JP5278487B2 - 蓄電システム - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電システムに関する。
従来、蓄電システムとしては、常温溶融塩を含む非水電解質、負極及び正極を備える非水電解質電池と、非水電解質電池の環境温度を検知する温度検知手段と、非水電解質電池の最大電池電圧を環境温度の上昇に伴い低下させる制御手段と、非水電解質電池の最大充電量を一定値に制御するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この蓄電システムでは、常温溶融塩を用いた非水電解質電池において、高温環境下でのサイクル特性を優れたものとすることができる。
特開2007−80575号公報
上述の特許文献1では、常温溶融塩を用いると60℃を超えると粘度の低下やイオンの解離強度の増加に伴いサイクル特性が劣化してしまうことがあり、有機溶媒系の電解液を用いたリチウム二次電池においては、溶媒の気化などにより60℃程度までしか利用できないことが指摘されている。特許文献1の蓄電システムでは、80℃以下について高温サイクル特性として検討しているが、それよりも高い温度については検討していなかった。このような温度以上になる場合には、例えば、冷却ファンなどの冷却機構を用いて電池を冷却することが一般的である。このように、安全面や効率面から、リチウムイオン二次電池などでは、温度変化に応じてより適正な範囲で使用することが望まれていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、温度変化に応じてより適正な範囲で使用することができる蓄電システムを提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、電池の環境温度と電池の残容量(SOC)との関係を明らかにすることにより、例えば100℃以上の高温においても、温度変化に応じてより適正な範囲で使用することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の蓄電システムは、
金属酸化物を含む正極活物質を有する正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたリチウム二次電池と、
前記リチウム二次電池の温度Tを検出する検出手段と、
前記リチウム二次電池の温度T(K)、残容量x(%)での前記リチウム二次電池の自己発熱速度をHs(x,T)(K/min)、前記温度T(K)での前記リチウム二次電池の放熱速度をHd(T)(K/min)としたときHs(x,Tbx)>Hd(Tbx)となる前記リチウム二次電池の温度をTbx(K)とすると、前記検出した温度Tが上昇したとき、前記温度Tbxに基づいて前記リチウム二次電池の残容量を低下させる制御手段と、
を備えたものである。
本発明は、温度変化に応じてより適正な範囲で使用する蓄電システムを提供することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、リチウム二次電池の熱に対する安定性は、充電状態に大きく依存することが考えられる。例えば、100℃以上などの高い温度範囲においては、リチウム二次電池の残容量を調整することにより、安定な状態で利用することができ、リチウム二次電池の品質をより維持することができるものと推察される。
本発明の蓄電システム10の構成の概略を示す説明図。 電池温度Tと残容量とを対応付けた制限関係情報の一例の説明図。 電流値と通電時間と上昇温度とを対応付けた温度上昇関係情報の一例の説明図。
本発明の蓄電システムは、金属酸化物を含む正極活物質を有する正極と、負極活物質を含む負極と、正極と負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたリチウム二次電池と、リチウム二次電池の温度を検出する検出装置と、検出した温度の上昇とリチウム二次電池の温度Tbxとに基づいてリチウム二次電池の残容量SOC(State Of Charge)を低下させる制御装置と、を備えている。温度Tbxは、リチウム二次電池の温度T(K)、残容量x(%)でのリチウム二次電池の自己発熱速度をHs(x,T)(K/min)、温度T(K)でのリチウム二次電池の放熱速度をHd(T)(K/min)としたときHs(x,Tbx)>Hd(Tbx)となるリチウム二次電池の温度と定義する。即ち、温度Tbxは、放熱よりも発熱速度が大きく、電池温度Tが上昇し始める温度である。図1は、本発明の蓄電システム10の構成の概略を示す説明図である。図1に示すように、蓄電システム10は、リチウム二次電池20と、リチウム二次電池20の温度を検出する検出装置11と、リチウム二次電池20の残容量を低下させる制御装置12と、リチウム二次電池20を充電する充電装置13と、リチウム二次電池20からの電力により動作する電力消費装置14とを備えている。
