JP4814634B2 - 植え込み式圧力減衰器具 - Google Patents

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Description

本発明は概ね、人体の以下の器官系、つまり心血管、肺、腎臓/泌尿器、胃腸、肝臓/胆管、婦人科、中枢神経、筋骨格、耳鼻咽喉、および眼を含むが、それに制限されない身体器官の比較的圧縮不可能な物質の過渡圧力波を減衰かつ/または緩衝する方法および装置に関する。
1つの特定の態様では、本発明は概ね泌尿器科および婦人科の分野に、特に膀胱内圧の突然の変動によって引き起こされる尿路の障害の治療に関する。特に、本発明のこの態様では、失禁、尿意促迫、頻数、間質性膀胱炎、過敏性膀胱症候群および神経因性膀胱などの尿障害を診断し、治療するための方法および器具が提供される。
圧力波は、身体の様々な器官の非圧縮性流体を通って伝播することが知られている。これらの圧力波は、心拍、肺の呼吸、消化管の蠕動運動、身体筋肉の運動などの体内の事象を含む幾つかの事象、または咳、笑い、身体への外傷、および重力に対する身体の動作などの事象によって引き起こされる。伸展性と呼ばれることもある周囲の組織および器官の弾性が低下するにつれ、これらの圧力波の伝播が増加する。このような圧力波は、不快感から器官および組織へのストレス、失禁などの流体の漏れ、腎不全、発作、心発作、および失明まで、多くの望ましくない作用を提する。
蓄圧器および波拡散器は、様々な非アナログ設定で圧力波を調整することができる器具のタイプである。蓄圧器の技術は、よく知られ、1940年代から航空機の油圧システム、製造機器、および水の供給および分配で使用されている。蓄圧器の一般的なタイプは、ブラダ形アキュムレータ、ピストン・アキュムレータ、非分離装置(エア・オーバ・フルイド)、およびおもり式アキュムレータを含む。
波拡散器も、様々な設定で非圧縮性システム内の圧力波の伝達に影響を及ぼす。このような拡散器の機能は、圧力波の進行を中断すること、および均一な波面の完全性およびその結果の効果を緩和するように、圧力波の進行を中断し、波のエネルギを非常に多くの方向に分配することである。波拡散器は、特定区域を波面の衝撃から保護するために使用することができる。
尿路障害は、米国および世界中で広まっている問題であり、生理的にも心理的にも年齢を問わずに人間に影響を及ぼす。尿路障害は、先天性異常、疾患、怪我、加齢、および尿路感染症を含む幾つかの原因を有する。
以上を鑑みて、これらの障害を抑制するために幾つかの試みがなされてきた。このような試みの一つは、カテーテル上に締め付け器具を有する採集バッグに接続された留置カテーテルを使用する。しかし、留置カテーテルは幾つかの欠点を有する。例えば、留置カテーテルに伴う感染の危険性があり、これにより膀胱への細菌または他の微生物が直接侵入する。したがって、留置カテーテルは、比較的短期間の状況でしか使用することができない。また、留置カテーテルおよび関連する採集バッグは、大部分の患者にとって外観上好ましいものではない。
尿失禁を解決する試みは、人工尿道弁を使用することを含む。このような先行技術の弁の一つは、尿道の外側の周囲に挿入される可膨張性カフを使用する。先行技術の尿道弁も、幾つかの欠点を有する。これらの弁の一つの欠点は、一般的に挿入するための外科手術を必要とすることであり、幾つかの先行技術の弁は、体外から走査しなければならず、したがって手動操作を要する。
尿管内弁の使用も知られている。先行技術の一般的な尿管内弁も、概ね手動操作を必要とする。先行技術の尿管内弁に伴う別の問題は、弁が膀胱内へ変位するか、尿道から放出されることがあることである。多くのこのような弁に伴う感染の危険性もある。道内に延在するか、器具の一部が尿道の外側にある、あるいはその両方であることが多く、膀胱への微生物の通路を提供するからである。
筋肉を調整し、膀胱および尿道を支持する神経を刺激するために、直腸、鞘膜内および外を含む電気刺激治療が試みられている。この治療は、長期間の無数の処置を必要とし、治療から得られる利点は全て、一般的に処置を停止すると消失する。
現在の外科的失禁手順は、一般に尿道の流れ抵抗の増強に集中している。先行技術の外科的介入は、膀胱頚部懸垂および膨張性物質(コラーゲン)注入を含む。これらの手順は、特定の患者には臨床学的に効果的なことがあるが、臨床学的結果に大きい差があること、実行するための費用が比較的高いこと、外科手術に関連する合併症の可能性があること、およびいかなる効果も短命であることなどの問題がある。
過敏性膀胱などの幾つかの尿路状態には、薬物治療が存在する。これらの薬物は、経口投薬(全身性)および膀胱に直接投与する薬物を含む。これらの薬物は一般的に副作用があり、有効性に欠け、移動性が高い。経口投薬は一般的に、症状を即座に緩和することができず、口内乾燥および便秘などの副作用を含む。膀胱に直接投与する薬物は、往々にして臨床学的に適切な時間に治療薬を導入するために、連続的または断続的なカテーテル導入を必要とする。
今日までに述べられている治療方法の意図は、尿道の流れ抵抗の増強、全ての尿道流の一時的停止または吸収、または望ましくない収縮を最小限に抑えるための排尿筋の弛緩に集中している。先行技術の治療の欠点および制約は多く、以下を含む。
・特に高齢の患者および身体的または精神的に障害を有する患者にとって、器具を操作かつ/または維持するために、一般的に極めて高レベルの患者の干渉が必要であること、
・制限された臨床学的効力、
・限定された尿の流出、
・患者の不快感および副作用、
・使用する器具に関連する尿道および膀胱の感染、および
・非臨床学的解決法(おむつ、パッドなど)と比較した場合に、相対的に高価であること。
これらの先行技術の方法は、動的コンプライアンスの低下に対応せず、その結果、膀胱内圧が上昇する。
本発明の一つの態様によると、尿路機能不全の症状を治療する器具で、約1ccから約400ccの範囲内の膨張容積を有する圧縮性減衰器具、および送出システムを通して減衰器具を充填できるようにする弁を有する器具が提供される。
本発明の別の態様によると、尿路機能不全の症状を治療する器具で、約1ccから約400ccの範囲内の膨張容積を有する圧縮性減衰器具、および減衰器具を充填するために、第1膜および第2膜、およびその間で流路を有する弁を有する器具が提供される。
本発明の別の態様によると、根治的前立腺切除の後に患者を治療する方法で、圧力に応答して減衰器具の容積を可逆的に低下させることにより、膀胱内圧の増加を減衰するステップを含む方法が提供される。
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の好ましい実施形態に関する詳細な記述を、添付図面および請求の範囲とともに考察することにより、当業者には明白になる。
本発明の実施形態は、身体器官の比較的非圧縮性物質の過渡圧力波を測定かつ/または減衰かつ/または緩衝する方法および装置に関する。以下で検討する本発明の例示的実施形態は、概ね泌尿器科および婦人科の分野に、特に膀胱内圧の突然の変動によって悪化する尿路の障害の治療に関する。しかし、当業者には容易に理解され、以下で検討されるように、本発明は、泌尿器科および婦人科に制限されず、本発明の実施形態の方法および装置は、身体の他の器官に、さらに圧力の過渡変動を減衰かつ/または緩衝するか、器官内空間を可逆的に占有することにも使用することができる。
本発明の特定の実施形態は、尿路が経験する圧力スパイクを含む過渡的膀胱内圧を抑制する。高周波の過渡電圧の発生時、膀胱は、骨盤骨格構造、膀胱と境界を接する収縮組織の圧縮負荷、または膀胱の筋肉組織、神経または結合組織のコンプライアンス低下などの幾つかの要因により、比較的コンプライアンスが低い環境になる。膀胱のコンプライアンス低下に寄与する要因は、加齢、解剖学的異常、または骨盤および腹部の構造への外傷である。
尿は主に水で構成され、人間の膀胱内に存在する典型的な圧力範囲では、実質的に非圧縮性である。正常な膀胱の排尿について、最大尿道側圧と膀胱内圧との関係が明瞭に規定されている。図1を参照すると、排尿筋の収縮前に尿道の弛緩が生じ、これによって膀胱内圧320が正常な排尿中の尿道側圧322を上回る。
膀胱は2つの機械的機能を果たす。つまり1)低圧の貯蔵、および2)高圧の排尿である。貯蔵または充填段階では、膀胱は腎臓から尿の流入を受ける。膀胱のコンプライアンスは、圧力変化に対する体積変化の比率と定義され、膀胱の静的コンプライアンスが、典型的な尿力学的評価中に測定される。静的コンプライアンス指標は、膀胱を膀胱内圧測定容量まで充填し、約60秒の期間にわたって圧力が平衡できるようにして測定する。静的コンプライアンス指標は、充填の最後に膀胱の容量を排尿筋圧で割って計算する。正常な膀胱は、一般的に15から30ml/cmHOの静的コンプライアンスを呈する。低い静的コンプライアンスの膀胱は、一般に、10ml/cmHO未満のコンプライアンス指標を有する。コンプライアンスがない膀胱の異なる圧力を示す図2を参照すると、低い静的コンプライアンスの膀胱は一般的に、膨張性が低く、上端充填圧を有する。膀胱内圧320は、最大尿道側圧324を超えるように、さらに高いレベルまで増加しなければならない。膀胱の定常コンプライアンスを使用して、下位運動ニューロン、上位運動ニューロンへの損傷、または複数の硬化症などの自然療法の問題がある患者を診断する。また、膀胱の定常コンプライアンスは、場合によって、尿意促迫、頻数および膀胱炎などの失禁の問題を診断する試みでも使用される。
概して、膀胱内圧スパイクは、重力、筋肉滑動または急激な加速度に応答する組織の容積変位の結果である。高い頻数の事象に対する膀胱および膀胱に含まれる尿のコンプライアンスのなさにより、比較的高い頻数の圧力波で流体の圧力減衰が最小になり、膀胱内圧が高くなって、これは膀胱頸部および尿道に直接伝達され、これが排尿筋の収縮を引き起こすことも、引き起こさないこともある。このような状況で、尿道は容積圧力緩和メカニズムとして作用し、釣り合った量の流体が膀胱を出て、膀胱内圧を許容可能なレベルまで低下させることができる。尿道は、最大尿道圧値を有し、膀胱内圧が最大尿道側圧を超えると、流体が膀胱から出る。このような状況で、膀胱および/または膀胱頸部および/または三角部の神経受容体が、排尿筋の収縮を引き起こし、これはマトリキュレーションを引き起こす(頻数)か、マトリキュレーションなしに沈静化する(尿意促迫)、または膀胱内圧が最大尿道側圧を上回り、その結果、膀胱から流体が流出することになる(失禁)。このような状況で、膀胱壁に当たるか、これを拡張する、あるいはその両方である波が、膀胱炎の患者に、多大な痛みを呈することがある。
失禁は、根治的前立腺切除を経験した男性に、特に括約筋を損傷した場合に一般的である。このような患者では、膀胱の減衰は膀胱内ピーク圧力を低下させ、その結果、尿漏れが減少する。このような患者の減衰の要件は、泌尿器括約筋への損傷の大きさに応じて、例えば50から400msなどの短時間の圧力変化、および例えば500ms以上などの長時間の圧力変化を含む。
本出願の発明者は、頻数、尿意促迫、ストレスおよび切迫尿失禁および膀胱炎などの尿路障害で苦しむ患者の大多数で、膀胱機能不全の原因および/または誘因は、定常膀胱コンプライアンスではなく全身性動的膀胱コンプライアンスの低下であることに気付いた。このような患者は、往々にして、定常状態ではコンプライアンスがあるが、例えば5秒未満、場合によっては2秒未満、さらには0.5秒未満などの短い継続時間を有する外圧事象を経験した場合に、膀胱に動的コンプライアンスがなくなる。膀胱の動的コンプライアンスの低下は、往々にして加齢、使用、膨張、出産および外傷などの定常状態コンプライアンスの低下と同じ状態のいずれかによって引き起こされる。横隔膜、胃および子宮(女性の場合)子宮に関する膀胱の解剖学的構造によって、発話、歩行、笑い、着座、運動、回転、および寝返りの間に膀胱に外圧がかかる。
膀胱の動的コンプライアンスが欠損しているために、ストレス尿失禁に苦しむ患者の場合、膀胱内圧320と最大尿道側圧324との間の関係が図3に図示されている。患者が咳をする(または他の何らかのストレス事象が発生する)と、膀胱にその頻数範囲に十分な動的コンプライアンスがない場合、膀胱内圧にスパイク326が発生する。120cmHOを超える膀胱内圧スパイクが、咳、跳躍、笑いまたはくしゃみの間に尿力学的に記録されている。膀胱内圧が最大尿道側圧値を超えると、漏れが発生する。膀胱内圧スパイク中に尿を保持するために、自制した個人の尿貯留抵抗は圧力スパイクを勝るものでなければならない。尿貯留抵抗は、尿道、膀胱頸部および道の流出抵抗の寄与率の合計として単純化することができる。女性患者では、通常、最大の抵抗成分が尿道によって提供されると考えられる。尿抵抗の一つの尺度は、尿道漏れ圧力の尿力学的測定である。失禁者は一般的に80cmHO未満の尿道漏れ圧力を有する。十分な尿貯留抵抗の低下は、骨盤区域の血流低下、組織弾性の減少、神経障害、尿道筋緊張の衰退および組織の外傷など、幾つかの要素に帰されている。
実際、尿道漏れポイント圧力は、膀胱に既知の量の流体を充填し、患者が「力んで」いる間に尿道から目に見える漏れがあった場合の膀胱内圧および腹圧を測定することによって求められる(バルサルバ法)。膀胱内に減衰器具がある状態で、膀胱内漏れポイント圧力の測定値は、減衰器具が腹部のエネルギの一部を吸収するので、通常は上昇する。この場合、患者は、同じ膀胱内圧を達成するために、さらに強く押さねばならない。腹筋および尿道を囲む筋肉は両方とも、バルサルバ操作中に同時に収縮するので、膀胱内漏れポイント圧力および尿道抵抗の測定値は、減衰器具が膀胱内にある場合に増加する。
尿意促迫、頻数、過敏性膀胱としても知られる頻数、および間質性膀胱炎などの尿障害は、膀胱内の急激な圧力増加または急激な容積増加、または他の刺激性状態によって、運動神経が排尿を必要とする事象のカスケードを開始するように脳に信号を送った場合に引き起こされるか、悪化する。膀胱に加わる外圧の結果、排尿筋が収縮し、尿意促迫、頻数または失禁が生じることがある。図4A(咳で誘発された尿意促迫/頻数)および図4B(咳以外で誘発された尿意促迫/頻数)を参照されたい。図4Aを参照すると、咳事象328が、膀胱内圧320の増加を誘発し、その結果、排尿筋圧力330が増加する。排尿筋圧力330の増加は、概ね尿意促迫、頻数または失禁の増加を伴う。間質性膀胱炎または過敏膀胱状態などの尿障害は、膀胱壁の慢性的炎症状態であり、これは痛みに加えて尿意促迫および/または頻数の症状も含む。したがって、機能的にコンプライアンスがない膀胱の圧力スパイクの問題は、膀胱の収縮と尿道の弛緩とがほぼ同時であることによって、さらに悪化することがある。
本発明の特定の実施形態は、膀胱の動的コンプライアンスを測定し、報告する方法および器具を提供する。動的コンプライアンスを測定する一つの方法は、ある量の流体を膀胱に急速に注入し、膀胱内圧を即座に測定することを含む。量は50ccより多く、好ましくは100ccより多く、さらに好ましくは200ccより多い。注入速度は10秒未満、好ましくは5秒未満、さらに好ましくは2秒未満である。本発明の一つの実施形態は、膀胱内に配置された2本の内腔カテーテルを含み、コンプライアンスがあるバルーンにコンプライアンスがない物質で急速に充填し、すなわち例えば、塩水をカテーテルの一方の内腔を通して注入する。その結果の膀胱内圧を、カテーテルの他方の内腔で測定する。この注入は、シリンジ、機械的に補助したシリンジまたはポンプで実行することができる。
