本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、基板によって筐体内が第1空間と第2空間とに分離され、第1空間にファンを配置する場合であっても、第2空間に配置された熱熱部材を放熱することができる電子機器の放熱構造を提供することである。
本発明の好ましい実施形態による電子機器は、筐体と、前記筐体内を第1空間および第2空間に分離する基板と、前記筐体内の前記第1空間に配置される第1発熱部材と、前記筐体内の前記第1空間に配置されるファンと、前記筐体内の前記第2空間に配置される第2発熱部材とを備え、前記筐体内の前記第2空間の一方端に相当する位置において、外部の空気を前記筐体内の前記第2空間内に吸入するための吸気孔が前記筐体に形成され、前記筐体内の前記第1空間および前記第2空間の各他方端に相当する位置において、前記筐体内の前記第2空間の空気を、前記筐体内の前記第1空間に移動させるための通気孔が前記基板に形成され、前記筐体内の前記第1空間の空気を外部へと放出するための排気孔が前記筐体に形成され、外部の空気を前記筐体内の前記第1空間内に直接吸入するための吸気孔が前記筐体に形成されていない。
ファンを動作させると、吸気孔を介して外部から筐体内の第2空間に冷たい空気が吸入される。第2空間に吸入された空気は、第2空間を移動し、通気孔を介して第2空間から第1空間へと移動する。第1空間に移動した空気は、排気孔を介して外部へと放出される。従って、第1空間に配置されたファンのみによって、第1空間に配置された第1発熱部材および第2空間に配置された第2発熱部材を放熱することができる。また、通気孔は吸気孔に対して反対側の端に形成されているので、第2空間の一方端から他方端まで(つまり、第2空間の大部分を)空気が移動する。従って、第2空間に配置された第2発熱部材を十分に放熱することができる。また、外部の空気を筐体内の第1空間内に直接吸入するための吸気孔が筐体に形成されていないので、第1空間には通気孔を介して第2空間のみから吸入される。従って、第2空間にも冷たい空気が積極的に移動することにより、第2空間に配置された第2発熱部材を十分に放熱することができる。
好ましい実施形態においては、前記ファンが、前記筐体内の前記第1空間の一方端側に配置され、前記排気孔が、前記筐体内の前記第1空間の前記一方端側において前記筐体に形成されている。
通気孔はファンおよび排気孔に対して反対側の端に形成されているので、第1空間の他方端から一方端まで(つまり、第1空間の大部分を)空気が移動する。従って、第1空間に配置された第1発熱部材を十分に放熱することができる。
本発明の別の好ましい実施形態による電子機器は、筐体と、前記筐体内を第1空間および第2空間に分離する基板と、前記筐体内の前記第1空間に配置される第1発熱部材と、前記筐体内の前記第1空間に配置されるファンと、前記筐体内の前記第2空間に配置される第2発熱部材とを備え、前記筐体内の前記第2空間の一方端に相当する位置において、外部の空気を前記筐体内の前記第2空間内に吸入するための吸気孔が前記筐体に形成され、前記筐体内の前記第1空間および前記第2空間の各他方端に相当する位置において、前記筐体内の前記第2空間の空気を前記筐体内の前記第1空間に移動させるための通気孔が前記基板に形成され、前記筐体内の前記第1空間の一方端側において、前記筐体内の前記第1空間の空気を外部へと放出するための排気孔が前記筐体に形成されている。
ファンを動作させると、吸気孔を介して外部から筐体内の第2空間に冷たい空気が吸入される。第2空間に吸入された空気は、第2空間を移動し、通気孔を介して第2空間から第1空間へと移動する。第1空間に移動した空気は、排気孔を介して外部へと放出される。従って、第1空間に配置されたファンのみによって、第1空間に配置された第1発熱部材および第2空間に配置された第2発熱部材を放熱することができる。また、通気孔は吸気孔に対して反対側の端に形成されているので、第2空間の一方端から他方端まで(つまり、第2空間の大部分を)空気が移動する。従って、第2空間に配置された第2発熱部材を十分に放熱することができる。また、通気孔は排気孔に対して反対側の端に形成されているので、上記特許文献1のように、第2空間から第1空間へと通気孔を介して空気があまり移動せずに第2空間に配置された第2発熱部材を十分に放熱できないという問題を防止することができる。
