JP4620518B2 - 音声データベース製造装置、音片復元装置、音声データベース製造方法、音片復元方法及びプログラム - Google Patents

音声データベース製造装置、音片復元装置、音声データベース製造方法、音片復元方法及びプログラム Download PDF

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この発明は、音声データベース製造装置、音片復元装置、音声データベース製造方法、音片復元方法及びプログラムに関する。
音声を合成する手法として、録音編集方式と呼ばれる手法がある。録音編集方式は、駅の音声案内システムや、車載用のナビゲーション装置などに用いられている。
録音編集方式は、単語と、この単語を読み上げる音声を表す音声データとを対応付けておき、音声合成する対象の文章を単語に区切ってから、これらの単語に対応付けられた音声データを取得してつなぎ合わせる、という手法である(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−49193号公報
録音編集方式により得られる合成音声の話者の変更を可能としたり、あるいはその他、得られる合成音声を多様にするための手法としては、音声データをリムーバブルメディア(可搬な記録媒体)に記録して用いるものとして、互いに異なる音声データを記録した複数のリムーバブルメディアを必要に応じて差し替える、というものが考えられる。
しかし、リムーバブルメディアに記録された音声データは、不正な複製やその他の不正利用をされやすいという問題がある。そこで、この問題を解決するための手法として、音声データを、暗号化した上でリムーバブルメディアに記録するという手法が考えられる。
ところが、音声データを暗号鍵を用いて暗号化した上でリムーバブルメディアに記録し、音声合成を行う装置がこの音声データを利用するものとする場合、暗号化された音声データの復号化に必要なこの暗号鍵の内容を、音声合成を行う装置が把握できる必要がある。
しかし、例えば暗号鍵をこの装置が予め記憶するものとすると、音声データを記録したリムーバブルメディアを製造する側の者がこの暗号鍵を知っている必要がある(換言すれば、この暗号鍵とは異なる暗号鍵を用いて暗号化された音声データを記録したリムーバブルメディアを用いても音声合成が正常に行えない)こととなり、音声データの自由な供給が阻害される。
また、例えば暗号鍵を単にこの装置へ別途供給した場合は、暗号鍵が、暗号鍵を非公開とする対象者へと容易に漏洩し得ることとなり、暗号化された音声データの保護が有効に図れない。
また、この暗号鍵を暗号化した上でこの装置へと供給する場合は、この装置が、この暗号鍵を復号化できる必要がある。従って、暗号鍵を復号化するための条件をいかにしてこの装置に安全に把握させるか、という点について、音声データを復号化するための条件についてと同様の問題が更に生じることになる。
この発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、音声を表すデータの自由な供給を図りながら、音声データの有効な保護を図るための音声データベース製造装置、音片復元装置、音声データベース製造方法、音片復元方法及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点にかかる音声データベース製造装置は、
音片を表す音片データを取得するデータ取得手段と、
前記音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、音片データベースを構築する対象である外部の記憶装置の記憶領域に格納する場合における当該暗号化音片データの記憶位置を決定し、当該記憶位置を示すアドレスデータを生成する記憶位置決定手段と、
生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち所定の位置を占めるデータを抽出して所定の規則に従った変換を施すことにより暗号鍵を生成する暗号鍵生成手段と、
取得された前記音片データを、生成された前記暗号鍵を用いて暗号化することにより、暗号化音片データを生成する暗号化手段と、
生成された前記暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みと対応付けて前記記憶装置の前記記憶位置に格納することにより前記音片データベースを構築する音片記憶手段と、を備え、
前記暗号鍵生成手段は、生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち、前記記憶装置又は当該暗号化音片データの復号化を行う外部の装置に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる前記規則に従った変換を施すことにより、暗号鍵を生成する、
ことを特徴とする。
また、この発明の第の観点にかかる音片復元装置は、
音片を表す音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みに対応付けて記憶し、当該暗号化音片データが記憶されている記憶位置を示すアドレスデータを更に記憶する外部の音声データベースに接続可能に構成され、
文章を表す文章情報を入力し、前記各暗号化音片データのうちから、前記文章を構成する音声と共通する読みに対応付けられている暗号化音片データを選択する選択手段と、
前記暗号化音片データを復号化する復号化手段と、より構成されており、
前記音声データベースには、当該音声データベースに固有の識別データが割り当てられており、
前記暗号化音片データは、前記音声データベースに記憶されているアドレスデータを構成するデータのうち、前記音声データベース自身に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる規則に従った変換を施したものに相当する暗号鍵を用いて前記音片データが暗号化されたものに相当し、
前記復号化手段は、前記音声データベースが記憶するアドレスデータを構成するデータのうち前記識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して当該識別データの値により決まる前記規則に従った前記変換を施すことにより前記暗号鍵を生成し、生成した当該暗号鍵を用いて前記暗号化音片データを復号化するものである、
ことを特徴とする。
前記音片復元装置は、前記復号化手段が復号化した音片データを互いに結合することにより、合成音声を表すデータを生成する合成手段を更に備えるものであってもよい。
また、この発明の第3の観点にかかる音片復元装置は、
音片を表す音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みに対応付けて記憶し、当該暗号化音片データが記憶されている記憶位置を示すアドレスデータを更に記憶する外部の音声データベースに接続可能に構成され、
文章を表す文章情報を入力し、前記各暗号化音片データのうちから、前記文章を構成する音声と共通する読みに対応付けられている暗号化音片データを選択する選択手段と、
前記暗号化音片データを復号化する復号化手段と、
前記復号化手段が復号化した音片データを互いに結合することにより、合成音声を表すデータを生成する合成手段と、より構成されており、
前記合成手段には、当該合成手段に固有の識別データが割り当てられており
前記暗号化音片データは、前記音声データベースが記憶するアドレスデータを構成するデータのうち、前記合成手段に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる規則に従った変換を施したものに相当する暗号鍵を用いて前記音片データが暗号化されたものに相当
前記復号化手段は、前記音声データベースが記憶するアドレスデータを構成するデータのうち前記識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して当該識別データの値により決まる前記規則に従った前記変換を施すことにより前記暗号鍵を生成し、生成した当該暗号鍵を用いて前記暗号化音片データを復号化するものである、
ことを特徴とする。
また、この発明の第4の観点にかかる音声データベース製造方法は、
音片を表す音片データを取得するデータ取得ステップと
前記音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、音片データベースを構築する対象である外部の記憶装置の記憶領域に格納する場合における当該暗号化音片データの記憶位置を決定し、当該記憶位置を示すアドレスデータを生成する記憶位置決定ステップと
生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち所定の位置を占めるデータを抽出して所定の規則に従った変換を施すことにより暗号鍵を生成する暗号鍵生成ステップと
取得された前記音片データを、生成された前記暗号鍵を用いて暗号化することにより、暗号化音片データを生成する暗号化ステップと
生成された前記暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みと対応付けて前記記憶装置の前記記憶位置に格納することにより前記音片データベースを構築する音片記憶ステップと、を含み
前記暗号鍵生成ステップでは、生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち、前記記憶装置又は当該暗号化音片データの復号化を行う外部の装置に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる前記規則に従った変換を施すことにより、暗号鍵を生成する、
ことを特徴とする。
また、この発明の第5の観点にかかる音片復元方法は、
音片を表す音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みに対応付けて記憶し、当該暗号化音片データが記憶されている記憶位置を示すアドレスデータを更に記憶する外部の音声データベースを用いる音片復元方法であって、
文章を表す文章情報を入力し、各前記暗号化音片データのうちから、前記文章を構成する音声と共通する読みに対応付けられている暗号化音片データを選択する選択ステップと、
前記暗号化音片データを復号化する復号化ステップと、より構成されており、
前記音声データベースには、当該音声データベースに固有の識別データが割り当てられており、
前記暗号化音片データは、前記音声データベースに記憶されているアドレスデータを構成するデータのうち、前記音声データベース自身に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる規則に従った変換を施したものに相当する暗号鍵を用いて前記音片データが暗号化されたものに相当し、
