JP4685996B2 - ニトロ化合物の製造法及び二酸化窒素の除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化窒素を用いて有機基質を直接かつ効率よくニトロ化できるニトロ化合物の製造方法、並びに二酸化窒素含有ガスから二酸化窒素を反応により効率よく除去できる二酸化窒素の除去方法及び二酸化窒素除害設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニトロ化合物は、医薬、農薬、染料、溶剤、爆薬などの原料、アミノ化合物の原料などとして広く利用されている。炭化水素類のニトロ化には、混酸(硝酸と硫酸との混合物)を用いる硝酸法が広く利用されている。しかし、硝酸法では、高濃度の強酸を大量に使用することに加えてニトロ化反応が発熱反応であるため、反応操作性を改善することが困難である。また、硝酸法では、窒素酸化物が多量に副生し、環境汚染が懸念されるとともに、副生物の処理が煩雑である。さらに、この硝酸法では、飽和炭化水素類から対応するニトロ化合物を収率よく得ることが困難である。
【0003】
また、プロパンなどのアルカン類を気相で硝酸と反応させてニトロ化合物を得る方法が知られている。しかし、この方法では、反応温度410℃程度という過酷な条件で反応を行う必要がある上、反応の選択性が低い。
さらに、有機基質のニトロ化法として、鉄触媒の存在下、N2O5とオゾンとを用いて、芳香族化合物(トルエンなど)や脂環式化合物(アダマンタンなど)をニトロ化する方法が提案されている。この方法は、反応種としてのNO3を利用して、低温でニトロ化を円滑に進行させることができる。しかし、この方法では、オゾンを生成させるためのオゾン発生装置などの付帯設備を新たに設ける必要がある。
【0004】
一方、工場や車の排ガス中に含まれる二酸化窒素等のいわゆるNOxガスは大気汚染を引き起こすため、これらを除去する方法が種々提案され且つ実施されている。しかし、近年の環境問題の高まりから、より簡易で効率的なNOxガスの除去方法及び除害設備が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、比較的温和な条件であっても効率よくニトロ化できるニトロ化合物の製造法を提供することにある。
本発明の他の目的は、飽和炭化水素類を温和な条件下でニトロ化できるニトロ化合物の製造法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、環境汚染の原因となる二酸化窒素を効率よく除去できる二酸化窒素の除去方法及び二酸化窒素除害設備を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、有機基質と二酸化窒素とを特定の条件下で反応させると、ニトロ化反応が効率よく進行することを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、有機基質と二酸化窒素とを酸素の存在下で反応させて、対応するニトロ化合物を生成させるニトロ化合物の製造法であって、(1)有機基質として(a1)アルカン、(b1)シクロアルカン、(b3)橋かけ環式炭化水素、(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類から選択される化合物を使用し、下記式(1)で表されるイミド化合物の存在下で反応させて、有機基質として(a1)アルカン、(b1)シクロアルカン、(b3)橋かけ環式炭化水素から選択される化合物を使用する場合は、含有する炭素原子のうちメチン炭素原子、メチレン炭素原子、メチル炭素原子から選択される炭素原子がニトロ化された化合物、有機基質として(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類を使用する場合は、芳香族性炭素環のα位がニトロ化された化合物を得ること、又は(2)有機基質として(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類を使用し、前記有機基質1モルに対して二酸化窒素1モル未満を反応させて、芳香族性炭素環のα位がニトロ化された化合物を得ることを特徴とするニトロ化合物の製造法を提供する。
【化3】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1及びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい)
【0008】
本発明は、さらに、二酸化窒素含有ガスを、酸素の存在下で有機基質と接触させ、二酸化窒素を反応により除去する二酸化窒素の除去方法であって、(1)有機基質として(a1)アルカン、(b1)シクロアルカン、(b3)橋かけ環式炭化水素、(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類から選択される化合物を使用し、下記式(1)で表されるイミド化合物の存在下で反応させて、有機基質として(a1)アルカン、(b1)シクロアルカン、(b3)橋かけ環式炭化水素から選択される化合物を使用する場合は、含有する炭素原子のうちメチン炭素原子、メチレン炭素原子、メチル炭素原子から選択される炭素原子がニトロ化された化合物、有機基質として(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類を使用する場合は、芳香族性炭素環のα位がニトロ化された化合物を得ること、又は(2)有機基質として(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類を使用し、二酸化窒素含有ガスを、二酸化窒素1モルに対して1モルを超える量の前記有機基質と接触させることを特徴とする二酸化窒素の除去方法を提供する。
本発明は、また、前記二酸化窒素の除去方法により二酸化窒素含有ガスを除去する除去手段を有する二酸化窒素除害設備を提供する。
