JP4613401B2 - 感光性ペーストの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性ペーストおよびディスプレイ用部材に関するものであり、さらに詳しくは、無機微粒子の分散安定性を向上した感光性ペーストおよび該感光性ペーストを使用したプラズマディスプレイパネル(PDP)、プラズマアドレス液晶ディスプレイ(PALC)、電子放出素子(フィールドエミッションまたはFE)、あるいは蛍光表示管素子(VFD)のディスプレイ用部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
PDPや電子放出素子、蛍光表示管素子を用いたディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)に比べて明るい画像が得られると共に、視野角が広い、さらに大画面化、高精細化の要求に応えられることから、そのニーズが高まりつつある。
【0003】
電子放出素子には、熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子がある。冷陰極電子源を用いたディスプレイは、電子放出素子から放出される電子ビームを蛍光体に照射して蛍光を発光させることで画像を表示するものである。この装置において、前面ガラス基板と背面ガラス基板にそれぞれの機能を付与して用いるが、背面ガラス基板には、複数の電子放出素子とそれらの素子の電極を接続するマトリックス状の配線が設けられる。これらの配線は、電子放出素子の電極部分で交差することになるので絶縁するための絶縁層が設けられる。さらに両基板の間で耐大気圧支持部材として隔壁(スペーサ)が形成される。
【0004】
蛍光表示管(VFD)の構造と電気的動作機構は、CRTと異なりVFDでは数十Vの電圧による数十mAの低速電子流で蛍光体を励起する。このようなVFD素子を用いたディスプレイにおいても、発光領域を区切るため格子状などの隔壁が形成される。
【0005】
PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に設けられた隔壁で仕切られた放電空間内で対向するアノード電極およびカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、この空間内に封入されているガスから発生する紫外線を放電空間内に塗布された蛍光体に当てることによって表示を行う。
【0006】
プラズマアドレス液晶ディスプレイ(PALC)は、TFT−LCDのTFT(薄膜トランジスター)アレイ部分をプラズマチャネルに置き換えたもので、プラズマ部分以外は基本的にTFT−LCDと同じ構造である。プラズマ発生部分は、高さ200μm程度、ピッチ480μm程度の隔壁で区切られている。つまり上記のの各種ディスプレイは、いずれも隔壁を必要とする。以下、これらの各種ディスプレイを代表してPDPについて記述する。従来、PDPにおいては、絶縁ガラスペーストをスクリーン印刷することによって、隔壁が形成されているが、この方法ではスクリーン版の伸縮による位置合わせの精度の問題があり、高アスペクト比で高精細の隔壁が得られず、大面積化、高解像度化を行うことができない。このような問題を改良する方法として、感光性ペーストを用いてフォトリソグラフィ技術により隔壁を形成する方法が知られている。
【0007】
隔壁は単に発光区域を区分するのみでなく、発光輝度、色純度などのディスプレイの表示特性に影響を与える。蛍光体層からの発光の効率を向上するためには、隔壁の反射率を高くしたいという要求がある。つまり、隔壁の光透過率が高く反射率が低いと、隔壁側面や隔壁間の底面に塗布されている蛍光体層から発光される表示光の反射が不足し、さらに、隣の隔壁間の蛍光体層の表示光の洩れ込みが起こり、輝度が高く色純度の良好なディスプレイを得ることができない。これに対し、特公平6−44452号公報には、ガラス粉末とそれと異なる屈折率を有する充填剤との混合物を用いた隔壁の形成を開示しているが、このような組成物は感光性ペーストを用いたフォトリソグラフィ法による隔壁形成には不適切である。また、特開平8−138559号公報には、形成された隔壁の表面に表示に特定の波長の光のみを反射する反射膜を形成する方法が提案されているが、その反射膜の形成のために工程が増えるなどの問題点がある。
【0008】
光の透過性を向上させるために、粒子径が小さい無機微粒子を用いることができるが、感光性有機成分中に塩素イオンが多量に存在すると、これと無機微粒子との相互作用により無機微粒子が凝集する。これに対し、イオン性不純物とくに塩素イオンと硝酸イオンについては、特開平11−64619号公報に塩素イオンと硝酸イオンを合計で0.001ppm〜150ppm含有するカラーペーストおよびイオン交換法で塩素イオンと硝酸イオンの全部または一部を除去するカラーペーストの製造方法が示されている。しかし、ここに公開された技術では、高粘度のペーストに対しては塩素イオンと硝酸イオンの除去が不十分であり、またイオン交換後のイオン交換樹脂の除去が困難であるため、残存したイオン交換樹脂が露光光の透過を阻害してフォトリソグラフィ法による高アスペクト比で高精細な隔壁が得られない欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、無機微粒子の分散安定性に優れた感光性ペーストの製造方法を提供してかかる矛盾的な問題を解決することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。すなわち、本発明の感光性ペーストの製造方法は、低融点ガラス粉末を含む無機微粒子と感光性有機成分を含有する感光性ペーストの製造方法であって、あらかじめ感光性有機成分と粒状の陰イオン交換樹脂を混合、40〜70℃で攪拌し、濾過を行った後に、濾過後の感光性有機成分と無機微粒子を混練することを特徴とする
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性ペーストは、フォトリソグラフィー法を用いたパターン形成後に焼成を行い、実質的に無機物からなるパターンを形成する目的で使用するため、無機微粒子と感光性有機成分を含有する。
【0013】
本発明の第1発明の感光性ペーストは、無機微粒子の分散安定性の面での理由から、25℃における電気伝導度が0.1〜150×10-4S/mの範囲内である。より好ましくは0.1〜100×10-4S/mの範囲内である。感光性ペーストの電気伝導度が高いと、電気的遮蔽により無機微粒子の微分散が阻害され、無機微粒子の凝集体が露光光の透過を妨害してフォトリソグラフィ法の良好なパターニングが得られないためである。
