JP4987688B2 - 画像高解像度化方法および装置 - Google Patents
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Description
A. Tanaka, H. Imai, and M. Miyakoshi, "Digital Image Enlargement Based on Kernel Component Estimation," International Journal of Computing Anticipatory Systems, vol. 15, pp. 97-108, 2004.
最初に簡単に用語について説明する。
デジタル画像は、各位置に色や輝度の情報を持った値からなる。この値を持つ単位を画素と呼び、その値を画素値と呼ぶ。以下では、説明を簡単にするため、画素値として輝度を表す値のみを持つ場合を説明する。この場合、1画素あたりに画素値が1つである。色の情報を持った値を画素値として持たせる場合としては、例えば、赤と緑と青に関する色の情報を3次元の空間で表現したRGB色空間での値を画素値として持たせると良い。この場合、1画素あたりに赤と緑と青に関する3つの値が画素値になる。
本実施形態の画像高解像度化装置について図1を参照して説明する。
本実施形態の画像高解像度化装置100は、低解像度画像入力部101、高解像度画像入力部102、設定部103、初期化部104、および、作成部105を含む。画像高解像度化装置100は、枚数データ156、サイズデータ160、低解像度画像151、および、高解像度画像152から、高解像度化画像153を作成し、出力する。以降、高解像度化したい低解像度な画像(静止画や動画)の横方向の画素の数(幅)をwl、縦方向の画素の数(高さ)をhlで表し、それを高解像度化した画像の幅をwh、高さをhhで表す。
(ステップS201)まず、枚数データ156が設定部103に入力され、サイズデータ160が初期化部104と設定部103に入力される。次に、ブロックサイズデータ154が初期化部104により算出され、設定部103に送られる。最後に、作成データ162が初期化部104により算出され、作成部105に送られる。
(ステップS202)低解像度画像入力部101に、高解像度化したい低解像度な画像(動画や静止画)のうちのn枚目が、低解像度画像151として入力される。
(ステップS203)高解像度画像入力部102に、低解像度画像151が高解像度化された高解像度画像152が入力される。
低解像度ブロックの高さrlと高解像度ブロックの高さrhは、縦方向の高解像度化率から計算する。縦方向の高解像度化率はhh/hlである。この分数を約分することにより、既約分数にする。この既約分数の分母を低解像度ブロックの高さrlとし、分子を高解像度ブロックの高さrhとする。既約分数に約分するためには、例えば、ユークリッドの互除法により、hhとhlの最大公約数を求め、その最大公約数でhh/hlの分子と分母をそれぞれ除算すれば良い。低解像度ブロックの幅clと高解像度ブロックの幅chは、横方向の高解像度化率から計算する。横方向の高解像度化率はwh/wlである。この分数を約分することにより、既約分数にする。この既約分数の分母を低解像度ブロックの幅clとし、分子を高解像度ブロックの幅chとする。既約分数に約分するためには、例えば、ユークリッドの互除法により、whとwlの最大公約数を求め、その最大公約数でwh/wlの分子と分母をそれぞれ除算すれば良い。
高解像度画像X中の高解像度ブロックxが低解像度画像Y中の低解像度ブロックyに低解像度化する過程を、低解像度化行列Wを用いて次式で表す。
y=Wx
ここで、xは高解像度ブロックの各画素の画素値を並べたchrh次元の縦ベクトルであり、yは低解像度画像の各画素の画素値を並べたclrl次元の縦ベクトルであり、Wはclrl行chrh列の行列である。Wは、例えば、対応する画素の面積比により決定される面積平均を表す行列と等しい。4×4の高解像度ブロックが1×1の低解像度ブロックに低解像度化する図3の例(cl=1、rl=1、ch=4、rh=4)では、面積平均を表す行列は1行16列の行列であり、この行列の要素は全て1/16である。面積平均を表す行列をWとして採用しなくても構わない。例えば、画素の中心ほど重みが大きい重み付き面積平均を表す行列を採用しても良い。あるいは、あるカメラの光学特性を考慮した行列を採用しても良い。解像度は、xよりyの方が低いため、clrl<chrhが成り立つ。高解像度化の問題は、この式y=Wxで表される再構成制約を満足する高解像度ブロックxを入力の低解像度ブロックyから再構成し、その高解像度ブロックxを高解像度画像Xの全体に敷き詰める問題として捉えられる。
