信号光と局発光のそれぞれに対して、図7を参照して説明した波長検出部24と同様に、光フィルタ、光電変換部および演算処理部を用いる構成となっている。光フィルタの透過損失は、図8に示すような、波長依存性を有する。
波長検出部34は、信号光に対しては光フィルタA61と光電変換部A62を用い、局発光に対しては光フィルタB64および光電変換部B65を用いる。そして、演算処理部A63は、光電変換部A62が出力する電流値に基づいて、それに対応する信号光の波長を識別することができる変換テーブルを備えている。同様に、演算処理部A63は、光電変換部B65が出力する電流値に基づいて、それに対応する局発光の波長を識別することができる変換テーブルを備えている。
なお、光電変換部A62と光電変換部B65は、それぞれ光フィルタA61、光フィルタB64を透過して受光した光のパワーに比例する電流を出力し、その電流をA/D変換してデジタル信号として出力するA/D変換機能を備える。
演算処理部A63に備えられた変換テーブルは、出力電流値から一意に光の波長が検出できるように考慮されている。つまり、信号光の波長を識別するために用いる変換テーブルは、伝送路における損失、光電変換部A62の特性、光フィルタA61の波長依存性の全てが考慮されて作成されている。また、局発光の波長を識別するために用いる変換テーブルは、光電変換部B65の特性や光フィルタB64の波長依存性が考慮されて作成されている。
この波長検出部34は、デジタルコヒーレント光受信器2の波長検出部24のように、どのルートで信号光が伝送されても均一の損失を受け、その損失値が既知のネットワークや、伝送路の損失が無視できるようなネットワークでの使用に適している。
このように、演算処理部A63は、光電変換部A62から出力された電流値から信号光の波長を検出することができ、光電変換部B65から出力された電流値から局発光の波長を検出することができる。
図13は、図12に示した波長検出部34の動作を示すフロー図である。
信号光と局発光をそれぞれ独立して入力し、光電変換部A62と光電変換部B65からそれぞれ独立して電流値を入力するので、演算処理部A63ではそれぞれ独立したタスク処理が行われる。
まず、信号光に対する動作を説明する。
波長検出部34に信号光が入力されると(S301)、光電変換部A62は、光フィルタA61の透過により波長に依存して減衰した信号光のパワーに対応する電流値を出力する。演算処理部A63は、予め記憶している変換テーブルに基づいて、光電変換部A62が出力した電流値に対応する光の波長を識別し、信号光の波長を抽出する(S302)。演算処理部A63は、信号光の波長に関する波長情報を局部発振光源32に出力する(S303)。信号光が入力している限り上記の動作を繰り返す。
局発光に対する動作を説明する。
波長検出部34に局発光が入力されると(S401)、光電変換部B65は、光フィルタB64の透過により波長に依存して減衰した局発光のパワーに対応する電流値を出力する。演算処理部A63は、予め記憶している変換テーブルに基づいて、光電変換部B65が出力した電流値に対応する光の波長を識別し、局発光の波長を抽出する(S402)。演算処理部A63は、S302で抽出している信号光の波長とS402で抽出した局発光の波長から波長差を算出する(S403)。算出した波長差が予め定めた閾値以内であることを確認する(S404)。
この閾値は、デジタルコヒーレント光受信器における周波数オフセットとみなせる範囲の数GHz以内の周波数差に対応する値であれば良い。
そして、波長差が予め定めた閾値以内である場合には、演算処理部A63は、その波長差を信号光と局発光の波長ズレ情報として局部発振光源32に出力する(S405)。波長差が予め定めた閾値を超える場合には、演算処理部A63は、波長差が当該閾値以内になるまで波長ズレ情報の出力は行わない。信号光の波長が突然切り替わって、局発光の波長と大きくずれたような場合には、波長ズレ情報は無意味なので、局発光の波長が追随して切り替わるまで、演算処理部A63は波長ズレ情報を出力しない。
波長検出部34は、局発光が入力されている限り上記の動作を繰り返す。
このように波長検出部34は、光スプリッタ31で分岐した信号光に基づいて信号光の波長を検出する。そのため、信号光の波長が突然切り替わった場合でも、即座にそれに対応した波長情報を局部発振光源32に出力することができる。また、波長検出部34は、光スプリッタ38で分岐した局発光に基づいて局発光の波長を検出する構成も備えている。そのため、信号光と局発光の波長ズレを算出し、その情報を局部発振光源32に出力することができる。局部発振光源32は、波長情報に基づいて局発光の発振波長を切り替え、波長ズレ情報にもとづいて周波数オフセットを調整することができる。
ここで波長情報とは、検出した波長の数値そのものであってもよい。また、その波長に対応した識別情報であってもよい。例えば、ITU−T G.694.1で規定された周波数グリッドとして識別できる情報であってもよい。
波長検出部の別の構成例を説明する。
図14は、第3の実施形態における波長検出部の構成の別の一例を示すブロック図である。