【0014】
本発明の第2発明の感光性ペーストは、感光性ペースト中の塩素イオン濃度が0.001〜500ppmの範囲内であることが必要である。なお、ここでいう感光性ペースト中の塩素イオンは、テトラエチルベンゼンアンモニウムクロライドなどをいう。無機微粒子の分散安定性の面から、感光性ペースト中の塩素イオン濃度は、500ppm以下であることが必要である。より好ましくは300ppm以下である。塩素イオンなどの不純物イオンを低減することにより、感光性ペースト中の無機微粒子が安定に微分散するため、感光性ペースト塗布膜は、高い光線透過率を示すので、パターン露光時の光の透過率が高く、散乱が少なく、優れたパターン形成性を示すことができる。また、塩素イオンの除去に関するコストの面から、塩素イオン濃度は0.001ppm以上であることが必要である。一層効率を上げるためには、0.1ppm以上であることが好ましい。さらに、本発明の感光性ペーストにおいては、上記の電気伝導度および塩素イオン濃度の条件をともに満たすことが好ましい。
【0015】
また、感光性ペースト中の無機微粒子が、低融点ガラス粉末が50〜90重量部、平均粒子径が1.5〜4μmのフィラーAが0〜30重量部および平均粒子径が0.003〜0.02μmのフィラーBが3〜50重量部とからなるものであることが焼成収縮率の減少、形成された隔壁の強度向上、隔壁の不透明化などのため好ましい。無機微粒子の低融点ガラスを50重量部以上とすることで、フォトリソグラフィ法でパターン形成した後の焼成工程で、隔壁形状の変形がなく、強度の高い隔壁が得られる。さらに、90重量部以下とすることで、隔壁を低融点ガラスとフィラーから構成できるため、焼成収縮率の減少、形成された隔壁の強度向上、隔壁の不透明化が可能になる。
【0016】
また、フィラーAの平均粒子径を1.5μm以上とすることで、焼成時に隔壁の形状を保持する効果を得ることができる。また、フィラーAは焼成工程で溶融することがないので4μmより大きすぎると、形成された隔壁の頂部の凹凸が大きくなりクロストークの原因となるなどの問題を生じる傾向にあり好ましくない。さらに、フィラーAを30重量部以下とすることで、焼成後に強度の高い隔壁を得ることができる。フィラーBは、平均粒子径を0.003μm以上とすることで、フォトリソグラフィ法によるパターン形成においては良好な光透過性を示し、焼成後の隔壁としては高い反射性を示すという矛盾的に要求される特性を両立させることができる。また、感光性ペースト塗布膜のパターン形成性を良好に保持するために上限として平均粒子径を0.02μm以下とすることが好ましい。フィラーBを3重量部以上とすることで、隔壁の反射率向上に寄与することができ、また、感光性ペースト塗布膜のパターン形成性を良好に保持する上限として50重量部以下とすることが好ましい。上記のフィラーAとフィラーBをともに用いることはさらに好ましい。
【0017】
感光性ペーストは感光性有機成分中に無機微粒子を分散させたものであり、その塗布膜では感光性有機成分層の中にかなり高い濃度で無機微粒子が存在している。このような塗布膜にフォトリソグラフィ法でパターン形成を行うためには、少なくとも共存する各成分の屈折率を近似させることが重要である。用いる感光性有機成分の平均屈折率が1.4〜1.7の範囲にあるので無機微粒子の屈折率もこの範囲に出来るだけ近似したものを選ぶことが必要になる。種々の酸化物からなるガラス成分はその配合を考慮することで特性の制御が可能であり、本発明においても熱特性、屈折率などをコントロールした低融点ガラス粉末が使用できる。低融点ガラス粉末として屈折率が1.45〜1.65であり、ガラス転移点が400〜550℃、荷重軟化点が450〜600℃を有するものが好ましい。
荷重軟化点を450℃以上とすることで、部材形成およびディスプレイ形成の後工程において隔壁が変形することがなく、荷重軟化点を600℃以下とすることで、焼成時に溶融し強度の高い隔壁を得ることができる。このような特性を満たす低融点ガラス粉末は、酸化物換算表記で以下の様な組成であることが好ましい。
Figure 0004613401
【0018】
酸化リチウム、酸化ナトリウムまたは酸化カリウムのアルカリ金属酸化物のうち少なくとも1種を用い、その合計量が3〜15重量部、さらには3〜10重量部であることが好ましい。
【0019】
アルカリ金属酸化物は、ガラスの荷重軟化点、熱膨張係数のコントロールを容易にするのみならず、ガラスの屈折率を低くすることができるため、感光性有機成分との屈折率差を小さくすることが容易になる。アルカリ金属酸化物の合計量が3重量部以上とすることでガラスの低融点化の効果を得ることができ、15重量部以下とすることでガラスの化学的安定性を維持すると共に熱膨張係数を小さく抑えることができる。アルカリ金属としては、ガラスの屈折率を下げることやイオンのマイグレーションを防止することを考慮するならリチウムを選択するのが好ましい。
【0020】
酸化ケイ素の配合量は5〜30重量部が好ましく、より好ましくは10〜30重量部である。酸化ケイ素は、ガラスの緻密性、強度や安定性の向上に有効であり、また、ガラスの低屈折率化にも効果がある。熱膨張係数をコントロールしてガラス基板とのミスマッチによる剥離などを防ぐこともできる。5重量部以上とすることで、熱膨張係数を小さく抑えガラス基板に焼き付けた時にクラックを生じない。また、屈折率を低く抑えることができる。30重量部以下とすることで、ガラス転移点、荷重軟化点を低く抑え、ガラス基板への焼き付け温度を低くすることができる。
【0021】
酸化ホウ素は、鉛などの重金属を含有しないガラスにおいて低融点化のために必要な成分であり、さらに低屈折率化にも有効であり、20〜45重量部、さらには20〜40重量部の範囲で配合することが好ましい。20重量部以上とすることで、ガラス転移点、荷重軟化点を低く抑えガラス基板への焼き付けを容易にする。また、45重量部以上とすることでガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0022】
酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムのうち少なくとも1種を用い、その合計量が2〜15重量部、さらには2〜10重量部であることが好ましい。これらの成分は、ガラスの低融点化、熱膨張係数の調整に有効であり、焼き付け温度の基板の耐熱性への適用、電気絶縁性、形成される隔壁の安定性や緻密性の点でも好ましい。2重量%以上とすることで低融点化の効果を得ることができると共に結晶化による失透を防ぐこともできる。また、15重量部以下とすることにより、熱膨張係数を小さく抑え、屈折率も小さく抑えることができる。またガラスの化学的安定性も維持できる。