前記復号化ステップでは、前記音声データベースが記憶するアドレスデータを構成するデータのうち前記識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して当該識別データの値により決まる前記規則に従った前記変換を施すことにより前記暗号鍵を生成し、生成した当該暗号鍵を用いて前記暗号化音片データを復号化する、
ことを特徴とする。
また、この発明の第6の観点にかかるプログラムは、
コンピュータを、
音片を表す音片データを取得するデータ取得手段と、
前記音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、音片データベースを構築する対象である外部の記憶装置の記憶領域に格納する場合における当該暗号化音片データの記憶位置を決定し、当該記憶位置を示すアドレスデータを生成する記憶位置決定手段と、
生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち所定の位置を占めるデータを抽出して所定の規則に従った変換を施すことにより暗号鍵を生成する暗号鍵生成手段と、
取得された前記音片データを、生成された前記暗号鍵を用いて暗号化することにより、暗号化音片データを生成する暗号化手段と、
生成された前記暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みと対応付けて前記記憶装置の前記記憶位置に格納することにより前記音片データベースを構築する音片記憶手段と、
して機能させるためのプログラムであって、
前記暗号鍵生成手段は、生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち、前記記憶装置又は当該暗号化音片データの復号化を行う外部の装置に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる前記規則に従った変換を施すことにより、暗号鍵を生成する、
ことを特徴とする。
また、この発明の第7の観点にかかるプログラムは、
音片を表す音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みに対応付けて記憶し、当該暗号化音片データが記憶されている記憶位置を示すアドレスデータを更に記憶する外部の音声データベースに接続可能なコンピュータを、
文章を表す文章情報を入力し、各前記暗号化音片データのうちから、前記文章を構成する音声と共通する読みに対応付けられている暗号化音片データを選択する選択手段と、
前記暗号化音片データを復号化する復号化手段と、して機能させるためのプログラムであって、
前記音声データベースには、当該音声データベースに固有の識別データが割り当てられており、
前記暗号化音片データは、前記音声データベースに記憶されているアドレスデータを構成するデータのうち、前記音声データベース自身に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる規則に従った変換を施したものに相当する暗号鍵を用いて前記音片データが暗号化されたものに相当し、
前記復号化手段は、前記音声データベースが記憶するアドレスデータを構成するデータのうち前記識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して当該識別データの値により決まる前記規則に従った前記変換を施すことにより前記暗号鍵を生成し、生成した当該暗号鍵を用いて前記暗号化音片データを復号化するものである、
ことを特徴とする。
この発明によれば、音声を表すデータの自由な供給を図りながら、音声データの有効な保護を図るための音声データベース製造装置、音片復元装置、音声データベース製造方法、音片復元方法及びプログラムが実現される。
以下、音声合成システムを例とし、図面を参照して、この発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る音声合成システムの構成を示す図である。図示するように、この音声合成システムは、本体ユニットMと、音片登録ユニットRと、音片データベースDとにより構成されている。
本体ユニットMは、言語処理部1と、一般単語辞書2と、ユーザ単語辞書3と、規則合成処理部4と、音片編集部5と、検索部6と、復号化部7と、話速変換部8とにより構成されている。
このうち、規則合成処理部4は、音響処理部41と、検索部42と、伸長部43と、波形データベース44とより構成されている。
また、音片編集部5は、形態素解析部51と、一致音片決定部52と、韻律予測部53と、出力合成部54とより構成されている。
言語処理部1、音響処理部41、検索部42、伸長部43、音片編集部5、検索部6、復号化部7及び話速変換部8は、いずれも、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサや、このプロセッサが実行するためのプログラムを記憶するメモリなどより構成されており、それぞれ後述する処理を行う。
なお、言語処理部1、音響処理部41、検索部42、伸長部43、音片編集部5、検索部6、復号化部7及び話速変換部8の一部又は全部の機能を単一のプロセッサが行うようにしてもよい。従って、例えば、伸長部43の機能を行うプロセッサが復号化部7の機能を行ってもよいし、1個のプロセッサが音響処理部41、検索部42及び伸長部43の機能を兼ねて行ってもよい。
一般単語辞書2は、PROM(Programmable Read Only Memory)やハードディスク装置等の不揮発性メモリより構成されている。一般単語辞書2には、表意文字(例えば、漢字など)を含む単語等と、この単語等の読みを表す表音文字(例えば、カナや発音記号など)とが、この音声合成システムの製造者等によって、あらかじめ互いに対応付けて記憶されている。
ユーザ単語辞書3は、EEPROM(Electrically Erasable/Programmable Read Only Memory)やハードディスク装置等のデータ書き換え可能な不揮発性メモリと、この不揮発性メモリへのデータの書き込みを制御する制御回路とにより構成されている。なお、プロセッサがこの制御回路の機能を行ってもよく、言語処理部1、音響処理部41、検索部42、伸長部43、音片編集部5、検索部6、復号化部7及び話速変換部8の一部又は全部の機能を行うプロセッサがユーザ単語辞書3の制御回路の機能を行うようにしてもよい。
ユーザ単語辞書3は、表意文字を含む単語等と、この単語等の読みを表す表音文字とを、ユーザの操作に従って外部より取得し、互いに対応付けて記憶する。ユーザ単語辞書3には、一般単語辞書2に記憶されていない単語等とその読みを表す表音文字とが格納されていれば十分である。
波形データベース44は、PROMやハードディスク装置等の不揮発性メモリより構成されている。波形データベース44には、表音文字と、この表音文字が表す音素を構成する素片(すなわち、1個の音素を構成する音声の波形1サイクル分(又はその他所定数のサイクル分)の音声)を表す素片波形データをエントロピー符号化して得られる圧縮波形データとが、この音声合成システムの製造者等によって、あらかじめ互いに対応付けて記憶されている。なお、エントロピー符号化される前の素片波形データは、例えば、PCM化されたデジタル形式のデータからなっていればよい。
なお、一般単語辞書2、ユーザ単語辞書3、波形データベース44、及び一致音片決定部52の不揮発性メモリの一部又は全部の機能を、単一の不揮発性メモリが行うようにしてもよい。
音片データベースDは、PROMやハードディスク装置等の不揮発性メモリより構成されており、本体ユニットMに着脱可能に接続できるよう構成されており、また、音片登録ユニットRにも着脱可能に接続できるよう構成されている。
音片データベースDには、例えば、図2に示すデータ構造を有するデータが記憶されている。すなわち、図示するように、音片データベースDに格納されているデータは、ヘッダ部HDR、インデックス部IDX、ディレクトリ部DIR及びデータ部DATの4種に分かれている。
なお、音片データベースDへのデータの格納は、例えば、この音声合成システムの製造者によりあらかじめ行われ、及び/又は、音片登録ユニットRが後述する動作を行うことにより行われる。
ヘッダ部HDRには、音片データベースDを識別するデータや、インデックス部IDX、ディレクトリ部DIR及びデータ部DATのデータ量、データの形式、著作権等の帰属などを示すデータが格納される。
データ部DATには、音片の波形を表す音片データを暗号化して得られる暗号化音片データが格納されている。
なお、音片とは、音声のうち音素1個以上を含む連続した1区間をいい、通常は単語1個分又は複数個分の区間からなる。音片は接続詞を含む場合もある。
また、暗号化される前の音片データは、上述の圧縮波形データの生成のため暗号化される前の波形データと同じ形式のデータ(例えば、PCM化されたデジタル形式のデータ)からなっていればよい。
ディレクトリ部DIRには、個々の暗号化音片データについて、
(A) この暗号化音片データが表す音片の読みを示す表音文字を表すデータ(音片読みデータ)、
(B) この暗号化音片データが格納されている記憶位置の先頭のアドレスを表すデータ(アドレスデータ)、
(C) この暗号化音片データのデータ長を表すデータ、
(D) この暗号化音片データが表す音片の発声スピード(再生した場合の時間長)を表すデータ(スピード初期値データ)、
(E) この音片のピッチ成分の周波数の時間変化を表すデータ(ピッチ成分データ)、
が、互いに対応付けられた形で格納されている。(なお、音片データベースDの記憶領域にはアドレスが付されているものとする。)
図2は、データ部DATに含まれるデータとして、読みが「サイタマ」である音片の波形を表す、データ量1410hバイトの暗号化音片データが、アドレス001A36A6hを先頭とする論理的位置に格納されている場合を例示している。(なお、本明細書及び図面において、末尾に“h”を付した数字は16進数を表す。)
なお、各々の暗号化音片データは、元の音片データが、上述のアドレスデータのうちから所定の位置を占めるデータを抽出して更に所定の規則に従った変換を施すことにより得られる暗号鍵を用いて暗号化されたものに相当するものとする。なお、この暗号化は、任意の対称鍵暗号の手法により行われていればよく、具体的には、例えばDES(Data Encryption System)に準拠した手法で行われていればよい。また、アドレスデータから抽出したデータに施す上述の変換の具体例としては、例えば、当該抽出したデータの値を所定のハッシュ関数に代入する処理や、あるいは当該抽出したデータの値にその他所定の論理演算を施す処理などが挙げられる。
また、上述の(A)〜(E)のデータの集合のうち少なくとも(A)のデータ(すなわち音片読みデータ)は、音片読みデータが表す表音文字に基づいて決められた順位に従ってソートされた状態で(例えば、表音文字がカナであれば、五十音順に従って、アドレス昇順に並んだ状態で)、音片データベースDの記憶領域に格納されている。
