以下、本発明について詳細に説明する。本発明の徐放性固形製剤は、溶出制御基剤として保水量が400%以上、ゲル押込み荷重が200g以上、水溶性成分量が40〜95%、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上、かつ平均粒径が20μm以上50μm未満の加工澱粉と、疎水性助剤とを含む。
まず、この特性を有する特定の加工澱粉について説明する。この特定の加工澱粉は、活性成分の徐放性を担保するための溶出制御基剤として機能する。ここで、本発明でいう加工澱粉とは、天然の澱粉原料を用いて物理的処理のみで物性の改良を行った澱粉である。
このような特定の加工澱粉は、保水量が400%以上である必要がある。より好ましくは500%以上、特に好ましくは700%以上である。ここで保水量とは、乾燥した加工澱粉1gを20℃±5℃の純水に分散し遠心分離(2000G、10分)した後に澱粉が保持する純水量で定義する。保水量が400%以上で加工澱粉が水和してゲルを形成するため固形製剤が崩壊しにくくなり、かつ活性成分の拡散速度が保たれて十分な徐放性を発現しやすくなる。保水量が高いほどゲル形成能が高くなり、高いイオン強度下でもゲルが破壊されないので好ましいが、最大値は澱粉原料の特性に依存しせいぜい3000%までである。
また、特定の加工澱粉は、ゲル押込み荷重値が200g以上である必要がある。ゲル押込み荷重値とは、加工澱粉0.5gを50MPaで圧縮して得られる直径1.13cmの円柱状成形体を20℃±5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、0.1mm/secの速度で3mm直径の円柱状アダプターを押込んだ時の最大荷重で定義する。ここで、最大荷重とはゲル層の破断がある場合は破断時の荷重値、破断がない場合はアダプターがゲル化した円柱状成形体に5mm進入するまでに示した最大の荷重値とする。ゲル押込み荷重値が200g以上で、加工澱粉が形成するゲル層内での活性成分の拡散が速くなりすぎず十分な徐放性を発現しやすくなる。ゲル押込み荷重値が高いほど徐放能が高くなり好ましいが、せいぜい3000g程度である。
また、特定の加工澱粉は、水溶性成分量が40〜95重量%の範囲にある必要がある。水溶性成分量は、以下の計算によって得られる値として定義される。すなわち、加工澱粉1gに20℃±5℃の純水99gを加えてマグネチックスターラーで2時間攪拌して分散させ、得られた分散液の40cm3を50cm3の遠沈管に移し、5000Gで15分間遠心分離し、この上澄液30cm3を秤量瓶に入れ、110℃で一定重量になるまで乾燥して水溶性成分の乾燥重量(g)を求める。また、加工澱粉1gを110℃で一定重量になるまで乾燥して加工澱粉の絶乾重量(g)を求める。これらの値と下式(1)により求めた値で定義する。
水溶性成分量(重量%)=(乾燥重量(g)×100÷30)÷澱粉1gの絶乾重量(g)×100・・・(1)
水溶性成分量は、加工澱粉が糊化し水溶性となった糊成分の量を表す値である。水溶性成分量が40重量%以上で、水和速度が確保されて遅くなりすぎることがなく、徐放性固形製剤が溶媒と接した後直ぐに多量の活性成分が溶出してしまうような現象が生じにくい。水溶性成分量が95重量%以下で、固形製剤の強度が確保され、十分な徐放性が得られやすくなる。また、胃腸管の機械的運動による負荷に耐えうるため過度に侵食されることなく溶出速度が一定範囲に確保される。
また、特定の加工澱粉は、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上、且つ、平均粒径が20μm以上50μm未満である必要がある。好ましくは、目開き75μmの篩いを通過する粒子が95重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が30重量%以上であり、特に好ましくは、目開き75μmの篩いを通過する粒子が98重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が40重量%以上である。特定の加工澱粉は、粒子が小さい方が膨潤性が小さく、ゲル強度も強い。そのため、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上、且つ、平均粒径が50μm未満であれば、澱粉粒子、及び該澱粉粒子からなる固形製剤の膨潤性が比較的小さい範囲に留まる。そのため、固形製剤からの活性成分の溶出が圧縮成形圧により変動しにくくなる。
また、特定の加工澱粉は、膨潤度が6cm3/g以上10cm3/g以下であることが好ましい。加工澱粉の膨潤度は、加工澱粉1.0gを20±5℃の純水に分散させて100cm3の沈降管に移し、全量を100cm3とし、16時間放置した後、上下に分かれた下層の容積V(cm3)と加工澱粉1.0gの乾燥重量(g)とを測定し、下式(2)より求めた値と定義する。
加工澱粉の膨潤度(cm3/g)=V(cm3)/加工澱粉の乾燥重量(g)・・・(2)
加工澱粉の膨潤度が6cm3/gより大きいと、水和してゲルを形成するため活性成分の溶出を徐放性に制御しやすくなる。一方で、加工澱粉の膨潤度が10cm3/gより大きいと、該加工澱粉の膨潤に起因して固形製剤が大きく膨潤する。その結果、活性成分の溶出速度が遅延したり、或いは膨潤力に耐えられず固形製剤が崩壊してドーズダンピングを起こしてしまうので好ましくない。加工澱粉の膨潤度が6cm3/g以上10cm3/g以下の範囲で、活性成分が安定に徐放されやすくなるので好ましい。
また、特定の加工澱粉は、安息角が45°以下であることが好ましい。好ましくは安息角が43°以下である。また、特定の加工澱粉は見かけ比容積が1.4cm3/g以上3.6cm3/g以下であることが好ましい。安息角が45°以下で、かつ見かけ比容積が1.4〜3.6cm3/gの範囲にある加工澱粉は、活性成分との混合性・分散性に優れるため、均一なゲルマトリクスを形成することができ、安定な徐放性としやすいので好ましい。
ところで、保水量が400%以上、ゲル押込み荷重値が200g以上、水溶性成分量が40〜95重量%である加工澱粉の製造方法は特許文献7に開示されている。本発明者らは、特許文献7に記載の方法で得られる該加工澱粉について詳細に調べた。その結果、本発明者らは、粒度によって特異的に膨潤性およびゲル押込み荷重値が異なること、及び、該加工澱粉の粒度と膨潤性を適正範囲に制御することによって、初めて圧縮成形圧に依存しない徐放性固形製剤が得られることを見出した。その検討プロセスを次に説明する。
本発明者等は、まず、特許文献7の方法に準拠した方法、具体的には後述の比較製造例1に記載したようにして従来の加工澱粉Cを製造した。得られた加工澱粉Cを0〜32、32〜75、75〜150、150〜500μmの粒度毎に分画して基礎物性を比較した。表1に得られた加工澱粉Cの粒度分布、加工澱粉の膨潤度、加温保存条件下のゲル押込み荷重値を、図3〜6に加工澱粉Cが膨潤した後の粒子の光学顕微鏡写真を示した。
ここで、表1に示す加温保存条件下のゲル押込み荷重値は、加工澱粉0.5gを50MPaで圧縮して得られる直径1.13cmの円柱状成形体を37℃±0.5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、0.1mm/secの速度で3mm直径で円柱状のアダプターを押込んだ時に最初にピークを与えた値として求めた値である。また、表1に示す加工澱粉の膨潤度は、上記したものと同じ方法によって求められた値である。
表1の加工澱粉Cのデータ及び、図3〜6の膨潤粒子の写真より、0〜32μm分画の加工澱粉粒子は膨潤度が約14、膨潤粒子の大きさが100μm程度と膨潤性が小さく、ゲル押込み荷重値は約300と大きいことがわかる。一方で、32〜75、75〜150、150〜500μmの粒度分画の加工澱粉粒子は、一様にして、膨潤度が20〜30、膨潤粒子の大きさが200〜300μmと膨潤性が大きく、ゲル押込み荷重値は約200と小さいことがわかる。また、32〜75μm分画と75〜150μm、150〜500μm分画の膨潤粒子とが同じ大きさであること、および、該加工澱粉粒子の膨潤性は膨潤前の粒子の大きさと相関していることから、75〜500μmの範囲の加工澱粉粒子に含まれる外殻構造を有する膨潤性の澱粉粒子は32〜75μm分画の外殻構造を有する膨潤性の澱粉粒子とは構成成分が同じであり、該澱粉粒子が水溶性の糊成分(膨潤・溶解して輪郭が消失するため光学顕微鏡では観察されない)で造粒されて75〜500μmの大きな加工澱粉粒子となっていることが分かる。
これらの事実から、特許文献15に記載の方法で得られる加工澱粉は、澱粉粒子の外殻構造を有し膨潤性が小さくゲル押込み荷重値の大きい0〜32μm分画の澱粉粒子群と、外殻構造を有し膨潤性が大きくゲル押込み荷重値の小さい32〜75μmの澱粉粒子群と、水溶性の糊成分の3成分により構成されること、及び、これらの3成分が造粒されて0〜約500μmに粒度分布を有する加工澱粉が形成されていることが明らかとなった。なお、何れの粒子も水溶性成分により表面が覆われているため、加工澱粉の外見のみではこれらの事実は判別できない。