好ましい実施形態においては、前記ファンが、前記筐体内の前記第1空間の前記一方端側に配置されている。
好ましい実施形態においては、前記通気孔以外の部分を介しては、前記筐体の前記第2空間から、前記筐体の前記第1空間に空気が移動しない。
従って、第2空間の一方端から他方端まで(つまり、第2空間の大部分を)空気が移動する。従って、第2空間に配置された第2発熱部材を十分に放熱することができる。
本発明の別の好ましい実施形態による電子機器は、筐体と、前記筐体内を第1空間および第2空間に分離する第1基板と、前記筐体内を前記第2空間および第3空間に分離する第2基板と、前記筐体内の前記第1空間に配置される第1発熱部材と、前記筐体内の前記第1空間に配置されるファンと、前記筐体内の前記第2空間に配置される第2発熱部材と、前記筐体内の前記第3空間に配置される第3発熱部材と、を備え、前記筐体内の前記第3空間の他方端に相当する位置において、外部の空気を前記筐体内の前記第3空間内に吸入するための吸気孔が前記筐体に形成され、前記筐体内の前記第2空間および前記第3空間の各一方端に相当する位置において、前記筐体内の前記第3空間の空気を、前記筐体内の前記第2空間に移動させるための第2通気孔が前記第2基板に形成され、前記筐体内の前記第1空間および前記第2空間の各他方端に相当する位置において、前記筐体内の前記第2空間の空気を、前記筐体内の前記第1空間に移動させるための第1通気孔が前記第1基板に形成され、前記筐体内の前記第1空間の空気を外部へと放出するための排気孔が前記筐体に形成されている。
ファンを動作させると、吸気孔を介して外部から筐体内の第3空間に冷たい空気が吸入される。第3空間に吸入された空気は、第3空間を移動し、第2通気孔を介して第3空間から第2空間へと移動する。第2空間に吸入された空気は、第2空間を移動し、第1通気孔を介して第2空間から第1空間へと移動する。第1空間に移動した空気は、排気孔を介して外部へと放出される。従って、第1空間に配置されたファンのみによって、第1空間に配置された第1発熱部材、第2空間に配置された第2発熱部材および第3空間に配置された第3発熱部材を放熱することができる。また、第2通気孔は吸気孔および第1通気孔に対して反対側の端に形成されているので、第3空間の他方端から一方端まで(つまり、第3空間の大部分)、および、第2空間の一方端から他方端まで(つまり、第2空間の大部分を)空気が移動する。従って、第2空間に配置された第2発熱部材、および、第3空間に配置された第3発熱部材を十分に放熱することができる。
好ましい実施形態においては、前記排気孔が、前記筐体内の前記第1空間の一方端側において形成されている。
プリント基板によって筐体内が第1空間と第2空間とに分離され、第1空間にファンを配置する場合であっても、第2空間に配置された熱熱部材を放熱することができる電子機器の放熱構造を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1〜図8は、本発明の好ましい実施形態による電子機器の放熱構造が適用されるパーソナルコンピュータ(以下、PCという。)100を示す図である。図1は正面側から見た斜視図、図2は底面側から見た斜視図、図3は背面側から見た斜視図、図4は図2において下側シャーシ1aを取り外した斜視図、図5は図1において上側シャーシ1bおよびODD7を取り外した斜視図、図6は図5において上側から見た平面図、図7は図1の分解図(但しODD7は省略している)、図8は図5においてファンおよびヒートシンクを取り外した斜面図(右側)および正面図(左側)である。本例においては、図1に示すようにPC100を横置きした場合に、便宜的に、図面の手前側を正面側、図面の奥側を背面側、図面の左側を左側、図面の右側を右側、図面の上側を上面側、図面の下側を下面側としてPC100の各部に名称を付けて説明する。