尚、本明細書には、上記発明の他に、有機基質と二酸化窒素とを酸素の存在下で反応させて、対応するニトロ化合物を生成させるニトロ化合物の製造法、有機基質と二酸化窒素とを、両成分のモル比(二酸化窒素/有機基質)が1未満の条件で反応させて、対応するニトロ化合物を生成させる前記ニトロ化合物の製造法、前記式(1)で表されるイミド化合物の存在下で、有機基質と二酸化窒素とを反応させる前記ニトロ化合物の製造法、有機基質が、(a)脂肪族炭化水素、(b)脂環式炭化水素、(c)環に水素原子と結合した炭素原子を有する非芳香族性複素環式化合物、(d)芳香族性環の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物、及び(e)カルボニル基の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物から選択された化合物である前記ニトロ化合物の製造法、二酸化窒素含有ガスを、酸素の存在下で有機基質と接触させ、二酸化窒素を反応により除去する二酸化窒素の除去方法、二酸化窒素含有ガスを、二酸化窒素1モルに対して1モルを超える量の有機基質と接触させ、二酸化窒素を反応により除去する前記二酸化窒素の除去方法、二酸化窒素含有ガスを、前記式(1)で表されるイミド化合物の存在下で有機基質と接触させる前記二酸化窒素の除去方法、有機基質として、(a)脂肪族炭化水素、(b)脂環式炭化水素、(c)環に水素原子と結合した炭素原子を有する非芳香族性複素環式化合物、(d)芳香族性環の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物、及び(e)カルボニル基の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物から選択された少なくとも1種の化合物を用いる前記二酸化窒素の除去方法、二酸化窒素含有ガスを酸素の存在下で有機基質と接触させて二酸化窒素を反応により除去する除去手段を有する二酸化窒素除害設備、二酸化窒素含有ガスを、二酸化窒素1モルに対して1モルを超える量の有機基質と接触させて二酸化窒素を反応により除去する除去手段を有する前記二酸化窒素除害設備についても記載する。
【0009】
本発明は、さらに、二酸化窒素含有ガスを、二酸化窒素1モルに対して1モルを超える量の有機基質と接触させて二酸化窒素を反応により除去する除去手段を有する二酸化窒素除害設備を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
[有機基質]
本発明において用いる有機基質としては、特に制限されず、広い範囲の飽和又は不飽和化合物、例えば、炭化水素類(脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類)、複素環式化合物、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルデヒド類などが使用できる。有機基質は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0011】
好ましい基質には、例えば、炭素−水素結合を有する非芳香族性基を有する化合物が含まれる。このような化合物の例として、(a)脂肪族炭化水素、(b)脂環式炭化水素、(c)環に水素原子と結合した炭素原子を有する非芳香族性複素環式化合物、(d)芳香族性環の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物、(e)カルボニル基の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物等が挙げられる。
【0012】
前記(a)脂肪族炭化水素には、(a1)アルカン、(a2)不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を有するアルケン又はアルキンなどが含まれる。前記(a1)アルカンとしては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、2−メチルプロパン、ペンタン、2−メチルブタン、ヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、2−エチルペンタン、3−エチルペンタン、オクタン、2−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、2−エチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、2−プロピルヘキサン、2,3,4−トリメチルペンタン、ノナン、2−メチルオクタン、3−メチルオクタン、2,6−ジメチルヘプタン、2−エチルヘプタン、3−エチルヘプタン、デカン、2−メチルノナン、2,7−ジメチルオクタン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、イコサン、トリアコンタンなどの炭素数1〜30程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンなどが挙げられる。好ましいアルカンには、炭素数1〜20程度(特に、炭素数3〜14程度)の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンなどが含まれる。
【0013】
前記(a2)不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を有するアルケン又はアルキンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、2−プテン、ブタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン、イソプレン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−2−ブテン、3−ヘキセン、1−へプテン、2−へプテン、1,6−ヘプタジエン、1−オクテン、2−オクテン、3−オクテン、1,7−オクタジエン、2,6−オクタジエン、2−メチル−2−ブテン、1−ノネン、2−ノネン、デカエン、デカジエン、ドデカエン、ドデカジエン、ドデカトリエン、ウンデカエン、ウンデカジエン、ウンデカトリエンなどの炭素数3〜30程度(好ましくは、炭素数3〜12程度)の直鎖状又は分岐鎖状のアルケン又はアルキンが挙げられる。
【0014】
前記(b)脂環式炭化水素には、(b1)シクロアルカン、(b2)シクロアルケン、(b3)橋かけ環式炭化水素などが含まれる。
