以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.GPSシステム
1−1.概要
図1は、GPSシステムの概要について説明するための図である。
GPS衛星10は、地球の上空の所定の軌道上を周回しており、1.57542GHzの電波(L1波)に航法メッセージを重畳させて地上に送信している。ここで、GPS衛星10は本発明における位置情報衛星の一例であり、航法メッセージが重畳された1.57542GHzの電波(以下、「衛星信号」という)は本発明における衛星信号の一例である。
現在、約30個のGPS衛星10が存在しており、衛星信号がどのGPS衛星10から送信されたかを識別するために、各GPS衛星10はC/Aコード(Coarse/Acquisition Code)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンを衛星信号に重畳する。C/Aコードは、各chipが+1又は−1のいずれかでありランダムパターンのように見える。従って、衛星信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、衛星信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。
GPS衛星10は原子時計を搭載しており、衛星信号には原子時計で計時された極めて正確な時刻情報(以下、「GPS時刻情報」という)が含まれている。また、地上のコントロールセグメントにより各GPS衛星10に搭載されている原子時計のわずかな時刻誤差が測定されており、衛星信号にはその時刻誤差を補正するための時刻補正パラメータも含まれている。そのため、GPS受信機1は、1つのGPS衛星10から送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と時刻補正パラメータを使用して内部時刻を正確な時刻に修正することができる。
衛星信号にはGPS衛星10の軌道上の位置を示す軌道情報も含まれている。GPS受信機1は、GPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行うことができる。測位計算は、GPS受信機1の内部時刻にある程度の誤差が含まれていることを前提として行われる。すなわち、GPS受信機1の3次元の位置を特定するためのx,y,zパラメータに加えて時刻誤差も未知数になる。そのため、GPS受信機1は、一般的には4つ以上のGPS衛星からそれぞれ送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行う。
1−2.航法メッセージ
図2(A)〜図2(C)は、航法メッセージの構成について説明するための図である。
図2(A)に示すように、航法メッセージは、全ビット数1500ビットのメインフレームを1単位とするデータとして構成される。メインフレームは、それぞれ300ビットの5つのサブフレーム1〜5に分割されている。1つのサブフレームのデータは、各GPS衛星10から6秒で送信される。従って、1つのメインフレームのデータは、各GPS衛星10から30秒で送信される。
サブフレーム1には、週番号データ(WN)等の衛星補正データが含まれている。週番号データは、現在のGPS時刻情報が含まれる週を表す情報である。GPS時刻情報の起点は、UTC(協定世界時)における1980年1月6日00:00:00であり、この日に始まる週は週番号0となっている。週番号データは、1週間単位で更新される。
サブフレーム2、3には、エフェメリスパラメータ(各GPS衛星10の詳細な軌道情報)が含まれる。また、サブフレーム4、5には、アルマナックパラメータ(全GPS衛星10の概略軌道情報)が含まれている。
さらに、サブフレーム1〜5には、先頭から、30ビットのTLM(Telemetry word)データが格納されたTLM(Telemetry)ワードと30ビットのHOW(hand over word)データが格納されたHOWワードが含まれている。
従って、TLMワードやHOWワードは、GPS装置衛星10から6秒間隔で送信されるのに対し、週番号データ等の衛星補正データ、エフェメリスパラメータ、アルマナックパラメータは30秒間隔で送信される。
図2(B)に示すように、TLMワードには、プリアンブルデータ、TLMメッセージ、Reservedビット、パリティデータが含まれている。
図2(C)に示すように、HOWワードには、TOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)という時刻情報が含まれている。Zカウントデータは毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。つまり、Zカウントデータは、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報であって、経過時間が1.5秒単位で表した数となっている。ここで、Zカウントデータは、次のサブフレームデータの先頭ビットが送信される時刻情報を示す。例えば、サブフレーム1のZカウントデータは、サブフレーム2の先頭ビットが送信される時刻情報を示す。また、HOWワードには、サブフレームのIDを示す3ビットのデータ(IDコード)も含まれている。すなわち、図2(A)に示すサブフレーム1〜5のHOWワードには、それぞれ「001」、「010」、「011」、「100」、「101」のIDコードが含まれている。
GPS受信機1は、サブフレーム1に含まれる週番号データとサブフレーム1〜5に含まれるHOWワード(Zカウントデータ)を取得することで、GPS時刻情報を取得することができる。ただし、GPS受信機1は、以前に週番号データを取得し、週番号データを取得した時期からの経過時間を内部でカウントしている場合は、週番号データを取得しなくてもGPS衛星の現在の週番号データを得ることができる。従って、GPS受信機1は、Zカウントデータを取得すれば、現在のGPS時刻情報が概算で分かるようになっている。このため、GPS受信機1は、通常、時刻情報としてZカウントデータのみを取得する。
なお、TLMワード、HOWワード(Zカウントデータ)、衛星補正データ、エフェメリスパラメータ、アルマナックパラメータ等は、本発明における衛星情報の一例である。
GPS受信機1として、例えば、GPS装置付き腕時計(以下、「GPS付き腕時計」という)を考えることができる。GPS付き腕時計は本発明に係る電子時計の一例であり、以下では本実施形態のGPS付き腕時計について説明する。
2.GPS付き腕時計
2−1.第1実施形態
[GPS付き腕時計の構造]
図3(A)及び図3(B)は、第1実施形態のGPS付き腕時計の構造について説明するための図である。図3(A)はGPS付き腕時計の概略平面図であり、図3(B)は図3(A)のGPS付き腕時計の概略断面図である。
図3(A)に示すように、GPS付き腕時計1は、文字板11及び指針12を備えている。文字板11の一部に形成された開口部にディスプレイ13が組み込まれている。ディスプレイ13は、LCD(Liquid Crystal Display)表示パネル等で構成され、現在の経度及び緯度、現在地の都市名等の情報や各種のメッセージ情報を表示する。指針12は、秒針、分針、時針等により構成されており、歯車を介してステップモータで駆動される。文字板11および指針12は、本発明における時刻情報表示部として機能する。
GPS付き腕時計1は、リューズ14やボタン15、16を手動操作することにより、少なくとも1つのGPS衛星10からの衛星信号を受信して内部時刻情報の修正を行うモード(測時モード)と複数のGPS衛星10からの衛星信号を受信して測位計算を行い内部時刻情報の時差を修正するモード(測位モード)に設定できるように構成されている。また、GPS付き腕時計1は、測時モードや測位モードを定期的に(自動的に)実行することもできる。なお、本実施形態における測時モード及び測位モードは、それぞれ、本発明における時刻修正モード及び測位モードに対応する。
図3(B)に示すように、GPS付き腕時計1は、ステンレス鋼(SUS)、チタン等の金属で構成された外装ケース17を備えている。
外装ケース17は、略円筒状に形成され、表面側の開口にはベゼル18を介して表面ガラス19が取り付けられている。また、外装ケース17の裏面側の開口には裏蓋26が取り付けられている。裏蓋26は、リング状に金属で形成され、その中央の開口には裏面ガラス23が取り付けられている。
外装ケース17の内部には、指針12を駆動するステップモータ、GPSアンテナ27、電池24等が配置されている。
ステップモータは、モータコイル20、ステータ、ロータ等で構成されており、歯車を介して指針12を駆動する。
GPSアンテナ27は、複数のGPS衛星10からの衛星信号を受信するアンテナであり、パッチアンテナ、ヘリカルアンテナ、チップアンテナ等により実現される。GPSアンテナ27は、文字板11の時刻表示面の反対側の面(裏面側)に配置され、表面ガラス19及び文字板11を通過した衛星信号を受信する。そのため、文字板11及び表面ガラス19は、1.5GHz帯の電波を通す材料、例えばプラスチックで構成されている。また、ベゼル18は、金属部材よりも受信性能の劣化が少ないセラミック等で構成される。
