JP5441102B2 - 高耐食性表面処理鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、家電、建材用途に最適な表面処理鋼板であって、特に表面処理鋼板の製造時および表面処理皮膜中にクロムを含まない表面処理鋼板に関するものである。
従来、亜鉛系めっき材などのような金属表面の耐食性を向上させるために、クロム酸塩処理やリン酸塩処理が広く行われている。しかしながら、近年、クロムの毒性や、リン酸塩処理で生じるスラッジが産業廃棄物となることなどが社会問題になっている。
従来、クロム酸塩処理やリン酸塩処理以外の処理方法として、例えば、以下のようなものが提案されている。
(1)重燐酸アルミニウムを含有する水溶液で処理した後、150〜550℃の温度で加熱する表面処理方法(例えば、特許文献1)
(2)タンニン酸を含有する水溶液で処理する方法(例えば、特許文献2)
(3)亜硝酸ナトリウム、硼酸ナトリウム、イミダゾール、芳香族カルボン酸、界面活性剤等による処理方法若しくはこれらを組み合せた処理方法
特公昭53−28857号公報 特開昭51−71233号公報 特開2001−49450号公報 特開2003−34713号公報
しかしながら、上記(1)の方法は、形成された皮膜の上に塗料を塗装する場合、塗膜の密着性が十分でなく、また、(2)の方法は耐食性が不十分である。また、(3)の方法は、いずれも高温多湿の雰囲気に暴露された場合の耐食性が劣るという問題がある。
一方、耐食性を向上させるために、ヒドラジン誘導体を用いた表面処理組成物が開発され、例えば、特許文献3,4にはそのような表面処理組成物で処理する方法が提案されている。しかし、この方法において表面処理組成物に高分子量エポキシ樹脂を使用したとしても、鋼板に厳しい加工を加えた場合は十分に満足する塗膜性能が得られない。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、クロムやリン酸塩による処理を適用することなく、優れた耐食性が得られる表面処理鋼板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、特定のエポキシ樹脂を軟質成分で変性し、さらに活性水素を有するヒドラジン誘導体を反応させて得られる樹脂に特定の架橋剤と非クロム系防錆添加剤と特定の複合固形潤滑剤を配合した表面処理組成物を用いて皮膜を形成することにより、優れた耐食性と加工性が得られること、特に加工後における高度な耐食性が得られることを見出した。
本発明は以上のような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、下記成分(A)〜(D)を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.1〜3.0μmの表面処理皮膜を有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
(A)エポキシ当量が750〜5000で且つ数平均分子量が1500〜10000のビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)に、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)を反応させて得られた樹脂溶液
(B)水酸基と反応する官能基を有する硬化剤
(C)非クロム系防錆添加剤:成分(A)および(B)の樹脂固形分の合計100質量部に対して固形分の割合で0.1〜50質量部
(D)融点が100〜130℃であるポリエチレン系固形潤滑剤(d1)と平均粒子径が5〜7μmであるポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(d2)を(d1)/(d2)=5/5〜1/9の質量比で含む複合固形潤滑剤:成分(A)および成分(B)の樹脂固形分の合計100質量部に対して固形分の割合で1〜30質量部
[2]亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、第一層として、クロムを含まない有機、無機または有機無機複合皮膜を有し、
その上層に第二層として、下記成分(A)〜(D)を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.1〜3.0μmの表面処理皮膜を有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
(A)エポキシ当量が750〜5000で且つ数平均分子量が1500〜10000のビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)に、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)を反応させて得られた樹脂溶液
(B)水酸基と反応する官能基を有する硬化剤
(C)非クロム系防錆添加剤:成分(A)および(B)の樹脂固形分の合計100質量部に対して固形分の割合で0.1〜50質量部
(D)融点が100〜130℃であるポリエチレン系固形潤滑剤(d1)と平均粒子径が5〜7μmであるポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(d2)を(d1)/(d2)=5/5〜1/9の質量比で含む複合固形潤滑剤:成分(A)および成分(B)の樹脂固形分の合計100質量部に対して固形分の割合で1〜30質量部
[3]上記[1]または[2]の表面処理鋼板において、表面処理組成物が含有する成分(A)は、[ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)のモル数]/[1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)のモル数]の比が1.1〜5であることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの表面処理鋼板において、表面処理組成物が含有する成分(A)において、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)が、脂肪族ジカルボン酸であることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの表面処理鋼板において、表面処理組成物が含有する成分(A)において、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)が、メルカプトトリアゾールおよび/またはアミノトリアゾールであることを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの表面処理鋼板において、表面処理組成物が、成分(C)の非クロム系防錆添加剤として、下記(c1)〜(c5)の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
(c1)酸化ケイ素
(c2)カルシウム化合物
(c3)難溶性リン酸化合物
(c4)モリブデン酸化合物