前記(b1)シクロアルカンとしては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタン、メチルシクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロトリデカン、シクロテトラデカン、シクロペンタデカン、シクロヘキサデカン、シクロオクタデカン、シクロノナデカンなどの炭素数3〜30程度(好ましくは、炭素数3〜20程度)のシクロアルカンなどが挙げられる。
前記(b2)シクロアルケンとしては、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、1−メチル−1−シクロヘキセン、シクロへプテン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデカエン、シクロドデカエンなどのC3-30シクロアルケン;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、シクロデカジエン、シクロドデカジエンなどのC5-30シクロアルカジエン;シクロアルカトリエン;シクロアルカテトラエン;ジヒドロナフタレン、インデン、フルオレン、インダン、テトラリン、アセナフテン、フェナレン、インダノン、キサンテンなどの5〜8員の非芳香族性環と芳香族性環とが縮合した縮合多環式炭化水素などが挙げられる。
【0015】
前記(b3)橋かけ環式炭化水素としては、例えば、デカリン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン、ツジョン、カラン、ピナン、ピネン、ボルナン、ボルニレン、ノルボルナン、ノルボルネン、カンファー、ショウノウ酸、カンフェン、トリシクレン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン、トリシクロ[5.2.1.03,8]デカン、エキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、エンドトリシクロ[5.2.2.02,6]ウンデカン、アダマンタン、1−アダマンタノール、1−クロロアダマンタン、1−メチルアダマンタン、1,3−ジメチルアダマンタン、1−メトキシアダマンタン、1−カルボキシアダマンタン、1−メトキシカルボニルアダマンタン、1−ニトロアダマンタン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロアセナフテン、ペルヒドロフェナントレン、ペルヒドロフェナレン、ペルヒドロインデンなど、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
【0016】
前記(c)環に水素原子と結合した炭素原子を有する非芳香族性複素環式化合物には、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれたヘテロ原子を有する5又は6員複素環化合物、又はヘテロ原子を有する5又は6員複素環が芳香族性環に縮合した縮合複素環化合物などが含まれる。前記複素環としては、例えば、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、インドリン、クロマン、イソクロマンなどが例示される。
【0017】
前記(d)芳香族性環の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物としては、(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、1−エチル−4−メチルベンゼン、1−エチル−3−メチルベンゼン、1−t−ブチル−4−メチルベンゼン、1−メトキシ−4−メチルベンゼン、メシチレン、デュレン、メチルナフタレン、メチルアントラセン、4,4′−ジメチルビフェニル、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、ジフェニルメタンなど)、(d2)芳香族性複素環にアルキル基を有する複素環化合物(例えば、2−メチルフラン、3−メチルフラン、3−メチルチオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、4−メチルインドール、2−メチルキノリン、2−エチルフラン、3−プロピルチオフェン、4−エチルピリジン、4−ブチルキノリンなど)などが例示できる。
【0018】
前記(e)カルボニル基の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物には、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸又はその誘導体などが含まれる。
アルデヒド類には、脂肪族アルデヒド類(アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、へプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、アジピンアルデヒド、セバシンアルデヒドなど)、脂環式アルデヒド(ホルミルシクロヘキサン、シクロネラールなど)などが含まれる。
【0019】
ケトン類としては、脂肪族ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、4−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノンなど);環状ケトン類(シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、イソホロン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロヘキサジオン、シクロオクタジオンなどの非芳香族性環状モノ又はポリケトン類;α−テトラロン、β−テトラロン、インダノンなどの芳香族性環を有する環状ケトン類;2−アダマンタノン、1−メチル−2−アダマンタノン、1,3−ジメチル−6−アダマンタノン、メントンなどの橋かけ環式ケトン類);芳香族ケトン類(アセトフェノン、プロピオフェノンなど);複素環式ケトン類(アセチルピリジンなど)などが例示できる。
【0020】
