以下に、本発明にかかる顕微鏡及び顕微鏡の制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
まず、図1及び図2に基づいて、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡について説明する。なお、図1は、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡を示す側面図であり、図2は、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡を示す平面図である。
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態1に係る顕微鏡は、標本を上方から観察する成立型顕微鏡であって、顕微鏡本体2、ステージ3、焦準部4R,4L、照明光学系、観察光学系を備えている。
図1に示すように、顕微鏡本体2は、水平方向に延在するベース部2aと、ベース部2aの後部から鉛直方向に延在する胴部2bと、胴部2bの上部から水平方向前方に延在するアーム部2cとを有し、側面視コの字状を呈している。
胴部2bの前面には、ステージ台31が昇降可能に取り付けてある。ステージ台31には、上述したステージ3が取り付けてあり、ステージ3は、ステージ台31とともに昇降する。また、顕微鏡本体2の右側面であって、ベース部2aの後部となる部位には、上述した焦準部4Rが回転操作可能に取り付けてある。焦準部4Rは、ステージ3を昇降させるためのもので、焦準部4Rとステージ台31とは、顕微鏡本体2に内蔵されたラックアンドピニオン機構(図示せず)により接続されている。したがって、焦準部4Rを回転操作すると、ステージ3の上面が水平を維持した状態で昇降する。
図2に示すように、顕微鏡本体2の左側面であって、ベース部2aの後部となる部位には上述した焦準部4Lが回転操作可能に取り付けてある。この焦準部4Lは、上述した右側面の焦準部4Rと同一軸に取り付けてあり、この焦準部4Lを回転操作するとステージ3が昇降するとともに右側面の焦準部4Rが回転する。同様に、右側面の焦準部4Rを回転操作した場合には、この焦準部(左側面の焦準部)4Lが回転する。
図1に示すように、ステージ3は、その上面が左右方向(X方向)及び前後方向(Y方向)に移動可能であって、ステージ3の右下には、ステージハンドル5が回転操作可能に取り付けてある。ステージハンドル5は、ステージ3を左右方向(X方向)及び前後方向(Y方向)に移動させるためのもので、ステージハンドル5を回転操作すると、ステージ3が任意の位置に移動する。
また、ステージ3は、その上面が平坦であって、標本が入ったスライドガラスGが載置可能である。ステージ3には、スライドガラスGが落下しない程度の開口(透孔)(図示せず)が設けてあり、照明光が通過可能である。
また、ステージ3の下面には、コンデンサ6が昇降可能に取り付けてある。コンデンサ6は、左右方向(X方向)及び前後方向(Y方向)に移動させることにより、芯出しが可能である。
顕微鏡本体2の後部には、ランプハウス7が取り付けてある。ランプハウス7には、光源71(図3参照)が内蔵してあり、光源71からベース部2aの前方部に向けて照明光が射出する。なお、光源71としては、例えば、ハロゲンランプやLED光源を用いることができる。また、ベース部2aの前方部内部には、ミラー(図示せず)が配設してある。ミラーは、光源71から射出された照明光の進行方向を90度変えるためのもので、進行方向が変えられた光は、コンデンサ6及び開口を通ってステージ3に載置された標本に照射される。したがって、これら、光源71、ミラー及びコンデンサ6は、上述した照明光学系を構成する。
アーム部2cの先端下面には、レボルバ本体80が取り付けてあり、レボルバ本体80には、レボルバ8が回転可能に取り付けてある。レボルバ8は、対物レンズ81を切り換えるためのもので、複数の対物レンズ81が装着可能となっている。そして、レボルバ8を回転させると、倍率が異なる対物レンズ81が選択的に光軸上に配置される。
アーム部2cの先端上面には、鏡筒9が取り付けてあり、鏡筒9には、接眼レンズ91が取り付けてある。そして、標本から出射した観察像は、上述した対物レンズ81を通った後、鏡筒9を通って結像し、接眼レンズ91を覗くことにより、観察される。
また、鏡筒9には、光路切り換え機構(図示せず)が内蔵されている。光路切り換え機構は、光路を切り換えるためのもので、接眼レンズ91からカメラCへ光路が切り換え可能である。そして、カメラCに光路が切り替わると、カメラCで撮影された画像がカメラCに接続されたパソコンの画面に拡大表示される。したがって、これら、対物レンズ81、鏡筒9、光路切り換え機構及び接眼レンズ91は、上述した観察光学系を構成する。
また、胴部2bの右側面には、主電源21が配設してある。主電源21は、顕微鏡への電力供給を開始あるいは停止するためのシーソー型のスイッチであり、主電源21をON操作すると、商用電源から顕微鏡への電力供給が開始され、主電源21をOFF操作すると商用電源から顕微鏡への電力供給が遮断される。
図3−1に示すように、主電源21には、制御基板22が接続してあり、制御基板22には、センサ基板23と光源71とが接続されている。
図4に示すように、センサ基板23は、ベース部2aの前面と上面との境界部分に斜めに取り付けられ、センサ基板の前面は、操作パネル20により覆われている。操作パネル20は、ベース部2aの前面と上面との境界部分を塞ぐように取り付けてあり、前方から後方に向けて漸次高くなるように斜め45度に傾斜している。したがって、操作パネル20は、接眼レンズ91を覗いた観察者の顔面と対向する。
センサ基板23には、調光ダイヤル11、自動消灯切換スイッチ12、自動消灯モード表示部13、モーションセンサ14、照明状態表示部15が取り付けてある。
図4に示すように、調光ダイヤル11は、回転操作式の調整装置であって、センサ基板23の略中央に取り付けられ、操作パネル20の中央に表出している。
自動消灯切換スイッチ12は、調光ダイヤル11の左隣りに位置するようにセンサ基板23に取り付けられ、操作パネル20から表出している。自動消灯切換スイッチ12は、自動消灯モードを設定するためのスイッチで、ON/OFF操作可能である。
自動消灯モード表示部13は、自動消灯切換スイッチ12の上方に位置するようにセンサ基板23に取り付けられ、操作パネル20の自動消灯モード表示部13の前方となる部分には「ECO」の文字が印刷されている。自動消灯モード表示部13は、点灯可能であって、自動消灯モード表示部13が点灯すると「ECO」の文字が浮き上がり、自動消灯モード表示部13を消灯すると「ECO」の文字が目立たなくなる。
モーションセンサ14は、調光ダイヤル11の右斜め上方に位置するようにセンサ基板23に取り付けられている。そして、操作パネル20のモーションセンサ14の前方となる部分には透孔20aが設けてある。モーションセンサ14は、顕微鏡の前方斜め上方域の温度差を有する熱源の移動を検知するもので、より具体的には、前方斜め上方約20度から90度の範囲、前方左右方向に100度(中心から左方向と右方向にそれぞれ50度)の範囲の熱源の移動を検知する。なお、観察者(特に顔面または首)も温度差を有する熱源を構成するので、観察者が接眼レンズ91を覗いた場合、接眼レンズ91を覗いている観察者に何らかの動きがあった場合には熱源が移動し、その移動をモーションセンサ14が検知する。したがって、観察者が標本を観察している場合にはモーションセンサ14がその動きを検知する。
図5に示すように、モーションセンサ14は、赤外線の変化を検知する焦電型の赤外線センサで、センサモジュール14aとレンズ部材14bとにより構成されている。センサモジュール14aは、温度差を有する熱源から放射された赤外線を検知し、検知した熱源が移動したか否かを判定する。
図3−2に示すように、センサモジュール14aは、4つの受熱素子14a1と判定部14a2及び出力部14a3を備えている。受熱素子14a1は、赤外線の変化を検出するもので、検出された赤外線の変化は判定部14a2に入力される。判定部14a2は、4つの受熱素子から入力された赤外線の変化に基づいて熱源が移動したか否かを判定し、熱源が移動したと判定された場合に出力部14a3から信号(モーション有り)を出力する。
図5−1に示すように、レンズ部材14bには、複数の単焦点レンズ(マイクロレンズ)14b1が形成してあり、これらは複数の光軸を有している。したがって、モーションセンサ14の検出エリアには、マイクロレンズ14b1の数と受熱素子14a1の数とを積算した数の検出ゾーンが画成され、いずれかの検出ゾーンに熱源があると受熱素子14a1に赤外線が照射される。
レンズ部材14bは、センサモジュール14aに交換可能に装着されており、装着されたレンズ部材14bによって検出距離が決定する。例えば、基準となる第1のレンズ部材を装着することもできれば、第1のレンズ部材よりも焦点距離が短く視野の広い第2のレンズ部材を装着することもできるし、第1のレンズ部材よりも焦点距離が長く視野の狭い第3のレンズ部材を装着することもできる。