(c5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
本発明の表面処理鋼板は、クロムやリン酸塩による処理を行うことなく、優れた平板および加工後の耐食性を有し、しかも加工性、溶接性、塗装性にも優れている。
以下、本発明の詳細とその限定理由を説明する。
本発明の表面処理鋼板のベースとなる亜鉛系めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、Zn−Ni合金めっき鋼板、Zn−Fe合金めっき鋼板(電気めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板)、Zn−Cr合金めっき鋼板、Zn−Mn合金めっき鋼板、Zn−Co合金めっき鋼板、Zn−Co−Cr合金めっき鋼板、Zn−Cr−Ni合金めっき鋼板、Zn−Cr−Fe合金めっき鋼板、Zn−Al合金めっき鋼板(例えば、Zn−5%Al合金めっき鋼板、Zn−55%Al合金めっき鋼板)、Zn−Mg合金めっき鋼板、Zn−Al−Mg合金めっき鋼板(例えば、Zn−6%Al−3%Mg合金めっき鋼板、Zn−11%Al−3%Mg合金めっき鋼板)、さらにはこれらのめっき鋼板のめっき皮膜中に金属酸化物、ポリマーなどを分散した亜鉛系複合めっき鋼板(例えば、Zn−SiO分散めっき鋼板)などを用いることができる。
また、上記のようなめっきのうち、同種または異種のものを2層以上めっきした複層めっき鋼板を用いることもできる。
また、本発明の表面処理鋼板のベースとなるアルミニウム系めっき鋼板としては、アルミニウムめっき鋼板、Al−Si合金めっき鋼板などを用いることができる。
また、めっき鋼板としては、鋼板面に予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記のような各種めっきを施したものであってもよい。
めっき方法としては、電解法(水溶液中での電解または非水溶媒中での電解)、溶融法、気相法のうち、実施可能ないずれの方法を採用することもできる。
さらに、めっきの黒変を防止する目的で、めっき皮膜中にNi,Co,Feの1種以上の微量元素を1〜2000ppm程度析出させたり、或いはめっき皮膜表面にNi,Co,Feの1種以上を含むアルカリ性水溶液または酸性水溶液による表面調整処理を施し、これらの元素を析出させるようにしてもよい。
次に、上記亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜およびこの皮膜形成用の表面処理組成物について説明する。
本発明の表面処理鋼板において、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に形成される表面処理皮膜は、下記成分(A)〜(D)を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.1〜3.0μmの皮膜である。この表面処理皮膜はクロム(但し、不可避不純物としてのクロムを除く)を含まない。
(A)エポキシ当量が750〜5000で且つ数平均分子量が1500〜10000のビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)に、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)を反応させて得られた樹脂溶液
(B)水酸基と反応する官能基を有する硬化剤
(C)非クロム系防錆添加剤
(D)ポリエチレン系固形潤滑剤(d1)とポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(d2)を(d1)/(d2)=5/5〜1/9の質量比で含む複合固形潤滑剤
まず、上記成分(A)である樹脂溶液(エポキシ樹脂溶液)について説明する。
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)としては、数平均分子量が1500〜10000、好ましくは2000〜8000、エポキシ当量が750〜5000、好ましくは1000〜4000の範囲のものを用いる。数平均分子量が1500未満またはエポキシ当量が750未満では、硬化反応率が低くなり、皮膜硬度が不足する。一方、数平均分子量が10000超またはエポキシ当量が5000超では、塗液が高粘度化して取扱が困難になる。また、このような塗液の高粘度化に対して塗液濃度を低下させると、目標膜厚の確保が難しくなり、実用性が低下する。
また、得られる塗膜の耐食性の面からは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)としては、ビスフェノールAとエピハロヒドリンとの反応生成物である下記化学構造式で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
Figure 0005441102
上記化学構造式中、qは0〜50の整数、好ましくは1〜40の整数、特に好ましくは2〜20の整数である。
このようなビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)の市販品としては、例えばジャパンエポキシレジン(株)製のjER1004(エポキシ当量約950、数平均分子量約1600)、jER1007(エポキシ当量約2250、数平均分子量約2900)、jER1009(エポキシ当量約3250、数平均分子量約3750)、jER1010(エポキシ当量約4000、数平均分子量約5500)、旭チバ社製のアラルダイトAER6099(エポキシ当量約3500、数平均分子量約3800)、三井化学(株)製のエポミックR−309(エポキシ当量約3500、数平均分子量約3800)などを挙げることができる(いずれも商品名)。
また、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)としては、構造は特に限定しないが、例えば、多塩基酸化合物、なかでも脂肪族ジカルボン酸(a21)、または多塩基酸化合物と多価アルコールとの重縮合反応によって得られる末端に2個のカルボキシル基を有する重縮合物(a22)等が特に好適に適用できる。
多塩基酸化合物としては、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、クロロマレイン酸、フマル酸、ドデカンニ酸、ピメリン酸、アゼライン酸、イタコン酸、ジトラコン酸等の炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸、前記炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸の誘導体、ダイマー酸及び水添ダイマー、フタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。これらのなかでも特に、例えばアジピン酸、セバシン酸、ドデカンニ酸などのような炭素数が4以上の直鎖二塩基酸が、プレス加工性の面から好ましい。