カルボン酸又はその誘導体には、例えば、脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体(マロン酸又はそのエステル、コハク酸又はそのエステル、グルタル酸又はそのエステルなど)などが例示できる。
【0021】
これらの有機基質は、種々の置換基、例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)、アラルキル基、複素環基などを有していてもよい。
【0022】
[二酸化窒素及び酸素]
二酸化窒素(NO2)としては、純粋な二酸化窒素であってもよく、他の成分を含む混合物であってもよい。また、反応系内で発生させた二酸化窒素を用いることもできる。
【0023】
二酸化窒素の量は、有機基質に対して当モル又は過剰モル量(例えば、1〜50モル倍量)用いてもよく、逆に有機基質に対して等モル未満の量用いてもよい。二酸化窒素の使用量を、有機基質1モルに対して、4モル未満、特に1モル未満(例えば、0.0001モル以上1モル未満)、より好ましくは0.8モル以下(例えば、0.001〜0.8モル)、さらに好ましくは0.5モル以下(例えば、0.002〜0.5モル)、とりわけ0.25モル以下(例えば、0.005〜0.25モル)とすると、二酸化窒素の転化率及び反応の選択性が大幅に向上する。例えば、トルエンなどの芳香族性環の隣接位(α位)に炭素−水素結合を有する化合物を基質として用いた場合、二酸化窒素と有機基質とのモル比(二酸化窒素/有機基質)が大きいときには、芳香族性環のα位にニトロ基が導入された化合物のほか、芳香族性環にニトロ基が導入された化合物が多く副生するが、前記モル比を4未満、特に1未満とすると、芳香族性環のα位へのニトロ化が選択的に進行する。
【0024】
また、前記モル比を1未満とすると、二酸化窒素の転化率が大幅に向上するため、特に、二酸化窒素含有ガスから二酸化窒素を除去する場合には、二酸化窒素1モルに対して1モルを超える量の有機基質を使用するのが好ましい。
なお、前記モル比を1未満にすると、酸素非存在下であっても、高い二酸化窒素転化率及び高い反応選択性が得られる。
【0025】
有機基質と二酸化窒素との反応を酸素の存在下で行うと、反応速度が大きく向上する。この効果は、特に有機基質として脂肪族炭化水素や脂環式炭化水素を用いた場合において著しい。
【0026】
酸素は純粋な酸素であってもよく、不活性ガス(二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴンなど)で希釈して使用してもよい。また、酸素源は空気であってもよい。酸素の使用量は、二酸化窒素1モルに対して0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。二酸化窒素に対して過剰モルの酸素を使用する場合が多い。
【0027】
[イミド化合物]
有機基質と二酸化窒素との反応を、前記式(1)で表されるイミド化合物の存在下で行うと、ニトロ化の反応速度が著しく向上する。この効果は、特に有機基質として脂肪族炭化水素や脂環式炭化水素を用いた場合において顕著である。また、トルエンなどの芳香族性環の隣接位(α位)に炭素−水素結合を有する化合物を基質として用いた場合、前記イミド化合物非存在下では、芳香族性環へのニトロ化が優先的に起こるが、前記イミド化合物の存在した系では、芳香族性環のα位へのニトロ化の選択性が大幅に向上する。
【0028】
式(1)で表されるイミド化合物において、置換基R1及びR2のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。好ましいアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基が挙げられる。
【0029】
アリール基には、フェニル、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が含まれる。
【0030】
アルコキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基が含まれる。好ましいアルコキシカルボニル基にはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程度、特に1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。
【0031】
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6程度のアシル基が例示できる。
【0032】
前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっていてもよい。また、前記式(1)において、R1及びR2は互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、芳香族性環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
前記一般式(1)において、Xは酸素原子又はヒドロキシル基を示し、窒素原子NとXとの結合は単結合又は二重結合である。
【0033】
前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい。例えば、R1又はR2が炭素数2以上のアルキル基である場合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。また、R1及びR2が互いに結合して二重結合を形成する場合、該二重結合を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。さらに、R1及びR2が互いに結合して芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成する場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。
【0034】
好ましいイミド化合物には、下記式で表される化合物が含まれる。
【化4】
