以上のようにヒートポンプを利用した浴室等の換気空調装置は、様々な形態のものが提案されている。特許文献1および特許文献2に例示される両者の換気空調装置は、冷凍サイクルの蒸発器で冷却除湿されてから凝縮器で加熱された循環空気によって室内および衣類を乾燥させるものである。特許文献1は空気に対して吸熱する側の熱交換器(蒸発器)と放熱する側の熱交換器(凝縮器)とが単一の装置内に一体となった形態であり、特許文献2はそれら両者が室内機側と室外機側に分離した形態となっている。それぞれ形態は異なる換気空調装置ではあるが、いずれの場合も循環空気の除湿工程で発生した結露水が貯水部に貯留された後、排水ポンプにより装置外へと排水される構成となっている。しかしこのような構成における排水では貯水部に貯留した結露水を完全に排水することは非常に困難であり、必然的に貯水部には結露水が残存してしまうため、この残存した結露水がカビや雑菌、異臭の発生源となってしまうといった課題や、カビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞するといった課題があった。
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、運転後に貯水部を乾燥させることで、カビや雑菌、異臭の発生を抑制し、更にはカビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞することを抑制することのできる浴室換気空調装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明が講じた第一の解決手段は、浴室内の空気を吸引する吸込口と、前記吸込口から吸引した空気を送風する循環送風路と、前記浴室内の空気を吸引または送風する循環ファンと、前記浴室内に空気を吹出する吹出口で構成された循環送風経路と、前記浴室以外の室内空間に開口した排気口から空気を吸引して室外に排気することで換気を行う換気用ファンを備えた換気送風経路と、冷媒を圧縮する圧縮機と前記循環送風経路内に設けられた第一熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と前記換気送風経路内に設けられた第二熱交換器の順に冷媒が循環するように配管接続された冷媒回路で構成された換気空調装置において、前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の下部に設けられた結露水を貯留するための貯水部での貯留水の残存を防止するための貯留水残存防止手段と微細水滴を発生する微細水滴発生部と空気を送風する微細水滴発生部シロッコファンを備え、前記微細水滴発生部により発生する微細水滴を含む加湿空気が前記微細水滴発生部シロッコファンにより前記循環送風路に供給され、微細水滴発生時の余剰水は前記貯水部に向かい、前記貯水部より貯留水を排水し、前記貯留水残存防止手段により前記貯水部を乾燥させるものである。
この手段により、貯水部に貯留水が残存する状態を防止し、カビや雑菌、異臭の発生を抑制し、更にはそれらカビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞することを抑制することのできる換気空調装置が得られる。貯水部に貯留された貯留水を完全に排水することは困難であり、排水後には排水しきれなかった貯留水が貯水部の表面部に残留してしまう。その残留した水分はそのまま放置しておくとカビや雑菌、異臭の発生原となるため貯水部を乾燥させる貯留水残存防止手段を備える必要がある。
また、本発明が講じた第二の解決手段は、貯水部に残存した貯留水を乾燥させるための装置内乾燥運転を行うこととしたものである。
この手段により、貯水部を乾燥させることで、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止し、カビや雑菌、異臭の発生を抑制し、更にはそれらカビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞することを抑制することのできる換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第三の解決手段は、浴室内の空調運転終了後に装置内乾燥運転を実行することとしたものである。
この手段により、運転後の装置内に多量の結露水が残存している状態のまま放置することなく直ぐに貯水部を乾燥させることで、カビや雑菌、異臭の発生を抑制することのできる換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第四の解決手段は、予め設定された期間を過ぎると装置内乾燥運転を実行することとしたものである。
この手段により、長期間使用していない状態において極少量ながらも蓄積している貯水部の汚れや雑菌、カビなどに関しても定期的に装置内乾燥運転することで対処することができ、カビや雑菌、異臭の発生を抑制することのできる換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第五の解決手段は、湿度を検知する湿度センサを備え、装置停止状態において、装置内に設けられた湿度センサがある設定値を超えると自動的に装置内乾燥運転を実行することとしたものである。
この手段により、浴槽への湯張りやシャワー入浴時の蒸気により装置内に発生した貯水部の結露水に関しても、貯水部を乾燥させることで、カビや雑菌、異臭の発生を抑制することのできる換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第六の解決手段は、使用者が任意に装置内乾燥運転を実行することができる装置内乾燥運転モードを有することとしたものである。
この手段により、使用者が気になった状態時に任意に装置内を乾燥させることで、カビや雑菌、異臭の発生を抑制することのできる換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第七の解決手段は、貯水部乾燥手段が加熱を利用した手段であることとしたものである。
この手段により、貯水部に残存する結露水に対して、熱による蒸発を促進した乾燥が可能となるため、空気の流通では届き難い箇所に残存した結露水に関しても十分に乾燥させることが可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第八の解決手段は、貯水部近傍に熱源としてヒータを備えて、前記貯水部を乾燥する加熱手段として用いることとしたものである。
この手段により、貯水部において乾燥しにくい箇所の近傍にヒータを設置することで、効率の良い貯水部の乾燥が可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第九の解決手段は、冷媒回路中に冷媒の循環方向を逆転させる四方弁を設けることで、熱交換器の吸熱側と放熱側を切り換えることで、前記熱交換器を加熱手段として用いることとしたものである。