また、上記重縮合物(a22)の製造に用いる多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。特に、多塩基酸化合物としてアジピン酸、セバシン酸、ドデカンニ酸などのような直鎖二塩基酸と、多価アルコールの中でも1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのような直鎖グリコールとの重縮合物を用いることが、プレス加工性の面から好ましい。
上記活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)の具体例としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)カルボヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、チオカルボヒドラジド、4,4′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゾフェノンヒドラゾン、アミノポリアクリルアミドなどのヒドラジド化合物;
(2)ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ピラゾロン、3−アミノ−5−メチルピラゾールなどのピラゾール化合物;
(3)1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,3−ジヒドロ−3−オキソ−1,2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1水和物)、6−メチル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、6−フェニル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、5−ヒドロキシ−7−メチル−1,3,8−トリアザインドリジンなどのトリアゾール化合物;
(4)5−フェニル−1,2,3,4−テトラゾール、5−メルカプト−1−フェニル−1,2,3,4−テトラゾールなどのテトラゾール化合物;
(5)5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどのチアジアゾール化合物;
(6)マレイン酸ヒドラジド、6−メチル−3−ピリダゾン、4,5−ジクロロ−3−ピリダゾン、4,5−ジブロモ−3−ピリダゾン、6−メチル−4,5−ジヒドロ−3−ピリダゾンなどのピリダジン化合物;
また、これらのなかでも5員環または6員環の環状構造を有し、環状構造中に窒素原子を有するピラゾール化合物、トリアゾール化合物が特に好適である。
以上挙げたヒドラジン誘導体は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、メルカプトトリアゾール、アミノトリアゾールは、エポキシ基との反応性に優れ、且つ塗料の保管安定性にも優れるため、特に好適である。
ここで、成分(A)であるエポキシ樹脂溶液の製造では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)に、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)を60〜200℃、好ましくは100〜160℃の温度で、酸価が1mgKOH/g以下まで反応させた樹脂(I)を得た後、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)を40〜200℃、好ましくは80〜130℃の温度で約1〜8時間反応させる。
成分(A)の製造において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)と、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)の反応割合は、各モル数の合計に対して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)を35〜90モル%、好ましくは40〜70モル%、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)を5〜50モル%、好ましくは10〜45モル%、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)を5〜45モル%、好ましくは8〜40モル%の範囲とすることが適当である。
上記樹脂(I)の製造においては、特に、[ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)のモル数]/[1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)のモル数]=1.1〜5、好ましくは1.2〜3、さらに好ましくは1.25〜2とする。上記範囲とすることで、樹脂(I)の末端をエポキシ基とし、そこに、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)を反応させることができ、耐食性の向上を図ることができる。また、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)は、エポキシ樹脂と比較して軟質成分であり、このような軟質成分をエポキシ樹脂中に均一に適正量分布させることで、耐食性と加工性の両立を図ることができる。なお、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)のモル数/化合物(a2)のモル数が1.1〜5の範囲からはずれると、軟質成分である脂肪族炭化水素鎖が不均一に分布し、得られた皮膜の加工性を損なうため好ましくない。また、樹脂(I)が高分子化してワニス粘度が高くなり、取扱い作業および製造上の面からも好ましくない。
上記反応は有機溶剤を加えて行ってもよく、使用する有機溶剤の種類は特に限定されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの水酸基を含有するアルコール類やエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などを例示でき、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、これらのなかでエポキシ樹脂との溶解性、皮膜形成性などの面からは、ケトン系またはエーテル系の溶剤が特に好ましい。
次に、上記成分(B)である、水酸基と反応する官能基を有する硬化剤について説明する。
緻密なバリア皮膜を形成するために、樹脂組成物中に水酸基と反応する官能基を有する硬化剤を配合し、皮膜を加熱硬化させる。樹脂組成物による皮膜を形成する場合の硬化方法としては、(1)イソシアネートと基体樹脂中の水酸基とのウレタン化反応を利用する硬化方法、(2)メラミン、尿素およびベンゾグアナミンの中から選ばれた1種以上にホルムアルデヒドを反応させてなるメチロール化合物の一部若しくは全部に炭素数1〜5の1価アルコールを反応させてなるアルキルエーテル化アミノ樹脂と基体樹脂中の水酸基との間のエーテル化反応を利用する硬化方法、が適当であるが、このうちイソシアネートと基体樹脂中の水酸基とのウレタン化反応を利用する硬化方法が好ましい。