(式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R3〜R6は、隣接する基同士が互いに結合して芳香族性又は非芳香族性の環を形成していてもよい。式(1f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。R1、R2は前記に同じ。式(1c)のベンゼン環には、式(1c)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい)
【0035】
置換基R3〜R6において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度のハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシカルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。また、アシル基としては、前記と同様のアシル基、特に炭素数1〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。R3〜R6が互いに結合して形成する環としては、前記R1及びR2が互いに結合して形成する環と同様であり、特に芳香族性又は非芳香族性の5〜12員環が好ましい。
【0036】
好ましいイミド化合物の代表的な例として、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどが挙げられる。
【0037】
式(1)で表されるイミド化合物は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンNH2OHとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経てイミド化する方法により調製できる。
【0038】
前記酸無水物には、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環式多価カルボン酸無水物(脂環式多価カルボン酸無水物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリメット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物が含まれる。
特に好ましいイミド化合物は、脂環式多価カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物、なかでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物、例えば、N−ヒドロキシフタル酸イミド等が含まれる。
【0039】
式(1)で表されるイミド化合物は一種又は二種以上使用できる。前記イミド化合物は、担体に担持した形態で用いてもよい。担体としては、活性炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの多孔質担体を用いる場合が多い。前記イミド化合物の担体への担持量は、担体100重量部に対して、例えば0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
【0040】
前記イミド化合物の使用量は、広い範囲で選択でき、例えば、有機基質と二酸化窒素のうち少量用いる成分1モルに対して、0.0001〜1モル、好ましくは0.001〜0.5モル、さらに好ましくは0.01〜0.4モル程度であり、0.05〜0.35モル程度である場合が多い。
【0041】
[ニトロ化反応]
ニトロ化反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒としては、例えば、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;t−ブタノール、t−アミルアルコールなどのアルコール類;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;酢酸、プロピオン酸などの有機酸;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類などが例示でき、これらの溶媒は混合して使用してもよい。なお、有機基質を二酸化窒素に対して過剰量用いて溶媒として使用することもできる。上記のように、有機基質を二酸化窒素に対して過剰量用いることにより、二酸化窒素の転化率及び反応の選択性を大幅に向上させることができる。
【0042】
反応温度は、基質の種類などに応じて、例えば、0℃〜150℃、好ましくは25〜125℃、さらに好ましくは30〜100℃程度の範囲から選択できる。反応圧力は、常圧、加圧下の何れであってもよい。反応は、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
【0043】
反応終了後、反応生成物は、慣用の分離精製手段、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、昌析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせた分離手段により容易に分離精製できる。
【0044】
本発明では、温和な条件下で、ニトロ化反応が円滑に進行する。例えば、有機基質として、炭素−水素結合を有する非芳香族性基を有する化合物を用いると、該炭素−水素結合に係る炭素原子がニトロ化される。
【0045】
特に、本発明は、前記芳香族性環やカルボニル基の隣接位に炭素−水素結合を有する化合物などの活性水素を有する化合物だけでなく、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素や、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素をも円滑にニトロ化できるという大きな特色を有する。
【0046】
なお、ニトロ基の導入の容易さは、メチン炭素原子>メチレン炭素原子>メチル炭素原子の順である。また、基質として芳香族性環の隣接位(いわゆるベンジル位)にメチル基を有する化合物(例えば、トルエン)を用いると、該メチル基の炭素原子にニトロ基が導入されるが、条件により、該メチル基がホルミル化された対応する芳香族アルデヒド(例えば、ベンズアルデヒド)や、芳香族性環にニトロ基が導入された化合物が生成する場合がある。さらに、芳香族性環の隣接位にメチレン基を有する化合物(例えば、エチルベンゼン)を基質として用いると、該メチレン基がニトロ化されたニトロ化合物(例えば、α−ニトロエチルベンゼン)が生成すると共に、反応条件により、該メチレン基がオキシム化されたオキシム化合物(アセトフェノンオキシム)が生成する場合がある。