追加の実施形態は、低下した膀胱の動的コンプライアンスを治療かつ/または補償する方法および器具を提供する。一つの実施形態では、圧縮性要素を有する器具を、人間の膀胱内に、圧縮性要素が蓄圧器または減衰器として作用し、過渡圧力事象を減衰できるような方法で配置する。蓄圧器という用語は、通常、圧力、力またはエネルギを任意の位置で、前記圧力、力またはエネルギを前記位置から吸収かつ/またはシフトさせることによって減衰する器具を指す。減衰器という用語は圧力、力またはエネルギを消散あるいは緩和させて、該圧力、力あるいはエネルギを減衰させる装置を指す。大気、二酸化炭素および窒素などの気体は、人間の膀胱で一般的に遭遇する圧力範囲では非常に圧縮性であり、これらの気体を、膀胱に挿入する減衰器具で使用することができる。さらに、尿を囲む組織と比較すると、これらの気体は、これによる環境よりはるかにコンプライアンスが高い。比例した少量の、圧縮していない気体を加えると、この気体は尿路の自然の流体回路と直列の低定数ばねとして作用する。圧力の過渡的変化を制御する蓄圧器および方法の基本的な科学的原理に関する詳細な情報は、E.BENJAMIN WYLIEその他のFLUID TRANSIENTS IN SYSTEMSの§6、§10、§11、§13(1993年)を参照されたい。
蓄圧器は、圧力が所定の値を超えないように維持するか、低い圧力を防止するように設計することができる。蓄圧器は、急速な過渡現象、さらにシステムの比較的長期のサージに対して保護するように設計することができる。蓄圧器の一例は、システム液で部分的に充填し、頂部に空気または気体を留置した閉鎖容器である。気体は、液体と接触してよく、その場合、空気圧縮器、つまり気体供給源を使用して、空気または気体の適切な質量を維持するか、可撓膜またはピストンによって気体を液体から分離することができる。蓄圧器は一般的に、局所システム圧力で動作する。図45に図示した実施形態を参照すると、蓄圧器300の弁302が突然閉鎖すると、流れ304が空気室306に入り、空気が圧縮されて、圧力が蓄積するにつれて主要パイプライン308への流れが徐々に減少し、それによって室306、主要パイプライン308、および他の下流の配管および機器内のピーク圧力を低下させる方法を提供する。
図46に示す一つの実施形態では、単一の蓄圧器300が、任意の瞬間にその容積全体で同じ圧力を有すると仮定される。ここで、容器312内の液体310の圧縮性は、空気の圧縮性と比較すると無視可能と見なされる。慣性および摩擦が無視可能であるとすると、気体314は、可逆性のポリトロープ関係式H=Cに従うとされ、ここでHはゲージに等しい絶対水頭に大気圧水頭を加えた値であり、Vは気体の体積316、nはポリトロープ指数、Cは定数である。指数nは、容器312内の気体314が従う熱力学的プロセスに依存する。理想気体を仮定すると、一方の極値でプロセスは等温、つまりn=1になり、他方の限界で等エントロピになることができ、この場合は空気でn=1.4である。前述した値、さらに同様の値または関連した値の計算は、以上の検討を考慮に入れて、当業者によって求めることができる。
別の実施形態では、密閉されているボリュームの空気の圧縮が熱を発生し、これが身体の比較的無限のヒートシンクに散逸する。圧縮された空気によって吸収されるエネルギの残りの部分は、気体が膨張できる場合、周囲の組織が初期位置に戻るから単にこれより低い異なる周波数で流体回路に復帰する。十分な局所コンプライアンスを追加すると、膀胱内の過渡圧力スパイクを患者の漏れ圧より低いレベルまで効果的に減衰させることができ、したがって尿の容積変位によって軽減する必要をなくすか、膀胱収縮を引き起こす脳への信号刺激を防止する、あるいはその両方である。
本発明の一つの態様によると、減衰器具を人間の膀胱内に配置する。減衰器具は、膀胱内で係留解除されるよう意図されるか、数時間から1年、1週間から6ヶ月、または1ヶ月から3ヶ月の間、膀胱内に留まるよう意図される。減衰器具は、1から500cc、より好ましくは1から100cc、さらに好ましくは3から25ccの弛緩(非伸張)体積を有する小さい弾性空気セルである。減衰器具は一体構成部品であるが、2つ以上の下位構成要素で構成することができる。減衰器具は、0.25インチから0.0001インチ(6.35mm〜0.0025mm)、さらに好ましくは0.0005インチから0.005インチ(0.0127mm〜0.127mm)のほぼ均一な肉厚を有するが、大きく変動するが、それでも所期の機能を果たすように設計することができる。上述した実施形態では、膀胱内で自由に浮遊する空気セルを有する減衰器具が記載されている。本発明の他の実施形態では、空気セルまたは同様の減衰器具を、縫合糸、ステープルまたは他の許容された方法で膀胱壁に外科的に取り付けるか、粘膜下または筋肉内で膀胱壁内に配置することができる。他の実施形態は、バラスト、特定の膨張/収縮溶液、代替構造物質を使用するか、他の手段によって、プログラム可能で変動性の調節可能な浮力を有する減衰器具も含むことができる。
図5および図5Aを参照すると、膨張性容器68などの可動壁を有する減衰器具66の一つの実施形態が図示されている。膨張性容器68は、概ね円形の輪郭を有するように図示されているが、本発明によると、他の輪郭を使用してもよい。膨張性容器68の直径は、単一の減衰器具のみ植え込むことを含む本発明の用途では、約0.25インチ(6.35mm)から約6インチ(152.4mm)の範囲内で変動してよい。膨張性容器68の多くの実施形態は、約1インチ(25.4mm)から約3インチ(76.2mm)の範囲内の直径を有し、上述した範囲内の総体積となる。概して、膨張性容器68の特定の寸法および構成は、所望の容積および所望の動的圧縮範囲を有する減衰器具を生成するように選択され、本明細書の開示で当業者に自明であるように、球形から比較的平坦な形状まで変化してよい。特定の実施形態では、2個または3個以上の別個の膨張性容器68を使用する。複数の容器の容積合計は、所望の非圧縮状態の変位量と等しくなる。
図5および図5Aに図示した膨張性容器68は、減衰器具66の圧縮可能な内容を外部環境から分離する可撓性壁70を有する。可撓性壁70は、シーム78などによって相互に結合された第1構成要素74および第2構成要素76を有する。図示の実施形態では、第1構成要素74および第2構成要素76は基本的に同一であり、したがってシーム78が膨張性容器68の外周に形成される。シーム78は、熱融着、接着剤結合、溶剤結合、RFまたはレーザ溶着、または当技術分野で知られる他の方法など、医療器具結合技術で知られる様々な方法のいずれかで達成することができる。
第1構成要素74と第2構成要素76を結合して形成した可撓性壁70は、内部空隙72を画定する。本明細書の他の箇所で検討するように、内部空隙72は、気体または泡などの圧縮性媒体を有することが好ましい。厳密な圧縮以外のメカニズムで容積を減少させることができる他の媒体または構造も使用してよい。例えば、膀胱が経験する温度および圧力の範囲で、体積が大きい方の第1相から体積が小さい方の第2相へと相変化することができる物質も使用することができる。
減衰器具66の送出中の外傷を最小限に抑えるために、減衰器具は、断面が縮小した第1構成から断面が拡大した第2構成へと拡張可能であることが好ましい。したがって、減衰器具66は、第1構成にて膀胱内へと経尿道的に展開し、膀胱内に配置されたら、第2構成へと拡大して、圧力減衰機能を遂行することができる。好ましくは、第1構成にある場合の減衰器具66の断面輪郭、または大きい方の断面構成は、約24フレンチ(8mm)以下であり、約18フレンチ(6mm)以下であることが好ましい。これは、例えば内部空隙72を空にしたまま、収縮した膨張性容器68を縦軸の周囲で回転させることによって遂行することができる。
膀胱内に配置したら、内部空隙72を圧縮性物質で充填して、機能的減衰器具66を生成する。本発明の発明者は、充填圧力および容積を概ねそれぞれ約1.5気圧未満および50ml未満と想定し、例えば空気を充填した折りたたみ式減衰器具66などの幾つかの実施形態では、それぞれ0.5気圧未満および25ml未満と想定する。概して、充填圧力および容積は、圧力スパイクがない状態で減衰器具66を膨張状態に維持するのに必要な値以下であることが好ましい。減衰器具66内に過度の圧力および容積があると、減衰器具66の動的範囲を短縮し、それによって減衰圧力スパイクに対する感度が低下する。減衰を実行でいるように、減衰器具の構造が、正味力を生成するために負圧と平衡を取るのに十分である場合は、1気圧未満、さらには真空の圧力を使用してもよい。これは、例えば減衰器具66に半径方向外側へのバイアスを提供する自動拡張式支持構造(例えばニチノール線枠)を設けた実施形態で遂行することができる。
減衰器具の材料の弾性、および膨張媒体の圧力および体積は、減衰器具が圧力増加に応答できるほど十分に高速であるが、排尿に臨床学的に悪影響を及ぼさない圧縮サイクル時間を生成するのに適合することが好ましい。例えば、減衰器具の圧縮サイクルは、十分に短い期間で底をつくか、最大値に到達することが好ましい。排尿に臨床学的に悪影響を及ぼす排尿筋圧の増加が最小になるか、防止されるからである。
減衰器具66を膀胱内に配置した後、内部空隙72の充填を容易にするために、膨張性容器68に弁80を設けることが好ましい。図示の実施形態では、弁80をシーム78にわたして配置し、シーム78の形成に使用したものと同じ結合技術で、所定の位置に保持することができる。弁80は、減衰器具66が自動拡張式である実施形態では、省略してよい。
弁80は概して、自身を通る充填管を受けるための開口82を有する。開口82は、流路83によって内部空隙72と流体連絡する。流路83を通る一方向の流れを可能にするために、少なくとも1つの閉鎖部材84を設ける。この方法で、送出システムおよび充填器具を使用して、閉鎖部材84を変位させ、圧縮性媒体を内部空隙72に導入することができる。充填器具を外した後、閉鎖部材84は、圧縮性媒体が内部空隙72から流路83を通って逃げるのを防止するか、阻止する。
したがって、閉鎖部材84は、流路83を通る流出液の流れを遮断する第1方向と、流路83を通る流入液の流れを可能にする第2位置との間で動作可能であることが好ましい。閉鎖部材84は、第1方向にバイアスが付与されることが好ましい。したがって、前方への流れは、充填管などを使用して、閉鎖部材84を機械的に第2位置へと移動させるか、閉鎖バイアスを克服するのに十分な圧力を流路83内の圧縮性媒体に加えて、閉鎖部材84を第2位置へと移動させることによって遂行することができる。特定の個々の弁構造について、図8Aから図8Eに関して以下で説明する。しかし、本明細書の開示に鑑みて、当業者には明白であるように、本発明の減衰器具66には、多種多様な弁設計のいずれかを使用することができる。
一つの実施形態では、減衰器具は、厚さ0.0018インチ(0.0457mm)のポリウレタン・シートを相互に結合して、上面図で2−3/8インチ(60.325mm)の円を形成した空気セルで構成される。一つの実施形態では、減衰器具は、ポリウレタンで作成され、大気圧よりわずかに高い圧力、および50ml未満の容積、または一般的に大気圧より0.01から1psi高く、25ml未満まで膨張するように意図される。減衰器具の密封縁78と一体で、減衰器具の配置、膨張および解放に使用する口/弁80を保持する。口/弁構造80内には、剛性の充填管(外径0.050”(1.27mm))50の遠位端が配置される。使用する弁80は、米国特許第5,144,708号に開示された弁の一つを用いてもよい。別の実施形態では、減衰器具は、膨張後にその場で超音波、高周波、接着剤または熱で密封することができ、この場合は弁を省略してよい。
生体適合性の潤滑物質を使用して、導入器の内腔内への減衰器具/充填管の配置を容易にすることができる。導入器の遠位先端は、尿道組織に対して減衰器具の外傷を最小限に抑えられるように改造されている。生態適合性潤滑物質を使用して、尿道への減衰器具の挿入を容易にすることができる。
一つの実施形態では、減衰器具は、生体適合性コーティングまたは充填剤を組み込んで、膀胱壁および粘膜への刺激を最小限に抑えるか、鉱物付着物(痂皮形成)の形成を阻止する、あるいはその両方を実行する。この材料を減衰器具の表面に被覆するか、その壁の内側に組み込むことができる。
図6を参照すると、本発明により、減衰器具を例えば膀胱などの治療部位に展開する一つの送出システムが図示されている。概して、送出システム40は、最初に断面が縮小した構成で、その後に膨張または拡張するか、減衰器具の膨張を可能にし、第2移植方向に、減衰器具66(図示せず)を経尿道的に膀胱内へと前進させるように設計される。したがって、送出システム40の特定の構成および機能は、大部分が減衰器具66の具体的設計によって支配される。したがって、本明細書の開示に鑑みて当業者には自明であるように、対応する減衰器具の構造に応じて、本明細書で開示した具体的送出システムには、様々な改造および適応が望ましくなる。
送出システム40は、近位端44および遠位端46を有する細長い管状本体42を有する。管状本体42は、経尿道的に膀胱にアクセスする寸法である。したがって、管状本体42は、約8mm以下、および好ましくは約4mm以下の外径を有することが好ましい。管状本体42の長さは、展開中に尿道から送出システム42までの所望の近位側範囲に応じて変更することができる。概して、現在のところは成人女性患者の場合は約1”(25.4mm)から約10”(254mm)の範囲、成人男性患者の場合は約4”(101.6mm)から30”(762mm)の範囲内の管状本体42の軸方向長さが想定される。
管状本体42には、自身を通って軸方向に延在する少なくとも1つの中心内腔48を設ける。中心内腔48は、減衰器具66を充填するために、軸方向に滑動可能な状態で充填管50を受ける。充填管50は、近位端54および遠位端58を有する管状本体52を有する。膨張内腔60は、管状本体52の長さを通して延在し、近位側ハブ56と流体連絡する。ハブ56は、膨張媒体の供給源と結合するために、標準的なルアー・コネクタなどのコネクタを有する。
管状本体52は、近位側ハブ56が臨床医にとってアクセス可能な状態を維持し、減衰器具66を展開して、充填する機能を達成することができるように、管状本体42の軸方向長さより十分に長い軸方向長さを有する。一つの実施形態では、外部管状被覆(図示せず)が管状本体42上に担持され、管状本体52から半径方向に隔置されて、自身内に巻いた減衰器具66を受けるための環状空隙を画定する。この方法で、収縮した減衰器具が管状本体52の遠位部分の周囲で回転し、経尿道的配置中に管状被覆内で担持することができる。送出システム40が適切に配置されたら、管状本体52に対して外部被覆が近位側に後退し、収縮した減衰器具66を露出させる。膨張媒体の供給源が近位側ハブ56に結合され、媒体が遠位側から中心内腔60を通って導入され、減衰器具66を膨張させる。減衰器具66の膨張後、送出システム40は、管状本体42に対して充填管50を後退させるなどして、減衰器具66から分離される。管状本体42の遠位側止め表面47は、充填管50が近位方向に後退する場合に、減衰器具66の近位方向への動作を防止する。その後、送出システム40を患者から取り出し、膨張した減衰器具66を膀胱内に留める。
図6Aおよび図6Bを参照すると、送出システム40の改造版が図示されている。この実施形態では、制御部62が近位側延長部60によって管状本体52に接続される。制御部62は、ノブまたはピストル形の握りなど、多様な形態のいずれかでよい。制御部62は、臨床医が把持して使用し、管状本体42内で充填管50を軸方向に前進または後退させる。近位側ハブ56は、分岐部61によって管状本体52に接続される。当業者には理解されるように、中心内腔60が、分岐部61を通って近位側ハブ56へと延在する。近位側延長部60は、遮断された管状要素または中実要素を有してよい。所定の量の空気または他の媒体で充填したシリンジなどの膨張源64を、近位側ハブ56に接続することができる。