上記(1)の硬化方法で用いることができる硬化剤としてのポリイソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する脂肪族、脂環族(複素環を含む)または芳香族イソシアネート化合物、若しくはそれらの化合物を多価アルコールで部分反応させた化合物が好ましい。このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば以下のものが例示できる。
(i)m−またはp−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、o−またはp−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート
(ii)上記(i)の化合物単独またはそれらの混合物と多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなどの2価アルコール類;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;ペンタエリスリトールなどの4価アルコール;ソルビトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコールなど)との反応生成物であって、1分子中に少なくとも2個のイソシアネートが残存する化合物
これらのポリイソシアネート化合物は、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
また、ポリイソシアネート化合物の保護剤(ブロック剤)としては、例えば、
(1)メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクチルアルコールなどの脂肪族モノアルコール類;
(2)エチレングリコールおよび/またはジエチレングリコールのモノエーテル類、例えば、メチル、エチル、プロピル(n−,iso)、ブチル(n−,iso,sec)などのモノエーテル;
(3)フェノール、クレゾールなどの芳香族アルコール;
(4)アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシムなどのオキシム;
などが使用でき、これらの1種または2種以上と前記ポリイソシアネート化合物とを反応させることにより、少なくとも常温下で安定に保護されたポリイソシアネート化合物を得ることができる。
成分(B)の硬化剤の配合割合は、成分(A)の樹脂溶液の固形分100質量部に対して1〜60質量部とすることが好ましい。硬化剤の配合割合が1質量部未満ではアルカリ脱脂性が低下し、加工後耐食性が劣化するため好ましくない。一方、60質量部を超えると加工性が低下し、加工による皮膜損傷が大きくなり、この場合も加工後耐食性が劣化するため好ましくない。
また、成分(B)である硬化剤として、上記のようなポリイソシアネート化合物を用いる場合には、上記成分(A)である樹脂溶液に対して、固形分の質量比で(A)/(B)=95/5〜55/45、好ましくは(A)/(B)=90/10〜65/35の割合で配合するのが適当である。ポリイソシアネート化合物には吸水性があり、これを過剰に配合すると皮膜の密着性を劣化させてしまう。さらに、未反応のポリイソシアネート化合物が電着塗装などによる上塗り塗膜中に移動し、塗膜の硬化阻害や密着性不良を起こしてしまう。
なお、エポキシ樹脂は以上のような架橋剤(硬化剤)の添加により十分に架橋するが、さらに低温架橋性を増大させるため、公知の硬化促進触媒を使用することが望ましい。この硬化促進触媒としては、例えば、N−エチルモルホリン、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸コバルト、塩化第1スズ、ナフテン酸亜鉛、硝酸ビスマスなどが使用できる。
次に、上記成分(C)である非クロム系防錆添加剤について説明する。
表面処理皮膜中に非クロム系防錆添加剤を含有させることにより、より優れた防食性能(自己補修性)を得ることができる。
この非クロム系防錆添加剤は、特に下記(c1)〜(c5)の中から選ばれる1つ以上を用いることが好ましい。
(c1)酸化ケイ素
(c2)カルシウム化合物
(c3)難溶性リン酸化合物
(c4)モリブデン酸化合物
(c5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
これら(c1)〜(c5)の非クロム系防錆添加剤の詳細及び防食機構は以下の通りである。
まず、上記(c1)の成分としては微粒子シリカであるコロイダルシリカや乾式シリカを使用することができるが、耐食性の観点からは特に、カルシウムをその表面に結合させたカルシウムイオン交換シリカを使用するのが望ましい。
コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学(株)製のスノーテックスO、20、30、40、C、S(いずれも商品名)を用いることができ、また、ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル(株)製のAEROSIL R971、R812、R811、R974、R202、R805、130、200、300、300CF(いずれも商品名)を用いることができる。また、カルシウムイオン交換シリカとしては、W.R.Grace&Co.製のSHIELDEX C303、SHIELDEX AC3、SHIELDEX AC5(いずれも商品名)、富士シリシア化学(株)製のSHIELDEX、SHIELDEX SY710(いずれも商品名)などを用いることができる。これらシリカは、腐食環境下において緻密で安定な亜鉛の腐食生成物の生成に寄与し、この腐食生成物がめっき表面に緻密に形成されることによって、腐食の促進を抑制する。
また、上記(c2)、(c3)の成分は沈殿作用によって特に優れた防食性能(自己補修性)を発現する。
上記(c2)の成分であるカルシウム化合物は、カルシウム酸化物、カルシウム水酸化物、カルシウム塩のいずれでもよく、これらの1種または2種以上を使用できる。また、カルシウム塩の種類にも特に制限はなく、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどのようなカチオンとしてカルシウムのみを含む単塩のほか、リン酸カルシウム・亜鉛、リン酸カルシウム・マグネシウムなどのようなカルシウムとカルシウム以外のカチオンを含む複塩を使用してもよい。この(c2)の成分は、腐食環境下においてめっき金属である亜鉛やアルミニウムよりも卑なカルシウムが優先溶解し、これがカソード反応により生成したOHと緻密で難溶性の生成物として欠陥部を封鎖し、腐食反応を抑制する。また、上記のようなシリカとともに配合された場合には、表面にカルシウムイオンが吸着し、表面電荷を電気的に中和して凝集する。その結果、緻密で且つ難溶性の保護皮膜が生成して腐食が封鎖し、腐食反応を抑制する。