この手段により、新たな熱源となる構成部品を設置する必要が無くなり、冷媒回路中に冷媒の循環方向を逆転させる弁を設ける対処のみで、貯水部を乾燥する加熱手段として熱交換器を用いることが可能となり、この熱交換器からの放熱により貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第十の解決手段は、冷媒回路中に設置された冷媒を膨張させる膨張機構を弁による構成とし、弁の開度を調整することで第二熱交換器を通過する冷媒の温度を上昇させることで、前記第二熱交換器を加熱手段として用いることとしたものである。
この手段により、新たな熱源となる構成部品を設置する必要が無くなり、冷媒を膨張させる膨張弁の開度調整のみで貯水部を乾燥する加熱手段として、第二熱交換器を用いることが可能となり、この熱交換器からの放熱により貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第十一の解決手段は、貯水部自体に加熱手段を備えることとしたものである。
この手段により、貯水部自体を加熱することで空気の流通では届き難い箇所に残存した結露水に関しても、効率の良い貯水部の乾燥が可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第十二の解決手段は、貯水部乾燥手段が送風機を用いた送風手段であることとしたものである。
この手段により、乾燥のための新たな構成部品を必要とせず、空気の循環経路を考慮するのみで貯水部の乾燥を行うことが可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。また、加熱手段による乾燥において発生する水分が蒸発する際の臭気や、残存する水分中のスケール成分の付着といった問題を回避することが可能な換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第十三の解決手段は、貯水部に貯留する貯留水を排水する排水経路へと誘導する流れとなるべく、前記貯水部に沿って空気を流通させ前記排水経路へと向かう方向の流れとすることとしたものである。
この手段により、貯留水を排水口へと効率良く誘導することが可能となるため、乾燥時間の短縮を図ることが可能となり、貯水部に貯留水が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。送風による乾燥においては、貯水部に沿って流通する送風空気と貯留水が気液接触をすることで空気が水蒸気を含み、貯水部の水分を奪っていくことで乾燥するのだが、貯水部に残存する貯留水が少なければ少ないほど乾燥効率が良いのは明らかである。そのため、貯水部に沿って流通する送風空気は排水経路へと向かう方向の流れとすることで、貯水部に留まる貯留水を排水経路に誘導することで、貯水部への貯留水の残存量を軽減することとする。
また、本発明が講じた第十四の解決手段は、換気用ファンを運転させることで、浴室以外の室内空間に開口した排気口から室外に乾燥対象となる貯水部に沿って空気を通風させることで前記貯水部を乾燥させることとしたものである。
この手段により、暖房運転時と同様の空気流通経路といった簡易的な構成での貯水部の乾燥が可能となる。また、貯水部に沿って流通する空気が浴室以外の室外空間であるため、安定した温湿度の空気を貯水部に沿って流通させることが可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第十五の解決手段は、換気用ファンを運転させることで、浴室内の空気を吸引する吸込口から室外に乾燥対象となる貯水部に沿って空気を通風させることで前記貯水部を乾燥させることとしたものである。
この手段により、例えば浴室内を暖房運転した後の装置内乾燥運転であれば、貯水部に沿って流通させる空気は高温低湿であるため、乾燥時間の短縮化を図ることが可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第十六の解決手段は、貯水部に空気を流通させた際の吹きこぼれを防止するためのリブを前記貯水部に設けたものである。
この手段により、貯水部に流通させる空気の風速が速くて貯留水が貯水部より流出しそうになった場合においても、リブにより吹きこぼれを防止することが可能となるため、貯水部に風速の速い空気を流通させることで貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第十七の解決手段は、貯水部の貯水面に、排水口へと誘導する方向にリブを設けることとしたものである。
この手段により、貯留水を排水口へと効率良く誘導することが可能となるため、乾燥時間の短縮を図ることが可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第十八の解決手段は、貯水部に紫外線を照射するための紫外線照射手段を設けることとしたものである。
この手段により、紫外線の持つ殺菌効果により照射する量や時間を考慮することで幅広い種類の菌に対応することが可能となり、一旦発生してしまった菌に対しても増殖を抑制するといった対処をすることが可能となり、カビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞することを抑制することのできる換気空調装置が得られる。
また、本発明が講じた第十九の解決手段は、貯水部を構成する材料として抗菌作用を持つ物質を添加した材料を用いることとしたものである。
この手段により、新たな構成部品や運転動作を行うことなく、菌の発生や増殖を抑制することが可能となり、カビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞することを抑制することのできる換気空調装置が得られる。
本発明の換気空調装置によれば、運転後に貯水部を乾燥させることで、カビや雑菌、異臭の発生を抑制し、更にはそれらカビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞することを抑制することができる。
本発明の請求項1記載の発明は、浴室内の空気を吸引する吸込口と、前記吸込口から吸引した空気を送風する循環送風路と、前記浴室内の空気を吸引または送風する循環ファンと、前記浴室内に空気を吹出する吹出口で構成された循環送風経路と、前記浴室以外の室内空間に開口した排気口から空気を吸引して室外に排気することで換気を行う換気用ファンを備えた換気送風経路と、冷媒を圧縮する圧縮機と前記循環送風経路内に設けられた第一熱交換器と冷媒を膨張させる膨張機構と前記換気送風経路内に設けられた第二熱交換器の順に冷媒が循環するように配管接続された冷媒回路で構成された換気空調装置において、前記第一熱交換器と前記第二熱交換器の下部に設けられた結露水を貯留するための貯水部での貯留水の残存を防止するための貯留水残存防止手段と微細水滴を発生する微細水滴発生部と空気を送風する微細水滴発生部シロッコファンを備え、前記微細水滴発生部により発生する微細水滴を含む加湿空気が前記微細水滴発生部シロッコファンにより前記循環送風路に供給され、微細水滴発生時の余剰水は前記貯水部に向かい、前記貯水部より貯留水を排水し、前記貯留水残存防止手段により前記貯水部を乾燥させるものであり、この手段により、貯水部に貯留水が残存する状態を防止し、カビや雑菌、異臭の発生を抑制し、更にはそれらカビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞することを抑制することができる。貯水部に貯留された貯留水を完全に排水することは困難であり、排水後には排水しきれなかった貯留水が貯水部の表面部に残留してしまう。その残留した水分はそのまま放置しておくとカビや雑菌、異臭の発生原となるため貯水部を乾燥させる貯留水残存防止手段を備える必要がある。