【0047】
本発明は、上記のように、(i)酸素を存在させることにより反応速度が大きく向上する、(ii)二酸化窒素に対して有機基質を過剰量用いることにより、二酸化窒素を極めて効率よく転化できると共に、反応選択性を大幅に向上できるという特徴を有する。従って、上記ニトロ化反応を利用することにより、二酸化窒素を含有するガスから二酸化窒素を効率的に除去することが可能となる。
【0048】
本発明の二酸化窒素の除去方法及び二酸化窒素除害設備において、二酸化窒素含有ガスとしては、二酸化窒素を含むガスであれば特に限定されず、例えば、工場の排ガス、自動車の排気ガスなどを用いることができる。また、有機基質としては前記例示の何れの化合物も使用できるが、安価で、反応性が高く、後処理の容易なものが好ましく、例えば、アルカンなどの脂肪族炭化水素、シクロアルカンなどの脂環式炭化水素などが望ましい。この場合、有機基質は2種以上の混合物であってもよい。
【0049】
本発明の二酸化窒素除害設備における二酸化窒素の除去手段としては、例えば、前記有機基質と、必要に応じて式(1)で表されるイミド化合物とを含む混合液を入れた容器と、該容器内に二酸化窒素含有ガスを導入するための二酸化窒素含有ガス導入ライン、及び必要に応じて酸素を供給するための酸素供給ラインと、前記容器から排ガスを排出する排ガスラインとで構成できる。前記イミド化合物は、前述のように担体に担持された形態で用いてもよい。また、前記有機基質は気体状であってもよい。二酸化窒素の除去は、回分式、半回分式、連続式の何れの方式で行うこともできる。
【0050】
前記混合液中のイミド化合物の濃度は、二酸化窒素の除去効率などを考慮して適宜設定できるが、例えば0.001〜2モル/l、好ましくは0.01〜1モル/l、さらに好ましくは0.05〜0.3モル/l程度である。前記混合液は反応に不活性な溶媒を含んでいてもよい。酸素の供給量は、例えば、二酸化窒素の量に対して1モル倍以上である場合が多い。また、二酸化窒素含有ガスと有機基質との接触温度及び圧力は、前記と同様である。
【0051】
本発明の二酸化窒素の除去方法及び二酸化窒素除害設備によれば、二酸化窒素含有ガス中の二酸化窒素が、温和な条件で有機基質と円滑に反応するため、前記ガスから二酸化窒素を効率よく除去することができる。
【0052】
本発明の製造方法で得られたニトロ化合物は、医薬、農薬、染料、溶剤、爆薬などの原料、アミノ化合物の原料などとして利用できる。例えば、脂環式炭化水素をニトロ化して得られるニトロ化合物を慣用の方法で還元して対応するオキシム化合物とし、次いでベックマン転位を起こさせることにより、対応するラクタム化合物を得ることができる。
【0053】
また、本発明の二酸化窒素の除去方法において、前記有機基質と二酸化窒素との反応により生成した化合物は、前記医薬等の原料として利用してもよく、また、生成物の種類により、必要に応じて還元等の処理を施した後、慣用の廃棄物処理(活性汚泥処理等)に付してもよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明のニトロ化合物の製造方法では、有機基質と二酸化窒素とを特定条件下で反応させるので、比較的温和な条件でも、基質を直接且つ効率よくニトロ化でき、対応するニトロ化合物を収率よく得ることができる。また、アルカンなどの脂肪族炭化水素やシクロアルカンなどの脂環式炭化水素などであっても、温和な条件で容易にニトロ化できる。
【0055】
本発明の二酸化窒素の除去方法及び二酸化窒素除害設備によれば、二酸化窒素含有ガス中の二酸化窒素が、温和な条件で有機基質と円滑に反応するため、前記ガスから二酸化窒素を効率よく除去することができる。そのため、二酸化窒素による環境汚染を防止する上で極めて有用である。
【0056】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0057】
実施例1
フラスコ内にシクロヘキサン5ml(46.3ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロシクロヘキサンが収率75%(二酸化窒素基準)、硝酸シクロヘキシルが収率11%(二酸化窒素基準)で生成していた。
【0058】
実施例2
フラスコ内にシクロヘキサン3ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.3ミリモル、二酸化窒素15ミリモル、及びトリフルオロメチルベンゼン5mlを入れ、酸素雰囲気下(1atm)、攪拌しながら60℃で5時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロシクロヘキサンが収率4.6%(シクロヘキサン基準)、シクロヘキサノールが収率0.42%(シクロヘキサン基準)で生成していた。シクロヘキサンの転化率は40%であった。
【0059】
実施例3
フラスコ内にシクロドデカン3.2ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロシクロドデカンが収率34%(シクロドデカン基準)、シクロドデカノンが収率11%(シクロドデカン基準)で生成していた。
【0060】
実施例4
フラスコ内にシクロヘプタン5ml(41.3ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロシクロヘプタンが収率88%(二酸化窒素基準)、硝酸シクロヘプチルが収率4%(二酸化窒素基準)で生成していた。
【0061】
実施例5(参考例とする)
フラスコ内にシクロヘプタン5ml(41.3ミリモル)及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロシクロヘプタンが収率50%(二酸化窒素基準)、硝酸シクロヘプチルが収率13%(二酸化窒素基準)で生成していた。
【0062】
実施例6
フラスコ内にメチルシクロヘキサン5ml(35.2ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−メチル−1−ニトロシクロヘキサンが収率68%(二酸化窒素基準)、硝酸(1−メチルシクロヘキシル)(二酸化窒素基準)が収率5%で生成していた。
