JP5407906B2 - 感放射線性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、その他のフォトリソグラフィ工程に使用される感放射線性樹脂組成物に関するものである。詳しくは、220nm以下の遠紫外線などの露光光源、例えば、ArFエキシマレーザーや電子線などを光源とするフォトリソグラフィ工程に好適な感放射線性樹脂組成物を提供するものである。
化学増幅型感放射線性樹脂組成物は、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーに代表される遠紫外光等の放射線照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応により、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度を変化させ、基板上にレジストパターンを形成させる組成物である。
化学増幅型感放射線性樹脂組成物に含有される感放射線性酸発生剤は、放射線に対する透明性が優れ、かつ、酸の発生に際して高い量子収率を有しているという特性が求められる。更に、上記感放射線性酸発生剤が発生する酸は、十分に強く、沸点が十分に高く、レジスト被膜中の拡散距離(以下、「拡散長」ともいう)が適切であることなどの特性が求められる。
上記特性のうち、酸の強さ、沸点および拡散長の特性を満たすためには、イオン性の感放射線性酸発生剤ではアニオン部分の構造が重要である。また、スルホニル構造やスルホン酸エステル構造を有するノニオン性の感放射線性酸発生剤ではスルホニル部分の構造が重要となる。
例えば、トリフルオロメタンスルホニル構造を有する感放射線性酸発生剤は、発生する酸が十分強い酸となり、フォトレジストとしての解像性能は十分高くなる。しかし、酸の沸点が低く、酸の拡散長が適切でない、即ち、酸の拡散長が長いため、フォトレジストとしてマスク依存性が大きくなるという欠点がある。また、例えば、10−カンファースルホニル構造のような大きな有機基に結合したスルホニル構造を有する感放射線性酸発生剤は、発生する酸の沸点が十分高く、酸の拡散長が適切である、即ち、酸の拡散長が十分短いため、マスク依存性は小さくなる。しかし、酸の強度が十分ではないため、フォトレジストとしての解像性能が十分ではないという欠点がある。
ここで、パーフルオロ−n−オクタンスルホン酸(以下、「PFOS」ともいう)等のパーフルオロアルキルスルホニル構造を有する感放射線性酸発生剤は、発生する酸が十分強い酸であり、酸の沸点が十分高く、拡散長も概ね適当であるため、近年特に注目されている。
しかしながら、PFOS等のパーフルオロアルキルスルホニル構造を有する感放射線性酸発生剤は、一般に燃焼性が低いことを理由とした環境問題の観点から、また、人体蓄積性が疑われているため、米国の環境保護庁(ENVIRONMENTAL PROTECTION AGENCY)による報告(非特許文献1参照)では使用を規制する提案がなされている。
一方、より精密な線幅制御を行う場合、例えば、デバイスの設計寸法がサブハーフミクロン以下であるような場合には、化学増幅型レジストは、解像性能が優れているだけでなく、レジストパターン形成後の膜表面の平滑性が優れていることも重要となってきている。膜表面の平滑性が劣る化学増幅型レジストは、エッチング等の処理により基板にレジストパターンを転写する際に、膜表面の凹凸形状(以下、「ナノエッジラフネス」ともいう)が基板に転写されてしまう結果として、パターンの寸法精度が低下してしまう。そのため、最終的にデバイスの電気特性が損なわれるおそれがあることが報告されている(例えば、非特許文献2〜5参照)。
また、半導体分野においては、パターンの微細化が進むにつれてレジスト皮膜の薄膜化が進行してきており、膜減り量(トップロス)がレジストパターン形成後の残膜量に与えるインパクトが相対的に大きくなってきている。例えば同じ20nm膜減りが生じる場合でも、塗布膜厚が200nmであれば、残膜量は180nm、つまり残膜率90%であるが、塗布膜厚が100nmであれば、残膜量は80nmで、残膜率80%となる。パターン形成後の残膜量は、その後のエッチング工程において非常に重要な指標となるため、膜減り量の少ないレジストパターンを得ることは、エッチング耐性という意味で重要となっている。
特公平2−27660号公報
Perfluorooctyl Sulfonates;Proposed Significant New Use Rule J.Photopolym.Sci.Tech.,p.571(1998) Proc.SPIE,Vol.3333,p.313 Proc.SPIE,Vol.3333,p.634 J.Vac.Sci.Technol.B16(1),p.69(1998)
本発明の課題とするところは、上記PFOS等のパーフルオロアルキルスルホニル構造を有する感放射線性酸発生剤のような問題がなく、解像性能に優れ、露光により発生する酸が気化せず、拡散長が適度に短いという特性を有すると共に、レジストパターンの線幅のバラツキの指標であるLWR(Line Width Roughness)が小さく、かつ、膜減り量の少ないレジストパターンを形成可能な感放射線性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(A)下記式(1)で示される化合物(以下、「化合物(A)」ともいう)と、(B)下記式(2)で示される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(2)」ともいう)を有する樹脂(以下、「樹脂(B)」ともいう)と、を含有することを特徴とする。
Figure 0005407906
〔式(1)において、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状もしくは分岐状の1価の炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3〜30の脂環構造を有する1価の炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数4〜30の1価のヘテロ環状有機基を示す。Rは相互に独立に、水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を示し、mは1〜8の整数である。Mは1価のオニウムカチオンを示す。〕
Figure 0005407906
〔式(2)において、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示し、Aは単結合または炭素数1〜8の2価の炭化水素基を示し、Xは下記式(i)で表される構造を有する1価の基を示す。〕
Figure 0005407906
〔式(i)において、nは1または2である。〕
本発明の感放射線性樹脂組成物は、樹脂(B)が、さらに下記式(3)で示される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3)」ともいう)を有する樹脂であることが好ましい。
Figure 0005407906
〔式(3)において、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示し、Rは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基または炭素数3〜30の環状もしくは環状の部分構造を有する1価の炭化水素基を示し、Rは相互に独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基または炭素数3〜30の環状もしくは環状の部分構造を有する1価の炭化水素基を示すか、または2つのRが相互に結合して両者が結合している炭素原子と共に炭素数3〜30の環状炭化水素基を形成する。〕
本発明の感放射線性樹脂組成物は、(A)化合物が、式(1)におけるM が下記式(4)または(5)で表されるカチオンを示す化合物であることが好ましい。
Figure 0005407906
〔式(4)において、R、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基を示すか、またはR、RおよびRのうちの何れか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共にヘテロ環状有機基を形成する。〕
Figure 0005407906
〔式(5)において、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基を示すか、またはRおよびRが相互に結合して式中のヨウ素原子と共にヘテロ環状有機基を形成する。〕
本発明の感放射線性樹脂組成物は、解像性能に優れ、露光により発生する酸が気化せず、拡散長が適度に短いという特性を有すると共に、LWRが小さく、かつ、膜減り量の少ないレジストパターンを形成することができるという効果を奏するものである。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
<化合物(A)>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、上記式(1)で示される化合物(A)を、感放射線性酸発生剤として含有する。このような感放射線性樹脂組成物は、環境や人体に対する悪影響が低い樹脂を含有するものであり、かつ、良好なレジストパターンを得ることができるレジスト被膜を形成することができるという利点がある。
ここで上記式(1)におけるRについてより具体的に示すと、非置換の炭素数1〜30の直鎖状もしくは分岐状の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、i−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、2−エチルヘキシル基およびn−ドデシル基を挙げることができる。