更に、膨潤性が小さくゲル押込み荷重値の大きい0〜32μm分画と、膨潤性が大きくゲル押込み荷重値が小さい32〜500μm分画に分けて、それぞれの分画を用いて徐放性固形製剤を製造した。すると、0〜32μm分画から得られた固形製剤は、圧縮力に依存しない正確で安定な溶出性を示した。一方、32〜500μm分画から得られた固形製剤は、圧縮力が小さいほど圧縮方向への大きな膨潤が起こり、これに伴い活性成分の溶出速度が速くなり、ゲル化した固形製剤の強度も弱くなることが明らかとなった。すなわち、粒径が32μmを境にして、得られる固形製剤の特性が大きく変化することが判明した。圧縮成形圧に依存しない徐放性固形製剤とするには、該0〜32μm分画粒子のように、膨潤性が小さく、かつゲル強度が強い粒子を用いることが好ましいことが確認された。加工澱粉粒子の膨潤性が小さいことで、固形製剤内部からの崩壊力を抑制できるものと考えられる。
本発明者らは、上述した事実に顧みて、32〜500μmの粒子中に存在する32〜75μmの外殻構造を有する澱粉粒子を破砕することで、該加工澱粉の膨潤性を小さく抑えることができ、その結果、圧縮力に依存しない徐放性固形製剤が得られるのではないかと考えた。様々な粉砕条件について検討を重ねた結果、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上、かつ平均粒径が20μm以上50μm満となるように粒度分布を管理することによって、膨潤性が一様に小さくゲル押込み荷重値の大きな加工澱粉が得られることを見出した。このように、加工澱粉の粒度を制御することによって、圧縮成形圧による変動のない徐放性固形製剤が得られるに至った。
ここで、実施例1により得られた、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上、かつ平均粒径が20μm以上50μm満となる加工澱粉Aを、0〜32、32〜75μmの粒度毎に分画した場合の各分画粒子の基礎物性を比較した。表1に加工澱粉A全体及び各分画粒子の粒度分布、膨潤度、加温保存条件下のゲル押込み荷重値を示した。また、図1、2に各分画粒子が膨潤した後の膨潤粒子の光学顕微鏡写真を示した。加工澱粉の外殻構造を有する一次粒子が破壊されていることは、膨潤粒子の光学顕微鏡画像から確認できる。また、0〜32μm、32〜75μmのいずれの分画粒子も、膨潤性が小さく、かつ、ゲル押込み加重値が大きくなっていることが確認された。
次に、上述の特定の加工澱粉の製法について説明する。特定の加工澱粉は、例えば澱粉質原料を水存在下60℃以上100℃未満で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程、次いで該膨潤させた澱粉粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程、及び得られた乾燥粉末を粉砕して粒度を調整する工程等により製造される。或いは、減圧下、100〜130℃で加熱処理された澱粉質原料を、さらに水存在下60〜150℃で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程、次いで膨潤させた粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程、及び得られた乾燥粉末を粉砕して粒度を調整する工程等により製造される。なお、澱粉粒子の外部に存在するアミロース、アミロペクチンとは、加熱処理による膨潤により外殻構造が崩壊した澱粉に由来する、澱粉粒子の外部に溶出されたアミロースとアミロペクチンである。また、澱粉質原料についての水存在下とは、澱粉質原料と水とが存在した状態であって、水分が40重量%以上である状態をいう。
製造に用いることができる澱粉質原料は、コメ、モチゴメ、トウモロコシ、モチトウモロコシ、アミロトウモロコシ、モロコシ、コムギ、オオムギ、サトイモ、リョクトウ、バレイショ、ユリ、カタクリ、チューリップ、カンナ、エンドウ、シワエンドウ、クリ、クズ、ヤマノイモ、カンショ、ソラマメ、インゲンマメ、サゴ、タピオカ(キャッサバ)、ワラビ、ハス、ヒシ等の天然澱粉、老化澱粉、架橋澱粉等が例示され、澱粉質物質を含有するものであれば特に制限されないが、粒子の膨潤性が高く保水量を高く制御しやすいという観点からバレイショが好ましい。澱粉質原料は、上記のうち1種を使用してもよいし、2種以上を混合したものを使用することも自由である。また澱粉質原料の粒子の大きさは膨潤しやすさの観点から大きいほどよい。
澱粉質原料は、糊化開始温度が高くなり、粒子の膨潤性が高まるという観点から、例えば特開平4−130102号公報や特開平7−25902号公報に記載されているように、澱粉質原料に減圧下100℃〜130℃で加熱処理する等の、湿熱処理を施したものであればさらに良い。
例えば、特開平4−130102号公報には、(1)減圧ラインと加圧蒸気ラインとの両方を付設し、内圧、外圧共に耐圧性の密閉できる容器に澱粉を入れ、減圧とした後、蒸気導入による加圧加熱を行い、あるいはこの操作を繰り返すことにより、澱粉を所定時間加熱した後冷却する湿熱処理方法、(2)(1)の方法に加えて、缶内温度を少なくとも120℃以上とすることで、水懸濁液を加熱した時、澱粉粒子の膨潤が認められるが実質的に粘度を示さず、α−アミラーゼ吸着能が著しく高い澱粉を製造する湿熱処理方法、(3)(1)または(2)の方法に加えて、加熱後減圧にして冷却する湿熱処理方法、が開示されているが、これらの湿熱処理方法のいずれでも良い。
また、特開平7−25902号公報には、(4)澱粉質系穀粒を湿熱処理して得られる湿熱処理澱粉質系穀粒の製造方法において、耐圧容器内に充填した澱粉質系穀粒を減圧する第1工程と、減圧後、蒸気を導入して加熱、加圧する第2工程を、少なくとも1回繰り返す湿熱処理澱粉質系穀粒の製造方法、(5)(4)の製造方法の第2工程において、加熱を80℃以上で、かつ5分〜5時間行う製造方法、が開示されている。これらの方法のいずれでも良い。
これらの方法により、澱粉質原料を減圧下で湿熱処理された澱粉は、高温加熱により、粒子の内部が中空状で、粒子の外殻部の結晶性が増したものである。このような澱粉は、光学顕微鏡の偏光像に見られる偏光十字模様が、生澱粉よりも弱く、非複屈折性粒子が減少しているという特徴を有する。また中空部はアミロースやアミロペクチンの結晶状態がほぐれた構造になっていると思われ、α―アミラーゼによる消化性が生澱粉よりも増しているという特徴を有する。そのため、特定の澱粉質原料として用いるのに適している。
また、澱粉質原料を湿熱処理するに際し、澱粉乳液を50〜95℃へ加温していく過程における澱粉乳液の粘度が、5%濃度に調整した場合に400ブラベンダーユニット(BU)以下の値であり、かつ95℃で30分間保持した時の最大粘度が1000BU以下であることは好ましい。加熱処理により澱粉粒子を膨潤させる程度を調整しやすくするためである。
澱粉質原料の加熱の方法は、公知の方法であれば特に制限しないが、例えば水存在下の澱粉質原料を、ジャケット付リアクターに入れてジャケットに蒸気を導入して加熱する方法、水存在下の澱粉質原料に蒸気を混合する方法、ドラム乾燥機の液溜め部で加熱する方法、噴霧乾燥時に蒸気を澱粉スラリーに供給しながら糊化と噴霧とを同時に行う方法等が挙げられる。澱粉粒子の加熱時間の観点から水存在下の澱粉質原料に蒸気を混合する方法が好ましい。加熱温度は、上記の種々の方法で澱粉を糊化した後の液温度が、90〜150℃であればよく、好ましくは90〜130℃、さらに好ましくは95〜130℃である。
乾燥方法は特に制限はないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、棚段乾燥、気流乾燥、真空乾燥及び溶剤置換による乾燥などが挙げられる。工業的には噴霧乾燥、ドラム乾燥が好ましい。また、乾燥時の液固形分は0.5重量%〜60重量%程度とするのが好ましい。0.5重量%以上で生産性が良くなり、60重量%以下で粘度が高くなりすぎず、収率が確保されて好ましい。さらには、1〜30重量%がより好ましく、1〜20重量%がさらに好ましい。
粉砕方法は特に制限はないが、例えば、コーンクラッシャー、ダブルロールクラッシャー、ハンマーミル、ボールミル、ロッドミル、ピン型ミル、ジェット型ミルなどが挙げられるが、粉砕不足や過粉砕を避ける目的で、上記粉砕機と分級機を兼ねそろえた閉回路粉砕方式を取るのが好ましい。
目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上、且つ平均粒径が20μm以上50μm未満となるように粒度調整された、保水量が400%以上、ゲル押込み荷重が200g以上、水溶性成分量が40〜95重量%の加工澱粉は、粒度未調整のものに比べて膨潤度が小さく、ゲル押込み荷重値が高いのが特徴である。また、加工澱粉は、見かけ比容積が1.4〜3.6cm3/gの範囲にあることが好ましいが、該加工澱粉の見かけ比容積は、乾燥工程における液濃度の大小にも影響され、また、スプレードライ乾燥工程においてアトマイザーの回転数にも影響される。そのため、見かけ比容積を上記の好ましい範囲とするには、これらを適宜調整すればよい。
このような特定の加工澱粉を溶出制御基剤に用いた固形製剤は、体内のイオン強度や圧縮成形圧に影響されにくく、また、固形製剤の膨潤性が一定範囲内に小さく抑えられる。そのため、このような加工澱粉を用いた場合、活性成分を正確に徐放性に制御しやすく好ましい。