GPSアンテナ27の裏蓋側には回路基板25が配置され、回路基板25の裏蓋側には電池24が配置されている。
回路基板25には、GPSアンテナ27で受信した衛星信号を処理する受信回路を含む受信用IC30、ステップモータの駆動制御等を行う制御用IC40等が取り付けられている。受信用IC30や制御用IC40は、電池24から供給される電力で駆動される。
電池24はリチウムイオン電池等の充電可能な二次電池であり、電池24の下側(裏蓋側)には、磁性シート21が配置されている。磁性シート21を介して充電用コイル22が配置されており、電池24は外部充電器から電磁誘導で電力を充電できるようになっている。
また、磁性シート21は、磁界を迂回させることができるようになっている。そのため、磁性シート21は、電池24の影響を低減して、効率的にエネルギー伝送を行うことができるようになっている。裏蓋26の中央部には、電力転送のために裏面ガラス23が配置されている。
なお、本実施形態では、電池24として、リチウムイオン電池等の二次電池を用いているが、リチウム電池などの一次電池を用いてもよい。また、二次電池を設けた場合の充電方法は、本実施形態のような、充電用コイル22を設けて外部の充電器から電磁誘導方式で充電するものに限らず、例えばGPS付き腕時計1にソーラーセル等の発電機構を設けて充電してもよい。
[GPS付き腕時計の回路構成]
図4は、第1実施形態のGPS付き腕時計の回路構成について説明するための図である。
GPS付き腕時計1は、GPS装置70及び時刻表示装置80を含んで構成されている。GPS装置70は、本発明における衛星信号受信部、衛星捕捉部、時刻修正情報生成部及び制限時間設定部を含み、衛星信号の受信、GPS衛星10の捕捉、時刻修正情報の生成及び時刻修正情報生成処理の制限時間の設定等の処理を行う。時刻表示装置80は、本発明における時刻情報修正部及び時刻情報表示部を含み、内部時刻情報の修正及び内部時刻情報の表示等の処理を行う。
充電用コイル22は、充電制御回路28を通じて電池24に電力を充電する。電池24は、レギュレータ29を介して、GPS装置70及び時刻表示装置80等に駆動電力を供給する。
[GPS装置の構成]
GPS装置70は、GPSアンテナ27及びSAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタ31を含む。GPSアンテナ27は、図3(B)で説明したように、複数のGPS衛星10からの衛星信号を受信するアンテナである。ただし、GPSアンテナ27は衛星信号以外の信号も受信する。SAWフィルタ31は、GPSアンテナ27が受信した信号から衛星信号を抽出する処理を行う。すなわち、SAWフィルタ31は、1.5GHz帯の信号を通過させるバンドパスフィルタとして構成される。
また、GPS装置70は、受信用IC(受信回路)30を含む。受信回路30は、RF(Radio Frequency:無線周波数)部50とベースバンド部60を含んで構成されている。以下に説明するように、受信回路30は、SAWフィルタ31が抽出した1.5GHz帯の衛星信号から航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する処理を行う。
RF部50は、LNA(Low Noise Amplifier)51、ミキサ52、VCO(Voltage Controlled Oscillator)53、PLL(Phase Locked Loop)回路54、IFアンプ55、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルタ56、ADC(A/D変換器)57等を含んで構成されている。
SAWフィルタ31が抽出した衛星信号は、LNA51で増幅される。LNA51で増幅された衛星信号は、ミキサ52でVCO53が出力するクロック信号とミキシングされて中間周波数帯の信号にダウンコンバートされる。PLL回路54は、VCO53の出力クロック信号を分周したクロック信号と基準クロック信号を位相比較してVCO53の出力クロック信号を基準クロック信号に同期させる。その結果、VCO53は基準クロック信号の周波数精度の安定したクロック信号を出力することができる。なお、中間周波数として、例えば、数MHzを選択することができる。
ミキサ52でミキシングされた信号は、IFアンプ55で増幅される。ここで、ミキサ52でのミキシングにより、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も生成される。そのため、IFアンプ55は、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も増幅する。IFフィルタ56は、中間周波数帯の信号を通過させるとともに、この数GHzの高周波信号を除去する(正確には、所定のレベル以下に減衰させる)。IFフィルタ56を通過した中間周波数帯の信号はADC(A/D変換器)57でデジタル信号に変換される。
ベースバンド部60は、DSP(Digital Signal Processor)61、CPU(Central Processing Unit)62、SRAM(Static Random Access Memory)63、RTC(リアルタイムクロック)64を含んで構成されている。また、ベースバンド部60には、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)65やフラッシュメモリ66等が接続されている。
温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65は、温度に関係なくほぼ一定の周波数の基準クロック信号を生成する。
フラッシュメモリ66には時差情報が記憶されている。時差情報は、時差データ(座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられたUTCに対する補正量等)が定義された情報である。
ベースバンド部60は、測時モード又は測位モードに設定されると、RF部50のADC57が変換したデジタル信号(中間周波数帯の信号)からベースバンド信号を復調する処理を行う。
また、ベースバンド部60は、測時モード又は測位モードに設定されると、後述する衛星検索工程において、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、ベースバンド信号に含まれる各C/Aコードとローカルコードの相関をとる処理を行う。そして、ベースバンド部60は、各ローカルコードに対する相関値がピークになるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が閾値以上となる場合にはそのローカルコードのGPS衛星10に同期(すなわち、GPS衛星10を捕捉)したものと判断する。すなわち、ベースバンド部60(CPU62)は、本発明における衛星捕捉部として機能する。ここで、GPSシステムでは、すべてのGPS衛星10が異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。従って、受信した衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星10を検索することができる。
また、ベースバンド部60は、測時モード又は測位モードにおいて、捕捉したGPS衛星10の衛星情報を取得するために、当該GPS衛星10のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングする処理を行う。ミキシングされた信号には、捕捉したGPS衛星10の衛星情報を含む航法メッセージが復調される。そして、ベースバンド部60は、航法メッセージの各サブフレームのTLMワード(プリアンブルデータ)を検出し、各サブフレームに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する(例えばSRAM63に記憶する)処理を行う。ここで、GPS時刻情報は、週番号データ(WN)及びZカウントデータであるが、以前に週番号データが取得されている場合にはZカウントデータのみであってもよい。
そして、ベースバンド部60は、衛星情報に基づいて、内部時刻情報を修正するために必要な時刻修正情報を生成する。
測時モードの場合、より具体的には、ベースバンド部60は、GPS時刻情報に基づいて測時計算を行い時刻修正情報を生成する。測時モードにおける時刻修正情報は、例えば、GPS時刻情報そのものであってもよいし、GPS時刻情報と内部時刻情報との時間差の情報であってもよい。
一方、測位モードの場合、より具体的には、ベースバンド部60は、GPS時刻情報や軌道情報に基づいて測位計算を行い、位置情報(より具体的には、受信時にGPS付き腕時計1が位置する場所の緯度および経度)を取得する。さらに、ベースバンド部60は、フラッシュメモリ66に記憶されている時差情報を参照し、位置情報により特定されるGPS付き腕時計1の座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられた時差データを取得する。このようにして、ベースバンド部60は、時刻修正情報としてGPS時刻情報及び時差データを生成する。測位モードにおける時刻修正情報は、上記の通り、GPS時刻情報と時差データそのものであってもよいが、例えば、GPS時刻情報の代わりに内部時刻情報とGPS時刻情報の時間差のデータであってもよい。