炭素数3〜30の脂環構造を有する1価の炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ボルニル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ピナニル基、ツヨイル基、カルイル基、カンファニル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、ボルニルメチル基、ノルボルニルメチル基およびアダマンチルメチル基を挙げることができる。
炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基および1−フェナントリル基を挙げることができる。
炭素数4〜30の1価のヘテロ環状有機基としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピラニル基、ピロリル基、チアントレニル基、ピラゾリル基、イソチアゾリル基、イソオキサゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基および単環式もしくは多環式ラクトン由来の基を挙げることができる。この中で、単環式もしくは多環式ラクトンとしてはγ−ブチロラクロン、γ−バレロラクトン、アンゲリカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、3−メチル−4−オクタノライド(ウイスキーラクトン)、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、γ−ジャスモラクトン(7−デセノラクトン)、δ−ヘキサラクトン、4,6,6(4,4,6)−トリメチルテトラヒドロピラン−2−オン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、δ−2−デセノラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、ラクトスカトン、ε−デカラクトン、ε−ドデカラクトン、シクロヘキシルラクトン、ジャスミンラクトン、シスジャスモンラクトンおよびメチルγ−デカラクトンまたは下記式で示されるものが挙げられる。
Figure 0005407906
(式中、点線は結合位置を示す。)
また、これらの基の置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素等のハロゲン原子や、ヒドロキシル基、チオール基、アリール基、アルケニル基ならびにハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子およびケイ素原子等のヘテロ原子を含む有機基を挙げることができる。さらには前記炭化水素基の同一炭素上の2つの水素原子が1つの酸素原子で置換されたケト基を例示することができる。これらの置換基は、構造上可能な範囲内でいくつ存在していても良い。
前記置換基で置換された炭素数1〜30の直鎖状もしくは分岐状の1価の炭化水素基の具体例としては、例えば、ベンジル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、アセチルメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロプロピル基、トリフルオロアセチルメチル基、トリクロロアセチルメチル基、ペンタフルオロベンゾイルメチル基、アミノメチル基、シクロヘキシルアミノメチル基、ジフェニルホスフィノメチル基、トリメチルシリルメチル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、2−アミノエチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基およびヒドロキシカルボニルメチル基を挙げることができる。
前記置換基で置換された炭素数3〜30の脂環構造を有する1価の炭化水素基としては、例えば、4−フルオロシクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、4−メトキシシクロヘキシル基、4−メトキシカルボニルシクロヘキシル基、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル基、3−メトキシカルボニル−1−アダマンチル基、3−ヒドロキシカルボニル−1−アダマンチル基および3−ヒドロキシメチル−1−アダマンタンメチル基を挙げることができる。
前記置換基で置換された炭素数6〜30のアリール基としては、例えば、o−ヒドロキシフェニル基、m−ヒドロキシフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基、3,5−ビス(ヒドロキシ)フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、メシチル基、o−クメニル基、2,3−キシリル基、o−フルオロフェニル基、m−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−トリフルオロメチルフェニル基、m−トリフルオロメチルフェニル基、p−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、p−ブロモフェニル基、p−クロロフェニル基およびp−ヨードフェニル基を挙げることができる。
また、前記置換基で置換されたヘテロ環状有機基としては、例えば、2−ブロモフリル基および3−メトキシチエニル基を挙げることができる。
上記式(1)におけるRについてより具体的に示すと、水素原子およびメチル基、エチル基、n−プロピル基などの炭素数1〜4の炭化水素基を挙げることができる。また、mは1〜8の整数であり、好ましくは2〜4の整数、特に好ましくは4である。mが0であると、燃焼性や人体蓄積性に問題が生じるおそれがある。
上記式(1)で示される構造は、より具体的には下記のように例示することができる。
Figure 0005407906
Figure 0005407906
上記式(1)において、Mで示される1価のオニウムカチオンとは、例えば、O、S、Se、N、P、As、Sb、Cl、Br、Iのオニウムカチオンを挙げることができる。これらのオニウムカチオンのうち、SおよびIのオニウムカチオンが好ましく、例えば、上記式(4)または(5)で表されるものを挙げることができる。
上記式(4)で表されるオニウムカチオンとしては、下記式(4−1)または(4−2)で表されるオニウムカチオンが特に好ましく、上記式(5)で表されるオニウムカチオンとしては、下記式(5−1)で表されるオニウムカチオンが特に好ましい。
Figure 0005407906
〔式(4−1)において、複数存在するR、RおよびRは相互に独立に、水酸基、置換もしくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリール基を示す。q1、q2、q3は独立に0〜5の整数を示す。式(4−2)において、複数存在するRおよびRは相互に同一でも異なってもよく、Rは水酸基、置換もしくは非置換の炭素数1〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜8のアリール基を示す。Rは水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6〜7のアリール基を示すかまたは2個のRが相互に結合して環を形成している。q4は0〜7の整数、q5は0〜6の整数、q6は0〜3の整数を示す。〕
Figure 0005407906
〔式(5−1)において、複数存在するRおよびRは相互に独立に、水酸基、置換もしくは非置換の炭素数1〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリール基を示すかまたは2個のRおよびRが相互に結合して環を形成している。q7、q8は独立に0〜5の整数を示す。〕
上記式(4−1)または(4−2)で表されるスルホニウムカチオンとしては、例えば、下記式(i−1)〜(i−64)で表されるカチオンを挙げることができる。また、上記式(5−1)で表されるヨードニウムカチオンとしては、例えば、下記式(ii−1)〜(ii−39)で表されるカチオンを挙げることができる。
Figure 0005407906
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Figure 0005407906
Figure 0005407906
Figure 0005407906
Figure 0005407906
これらの好ましい1価のオニウムカチオンのうち、例えば、前記式(i−1)、式(i−2)、式(i−6)、式(i−8)、式(i−13)、式(i−19)、式(i−25)、式(i−27)、式(i−29)、式(i−33)、式(i−51)または式(i−54)で表されるスルホニウムカチオン;前記式(ii−1)または式(ii−11)で表されるヨードニウムカチオンが更に好ましい。
上記式(1)中のMで表される上記1価のオニウムカチオンは、例えば、Advances in Polymer Science,Vol.62,p.1−48(1984)に記載されている一般的な方法に準じて製造することができる。
化合物(A)は、露光または加熱を契機として上記1価のオニウムカチオンが解離し、酸を発生する。具体的には、下記式(1a)で表されるスルホン酸を発生するものである。
Figure 0005407906
〔式(1a)において、R、R、mおよびMの定義は上記式(1)と同じ。〕
化合物(A)は、その構造中のスルホニル基のα−位に強い含フッ素系電子吸引基を有するため、露光などを契機として発生する上記式(1a)で表されるスルホン酸の酸性度は高い。また、化合物(A)は、感放射線性の酸発生剤として機能することに加え、沸点が高く、フォトリソグラフィ工程中に揮発し難く、レジスト被膜中での酸の拡散長が短い、即ち酸の拡散長が適度であるという特性を有する。更に、化合物(A)中のフッ素原子の含有量は、高級パーフルオロアルカンスルホン酸に比べて少ないため、良好な燃焼性を示すことに加え、人体蓄積性が低いという利点がある。