本発明のリチウム二次電池の正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、リチウムと遷移金属元素とを含む金属酸化物などを用いることができる。具体的には、Li(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)、Li(1-x)Mn24などのリチウムマンガン複合酸化物、Li(1-x)CoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、Li(1-x)NiO2などのリチウムニッケル複合酸化物、LiV23などのリチウムバナジウム複合酸化物、V25などの遷移金属酸化物などを用いることができる。この金属酸化物は、Niを主成分とするものが好ましい。ここで、主成分とは、主たる構成となっていることをいい、例えば、Li(Ni,Co)O2などの2元系であれば、含まれる遷移金属の50%以上であるものとし、Li(Ni,Co,Mn)O2などの3元系であれば、含まれる遷移金属の1/3以上であるものとする。Niを主成分とする遷移金属複合酸化物は、化学的安定性が温度とLi吸蔵量(充電状態)に強く依存するため、本発明を適用する意義が高い。
正極に含まれる導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
本発明のリチウム二次電池の負極は、リチウム金属やリチウム合金としてもよい。また、本発明のリチウム二次電池の負極は、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料、導電性ポリマーなどが挙げられるが、このうち炭素材料が安全性の面から見て好ましい。この炭素材料は、特に限定されるものではないが、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり電解質塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時おける不可逆容量を少なくできるため、好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
本発明のリチウム二次電池のイオン伝導媒体としては、支持塩を含む非水系電解液や非水系ゲル電解液などを用いることができる。非水電解液の溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。なお、環状カーボネート類は、比誘電率が比較的高く、電解液の誘電率を高めていると考えられ、鎖状カーボネート類は、電解液の粘度を抑えていると考えられる。
本発明のリチウム二次電池に含まれている支持塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この電解質塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。電解質塩の濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
また、液状のイオン伝導媒体の代わりに、固体のイオン伝導性ポリマーをイオン伝導媒体として用いることもできる。イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、アクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマーと支持塩とで構成されるポリマーゲルを用いることができる。更に、イオン伝導性ポリマーと非水系電解液とを組み合わせて用いることもできる。また、イオン伝導媒体としては、イオン伝導性ポリマーのほか、無機固体電解質あるいは有機ポリマー電解質と無機固体電解質の混合材料、若しくは有機バインダーによって結着された無機固体粉末などを利用することができる。