R(W*)={x|x=W*y}
により定義されるW*の値域であり、N(W)は、
N(W)={x|Wx=0}
により定義されるWの零空間であり、この式中の0は要素が全て0のclrl次元縦ベクトルを表す。
x=W+Wx+(I−W+W)x
と分解できる。再構成制約y=Wxを満足するxであれば、
x=W+y+(I−W+W)x
と分解できる。右辺の第一項がxのR(W*)成分であり、第二項がxのN(W)成分である。したがって、再構成制約y=Wxを満足する高解像度ブロックxの一般形、すなわち、一般解は、次式で表すことができる。
ここで、zは、任意の高解像度ブロックであり、chrh次元の縦ベクトルである。この一般解のR(W*)成分は一意に定まる。一方、N(W)成分には任意の高解像度ブロックzが含まれ、一意に定まらないため、xのN(W)成分は一意に定まらない。したがって、再構成制約を満足するxは複数あり、一意に定まらない。図3は、高解像度ブロックx1とx2が低解像度化行列Wにより表される低解像度化により、同一の低解像度ブロックyに低解像度化した例を表す図である。この例では、解像度が1/16(縦方向と横方向にそれぞれ1/4)に低下している。低解像度ブロックyから、再構成制約を満足する高解像度ブロックxが一意に定まらないことが、図3からもわかる。そこで、本発明では、鮮鋭な高解像度ブロックを低い計算コストで獲得するために、zpをyから内挿法により高速に計算し、そのzpから、次式により高解像度ブロックxpを求める。
右辺の第一項がxpのR(W*)成分であり、第二項がxpのN(W)成分である。この式(xp=W+y+(I−W+W)zp)の第一項(R(W*)成分)は、「小川英光,“信号と画像の復元[III]−最適復元のための射影フィルタ族−,”電子情報通信学会誌,vol.71,pp.739−748,1988.」に記載の一般逆フィルタをブロック単位で画像の高解像度化に応用した場合に相当する。図4は、zpからxpの計算の幾何学的意味を説明するための図である。この例では、chrh=3としたため、
低解像度ブロック155は上述の低解像度ブロックyを表すデータであり、高解像度ブロック157はそれと対応した位置の上述の高解像度ブロックzpを表すデータであり、作成データ162は上述のW+とI−W+Wを表すデータである。これらから、作成部105では、ブロックデータ161が表す高解像度化画像153中の高解像度化ブロックxpが、上述の式(xp=W+y+(I−W+W)zp)に基づいて算出される。
本実施形態では、画像全体ではなく、画像中のブロックごとに計算するため、計算コストを削減することができる。従来技術の例えば非特許文献1の方法では、YとZcからXcを求める際、Xc中の1画素の画素値を求めるため(すなわち、Xc=K+Y+(I−K+K)Zcを計算するため)(wlhl+whhh)回の積和演算が必要であった。一方、本実施形態では、
xp=W+y+(I−W+W)zp
より、1画素当たりで(clrl+chrh)回の積和演算が必要である。(clrl+chrh) < (wlhl+whhh)であるから、計算コストを削減できる。例えば、wl=720、hl=480、wh=1920、hh=1080の場合、cl=3、rl=4、ch=8、rh=9となるため、clrl+chrh=84、wlhl+whhh=2419200となり、計算量を大幅に削減できる。
SSD(xp)=‖W+y+(I−W+W)x−W+y−(I−W+W)zp‖2
SSD(xp)=‖(I−W+W)(x−zp)‖2
ここで、‖x‖はxのノルムを表す。SSD(zp)は以下の通りに計算できる。
SSD(zp)=‖W+y+(I−W+W)x−W+Wzp−(I−W+W)zp‖2
SSD(zp)=‖W+y−W+Wzp‖2+2<W+y−W+Wzp,(I−W+W)(x−zp)>+‖(I−W+W)(x−zp)‖2
SSD(zp)=‖W+y−W+Wzp‖2+‖(I−W+W)(x−zp)‖2