また、上記(c3)である難溶性リン酸化合物としては、難溶性リン酸塩を用いることができる。この難溶性リン酸塩は単塩、複塩など全ての種類の塩を含む。また、それを構成する金属カチオンに限定はなく、難溶性のリン酸亜鉛、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどのいずれの金属カチオンでもよい。また、リン酸イオンの骨格や縮合度などにも限定はなく、正塩、二水素塩、一水素塩または亜リン酸塩のいずれでもよく、さらに、正塩はオルトリン酸塩の他、ポリリン酸塩などの全ての縮合リン酸塩を含む。この難溶性リン化合物は、腐食によって溶出しためっき金属の亜鉛やアルミニウムが、加水分解により解離したリン酸イオンと錯形成反応により緻密で且つ難溶性の保護皮膜を生成して腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
また、上記(c4)のモリブデン酸化合物としては、例えば、モリブデン酸塩を用いることができる。このモリブデン酸塩は、その骨格、縮合度に限定はなく、例えばオルトモリブデン酸塩、パラモリブデン酸塩、メタモリブデン酸塩などが挙げられる。また、単塩、複塩などの全ての塩を含み、複塩としてはリンモリブデン酸塩などが挙げられる。モリブデン酸化合物は不動態化効果によって自己補修性を発現する。すなわち、腐食環境下で溶存酸素と共にめっき皮膜表面に緻密な酸化物を形成することで腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
また、上記(c5)の有機化合物としては、例えば、以下のようなものを挙げることができる。すなわち、トリアゾール類としては、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾールなどが、またチオール類としては、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、2−メルカプトベンツイミダゾールなどが、またチアジアゾール類としては、5−アミノ−2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどが、またチアゾール類としては、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール類などが、またチウラム類としては、テトラエチルチウラムジスルフィドなどが、それぞれ挙げられる。これらの有機化合物は吸着効果によって自己補修性を発現する。すなわち、腐食によって溶出した亜鉛やアルミニウムがこれらの有機化合物が有する硫黄を含む極性基に吸着して不活性皮膜を形成することで腐食起点を封鎖し、腐食反応を抑制する。
成分(C)の非クロム系防錆添加剤の配合量は、表面処理組成物中の成分(A)および(B)の樹脂固形分の合計100質量部に対して、固形分の割合で0.1〜50質量部、さらに好ましくは0.5〜30質量部とすることが適当である。この非クロム系防錆添加剤の配合量が0.1質量部未満では、アルカリ脱脂後の耐食性向上効果が十分に得られず、一方、50質量部を超えると塗装性及び加工性が低下するだけでなく、耐食性も低下する傾向がある。
なお、上記(c1)〜(c5)の防錆添加剤を2種以上複合添加してもよく、この場合にはそれぞれ固有の防食作用が複合化されるため、より高度の耐食性が得られる。特に、上記(c1)の成分としてカルシウムイオン交換シリカを用い、且つこれに(c3)、(c4)、(c5)の成分の1種以上、特に好ましくは(c3)〜(c5)の成分の全部を複合添加した場合に特に優れた耐食性が得られる。
また、表面処理皮膜(表面処理組成物)中には、腐食抑制剤として、他の酸化物微粒子(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモンなど)、リンモリブデン酸塩(例えば、リンモリブデン酸アルミニウムなど)、有機インヒビター(例えば、ヒドラジンおよびその誘導体、チオール化合物、チオカルバミン酸塩など)などの1種または2種以上を添加できる。
次に、上記成分(D)である複合固形潤滑剤について説明する。
表面処理皮膜(表面処理組成物)中には、皮膜の加工性を向上させ、ひいては加工部耐食性を向上させるために、ポリエチレン系固形潤滑剤(d1)とポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(d2)を(d1)/(d2)=5/5〜1/9の質量比で含む複合固形潤滑剤を配合する。
このようにポリエチレン系固形潤滑剤(d1)とポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(d2)とからなる複合固形潤滑剤を配合することにより、それらを単独で配合した場合に比べて、特に優れた加工性を得ることができる。
ポリエチレン系固形潤滑剤(d1)としては、例えば、クラリアントジャパン(株)製のセリダスト9615A、セリダスト3715、セリダスト3620、セリダスト3910(いずれも商品名)、三洋化成(株)製のサンワックス131−P、サンワックス161−P(いずれも商品名)、三井化学(株)製のケミパールW−100、ケミパールW−200、ケミパールW−500、ケミパールW−800、ケミパールW−950(いずれも商品名)などを用いることができる。
また、ポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(d2)としては、例えば、ダイキン工業(株)製のルブロンL−2、ルブロンL−5(いずれも商品名)、三井・デュポンフロロケミカル(株)製のMP1100、MP1200(いずれも商品名)、旭硝子(株)製のフルオンL150J、フルオンL155J(いずれも商品名)、シャムロック社製のSST−3(商品名)などを用いることができる。
ここで、ポリエチレン系固形潤滑剤(d1)とポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(d2)の質量比(d1)/(d2)が5/5〜1/9の範囲外では、固形潤滑剤の複合化による加工性の向上効果が十分に得られない。
ポリエチレン系固形潤滑剤(d1)は、融点が100〜130℃であることが好ましい。融点が100℃未満、130℃超のいずれの場合も加工性が低下しやすい。
また、ポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(d2)は平均粒子径が1〜7μmであることが好ましい。平均粒子径が1μm未満では加工性が低下しやすい。一方、平均粒子径が7μm超では固形潤滑剤が皮膜から脱落しやすくなり、この場合も加工性が低下しやすい。
成分(D)の複合固形潤滑剤の配合量は、成分(A)および成分(B)の樹脂固形分の合計100質量部に対して、固形分の割合で1〜30質量部、さらに好ましくは1〜10質量部とすることが適当である。固形潤滑剤の配合量が1質量部未満では潤滑効果が乏しく、一方、配合量が30質量部を超えると塗装性が低下しやすい。
また、以上のような複合固形潤滑剤の他に、必要に応じて、脂肪酸アミド系化合物(例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミドなど)、金属石けん類(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウムなど)、金属硫化物(例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステンなど)、グラファイト、フッ化黒鉛、窒化ホウ素、ポリアルキレングリコール、アルカリ金属硫酸塩などの1種または2種以上を適量配合してもよい。