なお、ベースバンド部60は、1つのGPS衛星10の衛星情報から時刻修正情報を生成してもよいし、複数のGPS衛星10の衛星情報から時刻修正情報を生成してもよい。
すなわち、ベースバンド部60(CPU62)は、本発明における衛星情報取得部、測時計算部及び測位計算部を含み、時刻修正情報生成部として機能する。
ここで、ベースバンド部60(CPU62)は、測時モードにおいて、捕捉したGPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルに応じて、GPS衛星10を捕捉してから時刻修正情報を生成するまでの制限時間を可変に設定する。例えば、ベースバンド部60(CPU62)は、捕捉したGPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルが所定値より低い場合には、当該受信レベルが当該所定値より高い場合よりも短い制限時間を設定する。
また、ベースバンド部60(CPU62)は、測位モードにおいて、捕捉したGPS衛星10の数及び当該GPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルに応じて、GPS衛星10を捕捉してから時刻修正情報を生成するまでの制限時間を可変に設定する。例えば、ベースバンド部60(CPU62)は、捕捉したGPS衛星10の数が所定数以下であり、かつ、当該GPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルが所定値より低い場合には、当該GPS衛星10の数が当該所定数より多い場合又は当該受信レベルが当該所定値より高い場合よりも短い制限時間を設定する。
すなわち、ベースバンド部60(CPU62)は、本発明における制限時間設定部として機能する。また、GPS装置70は、GPSアンテナ27、SAWフィルタ31、RF部50及びベースバンド部の一部により、本発明における衛星信号受信部として機能する。
なお、ベースバンド部60の動作は、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65が出力する基準クロック信号に同期する。RTC64は、衛星信号を処理するためのタイミングを生成するものである。このRTC64は、TCXO65から出力される基準クロック信号でカウントアップされる。
[時刻表示装置の構成]
時刻表示装置80は、制御用IC(制御部)40、駆動回路44、LCD駆動回路45及び水晶振動子43を含んで構成されている。
制御部40は、記憶部41、発振回路42を備え、各種制御を行う。
制御部40は、GPS装置70を制御する。すなわち、制御部40は、制御信号を受信回路30に送り、GPS装置70の受信動作を制御する。
また、制御部40は、駆動回路44を介して指針12の駆動を制御する。さらに、制御部40は、LCD駆動回路45を介してディスプレイ13の駆動を制御する。例えば、制御部40は、測位モードにおいてディスプレイ13に現在位置の表示が行われるように制御してもよい。
記憶部41には内部時刻情報が記憶されている。内部時刻情報は、GPS付き腕時計1の内部で計時される時刻の情報である。内部時刻情報は、水晶振動子43および発振回路42によって生成される基準クロック信号によって更新される。従って、受信回路30への電力供給が停止されていても、内部時刻情報を更新して指針12の運針を継続することができるようになっている。
制御部40は、測時モードに設定されると、GPS装置70の動作を制御し、GPS時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正して記憶部41に記憶する。より具体的には、内部時刻情報は、取得したGPS時刻情報にUTCオフセット(現在は+14秒)を加算することで求められるUTC(協定世界時)に修正される。また、制御部40は、測位モードに設定されると、GPS装置70の動作を制御し、GPS時刻情報及び時差データに基づいて、内部時刻情報を修正して記憶部41に記憶する。すなわち、制御部40は、本発明における時刻情報修正部として機能する。
以下、第1実施形態の時刻修正処理(測時モード)及び時差修正処理(測位モード)の手順について説明する。制御部40及びベースバンド部60は、専用回路により実現してこれらの処理の各種制御を行うようにすることもできるが、記憶部41及びSRAM63等にそれぞれ記憶された制御プログラムを実行することによりこれらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。すなわち、図5に示すように、制御プログラムにより、制御部40は受信制御手段40−1、時刻情報修正手段40−2及び駆動制御手段40−3として機能し、ベースバンド部60は制限時間設定手段60−1、衛星検索手段60−2、受信レベル取得手段60−3、衛星情報取得手段60−4、測時計算手段60−5及び測位計算手段60−6として機能することにより、時刻修正処理(測時モード)及び時差修正処理(測位モード)が実行される。
[時刻修正処理(測時モード)]
図6は、第1実施形態のGPS付き腕時計の時刻修正処理(測時モード)手順の一例を示すフローチャートである。
GPS付き腕時計1は、測時モードに設定された場合、図6に示す時刻修正処理(測時モード)を実行する。
時刻修正処理(測時モード)が開始されると、GPS付き腕時計1は、まず、制御部40(受信制御手段40−1)によってGPS装置70を制御し、受信処理を行う。すなわち、制御部40(受信制御手段40−1)がGPS装置70を起動し、GPS装置70はGPS衛星10から送信される衛星信号の受信を開始する(ステップS10)。
受信が開始されると、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉時間Tsを設定する(ステップS12)。ここで、捕捉時間Tsは、GPS装置70が、受信動作を開始してから後述する衛星検索工程を終了するまでの制限時間である。例えば、捕捉時間Tsとして6秒が設定される。なお、捕捉時間Tsは、受信開始前に設定するようにしてもよい。
次に、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は衛星検索工程(衛星サーチ工程)を開始する(ステップS14)。衛星検索工程において、GPS装置70は、捕捉可能なGPS衛星10を検索する処理を行う。
具体的には、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は、例えば30個のGPS衛星10が存在する場合、まず、衛星番号SVを1から30まで順次変更しながら衛星番号SVのC/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生させる。次に、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードの相関値を計算する。ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードが同じコードであれば相関値は所定のタイミングでピークを持つが、異なるコードであれば相関値はピークをもたず常にほぼゼロとなる。
ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードの相関値が最大になるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が所定の閾値以上の場合には衛星番号SVのGPS衛星10を捕捉したものと判断する。そして、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は、捕捉した各GPS衛星10の情報(例えば衛星番号)をSRAM63等の記憶部に記憶する。
次に、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は、捕捉時間Tsが経過する前に衛星検索工程を終了したか否かを判断する(ステップS18)。例えば、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は、衛星番号SVを1から30まで変更しながらGPS衛星10をサーチしている場合には、衛星番号SVが30のGPS衛星10のサーチが終了したか否かを判断することで衛星検索工程が終了したか否かを判断する。
ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)が衛星検索工程を終了する前に捕捉時間Tsが経過した場合(ステップS16でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了する(ステップS44)。GPS付き腕時計1が、受信できない環境である場合、例えば、屋内であるような場合には、すべてのGPS衛星10のサーチを行ってもGPS衛星10を捕捉できる可能性が非常に低い。GPS付き腕時計1は、捕捉時間Tsが経過しても捕捉可能なGPS衛星10を検出できない場合、GPS衛星10のサーチを強制的に終了することにより無駄に電力が消費されることを低減することができる。