ここで、<x,z>は、xとzの内積を表す。W+y−W+WzpがR(W*)の元であること、(I−W+W)(x−zp)がN(W)の元であること、R(W*)とN(W)が互いに直交することから、
<W+y−W+Wzp,(I−W+W)(x−zp)>=0
が成立することを上記計算では利用した。したがって、SSD(xp)−SSD(zp)は、以下の通りに計算できる。
SSD(xp)−SSD(zp)=−‖W+y−W+Wzp‖2
よって、SSD(xp)−SSD(zp)は0以下となる。これにより、本実施形態では、低解像度化の過程が既知であり、それが式(y=Wx)で表せれば、zpよりも高いか同じPSNRを得られることを証明できた。
本実施形態では、再構成制約を満足する高解像度ブロックxpを式(xp=W+y+(I−W+W)zp)により求めた。それに対し、再構成制約を厳密には満足しない高解像度ブロックを求めても良い。例えば、高解像度ブロックxpを次の式により求めても良い。
この式は、zpとW+y+(I−W+W)zpを通る直線を表す。αを0とすると、高解像度ブロックxpはzpとなり、αを1とすると、高解像度ブロックxpはW+y+(I−W+W)zpとなり、αを0と1の間の値にすると、高解像度ブロックxpはzpとW+y+(I−W+W)zpの内挿点となる。内挿点を求めることにより、W+y+(I−W+W)zpよりも主観画質が向上する場合がある。なぜなら、W+y+(I−W+W)zpは、最近傍内挿法で高解像度化した場合のようなブロック感が発生する場合があるのに対し、内挿点を求めることにより、そのブロック感が軽減されるためである。SSDは良くならないが、エッジのジャギーが軽減する。例えば、縦横それぞれ2倍に高解像度化するために、
W=(1/4 1/4 1/4 1/4)
とした場合、
W+=(1 1 1 1)T
となるため、W+yはyを最近傍内挿法で高解像度化したものとなる。ここで、この式のTは行列の転置を表す。図4からわかるように、式(xp=W+y+(I−W+W)zp)による高解像度化は、zpのR(W*)成分をW+yに置き換える変換であるため、最近傍内挿法で高解像度化した場合のようなブロック感が発生する場合がある。他の滑らかな画像を生成できる方法で作成したzpとの内挿点を求めれば、そのブロック感を削減できる。
‖y−Wx‖2+β‖Dx‖2
を最小化する高解像度ブロックを求めても良い。ここで、Dは、任意の行数でchrh列の正則化行列であり、βは正則化パラメータである。この高解像度ブロックxpは、次式により計算できる。
ここで、−1は行列の逆行列を表す。βを正とし、xが平坦なほど‖Dx‖2が小さいDを利用すれば、再構成制約を厳密に満足する高解像度ブロックよりも平坦な高解像度ブロックが計算されるようになる。これにより、画像中に雑音が含まれた場合に、雑音の強調を避けられる場合がある。
これにより、ブロック感と雑音の強調を共に軽減できる場合がある。なお、αおよびβ、αまたはβを付加しても付加する前と比べて計算量は変わらない。
上記実施形態では、構成が図1であり、処理の流れが図2であった。それに対し、本変形例では、構成を図5に変更し、処理の流れを図6に変更する。変更点のみを説明する。この変形例では、処理の流れにS601が追加され、構成では、低解像度画像入力部101の代わりに、強調部501、低解像度画像入力部502が追加される。
上記実施形態では、低解像度化行列Wを初期化部104で算出した。それに対し、本変形例では高解像度化率が予め決まっている場合には、初期化部104がWを画像高解像度化装置100の外部から入力するように変更しても良い。その場合の変更点のみを説明する。その場合、例えば、図1の初期化部104にWを入力するための結線を追加すれば良い。そのブロック図は省略する。処理の流れは、S201において、作成データ162が初期化部104により算出される際、Wが算出される代わりに、入力されたWが利用される。これにより、Wを算出する計算コストが削減される。