図5−2に示すように、例えば、レンズ部材14bに6つのマイクロレンズ14b1が形成してあり、上述したように受熱素子14a1が4つである場合には、図6−2に示すように、24(6×4)の検出ゾーン14cで熱源の移動を検出することになる。また、このレンズ部材14bを装着したモーションセンサ14において、モーションセンサの先端から300mm離れた位置の検出エリアにおける一つの検出ゾーンは、40mm×40mmとなる。
なお、受熱素子14a1は、赤外線の変化を検出するので、検出エリアに赤外線を放射する熱源があるだけではモーションセンサ14は信号を出力することがない。
図4に示すように、透孔20aには、減光部材24が嵌め込んである。減光部材24は、モーションセンサ14の赤外線入射方向前方に取り付けられている。減光部材24は、入射する赤外線を減衰させるもので、接眼レンズ91を覗く観察者の動作の検知に好適な減光部材24を嵌め込んでいる。
照明状態表示部15は、調光ダイヤル11の上方に位置するようにセンサ基板23に取り付けられ、操作パネル20を透過して視認される。照明状態表示部15は、「緑色で点灯」「赤色で点灯」「消灯」の三つの状態を表すことができる。「緑色で点灯」している場合は光源71のON状態が継続していることを意味し、「赤色で点灯」している場合は光源71がOFFしていることを意味する。そして「消灯」は主電源21がOFF状態となっていることを意味する。
制御基板22には、制御部22aが設けてある。
図3−2に示すように、制御部22aは、光源71を制御するもので、光源71のほか、上述した主電源21、調光ダイヤル11、自動消灯切換スイッチ12、自動消灯モード表示部13、モーションセンサ14、照明状態表示部15が接続してある。
制御部22aは、自動消灯切換スイッチ12がON操作されると、自動消灯モード表示部13を点灯し、OFF操作されると自動消灯モード表示部13を消灯する。また、制御部22aは、自動消灯切換スイッチ12がON、光源71がONの場合に自動消灯モード表示部13を緑色で点灯し、自動消灯切換スイッチ12がONの時、モーションセンサ14の信号により、光源71がOFFされた場合に自動消灯モード表示部13を赤色で点灯する。
また、制御部22aは、設定時間記憶部22a1、時間計測部22a2、光源制御部22a3を有している。
設定時間記憶部22a1には、予め設定された時間が記憶されている。予め設定された時間は、観察者が顕微鏡から離れてから光源71をOFFするまでの時間であり、本実施の形態では1800秒(30分)が記憶されている。
時間計測部22a2は、経過時間を計測するもので、主電源21をON操作した時に計測を開始するとともに、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内にモーションセンサ14から信号(モーション有り)が入力された場合に初めから経過時間の計測を開始する。
光源制御部22a3は、光源71のON/OFF制御のほか、照明光の強度を制御するもので、主電源21をON操作した時に光源71をONし、主電源21をOFF操作した時に光源71をOFFする。また、自動消灯切換スイッチ12がONとなっている場合において、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内にモーションセンサ14から信号(モーション有り)が入力された場合には光源71のON状態を継続する。一方、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内にモーションセンサ14から信号(モーションあり)が入力されない場合には光源71をOFFする。
なお、自動消灯切換スイッチ12がOFFとなっている場合には、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内にモーションセンサ14から信号が入力されない場合であっても光源71をOFFすることはない。
また、光源制御部22a3は、調光ダイヤル11の操作量に対応した照明強度となるように光源71を制御する。具体的には、調光ダイヤル11が回転操作されると、その操作量に対応するように光源71の電圧を変更する。
図7に示すように、上述した本発明の実施の形態1に係る顕微鏡は、主電源21をONにすると、まず、時間の計測を開始するとともに(ステップS1)、照明状態表示部15を「緑色で点灯」する(ステップS2)。そして、光源71がONする(ステップS3)。つぎに、主電源:ON(ステップS4)、自動消灯切換スイッチ:ON(ステップS5)を条件に、自動消灯モード表示部13を点灯する(ステップS6)。
そして、1秒待って(ステップS7)、モーションセンサ14が熱源の移動を検知した場合には(ステップS8:Yes)、経過時間の計測を初めから開始する(ステップS9)。
一方、モーションセンサ14が熱源の移動を検知しない場合には「モーションなし」と判定し(ステップS8:No)、経過時間の計測を継続する(ステップS10)。そして、予め設定された時間(30分)が経過するまで、ステップS4〜S10の手順を繰り返す(ステップS11:No)。
設定時間記憶部22a1に記憶された時間が経過すると、自動消灯モード表示部13を一旦消灯させとともに(ステップS12)、照明状態表示部15を「赤色で点灯」する(ステップS13)。そして、光源71をOFFする(ステップS14)。
以後、主電源21がOFF(ステップS15:No)、自動消灯切換スイッチ12がOFF(ステップS16:No)とならない限り、この状態を維持する。
一方、自動消灯切換スイッチ12をOFFにすると(ステップS16:No)、照明状態表示部15を緑で点灯させるとともに(ステップS17)、光源71のOFF状態が解消される。そして、光源71がONとなり(ステップS18)、時間の計測を初めから再開する(ステップS19)。
他方、主電源21をOFFにすると(ステップS15:No)、照明状態表示部15を消灯させるとともに(ステップS20)、自動消灯モード表示部13を消灯させる(ステップS21)。そして、一連の動作が終了する。
上述した実施の形態1に係る顕微鏡は、主電源21をON操作した場合に光源71をONし、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内にモーションセンサ14が熱源の移動を検知した場合に光源71のON状態を継続する一方、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内にモーションセンサ14が熱源の移動を検知しない場合に光源71をOFFする。したがって、観察者が接眼レンズ91を覗いている場合には、光源71のON状態を継続するので、観察者に不都合が生じることはない。
一方、観察者が接眼レンズ91を覗いていない場合には、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内にモーションセンサ14が熱源の移動を検知しないので、光源71をOFFする。したがって、照明光により標本が損傷したり、電力を浪費したりすることがない。また、観察者から放射した赤外線の変化を検出するので、物体を誤検出することもない。
なお、上述した実施の形態1に係る顕微鏡において、モーションセンサ14を着脱可能なユニットとし、任意の位置に設置するようにしてもよい。
また、制御部22aに接続され、主電源21をON操作した場合に制御信号の出力を開始し、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内にモーションセンサ14が熱源の移動を検知した場合に制御信号の出力を継続する一方、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内に熱源の移動を検知しない場合に制御信号の出力をOFFする出力端子を設けてもよい。例えば、この出力端子にカメラCを接続すれば、出力信号が入力されている場合にカメラを作動させ、出力信号が入力されなくなった場合にカメラを停止させることができる。
(実施の形態2)
つぎに、図1及び図2を参照し、実施の形態2に係る顕微鏡について説明する。実施の形態2に係る顕微鏡は、実施の形態1に係る顕微鏡とモーションセンサ14の取付位置を除いて異なるところはないので、モーションセンサ114の取付位置についてのみ説明し、他の説明を省略する。
実施の形態2に係る顕微鏡のモーションセンサ114は、右側の焦準部4Rの手前に位置するように、ベース部2aの内部右側に取り付けられている。そして、ベース部のモーションセンサ114の前方となる部分には透孔2a1が設けてある。モーションセンサ114は、顕微鏡の側方域の熱源の移動を検知するもので、側方上下方向に70度(中心から上方向と下方向とにそれぞれ35度)の範囲、側方前後方向に100度(中心から前方向と前方向とにそれぞれ50度)の範囲の熱源の移動を検知する。なお、観察者(特に手または腕)も温度差を有する熱源を構成するので、観察者が焦準部4Rまたはステージハンドル5を操作した場合、モーションセンサ114が観察者の手または腕を検知する。したがって、観察者が標本を観察している場合にはモーションセンサ114がその動きを検知する。