PC100は、略直方体形状に形成された筐体1と、マザーボード2と、ハードディスクドライブ(以下、HDDという。)3と、CPU4と、チップ部品5と、メモリ6と、光ディスクドライブ(以下、ODDという。)7と、ファン8と、ヒートシンク9とを備えている。
筐体1は、下側シャーシ1aと上側シャーシ1bとを有し、これらが組み合わされて形成されている。下側シャーシ1aは、底面部1cと背面部1dとを含み、上側シャーシ1bは、上面部1eと前面部1fと側面部1gとを含む。下側シャーシ1aに上側シャーシ1bが取付けられ、ネジによって結合されることによって、筐体1が形成される。
例えば図5および図7に示すように、下側シャーシ1aには、マザーボード2が下部シャーシ1aの底面部1cに対して所定間隔を隔てて、水平になるように取り付けられている。6つの支持部1hが、下側シャーシ1aの底面部1cから上側方向に向かって突出するように形成されており、支持部1hの中心部にネジ孔が形成されている。なお、支持部1hは、下側シャーシ1aと別部材として形成され、下側シャーシ1aに取付けられてもよい。マザーボード2には、下側シャーシ1aの支持部1hに対向する位置に、取付孔が形成されている。マザーボード2は、支持部1hの上に設置され、当該取付孔を介して支持部1hにネジ止めされることによって、下側シャーシ1aに所定間隔を隔てて取付けられる。
マザーボード2は、上側から平面視した場合に、縦横の各長さが、下側シャーシ1aの底面部1cの縦横の各長さとほぼ同じである。従って、マザーボード2が下側シャーシ1aに取付けられることによって、マザーボード2は、筐体1内を上側空間(第1空間)と下側空間(第2空間)とに完全に分離する。ここで、完全に分離するとは、マザーボード2の外周部分が、下側シャーシ1aの背面部1dと、上側シャーシ1bの前面部1fおよび側面部1gとの間に略隙間なく取付けられていることを意味する。より詳細に、マザーボード2によって上側空間と下側空間とが仕切られているが、上側空間と下側空間との間で空気が移動可能な部分が後述する通気孔11のみである。
マザーボード2には、その上面側に、HDD3、CPU4(図8参照)、チップ部品5(図8参照)、ODD7(図1参照)等の発熱部材が搭載されている。つまり、HDD3、CPU4、チップ部品5、ODD7は、筐体1内の上側空間に配置されている。詳細には、HDD3は、マザーボード2の左側に搭載され、CPU4は、マザーボード2の前方右側に搭載され、チップ部品5は、マザーボード2の後方右側に搭載され、ODD7はHDD3のさらに上側に搭載されている。
CPU4の上側にはファン8が取付けられ、チップ部品5の上側にはヒートシンク9が取付けられている。つまり、ファン8およびヒートシンク9は、筐体1の上側空間に配置されている。図9および図10に示すように、ファン8およびヒートシンク9は一体的に形成されており、ヒートシンク9の上側にはカバー部材9aが取付けられている。ファン8は、上方から空気を吸入し、背面側(ヒートシンク9側)へと空気を放出する。ファン8から放出された空気はカバー部材9aの内部を通過することにより、ヒートシンク9によって冷却され、最終的には下側シャーシ1aの背面部1dに形成された排気孔12を介して外部に放出される。また、カバー部材9aは、ファン8から放出された空気が再びファン8の上側へと戻り、ファン8によって再度吸入されることを防止する機能を有する。
マザーボード2には、その下面側にメモリ6(図4参照)等の発熱部材が搭載されている。つまり、メモリ6は、筐体1内の下側空間に配置されている。
例えば図2に示すように、下側シャーシ1aの底面部1cには、吸気孔10が形成されている。吸気孔10は筐体1外部の空気を筐体1内の下側空間に取り込むための孔であり、下側シャーシ1aの底面部1c(筐体1内の下側空間)の一方端(本例では右端)に形成されている。また、吸気孔10は、底面部1cの右端に、前後方向のほぼ全域にわたって形成されている。本例では、特に限定されないが、長円形の17個の吸気孔10が形成されている。なお、図示しないが、実際には下側シャーシ1aの底面部1cに4つ以上の底足が設けられることにより、PC100が横置きされた場合にも、吸気孔10が床面によって塞がれないように設計されている。