【0023】
酸化アルミニウムはガラス化範囲を広げてガラスを安定化する効果があり、ペーストのポットライフ延長にも有効である。10〜25重量部の範囲で配合することが好ましく、この範囲内とすることでガラス転移点、荷重軟化点を低く保ち、ガラス基板上への焼き付けを容易とすることができる。
【0024】
さらに、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムは、ガラスを溶融しやすくすると共に熱膨張係数を制御するために配合されることが好ましい。酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムは合計で2〜15重量部配合するのが好ましい。合計量が2重量部以上とすることで結晶化によるガラスの失透を防ぎ、15重量部以下とすることでガラスの化学的安定性を維持することができる。
【0025】
また、上記の組成には表記されていないが、酸化亜鉛はガラスの熱膨張係数を大きく変化させることなく低融点化させる成分でありこれも配合されることが好ましい。多く配合しすぎると屈折率が大きくなる傾向にあるので、1〜20重量部の範囲で配合するのが好ましい。
【0026】
感光性ペーストに用いる低融点ガラス粉末は、ペースト形成時の充填性および分散性が良好で、ペーストの均一な厚さでの塗布が可能であると共にパターン形成性を良好に保つためには、平均粒子径が1〜4μmであり、最大粒子径が35μm以下であることが好ましい。このような粒度分布を有するガラス粉末がペーストへの充填性および分散性の点で優れているが、低融点ガラス粉末の場合は焼成工程でその殆どが溶融し一体化されるので、かなり大きな粒子径の粉末も許容される。この範囲であれば、充填性および分散性を満足させて、塗布性およびパターン形成性の優れた感光性ペーストを構成することができる。
【0027】
フィラーAは無機微粒子中に0〜30重量部で加えられるもので、コーディエライトおよび高融点ガラス粉末から選ばれた少なくとも一種を含むものであることが好ましい。これらのフィラーAは低融点ガラス粉末と同様に屈折率が感光性有機成分の屈折率と整合していることが好ましい。高融点ガラス粉末としては、ガラス転移点500〜1200℃、荷重軟化点550〜1200℃を有するものが好ましく、このような高融点ガラス粉末は、酸化ケイ素および酸化アルミニウムをそれぞれ15重量部以上含有する組成のものが好ましく、これらの含有量合計が50重量部以上であることが必要な熱特性を得るのに有効である。高融点ガラス粉末の組成はこれに限定されるものではないが、例えば以下のような酸化物換算組成のものを用いることができる。
酸化珪素 15〜50重量部
酸化ホウ素 5〜20重量部
酸化バリウム 2〜10重量部
酸化アルミニウム 15〜50重量部。
【0028】
例えば、酸化珪素38重量部、酸化ホウ素10重量部、酸化バリウム5重量部、酸化アルミニウム36重量%で、その他の成分として酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムを少量ずつ含有するガラス転移点625℃、荷重軟化点750℃の高融点ガラスの屈折率は1.59であり、これは本発明で好ましく使用される低融点ガラスの屈折率と同等である。フィラーA成分のもう一つの成分であるコーディエライトの屈折率は1.58であり、好適である。
【0029】
フィラーBは、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、イットリア、酸化錫およびシリカの群から選ばれた少なくとも一種が用いられることが好ましい。これらのフィラーBは本発明で用いる低融点ガラス粉末、フィラーA、感光性有機成分の屈折率に比べてより高い屈折率を有するものである。低融点ガラスやフィラーAより屈折率が高いことは、このようなフィラーBを含有する隔壁がより高い反射率を示すことになり、輝度の高いディスプレイの形成に好都合である。
しかし、感光性有機成分との関係では大きな屈折率差があることは好ましくないので、本発明ではフィラーBの平均粒子径が、パターン形成のため露光される光の波長である350〜420nmより小さい0.003〜0.02μm(3〜20nm)であることが好ましい。このようにすることでペースト中にフィラーBが分散して存在してもパターン露光の妨げにならず、パターン形成に悪影響を与えることがない。
【0030】
また、フィラーBが感光性ペースト中に安定に微分散するために、界面活性剤により表面処理を施すことも好ましい。界面活性剤の具体例として、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどの陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルメチルヒドロキシメチルイミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレートなどの非イオン界面活性剤などが挙げられる。本発明では、これらに限定されずに、界面活性剤を1種または2種以上用いることができる。界面活性剤の添加は、フィラーBの分散工程中またはその工程の前後のどの時点でも行うことができるが、添加の時点によりフィラーBの分散性が変わる場合があるので注意を要する。一方、隔壁パターンを焼成するとフィラーBの存在は隔壁の白色化に有効に作用し、輝度の向上や色純度の向上に繋がり、ディスプレイの表示特性を向上させる。このような平均粒子径を有するフィラーBの添加による隔壁の反射率向上効果の原因については、必ずしも明らかでないが、次のように推定される。すなわち、微細な平均粒子径を有するフィラーBとしての酸化物微粒子は焼成の工程で凝集して粒子径0.3〜2μmの凝集粒子を構成する。この凝集粒子は母体となる低融点ガラスに比べて高い屈折率を有するので、これらの凝集粒子による散乱が顕著になり、隔壁の反射率を向上させ、蛍光体層からの発光の効率を向上することができる。凝集粒子として好ましい粒子径は0.5〜1.0μmである。このような凝集粒子の粒子径は、電子顕微鏡による観察写真を画像処理し、凝集粒子の見かけの面積と同面積の円に換算した際の直径をいう。50個の凝集粒子について観察・画像処理を行って、それらの平均値を凝集粒子の粒子径とした。