この波長検出部34−1は、信号光と局発光のそれぞれに対して、図9に示した波長検出部24−1と同様の構成を備える。
波長検出部34−1は、信号光に対しては光フィルタA61と光電変換部A62および光電変換部C67を用い、局発光に対しては光フィルタB64と光電変換部B65および光電変換部D68を用いる。つまり、光電変換部C67は光スプリッタ69で分岐された信号光を、光フィルタA61を介さずに光電変換して電気信号を出力する。同様に、光電変換部D68は光スプリッタ70で分岐された局発光を、光フィルタB64を介さずに光電変換して電気信号を出力する。
光フィルタA61および光フィルタB64は、それぞれ図8に示したような、透過損失に対して波長依存性を有する光フィルタである。
波長検出部34−1の演算処理部B66は、それぞれの光フィルタの波長依存性の特性データを記憶しており、光フィルタを透過した光の損失からそれに対応する波長を求める。
つまり、演算処理部B66は、光電変換部C67の出力電流値と光電変換部A62の出力電流値との比から、信号光が光フィルタA61を透過することにより受けた損失を算出する。そして、記憶している光フィルタA61の波長依存性の特性データから、算出した損失に対応する信号光の波長を求める。同様に、演算処理部B66は、光電変換部D68の出力電流値と光電変換部B65の出力電流値との比から、局発光が光フィルタB64を透過することにより受けた損失を算出する。そして、記憶している光フィルタB64の波長依存性の特性データから、算出した損失に対応する局発光の波長を求める。
波長検出部34−1は、このようにして信号光と局発光のそれぞれの波長を求めることができるので、図13と同様の動作を実行して、信号光の波長情報と、信号光と局発光の波長ズレ情報を出力する。
また、波長検出部34−1は、信号光が光フィルタA61を透過することにより受けた損失だけを算出して波長を求める。同様に、波長検出部34−1は、局発光が光フィルタB64を透過することにより受けた損失だけを算出して波長を求める。そのため、波長検出部34−1は、デジタルコヒーレント光受信器2の波長検出部24−1のように、伝送路における信号光の損失が無視できず、しかも伝送路に応じて異なった損失を受けるネットワークでの使用に適している。
なお、演算処理部B66が行う処理として、それぞれの光電変換器が光フィルタを通過する前の光と通過した後の光を変換した電流値の比に基づいて損失を算出するとしたが、より具体的には以下のように動作する。
つまり、各光電変換部は受光した光を電流変換し、それぞれの電流値を、さらに電流/電圧変換して電圧値として出力する。演算処理部B66は、それぞれの電圧値を光のパワー(dB)に変換し、その二つのdB値の比率を算出して光フィルタの透過率を求め、透過率に対応する損失を算出する。
また、演算処理部B66は、上記のそれぞれの光電変換部が出力する電圧値の差分から光フィルタの透過率を検出してもよい。この場合、演算処理部B66は、それぞれの光電変換部が出力する電圧値の差分から光フィルタの透過率を検出する対応表を備えており、その対応表にもとづいて光フィルタの透過率を求め、透過率に対応する損失を算出する。
この波長検出部34−1のような構成を、本明細書では、光フィルタを透過した光のパワーと、光フィルタを透過しない光のパワーとの差分情報に基づいて、その光の波長を検出する構成と称している。
このように波長検出部34−1は、光スプリッタ31で分岐した信号光に基づいて信号光の波長を検出する。そのため、信号光の波長が突然切り替わった場合でも、即座にそれに対応した波長情報を局部発振光源32に出力することができる。また、波長検出部34−1は、光スプリッタ38で分岐した局発光に基づいて局発光の波長を検出する構成も備えている。そのため、信号光と局発光の波長ズレを算出し、その情報を局部発振光源32に出力することができる。局部発振光源32は、波長情報に基づいて局発光の発振波長を切り替え、波長ズレ情報にもとづいて周波数オフセットを調整することができる。
波長検出部のさらに別の構成例を説明する。
図15は、第3の実施形態における波長検出部の構成のさらに別の一例を示すブロック図である。
この波長検出部34−2は光スイッチ71を備え、当該波長検出部34−2に入力する信号光と局発光のいずれか片方を選択して処理する。つまり、波長検出部34−2は、光スイッチ71で信号光と局発光を交互に選択し、選択された方の光に対して、透過損失が波長依存性を有する光フィルタA61、光電変換部A62および演算処理部A63を用いて波長を検出する。そして、演算処理部A63は、光電変換部A62が出力する電流値に基づいて、それに対応する光の波長を識別することができる変換テーブルを備え、光電変換部A62から出力された電流値から波長を検出する。
この波長検出部34−2は、図12に示した波長検出部34の構成を、光スイッチ71を用いて集約した構成である。従って、波長検出部34−2は、デジタルコヒーレント光受信器2の波長検出部24のように、どのルートで信号光が伝送されても均一の損失を受け、その損失値が既知のネットワークや、伝送路の損失が無視できるようなネットワークでの使用に適している。