本発明の感放射線性樹脂組成物には、酸発生剤として、化合物(A)を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
化合物(A)の使用量は、用いる化合物(A)や場合により使用される下記他の酸発生剤の種類によっても異なるが、樹脂(B)100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜15質量部、さらに好ましくは0.2〜12質量部である。この場合、感放射線性酸発生剤の使用量が0.1質量部未満では、発生する酸量が不足して解像性が低下するおそれがあり、一方20質量部を超えると、得られるレジストパターンの放射線に対する透明性、パターン形状、耐熱性等が低下するおそれがある。
<他の感放射線性酸発生剤>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、化合物(A)以外の感放射線性酸発生剤(以下、「他の酸発生剤」という。)を1種以上併用することができる。他の酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホン酸化合物等を挙げることができる。
オニウム塩化合物としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩およびピリジニウム塩等を挙げることができる。
具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロオクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、
ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロメタンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、(p−フルオロフェニル)(フェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、
トリフェニルスルホニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、4−ヒドロキシフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、トリス(p−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、(p−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ブトキシ−1―ナフチルテトラヒドロチオフェニウムノナフルオロブタンスルホネートおよび4−ブトキシ−1―ナフチルテトラヒドロチオフェニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネートを挙げることができる。
スルホン酸化合物としては、例えば、アルキルスルホン酸エステル、アルキルスルホン酸イミド、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステルおよびイミノスルホネートを挙げることができる。
具体的には、ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリス(トリフルオロメタンスルホネート)、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネートおよび1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネートを挙げることができる。
これらの他の酸発生剤のうち、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、シクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシル・メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジシクロヘキシル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、パーフルオロ−n−オクタンスルホニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシイミドトリフルオロメタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、N−ヒドロキシスクシイミドパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムノナフルオロブタンスルホネートおよび4−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウム−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネートが好ましい。なお、上記他の酸発生剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感放射線性樹脂組成物が上記他の酸発生剤を含有する場合、形成したレジスト被膜の感度および現像性を確保する観点から、他の酸発生剤の配合量は、化合物(A)100質量部に対して、0.5〜30質量部であることが好ましく、1〜25質量部であることが更に好ましい。上記含有量が0.5質量部未満であると、レジスト被膜の解像度が低下するおそれがある。一方、30質量部超であると、放射線の透明性が低下して、矩形のレジストパターンが得られ難くなるおそれがある。
<樹脂(B)>
本発明の感放射線性樹脂組成物は、繰り返し単位(2)を有する樹脂(B)を含有する。該繰り返し単位を有する樹脂を用いることにより、膜減り量の少ないレジストパターンが形成可能となる。
繰り返し単位(2):
上記式(2)におけるRについてより具体的に示すと、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基;フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などの炭素数1〜4のフルオロアルキル基が挙げられ、中でも水素原子およびメチル基が特に好ましい。Aについては、単結合またはメチレン基、エチリデン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−オクチレン基などの炭素数1〜8の2価の炭化水素基が挙げられる。
Xとして示される上記式(i)で表される構造を有する1価の基としては、上記式(i)におけるnが1または2である環状エステル構造、上記環状エステル構造を構成する炭素原子の一部が置換された構造、上記環状エステル構造を含む多環構造などを有する基が挙げられる。
繰り返し単位(2)の具体例としては、下記式(2−a)〜(2−u)で表される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0005407906
これらのうち、上記式(2−a)で表される繰り返し単位が、特に好ましく用いられる。
樹脂(B)における繰り返し単位(2)の含有割合は、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは5〜20重量%、特に好ましくは10〜20重量%である。繰り返し単位(2)の割合が5重量%未満であると、膜減り抑制の効果が十分に得られないおそれがあり、60重量%を超えると、解像度が不足してレジストパターンが形成し難くなるおそれがある。
繰り返し単位(3):
樹脂(B)は、さらに上記式(3)で表される繰り返し単位(3)を有することが好ましい。繰り返し単位(3)は酸により解離して酸性を有する性能、すなわち酸解離性の基を有する繰り返し単位である。
上記式(3)におけるRは、上記式(2)におけるRと同様の基である。Rについては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの炭素数1〜20の直鎖状または分岐状の炭化水素基;シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基などの炭素数3〜30の環状炭化水素基などが挙げられる。2つのRが相互に結合して両者が結合している炭素原子と共に形成する炭素数3〜30の環状炭化水素基としては、上記環状炭化水素基から水素原子をひとつ除いた2価の基が挙げられる。
繰り返し単位(3)としては、例えば下記式(6−1−1)で表される繰り返し単位および下記式(6−1−2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれか一方がエッチング耐性の向上という理由で好ましい(以下、包括して「繰り返し単位(6−1)」という)。また、下記式(6−2−1)で表される繰り返し単位および下記式(6−2−2)で表される繰り返し単位の少なくともいずれか一方が解像度の向上という理由で好ましい(以下、包括して「繰り返し単位(6−2)」という)。
Figure 0005407906
前記式(6−1−1)、式(6−1−2)、式(6−2−1)および式(6−2−2)において、R10は各々独立に水素、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、R11は炭素数1〜4の直鎖アルキル基または分岐アルキル基を示し、R12はそれぞれ独立に炭素数1〜4の直鎖アルキル基または分岐アルキル基を示す。また、aは0または1である。
前記式(6−1−1)、式(6−1−2)、式(6−2−1)および式(6−2−2)におけるR11およびR12を示す炭素数1〜4の直鎖アルキル基または分岐アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル基およびt−ブチル基を挙げることができる。