上述した実施の形態2に係る顕微鏡は、主電源21をON操作した場合に光源71をONし、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内にモーションセンサ114が熱源の移動を検知した場合に光源71のON状態を継続する一方、設定時間記憶部22a1に記憶された時間内にモーションセンサ114が熱源の移動を検知しない場合に光源71をOFFする。したがって、観察者が予め設定された時間内に一度でも焦準部4Rまたはステージハンドル5を操作すれば、モーションセンサ114が熱源の移動を検知する。そして、光源71のON状態を継続するので、観察者に不都合が生じることはない。
一方、観察者が予め設定された時間内に一度も焦準部4Rまたはステージハンドル5を操作しなければ、モーションセンサ114が熱源の移動を検知しないので、光源71をOFFする。すなわち、顕微鏡を使用していない場合には、光源71がOFFされるので、照明光により標本が損傷したり、電力を浪費したりすることがない。また、観察者の移動を検知するので、物体を誤検知することもない。
また、実施の形態2に係る顕微鏡は、接眼レンズ91からカメラCへ光路を切り換え、接眼レンズ91を覗くことなく、パソコンの画面に表示するようにした場合であっても、焦準部4Rは操作する必要があるので、顕微鏡を使用している場合にはモーションセンサ114が熱源の移動を検知することになる。
なお、実施の形態2に係る顕微鏡は、実施の形態1に係る顕微鏡に上述したモーションセンサ114を付加したものであってもよい。そして、予め設定された時間内にいずれか一方のモーションセンサ14,114がモーション有りと判断した場合に光源71への電力供給を継続する一方、予め設定された時間内にいずれのモーションセンサ14,114もモーションなしと判断した場合に光源71をOFFするものとすればよい。
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3に係る顕微鏡について説明する。実施の形態3に係る顕微鏡は、実施の形態1にかかる顕微鏡において、減光部材24にさらに追加の減光部材を重ねたものである。追加の減光部材は、上述した減光部材24と同様に、モーションセンサ14の赤外線入射方向前方に取り付けられ、入射する赤外線を減衰させるもので、例えば、赤外線を透過するポリエチレン素材のシートで構成されている。
上述した実施の形態3に係る顕微鏡は、追加の減光部材を重ね合わせたので、モーションセンサ14の検出距離が短くなり、空調設備による急激な温度変化による誤検出を回避できる。
(実施の形態4)
まず、図8に基づいて、本発明の実施の形態4に係る顕微鏡の構成について説明する。
なお、図8は、本発明の実施の形態4に係る顕微鏡の構成を例示した図である。顕微鏡401は、顕微鏡本体402と、標本403を載せるステージ404と、ピントを調節する焦準部405と、標本403を拡大して観察するための観察光学系と、標本403へ均一な照明を行うための照明光学系と、を含んで構成される。
なお、ステージ404は、光軸と垂直な面内で移動可能に構成されている。さらに、焦準部405によりステージ404を光軸方向に移動させることも可能である。観察光学系は、標本403の拡大像を得る対物レンズ406と、数種類の対物レンズ406を光軸上に交換可能なレボルバ407と、拡大像を観察視野に導く鏡筒408と、拡大像をさらに虚像として拡大する接眼レンズ409と、を含んでいる。
照明光学系は、光源410と、光源410から射出される照明光を集光する不図示の集光レンズと、照明光の向きを変える不図示の反射ミラーと、照明光を標本へ照明するための不図示のコンデンサレンズと、を含んでいる。なお、光源410としては、例えば、ハロゲンランプやLED光源などを用いることができる。
顕微鏡本体402には、顕微鏡401の主電源411が取り付けられている。主電源411をONにすることにより、顕微鏡の各種制御を担う制御部412と、観察者を検知するための観察者検知部413(検知部、第1の検知部)とが機能する。観察者検知部413は、例えば、赤外線や超音波などを用いたセンサにより構成されていて、観察者検知部413の前方の近接した領域を検知対象としている。
制御部412の制御対象の一つとして、光源410へ供給する電力がある。制御部412は、制御部412内部に設けられた時間計測部414を観察者検知部413と連動して機能させることにより、光源410へ適時適切な電力を供給する。これにより、観察者が標本403を観察していない状態における光源410への無駄な電力の供給を抑制し、顕微鏡401の省電力化を実現することができる。また、後述する制御により、光源410を省電力化された状態から観察に適した電力が供給される状態へ高速に復帰させることができる。
なお、制御部412は、光源410、主電源411、観察者検知部413と、それぞれ信号線415、信号線416、信号線417を介して接続されている。
以下では、本実施の形態4に係る顕微鏡401の光源410に対する電力供給の制御について、詳細に説明する。まず、制御部412と連動して最適な電力供給を実現する観察者検知部413と時間計測部414の役割について説明する。
観察者検知部413は、図8に例示されるように顕微鏡401の前面に配置され、例えば、赤外線を射出し、その反射の状態により、観察者検知部413の前方近傍に観察者が存在するか否かを検知する。より具体的には、観察者検知部413の前方近傍に観察者が存在する場合は、信号線417を介して観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。一方、観察者検知部413の前方近傍に観察者が存在しない場合は、信号線417を介して観察者が存在しないことを示す電気信号を制御部412へ送信する。
なお、ここでは、観察者の有無に係らず観察者検知部413から制御部412へ電気信号を送信する方法を例示したが、特にこれに限定されることはない。例えば、観察者が存在する(または、存在しない)場合にのみ、電気信号を送信することにより観察者の有無を制御部412へ通知する方法を用いても良い。
時間計測部414は、制御部412による光源410に対する電力供給状態の変更と同期して経過時間を計測する。
次に、図9を参照しながら、制御部412による光源410に対する電力供給の制御について説明する。図9は、本実施の形態4に係る顕微鏡401における、観察者検知部413による検知結果とそれに伴う制御部412による光源410に対する電力供給の制御について例示した図である。図9の上段は、観察者検知部413による検知結果を例示しており、横軸は時間、縦軸は観察者検知部413による検知結果を示している。検知結果“ON”は存在が検知された状態、“OFF”は存在が検知されなかった状態を表している。図9の下段は、光源410に対する電力供給を例示しており、横軸は経過時間、縦軸は光源410への供給電圧を示している。なお、ここでは電力供給に関するパラメータとして電圧を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
時刻0から時刻T1までは、観察者は標本403を観察中である。この時、顕微鏡401の前には観察者が存在するため、観察者検知部413は観察者を検知し観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。観察者検知部413から上記電気信号を受信した制御部412は、観察中と判断し、光源410への供給電圧を定格点灯電圧V1に制御し、光源410を観察に最適な光量の照明光を射出するON状態に制御する。なお、光源410への供給電圧は、光源410から射出される光量と密接な関係がある。最適な観察環境を実現するため、定格点灯電圧V1は観察者により予め調整可能とする。
時刻T1では、観察者は、顕微鏡401の前から離席し観察を中断する。この時、顕微鏡401の前には観察者が存在しないため、観察者検知部413は観察者が存在しないことを示す電気信号を制御部412へ送信する。観察者検知部413から上記電気信号を受信した制御部412は、観察が中断されたと判断し、まず、時間計測部414による時刻T1からの経過時間te1の計測を開始する。さらに、光源410への供給電圧を待機電圧V2(待機電圧V2<定格点灯電圧V1)に制御し、光源410を射出する照明光の光量が抑制された待機状態に制御する。
なお、図9では、待機電圧V2は定格点灯電圧V1の約半分程度の値として例示しているが、特にこれに限定されない。供給電圧の大きさに応じて光源から射出される光量が決まることを考慮すると、待機電圧V2は省電力化及び標本保護の観点からは、できる限り小さな値が望ましい。一方、観察再開時に観察に最適な光量を射出するON状態へできる限り高速に復帰することを考慮すると、待機電圧V2はできる限り大きく、定格点灯電圧V1近い値が望ましい。