【0031】
本発明で用いるフィラーBとしての酸化物微粒子は、マイクロトラック粒度分析計UPA150MODEL No.9340(日機装株式会社)を用いて測定した平均粒子径が0.003〜0.02μmであることが好ましい。このような範囲の平均粒子径の酸化物微粒子を用いることにより、フォトリソグラフィ法によるパターン形成においては良好な光透過性を示し、焼成後の隔壁としては高い反射性を示すという矛盾的に要求される特性を両立させることができる。フィラーBの平均粒子径を0.003μm以上とすることにより、隔壁の反射率向上効果に寄与することができ、また、感光性ペースト塗布膜のパターン形成性を良好に保持する上限として平均粒子径を0.02μm以下とすることが好ましい。
【0032】
本発明の感光性ペーストにおける感光性有機成分は、反応性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーから選ばれた少なくとも1種、および必要に応じてバインダポリマー、光重合開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤、増感剤、増感助剤、紫外線吸収剤、有機染料、分散剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸、塩基、沈降防止剤、酸化防止剤などの添加剤成分を加えて構成される。ここで、反応性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーにおける反応性とは、感光性ペーストが活性光線の照射を受けた場合に、反応性モノマー、反応性オリゴマー、反応性ポリマーが、光架橋、光重合、光解重合、光変性などの反応を通して化学構造が変化することを意味する。
【0033】
本発明の感光性ペーストにおける感光性有機成分は、側鎖にカルボキシル基を有する重合体を含有してもよい。側鎖にカルボキシル基を有する重合体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマーおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシアクリレートなどのモノマーを選択し、アゾビスイソブチロニトリルのような開始剤を用いて重合することにより得られるが、これに限定されるものではない。
【0034】
側鎖にカルボキシル基を有する重合体の樹脂酸価は50〜150mgKOH/gであることが好ましい。酸価が150mgKOH/g以下とすることで、現像許容幅を広くとることができる。また、酸価が50mgKOH/g以上とすることで、未露光部の現像液に対する溶解性が低下することなく、従って現像液濃度を濃くする必要がなく露光部の剥がれを防ぎ、高精細なパターンが得ることができる。
【0035】
側鎖にカルボキシル基を有する重合体としては、焼成時の熱分解温度が低いことから、(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸を共重合成分とする共重合体が好ましく用いられる。とりわけ、スチレン/メタクリル酸メチル/メタクリル酸共重合体が好ましく用いられる。さらに、カルボキシル基を有する共重合体が側鎖にエチレン性不飽和基を有することも好ましい。エチレン性不飽和基としては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基などが挙げられる。このような側鎖をポリマーに付加させる方法は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させて作る方法がある。グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテルなどが挙げられる。イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアナート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネートなどがある。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して0.05〜1モル等量付加させることが好ましい。適切な露光量を得るためには、側鎖にカルボキシル基を有する重合体の添加量は、溶媒を除いた有機成分中の10〜90重量部であることが好ましい。また、バインダー成分が必要な場合にはポリマーとして、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ブチルメタクリレート樹脂などを用いることができる。
【0036】
本発明においては、必要に応じてエチレン性不飽和結合を有するモノマーを用いてもよい。このような重合性モノマーとしては、1個以上の光重合可能な(メタ)アクリレート基またはアリル基を有するモノマーなどが挙げられる。これらの具体例としては、アルコール類(例えばエタノール、プロパノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)のアクリル酸またはメタクリル酸エステル、カルボン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸など)とアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジル、またはテトラグリシジルメタキシリレンジアミンとの反応生成物、アミド誘導体(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応物、エチレン性不飽和結合を有するグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物等をアミノ化合物と反応させて得られるアミン化合物、ウレタン化合物などを挙げることができる。また、多官能モノマーにおいて、不飽和基は、アクリル、メタクリル、ビニル、アリル基が混合して存在してもよい。これらは単独で用いてもよく、また組み合わせて用いてもよい。
【0037】