表面処理皮膜(表面処理組成物)には、さらに必要に応じて、添加剤として、有機着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料など)、着色染料(例えば、有機溶剤可溶性アゾ系染料、水溶性アゾ系金属染料など)、無機顔料(例えば、酸化チタンなど)、キレート剤(例えば、チオールなど)、導電性顔料(例えば、亜鉛、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉末、リン化鉄、アンチモンドープ型酸化錫など)、カップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤など)、メラミン・シアヌル酸付加物などの1種または2種以上を添加することができる。
表面処理皮膜の乾燥膜厚は0.1〜3.0μm、好ましくは0.3〜1.5μmとする。表面処理皮膜の膜厚が0.1μm未満では耐食性が不十分であり、一方、膜厚が3.0μmを超えると溶接性や電着塗装性が低下する。
以上述べた表面処理皮膜の下層には、必要に応じてクロムを含まない有機、無機又は有機無機複合皮膜を形成することができる。すなわち、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、第一層として有機皮膜、無機皮膜又は有機無機複合皮膜(以下、便宜上「下層皮膜」という)を形成し、その上層に上述した成分(A)〜(D)を含有する表面処理組成物による表面処理皮膜を形成するものである。
この下層皮膜の機能はめっき面との強固な密着性を付与し、下層皮膜−めっき界面でのめっき金属の腐食を抑制することにある。このような下層皮膜とその上層の表面処理皮膜とによる二層皮膜構造により、表面処理皮膜単層の場合よりもさらに優れた耐食性を実現することができる。
下層皮膜は、めっき金属との反応層を形成する狙いで非晶質性のリン酸化合物を含有することが望ましい。この非晶質性のリン酸化合物は、亜鉛などのめっき金属との密着性を確保する上で有利であるばかりでなく、皮膜中の可溶性リン酸が、腐蝕によって溶出した亜鉛やアルミニウムなどを捕捉することで白錆の発生を抑制する効果がある。
下層皮膜中に非晶質性のリン酸化合物を含有させるためには、下層皮膜用の処理液にリン酸および必要に応じて水溶性リン酸塩を配合すればよい。水溶性リン酸塩としては、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸などの金属塩の1種以上を用いることができる。また、有機リン酸の塩(例えば、フィチン酸、ホスホン酸、およびこれらの金属塩)の1種以上を用いてもよい。また、それらのなかでも第一リン酸塩が特に好適である。
このような非晶質性のリン酸化合物に加えて、さらに、耐食性と電着塗装性の向上を目的として酸化物微粒子などを配合することもできる。このような酸化物微粒子としては、コロイダルシリカなどのような二酸化珪素が望ましい。コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学(株)製のスノーテックスO、OS、OXS、OUP、AK、O40、OL、OZL(以上酸性溶液,いずれも商品名)、スノーテックスXS、S、NXS、NS、N、QAS−25、LSS−35、LSS−45、LSS−75(以上アルカリ性溶液,いずれも商品名)などを用いることができる。また、触媒化成工業(株)のカタロイドS、SI−350、SI−40、SA(以上アルカリ性溶液,いずれも商品名)、カタロイドSN(酸性溶液,商品名)、旭電化工業(株)製のアデライトAT−20〜50、AT−20N、AT−300、AT−300S(以上アルカリ性溶液,いずれも商品名)、アデライトAT20Q(酸性溶液,商品名)なども用いることができる。また、これらのなかでも特に、粒子径が14nm以下のもの、より望ましくは8nm以下の微細なものが耐食性の観点から好ましい。また、乾式シリカ微粒子を皮膜組成物溶液に分散させたものを用いてもよい。この乾式シリカとしては、日本アエロジル(株)製のAEROSIL200、300、300CF、380などを用いることができ、なかでも粒子径12nm以下、より望ましくは7nm以下のものが好ましい。
酸化物微粒子としては、以上のような二酸化珪素の他に、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化アンチモンなどのコロイド溶液、微粉末を用いることもできる。これらの酸化物微粒子は、1種または2種以上を用いることができる。
なお、従来のリン酸塩処理(結晶性)は、加工性・溶接性が劣るため、好ましくない。
また、下層皮膜は、無機皮膜、有機皮膜または有機無機複合皮膜のいずれでもよいが、自動車用鋼板として厳しいプレス加工を配慮すると、有機樹脂を配合していること、すなわち有機皮膜または有機無機複合皮膜であることが望ましい。有機樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリヒドロキシポリエーテル樹脂、ポリアルキレングリコール変性エポキシ樹脂、及びこれらの有機樹脂をさらに変性させた樹脂などが好ましく、これらの有機樹脂の1種または2種以上を用いることができる。
また、下層皮膜にシランカップリング剤などを添加することにより、さらに耐食性を向上させることができる。このシランカップリング剤としては、例えば、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメエキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−(ビニルベンジルアミン)−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
これらのシランカップリング剤を含む皮膜が耐食性に優れる理由は、水溶液中のシランカップリグ剤が加水分解することにより生じたシラノール基(Si−OH)がめっき皮膜表面と水素結合をし、さらには脱水縮合反応により優れた密着性を付与することによるものと考えられる。
下層皮膜の皮膜厚は0.01〜2.0μmとすることが好ましい。皮膜厚が0.01μm未満では、耐食性の向上効果が顕著でなく、一方、2.0μmを超えると加工性が低下するため、加工による皮膜損傷が大きくなり、加工後耐食性の向上効果が顕著でなくなるので好ましくない。
また、溶接性や電着塗装性の観点からは、下層皮膜と第二層の表面処理皮膜の合計膜厚は3.0μm以下であることが好ましい。
次に、本発明の表面処理鋼板の製造方法について説明する。
亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に上記表面処理皮膜を形成するには、上述した組成を有する表面処理組成物(処理液)を上述した乾燥膜厚となるようにめっき鋼板面に塗布し、加熱乾燥を行う。