以上から、待機電圧V2は、省電力化及び標本保護と観察状態への高速復帰とのバランスを考慮して適時決定する必要がある。本実施形態の顕微鏡401において、待機電圧V2は定格点灯電圧V1と同様に調整可能とする。
時刻T2は、時刻T1から所定の時間だけ経過した時刻である。なお、ここで、時刻T1から時刻T2までの間、観察者は離席したままであり、観察者検知部413は観察者が存在しないことを示す電気信号を制御部412へ常時送信していたものとする。時刻T2では、制御部412は、時間計測部414により測定中の時刻T1からの経過時間te1が予め設定されている待機時間Ta以上となったことから、光源410の待機状態が待機時間Ta以上継続したと判断し、光源410への電圧の供給を停止し、光源410を照明光を射出しないOFF状態とする。
なお、時刻T1から時刻T2までの間に観察者が観察を再開した場合は、観察者検知部413は観察者の存在を検知し、観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。観察者検知部413から上記電気信号を受信した制御部412は、観察が再開されたと判断し、光源410への供給電圧を定格点灯電圧V1に制御し、光源410を観察に最適な光量を射出するON状態に制御する。
このように、光源がON状態にある時に観察者検知部413が観察者が存在しないことを検知した後、一定時間(待機時間Ta)経過するまでの間、光源410への供給電圧を待機電圧V2(0以上定格点灯電圧V1未満)に維持し、光源410を待機状態におくことにより、省電力化及び標本保護が図られるとともに、観察再開時の光源410のON状態への高速な復帰を実現している。また、一定時間(待機時間Ta)経過後は、光源410への電圧の供給を停止し、さらに省電力化及び標本保護が図られる。
次に、時刻T3から時刻T4では、例えば、単に顕微鏡401の前を人等が横切った場合など、本来、光源410をON状態へ復帰させる必要が無い場合における光源への電圧供給の制御例について説明する。なお、以降、本明細書では、上記のような、本来、光源410をON状態へ復帰する必要は無い状態での観察者検知部413による検知対象の検知を、“過剰検知”と記す。
時刻T3は、観察者検知部413により過剰検知が生じた時刻である。この時、観察者検知部413は、検知対象が観察を再開するために近づいた観察者か、単に横切っただけの人等であるかについて区別することはできない。このため、時刻0から時刻T1の場合と同様に、観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。これにより制御部412は、観察が再開されたと判断し、まず、時間計測部414による時刻T3からの経過時間te2の計測を開始する。さらに、光源410への供給電圧を定格点灯電圧V1に制御し、光源410を観察に最適な光量を射出するON状態に制御する。
ところが、実際には、単に顕微鏡401の前を人等が横切っただけであるため、検知対象はすぐに顕微鏡401の前を通り過ぎ、観察者検知部413の検知範囲外へ移動することになる。これにより、検知対象が観察者検知部413の検知範囲外へ移動した時刻T4に、観察者検知部413は観察者が存在しないことを示す電気信号を制御部412へ送信する。この時、上記電気信号を受信した制御部412は、時間計測部414により測定中の経過時間te2が予め設定されている最低観察時間Tbを超えたかどうかを確認する。ここでは、測定中の経過時間te2(光源がON状態に維持された時間)は最低観察時間Tb未満である。このため、制御部412は、観察者検知部413により検知された検知対象は観察を再開した観察者ではないと判断し、即座に光源410への電圧の供給を停止し、光源410をOFF状態とする。
このように、光源410がOFF状態にある場合、観察者検知部413が検知対象を検知した直後に、当該検知が過剰検知か否かに関わらず、即座に光源410をON状態へ復帰させる。これにより、観察者が観察を再開するまでに要する時間を最小限に抑え、光源をON状態へ高速に復帰させることが可能となっている。なお、本実施形態では、過剰検知か否かについては、最低観察時間Tbを基準に判断する。具体的には、観察者検知部413により検知対象が継続して検知された時間が最低観察時間Tb未満の場合は、過剰検知(つまり、光源410をON状態へ復帰する必要はなかった)と判断し、光源410を待機状態を経由させずにOFF状態へ制御する。これにより、無駄な電圧の供給を最低限に抑え、省電力化及び標本保護を実現する。
時刻T5は、観察者が観察を再開した時刻である。この時、時刻T3の場合と同様に、観察者検知部413は観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。これにより、制御部412は観察が再開されたと判断し、時間計測部414による時刻T5からの経過時間te2の計測を開始する。さらに、光源410をON状態に制御する。
ここでは、実際に観察者が観察を再開しているため、観察者が次に離席する時刻T6では、最低観察時間Tbを越えて光源410がON状態に維持されているものとする。このため、時刻T6では、時刻T1の場合と同様に、制御部412により光源410は待機状態に制御されることになる。
図10は、本実施形態に係る顕微鏡401における、観察者検知部413による検知結果とそれに伴う制御部412による光源410に対する電力供給の制御の変形例を例示した図である。なお、ここでも電力供給に関するパラメータとして電圧を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
図10は、供給電圧の変更の仕方が図2と異なっており、その他は同様である。図10では、供給電圧を瞬時に変更している。例えば、時刻T1では、定格点灯電圧V1から待機電圧V2へ瞬時に変更している。このような短時間での急激な供給電圧の変更は、一般に光源の寿命に悪影響を及ぼすことが知られている。特に光源がハロゲンランプなどの場合には、この問題は顕著である。
このため、図10では、供給電圧を漸増又は漸減させている。例えば、時刻T1では、定格点灯電圧V1から待機電圧V2へ電圧を漸減させている。このように電圧の供給を制御することにより、光源410にかかる負担を低減させることが可能となり、光源410の寿命を正常に保つことができる。
図11は、本実施形態に係る顕微鏡401の光源410に対する電力供給の制御について例示したフローチャートである。図11では、図9及び図10における制御を実現するための制御フローが示されている。以下では、図11を参照しながら、光源410に対する電力供給の制御フローについて説明する。なお、ここでも電力供給に関するパラメータとして電圧を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
図11に例示されるように、光源410に対する電圧供給の制御は、顕微鏡401の主電源411をONにすることにより開始される(ステップS401)。ステップS402では、顕微鏡401の初期設定を行う。具体的には、光源410のON状態における定格点灯電圧V1、光源410の待機状態における待機電圧V2、光源410を待機状態に維持する時間の上限である待機時間Ta、観察再開の判断基準である最低観察時間Tb、を設定する。なお、本ステップは予め決められた上記パラメータの値を自動的に設定するように構成してもよいし、観察者により手動で設定するように構成しても良い。
ステップS403では、観察者検知部413により検知対象が検知されたか否かを判定する。判定がYESの場合(観察者検知部413により検知対象が検知された場合)はステップS404に遷移し、判定がNOの場合(観察者検知部413により検知対象が検知されなかった場合)はステップS405に遷移する。
ステップS404では、観察者検知部413により検知対象が検知されたため、光源410に定格点灯電圧V1を供給する。これにより、光源410は観察に最適な光量を射出するON状態に制御される。その後、ステップS403へ遷移し、以上の処理を繰り返す。
なお、ステップS403及びステップS404の繰り返しは、図9における時刻0から時刻T1までに対応する。つまり、観察者検知部413により検知対象が検知され、光源410がON状態に維持されている期間の処理のフローを示している。
ステップS405では、時間計測部414を起動し、観察者検知部413により検知対象が検知されなくなった時刻からの経過時間te1の計測を開始する。続くステップS406では、光源410に待機電圧V2を供給する。これにより、光源410は射出する光量を抑制した待機状態に制御される。
ステップS407では、時間計測部414により計測中の経過時間te1が、ステップS402にて設定された待機時間Ta未満か否かを判定する。判定がYESの場合(経過時間te1が待機時間Ta未満の場合)はステップS408に遷移し、判定がNOの場合(経過時間te1が待機時間Ta以上の場合)はステップS409に遷移する。