例えば図4に示すように、マザーボード2には、下側シャーシ1aの底面部1cの吸気孔10が形成されている端(右端)とは反対側の端(他方端、本例では左端)に通気孔11が形成されている。また、通気孔11は、ファン8およびヒートシンク9が搭載され、排気孔12が形成される端(右端)とも反対側の端(他方端、本例では左端)に形成されている。また、通気孔11は、マザーボード2の左端において、前後方向のほぼ全域にわたって形成されている。通気孔11は、吸気孔10を介して筐体1内の下側空間に取り込まれた空気を、筐体1内の下側空間から、筐体1内の上側空間へと移動させるための孔である。本例では、特に限定されないが、円形の10個の通気孔11が形成されている。なお、通気孔11は、マザーボード2の左端において、切り欠き形状で形成されていてもよい。つまり、マザーボード2の左端のみを介して、筐体1内の下側空間から、筐体1内の上側空間に空気が移動できる構造であればよい。
例えば図5に示すように、下側シャーシ1aの背面部1dには、排気孔12が形成されている。排気孔12は、下側シャーシ1aの背面部1dにおいて、筐体1内の上側空間に対向する位置(ファン8やヒートシンク9に対向する位置)に形成されている。また、上記の通り、排気孔12は、筐体1内の上側空間において、通気孔10が形成される端(左)とは反対側の端(一方端、本例では右端)側に形成されている。従って、ファン8も、通気孔10が形成される端(左)とは反対側の端(一方端、本例では右端)側に形成されている。排気孔12は、ファン8からヒートシンク9を介して放出される空気を、筐体1の外部に放出するための孔である。本例では、特に限定されないが、正方形の16個の排気孔12が背面部1dの上方右側に形成されている。
なお、筐体1には、筐体1外部の空気を、筐体1内の上側空間に直接吸入するための吸気孔が形成されていない。つまり、外部と上側空間とを繋ぐ吸気孔が筐体1に形成されていない。(なお、ケーブル端子や操作ボタン周囲の若干の隙間が存在する場合もあるが、これらは積極的に外部の空気を第1空間に吸入するために形成されたものではないので、本例でいう吸気孔と見なさない)。従って、筐体1内の上側空間に吸入される空気は、必ず、吸気孔10、下側空間、通気孔11を介して吸入されることになる。その結果、上記特許文献1のように、下側空間の空気が通気孔を介して上側空間に十分に移動できないということを防止できる。つまり、本例では、ファン8の駆動による、上側空間を移動する空気の量と下側空間を移動する空気の量とがほぼ同じであり、上側空間および下側空間ともにファン8によって同程度に強制空冷されることになる。
以上の構成を有する放熱構造について、その動作を説明する。図11は、ファン8を駆動した場合における、PC100内における空気の流れを説明する図であり、矢印A〜Eは空気の流れを示している。なお、実際には、ODD7や上側シャーシ1bが取付けられた状態で動作されるが、説明を明瞭にするために、ODD7や上側シャーシ1bが取り外された斜視図を用いて説明する。ファン8が動作することにより、矢印Eに示すように、ファン8上部の空気がファン8内に吸入され、ファン8の背面側から空気が放出され、当該空気はヒートシンク9を通過して排気孔12から筐体1の外部に放出される。
矢印Aに示すように、ファン8の吸引力によって、筐体1外部から吸気孔10を介して筐体1内の下側空間に冷たい空気が吸入される。吸気孔10を介して筐体1内の下側空間に吸入された空気は、矢印Bに示すように、ファン8の吸引力によって、筐体1内の下側空間を右端(一方端)から左端(他方端)へと移動する。そして、筐体1内の空気は、矢印Cに示すように、ファン8の吸引力によって、通気孔11を通って、筐体1内の下側空間から、筐体1内の上側空間へと移動する。このとき、通気孔11が吸気孔10とは反対側の端に形成されることによって、外部から吸気孔10を介して筐体1内の下側空間に吸入された冷たい空気は筐体1内の下側空間のほぼ全体にわたって右端から左端に移動することになる。つまり、筐体1内の下側空間における空気が移動する面積が大きくなる。