次に、溶出制御基剤に含める疎水性助剤について説明する。疎水性助剤は、崩壊時間が8時間以上で、押込み強度が2kg以上で、水に分散させた時の沈降体積が3ml以下である必要がある。溶出制御基剤に疎水性助剤が含まれることにより、特定の加工澱粉と疎水性助剤とが共にマトリクスを形成して固形製剤に強度を与える。そのため、活性成分含量や圧縮成形圧に依存せず、安定した溶出制御が可能となる。本発明の固形製剤への前記疎水性助剤の配合は、特に、活性成分の固形製剤に対する含有量が多く、溶出制御基剤の含有量が少ない時に用いることが好ましい。活性成分含量が多く溶出制御基剤の含有量が少ないと、固形製剤表面に形成されるゲル層が弱くなる傾向がある。このような場合において、前記疎水性助剤を配合することで、固形製剤の強度が強くなり、活性成分の溶出速度が活性成分含量や圧縮成形圧によらずに安定するため好ましい。
ここで、崩壊時間とは、疎水性助剤粉末0.5gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて50MPaの圧縮力で成形して得られる直径1.13mmの円柱状成形体の試験液中での崩壊時間で定義される。試験液は第14改正日本薬局方に記載の第2液であり、崩壊試験は第14改正日本薬局方の崩壊試験法に準じ、補助盤を使用して行う。これが8時間以上とすることで、固形製剤に望ましい強度が付与される。
また、押込み強度は以下のように定義される。まず、疎水性助剤粉末0.5gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて50MPaの圧縮力で成形して得られる直径1.13mmの円柱状成形体を20±0.5℃の純水中に4時間浸漬する。その後、レオメーター(RHEONER RE−33005、YMMADEN製)を使用し、0.1mm/secの速度で3mm円柱状のアダプターを押し込んだ時の最大荷重を押込み強度と定義する。最大荷重とは成形体の破断があれば破断時の、破断がなければアダプターが円柱状成形体に5mm侵入するまでに示した最大の荷重値とし、5個の平均値で算出する。この押込み強度が2kg以上で、固形製剤に望ましい強度が付与される。
また、水に分散させた時の沈降体積とは、乾燥した疎水性助剤粉末1.0gを20±0.5℃の純水に分散させて100mlの沈降管に移し、全量を100cm3とし、16時間静置したあと、沈降した成分の容積を測定して求める。これが、3ml以下で固形製剤に望ましい強度が付与される。
このような疎水性助剤としては、エチルセルロースや酢酸セルロースなどのアルキルセルロース類、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルのコポリマー類、カルナウバロウ、ミツロウ、木ロウ等のワックス類、シェラック、ゼイン、固形パラフィン、硬化ヒマシ油等の水素化植物油、グリセリルパルミトステアレート、グリセリルモノオレエート等のモノグリセリド類、ジグリセリド類、トリグリセリド類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級脂肪族アルコール類が挙げられる。
また、本発明において溶出制御基剤には、特定の加工澱粉を50〜99重量%含めることが必要である。該加工澱粉の含有量が50重量%以上で活性成分の溶出を徐放性に制御される。より好ましくは70〜98重量%であり、特に好ましくは80〜95重量%である。さらに、溶出制御基剤には、疎水性助剤を1〜50重量%含むことが必要である。好ましくは2〜30重量%であり、特に好ましくは5〜20重量%である。疎水性助剤の含量が1重量%より多い場合に固形製剤の強度が大きくなり、活性成分の溶出速度が圧縮成形圧や活性成分含量によらずに安定するため好ましい。疎水性助剤の含量が50重量%以下で、疎水性助剤に由来する溶出速度の変動や、溶出後期における溶出速度の低下が生じにくくなるため好ましい。従って、特定の加工澱粉と疎水性助剤との重量配合比率は、50:50〜99:1の範囲内となる。
本発明の固形製剤に用いる溶出制御基剤は、上記の特定の加工澱粉の効果を損ねない限りにおいて、必要に応じて他の溶出制御基剤を併用してもよい。他の溶出制御基剤としては、親水性の溶出制御基剤(例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、キサンタンガムやイナゴマメガム等の非セルロース多糖類、ポリエチレンオキサイドやアクリル酸ポリマー等の合成高分子等)、親油性の溶出制御基剤(例えば水素化したヒマシ油やステアリン、パルミチンなどのグリセリド類、セチルアルコールなどの高級アルコール類、ステアリン酸等の脂肪酸類、プロピレングリコールモノステアレートなどの脂肪酸エステル類等)、不活性の溶出制御基剤(例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、酢酸ビニル/塩化ビニルのコポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、シリコーン、エチルセルロース、ポリスチレン等)等を挙げることができる。
本発明の固形製剤は、上記特定の加工澱粉と疎水性助剤に加え、親水性高分子助剤を1〜40重量%含んでいてよい。このような親水性高分子助剤は、水への溶解度が20℃において0.1〜5.0g/cm3であり、融点が50℃以上であり、かつ平均分子量が5000以上の合成または天然のポリマー類であることが好ましい。該親水性高分子助剤が含まれると、固形製剤表面に分散している溶出制御基剤のゲル化が促進される。そのため、固形製剤表面に分散している活性成分が溶解して溶出するよりも速く固形製剤表面にゲル層が形成され、活性成分が溶出初期に多量に溶出されるのが抑制されて0次溶出へと制御しやすくなり好ましい。また、溶出後期には固形製剤の侵食性が増すために、溶出後期に溶出速度が低下することなく、0次溶出へと制御しやすくなり好ましい。親水性高分子助剤の水への溶解度の下限は、好ましくは0.2g/cm3、より好ましくは0.4g/cm3である。また、水への溶解度の上限は、好ましくは4.5g/cm3、より好ましくは4.0g/cm3である。水への溶解度が0.1以上で固形製剤表面の溶出制御基剤との水和を促進しゲル化が促進されるため、活性成分の溶出を0次溶出へと制御しやすくなる。水への溶解度が5.0g/cm3以下で、溶出制御基剤への水の浸透が多くなりすぎず、ゲル密度が粗にならない範囲でゲル化する。そのため、ゲル層の強度が弱くなりすぎにくく、溶出後期に過度に侵食が進むことによる溶出速度の増大が起こらず、活性成分の溶出を0次溶出へと制御しやすくなる。
水への溶解度が0.1〜5.0g/cm3である親水性高分子助剤としては、親水性で比較的高分子量の合成または天然のポリマー類とするのがよく、具体的には、ポリエチレングリコールやポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン等を挙げることができ、特に好ましいものとしてポリエチレングリコールが挙げられる。
ここで徐放性とは、活性成分が、時間に関係ない一定の溶出速度で、徐々に固形製剤から溶出され、かつ活性成分の90%以上を溶出するのに要する時間が少なくとも3時間以上である特性をいうものとする。活性成分の90%以上を溶出するのに要する時間は、活性成分の種類と目的により、例えば、投与から8時間、12時間、24時間と適時選択することができるが、固形製剤の胃腸管滞留時間に限度があるため上限はせいぜい72時間である。例えば8時間で活性成分を90%以上溶出させる場合には、第14改正日本薬局方に記載の溶出試験法第1法(回転バスケット法)に準じて測定される活性成分の1時間後の溶出率が10〜30%、4時間後の溶出率が40〜60%、6時間後の溶出率が70%以上のように制御することが好ましい。また、例えば24時間で活性成分の90%以上を溶出させる場合には、1時間後の溶出率が10〜30%、10時間後の溶出率が40〜60%、18時間後の溶出率が70%以上のように制御することが好ましい。活性成分を溶出させる時間により、適時時間の間隔を変更して制御することが可能である。
本発明の固形製剤は、活性成分の溶出パターンを0次溶出へと制御することができる。特に、活性成分の溶出速度が最後まで低下することなく0次溶出することが可能である。ここで、活性成分の溶出が0次溶出に制御される好ましい溶出パターンとしては、活性成分の溶出率が20〜40%となる時間帯の単位時間当りの溶出率(初期の溶出速度:M20-40%)と、70〜90%となる時間帯の単位時間当りの溶出率(後期の溶出速度:M70-90%)の比(M70-90%/M20-40%)で活性成分の溶出性を評価するとき、初期の溶出速度と後期の溶出速度の比が0.5〜1.2となる特徴を有する。