本発明の請求項2記載の発明は、貯水部に残存した貯留水を乾燥させるための装置内乾燥運転を行うこととしたものであり、この手段により、貯水部を乾燥させることで、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止し、カビや雑菌、異臭の発生を抑制し、更にはそれらカビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞することを抑制することができる。
本発明の請求項3記載の発明は、浴室内の空調運転終了後に装置内乾燥運転を実行することとしたものであり、この手段により、運転後の装置内に多量の結露水が残存している状態のまま放置することなく直ぐに貯水部を乾燥させることで、カビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項4記載の発明は、予め設定された期間を過ぎると装置内乾燥運転を実行することとしたものであり、この手段により、長期間使用していない状態において極少量ながらも蓄積している貯水部の汚れや雑菌、カビなどに関しても定期的に装置内乾燥運転することで対処することができ、カビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項5記載の発明は、湿度を検知する湿度センサを備え、装置停止状態において、装置内に設けられた湿度センサがある設定値を超えると自動的に装置内乾燥運転を実行することとしたものであり、この手段により、浴槽への湯張りやシャワー入浴時の蒸気により装置内に発生した貯水部の結露水に関しても、貯水部を乾燥させることで、カビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項6記載の発明は、使用者が任意に装置内乾燥運転を実行することができる装置内乾燥運転モードを有することとしたものであり、この手段により、使用者が気になった状態時に任意に装置内を乾燥させることで、カビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項7記載の発明は、貯水部乾燥手段が加熱を利用した手段であることとしたものであり、この手段により、貯水部に残存する結露水に対して、熱による蒸発を促進した乾燥が可能となるため、空気の流通では届き難い箇所に残存した結露水に関しても十分に乾燥させることが可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項8記載の発明は、貯水部近傍に熱源としてヒータを備えて、前記貯水部を乾燥する加熱手段として用いることとしたものであり、この手段により、熱交換器通過後の空気の温湿度環境を即時に検知することができるため、熱交換器の乾燥度合いを制御することが可能となる。また、この手段により、貯水部において乾燥しにくい箇所の近傍にヒータを設置することで、効率の良い貯水部の乾燥が可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項9記載の発明は、冷媒回路中に冷媒の循環方向を逆転させる四方弁を設けることで、熱交換器の吸熱側と放熱側を切り換えることで、前記熱交換器を加熱手段として用いることとしたものであり、この手段により、新たな熱源となる構成部品を設置する必要が無くなり、冷媒回路中に冷媒の循環方向を逆転させる弁を設ける対処のみで、貯水部を乾燥する加熱手段として熱交換器を用いることが可能となり、この熱交換器からの放熱により貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項10記載の発明は、冷媒回路中に設置された冷媒を膨張させる膨張機構を弁による構成とし、弁の開度を調整することで第二熱交換器を通過する冷媒の温度を上昇させることで、前記第二熱交換器を加熱手段として用いることとしたものであり、この手段により、新たな熱源となる構成部品を設置する必要が無くなり、冷媒を膨張させる膨張弁の開度調整のみで貯水部を乾燥する加熱手段として、第二熱交換器を用いることが可能となり、この熱交換器からの放熱により貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項11記載の発明は、貯水部自体に加熱手段を備えることとしたものであり、この手段により、貯水部自体を加熱することで空気の流通では届き難い箇所に残存した結露水に関しても、効率の良い貯水部の乾燥が可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項12記載の発明は、貯水部乾燥手段が送風機を用いた送風手段であることとしたものであり、この手段により、乾燥のための新たな構成部品を必要とせず、空気の循環経路を考慮するのみで貯水部の乾燥を行うことが可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能な換気空調装置が得られる。また、加熱手段による乾燥において発生する水分が蒸発する際の臭気や、残存する水分中のスケール成分の付着といった問題を回避することができる。
本発明の請求項13記載の発明は、貯水部の貯留水の残存量を軽減するように、貯水部に貯留する貯留水を排水する排水経路へと誘導する流れとなるべく、前記貯水部に沿って空気を流通させ前記排水経路へと向かう方向の流れとすることとしたものであり、この手段により、貯留水を排水口へと効率良く誘導することが可能となるため、乾燥時間の短縮を図ることが可能となり、貯水部に貯留水が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。送風による乾燥においては、貯水部に沿って流通する送風空気と貯留水が気液接触をすることで空気が水蒸気を含み、貯水部の水分を奪っていくことで乾燥するのだが、貯水部に残存する貯留水が少なければ少ないほど乾燥効率が良いのは明らかである。そのため、貯水部に沿って流通する送風空気は排水経路へと向かう方向の流れとすることで、貯水部に留まる貯留水を排水経路に誘導することで、貯水部への貯留水の残存量を軽減することとする。