患者の快適性のために、導入器は、尿道(直径が約0.5mmから4mm)を容易に通過できるように適切にサイズ決定される。導入器の長手方向の長さに沿った挿入深さインジケータによって、臨床医に視覚的フィードバックが提供される。導入器は、臨床医が所望の挿入深さを予め設定することができる調節可能な深さ止め部も有してよい。送出システムを所望の深さまで尿道に挿入したら、次に導入器を固定位置に維持し、充填管の遠位端に装着した減衰器具を、膀胱の内腔内に延在させる。次に、減衰器具を、取り付けたシリンジまたは同様の器具から指示された量の気体で充填する。図9、図10、図11および図11Aを参照されたい。適切に膨張したら、減衰器具を充填管から分離する対向力として導入器の先端を使用して、減衰器具を充填管から解放する。充填管を後退させて、導入器の内腔へと完全に入れ、送出システム全体を次に患者から引き出す。減衰器具は、臨床医が指示した期間だけ、所定の位置に残る。
本発明の一態様は、非常に可撓性で薄い肉の器具の送出に関する。減衰器具の送出は、一般的に、適切なサイズの導入器を介して、または場合によっては内視鏡または膀胱鏡の作業路を通して遂行する。しかし、特定の場合、管状器具の柱状強さのために、このような路を通して押すことが困難になる。送出システムのさらなる要件は、非外傷性であり、組織の損傷の脅威がないことである。本発明はこのような問題に対応し、2000年4月14日に出願し、DEVICES AND METHODS FOR BLADDER PRESSURE ATTENUATIONと題した共願の米国特許出願第60/197,095号、および2000年11月27日に出願し、DEVICES AND METHODS FOR ATTENUATION OF PRESSURE WAVES IN THE BODYと題した米国特許出願第09/723,309号で開示されたような減衰器具の送出の遂行の改良である。
減衰器具は通常、例えば経尿道的に患者の膀胱に挿入するために低い輪郭を呈するように、その直径に沿って折り畳まれる。この構成で、減衰器具は、座屈せずに挿入の力に耐えるには柱状強度が不十分である。減衰器具が座屈すると、挿入することができない。挿入後、減衰器具は、これに予め装着した膨張管を介して膨張する。膨張後、膨張管が外れ、減衰器具は自由になる。例示により、本発明の様々な実施形態を、患者の膀胱に送出システムを経尿道的に挿入するという例で説明する。
図34Aおよび図34Bに示す一つの実施形態では、遠位端に丸くなった非外傷性先端を設けた有窓性管状内部部材と、滑動自在に装着された同軸の外部管状部材とで構成された減衰器具の送出システムが提供される。丸くなった先端は、内部管状部材の遠位端の所定の位置に挿入されるその近位端が、前進した場合に、窓からの減衰器具の放出を補助するように設計された「傾斜路」を基本的に呈する。送出すべき減衰器具は、その膨張管に取り付けられ、前述したように折り畳まれて、窓を通して内部被覆に引き込まれる。窓内に配置されると、同軸の外部管状部材は、前方へと滑動して、窓を閉鎖し、したがって内管の中に膀胱を入れる。
図34Aに示した実施形態を参照すると、送出システム370は、内部被覆372、滑動自在な外部被覆374、内部被覆の開口376、および非外傷性先端378を有する。図34Bに示した実施形態を参照すると、送出システム370は、後方に滑動する外部被覆374、および減衰器具380を有する。この場合、減衰器具380は、開口376を通って露出する。送出システム370は膨張管382を有し、これは非外傷性先端378を通って前進し、それによって減衰器具380を放出する。送出システム370の湾曲した傾斜路384が、減衰器具380の放出を補助する。
使用時には、送出システムの遠位端を尿道に通して、適切な深さまで挿入し、外部同軸管を内管に沿って後方に滑動させ、したがって内管の窓を露出させる。減衰器具は、膨張管を使用して前進し、内管から容易に解放される。減衰器具を膨張させ、膨張管から解放し、膀胱内に自由に浮遊させる。
図35Aおよび図35Bに示した別の実施形態では、減衰器具封じ込め管386は、単純な開口式シリンダである。減衰器具380は前述したように折り畳まれ、封じ込め管386内に引き込まれる。封じ込め管386の開放端は、尿道に対して潜在的に外傷性の縁部を呈する。このような外傷を防止するために、この場合の封じ込め管386の開放端は、丸くなった非外傷性端部378を有する。この端部378はスリット388を含み、これは、封じ込め管386を後方に滑動させると、端部378の開放を可能にし、したがって減衰器具380を封じ込め管386から展開できるようにする。減衰器具380を取り付けた状態で膨張管382が前進すると、スリット388が開き、減衰器具の展開に対してほとんど障害がなくなる。
別の実施形態では、減衰器具は、骨盤を通して経皮的に膀胱へと送出される。動脈または静脈への経皮的アクセスと同様に、針を皮膚に通して膀胱に挿入する。誘導線を針に通し、針を外して、誘導線を所定の位置に残す。送出システムおよび減衰器具を、誘導線上で膀胱に押し込む。減衰器具を展開し、送出システムおよび誘導線を取り出す。超音波を使用した誘導も使用して、膀胱への送出システムの誘導を補助することができる。
一つの実施形態では、着脱式送出システムを使用して、減衰器具を送出、展開および充填する。送出システムは、1996年1月2日に発行されたMethod and a removable device which can be used for the self−administered treatment of urinary tract infections or other disordersと題した米国特許第5,479,945号で教示されたシステムの形態をとることができる。詳細は当該文献を参照されたい。
図7Aおよび図7Bを参照すると、本発明の一態様により送出システム40から膨張式減衰器具66を展開する一つの係合解除シーケンスが図示されている。図7Aに図示されているように、送出システム40には、最初に弁80内に配置された充填管50を構成する。外部管状本体42の遠位端46は、弁80の開口82を通り抜けないような寸法にする。減衰器具66を膀胱内に配置したら、充填管50を通して減衰器具66を膨張させる。
図7Bを参照すると、充填管50は膨張後に近位方向に後退し、したがって弁80から係合解除する。これは、管状本体42の遠位端46上の止め表面47によって、減衰器具66の近位方向の動作を止めることによって遂行される。その後、減衰器具66は、送出システム40から完全に係合解除し、送出システム40を外すことができる。
図8A、図32A、および図32Bを参照すると、弁80のダックビルの実施形態が図示されている。弁80は、流路83と連絡する開口82を有する管状壁81を有する。少なくとも1つの閉鎖部材84が管状壁に取り付けられ、流路83をわたって延在する。図示の実施形態では、閉鎖部材84は、側縁90および92で管状壁に取り付けられる第1および第2ダックビル弁小葉86および88を有する。小葉86および88は、中央で遠位方向に1対の接合縁94および96まで傾斜する。この構成によって、流路83を通る前方への流れが接合縁94および96を分離し、それによって減衰器具66を膨張させることができる。膨張媒体源を外すと、減衰器具66内の膨張媒体が、小葉86および88の自然のバイアスと組み合わせられて、小葉を接合し、それによって流路83を通る膨張媒体の流出を防止する。
管状本体81および第1および第2小葉86および88は、当業者には明白である多様な材料のいずれかから製造することができる。例えば、管状本体81は、押し出し成形などでポリウレタンから作成してよい。小葉86および88は、ポリウレタン、シリコンまたはポリエチレンなどの多様な可撓性材料のいずれかから作成してよく、接着剤、熱接着、または当技術分野で知られる他の結合技術を使用して、管状要素81に結合することができる。適切な弁は、動脈瘤および動脈・静脈形成異常を充填するために、Target Therapeuticsが製造し、DSBシリコン・バルーンとして販売される弁を含む。
引き続き図8A、図32Aおよび図32Bを参照すると、減衰器具66を製造する一つの方法では、弁80を設置する前に、ブッシュ249を膨張式容器68に高周波溶着する。ここでは、溶着後にダックビル弁80をブッシュ249に結合する。減衰器具66を製造する一つの方法では、溶着中にマンドレルを設置し、その結果、管の内側に沿って気密シールされた研磨表面になる。
図8Bを参照すると、管状本体81の遠位端106上の2つの結合縁によって閉鎖を遂行する。この構造を、フラッパ弁と呼ぶこともある。この実施形態の管状本体81は、第1壁96および第2壁100によって形成され、これは第1縁102および第2縁104に沿って結合されるか、折り畳まれ、自身を通って延在する流路83を画定する、第1および第2壁96および100の自由遠位端は、その遠位端106で結合小葉を形成し、これは流路83を通る前方への流れの圧力で開き、流路83を通る逆流を阻止または防止する。
図8Cを参照すると、図8Bのフラッパ弁または他の弁構造の流路83の近位端は、強化管108などによって強化することができる。強化管108は、多様な方法のいずれかで製造してよい。例えば、強化管108は、様々な密度のポリエチレン、Pebax、ポリウレタン、または当技術分野で知られる他の材料から押しだし成形してよい。強化管108は、特に以下で検討するような収縮および取り出しシステムに結合するような構成である実施形態では、弁80への通路の開通性を維持することが望ましい。別の実施形態では、強化管108は着脱可能でよく、製造プロセス中に弁の密封を防止するために使用し、弁への充填管の配置を容易にすることもできる。この強化管108は、製造プロセスの終了後に外されるか、充填管の配置前、配置中、または配置後に外してもよい。
図8Dおよび図33Aを参照すると、上述した弁のいずれかに追加的に組み込むことができる追加の形体が図示されている。この形体の一つの実施形態では、環状密封リング110を管状本体81の内面に設ける。環状密封リング110は、充填管50とのシールを提供し、減衰器具の充填性能を最適化するような構成である。したがって、密封リング110は、シリコンまたはポリウレタンなどの弾性材料から形成し、自身を通る充填管50を滑動自在に受けるように寸法決定することが好ましい。別の実施形態では、充填管との密封は、別個の密封リング110を使用せずに開口の直径を制約することによって向上する。減衰器具66の例示的寸法が図33Aに図示されている。
図8Eおよび図33Cを参照すると、弁は、シーム内ではなく、減衰器具の本体内に配置してもよい。一つの例示的実施形態では、貫通穴258は0.062インチ(1.575mm)の直径を有する。ここでは、膨張路256は約0.063インチ(1.600mm)から0.070インチ(1.778mm)の直径を有する。弁は、Balloon with flat film valve and method of manufactureと題され、1993年9月28日に発行された米国特許第5,248,275号、およびSelf−closing valve structureと題され、1998年11月3日に発行された米国特許第5,830,780号に記載された方法を含む任意の数の方法で配置することができる。詳細はこれらの特許を参照されたい。
図33Bに図示された一つの実施形態では、弁80は充填材/栓250を有する。充填材/栓減衰器具66を製造する一つの方法では、溶着中にマンドレルを設置し、その結果、管の内側に沿って気密シールされた研磨表面になる。
減衰器具66も、膀胱から取り出し可能であることが好ましい。取り出しは、減衰器具の構造に応じて、多様な方法のいずれかで遂行することができる。取り出しは、経尿道的に遂行することが好ましい。一つの実施形態では、取り出しは、減衰器具66を第2拡大輪郭から第1縮小輪郭へと縮小させることによって遂行され、したがって取り出しシステムによって経尿道的に引き出すことができる。取り出しシステムは、第2輪郭から第1輪郭への縮小が収縮によって、または圧縮によって遂行されるかに応じて、異なるように構成される。膨張式減衰器具66の取り出しに使用する取り出しシステムの一つの実施形態については、図12に関して以下で説明する。
別の実施形態では、取り出し手順は、減衰器具66の材料または材料の一部をその場で溶解するか、分解することを含む。減衰器具66の材料の選択および肉厚は、減衰器具66の所望の有効寿命を提供し、その後に膀胱の水性環境中で溶解するように最適化することができる。一つの実施形態では、溶解または収縮は、pHの変化または膀胱への開始剤または加速剤の導入、または減圧などの加速事象によって触媒作用を及ぼすか、加速することができる。
所定の滞留時間を有し、その後に自動的に排泄される減衰器具は、取り出し手順の必要がなくなるので有利である。このような一時的な減衰器具は、生体吸収性または透過性材料を使用するなど、本発明による多様な方法で製造することができる。一つの実施形態では、膨張式容器68の壁全体を、吸収性材料から作成する。本明細書では、「吸収性」とは、本明細書で言及した目的を達成するために、化学的メカニズムに関係なく、溶解、分解、吸収、または他の方法で散逸する任意の材料を意味する。別の実施形態では、可撓性壁70の一部、または弁などの減衰器具の他の部分を、吸収性材料から作成する。減衰器具の1つまたは複数の窓または「溶融」構成要素が吸収されるとすぐに、減衰器具はその結果の開口を通して収縮し、通常の排泄中に排出することができる。さらに別の実施形態では、シーム78などの1つまたは複数のシームを、膀胱の水性環境内では所定の時間の後に作用しなくなるよう設計された溶解性または吸収性材料によって結合することができる。
上記の時間が制限された実施形態のいずれかから生じた収縮構成要素は、その後、通常の排泄中に排出するか、取り出しシステムを使用して取り外すまで、収縮した状態で膀胱内に留まることができる。一つの実施形態では、膨張式容器68の材料または一部は、気体透過性材料から作成する。気体が膨張式容器から散逸するにつれ、自然に排泄する能力が向上する。一つの実施形態では、減衰器具を約20mlの気体で充填し、減衰器具の材料によって、約15mlの気体が例えば1、6または12ヶ月などの特定の時間隔にわたって減衰器具から浸透して出ることができる。残った体積が約5ml未満になると、減衰器具は正常に排泄される。
膀胱内の所定の滞留時間は、吸収性材料の処方および物理的形状、吸収性構成要素の厚さおよび表面積など、様々な設計要素から影響される。本発明に使用できる様々な吸収性ポリマは、吸収性縫合糸の技術分野で知られている。例えば、DEXON縫合糸(グリコライドホモポリマから作成し、コネチカット州DanburyのDavis & Geckから市販されている)、VICRYL縫合糸(グリコライドとラクチドの共重合体から作成され、ニュージャージー州SommervilleのEthicon,Inc.から市販されている)、およびPOLYSORB縫合糸(これもグリコライドとラクチドの共重合体から作成され、コネチカット州NorwalkのUnited States Surgical Corporationから市販されている)などの吸収性マルチフィラメント縫合糸が、産業で知られる材料を例示し、短期間で吸収可能な縫合糸として特徴付けられる。短期間で吸収可能な縫合糸という分類は、概して、植え込み後3週間で元の強度の少なくとも約20パーセントを保持する外科用縫合糸を指し、縫合糸の大部分が、植え込み後約60から90日以内に基本的に身体に吸収される。