また、上述のピッチ成分データは、例えば、図示するように、音片のピッチ成分の周波数を音片の先頭からの経過時間の1次関数で近似した場合における、この1次関数の切片β及び勾配αの値を示すデータからなっていればよい。(勾配αの単位は例えば[ヘルツ/秒]であればよく、切片βの単位は例えば[ヘルツ]であればよい。)
また、ピッチ成分データには更に、暗号化音片データが表す音片が鼻濁音化されているか否か、及び、無声化されているか否かを表す図示しないデータも含まれているものとする。
インデックス部IDXには、ディレクトリ部DIRのデータのおおよその論理的位置を音片読みデータに基づいて特定するためのデータが格納されている。具体的には、例えば、音片読みデータがカナを表すものであるとして、カナ文字と、先頭1字がこのカナ文字であるような音片読みデータがどのような範囲のアドレスにあるかを示すデータ(ディレクトリアドレス)とが、互いに対応付けて格納されている。
音片登録ユニットRは、図示するように、収録音片データセット記憶部10と、音片データベース作成部11と、圧縮部12とにより構成されている。
収録音片データセット記憶部10は、ハードディスク装置等のデータ書き換え可能な不揮発性メモリより構成されている。
収録音片データセット記憶部10には、音片の読みを表す表音文字と、この音片を人が実際に発声したものを集音して得た波形を表す音片データとが、この音声合成システムの製造者等によって、あらかじめ互いに対応付けて記憶されている。なお、この音片データは、例えば、PCM化されたデジタル形式のデータからなっていればよい。
音片データベース作成部11及び圧縮部12は、CPU等のプロセッサや、このプロセッサが実行するためのプログラムを記憶するメモリなどより構成されており、このプログラムに従って後述する処理を行う。
なお、音片データベース作成部11及び圧縮部12の一部又は全部の機能を単一のプロセッサが行うようにしてもよく、また、言語処理部1、音響処理部41、検索部42、伸長部43、音片編集部5、検索部6、復号化部7及び話速変換部8の一部又は全部の機能を行うプロセッサが音片データベース作成部11や圧縮部12の機能を更に行ってもよい。また、音片データベース作成部11や圧縮部12の機能を行うプロセッサが、収録音片データセット記憶部10の制御回路の機能を兼ねてもよい。
次に、この音声合成システムの動作を説明する。
(音片登録ユニットの動作)
まず、音片登録ユニットRの動作を説明する。
音片データベースDに音片を登録する場合、まず、音片データベース作成部11は、音片データベースDが音片登録ユニットRに接続された状態で、収録音片データセット記憶部10より、互いに対応付けられている表音文字及び音片データを読み出し、この音片データが表す音声のピッチ成分の周波数の時間変化と、発声スピードとを特定する。
発声スピードの特定は、例えば、この音片データのサンプル数を数えることにより特定すればよい。
一方、ピッチ成分の周波数の時間変化は、例えば、この音片データにケプストラム解析を施すことにより特定すればよい。具体的には、例えば、音片データが表す波形を時間軸上で多数の小部分へと区切り、得られたそれぞれの小部分の強度を、元の値の対数(対数の底は任意)に実質的に等しい値へと変換し、値が変換されたこの小部分のスペクトル(すなわち、ケプストラム)を、高速フーリエ変換の手法(あるいは、離散的変数をフーリエ変換した結果を表すデータを生成する他の任意の手法)により求める。そして、このケプストラムの極大値を与える周波数のうちの最小値を、この小部分におけるピッチ成分の周波数として特定する。
なお、ピッチ成分の周波数の時間変化は、例えば、特開2003−108172号公報に開示された手法に従って音片データをピッチ波形データへと変換してから、このピッチ波形データに基づいて特定するようにすると良好な結果が期待できる。具体的には、音片データをフィルタリングしてピッチ信号を抽出し、抽出されたピッチ信号に基づいて、音片データが表す波形を単位ピッチ長の区間へと区切り、各区間について、ピッチ信号との相関関係に基づいて位相のずれを特定して各区間の位相を揃えることにより、音片データをピッチ波形信号へと変換すればよい。そして、得られたピッチ波形信号を音片データとして扱い、ケプストラム解析を行う等することにより、ピッチ成分の周波数の時間変化を特定すればよい。
一方、音片データベース作成部11は、音片データベースDにアクセスして音片データベースDの記憶領域を特定する等することにより、各音片データを暗号化して得られる暗号化音片データの、当該記憶領域内の記憶位置の先頭のアドレスを決定し、決定したアドレスを示す上述のアドレスデータを生成する。
次に、音片データベース作成部11は、生成したこのアドレスデータのうちから所定の位置を占める部分を抽出し、抽出された部分に上述の所定の規則に従った変換を施すことにより、暗号鍵を生成する。そして、生成した暗号鍵と、収録音片データセット記憶部10より読み出した音片データとを、圧縮部12に供給する。
なお、アドレスデータのうちの所定の位置の定められ方は、当該所定の位置が、この音声合成システムの利用者に対して公開されない態様で定められている限り、任意である。従って、位置そのものが先頭からのビット数等の形で直接定められていてもよいし、あるいは、音片データベース作成部11がアドレスデータ又はその他所定のデータを所定のハッシュ関数に代入し、あるいはその他所定の演算を施すことにより得られる値を算出して、得られた値によって一意に決まる位置を当該所定の位置として扱ってもよい。
圧縮部12は、音片データベース作成部11より供給された暗号鍵を用いて、同じく音片データベース作成部11より供給された音片データを、対称鍵暗号の手法により暗号化することにより暗号化音片データを作成し、音片データベース作成部11に返送する。
音片データの発声スピード及びピッチ成分の周波数の時間変化を特定し、この音片データが暗号化され暗号化音片データとなって圧縮部12より返送されると、音片データベース作成部11は、この暗号化音片データを、データ部DATを構成するデータとして、音片データベースDの、先に特定した記憶位置に書き込む。
また、音片データベース作成部11は、書き込んだ暗号化音片データが表す音片の読みを示すものとして収録音片データセット記憶部10より読み出した表音文字を、音片読みデータ(すなわち上述の(A)のデータ)として音片データベースDの記憶領域に書き込む。
また、書き込んだ暗号化音片データについて先に生成した上述のアドレスデータ(すなわち上述の(B)のデータ)を、音片データベースDの記憶領域に書き込む。
また、この暗号化音片データのデータ長を特定し、特定したデータ長を、(C)のデータとして音片データベースDの記憶領域に書き込む。
また、この暗号化音片データが表す音片の発声スピード及びピッチ成分の周波数の時間変化を特定した結果を示すデータを生成し、スピード初期値データ及びピッチ成分データとして音片データベースDの記憶領域に書き込む。
(本体ユニットの動作)
次に、本体ユニットMの動作を説明する。以下では、まず、言語処理部1が、この音声合成システムに音声を合成させる対象としてユーザが用意した、表意文字を含む文章(フリーテキスト)を記述したフリーテキストデータを外部から取得したとして説明する。
なお、言語処理部1がフリーテキストデータを取得する手法は任意であり、例えば、図示しないインターフェース回路を介して外部の装置やネットワークから取得してもよいし、図示しない記録媒体ドライブ装置にセットされた記録媒体(例えば、フレキシブルディスクやCD−ROMなど)から、この記録媒体ドライブ装置を介して読み取ってもよい。
また、言語処理部1の機能を行っているプロセッサが、自ら実行している他の処理で用いたテキストデータを、フリーテキストデータとして、言語処理部1の処理へと引き渡すようにしてもよい。
プロセッサが実行する当該他の処理としては、例えば、音声を表す音声データを取得し、この音声データに音声認識を施すことにより、この音声が表す語句を特定し、特定した語句に基づいて、この音声の発話者の要求の内容を特定して、特定した要求を満足させるために実行すべき処理を特定して実行するようなエージェント装置の機能をプロセッサに行わせるための処理などが考えられる。
フリーテキストデータを取得すると、言語処理部1は、このフリーテキストに含まれるそれぞれの表意文字について、その読みを表す表音文字を、一般単語辞書2やユーザ単語辞書3を検索することにより特定する。そして、この表意文字を、特定した表音文字へと置換する。そして、言語処理部1は、フリーテキスト内の表意文字がすべて表音文字へと置換した結果得られる表音文字列を、規則合成処理部4の音響処理部41へと供給する。
音響処理部41は、言語処理部1より表音文字列を供給されると、この表音文字列に含まれるそれぞれの表音文字について、当該表音文字が表す音素を構成する素片の波形を検索するよう、検索部42に指示する。また、音響処理部41は、この表音文字列を、音片編集部5の韻律予測部53に供給する。
検索部42は、この指示に応答して波形データベース44を検索し、この指示の内容に合致する圧縮波形データを索出する。そして、索出された圧縮波形データを伸長部43へと供給する。
伸長部43は、検索部42より供給された圧縮波形データを、圧縮される前の素片波形データへと復元し、検索部42へと返送する。検索部42は、伸長部43より返送された素片波形データを、検索結果として音響処理部41へと供給する。
一方、音響処理部41より表音文字列を供給された韻律予測部53は、この表音文字列に、例えば「藤崎モデル」や「ToBI(Tone and Break Indices)」等の韻律予測の手法に基づいた解析を加えることにより、この表音文字列が表す音声の韻律(アクセント、イントネーション、強勢、音素の時間長など)を予測し、予測結果を表す韻律予測データを生成する。そして、この韻律予測データを、音響処理部41に供給する。
音響処理部41は、検索部42より素片波形データを供給され、韻律予測部53より韻律予測データを供給されると、供給された素片波形データを用いて、言語処理部1が供給した表音文字列に含まれるそれぞれの表音文字が表す音声の波形を表す音声波形データを生成する。
具体的には、音響処理部41は、例えば、検索部42より供給された各々の素片波形データが表す素片により構成されている音素の時間長を、韻律予測部53より供給された韻律予測データに基づいて特定する。そして、特定した音素の時間長を、当該素片波形データが表す素片の時間長で除した値に最も近い整数を求め、当該素片波形データを、求めた整数に等しい個数分相互に結合することにより、音声波形データを生成すればよい。
なお、音響処理部41は、音声波形データが表す音声の時間長を韻律予測データに基づいて決定するのみならず、音声波形データを構成する素片波形データを加工して、音声波形データが表す音声が、当該韻律予測データが示す韻律に合致する強度やイントネーション等を有するようにしてもよい。