表面処理組成物をめっき鋼板面に形成する方法としては、塗布法、浸漬法、スプレー法のいずれでもよい。塗布処理方法としては、ロールコーター(3ロール方式、2ロール方式など)、スクイズコーター、ダイコーターなどいずれの方法でもよい。また、スクイズコーターなどによる塗布処理または浸漬処理、スプレー処理の後に、エアナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
表面処理組成物をコーティングした後は、通常は水洗することなく加熱乾燥を行うが、表面処理組成物の塗布後に水洗を行ってもよい。加熱乾燥手段としては、ドライヤー、熱風炉、高周波誘導加熱炉、赤外線炉などを用いることができる。加熱乾燥は到達板温で30〜150℃、好ましくは40℃〜140℃の範囲で行うことが望ましい。この加熱乾燥温度が30℃未満では皮膜中に水分が多量に残り、耐食性が不十分となる。また、加熱乾燥温度が150℃を超えると非経済的であるばかりでなく、皮膜に欠陥が生じ耐食性が低下するおそれがある。また、一般に加熱乾燥温度が150℃を超えるとBH鋼板に適用できなくなる。
また、表面処理皮膜の下層側に、下層皮膜(有機皮膜、無機皮膜または無機有機複合皮膜)を形成するには、上述したような表面処理組成物による処理に先だって、亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に下層皮膜用の処理液を塗布し、加熱乾燥を行う。下層皮膜用の処理液の塗布と加熱乾燥は、上述した表面処理皮膜の形成に用いた方法に準じて行えばよい。
第一層形成用として表2に示す表面処理組成物を用いた。この組成物は、有機樹脂、リン酸、シランカップリング剤などを適宜配合し、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所定時間撹拌することで調製した。
第二層用の表面処理組成物については、エポキシ樹脂溶液として表3に示すものを用い、これらに硬化剤を配合して表4に示す樹脂組成物とした。この樹脂組成物に、非クロム系防錆添加剤(表5)、固形潤滑剤(表6)を適宜配合し、塗料用分散機(サンドグラインダー)を用いて所定時間撹拌し、表面処理組成物を調製した。
表3に示すエポキシ樹脂溶液は以下のようにして製造した。
・1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物の製造
[製造例1]
温度計、撹拌機、加熱装置および精留塔を備えた反応装置に、アジピン酸2810質量部(2モル)、1,6ヘキサンジオール1135質量部(1モル)を仕込み、160℃まで昇温し、160℃から230℃までを3時間かけて徐々に昇温し、230℃で30分間反応を続けた後、精留塔を水分離器と置換し、内容物にキシレン144質量部を加え水分離器にもキシレンを入れて、水とキシレンとを共沸させて縮合水を除去し、酸価が300mgKOH/gになるまで反応させた後、冷却し、次いで、シクロヘキサノン256質量部を加え、固形分90%の1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物Xを得た。
[製造例2]
上記製造例1の製造条件中、“アジピン酸2810質量部”をセバチン酸3055質量部(3モル)に、“1,6ヘキサンジオール1135質量部”を1,4ブチレングリコール906質量部(2モル)にそれぞれ置き換え、シクロヘキサノンにて固形分を調整して、固形分90%の1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物Yを得た。
・エポキシ樹脂溶液の製造
表3に示す種類と配合割合のビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)、化合物(a2)および活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)により、本発明条件を満足するエポキシ樹脂溶液No.1〜7と、比較例となるエポキシ樹脂溶液No.8〜11を製造した。
温度計、撹拌機および加熱装置を備えた反応装置に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER1009」1307質量部とシクロヘキサノン571質量部を仕込み、140℃に昇温し、2時間で完全に溶解させ。次いで、ドデカン二酸25質量部を仕込み、この温度で酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させた。このものを80℃に冷却し、シクロヘキサノン539質量部、メチルイソブチルケトン540質量部、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール18質量部を加え、エポキシ基が消失するまで約6時間反応させた。その後、シクロヘキサノン1095質量部、メチルイソブチルケトン405質量部を加え、固形分30%のエポキシ樹脂溶液No.1を得た。
表3に示すような配合内容とする以外は上記と同様の方法にて、エポキシ樹脂溶液No.2〜11を得た。
冷延鋼板をベースとした家電、建材、自動車部品用のめっき鋼板である、表1に示すめっき鋼板を処理原板として用いた。なお、鋼板の板厚は評価の目的に応じて所定の板厚のものを採用した。このめっき鋼板の表面をアルカリ脱脂処理、水洗・乾燥した後、表2に示す第一層形成用の表面処理組成物をロールコーターにより塗布し、各種温度で加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、表面処理組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。次いで、表4に示す第二層用の表面処理組成物をロールコーターにより塗布し、各種温度で加熱乾燥した。皮膜の膜厚は、塗料組成物の固形分(加熱残分)または塗布条件(ロールの圧下力、回転速度など)により調整した。
なお、一部の実施例については、下層皮膜(第一層)を形成することなく、めっき鋼板の表面に表4に示す表面処理組成物をロールコーターにより塗布し、加熱乾燥した。
得られた表面処理鋼板の皮膜組成と品質性能(耐食性、加工後耐食性、溶接性、電着塗装性)を評価した結果を表7〜表10に示す。なお、品質性能の評価は以下のようにして行った。
(1)耐食性
各サンプルについて、下記の複合サイクル試験(CCT)を施し、45サイクル経過後の白錆発生面積率および赤錆発生面積率で評価した。
塩水噴霧(JIS−Z−2371に基づく):4時間

乾燥(60℃):2時間

湿潤(50℃、95%RH):2時間
その評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆発生面積率10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満
○−:白錆発生面積率30%以上で赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
(2)加工後耐食性
各サンプルに対して、下記の条件によるドロービードで変形と摺動を付加し、このサンプルを日本パーカライジング(株)製「FC−4460」を用いて、45℃、2分間の条件で脱脂した後、前記「(1)耐食性」で行ったCCTを施し、36サイクル経過後の白錆発生面積率および赤錆発生面積率で評価した。