初期の溶出速度と後期の溶出速度は次のようにして求める値と定義する。重量0.18g、直径0.8cm、圧縮成形圧120MPa、及び300MPaの条件で静圧プレスを用いて成形した固形製剤を用い、第14改正日本薬局方に記載の溶出試験法第一法(回転バスケット法)に準拠する方法で溶出試験を行う。日本薬局方記載の第2液(pH6.8、イオン強度0.14のもの。以下、「第2液」と略すことがある。)、とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40、組成:リン酸水素二ナトリウム173.9mM、クエン酸13.1mMのもの。以下、「Mc液」と略すことがある。)とに、それぞれα−アミラーゼを5μg/cm3となるように添加した溶媒の、いずれかを試験液として用い、いずれかの試験液900cm3、バスケット回転数100rpm、試験液温度37±0.5℃の条件で溶出試験を行う。
試験開始後30分経過時及び活性成分が90%以上溶出するまでの1時間経過毎に、試験液をサンプリングして活性成分の溶出率を求め、得られたデータから活性成分がそれぞれ20、40、70、90%溶出するのに要する時間を算出する。活性成分を20%溶出するのに要する時間は、活性成分の溶出率が20%となる前後のサンプリング時間とその時の溶出率をグラフにプロットして直線で結び、溶出率20%に相当する溶出時間を直線上の点として割り返す方法で求める。同様にして、活性成分を40%、70%、90%溶出するのに要する時間は、活性成分の溶出率がそれぞれ40%、70%、90%となる前後のサンプリング時間とその時の溶出率をそれぞれグラフにプロットして直線で結び、溶出率40%、70%、90%に相当する溶出時間をそれぞれ直線上の点として割り返す方法で求める。このように得られたデータに基づいて、初期の溶出速度:M20-40%と後期の溶出速度:M70-90%を求めることができる。
本発明の固形製剤は、上記成分に加え、さらにコーティング顆粒を含有していることが好ましい。ここにいうコーティング顆粒とは、一種以上の活性成分を含有する顆粒にフィルムコーティングを施したものをいう。コーティング顆粒を含むことにより、必要に応じてより複雑で的確な活性成分の放出パターンを得ることができる。
コーティング顆粒のコーティング剤としては、徐放性コーティング剤、腸溶性コーティング剤等がある。具体的には、セルロース系コーティング剤(例えばエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテート等)、アクリルポリマー系コーティング剤(例えばオイドラギットRS、オイドラギットL、オイドラギットNE等)、あるいはシェラック、シリコン樹脂等から選択される1種以上を用いることができる。
コーティング剤には、溶出速度調節のための水溶性物質、可塑剤等を必要に応じて加えても良い。水溶性物質としてはヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性高分子類やマンニトール等の糖アルコール類、白糖や無水マルトース等の糖類、ショ糖脂肪酸エステルやポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤類等から選択される1種以上を用いることができる。可塑剤としてはアセチル化モノグリセリド、クエン酸トリエチル、トリアセチン、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジメチル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、アジピン酸ジブチル、オレイン酸、オレイノール等から選択される1種以上を用いることができる。
これらのごときコーティング剤は、有機溶媒に溶解させたあと顆粒にコーティングしても良いし、水に懸濁させたあと顆粒にコーティングしても良い。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、ベンゼン等から選択される1種以上を用いることもできるし、更に水を含有させて用いることもできる。
また、上記の活性成分を含有する顆粒とは、活性成分の粉粒体や、活性成分に結合剤等を加えて得られる造粒物でも良く、或いは薬効成分を含まない素顆粒に薬効成分を積層して得られる顆粒でも良い。結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等から選択される1種以上を用いることができる。活性成分を含有する顆粒として好ましくは、コーティング顆粒の強度が強くなり、圧縮成形によるコーティング皮膜の損傷を抑制できる点で、機械的強度の強い素顆粒に薬効成分を積層して得られる顆粒を用いるのが良い。商業的に入手可能である機械的強度の強い素顆粒としては、結晶セルロースを構成成分とする核粒子「セルフィア(登録商標)」SCP−100、CP−203、CP−305、CP−507(旭化成ケミカルズ株式会社製)等が利用できる。
本発明の固形製剤は、1製剤あたりの重量が0.20g以上であることが好ましい。これにより、溶出後期の溶出速度を減少させることなく溶出時間を簡単に延長することが可能となる。これは、固形製剤の圧縮方向の膨潤度、及び、膨潤度比が一定範囲にある場合には、固形製剤の形状を大きくしても活性成分の溶出性には影響を及ぼさないことによる。ちなみに、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース等の溶出制御基剤を用いて、圧縮方向の膨潤度又は膨潤度比が上記の好ましい範囲にない例では、固形製剤の重量が大きくなると溶出後期の溶出速度が減少してしまうので好ましくない。固形製剤の圧縮方向の膨潤度、及び、膨潤度比が一定範囲にある場合には、活性成分の溶出性を維持したまま、単純に固形製剤の重量を大きくすることで活性成分の溶出時間を延長ことが可能となる。
次に、活性成分とは、固形製剤が投与された体内等の周辺環境に対して、化学的または生物学的に望ましい影響を与える成分を言い、例えば、医薬品薬効成分、農薬成分、肥料成分、飼料成分、食品成分、化粧品成分、色素、香料、金属、セラミックス、触媒、界面活性剤等をいう。活性成分は、粉体状、結晶状、油状、液状、半固形状等のいずれの性状でも良いし、粉末、細粒、顆粒等のいずれの形態でも良い。活性成分は、それ単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。活性成分としては、徐放性に対する要求性能が厳しい医薬品薬効成分とするのが最も好ましい。
医薬品薬効成分としては、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経口で投与されるものが対象となる。薬効成分は、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
本発明の固形製剤は、(a)4〜8時間以下のオーダーの短い半減期を持ち、通例の調製物中で投与される時に1日に数回に分けた用量で摂取しなければならないか、または(b)狭い治療指数を持つか、または(c)全胃腸管にわたり十分に吸収される必要があるか、または(d)治療に効果的な用量が比較的少量である等の、何れか1つ又は2つ以上の特徴を有する1種以上の医薬品薬効成分を製剤化するために特に有用である。以下に、固形製剤で用いることのできる医薬品薬効成分について例示するが、これらに限定されるものではない。
鎮痛および抗炎症性薬剤(NSAID、フェンタニール、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン(nabumetone)、パラセタモール、ピロキシカム、トラマドール、セロコキシブ(celecoxib)およびロフェコキシブ(rofecoxib)のようなCOX-2インヒビター);
抗不整脈剤(プロカインアミド、キニジン、ベラパミル);
抗細菌および抗原生動物剤(アモキシリン、アンピシリン、ベンザチン ペニシリン、ベンジルペニシリン、セファクロール、セファドロキシル、セフプロジル(cefprozil)、セフロキシム アキセチル(cefuroxime axetil)、セファレキシン、クロラムフェニコール、クロロキン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン(clarithromycin)、クラブラン酸、クリンダマイシン、ドキシサイクリン(doxyxyclin)、エリスロマイシン、フルクロキサシリン(flucloxacillin) ナトリウム、ハロファントリン(halofantrine)、イソニアジド、硫酸カナマイシン、リンコマイシン、メフロキン、ミノサイクリン、ナフシリン ナトリウム、ナリジクス酸、ネオマイシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン(ofloxacin)、オキサシリン、フェノキシメチル-ペニシリン カリウム、ピリメタミン-スルファドキシム、ストレプトマイシン);
抗凝固剤(ワルファリン);
抗鬱剤(アミトリプチリン、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン(dothiepin)、ドキセピン、フルオキセチン、レボキセチン(reboxetine)、アミネプチン(amineptine)、セレジリン、ジェピロン、イミプラミン、炭酸リチウム、ミアンセリン、ミルナシプラン(milnacipran)、ノルトリプチリン、パロキセチン(paroxetine)、セルトラリン(sertraline);3-[2-[3,4-ジヒドロベンゾフラン[3,2-c]ピリジン-2(1H)-イル]エチル]-2-メチル-4H-ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン);