繰り返し単位(6−1)を与える単量体の好ましいものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチル−3−ヒドロキシアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−イソプロピルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−エチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルプロピルエステルおよび(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−エチルプロピルエステルを挙げることができる。これら例示された単量体より得られる繰り返し単位(6−1)は、一種以上含有しても良い。
繰り返し単位(6−2)を与える単量体の好ましいものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸1−メチル1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−n−プロピル1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−シクロペンチル−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−シクロペンチル−1−エチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−シクロペンチル−1−メチルプロピルエステル、(メタ)アクリル酸1−シクロペンチル−1−エチルプロピルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−n−プロピル1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−イソプロピル1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−シクロヘキシル1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−シクロヘキシル1−エチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−シクロヘキシル1−メチルプロピルエステルおよび(メタ)アクリル酸1−シクロヘキシル1−エチルプロピルエステルを挙げることができる。これら例示された単量体より得られる繰り返し単位(6−1)は、一種以上含有しても良い。
樹脂(B)において、繰り返し単位(3)の含有割合は、樹脂の全ての繰り返し単位に対して、10〜80mol%であることが好ましく、15〜75mol%であることが更に好ましく、20〜70mol%であることが特に好ましい。繰り返し単位(6)の含有割合が、10mol%未満であると、本実施形態の感放射線性樹脂組成物によって形成したレジスト被膜の、アルカリ現像液に対する溶解性が低下するため、現像欠陥が生じたり、解像度が低下したりするおそれがある。一方、80mol%超であると、解像度が低下するおそれがある。
他の繰り返し単位:
樹脂(B)は繰り返し単位(2)および繰り返し単位(3)以外の繰り返し単位(以下、「他の繰り返し単位」ともいう)を1種以上含有することができる。
他の繰り返し単位としては、ラクトン骨格を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(7)」ともいう)、下記式(8)で示される特定環構造を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(8)」ともいう)、下記式(9)で示される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(9)」ともいう)、下記式(10)で示される置換アダマンタン構造を有する繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(10)」ともいう)が、好ましいものとして挙げられる。
繰り返し単位(7)としては、ラクトン骨格を有する(メタ)アクリレート由来の成分であればよいが、好ましいものとしては下記式(7−1)〜(7−6)で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0005407906
〔式(7−1)〜(7−6)の各式において、R10は水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、R13は水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1〜4のアルキル基を示し、R14は水素原子またはメトキシ基を示す。Aは単結合またはメチレン基を示し、Bは酸素原子またはメチレン基を示す。lは1〜3の整数を示し、mは0または1である。〕
繰り返し単位(7)を与える単量体の中で好ましいものとしては、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.03,8]デカ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−10−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[5.2.1.03,8]ノナ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシカルボニル−6−オキソ−7−オキサ−ビシクロ[3.2.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.3.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシカルボニル−7−オキソ−8−オキサ−ビシクロ[3.3.1]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−エチル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−プロピル−2−オキソテトラヒドロピラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロフラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5,5−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−3,3−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5,5−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルエステル、(メタ)アクリル酸−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸−3,3−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステルおよび(メタ)アクリル酸−4,4−ジメチル−5−オキソテトラヒドロフラン−2−イルメチルエステルが挙げられる。
繰り返し単位(8)は、下記式(8)で示される繰り返し単位である。
Figure 0005407906
〔式(8)において、R10は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を示し、AおよびAは、水素原子であるか、または2つのAまたはA同士が相互に結合して橋架け構造を形成するものである。Xは、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基または炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を示し、pは0または1の整数、qは0または1の整数、rは0〜6の整数である。〕
繰り返し単位(8)は、シクロアルカン類または特定の有橋多環式炭化水素のエステルであり、好ましいシクロアルカン類としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられ、好ましい有橋多環式炭化水素構造としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン等が挙げられる。
繰り返し単位(8)を与える単量体の中で、好ましいものとしては、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[4.4.0]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.2]オクチルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルエステル、(メタ)アクリル酸−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニルエステルおよび(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニルエステルが挙げられる。
繰り返し単位(9)は、下記式(9)で示される繰り返し単位である。
Figure 0005407906
〔式(9)において、R15は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、トリフルオロメチル基、またはヒドロキシメチル基を示し、R16は、2価の鎖状または環状の炭化水素基を示す。〕