本発明に用いる光重合開始剤は、ラジカル種を発生するものから選んで用いられる。光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロペンアミニウムクロリド一水塩、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2ーヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオサイド、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4',5'−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、メチルフェニルグリオキシエステル、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)、ジフェニルスルフィド誘導体、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジルメトキシエチルアセタール、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイルおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられる。本発明では、これらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性有機成分に対し、好ましくは0.05〜10重量部の範囲で添加され、より好ましくは、0.1〜10重量部である。光重合開始剤の添加量をこの範囲内とすることにより、露光部の残存率を保ちつつ良好な光感度を得ることができる。
【0038】
光重合開始剤と共に増感剤を使用し、感度を向上させたり、反応に有効な波長範囲を拡大することができる。増感剤の具体例としては、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニルビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を本発明の感光性ペーストに添加する場合、その添加量は感光性有機成分に対して好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。増感剤の添加量をこの範囲内とすることにより、露光部の残存率を保ちつつ良好な光感度を得ることができる
本発明では酸化防止剤が好ましく添加される。酸化防止剤とは、ラジカル連鎖禁止作用、三重項の消去作用、ハイドロパーオキサイドの分解作用をもつものである。感光性ペーストは、例えばプラズマディスプレイ用部材の隔壁製造に用いられる場合、多くの無機微粒子を含有するために露光光の光散乱が避け難く、これに起因すると考えられるパターン形状の太りやパターン間の埋り(残膜形成)が発生しやすい。パターンの壁は垂直に切り立ち、矩形になることが望ましい。理想的には、ある露光量以下では現像液に溶解し、それ以上では現像液に不溶となることである。つまり、光散乱によって低い露光量で硬化しても現像液に溶解し、パターン形状の太りやパターン間の埋まりが解消され、露光量を多くしても解像できる範囲が広いことが好ましい。感光性ペーストに酸化防止剤を添加すると、酸化防止剤がラジカルを捕獲したり、励起された光重合開始剤や増感剤のエネルギー状態を基底状態に戻したりすることにより散乱光による余分な光反応が抑制され、酸化防止剤で抑制できなくなる露光量で急激に光反応が起こることにより、現像液への溶解、不溶のコントラストを高くすることができる。具体的には、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、p−キシロキノン、p−トルキノン、2,6−ジクロロキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジブチルヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、ヒドラジン塩酸塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリメチルベンジルアンモニウムオキザレート、フェニル−β−ナフチルアミン、パラベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、ピクリン酸、キノンジオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピロガロール、タンニン酸、トリエチルアミン塩酸塩、ジメチルアニリン塩酸塩、クペロン、(2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェノレート)−2−エチルヘキシルアミノニッケル−(II)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられるがこれらに限定されない。本発明では、これらを1種以上使用することができる。酸化防止剤の添加量は、感光性ペースト中に好ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは、0.5〜20重量部の範囲である。酸化防止剤の添加量をこの範囲内とすることにより、感光性ペーストの光感度を維持し、また重合度を保ちパターン形状を維持しつつ、現像液への溶解、不溶のコントラストを大きくとることができる。
【0039】
また、紫外線吸収剤を添加することで、露光光によるペースト内部の散乱光を吸収し、散乱光を弱めることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリチル酸系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、インドール系化合物、無機系の微粒子酸化金属などが挙げられる。これらの中でもベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、インドール系化合物が特に有効である。これらの具体例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2'−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、インドール系の吸収剤であるBONASORB UA−3901(オリエント化学社製)、BONASORB UA−3902(オリエント化学社製)SOM−2−0008(オリエント化学社製)などが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、これら紫外線吸収剤の骨格にメタクリル基などを導入し反応型として用いてもよい。本発明では、これらを1種以上使用することができる。紫外線吸収剤の添加量は、ペースト中に好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは、0.005〜5重量部の範囲である。この範囲内とすることにより、透過限界波長および波長傾斜幅を所望範囲内にとどめ、露光光の透過率、感光性ペーストの感度を保持しつつ散乱光の吸収効果を得ることができる。