抗糖尿病剤(グリベンクラミド(glibenclamide)、メトホルミン);
抗癲癇剤(カルマバゼピン、クロナゼパム、エトスクシミド、ガバペンチン(gabapentin)、ラモトリジン、レベチラセタム(lavetiracetam)、フェノバルビトン(phenobarbitone)、フェニトイン、プリミドン、チアガビン(tiagabine)、トピラメート(topiramate)、バルプロミド(valpromide)、ビガバトリン);
抗菌剤(アンホテリシン、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール(fluconazole)、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール(itraconazole)、ケトコナゾール、硝酸ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン(terbinafine)、ボリコナゾール(voriconazole));
抗ヒスタミン剤(アステミゾール、シンナリジン(cinnarizine)、シプロヘプタジン、デカルボエトキシロラタジン(decarboethoxyloratadine)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、フルナリジン、レボカバスチン(levocabastine)、ロラタジン(loratadine)、ノルアステミゾール(norastemizole)、オキサトミド(oxatomide)、プロメタジン、テルフェナジン);
抗高血圧剤(カプトプリルエナラプリル、ケンタセリン、リジノプリル、ミノキシジル、プラゾシン、ラミプリル(ramipril)、レセルピン、テラゾシン);
抗ムスカリン作用剤(硫酸アトロピン、ヒオスシン);
抗腫瘍剤および代謝拮抗物質(シスプラチン、カルボプラチンのような白金化合物; パクリタキセル、ドセタキセル(docetaxel)のようなタキサン(taxane); カンプトテシン(camptothecin)、イリノテカン(irinotecan)、トポテカン(topotecan)のようなテカン(tecan); ビンブラスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビノレルビン(vinorelbine)のようなビンカ アルカロイド; 5-フルオロウラシル、カペシタビン(capecitabine)、ジェムシタビン(gemcitabine)、メルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン(cladribine)、メトトレキセートのようなヌクレオシド誘導体および葉酸アンタゴニスト; ナイトロジェン マスタード、例えばシクロホスファミド、クロラムブシル(chlorambucil)、クロルメチン(chlormethine)、イホスファミド(iphosphamide)、メルファラン(melphalan)、あるいはニトロソウレア、例えばカルムスチン、ロムスチンのようなアルキル化剤、あるいは他のアルキル化剤、例えばブスルファン、ダルカルバジン、プロカルバジン、チオテパ;ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン(idarubicin)、エピルビシン(epirubicin)、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、マイトマイシンのような抗生物質; トラスツズマブ(trastuzumab)のようなHER 2抗体; エトポシド、テニポシド(teniposide)のようなポドフィロトキシン誘導体; ファルネシル トランスフェラーゼ インヒビター; ミトザントロンのようなアントラキノン誘導体);
抗偏頭痛剤(アルニジタン(alniditan)、ナラトリプタン(naratriptan)、スマトリプタン(sumatriptan));
抗パーキンソン剤(ブロモクリプチン メシレート(bromocryptine mesylate)レボトバ、セレジリン);
抗精神性、催眠性および鎮静剤(アルプラゾラム、ブスピロン、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、クロルプロマジン(chlorpromazine)クロザピン、ジアゼパム、フルペチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、9-ヒドロキシリスペリドン(hydroxyrisperidone)、ロラゼパム、マザペルチン(mazapertine)、オランザピン(olanzapine)、オキサゼパム、ピモジド、ピパンペロン、ピラセタム(piracetam)、プロマジン、リスペリドン(risperidone)、セルホテル(selfotel)、セロクエル(seroquel)、セルチンドール(sertindole)、スルピリド、テマゼパム、チオチキセン、トリアゾラム、トリフルペリドール、ジプラシドン(ziprasidone)、ゾルピデム);
抗発作剤(ルベルゾール(lubeluzole)、ルベルゾール オキシド(lubeluzole oxide)、リルゾール(riluzole)、アプチガネル(aptiganel)、エリプロジル(eliprodil)、レマセミド(remacemide));
鎮咳剤(デキストロメトルファン、レボドロプロピジン(laevodropropizine));
抗ウイルス剤(アシクロビル、ガンシクロビル、ロビリド(loviride)、チビラピン(tivirapine)、ジドブジン、ラミブジン(lamivudine)、ジドブジン+ラミブジン、ジダノシン(didanosine)、ザルシタビン(zalcitabine)、スタブジン(stavudine)、アバカビル(abacavir)、ロピナビル(lopinavir)、アンプレナビル(amprenavir)、ネビラピン(nevirapine)、エファビレンズ(efavirenz)、デラビルジン(delavirdine)、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)、サキナビル(saquinavir)、アデホビル(adefovir)、ヒドロキシウレア);
ベータ-アドレナリン作用性受容体剤(アテノロール、カルベディロール、メトプロロール、ネビボロール(nebivolol)、プロパノルオール);
心変力性剤(アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、ミルリノン);
コルチコステロイド(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメゾン、ブデソニド(budesonide)、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン);
殺菌剤(クロルヘキシジン);
利尿剤(アセタゾラミド、フルセミド(frusemide)、ヒドロクロロチアジド、イソソルビド);
酵素;
精油(アネトール、アニス油、キャラウェイ、カルダモン、カシア油、シネオール、シナモン油、クローブ油、コリアンダー油、脱メントール化(dementholised)ミント油、ディル油、ユーカリ油、オイゲノール、ジンジャー、レモン油、からし油、ネロリ油、ナツメグ油、オレンジ油、ペパーミント、セージ、スペアミント、テルピネオール、タイム);
胃腸薬(シメチジン、シサプリド(cisapride)、クレボプリド(clebopride)、ジフェノキシラート、ドンペリドン、ファモチジン、ランソプラゾール(lansoprazole)、ロペルアミド(loperamide)、ロペルアミド オキシド(loperamide oxide)、メサラジン(mesalazine)、メトクロプラミド(metoclopramide)、モサプリド(mosapride)、ニザチジン、ノルシスアプリド(norcisapride)、オルサラジン(olsalazine)、オメプラゾール、パントプラゾール(pantoprazole)、ペルプラゾール(perprazole)、プルカロプリド(prucalopride)、ラベプラゾール(rabeprazole)、ラニチジン、リドグレル(ridogrel)、スルファサラジン(suphasalazine));
止血剤(アミノカプロン酸);
脂質調節剤(アトルバスチン(atorvastine)、セバスタチン、プラバスタチン、プロブコール、シンバスタチン);
局所麻酔剤(ベンゾカイン、リグノカイン(lignocaine));
オピオイド鎮痛剤(ブプレノルフィン、コデイン、デキストロモルアミド、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、モルフィネ);