本発明の請求項14記載の発明は、換気用ファンを運転させることで、浴室以外の室内空間に開口した排気口から室外に乾燥対象となる貯水部に沿って空気を通風させることで前記貯水部を乾燥させることとしたものであり、この手段により、暖房運転時と同様の空気流通経路といった簡易的な構成での貯水部の乾燥が可能となる。また、貯水部に沿って流通する空気が浴室以外の室外空間であるため、安定した温湿度の空気を貯水部に沿って流通させることが可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項15記載の発明は、換気用ファンを運転させることで、浴室内の空気を吸引する吸込口から室外に乾燥対象となる貯水部に沿って空気を通風させることで前記貯水部を乾燥させることとしたものであり、この手段により、例えば浴室内を暖房運転した後の装置内乾燥運転であれば、貯水部に沿って流通させる空気は高温低湿であるため、乾燥時間の短縮化を図ることが可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項16記載の発明は、貯水部に空気を流通させた際の吹きこぼれを防止するためのリブを前記貯水部に設けたものであり、この手段により、貯水部に流通させる空気の風速が速くて貯留水が貯水部より流出しそうになった場合においても、リブにより吹きこぼれを防止することが可能となるため、貯水部に風速の速い空気を流通させることで貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項17記載の発明は、貯水部の貯水面に、排水口へと誘導する方向にリブを設けることとしたものであり、この手段により、貯留水を排水口へと効率良く誘導することが可能となるため、乾燥時間の短縮を図ることが可能となり、貯水部に結露水等の水分が残存する状態を防止することでカビや雑菌、異臭の発生を抑制することができる。
本発明の請求項18記載の発明は、貯水部に紫外線を照射するための紫外線照射手段を設けることとしたものであり、この手段により、紫外線の持つ殺菌効果により照射する量や時間を考慮することで幅広い種類の菌に対応することが可能となり、一旦発生してしまった菌に対しても増殖を抑制するといった対処をすることが可能となり、カビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞することを抑制することができる。
本発明の請求項19記載の発明は、貯水部を構成する材料として抗菌作用を持つ物質を添加した材料を用いることとしたものであり、この手段により、新たな構成部品や運転動作を行うことなく、菌の発生や増殖を抑制することが可能となり、カビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路に発生することで排水口が閉塞することを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照しながら説明する。
まず本発明における換気空調装置が設置される居住空間について説明する。
図1は本発明の実施の形態1における換気空調装置が設置される居住空間の見取り図である。図1において、居住空間1は、リビング2、浴室3、脱衣室4、トイレ5などに区画されており、浴室3の天井裏には、換気空調装置6が設置されている。この換気空調装置6には、換気空調装置6と屋外を連通する屋外排気ダクト7、脱衣室4の天井に開口した排気口A8と換気空調装置6とを連通する排気ダクトA9およびトイレ5の天井に開口した排気口B10と換気空調装置6とを連通する排気ダクトB11が接続されている。また、換気空調装置6内部には換気用シロッコファン12が配設されており、屋外と換気空調装置6を連通する屋外排気ダクト7は換気用シロッコファン12の吹出側に接続され、脱衣室4と換気空調装置6を連通する排気ダクトA9およびトイレ5と換気空調装置6を連通する排気ダクトB11は換気用シロッコファン12の吸込側に接続されている。
したがって換気用シロッコファン12を運転すると、排気口A8および排気口B10から排気ダクトA9および排気ダクトB11を通じて脱衣室4およびトイレ5の空気が換気用シロッコファン12に吸い込まれ、屋外排気ダクト7を通じて屋外に排出される。そして換気用シロッコファン12を連続運転すると居住空間1内が負圧になるため、リビング2の屋外に面した壁に開口した給気口13から新鮮な外気が給気されて居住空間1が換気されることになる。この換気運転は建物の気密性が高い場合は連続して行う必要があるため(24時間換気)、換気用シロッコファン12は所定の換気量、例えば一時間で居住空間1の約半分の容積に相当する換気量を確保するように連続運転を行う。また、リビング2には部屋の温度をコントロールするための空調機14が設置されており、夏場は冷房運転、冬場は暖房運転を行って室温を適正に保持している。したがって前述したように年間を通じて連続した換気運転を行っていると、夏場はリビング2において空調機14で冷房された低温の空気、冬場は空調機14で暖房された高温の空気が脱衣室4のドアA15およびトイレ5のドアB16のガラリやアンダーカット部分を通じて排気口A8および排気口B10に吸い込まれ、換気空調装置6を介して屋外に排出されることになる。
図2は、本発明の実施の形態における換気空調装置の概略構成を示す概略図である。図に示すようにこの換気空調装置6は、外郭を形成する外装体17およびフロントパネル18、外装体17内に設けられた循環送風経路19、換気送風経路20および冷媒回路21、外装体17の一面に設けられ、換気送風経路20と連通する開口部22に接続された換気ユニット23、またこれらを制御する制御装置24から構成されている。以下にそれぞれの具体的な構成について記す。
図3に示すように外装体17の浴室側一面を形成するフロントパネル18は、浴室3内の空気を吸込むための吸込口25、浴室内循環空気を外装体17の外部に吹出すための吹出口26を備えている。また、吸込口25の外装体17側にはフィルタ27を備えており、浴室内空気を循環させる際に微細な塵や埃の侵入を防止する構造となっている。また、吹出口26部には加熱された空気の吹出方向を可変させるための吹出口ルーバ28が設けられており、吹出口ルーバ28は制御装置24(図3中には図示せず)に接続された吹出口ルーバ駆動用モータ29により自在に稼動することで任意の方向に吹出方向を可変させることができる。
図4に示す換気ユニット23は、制御装置24(図4中には図示せず)により回転数を自在に変更可能な換気ファン駆動用モータ30に接続された換気用シロッコファン12の吸込側に接続され、脱衣室4と連通している排気ダクトA9に連結する浴室外側吸込口A31およびトイレ5と連通している排気ダクトB11に連結する浴室外側吸込口B32、換気用シロッコファン12の吹出側に接続され、屋外へ連通している屋外排気ダクト7に連結する浴室外側吹出口33から構成されている。また、外装体17との接続面には換気ユニット側吸込口34と連結する外装体側吹出口35と換気ユニット側吹出口36と連結する外装体側吸込口37が設けられており、換気用シロッコファン12の吸込側に外装体側吸込口37を備え、外装体17内の換気送風路(図4中には図示せず)を介して外装体側吹出口35を備える風路構成となっている。