式(9)におけるR16としては、2価の鎖状または環状の炭化水素基が好ましく、アルキレングリコール基またはアルキレンエステル基であってもよい。好ましいR15としては、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基もしくは1,2−プロピレン基などのプロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、イコサレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基または2−プロピリデン基等の飽和鎖状炭化水素基、1,3−シクロブチレン基などのシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基などのシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基などのシクロヘキシレン基または1,5−シクロオクチレン基などのシクロオクチレン基等の炭素数3〜10のシクロアルキレン基などの単環式炭化水素環基、1,4−ノルボルニレン基または2,5−ノルボルニレン基などのノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基などのアダマンチレン基等の2〜4環式炭素数4〜30の炭化水素環基などの架橋環式炭化水素環基が挙げられる。
他の繰り返し単位(9)を与える単量体の中で好ましいものとしては、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−3−プロピル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ブチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−5−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル、(メタ)アクリル酸2−{[5−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル]ビシクロ[2.2.1]ヘプチル}エステルおよび(メタ)アクリル酸4−{[9−(1’,1’,1’−トリフルオロ−2’−トリフルオロメチル−2’−ヒドロキシ)プロピル]テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデシル}エステルが挙げられる。
繰り返し単位(10)は、下記式(10)で示される繰り返し単位である。
Figure 0005407906
〔式(10)において、R17は水素原子またはメチル基を示し、R18は単結合または炭素数1〜3の2価の有機基を示し、Zは相互に独立に単結合または炭素数1〜3の2価の有機基を示し、R19は相互に独立に水素原子、水酸基、シアノ基、またはCOOR20基を表す(但し、R20は水素原子または炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、または炭素数3〜20の脂環式のアルキル基を示す。)。ただし、3つのR19のうち少なくとも一つは水素原子ではない。〕
式(10)において、R18は単結合または炭素数1〜3の2価の有機基を示し、Zは相互に独立に単結合または炭素数1〜3の2価の有機基を示し、R18およびZで示される炭素数1〜3の2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基およびプロピレン基が挙げられる。R18が単結合のときは、3つのZのうち少なくとも一つは炭素数1〜3の2価の有機基であることが好ましい。R19で示される−COOR20基のR20は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または炭素数3〜20の脂環式のアルキル基を示す。R20における、上記炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基およびt−ブチル基を例示できる。また、上記炭素数3〜20の脂環式のアルキル基としては、−C2n−1(nは3〜20の整数)で示されるシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、多環型脂環式アルキル基、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、テトラシクロ[6.2.13,6.02,7]ドデカニル基およびアダマンチル基等、または、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基の1種以上または1個以上でシクロアルキル基または多環型脂環式アルキル基の一部を置換した基が挙げられる。
繰り返し単位(10)を与える単量体の中で好ましい単量体としては、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンタン−1−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−5−メチルアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシ−7−メチルアダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−5,7−ジメチルアダマンタン−1−イルエステルおよび(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−5,7−ジメチルアダマンタン−1−イルメチルエステルが挙げられる。
樹脂(B)は、更に他の繰り返し単位を含有していてもよく、例えば、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルおよび(メタ)アクリル酸アダマンチルメチル等の有橋式炭化水素骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸カルボキシノルボルニル、(メタ)アクリル酸カルボキシトリシクロデカニルおよび(メタ)アクリル酸カルボキシテトラシクロウンデカニル等の不飽和カルボン酸の有橋式炭化水素骨格を有するカルボキシル基含有エステル類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等の有橋式炭化水素骨格をもたない(メタ)アクリル酸エステル類;
α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸n−プロピルおよびα−ヒドロキシメチルアクリル酸n−ブチル等のα−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリルおよびイタコンニトリル等の不飽和ニトリル化合物;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミドおよびイタコンアミド等の不飽和アミド化合物;N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジンおよびビニルイミダゾール等の他の含窒素ビニル化合物;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸およびメサコン酸等の不飽和カルボン酸(無水物)類;(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−カルボキシブチルおよび(メタ)アクリル酸4−カルボキシシクロヘキシル等の不飽和カルボン酸の有橋式炭化水素骨格をもたないカルボキシル基含有エステル類;
1,2−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレートおよびトリシクロデカニルジメチロールジ(メタ)アクリレート等の有橋式炭化水素骨格を有する多官能性単量体;
メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレートおよび1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンジ(メタ)アクリレート等の有橋式炭化水素骨格をもたない多官能性単量体等の多官能性単量体の重合性不飽和結合が開裂した単位を挙げることができる。
樹脂(B)は、ラジカル重合等の常法に従って合成することができるが、例えば、各単量体とラジカル開始剤を含有する反応溶液を、反応溶媒または単量体を含有する反応溶液に滴下して重合反応させたり、各単量体を含有する反応溶液とラジカル開始剤を含有する反応溶液とを、各々別々に反応溶媒または単量体を含有する反応溶液に滴下して重合反応させたり、更に、各単量体も各々別々に調製された反応溶液とラジカル開始剤を含有する反応溶液とを、各々別々に反応溶媒または単量体を含有する反応溶液に滴下して重合反応させる方法が好ましい。
上記各反応における反応温度は開始剤種によって適宜設定できるが、30℃〜180℃が一般的である。好ましくは40℃〜160℃であり、さらに好ましくは50℃〜140℃である。滴下に要する時間は、反応温度、開始剤の種類、反応させる単量体によって様々に設定できるが、30分〜8時間である。好ましくは45分〜6時間であり、さらに好ましくは1時間〜5時間である。また、滴下時間を含む全反応時間は、前記同様に様々に設定できるが、30分〜8時間である。好ましくは45分〜7時間であり、更に好ましくは1時間〜6時間である。単量体を含有する溶液に滴下する場合、滴下する溶液中のモノマー含量は、重合に用いられる全単量体量に対して30mol%以上が好ましく、より好ましくは50mol%以上、更に好ましくは70mol%以上である。
前記重合に使用されるラジカル開始剤としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−2−プロペニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネ−ト)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)および2,2’−アゾビス(2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル)等を挙げることができる。これら開始剤は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