副交感神経作用性および抗痴呆剤(AIT-082、エプタスチグミン(eptastigmine)、ガランタミン、メトリホナート、ミラメリン(milameline)、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、タクリン、ドネペジル(donepezil)、リバスチグミン(rivastigmine)、サブコメリン(sabcomeline)、タルサクリジン(talsaclidine)、キサノメリン(xanomeline)、メマンチン(memantine)、ラザベミド(lazabemide));
ペプチドおよびタンパク質(抗体、ベカルプレルミン(becaplermine)、シクロスポリン、エリスロポエチン、免疫グロブリン、インスリン);
性ホルモン(卵胞ホルモン:抱合卵胞ホルモン、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストラジオール、エストリオール、エストロン;プロゲステロン;酢酸クロマジン、酢酸シプロテン、17-デアセチル ノルゲスチメート(deacetyl norgestimate)、デソゲストレル(desogestrel)、ジエノゲスト(dienogest)、ジドロゲステロン、エチノジオール(ethynodiol) ジアセテート、ゲストデン(gestodene)、3-ケト デソゲストレル(keto desogestrel)、レボノルゲストレル(levonorgestrel)、リネストレノール、酢酸メトキシプロゲステロン、メゲステロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート(norgestimate)、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン(norgestrienone)、プロゲステロン、酢酸キンゲスタノール);
刺激剤(シルデナフィル(sildenafil));
血管拡張剤(アムロジピン、ブフロメジル(buflomedil)、亜硝酸アミル、ジルチアゼム、ジピリダモール、三硝酸グリセリル、イソソルビドジニトレート、リドフラジン、モルシドミン(molsidomine)、ニサルジピン、ニフェジピン、オキシペンチフィリン(oxpentifylline)、三硝酸ペンタエリスリトール);
上記の物質のN-オキシド、上記の物質の医薬的に許容され得る酸または塩基付加塩、および上記の物質の立体化学異性体。
固形製剤には、溶出制御基剤に比して活性成分量を多く含有させることができる。固形剤に対して、好ましい活性成分の含有量は、20重量%以上70重量%以下である。この範囲であれば、圧縮成型圧力やイオン強度の違いによる溶出速度のバラツキが小さく、安定して0次溶出に制御することが可能である。より好ましい含有量は、30重量%以上70重量%以下である。
本発明における固形製剤には、活性成分の他に、必要に応じて崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤等の他の成分を含有しても構わない。また他の成分は希釈剤として使用しても良い。
結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、トレハロース等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコマンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、結晶セルロース(例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製、「セオラス(登録商標、以下同じ)」PH−101、PH−101D、PH−101L、PH−102、PH−301、PH−301Z、PH−302、PH−F20、PH−M06、M15、M25、KG−801、KG−802等)、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等が挙げられことができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
結合剤として使用できる結晶セルロースとしては、圧縮成形性に優れるものが好ましい。圧縮成形性に優れる結晶セルロースを使用することにより、低打圧で打錠できるため打圧で失活する活性成分の活性維持が可能であり、顆粒含有錠にすることができ、少量添加で硬度を付与できる。そのため、嵩高い活性成分の錠剤化や多種類の活性成分を含む薬剤の錠剤化が可能である。従って、場合によっては小型化でき、液状成分の担持性に優れ、打錠障害を抑制できる等の利点がある。商業的に入手可能である圧縮成形性に優れる結晶セルロースとしては、「セオラス」KG−801、KG−802(旭化成ケミカルズ株式会社製)等が利用できる。
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類、クロスポビドン、クロスポビドンコポリマー等の合成高分子等が挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類を挙げることができる。それを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等が挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ここで、水への溶解度が0.0001〜100mg/cm3の範囲にある活性成分に対しては、溶出性への影響が少なく、打錠粉末の臼杵への付着を防止できる点で、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、軽質無水ケイ酸から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。また、溶出性への影響が少なく、打錠粉末の流動性確保、および圧縮成形物の破断荷重を増強できる点で、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。なかでも、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、軽質無水ケイ酸から選択される1種以上と、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとの組み合わせを用いると、打錠粉末の臼杵への付着防止、打錠粉末の流動性確保、圧縮成形物の破断荷重の増強を同時に満たすことができるので好ましい。また、水への溶解度が100〜100000mg/cm3の範囲にある活性成分に対しては、溶出性への影響が少なく、打錠粉末の臼杵への付着を防止できる点で、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、軽質無水ケイ酸から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。また、溶出性への影響が少なく、打錠粉末の流動性確保、および圧縮成形物の破断荷重を増強できる点で、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。なかでも、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、軽質無水ケイ酸から選択される1種以上と、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとの組み合わせを用いると、打錠粉末の臼杵への付着防止、打錠粉末の流動性確保、圧縮成形物の破断荷重の増強を同時に満たすことができるので好ましい。
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィリンナトリウム、酸化チタン、リボフラビンなどを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、ギリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の固形製剤は、医薬品分野で通常行われる固形製剤の圧縮成形による製造法の何れを用いても製造することができる。例えば、活性成分と溶出制御基剤と、必要により結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤等の成分を均一に混合した後に打錠する直接粉末圧縮法を用いることができる。他の例では、活性成分と必要により溶出制御製剤や結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤等の成分とを湿式造粒、或いは乾式造粒し、得られた顆粒に必要により溶出制御基剤や結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤等の成分を加えて打錠する湿式造粒打錠法や乾式造粒打錠法により製造することができる。