あるいは、波形データベース44が、同一の音素を構成するものであって互いに異なる強度及び/又はイントネーションを有する複数の素片を表す複数の圧縮波形データを記憶していてもよい。この場合、音響処理部41は、素片波形データを加工する代わりに、検索部42より供給された素片波形データのうち、韻律予測部53より供給された韻律予測データが示す韻律に合致する強度及びイントネーション等を有する素片を表すものを用いて、当該韻律予測データが示す韻律に合致する強度やイントネーション等を有する音声を表す音声波形データを生成するようにしてもよい。
あるいは、検索部42は、音響処理部41の指示の内容に合致する圧縮波形データのうち、韻律予測部53より供給された韻律予測データが示す韻律に合致する強度及びイントネーション等を有する素片を表すもののみを索出するようにしてもよい。
そして、音響処理部41は、生成された音声波形データを、言語処理部1より供給された表音文字列内での各表音文字の並びに従った順序で、音片編集部5の出力合成部54へと供給する。
出力合成部54は、音響処理部41より波形データを供給されると、この波形データを、音響処理部41より供給された順序で互いに結合し、合成音声を表すデータ(合成音声データ)として出力する。フリーテキストデータに基づいて合成されたこの合成音声は、規則合成方式の手法により合成された音声に相当する。
なお、出力合成部54が合成音声データを出力する手法は任意であり、例えば、図示しないD/A(Digital-to-Analog)変換器やスピーカを介して、この合成音声データが表す合成音声を再生するようにしてもよい。また、図示しないインターフェース回路を介して外部の装置やネットワークに送出してもよいし、図示しない記録媒体ドライブ装置にセットされた記録媒体へ、この記録媒体ドライブ装置を介して書き込んでもよい。また、出力合成部54の機能を行っているプロセッサが、自ら実行している他の処理へと、合成音声データを引き渡すようにしてもよい。
次に、音響処理部41が、外部より配信された、表音文字列を表すデータ(配信文字列データ)を取得したとする。(なお、音響処理部41が配信文字列データを取得する手法も任意であり、例えば、言語処理部1がフリーテキストデータを取得する手法と同様の手法で配信文字列データを取得すればよい。)
この場合、音響処理部41は、配信文字列データが表す表音文字列を、言語処理部1より供給された表音文字列と同様に扱う。この結果、配信文字列データが表す表音文字列に含まれる表音文字が表す音素を構成する素片を表す圧縮波形データが検索部42により索出され、圧縮される前の素片波形データが伸長部43により復元される。一方で、韻律予測部53により、配信文字列データが表す表音文字列に韻律予測の手法に基づいた解析が加えられ、この結果、この表音文字列が表す音声の韻律の予測結果を表す韻律予測データが生成される。そして音響処理部41が、配信文字列データが表す表音文字列に含まれるそれぞれの表音文字が表す音声の波形を表す音声波形データを、復元された各素片波形データと、韻律予測データとに基づいて生成し、出力合成部54は、生成された音声波形データを、配信文字列データが表す表音文字列内での各表音文字の並びに従った順序で互いに結合し、合成音声データとして出力する。配信文字列データに基づいて合成されたこの合成音声データも、規則合成方式の手法により合成された音声を表す。
なお、配信文字列データに基づいて合成音声データを合成する場合も、音響処理部41は、音声波形データが表す音声の時間長を韻律予測データに基づいて決定するのみならず、音声波形データを構成する素片波形データを加工して、音声波形データが表す音声が、当該韻律予測データが示す韻律に合致する強度やイントネーション等を有するようにしてもよい。あるいは、波形データベース44が、同一の音素を構成するものであって互いに異なる強度及び/又はイントネーションを有する複数の素片を表す複数の圧縮波形データを記憶していてもよい。この場合、音響処理部41は、素片波形データを加工する代わりに、検索部42より供給された素片波形データのうち、韻律予測部53より供給された韻律予測データが示す韻律に合致する強度及びイントネーション等を有する素片を表すものを用いて、当該韻律予測データが示す韻律に合致する強度やイントネーション等を有する音声を表す音声波形データを生成するようにしてもよい。あるいは、検索部42は、音響処理部41の指示の内容に合致する圧縮波形データのうち、韻律予測部53より供給された韻律予測データが示す韻律に合致する強度及びイントネーション等を有する素片を表すもののみを索出するようにしてもよい。
次に、音片データベースDが本体ユニットMに接続された状態で、音片編集部5が、定型メッセージデータ、発声スピードデータ、及び照合レベルデータを取得したとする。
なお、定型メッセージデータは、定型メッセージを表意文字列として表すデータであり、具体的には、例えば本体ユニットMが、車両に登載されるナビゲーション装置を構成するものであれば、ナビゲーションの目的で当該ナビゲーション装置に発声させるべきメッセージ等を表すデータである。
また、発声スピードデータは、定型メッセージデータが表す定型メッセージの発声スピードの指定値(この定型メッセージを発声する時間長の指定値)を示すデータである。
照合レベルデータは、検索部6が行う後述の検索処理における検索条件を指定するデータであり、以下では「1」、「2」又は「3」のいずれかの値をとるものとし、「3」が最も厳格な検索条件を示すものとする。
また、一致音片決定部52が定型メッセージデータや発声スピードデータや照合レベルデータを取得する手法は任意であり、例えば、言語処理部1がフリーテキストデータを取得する手法と同様の手法で定型メッセージデータや発声スピードデータや照合レベルデータを取得すればよい。
定型メッセージデータ、発声スピードデータ、及び照合レベルデータが音片編集部5に供給されると、音片編集部5の形態素解析部51は、定型メッセージデータに公知の手法による形態素解析を施すことにより、定型メッセージデータを構成する表意文字列を、表音文字列へと置換する。そして、得られた表音文字列を一致音片決定部52へと供給する。
一致音片決定部52は、表音文字列を形態素解析部51より供給されると、この表音文字列に合致する表音文字列が対応付けられている暗号化音片データをすべて索出するよう、検索部6に指示する。
検索部6は、一致音片決定部52の指示に応答して音片データベースDを検索し、該当する暗号化音片データと、該当する暗号化音片データに対応付けられている上述の音片読みデータ、スピード初期値データ及びピッチ成分データとを索出し、索出された暗号化音片データを復号化部7へと供給する。複数の暗号化音片データが共通の表音文字ないし表音文字列に該当する場合も、該当する暗号化音片データすべてが、音声合成に用いられるデータの候補として索出される。一方、暗号化音片データを索出できなかった音片があった場合、検索部6は、該当する音片を識別するデータ(以下、欠落部分識別データと呼ぶ)を生成する。
また、検索部6は、音片データベースDが記憶する暗号化音片データの生成に用いたものと同一の暗号鍵を生成して、復号化部7へと供給する。
具体的には、検索部6は、音片データベースDが記憶するアドレスデータのうち上述した所定の位置を占める部分を抽出して、抽出された部分に上述の所定の規則に従った変換を施すことにより、この暗号化音片データの生成に用いたものと同一の暗号鍵を生成し、この暗号鍵を復号化部7へと供給する。
復号化部7は、検索部6より供給された暗号化音片データを、検索部6より供給された暗号鍵を用い、圧縮される前の音片データへと復元して、検索部6へと返送する。
検索部6は、復号化部7より返送された音片データと、索出された音片読みデータ、スピード初期値データ及びピッチ成分データとを、検索結果として話速変換部8へと供給する。また、欠落部分識別データを生成した場合は、この欠落部分識別データも話速変換部8へと供給する。
一方、一致音片決定部52は、話速変換部8に対し、話速変換部8に供給された音片データを変換して、当該音片データが表す音片の時間長を、音片編集部5に供給された発声スピードデータが示すスピードに合致するようにすることを指示する。
話速変換部8は、一致音片決定部52の指示に応答し、検索部6より供給された音片データを指示に合致するように変換して、一致音片決定部52に供給する。具体的には、例えば、検索部6より供給された音片データを個々の音素を表す区間へと区切り、得られたそれぞれの区間について、当該区間から、当該区間が表す音素を構成する素片を表す部分を特定して、特定された部分を(1個もしくは複数個)複製して当該区間内に挿入したり、又は、当該区間から当該部分を(1個もしくは複数個)除去することによって、当該区間の長さを調整することにより、この音片データ全体のサンプル数を、一致音片決定部52の指示したスピードに合致する時間長にすればよい。なお、話速変換部8は、各区間について、素片を表す部分を挿入又は除去する個数を、各区間が表す音素相互間の時間長の比率が実質的に変化しないように決定すればよい。こうすることにより、音素同士を単に結合して合成する場合に比べて、音声のより細かい調整が可能になる。
また、話速変換部8は、検索部6より供給された音片読みデータ及びピッチ成分データも一致音片決定部52に供給し、欠落部分識別データを検索部6より供給された場合は、更にこの欠落部分識別データも一致音片決定部52に供給する。
なお、発声スピードデータが一致音片決定部52に供給されていない場合、一致音片決定部52は、話速変換部8に対し、話速変換部8に供給された音片データを変換せずに一致音片決定部52に供給するよう指示すればよく、話速変換部8は、この指示に応答し、検索部6より供給された音片データをそのまま一致音片決定部52に供給すればよい。
一致音片決定部52は、話速変換部8より音片データ、音片読みデータ及びピッチ成分データを供給されると、供給された音片データのうちから、定型メッセージを構成する音片の波形に近似できる波形を表す音片データを、音片1個につき1個ずつ選択する。ただし、一致音片決定部52は、いかなる条件を満たす波形を定型メッセージの音片に近い波形とするかを、音片編集部5に供給された照合レベルデータに従って設定する。
具体的には、まず、一致音片決定部52は、例えば定型メッセージデータを変換して得られた表音文字列を韻律予測部53に供給し、韻律予測部53に、この表音文字列が表す定型メッセージの韻律を予測するよう指示する。韻律予測部53はこの指示に従い、上述した韻律予測の手法に基づいた解析を加えることにより、この定型メッセージの韻律を予測し、予測結果を表す韻律予測データを生成して、一致音片決定部52に返送する。
韻律予測データを取得すると、一致音片決定部52は、例えば、
(1) 照合レベルデータの値が「1」である場合は、話速変換部8より供給された音片データ(すなわち、定型メッセージ内の音片と読みが合致する音片データ)をすべて、定型メッセージ内の音片の波形に近いものとして選択する。