ステップS408では、再度、観察者検知部413により検知対象が検知されたか否かを判定する。判定がYESの場合はステップS404に遷移し、判定がNOの場合はステップS406に遷移する。
なお、ステップS408で判定がYESの場合は、観察者が観察中断後、待機時間Ta経過前に観察を再開した場合に対応する。ステップS404へ遷移し、光源410は観察に最適な光量を射出するON状態に高速に復帰する。
また、ステップS406からステップS408の繰り返しは、図9における時刻T1から時刻T2までに対応する。つまり、観察者検知部413では検知対象が検知されず、光源410が待機状態に維持されている期間の処理のフローを示している。
ステップS409では、観察者検知部413により検知対象が検知されなくなってから、待機時間Ta以上経過したため、光源410への電圧の供給を停止し、光源410をOFF状態とする。
ステップS410は、再度、観察者検知部413により検知対象が検知されたか否かを判定する。判定がYESの場合はステップS411に遷移し、判定がNOの場合はステップS409に遷移する。
なお、ステップS409及びステップS410の繰り返しは、図9における時刻T2から時刻T3に対応する。つまり、観察者検知部413では検知対象が検知されず、待機時間Ta経過後、光源410がOFF状態に維持されている期間の処理のフローを示している。
ステップS411では、時間計測部414を起動し、観察者検知部413により検知対象が検知されてからの経過時間te2の計測を開始する。続いてステップS412では、光源410に定格点灯電圧V1を供給する。これにより、光源410は観察に最適な光量を射出するON状態に制御される。
ステップS413では、時間計測部414により計測中の経過時間te2が、ステップS402にて設定された最低観察時間Tb未満か否かを判定する。判定がYESの場合(経過時間te2が最低観察時間Tb未満の場合)はステップS414に遷移し、判定がNOの場合(経過時間te2が最低観察時間Tb以上の場合)はステップS403に遷移する。
ステップS414では、再度、観察者検知部413により検知対象が検知されたか否かを判定する。判定がYESの場合はステップS412に遷移し、判定がNOの場合はステップS409に遷移する。
なお、ステップS412からステップS414の繰り返しは、図9における時刻T3から時刻T4までに対応する。つまり、観察者検知部413により検知対象が検知され、光源410がOFF状態からON状態に復帰し、最低観察時間Tbを経過する前の期間の処理のフローを示している。
また、最低観察時間Tb経過前にステップS414で判定がNOとなりステップS409へ遷移する処理は、図9における時刻T4の処理に対応する。つまり、過剰検知により一時的に光源410がON状態に復帰していた場合に相当する。
また、最低観察時間Tbを経過し、ステップS413で判定がNOとなりステップS403へ遷移する処理は、図9における時刻T5からT6の間に行われている。これにより、以降、観察者検知部413の検知結果がNOとなった場合であっても、光源410は直接OFF状態には遷移せず、待機状態に遷移することになる。
以上、本実施形態の顕微鏡401は、光源410、観察者検知部413及び時間計測部414を備え、光源410はON状態とOFF状態の加え、待機状態を有している。本実施形態の顕微鏡401によれば、一定の時間(最低観察時間Tb)の観察後に、観察者検知部413が検知対象を検知しなくなった場合、所定の時間(待機時間Ta)だけ、光源410を待機状態に制御することができる。このため、観察を中断してから所定の時間(待機時間Ta)の間に観察を再開した場合は、光源410を高速にON状態に復帰させて、即座に観察を再開することが可能となり、顕微鏡401の操作性が向上する。また、待機状態における供給電圧をON状態における供給電圧に比べ低く抑えるとともに、所定の時間(待機時間Ta)経過後は電圧の供給を停止し、光源410を自動的にOFF状態に制御する。これにより、省電力化も合わせて実現する。
また、本実施形態の顕微鏡401によれば、光源410が一旦OFF状態になった後に、観察者検知部413が検知対象を検知した場合は、過剰検知か否かに関わらず、即座に光源410をON状態に制御する。さらに検知後、所定の時間(最低観察時間Tb)までに当該検知が終了した場合は、過剰検知とみなし、光源410を直接OFF状態に制御する。このため、観察再開時には、光源410をOFF状態からON状態へ遷移させるために要する最低限の時間で観察を再開することが可能となり、顕微鏡401の操作性が向上する。さらに、過剰検知であった場合には、光源410を自動的にOFF状態に制御することにより、無駄な電力消費を最低限に抑制することが可能となる。
(実施の形態5)
次に、図5を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡の構成について説明する。
図12は、本実施形態に係る顕微鏡の構成を例示した図である。なお、図5で例示される顕微鏡501の構成は、図8で例示される顕微鏡401の構成と多くの部分が共通である。このため、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図5で例示される顕微鏡501は、図8で例示される顕微鏡401に対して、さらに観察操作検知部518(第2の検知部)を設け、信号線519により制御部412と接続した構成となっている。
観察操作検知部518は、顕微鏡501のステージ404内に取り付けられ、例えば、変位を検出する加速度センサなどを内部に含んで構成されている。これにより、観察操作が行われてステージ404が移動したか否かを検知する。より具体的には、ステージ404が光軸と垂直な面内、または光軸の方向に移動した場合は、信号線519を介して観察操作が行われたことを示す電気信号を制御部412へ送信する。一方、ステージ404が静止状態にある場合は、信号線519を介して観察操作が行われていないことを示すことを示す電気信号を制御部412へ送信する。
なお、ここでは、観察操作の有無に係らず観察操作検知部518から制御部412へ電気信号を送信する方法を例示したが、特にこれに限定されることはない。例えば、観察操作が行われた場合(または、行われていない場合)にのみ、電気信号を送信することにより観察操作の有無を制御部412へ通知する方法を用いても良い。
次に、図13を参照しながら、制御部412による光源410に対する電力の供給制御について説明する。なお、図13は、本実施形態に係る顕微鏡501における、観察者検知部413及び観察操作検知部518による検知結果とそれに伴う制御部412による光源410に対する電力供給の制御について例示した図である。図13の上段は、観察操作検知部518による検知結果を例示しており、横軸は時間、縦軸は観察操作検知部518による検知結果を示している。検知結果“ON”は観察操作が検知された状態、“OFF”は観察操作が検知されなかった状態を表している。図13の中段は、観察者検知部413による検知結果を例示しており、横軸は時間、縦軸は観察者検知部413による検知結果を示している。検知結果“ON”は存在が検知された状態、“OFF”は存在が検知されなかった状態を表している。図13の下段は、光源410に対する電力供給を例示しており、横軸は経過時間、縦軸は光源410への供給電圧を示している。なお、ここでは電力供給に関するパラメータとして電圧を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
時刻0から時刻T2までは、図9で例示した制御と同様であるため、説明を省略する。時刻T3から時刻T4では、過剰検知の場合における光源410に対する電圧供給の制御例について説明する。
時刻T3は、観察者検知部413により過剰検知が生じた時刻である。この時、観察者検知部413は、検知対象が観察を再開するために近づいた観察者か、単に横切っただけの人等であるかについて区別することはできないため、観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。制御部412は、上記電気信号を受信すると、時間計測部414による時刻T3からの経過時間te2の計測を開始する。さらに、実施の形態4と異なり、光源410への供給電圧を待機電圧V2に制御し、光源410を待機状態に制御する。
上記検知結果は、単に顕微鏡501の前を人等が横切ったことによるものであるため、検知対象はすぐに顕微鏡501の前を通り過ぎ、観察者検知部413の検知範囲外へ移動することになる。これにより、検知対象が観察者検知部413の検知範囲外へ移動した時刻T4に、観察者検知部413は観察者が存在しないことを示す電気信号を制御部412へ送信する。これにより、制御部412は、観察者検知部413により検知された検知対象は観察を再開した観察者ではないと判断し、光源410への電圧の供給を停止し、光源410をOFF状態とする。