【0063】
実施例7(参考例とする)
フラスコ内にメチルシクロヘキサン5ml(35.2ミリモル)及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−メチル−1−ニトロシクロヘキサンが収率17%(二酸化窒素基準)、硝酸(1−メチルシクロヘキシル)(二酸化窒素基準)が収率5%で生成していた。
【0064】
実施例8
フラスコ内にアダマンタン1ミリモル、二酸化窒素15ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.1ミリモル、及びトリフルオロメチルベンゼン3mlを入れ、酸素雰囲気下(1atm)、攪拌しながら60℃で5時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−ニトロアダマンタンが収率66%(アダマンタン基準)、1−アダマンタノールが収率4%(アダマンタン基準)、2−アダマンタノンが収率4%、1,3−ジニトロアダマンタンが収率2%(アダマンタン基準)、硝酸(3−アダマンタン−1−イル)(アダマンタン基準)が収率4%で生成していた。なお、アダマンタンの転化率は94%であった。
【0065】
実施例9
フラスコ内に1,3−ジメチルアダマンタン1ミリモル、二酸化窒素15ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.1ミリモル、及びトリフルオロメチルベンゼン3mlを入れ、酸素雰囲気下(1atm)、攪拌しながら60℃で5時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1,3−ジメチル−5−ニトロアダマンタンが収率60%(1,3−ジメチルアダマンタン基準)で生成していた。1,3−ジメチルアダマンタンの転化率は82%であった。
【0066】
実施例10
フラスコ内に1−アダマンタンカルボン酸エチル1ミリモル、二酸化窒素15ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.1ミリモル、及びトリフルオロメチルベンゼン3mlを入れ、酸素雰囲気下(1atm)、攪拌しながら60℃で15時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、3−ニトロ−1−アダマンタンカルボン酸エチルが収率70%(1−アダマンタンカルボン酸エチル基準)で生成していた。1−アダマンタンカルボン酸エチルの転化率は99%以上であった。
【0067】
実施例11
フラスコ内にヘキサン5ml(38.4ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロへキサンが収率55%(二酸化窒素基準)[2−ニトロへキサン/3−ニトロへキサン=55/45]、硝酸ヘキシルが収率26%(二酸化窒素基準)で生成していた。
【0068】
実施例12
フラスコ内にシクロヘキサン2.5ml(23.2ミリモル)、ヘキサン2.5ml(19.2ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロシクロヘキサンが収率39%(二酸化窒素基準)、ニトロへキサンが収率19%(二酸化窒素基準)[2−ニトロへキサン/3−ニトロへキサン=55/44]、硝酸シクロヘキシルが収率5.6%(二酸化窒素基準)、及び硝酸ヘキシルが収率4%(二酸化窒素基準)で生成していた。
【0069】
実施例13(参考例とする)
フラスコ内にトルエン1ミリモル、二酸化窒素15ミリモル、及びトリフルオロメチルベンゼン3mlを入れ、酸素雰囲気下(1atm)、攪拌しながら60℃で5時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロメチルベンゼン(α−ニトロトルエン)が収率2%(トルエン基準)、o−ニトロトルエンが収率51%(トルエン基準)、m−ニトロトルエンが収率3%、p−ニトロトルエンが収率34%で生成していた。トルエンの転化率は100%であった。
【0070】
比較例1
フラスコ内にトルエン1ミリモル、二酸化窒素15ミリモル、及びトリフルオロメチルベンゼン3mlを入れ、アルゴン雰囲気下(1atm)、攪拌しながら60℃で5時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロメチルベンゼン(α−ニトロトルエン)が収率3%(トルエン基準)、o−ニトロトルエンが収率5%(トルエン基準)、m−ニトロトルエンが収率1%、p−ニトロトルエンが収率4%で生成していた。トルエンの転化率は37%であった。
【0071】
実施例14
フラスコ内にトルエン1ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.1ミリモル、二酸化窒素15ミリモル、及びトリフルオロメチルベンゼン3mlを入れ、酸素雰囲気下(1atm)、攪拌しながら60℃で5時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロメチルベンゼン(α−ニトロトルエン)が収率19%(トルエン基準)、o−ニトロトルエンが収率36%(トルエン基準)、m−ニトロトルエンが収率2%、p−ニトロトルエンが収率18%で生成していた。トルエンの転化率は99%であった。
【0072】
実施例15
フラスコ内にトルエン1ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.1ミリモル、二酸化窒素3ミリモル、及びトリフルオロメチルベンゼン3mlを入れ、酸素雰囲気下(1atm)、攪拌しながら60℃で5時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロメチルベンゼン(α−ニトロトルエン)が収率30%(トルエン基準)、o−ニトロトルエンが収率18%(トルエン基準)、m−ニトロトルエンが収率1%、p−ニトロトルエンが収率3%で生成していた。トルエンの転化率は99%以上であった。
【0073】
実施例16