特定の生体吸収性エラストマも、本発明による減衰器具またはヒューズを形成するために使用することができる。エラストマは、例えば押し出し成形などによって溶融処理し、薄板、栓、または管状構造を準備することができる。一つの実施形態では、共重合体を射出成形して、複雑な設計の部品を作成するか、圧縮成形して薄膜を調製することができる。このような溶融処理技術の詳細については、例えばF.RodriguezのPrinciples of Polymer Systemsの第12章(McGrawHill、1970年)を参照されたい。
生体吸収性エラストマは、流し込んで薄膜を調製する溶液とすることもできる。溶液流し込みは、最初に共重合体を適切な溶剤内で溶解させて、溶液を作成し、次にガラス板上に溶液を流して、薄膜を作成し、次に溶剤を流延薄膜から蒸発させるなど、従来通りの方法を使用して遂行することができる。別の処理体系では、共重合体を凍結乾燥して、発泡体を調製することができる。凍結乾燥は、最初に共重合体を適切な溶剤に溶解させ、溶液を凍結して、次に真空中で溶剤を除去することによって遂行することができる。適切な溶剤のセットはp−ジオキサンを含む。薄膜を調製する凍結乾燥技術は、Louis ReyのAspects Theoriques Et Industriels De La Lyophilization(1964)に記載されている。
特定の生態吸収性エラストマが、Absorbable elastomeric polymerと題され、2000年9月5日に発行された米国特許第6,113,624号で開示されている。詳細は当該文献を参照されたい。そこで開示されたプロセスによると、2段で1つの反応容器、2温度のプロセスを使用し、ここではp−ジオキサン単体とp−ジオキサンホモポリマの混合物を約100℃から約130℃、好ましくは110℃の低温で形成する。次に、混合物を約120℃から約190℃の温度でラクチドと反応させて、共重合体を形成し、そのセグメントまたはシーケンスは、p−ジオキサンとラクチド双方の反復単位で構成される。このようなセグメント化された共重合体は、当技術分野で以前から知られるブロックまたはグラフト共重合体ほど結晶質ではないと言われ、したがって良好な強度であるが、ブロック共重合体よりBSR(「破壊強度保持」)輪郭が短く、吸収速度が速く、伸張度がはるかに大きく、剛性が低い材料になる。当技術分野では、特に吸収性整形外科用ねじまたは締結具で使用するために、多様なポリ乳酸およびポリグリコール酸の共重合体も知られている。
理想的材料は、減衰器具の設計および所望の滞留期間を考慮に入れて、日常的な実験で最適化することができる。減衰器具は、所望に応じて例えば15日、30日、45日、90日、180日など、時間で等級を付けることができる。収縮および/または部分的に溶解した減衰器具は、植え込み時から定格期間が尽きて数日以内に経尿道的に排出される。
図12を参照すると、本発明による膀胱内取り出しシステムの一実施形態の側面略図が図示されている。この取り出しシステムは、本明細書で検討した膨張式減衰器具を回収するような構成である。取り出しシステム150は、近位端154と遠位端156との間に延在する細長い管状本体152を有する。管状本体152は、膀胱に経尿道的にアクセスする寸法にする。一つの実施形態では、取り出しシステム150は、約1.8mmから6.0mmの最小作業路を有する標準的な泌尿器科の膀胱鏡(例えば約14〜24フレンチ(4.667〜8mm))と組み合わせて使用するような構成である。そのために、一実施形態の取り出しシステム150は、約76cmの全長、および約60cmの使用可能な長さを有する。
管状本体152は、カテーテルおよび他の医用器具製造技術分野でよく理解される多様な技術のいずれかに従い、製造することができる。一つの実施形態では、管状本体152は、TFEなどの生体適合性材料から押し出し成形し、約0.09インチ(2.29mm)の内径および約0.01インチ(0.25mm)の肉厚を有する。
管状本体152の近位端154は、Y字アダプタ158に接続する。Y字アダプタ158は、以下で説明するような回収システムを制御するために、制御部160を担持する。図示の実施形態の制御部160は、1対のフィンガ・リング164に対して滑動自在に担持されるサム・リング162を有する。サム・リング162がフィンガ・リング164に対して軸方向に動作すると、管状本体152の遠位端156から遠位方向に延在する回収ループ166が拡大または後退する。回収ループ166は、膨張した減衰器具66を囲むような構成である。一つの実施形態では、ループ166は約27mmの拡大した直径を有し、0.016インチ(0.406mm)の直径のステンレス鋼ケーブル・ワイヤなどのワイヤを有する。
使用時には、管状本体152の遠位端156が膀胱に到達すると、ループ166が開く。ループ166は、減衰器具66の周囲に配置され、近位側の制御部160を操作して、減衰器具66の周囲でループ166を締める。減衰器具66がループ166によって確実に把持されたら、自身上に鋭利な遠位先端169を有することが好ましい収縮管168が、減衰器具66の壁を通して遠位方向に前進する。収縮管168の遠位方向への前進は、制御部172などの近位側制御部を遠位方向に前進させることによって遂行される。遠位先端169は、中心内腔(図示せず)を通して標準的なルアー・アダプタ170などのコネクタと流体連絡し、したがって空のシリンジまたは他の器具をコネクタ170と接続し、捕捉した減衰器具66の内容を排出するのに使用することができる。減衰器具66を縮小するにつれ、制御部160を操作して、潰れた減衰器具66を管状本体152の遠位端156に引き入れることができる。自身内に、または自身によって担持された縮小減衰器具66を有する取り出しシステム150を、患者から経尿道的に取り出すことができる。
本発明の精神内で、上記の取り出しシステム150に多種多様な改造を実行することができる。例えば、近位制御部160および172を組み合わせて、ピストル形の握りまたは他の構成にすることができる。コントローラ172または制御部160は、管状本体152の遠位端156の偏向を追加的に制御するか、ループ166の面の回転を制御することができる。概して、取り出しシステム150は、減衰器具66の配置を可能にし、減衰器具を捕捉して、減衰器具のサイズを縮小させ、減衰器具を膀胱から取り出すという基本的機能を遂行することが好ましい。捕捉ステップは、泌尿器科の膀胱鏡を通して減衰器具を視覚化するか、例えば光の屈曲、インピーダンス、吸引、超音波、受動的に誘導したマイクロチップ、または図21、図22、図23に関して以下で説明する磁気ロケータなどの「ブラインド」技術によって遂行することができる。
図13および図13Aを参照すると、本発明の一態様による減衰器具180の一実施形態の上面図が図示されている。減衰器具180は、概ね記載されているような膨張性本体68を有する。外部シーム78に弁80を設けてよい。この実施形態では、内部シーム182が中心領域184を画定する。外部シーム78および内部シーム182は、概ねトロイド形の膨張性容器68を画定する。中心領域184は、所望の性能特性に応じて、膜または中心開口を有する。中心の穴は、膀胱内での減衰器具の位置決めおよび配置を補助し、膀胱内の圧力波の追加的調整を可能にして、減衰器具と膀胱壁との間の表面張力によって、膀胱壁への取り付けを最小限に抑え、減衰器具が膀胱頸部にあるか、その付近にある場合に、尿が穴を通って流れられるようにすることができる。
図14および図14Aに示した一つの実施形態では、中心領域184は邪魔板186を有する。邪魔板186は、自身内に複数の開口190を有する膜188を有する。図示の実施形態では、ほぼ9個の丸い開口190を設け、それぞれが約0.2インチ(5.08mm)の直径を有する。概ね、少なくとも約9個の開口190を設け、多くの実施形態は、約1個から約1000個の間のいずれかの開口を含む。開口190の最適な数および邪魔板186の総面積に対する開口190の面積の合計は、所望の性能特性に応じて最適化することができる。開口は、丸穴、不規則な開口、スリットなど、多様な構成のいずれかを有してよい。
邪魔板186の波拡散器機能を、図15で概略的に示す。波面192は、咳、くしゃみ、笑い、物理的動作、筋肉の痙攣、または理解されるようなその他の事象など、多種多様な事象のいずれかで発生することがある。尿は、基本的に非圧縮性の水を有し、膀胱の動的コンプライアンスが低いので、波面192は膀胱を通って急速に伝播し、三角区域および尿道などの構造に衝突する。高さが80cmHO以上もある明白な過渡圧力スパイクを、通常の活動中に経験することがある。咳などの圧力事象によって引き起こされる圧力の軽減に加えて、上記で検討した減衰器具は、膀胱全体に波を分配する邪魔板を提供し、膀胱頸部に接触する収束した波面を分散し、軽減することもできる。
邪魔板186を有する減衰器具180を膀胱内に配置すると、邪魔板186が機能して、波面192の一体進行を妨害する。したがって、拡散前の波面192が邪魔板186によって邪魔されて、複数の拡散後波面194になる。その結果の拡散後波面194の合計は、基本的に拡散前の波面192と等しいが、邪魔板186によって達成される力のさらなる分散を、本発明の発明者は、膀胱内の目標組織が経験するような波面192の見かけの大きさを軽減するものと考える。
以上を鑑みて明白になるように、邪魔板186は、多様な方法のいずれかで構成し、なお所期の結果を達成することができる。したがって、図13および図14に図示した減衰器具180は、概ねトロイド形の膨張性容器を有するが、多様な他の支持構造のいずれかを使用して、有用な構成で邪魔板186を維持することができる。支持体196は、膨張性の管、ニチノールなどの弾性材料の線、または所望に応じて他の支持構造を有することができる。
本発明の特定の実施形態は、膀胱または尿道の粘膜組織と力学的に接触する器具を含む。力学的接触によって引き起こされる感覚で、神経受容体が尿道筋を引き締めて、尿道抵抗を増大させ、したがって失禁事象を軽減または解消する。
図16を参照すると、膨張性容器の種類の減衰器具66の様座マンあけ以上が図示されている。本発明の実施形態で使用する器具は、多くの形状をとることができる。場合によっては、製造目的で、コンドーム、外科用手袋の指、または子供の玩具のような浸漬成形した器具に類似した形状を有することが望ましい。しかし、他の多くの形態が、特に圧力波の緩衝、さらには圧力波の減衰を提供するために、よりよい性能を提供することもある。減衰器具に可能な形状には、ドーナツおよび内管に形状が似ているが、同サイズではないがトロイド状形状、スポーク付きホィールの形態、馬蹄形、マッシュルーム状の形態、およびバナナ状の形態がある。
本発明の減衰器具は、複数の生体適合性材料で浸漬成形または押し出し成形することができる。さらに減衰器具は、多様な多層複合材から作成するか、幾つかの異なる製造プロセスで生産することができる。ここでは、減衰器具の設計は、減衰器具を出入りする気体および水蒸気の透過性を最小限に抑えるか、抑制することを特徴とする。
任意の材料の気体および水蒸気の透過性は、材料を取り巻く状態に応じて変化する。例えば、特定の材料で構成された減衰器具は、膀胱内で、標準的な温度および圧力とは異なる気体および/または水分の透過性を有する。尿に曝露することに加えて、膀胱内環境は、休止時に約0.05psiから約0.25psiの範囲の圧力変動に曝露することを含み、過渡圧力スパイクは2psi以上にもなる。体温は通常、約98°F(36.7℃)以上であり、減衰器具は100%の湿度中に存在する。減衰器具の長期効力は、その場にある減衰器具の壁を通して流体または蒸気の交換が存在する場合、低下することがある。通常の膀胱内状態における壁の相対的不透過性は、減衰器具のコンプライアンスを失わずに達成することが好ましく、これによって本明細書の他の箇所で説明するように、膀胱のひだ内で圧縮することができる。
概して、減衰器具の壁は、少なくとも1つの気体遮断層および少なくとも1つの水分遮断層を有する。薄膜構造で入手可能な多様な気体遮断材料(例えばポリ塩化ビニリデン、エチルビニルアルコール、フルオロポリマなど)のいずれかを、減衰器具の設計に組み込むことができる。これらの材料は概ね相対的に剛性で、水蒸気透過性は高く、衝撃強さが低い。その結果、薄膜を、可撓性で水分遮断性が高く、衝撃強さが高いポリマと層にすることが望ましい。
高い水分遮断特性および任意選択で高い衝撃強さを有し、薄膜シートに形成することができる多様な比較的可撓性の材料は、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド/ポリエステル共重合体、ポリスチレン/ポリブタジエン共重合体などを含むが、それに制限されない。一つの実施形態では、少なくとも1つの層、または減衰器具全体が、遮断材料と可撓性で高い衝撃強さの材料(例えばポリウレタン/ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン/エチルビニルアルコールなど)との混合物を有する。
減衰器具は通常、2つ以上の層またはバリアを有する。例えば、減衰器具は、気体遮断層および水分遮断層を有することができる。追加の層を含んで、減衰器具の構造的完全性を向上させてもよい。一つの実施形態では、減衰器具は、気体バリアを有する外層、および水分バリアを有する内層を有する。別の実施形態では、減衰器具は、水分バリアを有する外層、および気体バリアを有する内層を有する。
減衰器具は、3、4、5またはそれ以上の層を有することができる。一つの実施形態では、減衰器具は気体遮断層、水分遮断層、および少なくとも1つの衝撃強さが高い材料で構成された1つ以上の層を有する。別の実施形態では、減衰器具は、非連続的な配置構成で構成された複数の気体遮断層を有する。さらに別の実施形態では、減衰器具は、非連続的な配置構成で構成された複数の水分遮断層を有する。複数の非連続的な遮断層を有するこれらの実施形態に関して、減衰器具の他の層は、衝撃強さが高い材料の層および/または他のタイプの遮断層を含むことができる。
壁の全体的な厚さは、最小限に抑えることが望ましく、往々にして約0.03インチ(0.762mm)以下である。壁は、約0.006インチ(0.152mm)以下であることが好ましく、一部の実施例では、厚さが約0.003インチ(0.076mm)以下である。外層は、ポリウレタン、EVA、PE、ポリプロピレン、シリコンなどの軟質で順応性がある材料を有することができ、約0.0025インチ(0.0635mm)から約0.025インチ(0.635mm)の範囲内の厚さを有する。隣接する遮断層は、厚さが約5ミクロンから約25または30ミクロンなどの薄膜に、EVOH、PVDCまたは他の材料を有する。2つの側部を相互に結合して減衰器具を作成する場合は、遮断層に結合層または繋ぎ層を設けることができる。好ましくは約0.001インチ(0.0254mm)以下の厚さのポリウレタン、EVAなどを有する繋ぎ層を使用してよい。約0.008インチ(0.0203mm)未満の層が好ましく、約0.0003インチ(0.0076mm)から約0.0005インチ(0.0127mm)のオーダーの層厚さも想定される。