なお、光スイッチ71は入力する光の選択切り替えを演算処理部A63の指示に基づいて行う。つまり、演算処理部A63は、光スイッチ71で選択した光が信号光なのか局発光なのかを認識しており、検出した波長がいずれの光であるかを識別することができる。そのため、演算処理部A63は、信号光用に設けられた前述の変換テーブルと局発光用に設けられた変換テーブルを使い分けることができる。そして、演算処理部A63は、検出した信号光の波長と局発光の波長から、信号光と局発光の波長ズレを算出し、信号光の波長情報と、信号光と局発光の波長ズレ情報を出力する。
図16は、図15に示した波長検出部34−2の動作を示すフロー図である。
光スイッチ71は、初期状態では信号光を選択して出力する。波長検出部34−2に信号光が入力されると(S501)、光電変換部A62は、光フィルタA61の透過により波長に依存して減衰した信号光のパワーに対応する電流値を出力する。演算処理部A63は、予め記憶している信号光用の変換テーブルに基づいて、光電変換部A62が出力した電流値に対応する光の波長を識別し、信号光の波長を抽出する(S502)。演算処理部A63は、信号光の波長に関する波長情報を局部発振光源32に出力する(S503)。演算処理部A63は、光スイッチ71の選択を信号光から局発光に切り替える(S504)。
演算処理部A63は、光スイッチ71の選択が局発光に切り替えられていることを認識しているので、この光電変換部A62が出力した電流値に対応する光の波長が局発光の波長であることを識別することができる。
局発光が入力されると(S505)、光電変換部A62は、光フィルタA61を透過して波長に依存して減衰した局発光のパワーに対応する電流値を出力する。演算処理部A63は、予め記憶している局発光用の変換テーブルに基づいて、光電変換部A62が出力した電流値に対応する光の波長を識別し、局発光の波長を抽出する(S506)。
演算処理部A63は、S502で抽出した信号光の波長とS506で抽出した局発光の波長から波長差を算出する(S507)。また、演算処理部A63は、算出した波長差が予め定めた閾値以内であることを確認する(S508)。
この閾値は、デジタルコヒーレント光受信器における周波数オフセットとみなせる範囲の数GHz以内の周波数差に対応する値であれば良い。
そして、波長差が予め定めた閾値以内である場合には、その波長差を信号光と局発光の波長ズレ情報として局部発振光源32に出力する(S509)。波長差が予め定めた閾値を超える場合には、波長ズレ情報は出力しない。これは、信号光の波長が突然切り替わって、局発光の波長と大きくずれたような場合には、波長ズレ情報を出力しても無意味だからである。また、信号光の波長が突然切り替わった場合でも、S503で出力した信号光の波長情報に基づいて、局部発振光源において局発光の波長が切り替われば、S508の判定はYESとなり、波長ズレ情報が出力されるようになる。
演算処理部A63は、光スイッチ71の選択を信号光側に戻して(S510)、上記の動作を繰り返す。
このように波長検出部34−2は、光スプリッタ31で分岐した信号光に基づいて信号光の波長を検出する。そのため、信号光の波長が突然切り替わった場合でも、即座にそれに対応した波長情報を局部発振光源32に出力することができる。また、波長検出部34−2は、光スプリッタ38で分岐した局発光に基づいて局発光の波長を検出する構成も備えている。そのため、信号光と局発光の波長ズレを算出し、その情報を局部発振光源32に出力することができる。局部発振光源32は、波長情報に基づいて局発光の発振波長を切り替え、波長ズレ情報にもとづいて周波数オフセットを調整することができる。
波長検出部のさらに別の構成例を説明する。
図17は、第3の実施形態における波長検出部の構成のさらに別の一例を示すブロック図である。
この波長検出部34−3の構成は、光スイッチ71を備え、当該波長検出部34−3に入力する信号光と局発光のいずれか片方を選択して処理する点においては、図15の波長検出部34−2と同様である。そして、波長検出部34−3が光スイッチ71で信号光と局発光を交互に選択し、選択された方の光に対する波長を検出する構成は、図9の波長検出部24−1の構成と同じである。
つまり、波長検出部34−3は、光スイッチ71で信号光と局発光を交互に選択し、選択された方の光(選択光)に対して、光フィルタA61と光電変換部A62および光電変換部C67を用いて波長を検出する。
光電変換部A62は光フィルタA61を介した選択光を光電変換して電気信号を出力する。そして光電変換部C67は光スプリッタ69で分岐された選択光を、光フィルタA61を介さずに光電変換して電気信号を出力する。光フィルタA61は、図8に示したような、透過損失に対して波長依存性を有する光フィルタである。
演算処理部B65は、光フィルタA61の波長依存性の特性データを記憶しており、光フィルタA61を透過した選択光が光フィルタA61から受けた損失に基づいて、選択光の波長を求める構成となっている。