上記実施形態では、低解像度化行列Wを初期化部104が算出した。それに対し、Wが初期化部104に記憶されているように変更しても良い。例えば、予めWを計算しておき初期化部104がWを計算して記憶しておく。その場合の変更点のみを説明する。その場合、処理の流れは、S201において、作成データ162が初期化部104により算出される際、Wが算出される代わりに、予め記憶されたWが利用される。これにより、Wを算出する計算コストが削減される。低解像度化行列Wではなく、作成データ162を記憶しても良い。その場合、初期化部104が作成データ162を記憶しても良いし、作成部105が作成データ162を記憶しても良い。作成部105が記憶する場合、作成データ162が初期化部104により算出する計算コストが削減される。また、作成データ162を作成部105に送る必要がなくなる。
本実施形態では、低解像度化の過程を次式で表した。
それに対し、加法性の雑音を考慮し、低解像度化の過程を次式で表しても良い。
ここで、UとVは以下の式で定義される行列である。
V=W*U+W
式(xp=V+W*U+y+(I−W+W)zp)の第一項(R(W*)成分)は、上記の「小川英光,“信号と画像の復元[III]−最適復元のための射影フィルタ族−,”電子情報通信学会誌,vol.71,pp.739−748,1988.」に記載の射影フィルタを画像の高解像度化にブロック単位で応用した。射影フィルタはR(W*)における雑音の平均を最小化するため、式(xp=V+W*U+y+(I−W+W)zp)の第一項(R(W*)成分)は、R(W*)における最良近似となる。射影フィルタを画像の高解像度化にブロック単位で応用しただけでは、R(W*)成分しか推定できない。それに対し、本実施形態では、式(xp=V+W*U+y+(I−W+W)zp)の第二項によりN(W)成分をも推定するため、射影フィルタを画像の高解像度化にブロック単位で応用した場合よりも、さらに鮮鋭な画像を得られる。この変更のためには、初期化部104が作成データ162を上述のV+W*U+とI−W+Wを表すデータに変更すれば良い。なお、R(W)が
上記実施形態では、再構成制約として、ch×rhの高解像度ブロックxがcl×rlの低解像度ブロックyに低解像度化する過程を表した式(y=Wx)を採用した。それに対し、(ch+b)×(rh+b)の高解像度ブロックxがcl×rlの低解像度ブロックyに低解像度化する過程を表した式を再構成制約としても構わない。この場合の低解像度化の過程(再構成制約)を、次式で表す。
ここで、高解像度ブロックxは(ch+b)(rh+b)次元の縦ベクトルであり、Bはchrh行(ch+b)(rh+b)列の行列であり、Aはclrl行chrh列の行列である。Bは例えば高解像度ブロックxがぼける様子を表す行列であり、Aは例えば高解像度ブロックBxが面積平均行列により低解像度化する様子を表す行列である。この場合の低解像度化の過程(再構成制約)の例を図7に示す。この例では、b=2、ch=4、rh=4、cl=1、rl=1である。
とおけば、低解像度化の過程(再構成制約)は、次式で表されるため、この変更を適用しない場合と同じ式で問題を扱える。
したがって、この変更のためには、初期化部104が作成データ162を新たなWによるW+とI−W+Wを表すデータに差し替えればよい。ただし、高解像度ブロックxと低解像度ブロックyのブロックサイズが異なり、低解像度化行列Wのサイズが異なることに注意が必要である。縦横それぞれ2倍に高解像度化する場合を例にとって、具体的に説明する。この変形例を適用しない場合には、例えば、図8に示す低解像度画像の隣接する低解像度ブロック801、802から、それぞれ、図9に示す高解像度化画像の隣接する高解像度化ブロック901、902が作成される。一方、b=2でこの変形例を適用する場合、図8に示す低解像度画像の隣接する低解像度ブロック801、802から、それぞれ、図10に示す高解像度化画像の重なり合う高解像度化ブロック1001、1002が作成される。したがって、この変更のためには、設定部103が、制御するブロックデータ159、161を変更しなければならない。それに伴い高解像度ブロック157が自ずと変化する。作成部105において、高解像度化ブロック1001と1002の重なり部分は、平均値を採用するように変更すると良い。さらに加法性の雑音を考慮する場合は(1−8)の変形例を適用すればよい。
縦横それぞれの方向に高解像度化したい場合、まず、縦方向にのみ高解像度化し、その後で横方向にのみ高解像度化した方が計算コストを削減できる。なぜなら、縦横同時に高解像度化するときと、縦横独立に高解像度化するときとでは、低解像度化行列Wのサイズが後者の方が小さくなり、W+の計算と式(xp=W+y+(I−W+W)zp)の計算のコストが後者の方が小さいためである。