このように、光源410がOFF状態にある時に、観察者検知部413が検知対象を検知した場合は、一旦、光源410を待機状態へ遷移させている。これにより、直ぐにON状態に遷移させる場合に比べ、過剰検知であった場合に無駄となる電圧の供給及び光源410の発光量を最低限に抑え、省電力化及び照明光の過剰な射出からの標本403の保護を実現することができる。
時刻T5は、観察者が観察を再開した時刻である。この時、時刻T3の場合と同様に、観察者検知部413は観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。制御部412は、まず、時間計測部414により時刻T5からの経過時間の計測を開始した上で、光源410を待機状態に制御する。
ここでは、実際に観察者は観察を再開しているため、ステージ404を移動させるなどの観察操作を行う。時刻T6は、観察操作としてステージ404を移動させた時刻である。この時、観察操作検知部518は、ステージ404の移動により観察操作が行われたことを検知し、信号線519を介して観察操作が行われたことを示す電気信号を制御部412へ送信する。制御部412は、上記電気信号を受信すると、光源410への供給電圧を定格点灯電圧V1に制御し、光源410をON状態に制御する。
このように、光源410を一旦待機状態まで復帰させた後に、観察操作をトリガーとして光源410を高速にON状態に復帰させることにより、観察再開に合わせて観察に最適な照明状態を、無駄な消費電力を供給することなく提供することが可能となる。
以上では、光源410が待機状態からON状態に遷移する例として、観察操作が行われた場合について説明した。その他にも、光源410がOFF状態から遷移し一定時間(最低観察時間Tb)以上待機状態に維持された場合にも、同様に、光源410はON状態に制御される。これにより、観察開始後、一切の観察操作が不要な場合であっても、一定時間後には観察に最適な照明状態を提供することが可能となる。
なお、過剰検知などにより所定時間(最低観察時間Tb)経過前に、観察者検知部413が観察者が存在しないことを示す電気信号を制御部412に送信した場合は、実施の形態4と同様に、光源410への電圧の供給を停止し、光源410をOFF状態とする。
ここでは、観察操作検知部518をステージ404に取り付け、ステージ404の移動を伴う観察操作を検出し、それをトリガーとして光源410をON状態に復帰する例を示したが、特にこれに限定されるものではない。ステージ404の他に、合焦処理で操作される焦準部405や、対物レンズ406の切り替え時に操作されるレボルバ407、その他、照明光を調整するための不図示のフィルタを交換するフィルタキューブなど、観察時に操作される各種操作部に観察操作検知部518を取り付けても良い。これにより、ステージ404の移動以外の観察操作も検知することが可能となり、より確実に観察再開に合わせて最適な照明状態を提供することが可能となる。
また、本実施の形態においても、図10で例示される実施の形態4の変形例と同様に、光源410への供給電圧を漸増又は漸減させてもよい。これにより、実施の形態4の変形例の場合と同様に、光源410の寿命に与える悪影響を抑制することが可能となる。
図14は、本実施形態に係る顕微鏡における光源に対する電力供給の制御について例示したフローチャートである。図14では、図13に例示した制御を実現するための制御フローが示されている。以下では、図14を参照しながら、光源410に対する電力供給の制御フローについて説明する。なお、ここでも電力供給に関するパラメータとして電圧を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
なお、図14に例示されるフローチャートは、ステップS510までは、図11に例示されるフローチャートと同様であるため、説明を省略する。ステップS509で光源410をOFF状態に制御した後、ステップS510で観察者検知部413により検知対象を検知した場合は、ステップS511へ遷移する。
ステップS511では、時間計測部414を起動し、観察者検知部413により検知対象が検知されてからの経過時間te2の計測を開始する。続いて、ステップS512で光源410に待機電圧V2を供給する。これにより、光源410は待機状態に制御される。
ステップS513では、観察操作検知部518によりステージ404の移動などの観察操作が検知されたか否かを判定する。判定がYESの場合(観察操作検知部518により観察操作が検知された場合)はステップS503に遷移してステップS504で光源410がON状態に制御される。一方、判定がNOの場合(観察操作検知部518により観察操作が検知されなかった場合)はステップS514に遷移する。
ステップS514では、時間計測部414により計測中の経過時間te2が、ステップS502にて設定された最低観察時間Tb未満か否かを判定する。判定がYESの場合(経過時間te2が最低観察時間Tb未満の場合)はステップS515に遷移し、判定がNOの場合(経過時間te2が最低観察時間Tb以上の場合)はステップS503に遷移してステップS504で光源410がON状態に制御される。
ステップS515では、再度、観察者検知部413により検知対象が検知されたか否かを判定する。判定がYESの場合はステップS512に遷移し、判定がNOの場合はステップS509に遷移する。
なお、ステップS512からステップS515の繰り返しは、図13における時刻T3から時刻T4までに対応する。つまり、観察者検知部413により検知対象が検知され、光源410がOFF状態から待機状態に遷移し、最低観察時間Tbを経過する前の期間の処理のフローを示している。
また、最低観察時間Tb経過前にステップS515で判定がNOとなりステップS509へ遷移する処理は、図13における時刻T4の処理に対応する。つまり、過剰検知により一時的に光源410が待機状態に遷移していた場合に対応する。
また、最低観察時間Tbを経過し、ステップS514で判定がNOとなりステップS503へ遷移する処理は、図13においては図示されていない。この処理は、観察再開時に観察操作を伴わない場合を想定して、一定時間(最低観察時間Tb)後に光源410をON状態に復帰させる処理に対応する。
また、ステップS513で判定がYESとなりステップS503へ遷移する処理は、図13における時刻T6の処理に対応する。つまり、ステージ404の移動などの観察操作を観察操作検知部518が検知し、光源410を待機状態からON状態へ復帰させる処理に対応する。
以上、本実施の形態の顕微鏡501は、実施の形態4の顕微鏡401の構成要素に加え、さらに観察操作検知部518を備えている。本実施の形態の顕微鏡501によれば、一定の時間(最低観察時間Tb)の観察後に、観察者検知部413が検知対象を検知しなくなった場合、所定の時間(待機時間Ta)だけ、光源410を待機状態に制御することができる。このため、観察を中断してから所定の時間(待機時間Ta)の間に観察を再開した場合は、光源410を高速にON状態に復帰させて、即座に観察を再開することが可能となり、顕微鏡501の操作性が向上する。また、待機状態における供給電圧をON状態における供給電圧に比べ低く抑えるとともに、所定の時間(待機時間Ta)経過後は電圧の供給を停止し、光源410を自動的にOFF状態に制御する。これにより、省電力化も合わせて実現する。
また、本実施の形態の顕微鏡501によれば、光源410が一旦OFF状態になった後に、観察者検知部413が検知対象を検知した場合は、過剰検知か否かに関わらず、即座に光源410を待機状態に制御する。そして、観察再開に伴う観察操作をトリガーとして、光源410を待機状態から高速にON状態に復帰させることができる。このため、無駄な消費電力を供給することなく、観察再開に合わせて最適な照明環境を提供することが可能となり、顕微鏡501の操作性が向上する。
また、観察者検知部413による検知後、所定の時間(最低観察時間Tb)以上当該検知が継続した場合には、光源410を待機状態からON状態に復帰させる。これにより、観察再開時に観察操作を伴わない場合であっても、所定の時間(最低観察時間Tb)後に自動的に最適な照明環境を提供し、観察を再開することが可能となる。
さらに観察者検知部413による検知後、所定の時間(最低観察時間Tb)までに当該検知が終了した場合は、過剰検知とみなし、光源410を自動的に直接OFF状態に制御する。これにより、無駄な電力消費を最低限に抑制することが可能となる。
(実施の形態6)
次に、図15を参照しながら、本実施の形態に係る顕微鏡の構成について説明する。なお、図15は、本実施の形態に係る顕微鏡の構成を例示した図である。なお、図15で例示される顕微鏡601の構成は、図8で例示される顕微鏡401の構成と多くの部分が共通である。このため、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図15で例示される顕微鏡601は、図8で例示される顕微鏡401の観察者検知部413の代わりに、近距離観察者検知部620(第3の検知部)と遠距離観察者検知部621(第4の検知部)を設け、それぞれ信号線622、信号線623により制御部412と接続した構成となっている。