固形製剤の製造法の他の例として、活性成分と、常温で固体であるが40℃以上で液体となる、例えばカルナウバロウ、硬化ヒマシ油、ポリグリセリンなどの脂溶性の物質や、ポリエチレングリコール6000等の親水性高分子とを40℃以上の温度条件で均一となるように混合し、次いで、冷却して固体とし、必要により粉砕処理等を施して粒度を調整した後に圧縮成形する方法も用いることができる。更には、活性成分と溶出制御基剤とがともに溶解する溶媒を用いて溶液とし、或いは適当な溶媒を用いて均一な分散液とし、該溶液或いは分散液を常法により乾燥させ、得られた活性成分と溶出制御基剤との均一な分散体を圧縮成形する方法によっても製造することができる。溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、ベンゼン等の有機溶媒類と水から選択される1種以上を用いることができる。
固形製剤とするための圧縮成形機としては、例えば、静圧プレス機、シングルパンチ打錠機、ロータリー打錠機、多層錠剤成形機、有核打錠等の圧縮機を使用でき、特に制限されない。
また、本発明の効果を損なわない限り、固形製剤それ自体に、活性成分の溶出性の制御や味のマスキングや防湿等の目的でコーティングが施されていても良い。コーティング剤としては、例えばセルロース系コーティング剤(エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテート等)、アクリルポリマー系コーティング剤(オイドラギットRS、オイドラギットL、オイドラギットNE等)、シェラック、シリコン樹脂等から選択される1種以上を用いることができる。これらのコーティング剤の使用方法は公知の方法を用いることができる。コーティング剤は有機溶媒に溶解しても、水に懸濁させて用いてもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例、比較例における各試験法、及び物性の測定方法は以下の通りである。
(1)溶出試験
第14改正日本薬局方に記載の溶出試験法の第一法(回転バスケット法)に準拠する方法で、試験液に日本薬局方記載の第2液(pH6.8、イオン強度0.14、以下、「第2液」と略すことがある)、或いは、Mcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40、組成:リン酸水素二ナトリウム173.9mM、クエン酸13.0mM)を用い、試験液900cm3、バスケット回転数100rpm、試験液温度37±0.5℃の条件で行う。なお、各試験液にはα−アミラーゼ製剤(組成:α−アミラーゼ/炭酸カルシウム/コーンスターチ=5/5/90、AD「アマノ」1、アマノエンザイム株式会社)を90mg加え、α−アミラーゼ含有量を5μg/cm3とする。
(2)粒度分布 32μmより小さい粒子数
JIS篩の目開き32μmを利用し、測定試料5gを5分間エアージェットシーブで篩分した時、篩を通過する測定試料の重量百分率より求める。
(3)粒度分布 75μmより小さい粒子数
JIS篩の目開き75μmを利用し、測定試料10gを5分間エアージェットシーブで篩分した時、篩を通過する測定試料の重量百分率より求める。
(4)粒度分布 平均粒径(μm)
JIS篩目開き500μm、300μm、250μm、212μm、150μm篩を用い、測定試料20gを15分間ロータップ式篩振盪機(平工作所製シーブシェーカーA型)で篩分する。次に、150μm篩を篩過した測定試料5gを、JIS篩目開き75μmを用い、5分間エアージェットシーブで篩分する。更に、150μm篩を篩過した測定試料5gを、JIS篩目開き32μmを用い、5分間エアージェットシーブで篩分する。各篩の篩上重量百分率[%]を求め、累積重量百分率が50%の時の粒子径として求める。
(5)安息角(°)
杉原式安息角測定器(薬剤学27、p.260、1965年)を使用して求める。
(6)見かけ比容積(cm 3 /g)
スコットボリュームメーター(筒井理化学機器株式会社)を用いて測定する。粉体試料を定量フィーダーを用いて2−3分かけて測定容器内に粉体があふれるまで流下させる。次いで容器の上部に堆積した過剰量の粉体をすり落とし、また、容器の側面に付着した試料を除去する。その後、容器に疎充填された粉体重量を量る。測定容器の容積を容器に疎充填された粉体重量で除した値を見かけ比容積とする。
(7)保水量
乾燥した加工澱粉W0(g)(約1g)を、約15cm3の20℃±5℃の純水が入った50cm3遠沈管へ少しずつ入れ、かき混ぜながら透明〜半透明になるまで純水に分散させる。50cm3沈降管の7割程度になるよう20℃±5℃の純水を追加して遠心分離(2000G、10分)する。遠心分離終了後すぐに分離した上層を切り捨てた後、下層に残る重量W(g)(澱粉+澱粉が保持する純水量)から下式(2)により保水量を求める。
保水量(%)=100×(W−W0)/W0・・・・(2)
(8)崩壊時間(hr)
処方粉末0.2gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて50MPaの圧縮力で成形して得られる直径1.13cmの円柱状成形体の試験液中での崩壊時間で定義される。試験液は第14改正日本薬局方に記載の第2液(pH6.8)であり、崩壊試験は第14改正日本薬局方の崩壊試験法に準じ、補助盤を使用して行う。
(9)ゲル押込み荷重(g)
処方粉末0.5gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて50MPaの圧縮力で成形して得られる直径1.13cmの円柱状成形体を20℃±5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、レオメーター(RHEONER、RE−33005、YAMADEN製)を使用し、0.1mm/secの速度で3mm直径の円柱状アダプターを押込んだ時の最大荷重と定義する。最大荷重とはゲル層の破断があれば破断時の、破断がなければアダプターがゲル化した円柱状成形体に5mm侵入するまでに示した最大の荷重値とする。5個の平均値で算出する。
(10)水溶性成分量(%)
加工澱粉1gに20℃±5℃の純水99gを加えてマグネチックスターラーで2時間攪拌して分散させ、得られた分散液の40cm3を50cm3の遠沈管に移し、5000Gで15分間遠心分離し、この上澄液30cm3を秤量瓶に入れ、110℃で一定重量になるまで乾燥して乾燥重量(g)を測定する。また、澱粉1gを110℃で一定重量になるまで乾燥して絶乾重量(g)を測定する。これらの測定値及び下式(3)により求めた値を水溶性成分量と定義する。
水溶性成分(%)=(乾燥重量×100÷30)÷絶乾重量×100 (3)
(11)加工澱粉の膨潤度(cm3/g)
加工澱粉1.0gを20±5℃の純水に分散させて100cm3の沈降管に移し、全量を100cm3とし、16時間放置した後、上下に分かれた下層の容積V(cm3)と加工澱粉1.0gの乾燥重量(g)を測定し、下式(4)より算出する。
加工澱粉の膨潤度(cm3/g)=V/加工澱粉の乾燥重量・・・・・(4)
(12)加温保存条件下のゲル押込み荷重(g)
加工澱粉0.5gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて50MPaの圧縮力で成形して得られる直径1.13cmの円柱状成形体を37℃±0.5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、レオメーター(RHEONER、RE−33005、YAMADEN製)を使用し、0.1mm/secの速度で3mm直径の円柱状アダプターを押込んだ時に最初にピークを与える値と定義して求める。5個の平均値で算出する。
(13)初期の溶出速度と後期の溶出速度の比
処方粉末0.18gを静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPa及び300MPaの圧縮力で成形し、直径8mmφのR形状の錠剤を作製し、第14改正日本薬局方に記載の溶出試験法第一法(回転バスケット法)に準拠する方法で溶出試験を行う。日本薬局方記載の第2液と、McIlvaine液(pH7.2、イオン強度0.40、組成:リン酸水素二ナトリウム173.9mM、クエン酸13.1mMのもの。)とに、それぞれα−アミラーゼを5μg/cm3となるように添加した溶媒の、いずれか一方を試験液として用い、いずれかの試験液900cm3、バスケット回転数100rpm、試験液温度37±0.5℃の条件で溶出試験を行う。
試験開始後30分経過時及び活性成分が90%以上溶出するまでの1時間経過毎に、試験液をサンプリングして活性成分の溶出率を求め、得られたデータから活性成分がそれぞれ20、40、70、90%溶出するのに要する時間を算出する。活性成分を20%溶出するのに要する時間は、活性成分の溶出率が20%となる前後のサンプリング時間とその時の溶出率をグラフにプロットして直線で結び、溶出率20%に相当する溶出時間を直線上の点として割り返す方法で求める。同様にして、活性成分を40%、70%、90%溶出するのに要する時間は、活性成分の溶出率がそれぞれ40%、70%、90%となる前後のサンプリング時間とその時の溶出率をそれぞれグラフにプロットして直線で結び、溶出率40%、70%、90%に相当する溶出時間をそれぞれ直線上の点として割り返す方法で求める。このように得られたデータに基づいて、初期の溶出速度:M20-40%と後期の溶出速度:M20-40%を求め、初期の溶出速度と後期の溶出速度の比(M20-40%/M20-40%)を求める。