重合に使用する溶媒としては、使用する単量体を溶解し、重合を阻害(重合禁止、例えばニトロベンゼン類、連鎖移動、例えばメルカプト化合物)する様な溶媒でなければ使用可能である。例えばアルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステルおよびラクトン類、ならびにニトリル類およびその混合液を挙げることができる。アルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルおよび1−メトキシ−2−プロパノールを挙げることができる。エーテル類としてはプロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランおよび1,3−ジオキサンを挙げることができる。ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトンおよびメチルイソブチルケトンを挙げることができる。アミド類としてはN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドを挙げることができる。エステルおよびラクトン類としては酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソブチルおよびγ−ブチロラクトンを挙げることができる。ニトリル類としてはアセトニトリル、プロピオニトリルおよびブチロニトリルを挙げることができる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上記のように重合反応の後、得られた樹脂は、再沈殿法により回収することが好ましい。即ち、重合終了後、反応液は再沈溶媒に投入され、目的の樹脂を粉体として回収する。再沈溶媒としては水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アミド類、エステルおよびラクトン類、ならびにニトリル類の単独およびそれらの混合液を挙げることができる。アルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよび1−メトキシ−2−プロパノールを挙げることができる。エーテル類としてはプロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランおよび1,3−ジオキサンを挙げることができる。ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトンおよびメチルイソブチルケトンを挙げることができる。アミド類としてはN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドを挙げることができる。エステルおよびラクトン類としては酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソブチルおよびγ−ブチロラクトンを挙げることができる。ニトリル類としてはアセトニトリル、プロピオニトリルおよびブチロニトリルを挙げることができる。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される樹脂(B)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定した重量平均分子量(以下、「Mw」という)が、1,000〜100,000であることが好ましく、1,500〜80,000であることが更に好ましく、2,000〜50,000であることが特に好ましい。上記樹脂のMwが1,000未満であると、レジストを形成したときの耐熱性が低下するおそれがある。一方、100,000超であると、レジストを形成したときの現像性が低下するおそれがある。また、上記樹脂のMwと数平均分子量(以下、「Mn」という)との比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましい。
また、上記重合によって得られる重合反応液は、ハロゲン、金属等の不純物が少ないほど好ましく、不純物が少ないと、レジストを形成したときの感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等を更に改善することができる。樹脂の精製法としては、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等を挙げることができる。本発明において、上記樹脂は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
<酸拡散制御剤>
本発明の感放射線性樹脂組成物には、任意成分として、酸拡散制御剤を含有してもよい。酸拡散制御剤は、露光により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制するものである。このような酸拡散制御剤を配合することにより、得られる感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性が向上し、またレジストとしての解像度が更に向上するとともに、露光から露光後の加熱処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
酸拡散制御剤としては、下記式(11)で表される化合物(以下、「酸拡散制御剤(a)」ともいう)が好ましく用いられる。
Figure 0005407906
〔式(11)において、R21およびR22は相互に独立に水素原子、直鎖状、分岐状もしくは環状の置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基またはR21同士もしくはR22同士が相互に結合して、それぞれが結合している炭素原子とともに炭素数4〜20の2価の飽和もしくは不飽和炭化水素基またはその誘導体を形成してもよい。〕
酸拡散制御剤(a)としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N、N’−ジ−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾールおよびN−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物を挙げることができる。
また、酸拡散制御剤(a)以外の酸拡散制御剤としては、3級アミン化合物、4級アンモニウムヒドロキシド化合物およびその他含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリンおよび2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類;トリエタノールアミンおよびN,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリンなどのアルカノールアミン類;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼンテトラメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルおよびビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテルを挙げることができる。
4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えば、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシドおよびテトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシドを挙げることができる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリンおよびアクリジン等のピリジン類;ピペラジンおよび1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾールおよび2−フェニルベンズイミダゾールを挙げることができる。
これら酸拡散制御剤(a)を含む酸拡散制御剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、酸拡散制御剤の合計使用量は、レジストとしての高い感度を確保する観点から、樹脂(B)100質量部に対して、10質量部未満が好ましく、0.001〜5質量部が更に好ましい。この場合、前記合計使用量が10質量部を超えると、レジストとしての感度が著しく低下する傾向にある。なお、酸拡散制御剤の使用量は0.001質量部以上でないと、改良効果が得られない場合がある。
<溶剤>:
本発明の感放射線性樹脂組成物は、通常、溶剤を有する組成物である。用いられる溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテートおよびエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルおよびプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテルおよびプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテートおよびプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピルおよび乳酸i−プロピル等の乳酸エステル類;ぎ酸n−アミルおよびぎ酸i−アミル等のぎ酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸i−アミル、3−メトキシブチルアセテートおよび3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類;プロピオン酸i−プロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−ブチルおよび3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のプロピオン酸エステル類;ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチルおよびピルビン酸エチル等の他のエステル類;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類;
メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノンおよびシクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクン等のラクトン類等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
<その他の添加物>:
本発明の感放射線性樹脂組成物には、更に必要に応じて、酸解離性基を有する脂環族添加剤、界面活性剤、増感剤、アルカリ可溶性樹脂、酸解離性の保護基を有する低分子のアルカリ溶解性制御剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、消泡剤等の各種の添加剤を配合することができる。
酸解離性基を有する脂環族添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を有する成分である。このような脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチルおよび1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニルおよびデオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニルおよびリトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類を挙げることができる。なお、これらの脂環族添加剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、界面活性剤は、塗布性、ストリエーションおよび現像性等を改良する作用を有する成分である。このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレートおよびポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤が挙げられる。また、市販品としては、以下全て商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75,同No.95(共栄社化学社製)、エフトップEF301,同EF303,同EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックスF171,同F173(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430,同FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,同SC−101,同SC−102,同SC−103,同SC−104,同SC−105および同SC−106(旭硝子社製)等を挙げることができる。なお、これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
<フォトレジストパターンの形成方法>:
本発明の感放射線性樹脂組成物は、特に化学増幅型レジストとして有用である。例えばポジ型レジストの場合、本実施形態の感放射線性樹脂組成物によりレジスト被膜を形成すると、露光により、上述した式(1)で表される酸発生剤から発生した酸(他の酸発生剤を配合した場合には、他の酸発生剤から発生した酸も含む)の作用によって、繰り返し単位を有する樹脂中の酸解離性基が解離して、カルボキシル基を生じ、その結果、レジストの露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が高くなり、この露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンが得られる。
本実施形態の感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成する際には、まず、上述した化合物(A)、必要に応じて上記他の酸発生剤および樹脂(B)を上記溶剤に均一に溶解して予備組成物とした後、例えば、孔径200nm程度のフィルターでろ過することによって組成物溶液を得ることができる。なお、この際の溶剤の量は、全固形分の濃度が0.1〜50質量%となるような量であることが好ましく、1〜40質量%となるような量であることが更に好ましい。このような濃度とすることにより、ろ過を円滑に行うことができる。
次に、得られた上記組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布することにより、レジスト被膜を形成する。その後、場合により予め加熱処理(以下、「SB」という)を行った後、所定のレジストパターンを形成するように上記レジスト被膜に露光する。なお、その際に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等を適宜選定して使用されるが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)またはKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線が好ましく、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)が好ましい。また、露光後に加熱処理(以下、「PEB」という)を行うことが好ましい。このPEBにより、樹脂中の酸解離性基の解離反応が円滑に進行する。PEBの加熱条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成によって変わるが、30〜200℃であることが好ましく、50〜170℃であることが更に好ましい。
なお、本発明の感放射線性樹脂組成物は、その潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系または無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト被膜上に保護膜を設けることもできる。なお、これらの技術を併用することもできる。
次いで、露光されたレジスト被膜を現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセンおよび1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。上記アルカリ性水溶液の濃度は、10質量%以下であることが好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%超であると、非露光部も現像液に溶解するおそれがある。
また、上記現像液には、例えば、有機溶媒を添加することもできる。上記有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノンおよび2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオールおよび1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフランおよびジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチルおよび酢酸i−アミル等のエステル類;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトンおよびジメチルホルムアミドを挙げることができる。
なお、これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。有機溶媒の使用量は、上記アルカリ性水溶液に対して、100容量%以下であることが好ましい。有機溶媒の使用量が100容量%超であると、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。また、上記現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、上記現像液で現像した後、水で洗浄して乾燥することが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で得られた感放射線性樹脂組成物の感度、LWR、膜減り量の各評価は下記のようにして行った。
[感度]:
実施例および比較例に関して、ウエハー表面に77nmのARC29A(日産化学社製)膜を形成した基板を用い、組成物を基板上にスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて、表2に示す温度で60秒間SBを行って形成した膜厚90nmのレジスト被膜に、ニコン社製のフルフィールド縮小投影露光装置「S306C」(開口数0.78)を用い、マスクパターンを介して露光した。その後、表2に示す温度で60秒間PEBを行った後、2.38質量%のTMAH水溶液により、25℃で30秒現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型レジストパターンを形成した。このとき、寸法75nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成した線幅が、線幅75nmの1対1ラインアンドスペースに形成される露光量(mJ/cm)を最適露光量とし、この最適露光量(mJ/cm)を「感度」とした。
[LWR]:
最適露光量にて解像した75nm1L/1Sのパターンをパターン上部から観察する際に、線幅を任意のポイントで10点測定し、その測定値の3シグマ値(ばらつき)をLWRとした。
[膜減り量]:
最適露光量にて解像した75nm1L/1Sパターンの観測において、日立社製SEM:S−4800にてパターン断面を観察する際、パターン高さを測定し、その値を初期膜厚である90nmから差し引くことにより、膜減り量を評価した。
<樹脂合成例>
下記化合物(S−1)31.26g(30モル%)、下記化合物(S−2)38.46g(35モル%)、下記化合物(S−5)12.82g(15モル%)、下記化合物(S−6)17.46gを、2−ブタノン200gに溶解し、さらに2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル3.85gを投入した単量体溶液を準備した。100gの2−ブタノンを投入した1000mlの三口フラスコを30分窒素パージし、窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を、滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2000gのn−ヘプタンへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのn−ヘプタンに分散させてスラリー状にして洗浄した後にろ別する操作を2回行い、その後、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の共重合体(樹脂(B−1))を得た。この共重合体はMwが6100、Mw/Mn=1.64であり、13C−NMR分析の結果、化合物(S−1)、化合物(S−2)、化合物(S−5)、化合物(S−6)で表される各繰り返し単位の含有率が30.2:34.7:14.8:20.3(モル%)の共重合体であった。この共重合体を重合体(B−1)とする。
Figure 0005407906
得られた重合体(B−1)100部、下記感放射線性酸発生剤(酸発生剤)(A−1)10.1部、及び下記酸拡散制御剤(C−1)0.8部を混合して感放射線性樹脂組成物を得た。下記溶媒(D−1)2050部、下記溶媒(D−2)880部、及び下記溶媒(D−3)30部を混合して混合溶媒を作製し、この混合溶媒に、得られた感放射線性樹脂組成物を溶解して感放射線性樹脂組成物溶液を得た。尚、各溶媒の配合量は、重合体(B−1)100部に対する質量比(質量部)で示してある。得られた感放射線性樹脂組成物溶液を用いて、SB=100℃、PEB=105℃で上記各評価を行った結果は、感度が41.0mJ/cm、LWRが7.9nmであり、膜減り量が9nmであった。
感放射線性酸発生剤(A);
Figure 0005407906
Figure 0005407906
Figure 0005407906
Figure 0005407906
Figure 0005407906
Figure 0005407906
酸拡散制御剤;
(C−1);tert−ブチル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート
溶剤;
(D−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(D−2):シクロヘキサノン
(D−3):γ−ブチロラクトン
化合物(S−1)等のモル比を、下記「共重合体(樹脂(B))」に示す各モル比として重合体(樹脂(B))(B−2〜6、R−1〜3)を重合体(B−1)と同様の方法でそれぞれ作製し、得られた重合体(B−2〜6、R−1〜3)のそれぞれと、上記感放射線性酸発生剤(A)および上記酸拡散制御剤(C)とを、表1に示す比率で混合した以外は実施例1と同様にして、感放射線性樹脂組成物(実施例2〜10、比較例1〜3)を作製した。得られた感放射線性樹脂組成物を、上記溶媒(D)を表1に示す混合比率で混合した混合溶媒に、溶解させて感放射線性樹脂組成物溶液を得た。表1において、「樹脂」は「共重合体(樹脂(B))」のことである。得られた感放射線性樹脂組成物溶液を用いて、上記各測定を行った。測定結果を表2に示す。
共重合体(樹脂(B));
B−2:(S−1)50/(S−3)10/(S−4)30/(S−6)10=49.6/10.1/29.4/10.9(モル比),Mw6400,Mw/Mn=1.59
B−3:(S−1)40/(S−3)10/(S−4)40/(S−6)10=41.2/9.9/39.3/9.6(モル比),Mw6500,Mw/Mn=1.67
B−4:(S−1)20/(S−2)60/(S−6)20=20.2/59.4/20.4(モル比),Mw6900,Mw/Mn=1.71
B−5:(S−1)30/(S−2)50/(S−6)20=29.8/50.4/19.8(モル比),Mw6500,Mw/Mn=1.62
B−6:(S−1)30/(S−4)50/(S−6)20=30.5/51.2/18.3(モル比),Mw5800,Mw/Mn=1.63
B−7:(S−1)20/(S−4)60/(S−6)20=19.5/60.8/19.7(モル比),Mw7200,Mw/Mn=1.42
B−8:(S−1)20/(S−7)60/(S−6)20=20.1/60.1/19.8(モル比),Mw5300,Mw/Mn=1.37
B−9:(S−1)30/(S−3)10/(S−4)50/(S−6)10=29.2/10.2/51.3/9.3(モル比),Mw6300,Mw/Mn=1.57
R−1:(S−1)50/(S−2)35/(S−5)15=49.2/36.4/14.4(モル比),Mw6700,Mw/Mn=1.68
R−2:(S−1)50/(S−3)15/(S−4)35=50.8/15.3/33.9(モル比),Mw6200,Mw/Mn=1.74
R−3:(S−1)40/(S−2)60=41.8/58.2(モル比),Mw6200,Mw/Mn=1.71
Figure 0005407906
Figure 0005407906
表2から、本発明の組成物はいずれも比較例の組成物に比べてLWR、膜減り量に優れることが分かる。
本発明は、化学増幅型レジストとして有用な感放射線性樹脂組成物として極めて好適である。本発明の感放射線性組成物は、特にArFエキシマレーザーを光源とするリソグラフィー工程に用いられ、75nm以下の微細パターンの形成において、適度な感度で、膜減り量に優れた化学増幅型レジストとして利用することができる。

Claims (3)

  1. (A)下記式(1)で示される化合物と、(B)下記式(2)で示される繰り返し単位を有する樹脂と、を含有する感放射線性樹脂組成物。
    Figure 0005407906
    〔式(1)において、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜30の直鎖状もしくは分岐状の1価の炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3〜30の脂環構造を有する1価の炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数6〜30のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数4〜30の1価のヘテロ環状有機基を示す。Rは相互に独立に、水素原子または炭素数1〜4の炭化水素基を示し、mは1〜8の整数である。Mは1価のオニウムカチオンを示す。〕
    Figure 0005407906
    〔式(2)において、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示し、Aは単結合または炭素数1〜8の2価の炭化水素基を示し、Xは下記式(i)で表される構造を有する1価の基を示す。〕
    Figure 0005407906
    〔式(i)において、nは1または2である。〕
  2. (B)樹脂が、さらに下記式(3)で示される繰り返し単位を有する樹脂である、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 0005407906
    〔式(3)において、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のフルオロアルキル基を示し、Rは炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基または炭素数3〜30の環状もしくは環状の部分構造を有する1価の炭化水素基を示し、Rは相互に独立に炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状の炭化水素基または炭素数3〜30の環状もしくは環状の部分構造を有する1価の炭化水素基を示すか、または2つのRが相互に結合して両者が結合している炭素原子と共に炭素数3〜30の環状炭化水素基を形成する。〕
  3. (A)化合物が、式(1)におけるM が下記式(4)または(5)で表されるカチオンを示す化合物である、請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
    Figure 0005407906
    〔式(4)において、R、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基を示すか、またはR、RおよびRのうちの何れか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共にヘテロ環状有機基を形成する。〕
    Figure 0005407906
    〔式(5)において、RおよびRは相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基を示すか、またはRおよびRが相互に結合して式中のヨウ素原子と共にヘテロ環状有機基を形成する。〕
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