一方、捕捉時間Tsが経過する前に衛星検索工程を終了した場合(ステップS18でYesの場合)、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は、GPS衛星10を捕捉することができたか否かを判定する(ステップS20)。
GPS衛星10を捕捉することができなかった場合(ステップS20でNoの場合)、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は衛星検索工程を再び開始する(ステップS14)。
一方、GPS衛星10を捕捉することができた場合(ステップS20でYesの場合)、ベースバンド部60(受信レベル取得手段60−3)は、捕捉した各GPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルを取得する(ステップS22)。具体的には、ベースバンド部60(受信レベル取得手段60−3)は、捕捉した各GPS衛星10のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングした信号のパワーを計算し、受信レベルを取得する。そして、ベースバンド部60(受信レベル取得手段60−3)は、捕捉した各GPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルをSRAM63等の記憶部に記憶する。
次に、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数及び当該GPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルに基づいて、衛星信号デコード時間Tdを設定する(ステップS24)。なお、衛星信号デコード時間Tdは、本発明における時刻修正情報生成部が時刻修正情報を生成する制限時間に対応する。
次に、ベースバンド部60(衛星情報取得手段60−4)は捕捉したGPS衛星10の衛星情報(特にGPS時刻情報)の取得を開始する(ステップS26)。具体的には、ベースバンド部60(衛星情報取得手段60−4)は、捕捉した各GPS衛星からの航法メッセージをそれぞれ復調してZカウントデータを取得する処理を行う。そして、ベースバンド部60(衛星情報取得手段60−4)は、取得したGPS時刻情報をSRAM63等に記憶する。
ベースバンド部60(衛星情報取得手段60−4)が1つ以上のGPS衛星10の衛星情報を取得する前に衛星信号デコード時間Tdが経過した場合(ステップS28でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了する(ステップS44)。例えば、GPS衛星10からの衛星信号の受信レベルが低いために、1つ以上のGPS衛星10の衛星情報を正しく復調することができないまま衛星信号デコード時間Tdが経過することが考えられる。
一方、衛星信号デコード時間Tdが経過する前に1つ以上のGPS衛星10の衛星情報を取得することができた場合(ステップS30でYesの場合)、ベースバンド部60(測時計算手段60−5)は、捕捉したGPS衛星10から1つ以上のGPS衛星10を選択して測時計算を開始する(ステップS32)。
具体的には、ベースバンド部60(測時計算手段60−5)は、選択したGPS衛星10の衛星情報(GPS時刻情報)をSRAM36等から読み出して測時計算を行い、時刻修正情報を生成する。前述したように、GPS時刻情報はGPS衛星10が航法メッセージのサブフレームの先頭ビットを送信した時刻を表している。従って、ベースバンド部60(測時計算手段60−5)は、内部時刻情報を修正するために必要な時刻修正情報として、例えば、サブフレームの先頭ビットを受信した時の内部時刻情報とGPS時刻情報の時間差を算出することができる。また、ベースバンド部60(測時計算手段60−5)は、複数のGPS衛星10のGPS時刻情報に基づいて、より正確な時刻修正情報を生成することもできる。そして、ベースバンド部60(測時計算手段60−5)は、時刻修正情報を生成することができれば測時計算を終了する。
ベースバンド部60(測時計算手段60−5)が測時計算を終了する前に衛星信号デコード時間Tdが経過した場合(ステップS34でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了する(ステップS44)。
一方、衛星信号デコード時間Tdが経過する前に測時計算を終了することができた場合(ステップS36でYesの場合)、制御部40(時刻情報修正手段40−2)は、時刻修正情報を用いて記憶部41に記憶されている内部時刻情報を修正する(ステップS38)。
そして、GPS装置70の受信動作が終了する(ステップS40)。
最後に、制御部40(駆動制御手段40−3)は、修正した内部時刻情報に基づいて駆動回路44又はLCD駆動回路45を制御し、時刻表示が修正される(ステップS42)。
なお、GPS装置70の受信動作が強制的に終了された場合(ステップS44)、制御部40(駆動制御手段40−3)が駆動回路44又はLCD駆動回路45を制御し、受信失敗の表示がされる(ステップS46)。
図7は、第1実施形態のGPS付き腕時計の時刻修正処理(測時モード)手順における衛星信号デコード時間設定手順(ステップS24)の一例を示すフローチャートである。
図7の衛星信号デコード時間設定手順において、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、測時計算に使用するGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルに応じて、衛星信号デコード時間Tdを可変に設定する。
具体的には、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、測時計算に使用するGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルが−138dBm以下の場合(ステップS24−1でYesの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(15sec.)×2=30sec.に設定する(ステップS24−2)。
また、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、当該衛星信号の受信レベルが−138dBmより高く−132dBmより低い場合(ステップS24−1でNo、かつ、ステップS24−3でNoの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(15sec.)×3=45sec.に設定する(ステップS24−4)。
さらに、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、当該衛星信号の受信レベルが−132dBm以上の場合(ステップS24−3でYesの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(15sec.)×4=60sec.に設定する(ステップS24−5)。
[時差修正処理(測位モード)]
図8は、第1実施形態のGPS付き腕時計の時差修正処理(測位モード)手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明において、時刻修正処理(測時モード)手順と同じ処理については、その説明を省略又は簡略する。
GPS付き腕時計1は、測位モードに設定された場合、図8に示す時差修正処理(測位モード)を実行する。
時差修正処理(測位モード)が開始されると、GPS付き腕時計1は、まず、制御部40(受信制御手段40−1)によってGPS装置70を制御し、受信処理を行う。すなわち、制御部40(受信制御手段40−1)がGPS装置70を起動し、GPS装置70はGPS衛星10から送信される衛星信号の受信を開始する(ステップS50)。
受信が開始されると、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉時間Tsを設定する(ステップS52)。
次に、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は衛星検索工程(衛星サーチ工程)を開始する(ステップS54)。
次に、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は、捕捉時間Tsが経過する前に衛星検索工程を終了したか否かを判断する(ステップS58)。
ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)が衛星検索工程を終了する前に捕捉時間Tsが経過した場合(ステップS56でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了する(ステップS84)。