本発明のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。このセパレータは、例えば、200℃以上でもいわゆるシャットダウンしない、安定な材質のものとすることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1に示すように、このリチウム二次電池20は、正極集電体21に正極活物質を含む正極合材層22を形成した正極シート23と、負極集電体24の表面に負極活物質を含む負極合材層27を形成した負極シート28と、正極シート23と負極シート28との間に設けられたセパレータ29と、正極シート23と負極シート28の間を満たす非水電解液30と、を備えたものである。このリチウム二次電池20では、正極シート23と負極シート28との間にセパレータ29を挟み、これらを捲回して円筒ケース32に挿入し、正極シート23に接続された正極端子34と負極シートに接続された負極端子36とを配設して形成されている。また、正極シート23は、Alの正極集電体21とNiを主成分とする金属酸化物の正極活物質とを有している。また、負極シート28は、Cuの負極集電体24と炭素材料を含む負極活物質とを有している。
本発明の蓄電システム10において、検出装置11は、リチウム二次電池20の温度を検出する温度センサーである。この検出装置11は、リチウム二次電池20を直接測定してもよいし、リチウム二次電池20の環境温度を測定することによりこの測定温度を用いてリチウム二次電池20の温度を推定するものとしてもよいし、測定温度をリチウム二次電池20の温度とみなしてもよい。
本発明の蓄電システム10において、制御装置12は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートおよび通信ポートとを備える。この制御装置12は、蓄電システム10全体の制御を司るものであり、例えば、検出装置11からの検出信号を入力したり、電力消費装置14への制御信号や充電装置13への制御信号などを出力したり、リチウム二次電池20の残容量の目標値を設定したりする。この制御装置12は、検出した温度Tが上昇したとき、温度Tbxに基づいてリチウム二次電池20の残容量を低下させる処理を行う。
充電装置13は、リチウム二次電池20を充電する装置であり、例えば、走行する車両の充電用モーターとしてもよいし、燃料電池としてもよい。電力消費装置14は、リチウム二次電池20からの電力により動作する装置であり、例えば走行する車両であれば走行用モーターとしてもよい。制御装置12は、電力消費装置14により消費された電力を充電装置13により充電し、残容量を所定の範囲となるように制御する。
次に、このように構成された蓄電システム10の制御について説明する。本発明の蓄電システム10において、制御装置12は、検出した温度Tが上昇したとき、温度Tbxに基づいてリチウム二次電池20の残容量を低下させる処理を行う。リチウム二次電池20では、例えばNiを主成分とする正極活物質を用いる場合は、正極活物質の化学的安定性が充電状態(SOC)に大きく依存する。ここでは、例えば、電池温度Tが100℃以上、あるいは140℃以上などに上昇すると、残容量を低下させ、電池の熱的安定性をより高めるのである。したがって、残容量の調整によって、リチウム二次電池20の性能を維持することができ、温度変化に応じてより適正な範囲でリチウム二次電池を使用することができる。
制御装置12は、検出装置11が検出した温度Tが373K以上においてリチウム二次電池20の残容量を低下させるよう制御するものとしてもよい。残容量を低下させることにより、373K以上という高温においても、リチウム二次電池20の性能を維持することができる。
本発明の蓄電システム10において、制御装置12は、リチウム二次電池の残容量と温度Tbxとを対応付けた制限関係情報を有し、検出したリチウム二次電池の温度Tに応じた温度Tbxに対応する残容量を制限関係情報を用いて求めることにより、検出した温度の上昇に応じてリチウム二次電池20の残容量を低下させるよう制御してもよい。図2は、電池温度Tと残容量とを対応付けた制限関係情報の一例の説明図である。図2に示すように、温度Tbxに対応する残容量の関係を予め実験的に求めておく。ここでは、所定の電池温度Ta以下ではできる限り高い残容量が対応付けられており、この所定の電池温度Taを超えると残容量を徐々に低下させるような対応関係が定められている。そして、制御装置12は、電池温度Tが与えられるとそれに対応する残容量を制限関係情報を用いて設定し、設定した残容量でリチウム二次電池20を充放電するよう制御する。こうすれば、比較的容易に残容量を低下させることができる。