フラスコ内にトルエン5ml(46.9ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロメチルベンゼン(α−ニトロトルエン)が収率52%(二酸化窒素基準)で生成していた。また、ベンズアルデヒドが0.92ミリモル生成していた。
【0074】
実施例17
フラスコ内にトルエン5ml(46.9ミリモル及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、ニトロメチルベンゼン(α−ニトロトルエン)が収率50%(二酸化窒素基準)で生成していた。また、ベンズアルデヒドが0.44ミリモル生成していた。
【0075】
実施例18
フラスコ内にエチルベンゼン5ml(40.9ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、α−ニトロエチルベンゼンが収率42%(二酸化窒素基準)、アセトフェノンオキシムが収率12%で生成していた。また、ベンズアルデヒドが1.9ミリモル、及びα−ヒドロキシエチルベンゼンが1.2ミリモル生成していた。
【0076】
実施例19
フラスコ内にエチルベンゼン5ml(40.9ミリモル)及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、α−ニトロエチルベンゼンが収率72%(二酸化窒素基準で生成していた。また、ベンズアルデヒドが1.4ミリモル、及びα−ヒドロキシエチルベンゼンが1.1ミリモル生成していた。
【0077】
実施例20
フラスコ内にp−t−ブチルトルエン5ml(36.9ミリモル)、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−t−ブチル−4−ニトロメチルベンゼンが収率55%(二酸化窒素基準)で生成していた。また、p−t−ブチルベンズアルデヒドが1.0ミリモル、及びp−t−ブチルベンジルアルコールが0.44ミリモル生成していた。
【0078】
実施例21
フラスコ内にp−t−ブチルトルエン5ml(36.9ミリモル)及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−t−ブチル−4−ニトロメチルベンゼンが収率63%(二酸化窒素基準)で生成していた。また、p−t−ブチルベンズアルデヒドが0.5ミリモル、及びp−t−ブチルベンジルアルコールが0.53ミリモル生成していた。
【0079】
実施例22
フラスコ内にデュレン3.2ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、2,4,5−トリメチル−1−ニトロメチルベンゼンが収率30%(デュレン基準)、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドが収率9%(デュレン基準)、2,4,5−トリメチル安息香酸が収率26%(デュレン基準)で生成していた。
【0080】
実施例23(参考例とする)
フラスコ内にデュレン3.2ミリモル及び二酸化窒素0.1ml(3.24ミリモル)を入れ、空気雰囲気下(1atm)、攪拌しながら70℃で14時間反応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、2,4,5−トリメチル−1−ニトロメチルベンゼンが収率28%(デュレン基準)、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドが収率8%(デュレン基準)で生成していた。また、2,4,5−トリメチル安息香酸が痕跡程度生成していた。
Claims (3)
- 有機基質と二酸化窒素とを酸素の存在下で反応させて、対応するニトロ化合物を生成させるニトロ化合物の製造法であって、(1)有機基質として(a1)アルカン、(b1)シクロアルカン、(b3)橋かけ環式炭化水素、(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類から選択される化合物を使用し、下記式(1)で表されるイミド化合物の存在下で反応させて、有機基質として(a1)アルカン、(b1)シクロアルカン、(b3)橋かけ環式炭化水素から選択される化合物を使用する場合は、含有する炭素原子のうちメチン炭素原子、メチレン炭素原子、メチル炭素原子から選択される炭素原子がニトロ化された化合物、有機基質として(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類を使用する場合は、芳香族性炭素環のα位がニトロ化された化合物を得ること、又は(2)有機基質として(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類を使用し、前記有機基質1モルに対して二酸化窒素1モル未満を反応させて、芳香族性炭素環のα位がニトロ化された化合物を得ることを特徴とするニトロ化合物の製造法。
- 二酸化窒素含有ガスを、酸素の存在下で有機基質と接触させ、二酸化窒素を反応により除去する二酸化窒素の除去方法であって、(1)有機基質として(a1)アルカン、(b1)シクロアルカン、(b3)橋かけ環式炭化水素、(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類から選択される化合物を使用し、下記式(1)で表されるイミド化合物の存在下で反応させて、有機基質として(a1)アルカン、(b1)シクロアルカン、(b3)橋かけ環式炭化水素から選択される化合物を使用する場合は、含有する炭素原子のうちメチン炭素原子、メチレン炭素原子、メチル炭素原子から選択される炭素原子がニトロ化された化合物、有機基質として(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類を使用する場合は、芳香族性炭素環のα位がニトロ化された化合物を得ること、又は(2)有機基質として(d1)芳香族性炭素環にアルキル基を有する芳香族炭化水素類を使用し、二酸化窒素含有ガスを、二酸化窒素1モルに対して1モルを超える量の前記有機基質と接触させることを特徴とする二酸化窒素の除去方法。
- 請求項2に記載の二酸化窒素の除去方法により二酸化窒素含有ガスを除去する除去手段を有する二酸化窒素除害設備。
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