本実施形態の画像高解像度化装置について図11を参照して説明する。
本実施形態の画像高解像度化装置1100は、初期化部1101、内挿係数初期化部1102、係数算出部1103、設定部1104、低解像度画像入力部1105、作成部1106を含む。画像高解像度化装置1100は、サイズデータ160と低解像度画像151から高解像度化画像1155を作成し、出力する。
ここで、高解像度ブロックzpはchrh次元の縦ベクトルであり、低解像度ブロックypは(cl+i)(rl+i)次元の縦ベクトルであり、内挿係数行列Cはchrh行(cl+i)(rl+i)列の行列である。図13は、ypとzpの関係を説明するための図である。ypは、zpが表す被写体の部分よりも広い部分を表していることがわかる。ypは、zpを内挿法で作成するために必要な低解像度ブロックである。第1の実施形態では、高解像度画像152が入力されるため、高解像度ブロック157(zp)が得られた。一方、本実施形態では、高解像度画像152が入力されない。本実施形態では、第1の実施形態における高解像度ブロック157に相当するzpを、ypと内挿法により作成したと仮定した場合に得られるxpを計算する。このxpの計算の際、zpの計算を介さず、直接xpを計算する。zpの計算を介さないのは、その方が計算量を少なくできるためである。直接xpを計算するために必要なのが、内挿係数行列Cである。
ここで、Sは、Syp=W+yを満足する行列であり、W+の要素と0を要素に持つ。例えば、clとrlが共に1である場合、S=[0 W+ 0]である。[0 W+ 0]は、W+の左右にそれぞれ同じサイズの零行列を連結した行列である。
このxpは次の式を満足する。
したがって、第1の実施形態で入力される高解像度画像の高解像度ブロックzpに対して式(zp=Cyp)が成立すれば、第2の実施形態により第1の実施形態と同じ高解像度化ブロックxpを得られる。第1の実施形態で入力される高解像度画像の高解像度ブロックzpに対して式(zp=Cyp)が成立しなくても、(1−4)における証明では、zpに関して何も仮定していないため、低解像度化の仮定が式(y=Wx)であれば、xpのxに対するSSD(xp)が内挿法により得られる高解像度ブロックCypのxに対するSSD(Cyp)以下になる。図14は、ypとxpの関係を説明するための図である。ypは、xpが表す被写体の部分よりも広い部分を表していることがわかる。ypは、xpを本実施形態の係数行列Tで作成するための低解像度ブロックである。zpの計算を介さず、ypとTからxpを直接計算する。
(S1201)まず、枚数データ156が設定部1104に入力され、サイズデータ160が初期化部1101に入力される。そして、ブロックサイズデータ154が初期化部1101により算出され、内挿係数初期化部1102と係数算出部1103と設定部1104に送られる。
本実施形態では、第1の実施形態よりもさらに少ない計算コストで済む。第1の実施形態では、1画素当たりで(clrl+chrh)回の積和演算が必要であった。一方、本実施形態では、式(xp=Typ)から、(cl+i)(rl+i)回の積和演算が必要である。ほとんどの場合、(cl+i)(rl+i) < (clrl+chrh)であるから、計算コストを削減できる。例えば、wl=720、hl=480、wh=1920、hh=1080、i=4の場合、cl=3、rl=4、ch=8、rh=9となるため、(cl+i)(rl+i)=56、clrl+chrh=84となり、計算量を第1の実施形態よりもさらに削減できる。(1−11)と同じく、縦横同時にではなく、縦横独立に高解像度化すれば、さらに計算コストを削減できる。図15に縦横独立に高解像度化する場合の様子の例を示す。この例では、wl=720、hl=480、wh=1920、hh=1080、i=4である。図15の例では、2画素ずつ3×4ブロック、3×9ブロックからはみ出る。内挿法により定まるiにより、はみ出る量が決まる。図15の例では、i=4の内挿法(バイキュービック法やキュービックコンボリューション法など)の場合である。例えば、内挿法としてi=2のバイリニア法を使用すると3×4ブロック、3×9ブロックから1画素ずつはみ出る。
(1−5)の第1の実施形態の第1変形例と同様に、再構成制約を満足しない高解像度ブロックを求めても良い。例えば、