減衰器具の層は、当業者に知られる幾つかの方法のいずれかで形成することができ、それは積層、同時押し出し成形、浸漬成形、吹き付け成形などを含むが、それに制限されない。以上で検討したように、減衰器具の層は、様々な材料から形成することができる。2つ以上の層を相互に積層して形成するこのような減衰器具に関して、当業者に知られている様々な異なる積層技術を使用することができ、それは加熱、溶剤、接着剤、繋ぎ層などを含むが、それに制限されない。
材料は、減衰器具が機能するためにエラストマ系である必要は全くない。しかし、本発明の実施形態に使用するために選択される材料は、選択した設計によって指示される厚さ範囲で、十分に可撓性でなければならない。減衰器具が外部圧力を受ける場合、減衰器具の材料は、その圧力を含まれる空気または圧力管理構造に伝達し、泌尿系の最もコンプライアンスが高い部材の一つとして十分に応答することができる。
図16Aは、トロイド形の実施形態を示し、これには複数の中心スポークが設けてある。図16Bは、三日月形または「C字」形の減衰器具を示す。図16Cで示すように、球形、長円、楕円または他の形状の変種のいずれかを使用してよく、ここで膨張した減衰器具の最大長さ寸法は、最小断面の約1倍から約5倍の範囲内である。図16Dは、図16Bで示すほど弓形ではない変種を示す。概して、減衰器具66は、所望の減衰機能を達成するのに十分な体積を提供し、尿道を通る流出の減少または妨害の危険性を最小限に抑えるか、解消する多様な形態のいずれかをとることができる。
図17Aおよび図17Bを参照すると、本発明による軸方向に圧縮可能な機械的蛇腹タイプの減衰器具が図示されている。過渡圧力変化を吸収する本発明の減衰器具の実施形態は、隔膜構造、剛性構造を含み、両方とも、独立した器具として、または問題の期間の壁または構造の一部として、身体の器官、室または空隙内の圧力波を減衰することができるコーティングまたは蛇腹または蛇腹状構造を有して、形状が変化し、剛性である。機械的に補助した減衰器具の一実施形態が、図17Aおよび図17Bに図示されている。図17Aは、通常は拡張した位置にある機械的蛇腹である。蛇腹内の圧力は、蛇腹が通常は拡張位置にあるように低下しているが、外部圧力が加わると圧縮される。蛇腹は、例えばマサチューセッツ州SharonのSenior Flextronics,Inc.のチタンまたはステンレス鋼などのプラスチックまたは金属から作成することができる。蛇腹は、構造内の空気圧を低下することができる材料で密封するか、覆うことができる。
この方法は、圧力の変化で体積変化が非常に大きくなるという利点を有する。本明細書で説明する空気セルの理論的限界は、この値を約25%低下させるだけであるが、この蛇腹システムは、この体積のほぼ90%まで収縮することができる。
蛇腹減衰器具200は、膜202を有し、これはアコーディオン状に折り畳み可能である。膜202は自立式か、内枠または外枠を設けることができる。枠は、蛇腹の縦軸と平行に整列した単純なばね、または当技術分野で理解されるように、軸方向に圧縮可能な線パンタグラフのような旋回自在に動作可能な構造など、様々な構造のいずれかを有してよい。
図18を参照すると、本発明による機械的に補助された減衰器具210が図示されている。この実施形態では、閉じた端部214、216を有する圧縮性管状壁212が、自動拡張式管状枠218によって支持される。腹部大動脈瘤グラフト技術分野でよく知られている「ジグザグ」ワイヤ・フレームなど、様々な自動拡張式管状または球形枠構造のいずれかを使用することができる。腹部大動脈瘤グラフトの用途は、通常、比較的大きく、半径方向外側に向いた力を必要とするが、本出願は、比較的小さい圧縮力(つまり小さい半径方向の力)で圧縮可能であることが好ましい。これは、比較的小さいゲージで、グラフト当たりの線が少なく、隣接する頂点を相互に未接続のままである線を使用するか、線ケージの半径方向の力を低下させる他の技術によって遂行することができる。線ケージまたは他の支持構造は、バルーンなどの不透水性膜で囲むことが好ましい。このようなバルーン内の圧力は、1気圧未満でよい。
図19Aおよび図19Bを参照すると、本発明の膨張性減衰器具66の別のレイアウトが図示されている。図19Aに図示されたこの実施形態では、複数の減衰器具67が共通の流路65によって接続され、したがって複数の減衰器具67を1つの充填口を通して膨張させることができる。図19Bに図示された別の実施形態では、複数の自動拡張式減衰器具が、縫合糸、ニチノール線、または他の係留具によって接続され、それにより所望の膨張した総体積の減衰器具で、断面輪郭を最小限に抑えるか、一定の断面輪郭を維持する、あるいはその両方を実行する。
図20から図23は、膀胱鏡を使用せずに「盲目」回収を可能にする磁気位置決めシステムを示す。膀胱から減衰器具を取り出すには、減衰器具の膀胱内捕捉、収縮、および抽出のために、取り出しシステムを尿道に挿入する。取り出しシステムは、磁石を含む減衰器具が取り出しシステムへと確実に予想通りに引きつけられ、結合するように配向された極性および磁束路を有する磁石を使用する。取り出しシステムは、後部が減衰器具に結合され、減衰器具は、取り出しシステムの遠位端に配置された生検鉗子のあご部(または器具の分解に適した他の解決法)を使用して穿孔し、収縮させる。一つの実施形態では、残留気体を、膀胱内に、または回収体を通して受動的に排気することができる。収縮したら、減衰器具は、取り出しシステムに取り付けた尿道を通して引き出すか、尿の流れの一部として膀胱を出るようにすることができる。
したがって、図20を参照すると、本明細書で既に説明したように、膨張性バルーン229などの減衰器具230が図示されている。減衰器具230に、弁232および位置決め要素234を設ける。位置決め要素234は、好ましくは直接的に視覚化する必要なく、減衰器具230を位置決めできる様々な構造のいずれかでよい。
図示の実施形態では、位置決め要素234は1つまたは複数の磁石236である。図21に図示した実施形態では、磁石236は流路83を囲む環状リングを有する。磁石236の極性とは反対の極性を有し、これに対応する磁石238を、カテーテル240の遠位端に設ける。カテーテル240を減衰器具230の近傍に配置すると、反対の極性の磁石236と238の引力によって、カテーテル240は、図22で示すように減衰器具230に結合される。
図22を参照すると、位置決め要素234がカテーテル240に結合すると、少なくとも1つの内腔242が減衰器具230をカテーテル240と流体連絡させる。この内腔242を使用して、膨張媒体を導入するか、膨張媒体を減衰器具230から除去することができる。図22では、弁232は玉弁であり、これは閉方向にバイアスがかかる。しかし、本明細書の他の箇所で開示した他の弁のいずれにも、本明細書で開示したメカニズムおよび構造を使用することができる。図22に示した一つの実施形態では、弁アクチュエータ234が内項242を通って遠位方向に前進し、弁232を変位させて、膨張媒体の注入または除去を可能にする。所望の量の膨張媒体を注入または除去した後、弁アクチュエータ234を近位方向に後退させ、弁が自身のバイアスで閉じるようにすることができる。図23を参照されたい。
対向する磁石236および238を、位置決め構造としてのみ使用することができ、したがって追加のロック要素(図示せず)を使用して、カテーテル240を減衰器具230にロックすることができる。これは、2個の磁石間に形成される結合の強度が、充填または除去ステップ中に減衰器具230をカテーテル240に結合したままでおくには不十分である場合に望ましい。また、減衰器具230を収縮させた後、カテーテル240は通常、本明細書の開示に鑑みて当業者には自明であるように、減衰器具230を回収するために、減衰器具230への比較的強力な結合が必要になる。
本発明の一つの態様によると、取り出しシステムには、その遠位端付近に1つまたは複数の超音波変換器を設ける。空気を充填した減衰器具は、空気と水との境界で達成される反射と同様に、超音波信号を強力に反射する。遠位先端が収縮可能でおよび超音波機能を有する取り出しシステムは、膀胱を通って進み、視認することなく、減衰器具を位置決めできねばならない。取り出しシステムには、追加的に2つ以上の対向する機械的把持具などの把持要素および/または吸引力を使用して減衰器具の表面に取り付ける真空内腔を設けることができる。取り付けると、減衰器具に貫通し、経尿道的に引き出すことができる。
本発明の別の態様によると、使用の過程で複数の形状をとることができる減衰器具が提供される。例えば、減衰器具は、導入するために完全に収縮し、導入後に様々な程度まで膨張させることができる。減衰器具は、バラスト積み、または診断、治療または信号発信用物質の追加などの目的のために、2次的または複数の封じ込めセルの膨張/収縮によって調節することができる。これは、単一の内腔、ポート付き構造またはその組み合わせを複数回使用するか、複数のそれを1回使用することによって実行することができる。
本発明の別の態様によると、減衰器具またはアキュムレータの送出システムおよび取り出しシステムは、2つの別個の器具である。別の実施形態では、1つの器具を使用して、送出システムおよび取り出しシステムを実現する。さらに別の実施形態では、送出システムと取り出しシステムとで異なる遠位端を有する1つの器具を設ける。
本発明の別の態様によると、内視鏡を使用して、器具(つまり減衰器具、アキュムレータなど)を発射し、回収することができる。
本発明の別の態様によると、送出システムの遠位先端は、器具の送出および/または放出を容易にするために、直線であるか、予め湾曲する、可鍛性、または(例えば引っ張りワイヤによって)操縦可能でよい。
本発明の別の態様によると、充填管からの減衰器具の分離は、尿道または膀胱頸部を力学的に抵抗力がある体として使用して遂行することができる。
本発明の別の態様によると、送出システムは、1つの管状要素、一連の同心管状要素、一連の非同心管状要素、押し出し成形した要素、螺旋状に巻いた誘導線要素、または所望の機能を提供するような方法で配置された前述の要素の組み合わせで構成することができる。
本発明の別の態様によると、刺激の問題は、潤滑性および尿路に存在する物質の付着を阻止する能力などの特性を修正するために、減衰器具の全体または一部を物理的または化学的に変更するコーティングまたは充填剤を使用することによって対応する。例えば、硫酸化多糖類などの物質を、患者への導入前、導入中、または導入後に使用してよい。また、一意の表面特性を有する複数の構造物質も、この目的に使用することができる。
本発明の別の態様によると、減衰器具は、内側から外側までの距離にまたがり、所定の期間にわたって尿路状態に曝露した後、減衰器具の収縮または分解を可能にする腐食性物質を配置することができる入口を含む。この方法は、減衰器具の1つまたは複数の室から1つまたは複数の治療、診断または信号発信用物質をプログラム通りに塊で放出するためにも使用してよい。
本発明の別の態様によると、減衰器具は、プログラム可能で自動調節式または生理学的または非生理学的な刺激に反応する弁/口を装備する。所望の反応を誘発するために、遠隔測定法、物理的接続、または遠隔信号発生を使用することができる。
本発明の別の態様によると、減衰器具は、尿路内の物理的力を受け入れ、捕捉かつ/または変換して、連続的または塊状の体裁にて、減衰器具の境界の外側にある物質の積極的変位のため、減衰器具内の部位を励起する。
本発明の別の態様によると、減衰器具の密封縁に関連しない口/弁が提供される。
本発明の別の態様によると、減衰器具から延在し、尿道等から出るのに十分なだけ長い、薄くて柔軟な安全繋ぎ紐332を含む減衰器具が提供される。図24を参照されたい。繋ぎ紐は、縫合糸、カテーテルの製造に使用するような許容された材料で構築され、抗菌性特性も有してよい。一つの実施形態では、繋ぎ紐の遠位端は、繋ぎ紐全体が尿道に進入するのを防止するのに十分な嵩がある軽量ペンダント334で終了する。通常の使用中に、ペンダントは、患者の骨盤領域に一時的に取り付けることができる。繋ぎ紐は、減衰器具を取り出すか、分解するために使用することができ、繋ぎ紐は、患者が減衰器具を抽出せざるを得ないと感じた場合に、減衰器具を即座に取り出す能力を患者に提供する。
本発明の別の態様によると、複数の機能のために複数の分室で構成された室付き構造である減衰器具が提供される。図25および図25Aから図25Cを参照されたい。1次減衰器具336は、2次器具338に流体接続しても、しなくてもよい。流体接続部340は、1次減衰器具336が膀胱63内で結束されておらず、恥骨69の上に位置する間、2次器具338を尿道に入れることができるよう十分なサービル・ループを有する繋ぎ紐としても作用する。尿の圧力スパイク中、1次減衰器具336内の気体は、外部負荷に比例して圧縮される。次に、圧縮された気体は、2次器具338へと移動し、尿道に滞留して、2次器具338を比例して拡張させることができる。2次器具338の設計は、尿道の縦軸を横断して、半径方向外側に拡張することを指向し、したがって尿道の自然の半径方向内側への収縮を高める。このタイプの「オンデマンド」同期抵抗増大は、他の形体の受動的または患者が制御する増大システムよりはるかに効果的なことがある。本発明のこの実施形態の別の利点は、半径方向外側への同期の力が、尿道内の2次器具の位置安定化に役立つことである。受動的器具は、常に最大圧出力に抵抗するのに十分な一定の保持機能(力または組織の変位)を維持しなければならない。このレベルの保持は、患者の不快感につながり、長期的な組織の損傷を引き起こすことがある。
図25Bを参照すると、圧縮力(Fcomp)342は、進入力(Fingress)344と進出力(Fegress)346の合計に等しい。図25Cを参照すると、膀胱内圧348は、急上昇時間と急下降時間を呈する。2次器具の圧力350は、急上昇時間と遅い下降時間を呈する。図26は、減衰器具が膀胱内圧に及ぼす効果を示す。ここでは、減衰器具がある膀胱内圧352は、遅い上昇と下降時間を呈し、80cmHOの漏れ圧力より低く維持される。これは、漏れ圧力を超える膀胱内圧354とは対照的である。
図27を参照すると、一つの実施形態では、減衰器具66を膀胱壁356に係留する。図28に示す別の実施形態では、減衰器具66は、経尿道的に配置された動的コンプライアンスがある測定用カテーテル358の一部である。本発明の他の実施形態では、減衰器具は、スポーク3本の小さい自動車用ハンドル、または回転するトロイド形宇宙ステーションに似ている。図16Aを参照されたい。外部リングは減衰器具を含み、内側に放射するスポークは、流体導管および2次器具を取り付けるための機械的支持部を提供する。減衰器具は、位置の安定性を補助するために、1つまたは複数の形状保持超弾性線部材も組み込んでよい。2次器具は、直径が小さい血管形成器具の遠位先端区間に類似し、中心ハブに取り付けてもよい。
本発明の別の態様によると、2次器具の膨張/収縮反応は、設計で調整することができる。例えば、2次器具は可能な限り迅速に膨張するが、次の咳、くしゃみ、または突然の力学的衝撃から保護するために、収縮/膨張サイクルに応答遅れを誘導すると有利である。
本発明の別の態様によると、例えば腹腔などの治療部位内に植え込み、膀胱に液圧または空気圧で接続するか、膀胱壁の構成要素として設置することができる圧力補償器または膀胱トレーナが提供される。器具は、圧縮性の要素を腹部の力から保護するために、剛性の外部被覆で構成される。この実施形態の機能は、臨床的傷害の治療時の経膀胱的圧力を管理するばかりでなく、筋緊張、コンプライアンスを増加させるか、膀胱の神経筋要素に影響を及ぼすために、膀胱の内外に圧力波を誘発することもする。