(2) 照合レベルデータの値が「2」である場合は、(1)の条件(つまり、読みを表す表音文字の合致という条件)を満たし、更に、音片データのピッチ成分の周波数の時間変化を表すピッチ成分データの内容と定型メッセージに含まれる音片のアクセント(いわゆる韻律)の予測結果との間に所定量以上の強い相関がある場合(例えば、アクセントの位置の時間差が所定量以下である場合)に限り、この音片データが定型メッセージ内の音片の波形に近いものとして選択する。なお、定型メッセージ内の音片のアクセントの予測結果は、定型メッセージの韻律の予測結果より特定できるものであり、一致音片決定部52は、例えば、ピッチ成分の周波数が最も高いと予測されている位置をアクセントの予測位置であると解釈すればよい。一方、音片データが表す音片のアクセントの位置については、例えば、ピッチ成分の周波数が最も高い位置を上述のピッチ成分データに基づいて特定し、この位置をアクセントの位置であると解釈すればよい。また、韻律予測は、文章全体に対して行ってもよいし、文章を所定の単位に分割し、それぞれの単位に対して行ってもよい。
(3) 照合レベルデータの値が「3」である場合は、(2)の条件(つまり、読みを表す表音文字及びアクセントの合致という条件)を満たし、更に、音片データが表す音声の鼻濁音化や無声化の有無が、定型メッセージの韻律の予測結果に合致している場合に限り、この音片データが定型メッセージ内の音片の波形に近いものとして選択する。一致音片決定部52は、音片データが表す音声の鼻濁音化や無声化の有無を、話速変換部8より供給されたピッチ成分データに基づいて判別すればよい。
なお、一致音片決定部52は、自ら設定した条件に合致する音片データが1個の音片につき複数あった場合は、これら複数の音片データを、設定した条件より厳格な条件に従って1個に絞り込むものとする。
具体的には、例えば、設定した条件が照合レベルデータの値「1」に相当するものであって、該当する音片データが複数あった場合は、照合レベルデータの値「2」に相当する検索条件にも合致するものを選択し、なお複数の音片データが選択された場合は、選択結果のうちから照合レベルデータの値「3」に相当する検索条件にも合致するものを更に選択する、等の操作を行う。照合レベルデータの値「3」に相当する検索条件で絞り込んでなお複数の音片データが残る場合は、残ったものを任意の基準で1個に絞り込めばよい。
そして、一致音片決定部52は、照合レベルデータの値に相当する条件を満たすものとして選択した音片データを、出力合成部54へと供給する。
ただし、一致音片決定部52は、話速変換部8より供給された音片データのうちから、照合レベルデータの値に相当する条件を満たす音片データを選択できない音片があった場合、該当する音片を、検索部6が暗号化音片データを索出できなかった音片(つまり、上述の欠落部分識別データが示す音片)とみなして扱うことを決定するものとする。
一方、一致音片決定部52は、話速変換部8より欠落部分識別データも供給されている場合、又は、照合レベルデータの値に相当する条件を満たす音片データを選択できなかった音片があった場合には、欠落部分識別データが示す音片(照合レベルデータの値に相当する条件を満たす音片データを選択できなかった音片を含む)の読みを表す表音文字列を定型メッセージデータより抽出して音響処理部41に供給し、この音片の波形を合成するよう指示する。
指示を受けた音響処理部41は、一致音片決定部52より供給された表音文字列を、配信文字列データが表す表音文字列と同様に扱う。この結果、この表音文字列に含まれる表音文字が表す音素を構成する素片を表す圧縮波形データが検索部42により索出され、圧縮される前の素片波形データが伸長部43により復元される。一方で、韻律予測部53により、この表音文字列が表す音片の韻律の予測結果を表す韻律予測データが生成される。そして音響処理部41が、この表音文字列に含まれるそれぞれの表音文字が表す音声の波形を表す音声波形データを、復元された各素片波形データと、韻律予測データとに基づいて生成し、生成された音声波形データを、出力合成部54へと供給する。
なお、一致音片決定部52は、韻律予測部53が既に生成して一致音片決定部52に供給した韻律予測データのうち、欠落部分識別データが示す音片に相当する部分を音響処理部41に供給するようにしてもよく、この場合、音響処理部41は、改めて韻律予測部53に当該音片の韻律予測を行わせる必要はない。このようにすれば、音片等の細かい単位毎に韻律予測を行う場合に比べて、より自然な発話が可能になる。
出力合成部54は、一致音片決定部52より音片データを供給され、音響処理部41より、素片波形データより生成された音声波形データを供給されると、供給されたそれぞれの音声波形データに含まれる素片波形データの個数を調整することにより、当該音声波形データが表す音声の時間長を、一致音片決定部52より供給された音片データが表す音片の発声スピードと整合するようにする。
具体的には、出力合成部54は、例えば、一致音片決定部52より音片データに含まれる上述の各区間が表す音素の時間長が元の時間長に対して増減した比率を特定し、音響処理部41より供給された音声波形データが表す音素の時間長が当該比率で変化するように、各音声波形データ内の素片波形データの個数を増加あるいは減少させればよい。なお、出力合成部54は、当該比率を特定するため、例えば、一致音片決定部52が供給した音片データの生成に用いられた元の音片データを検索部6より取得し、これら2個の音片データ内で互いに同一の音素を表す区間を1個ずつ特定すればよい。そして、一致音片決定部52が供給した音片データ内で特定した区間内に含まれる素片の個数が、検索部6より取得した音片データ内で特定した区間内に含まれる素片の個数に対して増減した比率を、音素の時間長の増減の比率として特定するようにすればよい。なお、音声波形データが表す音素の時間長が、一致音片決定部52より供給された音片データが表す音片のスピードに既に整合している場合、出力合成部54は、音声波形データ内の素片波形データの個数を調整する必要はない。
そして、出力合成部54は、素片波形データの個数の調整が完了した音声波形データと、一致音片決定部52より供給された音片データとを、定型メッセージデータが示す定型メッセージ内での各音片ないし音素の並びに従った順序で互いに結合し、合成音声を表すデータとして出力する。
なお、話速変換部8より供給されたデータに欠落部分識別データが含まれていない場合は、音響処理部41に波形の合成を指示することなく直ちに、音片編集部5が選択した音片データを、定型メッセージデータが示す定型メッセージ内での表音文字列の並びに従った順序で互いに結合し、合成音声を表すデータとして出力すればよい。
以上説明した、この発明の実施の形態の音声合成システムでは、音素より大きな単位であり得る音片の波形を表す音片データが、韻律の予測結果に基づいて、録音編集方式により自然につなぎ合わせられ、定型メッセージを読み上げる音声が合成される。一方、適切な音片データを選択することができなかった音片は、音素より小さな単位である素片を表す圧縮波形データを用いて、規則合成方式の手法に従って合成される。
そして、暗号化音片データの復号化は、音片データベースDが記憶する他のデータのうち、その位置が利用者に対して非公開である所定の部分から本体ユニットMが抽出するデータを用いて生成される暗号鍵を用いて行われる。このため、音片登録ユニットR又はその利用者が、本体ユニットMに暗号鍵を別途供給する必要がなく、従って、暗号鍵が、暗号鍵を非公開とする対象者へと漏洩する危険が低い。
また、暗号化音片データの復号化は、当該暗号化音片データを記憶している音片データベースDに記憶されているデータから得られる暗号鍵を用いて行われる。このため、本体ユニットMは自己に接続された音片データベースDを他の音片データベースDへと交換しても、交換後の音片データベースDが記憶する暗号化音片データを正しく復号化する。
一方、互いに異なる複数の音片データベースDは、互いに異なる内容のアドレスデータ等を記憶しているので、それぞれの音片データベースDについて生成される暗号鍵も互いに異なったものとなる。従って暗号鍵は音片データベースDに固有のものとなり、ある音片データベースDについて生成された暗号鍵が他の音片データベースD内の暗号化音片データの復号化に流用される危険はほぼ回避できる。
なお、この音声合成システムの構成は上述のものに限られない。
例えば、音片データベースDを構成する不揮発性メモリは、CD(Compact Disc)−RW(ReWritable)等、アクセスのために記録媒体ドライブ装置(例えば、CD−RWドライブ装置)を必要とする記録媒体より構成されていてもよい。ただしこの場合、本体ユニットM及び音片登録ユニットRはそれぞれ、当該記録媒体へのアクセスを行う記録媒体ドライブ装置を備えるものとする。そして、音片登録ユニットRの記録媒体ドライブ装置は、音片データベース作成部11より供給されたデータを、自己にセットされた記録媒体に記録し、本体ユニットMの記録媒体ドライブ装置は、自己にセットされた記録媒体からデータを読み出して検索部6に供給するものとする。
また、音片データベースDは、必ずしもヘッダ部HDR、インデックス部IDX又はディレクトリ部DIRを自ら記憶する必要はなく、ヘッダ部HDR、インデックス部IDX及びディレクトリ部DIRの一部又は全部が、インターネット等からなる外部のネットワークに接続された外部のコンピュータに記憶されてもよい。
この場合、具体的には、例えば、音片登録ユニットRの音片データベース作成部11と本体ユニットMの検索部6とが、それぞれ、モデム等からなる通信制御装置を備えていればよい。そして、音片データベース作成部11がこのネットワークを介してこのコンピュータにアクセスし、ヘッダ部HDR、インデックス部IDX及びディレクトリ部DIRに属するデータの一部又は全部をこのコンピュータにアップロードするものとし、一方で検索部6が、アップロードされたこのデータを、このネットワークを介してこのコンピュータにアクセスすることにより取得するものとすればよい。
また、本体ユニットMの復号化部7を構成するメモリが、当該本体ユニットM又は音片データベースDに固有に割り当てられている識別符号を記憶してもよく、音片登録ユニットR及び本体ユニットMがこの識別符号を暗号鍵の生成に用いてもよい。具体的には、音片登録ユニットRの音片データベース作成部11が本体ユニットM又は音片データベースDの識別符号を取得して、自ら作成したアドレスデータのうち、この識別符号の値により決まる一定の位置を占める部分を抽出し、抽出された部分に、この識別符号の値により決まる規則に従った変換を施すことにより、暗号鍵を生成するようにしてもよい。一方、検索部6も、音片データベースDより索出したアドレスデータのうち、自ら記憶する本体ユニットM又は音片データベースDの識別符号の値により決まる当該位置を占める部分を抽出し、抽出された部分に、この識別符号の値により決まる当該規則に従った変換を施すことにより、暗号鍵を生成するようにすればよい。