【0040】
また、本発明では、露光、現像の目印として有機系染料を添加することができる。染料を添加して着色することにより視認性が良くなり、現像時にペーストが残存している部分と除去された部分との区別が容易になる。有機染料としては、特に限定はされないが、焼成後の絶縁膜中に残存しないものが好ましい。具体的にはアゾ系染料、アントラキノン系染料、インジゴイド系染料、フタロシアニン系染料、カルボニウム系染料、キノンイミン系染料、メチン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、フタルイミド系染料、ペリノン系染料などが使用できる。特に、h線とi線付近の波長の光を吸収するもの、例えばベーシックブルー等のカルボニウム系染料を選択すると、本発明の効果がより出やすくなり好ましい。有機染料の添加量は0.001〜1重量%であることが好ましい。
【0041】
感光性ペーストを基板に塗布する時の粘度を塗布方法に応じて調整するために有機溶媒が使用される。このとき使用される有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などや、これらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
【0042】
感光性ペーストは、通常、無機微粒子と反応性ポリマー、反応性モノマー、反応性オリゴマー、紫外線吸収剤、酸化防止剤、有機染料、分散剤、吸光剤、および溶媒などから構成される感光性有機成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラや混練機で均質に混合分散し作製する。感光性ペーストの粘度は、有機溶媒によりその範囲は2000〜20万cps(センチ・ポイズ)程度に調整して使用される。例えば、基板への塗布をスピンコート法で行う場合は、2000〜5000cpsが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、5万〜20万cpsが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法などを用いる場合は、1万〜5万cpsが好ましい。この時使用される有機溶媒としては、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ-ブチロラクトンなどやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が挙げられる。フィラーBの酸化物微粒子の分散溶媒と感光性有機成分の溶媒が異なる場合、これらの溶媒を混合して使用することによってフィラーBの凝集を避けることができる。
【0043】
以下、本発明の感光性ペーストの製造方法を説明するが、本発明はこれに限定されない。感光性有機成分からイオン交換法により、塩素イオンの全部または一部を除去する工程を用いる。イオン交換の一例を示すと、少なくとも感光性有機成分と粒状のイオン交換樹脂を混合、攪拌し、その後、濾過などによりイオン交換樹脂を取り除くという方法がある。この場合、40〜70℃に加熱すると感光性ペーストの粘度が低下するためイオン交換の効率が高くなり、また濾過の操作性が向上する。陰イオン交換樹脂には、スチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン等のモノビニル芳香族化合物と、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン等のポリビニル化合物との共重合体を母体とし、これにクロロメチルメチルエーテル、クロロエチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル、ブロモメチルメチルエーテル、ブロモエチルメチルエーテル、ブロモメチルエチルエーテル等のハロアルキル化剤を作用させてハロアルキル化したのち、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミンと反応させて1〜3級アミノ基および/または4級アンモニウム基を有する陰イオン交換基を導入したものが使用できる。ここでは陰イオン交換樹脂によるイオン交換法の一例を示したが、本発明ではそれらの個別の方法には限定されず、陰イオン交換膜、陰イオン交換繊維や含水酸化ビスマス、水酸化燐酸鉛などの無機の陰イオン交換体を用いることにより、感光性有機成分から塩素イオンを吸着またはイオン交換し、その量を低減することができる。また、本発明の感光性ペーストの製造方法においては、感光性有機成分からイオン交換法により塩素イオンの全部または一部を除去する工程の後、もしくは、同時に陽イオンを除去する工程を含むことが好ましい。つまり、陰イオン交換後、もしくは、同時に陽イオン交換を行い、陽イオンを低減することにより、フィラーの分散性を向上させることができる。陽イオン交換は具体的には、スルホン酸基やカルボン酸基などの陽イオン交換基をもつイオン交換樹脂、陽イオン交換膜、陽イオン交換繊維や無機の陽イオン交換体を用いることにより、陽イオンを吸着または、イオン交換しその量を低減することができる。
【0044】
感光性有機成分とフィラーBの混合物に前述の陰イオン交換樹脂を混合、攪拌し、その後、濾過などによりイオン交換樹脂を取り除くという方法もある。これにより、フィラーBに含まれる塩素イオンの全部または一部を除去することができる。この場合も40〜70℃に加熱すると感光性ペーストの粘度が低下するためイオン交換の効率が高くなり、また濾過の操作性が向上する傾向がある。フィラーBは平均粒子径が0.003〜0.02μmであり、イオン交換樹脂の粒子径と比較して微小なため、濾過時に除去されることがなく、有機成分中に含まれる。ここではイオン交換樹脂によるイオン交換法の例を示したが、本発明ではそれらの個別の方法には限定されず、任意のイオン交換法を使用しうる。また、本発明では感光性有機成分とフィラーBを含有する感光性ペーストからイオン交換法により塩素イオンの全部または一部を除去する工程の後、もしくは、同時に陽イオンを除去する工程を含むことが好ましい。つまり、陰イオン交換後、もしくは、同時に陽イオン交換を行い、陽イオンを低減することにより、さらに分散性を向上させることができる。
【0045】