浴室外側吸込口A31および浴室外側吸込口B32から吸引した空気を外装体17内に流通させることなく換気する場合には、外装体側吸込口37部に備えられた外装体側吸込部ダンパ38および外装体側吹出口35部に備えられた外装体側吹出部ダンパ39を閉塞した風路構成に設定し、換気用シロッコファン12を運転する。他室より吸引した空気を外装体17を介して排気する場合には、外装体側吸込口37部に備えられた外装体側吸込部ダンパ38および外装体側吹出口35部に備えられた外装体側吹出部ダンパ39を開口した風路構成に設定し、換気用シロッコファン12を運転する。換気量の調整は各ダンパの開口面積の変更及び換気用シロッコファン12の回転数制御により行い、これらの組み合わせにより必要とする換気量を実現するものとする。
図5は本発明の実施の形態における換気空調装置の風路構成図及び冷媒回路図である。図に示すように外装体17内には、フロントパネル18の吸込口25および吹出口26を連結する図中に黒矢印で示す循環送風路40が設けられており、循環送風路40内に備えられた、制御装置24(図5中には図示せず)により回転数を自在に変更可能な循環ファン駆動用モータ41に接続された送風手段としての循環用シロッコファン42が回転することで循環送風路40内に空気を送風する。外装体17の換気ユニット23連結側の面には換気ユニット側吸込口34および換気ユニット側吹出口36を形成しており、それぞれ換気ユニット23側の外装体側吹出口35、外装体側吸込口37と連結する構成となっているため、換気ユニット23に備えられた換気用シロッコファン12を起動させることにより、換気ユニット側吸込口34と換気ユニット側吹出口36を連通する図中に白矢印で示す換気送風路43内に空気を送風する。また、外装体17内には風路構成を可変するためのダンパが複数設けられており、運転動作に沿った風路構成になるべく各ダンパを所望の開度に開閉することとする。
また、外装体17内部に、冷媒として例えば、HCFC系冷媒(分子中に塩素、水素、フッ素、炭素の各原子を含む)、HFC系冷媒(分子中に水素、炭素、フッ素の各原子を含む)、炭化水素、二酸化炭素等の自然冷媒などの何れかを充填した冷媒回路21を形設しており、この冷媒回路21中に、冷媒を圧縮する圧縮機44、供給空気と冷媒とを熱交換させる第一熱交換器45、冷媒を膨張させる電子式膨張弁からなる膨張機構46、供給空気と冷媒とを熱交換させる第二熱交換器47を介設している。この冷媒回路21中を、圧縮機44で圧縮された冷媒が第一熱交換器45、膨張機構46、第二熱交換器47の順に流れて再び圧縮機44に戻る。また、この冷媒回路21には、圧縮機44で圧縮された冷媒が第一熱交換器45、膨張機構46、第二熱交換器47の順に流れて再び圧縮機44に戻る経路(以下、順サイクル)と、圧縮機44で圧縮された冷媒が第二熱交換器47、膨張機構46、第一熱交換器45の順に流れて再び圧縮機44に戻る経路(以下、逆サイクル)とを切り換えるための四方弁からなる流路切換弁48が介設されている。
次に換気空調装置の各運転動作について順に説明する。
まず始めに換気運転時の動作に関して説明する。換気運転は居住空間1の必要換気量を確保するために24時間連続して運転を実行する動作であり、この運転時は換気用シロッコファン12を必要換気量が確保可能な程度の低回転数で運転し、その際の風路構成は図6に示すように風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を開放、風路構成ダンパC51を開放、外装体側吸込部ダンパ38を開放、外装体側吹出部ダンパ39を閉鎖で設定することにより、浴室3内の空気を屋外排気ダクト7より屋外に排気する。この際に、外装体側吹出部ダンパ39を開放することで換気ユニット23と連通している脱衣室4やトイレ5の換気も同時に行うことが可能となり、この排出量に相当する新鮮な外気がリビング2に開口した給気口13から取り入れられて排出空気と入れ替わることにより居住空間1の換気が行われることとなる。
次に浴室3内暖房運転時の動作に関して説明する。暖房運転は、冬場等の気温の低い季節において、入浴前に浴室3内を暖房しておくことでヒートショックを軽減する入浴前予備暖房の目的や、浴室3の洗い場で体を洗う際に入浴者が寒さを感じずに快適に入浴できるように暖房する場合に実行する動作である。
その際の風路構成は、図7に示すように風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を開放、風路構成ダンパC51を閉鎖、外装体側吸込部ダンパ38を開放、外装体側吹出部ダンパ39を開放で設定することにより、第一熱交換器45は、循環送風路40内に配設され、第二熱交換器47は換気送風路43内に配設される。このため、圧縮機44を順サイクル運転させることで冷媒回路21内の冷媒を循環させ、換気用シロッコファン12を運転することにより換気送風路43を通過する空気に対して第二熱交換器47において冷媒が吸熱を行い、循環用シロッコファン42を運転することにより循環送風路40を介して浴室3内を循環する空気に対して第一熱交換器45において冷媒が放熱を行う。この放熱により空気が加熱されて吹出口26から浴室3内に吹出す。このような運転動作を行うことにより高温の空気を吹出すことが可能となり、浴室3内の温度が上昇することで浴室3内を暖房することができる。
また、冬場の外気温が非常に低い条件では、換気用シロッコファン12により第二熱交換器47に供給される脱衣室4およびトイレ5の空気の温度も低くなるため、上述した暖房運転実行中に第二熱交換器47に霜が付着する着霜現象が生じる。この着霜状態を放置しておくと第二熱交換器47における吸熱能力の低下に伴い、第一熱交換器45の放熱量が減少して浴室3が十分に暖房できないという問題が発生する。このような問題を抑制するため、暖房運転中に第二熱交換器47の冷媒配管の温度を監視し、その温度が所定値以下に低下した段階で第二熱交換器47に付着した霜を除去する除霜運転を実行する必要がある。
その除霜運転時の運転動作について次に説明する。暖房運転中の除霜運転を実行する場合は、まず循環用シロッコファン42と換気用シロッコファン12の両者の運転を停止し、流路切換弁48の設定を順サイクルから逆サイクルに切り換える。この設定を行うことにより、圧縮機44で圧縮された高温高圧の冷媒が逆サイクル側に切り換えられた流路切換弁48を通り第二熱交換器47に導かれる。この高温冷媒が第二熱交換器47の冷媒配管を流れることにより配管温度が上昇し表面に付着した霜が溶解する。溶解した霜は結露水52となり貯水部53に滴下し貯留する。一方、第二熱交換器47で放熱して霜を溶かした冷媒は、膨張機構46、第一熱交換器45を順に流れて圧縮機44に戻り冷媒回路21を循環する。この除霜運転を継続することにより第二熱交換器47に付着した霜が溶けきり配管温度が上昇していく。この配管温度を継続的に監視し、配管温度が所定値以上(例えば3℃)に上昇した段階で除霜運転から暖房運転に再び切り換えることとする。これにより低温時の極端な加熱能力低下を抑制して十分な予備暖房を行うことが可能となる。なお、この除霜運転は暖房運転中のみの対策といった訳ではなく、各運転動作において第二熱交換器47に霜が付着した際には、この動作を運転することで課題を解決することができる。