また、マザーボード2が筐体1内を上側空間と下側空間とに略完全に分離し、通気孔11以外に下側空間からの空気が上側空間へと移動する部分が存在しない。従って、外部から吸気孔10を介して筐体1内の下側空間に吸入された冷たい空気は、通気孔10に向かって移動することになるので、その結果、筐体1の下側空間の全体にわたって移動することになる。以上の理由により、筐体1の下側空間にファンを設けていないにもかかわらず、筐体1内の下側空間に配置されているメモリ6等の発熱部材を十分に放熱することができる。また、筐体1内の上側空間に外部から直接空気が吸入するための吸気孔が形成されていないので、筐体1内の下側空間から上側空間に通気孔11を介して空気が移動せず、下側空間に空気が移動しないということが防止される。
次に、筐体1内の下側空間から、筐体1内の上側空間に移動された空気は、ファン8の吸引力によって、矢印Dに示すように、筐体1内の上側空間を左端(他方端)から右端(一方端)へと移動する。そして、矢印Eに示すように、ファン8上部の空気がファン8内に吸入され、ファン8の背面側から空気が放出され、当該空気はヒートシンクを通過して排気孔12から筐体1の外部に放出される。このとき、通気孔11が、ファン8およびヒートシンク9が配置され、かつ、排気孔12が形成される端(右端)と反対側の端(左端)に形成されることによって、筐体1内の下側空間から上側空間に吸入された冷たい空気は筐体1の上側空間の略全体にわたって移動することになる。つまり、筐体1内の上側空間における空気が移動する面積が大きくなる。その結果、筐体1内の上側空間に配置されているHDD3、CPU4、チップ部品5、ODD7等の発熱部材を十分に放熱することができる。
以上のように、本発明によると、マザーボード2によって筐体1内を上側空間と下側空間とに分離し、筐体1内の上側空間にファン8を設け、下側シャーシ1aの底面部1cの右端に吸気孔10を形成し、マザーボード2の左端に通気孔11を形成し、下側シャーシ1aの背面部1dの右端側に排気孔12を形成し、上側空間に直接空気を吸入する吸気孔を筐体1に形成しないことによって、矢印A〜Eに示す順に空気が移動し、筐体1内の略全体にわたって空気を移動させることができる。その結果、ファン8を筐体1内の上側空間のみに設ける場合であっても、筐体1内の上側空間に設けられた発熱部材、および、筐体1内の下側空間に設けられた発熱部材を十分に放熱することができる。なお、ファン8およびヒートシンク9を筐体1内の上側空間において左右方向の中央部に配置し、排気孔12を背面部1dの左右方向の中央部に形成することもできる。
上記の実施形態ではマザーボード2によって上側空間と下側空間とに分離しているが、2つの基板(マザーボード及び/又はその他のプリント基板)によって筐体1内を3つの空間に分離してもよい。このとき、各基板に形成される通気孔は相互に異なる端に形成されることによって、各空間内の全体にわたって空気を移動させることができる。図12A、図12Bは、2つの基板によって筐体201を3つの空間(上側空間、中央側空間、および、下側空間)に分離したPC200を示す図である(図12Aは斜視図、図12Bは断面図)。
第1基板202aは、筐体201を上側空間と中央側空間とに分離する。第2基板202bは、筐体201を中央側空間と下側空間とに分離する。筐体201の上側空間には第1発熱部材203およびファン208が配置されている。つまり、第1発熱部材203およびファン208は、第1基板202aの上面側に搭載されている。筐体201の中央側空間には第2発熱部材204が配置されている。つまり、第2発熱部材204は、第1基板202aの下面側に搭載されている。(もしくは、第2発熱部材204は、第2基板202bの上面側に搭載されてもよい。)筐体201の下側空間には第3発熱部材205が配置されている。つまり、第3発熱部材205は、第2基板202bの下面側に搭載されている。
吸気孔210は、下側シャーシの底面部(筐体201内の下側空間)の他方端(本例では左端)に形成されている。第2基板202bには、下側シャーシの底面部の吸気孔210が形成されている端(左端)とは反対側の端(一方端、本例では右端)に通気孔211bが形成されている。第1基板202aには、第2基板202bの通気孔211bが形成されている端(右端)とは反対側の端(他方端、本例では左端)に通気孔211aが形成されている。また、通気孔211aは、ファン8が搭載され、排気孔212が形成される端(右端)とも反対側の端(他方端、本例では左端)に形成されている。