これまで、本発明の実施形態を、人間の解剖学的構造内で使用するために説明してきた。当業者に理解されるように、本発明は人間への使用に制限されず、本明細書で開示した本発明の適切に拡縮したタイプは、哺乳類の家庭用ペットを含むが、それに制限されたい他の動物にも臨床的有益性を提供するために使用することができる。
本発明の実施形態あるものは、先行技術の器具に対して大きな利点を提供する。これらの利点は、膀胱の機能不全に関連する事象を大幅に減少させること、正常なコンプライアンス以外で膀胱を保持する能力、減衰器具の操作または保守に患者の介入を必要としないこと、患者が普通の方法で排尿できること、膀胱と尿道との遠位端との間に感染源となる導管がないこと、減衰器具が原因する感覚が最小であること、製造費が安いこと、既存の治療と比較して、患者にとって費用効果が高い解決法であること、および臨床医にとって設置および取り出しが容易であることを含むが、それに制限されない。
本発明の一つの態様によると、膀胱の動的コンプライアンスを測定する器具および方法が提供される。一つの実施形態では、器具を充填管/導入器と組み合わせて使用し、膀胱の動的コンプライアンスを測定することができる。充填管の1つの内腔を使用して、急速に器具を膨張させながら、第2内腔を介して膀胱の圧力測定を実行する。一つの実施形態では、体積を約0.5秒から10秒の期間に少なくとも約30ccまたは50cc、最大で200ccにも拡張させて、膀胱の動的コンプライアンスを測定する。
本発明の別の態様によると、所定の位置に所定の特性を有する圧力波を導入することにより、膀胱組織を保持することによって膀胱の動的コンプライアンスを回復する方法および器具が提供される。
本発明の別の態様によると、規定された圧力事象に関連して臨床的治療をプログラム通りに施す方法および器具が提供される。本発明は、フォーリ・カテーテル、1998年10月9日出願でIntravesical infuserと題した国際特許第WO1998US0021368号(その開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されたような膀胱内注入器、または尿道ステントの端部などの他の膀胱内器具に追加して、送出を容易にしたり、複数の症状を治療したり、いずれかの器具の性能を向上させたりすることができる。例えば、減衰器具は、膀胱内注入器との組み合わせで作業して、膀胱内の圧力事象に対して薬物の放出のタイミングをとる。
本発明の別の態様によると、減衰器具内に圧力変換器および遠隔測定器具を配置することによって、外部との接続をいっさい必要とせずに膀胱内圧を測定する非外傷的方法が提供される。これは、変換器を膀胱内に固定するので、変換器を膀胱壁に取り付ける必要がない。
本発明の実施形態は、膀胱内器具に制限されず、次に検討するように、身体の他の器官の圧力遷移を制御する器具および方法も含む。
容器360内の管状減衰器具66を示す図29を参照すると、本発明の一つの実施形態は、平均動脈圧、収縮期圧および/または拡張期圧を低下させることによって、正常または極端な生理学的事象の拍動力に曝露することによる損傷から心臓および/または脈管構造を保護するために圧力波を調整する心臓血管用途に使用するよう意図される。減衰器具は、心臓の壁、主要動脈、または心臓の左心耳(図30Aおよび図30B参照)に配置して、腎不全、卒中、心臓発作、失明の危険性を軽減することができる。図30Aを参照すると、一つの実施形態では、エア・セル減衰器具66を心臓の左心耳に配置する。図30Bを参照すると、一つの実施形態では、蛇腹式減衰器具66を左心耳に配置する。
減衰器具は、心臓の右側またはその中、または肺動脈内に配置して、持続的な原発性高血圧の症状を緩和することができる。減衰器具は、大静脈の壁の中など、脈管系の静脈側に配置するか、大静脈の中のグリーンフィールド・フィルタに取り付けて、門脈高血圧および/または食道静脈瘤を防止することができる。エア・セルなどの減衰器具は、脈管構造内に配置するために、ステントに取り付けるか、これを取り囲むことができる。
別の実施形態では、減衰器具を胆嚢で使用して、その圧力を調整することができる。胆嚢内の圧力は、結石の形成または患者への痛みなど、望ましくない事象を引き起こすことがある。減衰器具は、鼻腔栄養チューブの端部で食道内に配置し、痙攣を制限することもできる。図31を参照すると、減衰器具66は、腸364に配置して、過敏性腸症候群を治療するか、ちくでき病、痙攣、または蠕動運動から生じる他の障害を最低限に抑えることができる。
別の実施形態では、減衰器具を、外傷事象後の治癒中に頭蓋顔面楚々器を支持するために、減衰器具を眼科の分野に使用するか、急性閉塞隅角緑内障の治療として眼中で使用する。さらに別の実施形態では、減衰器具を、整形外科の分野で植え込み式システムまたは外部システムとして使用し、圧力波から保護して、外傷事象後に癒合する骨の位置を制御する。さらに別の実施形態では、減衰器具を、耳鼻咽喉科の分野で、耳、鼻おおび喉およびその周囲など、洞の圧力波を管理するために使用する。別の実施形態では、減衰器具を肺に配置して、例えば喘息、気管支痙攣などの障害を治療するか、肺気腫患者の脆弱な肺組織などで咳による損傷を防止する。さらに別の実施形態では、減衰器具を使用して、例えば頭部外傷、脳水腫、水頭症などの中枢神経系(「CNS」)の問題を防止する。ここでは、減衰器具を頭蓋骨下の硬膜外ポケットに配置することができる。
本発明の一つの態様によると、膀胱および/または身体の他の器官に配置し、圧縮性物質で充填するか、それを含み、圧力補償を提供するエア・セル状減衰器具が提供される。また、圧力事象を監視し、予め決定した方法で応答して、その情報を体外で記録するか、転送するため、能動的でプログラム可能な圧力補償器も考えられる。また、腐食性または変形性の支持基質または構成材料および/またはプログラム可能または応答性の弁システムを使用して、作用物質を身体の器官にプログラム通りに放出または分配するために、確実で保守が要らない治療用送出システムについて説明する。
本発明の一つの態様によると、弁を有する圧縮性減衰器具が提供され、弁によって充填器具を通して減衰器具を充填することができながら、それでも充填器具を外した後の減衰器具の収縮および/または追加的充填を阻止する。図36および図37に示す一つの実施形態では、弁80は、2つの相補的表面、つまり外部カバー280と下にある層284との間の境界面にある2つの平行な溶着部281、283によって形成される。弁80は実際には、充填器具が外されても折り畳んだ位置のままである折りたたみ可能な空気流通路であり、それによって減衰器具66内の圧力が減衰器具のすぐ外側の圧力より大きい場合に、収縮を防止し、外部圧力が減衰器具66内の圧力より大きい場合に、充填器具66の追加の充填を避ける。外部カバー280および下にある層284は、減衰器具の内部圧力とすぐ外側の圧力との関係にかかわらず、相互に付着する2枚の平坦な薄板として機能する。一つの実施形態(図示せず)では、1つまたは複数の接着材料または医用器具設計の技術分野で知られる一般的なロック機構を使用して、充填器具を外した後に弁80を閉鎖することができる。充填器具が入口点82で弁に入ると、減衰器具を、弁80と減衰器具66の内側との境界面282など、入口点82の内側のいずれかの点で、解放および/または充填することができる。この実施形態の弁は、Check valve for fluid bladdersと題され、1992年9月8日に発行された米国特許第5,144,708号で提供された開示に従って構築することができる。詳細は当該文献を参照されたい。
図38に示す別の実施形態では、弁80が2つのダックビル構造を含み、これは相互に反対に面し、それによって充填器具を通して減衰器具を充填することができるが、充填器具を外した後に、減衰器具の収縮および/または追加の充填を避けることができる。弁80は概ね管状壁81を有し、これは流路298と連絡する開口82を有する。弁は、管状壁81に取り付けた2組の第1および第2ダックビル弁小葉86、88、290、292を有する。膨張媒体の供給源を外した後、減衰器具66内の膨張媒体は、小葉86および88の自然のバイアスと組み合わせられて、小葉を係合させ、それによって流路83を通る膨張媒体の流出を防止する。また、小葉290および292の自然のバイアスにより、小葉が接合し、それによって媒体の追加の流入を防止する。管の内部区間294は、減衰器具の内圧と等しい圧力を有し、流路298の外側部分は、すぐ外側の圧力と等しい圧力を有することに留意されたい。管の中央または中性区間296は、管状壁によって画定され、2つの反対に面するダックビル構造は小葉86、88、290、292によって画定される。
本発明の別の態様によると、収縮した第1構成から少なくとも部分的に膨張した第2構成へと膨張することができる植え込み可能な自動膨張性圧力減衰器具が提供される。様々な変形可能な媒体を使用して、減衰器具のハウジングを収縮した構成から少なくとも部分的に膨張した構成へと膨張させることができる。
図47Aから図47Cを参照すると、一つの実施形態では、変形可能な媒体は第1反応体432および第2反応体434を有する。ここでは、植え込み可能な自動膨張式圧力減衰器具430(収縮した第1構成で図示)が概ね第1反応体432および第2反応体434を有し、これは相互から物理的に分離される。第1反応体432が第2反応体434と接触すると、減衰器具430内で化学反応が生じ、それによって減衰器具430が少なくとも部分的に膨張した構成(図示せず)へと変形する。
図47Aを参照すると、一つの実施形態では、第1反応体432が、バルーンまたは容器436に含まれ、これは減衰器具430内に完全に含まれ、自由に移動する。容器436は概ね反応体432、434が不浸透性であり、当業者に知られる任意の適切な材料を含むことができる。容器436の材料の適切性は、反応体432、434の化学的特性によって決定される。図47Bに示した別の実施形態では、反応体432、434は減衰器具430内で壁438によって区分され、分離される。壁438は反応体432,434を透過させない、当業者周知の材料で構成される。壁438の材料の適切性は、反応体432、434の化学的特性によって決定される。図47Cに示したさらに別の実施形態では、減衰器具430は折り目440を有する。折り目440は反応体432、434を分離し、それによって膨張/収縮が望ましく、使用者によってトリガされるまで、このような膨張/収縮反応が生じるのを防止する。さらに別の実施形態(図示せず)では、反応体432、434が減衰器具430内で当業者に知られている可剥性接着剤、折り線および/または同様のものによって分離される。
一つの実施形態では、変形可能な媒体は、気体を発生する組成を有する。本発明により、様々な組成を使用して気体を発生させることができる。1クラスの組成は、二酸化炭素を生成する塩基と酸の組み合わせである。酸と塩基は乾燥した形態で組み合わせ、水中で同時に溶解した場合のみ反応する。適切な遠位の例は、水溶性炭酸塩および重炭酸塩であり、その非制限的な例は、重炭酸ナトリウム、加熱処理した重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、および炭酸アンモニアである。適切な酸の非制限的な例は、クエン酸、酒石酸、酢酸、およびフマル酸である。現在好ましい一つの組成は、重炭酸ナトリウムとクエン酸の乾燥混合物である。複数の酸成分または塩基成分を含む組成も使用することができる。
気体発生は、例えば流体との接触、温度変化、点火、pHの変化など、様々な方法で開始することができる。一つの実施形態では、発生する気体の量が、エア・セルを通して散逸する体積の量と等しく、これによって気体発生材料が尽きるまで、一定体積の容器が可能になる。
気体発生の量および速度は、例えば反応材料または反応体の量、構造内に捕捉した気体量、または化学物質の一方または両方の水中での溶解性など、特定の要素によって制御することができる。リパガーゼとタブレットのシステムを有する一つの実施形態では、リパガーゼによってタブレットに送出する際に使用可能な水は、限られた量の反応体およびその結果の1つまたは複数の反応生成物しか溶解しない。したがって、反応は、限られた量の使用可能な水の中にある化学物質の可溶性によって制限される。これによる水の送出速度が、反応速度を制御する。水100グラム当たりの適切な反応化学物質の可溶性の例は、以下の通りである。つまり、約10gの重炭酸ナトリウム、約200gのクエン酸、約20gの酒石酸、約0.7gのフマル酸である。制限された可溶性、およびリパガーゼをとおる制限された水の送出速度のため、注入器具の使用前または使用中に、酸と塩基を分離しておく必要がなくなる。
触媒、つまり別の化学薬品種または反応の副産物の一つが、反応を伝播させ、その速度を上げられることが、さらに理解される。重炭酸ナトリウムとクエン酸の場合、副産物は二酸化炭素、クエン酸ナトリウム、および水である。例えば0.1mlから0.5mlなどの非常に少量の水を使用し、炭酸ナトリウムとクエン酸を溶解することによって、反応を開始することができる。反応にて水が生成されるので、全ての反応体が尽きるまで、反応速度が上昇する。
製造の補助として、反応体組成に1つまたは複数の不活性物質を追加して、タブレット化プロセスを補助して、使用中および使用後にタブレットを無傷のままで維持することが望ましい。適切なタブレット化の補助の例は、Edward Medell Co.(米国ニュージャージー州Patterson)からEMCOMPRESS.RTMとして販売されているポリビニルピロリドンおよび無水二塩基性燐酸カルシウムである。タブレット化の補助は、性能を失うことなく特定の組成については省略することができる。一つのこのような組成は、重炭酸ナトリウムとクエン酸の混合物である。
酸素または他の気体を発生する化学組成も使用することができる。水の存在時に酸素を発生する組成は、Method for Preparing granulated perborate salts containing a polymeric fluorocarbonと題した1983年9月20日発行の米国特許第4,405,486号で開示されている。詳細は当該文献を参照されたい。このようなタブレットへリパガーゼで排出する水量を制御し、成分の可溶性が制限されるので、上述したシステムにおける二酸化炭素と同様の方法で、酸素の放出速度が制御される。
別の実施形態では、変形可能な媒体が、過酸化物および/または超酸化物化学物質系を有する。特定の実施形態では、気体は過酸化物または超酸化物の水溶液を、酵素または触媒を含む吸収性タブレットに引き込んで発生させ、これは酸素ガスなどの分解生成物への過酸化物または超酸化物の分解を促進する。別の実施形態では、固体の過酸化物または超酸化物をタブレットに組み込むことができ、酸素の発生は、過酸化物または超酸化物と水との接触によって開始する。例えば過酸化水素は水と酸素に分解され、液体の注入が終了した後に有害な反応生成物がない。例えば過酸化リチウム、過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、および過酸化亜鉛などの過酸化金属が水と反応して、水酸化金属と過酸化水素を生成し、これは次に水と酸素に分解する。例えば超酸化ナトリウム、超酸化カリウム、超酸化ルビジウム、超酸化セシウム、超酸素カルシウム、超酸化テトラメチルアンモニアなどの超酸化物は、水と反応して、水酸化金属と酸素ガスを直接生成する。過酸化水素自体を生成することが特に好ましいことが分かる。