つまり、演算処理部B65は、光電変換部C67の出力電流値と光電変換部A62の出力電流値との比から、光フィルタA61を透過したことにより選択光が光フィルタA61から受けた損失を算出する。そして、記憶している波長依存性の特性データから、算出した損失に対応する選択光の波長を求める。そして、演算処理部B65は、信号光と局発光が交互に選択光になるように光スイッチ71を切り替えてそれぞれの波長を検出する。
波長検出部34−3は、このようにして信号光と局発光のそれぞれの波長を求めることができるので、図16と同様の動作を実行して、信号光の波長情報と、信号光と局発光の波長ズレ情報を出力する。
なお、演算処理部B65が行う処理として、それぞれの光電変換器が光フィルタを通過する前の光と通過した後の光を変換した電流値の比に基づいて損失を算出するとしたが、より具体的には以下のように構成されている。
つまり、各光電変換部は受光した光を電流変換し、それぞれの電流値を、さらに電流/電圧変換して電圧値として出力する。演算処理部B65は、それぞれの電圧値を光のパワー(dB)に変換し、その二つのdB値の比率を算出して光フィルタの透過率を求め、透過率に対応する損失を算出する。
また、演算処理部B65は、上記のそれぞれの光電変換部が出力する電圧値の差分から光フィルタの透過率を検出してもよい。この場合、演算処理部B65は、それぞれの光電変換部が出力する電圧値の差分から光フィルタの透過率を検出する対応表を備えており、その対応表にもとづいて光フィルタの透過率を求め、透過率に対応する損失を算出する。
この波長検出部34−3のような構成を、本明細書では、光フィルタを透過した光のパワーと、光フィルタを透過しない光のパワーとの差分情報に基づいて、その光の波長を検出する構成と称している。
このように波長検出部34−3は、光スプリッタ31で分岐した信号光に基づいて信号光の波長を検出する。そのため、信号光の波長が突然切り替わった場合でも、即座にそれに対応した波長情報を局部発振光源32に出力することができる。また、波長検出部34−3は、光スプリッタ38で分岐した局発光に基づいて局発光の波長を検出する構成も備えている。そのため、信号光と局発光の波長ズレを算出し、その情報を局部発振光源32に出力することができる。局部発振光源32は、波長情報に基づいて局発光の発振波長を切り替え、波長ズレ情報にもとづいて周波数オフセットを調整することができる。
また、波長検出部34−3は、図14に示した波長検出部34−1の構成を、光スイッチ71を用いて集約している。従って、波長検出部34−3は、波長検出部34−1と同様に、伝送路における信号光の損失が無視できず、しかも伝送路に応じて異なった損失を受けるネットワークでの使用に適している。
以上に説明したように、第3の実施形態のデジタルコヒーレント光受信器は、受信している信号光の波長が突然に切り替わっても、局発光の波長をそれに追随して即座に切り替えることができる。それは、波長検出部が、分岐された信号光に基づいて信号光の波長を検出し、局部発振光源が発振する局発光の波長を制御する波長情報を出力するからである。波長検出部は、信号光が波長依存性を有する光フィルタを透過したときに受ける透過損失に基づいて信号光の波長を検出し、検出した波長に対応する波長情報を局部発振光源に出力する。
また、第3の実施形態のデジタルコヒーレント光受信器は、局部発振光源において、受信している信号光と局発光との波長のズレを調整することができる。それは、波長検出部が、局部発振光源が局発光の波長ズレ調整するための、信号光と局発光の波長ズレ情報を出力するからである。波長検出部は、分岐された信号光に基づいて信号光の波長を検出し、同じく分岐された局発光に基づいて局発光の波長を検出し、信号光と局発光の波長ズレ情報を出力する。
第3の実施形態の変形例1を説明する。
第3の実施形態の変形例1におけるデジタルコヒーレント光受信器は、図11に示したデジタルコヒーレント光受信器3と同じ構成を有する。また、波長検出部は、図15に示した波長検出部34−2または図17に示した波長検出部34−3と同じ構成を有する。
第3の実施形態の変形例1におけるデジタルコヒーレント光受信器は、受信している信号光の波長が突然に切り替わった場合に、局発光の波長をそれに追随して即座に切り替える点においては第3の実施形態と同じである。しかし、第3の実施形態の変形例1におけるデジタルコヒーレント光受信器は、波長検出部から、信号光と局発光との波長ズレ情報ではなく、局発光の波長に関する保守情報を出力する。
図18は、第3の実施形態の波長検出部の別の動作例を示すフロー図である。
この波長検出部は、光スイッチにて通常は信号光を選択してその波長情報を出力する。そして、波長検出部は、任意のタイミングで、光スイッチを局発光側に切り替えて、信号光と局発光の波長差を識別する。波長検出部は、波長差が予め定めた閾値以内であれば正常状態として何もせず、また、波長差が予め定めた閾値を超えた場合には異常状態として規定した保守情報を出力する。
図18を参照すると、S601、S602およびS603の動作は、図16におけるS501、S502およびS503のそれぞれの動作と同じである。