押付荷重:800kgf
引抜速度:1000mm/min
ビード肩R:オス側2mmR,メス側3mmR
押し込み深さ:7mm
使用油:スギムラ化学工業(株)製「プレトンR−352L」
その評価基準は以下の通りである。
◎ :白錆発生面積率10%未満
○ :白錆発生面積率10%以上、30%未満
○−:白錆発生面積率30%以上で赤錆発生なし
△ :赤錆発生ありで、赤錆発生面積率10%未満
× :赤錆発生面積率10%以上
(3)溶接性
各サンプルについて、使用電極:CF型Cr−Cu電極、加圧力:200kgf、通電時間:10サイクル/50Hz、溶接電流:10kAの条件で連続打点性の溶接試験を行い、連続打点数で評価した。その評価基準は以下の通りである。
◎ :2000点以上
○ :1000点以上、2000点未満
△ :500点以上、1000点未満
× :500点未満
(4)電着塗装性
各サンプルにカチオン系電着塗料(関西ペイント(株)製「GT−10LF」)を膜厚20μmとなるように塗装した後、170℃×30分の焼付を行った。塗装したサンプルを沸水中に2時間浸漬し、直ちに碁盤目(10×10個、1mm間隔)のカットを入れて接着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離面積率を測定した。その評価基準は以下の通りである。
◎ :剥離なし
○ :剥離面積率5%未満
△ :剥離面積率5%以上、20%未満
× :剥離面積率20%以上
Figure 0005441102
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なお、表7〜表10中に記載の*1〜*7は以下の内容を指す。
*1:表1に記載のNo.(めっき鋼板)
*2:表2に記載のNo.(表面処理組成物)
*3:表4に記載のNo.(樹脂組成物)
*4:表5に記載のNo.(非クロム系防錆添加剤)
*5:表6に記載のNo.(固形潤滑剤)
*6:固形分の質量部
*7:ポリエチレン系固形潤滑剤(g1)とポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(g2)の質量比(g1)/(g2)
Figure 0005441102
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Claims (6)

  1. 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、下記成分(A)〜(D)を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.1〜3.0μmの表面処理皮膜を有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
    (A)エポキシ当量が750〜5000で且つ数平均分子量が1500〜10000のビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)に、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)を反応させて得られた樹脂溶液
    (B)水酸基と反応する官能基を有する硬化剤
    (C)非クロム系防錆添加剤:成分(A)および(B)の樹脂固形分の合計100質量部に対して固形分の割合で0.1〜50質量部
    (D)融点が100〜130℃であるポリエチレン系固形潤滑剤(d1)と平均粒子径が5〜7μmであるポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(d2)を(d1)/(d2)=5/5〜1/9の質量比で含む複合固形潤滑剤:成分(A)および成分(B)の樹脂固形分の合計100質量部に対して固形分の割合で1〜30質量部
  2. 亜鉛系めっき鋼板またはアルミニウム系めっき鋼板の表面に、第一層として、クロムを含まない有機、無機または有機無機複合皮膜を有し、
    その上層に第二層として、下記成分(A)〜(D)を含有する表面処理組成物を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.1〜3.0μmの表面処理皮膜を有することを特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
    (A)エポキシ当量が750〜5000で且つ数平均分子量が1500〜10000のビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)に、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)と、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)を反応させて得られた樹脂溶液
    (B)水酸基と反応する官能基を有する硬化剤
    (C)非クロム系防錆添加剤:成分(A)および(B)の樹脂固形分の合計100質量部に対して固形分の割合で0.1〜50質量部
    (D)融点が100〜130℃であるポリエチレン系固形潤滑剤(d1)と平均粒子径が5〜7μmであるポリテトラフルオロエチレン系固形潤滑剤(d2)を(d1)/(d2)=5/5〜1/9の質量比で含む複合固形潤滑剤:成分(A)および成分(B)の樹脂固形分の合計100質量部に対して固形分の割合で1〜30質量部
  3. 表面処理組成物が含有する成分(A)は、[ビスフェノールA型エポキシ樹脂(a1)のモル数]/[1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)のモル数]の比が1.1〜5であることを特徴とする請求項1または2に記載の高耐食性表面処理鋼板。
  4. 表面処理組成物が含有する成分(A)において、1分子中にカルボキシル基を2個以上有する化合物(a2)が、脂肪族ジカルボン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
  5. 表面処理組成物が含有する成分(A)において、活性水素を有するヒドラジン誘導体(a3)が、メルカプトトリアゾールおよび/またはアミノトリアゾールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
  6. 表面処理組成物が、成分(C)の非クロム系防錆添加剤として、下記(c1)〜(c5)の中から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の高耐食性表面処理鋼板。
    (c1)酸化ケイ素
    (c2)カルシウム化合物
    (c3)難溶性リン酸化合物
    (c4)モリブデン酸化合物
    (c5)トリアゾール類、チオール類、チアジアゾール類、チアゾール類、チウラム類の中から選ばれる1種以上の、S原子を含有する有機化合物
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