一つの実施形態では、適切なタブレットは、毛管作用を容易にする水溶性材料、および酵素および触媒を使用する場合はシステムの酵素または触媒を含む。この目的にとって有用な吸水物質は、高吸水性樹脂、再生セルロース系材料、圧縮したゼオライト粉末(タイプ13Xおよび4Aで、両方とも活性化していない)などを含む。
適切な酵素の一例はカタラーゼである。凍結乾燥カタラーゼが概ね好ましい。分解に効果的な触媒は、例えばアルミナ、活性炭素など、高い表面積物質に付着した金属を含む。適切な触媒の例は、プラチナ、パラジウム、銀などを含む。
酵素または触媒ではなく化学反応体を使用して、過酸化水素を分解することもできる。このような反応体の例は、過マンガン酸カリウム、水酸化ナトリウムなどを含むが、それに制限されない。しかし、過マンガン酸カリウムおよび水酸化ナトリウムに伴う安全性の問題があることに留意されたい。
酵素と触媒の間として、酵素は1回使用のシステムで費用の利点を提供する。しかし、再使用可能なシステムの場合は、触媒が概ね好ましい。触媒を有する過酸化水素システムを使用することの一つの重大な利点は、タブレットを乾燥させ、水の容器にさらに過酸化水素溶液を追加することによって、システムを再生できることである。したがって、このタイプのシステムの再生は、吸収された気体を必要とするシステムのために吸水性タブレットの再生より容易になる。
別の実施形態では、変換可能な媒体は、流体を注入ポンプから押す気体を発生するために、効果的に使用される化学反応体を有する。二酸化炭素を生成させるために、2つ以上の反応性化学物質を混合し、これは反応すると気体を発生する。反応体の1つは液体の形態、つまり液体化学物質、溶液などで提供され、別の反応体は固体として提供されることが好ましい。液体または固体が、複数の反応性化学物質を含むことができる。しかし、一つの好ましい実施形態では、液体と固体のそれぞれが、1つの反応種しか含まない。
二酸化炭素は、低い濃度では一般に極めて不活性であり、安全である。しかし、比較的不活性で安全であれば、他の気体も使用することができる。以下の検討では、二酸化炭素を発生させるものとする。上述したように、気体を発生させるために、少なくとも2つの反応体を接触させる。理解を容易にするために、本明細書では反応体を第1反応体および第2反応体、または固体反応体および液体反応体あるいは、特定の反応体のセットを反応体セットと称する。
第1反応体。第1反応体は、炭酸塩および重炭酸塩、特にグループIおよびIIの金属炭酸塩および重炭酸塩(「炭酸塩」)で構成されたグループから選択される。例えば、一つの実施形態では、好ましい炭酸塩は重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、および炭酸カルシウムを含む。しかし、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムが非常に好ましく、炭酸ナトリウム(またはソーダ灰)が最も好ましい。炭酸ナトリウムの一つの望ましい特徴は、容易に殺菌できることである。例えば、炭酸ナトリウムは、オートクレーブなどによる熱で殺菌することができる。これが好ましいのは、本発明で使用する注入器具が、人間に使用するように設計され、患者に接触すると予想されるか、接触しないと予想されるかに関係なく、全ての構成要素が殺菌されていることを保証すると、より安全であるからである。熱、エチレン曝露、またはイオン化放射線への曝露で殺菌される他の反応体も、同等に有用である。
炭酸塩は、固体の反応体として使用するか、溶液に溶解させて、液体反応体を形成することができる。一つの好ましい実施形態では、炭酸塩を固体として使用する。このように選択する理由は、炭酸塩が全て固体であり、一部は水に控えめに溶解できるだけである。
第2反応体。第2反応体は酸であることが好ましい。酸は、酸、酸無水物、および酸性塩で構成されたグループから選択することが好ましい。第2反応体化学物質は、クエン酸、酢酸、無水酢酸、または重硫酸ナトリウムであることが好ましい。通常は、第2反応体を液体反応体として使用する。しかし、例えば酢酸および重炭酸ナトリウムの場合、第2反応体は固体反応体でもよい。それにもかかわらず、第2反応体は概ね、第1反応体より水への溶解性が高く、したがって液体反応体を形成するために使用される。
反応体セット。反応体セットは、様々な考慮事項に基づく。例えば、固体または液体反応体としてどちらの反応体を使用すべきか判断するために、第1および第2反応体の可溶性を考慮する。反応の生成物およびその可溶性についても考慮する。生成物は、COガスおよび可溶性の不活性化合物であることが好ましい。このような要素を考慮したら、適切な反応体セットを構築することができる。例えば、一つの実施形態では、表Iで示すような反応セットが好ましい。
以上その他の反応セットは、Controlled gas generation for gas−driven infusion devicesと題した1999年11月30日発行の米国特許第5,992,700号、およびMethod for generation gas to deliver liquid from a containerと題した1996年12月31日発行の米国特許第5,588,556号で開示されているので、詳細は、これらの特許をされたい。
別の実施形態では、気体を発生する方法は、加圧した気体を、糖類または多孔性分子の篩に閉じこめる。概して、構造が流体と接触すると、気体が解放される。
本発明の別の態様によると、植え込み可能な自動膨張式圧力減衰器具430を膀胱などの治療部位に送出する方法が提供される。図48Aから図48Dを参照すると、一つの実施形態では、送出システム450は二股に分岐した送出ツール452および送出カニューレ454を含む。ツール452はフォーク状の形状を有し、カニューレ454から延長し、その中に後退することができる。図示のように、ツール452の分岐部は、器具430を握るか挟み、それによって減衰器具430の第1部分444を第2部分446から分離して、第1反応体432を第2反応体434から分離するように隔置される。反応体432、434は相互に接触しないので、器具は収縮状態を維持し、それによって膀胱などの治療部位への減衰器具430の送出手順を容易にする。図48Bおよび図48Cに示した一つの実施形態では、収縮した減衰器具の第1および第2部分444、446を、ツール452の軸線に沿って巻き、それによって減衰器具430の体積を最小限に抑えて、治療部位への減衰器具430の送出を容易にする。
本発明の別の態様によると、膀胱の動的コンプライアンスおよび/または収縮性を改善する方法が提供される。
組織学。膀胱の粘膜は移行上皮で構成される。その下には、良好に発達し、大部分が結合および弾性組織で形成された粘膜下層がある。図40Aおよび図40Bを参照すると、膀胱壁の結合および弾性組織は、概ね粘膜394、エラスチン396、コラーゲン398、および筋肉400を有する。
図40Aを参照すると、大部分の組織と同様に、コラーゲン398は膀胱壁内でコイル状または複雑な螺旋形材料として配置される。コラーゲン398自体は、それほど弾性(膨張性)ではないが、コイル状の構成によって、コラーゲン束が拡張することができる。束が拡張すると(図40B参照)、解かれたコラーゲンの長さが制限サイズになる。数本のストランドのロープが捻れるのと同様に、張力が急上昇するのは、この時点である。捻れると、組み合わせたストランドが短くなる。組み合わせたストランドは、個々のストランドを伸張せずに、捻りを解くと長くすることができる。他の組織と同様に、患者の加齢につれて、エラスチン396がコラーゲン398に転換し、膀胱63のコンプライアンスが低下する。粘膜下組織の外側には排尿筋400があり、これはランダム、長手方向、円形、および螺旋状に配置された平滑筋繊維の混合物で構成される。
生理学。膀胱の機能は、上述した膀胱63の各層からの要因もある。ある時間にわたって膀胱の特性を理解する一つの方法は、膀胱内圧測定図を評価することであり、これは一つの実施形態では、膀胱63を十分に遅く連続的に充填することによって作成される。図41は典型的な膀胱内圧測定図を示す。最初に、膀胱63が空である第1相402中、弾性要素は伸張していない。ここでは、膀胱は潰れた状態であり、壁の中にある物質はいずれも拡張していない。したがって、壁の中に張力はなく、膀胱内の圧力は比較的低い。第2相404中、流体が膀胱を充填するにつれ、壁が広がり、弾性構造が伸張し始める。この時点で、多少の張力および膀胱圧力の上昇がある。膀胱が充填し続け、弾性張力が増加し続けるにつれ、半径も増加する。球のラプラースの法則(P=2T/R)から、圧力を一定に維持するために、張力と半径との比率は一定でなければならない。第3相406の間、膀胱の容量に到達するにつれ、コラーゲンおよび/または他のこれより弾性が低い物質が広がり、それ自体がストレスを受ける。その弾性率は、この点まではストレスがあるエラスチンおよび他の要素のそれより低いので、壁の張力が即座に上昇し、膀胱の流体圧力が急上昇する。ここで、体積または半径がわずかに増加すると、圧力が急変する。この伸張が生じるにつれ、神経学的要素が当てはまる。伸張に対する膀胱からの球心性インパルスが、有意の頻度で発生し始める。
治療的利点、膀胱の動的コンプライアンスを改善する方法、膀胱の収縮性を改善する方法。Solace,Inc.による実証に基づき、膀胱壁への高頻度の反復的傷害を5日から108日の期間にわたって除去すると、以下の要因により、膀胱の動的コンプライアンスが上昇し、失禁の症状が緩和される。つまり、エラスチン繊維の伸張の防止/緩和、エラスチン線のコラーゲンへの転換の減少、膀胱壁の「伸張した」筋肉が短縮でき、それによってコンプライアンスおよび膀胱壁の収縮性が改善されること、骨盤底および結合組織にかかる圧力が除去され、保持、治癒が可能になり、尿道抵抗が上昇すること、減衰器具を膀胱に配置すると、膀胱頸部および膀胱壁に受動的抵抗を提供し、筋肉を強化できることである。以上およびその他の治療的利点は、約30日から約1年持続する。膀胱のコンプライアンスを減衰かつ/または改善することの1つの追加の利点は、排尿中の流れを改善することを含む(つまり、膀胱内の圧力を「平滑化」することによって、排尿中に流れを改善する方法)。腹部緊張は、腹圧Pabdを上昇させ、したがって上昇した膀胱内圧は正常な排尿にはそれほど使用されず、排尿を生成する排尿筋の収縮としても通常は効率的でない。しかし、排尿筋の収縮が弱いか、ない場合、腹部緊張は、排尿に使用可能な唯一の方法になり、最も重要なことになる。
排尿筋圧力は、それ自体では排尿筋の収縮強さの尺度ではない。十分に収縮する排尿筋は、高い排尿筋の圧力と低い流量、または低い圧力と高い流量とを生成することができる。生成される圧力と生成される流れとの折り合いは、任意の収縮筋肉の力/速度関係の特性から生じる。その結果、膀胱の動的コンプライアンスが低い患者の場合、流れの間に圧力が変化すると、流量が大幅に減少することがある。排尿筋の収縮が弱い患者および/または「バルサルバ排尿者」とも呼ばれることがある、膀胱から尿を出す力を「振り絞る」患者の場合、排尿中に膀胱内に大きい圧力変動があり、その結果、流量が減少する。減衰器具を介してこのような患者の圧力を減衰することにより、改善された流量を達成することができる。
膀胱のコンプライアンスを減衰かつ/または改善することの別の利点は、尿道閉鎖圧の改善を含む。腹圧の変化は、膀胱内圧ばかりでなく、ほぼ直接的な力学的作用によって尿道にも影響を及ぼす。その結果、緊張または咳の間などに腹圧が上昇すると、上述した尿道内圧も上昇する。したがって、最大尿道閉鎖圧が低下せず、増加することさえある。これは、ストレス中に漏れに対する自然の防御にもなる。このプロセスは、増大した腹圧に尿道が十分に曝露した状態で、膀胱内圧の減衰によって強化される。
膀胱のコンプライアンスを減衰かつ/または改善することの別の利点は、良性前立腺肥大(「BPH」)の症状を改善することを含む。前立腺が肥大するにつれ、流量が減少し、残留量が増加する。膀胱内圧が上昇して、膀胱壁のコンプライアンスが低下し、膀胱筋肉が伸張して、非常に深刻な奨励ではエラスチンがコラーゲンに転換するにつれ、低流量の症状が増大し、膀胱が前立腺の限定された開口を通して尿を「押し出す」ことが、さらに困難になる。このカスケードが係属するにつれ、良性前立腺肥大の症状が増大する。減衰器具を膀胱内に配置すると、流れを改善し、膀胱壁のコンプライアンスを上げて、膀胱壁への高圧の傷害を除去し、膀胱壁の筋肉が短縮できるようにすることによってBPHの症状を緩和し、これら全てによって、膀胱は尿道および前立腺を通して尿道をより効果的に「押し出す」ことができる。一つの実施形態では、膀胱内の減衰器具が、圧力増加に応答してその体積を可逆的に減少させることによって、膀胱内の圧力の増加を減衰させて、BPHの症状を緩和する。例えば、一つの実施形態では、減衰器具は少なくとも5%だけ体積が減少する。別の実施形態では、減衰器具は少なくとも10%だけ体積が減少する。さらに別の実施形態では、減衰器具は少なくとも25%だけ体積が減少する。
快適な器具。患者は概ね、異物が全体的または部分的に膀胱または膀胱頸部にある場合、痛みおよび刺激を経験する。図42を参照すると、この痛みは、膀胱または膀胱頸部が、おそらくは膀胱の襞の中にある異物408上に潰れると生じ、器具の焦点によって膀胱壁に加わる圧力が痛みおよび刺激を引き起こす。この痛みは、患者が水平姿勢にある場合に、さらに深刻になる。
図43を参照すると、膀胱が(全体的または部分的に膀胱または膀胱頸部内にある)器具上に潰れた場合に、膀胱および膀胱頸部の痛みおよび刺激を解消するために、減衰器具410の形状を変更して、圧力を膀胱壁の可能な限り大きい表面積に散逸させ、それによって膀胱への外傷、痛みまたは刺激を引き起こす焦点を防止するように、減衰器具が膀胱と接触する表面積を最大にするために、膀胱壁と一致させることができる。一つの実施形態では、減衰器具は圧縮性の壁を有し、それによって器具内の媒体(例えば気体)が膀胱壁の襞から出て、外傷を低減する快適な器具となる。このような減衰器具410の例は、30ccの体積を保持することができる容器内の15ccの空気を有する減衰器具、膨張性の係留バルーンを有するフォーリ・カテーテルまたは他のカテーテル、薬物送出用注入器、Jステントなどを含むが、それに制限されない。
図39Aから図39Dは、様々な減衰器具の空気体積による減衰(つまり圧力低下)を示す。これらのグラフのデータは、ベンチ・トップ膀胱シミュレーション・プログラムを使用して作成した。ここでは、最大スパイク圧は2.0psiである。スパイク事象の継続時間は約40mSであり、これは咳またはくしゃみの事象の継続時間とほぼ等しい。図39Aを参照すると、試験は、合成尿で充填した250mLの硬質プラスチック容器で実行した。2.0psiという調整した圧力を、制御したソレノイド弁を介して容器に導入した。圧力変換器が圧力上昇を検出した。ここでは、容器圧力422が2.0psiに到達する圧力上昇時間(Tr)が約40msecであった。図39Bを参照すると、250mLの硬質プラスチック容器で同様の試験を実行した。ここでは、15mLの空気を充填した減衰器具を、合成尿で充填した容器に入れた。ここでは、容器圧力424が2.0psiに到達するTrが約195msecであった。したがって、減衰器具は上昇時間を4.8倍減速した。スパイク事象の間(つまり40msecに等しい時間)、容器内の圧力は(2psiではなく)0.7psiに達し、基準線に対する圧力の減少が65%になった。図39Cを参照すると、同様の試験を実行したが、違いは、減衰器具に25mLの空気を充填したことのみであった。ここでは、容器圧力426が2.0psiに到達するTrは、約290msecであった。したがって、減衰器具は上昇時間を7.25倍減速した。スパイク事象の間(つまり40msecに等しい時間)、容器内の圧力は(2psiに対して)0.5psiに達し、基準線に対する圧力の減少が75%になった。図39Dを参照すると、同様の試験を実行したが、違いは、減衰器具に30mLの空気を充填したことのみであった。ここでは、容器圧力428が2.0psiに到達するTrは、約340msecであった。したがって、減衰器具は上昇時間を8.5倍減速した。スパイク事象の間(つまり40msecに等しい時間)、容器内の圧力は(2psi対して)0.4psiに達し、基準線に対する圧力の減少が80%になった。