波長検出部は、予め設定した任意のタイミングで、光スイッチを局発光側に切り替える(S604、S605)。このタイミングは秒単位でも分単位でもかまわない。後述するように、何を目的とした保守情報を出力するのかに応じてこのタイミングを決めればよい。また、S604の処理の中では、S602で抽出した信号光の波長が、その前の周期の動作時に抽出した波長と同じであることを確認している。これは、信号光の波長切り替えが行われていない状態であることを確認するものである。
その後の、S606、S607およびS608の動作は、図16におけるS505、S506およびS507のそれぞれの動作と同じである。
S609において、波長検出部は、S608で算出した信号光と局発光の波長差が予め設定した任意の閾値以内であることを確認する。波長検出部は、波長差が予め定めた閾値以内(S609、YES)であれば正常状態として何もしない。また、波長差が予め定めた閾値を超えた場合(S609、NO)には、異常状態として保守情報を出力する(S610)。
なお、ここで定める閾値は、S608で算出した信号光と局発光の波長差がどのような意味を持つ値であるかにより任意に設定してよい。つまり、この処理でどのような異常状態を識別することを目的とするかにより閾値を決めればよい。例えば、デジタル信号処理部の周波数オフセット補償回路で補償できる範囲を超えた周波数オフセットが発生した場合を識別するのであれば、補償可能な周波数オフセット限界に対応する波長差を閾値として設定すればよい。また、補償可能な周波数オフセット以内の波長差であっても、限界値の50%を超えた場合とか、80%を超えた場合とかの情報を取得するのであれば、それぞれに対応した波長差を閾値として設定すればよい。
また、出力する局発光の波長に関する保守情報は、信号光と局発光の波長差が設定した閾値を超えたことを意味する情報だけでもよいし、算出した波長差を加えた情報としてもよい。また、この保守情報の出力先は局部発振光源だけでも良いし、図示しない監視機器に出力しても良い。例えば、信号光と局発光の波長差が周波数オフセット補償回路で補償可能な周波数オフセット限界を超えたことを識別した場合に、算出した波長差情報を局部発振光源に出力して、局部発振光源において局発光の発振波長を調整するようにしても良い。また、別の例として、補償可能な周波数オフセット以内の波長差であっても、限界値のある範囲を超えたことを識別した場合に、その旨の情報を図示しない監視機器に出力して、局部発振光源の信頼性データとして収集するようにしても良い。
上記の動作が終了すると波長検出部は、光スイッチを信号光側に切り替える(S611)。
図18に示したフロー図ではS608で信号光と局発光の波長差を算出し、S609でその波長差を閾値と比較するようにしたが、これらのS608とS609の処理を削除した動作としても良い。その場合、S610で出力する保守情報として、S608で抽出した局発光の波長を示す情報をそのまま局部発振光源に出力しても良い。このように構成した場合、局部発振光源は自装置で発振した局発光の波長のモニタ情報を波長検出部から受信することができる。そのため、局部発振光源は、発振している局発光の波長の適否を自装置で識別して、適宜対応する制御を行うことができる。
第3の実施形態の変形例1と同様に、局発光に関する任意の保守情報を取得することができる変形例2を説明する。
第3の実施形態の変形例2におけるデジタルコヒーレント光受信器は、図11に示したデジタルコヒーレント光受信器3と同じ構成を有する。また、波長検出部は、図12に示した波長検出部34または図14に示した波長検出部34−1と同じ構成を有する。
第3の実施形態の変形例2におけるデジタルコヒーレント光受信器は、変形例1と同じ観点の制御を図12に示した波長検出部34または図14に示した波長検出部34−1に適用するものである。変形例1の場合は、光スイッチにより常時入力している信号光を、任意のタイミングで局発光側に切り替えて局発光の波長を識別したのに対し、変形例2は、信号光の波長の識別と局発光の波長の識別を常時同時に行っている点で異なるのみである。従って、変形例2の詳細な説明は割愛する。
図19は、第3の実施形態の波長検出部のさらに別の動作例を示すフロー図である。この図19に対応するフロー図は図13である。
この波長検出部は、信号光と局発光を常時入力し、信号光の波長情報と局発光に関する任意の保守情報を出力する。この場合の局発光に関する任意の保守情報は、図18を参照して説明したように、波長差が予め定めた閾値を超えた場合に異常状態として規定した保守情報が出力される。
図19を参照すると、信号光に対するS701乃至S703の処理は、図13におけるS301乃至S303の処理と同様である。ただし、S702の処理の中では、抽出した信号光の波長がその前の周期で抽出した波長と同じであることを確認し、同じである場合に、抽出した波長の情報をS803の処理に出力するようにしている。これは、信号光の波長切り替えが行われていない状態においてのみ、局発光の波長との差分を算出する処理を実行させるためである。そして、S803の処理において、信号光の波長の情報が断となった場合はエラー情報を出力している。