識別符号の値により決まる一定の位置の具体例としては、例えば、識別符号(又は識別符号を所定の形式で含んだデータ)の値を所定のハッシュ関数に代入し、あるいはその他所定の演算を施すことにより得られる値により一意に決まる位置、などが挙げられる。
また、上述の変換を識別符号の値により決まる規則に従ったものとする手法の具体例としては、例えば、識別符号等に施す演算の種類を識別符号に従って変化させる手法や、当該演算に用いるパラメータの値を識別符号に従って変化させる手法などが挙げられる。
なお、音片登録ユニットRが本体ユニットM又は音片データベースDの識別符号を取得する手法は任意である。従って、例えば音片登録ユニットRが、キーボード等からなる入力部と、液晶ディスプレイ装置等からなる表示部とを備え、ユーザが音片登録ユニットRの入力部を操作することにより本体ユニットM又は音片データベースDの識別符号を入力したとき、圧縮部12がこの入力部よりこの識別符号を取得して、暗号鍵の作成に用いるものとしてもよい。また、音片登録ユニットRと本体ユニットMとが互いに接続可能に構成されていてもよく、この場合は、音片登録ユニットRと本体ユニットMとが互いに接続されている状態で、圧縮部12が復号化部7にアクセスして、本体ユニットMの識別符号を取得するようにしてもよい。また、音片データベースD自身が自己の識別符号を記憶している場合は、音片登録ユニットRと音片データベースDとが互いに接続されている状態で、圧縮部12が音片データベースDにアクセスして、当該音片データベースDの識別符号を取得するようにしてもよい。
また、音片データベースDを構成するメモリないし記録媒体が、当該メモリないし記録媒体に固有に割り当てられている識別符号を記憶してもよく、音片登録ユニットRがこの識別符号を、本体ユニットMの上述の識別符号と同様に、暗号鍵の生成に用いてもよい。
また、本体ユニットMは、必ずしも、検索部6が暗号化音片データを索出するたびに当該暗号化音片データを復号化するものである必要はない。従って、例えば、音片データベースDと本体ユニットMとが互いに接続された後任意のタイミングで、復号化部7が音片データベースDにアクセスし、暗号鍵の作成と、音片データベースDが記憶するすべての暗号化音片データの復号化を予め一律に行うものとしてもよい。
この場合、本体ユニットMは、予め復号化した音片データを、例えば、本体ユニットM自身又は音片データベースDを構成するメモリに一時記憶して、検索部6は、一時記憶されたこれらの音片データを、音片データベースDが記憶する暗号化音片データの代わりに検索の対象とし、索出された音片データを、復号化部7より返送される音片データと同一に扱うようにすればよい。
また、暗号鍵の生成に用いるデータは必ずしもアドレスデータから抽出される必要はなく、音片データベース作成部11及び検索部6は、アドレスデータ以外のデータであってヘッダ部HDR、インデックス部IDX又はディレクトリ部DIRに属する任意のデータを、アドレスデータに代えて、あるいはアドレスデータと共に、暗号鍵の生成に用いてもよい。
また、音片データベース作成部11は、マイクロフォン、増幅器、サンプリング回路、A/D(Analog-to-Digital)コンバータ及びPCMエンコーダなどを備えていてもよい。この場合、音片データベース作成部11は、収録音片データセット記憶部10より音片データを取得する代わりに、自己のマイクロフォンが集音した音声を表す音声信号を増幅し、サンプリングしてA/D変換した後、サンプリングされた音声信号にPCM変調を施すことにより、音片データを作成してもよい。
また、音片データベース作成部11は、図示しない記録媒体ドライブ装置にセットされた記録媒体から、この記録媒体ドライブ装置を介して、音片データベースDに追加する新たな暗号化音片データの材料となる音片データや表音文字列を読み取ってもよい。
また、音片登録ユニットRは、必ずしも収録音片データセット記憶部10を備えている必要はない。
また、ピッチ成分データは音片データが表す音片のピッチ長の時間変化を表すデータであってもよい。この場合、一致音片決定部52は、ピッチ長が最も短い位置(つまり、周波数がもっとも高い位置)をピッチ成分データに基づいて特定し、この位置をアクセントの位置であると解釈すればよい。
また、素片波形データはPCM形式のデータである必要はなく、データ形式は任意である。また、波形データベース44は素片波形データや音片データを必ずしもデータ圧縮された状態で記憶している必要はない。波形データベース44が素片波形データをデータ圧縮されていない状態で記憶している場合、本体ユニットMは伸長部43を備えている必要はない。
以上、この発明の実施の形態を説明したが、この発明にかかる音声データベース製造装置及び音片復元装置は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。
例えば、音片データベースDを構成する外部の不揮発性メモリないし記録媒体に接続可能なパーソナルコンピュータに上述の収録音片データセット記憶部10、音片データベース作成部11及び圧縮部12の動作を実行させるためのプログラムを格納した記録媒体(CD−ROM、フレキシブルディスク等)から該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する音片登録ユニットRを構成することができる。
そして、このプログラムを実行し音片登録ユニットRとして機能するパーソナルコンピュータが、図1の音声合成システムの音片登録ユニットRの動作に相当する処理として、図3に示す処理を行うようにすることもできる。
図3は、音片登録ユニットRの機能を行うパーソナルコンピュータが実行する処理を示すフローチャートである。
すなわち、このパーソナルコンピュータが音片データベースDに音片を登録する場合、まず、音片データベースDを構成する不揮発性メモリないし記録媒体がこのパーソナルコンピュータに接続された状態で、収録音片データセット記憶部10より、互いに対応付けられている表音文字列及び音片データを読み出し、又は、互いに対応付けられている表音文字列及び音片データを外部より取得して(図3、ステップS001)、得られた音片データが表す音声のピッチ成分の周波数の時間変化と、発声スピードとを特定する(ステップS002)。
なお、このパーソナルコンピュータは、ステップS002における発声スピードの特定は、例えば、この音片データのサンプル数を数えることにより行えばよい。
また、ピッチ成分の周波数の時間変化は、例えば、この音片データにケプストラム解析を施すことにより特定すればよい。具体的には、例えば、音片データが表す波形を時間軸上で多数の小部分へと区切り、得られたそれぞれの小部分のケプストラムを求め、このケプストラムの極大値を与える周波数のうちの最小値を、この小部分におけるピッチ成分の周波数として特定すればよい。なお、ピッチ成分の周波数の時間変化は、上述したように、例えば特開2003−108172号公報に開示された手法に従って音片データをピッチ波形データへと変換してから、このピッチ波形データに基づいて特定するようにすると良好な結果が期待できる。
一方、このパーソナルコンピュータは、音片データベースDにアクセスして音片データベースDの記憶領域を特定する等することにより、各音片データを暗号化して得られる暗号化音片データの、当該記憶領域内の記憶位置の先頭のアドレスを決定し、決定したアドレスを示す上述のアドレスデータを生成する(ステップS003)。
次に、このパーソナルコンピュータは、生成したこのアドレスデータのうちから所定の位置を占める部分を抽出し、抽出された部分に上述の所定の規則に従った変換を施すことにより、暗号鍵を生成する(ステップS004)。なお、アドレスデータのうちの所定の位置の定められ方は、当該所定の位置が、このパーソナルコンピュータの利用者に対して公開されない態様で定められている限り、任意である。
次に、このパーソナルコンピュータは、ステップS004で生成した暗号鍵を用いて、ステップS001で取得した音片データを、対称鍵暗号の手法により暗号化することにより暗号化音片データを作成し(ステップS005)、データ部DATを構成するデータとして、音片データベースDの記憶領域内の、ステップS003で決定した記憶位置に書き込む(ステップS006)。
また、ステップS006でこのパーソナルコンピュータは、書き込んだ暗号化音片データが表す音片の読みを示すものとしてステップS001で取得した表音文字列を、音片読みデータとして音片データベースDの記憶領域に書き込む。
また、ステップS003で生成したアドレスデータを、上述の(B)のデータとして音片データベースDの記憶領域に書き込む。
また、この暗号化音片データのデータ長を特定し、特定したデータ長を、(C)のデータとして音片データベースDの記憶領域に書き込む。
また、この暗号化音片データが表す音片の発声スピード及びピッチ成分の周波数の時間変化を特定した結果を示すデータを生成し、スピード初期値データ及びピッチ成分データとして音片データベースDの記憶領域に書き込む。
また、音片データベースDを構成する不揮発性メモリないし記録媒体に接続可能なパーソナルコンピュータに上述の言語処理部1、一般単語辞書2、ユーザ単語辞書3、規則合成処理部4、音片編集部5、検索部6、音片データベースD、復号化部7及び話速変換部8の動作を実行させるためのプログラムを格納した記録媒体から該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する本体ユニットMを構成することができる。
そして、このプログラムを実行し本体ユニットMとして機能するパーソナルコンピュータが、図1の音声合成システムの本体ユニットMの動作に相当する処理として、図4〜図6に示す処理を行うようにすることもできる。
図4は、本体ユニットMの機能を行うパーソナルコンピュータがフリーテキストデータを取得した場合の処理を示すフローチャートである。
図5は、本体ユニットMの機能を行うパーソナルコンピュータが配信文字列データを取得した場合の処理を示すフローチャートである。
図6は、本体ユニットMの機能を行うパーソナルコンピュータが定型メッセージデータ及び発声スピードデータを取得した場合の処理を示すフローチャートである。
すなわち、このパーソナルコンピュータが、外部より、上述のフリーテキストデータを取得すると(図4、ステップS101)、このフリーテキストデータが表すフリーテキストに含まれるそれぞれの表意文字について、その読みを表す表音文字を、一般単語辞書2やユーザ単語辞書3を検索することにより特定し、この表意文字を、特定した表音文字へと置換する(ステップS102)。なお、このパーソナルコンピュータがフリーテキストデータを取得する手法は任意である。
そして、このパーソナルコンピュータは、フリーテキスト内の表意文字をすべて表音文字へと置換した結果を表す表音文字列が得られると、この表音文字列に含まれるそれぞれの表音文字について、当該表音文字が表す単位音声の波形を波形データベース44より検索し、表音文字列に含まれるそれぞれの表音文字が表す音素を構成する素片の波形を表す圧縮波形データを索出し(ステップS103)、索出された圧縮波形データを、圧縮される前の素片波形データへと復元する(ステップS104)。