近距離観察者検知部620及び遠距離観察者検知部621は、例えば、赤外線や超音波などを用いたセンサにより構成されている。なお、近距離観察者検知部620は、近距離観察者検知部620前方の比較的近接した領域を検知対象としている。これに対して、遠距離観察者検知部621は、近距離観察者検知部620の検知範囲に加え、さらに遠方の領域までを検知範囲としている。より具体的には、近距離観察者検知部620が検知対象を検知した場合は、信号線622を介して観察者が顕微鏡近傍に存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。一方、遠距離観察者検知部621が検知対象を検知した場合は、信号線623を介して観察者が顕微鏡から少し離れた位置を含む一定の範囲内に存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。
なお、ここでは、近距離観察者検知部620と遠距離観察者検知部621を別々の構成要素として記載したが、特にこれに限定されない。近距離観察者検知部620及び遠距離観察者検知部621の代わりに、上記の機能を提供可能な単一の検知部を用いてもよい。
次に、図16を参照しながら、制御部412による光源410に対する電力の供給制御について説明する。なお、図9は、本実施の形態に係る顕微鏡601における、近距離観察者検知部620及び遠距離観察者検知部621による検知結果と、それに伴う制御部412による光源410に対する電力供給の制御について例示した図である。図16の上段は、近距離観察者検知部620による検知結果を例示しており、横軸は時間、縦軸は近距離観察者検知部620による検知結果を示している。図16の中段は、遠距離観察者検知部621による検知結果を例示しており、横軸は時間、縦軸は遠距離観察者検知部621による検知結果を示している。いずれも、検知結果“ON”は存在が検知された状態、“OFF”は存在が検知されなかった状態を表している。図16の下段は、光源410に対する電力供給を例示しており、横軸は経過時間、縦軸は光源410への供給電圧を示している。なお、ここでは電力供給に関するパラメータとして電圧を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
時刻0から時刻T1までは、観察者は標本403を観察中である。この時、顕微鏡601の前には観察者が存在するため、近距離観察者検知部620及び遠距離観察者検知部621は、いずれも観察者を検知し観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。近距離観察者検知部620及び遠距離観察者検知部621から上記電気信号を受信した制御部412は、観察中と判断し、光源410への供給電圧を定格点灯電圧V1に制御し、光源410を観察に最適な光量を射出するON状態に制御する。
時刻T1は、観察者が観察を中断し顕微鏡601の前から立ち上がった時刻である。この時、観察者は近距離観察者検知部620の検知範囲外であるが、遠距離観察者検知部621の検知範囲内にとどまっているものとする。このため、近距離観察者検知部620は観察者が存在しないことを検知し、観察者が存在しないことを示す電気信号を制御部412へ送信する。一方、遠距離観察者検知部621は引き続き観察者を検知し観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。近距離観察者検知部620及び遠距離観察者検知部621から上記電気信号を受信した制御部412は、観察が中断されたと判断し、光源410への供給電圧を待機電圧V2(待機電圧V2<定格点灯電圧V1)に制御し、光源410を射出する光量が抑制された待機状態に制御する。
時刻T2では、観察者が遠距離観察者検知部621の検知範囲外に移動した時刻である。なお、ここで、時刻T1から時刻T2までの間、観察者は近距離観察者検知部620の検知範囲外で、且つ遠距離観察者検知部621の検知範囲内にいたものとする。時刻T2では、近距離観察者検知部620及び遠距離観察者検知部621は、いずれも観察者が存在しないことを示す電気信号を制御部612へ送信する。近距離観察者検知部620及び遠距離観察者検知部621から上記電気信号を受信した制御部412は、光源410への電圧の供給を停止し、光源410をOFF状態とする。
なお、ここで、時刻T1から時刻T2までの間に観察者が近距離観察者検知部620の検知範囲内に戻り、近距離観察者検知部620が、観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信した場合は、制御部412は観察が再開されたと判断し、光源410への供給電圧を定格点灯電圧V1に制御し、光源410はON状態に制御される。
次に、時刻T3から時刻T4では、過剰検知の場合における光源に対する電圧供給の制御例について説明する。時刻T3は、遠距離観察者検知部621により過剰検知が生じた時刻である。この時、遠距離観察者検知部621は、検知対象が観察を再開するために近づいた観察者か、単に横切っただけの人等であるかについて区別することはできないため、観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。制御部412は、上記電気信号を受信すると、光源410への供給電圧を待機電圧V2に制御し、光源410を一旦待機状態に制御する。なお、この時、近距離観察者検知部620は、引き続き、観察者が存在しないことを示す電気信号を制御部412へ送信していたものとする。
上記検知結果は、単に顕微鏡601の前を人等が横切ったことによるものであるため、検知対象はすぐに顕微鏡601の前を通り過ぎ、遠距離観察者検知部621の検知範囲外へ移動することになる。これにより、検知対象が遠距離観察者検知部621の検知範囲外へ移動した時刻T4に、遠距離観察者検知部621は観察者が存在しないことを示す電気信号を制御部412へ送信する。これにより、制御部412は顕微鏡601の付近には観察者が存在しないと判断し、光源410への電圧の供給を停止し、光源410をOFF状態に制御する。
時刻T5は、観察者が観察を再開するために遠距離観察者検知部621の検知範囲内まで顕微鏡601に近づいた時刻である。この時、時刻T3の場合と同様に、遠距離観察者検知部621は観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。制御部412も時刻T3の場合と同様に、光源410を待機状態に制御する。
時刻T6は、観察者が観察を再開するために近距離観察者検知部620の検知範囲まで顕微鏡601に近づいた時刻である。この時、近距離観察者検知部620は、観察者が存在することを示す電気信号を制御部412へ送信する。制御部412は、上記電気信号を受信すると、光源410への供給電圧を定格点灯電圧V1に制御し、光源410をON状態に制御する。これにより光源410から観察に最適な光量が射出されることになる。
以上、顕微鏡601を実際に利用するときに観察者が存在する範囲を検知する近距離観察者検知部620に加え、近距離観察者検知部620より広い範囲を検知範囲とする遠距離観察者検知部621を用いることにより、実際に顕微鏡601の近くまで来て観察を再開する場合には、光源410はすでに待機状態にあるため、高速にON状態へ復帰可能である。その一方で、近距離観察者検知部620はごく近くのみを検知範囲とすれば十分であるため、過剰検知において近距離観察者検知部620が検知対象を検知する可能性は非常に小さくなる。このため、過剰検知が生じた場合にも無駄となる電圧の供給を最低限に抑えることが可能である。
図17は、本実施形態に係る顕微鏡601における光源に対する電力供給の制御について例示したフローチャートである。図17では、図16に例示した制御を実現するための制御フローが示されている。以下では、図16を参照しながら、光源410に対する電力供給の制御フローについて説明する。なお、ここでも電力供給に関するパラメータとして電圧を例示しているが、特にこれに限定されるものではない。
なお、図16に例示されるフローチャートはステップS601から開始される。ステップS601は、図11及び図14に例示されるフローチャートのステップS401,501と同様であるため、説明を省略する。
ステップS602では、顕微鏡601の初期設定を行う。具体的には、光源410のON状態における定格点灯電圧V1、光源410の待機状態における待機電圧V2を設定する。なお、本ステップは予め決められた上記パラメータの値を自動的に設定するように構成してもよいし、観察者により手動で設定するように構成しても良い。