本発明の蓄電システム10において、制御装置12は、リチウム二次電池20における電流値I(mA)と通電時間t(s)と上昇温度(K)とを対応付けた温度上昇関係情報を有し、温度上昇関係情報を用い、温度Tbxに基づく温度を超えない範囲の電流値及び通電時間によって、検出した温度Tの上昇に応じてリチウム二次電池20の残容量を低下させるよう制御してもよい。図3は、電流値と通電時間と上昇温度とを対応付けた温度上昇関係情報の一例の説明図である。残容量を低下させる際に、電流を多く流すことから、ジュール熱が発生する。この温度上昇によって、電池温度Tが温度Tbxを超えない範囲でリチウム二次電池20の充放電制御を行うのである。例えば、残容量xが100%のとき温度Tbxが140℃であり、残容量zが80%のとき温度Tbzが180℃であり、現在の残容量が100%で電池温度Tが140℃になった場合を考える。このままでは温度上昇が顕著になるので、制御装置12は、残容量を80%へ低下させる。この際、Tbz−Tbx=180℃−140℃=40℃の温度上昇が許容されることから、温度上昇関係情報を用い、許容される温度上昇の範囲となる電流値I、通電時間tを設定し、この値で制御し、残容量を低下させるのである。こうすれば、リチウム二次電池20の性能をより確実に維持することができ、温度変化に応じて更に適正な範囲でリチウム二次電池を使用することができる。
本発明の蓄電システム10において、リチウム二次電池20の温度T(K)、残容量x(%)でのリチウム二次電池20の自己発熱速度をHs(x,T)(K/min)、温度T(K)でのリチウム二次電池20の放熱速度をHd(T)(K/min)としたときに、Hs(x,Tbx)>Hd(Tbx)となるリチウム二次電池の温度をTbx(K)とする。このとき、制御装置12は、Hs(z,Tbx)<Hd(Tbx)となるように温度Tbxに対応付けられた残容量z(%)にリチウム二次電池の残容量を低下させるものとしてもよい。こうしても、残容量の調整によって、リチウム二次電池20の性能を維持することができ、温度変化に応じてより適正な範囲でリチウム二次電池を使用することができる。
本発明の蓄電システム10において、残容量zでのHs(z,Tbz)>Hd(Tbz)となるリチウム二次電池20の温度をTbz(K)とし、リチウム二次電池20のIV抵抗をR(mΩ)、電流値をI(mA)、残容量xから残容量zまでの通電時間をt(s)、電池の発電要素以外から構成される熱容量をC(J/K)としたとき、制御装置12は、Tbz−Tbx>(R/1000)×(I/1000)2×t/Cを満たす電流値I及び通電時間tで制御するものとしてもよい。ここで、「(R/1000)×(I/1000)2×t/C」は、電流値I(mA)、通電時間t(s)で残容量を低下させたときの上昇温度に該当する。こうしても、許容される温度上昇の範囲となる電流値I、通電時間tで制御し、残容量を低下させるため、リチウム二次電池20の性能をより確実に維持することができ、温度変化に応じて更に適正な範囲でリチウム二次電池を使用することができる。
本発明の蓄電システム10において、正極は、Alの集電体を有し、正極活物質は集電体の両面に形成され、負極は、炭素材料の負極活物質とCuの集電体とを有し、負極活物質は集電体の両面に形成されており、正極合材片面目付量Pam(mg/cm2)、正極合材両面厚さPat(μm)、正極集電体厚さPct(μm)、負極合材片面目付量Nam(mg/cm2)、負極合材両面厚さNat(μm)、負極集電体厚さNct(μm)としたとき、制御装置12は、100<388.5×Pam×Pat/Pct2<1000、及び、30<13.7×Nam×Nat/Nct2<1000、の範囲内では、温度Tbxに到達後、少なくとも10分以内に残容量の調整を行うものとしてもよい。正極において、係数P=388.5×Pam×Pat/Pct2とし、負極において、係数N=13.7×Nam×Nat/Nct2とする。係数Pは、正極集電体(ここではAl箔)1cm2あたりの熱の伝わる速さに対する正極層(主成分である金属酸化物層)1cm2あたりの熱の伝わる速さを表す概念的な指標である。また、係数Nは、負極集電体(ここではCu箔)1cm2あたりの熱の伝わる速さに対する負極層(主成分である炭素層)1cm2あたりの熱の伝わる速さを表す概念的な指標である。この係数Pや係数Nが大きくなるほど伝熱性の高い集電体よりも伝熱性の低い電極層の占める割合が大きくなり、熱は伝わりにくくなるものと考えられる。したがって、これら係数P,Sが上記範囲内であるときには、残容量の低下まで10分程度の余裕があるということを示す。したがって、残容量の低下に用いる電流値Iや通電時間tなどを、この余裕時間に合わせて設定することができる。また、こうしても、リチウム二次電池20の性能をより確実に維持することができ、温度変化に応じて更に適正な範囲でリチウム二次電池を使用することができる。