T=αS+(I−αW+W)C
とすると良い。あるいは、Syp=(WTW+βDTD)−1WTyを満足するSを利用して、
T=S+(I−W+W)C
とすると良い。あるいは、Syp=(WTW+βDTD)−1WTyを満足するSを利用して、
T=αS+(I−αW+W)C
とすると良い。これにより、(1−5)と同じ効果を得られる。
本実施形態では、処理の流れが図12であり、構成が図11であった。それに対し、構成を図16に変更し、処理の流れを図17に変更しても構わない。変更点のみを説明する。この変形例では、処理の流れにS1401が追加され、構成に強調部1601が追加される。
(S1204)上述の処理に加え、画像データ551が低解像度画像入力部502により出力され、強調部1601に送られる。画像データ551は、低解像度画像151が表す画素値を並べたデータである。したがって、もし、低解像度画像151が符号化されていないデータであれば、画像データ551は低解像度画像151そのものであり、そうでなければ、画像データ551は低解像度画像151を復号したデータである。
係数算出部1103において、Syp=W+Eyを満足するSを利用して、係数行列T(係数データ1152)を算出するように変更しても良い。ここで、jは例えば2であり、Eは、clrl行(cl+j)(rl+j)列の行列であり、(cl+j)×(rl+j)の低解像度ブロックに3×3の強調フィルタ(アンシャープマスクやラプラシアンフィルタ)を施して得られる、そのうちの中央のcl×rl画素が強調された低解像度ブロックに変換する強調行列である。この変更により、(2−3)の第2変形例のように、強調部を追加しなくても、低解像度化すると強調された低解像度画像になる高解像度化画像が作成されるようになる。この変更により、より鮮鋭な高解像度化画像を作成できるようなる。
上記第2の実施形態では、低解像度化の過程を次式で表した。
それに対し、(1−9)の第1の実施形態の第5変形例と同様に、加法性の雑音を考慮し、低解像度化の過程を次式で表しても良い。
この場合、Syp=V+W*U+yを満足するSを利用して、係数行列T(係数データ1152)を算出するように変更すると良い。これにより、(1−9)と同じ効果を得ることができる。
(1−10)の第1の実施形態の第6変形例と同様に、低解像度化の過程(再構成制約)を、次式で表しても良い。
ここで、高解像度ブロックxは(ch+b)(rh+b)次元の縦ベクトルであり、Bはchrh行(ch+b)(rh+b)列の行列であり、Aはclrl行chrh列の行列であった。
とおけば、低解像度化の過程(再構成制約)は、次式で表されるため、この変更を適用しない場合と同じ式で問題を扱えた。
したがって、係数行列T(係数データ1152)も、式(T=S+(I−W+W)C)中のWに関する部分を置き換えれば良い。ただし、(1−10)と同様に、高解像度ブロックxと低解像度ブロックyのブロックサイズと低解像度化行列Wのサイズが異なることに注意が必要である。
高解像度化率が予め定まっていれば、係数データ1152を予め算出しても良い。その場合、図11の画像高解像度化装置1100を、図18に示す係数計算装置1800と図19に示す高解像度化演算装置1900の2つに分割すると良い。例えば、本実施形態の画像高解像度化装置1100をテレビに適用する場合、工場でテレビを生産するための設備の一つが係数計算装置1800であり、テレビに搭載される部品の一つが高解像度化演算装置1900である。この場合、図12のS1201〜S1203が、係数計算装置1800における処理となり、S1204〜S1208が、高解像度化演算装置1900における処理となる。これにより、高解像度化演算装置1900では、係数データ1152を計算する必要がないため、計算コストを削減できる。
Claims (12)
- 縦および横の画素数を示すサイズが第1サイズである低解像度画像を入力し、サイズが所望の第2サイズである第1画像を作成する画像高解像度化方法であって、
ある内挿法または超解像の方法により前記低解像度画像を、前記第2サイズに高解像度化した高解像度画像を入力し、
前記第1サイズと、前記第2サイズとに応じて、高解像度化のための処理単位であるブロックサイズとして、前記第1サイズに対応する第1ブロックサイズと前記第2サイズに対応する第2ブロックサイズとを算出し、