ステップS603では、近距離観察者検知部620より検知対象が検知されたか否かを判定する。判定がYESの場合(近距離観察者検知部620により検知対象が検知された場合)はステップS604に遷移し、判定がNOの場合(近距離観察者検知部620により検知対象が検知されなかった場合)はステップS605に遷移する。
ステップS604では、近距離観察者検知部620により検知対象が検知されたため、光源410に定格点灯電圧V1を供給する。これにより、光源410は観察に最適な光量を射出するON状態に制御される。その後、ステップS603へ遷移し、以上の処理を繰り返す。
なお、ステップS603及びステップS604の繰り返しは、図16における時刻0から時刻T1までに対応する。つまり、近距離観察者検知部620により検知対象が検知され、光源410がON状態に維持されている期間の処理のフローを示している。
ステップS605では、遠距離観察者検知部621より検知対象が検知されたか否かを判定する。判定がYESの場合(遠距離観察者検知部621により検知対象が検知された場合)はステップS606に遷移し、判定がNOの場合(遠距離観察者検知部621により検知対象が検知されなかった場合)はステップS607に遷移する。
ステップS606では、遠距離観察者検知部621により検知対象が検知されたため、光源410に待機電圧V2を供給する。これにより、光源410は射出する光量を抑制した待機状態に制御される。その後、ステップS603へ遷移し、以上の処理を繰り返す。
なお、ステップS603、ステップS605及びステップS606の繰り返しは、図16における時刻Tから時刻T2までに対応する。つまり、遠距離観察者検知部621により検知対象が検知され、光源410が待機状態に維持されている期間の処理のフローを示している。
ステップS607では、遠距離観察者検知部621により検知対象が検知されなかったため、光源410への電圧の供給を停止する。これにより、光源410はOFF状態に制御される。その後、ステップS603へ遷移し、以上の処理を繰り返す。
以上、本実施の形態の顕微鏡601は、光源410と検知範囲の異なる近距離観察者検知部620及び遠距離観察者検知部621を備え、光源410はON状態とOFF状態の加え、待機状態を有している。本実施の形態の顕微鏡601によれば、近距離観察者検知部620の検知範囲をごく近くとし、遠距離観察者検知部621の検知範囲を近距離観察者検知部620より広く設定することにより、観察者が顕微鏡601のごく近くまで接近し実際に観察を再開する場合のみ、光源410をON状態にすることができる。これにより、無駄な電圧の供給を抑制することが可能となり、省電力化と過剰な照明光の照射からの標本の保護を実現することができる。また、過剰検知の場合に供給する電圧も少なく抑えることができる。
また、ごく近くまで接近し近距離観察者検知部620により検知されたときには、すでに遠距離観察者検知部621により検知され、光源410は待機状態に制御されている。このため、観察再開に合わせて光源410を高速にON状態へ復帰することができる。これにより、観察再開時の顕微鏡601の操作性を向上することができる。
(実施の形態7)
次に、図18を参照しながら、本実施形態に係る顕微鏡の構成について説明する。なお、図11は、本実施の形態に係る顕微鏡の構成を例示した図である。
図18で例示される顕微鏡701の構成は、図8、図12、図15で例示される顕微鏡401,501,601の構成と多くの部分が共通である。このため、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図18で例示される顕微鏡701は、観察操作検知部518、近距離観察者検知部620及び遠距離観察者検知部621の3つの検知部を有している。観察操作検知部518と制御部412とを接続する信号線519上には、スイッチ724が設けられている。スイッチ724をONにすることにより観察操作検知部518による検出動作が開始され、OFFにすることで検出動作が停止される。
同様に、近距離観察者検知部620と制御部412とを接続する信号線622上には、スイッチ725が設けられている。スイッチ725をONにすることにより近距離観察者検知部620による検出動作が開始され、OFFにすることで検出動作が停止される。
同様に、遠距離観察者検知部621と制御部412とを接続する信号線623上には、スイッチ726が設けられている。スイッチ726をONにすることにより遠距離観察者検知部721による検出動作が開始され、OFFにすることで検出動作が停止される。
本実施の形態の顕微鏡701は、上記のスイッチ724、スイッチ725及びスイッチ726を切り替えることにより、実施の形態4の顕微鏡401、実施の形態5の顕微鏡501、実施の形態6の顕微鏡601と同様の機能を提供することが可能となる。
具体的には、上記3つのスイッチのうち、スイッチ725またはスイッチ726のいずれかのみONにすることにより、顕微鏡701は、実施の形態4の顕微鏡401と同等の機能を提供することが可能する。この時、顕微鏡701の近距離観察者検知部620または遠距離観察者検知部621が、顕微鏡401の観察者検知部413に対応する。なお、ここで、制御部412で行われる制御は、スイッチの切り替えと同時に顕微鏡401で行われる制御に切り替わるものとする。
さらに、上記3つのスイッチのうち、スイッチ725またはスイッチ726のいずれか一方と、スイッチ724をONにすることにより、顕微鏡701は、実施の形態5の顕微鏡501と同等の機能を提供することが可能する。この時、顕微鏡701の近距離観察者検知部620または遠距離観察者検知部621が顕微鏡501の観察者検知部413に対応する。なお、ここで、制御部412で行われる制御は、スイッチの切り替えと同時に顕微鏡501で行われる制御に切り替わるものとする。
さらに、上記3つのスイッチのうち、スイッチ725及びスイッチ726の両方をONにすることにより、顕微鏡701は、実施の形態6の顕微鏡601と同等の機能を提供することが可能する。なお、ここで、制御部412で行われる制御は、スイッチの切り替えと同時に顕微鏡601で行われる制御に切り替わるものとする。
以上、本実施の形態の顕微鏡701では、スイッチの切り替えのみで、上述した顕微鏡401、顕微鏡501及び顕微鏡601と同等の機能を状況に合わせて切り替えて利用することが可能となる。これにより、顕微鏡401、顕微鏡501及び顕微鏡601と同等の効果を得ることができる。
また、例えば、多人数による利用等のように、利用環境によっては光源410の自動的なON/OFFが頻発する環境も想定される。このような場合には、スイッチをすべてOFFにすることで、光源410の自動的なON/OFFを抑制し、過剰なON/OFF動作による光源410の寿命への悪影響を抑制することが可能となる。なお、スイッチ724、スイッチ725及びスイッチ726の機能を制御部412に実装されたソフトウェアで実現してもよい。
なお、本発明は、上述の実施の形態に例示した構成に限らず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
(付記1)
試料を照明するための照明光源と、
前記照明光源の光量を制御する制御部と、
顕微鏡近傍に存在する顕微鏡観察者を検知する近接検知手段と、を備え、
前記制御部は、
前記近接検知手段が顕微鏡観察者の不在を検知した時に、前記照明光源の光量を低減させて前記照明光源を点灯させ、
前記近接検知手段が顕微鏡観察者の戻ったことを検知した時に、不在前の前記照明光源の光量に戻す操作を行う顕微鏡において、
前記制御部は、さらに、時間計測部を備え、
前記時間計測部が顕微鏡観察者の所定の不在時間を計測した場合は、前記制御部は、前記照明光源を消灯し、
前記近接検知手段が顕微鏡観察者を一時的に検知した場合は、前記制御部は、前記照明光源を一時的に不在前の光量に戻し、
前記近接検知手段が顕微鏡観察者の戻ったことを検知した場合は、前記制御部は、前記照明光源を不在前の光量に戻すことを特徴とする顕微鏡。
(付記2)
付記1に記載の顕微鏡において、
さらに、観察操作に伴い動作する観察操作部と、前記観察操作部の動作を検知する観察
操作検知手段と、を備え、
前記制御部は、
前記照明光源が消灯時に、前記近接検知手段が顕微鏡観察者を検知した場合は、光量を低減させた状態で前記照明光源を点灯させ、
前記照明光源が光量を低減させた状態の時に、前記観察操作検知手段が前記観察操作部の動作を検知した場合は、不在前の光量に前記照明光源を戻すことを特徴とする顕微鏡。
(付記3)
付記1に記載の顕微鏡において、
さらに、前記近接検知手段より広範囲の検知が可能な第2の検知手段を備え、前記制御部は、
前記照明光源が消灯時に、前記第2の検知手段が顕微鏡観察者を検知した場合は、光量を低減させた状態で前記照明光源を点灯させ、
前記照明光源が光量を低減させた状態の時に、前記近接検知手段が顕微鏡観察者を検知した場合は、不在前の光量に前記照明光源を戻すことを特徴とする顕微鏡。
(付記4)
付記1に記載の顕微鏡において、
前記所定の不在時間は、調整可能であることを特徴とする顕微鏡。