S804において、波長検出部は、S803で算出した信号光と局発光の波長差が予め設定した任意の閾値以内であることを確認する。波長検出部は、波長差が予め定めた閾値以内(S804、YES)であれば正常状態として何もしない。また、波長差が予め定めた閾値を超えた場合(S804、NO)には、異常状態として保守情報を出力する(S805)。
なお、図示していないが、S804においては前述のエラー情報の有無も確認している。そして、S803の処理でエラー情報が出力された場合には、S804、YESのルートを通る処理を行う。
S804で定める閾値は、変形例1の説明と同様に、信号光と局発光の波長差がどのような意味を持つ値であるかにより任意に設定してよい。
また、変形例1と同様に、図19に示したフロー図において、S803とS804の処理を削除し、S805で出力する保守情報として、S802で抽出した局発光の波長を示す情報をそのまま局部発振光源に出力しても良い。もちろん、その場合は、S702で抽出した信号光の波長の情報をS803の処理に送る必要も無い。
このように、第3の実施形態の変形例1、2におけるデジタルコヒーレント光受信器においても、受信している信号光の波長が突然に切り替わっても、局発光の波長をそれに追随して即座に切り替えることができる。そして、第3の実施形態の変形例1、2におけるデジタルコヒーレント光受信器は、局発光の波長に関する任意の保守情報を取得することができる。
なお、上述した第1乃至3の実施形態のデジタルコヒーレント光受信器は、光の直交する2つの偏波に2つの独立した信号が多重された偏波多重信号光を受信する偏波多重コヒーレント光受信器であってもよい。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2011年5月11日に出願された日本出願特願2011−106391を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
さらに、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)信号光を第1の信号光と第2の信号光に分岐する信号光分岐手段と、局部発振光(局発光)を発振する局部発振光源と、前記第1の信号光と前記局発光を干渉させ、干渉光を出力する光位相ハイブリッド手段と、前記第2の信号光を入力し、前記第2の信号光に基づいて前記信号光の波長を検出して前記局部発振光源が発振する前記局発光の波長を制御する波長検出手段と、を備えることを特徴とするコヒーレント光受信器。
(付記2)前記波長検出手段は、透過損失が波長依存性を有する光フィルタを透過した光のパワーに基づいて、入力した光の波長を検出することを特徴とする付記1に記載のコヒーレント光受信器。
(付記3)前記局発光を、前記光位相ハイブリッド手段に入力する第1の局発光と前記波長検出手段に入力する第2の局発光に分岐する局発光分岐手段を備え、前記波長検出手段は、前記第2の局発光の光パワーを検出して前記局部発振光源の出力を検知することを特徴とする付記1又は2に記載のコヒーレント光受信器。
(付記4)前記波長検出手段は、前記第2の局発光に基づいて前記局発光の波長を検出し、前記信号光と前記局発光の波長ズレ情報を検出して前記局部発振光源が発振する前記局発光の波長を制御することを特徴とする付記3に記載のコヒーレント光受信器。
(付記5)前記波長検出手段は、前記第2の信号光を第1の分岐光と第2の分岐光に分岐する光スプリッタと、前記光フィルタを透過した前記第1の分岐光のパワーに対応する第1の電気信号を出力する第1の光電変換部と、前記光フィルタを透過しない前記第2の分岐光のパワーに対応する第2の電気信号を出力する第2の光電変換部と、前記第1の電気信号と第2の電気信号の差分を算出し、前記差分と前差分に相当する前記透過損失が与えられる波長との対応表に基づいて前記第2の信号光の波長を検出する演算処理部とを備えることを特徴とする付記2に記載のコヒーレント光受信器。
(付記6)前記波長検出手段は、入力した前記第2の信号光および前記第2の局発光のいずれか一つを選択して出力する光スイッチと、前記光スイッチが選択して出力した光を第1の分岐光と第2の分岐光に分岐する光スプリッタと、前記光フィルタを透過した前記第1の分岐光のパワーに対応する第1の電気信号を出力する第1の光電変換部と、前記光フィルタを透過しない前記第2の分岐光のパワーに対応する第2の電気信号を出力する第2の光電変換部と、前記第1の電気信号と第2の電気信号の差分を算出し、前記差分と前記差分に相当する前記透過損失が与えられる波長との対応表に基づいて前記光スイッチが選択して出力した光の波長を検出し、前記光スイッチの選択を前記第2の信号光および前記第2の局発光のそれぞれに切り替えて前記第2の信号光の波長および前記第2の局発光の波長を検出して前記信号光と前記局発光の波長ズレ情報を出力する演算処理部とを備えることを特徴とする付記4に記載のコヒーレント光受信器。