一方で、このパーソナルコンピュータは、フリーテキストデータに韻律予測の手法に基づいた解析を加えることにより、フリーテキストが表す音声の韻律を予測する(ステップS105)。そして、ステップS104で復元された素片波形データと、ステップS105における韻律の予測結果とに基づいて音声波形データを生成し(ステップS106)、得られた音声波形データを、表音文字列内での各表音文字の並びに従った順序で互いに結合し、合成音声データとして出力する(ステップS107)。なお、このパーソナルコンピュータが合成音声データを出力する手法は任意である。
また、このパーソナルコンピュータが、外部より、上述の配信文字列データを任意の手法で取得すると(図5、ステップS201)、この配信文字列データが表す表音文字列に含まれるそれぞれの表音文字について、上述のステップS103〜S104と同様に、当該表音文字が表す音素を構成する素片の波形を表す圧縮波形データを索出する処理、及び、索出された圧縮波形データを素片波形データへと復元する処理を行う(ステップS202)。
一方でこのパーソナルコンピュータは、配信文字列に韻律予測の手法に基づいた解析を加えることにより、配信文字列が表す音声の韻律を予測し(ステップS203)、ステップS202で復元された素片波形データと、ステップS203における韻律の予測結果とに基づいて音声波形データを生成し(ステップS204)、得られた音声波形データを、表音文字列内での各表音文字の並びに従った順序で互いに結合し、合成音声データとしてステップS107の処理と同様の処理により出力する(ステップS205)。
一方、音片データベースDを構成する不揮発性メモリないし記録媒体がこのパーソナルコンピュータに接続された状態で、このパーソナルコンピュータが、外部より、上述の定型メッセージデータ、照合レベルデータ及び発声スピードデータを任意の手法により取得すると(図6、ステップS301)、まず、定型メッセージデータに公知の手法による形態素解析を施すことにより、定型メッセージデータを構成する表意文字列を、表音文字列へと変換する(ステップS302)。
次に、このパーソナルコンピュータは、ステップS302の処理で得られた表音文字列に合致する表音文字列が対応付けられている暗号化音片データをすべて索出する(ステップS303)。
また、ステップS303では、該当する暗号化音片データに対応付けられている上述の音片読みデータ、スピード初期値データ及びピッチ成分データも索出する。なお、1個の音片につき複数の暗号化音片データが該当する場合は、該当する暗号化音片データすべてを索出する。一方、暗号化音片データを索出できなかった音片があった場合は、上述の欠落部分識別データを生成する。
次に、このパーソナルコンピュータは、索出された暗号化音片データを、圧縮される前の音片データへと復元する(ステップS304)。そして、復元された音片データを、上述の話速変換部8が行う処理と同様の処理により変換して、当該音片データが表す音片の時間長を、発声スピードデータが示すスピードに合致させる(ステップS305)。なお、発声スピードデータが供給されていない場合は、復元された音片データを変換しなくてもよい。
なお、ステップS304でこのパーソナルコンピュータは、音片データベースDにアクセスし、音片データベースDが記憶するアドレスデータのうち上述した所定の位置を占める部分を抽出して、抽出された部分に上述の所定の規則に従った変換を施すことにより、ステップS303で索出された暗号化音片データの生成に用いたものと同一の暗号鍵を生成する。そして、生成したこの暗号鍵を用いてこの暗号化音片データを復号化することにより、圧縮される前の音片データへと復元するものとする。
次に、このパーソナルコンピュータは、定型メッセージデータが表す定型メッセージに韻律予測の手法に基づいた解析を加えることにより、この定型メッセージの韻律を予測する(ステップS306)。そして、音片の時間長が変換された音片データのうちから、定型メッセージを構成する音片の波形に最も近い波形を表す音片データを、上述の一致音片決定部52が行う処理と同様の処理を行うことにより、外部より取得した照合レベルデータが示す基準に従って、音片1個につき1個ずつ選択する(ステップS307)。
具体的には、ステップS307でこのパーソナルコンピュータは、例えば、上述した(1)〜(3)の条件に従って音片データを特定する。すなわち、照合レベルデータの値が「1」である場合は、定型メッセージ内の音片と読みが合致する音片データをすべて、定型メッセージ内の音片の波形を表しているとみなす。また、照合レベルデータの値が「2」である場合は、読みを表す表音文字が合致し、更に、音片データのピッチ成分の周波数の時間変化を表すピッチ成分データの内容が定型メッセージに含まれる音片のアクセントの予測結果に合致する場合に限り、この音片データが定型メッセージ内の音片の波形を表しているとみなす。また、照合レベルデータの値が「3」である場合は、読みを表す表音文字及びアクセントが合致し、更に、音片データが表す音声の鼻濁音化や無声化の有無が、定型メッセージの韻律の予測結果に合致している場合に限り、この音片データが定型メッセージ内の音片の波形を表しているとみなす。
なお、照合レベルデータが示す基準に合致する音片データが1個の音片につき複数あった場合は、これら複数の音片データを、設定した条件より厳格な条件に従って1個に絞り込むものとする。また、照合レベルデータの値に相当する条件を満たす音片データを選択できない音片があった場合は、該当する音片を、暗号化音片データを索出できなかった音片として扱うことと決定し、例えば欠落部分識別データを生成するものとする。
一方、このパーソナルコンピュータは、欠落部分識別データを生成した場合、欠落部分識別データが示す音片の読みを表す表音文字列を定型メッセージデータより抽出し、この表音文字列につき、音素毎に、配信文字列データが表す表音文字列と同様に扱って上述のステップS202〜S204の処理と同様の処理を行うことにより、この表音文字列内の各表音文字が示す音声の波形を表す音声波形データを生成する(ステップS308)。
ただし、ステップS308でこのパーソナルコンピュータは、ステップS203の処理に相当する処理を行う代わりに、ステップS306における韻律予測の結果を用いて音声波形データを生成するようにしてもよい。
次に、このパーソナルコンピュータは、上述の出力合成部54が行う処理と同様の処理を行うことにより、ステップS308で生成された音声波形データに含まれる素片波形データの個数を調整し、当該音声波形データが表す音声の時間長を、ステップS307で選択された音片データが表す音片の発声スピードと整合するようにする(ステップS309)。
すなわち、ステップS309でこのパーソナルコンピュータは、例えば、ステップS307で選択された音片データに含まれる上述の各区間が表す音素の時間長が元の時間長に対して増減した比率を特定し、ステップS308で生成された音声波形データが表す音声の時間長が当該比率で変化するように、各音声波形データ内の素片波形データの個数を増加あるいは減少させればよい。なお、当該比率を特定するため、例えば、ステップS307で選択された音片データ(発声スピード変換後の音片データ)と、当該音片データがステップS305で変換を受ける前の元の音片データとの内で互いに同一の音声を表す区間を1個ずつ特定し、発声スピード変換後の音片データ内で特定した区間内に含まれる素片の個数が、元の音片データ内で特定した区間内に含まれる素片の個数に対して増減した比率を、音声の時間長の増減の比率として特定するようにすればよい。なお、音声波形データが表す音声の時間長が、発声スピード変換後の音片データが表す音片のスピードに既に整合している場合、このパーソナルコンピュータは音声波形データ内の素片波形データの個数を調整する必要はない。
そして、このパーソナルコンピュータは、ステップS309の処理を経た音声波形データと、ステップS307で選択した音片データとを、定型メッセージデータが示す定型メッセージ内での表音文字列の並びに従った順序で互いに結合し、合成音声を表すデータとして出力する(ステップS310)。
なお、パーソナルコンピュータに本体ユニットM又は音片登録ユニットRの機能を行わせるプログラムは、例えば、通信回線の掲示板(BBS)にアップロードし、これを通信回線を介して配信してもよく、また、これらのプログラムを表す信号により搬送波を変調し、得られた変調波を伝送し、この変調波を受信した装置が変調波を復調してこれらのプログラムを復元するようにしてもよい。
そして、これらのプログラムを起動し、OSの制御下に、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
なお、OSが処理の一部を分担する場合、あるいは、OSが本願発明の1つの構成要素の一部を構成するような場合には、記録媒体には、その部分を除いたプログラムを格納してもよい。この場合も、この発明では、その記録媒体には、コンピュータが実行する各機能又はステップを実行するためのプログラムが格納されているものとする。
この発明の実施の形態に係る音声合成システムの構成を示すブロック図である。 音片データベースのデータ構造を模式的に示す図である。 図1の音片登録ユニットの機能を行うパーソナルコンピュータが実行する処理を示すフローチャートである。 図1の本体ユニットの機能を行うパーソナルコンピュータがフリーテキストデータを取得した場合の処理を示すフローチャートである。 図1の本体ユニットの機能を行うパーソナルコンピュータが配信文字列データを取得した場合の処理を示すフローチャートである。 図1の本体ユニットの機能を行うパーソナルコンピュータが定型メッセージデータ及び発声スピードデータを取得した場合の処理を示すフローチャートである。
符号の説明
M 本体ユニット
D 音片データベース
R 音片登録ユニット
1 言語処理部
2 一般単語辞書
3 ユーザ単語辞書
41 音響処理部
42 検索部
43 伸長部
44 波形データベース
5 音片編集部
51 形態素解析部
52 一致音片決定部
53 韻律予測部
54 出力合成部
6 検索部
7 復号化部
8 話速変換部
10 収録音片データセット記憶部
11 音片データベース作成部
12 圧縮部
HDR ヘッダ部
IDX インデックス部
DIR ディレクトリ部
DAT データ部

Claims (8)

  1. 音片を表す音片データを取得するデータ取得手段と、
    前記音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、音片データベースを構築する対象である外部の記憶装置の記憶領域に格納する場合における当該暗号化音片データの記憶位置を決定し、当該記憶位置を示すアドレスデータを生成する記憶位置決定手段と、