一方、捕捉時間Tsが経過する前に衛星検索工程を終了した場合(ステップS58でYesの場合)、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は、所定数(N個)以上のGPS衛星10を捕捉することができたか否かを判定する(ステップS60)。ここで、GPS付き腕時計1の3次元の位置(x,y,z)を特定するためにはx,y,zが3つの未知数となる。そのため、GPS付き腕時計1の3次元の位置(x,y,z)を計算するためには、3個以上のGPS衛星10のGPS時刻情報及び軌道情報が必要である。さらに、測位精度を高めるためにGPS付き腕時計1の内部時刻情報とGPS時刻情報の時刻誤差も未知数と考えると、4個以上のGPS衛星10のGPS時刻情報及び軌道情報が必要である。
N個(例えば4個)以上のGPS衛星10を捕捉することができなかった場合(ステップS60でNoの場合)、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)は衛星検索工程を再び開始する(ステップS54)。
一方、N個(例えば4個)以上のGPS衛星10を捕捉することができた場合(ステップS60でYesの場合)、ベースバンド部60(受信レベル取得手段60−3)は、捕捉した各GPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルを取得する(ステップS62)。そして、ベースバンド部60(受信レベル取得手段60−3)は、捕捉した各GPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルをSRAM63等の記憶部に記憶する。
次に、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数及び当該GPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルに基づいて、衛星信号デコード時間Tdを設定する(ステップS64)。
次に、ベースバンド部60(衛星情報取得手段60−4)は捕捉したGPS衛星10の衛星情報(特にGPS時刻情報及び軌道情報)の取得を開始する(ステップS66)。具体的には、ベースバンド部60(衛星情報取得手段60−4)は、捕捉した各GPS衛星からの航法メッセージをそれぞれ復調してZカウントデータ及びエフェメリスパラメータを取得する処理を行う。そして、ベースバンド部60(衛星情報取得手段60−4)は、取得したGPS時刻情報及び軌道情報をSRAM63等に記憶する。
ベースバンド部60(衛星情報取得手段60−4)がN個(例えば4個)以上のGPS衛星10の衛星情報を取得する前に衛星信号デコード時間Tdが経過した場合(ステップS68でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了する(ステップS84)。例えば、GPS衛星10からの衛星信号の受信レベルが低いために、N個(例えば4個)以上のGPS衛星10の衛星情報を正しく復調することができないまま衛星信号デコード時間Tdが経過することが考えられる。
一方、衛星信号デコード時間Tdが経過する前にN個(例えば4個)以上のGPS衛星10の衛星情報を取得することができた場合(ステップS70でYesの場合)、ベースバンド部60(測位計算手段60−6)は、捕捉したGPS衛星10からN個(例えば4個)のGPS衛星10の組を選択して測位計算を開始する(ステップS72)。
具体的には、ベースバンド部60(測位計算手段60−6)は、選択したN個(例えば4個)のGPS衛星10の衛星情報(GPS時刻情報及び軌道情報)をSRAM36等から読み出して測位計算を行い、位置情報(GPS付き腕時計1が位置する場所の緯度及び経度(座標値))を生成する。前述したように、GPS時刻情報はGPS衛星10が航法メッセージのサブフレームの先頭ビットを送信した時刻を表している。従って、ベースバンド部60(測位計算手段60−6)は、サブフレームの先頭ビットを受信した時の内部時刻情報とGPS時刻情報の差及び時刻補正データに基づいて、N個(例えば4個)のGPS衛星10とGPS付き腕時計1の擬似的な距離をそれぞれ計算することができる。また、ベースバンド部60(測位計算手段60−6)は、軌道情報に基づいてN個(例えば4個)のGPS衛星10の位置をそれぞれ計算することができる。そして、ベースバンド部60(測位計算手段60−6)は、N個(例えば4個)のGPS衛星10とGPS付き腕時計1の擬似的な距離及びN個(例えば4個)のGPS衛星10の位置に基づいて、GPS付き腕時計1の位置情報を生成することができる。
そして、ベースバンド部60(測位計算手段60−6)は、フラッシュメモリ66に記憶された時差情報を参照し、位置情報により特定されるGPS付き腕時計1の座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられた時差データを取得する。
このようにして、ベースバンド部60(測位計算手段60−6)は、時刻修正情報として、GPS時刻情報及び時差データを生成することができれば測位計算を終了する。
ベースバンド部60(測位計算手段60−6)が測位計算を終了する前に衛星信号デコード時間Tdが経過した場合(ステップS74でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了する(ステップS84)。例えば、GPS付き腕時計1の座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられた時差データを1つに特定することができないまま衛星信号デコード時間Tdが経過することが考えられる。
一方、衛星信号デコード時間Tdが経過する前に測位計算を終了することができた場合(ステップS76でYesの場合)、制御部40(時刻情報修正手段40−2)は、時刻修正情報を用いて記憶部41に記憶されている内部時刻情報を修正する(ステップS78)。
そして、GPS装置70の受信動作が終了する(ステップS80)。
最後に、制御部40(駆動制御手段40−3)は、修正した内部時刻情報に基づいて駆動回路44又はLCD駆動回路45を制御し、時刻表示(時差)が修正される(ステップS82)。
なお、GPS装置70の受信動作が強制的に終了された場合(ステップS84)、制御部40(駆動制御手段40−3)が駆動回路44又はLCD駆動回路45を制御し、受信失敗の表示がされる(ステップS86)。
図9及び図10は、第1実施形態のGPS付き腕時計の時差修正処理(測位モード)手順における衛星信号デコード時間設定手順(ステップS64)の一例を示すフローチャートである。
図9及び図10の衛星信号デコード時間設定手順において、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数と、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルに応じて、衛星信号デコード時間Tdを可変に設定する。
図9の衛星信号デコード時間設定手順では、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数が5以下である場合(ステップS64−1でYesの場合)、かつ、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルの最小値が−135dBm以下である場合(ステップS64−2でYesの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(60sec.)+60sec.=120sec.に設定する(ステップS64−3)。
また、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数が5より多い場合(ステップS64−1でNoの場合)、又は、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルの最小値が−135dBmより高い場合(ステップS64−2でNoの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(60sec.)+120sec.=180sec.に設定する(ステップS64−4)。
一方、図10の衛星信号デコード時間設定手順では、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数が6以上である場合(ステップS64−5でYesの場合)、かつ、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルの最小値が−135dBm以上である場合(ステップS64−6でYesの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(60sec.)+120sec.=180sec.に設定する(ステップS64−7)。
また、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数が6より少ない場合(ステップS64−5でNoの場合)、又は、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルの最小値が−135dBmより低い場合(ステップS64−6でNoの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(60sec.)+60sec.=120sec.に設定する(ステップS64−8)。