(付記7)前記光位相ハイブリッド手段が出力する前記干渉光を光/電気変換して電気信号を出力する光電変換手段と、前記電気信号をデジタル信号に変換して出力するA/D変換部と、デジタル信号に変換された前記電気信号を入力し、信号波形の等化処理を行い、復調処理を行って前記信号光に印加された信号を出力するデジタル信号処理部と、を更に備えることを特徴とする付記1乃至6のいずれかの付記に記載のコヒーレント光受信器。
(付記8)前記波長検出手段は、入力した光を第1の入力光と第2の入力光に分岐する光スプリッタと、前記光フィルタを透過した前記第1の入力光のパワーと、前記光フィルタを透過しない前記第2の入力光のパワーとの差分情報に基づいて前記入力した光の波長を検出する演算処理部と、を備えることを特徴とする付記2に記載のコヒーレント光受信器。
(付記9)前記局発光を、前記光位相ハイブリッド手段に入力する第1の局発光と前記波長検出部に入力する第2の局発光に分岐する局発光分岐手段を備え、前記波長検出手段は、入力した前記第2の信号光および前記第2の局発光のいずれか一つを選択して出力する光スイッチと、前記光フィルタを透過した光のパワーに対応して出力される電気信号に基づいて、前記光スイッチが選択して出力した光の波長を検出し、前記光スイッチの選択を前記第2の信号光または前記第2の局発光に切り替えることにより、前記第2の信号光の波長および前記第2の局発光の波長を検出して前記信号光と前記局発光の波長ズレ情報を出力する演算処理部と、を備えることを特徴とする付記2に記載のコヒーレント光受信器。
(付記10)前記波長検出手段は、検出した前記信号光の波長と、検出した前記局発光の波長に基づいて、前記信号光と前記局発光の波長のズレに関する保守情報を出力することを特徴とする付記4、付記6および付記9のいずれかの付記に記載のコヒーレント光受信器。
(付記11)信号光を、局部発振光(局発光)と干渉させて干渉光を出力する光位相ハイブリッド手段に入力する第1の信号光と、波長検出手段に入力する第2の信号光に分岐し、前記第2の信号光に基づいて、前記波長検出手段において、前記信号光の波長を検出して前記局部発振光源が発振する前記局発光の波長を制御することを特徴とする局発光切替方法。
(付記12)前記波長検出手段に入力した光を、透過損失が波長依存性を有する光フィルタに入力し、前記光フィルタを透過した光のパワーに基づいて、前記入力した光の波長を検出することを特徴とする付記11に記載の局発光切替方法。
(付記13)前記局発光を、前記光位相ハイブリッド手段に入力する第1の局発光と前記波長検出手段に入力する第2の局発光に分岐し、前記波長検出手段に入力した前記第2の局発光の光パワーを検出して前記局部発振光源の出力を検知することを特徴とする付記11又は12に記載のコヒーレント光受信方法。
(付記14)前記波長検出手段に入力した前記第2の局発光に基づいて前記局発光の波長を検出し、前記信号光と前記局発光の波長ズレ情報を検出して前記局部発振光源が発振する前記局発光の波長を制御することを特徴とする付記13に記載のコヒーレント光受信方法。
(付記15)前記波長検出手段に入力した光を第1の入力光と第2の入力光に分岐し、前記光フィルタを透過した前記第1の入力光のパワーと、前記光フィルタを透過しない前記第2の入力光のパワーとの差分情報に基づいて前記入力した光の波長を検出することを特徴とする付記12に記載のコヒーレント光受信方法。
(付記16)前記波長検出手段に入力した光を、第1の分岐光と第2の分岐光に分岐し、前記光フィルタを透過した前記第1の分岐光のパワーに対応する第1の電気信号と、前記光フィルタを透過しない前記第2の分岐光のパワーに対応する第2の電気信号との差分を算出し、前記差分と前記差分に相当する前記等化損失が与えられる波長との対応表に基づいて前記入力した光の波長を検出することを特徴とする付記12に記載の局発光切替方法。
(付記17)前記波長検出手段に入力した前記第2の信号光と前記第2の局発光のいずれか一つを選択した選択光を出力し、前記選択光を第1の分岐光と第2の分岐光に分岐し、前記光フィルタを透過した前記第1の分岐光のパワーに対応する第1の電気信号と、前記光フィルタを透過しない前記第2の分岐光のパワーに対応する第2の電気信号との差分を算出し、前記差分と前記差分に相当する前記等化損失が与えられる波長との対応表に基づいて前記選択光の波長を検出し、前記選択光の選択を前記第2の信号光および前記第2の局発光のそれぞれに切り替えて前記第2の信号光の波長および前記第2の局発光の波長を検出し、前記信号光と前記局発光の波長ズレ情報を出力することを特徴とする付記14に記載のコヒーレント光受信方法。
(付記18)前記局発光を、前記光位相ハイブリッド手段に入力する第1の局発光と前記波長検出手段に入力する第2の局発光に分岐し、前記波長検出手段に入力した前記第2の信号光と前記第2の局発光のいずれか一つを選択した選択光を出力し、前記光フィルタを透過した光のパワーに対応して出力される電気信号に基づいて、前記選択光の波長を検出し、前記選択光を前記第2の信号光または前記第2の局発光に切り替えることにより、前記第2の信号光の波長および前記第2の局発光の波長を検出して前記信号光と前記局発光の波長ズレ情報を出力することを特徴とする付記12に記載の局発光切替方法。