本発明の蓄電システム10において、温度Tbxは、残容量を調整した正極を用いた示差走査熱量測定(DSC)により求めた初期発熱開始温度に基づいて定められているものとしてもよい。自己発熱速度Hs(x,T)(K/min)や、放熱速度Hd(T)(K/min)は、測定することが困難であるが、こうすれば比較的容易に温度Tbxを求めることができる。
以上詳述した本実施形態の蓄電システム10では、自己発熱速度Hs(x,Tbx)>放熱速度Hd(Tbx)となるリチウム二次電池の温度Tbx(K)と、残容量との関係を用いて、電池温度Tが上昇した際には残容量を低下させるよう制御することにより、リチウム二次電池20の性能を維持することができる。また、低下させる目標の残容量z(%)でHs(z,Tbz)>Hd(Tbz)となる温度をTbz(K)とすると、Tbz−Tbx>(R/1000)×(I/1000)2×t/Cを満たす電流値I及び通電時間tで制御するため、リチウム二次電池の性能を維持することができる。更に、100<係数P<1000、及び、30<係数N<1000の範囲内では、温度Tbxに到達後、少なくとも10分以内に残容量の調整を行うよう制御するため、リチウム二次電池20の性能を維持することができる。なお、正極集電体がAl箔、負極集電体がCu箔であり、係数P=388.5×Pam×Pat/Pct2であり、係数N=13.7×Nam×Nat/Nct2である。上述した制御を行うことにより、温度変化に応じてより適正な範囲でリチウム二次電池を使用することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本発明のリチウム二次電池を具体的に作製し、残容量と温度との関係を求めた例を実験例として説明する。
[リチウム二次電池の作製]
正極活物質としてのニッケル酸リチウム(LiNi0.8Co0.15Al0.052)を85質量部と、導電材としてのカーボンブラック(東海カーボン(株)製TB5500)を10質量部と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業(株)製KFポリマ)を5質量部と、分散剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加して混合し、ペースト状の正極合材を作製した。この正極合材を厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の両面に均一に塗布し乾燥させた。その後、ロールプレスで高密度化しシート状の正極を作製した。この正極は、正極集電体と、その表面に形成された正極合材層とからなる。このようにして作製したシート状の正極を、幅54mm×長さ450mmのサイズに切り出し、実験例1の非水電解液リチウム二次電池用の正極とした。次に、負極活物質としての人造黒鉛を95質量部と、結着材としてのポリフッ化ビニリデンを5質量部とを混合し、分散剤としてのNMPを適量添加し、分散させてスラリー状の負極合材を作製した。この負極合材を厚さ10μmの銅箔集電体の両面に均一に塗布し乾燥させた。その後、ロールプレスで高密度化し、シート状の負極を作製した。この負極は、負極集電体と、その表面に形成された負極合材層とからなる。このように作製したシート状の負極を、幅56mm×長さ500mmのサイズに切り出し、実験例1の非水電解液リチウム二次電池用の負極とした。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを3:7の体積比で混合した非水溶媒に1MのLiPF6を溶解した溶液(キシダ薬品製)を用いた。作製した正極シートと負極シートを25μm厚で58mm幅のポリエチレン製セパレータを介してロール状に捲回し、18650型円筒ケースに挿入した。このとき、電池ケースのキャップ側に配置した正極集電タブに正極集電リードを熔接により接続すると共に、電池ケースの底に配置した負極集電タブに負極集電リードを熔接により接続した。この電池ケースに電解液を注入した後、トップキャップをかしめて密閉して円筒型のリチウム二次電池を作製した。
(充放電試験)
得られた非水電解液リチウム二次電池を用いて、20℃での電池容量を測定した。電池を20℃とし、まず、電流密度0.5mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、次いで電流密度0.2mA/cm2の定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクル行い、放電容量(mAh/g)を求めた。
(IV抵抗測定)