[第1実施形態の効果]
第1実施形態のGPS付き腕時計では、図6〜図10に示したように、捕捉したGPS衛星10の数と、捕捉したGPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルに基づいて、衛星信号デコード時間Tdが可変に設定される。捕捉したGPS衛星10の数が多いほど、衛星情報を取得する候補となるGPS衛星10の数が多くなるので、衛星情報を取得できる確率が高くなる。すなわち、捕捉したGPS衛星10の数が多いほど受信状況が良いといえる。また、捕捉したGPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルが高いほど、ノイズ等の影響を受けにくいので衛星情報を取得できる確率が高くなる。すなわち、衛星信号の受信レベルが高いほど受信状況が良いといえる。従って、第1実施形態のGPS付き腕時計によれば、受信状況に応じて、衛星信号デコード時間Tdを適切に設定することができるので消費電力を最適化することができる。
また、第1実施形態のGPS付き腕時計では、図6及び図8に示したように、衛星信号デコード時間Td内に時刻修正情報を生成することができなかった場合には衛星信号の受信を停止する。従って、第1実施形態のGPS付き腕時計によれば、衛星信号デコード時間Td内に時刻修正情報を生成することができなかった場合には、無駄に電力を消費することを防止し、システムダウンの可能性を低減することができる。
また、第1実施形態のGPS付き腕時計では、図7、図9及び図10に示したように、測時モードか測位モードかによって、衛星信号デコード時間Tdを変更することができる。一般に、測時モードでは1つのGPS衛星10を捕捉して衛星情報を取得するのに対して、測位モードでは複数(例えば4個以上)のGPS衛星10を捕捉して複数の衛星情報を取得するため、測位モードの方が時刻修正情報を生成する時間が長くなる傾向がある。第1実施形態のGPS付き腕時計によれば、例えば、測位モードにおける衛星信号デコード時間Tdを測時モードにおける衛星信号デコード時間Tdよりも長く設定することができる。
また、第1実施形態のGPS付き腕時計では、図7に示したように、測時モードでは、捕捉したGPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルが所定値(−138dBm)より低い場合(受信状況が比較的悪い場合)には、当該受信レベルが所定値(−138dBm)より高い場合(受信状況が比較的良い場合)と比較して、衛星信号デコード時間Tdをより短く設定する。また、第1実施形態のGPS付き腕時計では、図9に示したように、測位モードでは、捕捉したGPS衛星10の数が所定数(5個)以下であり、かつ、捕捉したGPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルが所定値(−135dBm)より低い場合(受信状況がかなり悪い場合)には、捕捉したGPS衛星10の数が所定数(5個)より多い場合、又は、当該受信レベルが所定値(−135dBm)より高い場合(受信状況が比較的良い場合)と比較して、衛星信号デコード時間Tdをより短く設定する。従って、第1実施形態のGPS付き腕時計によれば、受信状況が悪い場合には、より短時間で衛星情報を取得できなければ時刻修正処理(測時モード)又は時差修正処理(測位モード)を中止するので、無駄に電力を消費することを防止し、システムダウンの可能性を低減することができる。
また、第1実施形態のGPS付き腕時計では、図10に示したように、測位モードでは、捕捉したGPS衛星10の数が所定数(6個)以上であり、かつ、捕捉したGPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルが所定値(−135dBm)より高い場合(受信状況がかなり良い場合)には、捕捉したGPS衛星10の数が所定数(6個)より少ない場合、又は、当該受信レベルが所定値(−135dBm)より低い場合(受信状況が比較的悪い場合)と比較して、衛星信号デコード時間Tdをより長く設定する。従って、第1実施形態のGPS付き腕時計によれば、受信状況が良い場合には、時差修正処理(測位モード)を完了させる可能性を高くすることができる。
2−2.第2実施形態
第2実施形態のGPS付き腕時計の構造及び回路構成は、図3〜図5に示した第1実施形態のGPS付き腕時計の構造及び回路構成と同様であるため、その説明を省略する。
第2実施形態のGPS付き腕時計において、GPS装置70は、ベースバンド部60(衛星検索手段60−2)が捕捉したGPS衛星10の数及び当該GPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルの組み合わせが所定の条件を満たさない場合には、衛星信号の受信を停止する。
第2実施形態のGPS付き腕時計の時刻修正処理(測時モード)手順及び時差修正処理(測位モード)手順は、衛星信号デコード時間設定処理(ステップS24、S64の処理)を除いて、図6及び図8に示した第1実施形態のGPS付き腕時計1の各手順と同じである。以下では、第2実施形態における衛星信号デコード時間設定処理の手順について説明する。
図11は、第2実施形態のGPS付き腕時計の時刻修正処理(測時モード)手順(図6に示した処理手順と同じ)における衛星信号デコード時間設定処理(ステップS24の処理)の手順の一例を示すフローチャートである。
図11の衛星信号デコード時間設定手順において、測時計算に使用するGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルが−140dBmより低い場合(ステップS124−1でNoの場合)は、GPS装置70の受信動作が強制的に終了する(ステップS44)。一方、当該衛星信号の受信レベルが−140dBm以上の場合(ステップS124−1でYesの場合)は、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、当該衛星信号の受信レベルに応じて衛星信号デコード時間Tdを可変に設定する。
具体的には、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、当該衛星信号の受信レベルが−140dBm以上−138dBm以下である場合(ステップS124−1でYes、かつ、ステップS124−2でYesの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(15sec.)×2=30sec.に設定する(ステップS124−3)。
また、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、当該衛星信号の受信レベルが−138dBmより高く−132dBmより低い場合(ステップS124−2でNo、かつ、ステップS124−4でNoの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(15sec.)×3=45sec.に設定する(ステップS124−5)。
さらに、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、当該衛星信号の受信レベルが−132dBm以上の場合(ステップS124−4でYesの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(15sec.)×4=60sec.に設定する(ステップS124−6)。
図12は、第2実施形態のGPS付き腕時計の時差修正処理(測位モード)手順(図8に示した処理手順と同じ)における衛星信号デコード時間設定処理(ステップS64の処理)の手順の一例を示すフローチャートである。
図12の衛星信号デコード時間設定手順において、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルの最小値が−140dBmより低い場合(ステップS164−1でNoの場合)は、GPS装置70の受信動作が強制的に終了する(ステップS84)。一方、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルの最小値が−140dBm以上の場合(ステップS164−1でYesの場合)は、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数と、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルに応じて、衛星信号デコード時間Tdを可変に設定する。
具体的には、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数が5以下である場合(ステップS164−2でYesの場合)、かつ、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルの最小値が−135dBm以下である場合(ステップS164−3でYesの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(60sec.)+60sec.=120sec.に設定する(ステップS164−4)。