前記第1ブロックサイズのブロックの前記低解像度画像での第1位置と、前記第2ブロックサイズのブロックの前記高解像度画像または前記第1画像での該第1位置に対応する第2位置とを算出し、
前記低解像度画像に含まれる前記第1位置に位置する第1ブロックと、前記高解像度画像に含まれる前記第2位置に位置する第2ブロックを設定し、
前記第2ブロックサイズの縦の画素数と横の画素数との積を次元とするユークリッド空間内で、低解像度化によって前記第1ブロックになる前記第2ブロックサイズのブロックを示すベクトルの集合からなる線形多様体に、前記第2ブロックを示す第1ベクトルを射影した第2ベクトルが表す第3ブロックを、前記第1ブロックの高解像度化ブロックに設定し、
前記第1位置と前記第2位置とを変更して設定した前記高解像度化ブロックを少なくとも1つ利用することにより前記第1画像を作成することを特徴とする画像高解像度化方法。 - 縦および横の画素数を示すサイズが第1サイズである低解像度画像を入力し、サイズが所望の第2サイズである第1画像を作成する画像高解像度化方法であって、
前記第1サイズと、前記第2サイズとに応じて、高解像度化のための処理単位であるブロックサイズとして、前記第1サイズに対応する第1ブロックサイズと前記第2サイズに対応する第2ブロックサイズとを算出し、
前記第1ブロックサイズのブロックの前記低解像度画像での第1位置と、前記第2ブロックサイズのブロックの前記第1画像での該第1位置に対応する第2位置とを算出し、
前記低解像度画像に含まれる前記第1位置に位置する第1ブロックを設定し、
前記第1ブロックから、ある内挿法により前記第2ブロックサイズの第2ブロックを作成するための第1係数を、前記第1ブロックサイズと前記第2ブロックサイズとを使用して算出し、
前記第2ブロックサイズの縦の画素数と横の画素数との積を次元とするユークリッド空間内で、低解像度化によって前記第1ブロックの一部になる前記第2ブロックサイズのブロックを示すベクトルの集合からなる線形多様体に、前記第2ブロックを示す第1ベクトルを射影した第2ベクトルを計算するための第2係数を、前記第1係数と前記第1ブロックサイズと前記第2ブロックサイズとを使用して算出し、
前記第1ブロックと前記第2係数とから、前記第2位置が示す位置に対応する前記第2ベクトルを算出し、該第2ベクトルが示す第3ブロックを前記第1ブロックの一部の高解像度化ブロックに設定し、
前記第1位置と前記第2位置とを変更して設定した前記高解像度化ブロックを少なくとも1つ利用することにより前記第1画像を作成することを特徴とする画像高解像度化方法。 - 前記第1ブロックサイズと前記第2ブロックサイズとを、前記低解像度画像から前記第1画像への高解像度化率から算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像高解像度化方法。
- 前記低解像度画像を強調することをさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像高解像度化方法。
- 前記高解像度化ブロックを、前記第3ブロックにより設定する代わりに、前記第1ベクトルで示される点と前記第2ベクトルで示される点とを通る直線上の点に対応するベクトルが示す第4ブロックにより設定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像高解像度化方法。
- 前記第3ブロックによる複数の高解像度化ブロックまたは前記第4ブロックによる複数の高解像度化ブロックは、それぞれ、ブロック同士が重なり合った場合には、重なり部分の画素値は、重なったブロックの間での画素値の平均値とすることを特徴とする請求項5に記載の画像高解像度化方法。
- 縦および横の画素数を示すサイズが第1サイズである低解像度画像を入力する第1入力手段を有し、サイズが所望の第2サイズである第1画像を作成する画像高解像度化装置であって、
ある内挿法または超解像の方法により前記低解像度画像を、前記第2サイズに高解像度化した高解像度画像を入力する第2入力手段と、
前記低解像度画像の第1サイズと、前記第2サイズとに応じて、高解像度化のための処理単位であるブロックサイズとして、前記第1サイズに対応する第1ブロックサイズと前記第2サイズに対応する第2ブロックサイズとを算出する第1算出手段と、