次に浴室3内除湿運転時の動作に関して説明する。除湿運転は、入浴後等にカビ抑制のため浴室3を除湿する場合や、浴室3内に洗濯物を干して乾かす衣類乾燥を行う場合に実行する動作である。
その際の風路構成は、図8に示すように風路構成ダンパA49を開放、風路構成ダンパB50を閉鎖、風路構成ダンパC51を開放、外装体側吸込部ダンパ38を閉鎖、外装体側吹出部ダンパ39を閉鎖で設定することにより、第一熱交換器45は、循環送風路40内に配設され、第二熱交換器47は循環送風路40内と換気送風路43内の両者に介する位置に配設される。このため、圧縮機44を順サイクル運転させることで冷媒回路21内の冷媒を循環させ、循環用シロッコファン42を運転することにより循環送風路40を介して浴室3内を循環する空気に対してまず始めに通過する第二熱交換器47において冷媒が吸熱を行い、次いで第一熱交換器45を通過する際には冷媒が放熱を行う。浴室3内循環空気が第二熱交換器47を通過する際には冷媒より吸熱されるため空気の温度が低下し、空気の水分が第二熱交換器47表面に結露することで空気中の湿度が下がる。ここで第二熱交換器47表面に結露した水滴はドレン水となり貯水部53に滴下し貯留する。低湿度となった空気は次に通過する第一熱交換器45において冷媒より放熱されるため、この放熱により高温低湿となった空気が吹出口26から浴室3内に吹出す。このような運転動作を行うことにより高温低湿の空気を吹出すことが可能となり、浴室3内の温度が上昇し、湿度が低下することで浴室3内を除湿することができる。衣類乾燥を行う際には浴室3内に干した洗濯物に対して高温低湿の空気が直接当たる風向とすることで、洗濯物からの水分蒸発を促し短時間での衣類乾燥を実現することとなる。
なお、上記においては除湿運転時に換気送風路を閉鎖し室外への空気の排出を行わない風路構成としたが、浴室3内を所望の低湿度空間にできるのであれば、換気用シロッコファン12を低回転で運転し且つ換気送風路を開放することにより浴室3内空気を換気しながら除湿運転をする構成にしても、その作用効果に差異を生じず、望ましくは新鮮な空気を取り入れえるために多少なりとも換気しながら除湿運転を行う構成である。
次に浴室3内加湿暖房運転時の動作に関して説明する。加湿暖房運転は、浴室3内を高温高湿なサウナ環境にする場合に実行する動作である。
その際の風路構成は、図9に示すように風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を開放、風路構成ダンパC51を閉鎖、外装体側吸込部ダンパ38を開放、外装体側吹出部ダンパ39を開放で設定することにより、第一熱交換器45は、循環送風路40内に配設され、第二熱交換器47は換気送風路43内に配設される。このため、圧縮機44を順サイクル運転させることで冷媒回路21内の冷媒を循環させ、換気用シロッコファン12を運転することにより換気送風路43を通過する空気に対して第二熱交換器47において冷媒が吸熱を行い、循環用シロッコファン42を運転することにより循環送風路40を介して浴室3内を循環する空気に対して第一熱交換器45において冷媒が放熱を行う。空気を加湿する微細水滴を発生する手段としては微細水滴発生部54を外装体17内に設ける。以下に微細水滴発生部54の具体的な構成について説明する。
図10に示す微細水滴発生部54内には、微細水滴発生部吸込口55と微細水滴発生部吹出口56を連通する微細水滴発生部送風路57が設けられており、微細水滴発生部送風路57の微細水滴発生部吸込口55側に備えられた、制御装置24(図10中には図示せず)により回転数を自在に変更可能な微細水滴発生部ファン駆動用モータ58に接続された送風手段としての微細水滴発生部シロッコファン59が回転することで微細水滴発生部54内に空気を送風する。微細水滴発生部シロッコファン59の下流側には加熱手段としての空気加熱用の熱交換器であるPTCヒータ60を備えており、このPTCヒータ60を通って外装体17から流入する空気が加温され、高温の空気を送風することが可能となる。微細水滴発生部送風路57内の微細水滴発生部シロッコファンの下流側には噴霧ノズル61が設けられており、この噴霧ノズル61に加湿用給水を供給するための加湿用給水管62より温水(例えば40〜80℃)を供給し、供給された温水を噴霧ノズル61から微細な水滴として噴霧する。噴霧された微細水滴は微細水滴発生部54壁面に衝突することによって更に微細化される。ここで微細な水滴(例えば水滴径100μm以下)に関しては送風する空気とともに微細水滴発生部吹出口56より循環送風路40に吹出され、浴室内循環空気に供給され、微細な水滴に破砕することができなかった水滴に関しては、余剰水64として貯水部53へと向かう。送風空気とともに運ばれる微細な水滴の中でも、比較的水滴径が大なる水滴(例えば水滴径10〜100μm)に関しては微細水滴発生部送風路57の微細水滴発生部吹出口56側に設けられた水滴回収手段としての気液分離部63で回収され、余剰水64となり貯水部53へと向かう。気液分離部63を通過した微細な水滴(水滴径10μm以下)はPTCヒータ60により加熱された空気とともに微細水滴発生部吹出口56より循環送風路40に吹出され、浴室内循環空気に供給される。
こうして微細水滴を含む加湿空気が供給された循環送風路40内空気は、更に第一熱交換器45において冷媒より放熱されることにより、空気が加熱されて吹出口26から浴室3内に吹出す。このような運転動作を行うことにより高温高湿の空気を吹出すことが可能となり、浴室3内の温度および湿度が上昇することで浴室3内を加湿暖房することができる。
次に浴室3内冷房運転時の動作に関して説明する。冷房運転は、夏場の入浴後のクールダウン等を行う場合に実行する動作である。
その際の風路構成は、図11に示すように、風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を開放、風路構成ダンパC51を閉鎖、外装体側吸込部ダンパ38を開放、外装体側吹出部ダンパ39を開放で設定することにより、第一熱交換器45は、循環送風路40内に配設され、第二熱交換器47は換気送風路43内に配設される。ここで、流路切換弁48の設定を順サイクルから逆サイクルに切り換える。この設定を行うことにより、圧縮機44で圧縮された高温高圧の冷媒が逆サイクル方向に循環するため、換気用シロッコファン12を運転することにより換気送風路43を通過する空気に対して第二熱交換器47において冷媒が放熱を行い、循環用シロッコファン42を運転することにより循環送風路40を介して浴室3内を循環する空気に対して第一熱交換器45において冷媒が吸熱を行う。この吸熱により空気が冷却されて吹出口26から浴室3内に吹出す。このような運転動作を行うことにより低温の空気を吹出すことが可能となり、浴室3内の温度が下がるため浴室3内を冷房することができる。