図44Aから図44Dは、ベンチ・トップ膀胱シミュレータによって作成された圧力と時間の曲線を示す。図44Aは、減衰器具がない基準の圧力と時間の曲線を示す。図44Bは、15ccの空気体積を有する減衰器具での圧力と時間の曲線を示す。図44Cは、25ccの空気体積を有する減衰器具での圧力と時間の曲線を示す。図44Dは、30ccの空気体積を有する減衰器具での圧力と時間の曲線を示す。
漏れ点圧力を測定するアルゴリズム。患者の漏れ点圧力の典型的な測定値は、膀胱および直腸に入れた圧力カテーテルで採取する。患者は、腹筋および骨盤筋を締め(バルサルバ法)、膀胱に加わる外圧を上昇させる。試験の監督者が漏れの発生した事を視覚的に識別した時点で、ボタンを押し、最も新しい圧力データ点を記録する。今日使用されている典型的な尿力学的機器は、毎秒2から35のデータ点を測定する。漏れが発生してから試験監督者に漏れが明白になるまでの時間の遅れがあり、漏れが発生すると圧力が低下するので、漏れ点圧力を測定するさらに正確な方法の一つの実施形態は、毎秒1000ptsの速度で圧力を測定し、コンピュータをプログラミングまたは設定して、臨床医が「漏れ」ボタン(つまりコンピュータと連絡し、漏れを見るか検出したら、臨床医が押すボタン)を押すと、先行する5/3/2/1秒を見て、ピークが生じた圧力を調べる。
本発明の別の態様によると、1種類または複数の浸透性が低い気体および/または蒸気圧がこれより高い流体を減衰器具に導入することによって、膀胱の圧力変化を減衰する方法が提供される。浸透性が比較的低く、蒸気圧が高い気体または流体は、通常、それぞれ空気または水より高い密度を有する。尿中の気体または流体の可溶性は、一般に非常に低い。図49を参照すると、本明細書に記載された例示的実施形態は、1種類の蒸気圧が高い気体または流体を有する減衰器具66を示す。しかし、減衰器具66は、1種類または複数の高い蒸気圧の気体および/または流体、またはその組み合わせを有することができる。体外では、大気圧(P)は空気の分圧(PAir)と等しい。膀胱内の圧量k(P)は、Pとほぼ等しいが、実際には、PはPよりわずかに高い。例えば、Pが14.7psiまたは1気圧の場合、Pは約14.85psi(つまり14.7psi+0.15psi)となることがある。通常は、身体の組織464内で個々の膀胱468の壁466から皮膚462の外側の周囲大気460へとPからPへの圧力勾配がある。PはPより大きいので、圧力勾配の結果、気体が例えば膀胱内などの体内から個人の皮膚462の孔を通って外側へと、気体が移動する。減衰器具内(つまり減衰器具66の外壁470内)の全圧力(P)は、高い蒸気圧の気体または流体の分圧または蒸気圧(PHD)とPAirの合計に等しい。
図49を参照すると、一つの実施形態では、減衰器具66は外壁470、および概ね外壁470を通る低い浸透性を有する高い蒸気圧の気体または流体を有する。一つの実施形態では、壁470は、例えばポリウレタンなどの材料を有し、これは高い蒸気圧の気体および蒸気に対して浸透性が低く、空気に対しては浸透性が中位または高いことを特徴とする。適切な高い蒸気圧の気体または流体の例は、六フッ化硫黄ヘキサフルオロエタンと、過フルオロプロパン、過フルオロブタン、過フルオロペンタン、過フルオロヘキサン、過フルオロヘプタン、過フルオロオクタン、過フルオロデカリン、オクタフルオロプロパン、デカフルオロ−n−ブタン、臭化パーフルオロオクチルから過フルオロペルヒドロフェナントレン、までの範囲の過フルオロカーボンと、ヘプタフルオロプロパンおよびテトラフルオロエタンなどの吸入器推進薬を含むが、それに制限されない。
引き続き図49を参照すると、空気が膀胱内の尿に溶解している。上記で説明したように、PはPAirよりわずかに高い。ここで、P=P=PHD+PAirである。一つの実施形態では、減衰器具66の材料によって、比較的高い蒸気圧の気体が器具66を通って浸透できない場合、尿中の空気の分圧が減衰器具中の空気の分圧と一致するまで、空気が減衰器具に押し込まれる。別の実施形態では、膀胱の圧力より高い蒸気圧(PHD)と、減衰器具の壁に対する低い浸透率を有する高い蒸気圧の流体を減衰器具66に入れると、空気の分圧が減衰器具66内と尿中で等しくなるまで、空気が器具66に押し込められる。減衰器具66内に流体の溜めがある状態で、Pが低下すると、より多くの蒸気が蒸発し、Pが上昇すると、蒸気が凝縮して、その結果、一定の圧力系になる。
一つの実施形態では、平均のPが分かれば、例えばシリコン、ポリウレタン、またはその誘導体など、概ね緊張して、剛性の構造で、空気は透過するが、選択された高い蒸気圧の気体または流体/蒸気は透過しない壁の材料を使用することによって、一定の体積系が達成される。ここでは、減衰器具66を収縮状態で膀胱に入れる。PHDが、膀胱の平均圧力(P)から大気圧(P)を引いた値と一致するように、空気と比較的高い蒸気圧の気体または流体との混合物を、減衰器具66に注入する。減衰器具の壁を通して比較的高い蒸気圧の気体または流体/蒸気の損失がない場合は、減衰器具内の空気の分圧が尿中の空気の分圧と一致すると、平衡点に到達する。減衰器具66内の気体の体積が、減衰器具の壁に張力を与えない場合、比較的高い蒸気圧の気体または蒸気の蒸気圧または分圧が、膀胱の平均圧力から大気圧を引いた値と等しく、減衰器具内の空気の分圧が、尿中の空気の分圧と等しい。
膀胱内の圧力は通常、0psiから2psiの範囲であり、個人の生活様式の関数であることが分かる。一定の圧力系を有する一つの実施形態では、減衰器具66の壁を、膀胱内の圧力変動による体積変化を制御するための張力を提供するように設計することができる。例えば、一つの実施形態では、減衰器具66を0.15psiの膀胱平均圧力と一致するように設計したが、個人の膀胱の圧力がこれより高い場合、空気の分圧が減衰器具と尿の間で平衡するか、空気が全て減衰器具から強制的に出されるまで、空気が減衰器具66から押し出される。膀胱の圧力が低い場合、減衰器具の壁にかかる張力のせいで、内部の空気分圧が膀胱の空気分圧と等しくなるまで、空気が減衰器具に押し込まれる。
このように、本発明の特定の実施形態について説明してきたが、様々な代替物、変更、および改良点が当業者には明白である。このような代替物、変形および改良点は、本発明の精神および範囲に入るものとする。したがって、以上の記述は例示であり、制限的なものではない。また、以上の記述および/または図に示された寸法は全て、例示を意図したものであり、本明細書に記載された本発明の範囲を制限するとは想定されない。
通常の排尿中に膀胱内圧に対する最大尿道側圧を示す。 コンプライアンスがない膀胱の最大尿道側圧を超える膀胱内圧を示す。 ストレス失禁中に最大尿道側圧を超える膀胱内圧スパイクを示す。 咳で誘発された尿意促迫または頻数中の膀胱内圧と排尿筋圧との関係を示す。 咳以外で誘発された尿意促迫または頻数中の膀胱内圧と排尿筋圧との関係を示す。 本発明の一態様による可膨張性減衰器具の概略上面図である。 図5の減衰器具の側断面図である。 本発明の一態様による減衰器具を展開する送出システムの側面略図である。 本発明の一つの実施形態の側面略図である。 図6の線6B−6Bを通る断面図である。 減衰器具の弁内に係合した送出システムの充填管の部分略図である。 充填管が弁から近位側に後退した状態の図7Aのような部分略図である。 AからEは、本発明による可膨張性減衰器具の様々な弁構造を概略的に示す。 膀胱内に経尿道的に配置した図6の送出システムの略図である。 減衰器具が膨張した状態の図9のような略図である。 膀胱内に経尿道的に配置された本発明による送出システムの一実施形態の略図である。 図11の送出システムの一実施形態の断面図である。 本発明の一態様による減衰器具取り出しシステムの側面略図である。 本発明の一実施形態によるトロイダル形減衰器具の略図である。 図13の減衰器具の一実施形態を通る側面断面図である。 自身内に一体バッファがある図13のようなトロイダル形減衰器具の略図である。 図14の減衰器具の一実施形態を通る側面断面図である。 圧力波面の単一の進行を分断する減衰器具の略図である。 AからDは、本発明による様々な可膨張性減衰器具の略図である。 拡張した構成で、蛇腹タイプの機械的補助減衰器具の側面略図である。 圧力スパイクを減衰する圧縮構成の図17Aの減衰器具の側面略図である。 自動拡張式グラフト・タイプの機械的補助減衰器具の側面略図である。 本発明のさらなる態様による多室減衰器具の側面略図である。 膀胱内での保持を保証するために展開した方向にある図19Aの多室減衰器具の略図である。 自身上に配置可能なバルーンを有する可膨張性バルーン・タイプ減衰器具の側面略図である。 送出または取り出しシステムの遠位端と整列した図20の減衰器具の略斜視図である。 送出または取り出しシステムの遠位端、および減衰器具の弁の近位端を通る部分断面図であり、充填または排液方向にある弁を示す。 密封した方向にある弁を示す、図22のような部分断面図である。 自身内の減衰器具を示し、取り付けた外部係留具を有する膀胱の略断面図である。 1次圧縮性構成部品が膀胱内に配置され、2次膨張性構成要素が尿道内に配置された2部構成の減衰器具を示す、膀胱の略断面図である。 上昇した腹圧に応答して1次減衰器具が圧縮され、2次膨張性構成要素が対応して拡張することを示す、図25のような断面略図である。 図25Aの膨張性構成要素の拡大部分略図である。 2次バルーン圧力と比較した膀胱内圧を示す圧力曲線である。 本発明により植え込んだ減衰器具の存在が膀胱内圧に及ぼす効果を示す。 膀胱壁に固定された減衰器具を示す、膀胱の略断面図である。 膀胱、および本発明による動的コンプライアンス測定カテーテルの経尿道的配置を示す略断面図である。 自身内の管状減衰器具を示す導管の略断面図である。 自身内に配置された減衰器具を有する心臓の左心耳の略断面図である。 左心耳に配置された蛇腹タイプ減衰器具を示す、図30Aと同様の略断面図である。 結腸内に配置された管状減衰器具の略断面図である。 ダックビル弁形式の膨張性減衰器具の略上面図である。 図32Aのダックビル弁の拡大図である。 リング弁形式の膨張性減衰器具の略上面図である。 充填/栓形式の膨張性減衰器具の略上面図である。 ドーム弁形式の膨張性減衰器具の略上面図である。 本発明の一態様による減衰器具の送出システムの一実施形態の側面図である。 減衰器具が露出し、排出された状態の減衰器具の送出システムの一実施形態の側面図である。 本発明の一態様による減衰器具の送出システムの一実施形態の側面図である。 外装が近位側に滑動し、減衰器具が露出した状態の図35Aの膨張性減衰器具の側面図である。 減衰器具へ/からの媒体の流入および/または流出を防止する弁を設けた膨張性減衰器具の略上面図である。 図36の線288−288を通る断面図である。 両方向の媒体の流れを防止する2つのダックビル構造がある弁の略上面図である。 AからDは、様々な減衰器具の空気体積に関して減衰/圧力減少と時間とのグラフを示す。 AおよびBは、膀胱の粘膜下層の結合弾性組織を示す。 典型的な膀胱内圧測定図を示す。 部分的に虚脱した膀胱の側面断面図である。 部分的に虚脱した膀胱の側面断面図である。 AからDは、ベンチ・トップ膀胱シミュレータによって作成された圧力と時間の曲線を示す。 蓄圧器の一実施形態の略図である。 単純な蓄圧器の略図である。 植え込み式自動膨張減衰器具の一実施形態を通る略断面図である。 植え込み式自動膨張減衰器具の一実施形態を通る略断面図である。 植え込み式自動膨張減衰器具の一実施形態を通る略断面図である。 本発明の一態様による植え込み式自動膨張減衰器具を展開する送出システムの側面略図である。 図48Aの線442−442を通る断面図である。 植え込み式自動膨張減衰器具の一実施形態を通る略断面図である。 本発明の一態様による植え込み式自動膨張減衰器具を展開する送出システムの側面略図である。 本発明の一態様による高い蒸気圧の気体および/または流体を有する減衰器具の略図である。

Claims (12)

  1. 外壁を有し、解剖学的構造と圧力的に連通し、自身内に室を画定する可撓性ハウジングと、
    人間又は動物の膀胱内の圧力より高く且つ体温で前記外壁に対して1ml/日未満の低い透過性を有する少なくとも1つの高蒸気圧の媒体とを有し、人間又は動物の身体内の圧力波を減衰する減衰器具。
  2. 前記高蒸気圧の媒体がヘプタフルオロプロパン、臭化過フルオロオクチル、過フルオロヘキサン、過フルオロデカリン、テトラフルオロエタン、六フッ化硫黄、ヘキサフルオロエタン、過フルオロプロパン、過フルオロブタン、過フルオロペンタン、過フルオロヘプタン、過フルオロオクタン、オクタフルオロプロパン、デカフルオロ−n−ブタン、過フルオロペルヒドロフェナントレンのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の具。
  3. 前記高蒸気圧の媒体が体温で液体である、請求項1又は2に記載の器具。
  4. 前記高蒸気圧の媒体が、体温および身体の圧力で尿1ml当たり約0.1ml未満の可溶性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の具。
  5. 前記ハウジングが前記解剖学的構造内に配置され、前記ハウジングは最初に導入形状で、次いで少なくとも部分的に膨張して、第2の移植形状となる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の具。
  6. 前記ハウジングが患者の膀胱内に配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の具。
  7. 可膨張性減衰器具である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の具。
  8. 植え込み式減衰器具である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の具。
  9. 前記少なくとも1つの高蒸気圧の媒体は、少なくとも液体の溜めと蒸気を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の具。
  10. 前記器具は人又は動物の身体器官の比較的圧縮不可能な物質の過渡圧力波を減衰及び/又は緩衝する器具である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の具。
  11. 前記器具は、器官内空間を可逆的に占有するよう適合された、請求項1〜10のいずれか1項に記載の具。
  12. 前記外壁は、少なくとも1つの高蒸気圧の媒質を少なくとも12ヶ月当たり15ml器具から浸透して出ることができる気体透過性材料から作成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の具。
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