[比較製造例1]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)後、加圧蒸気(120℃)にて20分処理したものを原料とし、固形分濃度7.5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度100℃)させ、3L容器の滞留管(100℃)を連続的に通過した後噴霧乾燥して加工澱粉Cを得た。加工澱粉Cの基礎物性を表2に示した(特許文献7の実施例6に相当)。
[実施例1]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)後、加圧蒸気(120℃)にて20分湿熱処理したものを原料とし、固形分濃度7.5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度100℃)し、噴霧乾燥した後、分級機を内蔵したピン型ミルを用いて粉砕・分級処理を行い加工澱粉Aを得た。加工澱粉Aの基礎物性を表2に示した。また、加工澱粉Aを150〜500μm、75〜150μm、32〜75μm、0−32μmの粒度毎に分画し、それぞれ加工澱粉の膨潤度、加温保存条件下のゲル押込み荷重値を測定した結果を表1に示した。また、加工澱粉の膨潤度測定条件において、16時間放置した後の加工澱粉の膨潤状態を上下に分かれた層を均一に再分散した後に光学顕微鏡で観察し、図1〜2に示した。
得られた加工澱粉Aと、疎水性助剤としての硬化ヒマシ油(カスターワックス、日本油脂株式会社製)と、親水性助剤としてのポリエチレングリコール(マクロゴール6000、三洋化成工業株式会社製)と、活性成分としてのアセトアミノフェン(エーピーアイコーポレーション社製)とを、30/20/5/45の重量比になるように均一に混合し、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの錠剤を得た。また、別途同様にして、上記の混合物を300MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの同様な錠剤を得た。
120MPaの圧縮成形圧で得られた錠剤と、日本薬局方記載の第2液(pH6.8、イオン強度0.14)にα−アミラーゼを5μg/cm3となるように添加した試験液とを用いて溶出試験を行い、アセトアミノフェンの溶出パターンを測定した。また、試験液を日本薬局方記載の第2液からMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)に変更した以外は同様にして、アセトアミノフェンの溶出パターンを測定した。さらに、300MPaの圧縮成形圧で得られた錠剤を、日本薬局方記載の第2液を用い、α−アミラーゼを5μg/cm3となるように添加して、アセトアミノフェンの溶出パターンを測定した。
溶出試験の結果を図7に、初期の溶出速度と後期の溶出速度の比を表3に示した。加工澱粉Aを溶出制御基剤とし、疎水性助剤として硬化ヒマシ油を配合して作製した徐放性固形製剤は、試験液のイオン強度や圧縮成形圧に影響を受けることなく安定した0次溶出を示した。
[比較例1]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)後、加圧蒸気(120℃)にて20分湿熱処理したものを原料とし、固形分濃度7.5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度115℃)させた後、噴霧乾燥して加工澱粉Bを得た(特許文献7の実施例5に相当)。加工澱粉Bの基礎物性を表2に示した。
得られた加工澱粉Bを加工澱粉Aに代えて用いた以外は、実施例1と同様の方法で錠剤を作製し、溶出試験を行い、結果を図8に示した。
加工澱粉Bを溶出制御基剤に用いた徐放性錠剤は、疎水性助剤として硬化ヒマシ油を配合したにも関わらず、測定開始から5時間経過辺りから、圧縮成形圧や試験液により異なるえ溶出性を示した。
[比較例2]
実施例1で得られた加工澱粉Aとポリエチレングリコール(マクロゴール6000、三洋化成工業株式会社製)とアセトアミノフェン(エーピーアイコーポレーション社製)とを50/5/45の重量比になるように均一に混合し、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPa、及び300MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの錠剤を得た(実施例1と比較して硬化ヒマシ油を配合しない処方)。
得られた錠剤を、実施例1と同様の方法で溶出試験を行い、結果を図9に示した。実施例1と同様に加工澱粉Aを溶出制御剤に用いたが、疎水性助剤を配合していない徐放性錠剤は、測定開始から5時間経過辺りから、圧縮成形圧によって溶出速度に違いが生じる結果となった。
[比較例3]
加工澱粉Aの代わりに加工澱粉Bを用いた以外は、比較例2と同様の方法で錠剤を作製し、溶出試験を行い、結果を図10に示した。加工澱粉Bを溶出制御剤に用い、疎水性助も配合しない比較例3の錠剤は、活性成分の溶出が著しく速くなったうえ、圧縮成形圧や試験液によって溶出速度が異なる結果となった。
[実施例2]
実施例1で得られた加工澱粉Aと、疎水性助剤としてのカルナウバロウ(野田ワックス社製)と、ポリエチレングリコール(マクロゴール6000、三洋化成工業株式会社製)とアセトアミノフェン(エーピーアイコーポレーション社製)とを、40/10/10/40の重量比になるように均一に混合し、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤を得た。
得られた固形製剤を、日本薬局方記載の第2液(pH6.8、イオン強度0.14)を用い、α−アミラーゼを5μg/cm3となるように添加して溶出試験を行い、結果を図11に示した。安定した0次溶出を示した。
[実施例3]
実施例1で得られた加工澱粉Aと、結晶セルロース(「セオラス」KG−802、旭化成ケミカルズ株式会社製)と、疎水性助剤としてのセチルアルコール(和光純薬工業株式会社製)と、ポリエチレングリコール(マクロゴール6000、三洋化成工業株式会社製)とアセトアミノフェン(エーピーアイコーポレーション社製)とを、40/10/10/20/20の重量比になるように均一に混合し、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤を得た。
得られた錠剤を、日本薬局方記載の第2液(pH6.8、イオン強度0.14)を用い、α−アミラーゼを5μg/cm3となるように添加して溶出試験を行い、結果を図11に示した。安定した0次溶出を示した。
[実施例4]
実施例1で得られた加工澱粉Aと、疎水性助剤としてのエチルセルロース(ダウケミカルズ社製)と、アセトアミノフェン(エーピーアイコーポレーション社製)とを、40/40/20の重量比になるように均一に混合し、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの錠剤を得た。
得られた錠剤を、日本薬局方記載の第2液(pH6.8、イオン強度0.14)を用い、α−アミラーゼを5μg/cm3となるように添加して溶出試験を行い、結果を図11に示した。安定した0次溶出を示した。
[比較例4]
加工澱粉Aの代わりにヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ90SH−100SR、信越化学工業株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で錠剤を作製し、溶出試験を行って、結果を図12に示した。また、初期の溶出速度と後期の溶出速度の比を表3に示した。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの基礎物性を表2に示した。ヒドロキシプロピルメチルセルロースを溶出制御基剤に用いて作製した錠剤は、高イオン強度条件(イオン強度0.40)では試験開始後間もなく錠剤が崩壊してしまい、活性成分の全量が溶出してしまった。
[比較例5]
加工澱粉Aの代わりにキサンタンガム(太陽化学株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で錠剤を作製し、溶出試験を行って結果を図13に示した。また、初期の溶出速度と後期の溶出速度の比を表3に示した。また、キサンタンガムの基礎物性を表2に示した。キサンタンガムを溶出制御基剤に用いて作製した錠剤は、溶出後期に溶出速度が低下してしまい0次溶出を示さなかった。
[比較例6]
加工澱粉Aの代わりにオイドラギットRSPO(デグサ社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で錠剤を作製し、溶出試験を行い、結果を図14に、初期の溶出速度と後期の溶出速度の比を表3に示した。また、オイドラギットRSPOの基礎物性を表2に示した。オイドラギットRSPOを溶出制御基剤に用いて作製した錠剤は、溶出後期に溶出速度が低下してしまい0次溶出とならず、また、圧縮成形圧に依存して溶出速度が大きく変動してしまった。