また、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数が5より多い場合(ステップS164−2でNoの場合)、又は、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルの最小値が−135dBmより高い場合(ステップS164−3でNoの場合)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(60sec.)+120sec.=180sec.に設定する(ステップS164−5)。
[第2実施形態の効果]
第2実施形態のGPS付き腕時計によれば、第1実施形態のGPS付き腕時計と同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
第2実施形態のGPS付き腕時計では、図11に示したように、測時モードでは、捕捉したGPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルが所定の条件(受信レベル≧−140dBm)を満たさない場合(受信状況が比較的悪い場合)、すぐに衛星信号の受信を停止して時刻修正処理を中止する。また、第2実施形態のGPS付き腕時計では、図12に示したように、測位モードでは、捕捉したGPS衛星10の数及び捕捉したGPS衛星10から送信された衛星信号の受信レベルの組み合わせが所定の条件(捕捉したGPS衛星10の数≧4かつ受信レベル≧−140dBm)を満たさない場合(受信状況が比較的悪い場合)、すぐに衛星信号の受信を停止して時差修正処理を中止する。従って、第2実施形態のGPS付き腕時計によれば、無駄に電力を消費することを防止し、システムダウンの可能性を低減することができる。
2−3.第3実施形態
第3実施形態のGPS付き腕時計の構造は、図3に示した第1実施形態のGPS付き腕時計の構造と同様であるため、その説明を省略する。
図13は、第3実施形態のGPS付き腕時計3の回路構成について説明するための図である。
第3実施形態のGPS付き腕時計3の回路構成は、電圧検出回路32が加わっている点を除いて、図4に示した第1実施形態のGPS付き腕時計の回路構成と同じである。そのため、電圧検出回路32以外の構成には図4と同じ番号を付しており、その説明を省略する。
電圧検出回路32は、電池24の出力電圧値を検出する処理を行う。例えば、電圧検出回路32は、電池24に並列接続された、抵抗器とスイッチの直列回路であってもよい。その場合、電圧検出回路32は、電圧検出時はスイッチがオンになり、それ以外の時はスイッチがオフになるように制御される。
そして、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、測時モード又は測位モードにおいて、電圧検出回路32が検出した電池24の出力電圧値に応じて衛星信号デコード時間Tdを可変に設定する。例えば、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の出力電圧が所定値より低い場合には、電池24の出力電圧が当該所定値より高い場合よりも短い衛星信号デコード時間Tdを設定する。
なお、電池24としては、例えば、一般的に使用されているリチウムイオン系二次電池を使用することができる。
以下、第3実施形態の時刻修正処理(測時モード)及び時差修正処理(測位モード)の手順について説明する。なお、図14に示すように、制御プログラムにより、制御部40は受信制御手段40−1、時刻情報修正手段40−2及び駆動制御手段40−3として機能し、ベースバンド部60は制限時間設定手段60−1、衛星検索手段60−2、衛星検索手段60−3、衛星情報取得手段60−4、測時計算手段60−5、測位計算手段60−6及び電圧検出制御手段60−7として機能することにより、時刻修正処理(測時モード)及び時差修正処理(測位モード)が実行される。ここで、第3実施形態の制御部40が実現する各手段は、図5に示した第1実施形態の制御部40が実現する各手段と同じである。また、第3実施形態のベースバンド部60が実現する各手段は、電圧検出制御手段60−7を除いて、図5に示した第1実施形態のベースバンド部60が実現する各手段と同じである。
図15は、第3実施形態のGPS付き腕時計の時刻修正処理(測時モード)手順の一例を示すフローチャートである。
図15に示す時刻修正処理(測時モード)手順は、ステップS11及びS24の処理を除いて、図6に示した第1実施形態の時刻修正処理(測時モード)手順と同じである。そのため、ステップS11及びS24以外のステップS10〜S46の処理については、その説明を省略する。
第3実施形態のGPS付き腕時計は、測時モードに設定された場合、図15に示す時刻修正処理(測時モード)を実行する。
受信が開始されると(ステップS10)、ベースバンド部60(電圧検出制御手段60−7)は、電圧検出回路32に電池24の出力電圧を検出させる(ステップS11)。例えば、電圧検出回路32が上記構成の回路の場合、ベースバンド部60(電圧検出制御手段60−7)はオフになっているスイッチをオンにする。そして、ベースバンド部60(電圧検出制御手段60−7)は、検出電圧値をSRAM63等に記憶した後、スイッチをオフにする。
そして、ステップS12以降の処理が行われ、ステップS24における衛星信号デコード時間設定処理において、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、SRAM63等に記憶された検出電圧値に基づいて、衛星信号デコード時間Tdを設定する。
そして、ステップS26以降の処理が行われて、時刻修正処理(測時モード)が終了する。
図16は、第3実施形態のGPS付き腕時計の時刻修正処理(測時モード)手順における衛星信号デコード時間設定手順(ステップS24)の一例を示すフローチャートである。
図16の衛星信号デコード時間設定手順において、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、測時計算に使用するGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルと、電池24の検出電圧値に応じて、衛星信号デコード時間Tdを可変に設定する。
具体的には、測時計算に使用するGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルが−138dBm以下の場合(ステップS224−1でYesの場合)は、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の検出電圧値が3.3Vより低い場合(ステップS224−2でNoの場合)、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(15sec.)×2=30sec.に設定する(ステップS224−3)。一方、電池24の検出電圧値が3.3V以上の場合(ステップS224−2でYesの場合)、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T1(30sec.)×2=60sec.に設定する(ステップS224−4)。
また、当該衛星信号の受信レベルが−138dBmより高く−132dBmより低い場合(ステップS224−1でNo、かつ、ステップS224−5でNoの場合)は、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の検出電圧値が3.3Vより低い場合(ステップS224−6でNoの場合)、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(15sec.)×3=45sec.に設定する(ステップS224−7)。一方、電池24の検出電圧値が3.3V以上の場合(ステップS224−6でYesの場合)、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T1(30sec.)×3=90sec.に設定する(ステップS224−8)。
さらに、当該衛星信号の受信レベルが−132dBm以上の場合(ステップS224−5でYesの場合)は、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の検出電圧値が3.3Vより低い場合(ステップS224−9でNoの場合)、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(15sec.)×4=60sec.に設定する(ステップS224−10)。一方、電池24の検出電圧値が3.3V以上の場合(ステップS224−9でYesの場合)、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T1(30sec.)×4=120sec.に設定する(ステップS224−11)。
図17は、第3実施形態のGPS付き腕時計の時差修正処理(測位モード)手順の一例を示すフローチャートである。