作製した電池を用い、電池を放電して残容量SOCを50%に調整したのち、0.5A,1A,2A,3A,5Aの電流を流して10秒後の電池電圧を求めた。流した電流と電圧とをプロットし、各点を直線近似し、その傾きからIV抵抗(mΩ)を求めた。
(電池加熱試験)
得られた電池をオーブンに入れ、加熱試験を行った。オーブンは5℃/分で昇温し、試験終了まで所定の温度で維持した。試験開始から2時間後の電池電圧を測定し、3V以上であれば「可」、3V未満では「不可」とした。
(発電要素以外の熱容量Cの算出)
上記作製した非水電解液リチウム二次電池の発電要素以外の構成の主材料、含有量、比熱容量及び熱容量の各数値をまとめて表1に示す。表1に示すように、発電要素以外の構成は、正極端子、電池缶、正極集電体、負極集電体などであり、その熱容量Cは、27J/Kに見積もられた。
Figure 0005278487
(係数P,Nの算出)
電極の伝熱に関する係数を算出した。算出に用いた定数などを表2に示す。正極については、正極合材片面目付量Pam(mg/cm2)、正極合材両面厚さPat(μm)、正極集電体厚さPct(μm)としたとき、係数P=388.5×Pam×Pat/Pct2で表される。また、負極については、負極合材片面目付量Nam(mg/cm2)、負極合材両面厚さNat(μm)、負極集電体厚さNct(μm)としたとき、係数N=13.7×Nam×Nat/Nct2で表される。係数Pは、正極集電体(ここではAl箔)1cm2あたりの熱の伝わる速さに対する正極層(主成分である金属酸化物層)1cm2あたりの熱の伝わる速さを表す概念的な指標である。また、係数Nは、負極集電体(ここではCu箔)1cm2あたりの熱の伝わる速さに対する負極層(主成分である炭素層)1cm2あたりの熱の伝わる速さを表す概念的な指標である。この係数Pや係数Nが大きくなるほど伝熱性の高い集電体よりも伝熱性の低い電極層の占める割合が大きくなり、熱は伝わりにくくなるものと考えられる。
Figure 0005278487
(残容量SOCと電池温度との関係)
リチウム二次電池の温度T(K)、残容量x(%)でのリチウム二次電池の自己発熱速度をHs(x,T)(K/min)、温度T(K)でのリチウム二次電池の放熱速度をHd(T)(K/min)としたときに、Hs(x,Tbx)>Hd(Tbx)となるリチウム二次電池の温度Tbx(K)について検討した。まず、上記作製した非水電解液リチウム二次電池の残容量SOCがx%であるときの、温度Tbx(K)について検討した。本実施例では、放熱速度より自己発熱速度が上回る温度、即ち、リチウム二次電池の発熱開始温度を参考として温度Tbx(K)を検討し、自己発熱速度Hs(x,T)や放熱速度Hd(T)を間接的に考慮するものとした。まず、正極合材を用い、示差走査熱量測定(DSC)を行い、発熱開始温度を把握した。DSC測定は、リガク社製ThermoPlusにより行った。上記作製した電池を残容量SOCが135%、100%、77.8%、50%となるように調整したのち、電池を解体して取り出した正極をDSCパンに入れ、電解液を加えて密封した。このDSCパンを昇温速度5℃/分、450℃まで測定し、正極と電解液の熱挙動を確認した。リチウム二次電池の残容量SOCとDSC測定の初期の発熱開始温度との測定結果を表3に示す。表3に示すように、残容量の低下と共に発熱開始温度が上昇する、即ち熱的に安定になることがわかった。
Figure 0005278487
次に、残容量SOCと温度Tbxとの関係を詳しく検討した。上記作製した非水電解液リチウム二次電池の残容量が100%であるときの、温度Tb100(K)について検討した。上述したように、残容量が100%では、DSCの発熱開始温度が145℃であったことから、温度Tb100(K)は、この温度近傍にあるものと推察される。ここでは、残容量100%のリチウム二次電池を所定の温度のオーブンに入れ、その電池缶外壁の温度を測定すると共に、2時間放置後の放電電圧を測定する電池加熱試験を行った。オーブン温度を130℃,135℃,138℃,140℃,145℃,150℃,160℃としたものをそれぞれ実験例1〜7とした。測定結果を表4に示す。作製したリチウム二次電池では、残容量SOCが100%であるときは、電池外壁温度が138℃でHs(x,Tbx)>Hd(Tbx)となる、即ち、温度Tb100=138+273=411Kであることがわかった。
Figure 0005278487