以上、説明した各運転動作において、冷媒が吸熱を行っている熱交換器を空気が通過する際には熱交換器表面部に結露した水滴が発生する。つまり、暖房運転、除湿運転時には第二熱交換器47側に、また除霜運転、冷房運転時には第一熱交換器45側の表面に結露水52が発生する。そのため、第一熱交換器45および第二熱交換器47の下部には熱交換器表面に結露した水分が滴下した結露水52を貯留するための貯水部53が備えられている。装置内において、貯水部53が高位置に設置されている場合、この貯水部53に貯留した貯留水65は、下り勾配を利用して浴室3外へ排水経路66より排水される。排水経路66の下り勾配は角度が大きければ大きいほど排水性が良好となるので良いが、望ましくは5°以上の勾配を確保することによって、貯水部53内の貯留水65を確実に排水することが可能となる。
貯水部53が高位置に設置できない場合、つまりは第一熱交換器45もしくは第二熱交換器47のどちらか一方が高位置に設置できない場合においては、貯水部53に貯留水65を排水するための排水用ドレンポンプ67を設置する。下り勾配を利用した排水と排水用ドレンポンプ67を利用した排水のどちらに関しても、貯水部53に貯留された貯留水65を完全に排水することは困難であり、排水後には排水しきれなかった貯留水65が貯水部53の表面部に残留してしまう。その残留した水分はそのまま放置しておくとカビや雑菌、異臭の発生原となるため貯水部53を乾燥させる貯留水残存防止手段を備える必要がある。以下に貯水部53を乾燥させるための送風による貯留水残存防止手段としての装置内乾燥運転の動作に関して説明する。
参考例としての図12(a)に示すように、風路構成ダンパA49を開放、風路構成ダンパB50を閉鎖、風路構成ダンパC51を閉鎖、外装体側吸込部ダンパ38を閉鎖、外装体側吹出部ダンパ39を開放で設定し換気用シロッコファン12を運転させると、浴室3内の空気が第二熱交換器47下部に備えた貯水部53に沿って流通し屋外排気ダクト7より屋外に排気する。また参考例としての図12(b)に示すように、風路構成ダンパA49を閉鎖、風路構成ダンパB50を閉鎖、風路構成ダンパC51を閉鎖、外装体側吸込部ダンパ38を閉鎖、外装体側吹出部ダンパ39を開放、さらに吹出口ルーバ28を閉鎖で設定し換気用シロッコファン12を運転させると、浴室3内の空気が第一熱交換器45下部に備えた貯水部53に沿って流通し屋外排気ダクト7より屋外に排気する。浴室3が暖房運転後、もしくは除湿運転後等の理由により高温低湿の雰囲気になっている環境においては、このような風路構成とすることで高温低湿の空気が貯水部53に沿って流通し、乾燥を促進する。
また、実施の形態1として、浴室3内がさほど高温低湿環境でない場合や、浴室3のガラリ等の隙間からの空気の流入を防止したい場合には、図7に記載した様な暖房運転時の風路構成とすることで、換気用シロッコファン12を運転させると、排気口A8および排気口B10から排気ダクトA9および排気ダクトB11を通じて脱衣室4およびトイレ5の空気が第二熱交換器47下部に備えた貯水部53に沿って流通し屋外排気ダクト7を通じて屋外に排出される。
このような送風による乾燥においては、貯水部53に沿って流通する送風空気と貯留水65が気液接触をすることで空気が水蒸気を含み、貯水部53の水分を奪っていくことで乾燥するのだが、貯水部53に残存する貯留水65が少なければ少ないほど乾燥効率が良いのは明らかである。そのため、貯水部53に沿って流通する送風空気は排水経路66へと向かう方向の流れとすることで、貯水部53に留まる貯留水65を排水経路66に誘導することで、貯水部53への貯留水65の残存量を軽減することとする。またその際図13(a)に記載のように、貯水部53表面に排水経路66に誘導する方向へと貯水部表面リブ68を設けることで、貯留水65が排水経路66へ指向性を持つため、排水効率を良化することができる。
また、送風による乾燥においては、貯水部53に沿って流通する送風空気と貯留水65との気液接触効率の向上においても、貯留水65の排水経路66への誘導においても、貯水部53に沿って流通する空気の風速は速い方が望ましいが、流通する空気の風速が速い場合には貯水部53から貯留水65が流出してしまうといった懸念がある。そこで図13(b)に記載のように、貯水部53の上端に、貯留水65の流出を防止するための流出防止リブ69を設けることで、流通する空気の風速が速い場合においても貯水部53から貯留水65が流出してしまうことを防止することとする。
上記した送風による乾燥に加え、貯水部53を加熱することで、乾燥時間の短縮が図れ、空気の流入が困難な箇所の乾燥も行うことができる。以下に、その方法に関して説明する。
各運転動作において、結露水52が発生するのは、冷媒回路21中において冷媒が吸熱を行っている側の熱交換器である。運転終了後に流路切換弁48の設定を逆側に切り換え圧縮機44を作動させると、冷媒が吸熱を行っていた側の熱交換器の冷媒が放熱を行うようになり、この熱により吸熱側であった熱交換器の下部に備えられていた貯水部53の貯留水65を乾燥させることができる。もしくは冷媒回路21中の冷媒を膨張させる電子式膨張弁からなる膨張機構46の弁開度を調節することにより、膨張機構46通過後の冷媒温度が低温とならない構成とすることで、冷媒が吸熱を行っていた側の熱交換器の冷媒が放熱を行うようになり、この熱により吸熱側であった熱交換器の下部に備えられていた貯水部53の貯留水65を乾燥させることができる。また、乾燥対象部近傍に新たな熱源としてヒータを設置する構成とすれば、所望の箇所を任意に乾燥することができるようになるため、貯水部53に残存する貯留水65の効率的な乾燥が可能となる。なお、ここでの近傍とはヒータの熱が届く程度の範囲内のことであり、乾燥対象物に沿って空気が流通している場合においては、乾燥対象物の上流に設置されることが望ましい。もしくは、貯水部53自体に加熱手段を備えた構成とすることで、より効率良く貯留水65に熱を加えることができるため、乾燥時間の短縮が図れる。
以上、ここに示した種々の貯水部53を加熱する方法を用いると、乾燥時間の短縮を図ることが可能となるが、貯水部53にまだ多くの貯留水65が残存している状態においてはまず送風による乾燥で貯水部53に残存する貯留水65を減少させ、その後に加熱による乾燥を行うことで、貯水部53に貯留水65が残存する状態を防止し、カビや雑菌、異臭の発生を抑制することと消費電力の削減を図ることが可能となる。
また、紫外線照射手段として紫外線ランプを備えることで、貯水部53に発生する菌の増殖を抑制し、カビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路66に発生することで排水経路66が閉塞することを抑制することができる。更には貯水部53を構成する材料として抗菌作用を持つ物質(例えば銀)を添加した材料を用いることで、貯水部53表面での菌の発生や増殖を抑制することが可能となり、カビや雑菌がスライム状に固体化したものが排水経路66に発生することで排水経路66が閉塞することを抑制することができる。