    生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち所定の位置を占めるデータを抽出して所定の規則に従った変換を施すことにより暗号鍵を生成する暗号鍵生成手段と、
    取得された前記音片データを、生成された前記暗号鍵を用いて暗号化することにより、暗号化音片データを生成する暗号化手段と、
    生成された前記暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みと対応付けて前記記憶装置の前記記憶位置に格納することにより前記音片データベースを構築する音片記憶手段と、を備え、
    前記暗号鍵生成手段は、生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち、前記記憶装置又は当該暗号化音片データの復号化を行う外部の装置に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる前記規則に従った変換を施すことにより、暗号鍵を生成する、
    ことを特徴とする音声データベース製造装置。
  2. 音片を表す音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みに対応付けて記憶し、当該暗号化音片データが記憶されている記憶位置を示すアドレスデータを更に記憶する外部の音声データベースに接続可能に構成され、
    文章を表す文章情報を入力し、前記各暗号化音片データのうちから、前記文章を構成する音声と共通する読みに対応付けられている暗号化音片データを選択する選択手段と、
    前記暗号化音片データを復号化する復号化手段と、より構成されており、
    前記音声データベースには、当該音声データベースに固有の識別データが割り当てられており、
    前記暗号化音片データは、前記音声データベースに記憶されているアドレスデータを構成するデータのうち、前記音声データベース自身に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる規則に従った変換を施したものに相当する暗号鍵を用いて前記音片データが暗号化されたものに相当し、
    前記復号化手段は、前記音声データベースが記憶するアドレスデータを構成するデータのうち前記識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して当該識別データの値により決まる前記規則に従った前記変換を施すことにより前記暗号鍵を生成し、生成した当該暗号鍵を用いて前記暗号化音片データを復号化するものである、
    ことを特徴とする音片復元装置。
  3. 前記復号化手段が復号化した音片データを互いに結合することにより、合成音声を表すデータを生成する合成手段を更に備える、
    ことを特徴とする請求項に記載の音片復元装置。
  4. 音片を表す音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みに対応付けて記憶し、当該暗号化音片データが記憶されている記憶位置を示すアドレスデータを更に記憶する外部の音声データベースに接続可能に構成され、
    文章を表す文章情報を入力し、前記各暗号化音片データのうちから、前記文章を構成する音声と共通する読みに対応付けられている暗号化音片データを選択する選択手段と、
    前記暗号化音片データを復号化する復号化手段と、
    前記復号化手段が復号化した音片データを互いに結合することにより、合成音声を表すデータを生成する合成手段と、より構成されており、
    前記合成手段には、当該合成手段に固有の識別データが割り当てられており、
    前記暗号化音片データは、前記音声データベースが記憶するアドレスデータを構成するデータのうち、前記合成手段に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる規則に従った変換を施したものに相当する暗号鍵を用いて前記音片データが暗号化されたものに相当し、
    前記復号化手段は、前記音声データベースが記憶するアドレスデータを構成するデータのうち前記識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して当該識別データの値により決まる前記規則に従った前記変換を施すことにより前記暗号鍵を生成し、生成した当該暗号鍵を用いて前記暗号化音片データを復号化するものである、
    ことを特徴とする音片復元装置。
  5. 音片を表す音片データを取得するデータ取得ステップと
    前記音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、音片データベースを構築する対象である外部の記憶装置の記憶領域に格納する場合における当該暗号化音片データの記憶位置を決定し、当該記憶位置を示すアドレスデータを生成する記憶位置決定ステップと
    生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち所定の位置を占めるデータを抽出して所定の規則に従った変換を施すことにより暗号鍵を生成する暗号鍵生成ステップと
    取得された前記音片データを、生成された前記暗号鍵を用いて暗号化することにより、暗号化音片データを生成する暗号化ステップと
    生成された前記暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みと対応付けて前記記憶装置の前記記憶位置に格納することにより前記音片データベースを構築する音片記憶ステップと、を含み
    前記暗号鍵生成ステップでは、生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち、前記記憶装置又は当該暗号化音片データの復号化を行う外部の装置に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる前記規則に従った変換を施すことにより、暗号鍵を生成する、
    ことを特徴とする音声データベース製造方法。
  6. 音片を表す音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みに対応付けて記憶し、当該暗号化音片データが記憶されている記憶位置を示すアドレスデータを更に記憶する外部の音声データベースを用いる音片復元方法であって、
    文章を表す文章情報を入力し、各前記暗号化音片データのうちから、前記文章を構成する音声と共通する読みに対応付けられている暗号化音片データを選択する選択ステップと、
    前記暗号化音片データを復号化する復号化ステップと、より構成されており、
    前記音声データベースには、当該音声データベースに固有の識別データが割り当てられており、
    前記暗号化音片データは、前記音声データベースに記憶されているアドレスデータを構成するデータのうち、前記音声データベース自身に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる規則に従った変換を施したものに相当する暗号鍵を用いて前記音片データが暗号化されたものに相当し、
    前記復号化ステップでは、前記音声データベースが記憶するアドレスデータを構成するデータのうち前記識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して当該識別データの値により決まる前記規則に従った前記変換を施すことにより前記暗号鍵を生成し、生成した当該暗号鍵を用いて前記暗号化音片データを復号化する、
    ことを特徴とする音片復元方法。
  7. コンピュータを、
    音片を表す音片データを取得するデータ取得手段と、
    前記音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、音片データベースを構築する対象である外部の記憶装置の記憶領域に格納する場合における当該暗号化音片データの記憶位置を決定し、当該記憶位置を示すアドレスデータを生成する記憶位置決定手段と、
    生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち所定の位置を占めるデータを抽出して所定の規則に従った変換を施すことにより暗号鍵を生成する暗号鍵生成手段と、
    取得された前記音片データを、生成された前記暗号鍵を用いて暗号化することにより、暗号化音片データを生成する暗号化手段と、
    生成された前記暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みと対応付けて前記記憶装置の前記記憶位置に格納することにより前記音片データベースを構築する音片記憶手段と、
    して機能させるためのプログラムであって、
    前記暗号鍵生成手段は、生成された前記アドレスデータを構成するデータのうち、前記記憶装置又は当該暗号化音片データの復号化を行う外部の装置に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる前記規則に従った変換を施すことにより、暗号鍵を生成する、
    ことを特徴とするプログラム。
  8. 音片を表す音片データが暗号化されたものに相当する暗号化音片データを、当該暗号化音片データが表す音片の読みに対応付けて記憶し、当該暗号化音片データが記憶されている記憶位置を示すアドレスデータを更に記憶する外部の音声データベースに接続可能なコンピュータを、
    文章を表す文章情報を入力し、各前記暗号化音片データのうちから、前記文章を構成する音声と共通する読みに対応付けられている暗号化音片データを選択する選択手段と、
    前記暗号化音片データを復号化する復号化手段と、して機能させるためのプログラムであって、
    前記音声データベースには、当該音声データベースに固有の識別データが割り当てられており、
    前記暗号化音片データは、前記音声データベースに記憶されているアドレスデータを構成するデータのうち、前記音声データベース自身に固有に割り当てられた識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して、当該識別データの値により決まる規則に従った変換を施したものに相当する暗号鍵を用いて前記音片データが暗号化されたものに相当し、
    前記復号化手段は、前記音声データベースが記憶するアドレスデータを構成するデータのうち前記識別データの値により決まる位置を占めるデータを抽出して当該識別データの値により決まる前記規則に従った前記変換を施すことにより前記暗号鍵を生成し、生成した当該暗号鍵を用いて前記暗号化音片データを復号化するものである、
    ことを特徴とするプログラム。
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