次に、上記作製した非水電解液リチウム二次電池の残容量が77.8%であるときの、温度Tb77.8(K)について検討した。上述したように、残容量が77.8%では、DSCの発熱開始温度が180℃であったことから、温度Tb77.8(K)は、この温度近傍にあるものと推察される。上記と同様に、オーブン温度を145℃,160℃,170℃,180℃,190℃としたものをそれぞれ実験例8〜12とした。電池加熱試験を行った測定結果を表5に示す。作製したリチウム二次電池では、残容量SOCが77.8%であるときは、電池外壁温度が178℃でHs(x,Tbx)>Hd(Tbx)となる、即ち、温度Tb77.8=178+273=451Kであることがわかった。
Figure 0005278487
次に、残容量100%,温度Tb100,残容量77.8%,温度Tb77.8の残容量変化について検討した。ここでは、残容量が100%のときにオーブン温度を昇温して145℃に達したあと残容量を100%から77.8%へ低減したものを実験例13とし、残容量を100%から60%へ低減したものを実験例14とした。測定結果を表6に示す。残容量100%を残容量77.8%とすると、残容量100%では145℃で電池性能が低下するのに対し、温度Tb77.8が178℃であることから、評価結果は「可」となり、電池の性能を維持することができることがわかった。残容量60%としても同様の結果であった。温度Tb100=411Kにおける電池の残容量が77.8%である場合、Hs(77.8,Tb100)<Hd(Tb100)、すなわち放熱速度が上回るので、発熱による電池性能を防止することができる。即ち、電池の温度を制御しなくても、残容量を制御すれば、電池の性能を維持することができることがわかった。
Figure 0005278487
次に、電池の温度上昇に伴い残容量を低下させる際の電流値、通電時間及び発熱量について検討した。ここでは、残容量100%の電池を電池外壁温度が143℃に達したあと残容量77.8%に低下させる速度と温度との関係を検討した。電流値を1A、通電時間を600sとしたのもを実験例15、電流値を10A、通電時間を60sとしたのもを実験例16、電流値を20A、通電時間を30sとしたのもを実験例17、電流値を40A、通電時間を15sとしたのもを実験例18とした。測定結果を表7に示す。また、発熱温度(K)は、電池のIV抵抗R(mΩ)、電流値I(mA)、通電時間t(s)及び発電要素以外の熱容量C(J/K)を用いて、発熱温度=(R/1000)×(I/1000)2×t/Cの式より求めた。Tb77.8−Tb100=451K−411K=40Kであるから、実験例18は、「不可」であり、実験例15〜17は「可」であった。したがって、残容量100%から残容量77.8%へ低下させる際、電流値を20A以下、通電時間を30s以上として制御すればよい。
Figure 0005278487
次に、電極の伝熱の度合いについて検討した。ここでは、正極合材片面目付量Pam(mg/cm2)、正極合材両面厚さPat(μm)、正極集電体厚さPct(μm)、負極合材片面目付量Nam(mg/cm2)、負極合材両面厚さNat(μm)、負極集電体厚さNct(μm)を種々の値としたときの、係数P,係数Nについて検討した。実験例19〜23の各数値を表8に示す。この実験例19〜23を用い、残容量100%の電池を電池外壁温度が143℃に達したあと残容量の低減を開始するまでの時間を変化させて実験を行った。残容量の低減は30sで終わるように電流値を調整した。測定結果を表9に示す。この結果より、電池構成が、100<388.5×Pam×Pat/Pct2<1000、及び、30<13.7×Nam×Nat/Nct2<1000、の範囲内では、温度Tbxに到達後、少なくとも10分以内に残容量の調整を行うものとすれば、電池の性能を維持することができることがわかった。
Figure 0005278487
Figure 0005278487
このように、自己発熱速度Hs(x,Tbx)>放熱速度Hd(Tbx)となるリチウム二次電池の温度Tbx(K)と、残容量との関係を用いて、電池温度Tが上昇した際には残容量を低下させるよう制御することにより、リチウム二次電池の性能を維持することができる。また、低下させる目標の残容量z(%)でHs(z,Tbz)>放熱速度Hd(Tbz)となる温度をTbz(K)とすると、Tbz−Tbx>(R/1000)×(I/1000)2×t/Cを満たす電流値I及び通電時間tで制御すれば、リチウム二次電池の性能を維持することができる。更に、100<係数P<1000、及び、30<係数N<1000の範囲内では、温度Tbxに到達後、少なくとも10分以内に残容量の調整を行うよう制御すれば、リチウム二次電池の性能を維持することができる。なお、正極集電体がAl箔、負極集電体がCu箔であり、係数P=388.5×Pam×Pat/Pct2であり、係数N=13.7×Nam×Nat/Nct2である。上述した制御を行うことにより、温度変化に応じてより適正な範囲でリチウム二次電池を使用することができることがわかった。