図17に示す時差修正処理(測位モード)手順は、ステップS51及びS64の処理を除いて、図8に示した第1実施形態の時差修正処理(測位モード)手順と同じである。そのため、ステップS51及びS64以外のステップS50〜S86の処理については、その説明を省略する。
第3実施形態のGPS付き腕時計は、測位モードに設定された場合、図17に示す時差修正処理(測位モード)を実行する。
図15に示した時刻修正処理(測時モード)手順と同様に、受信が開始されると(ステップS50)、ベースバンド部60(電圧検出制御手段60−7)は、電圧検出回路32に電池24の出力電圧を検出させる(ステップS51)。そして、ベースバンド部60(電圧検出制御手段60−7)は、検出電圧値をSRAM63等に記憶する。
そして、ステップS52以降の処理が行われ、ステップS64における衛星信号デコード時間設定処理において、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、SRAM63等に記憶された検出電圧値に基づいて、衛星信号デコード時間Tdを設定する。
そして、ステップS66以降の処理が行われて、時差修正処理(測位モード)が終了する。
図18は、第3実施形態のGPS付き腕時計の時差修正処理(測位モード)手順における衛星信号デコード時間設定手順(ステップS64)の一例を示すフローチャートである。
図18の衛星信号デコード時間設定手順において、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、捕捉したGPS衛星10の数と、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルと、電池24の検出電圧値に応じて、衛星信号デコード時間Tdを可変に設定する。
具体的には、捕捉したGPS衛星10の数が5以下である場合(ステップS264−1でYesの場合)、かつ、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルの最小値が−135dBm以下である場合(ステップS264−2でYesの場合)は、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の検出電圧値が3.3Vより低い場合(ステップS264−3でNoの場合)、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(60sec.)+60sec.=120sec.に設定する(ステップS264−4)。一方、電池24の検出電圧値が3.3V以上の場合(ステップS264−3でYesの場合)、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T1(120sec.)+60sec.=180sec.に設定する(ステップS264−5)。
また、捕捉したGPS衛星10の数が5より多い場合(ステップS264−1でNoの場合)、又は、測位計算に使用する4個のGPS衛星10からの衛星信号の受信レベルの最小値が−135dBmより高い場合(ステップS264−2でNoの場合)は、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の検出電圧値が3.3Vより低い場合(ステップS264−6でNoの場合)、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T0(60sec.)+120sec.=180sec.に設定する(ステップS264−7)。一方、電池24の検出電圧値が3.3V以上の場合(ステップS264−6でYesの場合)、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、衛星信号デコード時間Tdを、Td=T1(120sec.)+120sec.=240sec.に設定する(ステップS264−8)。
[第3実施形態の効果]
第3実施形態のGPS付き腕時計によれば、第1実施形態のGPS付き腕時計と同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
第3実施形態のGPS付き腕時計では、図13〜図18に示したように、電池24の出力電圧に基づいて、衛星信号デコード時間Tdを可変に設定する。従って、第3実施形態のGPS付き腕時計によれば、電池の残量に応じて消費電力を最適化することができる。
また、第3実施形態のGPS付き腕時計では、図16及び図18に示したように、電池24の出力電圧が所定値(3.3V)より低い場合には、電池24の出力電圧が所定値(3.3V)より高い場合よりも短い衛星信号デコード時間Tdを設定する。従って、第3実施形態のGPS付き腕時計によれば、電池残量が少ない場合には、より短時間で衛星情報を取得できなければ時刻修正処理(測時モード)又は時差修正処理(測位モード)を中止するので、無駄に電力を消費することを防止し、システムダウンの可能性を低減することができる。
2−4.第4実施形態
第4実施形態のGPS付き腕時計の構造は、図3に示した第1実施形態のGPS付き腕時計の構造と同様であるため、その説明を省略する。また、第4実施形態のGPS付き腕時計の回路構成は、図13及び図14に示した第3実施形態のGPS付き腕時計の構成と同様であるため、その説明を省略する。
第4実施形態のGPS付き腕時計において、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電圧検出回路32が検出した電池24の出力電圧値に応じて捕捉時間Tsを可変に設定する。例えば、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の出力電圧が所定値より低い場合には、電池24の出力電圧が当該所定値より高い場合よりも短い捕捉時間Tsを設定する。
第4実施形態のGPS付き腕時計の時刻修正処理(測時モード)手順及び時差修正処理(測位モード)手順は、捕捉時間設定処理(ステップS12、S52の処理)を除いて、図15及び図17に示した第3実施形態のGPS付き腕時計の各手順と同じである。以下では、第4実施形態における捕捉時間設定処理の手順について説明する。
図19は、第4実施形態のGPS付き腕時計の時刻修正処理(測時モード)手順(図15に示した処理手順と同じ)における捕捉時間設定処理(ステップS12の処理)の手順の一例を示すフローチャートである。
図19の捕捉時間設定手順において、電池24の検出電圧値が3.0Vより低い場合(ステップS12−1でNoの場合)は、GPS装置70の受信動作が強制的に終了する(ステップS44)。一方、電池24の検出電圧値が3.0V以上の場合(ステップS12−1でYesの場合)は、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の検出電圧値に応じて捕捉時間Tsを可変に設定する。
具体的には、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の検出電圧値が3.0V以上で3.3Vより低い場合(ステップS12−1でYes、かつ、ステップS12−2でYesの場合)は、捕捉時間Tsを、Ts=T1(30sec.)に設定する(ステップS12−3)。
また、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の検出電圧値が3.3V以上で3.7Vより低い場合(ステップS12−2でNo、かつ、ステップS12−4でNoの場合)は、捕捉時間Tsを、Ts=T1(30sec.)×2=60sec.に設定する(ステップS12−5)。
さらに、ベースバンド部60(制限時間設定手段60−1)は、電池24の検出電圧値が3.7V以上の場合(ステップS12−4でYesの場合)は、捕捉時間Tsを、Ts=T1(30sec.)×3=90sec.に設定する(ステップS12−6)。
なお、第4実施形態のGPS付き腕時計の時差修正処理(測位モード)手順(図17に示した処理手順と同じ)における捕捉時間設定処理(ステップS52の処理)の手順は、図19に示した捕捉時間設定処理の手順と同じであるため、その説明を省略する。
[第4実施形態の効果]
第4実施形態のGPS付き腕時計によれば、第1実施形態のGPS付き腕時計と同様の効果に加えて、以下のような効果が得られる。
第4実施形態のGPS付き腕時計では、図19に示したように、電池24の出力電圧に基づいて、捕捉時間Tsを可変に設定する。従って、第3実施形態のGPS付き腕時計によれば、電池の残量に応じて消費電力を最適化することができる。
また、第4実施形態のGPS付き腕時計では、図19に示したように、電池24の出力電圧が所定値(3.3V)より低い場合には、電池24の出力電圧が所定値(3.3V)より高い場合よりも短い捕捉時間Tsを設定する。従って、第4実施形態のGPS付き腕時計によれば、電池残量が少ない場合には、より短時間で必要数のGPS衛星10を捕捉できなければ時刻修正処理(測時モード)又は時差修正処理(測位モード)を中止するので、無駄に電力を消費することを防止し、システムダウンの可能性を低減することができる。
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。