また、本実施の形態では、各運転動作後の貯水部53に発生した貯留水65を乾燥させる手段として装置内乾燥運転を実施するものとしているが、本換気空調装置6は浴室3の天井裏に設置する構成としているため、浴槽への湯張りやシャワー入浴時の蒸気により、装置停止状態においても貯水部53に貯留水65が発生する可能性が示唆されるため、装置内乾燥運転は各運転動作後に限定せず、装置停止状態が長期間続いている場合においても一定期間経過時(例えば1週間)には装置内乾燥運転を実行するといった定期的な運転制御や、装置内に設置した湿度センサ70が予め設定した湿度(例えば90%)を検知した場合には装置内乾燥運転を実行するといった運転制御を設定することで、貯水部53に貯留水65が残存する状態を防止し、カビや雑菌、異臭の発生を抑制することが可能となる。
また、装置内乾燥運転開始から一定時間経過後に熱交換器表面が乾燥したか否かの判断は、換気空調装置6内に備えた湿度センサ70もしくは温湿度センサ71による検知により行うものとし、その制御方法を以下に説明する。
乾燥対象となる貯水部53の上流側および下流側に湿度センサ70を備える構成を図14(a)に記載する。この構成によると、貯水部53を沿って流通する前後の空気の湿度を検知し、両者間の湿度の差異が設定範囲内(例えば2%以内)であれば、乾燥対象となる貯水部53は乾燥しているとみなし運転を停止するといった制御方法を用いることができる。
乾燥対象となる貯水部53の下流側に温湿度センサ71を備える構成を図14(b)に記載する。この構成によると、貯水部53に沿って流通した後の空気の温湿度を検知し、その検知した温湿度が予め設定された温湿度となれば装置内が乾燥しているとみなし運転を停止するといった制御方法を用いることができる。予め設定しておく温湿度としては、空気が乾燥しているとみなす温湿度を空気線図より算出したものを採用することとする。
乾燥対象となる貯水部53の上流側に温湿度センサ71を備える構成を図14(c)に記載する。この構成によると、貯水部53に沿って流通する前の空気の温湿度を検知し、その検知した温湿度の空気を貯水部53に沿って流通させて乾燥させる場合には、どの程度の時間を必要とするのかを予め実験より算出しておき、その条件を設定しておくことで、設定時間運転後には乾燥完了と判断する制御方法を用いることができる。
以上説明した内容は、発明を実施するための一形態についてのみ説明したものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、空調する室内空間を浴室3とし、排気口を開口した室内空間を脱衣室4およびトイレ5としたが、空調空間および排気口を開口する空間は、居住空間内において区画された空間であれば良く、上記に限定されるものではない。即ち、空調空間をリビング2、排気口を開口する空間を浴室3などに設定しても良い。
また、上記実施の形態では、排気口を脱衣室4およびトイレ5の2箇所に開口する構成を示したが、排気口を開口位置および数はこれに限定されるものではない。例えばトイレ5等1箇所のみに排気口を開口する構成としても良い。
また、上記実施の形態では、他室の換気も同時に行う多室換気タイプの構成としたが、対象とする空間(例えば浴室3)のみを換気するタイプであっても問題なく、他室の換気を行うことで吸熱していた構成を浴室3内の循環空気より吸熱する構成に変更することによりその作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、他室の換気を行うことで吸熱を行い暖房を実施する構成としたが、吸込口25と第二熱交換器47を連結する風路を設け、浴室3内から吸引した空気を第二熱交換器47に通風することで吸熱を行い第一熱交換器45において放熱を行い浴室内に戻す構成をとしてもその作用効果に際を生じない。
また、上記実施の形態では、風路構成を変更するためのダンパによる開閉を開放状態と閉鎖状態の2通りのみとしたが、ダンパの開度を調整することで各運転時の風量調整や温度調整が可能となる。
また、上記実施の形態では、風路構成を変更する手段としてダンパ構造を有するものとしたが、風路を開閉することができればよく、これに限られたものではない。
また、上記実施の形態では、冷媒回路21の運転方法を順サイクル運転から逆サイクル運転に切り換えることで除霜運転を行う構成としたが、第二熱交換器47表面に付着した霜を除去できるのであれば問題なく、第二熱交換器47表面に湯水を供給する方法や除霜用にヒータを備え付ける方法を用いてもその作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、上記実施の形態では、圧縮機44の駆動方式について言及していないが圧縮機44の駆動方式は駆動周波数一定のものを使用しても駆動周波数可変のものを使用してもよい。
また、上記実施の形態では、外装体17、フロントパネル18および換気ユニット23と各々が分離した構成としたが、施工性や機能が損なわれないのであれば全てが一体化された構成であっても問題なく、その作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、シロッコファンを駆動するモータは制御装置24により回転数を自在に変更可能なモータを用いることとしたが、少なくとも2種類以上の回転数に変更可能であればよく、その作用効果に差異を生じない。なお望ましくは、回転数を線形的に任意の回転数に変化させることが可能なモータであることが好ましい。また、各種設定を変更せずに一定の条件で動作を行う場合においては、一定回転数のみで駆動するモータであっても問題なく、その作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、送風手段としてシロッコファンを用いたが、風量や消費電力、騒音や振動等の条件を満足するのであればクロスフローファン、ターボファン、プロペラファンなどの別方式のファンであっても問題なく、その作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、温水を噴霧することにより加湿を行う構成としたが、浴室が狭小(0.5坪程度)でそれほど大量な加湿を必要としない場合においては通常温度(15〜20℃程度)の水道水などを使用してもその作用効果に差異を生じず、望ましくは浴室の広さや浴室外の温度雰囲気等に応じて浴室内が目的の温湿度となるように噴霧ノズル61より噴出する加湿水の温度を適宜設定することが望ましい。
また、上記実施の形態では、気液分離部63を通過する水滴径を10μm以下としたが、水滴径100μm以下の水滴径であればよく、気液分離部63を通過し、浴室内に供給される水滴径は入浴者が水滴感を感じることなく入浴できる程度の水滴径であることが望ましく、一般的には10μm以下程度の水滴径とすることでほとんどの人が水滴感を感じることなく入浴を行うことができる。
また、上記実施の形態では、湿度センサ70または温湿度センサ71により熱交換器通過前後の温湿度を検知する制御方法で乾燥状態の判断をする構成としたが、乾燥状態を判断できるのであれば温度のみを検知する方法や、湿度検知用材料を用いた方法を用いても問題は無く、その作用効果に差異を生じない。
また、上記実施の形態では、抗菌作用を持つ物質として銀を用いることとしたが、所望の抗菌作用を持つ物質であれば他の物質であっても問題は無く、銀以外の無機系材料や有機系材料、または光触媒等であってもその作用効果に差異を生じない。