本発明は、電池産業に利用可能である。
10 蓄電システム、11 検出装置、12 制御装置、13 充電装置、14 電力消費装置、20 リチウム二次電池、21 正極集電体、22 正極合材層、23 正極シート、24 負極集電体、27 負極合材層、28 負極シート、29 セパレータ、30 非水電解液、32 円筒ケース、34 正極端子、36 負極端子。

Claims (6)

  1. 金属酸化物を含む正極活物質を有する正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたリチウム二次電池と、
    前記リチウム二次電池の温度Tを検出する検出手段と、
    前記リチウム二次電池の温度T(K)、残容量x(%)での前記リチウム二次電池の自己発熱速度をHs(x,T)(K/min)、前記温度T(K)での前記リチウム二次電池の放熱速度をHd(T)(K/min)としたときHs(x,Tbx)>Hd(Tbx)となる前記リチウム二次電池の温度をTbx(K)とすると、前記検出した温度Tが上昇したとき、前記温度Tbxに基づいて前記リチウム二次電池の残容量を低下させる制御手段と、を備え
    前記リチウム二次電池の温度T(K)、残容量x(%)での前記リチウム二次電池の自己発熱速度をHs(x,T)(K/min)、前記温度T(K)での前記リチウム二次電池の放熱速度をHd(T)(K/min)としたときに、Hs(x,Tbx)>Hd(Tbx)となる前記リチウム二次電池の温度をTbx(K)としたとき、
    前記制御手段は、Hs(z,Tbx)<Hd(Tbx)となるように該温度Tbxに対応付けられた残容量z(%)に前記リチウム二次電池の残容量を低下させ、
    前記残容量zでのHs(z,Tbz)>Hd(Tbz)となる前記リチウム二次電池の温度をTbz(K)とし、前記リチウム二次電池のIV抵抗をR(mΩ)、電流値をI(mA)、前記残容量xから前記残容量zまでの通電時間をt(s)、電池の発電要素以外から構成される熱容量をC(J/K)としたとき、
    前記制御手段は、Tbz−Tbx>(R/1000)×(I/1000) 2 ×t/Cを満たす電流値I及び通電時間tで制御する、
    蓄電システム。
  2. 前記リチウム二次電池は、前記金属酸化物にNiを含む、請求項1に記載の蓄電システム。
  3. 前記制御手段は、前記検出した温度が373K以上において前記リチウム二次電池の残容量を低下させる、請求項1又は2に記載の蓄電システム。
  4. 前記制御手段は、前記リチウム二次電池の残容量と前記温度Tbxとを対応付けた制限関係情報を有し、前記検出したリチウム二次電池の温度Tに応じた前記温度Tbxに対応する前記残容量を前記制限関係情報を用いて求めることにより、前記検出した温度の上昇に応じて前記リチウム二次電池の残容量を低下させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電システム。
  5. 前記制御手段は、前記リチウム二次電池における電流値と通電時間と上昇温度とを対応付けた温度上昇関係情報を有し、前記温度上昇関係情報を用い、前記温度Tbxに基づく温度を超えない範囲の電流値及び通電時間によって、前記検出した温度の上昇に応じて前記リチウム二次電池の残容量を低下させる、請求項4に記載の蓄電システム。
  6. 前記正極は、Alの集電体を有し、前記正極活物質は該集電体の両面に形成され、
    前記負極は、炭素材料の前記負極活物質とCuの集電体とを有し、前記負極活物質は該集電体の両面に形成されており、
    正極合材片面目付量Pam(mg/cm2)、正極合材両面厚さPat(μm)、正極集電体厚さPct(μm)、負極合材片面目付量Nam(mg/cm2)、負極合材両面厚さNat(μm)、負極集電体厚さNct(μm)としたとき、
    前記制御手段は、100<388.5×Pam×Pat/Pct2<1000、及び、30<13.7×Nam×Nat/Nct2<1000、の範囲内では、前記温度Tbxに到達後、少なくとも10分以内に残容量の調整を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電システム。
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