以下、感光性ペーストを用いてディスプレイ用部材の作製方法の一例について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0046】
基板上に、導電性金属によりアドレス電極を形成する。導電性金属としては、銀、銅、クロム、アルミニウム、ニッケル、金などを用いることができる。アドレス電極は幅20〜100μmのストライプ状に形成される。次いで電極を被覆するように誘電体層を形成するのが好ましい。
【0047】
次いで、誘電体層上もしくは電極が形成された基板上に、感光性ペーストを全面塗布、もしくは部分的に塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどの方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッシュ、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。
【0048】
ここでペーストを基板上に塗布する場合、基板と塗布膜との密着性を高めるために基板の表面処理を行うことができる。表面処理液としては、シランカップリング剤、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど、あるいは有機金属例えば、有機チタン、有機アルミニウム、有機ジルコニウムなどである。シランカップリング剤あるいは有機金属を有機溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどで0.1〜5%の濃度に希釈したものを用いる。次にこの表面処理液をスピナーなどで基板上に均一に塗布した後に80〜140℃で10〜60分間乾燥することによって表面処理ができる。
【0049】
塗布した後、露光装置を用いて露光を行う。露光装置としては、プロキシミティ露光機などを用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、基板上に感光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0050】
露光後、露光部分と未露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して現像を行うが、この場合、浸漬法やスプレー法、ブラシ法で行う。現像処理に用いる現像液は、水を主成分とすることが好ましい。現像液には、感光性ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒を用いることができる。また、有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。感光性ペースト中にカルボキシル基などの酸性基をもつ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム水溶液などが使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。
【0051】
有機アルカリとしては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。
【0052】
アルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり良くない。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0053】
次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類によって異なるが、空気中、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。
【0054】
焼成温度は400〜1000℃で行う。ガラス基板上にパターン加工する場合は、480〜610℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行うことが好ましい。
【0055】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお実施例中に記載された測定法の具体的な手法は以下に示すとおりである。
(測定方法)
(1)感光性ペーストに添加するフィラーBの平均粒子径の測定
マイクロトラック粒度分析計UPA150MODEL No.9340(日機装株式会社)を用いて測定した。
(2)感光性ペースト中の塩素イオン濃度の測定
2インチシリコンウエハーを精秤し、この上に感光性ペーストをスピンナーで塗布する。80℃で30分、熱風乾燥機で乾燥する。乾燥後の重量を精秤し、その重量差より、感光性ペースト中の不揮発成分の重量を求める。2インチシリコンウエハー上に感光性ペーストを上記と同じ条件でスピンナーで塗布する。80℃で30分、熱風乾燥機で乾燥後、塗布膜を0.5%NaOH水溶液に溶解し、イオンクロマト法で塩素イオン量を測定する。測定値は上記不揮発成分の重量に対しての量で示す。
(3)電気伝導度の測定
東亜電波工業株式会社製の電気伝導度計モデルCMー30Sを用いて25.0℃で測定した。
【0056】
(実施例1)
γ−ブチロラクトン26.3gに感光性ポリマー17.5gを混合し、撹拌しながら60℃まで加熱して全てのポリマーを溶解した。感光性ポリマーには、サイクロマーP(ダイセル化学製品ACA320、分子量28,000、酸価120)を用いた。室温の感光性ポリマー溶液に、感光性モノマー(MGP400)7.5g、光重合開始剤(IC−369)2.5gおよび増感剤(2,4−ジエチルチオキサントン)2.5gを加えた後に、超音波攪拌器で30分間ほど攪拌して均一な溶液の状態となるように溶解させた感光性有機成分に弱陰イオン交換樹脂12.6gを添加して45℃、60rpmで攪拌し、400メッシュのフィルターで加圧濾過した後、アゾ系有機染料で処理した低融点ガラス56.0gとフィラーAを7.0g、フィラーBを7.0g加えて3本ローラーを用いて125rpmで混練した。イオン交換樹脂にはオルガノ社(株)製弱陰イオン交換樹脂"アンバーリスト"Aー21(3級アミノ基および一部4級アンモニウム基(OH型)のイオン交換基をもつ)をγーブチロラクトンで洗浄して用いた。低融点ガラスは酸化物換算組成が分析値で酸化リチウム6.7重量%、酸化ケイ素22重量%、酸化ホウ素32重量%、酸化バリウム3.9重量%、酸化アルミニウム19重量%、酸化亜鉛2.2重量%、酸化マグネシウム5.5重量%、酸化カルシウム4.1重量%であり、ガラス転移点が497℃、荷重軟化点が530℃、熱膨張係数が75×10-7/K、屈折率が1.58であった。ガラス成分は、予めアトラクターで微粉末とし、平均粒子径2.6μmの非球状粉末であった。このガラス粉末56.0gに対して、0.045gのアゾ系有機染料スダンIVをアセトンに溶解し、分散剤を加えてホモジナイザーで均質に撹拌し、この溶液中にガラス粉末を添加して均質に分散、混合後、ロータリーエバポレーターを用いてアセトンを蒸発させ、150℃の温度で乾燥したものを用いた。フィラーAは酸化物換算組成が分析値で酸化ケイ素38重量%、酸化ホウ素10重量%、酸化バリウム5重量%、酸化アルミニウム36重量%で、酸化カルシウム5%、酸化マグネシウム6重量%であり、ガラス転移点が625℃、荷重軟化点が750℃、屈折率が1.59であった。フィラーBには、平均粒子径が0.005μm(5nm)の酸化チタンをγ−ブチロラクトンに単分散に近い状態で分散した20%濃度の溶液を用いた。