排気孔212は、下側シャーシの背面部において、筐体201内の上側空間に対向する位置(ファン208に対向する位置)に形成されている。また、上記の通り、排気孔212は、筐体201内の上側空間において、通気孔211aが形成される端(左)とは反対側の端(一方端、本例では右端)側に形成されている。従って、ファン208は、通気孔211aが形成される端(左)とは反対側の端(一方端、本例では右端)側に形成されている。
以上の構成を有する放熱構造について、その動作を説明する。図13は、ファン208を駆動した場合における、PC200内における空気の流れを説明する図であり、矢印A〜Gは空気の流れを示している。ファン208が動作することにより、矢印Gに示すように、ファン208上部の空気がファン208内に吸入され、ファン208の背面側から空気が放出され、当該空気は排気孔212から筐体201の外部に放出される。
矢印Aに示すように、ファン208の吸引力によって、筐体201外部から吸気孔210を介して筐体1内の下側空間に冷たい空気が吸入される。吸気孔210を介して筐体201内の下側空間に吸入された空気は、矢印Bに示すように、ファン208の吸引力によって、筐体201内の下側空間を左端(他方端)から右端(一方端)へと移動する。そして、筐体201内の空気は、矢印Cに示すように、ファン208の吸引力によって、通気孔211bを通って、筐体201内の下側空間から、筐体1内の中央側空間へと移動する。このとき、通気孔211bが吸気孔210とは反対側の端に形成されることによって、外部から吸気孔210を介して筐体201内の下側空間に吸入された空気は筐体201内の下側空間のほぼ全体にわたって左端から右端に移動することになる。つまり、筐体201内の下側空間における空気が移動する面積が大きくなる。
通気孔211bを介して筐体1内の中央側空間に吸入された空気は、矢印Dに示すように、ファン208の吸引力によって、筐体201内の中央側空間を右端(一方端)から左端(他方端)へと移動する。そして、筐体201内の空気は、矢印Eに示すように、ファン208の吸引力によって、通気孔211aを通って、筐体201内の中央側空間から、筐体201内の上側空間へと移動する。このとき、通気孔211aが通気孔211bとは反対側の端に形成されることによって、筐体201内の中央側空間に吸入された冷たい空気は筐体201内の中央側空間のほぼ全体にわたって右端から左端に移動することになる。つまり、筐体201内の中央側空間における空気が移動する面積が大きくなる。
次に、筐体201内の中央側空間から、筐体201内の上側空間に移動された空気は、ファン208の吸引力によって、矢印Fに示すように、筐体201内の上側空間を左端(他方端)から右端(一方端)へと移動する。そして、矢印Gに示すように、ファン208上部の空気がファン208内に吸入され、ファン208の背面側から空気が放出され、当該空気は排気孔212から筐体201の外部に放出される。このとき、通気孔211aが、ファン208が配置され、かつ、排気孔212が形成される端(右端)と反対側の端(左端)に形成されることによって、筐体201内の上側空間に吸入された空気は筐体201の上側空間の略全体にわたって移動することになる。つまり、筐体201内の上側空間における空気が移動する面積が大きくなる。
なお、図14のPC200Bのように、第1基板202aに通気孔211aを形成する代わりに、第1基板202aを上側空間と中央側空間とを部分的に分離する構成としてもよい。つまり、図14では、第1基板202aは、図示左右方向において第2基板202bの約半分の長さしか有していないので、筐体201の右側部分において、上側空間と中央側空間とを分離している。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。本発明は、HDDレコーダ等のPC以外の電子機器に適用されてもよい。