(付記19)前記波長検出手段が検出した前記信号光の波長と前記局発光の波長に基づいて、前記信号光と前記局発光の波長のズレに関する保守情報を出力することを特徴とする付記14、付記17および付記18のいずれかの付記に記載のコヒーレント光受信方法。
2、3、100 デジタルコヒーレント光受信器
11 信号光分岐手段
12、22、32、113 局部発振光源
13 光位相ハイブリッド手段
14 波長検出手段
21、31、38、55、69、70 光スプリッタ
23、33、111 光位相ハイブリッド回路
24、24−1、34、34−1、34−2 波長検出部
25、35 光電変換部
26、36、120 A/D変換部
27、37、130 デジタル信号処理部
51 光フィルタ
52、62 光電変換部A
53、63 演算処理部A
54、66 演算処理部B
56、65 光電変換部B
61 光フィルタA
64 光フィルタB
67 光電変換部C
68 光電変換部D
71 光スイッチ
10、20、30、40 ノード
110 コヒーレント受信部
112 光電変換回路
121 A/D変換器
131 歪等化回路
132 光源周波数オフセット補償回路
133 搬送波位相推定回路
134 識別判定回路
140 光分波器
400 光送信器
410 光合波器
Claims (3)
- 信号光を第1の信号光と第2の信号光に分岐する信号光分岐手段と、
局部発振光(局発光)を発振する局部発振光源と、
前記局発光を第1の局発光と第2の局発光に分岐する局発光分岐手段と、
前記第1の信号光と前記第1の局発光を干渉させ、干渉光を出力する光位相ハイブリッド手段と、
入力された前記第2の信号光に基づいて前記信号光の波長を検出し、入力された前記第2の局発光に基づいて前記局発光の波長を検出し、前記信号光と前記局発光の波長ズレ情報を検出して前記局部発振光源が発振する前記局発光の波長を制御する波長検出手段と、
を備えるコヒーレント光受信器であって、
前記波長検出手段は、
入力された前記第2の信号光および前記第2の局発光のいずれか一つを選択して出力する光スイッチと、
前記光スイッチが選択して出力した光を第1の分岐光と第2の分岐光に分岐する光スプリッタと、
透過損失が波長依存性を有する光フィルタと、
前記光フィルタを透過した前記第1の分岐光のパワーに対応する第1の電気信号を出力する第1の光電変換部と、
前記光フィルタを透過しない前記第2の分岐光のパワーに対応する第2の電気信号を出力する第2の光電変換部と、
前記第1の電気信号と前記第2の電気信号の差分を算出し、前記差分と前記差分に相当する前記透過損失が与えられる波長との対応表に基づいて前記光スイッチが選択して出力した光の波長を検出し、前記光スイッチの選択を前記第2の信号光および前記第2の局発光のそれぞれに切り替えて前記第2の信号光の波長および前記第2の局発光の波長を検出して前記波長ズレ情報を出力する演算処理部と、を備える、
ことを特徴とするコヒーレント光受信器。 - 前記光位相ハイブリッド手段が出力する前記干渉光を光/電気変換して電気信号を出力する光電変換手段と、
前記電気信号をデジタル信号に変換して出力するA/D変換部と、
デジタル信号に変換された前記電気信号を入力し、信号波形の等化処理を行い、復調処理を行って前記信号光に印加された信号を出力するデジタル信号処理部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のコヒーレント光受信器。 - 信号光を第1の信号光と第2の信号光に分岐する信号光分岐手段と、
局部発振光(局発光)を発振する局部発振光源と、
前記局発光を第1の局発光と第2の局発光に分岐する局発光分岐手段と、
前記第1の信号光と前記第1の局発光を干渉させ、干渉光を出力する光位相ハイブリッド手段と、
入力された前記第2の信号光に基づいて前記信号光の波長を検出し、入力された前記第2の局発光に基づいて前記局発光の波長を検出し、前記信号光と前記局発光の波長ズレ情報を検出して前記局部発振光源が発振する前記局発光の波長を制御する波長検出手段と、
を備えるコヒーレント光受信器で用いられる局発光切替方法であって、
入力された前記第2の信号光および前記第2の局発光のいずれか一つを選択して出力し、
前記選択して出力された光を第1の分岐光と第2の分岐光に分岐し、
透過損失が波長依存性を有する光フィルタを透過した前記第1の分岐光のパワーに対応する第1の電気信号を出力し、
前記光フィルタを透過しない前記第2の分岐光のパワーに対応する第2の電気信号を出力し、
前記第1の電気信号と前記第2の電気信号の差分を算出し、前記差分と前記差分に相当する前記透過損失が与えられる波長との対応表に基づいて前記選択して出力された光の波長を検出し、
前記選択して出力される光を前記第2の信号光および前記第2の局発光のそれぞれに切り替えて前記第2の信号光の波長および前記第2の局発光の波長を検出して前記信号光と前記局発光の波長ズレ情報を出力する、
ことを特徴とする局発光切替方法。
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