【0057】
このようにして得た感光性ペーストの塩素イオンは490ppmであった。電気伝導度は140×10-4S/mであった。
【0058】
この感光性ペーストを用いて隔壁を作製した。
ガラス基板(旭硝子社製PD200)上に、感光性銀ペーストを用いて、フォトリソグラフィ法により、線幅40μm、ピッチ150μmの500本のアドレス電極を形成した。
【0059】
次に、電極上にガラス粉末50重量%、酸化チタン15重量%、エチルセルロース20重量%、溶媒15重量%からなるガラスペーストをスクリーン印刷により塗布した後に、550℃で焼成して誘電体層を形成した。
【0060】
誘電体層上に、感光性ペーストを125mm角ガラス基板上に325メッシュのスクリーンを用いたスクリーン印刷により塗布した。塗布膜にピンホールなどの発生を回避するために塗布・乾燥を数回繰り返し行い、膜厚の調整を行った。
途中の乾燥は80℃で10分間行った。その後、80℃で1時間保持して乾燥した。乾燥後の厚さ200μmの塗膜を形成した。
【0061】
続いて、ピッチ150μm、線幅50μmのネガ用のクロムマスクを用いて、上面から20mW/cm2出力の超高圧水銀灯でプロキシミティ露光した。露光量は600mJ/cm2とした。
【0062】
次に、35℃に保持したモノエタノールアミンの0.2%水溶液をシャワーで300秒間かけることにより現像し、その後、シャワースプレーを用いて水洗し、光硬化していないスペース部分を除去してガラス基板上にストライプ状の隔壁パターンを形成した。
【0063】
このようにして得られた隔壁パターンを空気中、600℃で15分間焼成して隔壁を形成した。形成された隔壁の断面形状を電子顕微鏡で観察したところ、高さ150μm、隔壁中央部の線幅60μm、ピッチ150μmの矩形だった。
【0064】
(比較例1)
イオン交換樹脂を用いない以外は、実施例1と同様にして感光性ペーストを得た。この感光性ペースト中の塩素イオン濃度は510ppmであった。電気伝導度は160×10-4S/mであった。この感光性ペーストを用いて実施例1と同様にして隔壁を作製した。形成された隔壁の断面形状を電子顕微鏡で観察したところ、高さ150μm、隔壁中央部の線幅100μm、隔壁底部の線幅50μm、ピッチ150μmで隔壁中央部が太ったパターン特性を示した。
【0065】
(実施例2)
実施例1と同じ組成であって、フィラーBが7.0gと感光性有機成分が56.3gからなる混合物に、弱陰イオン交換樹脂"アンバーリスト"A−21を5.6g添加して45℃、60rpmで16時間攪拌後、400メッシュのフィルターで加圧濾過してイオン交換樹脂を除去した。これに、低融点ガラス56.0gとフィラーAを7.0gを添加して、3本ローラーを用いて125rpmで混練した。この感光性ペースト中の塩素イオン濃度は300ppmであった。電気伝導度は80×10-4S/mであった。実施例1と同様にして隔壁を作製した。形成された隔壁の断面形状を電子顕微鏡で観察したところ、高さ150μm、隔壁中央部の線幅65μm、ピッチ150μmの矩形だった。
【0066】
(比較例2)
実施例2の弱陰イオン交換樹脂のかわりにオルガノ(株)製陽イオン交換樹脂"アンバーリスト"15ーEを使用した以外は、実施例2と同様にして感光性ペーストを得た。この感光性ペースト中の塩素イオン濃度は520ppmであった。
電気伝導度は170×10-4S/mであった。この感光性ペーストを用いて実施例1と同様にして隔壁を作製した。形成された隔壁の断面形状を電子顕微鏡で観察したところ、高さ150μm、隔壁中央部の線幅90μm、隔壁底部の線幅40μm、ピッチ150μmで隔壁中央部が太った。
【0067】
実施例1〜2と比較例1〜2より、感光性ペースト中の塩素イオンを低減することによって感光性ペースト中のフィラーの分散安定化が達成され、良好な隔壁形状が得られることがわかった。
【0068】
(実施例3)
実施例1で弱陰イオン交換樹脂"アンバーリスト"A−21とオルガノ(株)製陽イオン交換樹脂"アンバーリスト"15−Eを各5.6g併用した以外は、実施例1と同様にして感光性ペーストを得た。この感光性ペースト中の塩素イオン濃度は80ppmであった。電気伝導度は60×10-4S/mであった。この感光性ペーストを用いて実施例1と同様にして隔壁を作製した。形成された隔壁の断面形状を電子顕微鏡で観察したところ、高さ150μm、隔壁中央部の線幅55μm、ピッチ150μmの矩形だった。
【0069】
実施例3により陰イオンと陽イオンを同時に除去することにより電気伝導度が小さくなり、さらに良好なパターン形成が可能になった。
【0070】
実施例1〜3と比較例1〜2より、感光性ペースト中の電気伝導度を小さくすることによってフィラーの分散安定化が達成され、良好な隔壁形状が得られることがわかった。
【0071】
【発明の効果】
本発明の感光性ペーストによれば、感光性ペースト中に含まれるフィラーの分散安定化が達成された。感光性ペーストを用いてフォトリソグラフィ法の良好なパターニングにより形成した隔壁を有し、色度や発光輝度、コントラスト等の表示特性に優れたディスプレイ用部材を得ることができる。

Claims (1)

  1. 低融点ガラス粉末を含む無機微粒子と感光性有機成分を含有する感光性ペーストの製造方法であって、あらかじめ感光性有機成分と粒状の陰イオン交換樹脂を混合、40〜70℃で攪拌し、濾過を行った後に、濾過後の感光性有機成分と無機微粒子を混練することを特徴とする感光性ペーストの製造方法。
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