前記第1ブロックサイズのブロックの前記低解像度画像での第1位置と、前記第2ブロックサイズのブロックの前記高解像度画像または前記第1画像での該第1位置に対応する第2位置とを算出する第2算出手段と、
前記低解像度画像に含まれる前記第1位置に位置する第1ブロックと、前記高解像度画像に含まれる前記第2位置に位置する第2ブロックを設定する第1設定手段と、
前記第2ブロックサイズの縦の画素数と横の画素数との積を次元とするユークリッド空間内で、低解像度化によって前記第1ブロックになる前記第2ブロックサイズのブロックを示すベクトルの集合からなる線形多様体に、前記第2ブロックを示す第1ベクトルを射影した第2ベクトルが表す第3ブロックを、前記第1ブロックの高解像度化ブロックに設定する第2設定手段と、
前記第1位置と前記第2位置とを変更して設定した前記高解像度化ブロックを少なくとも1つ利用することにより前記第1画像を作成する第3算出手段と、を具備することを特徴とする画像高解像度化装置。 - 縦および横の画素数を示すサイズが第1サイズである低解像度画像を入力する入力手段を有し、サイズが所望の第2サイズである第1画像を作成する画像高解像度化装置であって、
前記第1サイズと、前記第2サイズとに応じて、高解像度化のための処理単位であるブロックサイズとして、前記第1サイズに対応する第1ブロックサイズと前記第2サイズに対応する第2ブロックサイズとを算出する第1算出手段と、
前記第1ブロックサイズのブロックの前記低解像度画像での第1位置と、前記第2ブロックサイズのブロックの前記第1画像での該第1位置に対応する第2位置とを算出する第2算出手段と、
前記低解像度画像に含まれる前記第1位置に位置する第1ブロックを設定する第1設定手段と、
前記第1ブロックから、ある内挿法により前記第2ブロックサイズの第2ブロックを作成するための第1係数を、前記第1ブロックサイズと前記第2ブロックサイズとを使用して算出する第3算出手段と、
前記第2ブロックサイズの縦の画素数と横の画素数との積を次元とするユークリッド空間内で、低解像度化によって前記第1ブロックの一部になる前記第2ブロックサイズのブロックを示すベクトルの集合からなる線形多様体に、前記第2ブロックを示す第1ベクトルを射影した第2ベクトルを計算するための第2係数を、前記第1係数と前記第1ブロックサイズと前記第2ブロックサイズとを使用して算出する第4算出手段と、
前記第1ブロックと前記第2係数とから、前記第2位置が示す位置に対応する前記第2ベクトルを算出し、該第2ベクトルが示す第3ブロックを前記第1ブロックの一部の高解像度化ブロックに設定する第2設定手段と、
前記第1位置と前記第2位置とを変更して設定した前記高解像度化ブロックを少なくとも1つ利用することにより前記第1画像を作成する第前記第1ブロックの高解像度化ブロックに設定5算出手段と、を具備することを特徴とする画像高解像度化装置。 - 前記第1算出手段は、前記第1ブロックサイズと前記第2ブロックサイズとを、前記低解像度画像から前記第1画像への高解像度化率から算出することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の画像高解像度化装置。
- 前記低解像度画像を強調する強調手段をさらに具備することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の画像高解像度化装置。
- 前記第1ベクトルで示される点と前記第2ベクトルで示される点とを通る直線上の点に対応するベクトルが示す第4ブロックを、前記第1ブロックまたはその一部の前記高解像度化ブロックに設定する第3設定手段を、前記第2設定手段の代わりに有することを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の画像高解像度化装置。
- 前記第3ブロックによる複数の高解像度化ブロックまたは前記第4ブロックによる複数の高解像度化ブロックは、それぞれ、ブロック同士が重なり合った場合には、重なり部分の画素値は、重なったブロックの間での画素値の平均値とすることを特徴とする請求項11に記載の画像高解像度化装置。
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